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特許7275815部品情報監視プログラム及び部品情報監視装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】部品情報監視プログラム及び部品情報監視装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20230511BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230511BHJP
   G06Q 10/087 20230101ALI20230511BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230511BHJP
【FI】
G06Q30/0601 322
G05B19/418 Z
G06Q10/087
G06Q50/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019085971
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020181514
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】村川 賀彦
(72)【発明者】
【氏名】勝野 昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 達也
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-223456(JP,A)
【文献】特開2005-038108(JP,A)
【文献】特開2001-297105(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0000192(KR,U)
【文献】特開2005-128707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0304059(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0145774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0205044(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を取り扱う複数のサイトから、各サイトで取り扱う部品の単価を、異なる時間タイミングで繰り返し取得し、
対象部品について、特定のサイトにおいて値引き表示の回数が所定値を超えた場合に報知する、
処理をコンピュータに実行させるための部品情報監視プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
対象部品についての各サイトの単価の標準偏差が所定値を超えた場合に報知する、
処理を更に実行させる、請求項1に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項3】
前記所定値は、過去に生産終息が発生した部品について、所定期間に蓄積した各サイトの単価の標準偏差の変動前と変動後の中間点に基づいて算出される、請求項に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、
対象部品についての特定のサイトの単価の下落率が所定値を超えた場合に報知する、
処理を更に実行させる、請求項1に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに、
対象部品について、特定のサイトにおいて在庫なしを示す情報が表示される割合が所定値を超えた場合に報知する、
処理を更に実行させる、請求項に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項6】
前記所定値は、部品のカテゴリごと、または、部品のシリーズごとに決定される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、
生産終息が発生することを報知する、
処理を実行させる、請求項に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
対象部品についての各サイトの単価の標準偏差の変動量が所定値を超えた場合に報知する、
処理を実行させる、請求項7に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
対象部品についてのいずれかのサイトの単価が上昇した場合に報知する、
処理を実行させる、請求項8に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
対象部品についてのいずれかのサイトの単価の下落率の変動量が所定値を超えた場合に報知する、
処理を実行させる、請求項9に記載の部品情報監視プログラム。
【請求項11】
複数の部品を取り扱う複数のサイトから、各サイトで取り扱う部品の単価を、異なる時間タイミングで繰り返し取得する取得部と、
対象部品について、特定のサイトにおいて値引き表示の回数が所定値を超えた場合に報知する判定部と
を有する部品情報監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品情報監視プログラム及び部品情報監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製造業者では、インターネット等を介して、単価の安い販売業者から部品調達を行っている。
【0003】
このような部品調達においては、安定した部品供給が継続的に受けられるか否かについて、事前に十分な検討を行っておく必要がある。生産終息(EOL:End Of Life)等の種々の事象が発生することで部品の供給が停止(または一時的に中断)すると、設計変更等のリスクが生じるからである。
【0004】
これに対して、例えば、下記特許文献では、インターネット上でEOLの発生を監視する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-282137号公報
【文献】特開2012-252678号公報
【文献】特開2007-87276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、EOL以外の事象を含むあらゆる事象の発生をインターネット上で監視することは容易ではない。一方で、部品調達に際しては、何らかの事象が既に発生している部品や、何らかの事象が発生する可能性がある部品など、設計変更のリスクがある部品については、事前に調達対象から除外することが望ましい。
【0007】
一つの側面では、部品調達におけるリスクを低減させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、部品情報監視プログラムは、
複数の部品を取り扱う複数のサイトから、各サイトで取り扱う部品の単価を、異なる時間タイミングで繰り返し取得し、
対象部品について、特定のサイトにおいて値引き表示の回数が所定値を超えた場合に報知する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
部品調達におけるリスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】部品情報監視システムの構成例を示す図である。
図2】部品情報監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】部品情報監視装置の機能構成の一例を示す第1の図である。
図4】部品単価及び標準偏差の具体例を示す図である。
図5】標準偏差の閾値の決定例を示す図である。
図6】下落率の閾値、在庫なし率の閾値、値引き表示回数の閾値の決定例を示す図である。
図7】判定基準情報の一例を示す図である。
図8】解析部による解析結果の一例を示す図である。
図9】判定基準決定処理の流れを示すフローチャートである。
図10】部品情報監視処理の流れを示すフローチャートである。
図11】部品情報監視装置の機能構成の一例を示す第2の図である。
図12】標準偏差の変動量の一例を示す図である。
図13】部品情報監視装置の機能構成の一例を示す第3の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
<部品情報監視システムの構成>
