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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/36 20180101AFI20230511BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20230511BHJP
   F21W 102/14 20180101ALN20230511BHJP
   F21W 102/20 20180101ALN20230511BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230511BHJP
【FI】
F21S41/36
F21S41/148
F21W102:14
F21W102:20
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019145781
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021026959
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】林 政輝
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-32547(JP,A)
【文献】特開2016-100052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/36
F21S 41/148
F21S 41/151
F21S 41/663
F21W 102/14
F21W 102/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリフレクタを含む複数のリフレクタと、
前記複数のリフレクタのそれぞれに少なくとも1つ設けられる態様で、前記複数のリフレクタに設けられる複数の光源とを備え、
前記複数の光源は、前記第1のリフレクタに設けられる2つ以上の第1の光源を含み、
前記複数のリフレクタを介して前記複数の光源から出射される光の配光パターンは、車両外側に向かうにつれ上下方向の幅が狭くなる第1パターンを含み、
前記2つ以上の第1の光源のうちの1つは、前記第1のリフレクタの焦点に配置され、
前記2つ以上の第1の光源のうちの他の1つは、前記第1のリフレクタの焦点より車両内側に配置される、車両用灯具。
【請求項2】
前記2つ以上の第1の光源の他の1つは、前記第1のリフレクタの焦点に配置される前記第1の光源よりも光束が低い光を出射する、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記複数のリフレクタは、前記第1のリフレクタよりも中央よりの配光パターンを形成する第2のリフレクタを更に含み、
前記複数の光源は、前記第2のリフレクタに設けられる2つの第2の光源を含み、
前記2つの第2の光源は、互いに隣接する態様で、前記第2のリフレクタの焦点に配置される、請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記複数のリフレクタは、前記複数のリフレクタのうちもっとも外側の領域に光を照射する第3のリフレクタを更に含み、
前記複数の光源は、前記第3のリフレクタに設けられる1つの第3の光源を含み、
前記1つの第3の光源は、前記第1のリフレクタの焦点に配置される前記第1の光源よりも光束が低い光を出射する、請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記複数のリフレクタは、走行用の配光領域を形成する、請求項1~4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記複数のリフレクタ及び前記複数の光源とは別に、すれ違い用の配光領域を形成するすれ違い用灯具ユニットを更に備える、請求項1~5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第2のリフレクタは、前記すれ違い用灯具ユニットに隣接して配置される、請求項6に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個別に点消灯可能な複数の半導体発光素子からなる光源と、回転放物面を基調とする反射面を有するリフレクタとを備え、リフレクタは鉛直方向に分割された複数の部分リフレクタからなり、各部分リフレクタで反射された所定の投影面上における反射光の水平方向の広がりが略等しくなるように、各部分リフレクタの反射面が構成される車両用灯具が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/024489号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、配光パターンの車両外側の上方部分の光が比較的強いため、車道側方に位置する看板のような反射物への光の照射に起因して、運転者へのグレアが生じるおそれがある。