IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精工株式会社の特許一覧

特許7275714軸受状態監視方法及び軸受状態監視システム
<>
  • 特許-軸受状態監視方法及び軸受状態監視システム 図1
  • 特許-軸受状態監視方法及び軸受状態監視システム 図2
  • 特許-軸受状態監視方法及び軸受状態監視システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】軸受状態監視方法及び軸受状態監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/045 20190101AFI20230511BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20230511BHJP
   F16C 19/52 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G01M13/045
F16C19/06
F16C19/52
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019053780
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020153875
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一弘
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032520(JP,A)
【文献】特開2007-304031(JP,A)
【文献】特開平10-160638(JP,A)
【文献】特開2016-170085(JP,A)
【文献】特開2005-062154(JP,A)
【文献】特開2018-155494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0139191(US,A1)
【文献】特開平09-292311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00- 13/045
G01M 99/00
F16C 19/00- 19/56
F16C 33/30- 33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受の運転状態を監視する軸受状態監視方法であって、
加速度センサにより前記転がり軸受から発生する加速度を加速度信号として検出する工程と、
前記加速度信号をエンベロープ解析して、前記転がり軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を取得する工程と、
前記加速度及び前記特徴周波数出力を、予め設定されたそれぞれの診断閾値と比較する工程と、
前記比較の結果に基づき、前記転がり軸受の異常の有無および異常予兆を診断する工程と、
前記診断の結果を出力する工程と、
を備え
前記加速度及び前記特徴周波数出力が、それぞれの診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する軸受状態監視方法。
【請求項2】
前記加速度が前記診断閾値以下であり、且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、請求項1に記載の軸受状態監視方法。
【請求項3】
温度センサにより前記転がり軸受の温度を検出する工程を、さらに備え、
前記比較工程は、前記温度を予め設定された診断閾値と比較し、
前記診断工程は、前記温度、前記加速度及び前記特徴周波数出力のすべてが、それぞれの診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する、請求項1に記載の軸受状態監視方法。
【請求項4】
前記温度、及び前記加速度の少なくとも一方が、それぞれの前記診断閾値以下であり、
且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、請求項3に記載の軸受状態監視方法。
【請求項5】
転がり軸受の運転状態を監視する軸受状態監視システムであって、
前記転がり軸受から発生する加速度を加速度信号として検出する加速度センサと、
前記加速度信号をエンベロープ解析して、前記転がり軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を取得し、前記加速度、及び前記特徴周波数出力を、予め設定されたそれぞれの診断閾値と比較して、前記比較の結果に基づき、前記転がり軸受の異常の有無および異常予兆を診断し、前記加速度及び前記特徴周波数出力が、それぞれの前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する診断装置と、
を備える軸受状態監視システム。
【請求項6】
前記加速度が前記診断閾値以下であり、且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、請求項5に記載の軸受状態監視システム。
【請求項7】
温度センサにより前記転がり軸受の温度を検出する温度センサを、さらに備え、
前記診断装置は、前記温度を予め設定された診断閾値と比較し、前記温度、前記加速度及び前記特徴周波数出力のすべてが、それぞれの診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する、請求項5に記載の軸受状態監視システム。
【請求項8】