はじめに、部品情報監視システムの構成について説明する。部品情報監視システムとは、部品調達の際に、対象部品に関して、何らかの事象が発生していること、または、何らかの事象が発生する可能性があること(これらの情報を、“部品情報”と称す)を、複数の観点から間接的に監視するシステムである。
【0013】
図1は、部品情報監視システムの構成例を示す図である。図1に示すように、部品情報監視システム100には、部品メーカ110_1(メーカ名:“部品メーカI”)~部品メーカ110_X(メーカ名:“部品メーカX”)が含まれる。また、部品情報監視システムには、販売サイト120_1(サイト名:“販売サイトA”)~販売サイト120_N(サイト名:“販売サイトN”)が含まれる。更に、部品情報監視システム100には、部品情報監視装置140が含まれる。なお、部品情報監視装置140は、ネットワーク130を介して、販売サイト120_1~販売サイト120_Nにアクセス可能に接続されるものとする。
【0014】
部品メーカ110_1~110_Xは、部品情報監視装置140のユーザ(製造業者)が製造する製造物に組み込まれる部品を生産し、ユーザに供給するメーカである。第1の実施形態において、部品メーカ110_1~110_Xが生産する部品は電子部品であるとする。
【0015】
なお、ここでいう電子部品には、例えば、IC(Integrated Circuit)、メモリ、抵抗素子、コイル素子等が含まれる。あるいは、マイクロプロセッサ、インバータ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、インダクタ、コネクタ、コンデンサ、スイッチ素子、トランジスタ、フィルタ等が含まれる。
【0016】
部品メーカ110_1~110_Xは、それぞれ、販売サイト120_1~120_Nを運営する各販売業者を介して、ユーザに電子部品を供給する。図1において、符号150は、部品メーカ110_1~110_Xが、各販売業者に供給する電子部品(図1の例では、カテゴリ=“IC”)の一例を示したものである。
【0017】
符号150に示すように、部品メーカ110_1~110_Xが電子部品を各販売業者に供給する際のパッケージングタイプは様々であり、テープ状の部材に配列されるタイプや、箱詰めされるタイプ等が含まれる。また、箱詰めされるタイプの場合、箱のサイズは任意である。
【0018】
販売サイト120_1~120_Nは、部品メーカ110_1~110_Xにより供給された電子部品を販売する各販売業者によって運営されるサイトである。販売サイト120_1~120_Nには、各販売業者が決定した電子部品の単価が表示される。なお、販売業者が様々な部品メーカの様々なカテゴリの様々なシリーズの様々なパッケージングタイプの電子部品を取り扱っている場合、販売サイトには、部品メーカごと、カテゴリごと、シリーズごと、パッケージングタイプごとに決定された単価が表示される。
【0019】
また、販売サイト120_1~120_Nには、各販売業者が値引きをして販売した場合にあっては、値引き情報が表示される。また、販売サイト120_1~120_Nには、各販売業者において在庫がなくなった場合にあっては、在庫なし情報が表示される。なお、販売サイト120_1~120_Nに表示される値引き情報や在庫なし情報等をまとめて、以下では、サイト情報と称す。
【0020】
部品情報監視装置140は、販売サイト120_1~120_Nにアクセスすることで、各電子部品の部品単価情報、及び、サイト情報を取得する。なお、図1において、符号160は、部品情報監視装置140が、販売サイト120_1(サイト名:“販売サイトA”)にアクセスすることで取得した部品単価情報の一例を示している。
【0021】
また、部品情報監視装置140は、各電子部品の部品単価情報及びサイト情報を解析することで、対象部品に関して、何らかの事象が発生していること、または、何らかの事象が発生する可能性があること(部品情報)を間接的に監視する。ここでいう“事象”とは、部品メーカによる電子部品の供給と、ユーザによる電子部品の需要とのバランスに影響を与えるような任意の事象(例えば、EOL等)を指す。
【0022】
更に、部品情報監視装置140は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定した場合に、部品情報監視装置140のユーザに対してアラームを報知する。
【0023】
このように、部品情報監視システム100では、部品情報監視装置140が、各電子部品の部品単価情報及びサイト情報を、異なる時間タイミングで繰り返し解析する。部品単価情報及びサイト情報は、各電子部品に関して発生する種々の事象の影響を受けて変化するため、部品単価情報及びサイト情報を解析することで、部品情報を間接的に監視できるからである。
【0024】
この結果、部品情報監視システム100によれば、ユーザは、部品調達の際に、安定した部品供給が受けられるか否かについて十分な検討を行うことが可能となり、部品調達におけるリスクを低減させることができる。
【0025】
<部品情報の監視手法の説明>
次に、対象部品に関して、何らかの事象が発生していること、または、何らかの事象が発生する可能性があること(部品情報)を、複数の観点から間接的に監視する監視手法について説明する。なお、第1の実施形態において、部品情報監視装置140では、複数の観点として、
・同一の部品メーカの同一のカテゴリの同一のシリーズの観点から監視する方法、
・同一の部品メーカの同一のカテゴリ(異なるシリーズを含む)の観点から監視する方法、
の2つの方法を用いる。以下、これらの監視手法の概要について説明する。
【0026】
(1)同一の部品メーカの同一のカテゴリの同一のシリーズについて監視する方法
(1-1)第1の事象
同一の部品メーカの同一のカテゴリの同一のシリーズの電子部品の観点から監視する場合、部品情報監視装置140では、例えば、
・特定の部品メーカの特定のカテゴリの特定のシリーズの電子部品について生産終息することが決定されたことで、当該部品メーカによる当該シリーズの電子部品の販売業者への供給量が減少する事象、
・特定の部品メーカの特定のカテゴリの特定のシリーズの電子部品についての故障率(返品率)が高いことで、当該シリーズの電子部品の販売業者における在庫が増加する事象、
・特定の部品メーカの特定のカテゴリの特定のシリーズの電子部品について、大量発注があったことで、当該シリーズの電子部品が、特定の販売業者において品薄になる事象、
等を検知することができる。これらの事象(第1の事象)が発生した際の在庫の持ち方や部品単価の付け方は、販売業者ごとに異なっており、当該部品メーカの当該シリーズの電子部品について、販売サイト間で、部品単価情報及びサイト情報に差が出てくるからである。
【0027】
(1-2)監視の手法
上記第1の事象による、部品単価情報及びサイト情報への影響を監視するために、部品情報監視装置140では、例えば、以下のような監視手法を用いる。
【0028】
・同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについて、各販売サイトの部品単価を取得し、販売サイト間の標準偏差を算出する。
【0029】
・同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについて、各販売サイトの部品単価を取得し、下落率を算出する。
【0030】
・同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについて、各販売サイトの在庫なし情報を取得し、在庫なし率(詳細は後述)を算出する。
【0031】
・同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについて、各販売サイトの値引き情報を取得し、値引き表示の回数を算出する。
【0032】
(1-3)影響の有無を検知するための閾値
上記第1の事象による、部品単価情報及びサイト情報への影響の有無を検知するために、部品情報監視装置140では、例えば、
・過去に上記第1の事象が発生した際の、発生直前の所定期間における、当該部品メーカ、当該カテゴリ、当該シリーズの電子部品について、各販売サイトの部品単価を取得し、販売サイト間の標準偏差を算出する。そして、発生直前の所定期間における標準偏差の推移に基づいて、シリーズ単位の標準偏差の閾値を決定する。
【0033】
・過去に上記第1の事象が発生した際の、発生直前の所定期間における、当該部品メーカ、当該カテゴリ、当該シリーズの電子部品について、各販売サイトでの下落率を算出する。そして、算出した下落率のうちの顕著な下落率を用いて下落率の閾値を決定する。
【0034】
