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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】補正回路、及び電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019067561
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167859
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】石野 悠介
(72)【発明者】
【氏名】辻本 健悟
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特許第4117676(JP,B2)
【文献】特開2009-268226(JP,A)
【文献】特開2019-009882(JP,A)
【文献】特開2011-015562(JP,A)
【文献】特開2001-145344(JP,A)
【文献】特開2017-192265(JP,A)
【文献】特開2011-062026(JP,A)
【文献】特開2004-215433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変換して負荷に電力供給するメインコンバータと、
前記メインコンバータを駆動させる駆動回路を含む1以上の他の回路に電力供給するサブコンバータと、
を備え、
前記メインコンバータにより生成される第1電圧と、前記サブコンバータから供給される参照電圧との差分に応じた第3電圧に基づいて、前記サブコンバータにより生成される第2電圧を補正
前記第1電圧は、平滑化される前の高周波パルス電圧である、
補正回路。
【請求項2】
前記メインコンバータにより生成される前記第1電圧をフィルタリングするフィルタと、
前記フィルタによりフィルタリングされた後の前記第1電圧と前記参照電圧との差分に応じた前記第3電圧を出力する発振状態検知回路と、
前記発振状態検知回路から出力される前記第3電圧に基づいて、前記サブコンバータにより生成される前記第2電圧を補正する制御部と、
を備える請求項1に記載の補正回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3電圧が含まれる電圧範囲毎に前記入力電圧と前記第2電圧とが対応付けられた対応情報の中から、前記発振状態検知回路から出力される前記第3電圧が含まれる前記電圧範囲についての前記対応情報を選択し、選択した前記対応情報に基づいて、前記サブコンバータにより生成される前記第2電圧を補正する、
請求項2に記載の補正回路。
【請求項4】
前記サブコンバータと前記制御部とを接続する伝送路には、前記制御部からの信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子を備え、
前記スイッチング素子は、前記信号に応じて、前記伝送路とグラウンドとの間のスイッチングを行い、
前記制御部は、前記発振状態検知回路から出力される前記第3電圧が所定の電圧範囲に含まれる場合、前記スイッチング素子の状態をオン状態に変化させることにより、前記サブコンバータにより生成される前記第2電圧を補正する、
請求項2に記載の補正回路。
【請求項5】
前記メインコンバータと、
前記サブコンバータと、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の補正回路と、
を備える電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正回路、及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電圧を供給するスイッチング電源装置に関する技術の研究や開発が行われている。
【0003】
スイッチング電源装置は、接続される負荷の消費電圧が小さい場合、間欠発振を起こすことがある。間欠発振は、スイッチング電源装置が供給する直流電圧を不安定にさせることがあるため、抑制されることが望ましい。
【0004】
これに関し、ダミー抵抗を用いて間欠発振を防止するスイッチング電源装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平08-340675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、直流電圧を供給する直流電源から供給される直流電圧を降圧又は昇圧するメインコンバータと、当該直流電源から供給される直流電圧を降圧又は昇圧するサブコンバータと、メインコンバータから出力される電圧の大きさを制御する制御部とを備えるスイッチング電源装置も知られている。メインコンバータは、例えば、電気自動車に搭載されるバッテリー等の負荷に接続され、当該負荷に対して直流電圧を供給する。一方、サブコンバータは、メインコンバータを駆動させる駆動回路及び制御部の駆動電圧を生成する。サブコンバータは、生成した駆動電圧を当該駆動回路に出力するとともに、当該駆動電圧を制御部に出力する。そして、当該駆動回路は、サブコンバータから供給された当該駆動電圧に基づいて動作し、メインコンバータを駆動させる。
【0007】
また、このようなスイッチング電源装置では、制御部は、サブコンバータが有するトランスの二次側に備えられた補助巻線の電圧をモニターする。制御部は、モニターした当該電圧に基づいて、前述の直流電源から出力された直流電圧の大きさを推定する。
【0008】
