(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】DCDCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H02M3/155 B
(21)【出願番号】P 2019186578
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 新太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛史
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-296148(JP,A)
【文献】特開2018-170874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電路と第2導電路との間に設けられる電圧変換部と、
前記第1導電路及び前記第2導電路のいずれか一方の導電路と基準導電路との間に設けられるコンデンサと、
外部電源と前記コンデンサとの間に介在するスイッチと、
前記スイッチをオン状態とオフ状態とに切り替える制御部と、
を備え、
前記スイッチが前記オフ状態のときに前記外部電源から前記コンデンサへと電流が流れ込むことが遮断され、少なくとも前記スイッチが前記オン状態のときに前記外部電源から前記一方の導電路を介して前記コンデンサへと電流が流れ込むことが許容され、
前記制御部は、前記スイッチを前記オフ状態で維持する遮断制御から前記スイッチを前記オン状態で維持する通電制御へと切り替える場合において前記通電制御前に前記スイッチを間欠的に前記オン状態とする間欠制御を行
い、
前記コンデンサは、前記第1導電路と前記基準導電路との間に設けられる第1コンデンサを含み、
前記外部電源は、前記第1導電路に接続される第1外部電源を含み、
前記スイッチは、前記第1導電路において前記第1外部電源と前記電圧変換部との間に設けられる第1遮断スイッチを含み、
前記第1遮断スイッチは、前記第1外部電源と前記第1コンデンサとの間に介在し、
前記第1遮断スイッチは、自身が前記オン状態のときに前記第1外部電源側から前記電圧変換部側への通電を許容し、自身が前記オフ状態のときに前記第1外部電源側から前記電圧変換部側への通電を遮断し、
前記制御部は、前記第1遮断スイッチを前記オフ状態で維持する第1遮断制御から前記第1遮断スイッチを前記オン状態で維持する第1通電制御へと切り替える場合において前記第1通電制御前に前記第1遮断スイッチを間欠的に前記オン状態とする前記間欠制御である第1間欠制御を行い、
前記電圧変換部は、駆動用スイッチング素子を備え、前記駆動用スイッチング素子のオンオフ動作に応じて前記第1導電路及び前記第2導電路の一方に印加された電圧を昇圧又は降圧して他方に出力電圧を印加し、
前記制御部は、前記駆動用スイッチング素子をオンオフさせる電圧変換制御を行い、前記第1間欠制御における前記第1遮断スイッチのオンオフ動作の周波数を前記電圧変換制御における前記駆動用スイッチング素子のオンオフ動作の周波数よりも大きくし、前記第1間欠制御が終了した後、前記電圧変換制御を行うDCDCコンバータ。
【請求項2】
前記
コンデンサは、前記第2導電路と前記基準導電路との間に設けられる第2コンデンサを含み、
前記外部電源は、前記第2導電路に接続される第2外部電源を含み、
前記スイッチは、前記第2導電路において第2外部電源と前記電圧変換部との間に設けられる第2遮断スイッチと、を含み、
前記第2遮断スイッチは、前記第2外部電源と前記第2コンデンサとの間に介在し、
前記第2遮断スイッチは、自身が前記オン状態のときに前記第2外部電源側から前記電圧変換部側への通電を許容し、自身が前記オフ状態のときに前記第2外部電源側から前記電圧変換部側への通電を遮断し、
前記制御部は、前記第2遮断スイッチを前記オフ状態で維持する第2遮断制御から前記第2遮断スイッチを前記オン状態で維持する第2通電制御へと切り替える場合において前記第2通電制御前に前記第2遮断スイッチを間欠的に前記オン状態とする前記間欠制御である第2間欠制御を行い、前記第2間欠制御における前記第2遮断スイッチのオンオフ動作の周波数を前記電圧変換制御における前記駆動用スイッチング素子のオンオフ動作の周波数よりも大きくし、前記第2間欠制御が終了した後、前記電圧変換制御を行う請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【請求項3】
前記スイッチは、前記
電圧変換部の一部をなす半導体スイッチを含む請求項1
又は請求項2に記載のDCDCコンバータ。
【請求項4】
前記
制御部は、前記間欠制御を行う全期間のうちの一部期間における前記スイッチのオン時間を前記一部期間よりも前の期間における前記スイッチの前記オン時間よりも長くする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のDCDCコンバータ。
【請求項5】
前記
コンデンサはセラミックコンデンサである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のDCDCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DCDCコンバータにおいて入力側又は出力側の導電路にコンデンサを設けた構成が知られている。例えば、特許文献1で開示されるDCDCコンバータは、入力側導電路に入力側コンデンサが電気的に接続され、出力側導電路に出力側コンデンサが電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DCDCコンバータでは、外部電源とコンデンサとの間にスイッチが介在するような構成が採用されやすい。
【0005】
例えば、従来、回路のショート故障などを想定して入力側の導電路や出力側の導電路に遮断スイッチを設けるようなDCDCコンバータが提案されている。この種のDCDCコンバータは、入力側又は出力側に設けられた外部電源と、導電路に電気的に接続されたコンデンサとの間に遮断スイッチが介在するような構成が採用され得る。このような構成が採用されたDCDCコンバータでは、コンデンサが十分に充電されていない状態で遮断スイッチがオフ状態からオン状態に切り替わると、スイッチのオン状態への切り替わりに応じてコンデンサに大きな突入電流が流れやすい。なお、外部電源とコンデンサとの間にスイッチが介在するようなDCDCコンバータは上記のような例に限定されず、いずれの例でも、同様の問題が生じ得る。
【0006】
そこで、本開示ではDCDCコンバータにおいてコンデンサへ流れ込む突入電流を抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のDCDCコンバータは、
第1導電路と第2導電路との間に設けられる電圧変換部と、
前記第1導電路及び前記第2導電路のいずれか一方の導電路と基準導電路との間に設けられるコンデンサと、
外部電源と前記コンデンサとの間に介在するスイッチと、
前記スイッチをオン状態とオフ状態とに切り替える制御部と、
を備え、
前記スイッチが前記オフ状態のときに前記外部電源から前記コンデンサへと電流が流れ込むことが遮断され、少なくとも前記スイッチが前記オン状態のときに前記外部電源から前記一方の導電路を介して前記コンデンサへと電流が流れ込むことが許容され、