前記温度、及び前記加速度の少なくとも一方が、それぞれの前記診断閾値以下であり、且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、請求項7に記載の軸受状態監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受状態監視方法及び軸受状態監視システムに関し、より詳細には、運転中における軸受状態の監視結果の信頼性を向上することができる軸受状態監視方法及び軸受状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軸受診断においては、軸受近傍に設置されたセンサから得られる加速度及び温度のどちらか一方、またはその両方が、設定された基準値を超えた場合に異常アラームを出力する方法が知られている。例えば、特許文献1では、稼働中の荷重レベルを荷重センサで、アコースティックエミッション値をAEセンサで、加速度を加速度センサで、温度上昇分を温度センサで測定し、これらの結果を前もって求めておいた各荷重レベルでのこれらの損傷プロセス中でのアコースティックエミッション値、加速度、温度上昇分の変化のマスターカーブとの比較からパソコンを用いて余寿命を予測している。
【0003】
また、特許文献2では、鉄道車両の実走行時に測定された、軸受の損傷に係るパラメータを含む情報に基づいて、軸受の異常に係る予兆診断を行い、軸受の異常状態を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-159151号公報
【文献】特開2015-111113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄道車両の台車などに用いられる軸受の異常については、走行中なるべく早い段階で把握しておく必要がある。また、特許文献1に記載の軸受診断方法のように、軸受近傍に設置されたセンサから得られる加速度や温度を、設定された基準値と比較して異常診断する場合、走行中の鉄道車両などにおいては、路盤振動や天候等の外乱要因が多いため、加速度や温度の測定値に思わぬ影響を及ぼす場合がある。このため、車両走行時の条件によっては診断結果が影響を受けることもあり、より一層の信頼性の向上が要望されていた。
【0006】
また、特許文献2に記載の軸受状態検知装置は、振動解析による振動特徴から、軸受が破損に至る前段階での損傷の可能性を異常予兆として検知できるが、軸受が破損に至る前段階も併せて検知できるような改善が求められていた。
【0007】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転中における軸受状態の監視結果の信頼性を向上することができる軸受状態監視方法及び軸受状態監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 転がり軸受の運転状態を監視する軸受状態監視方法であって、
加速度センサにより前記転がり軸受から発生する加速度を加速度信号として検出する工程と、
前記加速度信号をエンベロープ解析して、前記転がり軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を取得する工程と、
前記加速度及び前記特徴周波数出力を、予め設定されたそれぞれの診断閾値と比較する工程と、
前記加速度及び前記特徴周波数出力が、それぞれの診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する工程と、
前記診断の結果を出力する工程と、
を備える軸受状態監視方法。
(2) 転がり軸受の運転状態を監視する軸受状態監視システムであって、
前記転がり軸受から発生する加速度を加速度信号として検出する加速度センサと、
前記加速度信号をエンベロープ解析して、前記転がり軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を取得し、前記加速度、及び前記特徴周波数出力を、予め設定されたそれぞれの診断閾値と比較して、前記加速度及び前記特徴周波数出力が、それぞれの前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する診断装置と、
を備える軸受状態監視システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の軸受状態監視方法及び軸受状態監視システムによれば、軸受の加速度による軸受診断に加え、軸受の損傷に起因する特徴周波数のレベル判定を加味することで、軸受状態監視結果の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る軸受状態監視システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る軸受状態を監視する手順を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る転がり軸受の傷の部位と、傷に起因して発生する振動周波数の関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る軸受状態監視システムの一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、軸受状態監視システム10は、転がり軸受20と、加速度センサ30と、温度センサ40と、診断装置50と、出力装置60と、を備える。
【0012】
転がり軸受20は、不図示のハウジングに内嵌される外輪21と、不図示の回転軸が内嵌する内輪22と、外輪21と内輪22との間で転動可能に配置された複数の転動体23と、転動体23を回転可能に保持する保持器24と、を有する。
【0013】
加速度センサ30は、転がり軸受20又は不図示のハウジングに取り付けられ、ラジアル方向の加速度を加速度信号として検出する。加速度センサ30で検出された加速度信号は、増幅器31で増幅されて診断装置50に出力される。加速度センサ30は、加速度を検出して電気信号に変換することができるものを適宜使用することができる。加速度センサ30の固定方法には、ボルト固定、接着、ボルト固定と接着の併用、及び樹脂材による埋め込み等がある。
【0014】