しかしながら、このようなスイッチング電源装置では、メインコンバータに接続された負荷がある程度以上軽くなると、メインコンバータには、間欠発振が起きる。メインコンバータに間欠発振が起きるほど当該負荷が軽くなると、メインコンバータを駆動させている駆動回路の負荷が軽くなり、駆動回路に駆動電圧を供給しているサブコンバータの負荷も軽くなってしまうことで、サブコンバータの発振波形には、メインコンバータに完全発振が起きている場合におけるサブコンバータの発振波形との波形の違いが顕著に表れ始める。これはすなわち、制御部によりモニターされる電圧が、例えメインコンバータが一定の電圧を出力していたとしても、メインコンバータに完全発振が起きている場合と、メインコンバータに間欠発振が起きている場合とで異なることを意味する。その結果、制御部は、メインコンバータに間欠発振が起きている場合、直流電源から出力された直流電圧の大きさを、精度よく推定することができないことがある。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、メインコンバータに間欠発振が起こった場合であっても、第2電圧に基づいて行われる制御の精度を向上させることができる補正回路、及び電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、入力電圧を変換して負荷に電力供給するメインコンバータと、前記メインコンバータを駆動させる駆動回路を含む1以上の他の回路に電力供給するサブコンバータと、を備え、前記メインコンバータにより生成される第1電圧に基づいて、前記サブコンバータにより生成される第2電圧を補正する、補正回路である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メインコンバータに間欠発振が起こった場合であっても、第2電圧に基づいて行われる制御の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る電源装置1の構成の一例を示す図である。
図2】メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合においてデューティ検出回路14から制御部16に供給される第3電圧の大きさの時間的な変化の一例を示す図である。
図3】メインコンバータ11に完全発振が起きている場合においてデューティ検出回路14から制御部16に供給される第3電圧の大きさの時間的な変化の一例を示す図である。
図4】第1対応情報の一例を示す図である。
図5】第2対応情報の一例を示す図である。
図6】実施形態の変形例1に係る電源装置1の構成の一例を示す図である。
図7】実施形態の変形例2に係る電源装置1の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では、直流電力に応じた電気信号、又は交流電力に応じた電気信号を伝送する導体のことを、伝送路と称して説明する。伝送路は、例えば、基板上にプリントされた導体である。なお、伝送路は、当該導体に代えて、線状に形成された導体である導線等であってもよい。また、本明細書では、電圧と称した場合、所定の基準となる電位からの電位差を意味し、基準となる電位についての図示及び説明を省略する。ここで、基準となる電位は、如何なる電位であってもよい。以下では、一例として、基準となる電位がグラウンド電位である場合について説明する。
【0014】
<電源装置の構成>
実施形態に係る電源装置1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る電源装置1の構成の一例を示す図である。なお、図1に示した各回路及び各装置は、共通のグラウンド電位のもとで動作する。このため、図1では、グラウンドに接続された伝送路(すなわち、グラウンド線等)を省略している。
【0015】
電源装置1は、直流電源10と接続される。直流電源10は、直流電圧を出力する電源であれば如何なる電源であってもよい。直流電源10は、例えば、商用電源から供給される交流電圧を整流平滑する直流電源、二次電池、スイッチング電源等である。スイッチング電源は、例えば、スイッチングコンバータ等のことである。以下では、説明の便宜上、直流電源10から電源装置1に出力される直流電圧を、入力電圧と称して説明する。なお、電源装置1は、直流電源10に接続される構成に代えて、交流電圧を出力できる交流電源に接続される構成であってもよい。この場合、電源装置1は、供給される交流電圧を直流電圧に変換するAC(Alternating Current)/DC(Direct Current)コンバータを備える。
【0016】
また、電源装置1は、図示しない負荷と接続可能である。負荷は、電源装置1から入力電圧が供給される。負荷は、例えば、再充電可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等)等である。なお、負荷は、当該二次電池に代えて、直流電圧に応じた動作を行う他の装置であってもよい。また、当該二次電池は、例えば、電気自動車に搭載されるバッテリーであってもよく、他の二次電池であってもよい。
【0017】
また、電源装置1は、メインコンバータ11と、サブコンバータ12と、駆動回路13と、デューティ検出回路14と、制御部16を備える。
【0018】
