(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ロボットの部品ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
B25J13/08 A
(21)【出願番号】P 2019048440
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 太一
(72)【発明者】
【氏名】松田 直丈
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-162638(JP,A)
【文献】米国特許第04985846(US,A)
【文献】特開2016-099257(JP,A)
【文献】特開2011-007632(JP,A)
【文献】特開平10-068613(JP,A)
【文献】特開2002-172575(JP,A)
【文献】特開2011-186928(JP,A)
【文献】特開2013-257182(JP,A)
【文献】特開2017-042859(JP,A)
【文献】国際公開第2005/015466(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/08-19/04
G01B 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品箱の中にランダムに配置されている複数の部品を、ロボットアームの先端にあるツールにより順次ピックアップさせて、それぞれを予め決定された位置に配置するランダムピッキングシステムにおいて、
ロボットアームと、
このロボットアームの動作を制御する制御部と、
前記複数の部品の画像データを、ロボットアームの動きに伴い複数取得する画像データ取得部と、
この画像データ取得部により取得された画像データを処理して、前記部品の姿勢を判定
して把持点を決定する画像処理部とを備え、
前記制御部は、前記ロボットアームが停止している状態で取得された画像データから前記画像処理部が姿勢を判定できた部品の1つを前記ロボットアームにピックアップさせるために移動させる初期ピックアップ処理を実行し、
前記画像処理部は、前記初期ピックアップ処理の実行中に取得された1つ以上の画像データを既に得られている画像データと積算処理し、
前記制御部は、前記積算処理の結果より前記画像処理部が姿勢を判定できた部品の1つを次に前記ロボットアームにピックアップさせるために移動させる継続ピックアップ処理を実行し、
前記画像処理部は、前記継続ピックアップ処理の実行中に取得された1つ以上の画像データを既に得られている画像データと積算処理し、以降は、前記継続ピックアップ処理を繰り返すことで部品をピックアップさせ
、
前記制御部は、前記初期ピックアップ処理の対象とした部品が配置されていた位置を基点として、最も離れた位置にあり且つ姿勢が判定できた部品を前記継続ピックアップ処理の対象とし、
以降の継続ピックアップ処理の対象とする部品も、前回の処理の対象とした部品が配置されていた位置を基点として、最も離れた位置にあり且つ姿勢が判定できた部品とすることを繰り返すロボットの部品ピッキングシステム。
【請求項2】
前記画像データ取得部は、前記ロボットアームに搭載された光信号投影部及び撮像部で構成される請求項1記載のロボットの部品ピッキングシステム。
【請求項3】
前記画像データ取得部は、前記ロボットアームに搭載された光信号投影部と、固定配置された撮像部とで構成される請求項1記載のロボットの部品ピッキングシステム。
【請求項4】
前記画像データ取得部は、前記ロボットアームに搭載された撮像部と、固定配置された光信号投影部とで構成される請求項1記載のロボットの部品ピッキングシステム。
【請求項5】
前記画像データ取得部は、前記ロボットアームに搭載された撮像部で構成される請求項1記載のロボットの部品ピッキングシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像処理部による姿勢の認識率が最も高い部品を前記初期ピックアップ処理の対象とする請求項1から
5の何れか一項に記載のロボットの部品ピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品箱の中にランダムに配置されている複数の部品を、ロボットアームの先端にあるツールにより順次ピックアップさせて、それぞれを予め決定された位置に配置するランダムピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バラ積みされた部品の立体形状を認識する技術をロボットに搭載して、ロボットに部品をピッキングさせる、いわゆるランダムピッキングと称す技術がある。バラ積みされた部品は、それぞれ異なる姿勢で配置された状態となっている。各部品の立体形状をロボットに認識させる方法としては、例えば所定幅で構成された格子模様のレーザ光を部品に照射し、そのレーザ光の反射光の格子模様による変化具合から部品の立体形状を測定する方法が考えられる。
