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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】接着剤組成物、及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C09J 151/08 20060101AFI20230511BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20230511BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20230511BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230511BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230511BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230511BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
C09J151/08
C09J175/04
C09J4/00
C09J11/06
B32B27/00 M
B32B27/30 A
B32B27/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019232017
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021098824
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】方田 大遥
(72)【発明者】
【氏名】大宅 徹
(72)【発明者】
【氏名】澤口 壽一
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-040319(JP,A)
【文献】特開2017-171735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00-27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、架橋剤(D)、及び反応性希釈剤(E)を含有する接着剤組成物であって、
前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)由来の構成単位と、ケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位とを有する、接着剤組成物。
【請求項2】
ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが、アミノ基を有する連鎖移動剤の残基により連結されてなる、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリロイルユニット(B)100質量部中、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)由来の構成単位の含有量が15~60質量部であり、分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位の含有量が5~30質量部である、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記ウレタン・アクリル複合樹脂(C)100質量部中、ウレタンユニット(A)の含有量が60~85質量部である、請求項1~3いずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)が、β-ジケトン構造を有する、請求項1~4いずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量が、9,000~50,000である、請求項1~5いずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
基材上に、請求項1~6いずれか1項に記載の接着剤組成物から形成される接着剤層を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、十分な接着力、柔軟性、及び基材密着性を有する自動車、建材、船舶、航空機等の分野に適した接着剤組成物、及び該組成物より形成してなる積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、建材、船舶、航空機等の分野において、樹脂やガラス、鉄、アルミ、ステンレス等の金属、セラミックス等を接着固定するために様々な構造用接着剤が使用されている。近年、自動車や航空機の分野では燃費向上のために軽量化を進めており、プラスチックや繊維強化プラスチックからなる材料(以下、FRP)の使用比率を高め、さらには、金属を鉄からより軽量なアルミニウムに置き換えようとする動きが活発になっており、これらを強固に接合できる接着剤が求められている。さらに作業性や環境負荷低減の観点から、揮発性有機化合物の含まない接着剤が求められている。
【0003】
しかしながら、例えば、アルミニウム等の金属とFRPのような線膨張係数が異なる材料を接着させる場合、製造過程あるいは使用温度環境における温度変化によって生じる材料間の膨張率差により接着剤層に高い応力がかかり、接着剤層の破壊あるいは劣化を促進するという課題があった。
【0004】
この様な課題に対し、例えば特許文献1~3では、金属やFRPへの高い接着性を有するエポキシ化合物に応力緩和を目的に長鎖ポリアミンやナノ分散させたゴム状粒子等を添加する方法が提案されている。しかし、これらの方法では一定の柔軟性を付与できるものの、得られる接着層は依然として硬脆く効果は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2018-506635号公報
【文献】国際公開第2007/025007号
【文献】特開2015-182248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、十分な接着力、柔軟性、及び基材密着性を有する自動車、建材、船舶、航空機等の分野に適した接着剤組成物、及び該組成物より形成してなる積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の実施形態は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、架橋剤(D)、及び反応性希釈剤(E)を含有する接着剤組成物であって、前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)由来の構成単位と、ケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位とを有する、接着剤組成物に関する。
【0009】
本発明の他の実施形態は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが、アミノ基を有する連鎖移動剤の残基により連結されてなる、上記接着剤組成物に関する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、前記(メタ)アクリロイルユニット(B)100質量部中、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)由来の構成単位の含有量が15~60質量部であり、分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位の含有量が5~30質量部である、上記接着剤組成物に関する。