メインコンバータ11は、DC/DCコンバータである。メインコンバータ11は、直流電源10から供給される入力電圧を降圧又は昇圧する。また、メインコンバータ11は、後述する駆動回路13により駆動され、当該入力電圧を降圧又は昇圧する。メインコンバータ11は、当該入力電圧を降圧又は昇圧した後の電圧を前述の負荷、デューティ検出回路14のそれぞれに第1電圧として出力する。第1電圧は、より具体的には、メインコンバータ11が備える図示しないトランスの二次側から出力される電圧である。このため、平滑化される前の第1電圧は、後述する駆動回路13の駆動周波数で発振している高周波パルス電圧である。ここで、メインコンバータ11は、第1電圧を負荷に出力する際、第1電圧を平滑化してもよく、第1電圧を平滑化しなくてもよい。ただし、メインコンバータ11が第1電圧を負荷に出力する際に第1電圧を平滑化しない場合、第1電圧を平滑化する回路を負荷が備える構成であってもよく、負荷とメインコンバータ11との間に第1電圧を平滑化する回路が接続される構成であってもよい。また、メインコンバータ11は、第1電圧をデューティ検出回路14に出力する際、第1電圧を平滑化せずにデューティ検出回路14に出力する。なお、メインコンバータ11は、電源装置1が交流電源と接続される場合、前述のAC/DCコンバータから供給される直流電圧を入力電圧とし、入力電圧を降圧又は昇圧する。
【0019】
サブコンバータ12は、DC/DCコンバータである。サブコンバータ12は、直流電源10から供給される入力電圧を降圧又は昇圧する。また、サブコンバータ12は、図示しない複数のスイッチング素子と、当該複数のスイッチング素子のそれぞれを駆動する駆動回路を備える。すなわち、サブコンバータ12は、当該駆動回路により駆動される。ここで、実施形態では、当該複数のスイッチング素子と、当該駆動回路とのそれぞれについては、説明を省略する。
【0020】
サブコンバータ12は、直流電源10から供給される入力電圧に基づいて、駆動電圧を生成する。駆動電圧は、より具体的には、サブコンバータ12が備える図示しないトランスの二次側から出力される電圧である。このため、平滑化される前の駆動電圧は、サブコンバータ12を駆動する図示しない駆動回路の駆動周波数で発振している高周波パルス電圧である。サブコンバータ12は、生成した駆動電圧を駆動回路13に出力する。この際、サブコンバータ12は、駆動電圧を平滑化する構成であってもよく、駆動電圧を平滑化しない構成であってもよい。ただし、サブコンバータ12が駆動電圧を駆動回路13に出力する際に駆動電圧を平滑化しない場合、駆動電圧を平滑化する回路を駆動回路13が備える構成であってもよく、サブコンバータ12と駆動回路13との間に駆動電圧を平滑化する回路が接続される構成であってもよい。以下では、説明の便宜上、駆動回路13に出力された駆動電圧を、第1駆動電圧と称して説明する。
【0021】
また、サブコンバータ12は、生成した駆動電圧を制御部16にも出力する。この際、サブコンバータ12は、駆動電圧を平滑化する構成であってもよく、駆動電圧を平滑化しない構成であってもよい。以下では、一例として、サブコンバータ12が駆動電圧を制御部16に出力する際に、サブコンバータ12が駆動電圧を平滑化する場合について説明する。ただし、サブコンバータ12が駆動電圧を制御部16に出力する際にサブコンバータ12が駆動電圧を平滑化しない場合、駆動電圧を平滑化する回路を制御部16が備える構成であってもよく、サブコンバータ12と制御部16との間に駆動電圧を平滑化する回路が接続される構成であってもよい。なお、サブコンバータ12と制御部16との間には、LDO(Low Drop Out)が備えられる構成であってもよく、LDOが備えられない構成であってもよい。以下では、説明の便宜上、制御部16に出力された駆動電圧を、第2駆動電圧と称して説明する。
【0022】
また、サブコンバータ12は、平滑化した後の第2駆動電圧を、参照電圧としてデューティ検出回路14にも出力する。参照電圧は、後述するデューティ検出回路14が行う動作において用いられる電圧である。参照電圧を用いたデューティ検出回路14の動作については、後述する。ただし、サブコンバータ12が第2駆動電圧をデューティ検出回路14に出力する際に参照電圧を平滑化しない場合、参照電圧を平滑化する回路をデューティ検出回路14が備える構成であってもよく、サブコンバータ12とデューティ検出回路14との間に参照電圧を平滑化する回路が接続される構成であってもよい。
【0023】
また、サブコンバータ12は、サブコンバータ12が備える図示しないトランスの二次側に補助巻線を有する。当該補助巻線の電圧は、図示しない平滑化回路によって平滑化される。そして、平滑化された後の当該電圧は、後述する電圧検出回路15によって第2電圧として検出される。なお、電圧は、前述した通り、当該補助巻線から出力される電圧である。このため、平滑化される前の第2電圧は、サブコンバータ12を駆動する図示しない駆動回路の駆動周波数で発振している高周波パルス電圧である。また、第2電圧は、より具体的には、波高値が、直流電源10から出力される入力電圧に比例する電圧である。
【0024】
ここで、実施形態では、サブコンバータ12は、電源装置1内の回路等(実施形態では、駆動回路13、デューティ検出回路14、制御部16)にのみ電圧を供給しているが、電源装置1の外部の回路、装置等に電力を供給する構成であってもよい。
【0025】
駆動回路13は、サブコンバータ12から供給される第1駆動電圧により動作する。駆動回路13は、メインコンバータ11を駆動させる。駆動回路13は、例えば、制御部16によるPWM(Pulse Width Modulation)制御等のスイッチング制御に応じて、当該スイッチング制御に応じた大きさの電圧を、メインコンバータ11に第1電圧として出力させる。以下では、当該スイッチング制御が、PWM制御である場合について説明する。
【0026】
デューティ検出回路14は、メインコンバータ11から供給される第1電圧と、サブコンバータ12から供給される参照電圧との差分に応じた電圧を、第3電圧として制御部16に出力する。なお、前述した通り、当該第1電圧は、第1電圧が平滑化される前の電圧である。デューティ検出回路14は、例えば、フィルタ141と、コンパレータ142を備える。なお、デューティ検出回路14は、フィルタ141とコンパレータ142を備える構成であれば、如何なる構成であってもよい。このため、図1では、デューティ検出回路14におけるフィルタ141及びコンパレータ142以外の構成については、省略している。なお、デューティ検出回路14は、参照電圧を、サブコンバータ12に代えて、他の回路、装置等から供給される構成であってもよい。
