(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ストラットバックストップ装置
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20230511BHJP
B66C 23/36 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B66C23/26 C
B66C23/36 A
(21)【出願番号】P 2019023808
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】高岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昭治
(72)【発明者】
【氏名】岡 高廣
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-145569(JP,A)
【文献】特開平05-032393(JP,A)
【文献】特開2011-213426(JP,A)
【文献】特開2012-111569(JP,A)
【文献】米国特許第04270663(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/26
B66C 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームと、
前記ブームに起伏可能に取り付けられるジブと、
前記ブームに起伏可能に取り付けられ、前記ブームに対して前記ジブを起伏させるストラットと、
を備えるクレーンに設けられるストラットバックストップ装置であって、
前記ストラットに回転可能に取り付けられるバックストップと、
前記ブームに設けられる傾斜部と、
を備え、
前記ブームが倒伏状態のときに、前記傾斜部は、前記ストラットから垂下させた前記バックストップの先端部が接触可能な位置に配置され、ブーム先端側ほど下側に配置されるようにブーム軸方向に対して傾斜する、
ストラットバックストップ装置。
【請求項2】
上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームと、
前記ブームに起伏可能に取り付けられるジブと、
前記ブームに起伏可能に取り付けられ、前記ブームに対して前記ジブを起伏させるストラットと、
を備えるクレーンに設けられるストラットバックストップ装置であって、
前記ストラットに回転可能に取り付けられるバックストップと、
前記ブームに設けられる傾斜部と、
を備え、
前記ブームが倒伏状態のときに、前記傾斜部は、前記ストラットから垂下させた前記バックストップの先端部が接触可能な位置に配置され、ブーム先端側ほど下側に配置されるようにブーム軸方向に対して傾斜
し、
前記ブームが倒伏状態のときに、前記ストラットのブーム基端側への回転に伴って、前記バックストップの先端部が、前記傾斜部に沿ってブーム先端側および下側に移動するように、前記傾斜部が構成される、
ストラットバックストップ装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のストラットバックストップ装置であって、
前記バックストップは、前記バックストップの先端部に設けられるとともに前記傾斜部に接触可能であるローラを備える、
ストラットバックストップ装置。
【請求項4】
請求項1
~3のいずれか1項に記載のストラットバックストップ装置であって、
前記ブームに固定されるブーム側取付部を備え、
前記バックストップは、前記ブーム側取付部に着脱可能なバックストップ側取付部を備え、
前記ブーム側取付部および前記バックストップ側取付部は、前記バックストップの先端部を前記傾斜部に沿って移動させたときに互いに位置が合うように配置される、
ストラットバックストップ装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のストラットバックストップ装置であって、
前記傾斜部のブーム基端側の端部から上側に突出する壁部を備える、
ストラットバックストップ装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のストラットバックストップ装置であって、
前記傾斜部に対する、前記バックストップの先端部の、横方向の移動を制限する横方向ガイド部を備える、
ストラットバックストップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンのストラットのバックストップを有する、ストラットバックストップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の
図1などに、従来のクレーンが記載されている。このクレーンは、ブームと、ブームに起伏可能に取り付けられたジブと、ジブを起伏させるストラット(同文献におけるフロントストラット、およびリアストラット)と、ブームに対するストラットの回転を制限するバックストップと、を有する。同文献の
図4および