【0011】
本発明の他の実施形態は、前記ウレタン・アクリル複合樹脂(C)100質量部中、ウレタンユニット(A)の含有量が60~85質量部である、上記接着剤組成物に関する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)が、β-ジケトン構造を有する、上記接着剤組成物に関する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量が、9,000~50,000である、上記接着剤組成物に関する。
【0014】
本発明の他の実施形態は、基材上に、上記接着剤組成物から形成される接着剤層を有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、十分な接着力、柔軟性、及び基材密着性を有する自動車、建材、船舶、航空機等の分野に適した接着剤組成物、及び該組成物より形成してなる積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の接着剤組成物は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、架橋剤(D)、及び反応性希釈剤(E)を含有し、前記(メタ)アクリロイルユニット(B)が、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)由来の構成単位と、分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位とを有することを特徴とする。
以下に本発明について詳細に説明する。
【0017】
<ウレタン・アクリル複合樹脂(C)>
本発明のウレタン・アクリル複合樹脂(C)は、ウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)とが連鎖移動剤残基により連結した構造を有していればよく、その製造方法は制限されないが、好ましくは下記の方法で製造することができる。
まず、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる、両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニット(A)を形成する(以下、工程1)。次いで、連鎖移動剤、及び反応性希釈剤(E)を添加し、ウレタンユニット(A)の両末端に連鎖移動剤残基を有するウレタンプレポリマーを合成する(以下、工程2)。その後、得られたウレタンプレポリマーが有する連鎖移動剤残基を用いて、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)、分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)を含むエチレン性不飽和単量体を、重合開始剤存在下に連鎖移動重合して、(メタ)アクリロイルユニット(B)を形成する(以下、工程3)。
このようにして、ウレタンユニット(A)と水酸基及び分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する(メタ)アクリロイルユニット(B)、とが連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)を得ることができる。これらの反応はすべて溶媒を用いて行ってもよいが、溶媒を使用せずに製造することが臭気や作業性の観点から好ましい。溶媒を用いる場合は、反応の途中段階又は反応終了後に減圧下もしくは常圧下で溶媒を除去することが好ましい。
【0018】
<ウレタンユニット(A)>
本発明におけるウレタン・アクリル複合樹脂(C)は、ウレタンユニット(A)と、(メタ)アクリロイルユニット(B)と、が連鎖移動剤残基により連結した構造を有しており、前記ウレタンユニットは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて形成することができる。
【0019】
<ポリオール>
ウレタンユニットを構成するポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、植物油系ポリオール、その他ポリオールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン等の重合体又は共重合体として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール;ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオールあるいはこれらの混合物の縮合物類;2個以上の活性水素基を有する化合物に、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン、若しくはポリオキシテトラメチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られるポリオール;等が挙げられる。
【0021】
前記2個以上の活性水素基を有する化合物としては、低分子ポリオール、脂肪族アミン化合物類、芳香族アミン化合物類、アルカノールアミン類又はビスフェノール類等が挙げられる。
【0022】
前記低分子ポリオールとしては、2官能の低分子ポリオール又は3官能以上の低分子ポリオール等が挙げられる。
【0023】
2官能の低分子ポリオールとしては、特に制限されず、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
【0024】
3官能以上の低分子ポリオールとしては、特に制限されず、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ブタントリオール、トリメチロールブテン、トリメチロールペンテン、トリメチロールヘキセン、トリメチロールヘプテン、トリメチロールオクテン、トリメチロールノネン、トリメチロールデセン、トリメチロールウンデセン、トリメチロールドデセン、トリメチロールトリデセン、トリメチロールペンタデセン、トリメチロールヘキサデセン、トリメトロールヘプタデセン、トリメチロールオクタデセン、1,1,1-トリメチロール-2-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-2-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-エチル-ヘキサン、トリメチロールヘキセン、1,2,3-オクタントリオール、1,3,7-オクタントリオール、3,7-ジメチル-1,2,3-オクタントリオール、1,1,1-、1,1,1-トリメチロールデカン、1,2,10-デカントリオール、1,1,1-トリメチロールイソヘプタデカン、1,1,1-トリメチロール-sec-ブタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ペンタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ノナン、1,1,1-トリメチロール-tert-トリデカン、1,1,1-トリメチロール-tert-ヘプタデカン、1,1,1-トリメチロール-2-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-2-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロールイソヘプタデカン、1,2,3,4-ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ベンゼン-1,3,5-トリオール、ベンゼン-1,2,3-トリオール、スチルベン-3,4’、5-トリオール、シュークロース、イノシトール、ソルビタン、ソルビトール、マンニトール、サッカロース、セルロース、キシリトールが挙げられる。