【0027】
フィルタ141は、メインコンバータ11から供給される第1電圧をフィルタリングする。これにより、フィルタ141は、当該第1電圧からノイズを除去する。フィルタ141は、フィルタリングした後の第1電圧を、コンパレータ142の反転入力端子に出力する。
【0028】
コンパレータ142は、フィルタ141からコンパレータ142の反転入力端子に供給される第1電圧と、サブコンバータ12から参照電圧としてコンパレータ142の非反転入力端子に供給される第2電圧との差分に応じた電圧を、第3電圧として制御部16に出力する。通常、コンパレータ142は、反転入力端子に供給された電圧と参照電圧との大小関係に応じてHレベル又はLレベルの電圧を出力する。しかしながら、電源装置1では、反転入力端子に供給される第1電圧は、第1電圧が平滑化される前の電圧である。このため、当該第1電圧と参照電圧との大小関係は、時間の経過とともに逆転する。電源装置1では、当該第1電圧と参照電圧との大小関係が逆転する速さは、コンパレータ142の応答速度よりも速い。その結果、コンパレータ142は、反転入力端子に第1電圧が供給された場合、反転入力端子に供給された第1電圧と参照電圧とに応じて、HレベルとLレベルとの間の中間の電圧を第3電圧として制御部16に出力する。ただし、コンパレータ142は、当該大小関係が逆転しないように大きさが変化する第1電圧が反転入力端子に供給された場合、Hレベル又はLレベルの電圧を第3電圧として出力する。以下では、一例として、コンパレータ142が、当該場合、Hレベルの電圧を出力する場合について説明する。Hレベルの電圧は、0ボルトよりも高い電圧であり、且つ、当該中間の電圧と区別可能であれば、如何なる電圧であってもよい。コンパレータ142は、発振状態検知回路の一例である。すなわち、電源装置1では、コンパレータ142は、フィルタ141から供給される第1電圧と、サブコンバータ12から供給される第2電圧との差分に応じた電圧を、第3電圧として制御部16に出力する機能を有する他の回路に置き換えられてもよい。また、第3電圧は、当該差分に応じた電圧であれば、他の方法によって生成された電圧であってもよい。また、本実施形態における第3電圧の大きさは、一例に過ぎず、他の大きさであってもよい。
【0029】
電圧検出回路15は、前述した通り、サブコンバータ12が備えるトランスの二次側の補助巻線の電圧を、第2電圧として検出する。ここで、当該補助巻線の電圧は、前述した通り、平滑化された後の電圧である。電圧検出回路15は、検出した第2電圧を、制御部16に出力する。なお、電圧検出回路15は、検出した第2電圧を増幅してから制御部16に出力する構成であってもよい。ここで、電圧検出回路15により検出される第2電圧は、サブコンバータから出力される第2電圧の一例である。
【0030】
制御部16は、サブコンバータ12から供給される第2駆動電圧により動作する。また、制御部16は、電圧検出回路15から供給された第2電圧に基づいて、直流電源10から出力された入力電圧の大きさを推定することができる。そして、制御部16は、推定した当該大きさに基づいて、駆動回路13のPWM制御を行うことができる。なお、制御部16は、第2駆動電圧を、サブコンバータ12に代えて、他の回路、装置等から供給される構成であってもよい。
【0031】
ここで、電源装置1では、メインコンバータ11に接続された負荷がある程度以上軽くなると、メインコンバータ11には、間欠発振が起きる。メインコンバータ11に間欠発振が起きるほど当該負荷が軽くなると、サブコンバータ12の発振波形には、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合におけるサブコンバータ12の発振波形との波形の違いが顕著に表れ始める。これはすなわち、電圧検出回路15により検出される第2電圧が、例えメインコンバータ11が一定の電圧を出力していたとしても、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合と、メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合とで異なることを意味する。
【0032】
そこで、制御部16は、第1対応情報と、第2対応情報との2つの対応情報が記憶された図示しない記憶部を備える。第1対応情報は、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合に応じた対応情報のことである。第2対応情報は、メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合に応じた対応情報のことである。そして、対応情報は、入力電圧と第2電圧とが対応付けられた情報のことである。より具体的には、対応情報は、直流電源10から出力される入力電圧と、当該入力電圧が直流電源10から出力される場合において電圧検出回路15から制御部16に出力される第2電圧とが対応付けられた情報(すなわち、当該入力電圧と当該第2電圧との相関関係を示す情報)である。そして、第1対応情報には、デューティ検出回路14から出力される第3電圧についての所定の電圧範囲が、第1電圧範囲として対応付けられている。また、第2対応情報には、デューティ検出回路14から出力される第3電圧についての所定の電圧範囲が、第2電圧範囲として対応付けられている。
【0033】