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、複数のリフレクタを備える車両用灯具において、車道側方に位置する看板のような反射物への光の照射に起因したグレアを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、第1のリフレクタを含む複数のリフレクタと、
前記複数のリフレクタのそれぞれに少なくとも1つ設けられる態様で、前記複数のリフレクタに設けられる複数の光源とを備え、
前記複数の光源は、前記第1のリフレクタに設けられる2つ以上の第1の光源を備え、
前記複数のリフレクタを介して前記複数の光源から出射される光の配光パターンは、車両外側に向かうにつれ上下方向の幅が狭くなる第1パターンを含み、
前記2つ以上の第1の光源のうちの1つは、前記第1のリフレクタの焦点に配置され、
前記2つ以上の第1の光源のうちの他の1つは、前記第1のリフレクタの焦点より車両内側に配置される、車両用灯具が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、複数のリフレクタを備える車両用灯具において、車道側方に位置する看板のような反射物への光の照射に起因したグレアを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の車両用灯具を備えた車両の平面図である。
図2】一実施形態の灯具ユニットのリフレクタアセンブリを説明するための正面図である。
図3】灯具ユニットのリフレクタと光源との関係を示す上面図である。
図4】灯具ユニットの光源に係る制御系を概略的に示すシステム図である。
図5】灯具ユニットの配光パターンの一例の説明図である。
図6】灯具ユニットの配光パターンの他の一例の説明図である。
図7】第2のリフレクタ21及び第2の光源31により実現される配光パターンを示す図である。
図8】第1のリフレクタ22及び第1の光源32により実現される配光パターンを示す図である。
図9】第1のリフレクタ22及び第1の光源33により実現される配光パターンを示す図である。
図10】第3のリフレクタ23及び第3の光源34により実現される配光パターンを示す図である。
図11】第3のリフレクタ23及び第3の光源35により実現される配光パターンを示す図である。
図12】第4のリフレクタ24及び第4の光源36により実現される配光パターンを示す図である。
図13A】第1のリフレクタ22及び第1の光源32、33により実現される配光パターンの一例の説明図である。
図13B】第1のリフレクタ22及び第1の光源32、33により実現される配光パターンの他の一例の説明図である。
図14A】第3のリフレクタ23及び第3の光源34、35により実現される配光パターンの一例の説明図である。
図14B】第3のリフレクタ23及び第3の光源34、35により実現される配光パターンの他の一例の説明図である。
図15A】すべての光源が点灯される場合の配光パターンを示す図である。
図15B】一部の光源が点灯される場合の配光パターンを示す図である。
図15C】他の一部の光源が点灯される場合の配光パターンを示す図である。
図15D】他の一部の光源が点灯される場合の配光パターンを示す図である。
図15E】他の一部の光源が点灯される場合の配光パターンを示す図である。
図16】第2実施形態としての灯具ユニットのリフレクタと光源との関係を示す上面図である。
図17】第2実施形態に対する変形例としての灯具ユニットのリフレクタと光源との関係を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。なお、添付図面では、見易さのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。以下、特に断りがない場合、「前」、「後」は、各々、車両の「前進方向」、「後進方向」を示し、「上」、「下」、「左」、「右」は、各々、車両に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、「上」、「下」は鉛直方向での「上」、「下」でもあり、「左」、「右」は水平方向での「左」、「右」でもある。また、車両外側とは、車両の左右方向の中心を通る車両の前後軸に対して、車両の左右方向で外側を指し、車両内側とは、車両の左右方向で当該前後軸に近い側を指す。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態としての本実施形態の車両用灯具(車両用前照灯)を備えた車両102の平面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の車両用灯具は、車両102の前側の左右のそれぞれに設けられる車両用の前照灯(101L、101R)のそれぞれであり、以下では単に車両用灯具と記載する。
