(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】シールドケース及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20230511BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230511BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H05K9/00 G
H05K7/20 B
H01L23/00 C
(21)【出願番号】P 2019100931
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 章央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佳明
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-008741(JP,A)
【文献】特開平02-156699(JP,A)
【文献】特開平08-293688(JP,A)
【文献】特開2002-335084(JP,A)
【文献】特開2005-072362(JP,A)
【文献】特開2010-226015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 7/20
H01L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のパッド部に電気的に接続されるリード部を有する電子部品を覆う本体部と、
前記本体部の第1の側壁部が内側に切り起こされ、前記電子部品を前記本体部の内部で位置出しする位置出し部と、
前記第1の側壁部に隣接する第2の側壁部から連続して折り曲げられ、前記位置出し部を形成するために前記第1の側壁部を切り起こすことで形成された開放部を覆う舌部と、
を備える、シールドケース。
【請求項2】
前記位置出し部は、当該位置出し部の先端部に外側に向かって延在し、且つ前記電子部品を前記本体部の内部に誘導する誘導部を有する、弾性変形可能な板状体であり、
前記第1の側壁部は、前記本体部で前記電子部品を覆った状態で当該電子部品のリード部が延在する方向に対して直交する方向で向かい合うように配置され、各々の前記第1の側壁部に形成された前記位置出し部は、向かい合うように配置されている、請求項1に記載のシールドケース。
【請求項3】
前記電子部品を通すために前記基板に形成された貫通部の縁部に接触し、前記基板に対して前記シールドケースを介して前記電子部品を位置決めする位置決め部を備える、請求項1又は2に記載のシールドケース。
【請求項4】
前記本体部から外側に突出し、貫通部を有する固定部を備え、
前記固定部は、前記本体部で前記電子部品の本体部を覆った状態で当該電子部品の本体部から外側に突出する固定部を覆い、且つ前記シールドケースの固定部の貫通部と、前記電子部品の固定部に形成された貫通部と、に通されたボルトを介して放熱部材に固定される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシールドケース。
【請求項5】
リード部を有する電子部品と、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシールドケースと、
前記電子部品のリード部が電気的に接続されるパッド部と、前記電子部品が通される貫通部と、を有する基板と、
前記基板と重ねられ、前記シールドケースの本体部で覆われた前記電子部品が前記基板の貫通部に通された状態で前記シールドケースと共に固定される放熱部と、
を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドケース及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、シールドケースの内部の電子部品が高周波の増幅器である場合、半田付けを行う基板のパッド部の位置に対して電子部品のリード部の位置には高い精度が要求される場合がある。周波数がUHF帯(300MHz~3GHz)になると、基板上の配線で信号の入出力はストリップラインとなることから、リード部の固定位置のずれが基板上の波長に対して十分に影響を及ぼす長さとなり、固定位置によっては想定した性能を得られない場合がある。
【0003】
そこで、特許文献1のシールドケースは、側壁部に切り起こし部を形成し、当該切り起こし部を用いて電子部品を容易に位置出しすることができる構成とすることで、電子部品のリード部を精度良く基板のパッド部に電気的に接続可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシールドケースは、切り起こし部を形成するために切り起こされた部分が開放しており、シールドケースの内部の電子部品に対する電磁妨害を抑制するためのシールド効果が低減するという課題を有する。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであり、電子部品の位置出しが容易で、且つシールド効果に優れたシールドケース及び電子機器を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るシールドケースは、