【0003】
また、光照射部で照射した光が部品に反射して受光されるまでの時間を距離に換算することで部品の形状を計測する方法や、光出射部と受光部の間隔と光照射部で照射した光の出射角度と部品からの反射光の入射角度を計算することで部品の姿勢や位置を取得する方法等もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した方法のように、バラ積みされた部品に光を照射しその反射光を受光する方法では、照射部,部品,受光部間の測定環境によっては、反射光が鏡面反射を起こす可能性がある。受光部が鏡面反射の反射光を受光すると、鏡面反射された箇所においては受光部の受光量が飽和した白とび状態となってしまい、反射した光の光量が正しく計測できず、部品の姿勢や位置の測定精度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品の鏡面反射特性の影響を受け難いロボットの部品ピッキングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のロボットの部品ピッキングシステムによれば、画像データ取得部は、部品箱の中にランダムに配置されている複数の部品の画像データを、ロボットアームの動きに伴い複数取得する。画像処理部は、画像データ取得部により取得された画像データを処理し、各部品の姿勢を判定して把持点を決定する。制御部は、ロボットアームが停止している状態で取得された画像データから、画像処理部が姿勢を判定できた部品の1つをロボットアームにピックアップさせるために移動させる初期ピックアップ処理を実行する。
【0008】
すると、画像処理部は、初期ピックアップ処理の実行中に取得された1つ以上の画像データを既に得られている画像データと積算処理し、制御部は、その積算処理の結果より画像処理部が姿勢を判定できた部品の1つを、次にロボットアームにピックアップさせるために移動させる継続ピックアップ処理を実行する。そして、画像処理部は、継続ピックアップ処理の実行中に取得された1つ以上の画像データを既に得られている画像データと積算処理し、以降は、継続ピックアップ処理を繰り返すことで順次部品をピックアップさせる。ここで、「積算処理」とは、ある画像データで得られなかった部品の画像の一部又は全てが他の画像データで得られていた場合に、得られなかった画像の一部又は全てを他の画像データにより補完することを意味する。
【0009】
すなわち、画像データ取得部がロボットアームの動きに伴い複数取得する、部品箱中の複数の部品の画像データはそれぞれ異なる画像として得られる。したがって、何れかの画像で複数の部品の一部に鏡面反射による白とびや黒つぶれが生じていたとしても、別の画像では鏡面反射が生じていない状態や黒つぶれがない状態で撮影されている可能性が高くなる。そこで、画像処理部が複数の画像データを積算処理すれば、各部品の姿勢の認識率を向上させることができ、部品のランダムピッキングを確実に行うことが可能になる。
また、制御部は、初期ピックアップ処理の対象とした部品が配置されていた位置を基点として、最も離れた位置にあり且つ姿勢が判定できた部品を継続ピックアップ処理の対象とする。そして、以降の継続ピックアップ処理の対象とする部品も、前回の処理の対象とした部品が配置されていた位置を基点として、最も離れた位置にあり且つ姿勢が判定できた部品とすることを繰り返す。
このように構成すれば、ロボットアームが次の部品をピックアップするために移動する距離が長くなり、その移動中に得られる画像データと移動前に得られていた画像データとの差分がより大きくなる。したがって、各部品の姿勢の認識率をより大きく向上させることができる。
【0010】
請求項2記載のロボットの部品ピッキングシステムによれば、画像データ取得部を、ロボットアームに搭載された光信号投影部及び撮像部で構成する。このように構成すれば、光信号投影部より複数の部品に投影される光信号は、ロボットアームが移動することに伴い投影状態が変化する。そのように変化する光信号の状態を撮像部により撮像すれば、投影状態の変化に応じて異なる画像データを得ることができる。また、光信号投影部及び撮像部の座標系とロボットアームの相対位置関係が一意に決まることになり、座標変換処理が不要となるので演算処理が簡単になる。
【0011】
請求項3記載のロボットの部品ピッキングシステムによれば、画像データ取得部を、ロボットアームに搭載された光信号投影部と、固定配置された撮像部とで構成する。このように構成すれば、光信号投影部より複数の部品に投影された光信号は、請求項2と同様にロボットアームが移動することに伴い投影状態が変化する。そのように変化する光信号を固定された撮像部により撮像すれば、投影状態の変化に応じて異なる画像データを得ることができる。