前記制御部は、前記スイッチを前記オフ状態で維持する遮断制御から前記スイッチを前記オン状態で維持する通電制御へと切り替える場合において前記通電制御前に前記スイッチを間欠的にオン状態とする間欠制御を行う。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様のDCDCコンバータは、コンデンサへ流れ込む突入電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1のDCDCコンバータを示す回路図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のDCDCコンバータにおいて、第1間欠制御及び第2間欠制御における制御部から第1遮断スイッチ及び第2遮断スイッチに向けて出力する駆動信号の波形の一例を示すタイムチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態1のDCDCコンバータにおいて、第2間欠制御の実行時に第2遮断スイッチがオン状態のときに第2外部電源から第2コンデンサに流れる電流の経路、及び第1間欠制御の実行時に第1遮断スイッチがオン状態のときに第1外部電源から第1コンデンサに流れる電流の経路を示す回路図である。
【
図4】
図4は、実施形態2のDCDCコンバータを示す回路図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態のDCDCコンバータにおいて、間欠制御における制御部から第1遮断スイッチ、第2遮断スイッチ、及び半導体スイッチに向けて出力する駆動信号の波形の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の一態様のDCDCコンバータは、電圧変換部、コンデンサ、スイッチ、及び制御部を備えている。電圧変換部は第1導電路と第2導電路との間に設けられる。コンデンサは第1導電路及び第2導電路のいずれか一方の導電路と基準導電路との間に設けられる。スイッチは外部電源とコンデンサとの間に介在する。制御部はスイッチをオン状態とオフ状態とに切り替える。スイッチがオフ状態のときに外部電源からコンデンサへと電流が流れ込むことが遮断される。少なくともスイッチがオン状態のときに外部電源から一方の導電路を介してコンデンサへと電流が流れ込むことが許容される。制御部は、スイッチをオフ状態で維持する遮断制御からスイッチをオン状態で維持する通電制御へと切り替える場合において通電制御前にスイッチを間欠的にオン状態とする間欠制御を行う。
【0012】
上記(1)の構成のDCDCコンバータは、スイッチを遮断制御から通電制御に切り替える際に間欠制御を実行するため、遮断制御の終了タイミングで通電制御を開始する場合よりもコンデンサに流れ込む突入電流を抑えることができる。よって、上記DCDCコンバータは、遮断制御の解除の際にコンデンサに過剰な突入電流が流れることに起因する問題を生じ難くすることができる。
【0013】
(2)上記(1)に記載のDCDCコンバータは、更に以下のような特徴が付加されたDCDCコンバータであってもよい。上記スイッチが、一方の導電路において外部電源と電圧変換部との間に設けられる遮断スイッチを含んでいてもよい。遮断スイッチが、自身がオン状態のときに外部電源側から電圧変換部側への通電を許容し、自身がオフ状態のときに外部電源側から電圧変換部側への通電を遮断するように構成されていてもよい。
【0014】
上記(2)の構成のDCDCコンバータは、特別な専用部品等が増加することを抑えつつ、保護機能に必要な遮断スイッチを用いて遮断制御解除時の過剰な電流を抑えることができる。よって、このDCDCコンバータは、より簡易な構成で、コンデンサへの突入電流を抑制することができる。
【0015】
(3)上記(1)に記載のDCDCコンバータは、更に、以下のような特徴を付加されたDCDCコンバータであってもよい。スイッチは、第1導電路において第1外部電源と電圧変換部との間に設けられる第1遮断スイッチと、第2導電路において第2外部電源と電圧変換部との間に設けられる第2遮断スイッチと、を含み得る。第1遮断スイッチは、自身がオン状態のときに第1外部電源側から電圧変換部側への通電を許容し、自身がオフ状態のときに第1外部電源側から電圧変換部側への通電を遮断し得る。第2遮断スイッチは、自身がオン状態のときに第2外部電源側から電圧変換部側への通電を許容し、自身がオフ状態のときに第2外部電源側から電圧変換部側への通電を遮断し得る。制御部は、第1遮断スイッチをオフ状態で維持する第1遮断制御から第1遮断スイッチをオン状態で維持する第1通電制御へと切り替える場合において第1通電制御前に第1遮断スイッチを間欠的にオン状態とする第1間欠制御を行い得る。制御部は、第2遮断スイッチをオフ状態で維持する第2遮断制御から第2遮断スイッチをオン状態で維持する第2通電制御へと切り替える場合において第2通電制御前に第2遮断スイッチを間欠的にオン状態とする第2間欠制御を行い得る。
【0016】
上記(3)に記載のDCDCコンバータは、第1導電路及び第2導電路のいずれにおいても遮断スイッチを設けて各々で保護を図り得る。更に、このDCDCコンバータは、このような保護機能を実現しつつ、第1導電路及び第2導電路のいずれの遮断スイッチで遮断制御を解除する場合でも、外部電源からコンデンサへ流れ込む突入電流を抑えることができる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のDCDCコンバータは、スイッチが電圧変換部の一部をなす半導体スイッチを含んでなるDCDCコンバータであってもよい。
【0018】
上記(4)に記載のDCDCコンバータは、特別な専用部品等が増加することを抑えつつ、電圧変換部の機能を実現する上で必要な半導体スイッチを用いて遮断制御解除時の過剰な電流を抑えることができる。よって、このDCDCコンバータは、より簡易な構成で、コンデンサへの突入電流を抑制することができる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載のDCDCコンバータは、更に、以下のような特徴を付加されたDCDCコンバータであってもよい。制御部は、間欠制御を行う全期間のうちの一部期間におけるスイッチのオン時間を一部期間よりも前の期間におけるスイッチのオン時間よりも長くし得る。
【0020】
間欠制御において各オン状態の時間(以下、オン時間ともいう)が一定である場合、各オン時間においてコンデンサに流れ込む電流は、オン状態を繰り返すほど小さくなる。この現象は、コンデンサの充電時間を長くする一因となる。これに対し、上記(5)に記載のDCDCコンバータは、相対的に後の一部期間においてオン時間を相対的に長くするため、オン状態の繰り返しに起因する電流の減少を抑えることができる。よって、このDCDCコンバータは、コンデンサへの突入電流を抑制する機能を実現しつつ、コンデンサの充電をより早期に終えることができる。
【0021】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載のDCDCコンバータは、更に、以下のような特徴を付加されたDCDCコンバータであってもよい。電圧変換部は、駆動用スイッチング素子を備え、駆動用スイッチング素子のオンオフ動作に応じて第1導電路及び第2導電路の一方に印加された電圧を昇圧又は降圧して他方に出力電圧を印加し得る。制御部は、駆動用スイッチング素子をオンオフさせる電圧変換制御を行い、間欠制御におけるスイッチのオンオフ動作の周波数を電圧変換制御における駆動用スイッチング素子のオンオフ動作の周波数よりも大きくし得る。
【0022】
上記(6)に記載のDCDCコンバータは、間欠制御時のスイッチのオンオフ動作の周波数を電圧変換制御時の駆動用スイッチング素子のオンオフ動作の周波数より大きくすることができる。つまり、このDCDCコンバータは、間欠制御時の各オン時間をより短くすることができ、間欠制御時の各オン時間にコンデンサに流れ込む電流をより小さくすることができる。よって、このDCDCコンバータは、コンデンサへの突入電流をより一層確実に抑制することができる。
【0023】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載のDCDCコンバータも、コンデンサがセラミックコンデンサとされたDCDCコンバータであってもよい。
【0024】