【0012】
本実施形態の車両用灯具は、それぞれ、車両前側に開口したハウジング(図示せず)と開口を覆うようにハウジングに取り付けられるアウターレンズ(図示せず)を備え、ハウジングとアウターレンズとで形成される灯室内に灯具ユニット1(図2参照)等が配置されている。
【0013】
以下、図2以降を参照して、右側の前照灯101Rの灯具ユニット1について説明するが、特に言及しない限り、左側の前照灯101Lの灯具ユニット1についても同様であってよい。例えば、左側の前照灯101Lの灯具ユニット1は、右側の前照灯101Rの灯具ユニット1に対して左右対称の構成を有する。
【0014】
図2は、一実施形態の灯具ユニット1のリフレクタアセンブリ20を説明するための正面図である。
【0015】
灯具ユニット1は、ADB(Adaptive Driving Beam)又はハイビーム用であり、リフレクタアセンブリ20を備える。リフレクタアセンブリ20は、車両幅方向に並ぶ4つのリフレクタ21~24を含む。
【0016】
第1のリフレクタ22は、第2のリフレクタ21よりも車両外側に位置する。第2のリフレクタ21は、4つのリフレクタ21~24のうち、最も車両内側に位置し、第3のリフレクタ23は、第1のリフレクタ22よりも車両外側に位置する。第4のリフレクタ24は、第3のリフレクタ23よりも車両外側に位置し、4つのリフレクタ21~24のうち、最も車両外側に位置する。
【0017】
また、第1のリフレクタ22は、第2のリフレクタ21よりも車両後側に位置する。第2のリフレクタ21は、4つのリフレクタ21~24のうち、最も車両前側に位置し、第3のリフレクタ23は、第1のリフレクタ22よりも車両後側に位置する。第4のリフレクタ24は、第3のリフレクタ23よりも車両後側に位置し、4つのリフレクタ21~24のうち、最も車両後側に位置する。
【0018】
図3は、灯具ユニット1のリフレクタ21~24と光源31~36との関係を示す上面図である。図3には、リフレクタ21~24の外形が模式的に示されるとともに、リフレクタ21~24の焦点が各十字線の交点Oによって示される。
【0019】
リフレクタ21~24には、光源31~36が設けられる。光源31~36は、LED(Light Emitting Diode)により形成される。リフレクタ21~24は、光源31~36からの光に基づいて、車両前方に走行用の配光領域を形成する。
【0020】
第1の光源32、33は、第1のリフレクタ22に設けられる。第1の光源32、33は、左右並んで配置され、第1の光源32は、第1の光源33よりも車両内側に配置される。第1の光源33は、第1のリフレクタ22の焦点に配置される。なお、「第1の光源33を第1のリフレクタ22の焦点に配置」とは、第1の光源33の中心位置(チップの中心)が第1のリフレクタ22の焦点と一致する態様のほか、第1の光源33に係るチップが第1のリフレクタ22の焦点上に位置する態様を含む概念である。これは、第1の光源33及び第1のリフレクタ22以外の光源とリフレクタとの関係についても実質的に同様である。
【0021】
第3の光源34、35は、第3のリフレクタ23に設けられる。第3の光源34、35は、左右並んで配置され、第3の光源34は、第3の光源35よりも車両内側に配置される。第3の光源35は、第3のリフレクタ23の焦点に配置される。
【0022】
第2の光源31は、2つのLED素子が一体的に実装された1チップの形態であり、第2のリフレクタ21に設けられる。第2の光源31は、図3に示すように、発光チップが互いに隣接する態様で、第2のリフレクタ21の焦点に配置される。なお、「第2の光源31を第2のリフレクタ21の焦点に配置」とは、第2の光源31の中心位置(2つのLED素子間の中心、すなわち第2の光源31に係るチップの中心)が第2のリフレクタ21の焦点と一致する態様のほか、第2の光源31に係るチップが第2のリフレクタ21の焦点上に位置する態様を含む概念である。
【0023】
第4の光源36は、第4のリフレクタ24に設けられる。第4の光源36は、第4のリフレクタ24の焦点に配置される。