・過去に上記第1の事象が発生した際の、発生直前の所定期間における、当該部品メーカ、当該カテゴリ、当該シリーズの電子部品について、特定の販売サイトでの在庫なし率を算出する。そして、算出した在庫なし率のうちの顕著な在庫なし率を用いて、在庫なし率の閾値を決定する。
【0035】
・過去に上記第1の事象が発生した際の、発生直前の所定期間における、当該部品メーカ、当該カテゴリ、当該シリーズについて、特定の販売サイトでの値引き表示回数を算出する。そして、算出した値引き表示回数のうちの顕著な値引き表示回数を用いて、値引き表示回数の閾値を決定する。
【0036】
決定した各閾値は、シリーズごとに算出する全ての標準偏差、下落率、在庫なし率、値引き表示回数を監視する際に用いる。ただし、過去に上記第1の事象が複数のシリーズの電子部品において発生していた場合にあっては、この限りではない。この場合、当該複数のシリーズの電子部品それぞれについて決定した閾値を、個別に、当該複数のシリーズの電子部品それぞれについて算出した標準偏差、下落率、在庫なし率、値引き表示回数を監視する際に用いてもよい。
【0037】
なお、同一の部品メーカの同一のカテゴリの同一のシリーズの電子部品について監視する上記監視手法はあくまで一例にすぎず、例えば、パッケージングタイプごとに分けて監視し、パッケージングタイプごとに分けて閾値を決定してもよい。
【0038】
(2)同一の部品メーカの同一のカテゴリの観点から監視する方法
(2-1)第2の事象
同一の部品メーカの同一のカテゴリ(異なるシリーズを含む)の電子部品について監視する場合、部品情報監視装置140では、例えば、
・(事業縮小等に起因して)特定の部品メーカの特定のカテゴリの電子部品について生産終息することが決定されたことで、当該部品メーカによる当該カテゴリの電子部品についての販売業者への供給量が減少する事象、
・特定の部品メーカの特定のカテゴリを生産、出荷する工場において、何らかのトラブル(生産上のトラブル、輸送上のトラブル(災害、事故等を含むトラブル))により、一時的に当該カテゴリの電子部品の供給量が減少する事象、
等を検知することができる。これらの第2の事象が発生した際の在庫の持ち方や部品単価の付け方は、販売業者ごとに異なっており、当該部品メーカの当該カテゴリの電子部品について、販売サイト間で、部品単価情報及びサイト情報に差が出てくるからである。
【0039】
(2-2)監視の手法
上記第2の事象による、部品単価情報への影響を監視するために、部品情報監視装置140では、例えば、以下のような監視手法を用いる。
【0040】
・同一部品メーカ、同一カテゴリの全シリーズについて、各販売サイトの部品単価を取得し、販売サイト間の標準偏差をそれぞれ算出する。また、算出した標準偏差について、同一部品メーカ、同一カテゴリの全シリーズの平均値を算出する。
【0041】
(2-3)影響の有無を検知するための閾値
上記第2の事象による、部品単価情報への影響を監視するために、部品情報監視装置140では、例えば、
・過去に上記第2の事象が発生した際の、発生直前の所定期間における、当該部品メーカ、当該カテゴリの全シリーズについて、各販売サイトの部品単価を取得し、販売サイト間の標準偏差をそれぞれ算出する。そして、所定期間における販売サイト間の標準偏差の推移から、それぞれシリーズ単位の標準偏差の閾値を一旦算出し、更に、算出したそれぞれの閾値の平均値を算出することで、カテゴリ単位の標準偏差の閾値を決定する。
【0042】
決定した閾値は、カテゴリごとに算出する全ての標準偏差の平均値を監視する際に用いる。ただし、過去に上記第2の事象が複数のカテゴリにおいて発生していた場合にあっては、この限りではない。この場合、当該複数のカテゴリの電子部品それぞれについて決定した閾値を、個別に、当該複数のカテゴリの電子部品それぞれについて算出した標準偏差の平均値を監視する際に用いるものとする。
【0043】
なお、同一の部品メーカの同一のカテゴリの電子部品について監視する上記監視手法はあくまで一例にすぎず、例えば、カテゴリによって、対象とする販売サイトを限定したうえで、カテゴリ単位の標準偏差の閾値を決定してもよい。
【0044】
<部品情報監視装置のハードウェア構成>
次に、部品情報監視装置140のハードウェア構成について説明する。図2は、部品情報監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0045】
図2に示すように、部品情報監視装置140は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を有する。CPU201、ROM202、RAM203は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0046】
また、部品情報監視装置140は、補助記憶部204、操作部205、表示部206、通信部207、ドライブ部208を有する。なお、部品情報監視装置140の各ハードウェアは、バス209を介して相互に接続されている。
【0047】
CPU201は、補助記憶部204にインストールされている各種プログラム(例えば、後述する部品情報監視プログラム等)を実行する演算デバイスである。
【0048】
ROM202は、不揮発性メモリである。ROM202は、補助記憶部204にインストールされている各種プログラムをCPU201が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM202はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0049】
RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM203は、補助記憶部204にインストールされている各種プログラムがCPU201によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0050】
補助記憶部204は、各種プログラムや、各種プログラムが実行されることで取得される情報を格納する補助記憶デバイスである。後述する単価情報格納部、判定基準情報格納部は、補助記憶部204において実現される。
【0051】
操作部205は、部品情報監視装置140のユーザが部品情報監視装置140に対して各種指示を入力する際に用いる入力デバイスである。表示部206は、部品情報監視プログラムが実行されることで、ユーザにアラームを報知する出力デバイスである。
【0052】
通信部207は、ネットワーク130に接続され、部品情報監視装置140が販売サイト120_1~120_Nにアクセスするための通信デバイスである。
【0053】
ドライブ部208は記録媒体210をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体210には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体210には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0054】
なお、補助記憶部204にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体210がドライブ部208にセットされ、該記録媒体210に記録された各種プログラムがドライブ部208により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶部204にインストールされる各種プログラムは、ネットワーク130よりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0055】
<部品情報監視装置の機能構成>
次に、部品情報監視装置140の機能構成について説明する。図3は、部品情報監視装置の機能構成の一例を示す第1の図である。上述したとおり、部品情報監視装置140には、部品情報監視プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、部品情報監視装置140は、単価情報取得部310、解析部320、判定基準決定部330、判定部340として機能する。
【0056】
単価情報取得部310は取得部の一例であり、販売サイト120_1~120_Nに、異なる時間タイミングで繰り返しアクセスし、販売サイト120_1~120_Nより、部品単価情報及びサイト情報を取得する。また、単価情報取得部310は、取得した部品単価情報及びサイト情報を、単価情報格納部350に蓄積する。
【0057】
解析部320は、単価情報格納部350に蓄積された部品単価情報及びサイト情報を読み出して、各種解析を行う。解析部320が行う各種解析には、判定基準決定フェーズにおける各種解析と、部品情報監視フェーズにおける各種解析とが含まれる。