第1対応情報及び第2対応情報のそれぞれに第3電圧についての電圧範囲が対応付けられている理由は、電源装置1では、デューティ検出回路14から出力される第3電圧の大きさが、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合と、メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合とで異なるためである。例えば、電源装置1では、デューティ検出回路14は、デューティ検出回路14が備えるフィルタ141の設計を調整することにより、メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合にメインコンバータ11から供給される第1電圧を、フィルタ141により前述の参照電圧未満にし、且つ、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合にメインコンバータ11から供給される第1電圧を、当該参照電圧以上にすることができる。
【0034】
ここで、図2は、メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合においてデューティ検出回路14から制御部16に供給される第3電圧の大きさの時間的な変化の一例を示す図である。図2に示したグラフの横軸は、経過時間を示す。図2に示しグラフの縦軸は、電圧の大きさを示す。図2に示したグラフG11は、当該場合においてメインコンバータ11からデューティ検出回路14に供給される第1電圧の大きさの時間的な変化を示す。図2に示したグラフG12は、当該場合においてフィルタ141によりフィルタリングされた後の第1電圧の大きさの時間的な変化を示す。図2に示したグラフG13は、当該場合においてデューティ検出回路14から出力される第3電圧の大きさの時間的な変化を示す。図2に示したように、当該場合、デューティ検出回路14から出力される第3電圧は、Hレベルの電圧のまま保持される(ただし、ノイズ、誤差等による電圧の揺らぎは、常に生じうる)。
【0035】
一方、図3は、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合においてデューティ検出回路14から制御部16に供給される第3電圧の大きさの時間的な変化の一例を示す図である。図3に示したグラフの横軸は、経過時間を示す。図3に示しグラフの縦軸は、電圧の大きさを示す。図3に示したグラフG21は、当該場合においてメインコンバータ11からデューティ検出回路14に供給される第1電圧の大きさの時間的な変化を示す。図3に示したグラフG22は、当該場合においてフィルタ141によりフィルタリングされた後の第1電圧の大きさの時間的な変化を示す。図3に示したグラフG23は、当該場合においてデューティ検出回路14から出力される第3電圧の大きさの時間的な変化を示す。図3に示したように、当該場合、デューティ検出回路14から出力される第3電圧は、Hレベルの電圧とLレベルの電圧との中間の電圧のまま保持される(ただし、ノイズ、誤差等による電圧の揺らぎは、常に生じうる)。
【0036】
このように、電源装置1では、デューティ検出回路14から出力される第3電圧の大きさが、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合と、メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合とで異なる。これにより、制御部16は、デューティ検出回路14から供給される第3電圧(すなわち、前述のコンパレータ142から供給される第3電圧)の大きさに基づいて、メインコンバータ11に完全発振と間欠発振とのいずれが起きているかを判定することができる。
【0037】
すなわち、制御部16は、デューティ検出回路14から供給される第3電圧に基づいて、第1対応情報と第2対応情報とのいずれかの対応情報を選択的に記憶部から読み出す。当該第3電圧が第1電圧範囲に含まれる場合、制御部16は、第1対応情報を記憶部から読み出す。第1電圧範囲は、下限値が前述の参照電圧以上の電圧範囲である。一方、当該第3電圧が第2電圧範囲に含まれる場合、制御部16は、第2対応情報を記憶部から読み出す。第2電圧範囲は、上限値が前述の参照電圧未満の電圧範囲である。
【0038】
ここで、図4は、第1対応情報の一例を示す図である。図4に示したテーブルは、メインコンバータ11に完全発振が起きている場合における入力電圧と第2電圧とが対応付けられたテーブルである。制御部16は、例えば、図4に示したテーブルを、第1対応情報として記憶部から読み出す。なお、図4に示したグラフは、当該テーブルに基づいて作成したグラフである。当該グラフの横軸は、第2電圧を示す。当該グラフの縦軸は、入力電圧を示す。すなわち、制御部16は、当該場合、電圧検出回路15から供給される第2電圧と、第1対応情報とに基づいて、当該第2電圧に対応付けられた入力電圧を、直流電源10から出力された入力電圧として特定する。
【0039】
一方、図5は、第2対応情報の一例を示す図である。図5に示したテーブルは、メインコンバータ11に間欠発振が起きている場合における入力電圧と第2電圧とが対応付けられたテーブルである。制御部16は、例えば、図5に示したテーブルを、第2対応情報として記憶部から読み出す。なお、図5に示したグラフは、当該テーブルに基づいて作成したグラフである。当該グラフの横軸は、第2電圧を示す。当該グラフの縦軸は、入力電圧を示す。すなわち、制御部16は、当該場合、電圧検出回路15から供給される第2電圧と、第2対応情報とに基づいて、当該第2電圧に対応付けられた入力電圧を、直流電源10から出力された入力電圧として特定する。
【0040】