セラミックコンデンサは同じ電気的特性を有する電解コンデンサに比べて小型化することができる。一方、セラミックコンデンサは電解コンデンサと比べて内部抵抗が小さい。このため、内部抵抗が小さいが故にセラミックコンデンサは電解コンデンサに比べて突入電流が大きくなり易い傾向がある。上記(7)に記載のDCDCコンバータは、セラミックコンデンサを用いた場合であっても、間欠制御を行うことによって、1つのオン状態においてコンデンサへの突入電流の大きさを良好に抑えることができる。
【0025】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載のDCDCコンバータにおいても、基準導電路は、上記一方の導電路の電位よりも低い基準電位で保たれる導電路であることが望ましい。
【0026】
(9)上記(2)に記載のDCDCコンバータにおいて、制御部は上記一方の導電路において、閾値以上の電流が流れる場合又は電圧が閾値以下になった場合に遮断スイッチをオフ状態に切り替える。
[本開示の実施形態の詳細]
【0027】
<実施形態1>
〔DCDCコンバータ1の概要〕
図1に示すDCDCコンバータ1は、例えば、車載用の昇降圧型DCDCコンバータとして構成されており、第1導電路91又は第2導電路92の一方の導電路に印加された直流電圧を昇圧又は降圧して他方の導電路に出力する構成をなすものである。
【0028】
DCDCコンバータ1は、電力線としての第1導電路91及び第2導電路92を備える。第1導電路91は、第1外部電源61の高電位側の端子に電気的に接続され、この高電位側の端子と導通する配線である。第1導電路91は第1外部電源61から所定の直流電圧が印加される構成をなす。第2導電路92は、第2外部電源62の高電位側の端子に電気的に接続され、この高電位側の端子と導通する配線である。第2導電路92は第2外部電源62から所定の直流電圧が印加される構成をなす。
【0029】
本開示において、「電気的に接続される」とは、接続対象の両方の電位が等しくなるように互いに導通した状態(電流を流せる状態)で接続される構成であることが望ましい。ただし、この構成に限定されない。例えば、「電気的に接続される」とは、両接続対象の間に電気部品が介在しつつ両接続対象が導通し得る状態で接続された構成であってもよい。
【0030】
第1外部電源61、第2外部電源62は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、その他の蓄電部等公知の蓄電手段によって構成されている。第1外部電源61の出力電圧、及び第2外部電源62の出力電圧のそれぞれの具体的な値は特に限定されない。第1外部電源61及び第2外部電源62の低電位側の端子は図示しないグラウンド部に電気的に接続され、所定のグラウンド電位(0V)に保たれている。
【0031】
DCDCコンバータ1は、電圧変換部6、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、遮断スイッチ70、第1電流検知部81、第2電流検知部82、第3電流検知部83、第1電圧検出部、第2電圧検出部、及び制御部12を備えている。
【0032】
電圧変換部6は、半導体スイッチT1,T2,T3,T4のオンオフ動作に応じて第1導電路91及び第2導電路92の一方に印加された電圧を昇圧又は降圧して他方に出力電圧を印加する機能を有する。電圧変換部6は第1導電路91と第2導電路92との間に設けられている。電圧変換部6は第1変換動作及び第2変換動作を行い得る。第1変換動作は第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加する動作又は第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである。第2変換動作は第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する動作又は第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである。
【0033】
電圧変換部6は、Hブリッジ構造で配置された半導体スイッチT1,T2,T3,T4と、インダクタLと、を備え、いわゆる双方向の昇降圧を実行するDCDCコンバータとして機能する。半導体スイッチT1,T2,T3,T4はいずれもNチャネル型のMOSFETとして構成されている。半導体スイッチT1は第1ハイサイド素子である。半導体スイッチT2は第1ローサイド素子である。半導体スイッチT3は第2ハイサイド素子である。半導体スイッチT4は第2ローサイド素子である。半導体スイッチT1,T2は第1スイッチ部S1を構成している。半導体スイッチT3,T4は第2スイッチ部S2を構成している。
【0034】
半導体スイッチT1,T2,T3,T4のそれぞれには寄生成分である寄生ダイオードT11,T12,T13,T14が設けられた構成とされている。具体的には、半導体スイッチT1,T2,T3,T4のそれぞれにおいて、各寄生ダイオードT11,T12,T13,T14のカソードは各半導体スイッチのドレイン側、アノードがソース側に電気的に接続される構成とされている。インダクタLは所定のインダクタンスを有する公知のコイルとして構成されている。
【0035】
電圧変換部6において、半導体スイッチT1のドレインには、第1導電路91が電気的に接続され、半導体スイッチT1のソースには、半導体スイッチT2のドレイン及びインダクタLの一端が電気的に接続されている。半導体スイッチT3のドレインには、第2導電路92が電気的に接続され、半導体スイッチT3のソースには、半導体スイッチT4のドレイン及びインダクタLの他端が電気的に接続されている。半導体スイッチT2,T4のそれぞれのソースは基準導電路93を介してグラウンドGに電気的に接続されている。半導体スイッチT1,T2,T3,T4のそれぞれのゲートには、制御部12からPWM信号等の駆動信号が入力される。基準導電路93は第1導電路91及び第2導電路92の電位よりも低い基準電位(グラウンドGの電位)で保たれる導電路である。
【0036】
第1コンデンサC1は第1導電路91と基準導電路93との間に介在して設けられている。具体的には、第1コンデンサC1の一方の端子が第1導電路91に電気的に接続され、他方の端子が基準導電路93に電気的に接続されている。
【0037】
第2コンデンサC2は第2導電路92と基準導電路93との間に介在して設けられている。具体的には、第2コンデンサC2の一方の端子が第2導電路92に電気的に接続され、他方の端子が基準導電路93に電気的に接続されている。第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2には、例えば、セラミックコンデンサやフィルムコンデンサ等が用いられる。セラミックコンデンサやフィルムコンデンサが有する内部抵抗は電解コンデンサに比べて小さい傾向がある。第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に電解コンデンサを用いてもよい。
【0038】
遮断スイッチ70は第1遮断スイッチ71、及び第2遮断スイッチ72を有している。第1遮断スイッチ71は、例えばNチャネル型のMOSFETとして構成されている。具体的には、第1遮断スイッチ71は、第1導電路91の双方向の通電を許容するオン状態と、第1導電路91において第1外部電源61から電圧変換部6側に向かう方向の通電を遮断するオフ状態とに切り替わる構成をなす。第1遮断スイッチ71は第1導電路91に介在すると共に一端側(ソース)が電圧変換部6及び第1コンデンサC1の一方の端子に電気的に接続されている。第1遮断スイッチ71の他端側(ドレイン)は第1外部電源61側の第1導電路91に電気的に接続され、制御部12によってオン状態とオフ状態とに切り替えられる構成をなす。つまり、第1遮断スイッチ71は第1導電路91において第1外部電源61と電圧変換部6との間に設けられる。
【0039】