【0025】
脂肪族アミン化合物類としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパンが挙げられる。芳香族アミン化合物類としては、例えば、トルエンジアミン、ジフェニルメタンー4,4-ジアミンが挙げられる。アルカノールアミン類としては、例えば、エタノールアミン及びジエタノールアミンが挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールFが挙げられる。
【0026】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上述の低分子ポリオールと二塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールが挙げられる。
二塩基酸成分としては、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族又は芳香族の二塩基酸、及びそれらの無水物が挙げられる。
【0027】
また、ポリエステルポリオールとして、ε-カプロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオールを用いてもよい。
【0028】
(ポリカーボネートポリオール)
ポリカーボネートポリオールとしては、上述の低分子ポリオールと、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物と、の反応により得られるものが挙げられる。
ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート等を、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート等を、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等を、用いることができる。
【0029】
(ポリオレフィンポリオール)
ポリオレフィンポリオールとしては、水酸基含有ポリブタジエン、水添した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水添した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
【0030】
(植物油系ポリオール)
植物油系ポリオールとしては、例えば、植物由来のひまし油、ダイマー酸、若しくは大豆油を原料としたポリオールが挙げられる。
【0031】
ポリオールとして好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール又はポリカーボネートポリオールであり、より好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0032】
ポリオールの数平均分子量は、好ましくは500以上5,000未満であり、より好ましくは700以上3,500未満である。
【0033】
ポリオールは、上記以外のその他ポリオールを含有してもよく、ウレタン結合濃度の調節や各種官能基導入を目的として、上述の低分子ポリオールを併用することができる。
【0034】
<ポリイソシアネート>
ウレタンユニット(A)を構成するポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアナネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアナート、p-テトラメチルキシレンジイソシアナート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
【0036】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートテトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0037】
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートが挙げられる。
【0038】
ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、好ましくは無溶剤下で公知のウレタン化反応を用いて行うことができ、ポリイソシアネートを過剰にすることで、両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニットを得ることができる。反応時のイソシアネート基と水酸基とのモル比(NCOモル数/OHモル数)は、好ましくは1.05~2.00、より好ましくは1.10~1.50である。
ウレタン化反応では、反応性を調整する目的で触媒を用いてもよい。
【0039】
(触媒)
触媒としては、公知の金属系触媒、アミン系触媒等が使用できる。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキソエート)、2-エチルヘキソエート鉛、チタン酸2-エチルヘキシル、チタンエチルアセテート、2-エチルヘキソエート鉄、2-エチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ-n-ブチル錫等が挙げられる。アミン系触媒としては、テトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。触媒の使用量は、好ましくはポリオールに対して0.05~1モル%の範囲である。
【0040】
(ウレタンユニット(A)の含有量)
ウレタンユニット(A)の含有量は、ウレタン・アクリル複合樹脂を100質量部とした時、25~90質量部が好ましく、より好ましくは45~90質量部であり、さらに好ましくは60~85質量部である。ウレタンユニット(A)の含有量が25~90質量部であると、接着力と柔軟性、及び密着性に優れるため好ましい。
【0041】
<連鎖移動剤>
上述で得られたウレタンユニット(A)、及び連鎖移動剤を、反応性希釈剤(E)の存在下に反応させることで、両末端に連鎖移動剤残基を有するウレタンプレポリマー及び反応性希釈剤(E)を含む組成物を得ることができる。連鎖移動剤は、特に制限されないが、イソシアネート基と反応しうる官能基とスルファニル基とを有するものが好ましい。当該連鎖移動剤を用いると、ウレタンユニット(A)における末端イソシアネート基と、連鎖移動剤におけるイソシアネート基と反応しうる官能基とが反応し、両末端にスルファニル基を有するウレタンプレポリマーが形成される。連鎖移動剤は、公知の連鎖移動剤から単独又は2種以上を併用して用いることができる。
【0042】
上記イソシアネート基と反応しうる官能基としては、水酸基又はアミノ基が挙げられるが、反応性の観点から好ましくはアミノ基である。アミノ基はスルファニル基よりも反応性が高いため、ウレタンユニットの末端イソシアネート基と優先的に反応してウレア結合を形成し、ウレタンプレポリマーの末端に効率的にスルファニル基を導入することができる。
後述の反応性希釈剤における水酸基も、ウレタンユニットの末端イソシアネート基と反応する可能性があるが、水酸基よりも反応性が高いアミノ基を有する連鎖移動剤を用いることで、2官能以上のポリオールとウレタンユニットのイソシアネート基との反応が抑制され、ウレタンプレポリマーの末端に効率的にスルファニル基を導入することができるため好ましい。