【0058】
判定基準決定フェーズとは、単価情報格納部350に蓄積された部品単価情報及びサイト情報に基づいて、種々の事象による部品単価情報及びサイト情報への影響を監視する際の判定基準となる所定値(各閾値)を決定するフェーズである。
【0059】
また、部品情報監視フェーズとは、判定基準決定フェーズにおいて決定された各閾値を用いて、単価情報格納部350に蓄積された部品単価情報及びサイト情報に基づいて、種々の事象による部品単価情報及びサイト情報への影響を監視するフェーズである。
【0060】
図3に示すように、解析部320は、更に、標準偏差解析部321、下落率解析部322、在庫なし率解析部323、値引き表示解析部324を有する。
【0061】
標準偏差解析部321は、単価情報格納部350に蓄積された、同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについての各販売サイトの部品単価に基づいて、販売サイト間の標準偏差を算出する。
【0062】
また、標準偏差解析部321は、判定基準決定フェーズにおいては、各事象の発生直前の所定期間について算出した、販売サイト間の標準偏差の推移を、判定基準決定部330に通知する。
【0063】
また、標準偏差解析部321は、部品情報監視フェーズにおいては、算出した販売サイト間の現在の標準偏差を、判定部340に通知する。
【0064】
下落率解析部322は、単価情報格納部350に蓄積された、同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについての各販売サイトの部品単価に基づいて、下落率を算出する。また、下落率解析部322は、判定基準決定フェーズにおいては、各事象の発生直前の所定期間の部品単価の下落率を、判定基準決定部330に通知する。また、下落率解析部322は、部品情報監視フェーズにおいては、算出した部品単価の現在の下落率を、判定部340に通知する。
【0065】
在庫なし率解析部323は、単価情報格納部350に蓄積された、同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについての各販売サイトのサイト情報に基づいて、在庫なし率(在庫なしとの表示がなされた割合)を算出する。
【0066】
また、在庫なし率解析部323は、判定基準決定フェーズにおいては、各事象の発生直前の所定期間について算出した在庫なし率を、判定基準決定部330に通知する。また、在庫なし率解析部323は、部品情報監視フェーズにおいては、算出した現在の在庫なし率を、判定部340に通知する。
【0067】
値引き表示解析部324は、単価情報格納部350に蓄積された、同一部品メーカ、同一カテゴリ、同一シリーズについての各販売サイトのサイト情報に基づいて、値引き表示の回数を解析する。
【0068】
また、値引き表示解析部324は、判定基準決定フェーズにおいては、各事象の発生直前の所定期間における値引き表示の回数を、判定基準決定部330に通知する。また、値引き表示解析部324は、部品情報監視フェーズにおいては、現在の値引き表示の回数を、判定部340に通知する。
【0069】
判定基準決定部330は、解析部320より通知されたそれぞれの解析結果に基づいて、各事象による部品単価情報及びサイト情報への影響を監視するための各閾値を決定する。
【0070】
具体的には、判定基準決定部330は、標準偏差解析部321より通知された、各事象の発生直前の所定期間について算出された、販売サイト間の標準偏差の推移のうち、上記第1の事象の発生直前の所定期間の標準偏差の推移に基づいて、
・標準偏差が大きくなりはじめた時点と、
・標準偏差が大きくなった後の安定した時点と、
の間の中間点の標準偏差を算出する。
【0071】
そして、判定基準決定部330は、算出した中間点の標準偏差を、シリーズ単位の標準偏差の閾値に決定する。
【0072】
また、判定基準決定部330は、標準偏差解析部321より通知された、各事象の発生直前の所定期間について算出された、販売サイト間の標準偏差の推移のうち、上記第2の事象の発生直前の所定期間の標準偏差の推移(全シリーズ分)に基づいて、
・標準偏差が大きくなりはじめた時点と、
・標準偏差が大きくなった後の安定した時点と、
の間の中間点の標準偏差を全シリーズ分算出する。そして、判定基準決定部330は、算出した全シリーズ分の中間点の標準偏差の平均値を、カテゴリ単位の標準偏差の閾値に決定する。
【0073】
また、判定基準決定部330は、下落率解析部322より通知された、各事象の発生直前の所定期間における部品単価の下落率のうち、上記第1の事象の発生直前の所定期間の下落率を解析する。そして、判定基準決定部330では、特定の販売サイトにおいて顕著な下落率が見られた場合に、当該下落率に基づいて、当該特定の販売サイトの下落率の閾値を決定する。
【0074】
また、判定基準決定部330は、在庫なし率解析部323より通知された、各事象の発生直前の所定期間の在庫なし率のうち、上記第1の事象の発生直前の所定期間の在庫なし率を解析する。そして、判定基準決定部330では、特定のサイトにおいて顕著な在庫なし率が見られた場合に、当該在庫なし率に基づいて、当該販売サイトの在庫なし率の閾値を決定する。
【0075】
また、判定基準決定部330は、値引き表示解析部324より通知された、各事象の発生直前の所定期間の値引き表示の回数のうち、上記第1の事象の発生直前の所定期間の値引き表示回数を解析する。そして、判定基準決定部330では、特定のサイトにおいて顕著な値引き表示回数が見られた場合に、当該値引き表示回数に基づいて、当該販売サイトの値引き表示回数の閾値を決定する。
【0076】
更に、判定基準決定部330は、決定した各閾値を、判定基準情報として判定基準情報格納部360に格納する。
【0077】
判定部340は、解析部320より通知された解析結果に基づいて、各事象による部品単価情報及びサイト情報への影響の有無を監視する。
【0078】
具体的には、判定部340は、標準偏差解析部321より通知された現在の標準偏差を、判定基準情報格納部360に格納されたシリーズ単位の標準偏差の閾値と比較する。そして、判定部340は、現在の標準偏差がシリーズ単位の標準偏差の閾値を超えたか否かを判定する。判定の結果、シリーズ単位の標準偏差の閾値を超えたと判定した場合に、判定部340は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定する。
【0079】
また、判定部340は、標準偏差解析部321より通知された現在の標準偏差について、同一部品メーカの同一カテゴリごとに平均値を算出し、算出した平均値を、判定基準情報格納部360に格納されたカテゴリ単位の標準偏差の閾値と比較する。そして、判定部340は、算出した平均値がカテゴリ単位の標準偏差の閾値を超えたか否かを判定する。判定の結果、カテゴリ単位の標準偏差の閾値を超えたと判定した場合に、判定部340は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定する。
【0080】
また、判定部340は、下落率解析部322より通知され現在の下落率のうち、特定の販売サイトの下落率を、判定基準情報格納部360に格納された特定の販売サイトの下落率の閾値と比較する。そして、判定部340は、特定の販売サイトの現在の下落率が、特定の販売サイトの下落率の閾値を超えたか否かを判定する。判定の結果、特定の販売サイトの下落率の閾値を超えたと判定した場合に、判定部340は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定する。
【0081】
また、判定部340は、在庫なし率解析部323より通知された現在の在庫なし率のうち、特定の販売サイトの在庫なし率を、判定基準情報格納部360に格納された特定の販売サイトの在庫なし率の閾値と比較する。そして、判定部340は、特定の販売サイトの現在の在庫なし率が、特定の販売サイトの在庫なし率の閾値を超えたか否かを判定する。判定の結果、特定の販売サイトの在庫なし率の閾値を超えたと判定した場合、判定部340は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定する。
【0082】