第1遮断スイッチ71は第1外部電源61と第1コンデンサC1との間に介在するスイッチSである。第1遮断スイッチ71は自身がオン状態のときには少なくとも第1外部電源61から電圧変換部6側への通電を許容すると共に、第1コンデンサC1へ電流が流れ込むことを許容する。第1遮断スイッチ71は自身がオフ状態のときには第1外部電源61から電圧変換部6側への通電を遮断すると共に、第1コンデンサC1へ電流が流れ込むことを遮断する。第1遮断スイッチ71には寄生ダイオード71Aが電気的に接続されている。寄生ダイオード71Aのアノードは、電圧変換部6に電気的に接続され、カソードは第1外部電源61側の第1導電路91に電気的に接続された構成をなす。
【0040】
第2遮断スイッチ72は、例えばNチャネル型のMOSFETとして構成されている。具体的には、第2遮断スイッチ72は、第2導電路92の双方向の通電を許容するオン状態と、第2導電路92において第2外部電源62から電圧変換部6側に向かう方向の通電を遮断するオフ状態とに切り替わる構成をなす。第2遮断スイッチ72は第2導電路92に介在すると共に一端側(ソース)が電圧変換部6及び第2コンデンサC2の一方の端子に電気的に接続されている。第2遮断スイッチ72の他端側(ドレイン)は第2外部電源62側の第2導電路92に電気的に接続され、制御部12によってオン状態とオフ状態とに切り替えらえる構成をなす。つまり、第2遮断スイッチ72は第2導電路92において第2外部電源62と電圧変換部6との間に設けられる。
【0041】
第2遮断スイッチ72は第2外部電源62と第2コンデンサC2との間に介在するスイッチSである。第2遮断スイッチ72は自身がオン状態のときには少なくとも第2外部電源62から電圧変換部6側への通電を許容すると共に、第2コンデンサC2へ電流が流れ込むことを許容する。第2遮断スイッチ72は自身がオフ状態のときには第2外部電源62から電圧変換部6側への通電を遮断すると共に、第2コンデンサC2へ電流が流れ込むことを遮断する。第2遮断スイッチ72には寄生ダイオード72Aが電気的に接続されている。寄生ダイオード72Aのアノードは、電圧変換部6に電気的に接続され、カソードは第2外部電源62側の第2導電路92に電気的に接続された構成をなす。
【0042】
第1電流検知部81は、第1導電路91において、電圧変換部6と第1遮断スイッチ71との間に介在して設けられている。第2電流検知部82は、第2導電路92において、電圧変換部6と第2遮断スイッチ72との間に介在して設けられている。第3電流検知部83は、基準導電路93において、電圧変換部6とグラウンドGとの間に介在して設けられている。第1電流検知部81、第2電流検知部82、及び第3電流検知部83は、例えばカレントトランスやシャント抵抗等を用いた公知の電流検出回路として構成される。
【0043】
第1電圧検知部(図示せず)は第1導電路91における第1電圧を示す値を制御部12に出力する。第2電圧検知部(図示せず)は第2導電路92における第2電圧を示す値を制御部12に出力する。
【0044】
制御部12は、例えばマイクロコンピュータとして構成されている。制御部12は第1電圧検出部及び第2電圧検出部から第1導電路91における第1電圧を示す値及び第2導電路92における第2電圧を示す値と目標電圧値とに基づいて公知の方法でフィードバック制御を行う。これにより、制御部12は電圧変換部6に与えるPWM信号のデューティを設定する。そして、制御部12は設定された信号を電圧変換部6の半導体スイッチT1,T2,T3,T4のゲートに向けて出力する。制御部12は半導体スイッチT1,T2,T3,T4をオンオフさせる電圧変換制御を行う。目標電圧値は、制御部12で設定される値であってもよく、外部ECUなどの外部装置から指示される値であってもよい。
【0045】
例えば、第1外部電源61から第2外部電源62に向けて降圧、又は第2外部電源62から第1外部電源61に向けて昇圧する第1変換動作をする場合、制御部12は第1スイッチ部S1の電圧変換制御を実行する。このとき、制御部12は、半導体スイッチT3をオン状態に維持し、半導体スイッチT4をオフ状態に維持する。第1スイッチ部S1の半導体スイッチT1,T2は電圧変換制御されることによってオンオフ動作し、第1導電路91及び第2導電路92の一方に印加された電圧を昇圧又は降圧して他方に出力電圧を印加する駆動用スイッチング素子D1,D2として動作する。
【0046】
第2外部電源62から第1外部電源61に向けて降圧、又は第1外部電源61から第2外部電源62に向けて昇圧する第2変換動作をする場合、制御部12は第2スイッチ部S2の電圧変換制御を実行する。このとき、制御部12は、半導体スイッチT1をオン状態に維持し、半導体スイッチT2をオフ状態に維持する。第2スイッチ部S2の半導体スイッチT3,T4は電圧変換制御されることによってオンオフ動作し、第1導電路91及び第2導電路92の一方に印加された電圧を昇圧又は降圧して他方に出力電圧を印加する駆動用スイッチング素子D3,D4として動作する。
【0047】
〔DCDCコンバータにおける動作〕
次に、本開示のDCDCコンバータ1の動作について説明する。
【0048】
制御部12は、車両に設けられた図示しないイグニッションスイッチがオフ状態であり、DCDCコンバータ1の外部に設けられた装置(外部ECU等)からイグニッションスイッチがオフ状態であることを示すイグニッションオフ信号が入力されている場合、遮断制御を実行する。具体的には、このとき制御部12は半導体スイッチT1,T2,T3,T4、第1遮断スイッチ71、及び第2遮断スイッチ72の各々のゲートに向けてLレベルに設定された信号を出力する。これによって、半導体スイッチT1,T2,T3,T4、第1遮断スイッチ71、及び第2遮断スイッチ72の各々はオフ状態になる。こうして制御部12は遮断制御を実行することによって半導体スイッチT1,T2,T3,T4、第1遮断スイッチ71(スイッチS)、及び第2遮断スイッチ72(スイッチS)をオフ状態で維持するのである。第1遮断スイッチ71に対する制御部12による遮断制御は第1遮断制御であり、第2遮断スイッチ72に対する制御部12による遮断制御は第2遮断制御である。このとき、第1コンデンサC1、及び第2コンデンサC2は充電されていない状態である。
【0049】
〔間欠制御〕
車両に設けられた図示しないイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わると、外部ECU等からイグニッションスイッチがオン状態であることを示すイグニッションオン信号が制御部12に入力される。すると、制御部12は、第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72をオン状態で維持する通電制御へと切り替える前に第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72を間欠的にオン状態とする間欠制御をする。詳しくは、制御部12は第1遮断スイッチ71をオフ状態で維持する第1遮断制御から第1遮断スイッチ71をオン状態で維持する第1通電制御へと切り替える前に第1遮断スイッチ71を間欠的にオン状態とする第1間欠制御を行う。そして、制御部12は第2遮断スイッチ72をオフ状態で維持する第2遮断制御から第2遮断スイッチ72をオン状態で維持する第2通電制御へと切り替える前に第2遮断スイッチ72を間欠的にオン状態とする第2間欠制御を行う。
【0050】
具体的には、
図2に示すように、第1間欠制御及び第2間欠制御ではHレベルの信号を所定の期間P2継続した後、Lレベルの信号を所定の期間P3継続することを繰り返す。制御部12は第1間欠制御及び第2間欠制御(間欠制御)を実行する期間P1において第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72の各々のゲートに向けてHレベル信号とLレベル信号とを交互に繰り返して出力する。これによって、第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72は、ゲートにHレベル信号が入力されているときにはドレインとソースとを導通するオン状態になる。Hレベル信号の時間P2は電圧変換制御の際のPWM信号のHレベル信号の時間より短い(図示せず。)。つまり、第1間欠制御及び第2間欠制御(間欠制御)における第1遮断スイッチ71(スイッチS)及び第2遮断スイッチ72(スイッチS)のオンオフ動作の周波数は電圧変換制御における駆動用スイッチング素子D1,D2,D3,D4(半導体スイッチT1,T2,T3,T4)のオンオフ動作の周波数よりも大きい。第2間欠制御において、第2遮断スイッチ72がオン状態のときには、