デューティ検出回路14から供給された第3電圧に応じて第1対応情報と第2対応情報とのいずれかを制御部16が選択することは、サブコンバータ12から供給される第2電圧を制御部16が補正することに相当する。すなわち、制御部16は、電圧検出回路15から供給される第2電圧を、当該第3電圧に基づいて補正する。換言すると、制御部16は、デューティ検出回路14に供給される第1電圧に基づいて、サブコンバータ12から出力される第2電圧を補正する。これにより、電源装置1(又は、補正回路20)は、メインコンバータ11に間欠発振が起こった場合であっても、第2電圧に基づいて行われる制御の精度を向上させることができる。例えば、制御部16は、直流電源10から出力された入力電圧の大きさを精度よく推定することができる。その結果、電源装置1は、メインコンバータ11に間欠発振が起こった場合であっても、メインコンバータ11から出力される第1電圧を精度よく制御することができる。
【0041】
なお、上記において説明した記憶部は、制御部16と通信可能に接続された外付けの記憶装置であってもよい。
【0042】
<実施形態の変形例1>
以下、実施形態の変形例1について説明する。なお、実施形態の変形例1では、実施形態と同様な構成部には、同じ符号を付して説明を省略する。実施形態の変形例1に係る電源装置1は、前述の第2対応情報を用いずに、メインコンバータ11から出力される第1電圧に基づいて、電圧検出回路15から出力される第2電圧を補正する。
【0043】
図6は、実施形態の変形例1に係る電源装置1の構成の一例を示す図である。実施形態の変形例1に係る電源装置1は、図1に示した構成に加えて、スイッチング素子S1と、スイッチング素子S2と、抵抗R1と、抵抗R2を備える。なお、当該電源装置1は、以下において説明する当該電源装置1が有する機能を損なわない限り、他の回路素子、他の回路、他の装置を備える構成であってもよい。
【0044】
スイッチング素子S1は、図6に示した例では、PNP型のトランジスタである。なお、スイッチング素子S1は、PNP型のトランジスタに代えて、NPN型のトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタ等の他のスイッチング素子であってもよい。以下では、説明の便宜上、スイッチング素子S1のエミッタ-コレクタ間に電流が流れる状態のことを、スイッチング素子S1の状態がオン状態であると称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、スイッチング素子S1のエミッタ-コレクタ間に電流が流れない状態のことを、スイッチング素子S1の状態がオフ状態であると称して説明する。
【0045】
スイッチング素子S2は、図6に示した例では、NPN型のトランジスタである。なお、スイッチング素子S2は、NPN型のトランジスタに代えて、PNP型のトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタ等の他のスイッチング素子であってもよい。以下では、説明の便宜上、スイッチング素子S2のエミッタ-コレクタ間に電流が流れる状態のことを、スイッチング素子S2の状態がオン状態であると称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、スイッチング素子S2のエミッタ-コレクタ間に電流が流れない状態のことを、スイッチング素子S2の状態がオフ状態であると称して説明する。
【0046】
スイッチング素子S1のエミッタは、伝送路を介して、サブコンバータ12と制御部16とを接続する伝送路のうちサブコンバータ12から制御部16に第2駆動電圧を出力するための伝送路と接続される。以下では、説明の便宜上、図6に示したように、当該伝送路を伝送路EL1と称して説明する。また、スイッチング素子S1のコレクタは、伝送路を介して、抵抗R1の一端と接続される。そして、抵抗R1の他端は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。また、スイッチング素子S1のベースは、伝送路を介して、抵抗R2の一端と接続される。そして、抵抗R2の他端は、伝送路を介して、当該エミッタと伝送路EL1とを接続する伝送路と接続される。また、スイッチング素子S2のコレクタは、伝送路を介して、スイッチング素子S1のベースと抵抗R2とを接続する伝送路と接続される。また、スイッチング素子S2のエミッタは、伝送路を介して、グラウンドに接地される。また、スイッチング素子S2のベースは、伝送路を介して、制御部16と接続される。
【0047】
なお、実施形態の変形例1に係る電源装置1では、デューティ検出回路14と、制御部16と、スイッチング素子S1と、スイッチング素子S2と、抵抗R1と、抵抗R2とが、補正回路20Aを構成している。
【0048】
ここで、実施形態の変形例1に係る制御部16は、デューティ検出回路14から供給される第3電圧に応じて、メインコンバータ11に完全発振と間欠発振とのいずれが起きているかを判定する。具体的には、当該制御部16は、当該第3電圧がHレベルの電圧である場合、メインコンバータ11に完全発振が起きていると判定する。この場合、当該制御部16は、当該ベースに電流を流さない。なお、制御部16は、当該第3電圧がHレベルの電圧以上の電圧範囲に含まれる場合、メインコンバータ11に完全発振が起きていると判定する構成であってもよい。一方、当該制御部16は、当該第3電圧がHレベルとLレベルとの中間の電圧である場合、メインコンバータ11に間欠発振が起きていると判定する。この場合、当該制御部16は、当該ベースに電流を流す。なお、制御部16は、当該中間の電圧を含む電圧範囲であってHレベルの電圧を含まない電圧範囲に含まれる場合、メインコンバータ11に完全発振が起きていると判定する構成であってもよい。
【0049】