【0043】
分子内に1つのアミノ基と1つのスルファニル基を有する化合物としては、例えば、2-アミノエタンチオール、3-アミノプロピル-1-チオール、1-アミノプロピル-2-チオール、4-アミノ-1-ブタンチオール等のアミノアルカンチオール類;2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノール等のアミノベンゼンチオール類;が挙げられる。中でも、好ましくはアミノアルカンチオール類であり、より好ましくは2-アミノエタンチオールである。
【0044】
<反応性希釈剤(E)>
反応性希釈剤(E)としては、後述の架橋剤(D)との反応性を有する液状物質であればよく、好ましくは、2官能以上の水酸基を有する化合物である。接着剤組成物が反応性希釈剤(E)を含むことで、当該組成物により形成される膜がより強固な硬化になり、優れた接着力を得ることが可能となる。
反応性希釈剤(E)としては、例えば、上述のポリオールの項で挙げられた各種ポリオールのほか、その原料として用いられる低分子ポリオールを使用することができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。好ましくは、ポリエーテルポリオールであり、より好ましくはポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールである。
前述のとおり、工程2のウレタンプレポリマーは、ウレタンユニットと連鎖移動剤との反応生成物が主成分であり、反応性希釈剤は、大半が未反応のまま残存することが好ましい。
【0045】
反応性希釈剤(E)の数平均分子量は、好ましくは100~5,000であり、より好ましくは150~2,000であり、さらに好ましくは200~1,200である。
2官能以上のポリオールの水酸基価は、好ましくは10~1000mgKOH/g、より好ましくは40~750mgKOH/g、さらに好ましくは150~600mgKOH/gである。
数平均分子量及び水酸基価が上記範囲内であると、接着力、柔軟性、及び基材密着性に優れるため好ましい。
【0046】
<(メタ)アクリロイルユニット(B)>
(メタ)アクリロイルユニット(B)は、分子内に水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)由来の構成単位と、分子内に1つ以上のケトン基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位を有するものであり、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)と、分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)とを含むエチレン性不飽和単量体を、重合開始剤の存在下に重合させて得られる構造体である。
具体的には、工程2で得られた両末端に連鎖移動剤残基を有するウレタンプレポリマー及び反応性希釈剤(E)を含む組成物と、分子内に水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)及び分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)を含むエチレン性不飽和単量体と、を重合開始剤の存在下に重合させることで、ウレタンユニット(A)と、(メタ)アクリロイルユニット(B)とが、連鎖移動剤残基により連結したウレタン・アクリル複合樹脂(C)、及び反応性希釈剤(E)を含む樹脂組成物を得ることができる。
【0047】
(水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1))
水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、特に制限されず、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート又はこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1~5)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メチロール)アクリルアミド、N-メチロール-N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリロイルユニット(B)100質量部中、好ましくは5~95質量部であり、より好ましくは10~80質量部であり、さらに好ましくは15~60質量部である。含有量が5~95質量部であると、接着力と柔軟性、及び密着性に優れるため好ましい。
【0049】
(分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2))
【0050】
分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)は特に制限されず、公知の単量体から適宜選択することができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子内に1つ以上のアルデヒド基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクロレイン、N-ビニルホルムアミド、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ブタンジオール-1,4-アクリレート-アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒド、メタクリルホルムアミドが挙げられる。
分子内に1つ以上のケトン基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N-(シアノアセトキシエチル)アクリルアミド、N-(プロピオニルアセトキシブチル)アクリルアミド、N-(4-アセトアセトキシメチルベンジル)アクリルアミド、N-(2-アセトアセチルアミノエチル)アクリルアミドが挙げられる。
【0051】
中でも、エチレン性不飽和単量体(b2)としては、ケトン基が2つ以上有するものが好ましく、より好ましくはβ-ジケトン構造を有するものである。
β-ジケトン構造を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシ-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシマロニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0052】
エチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリロイルユニット(B)100質量部中、好ましくは5~95質量部であり、より好ましくは5~60質量部であり、さらに好ましくは5~30質量部である。含有量が5~95質量部であると、接着力と柔軟性、及び密着性に優れるため好ましい。
【0053】
(その他のエチレン性不飽和単量体)