【0024】
図4は、灯具ユニット1の光源31~36に係る制御系40を概略的に示すシステム図である。
【0025】
制御系40は、光源31~36を個別制御可能に、光源31~36に電気的に接続される。図4では、制御系40は、マイクロコンピュータ400(図4には「マイコン」と表記)と、駆動回路401~406とを含む。マイクロコンピュータ400及び駆動回路401~406は、例えばECU(Electronic Control Unit)として具現化されてよい。
【0026】
駆動回路401は、マイクロコンピュータ400からの指令に応じて、第2の光源31を駆動する。駆動回路402は、マイクロコンピュータ400からの指令に応じて、第1の光源32を駆動する。以下同様に、駆動回路403~406は、マイクロコンピュータ400からの指令に応じて、光源33~36をそれぞれ駆動する。なお、駆動方法は、パルス駆動であり、光源31~36は、それぞれ、例えばパルス駆動のデューティ比が可変となる態様で、個別に制御される。
【0027】
マイクロコンピュータ400は、例えばADBのような配光可変制御を実現する。マイクロコンピュータ400は、車両前方を撮像する前方カメラ50からの撮像画像に基づいて、対向車等の運転者にグレアを与えないような配光パターンが実現されるように、光源31~36を制御する。この場合、機械的な可動部を利用せずに配光可変制御を実現できる。
【0028】
本実施形態では、4つのリフレクタ21~24を備えるので、多様な配光パターンを実現できる。例えば、4つのリフレクタ21~24のうちの、利用するリフレクタ(すなわち、光源31~36のうちの、点灯させる光源)を変化させることで、多様な配光パターンを実現できる(後出の図15A図15E参照)。また、本実施形態では、光源31~36の明るさ(光束)は、駆動電流のデューティ比を可変することで変化させることができるので、光源31~36の明るさを個別制御することで、多様な配光パターンを実現できる。
【0029】
また、本実施形態では、第1のリフレクタ22、23については、1つのリフレクタ内に2つの光源を備えるので(例えば第1のリフレクタ22については、第1の光源32、33)、利用する光源を変化させることで、多様な配光パターンを実現できる。
【0030】
次に、図5以降を参照して、右側の前照灯101Rの灯具ユニット1の配光パターンについて説明する。
【0031】
図5及び図6は、車両前方における灯具ユニット1の光軸に垂直な平面(スクリーン)上の照度の分布(断面照度)を、灯具ユニット1の配光パターンとして模式的に示した図である。なお、図5及び図6(後出の同様の図も同様)において、ラインVはスクリーン上での鉛直基準線(V-Vライン)を示し、ラインHはスクリーン上での水平基準線(H-Hライン)を示す。また、図5及び図6には、照度の等高線L1~L8が示される。照度は、L1>L2>L3>L4>L5>L6>L7>L8の関係であり、等高線L1で囲まれる領域がいわゆる“ホットゾーン”である。例えば、等高線L8は、例えば625[cd]のラインであり、等高線L1は、50000[cd]のラインである。なお、以下では、配光パターンに関する説明は、図5及び図6に示すような断面照度で表現されるパターンに関する説明とする。
【0032】
図5は、光源31~36が以下のデューティ比で駆動されたときの配光パターンである。
第1の光源32 デューティ比 60%
第1の光源33 デューティ比 80%
第3の光源34 デューティ比 60%
第3の光源35 デューティ比 80%
第2の光源31 デューティ比 100%
第4の光源36 デューティ比 60%
図6は、光源31~36が以下のデューティ比で駆動されたときの配光パターンである。
第1の光源32 デューティ比 80%
第1の光源33 デューティ比 80%
第3の光源34 デューティ比 80%
第3の光源35 デューティ比 80%
第2の光源31 デューティ比 100%
第4の光源36 デューティ比 80%
図5及び図6に示す配光パターンは、例えば、対向車が検出されていない状態で実現され、以下、「通常パターン」と称する。
【0033】
本実施形態では、通常パターンは、図5及び図6に示すように、車両外側に向かうにつれ上下方向の幅が狭くなる形態である。以下、このような配光パターンを、「車両外側で上下幅が低減される配光パターン」とも称する。
【0034】
ところで、上記した特許文献1に記載のような通常パターンでは、上述したように、車両外側の上方部分の光が比較的強いため、車道側方に位置する看板のような反射物への光の照射に起因して、運転者へのグレアが生じるおそれがある。
【0035】