スイッチング素子S2のベースに電流が流れない場合、スイッチング素子S2の状態は、オフ状態である。この場合、スイッチング素子S1のベースには、伝送路EL1から電流が流れない。その結果、当該場合、スイッチング素子S1の状態は、オフ状態になる。
【0050】
一方、スイッチング素子S2のベースに電流が流れた場合、スイッチング素子S2の状態は、オン状態である。この場合、スイッチング素子S1のベースには、伝送路EL1から電流が流れる。すなわち、当該場合、スイッチング素子S1の状態は、オン状態になる。そして、伝送路EL1からは、抵抗R1の抵抗値に応じた電流がグラウンドに流れる。その結果、サブコンバータ12の負荷は、大きくなる。
【0051】
これを利用し、実施形態の変形例1に係る電源装置1では、メインコンバータ11に完全発振と間欠発振とのいずれが起きている場合であっても、電圧検出回路15から制御部16に供給される第2電圧と直流電源10から出力される入力電圧との相関関係を、前述の第1対応情報が示す相関関係と一致させることができる。これは、抵抗R1の抵抗値を調整することによって実現可能である。すなわち、制御部16は、電圧検出回路15から供給される第2電圧を、デューティ検出回路14から供給される第3電圧に基づいて補正する。換言すると、制御部16は、デューティ検出回路14に供給される第1電圧に基づいて、当該第2電圧を補正する。これにより、実施形態の変形例1に係る電源装置1(又は、補正回路20A)は、メインコンバータ11に間欠発振が起こった場合であっても、第2電圧に基づいて行われる制御の精度を向上させることができる。例えば、制御部16は、直流電源10から出力された入力電圧の大きさを精度よく推定することができる。その結果、電源装置1は、メインコンバータ11に間欠発振が起こった場合であっても、メインコンバータ11から出力される第1電圧を精度よく制御することができる。
【0052】
<実施形態の変形例2>
以下、実施形態の変形例2について説明する。なお、実施形態の変形例2では、実施形態と同様な構成部には、同じ符号を付して説明を省略する。実施形態の変形例2に係る電源装置1も、前述の第2対応情報を用いずに、メインコンバータ11から出力される第1電圧に基づいて、サブコンバータ12から出力される第2電圧を補正する。ただし、実施形態の変形例2に係る電源装置1の構成は、実施形態の変形例1に係る電源装置1の構成と異なる。
【0053】
図7は、実施形態の変形例2に係る電源装置1の構成の一例を示す図である。実施形態の変形例1に係るデューティ検出回路14は、図1に示した構成に加えて、分圧回路143と、スイッチング素子S3と、抵抗R3と、抵抗R4を備える。なお、当該デューティ検出回路14は、以下において説明する当該電源装置1が有する機能を損なわない限り、他の回路素子、他の回路、他の装置を備える構成であってもよい。
【0054】
分圧回路143は、前述の参照電圧をサブコンバータ12から供給される。分圧回路143は、サブコンバータ12から供給された参照電圧の大きさを、所定の大きさに分圧する。分圧回路143は、分圧した後の参照電圧を、コンパレータ142の非反転入力端子に出力する。すなわち、実施形態の変形例2では、サブコンバータ12は、分圧回路143を介して参照電圧を当該非反転入力端子に出力する。なお、実施形態の変形例2に係る電源装置1は、分圧回路143を備えない構成であってもよい。この場合、何らかの方法により、サブコンバータ12から出力される参照電圧の大きさを所定の大きさと一致させる。
【0055】
スイッチング素子S3は、図7に示した例では、NPN型のトランジスタである。なお、スイッチング素子S1は、NPN型のトランジスタに代えて、PNP型のトランジスタであってもよく、電界効果トランジスタ等の他のスイッチング素子であってもよい。以下では、説明の便宜上、スイッチング素子S3のエミッタ-コレクタ間に電流が流れる状態のことを、スイッチング素子S3の状態がオン状態であると称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、スイッチング素子S3のエミッタ-コレクタ間に電流が流れない状態のことを、スイッチング素子S3の状態がオフ状態であると称して説明する。
【0056】
スイッチング素子S3のエミッタは、伝送路を介して、グラウンドに接地される。スイッチング素子S3のコレクタは、伝送路を介して、抵抗R3の一端と接続される。また、抵抗R3の他端は、伝送路を介して、抵抗R4の一端と接続される。また、抵抗R4の他端は、伝送路を介して、スイッチング素子S3のベースと接続される。また、抵抗R3と抵抗R4とを接続する伝送路は、伝送路を介して、サブコンバータ12と分圧回路143とを接続する伝送路と接続される。また、抵抗R4と当該ベースとを接続する伝送路は、伝送路を介して、コンパレータ142と制御部16とを接続する伝送路を接続される。
【0057】
なお、実施形態の変形例2に係る電源装置1では、図7に示したデューティ検出回路14と、制御部16とが、補正回路20Bを構成している。
【0058】
ここで、図7に示したデューティ検出回路14では、コンパレータ142から出力される第3電圧がHレベルの電圧である場合、スイッチング素子S3の状態は、オン状態である。一方、図7に示したデューティ検出回路14では、コンパレータ142から出力される第3電圧がHレベルとLレベルとの中間の電圧である場合、スイッチング素子S3の状態は、オフ状態である。これは、抵抗R4の抵抗値を調整することにより、実現することができる。
【0059】
スイッチング素子S3の状態がオフ状態である場合、スイッチング素子S3のコレクタ-エミッタ間には、サブコンバータ12と分圧回路143とを接続する伝送路からの電流が流れない。
【0060】