図3に示すように、矢印A2に示す経路で第2外部電源62から第2コンデンサC2に電流が流れる。第1間欠制御において、第1遮断スイッチ71がオン状態のときには、矢印A1に示す経路で第1外部電源61から第1コンデンサC1に電流が流れる。
【0051】
第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72は、ゲートにLレベル信号が入力されているときにはドレインとソースとを導通しないオフ状態になる。つまり、制御部12は、第1遮断スイッチ71を第1間欠制御することによって、第1外部電源61から第1コンデンサC1に対して間欠的に電流を流す。そして、制御部12は、第2遮断スイッチ72を第2間欠制御することによって、第2外部電源62から第2コンデンサC2に対して間欠的に電流を流す。これによって、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の各々に流れる電流(突入電流)が過剰に大きくなることを抑えることができる。
【0052】
DCDCコンバータ1は第1電流検知部81が第1導電路91に流れる電流を検知し得る構成である。DCDCコンバータ1は第2電流検知部82が第2導電路92に流れる電流を検知し得る構成である。DCDCコンバータ1は第3電流検知部83が第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、及び電圧変換部6を経由してグラウンドGに流れる電流を検知し得る構成である。従って、DCDCコンバータ1は第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に流れる電流が過剰に大きくなることを抑えることによって、第1電流検知部81、第2電流検知部82、及び第3電流検知部83において過剰に大きい電流値の検知を抑えるのである。
【0053】
そして、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に対する充電が進み、第1間欠制御及び第2間欠制御を終了させる条件が成立する。すると、制御部12は第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72の各々における第1間欠制御及び第2間欠制御を終了した後、第1変換動作又は第2変換動作を開始する。第1間欠制御及び第2間欠制御を終了させる条件は、例えば、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に流れる電流が所定の値よりも小さくなった場合や、第1間欠制御及び第2間欠制御を開始してから所定の時間が経過した場合等である。第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に流れる電流が所定の値よりも小さくなった場合とは、すなわち、第1電流検知部81、第2電流検知部82、及び第3電流検知部83において検出した電流値が所定の閾値よりも小さくなった場合である。そして、制御部12は第1遮断スイッチ71をオン状態で維持する第1通電制御へと切り替え、第2遮断スイッチ72をオン状態で維持する第2通電制御へと切り替える。
【0054】
〔第1変換動作〕
第1変換動作(第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作、及び第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加する動作)について説明する。制御部12は電圧変換部6に向けて駆動信号を出力する。第1変換動作における駆動信号は電圧変換部6の第1スイッチ部S1(半導体スイッチT1,T2(駆動用スイッチング素子D1,D2))の各ゲートに対してデッドタイムを設定した形のPWM信号が相補的に出力される信号である。第1スイッチ部S1(半導体スイッチT1,T2(駆動用スイッチング素子D1,D2))は駆動信号によって電圧変換制御を行う。具体的には、半導体スイッチT1(駆動用スイッチング素子D1)へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、半導体スイッチT2(駆動用スイッチング素子D2)へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力される。そして、半導体スイッチT2(駆動用スイッチング素子D2)へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、半導体スイッチT1(駆動用スイッチング素子D1)へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力されるように電圧変換制御が行われる。
【0055】
制御部12は、第1スイッチ部S1が電圧変換制御を行っているとき、第2スイッチ部S2の半導体スイッチT3にオン信号(例えばHレベル信号)を継続して出力し、半導体スイッチT3をオン状態で維持する。これと共に、制御部12は半導体スイッチT4にオフ信号(例えばLレベル信号)を継続して出力し半導体スイッチT4をオフ状態で維持する。この制御によって、第2導電路92に印加された直流の第2電圧(入力電圧)を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する場合、第1導電路91には第2導電路92に印加された第2電圧よりも高い出力電圧が印加される。そして、第1導電路91に印加された直流の第1電圧(入力電圧)を降圧して第2導電路92に電圧を印加する場合、第2導電路92には第1導電路91に印加された第1電圧よりも低い出力電圧が印加される。
【0056】
〔第2変換動作〕
第2変換動作(第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作、及び第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する動作)について説明する。制御部12は電圧変換部6に向けて駆動信号を出力する。第2変換動作における駆動信号は電圧変換部6の第2スイッチ部S2(半導体スイッチT3,T4(駆動用スイッチング素子D3,D4))の各ゲートに対してデッドタイムを設定した形のPWM信号が相補的に出力される信号である。第2スイッチ部S2(半導体スイッチT3,T4(駆動用スイッチング素子D3,D4))は駆動信号によって電圧変換制御を行う。具体的には、半導体スイッチT3(駆動用スイッチング素子D3)へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、半導体スイッチT4(駆動用スイッチング素子D4)へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力される。そして、半導体スイッチT4(駆動用スイッチング素子D4)へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、半導体スイッチT3(駆動用スイッチング素子D3)へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力されるように電圧変換制御が行われる。
【0057】
