(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】決済システム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20230511BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
G07G1/00 311D
G07G1/12 321P
G07G1/12 361Z
(21)【出願番号】P 2019207641
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】田丸 真也
(72)【発明者】
【氏名】平野 健三
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-238043(JP,A)
【文献】特開2012-178005(JP,A)
【文献】特開2017-157216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/12
G06Q 10/00-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬可能な収容体に収容された商品に関して決済端末を利用して決済を行う決済システムであって、
前記商品には、決済用情報を記録した無線タグが付され、
前記収容体は、
前記商品を収容するための収容部と、
前記収容部に収容された前記商品の前記無線タグから前記決済用情報を読み取る無線タグ読取部と、
当該収容体が所定の決済エリアに進入している決済エリア進入状態であるか否かについて判定するエリア判定部と、
前記無線タグ読取部の読取結果及び前記エリア判定部の判定結果を前記決済端末に送信する送信部と、
を備え、
前記決済端末は、
通信部と、
前記通信部を介して前記収容体から前記決済エリア進入状態であるとの判定結果を受信した場合に、前記収容体から受信した前記読取結果を利用して決済処理を行う決済処理部と、
を備えることを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記決済処理部は、決済処理が完了すると、前記通信部を介して決済完了情報を前記収容体に送信し、
前記収容体は、前記決済端末から前記決済完了情報を受信することで、所定の発光状態になる発光部を備えることを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記収容体は、前記エリア判定部により前記決済エリア進入状態であると判定されると、その旨を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記商品には、前記決済用情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コードが付され、
前記収容体は、
前記情報コードを光学的に読み取り可能な情報コード読取部と、
前記収容部に収容された前記商品の重さを計測する重量センサと、
前記重量センサによる計測結果が増加した際に前記無線タグ読取部により前記無線タグが読み取られていない場合に、収容された前記商品に付した前記情報コードを前記情報コード読取部にて読み取る操作を促す情報が表示される表示部と、
を備え、
前記送信部は、前記読取結果として、さらに、前記情報コード読取部の読取結果を前記決済端末に送信することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に付された無線タグを利用して決済処理を行う決済システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品購入時の決済作業等の効率化を図るため、各商品にそれぞれ付された無線タグから販売価格等の決済用情報を一括で読み取って決済処理を行う決済システムが採用されている。このように商品に付された無線タグを利用して決済処理を行う決済システムに関する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される販売管理システムが知られている。この販売管理システムでは、買い物カゴに電子タグリーダが設けられており、この電子タグリーダにて買い物カゴに投入された商品の電子タグから読み取った商品情報を利用して決済処理が行われる。また、買い物カゴには投入された商品の重さを計測する重量センサが設けられており、この重量センサの計測結果に基づいて商品の投入又は取り出しを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1でのシステムでは、買い物カゴに投入された商品について、いつどのような状態で決済処理を開始するかについて具体的に言及されていない。そうすると、上述のような決済処理を行う構成では、店内のどの場所でも決済処理を実行できてしまうため、例えば、店舗入口近傍で決済処理を完了した購入者が店舗内を移動してから店舗外に出る場合、販売員等は、その購入者が決済完了せずに店舗外に出ていると誤認してしまう可能性がある。一方、購入者によっては、決済処理を完了してから店舗外に出たとしても、決済完了せずに店舗外に出ていると販売員等に誤認されないか不安になる場合もある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、決済処理を実行可能なエリアを限定することで、決済処理を行う意思表示を周囲に対して行い得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