基板のパッド部に電気的に接続されるリード部を有する電子部品を覆う本体部と、
前記本体部の第1の側壁部が内側に切り起こされ、前記電子部品を前記本体部の内部で位置出しする位置出し部と、
前記第1の側壁部に隣接する第2の側壁部から連続して折り曲げられ、前記位置出し部を形成するために前記第1の側壁部を切り起こすことで形成された開放部を覆う舌部と、
を備える。
【0008】
本発明の一形態に係る電子機器は、
リード部を有する電子部品と、
上述のシールドケースと、
前記電子部品のリード部が電気的に接続されるパッド部と、前記電子部品が通される貫通部と、を有する基板と、
前記基板と重ねられ、前記シールドケースの本体部で覆われた前記電子部品が前記基板の貫通部に通された状態で前記シールドケースと共に固定される放熱部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品の位置出しが容易で、且つシールド効果に優れたシールドケース及び電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1の電子機器を模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1の電子機器を模式的に示す分解図である。
【
図3】実施の形態1の電子機器をZ軸+側から見た図である。
【
図5】実施の形態1のシールドケースを模式的に示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1のシールドケースを模式的に示す異なる斜視図である。
【
図7】実施の形態1のシールドケースを模式的に示す図である。
【
図8】実施の形態2のシールドケースを模式的に示す斜視図である。
【
図9】実施の形態2の電子機器をZ軸+側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
<実施の形態1>
先ず、本実施の形態のシールドケースを用いた電子機器の構成を説明する。
図1は、本実施の形態の電子機器を模式的に示す斜視図である。
図2は、本実施の形態の電子機器を模式的に示す分解図である。
図3は、本実施の形態の電子機器をZ軸+側から見た図である。
図4は、
図3のIV-IV断面図である。なお、以下の説明では、説明を明確にするために、三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。
【0013】
電子機器1は、例えば、無線通信機器であり、
図1乃至
図4に示すように、電子部品2、シールドケース3、基板4及び放熱部5を備えている。電子部品2は、例えば、当該電子部品2と基板4とで無線通信機能を実現するためのパワーIC(Integrated Circuit)である。但し、電子部品2は、動作した際に発熱する電子部品であればよい。
【0014】
電子部品2は、
図2に示すように、本体部21、リード部22及び固定部23を備えている。本体部21は、例えば、Z軸-側の面が略平坦であって、Y軸方向の長さがX軸方向の長さに対して長い四角柱である。但し、本体部21は、Z軸方向から見て四角形以外の多角形状でもよく、本体部21の形状は限定されない。リード部22は、本体部21におけるX軸+側の面のZ軸-側の部分からX軸+側に突出しており、Z軸方向において略等しい高さに配置されている。
【0015】
固定部23は、詳細は後述するが、放熱部5に電子部品2を固定するために当該放熱部5に固定される。固定部23は、Z軸+側の面及びZ軸-側の面が略平坦な板状体であり、本体部21におけるリード部22が突出する面と隣接する面から突出している。例えば、本実施の形態では、固定部23として、第1の固定部23a及び第2の固定部23bを備えている。
【0016】
第1の固定部23aは、本体部21のY軸+側の面のZ軸-側の部分からY軸+側に突出しており、詳細は後述するが、ボルト6が通される貫通部23cが形成されている。貫通部23cは、ボルト6の軸部の太さに対して当該貫通部23cのX軸方向の幅寸法が広く、Y軸方向に延在している。貫通部23cのY軸+側は、開放されているとよい。
【0017】
第2の固定部23bは、本体部21のY軸-側の面のZ軸-側の部分からY軸-側に突出しており、詳細は後述するが、ボルト6が通される貫通部23dが形成されている。貫通部23dは、ボルト6の軸部の太さに対して当該貫通部23dのX軸方向の幅寸法が広く、Y軸方向に延在している。貫通部23dのY軸-側は、開放されているとよい。このような第1の固定部23a及び第2の固定部23bのZ軸-側の面と本体部21のZ軸-側の面とは、略面一に配置されている。