制御部12は、第2スイッチ部S2が電圧変換制御を行っているとき、第1スイッチ部S1の半導体スイッチT1にオン信号(例えばHレベル信号)を継続して出力し、半導体スイッチT1をオン状態で維持する。これと共に、制御部12は半導体スイッチT2にオフ信号(例えばLレベル信号)を継続して出力し半導体スイッチT2をオフ状態で維持する。この制御によって、第2導電路92に印加された直流の第2電圧(入力電圧)を降圧して第1導電路91に電圧を印加する場合、第1導電路91には第2導電路92に印加された第2電圧よりも低い出力電圧が印加される。そして、第1導電路91に印加された直流の第1電圧(入力電圧)を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する場合、第2導電路92には第1導電路91に印加された第1電圧よりも高い出力電圧が印加される。
【0058】
制御部12は第1間欠制御及び第2間欠制御が行われない時期において、第1導電路91又は第2導電路92のいずれか一方の導電路において、所定の閾値以上の電流が流れている場合に第1遮断スイッチ71又は第2遮断スイッチ72をオフ状態に切り替える。具体的には、制御部12は第1電流検知部81、第2電流検知部82、及び第3電流検知部83が検知した電流値が所定の閾値以上である場合に第1遮断スイッチ71又は第2遮断スイッチ72をオフ状態に切り替える。
【0059】
制御部12は第1間欠制御及び第2間欠制御が行われない時期において、第1導電路91又は第2導電路92のいずれか一方の導電路において、所定の閾値以下の電圧になった場合に第1遮断スイッチ71又は第2遮断スイッチ72をオフ状態に切り替える。具体的には、制御部12は第1電圧検知部、第2電圧検知部が検知した電圧値が所定の閾値以下である場合に第1遮断スイッチ71又は第2遮断スイッチ72をオフ状態に切り替える。
【0060】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示のDCDCコンバータ1は、電圧変換部6、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、第1遮断スイッチ71、第2遮断スイッチ72、及び制御部12を備えている。電圧変換部6は第1導電路91と第2導電路92との間に設けられる。第1コンデンサC1は第1導電路91と基準導電路93との間に設けられる。第2コンデンサC2は第2導電路92と基準導電路93との間に設けられる。制御部12は第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72をオン状態とオフ状態とに切り替える。
【0061】
第1遮断スイッチ71がオフ状態のときに第1外部電源61から第1コンデンサC1へと電流が流れ込むことが遮断される。少なくとも第1遮断スイッチ71がオン状態のときに第1外部電源61から第1導電路91を介して第1コンデンサC1へと電流が流れ込むことが許容される。第2遮断スイッチ72がオフ状態のときに第2外部電源62から第2コンデンサC2へと電流が流れ込むことが遮断される。少なくとも第2遮断スイッチ72がオン状態のときに第2外部電源62から第2導電路92を介して第2コンデンサC2へと電流が流れ込むことが許容される。制御部12は遮断制御から通電制御への切り替える場合において通電制御前に第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72を間欠的にオン状態とする間欠制御を行う。遮断制御は第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72をオフ状態で維持する。通電制御は第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72をオン状態で維持する。
【0062】
本開示のDCDCコンバータ1は、第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72を遮断制御から通電制御に切り替える際に間欠制御を実行する。このため、DCDCコンバータ1は遮断制御の終了タイミングで通電制御を開始する場合よりも第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に流れ込む突入電流を抑えることができる。よって、DCDCコンバータ1は、遮断制御の解除の際に第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に過剰な突入電流が流れることに起因する問題を生じ難くすることができる。
【0063】
本開示のDCDCコンバータ1のスイッチは、第1導電路91において第1外部電源61と電圧変換部6との間に設けられる第1遮断スイッチ71と、第2導電路92において第2外部電源62と電圧変換部6との間に設けられる第2遮断スイッチ72とを含む。第1遮断スイッチ71は、自身がオン状態のときに第1外部電源61側から電圧変換部6側への通電を許容し、自身がオフ状態のときに第1外部電源61側から電圧変換部6側への通電を遮断する。第2遮断スイッチ72は、自身がオン状態のときに第2外部電源62側から電圧変換部6側への通電を許容し、自身がオフ状態のときに第2外部電源62側から電圧変換部6側への通電を遮断する。
【0064】
制御部12は、第1遮断スイッチ71をオフ状態で維持する第1遮断制御から第1遮断スイッチ71をオン状態で維持する第1通電制御へと切り替える場合において第1通電制御前に第1遮断スイッチ71を間欠的にオン状態とする第1間欠制御を行う。制御部12は、第2遮断スイッチ72をオフ状態で維持する第2遮断制御から第2遮断スイッチ72をオン状態で維持する第2通電制御へと切り替える場合において第2通電制御前に第2遮断スイッチ72を間欠的にオン状態とする第2間欠制御を行う。
【0065】
この構成によれば、DCDCコンバータ1は、第1導電路91及び第2導電路92のいずれにおいても遮断スイッチ(第1遮断スイッチ71、第2遮断スイッチ72)を設けて各々で保護を図り得る。更に、DCDCコンバータ1は、このような保護機能を実現しつつ、第1導電路91及び第2導電路92のいずれの遮断スイッチで遮断制御を解除する場合でも、各外部電源(第1外部電源61、第2外部電源62)から第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2へ流れ込む突入電流を抑えることができる。
【0066】
本開示のDCDCコンバータ1の電圧変換部6は、駆動用スイッチング素子D1,D2,D3,D4を備えている。DCDCコンバータ1は駆動用スイッチング素子D1,D2,D3,D4のオンオフ動作に応じて第1導電路91及び第2導電路92の一方に印加された電圧を昇圧又は降圧して他方に出力電圧を印加する。制御部12は駆動用スイッチング素子D1,D2,D3,D4をオンオフさせる電圧変換制御を行う。制御部12は間欠制御におけるスイッチSのオンオフ動作の周波数を電圧変換制御における駆動用スイッチング素子D1,D2,D3,D4のオンオフ動作の周波数よりも大きくする。
【0067】
この構成によれば、このDCDCコンバータ1は、間欠制御時のスイッチSのオンオフ動作の周波数を電圧変換制御時の駆動用スイッチング素子D1,D2,D3,D4のオンオフ動作の周波数より大きくすることができる。つまり、DCDCコンバータ1は、間欠制御時の各オン時間をより短くすることができ、間欠制御時の各オン時間に第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に流れ込む電流をより小さくすることができる。よって、DCDCコンバータ1は、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2への突入電流をより一層確実に抑制することができる。
【0068】
本開示のDCDCコンバータ1の第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2はセラミックコンデンサである。