温度センサ40は、転がり軸受20又は不図示のハウジングに取り付けられ、転がり軸受20の温度を検出し、診断装置50に出力する。
【0015】
診断装置50は特徴周波数評価部51と、加速度評価部55と、温度評価部56とを備える。
【0016】
特徴周波数評価部51は、エンベロープ処理回路52、周波数分析部53、及び比較判定部54を備える。特徴周波数評価部51は、検出された加速度信号に対して、不図示のハイパスフィルタ、ローパスフィルタでフィルタ処理した後、A/D変換回路でアナログ信号をデジタル信号に変換する。なお、これらの処理は、加速度センサ30内で行われてもよい。
【0017】
さらに、エンベロープ処理回路52でのエンベロープ解析により抽出された加速度波形の外形に対して、周波数分析部53でFFT解析してスペクトルデータを生成し、軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を算出する。そして、比較判定部54が、得られた特徴周波数出力と、予め設定された特徴周波数出力診断閾値と比較する。
【0018】
具体的には、得られた特徴周波数出力と、転がり軸受20の回転速度及び諸元とに基づいて算出される、図3に示す、転がり軸受20の部位ごとの損傷に起因する軸受損傷周波数(Zfi,Zfc,2fb,fc)とを比較することで、傷などの異常が発生した転がり軸受20の損傷部位を特定する。
【0019】
加速度評価部55は、加速度センサ30で検出した加速度信号に対して、単位時間ごとの二乗平均平方根により実効値(RMS値)を求め、該RMS値を予め設定された加速度診断閾値と比較する。加速度信号をRMS値とすることで、急峻なノイズの影響を抑制することができ、診断精度が向上する。
【0020】
温度評価部56は、温度センサ40で検出した温度の単位時間当たりの平均値を求め、予め設定された温度診断閾値と比較する。
【0021】
出力装置60は、特徴周波数評価部51における特徴周波数出力と特徴周波数出力診断閾値との比較結果、加速度評価部55における加速度の単位時間ごとのRMS値と加速度診断閾値との比較結果、及び温度評価部56における温度の単位時間当たりの平均値と温度診断閾値との比較結果を表示する。結果の出力方式は、接点信号やデジタル信号の伝送など、任意の方式での出力が選択可能である。
【0022】
次に、軸受状態監視システム10による転がり軸受20の監視手順について図2を参照して説明する。
【0023】
図2に示すように、まず、ステップS1で、加速度センサ30により転がり軸受20の加速度を検出すると共に、温度センサ40で転がり軸受20の温度を検出し、それぞれの検出信号を診断装置50に送出する。
【0024】
次いで、ステップS2で、特徴周波数評価部51において、加速度センサ30で検出された加速度信号に対して、フィルタ処理した後、デジタル変換し、さらに、エンベロープ処理回路52でエンベロープ解析して抽出された加速度波形の外形に対して、周波数分析部53でFFT解析して得られた、軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を算出する。そして、周波数分析部53で得られた特徴周波数出力と、予め設定された特徴周波数出力診断閾値とを比較する。
【0025】
ステップS2で、特徴周波数出力が特徴周波数出力診断閾値以下(NO)と判断されると、転がり軸受20は正常状態にあると判断してステップS3で出力装置60が軸受正常と表示する。ステップS2で、特徴周波数出力が特徴周波数出力診断閾値より大きい(YES)と判断されると、ステップS4に進み、加速度評価部55が、加速度センサ30で検出した加速度信号に対して、単位時間ごとの二乗平均平方根によりRMS値を求め、予め設定された加速度診断閾値と比較する。
【0026】
そして、ステップS4で加速度信号のRMS値が加速度診断閾値以下(NO)と判断される場合は、軸受に異常の予兆があると判断し、ステップS5で出力装置60が異常予兆を表示する。ステップS4で加速度信号のRMS値が加速度診断閾値より大きい(YES)と判断されると、さらにステップS6に進み、温度評価部56が、温度センサ40で検出した転がり軸受20の温度の単位時間当たりの平均値を求め、予め設定された温度診断閾値と比較する。
【0027】
ステップS6で、温度の平均値が、予め設定された温度診断閾値以下(NO)と判断されると、ステップS5で、出力装置60が異常予兆を表示する。
【0028】
ステップS5で、出力装置60に異常予兆が表示される場合は、現状では特別な異常はないものの、いずれかの時期に転がり軸受20に異常が発生する可能性がある軽度異常と考えられる。即ち、加速度信号のRMS値、及び温度の平均値がそれぞれの閾値以下でも、特徴周波数出力が特徴周波数出力診断閾値より大きい場合には、転がり軸受20に異常の予兆があると判断することで、軸受異常予兆と、軸受異常との2段階で診断する。
【0029】
異常予兆と診断された場合には、交換部品の在庫状況、納入可能時期などを調べ、納入に長期間を要する場合には、必要に応じて予備発注などの対策を行う。これにより、時間的なロスがなく高効率及び低コストでのメンテナンスが可能となる。また、転がり軸受20が破損に至る前段階で損傷の可能性を検知できるため、定期メンテナンス前の早い段階での処置が可能となり、転がり軸受20の安全性及び信頼性が大きく向上する。
【0030】
ステップS6で、温度の平均値が、予め設定された温度診断閾値より大きい(YES)と判断されると、軸受異常として出力装置60に表示する。即ち、特徴周波数出力、加速度のRMS値、及び温度の単位時間当たりの平均値のいずれもが、それぞれの診断閾値より大きい場合(AND条件が成立した場合)に、転がり軸受20の異常と診断する。この場合には、異常と診断された転がり軸受20を、直ちに交換することが望ましい。
したがって、出力装置60は、軸受異常と軸受予兆とで2段階の警告を出力することができる。
【0031】