【0018】
シールドケース3は、電子部品2の本体部21を覆って外部から当該電子部品2に対する電磁妨害を抑制する。ここで、
図5は、本実施の形態のシールドケースを模式的に示す斜視図である。
図6は、本実施の形態のシールドケースを模式的に示す異なる斜視図である。
図7は、本実施の形態のシールドケースを模式的に示す図であり、(a)はシールドケースをZ軸+側から見た図であり、(b)はシールドケースをX軸-側から見た図であり、(c)は(a)のC-C断面図であり、(d)はシールドケースをY軸-側から見た図であり、(e)はシールドケースをY軸+側から見た図であり、(f)はシールドケースをZ軸-側から見た図である。
【0019】
シールドケース3は、板金により形成されている。つまり、シールドケース3は、金属製の板状体を折り曲げて形成されている。このとき、シールドケース3の材料及び厚さは、板金を行う際の作業性や電子部品2へのシールド効果、及び、詳細は後述するが、電子部品2を位置出しする際の弾性変形のし易さなどを考慮して、適宜、設定することができ、例えば、厚さが0.5mm以下のリン青銅が好適である。
【0020】
シールドケース3は、
図7(a)乃至(f)に示すように、本体部31及び固定部32を備えている。本体部31は、
図4に示すように、電子部品2の本体部21をZ軸+側から覆う。本体部31は、例えば、
図6に示すように、Z軸-側が開放された箱型形状であり、Z軸+側の天井部31a、X軸+側の側壁部31b、Y軸+側の側壁部31c、X軸-側の側壁部31d、及びY軸-側の側壁部31eを備えている。
【0021】
Z軸+側の天井部31aは、XY平面と略平行であり、第1の側壁部であるY軸+側の側壁部31c及びY軸-側の側壁部31eは、XZ平面と略平行であり、第2の側壁部であるX軸+側の側壁部31b及びX軸-側の側壁部31dは、YZ平面と略平行である。つまり、X軸+側の側壁部31bとX軸-側の側壁部31dとは、X軸方向で向かい合い、Y軸+側の側壁部31cとY軸-側の側壁部31eとは、Y軸方向で向かい合っている。
【0022】
これらのZ軸+側の天井部31a、X軸+側の側壁部31b、Y軸+側の側壁部31c、X軸-側の側壁部31d、及びY軸-側の側壁部31eで形成される内部空間は、電子部品2の本体部21の製造誤差を吸収することができるように、電子部品2の本体部21の外形に対して、若干、広い。なお、本体部31の形状は、上述の限りでなく、電子部品2の本体部21の形状に応じて、適宜、変更することができる。
【0023】
X軸+側の側壁部31bには、
図5に示すように、電子部品2のリード部22を通すための切り欠き部33が形成されている。切り欠き部33は、Z軸-側が開放されている。そして、電子部品2のリード部22が延在するX軸方向に対して直交するY軸方向で向かい合うように配置されたY軸+側の側壁部31c及びY軸-側の側壁部31eには、本体部31の内部に電子部品2を位置出しするための位置出し部34が形成されている。
【0024】
位置出し部34は、
図7(c)などに示すように、Y軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eの一部を切り起こすことで形成されている。すなわち、Y軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eにおける位置出し部34を形成することで開放される領域の縁部に沿って、当該縁部の一部を残すように切断され、残した縁部の一部を支点として切断した内側の領域が本体部31の内側に向かって折り曲げられている。
【0025】
例えば、Y軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eに対して略Uの字形状の切断部を形成し、切断部のZ軸+側の端部相互を結んだ折り曲げ線を中心に当該切断部の内側の領域を本体部31の内側に向かって折り曲げる。これにより、少なくとも一部がZ軸-側に向かうに従って本体部31の内側に向かって傾斜する傾斜部34aを有する位置出し部34を切り起こすことができる。つまり、位置出し部34は、本体部31などと一体的に板金によって形成され、弾性変形可能な板状体である。
【0026】
このとき、位置出し部34は、Y軸方向で向かい合うように配置されているとよい。特に、詳細な機能は後述するが、位置出し部34は、Z軸方向から見て本体部31の中心を通るXZ平面を挟んで対称に配置されているとよい。また、切り起こし部34は、Z軸方向から見て本体部31の中心を通るYZ平面を挟んで対称に配置されているとよい。
【0027】
例えば、本実施の形態では、位置出し部34として、