セラミックコンデンサは電解コンデンサと比べて内部抵抗が小さいため、電解コンデンサに比べて突入電流が大きくなり易い傾向がある。このため、DCDCコンバータ1は、セラミックコンデンサを用いた場合であっても、間欠制御を行うことによって、1つのオン状態において第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2への突入電流の大きさを良好に抑えることができる。
【0069】
本開示のDCDCコンバータ1の基準導電路93は、一方の導電路(第1導電路91又は第2導電路92)の電位よりも低い基準電位で保たれる導電路である。
【0070】
本開示のDCDCコンバータの制御部は一方の導電路(第1導電路91又は第2導電路92)において、閾値以上の電流が流れる場合又は電圧が閾値以下になった場合に第1遮断スイッチ71又は第2遮断スイッチ72の少なくとも一方をオフ状態に切り替える。
【0071】
<実施形態2>
次に、実施形態2のDCDCコンバータ2について
図4等を参照しつつ説明する。DCDCコンバータ2は、第1外部電源及び第1遮断スイッチが設けられていない点、第1変換動作を実行する前に電圧変換部6の半導体スイッチT3を間欠制御する点等が実施形態1と異なる。同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0072】
〔DCDCコンバータ2の概要〕
DCDCコンバータ2の第1導電路91には第1外部電源が接続されていない。第1導電路91には負荷7が接続されている。負荷7は、例えば第2外部電源62から電力供給を受ける構成をなす。負荷7は公知の車載用の電気部品であり特に種類は限定されない。
【0073】
〔DCDCコンバータにおける動作〕
DCDCコンバータ2の動作について説明する。
制御部12は、外部ECU等からイグニッションスイッチがオン状態であることを示すイグニッションオン信号が入力されると第2遮断スイッチ72を間欠制御する。
【0074】
〔第2遮断スイッチの間欠制御〕
制御部12は、第2遮断スイッチ72(スイッチS)を間欠制御させる。具体的には、実施形態1における第2遮断スイッチ72の第2間欠制御(間欠制御)と同様である。そして、第2コンデンサC2に対する充電が進み、間欠制御を終了させる条件が成立すると、制御部12は第2遮断スイッチ72に対する間欠制御を終了し、第2遮断スイッチ72をオン状態に維持する。間欠制御を終了させる条件は、例えば、第2コンデンサC2に流れる電流が所定の値よりも小さくなった場合や、間欠制御を開始してから所定の時間が経過した場合等である。第2コンデンサC2に流れる電流が所定の値よりも小さくなった場合とは、すなわち、第2電流検知部82、及び第3電流検知部83において検出した電流値が所定の閾値よりも小さくなった場合である。
【0075】
〔半導体スイッチング素子の間欠制御〕
第2遮断スイッチ72がオン状態に維持された状態において、半導体スイッチT3は、第2外部電源62と第1コンデンサC1との間に介在した状態である。制御部12は第1変換動作(第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作)を行う前に半導体スイッチT3を間欠制御する。半導体スイッチT3は第1変換動作の際には、電圧変換制御されることはなくオン状態に維持される。第1変換動作において半導体スイッチT3は電圧変換部6の一部をなすスイッチSである。
【0076】
先ず、制御部12は半導体スイッチT3(スイッチS)のゲートに向けてHレベル信号とLレベル信号を交互に繰り返して出力する。これによって、半導体スイッチT3は、ゲートにHレベル信号が入力されているときにはドレインとソースとが導通するオン状態になり、ゲートにLレベル信号が入力されているときにはドレインとソースとが導通しないオフ状態になる。このとき、制御部12は、半導体スイッチT1,T2,T4に対してLレベル信号を継続して出力している。これによって、半導体スイッチT1,T2,T4はドレインとソースとが導通しないオフ状態になる。
【0077】
間欠制御において半導体スイッチT3がオン状態のときには、
図4における矢印A3に示す経路で第2外部電源62から第1コンデンサC1に電流が流れる。このとき半導体スイッチT1はオフ状態であるが、寄生ダイオードT11を介して第1導電路91に向けて電流が流れる。そして、半導体スイッチT3はゲートにLレベル信号が入力されているときにはドレインとソースとが導通しないオフ状態になる。これによって第2外部電源62から第1コンデンサC1に向けて電流が流れない。つまり、制御部12によって半導体スイッチT3を間欠制御することによって、第2外部電源62から第1コンデンサC1に対して間欠的に電流を流す。これによって、第1コンデンサC1に流れる電流が過剰に大きくなることを抑えることができる。間欠制御しているときに半導体スイッチT3に出力する信号は
図2と同様の信号である。間欠制御における第2遮断スイッチ72(スイッチS)及び半導体スイッチT3(スイッチS)のオンオフ動作の周波数は電圧変換制御における駆動用スイッチング素子D1,D2,D3,D4(半導体スイッチT1,T2,T3,T4)のオンオフ動作の周波数よりも大きい。
【0078】
DCDCコンバータ2は第1電流検知部81が第1導電路91に流れる電流を検知し得る構成である。DCDCコンバータ2は第2電流検知部82が第2導電路92に流れる電流を検知し得る構成である。DCDCコンバータ2は第3電流検知部83が第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、及び電圧変換部6を経由してグラウンドGに流れる電流を検知し得る構成である。従って、DCDCコンバータ2は第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に流れる電流が過剰に大きくなることを抑えることによって、第1電流検知部81、第2電流検知部82、及び第3電流検知部83において過剰に大きい電流値の検知を抑えるのである。そして、第1コンデンサC1に対する充電が進み、半導体スイッチT3における間欠制御を終了させる条件が成立すると、制御部12は半導体スイッチT3における間欠制御を終了する。間欠制御を終了させる条件は、例えば、第1コンデンサC1に流れる電流が所定の値よりも小さくなった場合や、間欠制御を開始してから所定の時間が経過した場合等である。第1コンデンサC1に流れる電流が所定の値よりも小さくなった場合とは、すなわち、第1電流検知部81、第2電流検知部82、及び第3電流検知部83において検出した電流値が所定の閾値よりも小さくなった場合である。制御部12は半導体スイッチT3に対してオン信号(例えばHレベル信号)を継続して出力し、半導体スイッチT3をオン状態に維持することによって半導体スイッチT3(スイッチS)の間欠制御を終了する。
【0079】
〔第1変換動作〕
制御部12は半導体スイッチT3に対してオン信号(例えばHレベル信号)を継続して出力し、半導体スイッチT3をオン状態に維持すると共に、半導体スイッチT4にオフ信号(例えばLレベル信号)を継続して出力し半導体スイッチT4をオフ状態に維持する。さらに、制御部12は第1スイッチ部S1(駆動用スイッチング素子D1,D2)に向けて駆動信号を出力して、第1スイッチ部S1に対して電圧変換制御を行う。こうしてDCDCコンバータ2は第1変換動作を開始するのである。この制御によって、第2導電路92に印加された直流の第2電圧(入力電圧)を昇圧して、第1導電路91に第2導電路92に印加された第2電圧よりも高い出力電圧が印加される。
【0080】
〔第2変換動作〕