この点、本実施形態によれば、通常パターンは、図5及び図6にてQ1部に示すように、車両外側の上方部分の光が比較的弱いため(等高線L8よりも外側であるため)、車道側方に位置する看板のような反射物への光の照射に起因した不都合(運転者へのグレア)を低減できる。特に、車両に近い位置の看板は、Q1部に位置しやすく、本実施形態によれば、このような看板からの反射光に起因したグレアを効果的に低減できる。
【0036】
また、本実施形態によれば、図5及び図6に示すように、ラインVとラインHとの交差部分に、照度の最も高い領域(集光部分である“ホットゾーン”)を形成しつつ、車両外側で上下幅が低減される配光パターンを実現できる。
【0037】
なお、図6に示す通常パターンは、図5に示す通常パターンに比べて、照度の最も高い領域(“ホットゾーン”)が車両外側に移動する傾向(すなわちラインVから外側に広がる若しくはラインVから離れる傾向)となる。従って、この点で、図5に示す通常パターンの方が、図6に示す通常パターンよりも有利である。また、図5に示す通常パターンの方が、第1の光源32等を駆動する際のデューティ比が小さいため、図6に示す通常パターンよりも消費電力の観点からも有利となる。
【0038】
このように、本実施形態においては、好ましくは、第1の光源32は、第1の光源33よりも光束が低い光を出射するように制御され、第3の光源34は、第3の光源35よりも光束が低い光を出射するように制御される。なお、図5では、第1の光源33がデューティ比80%で駆動され、第1の光源32がデューティ比60%で駆動されることで、第1の光源32の光束が第1の光源33の光束よりも低くされているが、これに限られない。例えば、第1の光源33がデューティ比90%で駆動され、第1の光源32がデューティ比70%で駆動されてもよいし、デューティ比の具体的な値は適合値である。これは、第3の光源34と第3の光源35との関係も同様である。
【0039】
また、第1の光源32の光束を第1の光源33の光束よりも低くする方法は、デューティ比に差を設定する方法以外の方法であってもよい。例えば、第1の光源32及び第1の光源33の間で定格出力自体に差を設定してもよい。これは、第3の光源34と第3の光源35との関係も同様である。
【0040】
次に、図7以降を参照して、図5に示す配光パターンを実現する個別の配光パターンについて説明する。
【0041】
図7は、第2のリフレクタ21及び第2の光源31により実現される配光パターンを示す図であり、図8は、第1のリフレクタ22及び第1の光源32により実現される配光パターンを示す図であり、図9は、第1のリフレクタ22及び第1の光源33により実現される配光パターンを示す図であり、図10は、第3のリフレクタ23及び第3の光源34により実現される配光パターンを示す図であり、図11は、第3のリフレクタ23及び第3の光源35により実現される配光パターンを示す図であり、図12は、第4のリフレクタ24及び第4の光源36により実現される配光パターンを示す図である。ラインV、Hや、等高線L1~L8については、上述したとおりである。
【0042】
図7に示すように、第2のリフレクタ21及び第2の光源31により実現される配光パターンは、ラインVとラインHとの交差部分に、等高線L1に係る集光部分を形成する。これにより、第2のリフレクタ21及び第2の光源31によって、通常パターンにおいて、ラインVとラインHとの交差部分に、照度の最も高い領域(“ホットゾーン”)を効果的に形成できる。
【0043】
図8及び図9に示すように、第1のリフレクタ22及び第1の光源32により実現される配光パターンは、第1のリフレクタ22及び第1の光源33により実現される配光パターンとは異なり、等高線L3に係る集光部分がない。また、第1のリフレクタ22及び第1の光源32により実現される配光パターンは、第1のリフレクタ22及び第1の光源33により実現される配光パターンに比べて、車両外側をカバーする形態である。
【0044】
より具体的には、第1の光源33は、上述のように、第1のリフレクタ22の焦点に配置されるので、等高線L3に係る集光部分を効果的に形成できる。第1の光源33に起因した等高線L3に係る集光部分は、図7に示す第2のリフレクタ21及び第2の光源31により実現される配光パターンにおける等高線L1に係る集光部分に車両外側から隣接する。これにより、図5に示す通常パターンにおける“ホットゾーン”を効果的に形成できる。
【0045】
なお、第1のリフレクタ22及び第1の光源33により実現される配光パターンは、図9に示すように、第2のリフレクタ21及び第2の光源31により実現される配光パターン(図7参照)とは異なり、等高線L1に係る集光部分を有していない。これは、第2の光源31が2つのLEDチップからなり、1つのLEDチップからなる第1の光源33は、第2の光源31よりも光束が低いためである。