図7(f)に示すように、上述した配置でY軸+側の側壁部31cに第1の位置出し部34b及び第2の位置出し部34cが形成され、Y軸-側の側壁部31eに第3の位置出し部34d及び第4の位置出し部34eが形成されているが、位置出し部34の個数や配置は、特に限定されず、詳細は後述するが、本体部31の内部で電子部品2を位置出しできる個数や配置であればよい。
【0028】
また、位置出し部34は、
図4に示すように、当該位置出し部34のZ軸-側の先端部に誘導部34fを備えているとよい。誘導部34fは、傾斜部34aのZ軸-側の端部と連続しており、Z軸-側に向かうに従って本体部31の外側に向かって傾斜している。これにより、詳細は後述するが、誘導部34fによって本体部31の内部に電子部品2を良好に誘導することができる。
【0029】
なお、位置出し部34は、例えば、X軸方向から見て、屈曲したくの字形状に形成されているが、湾曲した円弧形状でもよい。しかしながら、位置出し部34は、当該位置出し部34が形成されたY軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eに対して本体部31の内側に、位置出し部34の頂部が配置された形状であればよい。
【0030】
このとき、
図6に示すように、位置出し部34を形成するためにY軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eに開放部35が形成されるが、シールドケース3は、当該開放部35を覆うための舌部36を備えている。
【0031】
舌部36は、位置出し部34が形成されたY軸+側の側壁部31c又はY軸+側の側壁部31eに隣接するX軸+側の側壁部31b及びX軸-側の側壁部31dから連続して折り曲げられている。つまり、舌部36は、本体部31などと一体的に板金によって形成されている。
【0032】
例えば、X軸+側の側壁部31bのY軸+側の端部及びY軸-側の端部から夫々、舌部36が連続しており、当該舌部36は、本体部31の中心を通るYZ平面を境にしてX軸+側に配置された開放部35を覆った状態で、当該開放部35が形成されたY軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eに略接触するように折り曲げられている。そして、舌部36は、Y軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eに溶接などの手段で固定されている。
【0033】
また、X軸-側の側壁部31dのY軸+側の端部及びY軸-側の端部から夫々、舌部36が連続しており、当該舌部36は、本体部31の中心を通るYZ平面を境にしてX軸-側に配置された開放部35を覆った状態で、当該開放部35が形成されたY軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eに略接触するように折り曲げられている。そして、舌部36は、Y軸+側の側壁部31c又はY軸-側の側壁部31eに溶接などの手段で固定されている。なお、舌部36の形状は、開放部35の形状などに応じて、適宜、変更することができる。
【0034】
固定部32は、詳細は後述するが、放熱部5にシールドケース3を固定するために当該放熱部5に固定される。例えば、本実施の形態では、固定部32として、第1の固定部32a及び第2の固定部32bを備えており、本体部31などと一体的に板金によって形成されている。
【0035】
第1の固定部32aは、Y軸+側の側壁部31cのZ軸-側の端部からY軸+側に突出しており、Z軸+側の面及びZ軸-側の面が略平坦な板状体である。そして、第1の固定部32aは、Z軸方向から見て電子部品2の第1の固定部23aを覆うことが可能な広さを有する。
【0036】
このような第1の固定部32aには、本体部31の内部に電子部品2を固定した際に当該電子部品2の第1の固定部23aの貫通部23cと重なり、ボルト6が通される貫通部32cが形成されている。貫通部32cは、Y軸方向に延在しており、貫通部32cのY軸+側が開放されているとよい。
【0037】
第2の固定部32bは、Y軸-側の側壁部31eのZ軸-側の端部からY軸-側に突出しており、Z軸+側の面及びZ軸-側の面が略平坦な板状体である。そして、第2の固定部32bは、Z軸方向から見て電子部品2の第2の固定部23bを覆うことが可能な広さを有する。
【0038】
このような第2の固定部32bには、本体部31の内部に電子部品2を固定した際に当該電子部品2の第2の固定部23bの貫通部23dと重なり、ボルト6が通される貫通部32dが形成されている。貫通部32dは、Y軸方向に延在しており、貫通部32dのY軸-側が開放されているとよい。
【0039】
基板4は、例えば、上述のように電子部品2と基板4とで無線通信機能を実現するためのプリント基板であり、
図2に示すように、パッド部41及び貫通部42を備えている。パッド部41は、基板4のZ軸+側の面に配置されており、詳細は後述するが、電子部品2のリード部22が電気的に接続される。