一方、スイッチング素子S3の状態がオン状態である場合、スイッチング素子S3のコレクタ-エミッタ間には、サブコンバータ12と分圧回路143とを接続する伝送路から、抵抗R3の抵抗値に応じた電流が流れる。その結果、サブコンバータ12の負荷は、大きくなる。
【0061】
これを利用し、実施形態の変形例2に係る電源装置1では、メインコンバータ11に完全発振と間欠発振とのいずれが起きている場合であっても、電圧検出回路15から制御部16に供給される第2電圧と直流電源10から出力される入力電圧との相関関係を、前述の第1対応情報が示す相関関係と一致させることができる。これは、抵抗R3の抵抗値を調整することによって実現可能である。これにより、実施形態の変形例2に係る電源装置1(又は、補正回路20B)は、メインコンバータ11に間欠発振が起こった場合であっても、第2電圧に基づいて行われる制御の精度を向上させることができる。例えば、制御部16は、直流電源10から出力される入力電圧の大きさを精度よく推定することができる。その結果、電源装置1は、メインコンバータ11に間欠発振が起こった場合であっても、メインコンバータ11から出力される第1電圧を精度よく制御することができる。
【0062】
なお、上記において説明した電源装置1は、電気自動車に搭載されてもよく、第1電圧によって駆動する他の装置に搭載されてもよい。
また、上記において説明した補正回路20、補正回路20A、補正回路20Bのそれぞれは、電源装置1のようなスイッチング電源装置に代えて、他の装置に適用されてもよい。
【0063】
また、上記において説明したメインコンバータ11に間欠発振が起きていることは、当該メインコンバータ11において、メインコンバータ11が駆動している期間と、メインコンバータ11が駆動していない期間とが周期的に繰り返されることを意味する。メインコンバータ11が駆動している期間は、メインコンバータ11が備えるスイッチング素子の状態が、オン状態とオフ状態との間で周期的に切り替わる期間のことである。また、メインコンバータ11が駆動している期間では、メインコンバータ11が備えるスイッチング素子の状態がオン状態とオフ状態との間で切り替わる周波数は、駆動回路13の駆動周波数である。一方、メインコンバータ11が駆動している期間は、当該スイッチング素子の状態が、オフ状態のまま保持されている期間のことである。
【0064】
また、上記において説明したメインコンバータ11に完全発振が起きていることは、当該メインコンバータ11において、当該メインコンバータ11が備えるスイッチング素子の状態が、オン状態とオフ状態との間で周期的に切り替わっていることを意味する。そして、当該メインコンバータ11に完全発振が起きている場合において、当該スイッチング素子の状態がオン状態とオフ状態との間で切り替わる周波数は、駆動回路13の駆動周波数である。
【0065】
以上のように、実施形態に係る補正回路(上記において説明した例では、補正回路20、補正回路20A)は、入力電圧を変換して負荷に電力供給するメインコンバータと、メインコンバータ(上記において説明した例では、メインコンバータ11)を駆動させる駆動回路を含む1以上の他の回路(上記において説明した例では、駆動回路13、デューティ検出回路14、制御部16)に電力供給するサブコンバータ(上記において説明した例では、サブコンバータ12)と、を備え、メインコンバータにより生成される第1電圧に基づいて、サブコンバータにより生成される第2電圧(上記において説明した例では、電圧検出回路15により検出された第2電圧)を補正する。これにより、補正回路は、メインコンバータに間欠発振が起こった場合であっても、メインコンバータから出力される第1電圧を精度よく制御することができる。
【0066】
また、補正回路は、メインコンバータにより生成される第1電圧をフィルタリングするフィルタ(上記において説明した例では、フィルタ141)と、フィルタによりフィルタリングされた後の第1電圧と参照電圧との差分に応じた第3電圧を出力する発振状態検知回路(上記において説明した例では、コンパレータ142)と、発振状態検知回路から出力される第3電圧に基づいて、サブコンバータにより生成される第2電圧を補正する制御部(上記において説明した例では、制御部16)と、を備える、構成が用いられてもよい。
【0067】
また、補正回路では、制御部は、第3電圧が含まれる電圧範囲毎に入力電圧と第2電圧とが対応付けられた対応情報の中から、発振状態検知回路から出力される第3電圧が含まれる電圧範囲についての対応情報を選択し、選択した対応情報に基づいて、サブコンバータにより生成される第2電圧を補正する、構成が用いられてもよい。
【0068】
また、補正回路では、サブコンバータと制御部とを接続する伝送路(上記において説明した例では、伝送路EL1)には、制御部からの信号に応じてスイッチングを行うスイッチング素子(上記において説明した例では、スイッチング素子S2)を備え、スイッチング素子は、当該信号に応じて、伝送路とグラウンドとの間のスイッチングを行い、制御部は、発振状態検知回路から出力される第3電圧が所定の電圧範囲に含まれる場合、スイッチング素子の状態をオン状態に変化させることにより、サブコンバータにより生成される第2電圧を補正する、構成が用いられてもよい。
【0069】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…電源装置、10…直流電源、11…メインコンバータ、12…サブコンバータ、13…駆動回路、14…デューティ検出回路、15…電圧検出回路、16…制御部、20…補正回路、20A…補正回路、20B…補正回路、141…フィルタ、142…コンパレータ、143…分圧回路、EL1…伝送路、R1、R2、R3、R4…抵抗、S1、S2、S3…スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7