【0046】
また、第1の光源32は、上述のように、第1の光源33よりも車両内側に配置される。すなわち、第1の光源32は、第1のリフレクタ22の焦点よりも有意に車両内側に配置される。これにより、車両外側への光の拡散を効率的に実現できる。
【0047】
また、第1のリフレクタ22及び第1の光源32により実現される配光パターンは、図8に示すように、車両外側に向かうにつれ上下方向の幅が狭くなる形態である。これにより、上述した車両外側で上下幅が低減される配光パターンを効果的に実現できる。
【0048】
図10及び図11に示すように、第3のリフレクタ23及び第3の光源34により実現される配光パターンは、第3のリフレクタ23及び第3の光源35により実現される配光パターンに比べて、等高線L4に係る集光部分が車両外側に位置する。すなわち、第3のリフレクタ23及び第3の光源34により実現される配光パターンは、第3のリフレクタ23及び第3の光源35により実現される配光パターンに比べて、車両外側をカバーする形態である。
【0049】
より具体的には、第3の光源35は、上述のように、第3のリフレクタ23の焦点に配置されるので、等高線L4に係る集光部分を効果的に形成できる。第3の光源35に起因した等高線L4に係る集光部分は、図9に示す第1のリフレクタ22及び第1の光源33により実現される配光パターンにおける等高線L3に係る集光部分に車両外側から隣接する。
【0050】
なお、第3のリフレクタ23及び第3の光源35により実現される配光パターンは、図11に示すように、第1のリフレクタ22及び第1の光源33により実現される配光パターン(図9参照)とは異なり、等高線L3に係る集光部分を有していない。これにより、照度の最も高い領域が車両外側まで比較的広く延在することを抑制できる。
【0051】
また、第3の光源34は、上述のように、第3の光源35よりも車両内側に配置される。すなわち、第3の光源34は、第3のリフレクタ23の焦点よりも有意に車両内側に配置される。これにより、車両外側への光の拡散を効率的に実現できる。
【0052】
また、第3のリフレクタ23及び第3の光源34により実現される配光パターンは、図10に示すように、車両外側に向かうにつれ上下方向の幅が狭くなる形態である。これにより、上述した車両外側で上下幅が低減される配光パターンを効果的に実現できる。
【0053】
図12に示すように、第4のリフレクタ24及び第4の光源36により実現される配光パターンは、第3のリフレクタ23及び第3の光源34により実現される配光パターン(図10参照)とは異なり、等高線L4に係る集光部分を有していない。これにより、車両外側まで通常パターンを広げつつ、照度の最も高い領域が車両外側まで比較的広く延在することを抑制できる。
【0054】
図13A及び図13Bは、第1のリフレクタ22及び第1の光源32、33により実現される配光パターンを示す図であり、図14A及び図14Bは、第3のリフレクタ23及び第3の光源34、35により実現される配光パターンを示す図である。図13Aは、第1の光源32のデューティ比が60%でありかつ第1の光源33のデューティ比が80%であるときを示し、図13Bは、第1の光源32のデューティ比が80%でありかつ第1の光源33のデューティ比が80%であるときを示す。同様に、図14Aは、第3の光源34のデューティ比が60%でありかつ第3の光源35のデューティ比が80%であるときを示し、図14Bは、第3の光源34のデューティ比が80%でありかつ第3の光源35のデューティ比が80%であるときを示す。
【0055】
図13A及び図13Bを対比すると分かるように、第1の光源32の光束を第1の光源33の光束よりも低くすることで、等高線L2に係る集光部分の、車両外側への拡がりを抑制できる。同様に、図14A及び図14Bを対比すると分かるように、第3の光源34の光束を第3の光源35の光束よりも低くすることで、等高線L3に係る集光部分の、車両外側への拡がりを抑制できる。これにより、前出した図5に示す通常パターンと図6に示した通常パターンの差を実現できる。
【0056】
次に、図15A図15Eを参照して、灯具ユニット1により実現可能な多様な配光パターンのいくつかを説明する。
【0057】
図15Aは、図5に示した通常パターンに対応し、すべての光源31~36が点灯される場合の配光パターンを示す。図15Bは、光源32~36が点灯される場合の配光パターンを示す。図15Cは、光源32、34~36が点灯される場合の配光パターンを示す。図15Dは、光源34~36が点灯される場合の配光パターンを示す。図15Eは、光源34、36が点灯される場合の配光パターンを示す。