また、判定部340は、値引き表示解析部324より通知された現在の値引き表示回数のうち、特定の販売サイトの値引き表示回数を、判定基準情報格納部360に格納された特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値と比較する。そして、判定部340は、特定の販売サイトの現在の値引き表示回数が、特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値を超えたか否かを判定する。判定の結果、特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値を超えたと判定した場合、判定部340は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定する。
【0083】
更に、判定部340は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定した場合に、ユーザにアラームを報知する。これにより、部品情報監視装置140のユーザは、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があることを認識することができる。この結果、ユーザは、部品調達の際に、安定した部品供給が受けられるか否かについて十分な検討を行うことが可能となり、部品調達におけるリスクを低減させることができる。
【0084】
<部品単価と標準偏差の説明>
次に、同一部品メーカの同一カテゴリの同一シリーズについての、事象発生直前の所定期間における部品単価と標準偏差とについて、具体例を挙げて説明する。図4は、部品単価及び標準偏差の具体例を示す図である。
【0085】
図4において、部品単価情報410は、
・カテゴリ=“IC”、
・部品メーカ=“部品メーカI”、
・シリーズ=“IC-α”、
・パッケージタイプ=“箱詰め10個入り”、
についての各販売サイト(“販売サイトA”~“販売サイトN”)での第1の事象発生直前の所定期間における部品単価を示している。なお、各販売サイトの部品単価情報を複数重ねて示しているのは、第1の事象発生直前の所定期間内に複数の部品単価情報を取得したことを示している(ここでは、異なるタイミングで20回分の部品単価情報が取得されたものとして説明する)。
【0086】
図4において、解析結果420は、取得した部品単価情報410に基づいて、標準偏差解析部321により算出された、第1の事象発生直前の所定期間における標準偏差を示している。なお、解析結果420では、紙面の都合上、サイト名=“販売サイトA”~“販売サイトF”までの部品単価に基づいて算出した標準偏差を示している。
【0087】
このように、標準偏差解析部321では、判定基準決定フェーズにおいて、第1の事象発生直前の所定期間における、部品単価の販売サイト間の標準偏差を算出する。
【0088】
<標準偏差の閾値の決定例>
次に、図4で示した解析結果420に含まれる各販売サイトの部品単価の推移及び標準偏差の推移のグラフを示し、判定基準決定部330によるシリーズ単位の標準偏差の閾値の決定例について説明する。
【0089】
図5は、標準偏差の閾値の決定例を示す図である。このうち、図5(a)は、図4で示した解析結果420に含まれる、第1の事象発生直前の所定期間における各販売サイトの部品単価の推移を示すグラフである。図5(a)において、横軸は、第1の事象発生直前の所定期間において部品単価情報410を取得したタイミングを示しており、縦軸は、それぞれの取得タイミングにおける部品単価を示している。なお、ここでも“販売サイトA”~“販売サイトF”までの部品単価のみを示している。
【0090】
一方、図5(b)は、図4で示した解析結果420に含まれる、第1の事象発生直前の所定期間における標準偏差の推移のグラフである。図5(b)において、横軸は、第1の事象発生直前の所定期間において部品単価情報410を取得したタイミングを示しており、縦軸は、それぞれの取得タイミングにおいて算出された、標準偏差を示している。
【0091】
図5(b)の例では、取得タイミングが1回目から11回目までは、標準偏差は、概ね一定の範囲に収まっている(符号501参照)。一方、取得タイミングが12回目以降から、標準偏差が大きくなりはじめ、取得タイミングが17回目まで、継続的に、標準偏差が大きくなっている(符号502参照)。一方、取得タイミングが18回目から20回目までは、標準偏差は、大きい状態が安定して継続している(符号503参照)。
【0092】
このような標準偏差の推移に対して、判定基準決定部330では、
・標準偏差が大きくなりはじめたタイミング=12回目、
・標準偏差が大きくなり安定したタイミング=17回目、
を特定し、12回目の標準偏差と17回目の標準偏差との中間点の標準偏差を算出する(図5(b)内の黒丸510参照)。そして、判定基準決定部330では、算出した中間点の標準偏差を、シリーズ単位の標準偏差の閾値に決定する。
【0093】
なお、図5では、シリーズ単位の閾値の決定例について説明したが、上記第2の事象が発生した場合には、当該部品メーカの、当該カテゴリに含まれる全シリーズについて、図5(b)に示すグラフを生成し、中間点の標準偏差を算出する。これにより、判定基準決定部330では、全シリーズについて算出された中間点の標準偏差の平均値を、カテゴリ単位の標準偏差の閾値に決定する。
【0094】
<下落率の閾値、在庫なし率の閾値、値引き表示回数の閾値の決定例>
次に、下落率の閾値、在庫なし率の閾値、値引き表示回数の閾値の決定例について説明する。
【0095】
図6は、下落率の閾値、在庫なし率の閾値、値引き表示回数の閾値の決定例を示す図である。このうち、図6(a)は、第1の事象発生直前の所定期間における各販売サイトの部品単価に基づいて、下落率解析部322が算出した下落率を示している。図6(a)の例において、横軸は、第1の事象発生直前の所定期間において部品単価情報410を取得したタイミングを示しており、縦軸は、それぞれの取得タイミングにおける、はじめの部品単価からの下落率を示している。
【0096】
図6(a)の場合、第1の事象発生直前の所定期間において、部品単価の下落率が顕著な販売サイトが存在する(例えば、“販売サイトD”、“販売サイトF”)。このため、判定基準決定部330では、当該販売サイトの下落率に基づいて、当該販売サイトの下落率の閾値を決定する。
【0097】
図6(b)は、第1の事象発生直前の所定期間におけるサイト情報に基づいて、在庫なし率解析部323が算出した、特定の販売サイト(例えば、“販売サイトF”)の在庫なし率を示している。なお、図6(b)では、便宜上、部品単価の推移を示すグラフに対応付けて在庫なし表示を示している。図6(b)の場合、第1の事象発生直前の所定期間において、特定の販売サイト(例えば、“販売サイトF”)で、在庫なし表示が7回行われている(したがって、在庫なし率=7回/20回×100=35%となる)。このため、判定基準決定部330では、当該顕著な在庫なし率に基づいて、特定の販売サイト(例えば、“販売サイトF”)の在庫なし率の閾値を決定する。
【0098】
図6(c)は、第1の事象発生直前の所定期間におけるサイト情報に基づいて、値引き表示解析部324が算出した、特定の販売サイト(例えば、“販売サイトD”)の値引き表示回数を示している。なお、図6(c)では、便宜上、部品単価の推移を示すグラフに対応付けて値引き表示を示している。図6(c)の場合、第1の事象発生直前の所定期間において、特定の販売サイト(例えば、“販売サイトD”)で、値引き表示が6回行われている。このため、判定基準決定部330では、当該顕著な値引き表示回数に基づいて、特定の販売サイト(例えば、“販売サイトD”)の値引き表示回数の閾値を決定する。
【0099】
<判定基準情報の説明>
次に、部品情報監視装置140の判定基準情報格納部360に格納される、判定基準情報について説明する。図7は、判定基準情報の一例を示す図である。図7に示すように、判定基準情報700には、
・シリーズ単位の標準偏差の閾値、
・カテゴリ単位の標準偏差の閾値、
・特定の販売サイトの(シリーズ単位の)下落率の閾値、
・特定の販売サイトの(シリーズ単位の)在庫なし率の閾値、
・特定の販売サイトの(シリーズ単位の)値引き表示回数の閾値、
が含まれる。
【0100】
なお、判定基準情報700の場合、シリーズ単位の標準偏差の閾値として1つの閾値(“THs”)のみが格納されている。しかしながら、上記第1の事象が複数のシリーズにおいて発生していた場合にあっては、複数のシリーズそれぞれについて、シリーズ単位の標準偏差の閾値が算出され、判定基準情報700に格納されることになる。
【0101】
同様に、判定基準情報700の場合、カテゴリ単位の標準偏差の閾値として1つの閾値(“THc”)が格納されている。しかしながら、上記第2の事象が複数のカテゴリにおいて発生していた場合にあっては、複数のカテゴリそれぞれについて、カテゴリ単位の標準偏差の閾値が算出され、判定基準情報700に格納されることになる。
【0102】