図5などに、組立時のクレーンが記載されている。クレーンの組立時には、ブームが倒伏状態とされ、ストラット(リアストラット)が後側に回転させられる。このとき、バックストップがブームに干渉しないようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックストップがブームに干渉しないようにするために、ストラットが後側に回転させられる前に、ストラットに対してバックストップを所定位置に保持すれば、この保持をするための作業に手間がかかる。また、バックストップとブームとの干渉を抑制するための部材が設けられる場合(詳細は後述)は、この部材をできるだけ小型化および軽量化することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、クレーンの組立作業を容易に行うことができ、バックストップの先端部とブームとの干渉を抑制するための部材を小型化および軽量化できる、ストラットバックストップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ストラットバックストップ装置は、クレーンに設けられる。前記クレーンは、ブームと、ジブと、ストラットと、を備える。前記ブームは、上部旋回体に起伏可能に取り付けられる。前記ジブは、前記ブームに起伏可能に取り付けられる。前記ストラットは、前記ブームに起伏可能に取り付けられ、前記ブームに対して前記ジブを起伏させる。ストラットバックストップ装置は、前記ストラットに回転可能に取り付けられるバックストップと、前記ブームに設けられる傾斜部と、を備える。前記ブームが倒伏状態のときに、前記傾斜部は、前記ストラットから垂下させた前記バックストップの先端部が接触可能な位置に配置され、ブーム先端側ほど下側に配置されるようにブーム軸方向に対して傾斜する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、クレーンの組立作業を容易に行うことができ、バックストップの先端部とブームとの干渉を抑制するための部材を小型化および軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示すクレーン1が組立分解状態のときのストラット20などを横から見た図である。
【
図3】
図2に示す状態からリアストラット23が後側X2に回転した状態を横から見た図である。
【
図4】
図3に示す状態からリアストラット23が後側X2に回転した状態を横から見た図である。
【
図5】
図4に示す状態からリアストラット23が前側X1に回転した状態を横から見た図である。
【
図6】
図3に示すバックストップ先端部42およびガイド部材51を横から見た図である。
【
図7】
図5に示すバックストップ先端部42およびガイド部材51などを横から見た図である。
【
図8】
図3に示すバックストップ先端部42を横から見た図である。
【
図10】
図6に示す横方向ガイド部60の変形例の横方向ガイド部160などを示す
図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図11を参照して、
図1に示すストラットバックストップ装置30を有するクレーン1について説明する。
【0010】
クレーン1は、ブーム15およびジブ17を用いて作業を行う建設機械である。クレーン1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、ブーム15と、ジブ17と、ストラット20と、ストラットバックストップ装置30と、を備える。
【0011】
下部走行体11は、クレーン1を走行させる。下部走行体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。上部旋回体13は、下部走行体11よりも上側Z1に配置され、下部走行体11に対して旋回可能である。上部旋回体13は、ブーム取付部13bと、カウンタウエイト13cと、を備える。ブーム取付部13bは、ブーム15の基端部が取り付けられる部分である。
【0012】
ブーム15は、上部旋回体13に起伏可能に取り付けられる。ブーム15は、ラチス構造を有するラチスブームでもよく、箱形構造を有し伸縮可能な伸縮ブームでもよい。以下では、ブーム15がラチスブームである場合について説明する。ブーム15は、分解可能であり、下部ブーム15aと、中間ブーム15bと、上部ブーム15cと、を備える。下部ブーム15aは、ブーム15のうち最も基端側(上部旋回体13に取り付けられる側)に設けられる。上部ブーム15cは、ブーム15のうち最も先端側(上部旋回体13に取り付けられる側とは反対側)に設けられる。中間ブーム15bは、下部ブーム15aと上部ブーム15cとの間に設けられる。中間ブーム15bの数は、1でもよく、複数でもよい。ブーム15が倒伏状態(後述)のときのブーム15の上側Z1の面を、ブーム背面15eとする。
【0013】
(方向などの定義)
鉛直方向を上下方向Z(上側Z1、下側Z2)とする。上部旋回体13に対するブーム15の回転軸が延びる方向を、横方向Yとする。上下方向Zおよび横方向Yに直交する方向を前後方向X(前側X1、後側X2)とする。ブーム15の中心軸が延びる方向(長手方向)を「ブーム15軸方向」とする。ブーム15軸方向において、ブーム15の基端部(上部旋回体13に取り付けられる部分)から先端部に向かう側を「ブーム15先端側」とし、その逆側を「ブーム15基端側」とする。
図2に示すように、ブーム15は、倒伏状態になる場合がある。ブーム15が倒伏状態のとき、ブーム15軸方向は、前後方向Xまたはほぼ前後方向Xである。ブーム15が倒伏状態のとき、ブーム15先端側は、前側X1であり、ブーム15基端側は後側X2である。なお、
図2~
図7では、
図2に示すブーム15が倒伏状態のときに、ブーム15軸方向が前後方向Xと一致する場合を図示した。また、
図1に示すように、クレーン1が作業姿勢(作業可能な姿勢)のとき、上部旋回体13の長手方向は、前後方向Xである。前後方向Xにおいて、カウンタウエイト13cからブーム取付部13bに向かう側(向き)は前側X1であり、その逆側は後側X2である。
【0014】