【0040】
貫通部42は、基板4をZ軸方向に貫通しており、電子部品2を通すことが可能な広さを有する。例えば、貫通部42は、Z軸方向から見て矩形状である。但し、貫通部42の形状などは、電子部品2の外形などに応じて、適宜、変更することができる。
【0041】
放熱部5は、電子部品2から発生する熱を放熱する。放熱部5は、一般的に放熱部として採用される熱伝導率が高い材料で形成されており、基板4と重ねられている。放熱部5は、
図2に示すように、Z軸+側の面に電子部品2を載置する載置部51を備えている。載置部51のZ軸+側の面は、XY平面と略平行に配置されており、当該載置部51には、電子部品2及びシールドケース3を固定するためのボルト6がねじ込まれるネジ穴51aが形成されている。
【0042】
このとき、放熱部5は、放熱部5に伝達された熱が基板4に伝達されることを抑制するために、
図2に示すように、放熱部5のZ軸+側の面に溝部52を備えているとよい。基板4は、放熱部5のZ軸+側の面における溝部52の周辺の領域に載置された状態で、放熱部5に固定されている。この状態でZ軸方向から見て、放熱部5の載置部51は、基板4の貫通部42の内部に配置される。
【0043】
次に、本実施の形態の電子機器1を組み立てる流れを説明する。先ず、電子部品2のリード部22がシールドケース3の切り欠き部33の内部に配置されるように、シールドケース3の本体部31の内部に電子部品2の本体部21を挿入する。
【0044】
ここで、シールドケース3の位置出し部34が誘導部34fを備えている場合、電子部品2の本体部21が位置出し部34に引っ掛かることなく、電子部品2の本体部21をシールドケース3の本体部31の内部に良好に挿入することができる。
【0045】
そして、電子部品2の本体部21がシールドケース3の本体部31の内部に挿入されるのに伴って、シールドケース3の位置出し部34が本体部31の外側に押されるように弾性変形し、電子部品2を拘束する。これにより、電子部品2の本体部21を、大凡、シールドケース3の本体部31で覆うと共に、電子部品2の本体部21をシールドケース3の本体部31の内部で精度良く位置出しすることができる。
【0046】
このとき、シールドケース3の第1の固定部32aは、Z軸+側から電子部品2の第1の固定部23aを覆い、シールドケース3の貫通部32cと、電子部品2の貫通部23cと、が重なる。また、シールドケース3の第2の固定部32bは、Z軸+側から電子部品2の第2の固定部23bを覆い、シールドケース3の貫通部32dと、電子部品2の貫通部23dと、が重なる。
【0047】
ここで、電子部品2の貫通部23c、23dのX軸方向の幅寸法がボルト6の太さに対して広いので、シールドケース3の内部での電子部品2のX軸方向の位置が当該電子部品2の製造誤差などによってズレても、電子部品2の貫通部23c、23dとシールドケース3の貫通部32c、32dとを良好に重ねることができる。
【0048】
また、電子部品2の貫通部23c、23d及びシールドケース3の貫通部32c、32dは、Y軸方向に延在しているので、シールドケース3の内部での電子部品2のY軸方向の位置が当該電子部品2の製造誤差などによってズレても、電子部品2の貫通部23c、23dとシールドケース3の貫通部32c、32dとを良好に重ねることができる。
【0049】
さらに、シールドケース3の位置出し部34がY軸方向で向かい合うように配置されている場合、電子部品2におけるZ軸回りの回転を抑制することができ、シールドケース3の内部で電子部品2を精度良く位置出しすることができる。特に、シールドケース3の位置出し部34が、Z軸方向から見て本体部31の中心を通るXZ平面及びYZ平面を挟んで対称に配置されている場合、電子部品2におけるZ軸回りの回転を抑制することができる。
【0050】
次に、シールドケース3で覆われた電子部品2を、予め放熱部5のZ軸+側の面に固定された基板4の貫通部42の内部に配置し、放熱部5の載置部51のZ軸+側の面に載置する。このとき、電子部品2のリード部22が基板4のパッド部41のZ軸+側の面に載置されるように、電子部品2のY軸方向の位置を調整する。
【0051】
次に、シールドケース3の貫通部32cと電子部品2の貫通部23cとにボルト6に通すと共に、シールドケース3の貫通部32dと電子部品2の貫通部23dとにボルト6を通し、各々のボルト6を放熱部5のネジ穴51aにねじ込んで、電子部品2を放熱部5に固定する。このとき、シールドケース3の貫通部32c、32d及び電子部品2の貫通部23c、23dは、Y軸方向に延在しているため、上述したように電子部品2のY軸方向の位置を調整した際の当該電子部品2の位置ズレを許容することができる。
【0052】