また、判定基準情報700の場合、特定の販売サイトについての下落率の閾値として、販売サイト=“販売サイトD”、“販売サイトF”の下落率の閾値が算出された場合を示している。ただし、他の販売サイトにおいても顕著な下落率が見られた場合にあっては、判定基準決定部330は、他の販売サイトについての下落率の閾値を算出してもよい。
【0103】
また、判定基準情報700の場合、特定のサイトの在庫なし率の閾値として、販売サイト=“販売サイトF”の在庫なし率の閾値が算出された場合を示している。ただし、他の販売サイトについても顕著な在庫なし率が見られた場合にあっては、判定基準決定部330は、他の販売サイトについての在庫なし率の閾値を算出してもよい。
【0104】
また、判定基準情報700の場合、特定のサイトの値引き表示回数の閾値として、販売サイト=“販売サイトD”の値引き表示回数の閾値が算出された場合を示している。ただし、他の販売サイトについても顕著な値引き表示回数が見られた場合にあっては、判定基準決定部330は、他の販売サイトについての値引き表示回数の閾値を算出してもよい。
【0105】
<解析結果の一例>
次に、部品情報監視フェーズにおける解析部320による解析結果について説明する。図8は、解析部による解析結果の一例を示す図である。
【0106】
このうち、解析結果801は、部品メーカ=“部品メーカI”について、各カテゴリのシリーズごとに、部品単価情報及びサイト情報を取得して解析した結果を示している。
【0107】
解析結果801に示すように、部品メーカ=“部品メーカI”の場合、カテゴリ=“IC”、“メモリ”、“抵抗素子”、“コイル素子”を生産している。また、部品メーカ=“部品メーカI”の場合、カテゴリ=“IC”について、2つのシリーズ(“IC-α”、“IC-β”)を生産している。また、部品メーカ=“部品メーカI”の場合、カテゴリ=“メモリ”について、3つのシリーズ(“Mem1”、“Mem2”、“Mem3”)を生産している。また、部品メーカ=“部品メーカI”の場合、カテゴリ=“抵抗素子”について、2つのシリーズ(“R-α”、“R-β”)を生産している。更に、部品メーカ=“部品メーカI”の場合、カテゴリ=“コイル”について、3つのシリーズ(“C1”、“C2”、“C3”)を生産している。
【0108】
このため、標準偏差解析部321では、それぞれのシリーズの部品単価情報を各販売サイトから取得し、“部品単価の推移”に記録する。また、標準偏差解析部321は、“部品単価の推移”に記録したそれぞれのシリーズの各販売サイトの部品単価情報に基づいて、標準偏差を算出し、“標準偏差の推移”に記録する。
【0109】
更に、標準偏差解析部321は、“標準偏差の推移”に記録された標準偏差について、カテゴリごとに平均値を算出し、“標準偏差の平均値の推移”に記録する。
【0110】
また、下落率解析部322は、それぞれのシリーズの“部品単価の推移”に記録した部品単価情報に基づいて、特定の販売サイトの下落率を算出し、“下落率”に記録する。
【0111】
また、在庫なし率解析部323では、それぞれのシリーズのサイト情報を各販売サイトから取得し、特定の販売サイトについて在庫なし率を算出したうえで、“在庫なし率”に記録する。また、値引き表示解析部324では、それぞれのシリーズのサイト情報を各販売サイトから取得し、特定の販売サイトについて値引き表示回数を算出したうえで、“値引き表示回数”に記録する。
【0112】
また、解析結果802は、部品メーカ=“部品メーカII”について、各カテゴリのシリーズごとに、部品単価情報及びサイト情報を取得して解析した結果を示している。更に、解析結果803は、部品メーカ=“部品メーカIII”について、各カテゴリのシリーズごとに、部品単価情報及びサイト情報を取得して解析した結果を示している。以下、すべての部品メーカについての同様の解析結果が解析部320から出力される(図8において不図示)。
【0113】
判定部340は、解析部320から各解析結果801~803等が通知されると、当該各解析結果に基づいて、何らかの事象が発生しているか、または、何らかの事象が発生する可能性があるかを判定する。具体的には、まず、判定基準情報700に記録されたシリーズ単位の標準偏差の閾値THsと、各解析結果の“標準偏差の推移”に記録された現在の標準偏差(対象部品の標準偏差)とを順次比較する。そして、判定部340は、各解析結果の“標準偏差の推移”に記録された現在の標準偏差が、シリーズ単位の標準偏差の閾値THsを超えたか否かを判定する。
【0114】
続いて、判定部340は、判定基準情報700に記録されたカテゴリ単位の標準偏差の閾値THcと、各解析結果の“標準偏差の平均値の推移”に記録された現在の標準偏差のカテゴリごとの平均値(対象部品の標準偏差)とを順次比較する。そして、判定部340は、各解析結果の“標準偏差の平均値の推移”に記録された現在の標準偏差のカテゴリごとの平均値が、カテゴリ単位の標準偏差の閾値THcを超えたか否かを判定する。
【0115】
続いて、判定部340は、判定基準情報700に記録された特定の販売サイトの下落率の閾値THdと、各解析結果の“下落率”に記録された特定の販売サイトの現在の下落率(対象部品の下落率)とを順次比較する。そして、判定部340は、各解析結果の“下落率”に記録された特定の販売サイトの現在の下落率が、特定の販売サイトの下落率の閾値THdを超えたか否かを判定する。
【0116】
続いて、判定部340は、判定基準情報700に記録された特定の販売サイトの在庫なし率の閾値THstと、各解析結果の“在庫なし率”に記録された特定の販売サイトの現在の在庫なし率(対象部品の在庫なし率)とを順次比較する。そして、判定部340は、各解析結果の“在庫なし率”に記録された特定の販売サイトの現在の在庫なし率が、特定の販売サイトの在庫なし率の閾値THstを超えたか否かを判定する。
【0117】
続いて、判定部340は、判定基準情報700に記録された特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値THdisと、各解析結果の“値引き表示回数”に記録された特定の販売サイトの現在の値引き表示回数(対象部品の値引き表示回数)とを順次比較する。そして、判定部340は、各解析結果の“値引き表示回数”に記録された特定の販売サイトの現在の値引き表示回数が、特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値THdisを超えたか否かを判定する。
【0118】
このように、判定部340では、部品情報を複数の監視手法により監視することができる。
【0119】
<判定基準決定処理の流れ>
次に、部品情報監視装置140が判定基準決定フェーズにおいて実行する、判定基準決定処理の流れについて説明する。図9は、判定基準決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0120】
ステップS901において、単価情報取得部310は、販売サイト120_1~120_Nに、異なる時間タイミングで繰り返しアクセスし、部品単価情報及びサイト情報を取得し、単価情報格納部350に蓄積する。
【0121】
ステップS902において、解析部320は、単価情報格納部350に格納された部品単価情報及びサイト情報のうち、過去に事象が発生した電子部品についての、事象発生直前の所定期間における部品単価情報及びサイト情報を抽出する。
【0122】
ステップS903において、標準偏差解析部321は、ステップS902において抽出された部品単価情報に基づいて、事象発生直前の所定期間における部品単価の標準偏差の推移を算出する。
【0123】
ステップS904において、判定基準決定部330は、算出された標準偏差の推移に基づいて、シリーズ単位の標準偏差の閾値及びカテゴリ単位の標準偏差の閾値を算出し、判定基準情報700に記録する。
【0124】
ステップS905において、下落率解析部322は、ステップS902において抽出された部品単価情報に基づいて、事象発生直前の所定期間における下落率を算出する。ステップS906において、判定基準決定部330は、特定の販売サイトの下落率の閾値を決定し、判定基準情報700に記録する。
【0125】
ステップS907において、在庫なし率解析部323は、ステップS902において抽出されたサイト情報に基づいて、事象発生直前の所定期間における在庫なし率を算出する。ステップS908において、判定基準決定部330は、特定の販売サイトの在庫なし率の閾値を決定し、判定基準情報700に記録する。
【0126】
ステップS909において、値引き表示解析部324は、ステップS902において抽出されたサイト情報に基づいて、事象発生直前の所定期間における値引き表示回数を算出する。ステップS910において、判定基準決定部330は、算出された値引き表示回数に基づいて、特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値を決定し、判定基準情報700に記録する。