ジブ17は、ブーム15に起伏(回転)可能に取り付けられる。ブーム15に対するジブ17の回転軸が延びる方向は、横方向Yである。以下で説明する部材のうち回転する部材の回転の軸方向は、横方向Yである。ジブ17は、ブーム15の先端部(上部ブーム15c)に取り付けられる。ジブ17は、ラチス構造を有するラチスジブである。ジブ17は、分解可能であり、基端側(ブーム15に取り付けられる側)から先端側の順に、下部ジブ17aと、中間ジブ17bと、上部ジブ17cと、を備える。なお、ジブ17は、中間ジブ17bを備えなくてもよい。
【0015】
ストラット20は、ブーム15に対してジブ17を起伏させる。ストラット20は、フロントストラット21と、リアストラット23と、を備える。ストラット20は1本のみ設けられてもよい(この場合、以下のリアストラット23をストラット20に読み替える)。
【0016】
フロントストラット21は、ジブ17または上部ブーム15cに起伏可能に取り付けられる。フロントストラット21は、フロントストラット21の先端部に設けられるシーブを備える。フロントストラット21の先端部とジブ17の先端部とは、ジブガイラインG1で接続される。フロントストラット21は、例えばラチス構造を有してもよく、例えば箱型構造を有してもよい(リアストラット23も同様)。
【0017】
リアストラット23は、ブーム15(さらに詳しくは上部ブーム15c)に起伏可能に取り付けられる。以下では、クレーン1が作業姿勢である場合について説明する。リアストラット23は、フロントストラット21よりも後側X2および下側Z2に配置される。リアストラット23は、上部ブーム15cから後側X2に延びるように配置される。リアストラット23は、リアストラット基端部23fと、リアストラット先端部23tと、を備える。
【0018】
リアストラット基端部23fは、リアストラット23のうち、ブーム15に取り付けられる側の端部である。リアストラット先端部23tは、リアストラット23のうち、ブーム15に取り付けられる側とは反対側の端部である。リアストラット23は、リアストラット先端部23tに設けられるシーブを備える。リアストラット先端部23tとブーム15とは、ストラットガイラインG3で接続される。リアストラット先端部23tのシーブと、フロントストラット21の先端部のシーブとに、ジブ起伏ロープR1が掛けられる。図示しないウインチが、ジブ起伏ロープR1を巻き取り、および、繰り出しする。すると、フロントストラット21の先端部とリアストラット先端部23tとの間隔が変わる。その結果、ブーム15に対してジブ17が起伏する。なお、フロントストラット21の先端部とリアストラット先端部23tとの距離が一定となるように、フロントストラット21とリアストラット23とが連結されてもよい。この場合、ブーム15に対するストラット20の角度が、ロープの巻き取りおよび繰り出しによって変えられてもよい(ストラット20が1本のみ設けられる場合も同様)。
【0019】
ストラットバックストップ装置30は、バックストップ40と、ブーム側部材50と、横方向ガイド部60(
図6参照)と、を備える。
【0020】
バックストップ40は、ブーム15に対するリアストラット23の回転を制限する、リアストラットバックストップである。バックストップ40の基端部は、リアストラット23に回転可能に接続される。バックストップ40の基端部は、例えば、リアストラット23の長手方向における中央部などに接続される。
図2に示すように、バックストップ40は、バックストップ本体部41と、バックストップ先端部42と、を備える。
【0021】
バックストップ本体部41は、略棒状であり、伸縮可能である(
図5参照)。バックストップ本体部41は、例えば油圧シリンダを備えるものでもよく、バネなどを含む伸縮構造を備えるものでもよい。
【0022】
バックストップ先端部42は、バックストップ40の先端部(リアストラット23に接続される側とは反対側の端部)である。
図8に示すように、バックストップ先端部42は、先端フレーム部43と、バックストップ側取付部45と、ローラ47と、を備える。
【0023】
先端フレーム部43は、バックストップ本体部41の先端部に取り付けられるフレームである。
図9に示すように、先端フレーム部43は、例えば、板状または略板状などである。先端フレーム部43は、例えば2つ設けられてもよく、1つのみ設けられてもよい。
【0024】
バックストップ側取付部45は、
図1に示すクレーン1が作業姿勢のときに、ブーム15に取り付けられる部分である。
図8に示すバックストップ側取付部45は、クレーン1(
図2参照)が組立分解状態のときには、ブーム15から切り離された状態となる場合がある(
図2参照)。バックストップ側取付部45は、後述するブーム側取付部55(
図6参照)に着脱可能である。バックストップ側取付部45は、例えば、ピン孔45aおよびその周囲の部分である。ピン孔45aは、先端フレーム部43を横方向Yに貫通する孔(さらに詳しくは孔の内面)であり、ピンPを差し込み可能である。
【0025】
ローラ47は、後述する傾斜部51a(
図6参照)に接触可能であり、傾斜部51aに対するバックストップ先端部42の移動をスムーズにする。ローラ47は、バックストップ本体部41に対して回転可能である。具体的には、ローラ47は、先端フレーム部43に回転可能に支持される。
図9に示すように、ローラ47は、先端フレーム部43の2つの板状部材に横方向Yに挟まれるように配置される。
図7に示すように、ローラ47は、バックストップ側取付部45がブーム側取付部55に取り付けられた状態のときに、ブーム側取付部55に干渉しないように配置される。具体的には、ローラ47は、ピン孔45aよりも後側X2に配置される。