なお、加速度のサンプリング周波数、加速度のRMS値、及び温度の単位時間当たりの平均値は、診断条件として設定するものであり、診断の目的によってそれぞれ最適な条件に変更可能である。また、特徴周波数出力、加速度、温度の算出方法は、上記に記載のものに限定されず、ある範囲での最大値などを用いることもできる。さらに、温度については、環境に左右され易いため、場合によっては、温度センサ40で検出した転がり軸受20の温度を軸受以外から検出される温度と比較することで、監視条件から除外することもできる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の軸受状態監視方法及び軸受状態監視システムによれば、加速度判定、及び温度判定に、軸受の損傷に起因する特徴周波数出力判定を加えることで、加速度増加、温度上昇が起きた際の軸受異常監視の信頼性を向上させることができる。
【0033】
尚、本発明は、前述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、転がり軸受は、軸受形式に限定されず、図1に示す玉軸受を含む全ての形式の転がり軸受に適用することができる。また、転がり軸受が搭載される全ての回転機械装置を対象とすることができ、同様の効果を奏する。
【0034】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 転がり軸受の運転状態を監視する軸受状態監視方法であって、
加速度センサにより前記転がり軸受から発生する加速度を加速度信号として検出する工程と、
前記加速度信号をエンベロープ解析して、前記転がり軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を取得する工程と、
前記加速度及び前記特徴周波数出力を、予め設定されたそれぞれの診断閾値と比較する工程と、
前記加速度及び前記特徴周波数出力が、それぞれの診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する工程と、
前記診断の結果を出力する工程と、
を備える軸受状態監視方法。
この構成によれば、軸受の加速度及び特徴周波数により軸受異常の有無を監視するので、軸受状態監視結果の信頼性が向上する。
【0035】
(2) 前記加速度が前記診断閾値以下であり、且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、(1)に記載の軸受状態監視方法。
この構成によれば、軸受に異常が発生する可能性がある異常予兆を出力することができ、異常に至る前に軸受在庫の確認などを促すことができる。
【0036】
(3) 温度センサにより前記転がり軸受の温度を検出する工程を、さらに備え、
前記比較工程は、前記温度を予め設定された診断閾値と比較し、
前記診断工程は、前記温度、前記加速度及び前記特徴周波数出力のすべてが、それぞれの診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する、(1)に記載の軸受状態監視方法。
この構成によれば、転がり軸受の温度、加速度及び特徴周波数出力により軸受異常の有無を監視するので、軸受状態監視結果の信頼性が向上する。
【0037】
(4) 前記温度、及び前記加速度の少なくとも一方が、それぞれの前記診断閾値以下であり、且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、(3)に記載の軸受状態監視方法。
この構成によれば、軸受に異常が発生する可能性がある異常予兆を出力することができ、異常に至る前に軸受在庫の確認などを促すことができる。
【0038】
(5) 転がり軸受の運転状態を監視する軸受状態監視システムであって、
前記転がり軸受から発生する加速度を加速度信号として検出する加速度センサと、
前記加速度信号をエンベロープ解析して、前記転がり軸受の損傷に起因する特徴周波数出力を取得し、前記加速度、及び前記特徴周波数出力を、予め設定されたそれぞれの診断閾値と比較して、前記加速度及び前記特徴周波数出力が、それぞれの前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する診断装置と、
を備える軸受状態監視システム。
この構成によれば、軸受の加速度及び特徴周波数により軸受異常の有無を監視するので、軸受状態監視結果の信頼性を向上させることができる。
【0039】
(6) 前記加速度が前記診断閾値以下であり、且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、(5)に記載の軸受状態監視システム。
この構成によれば、軸受に異常が発生する可能性がある異常予兆を出力することができ、異常に至る前に軸受在庫の確認などを促すことができる。
【0040】
(7) 温度センサにより前記転がり軸受の温度を検出する温度センサを、さらに備え、
前記診断装置は、前記温度を予め設定された診断閾値と比較し、前記温度、前記加速度及び前記特徴周波数出力のすべてが、それぞれの診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常として診断する、(5)に記載の軸受状態監視システム。
この構成によれば、転がり軸受の温度、加速度及び特徴周波数出力により軸受異常の有無を監視するので、軸受状態監視結果の信頼性が向上する。
【0041】
(8) 前記温度、及び前記加速度の少なくとも一方が、それぞれの前記診断閾値以下であり、且つ前記特徴周波数出力が前記診断閾値より大きいとき、前記転がり軸受の異常予兆と診断する、(7)に記載の軸受状態監視システム。
この構成によれば、軸受に異常が発生する可能性がある異常予兆を出力することができ、異常に至る前に軸受在庫の確認などを促すことができる。
【符号の説明】
【0042】
10 軸受状態監視システム
20 転がり軸受
30 加速度センサ
40 温度センサ
50 診断装置
51 特徴周波数評価部
55 加速度評価部
56 温度評価部
60 出力装置
図1
図2
図3