【0127】
<部品情報監視処理の流れ>
次に、部品情報監視装置140が部品情報監視フェーズにおいて実行する、部品情報監視処理の流れについて説明する。図10は、部品情報監視処理の流れを示すフローチャートである。
【0128】
ステップS1001において、単価情報取得部310は、販売サイト120_1~120_Nに、異なる時間タイミングで繰り返しアクセスし、部品単価情報及びサイト情報を取得し、単価情報格納部350に蓄積する。
【0129】
ステップS1002において、解析部320は、単価情報格納部350に蓄積された部品単価情報及びサイト情報のうち、現在の部品単価情報及びサイト情報を読み出す。また、解析部320は、読み出した現在の部品単価情報及びサイト情報を解析する。具体的には、標準偏差解析部321は現在の標準偏差(シリーズごとの標準偏差、カテゴリごとの標準偏差の平均値)を算出する。また、下落率解析部322は特定の販売サイトにおける現在の下落率を算出する。また、在庫なし率解析部323は特定の販売サイトにおける現在の在庫なし率を算出する。更に、値引き表示解析部324は特定の販売サイトにおける現在の値引き表示の回数を算出する。
【0130】
ステップS1003において、判定部340は、判定基準情報格納部360よりカテゴリ単位の標準偏差の閾値を読み出し、ステップS1002において算出したカテゴリごとの現在の標準偏差の平均値と比較する。比較の結果、ステップS1003において、カテゴリごとの現在の標準偏差の平均値が、カテゴリ単位の標準偏差の閾値を超えたと判定した場合には(ステップS1003においてYesの場合には)、ステップS1008に進む。
【0131】
一方、ステップS1003において、カテゴリごとの現在の標準偏差の平均値が、カテゴリ単位の標準偏差の閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS1003においてNoの場合には)、ステップS1004に進む。
【0132】
ステップS1004において、判定部340は、判定基準情報格納部360よりシリーズ単位の標準偏差の閾値を読み出し、ステップS1002において算出したシリーズごとの現在の標準偏差と比較する。比較の結果、ステップS1004において、シリーズごとの現在の標準偏差が、シリーズ単位の標準偏差の閾値を超えたと判定した場合には(ステップS1004においてYesの場合には)、ステップS1008に進む。
【0133】
一方、ステップS1004において、シリーズごとの現在の標準偏差が、シリーズ単位の標準偏差の閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS1004においてNoの場合には)、ステップS1005に進む。
【0134】
ステップS1005において、判定部340は、判定基準情報格納部360より特定の販売サイトの下落率の閾値を読み出し、ステップS1002において算出された特定の販売サイトの現在の下落率と比較する。比較の結果、ステップS1005において、特定の販売サイトの現在の下落率が、読み出した下落率の閾値を超えたと判定した場合には(ステップS1005においてYesの場合には)、ステップS1008に進む。
【0135】
一方、ステップS1005において、特定の販売サイトの現在の下落率が、読み出した下落率の閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS1005においてNoの場合には)、ステップS1006に進む。
【0136】
ステップS1006において、判定部340は、判定基準情報格納部360より、特定の販売サイトの在庫なし率の閾値を読み出し、ステップS1002において算出された特定の販売サイトの現在の在庫なし率と比較する。比較の結果、ステップS1006において、特定の販売サイトの現在の在庫なし率が、読み出した在庫なし率の閾値を超えたと判定した場合には(ステップS1006においてYesの場合には)、ステップS1008に進む。
【0137】
一方、ステップS1006において、特定の販売サイトの現在の在庫なし率が、読み出した在庫なし率の閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS1006においてNoの場合には)、ステップS1007に進む。
【0138】
ステップS1007において、判定部340は、判定基準情報格納部360より、特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値を読み出し、ステップS1002において算出された特定の販売サイトの現在の値引き表示回数と比較する。比較の結果、ステップS1007において、特定の販売サイトの現在の値引き表示回数が、読み出した値引き表示回数の閾値を超えたと判定した場合には(ステップS1007においてYesの場合には)、ステップS1008に進む。
【0139】
ステップS1008において、判定部340は、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定し、ユーザにアラームを報知する。
【0140】
一方、ステップS1007において、特定の販売サイトの現在の値引き表示回数が、読み出した値引き表示回数の閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS1007においてNoの場合には)、ステップS1009に進む。
【0141】
ステップS1009において、解析部320は、部品情報監視処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合には(ステップS1009においてNoの場合には)、ステップS1001に戻る。一方、ステップS1009において、終了すると判定した場合には(ステップS1009においてYesの場合には)、部品情報監視処理を終了する。
【0142】
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る部品情報監視装置では、複数の部品を取り扱う複数の販売サイトから、各販売サイトで取り扱う部品の部品単価を、異なる時間タイミングで繰り返し取得する。また、第1の実施形態に係る部品情報監視装置では、対象部品についての各販売サイトの部品単価の標準偏差、下落率、在庫なし率、値引き表示回数を監視し、いずれかが所定値を超えた場合に、ユーザにアラームを報知する。
【0143】
これにより、第1の実施形態に係る部品情報監視装置によれば、ユーザは、対象部品に関して、何らかの事象が発生していること、または、何らかの事象が発生する可能性があることを認識することできる。この結果、ユーザは、部品の調達の際に、安定した部品供給が受けられるか否かについて十分な検討を行うことが可能となり、部品調達におけるリスクを低減させることができる。
【0144】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、複数の監視手法として、標準偏差、下落率、在庫なし率、値引き表示回数を用いるものとして説明した。しかしながら、部品情報の監視に用いる監視手法は、標準偏差、下落率、在庫なし率、値引き表示回数に限定されない。例えば、標準偏差の変動量を用いて部品情報を監視してもよい。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0145】
<部品情報監視装置の機能構成>
図11は、部品情報監視装置の機能構成の一例を示す第2の図である。図3との相違点は、解析部320が、変動解析部1101を有する点である。
【0146】
変動解析部1101は、標準偏差解析部321により算出された標準偏差を取得し、標準偏差の変動量を算出する。なお、判定部340では、変動解析部1101において算出された変動量が、所定の閾値以上であった場合に、対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定し、ユーザにアラームを報知する。
【0147】
<変動解析部による解析結果>
図12は、標準偏差の変動量の一例を示す図である。図12において、解析結果420は、標準偏差解析部321により算出された、第1の事象発生直前の所定期間における標準偏差を示しており、図4と同様である。
【0148】