【0026】
ブーム側部材50は、
図2に示すように、ブーム15に設けられ、さらに詳しくは、ブーム背面15eに設けられる(固定される)。ブーム側部材50は、ガイド部材51と、ブーム側取付部55と、を備える。
【0027】
ガイド部材51は、ブーム15に対するバックストップ先端部42の移動をガイドする。ガイド部材51は、ブーム15が倒伏状態のときに、ブーム背面15eよりも上側Z1に突出する。ガイド部材51は、中間ブーム15bに設けられてもよく、上部ブーム15cに設けられてもよい。
図6に示すように、ガイド部材51は、ローラ47が転がることが可能な構成(形状、配置など)を有する。例えば、ガイド部材51は、前後方向Xおよび上下方向Zに延びる板状でもよく、ブロック状や箱状などでもよい。ガイド部材51は、傾斜部51aと、壁部51bと、を備える。以下では、
図2に示すように、ブーム15が倒伏状態の場合について説明する。
【0028】
傾斜部51a(
図6参照)は、ストラット20から垂下させたバックストップ40が下げられたときに、バックストップ先端部42を前側X1に移動させる(詳細は後述)。傾斜部51a(
図6参照)は、ストラット20から垂下させたバックストップ40の先端部(バックストップ先端部42)が接触可能な位置に配置される。
図6に示すように、傾斜部51aは、前側X1(ブーム15先端側)ほど下側Z2に配置されるように、前後方向X(ブーム15軸方向)に対して傾斜する。横方向Yから見たとき、傾斜部51aは、直線状でもよく、曲線状でもよく、これらを組み合わせた形状でもよい(壁部51bも同様)。傾斜部51aは、ローラ47が傾斜部51aを転がることが可能となるように構成されたレール(ストラットバックストップ用レール)である。
【0029】
壁部51bは、バックストップ先端部42が傾斜部51aよりも後側X2に移動することを制限(抑制)する。壁部51bは、傾斜部51aの後側X2端部から上側Z1に突出する。
【0030】
ブーム側取付部55は、クレーン1(
図1参照)が作業姿勢のときに、
図7に示すバックストップ先端部42が取り付けられる部分である。ブーム側取付部55は、ブーム15に固定される。ブーム側取付部55は、ブーム背面15eに固定され、例えば、ブーム背面15eを構成するパイプ15pに固定される。ブーム側取付部55は、例えば板状などである。ブーム側取付部55は、例えば、ピン孔55aを有する。ピン孔55aは、ブーム側取付部55を構成する部材(例えば板状部材)を横方向Yに貫通する孔(さらに詳しくは孔の内面)であり、ピンPを差し込み可能である。バックストップ先端部42を傾斜部51aに沿って移動させたときに、ブーム側取付部55とバックストップ側取付部45との位置が合うように、ブーム側取付部55およびバックストップ側取付部45が配置される。さらに詳しくは、バックストップ先端部42を傾斜部51aに沿って移動させたときに、ピン孔55aとピン孔45aとの位置が合うように、ブーム側取付部55およびバックストップ側取付部45が配置される。例えば、ブーム側取付部55は、傾斜部51aの前側X1端部の近傍に配置され、傾斜部51aの前側X1端部よりも前側X1および上側Z1に配置される。例えば、ブーム側取付部55は、バックストップ側取付部45に取り付けられたとき、2つの先端フレーム部43(
図9参照)に横方向Yから挟まれるように配置される。
【0031】
横方向ガイド部60は、
図6に示すガイド部材51に対する(傾斜部51aに対する、および、壁部51bに対する)、バックストップ先端部42の横方向Yの移動を制限する。横方向ガイド部60は、バックストップ先端部42およびガイド部材51の少なくとも一方に設けられる。
図6に示す例では、横方向ガイド部60は、バックストップ先端部42に設けられ、先端フレーム部43に固定される。横方向ガイド部60は、バックストップ先端部42がガイド部材51の近傍に配置されたときに、ガイド部材51を左右から挟むような位置に配置される。具体的には例えば、
図9に示すように、横方向ガイド部60は、横方向ガイド部材61・61を備える。
【0032】
横方向ガイド部材61は、例えば2つ設けられる。2つの横方向ガイド部材61・61は、先端フレーム部43から左右(横方向Y外側の両側)に突出する。
図6に示すバックストップ先端部42がガイド部材51の近傍に配置されたとき、および接触しているとき、
図9に示す2つの横方向ガイド部材61・61は、ガイド部材51を横方向Yから挟むように配置される。横方向ガイド部材61は、例えば板状などである(
図8参照)。
図6に示す横方向ガイド部材61は、バックストップ先端部42がガイド部材51に近づけられたときに、ガイド部材51に対するバックストップ先端部42の横方向Yのずれが減るように(ガイドするように)設けられる。具体的には例えば、
図9に示すように、横方向ガイド部材61は、横方向ガイド用傾斜61aを備える。バックストップ40が垂下した状態のときに(
図2参照)、前側X1(
図2参照)ほど、横方向ガイド部材61・61どうしの横方向Yの間隔が狭くなるように、横方向ガイド用傾斜61aは、前後方向Xに対して傾斜する。
【0033】
図10および
図11に、横方向ガイド部60(
図9参照)の変形例である横方向ガイド部160を示す。横方向ガイド部160について、主に、横方向ガイド部60(
図9参照)との相違点を説明する。
図10に示すように、横方向ガイド部160は、ガイド部材51に設けられる。横方向ガイド部160は、傾斜部51aの左右(横方向Y外側の両側)に設けられてもよく、壁部51bの左右に設けられてもよい。横方向ガイド部160は、傾斜部51aおよび壁部51bに沿うように(延びるように)配置される。