運搬可能な収容体(30,30a)に収容された商品に関して決済端末(20)を利用して決済を行う決済システム(10,10a)であって、
前記商品には、決済用情報を記録した無線タグ(T)が付され、
前記収容体は、
前記商品を収容するための収容部(32)と、
前記収容部に収容された前記商品の前記無線タグから前記決済用情報を読み取る無線タグ読取部(43)と、
当該収容体が所定の決済エリア(S)に進入している決済エリア進入状態であるか否かについて判定するエリア判定部(46)と、
前記無線タグ読取部の読取結果及び前記エリア判定部の判定結果を前記決済端末に送信する送信部(48)と、
を備え、
前記決済端末は、
通信部(26)と、
前記通信部を介して前記収容体から前記決済エリア進入状態であるとの判定結果を受信した場合に、前記収容体から受信した前記読取結果を利用して決済処理を行う決済処理部(21)と、
を備えることを特徴とする決済システム。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、商品が収容される収容部を備える収容体には、収容部に収容された商品の無線タグから決済用情報を読み取る無線タグ読取部と、当該収容体が所定の決済エリアに進入している決済エリア進入状態であるか否かについて判定するエリア判定部と、無線タグ読取部の読取結果及びエリア判定部の判定結果を決済端末に送信する送信部と、が設けられる。そして、決済端末の決済処理部では、通信部を介して収容体から決済エリア進入状態であるとの判定結果を受信した場合に、収容体から受信した読取結果を利用して決済処理が行われる。
【0008】
このような構成により、収容部に収容した商品の決済処理を開始するためには、購入者が収容体を所定の決済エリアに進入させる必要がある。このため、購入者が収容体を所定の決済エリアに進入させる行為によって、購入者は決済処理を行う意思表示を周囲に対して行うことができ、販売員等はその購入者が決済処理を行う意思を有していることを容易に認識することができる。
【0009】
請求項2の発明では、決済処理が完了したことにより決済端末から送信された決済完了情報を受信することで、所定の発光状態になる発光部が収容体に設けられる。これにより、決済完了することで収容体に設けられる発光部が所定の発光状態になるので、その発光状態を見た販売員等は決済完了済であることを容易に認識することができる。
【0010】
請求項3の発明では、エリア判定部により決済エリア進入状態であると判定されると、その旨を報知する報知部が収容体に設けられる。この報知によって、購入者は、決済処理を行う意思を持って決済エリアに進入したことを周囲に対してより明確に認識させることができる。
【0011】
請求項4の発明では、商品には、決済用情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コードが付されている。収容体では、収容部に収容された商品の重さを計測する重量センサによる計測結果が増加した際に無線タグ読取部により無線タグが読み取られていない場合に、収容された商品に付した情報コードを情報コード読取部にて読み取る操作を促す情報が表示部に表示される。そして、送信部により、上記読取結果として、さらに、情報コード読取部の読取結果が決済端末に送信される。
【0012】
これにより、収容部に収容された商品の無線タグが読み取られていない場合には、その商品に付した情報コードを読み取る操作を促す情報が表示部に表示されるので、無線タグの読み取り失敗に起因する計上漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る決済システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】無線タグを利用した決済を実行可能な決済エリアを説明する説明図である。
【
図3】
図1の決済端末の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図1の読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態において、商品購入時に決済端末にてなされる処理の流れと読取装置にてなされる処理の流れとを説明するフローチャートの一部である。