【0012】
請求項4記載のロボットの部品ピッキングシステムによれば、画像データ取得部を、ロボットアームに搭載された撮像部と、固定配置された光信号投影部とで構成する。この場合、配置関係が請求項3と逆の状態で、投影状態の変化に応じて異なる画像データを得ることができる。
【0013】
請求項5記載のロボットの部品ピッキングシステムによれば、画像データ取得部をロボットアームに搭載された撮像部で構成する。すなわち、請求項2から4のように光信号投影部が無くても、ロボットアームが移動することに伴い撮像部は異なる視点からの画像データを得ることができる。
【0016】
請求項6記載のロボットの部品ピッキングシステムによれば、制御部は、画像処理部による姿勢の認識率が最も高い部品を初期ピックアップ処理の対象とする。このように構成すれば、最初の部品のピックアップをより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態であり、部品ピッキングシステムの構成を示す機能ブロック図
【
図2】画像処理部及びロボット制御部による処理を中心に示すフローチャート
【
図3】
図2のステップS1に対応する処理を説明する図
【
図5】同ステップS3~S5に対応する処理を説明する図
【
図7】同ステップS8,S6に対応する処理を説明する図
【
図8】第2実施形態であり、部品ピッキングシステムの構成を示す機能ブロック図
【
図9】画像処理部及びロボット制御部による処理を中心に示すフローチャート
【
図10】第3実施形態であり、部品ピッキングシステムの構成を示す機能ブロック図
【
図11】画像処理部及びロボット制御部による処理を中心に示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の部品ピッキングシステム1は、例えば垂直6軸型のアームを有するロボット2,ロボット制御部3,画像処理部4及び形状計測部5を備えている。形状計測部5は、光信号投影部6及び撮像部7を備えており、ロボット2のアームの先端側に搭載されている。光信号投影部6は、光信号を投影するプロジェクタであり、撮像部7は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等である。
【0019】
部品箱8の中には、複数の部品9がランダムに入れられている。部品ピッキングシステム1は、ロボット2のアーム先端に取り付けられたツールである例えばハンドHにより、部品箱8の中から部品9を1個ずつピックアップして、それぞれを予め決定されている所定の位置に順次配置する、所謂ランダムピッキング動作を行う。
【0020】
画像処理部4は、撮像部7が撮像した部品箱8の中にある部品9の画像データを撮影データ取得部10により取得する。撮影データ積算部11は、撮影データ取得部10が取得した複数の画像データを積算処理する。部品姿勢判定部12は、撮影データ積算部11が積算処理した画像データに基づいて、部品箱8の中にある各部品9の姿勢を判定する。部品把持点決定部13は、部品姿勢判定部12が判定した部品9の姿勢に基づいて、部品9をハンドHにより把持する位置である把持点を決定する。形状計測部5及び撮影データ取得部10は、画像データ取得部に相当する。
【0021】
ロボット制御部3のロボット作業指示部14は、部品把持点決定部13が決定した部品9の把持点が入力されると、対象とする部品9をその把持点においてハンドHにより把持する指示をロボット駆動制御部15に入力する。ロボット駆動制御部15は、入力された指示に応じて対象となる部品9のピッキング作業をロボット2に実行させる。
【0022】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2は、部品ピッキングシステム1による処理内容を示すフローチャートである。先ず、形状計測部5は、少なくともロボット2のアームの姿勢により部品箱8の内部に向いた状態を初期位置とする。その初期位置より、形状計測部5による部品9の撮影を開始する(S1)。具体的には、光信号投影部6より部品9に向けて投射された画像パターンを撮像部7により撮影する。画像処理部4は、画像の積算処理データから撮影した範囲内にある部品9の姿勢を判定する(S3)。但し、撮影及びピッキング作業が1回目であれば画像データは積算処理できないので、単一の画像データを用いて各部品9の姿勢を判定することになる。ステップS3において、画像処理部4の部品姿勢判定部12が部品9の姿勢を判定するに当たっては、例えばTOF(Time Of Flight)方式やストラクチャードライト方式等を用いる。尚、ステップS2の処理については後述する。
【0023】
撮影が1回目であればステップS4からS5に移行し、姿勢を判定した任意の部品について、ロボット2がハンドHにより把持するための把持点を決定する。