図11に示すように、横方向ガイド部160は、横方向ガイド用傾斜61a(
図9参照)と同様の機能を有する横方向ガイド用傾斜161aを備える。
図10に示す壁部51bの横方向Y外側に配置される横方向ガイド用傾斜161a(
図11参照)は、後側X2ほど横方向ガイド用傾斜161a・161aどうしの横方向Yの間隔が狭くなるように、前後方向Xに対して傾斜する。傾斜部51aの横方向Y外側に配置される横方向ガイド用傾斜161a(
図11参照)は、後側X2および上側Z1ほど横方向ガイド用傾斜161a・161aどうしの横方向Yの間隔が狭くなるように、前後方向Xおよび上下方向Zのそれぞれに対して傾斜する。なお、
図11は、
図10のF11-F11矢視断面図であり、上側Z1から見た図(壁部51bに沿う方向から見た図)である。一方、
図10に示す傾斜部51aに沿った方向から見たとき、横方向ガイド部160の断面形状は、例えば、
図11に示す横方向ガイド部160と同様の形状である。
【0034】
(作動)
図1に示すクレーン1の組立は、次のように行われる。以下ではクレーン1の組立の手順に沿って説明するが、手順は適宜変更されてもよい。また、クレーン1の分解は、下記のクレーン1の組立とは逆(または略逆)の手順により行われる。
【0035】
クレーン1は、分解された状態で輸送される。リアストラット23は、ブーム15から切り離された状態で輸送される。輸送時には、ストラットガイラインG3は、
図2に示すように、リアストラット23に取り付けられたストラット側部分G3sと、ブーム15に載せられたブーム側部分G3bと、に切り離されている。輸送時には、バックストップ40は、リアストラット23に接続され、ブーム15から切り離されている。
【0036】
輸送されたリアストラット23などは、例えば
図2に示すような状態になるように組み立てられる。このとき、ブーム15は、倒伏状態である。リアストラット基端部23fは、上部ブーム15cに接続されている。リアストラット23は、補助クレーン(クレーン1とは別の、組立分解用のクレーン)に吊り上げられ、起立した状態である。バックストップ40は、リアストラット23から垂下した(垂れ下がった)状態である。バックストップ40は、クレーン1が作業姿勢のときよりも縮小した状態であり(
図5参照)、例えば、バックストップ40が取り得る長さ(伸縮量)の中で最も縮小した状態でもよく、最も縮小した状態に近い状態でもよい。ストラットガイラインG3のストラット側部分G3sは、リアストラット先端部23tから垂下した(垂れ下がった)状態である。ストラットガイラインG3のブーム側部分G3bは、ブーム背面15eに載せられた状態である。なお、このとき、ジブ17(例えば下部ジブ17a)は、上部ブーム15cに取り付けられていてもよく、取り付けられていなくてもよい(フロントストラット21も同様)。
【0037】
次に、
図3に示すように、リアストラット23が後側X2に回転させられる。さらに詳しくは、リアストラット先端部23tが後側X2に移動する向きに、リアストラット基端部23fを中心として、ブーム15に対してリアストラット23が回転させられる。リアストラット23の回転は、リアストラット23を吊る補助クレーンにより行われる。このとき、ストラットガイラインG3のストラット側部分G3sは、リアストラット先端部23tから垂下した状態で、後側X2および下側Z2に移動する。また、バックストップ40は、リアストラット23から垂下した状態で、後側X2および下側Z2に移動する。すると、バックストップ先端部42が、ブーム背面15eに近づき、ガイド部材51に近づく。そして、
図6に示すように、バックストップ先端部42が、傾斜部51aに接触する。さらに詳しくは、ローラ47が、傾斜部51aに接触する。
【0038】
バックストップ先端部42がガイド部材51に近づくとき、横方向ガイド部材61(さらに詳しくは
図9に示す傾斜部51a)が、ガイド部材51に対するバックストップ先端部42の横方向Yの位置をガイドする。よって、作業者が手作業で、バックストップ先端部42の横方向Yの位置を調整しなくても、バックストップ先端部42を傾斜部51aに接触させることができる。また、バックストップ先端部42がガイド部材51に近づいたとき、また、バックストップ先端部42がガイド部材51に接触しているとき、バックストップ40が横方向Yに揺れる場合がある。このとき、横方向ガイド部60は、ガイド部材51に対するバックストップ先端部42の横方向Yの移動を制限する。よって、バックストップ40が横方向Yに揺れても、バックストップ先端部42を傾斜部51aに接触させることができる。
【0039】
バックストップ先端部42がガイド部材51に近づいたとき、例えばバックストップ40が前後方向Xに揺れた場合など、バックストップ先端部42が後側X2に移動しようとする場合がある。このとき、壁部51bは、傾斜部51aよりも後側X2にバックストップ先端部42が移動することを制限する。具体的には例えば、バックストップ先端部42(さらに詳しくはローラ47)が、壁部51bに接触する。よって、作業者が手作業で、バックストップ先端部42の前後方向Xの位置を調整しなくても、バックストップ先端部42を傾斜部51aに接触させることができる。
【0040】
バックストップ先端部42が傾斜部51aに接触した状態で、
図4に示すように、リアストラット23が、さらに後側X2に回転させられる。このとき、バックストップ40の基端部は、リアストラット23と共に、下側Z2および後側X2に移動する。このとき、