【
図6】第1実施形態において、商品購入時に決済端末にてなされる処理の流れと読取装置にてなされる処理の流れとを説明するフローチャートの一部である。
【
図7】第2実施形態に係る決済システムの概略構成を示す説明図である。
【
図8】第2実施形態において、商品購入時に決済端末にてなされる処理の流れと読取装置にてなされる処理の流れとを説明するフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の決済システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す決済システム10は、店舗内に陳列された各商品Gにそれぞれ付されたRFIDタグなどの無線タグTを利用して決済処理を行うためのシステムである。より具体的には、本実施形態では、決済システム10は、決済前の商品Gに付された無線タグTの決済用情報(商品Gを特定する情報や販売価格等)を非接触通信にて一括で読み取ることで、決済作業等の効率化を図り得るシステムとして構成されている。
【0015】
図2に示すように、この決済システム10が採用される店舗では、無線タグTを利用した決済を実行可能な所定の決済エリア(以下、決済エリアSともいう)が設けられており、この決済エリアSは、店舗入口と店舗出口との間であって各商品棚が配置される商品エリアと店舗出口との間となるエリア(作荷台が配置されるエリア)に設定されている。本実施形態では、決済エリアSを決めるためのエリア設定用のアクセスポイント(図示略)が決済エリアS内に配置されており、このアクセスポイントを介した無線通信が可能である場合に、決済エリアS内に位置していると判定される。
【0016】
決済システム10は、
図1に示すように、購入者によって操作される決済用の端末(以下、単に、決済端末20ともいう)と、購入者によって運搬されながら決済前の商品Gが収容される収容体として機能するショッピングカート(以下、単位、カート30ともいう)と、を備えている。
【0017】
決済端末20は、カート30に収容された商品Gに関する決済等を行うための携帯型の情報端末であり、後述する決済用のアプリケーションプログラム(以下、決済アプリともいう)がインストールされたスマートフォン等により構成することができる。
【0018】
この決済端末20は、
図3に示すように、CPU等からなる制御部21、ROM、RAMなどの半導体メモリ等からなる記憶部22、カメラとして構成される撮像部23、制御部21によって表示内容が制御されるタッチパネル式の表示部24、タッチパネルに対するタッチ操作やキー操作に応じた操作信号を制御部21に出力する操作部25、カート30及び決済サーバ100等の外部機器と通信するための通信部26などを備えている。記憶部22には、クレジット番号などの決済に使用する個人情報等が記憶されている。
【0019】
このように構成される決済端末20では、上記決済アプリを起動することで制御部21にてなされる決済処理により、カート30から後述するように受信した決済用情報や記憶部22に記憶される個人情報等を利用して決済サーバ100と通信することで、購入商品の決済が行われる。
【0020】
カート30は、
図1に示すように、商品Gを収容するための収容部32が設けられるカート本体31と、商品Gの無線タグTから読み取った決済用情報等に関して決済端末20と無線通信する読取装置40とを備えるように構成されている。カート本体31は、底部に運搬用のキャスターが設けられるショッピングカートであって、購入者が商品Gを投入容易な上部に収容部32が配置されている。
【0021】
読取装置40は、
図4に示すように、CPU等からなる制御部41、ROM、RAMなどの半導体メモリ等からなる記憶部42、無線タグ読取部43、制御部41によって表示内容が制御される表示部44、キー操作等に応じた操作信号を制御部41に出力する操作部45、エリア判定部46、発光部47、決済端末20や商品サーバ(図示略)等の外部機器と通信するための通信部48などを備えている。なお、商品サーバは、無線タグTから読み取った決済用情報に関する更新情報等が要求に応じて送信可能にデータベース化されて構成されている。
【0022】
無線タグ読取部43は、制御部41により制御されて収容部32に収容された商品Gの無線タグTから決済用情報を読み取る読取手段として機能するもので、1又は2以上のアンテナが収容部32の側面側等を囲うようにして配置される。
【0023】
エリア判定部46は、カート30が上述した決済エリアSに進入している決済エリア進入状態であるか否かについて判定するものである。このエリア判定部46は、制御部41により制御されて、上記アクセスポイントを介した無線通信が可能である場合に、決済エリア進入状態であるとして所定の信号を制御部41に出力するように構成されている。
【0024】