図3から
図7は、
図2に示す処理のイメージを示すものである。尚、図示の都合上、光信号投影部6と撮像部7とは個別に示している。ステップS3,S5の処理では、例えば
図4に示すように、例えば認識率が高い部品9から順に付けを行う。ここで、「認識率」とは、部品9の画像データについて「白とび」や「黒つぶれ」が発生している割合であり、その割合が低いものほど認識率が高いとする。
【0024】
そして、例えば
図5に示すように、認識率が1位の部品9について位置及び姿勢を判定し、その部品9の把持点を決定すると、ロボット2のハンドHにより前記部品9を把持して1回目のピッキング作業を行い、所定の位置に載置する(S6)。このピッキング作業を行う際にロボット2のアームは位置及び姿勢を変化させるので、それに伴い、形状計測部5と部品箱8内部の各部品9との位置関係も変化する。その間に、形状計測部5は部品9の撮影を行い、取得した画像データを積算処理する(S2)。
【0025】
ここで、「積算処理」とは、ある画像データで得られなかった部品9の画像の一部又は全てが他の画像データで得られていた場合に、得られなかった画像の一部又は全てを他の画像データにより補完することを示す。それから、ステップS3に戻る。ステップS4における「n回目」とは2回目以降のピッキング作業を示すので、ステップS8に移行する。1回目のピッキング作業は初期ピックアップ処理に相当し、2回目以降のピッキング作業は継続ピックアップ処理に相当する。
【0026】
ステップS8では、次のピッキング対象とする部品9の決定を行うが、それは例えば、認識率が1位の部品9より最も離れた位置にある部品9とする。
図5では、認識率が2位の部品9となる。それから、ステップS6に移行して、前記部品9のピッキング作業を行う。形状計測部5は、その間にも部品9の撮影を行い、取得した画像データを積算処理する(S2)。尚、
図2においてステップS2の処理は、ステップS3~S6の処理と並列的に実行されるイメージで示している。
【0027】
また、ステップS8において、前回ピッキングの対象とした部品9から最も離れた位置にある部品9を次のピッキング対象とするのは、ロボット2のアーム,すなわち形状計測部5の位置が大きく変化するため、異なる状態の画像データが得られる確率が高くなるからである。
【0028】
そして、3回目以降のピッキング作業についても同様にステップS8において、前回ピッキングの対象とする部品9より最も離れた位置にある部品9を次のピッキング対象として決定する。以上の処理を繰り返し、部品箱8内にある全ての部品9をピッキングすれば(S7;YES)処理は終了となる。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、部品ピッキングシステム1において、形状計測部5及び画像処理部4の撮影データ取得部10は、部品箱8の中にランダムに配置されている複数の部品9の画像データを、ロボット2のアームの動きに伴い複数取得する。部品姿勢判定部12は、取得された画像データを処理して各部品9の姿勢を判定して把持点を決定する。ロボット作業指示部14は、ロボット2のアームが停止している状態で取得された画像データから姿勢を判定できた部品9の1つを、ロボット2にピックアップさせるために移動させる。
【0030】
撮影データ積算部12は、1回目のピックアップ作業の実行中に取得された複数の画像データを既に得られている画像データと積算処理し、ロボット作業指示部14は、その積算処理の結果より画像処理部4が姿勢を判定できた部品の1つを、次にロボット2にピックアップさせるために移動させる。そして、撮影データ積算部12は、2回目以降のピックアップ作業の実行中に取得された複数の画像データを既に得られている画像データと積算処理し、以降は上記の処理を繰り返すことで全ての部品9をロボット2にピックアップさせる。
【0031】
このように処理すれば、何れかの画像で複数の部品9の一部に、鏡面反射による白とびや黒つぶれが生じていたとしても、別の画像では鏡面反射が生じていない状態や黒つぶれが無い状態で撮影されている可能性が高くなる。したがって、画像処理部4が複数の画像データを積算処理すれば、各部品9の姿勢の認識率を向上させることができ、部品9のランダムピッキングを確実に行うことが可能になる。また、形状計測部5を光信号投影部6及び撮像部7により構成したので、高価なセンサを用いることなくシステム1を構成できる。
【0032】
そして、形状計測部5をロボット2のアームに搭載したので、光信号投影部6より複数の部品9に投影される光信号は、ロボット2のアームが移動することに伴い投影状態が変化する。そのように変化する光信号の状態を撮像部7により撮像すれば、投影状態の変化に応じて異なる画像データを得ることができる。また、光信号投影部6及び撮像部7の座標系はロボット2のアームの座標系との相対位置関係が一意に決まることになり、座標変換処理が不要となるので演算処理が簡単になる。