図6に示すように、バックストップ先端部42は、傾斜部51aに沿って移動し、下側Z2および前側X1に移動する。その結果、
図4に示すように、バックストップ40は、リアストラット23に対して折り畳まれる。さらに詳しくは、横方向Yから見たとき、リアストラット23の長手方向と、バックストップ40の長手方向と、がなす角度が小さくなる。
【0041】
リアストラット23が、所定の起伏角度(下記の第1起伏角度θ1)まで後側X2に回転させられると、ストラットガイラインG3のストラット側部分G3sの下側Z2端部が、ブーム側部分G3bに接続可能な位置に配置される。そして、ストラット側部分G3sとブーム側部分G3bとが接続される。
【0042】
リアストラット23が、所定の起伏角度(下記の第2起伏角度θ2)まで後側X2に回転させられる。すると、
図6において二点鎖線で示すバックストップ先端部42のバックストップ側取付部45が、ブーム側取付部55に取り付け可能な位置に配置される。さらに詳しくは、バックストップ側取付部45のピン孔45aと、ブーム側取付部55のピン孔55aとが横方向Yに連通する。そして、バックストップ側取付部45とブーム側取付部55とが、例えばピンP(
図7参照)により互いに接続される。その結果、バックストップ40とブーム15とが接続される。
【0043】
図4に示すように、ストラットガイラインG3のストラット側部分G3sとブーム側部分G3bとが接続される際の、リアストラット23の起伏角度を、第1起伏角度θ1とする。リアストラット23の「起伏角度」とは、前後方向Xとリアストラット23の長手方向とがなす角度である。
図5に示すバックストップ側取付部45とブーム側取付部55とが接続されるときの、
図4に示すリアストラット23の起伏角度を、第2起伏角度θ2とする。第2起伏角度θ2は、第1起伏角度θ1に対して、等しくてもよく、大きくてもよく、小さくてもよい。第1起伏角度θ1と第2起伏角度θ2とが等しい場合は、リアストラット23の起伏角度を、第1起伏角度θ1から第2起伏角度θ2に(またはその逆に)調整する必要がないため、作業性が向上する。
【0044】
次に、
図5に示すように、リアストラット23が起こされ、バックストップ本体部41が伸ばされる。このとき、バックストップ40は、
図1に示すクレーン1が作業姿勢のときのバックストップ40の長さに設定される。次に、例えば、ジブ17が組み立てられ、ジブ17とフロントストラット21とにジブガイラインG1が接続され、ブーム15が起こされ、ブーム15に対してジブ17が起こされ、クレーン1が作業姿勢となる。
【0045】
(検討)
図3に示すようにリアストラット23が後側X2に回転させられるときにバックストップ先端部42をガイドする部材(本実施形態ではガイド部材51)が設けられない場合(この場合を[例A]とする)について検討する。この[例A]では、バックストップ40の固縛および解除が必要である(下記の[作業A1]および[作業A3])。また、リアストラット23の起伏を2往復する必要がある(下記の[作業A2]および[作業A4])。
【0046】
この[例A]の詳細は次の通りである。この[例A]では、リアストラット23を後側X2に回転させると、バックストップ40がブーム15に干渉する。そこで、リアストラット23が後側X2に回転させられる前の状態で、例えば、リアストラット23が起立した状態(
図3における二点鎖線図を参照)で、バックストップ40が、リアストラット23に固縛(固定)される([作業A1])。この固縛は、例えば、固縛用のピンなどにより行われる。そして、リアストラット23が後側X2に回転させられ、ストラットガイラインG3が(ブーム側部分G3bとストラット側部分G3sとが)接続される(
図4参照)。次に、リアストラット23が再び起立させられる([作業A2])。そして、バックストップ40のリアストラット23への固縛が解除される([作業A3])。このとき、例えば、固縛用のピンを外すために、バックストップ40の自重が固縛用のピンにかからないように、リアストラット23の起伏角度を調整する必要がある。次に、リアストラット23が再び後側X2に回転させられる([作業A4])。そして、バックストップ40がブーム15に接続される。
【0047】
リアストラット23が後側X2に回転させられるときに、バックストップ先端部42を後側X2に移動させるための、ブーム背面15eと平行なレールが設けられる場合(この場合を[例B]とする)について検討する。この[例B]では、バックストップ40の跳ね上げ作業が必要である(下記の[作業B1])。また、リアストラット23の起伏を1往復する必要がある(下記の[作業B2])。また、レールの配置が困難となる問題がある。
【0048】
この[例B]の詳細は次の通りである。この[例B]では、リアストラット23の長手方向とバックストップ40の長手方向とがなす角度が、0よりも大きい所定角度になるように、リアストラット23が保持(支持)される([作業B1])。この作業は、例えば、
図2に示すフロントストラット21上にリアストラット23が載せられた状態など、リアストラット23が前後方向Xに伏せられた状態(図示なし)で行われる。そして、リアストラット23に対してバックストップ40が跳ね上げられた状態(跳ね上げ姿勢)で保持される(例えば上記の特許文献1の
図3を参照)。なお、リアストラット23の輸送時に、バックストップ40を跳ね上げ姿勢にすると、輸送高さが高くなるため、バックストップ40を予め跳ね上げ姿勢にしておくことは困難である。次に、
図3に示すリアストラット23が起立させられ、リアストラット23が後側X2に回転させられ、ストラットガイラインG3が接続される(