制御部12は第2変換動作(第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作)を行う場合、第2スイッチ部S2に対して電圧変換制御を行う。第2変換動作における電圧変換制御の際には、半導体スイッチT3,T4(駆動用スイッチング素子D3,D4)がオンオフ動作をする。このときの半導体スイッチT3は、半導体スイッチT3が間欠制御を実行しているときと同様に、第2外部電源62から第1コンデンサC1へ間欠的に電流を流すことができる。これによって、第1コンデンサC1に流れる電流が過剰に大きくなることを抑えることができるのである。つまり、DCDCコンバータ2が第2変換動作を実行する際には、第2スイッチ部S2(半導体スイッチT3,T4(駆動用スイッチング素子D3,D4))が電圧変換動作をすることによって、半導体スイッチT3が間欠制御を行うことなく第2外部電源62から第1コンデンサC1に対して間欠的に電流を流す。そして、第1コンデンサC1の充電が進んだ後も電圧変換動作を継続することによって第2導電路92に印加された直流の第2電圧(入力電圧)を降圧して、第1導電路91に第2導電路92に印加された第2電圧よりも低い出力電圧が印加される。
【0081】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示のDCDCコンバータ2のスイッチSは、第2導電路92において第2外部電源62と電圧変換部6との間に設けられる第2遮断スイッチ72を含む。第2遮断スイッチ72は自身がオン状態のときに第2外部電源62側から電圧変換部6側への通電を許容し、自身がオフ状態のときに第2外部電源62側から電圧変換部6側への通電を遮断する。
【0082】
この構成によれば、DCDCコンバータ2は特別な専用部品等が増加することを抑えつつ、保護機能に必要な第2遮断スイッチ72を用いて遮断制御解除時の過剰な電流を抑えることができる。よって、DCDCコンバータ2は、より簡易な構成で、第2コンデンサC2への突入電流を抑制することができる。
【0083】
本開示のDCDCコンバータ2のスイッチSは、電圧変換部6の一部をなす半導体スイッチT3を含む。
この構成によれば、DCDCコンバータ2は、特別な専用部品等が増加することを抑えつつ、電圧変換部6の機能を実現する上で必要な半導体スイッチT3を用いて遮断制御解除時の過剰な電流を抑えることができる。よって、DCDCコンバータ2は、より簡易な構成で、第1コンデンサC1への突入電流を抑制することができる。
<他の実施形態>
本構成は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0084】
実施形態2では、間欠制御によって第2外部電源62から第2コンデンサC2及び第1コンデンサC1への充電について開示しているが、第2外部電源及び第2遮断スイッチが設けず、第1外部電源及び第1遮断スイッチを設けた構成であってもよい。この場合、制御部は第1遮断スイッチを間欠制御させることによって第1コンデンサに過剰に大きい電流が流れないように第1コンデンサを充電する。そして、第1コンデンサの充電が進んだ後、第2変換動作(第1導電路に印加される電圧を昇圧して第2導電路に電圧を印加する動作)を行う前に第1スイッチ部の第1ハイサイド素子を間欠制御する。
【0085】
このとき、制御部は、他の半導体スイッチに対してLレベル信号を継続して出力する。この場合、第1スイッチ部の第1ハイサイド素子は電圧変換部の一部をなすスイッチである。制御部は第1スイッチ部の第1ハイサイド素子を間欠制御することによって第2コンデンサに過剰に大きい電流が流れないように第2コンデンサを充電する。このとき、第2スイッチ部の第2ハイサイド素子はオフ状態であるが、寄生ダイオードを介して第2導電路に向けて電流が流れる。そして、第2コンデンサに対する充電が進み、第1スイッチ部の第1ハイサイド素子における間欠制御を終了させる条件が成立すると、制御部は第1スイッチ部の第1ハイサイド素子に対してオン信号(例えばHレベル信号)を継続して出力する。これによって、第1スイッチ部の第1ハイサイド素子をオン状態に維持し、第1スイッチ部の第1ハイサイド素子(スイッチ)の間欠制御を終了して第2変換動作を実行する。
【0086】
制御部は第1変換動作(第1導電路に印加される電圧を降圧して第2導電路に電圧を印加する動作)を行う場合、第1スイッチ部に対して電圧変換制御を行う。このときの第1スイッチ部の第1ハイサイド素子は、自身が間欠制御を実行しているときと同様に、第1外部電源から第2コンデンサへ間欠的に電流を流すことができる。これによって、第2コンデンサに流れる電流が過剰に大きくなることを抑えることができるのである。この場合、第1変換動作を実行する際には、第1スイッチ部が電圧変換動作をすることによって、第1スイッチ部の第1ハイサイド素子が間欠制御を行うことなく第1外部電源から第2コンデンサに対して間欠的に電流を流す。
【0087】
実施形態1、2では、間欠制御において制御部12から第1遮断スイッチ71、第2遮断スイッチ72、半導体スイッチT3に対して出力するHレベル信号の時間P2が一定であることが開示されている。これに限らず、間欠制御を行う全期間のうちの一部期間におけるスイッチのオン時間を一部期間よりも前の期間におけるスイッチのオン時間よりも長くしてもよい。具体的には、
図5に示すように、間欠制御を行う全期間P4のうちの一部期間P8におけるスイッチのオン時間を一部期間P8よりも前の期間P5,P6,P7におけるスイッチのオン時間よりも長くしてよい。間欠制御において各オン状態の時間(以下、オン時間ともいう)が一定である場合、各オン時間においてコンデンサに流れ込む電流は、オン状態を繰り返すほど小さくなる。この現象は、コンデンサの充電時間を長くする一因となる。これに対し、このDCDCコンバータは、相対的に後の一部期間においてオン時間を相対的に長くするため、オン状態の繰り返しに起因する電流の減少を抑えることができる。よって、このDCDCコンバータは、コンデンサへの突入電流を抑制する機能を実現しつつ、コンデンサの充電をより早期に終えることができる。
【0088】
実施形態1、2では、DCDCコンバータの一例として双方向型の昇降圧DCDCコンバータを例示したが、降圧DCDCコンバータであってもよく、昇圧DCDCコンバータであってもよく、昇降圧DCDCコンバータであってもよい。また、実施例1のように入力側と出力側とを変更し得る双方向型のDCDCコンバータであってもよく、入力側と出力側が固定化された一方向型のDCDCコンバータであってもよい。
【0089】
実施形態1、2では、半導体スイッチT2,T4にNチャネル型のMOSFETを用いているが、いずれか一方又は両方にダイオードを用いダイオード整流方式としてもよい。
【0090】
実施形態1、2では、制御部12がマイクロコンピュータを主体として構成されていたが、マイクロコンピュータ以外の複数のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0091】
実施形態1では、間欠制御における第1遮断スイッチ71及び第2遮断スイッチ72(スイッチS)のオンオフ動作の周波数は電圧変換制御における半導体スイッチT1,T2,T3,T4のオンオフ動作の周波数よりも大きいことが開示されている。これに限らず、間欠制御における第1遮断スイッチ及び第2遮断スイッチ(スイッチ)のオンオフ動作の周波数を電圧変換制御における半導体スイッチのオンオフ動作の周波数と同程度であってもよい。また、間欠制御における第1遮断スイッチと第2遮断スイッチの各々のオンオフ動作の周波数は異なっていてもよい。
【0092】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1,2…DCDCコンバータ
6…電圧変換部
7…負荷
12…制御部
61…第1外部電源
62…第2外部電源
70…遮断スイッチ
71…第1遮断スイッチ
71A…寄生ダイオード
72…第2遮断スイッチ
72A…寄生ダイオード
81…第1電流検知部
82…第2電流検知部
83…第3電流検知部
91…第1導電路
92…第2導電路
93…基準導電路
A1,A2,A3…矢印
C1…第1コンデンサ
C2…第2コンデンサ
D1,D2,D3,D4…駆動用スイッチング素子
G…グラウンド
L…インダクタ
S…スイッチ
S1…第1スイッチ部
S2…第2スイッチ部
T1,T2,T3,T4…半導体スイッチ
T11,T12,T13,T14…寄生ダイオード