【0033】
また、ロボット作業指示部14は、1回目のピックアップ作業の対象とした部品9が配置されていた位置を基点として、最も離れた位置にあり且つ姿勢が判定できた部品9を次のピックアップ作業の対象とする。そして、以降のピックアップ作業の対象とする部品9も、前回の処理の対象とした部品9が配置されていた位置を基点として、最も離れた位置にあり且つ姿勢が判定できた部品9とすることを繰り返す。これにより、ロボット2のアームが次の部品9をピックアップするために移動する距離が長くなり、その移動中に得られる画像データと移動前に得られていた画像データとの差分がより大きくなる。したがって、各部品9の姿勢の認識率をより大きく向上させることができる。
【0034】
またロボット作業指示部14は、は、画像処理部4による姿勢の認識率が最も高い部品を1回目のピックアップ作業の対象とするので、最初の部品のピックアップをより確実に行うことができる。
【0035】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図8に示すように、第2実施形態の部品ピッキングシステム21では、ロボット2のアームには光信号投影部6のみが搭載されている。一方、撮像部7は、支持部材22によって固定的に支持されており、部品箱8の中央部上方から部品箱8の内部を撮像するように配置されている。
【0036】
これに伴い、画像処理部4に替わる画像処理部23は、投影部座標位置補正部24を備えている。すなわち、ロボット2のアームが位置・姿勢を変化させることに伴い光信号投影部6の位置・姿勢も変化するので、投影部座標位置補正部24は、撮像部7が撮像した画像データについて、光信号投影部6の座標位置が変化することに伴い補正を行う。
図9に示すフローチャートではステップS1の実行後に、ロボット2のアーム位置から光信号投影部6の位置座標を補正する処理(S9)が追加されている。
【0037】
以上のように第2実施形態によれば、部品ピッキングシステム21では、ロボット2のアームに搭載された光信号投影部6と、固定配置された撮像部7とで画像データ取得部を構成する。これにより、光信号投影部6より複数の部品9に投影された光信号は、第1実施形態と同様にロボット2のアームが移動することに伴い投影状態が変化する。そのように変化する光信号を固定された撮像部7により撮像すれば、投影状態の変化に応じて異なる画像データを得ることができる。
【0038】
(第3実施形態)
図10に示すように、第3実施形態の部品ピッキングシステム31では、第2実施形態とは逆に、ロボット2のアームには撮像部7が搭載されており、光信号投影部6は支持部材22によって固定的に支持されている。光信号投影部6は、部品箱8の中央部上方から部品箱8の内部に光信号を投影するように配置されている。
【0039】
これに伴い、画像処理部23に替わる画像処理部32は、投影部座標位置補正部24に替えて撮像部座標位置補正部33を備えている。すなわち、ロボット2のアームが位置・姿勢を変化させることに伴い撮像部7の位置・姿勢も変化するので、撮像部座標位置補正部33は、撮像部7が撮像した画像データについて、撮像部7の座標位置が変化することに伴い補正を行う。
図11に示すフローチャートでは、ステップS9に替えて、ロボット2のアーム位置から撮像部7の位置座標を補正する処理(S10)を行う。
【0040】
以上のように第3実施形態によれば、ロボット2のアームに搭載された撮像部7と、固定配置された光信号投影部6とで画像データ取得部を構成するので、両者の配置関係が第2実施形態と逆の状態で、投影状態の変化に応じた異なる画像データを得ることができる。
【0041】
本発明は上記した、又は図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
部品をピックアップするツールは、ハンドに限らない。
第3実施形態の構成において、光信号投影部6を削除して、撮像部7のみを画像データ取得部としても良い。このように構成しても、ロボット2アームが移動することに伴い撮像部7は異なる視点からの画像データを得ることができる。したがって、部品姿勢判定部12がステレオカメラ方式を用いることで、各部品の姿勢を判定できる。
ロボットは、垂直6軸型のアームを有するものに限らない。
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は部品ピッキングシステム、2はロボット、3はロボット制御部、4は画像処理部、5は形状計測部、6は光信号投影部、7は撮像部、8は部品箱、9は部品、10は撮影データ取得部、11は撮影データ積算部、12は部品姿勢判定部、13は部品把持点決定部、21は部品ピッキングシステム、23は画像処理部、31は部品ピッキングシステム、32は画像処理部を示す。