図4と同様)。リアストラット23が後側X2に回転させられるとき、バックストップ先端部42が、レールに接触し、レールに沿って後側X2に移動する。次に、リアストラット23が起立させられる([作業B2])。そして、バックストップ40がブーム15に接続される。
【0049】
この[例B]では、バックストップ先端部42を後側X2に移動させるための、ブーム背面15eと平行なレールが設けられる。そのため、次の問題がある。リアストラット23が後側X2に回転させられると、バックストップ40の基端部は、ストラット20の後側X2への回転に伴って後側X2に移動し、さらに、バックストップ先端部42は、レールに沿って後側X2に移動する。そのため、本実施形態のようにリアストラット23が後側X2に回転させられたときにバックストップ先端部42が前側X1に移動する場合に比べ、この[例B]では、前後方向Xに長いレールが必要になる。そのため、このレールの配置が困難である。例えば、ブーム背面15eにある部材と干渉しないようにレールを配置する必要がある。また、例えば、レールが中間ブーム15bと上部ブーム15cとにまたがる場合は、レールを分解可能にする必要がある。すると、中間ブーム15bと上部ブーム15cとの組立時および分解時にレールの分解および組立も必要になり、作業に手間がかかる。また、レールの分解部分に隙間や段差などができると、隙間や段差にバックストップ先端部42がひっかかる場合があり、作業に手間がかかる。
【0050】
一方、本実施形態では、上記[例A]および[例B]よりも、クレーン1の組立を容易に行える。具体的には、リアストラット23が起立した状態から、ストラットガイラインG3の接続、および、バックストップ40とブーム15との接続が完了するまでに、リアストラット23を往復して起伏させる必要がない。
【0051】
また、本実施形態では、上記[例B]のような長いレールは不要である。さらに詳しくは、ストラット20が後側X2に回転させられると、バックストップ40の基端部は、後側X2に移動し、バックストップ先端部42は、傾斜部51a(
図6参照)に沿って前側X1に移動する。よって、バックストップ40の基端部が後側X2に移動しながらバックストップ先端部42が後側X2に移動する場合に比べ、バックストップ先端部42の前後方向Xの移動距離を短くできる。よって、上記[例B]の長いレールに比べ、ガイド部材51(さらに詳しくは傾斜部51a(
図6参照))の前後方向Xの長さを短くできる。よって、上記[例B]の長いレールに比べ、ガイド部材51を配置(設置)するためのスペースを容易に確保でき、ガイド部材51をブーム15に容易に配置できる。また、上記[例B]の長いレールに比べ、ガイド部材51の前後方向Xの長さを短くできるので、ガイド部材51を小型化でき、軽量化できる。また、ガイド部材51を軽量化できる結果、クレーン1の吊上げ能力を向上させることができる。さらに詳しくは、ブーム15の先端部およびその近傍部分(ガイド部材51を含む部分)の質量が大きいほど、クレーン1の吊り上げ能力が低下する。一方、本実施形態では、上記[例B]の長いレールに比べガイド部材51を軽量化できるので、上記[例B]に比べ、クレーン1の吊り上げ能力を向上させることができる。また、本実施形態では、リアストラット23が後側X2に回転させられると、リアストラット23から垂下したバックストップ40のバックストップ先端部42が、傾斜部51a(
図6参照)に沿って自動的に前側X1に移動する。よって、リアストラット23に対してバックストップ40を、固縛する必要も、跳ね上げ姿勢にする必要もない。
【0052】
(効果)
図1に示すクレーン1に設けられるストラットバックストップ装置30による効果は次の通りである。
【0053】
(第1の発明の効果)
クレーン1は、ブーム15と、ジブ17と、リアストラット23(ストラット20)と、を備える。ブーム15は、上部旋回体13に起伏可能に取り付けられる。ジブ17は、ブーム15に起伏可能に取り付けられる。リアストラット23は、ブーム15に起伏可能に取り付けられ、ブーム15に対してジブ17を起伏させる。ストラットバックストップ装置30は、バックストップ40と、傾斜部51a(
図6参照)と、を備える。バックストップ40は、リアストラット23に回転可能に取り付けられる。
【0054】
[構成1-1]
図3に示すように、傾斜部51a(
図6参照)は、ブーム15に設けられる。ブーム15が倒伏状態のときに、傾斜部51a(
図6参照)は、リアストラット23から垂下させたバックストップ40の先端部(バックストップ先端部42)が接触可能な位置に配置される。
【0055】
[構成1-2]ブーム15が倒伏状態のときに、
図6に示すように、傾斜部51aは、前側X1(ブーム15先端側)ほど下側Z2に配置されるように前後方向X(ブーム15軸方向)に対して傾斜する。
【0056】
ストラットバックストップ装置30では、
図3に示すように、ブーム15が倒伏状態のときに、リアストラット23からバックストップ40を垂下させ、リアストラット23を後側X2に回転させる作業(作業αとする)が行われる。
図6に示すように、この作業αの際、上記[構成1-1]により、バックストップ先端部42が傾斜部51aに接触する。そして、傾斜部51aは、上記[構成1-2]のように、前側X1ほど下側Z2に配置されるように前後方向Xに対して傾斜する。よって、
図4に示すように、リアストラット23を後側X2に回転させ、バックストップ40の基端部を下げると、
図6に示すように、傾斜部51aに沿ってバックストップ先端部42を前側X1に移動させることができる。よって、