発光部47は、制御部41により発光状態が制御される複数色発光可能なLED等であって、カート30を運搬する購入者や周囲の販売員等からその発光状態が視認容易となるように、カート本体31の上部にて表示部44や操作部45の近傍に配置されている。特に、本実施形態では、発光部47は、制御部41により制御されて、例えば、後述するように読取装置40と決済端末20とのペアリングが完了すると第1発光状態(例えば、緑色の点灯状態)になり、エリア判定部46により決済エリア進入状態であると判定されると第2発光状態(例えば、青色の点滅状態)になり、決済端末20により決済処理が完了すると第3発光状態(例えば、青色の点灯状態)になる。このため、周囲の販売員等は、発光部47の発光状態を見るだけで、そのカート30に収容された商品Gの決済状況等を、正確かつ容易に把握することができる。
【0025】
このように構成される読取装置40では、制御部41にてなされる読取処理により、無線タグ読取部43にて読み取った決済用情報が逐次決済端末20に送信される。そして、エリア判定部46にて決済エリア進入状態であると判定されると、発光部47が第2発光状態になるとともに決済が可能になったことを示す決済可能情報が決済端末20に送信され、決済完了情報が決済端末20から受信されると、発光部47が第3発光状態になる。
【0026】
以下、本実施形態において、決済端末20を所持する購入者がカート30を利用して商品Gを購入する際に、決済端末20にてなされる処理と読取装置40にてなされる処理について、
図5及び
図6に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0027】
まず、店舗内に入った購入者は、上記決済アプリを起動した決済端末20をカート30の読取装置40に近づけることで、決済端末20とカート30とのペアリングが完了する(
図5のS101)。これにより、決済端末20と読取装置40との間でデータ通信可能な状態になる。続いて、発光部47が制御部41により制御されて第1発光状態になる(S103)。
【0028】
そして、購入者が商品Gを収容部32に収容(投入)すると(S105)、その商品Gに付された無線タグTの決済用情報が無線タグ読取部43により読み取られて、その決済用情報が読取結果として決済端末20に送信される(S107)。決済端末20では、その表示部24の表示画面に、受信した決済用情報から特定される商品名や価格等が表示される(S109)。その後、エリア判定部46にて決済エリア進入状態であると判定されるまで(S111でNo)、無線タグTを読み取り可能な状態が継続する。
【0029】
そして、決済前の1又は2以上の商品Gを収容部32に収容した購入者がカート30を決済エリアSに進入させると、エリア判定部46にて決済エリア進入状態であると判定される(S111でYes)。この場合には、カート30と決済端末20との間で決済可能情報が送受信されて(
図6のS113)、発光部47が制御部41により制御されて第2発光状態になる(S115)。
【0030】
この第2発光状態において、購入者が決済端末20に対して決済用の操作を行わない場合に(S117でNo)、エリア判定部46にて決済エリア進入状態でないと判定されると(S119でNo)、購入者が決済エリアSに一時的に入り込んだだけとして、発光部47が制御部41により制御されて第1発光状態になり(S103)、商品Gを購入可能な状態が継続する。
【0031】
そして、エリア判定部46にて決済エリア進入状態であると判定されている状態で(S119でYes)、購入者が決済端末20に対して決済用の操作を行うと(S117でYes)、決済処理部として機能する制御部21により決済を完了するための処理がなされる(S121)。これにより、上述のようにカート30から受信した決済用情報と記憶部22に記憶される個人情報等とが決済のための情報として決済端末20から決済サーバ100に送信されることで、決済条件を満たす場合に、その決済が完了する(S121)。
【0032】
このように決済が完了すると、決済端末20とカート30との間で決済完了情報が送受信されて(S123)、発光部47が制御部41により制御されて第3発光状態になる(S125)。その後、決済端末20に対して所定の終了操作を行うか決済端末20とカート30とが所定距離以上離れることで、上記決済アプリが終了し、決済端末20とカート30とのペアリングが解除されて(S127)、発光部47が消灯状態になる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る決済システム10では、商品Gが収容される収容部32を備えるカート30には、収容部32に収容された商品Gの無線タグTから決済用情報を読み取る無線タグ読取部43と、当該カート30が決済エリアSに進入している決済エリア進入状態であるか否かについて判定するエリア判定部46と、無線タグ読取部43の読取結果及びエリア判定部46の判定結果を決済端末20に送信する送信部として機能する通信部48、が設けられる。そして、決済端末20では、カート30から決済エリア進入状態であるとの判定結果を受信した場合に(S113)、カート30から受信した決済用情報(読取結果)等を利用して決済処理が行われる。