このようなシールドケース3及び電子機器1は、シールドケース3の位置出し部34によって電子部品2の本体部21を当該シールドケース3の本体部31の内部で精度良く位置出しすることができる。しかも、シールドケース3の外側からボルト6によって電子部品2及びシールドケース3を放熱部5に固定することができるので、ボルト6によって電子部品2及びシールドケース3を放熱部5に固定する前に電子部品2を移動させて、電子部品2のリード部22を基板4のパッド部41に対して簡単に位置調整することができる。
【0053】
しかも、シールドケース3の開放部35は舌部36によって覆われているので、シールド効果に優れ、外部からの電子部品2への電磁妨害を抑制することができる。そして、このようなシールドケース3は、板金により簡単に形成することができるので、電子機器1の生産性の向上及びコストの削減に寄与できる。
【0054】
ちなみに、本実施の形態のシールドケース3及びボルト6が導電部材で構成されている場合、放熱部5を基準接地点とする接地経路を確保することができる。
【0055】
<実施の形態2>
図8は、本実施の形態のシールドケースを模式的に示す斜視図である。
図9は、本実施の形態の電子機器をZ軸+側から見た図である。
図10は、
図9のX-X断面図である。本実施の形態のシールドケース60は、
図8に示すように、固定部32に設けられた位置決め部61を備えている。なお、以下の説明では、実施の形態1と重複する説明は省略し、等しい要素には等しい符号を用いて説明する。
【0056】
位置決め部61は、シールドケース60内の電子部品2を放熱部5に固定する際に基板4の貫通部42の縁部に接触し、基板4に対してシールドケース60を位置決めする。例えば、本実施の形態では、位置決め部61として、
図8に示すように、シールドケース60の第1の固定部32aに設けられた第1の位置決め部61a1、61a2、第2の位置決め部61b1、61b2、及びシールドケース60の第2の固定部32bに設けられた第3の位置決め部61c1、61c2、第4の位置決め部61d1、61d2を備えている。
【0057】
第1の位置決め部61a1、61a2は、シールドケース60の第1の固定部32aのX軸+側であって、且つY軸+側の角部に配置されており、当該角部を挟む辺から夫々、Z軸-側に折り曲げられている。第2の位置決め部61b1、61b2は、シールドケース60の第1の固定部32aのX軸-側であって、且つY軸+側の角部に配置されており、当該角部を挟む辺から夫々、Z軸-側に折り曲げられている。
【0058】
第3の位置決め部61c1、61c2は、シールドケース60の第2の固定部32bのX軸+側であって、且つY軸-側の角部に配置されており、当該角部を挟む辺から夫々、Z軸-側に折り曲げられている。第4の位置決め部61d1、61d2は、シールドケース60の第2の固定部32bのX軸-側であって、且つY軸-側の角部に配置されており、当該角部を挟む辺から夫々、Z軸-側に折り曲げられている。
【0059】
つまり、第1の位置決め部61a1、61a2、第2の位置決め部61b1、61b2、第3の位置決め部61c1、61c2及び第4の位置決め部61d1、61d2は、本体部31などと一体的に板金によって形成されている。これらの第1の位置決め部61a1、61a2、第2の位置決め部61b1、61b2、第3の位置決め部61c1、61c2及び第4の位置決め部61d1、61d2は、電子部品2を覆った状態のシールドケース60を基板4の貫通部42に挿入した際に、電子部品2のリード部22が基板4のパッド部41と重なった状態で、当該貫通部42の縁部に接触するように配置されている。
【0060】
上述のシールドケース60を用いて電子部品2を放熱部5に固定する場合、
図9及び
図10に示すように、電子部品2を覆った状態のシールドケース60を基板4の貫通部42に挿入し、第1の位置決め部61a1、61a2、第2の位置決め部61b1、61b2、第3の位置決め部61c1、61c2及び第4の位置決め部61d1、61d2を基板4の貫通部42の縁部に接触させる。
【0061】
これにより、シールドケース60が基板4に対して位置決めされると共に、シールドケース60内の電子部品2のリード部22が基板4のパッド部41と重なるように配置される。そのため、電子部品2を配置する際に、電子部品2の位置出しを簡単に行うことができる。
【0062】
なお、位置決め部61は、上述の構成に限らず、基板4に対してシールドケース60内の電子部品2のX軸方向及びY軸方向の位置出しを行うことができる形状及び配置であればよい。
【0063】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 電子機器
2 電子部品
21 本体部
22 リード部
23 固定部、23c 貫通部、23d 貫通部
3 シールドケース
31 本体部
32 固定部、32c 貫通部、32d 貫通部
33 切り欠き部
34 位置出し部、34f 誘導部
35 開放部
36 舌部
4 基板、41 パッド部、42 貫通部
5 放熱部
60 シールドケース
61 位置決め部