図4に示すように、バックストップ先端部42とブーム15とが干渉することを抑制できる。
【0057】
上記作業αの際に、バックストップ先端部42とブーム15との干渉を抑制するために、リアストラット23に対してバックストップ40を所定位置に保持(例えば、固縛、跳ね上げ姿勢での支持など)すれば、この保持をするための作業に手間がかかる。一方、ストラットバックストップ装置30では、リアストラット23からバックストップ40を垂下させ、リアストラット23を後側X2に回転させれば、バックストップ先端部42とブーム15との干渉を抑制できる。よって、クレーン1の組立作業を容易に行える。さらに詳しくは、クレーン1の組立時の、バックストップ40に関する作業を容易に行える。
【0058】
バックストップ先端部42とブーム15との干渉を抑制するために、リアストラット23を後側X2に回転させたときにバックストップ先端部42が後側X2に移動するようなレールを設けると、レールが前後方向Xに長くなる(例えば上記[例B]参照)。一方、ストラットバックストップ装置30では、リアストラット23を後側X2に回転させたときにバックストップ先端部42を前側X1に移動させることで、バックストップ先端部42とブーム15との干渉を抑制できる。よって、バックストップ先端部42を後側X2に移動させるための、前後方向Xに長いレール(例えば上記[例B]参照)は、不要となる。よって、バックストップ先端部42とブーム15との干渉を抑制するための部材(傾斜部51a(
図3参照)を有する部材、例えばガイド部材51(
図3参照))を小型化および軽量化できる。
【0059】
(第2の発明の効果)
[構成2]
図6に示すように、バックストップ40は、ローラ47を備える。ローラ47は、バックストップ先端部42に設けられ、傾斜部51aに接触可能である。
【0060】
上記[構成2]により、バックストップ先端部42を、傾斜部51aに沿ってスムーズに移動させることができる。
【0061】
(第3の発明の効果)
ストラットバックストップ装置30は、ブーム15に固定されるブーム側取付部55を備える。バックストップ40は、ブーム側取付部55に着脱可能なバックストップ側取付部45を備える。
【0062】
[構成3]ブーム側取付部55およびバックストップ側取付部45は、バックストップ先端部42を傾斜部51aに沿って移動させたときに互いに位置が合うように配置される。
【0063】
上記[構成3]により、バックストップ先端部42を傾斜部51aに沿って移動させることで、ブーム側取付部55とバックストップ側取付部45との位置合わせを行える。よって、バックストップ40をブーム15に接続する作業を容易に行える。また、ブーム側取付部55とバックストップ側取付部45との位置合わせのための部材を、傾斜部51aとは別に設ける場合に比べ、ブーム15に固定される部材(例えばブーム側部材50)を小型化および軽量化できる。
【0064】
(第4の発明の効果)
[構成4]ストラットバックストップ装置30は、傾斜部51aの後側X2(ブーム15基端側)の端部から上側Z1に突出する壁部51bを備える。
【0065】
上記[構成4]により、バックストップ先端部42が壁部51bに接触したときに、バックストップ先端部42が傾斜部51aよりも後側X2に移動することを制限できる。その結果、バックストップ先端部42をより確実に傾斜部51aに接触させることができる。その結果、傾斜部51aに対するバックストップ先端部42の前後方向Xの位置を、手作業で調整する必要性を抑制できる。よって、バックストップ40に関する作業をより容易に行える。
【0066】
(第5の発明の効果)
[構成5]ストラットバックストップ装置30は、横方向ガイド部60を備える。横方向ガイド部60は、傾斜部51aに対する、バックストップ先端部42の、横方向Yの移動を制限する。
【0067】
上記[構成5]により、バックストップ先端部42が傾斜部51aに対して横方向Yに移動したとき、横方向ガイド部60がこの移動を制限する。その結果、バックストップ先端部42をより確実に傾斜部51aに接触させることができる。よって、傾斜部51aに対するバックストップ先端部42の横方向Yの位置を、手作業で調整する必要性を抑制できる。よって、バックストップ40に関する作業をより容易に行える。
【0068】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の構成要素として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0069】
例えば、上記実施形態では、傾斜部51aと壁部51bとは一体の部材(ガイド部材51)であったが、これらは別々に設けられてもよい。例えば、ガイド部材51とブーム側取付部55とは、一体的に設けられても、別々に設けられてもよい。例えば、ローラ47は設けられなくてもよく、先端フレーム部43が傾斜部51aに接触してもよい。傾斜部51aに対するバックストップ先端部42の位置が、手作業で調整されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 クレーン
13 上部旋回体
15 ブーム
17 ジブ
20 ストラット
30 ストラットバックストップ装置
40 バックストップ
45 バックストップ側取付部
47 ローラ
51a 傾斜部
51b 壁部
55 ブーム側取付部
60、160 横方向ガイド部
X 前後方向(ブームが倒伏状態のときのブーム軸方向)
X1 前側(ブームが倒伏状態のときのブーム先端側)
X2 後側(ブームが倒伏状態のときのブーム基端側)