【0034】
このような構成により、収容部32に収容した商品Gの決済処理を開始するためには、購入者がカート30を決済エリアSに進入させる必要がある。このため、購入者がカート30を決済エリアSに進入させる行為によって、購入者は決済処理を行う意思表示を周囲に対して行うことができ、販売員等はその購入者が決済処理を行う意思を有していることを容易に認識することができる。
【0035】
特に、決済可能なエリアが決済エリアSとして限定されるため、従来の作荷台が配置されるエリア(決済後に買い物かごから買い物バック等に商品を移し替えるエリア)に決済エリアSを設定することで、入店から商品エリアを通って決済に至るまでの購入者の動線が、従来と大きく変わることもない。このため、店内のどの場所でも決済処理を実行できてしまうために購入者の動線が従来と大きく変わってしまう場合と比較して、動線の違いに起因して購入者が受ける違和感を生じ難くすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、決済処理が完了したことにより決済端末20から送信された決済完了情報を受信することで(S123)、第3発光状態になる発光部47がカート30に設けられる。これにより、決済完了することでカート30に設けられる発光部47が第3発光状態になるので、その発光状態を見た販売員等は決済完了済であることを容易に認識することができる。なお、第3発光状態になる発光部47は、「所定の発光状態になる発光部」の一例に相当し得る。
【0037】
さらに、エリア判定部46により決済エリア進入状態であると判定されると、その旨を第2発光状態にて報知する発光部47が報知部としてカート30に設けられる。この報知によって、購入者は、決済処理を行う意思を持って決済エリアSに進入したことを周囲に対してより明確に認識させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、運搬可能な収容体として、カート30を採用しているが、これに限らず、例えば、買い物かごを採用してもよい。この場合、カート本体31及び収容部32に代えて買い物かご本体を採用し、この買い物かご本体に対して読取装置40を備え付けるようにして買い物かごを構成しても、上記効果を奏する。
【0039】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る決済システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、無線タグTから決済用情報を読み取れない場合に同じ商品Gに付された情報コードCから決済用情報を読み取る点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
無線タグTが破損等していると、その無線タグTから決済用情報を読み取れない場合がある。この場合には、収容部32に収容した商品Gと決済端末20にて把握される決済前の商品Gとが異なってしまう。
【0041】
そこで、本実施形態では、
図7に示すように、無線タグTに記録された決済用情報と同じ情報を光学的に読み取り可能に記録するように情報コードCを生成して、このように生成した情報コードCを同じ決済用情報を記録した無線タグTが付された商品Gに付す。ここで、上記情報コードCとしては、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等が想定される。そして、本実施形態に係る決済システム10aにおけるカート30aは、上述したカート30に対して、情報コードCを光学的に読み取り可能な情報コード読取部51と、収容部32に収容された商品Gの重さを計測する重量センサ52とを新たに追加するようにして構成される。本実施形態では、情報コード読取部51は、携帯型のスキャナであって、読取結果が接続ケーブルを介して制御部41に出力されるように構成される。
【0042】
以下、本実施形態に係る決済システム10aにおいて、決済端末20を所持する購入者がカート30aを利用して商品Gを購入する際に、決済端末20にてなされる処理と読取装置40にてなされる処理について、
図8に示すフローチャートを参照して詳述する。
上記第1実施形態と同様に、決済端末20とカート30aとのペアリングが完了して(
図8のS101)、決済端末20と読取装置40との間でデータ通信可能な状態になると、発光部47が制御部41により制御されて第1発光状態になる(S103)。
【0043】