一方、図12において、矢印1201~1203は、変動解析部1101が算出した標準偏差の変動量を示している。矢印1201は、取得タイミングが12回目から13回目にかけての標準偏差の変動量が“7.42”であることを示している。また、矢印1202は、取得タイミングが12回目から14回目にかけての標準偏差の変動量が“16”であることを示している。更に、矢印1203は、取得タイミングが12回目から15回目にかけての標準偏差の変動量が“21.02”であることを示している。
【0149】
判定部340では、例えば、対象部品の標準偏差の変動量が“15”以上となった場合に、当該対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定し、ユーザにアラームを報知する。
【0150】
このように、第2の実施形態に係る部品情報監視装置では、上記第1の実施形態に係る部品情報監視装置の機能に加えて、更に、標準偏差の変動量を用いて部品情報を監視し、所定の閾値以上となった場合に、ユーザにアラームを報知する。
【0151】
これにより、第2の実施形態に係る部品情報監視装置によれば、部品調達におけるリスクを更に低減させることができる。
【0152】
[第3の実施形態]
上記第2の実施形態では、監視手法として、標準偏差、標準偏差の変動量、下落率、在庫なし率、値引き表示回数を用いるものとして説明した。しかしながら、部品情報の監視に用いる監視手法は、標準偏差、標準偏差の変動量、下落率、在庫なし率、値引き表示回数に限定されない。例えば、部品単価の上昇の有無、下落率の変動量を用いて部品情報を監視してもよい。以下、第3の実施形態について、上記第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0153】
図13は、部品情報監視装置の機能構成の一例を示す第3の図である。図11との相違点は、解析部320が、上昇解析部1301、変動解析部1302を有する点である。
【0154】
上昇解析部1301は、部品単価が上昇したか否かを解析し、解析結果を判定部340に通知する。これにより、判定部340では、対象部品の部品単価が上昇した場合に、当該対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定し、ユーザにアラームを報知する。通常、部品単価が上昇することはないからである。
【0155】
変動解析部1302は、下落率の変動量を解析し、解析結果を判定部340に通知する。これにより、判定部340では、対象部品について通知された変動量が所定の閾値以上であった場合に、当該対象部品に関して、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定し、ユーザにアラームを報知する。通常、部品単価は徐々に下落していくからである。
【0156】
このように、第3の実施形態に係る部品情報監視装置では、上記第2の実施形態に係る部品情報監視装置の機能に加えて、更に、部品単価の上昇及び下落率の変動量を用いて部品情報を監視し、ユーザにアラームを報知する。
【0157】
これにより、第3の実施形態に係る部品情報監視装置によれば、部品調達におけるリスクを更に低減させることができる。
【0158】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、ユーザに報知するアラームの詳細について言及しなかったが、ユーザに報知するアラームは、例えば、いずれの監視手法に基づいて判定されたかを、ユーザに明示するものであってもよい。例えば、シリーズ単位の標準偏差の閾値に基づいて判定された場合にあっては、当該シリーズの対象部品についてEOLが発生する可能性が高いことをアラームとして報知してもよい。あるいは、カテゴリ単位の標準偏差の閾値に基づいて判定された場合にあっては、当該カテゴリに含まれる対象部品についてEOLが発生する可能性が高いことをアラームとして報知してもよい。
【0159】
あるいは、特定の販売サイトの下落率の閾値に基づいて判定された場合にあっては、特定の販売サイトの部品単価の下落率が大きくなったことをアラームとして報知してもよい。あるいは、特定の販売サイトの在庫なし率の閾値に基づいて判定された場合にあっては、特定の販売サイトの電子部品について在庫なし率が大きくなったことをアラームとして報知してもよい。あるいは、特定の販売サイトの値引き表示回数の閾値に基づいて判定された場合にあっては、特定の販売サイトの値引き表示回数が多くなったことをアラームとして報知してもよい。その他、部品単価の標準偏差の変動量が大きくなったこと、部品単価が上昇したこと、部品単価の下落率の変動量が大きくなったこと等をアラームとして報知してもよい。
【0160】
また、上記各実施形態では、判定基準決定部において決定された閾値を超えたタイミングで、ユーザにアラームを報知するものとして説明した。しかしながら、アラームを報知するタイミングはこれに限定されない。例えば、ユーザがいずれかの電子部品を検索した場合であって、当該電子部品が、過去に、何らかの事象が発生している、または、何らかの事象が発生する可能性があると判定されていた場合には、当該電子部品を検索したタイミングでアラームを報知してもよい。
【0161】
また、上記各実施形態では、複数の監視手法(標準偏差、標準偏差の変動量、部品単価の上昇、下落率、下落率の変動量、在庫なし率、値引き表示回数)のうち、標準偏差について、シリーズごとの観点及びカテゴリごとの観点から監視するものとして説明した。しかしながら、標準偏差以外の他の監視手法についても、シリーズごとの観点及びカテゴリごとの観点から監視してもよい。あるいは、パッケージングタイプごとの観点から監視してもよい。
【0162】
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
複数の部品を取り扱う複数のサイトから、各サイトで取り扱う部品の単価を、異なる時間タイミングで繰り返し取得し、
対象部品についての各サイトの単価の標準偏差が所定値を超えた場合に報知する、
処理をコンピュータに実行させるための部品情報監視プログラム。
(付記2)
前記所定値は、過去に生産終息が発生した部品について、所定期間に蓄積した各サイトの単価の標準偏差の変動前と変動後の中間点に基づいて算出される、付記1に記載の部品情報監視プログラム。
(付記3)
前記コンピュータに、
対象部品についての特定のサイトの単価の下落率が所定値を超えた場合に報知する、
処理を更に実行させる、付記1に記載の部品情報監視プログラム。
(付記4)
前記コンピュータに、
対象部品について、特定のサイトにおいて在庫なしを示す情報が表示される割合が所定値を超えた場合に報知する、
処理を更に実行させる、付記3に記載の部品情報監視プログラム。
(付記5)
前記コンピュータに、
対象部品について、特定のサイトにおいて値引き表示の回数が所定値を超えた場合に報知する、
処理を更に実行させる、付記4に記載の部品情報監視プログラム。
(付記6)
前記所定値は、部品のカテゴリごと、または、部品のシリーズごとに決定される、付記1乃至付記5のいずれかの付記に記載の部品情報監視プログラム。
(付記7)
前記コンピュータに、
生産終息が発生することを報知する、
処理を実行させる、付記2に記載の部品情報監視プログラム。
(付記8)
前記コンピュータに、
対象部品についての各サイトの単価の標準偏差の変動量が所定値を超えた場合に報知する、
処理を実行させる、付記7に記載の部品情報監視プログラム。
(付記9)
前記コンピュータに、
対象部品についてのいずれかのサイトの単価が上昇した場合に報知する、
処理を実行させる、付記8に記載の部品情報監視プログラム。
(付記10)
前記コンピュータに、
対象部品についてのいずれかのサイトの単価の下落率の変動量が所定値を超えた場合に報知する、
処理を実行させる、付記9に記載の部品情報監視プログラム。
(付記11)
複数の部品を取り扱う複数のサイトから、各サイトで取り扱う部品の単価を、異なる時間タイミングで繰り返し取得する取得部と、
対象部品についての各サイトの単価の標準偏差が所定値を超えた場合に報知する判定部と
を有する部品情報監視装置。
【0163】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0164】
100 :部品情報監視システム
140 :部品情報監視装置
310 :単価情報取得部
320 :解析部
321 :標準偏差解析部
322 :下落率解析部
323 :在庫なし率解析部
324 :値引き表示解析部
330 :判定基準決定部
340 :判定部
350 :単価情報格納部
360 :判定基準情報格納部
1101 :変動解析部
1301 :上昇解析部
1302 :変動解析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13