【0058】
このようにして、4つのリフレクタ21~24のうちの、利用するリフレクタ(すなわち、光源31~36のうちの、点灯させる光源)を変化させることで、多様な配光パターンを実現できる。
【0059】
[第2実施形態]
図16は、第2実施形態としての灯具ユニット1Aのリフレクタ21~24、62と光源31~36、64との関係を示す上面図である。図16(後出の図17も同様)には、前出の図3と同様、リフレクタ21~24、62の外形が模式的に示されるとともに、リフレクタ21~24、64の焦点が各十字線の交点Oによって示される。
【0060】
灯具ユニット1Aは、上述した第1実施形態によるリフレクタ21~24及び光源31~36とは別に、すれ違い用の配光領域を形成するすれ違い用灯具ユニット60を更に備える。
【0061】
すれ違い用灯具ユニット60は、車両幅方向で第2のリフレクタ21に隣接する。図16では、すれ違い用灯具ユニット60は、第2のリフレクタ21よりも車両内側に設けられる。すれ違い用灯具ユニット60は、リフレクタ62と、光源64とを含む。例えば、光源64は、リフレクタ62の焦点に配置される。
【0062】
図17は、第2実施形態に対する変形例としての灯具ユニット1Bのリフレクタ21~24、621B、622Bと光源31~36、641B、642Bとの関係を示す上面図である。
【0063】
灯具ユニット1Bは、上述した第1実施形態によるリフレクタ21~24及び光源31~36とは別に、すれ違い用の配光領域を形成するすれ違い用灯具ユニット60Bを更に備える。ただし、図17では、上述した第1実施形態によるリフレクタ21~24及び光源31~36は、配置が異なる。具体的には、第2のリフレクタ21及び第2の光源31が、第4のリフレクタ24及び第4の光源36よりも車両外側に配置される。
【0064】
すれ違い用灯具ユニット60Bは、車両幅方向で第2のリフレクタ21に隣接する。図17では、すれ違い用灯具ユニット60Bは、第2のリフレクタ21よりも車両外側に設けられる。すれ違い用灯具ユニット60Bは、リフレクタ621B、622Bと、光源641B、642Bとを含む。例えば、光源641B、642Bは、リフレクタ621B、622Bのそれぞれの焦点に配置される。
【0065】
このように、上述した第1実施形態による灯具ユニット1のリフレクタ21~24と光源31~36は、すれ違い用灯具ユニットと多様な態様で組み合わせて実現することもできる。すれ違い用灯具ユニット60及び60Bに第2のリフレクタ21を隣接させることで、すれ違い用の配光パターンと図7に示す中央側の配光パターンを位置精度良く合わせて配光できる。
【0066】
以上、各実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、4つのリフレクタ21~24が設けられるが、リフレクタの数は、2つ以上であれば任意である。例えば、4つのリフレクタ21~24のうちの、第4のリフレクタ24(及びそれに伴い第4の光源36)が省略されてもよい。これに代えて又は加えて、第3のリフレクタ23(及びそれに伴い第3の光源34、35)が省略されてもよい。また、4つのリフレクタ21~24の配置は、図3に示したような配置に限られず、適宜、変更されてもよい(図17参照)。
【0068】
また、上述した実施形態では、第3のリフレクタ23には、2つの第3の光源34、35が設けられるが、3つ以上の光源が設けられてもよい。これは、第1のリフレクタ22についても同様である。
【0069】
また、上述した実施形態では、第4のリフレクタ24には、第4の光源36だけが設けられるが、更なる光源が設けられてもよい。この場合、更なる光源は、第4の光源36よりも車両内側に設けられてもよい。また、第2のリフレクタ21には、第2の光源31だけが設けられるが、更なる光源が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 灯具ユニット
20 リフレクタアセンブリ
21 第2のリフレクタ
22 第1のリフレクタ
23 第3のリフレクタ
24 第4のリフレクタ
31 第2の光源
32 第1の光源
33 第1の光源
34 第3の光源
35 第3の光源
36 第4の光源
40 制御系
50 前方カメラ
101L 前照灯
101R 前照灯
102 車両
400 マイクロコンピュータ
401 駆動回路
402 駆動回路
403 駆動回路
404 駆動回路
405 駆動回路
406 駆動回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
図17