そして、購入者が商品Gを収容部32に収容(投入)することで重量センサ52にて計測される重さが増加すると(S201でYes)、商品Gがカート30aに収容されたとして(S203)、無線タグ読取部43により無線タグTの決済用情報を読み取るための処理が開始される(S205)。この無線タグTからの読み取りが成功すると(S207でYes)、その読み取った決済用情報に関して決済端末20と読取装置40との間で送受信される(S209)。そして、決済端末20では、その表示部24の表示画面に受信した決済用情報から特定される商品名や価格等が表示される(S109)。
【0044】
一方、重量センサ52にて計測される重さが増加している場合に無線タグTの読み取りに失敗すると(S207でNo)、収容された商品Gに付した情報コードCを情報コード読取部51にて読み取る操作を促す情報(操作促進情報)が表示部44に表示される(S211)。例えば、「商品に表示されたバーコードをスキャナで読み取って下さい」等の報知情報が表示部44に表示される。なお、上記操作促進情報は、読取装置40から所定の指示を受けることで、決済端末20の表示部24にて画面表示されてもよい。
【0045】
上記操作促進情報を見た購入者が情報コード読取部51を操作して商品Gに付した情報コードCを読み取ることで、その情報コードCに記録された決済用情報が読取結果として決済端末20に送信される(S213)。そして、決済端末20では、その表示部24の表示画面に、受信した決済用情報から特定される商品名や価格等が表示される(S109)。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る決済システム10aでは、商品Gには、決済用情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コードCが付されている。カート30aでは、収容部32に収容された商品Gの重さを計測する重量センサ52による計測結果が増加した際に無線タグ読取部43により無線タグTが読み取られていない場合に(S207でNo)、収容された商品Gに付した情報コードCを情報コード読取部51にて読み取る操作を促す情報(操作促進情報)が表示部44に画面表示される(S211)。そして、通信部48により、上記読取結果として、さらに、情報コード読取部51の読取結果が決済端末20に送信される(S213)。
【0047】
これにより、収容部32に収容された商品Gの無線タグTが読み取られていない場合には、その商品Gに付した情報コードCを読み取る操作を促す情報(操作促進情報)が表示部44に画面表示されるので、無線タグTの読み取り失敗に起因する計上漏れを抑制することができる。
【0048】
なお、情報コード読取部51は、携帯型のスキャナとして構成されることに限らず、カート本体31等に固定されて、固定式のスキャナとして構成されてもよい。また、情報コード読取部51の読取機能を決済端末20に持たせるようにしてもよい。すなわち、決済端末20は、上記操作促進情報が表示された場合に、その商品Gに付された情報コードCを撮像部23にて撮像することで読み取った決済用情報を利用して、商品名や価格等を表示部24の表示画面に追加表示してもよい。
【0049】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)エリア判定部46は、エリア設定用のアクセスポイントを介した無線通信が可能である場合に決済エリアSに進入している決済エリア進入状態であると判定することに限らず、他の判定方法を用いて決済エリア進入状態であるか否かについて判定してもよい。例えば、エリア判定部46は、Bluetooth(登録商標)のbeacon機能を利用して決済エリア進入状態であるか否かについて判定してもよい。また、エリア判定部46は、決済エリアSを構成する床面に所定の色彩や模様が付されることを前提として、カート30,30aの進行方向の床面を撮像するカメラで上記所定の色彩や模様が撮像される場合に、決済エリア進入状態であると判定してもよい。
【0050】
(2)決済端末20は、購入者が所持するスマートフォン等により構成されることに限らず、例えば、店舗側が貸出する決済用の携帯端末によって構成されてもよい。この場合、決済端末20は、カート30,30aに対して別体として構成されることに限らず、一体となるように構成されてもよい。
【0051】
(3)決済エリアS内では、購入者が決済端末20に対して決済用の操作を行うことで制御部21により決済を完了するための処理が開始されることに限らず、カート30,30aが決済エリアS内に所定時間以上止まることで制御部21により決済を完了するための処理が自動的に開始されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10,10a…決済システム
20…決済端末
21…制御部(決済処理部)
26…通信部
30,30a…カート(収容体)
31…カート本体
32…収容部
40…読取装置
41…制御部
43…無線タグ読取部
46…エリア判定部
47…発光部(報知部)
48…通信部(送信部)
51…情報コード読取部
52…重量センサ
C…情報コード
G…商品
S…決済エリア
T…無線タグ