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキルエチレン性不飽和単量体類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキルエチレン性不飽和単量体類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有するエチレン性不飽和単量体類;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキルエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体類;3-(アクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン及び3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン等のオキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体類;スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル基を有するエチレン性不飽和単量体類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体類;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N-ジメチルアミノスチレン、N,N-ジエチルアミノスチレン、メチルα-アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N-ビニルチオピロリドン、N-ビニルピロールこれらの塩等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート、ニトロスチレン等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、N-ターシャリー-オクチルアクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ターシャリーブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、N-メチルN-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、桂皮酸アミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートクロライド、メチルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリレートブロマイド、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドメトサルフェート、ベンジルジエチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミドカーボネート、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチルアリルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウムカチオンを含有するエチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
<重合開始剤>
重合開始剤としては、公知のアゾ系化合物や有機過酸化物を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アゾ系化合物としては、特に制限されず、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカーボキシレート)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]が挙げられる。
有機過酸化物としては、特に制限されず、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサエート、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドが挙げられる。
【0055】
重合開始剤の使用量は、全エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、好ましくは0.001~15質量部である。0.001~15質量部の範囲であると、効果的に連鎖移動重合が進行するため好ましい。
【0056】
(ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量)
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量は特に限定されないが、7,000~100,000が好ましく、より好ましくは、8,000~70,000であり、さらに好ましくは、9,000~50,000である。7,000~100,000であると接着力と柔軟性、及び密着性に優れるため好ましい。
【0057】
(ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の水酸基価)
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)の水酸基価は、好ましくは1~400mgKOH/gであり、より好ましくは1~250mgKOH/g、さらに好ましくは5~100mgKOH/gである。1~400mgKOH/gであると
【0058】
<溶媒>
ウレタン・アクリル複合樹脂(C)を製造する際に使用できる溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、プロピレンオキシド、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類の他、トルエン、メチルシクロヘキサン、アセトニトリルが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明で使用する溶媒は、反応の途中段階又は反応終了後に、減圧下もしくは常圧下で除去することが好ましい。
【0059】
<接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、さらに架橋剤(D)を含む。
【0060】
<架橋剤(D)>
架橋剤(D)は、接着剤組成物に含まれるウレタン・アクリル複合樹脂又は反応性希釈剤が有する官能基と反応し得る官能基を有するものが好ましく、好ましくはポリイソシアネートである。該ポリイソシアネートとしては、分子内にイソシアネート基を2つ以上有する化合物、及びこれらのビウレット体、ヌレート体、アダクト体、その他縮合体等が挙げられる。架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
ビウレット体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(製品名「スミジュールN-75」、住化バイエルウレタン社製;製品名「デュラネート 24A-100」、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0062】
ヌレート体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体(製品名「スミジュールN-3300」、住化バイエルウレタン社製)、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(製品名「デスモジュールZ-4370」、住化バイエルウレタン社製)、トリレンジイソシアネートのヌレート体(製品名「コロネート 2030」、日本ポリウレタン社製)等が挙げられる。
【0063】
アダクト体としては、上述のウレタンユニットの項で述べた芳香族、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートと、上述のポリオールの項で述べた2個以上の活性水素基を有する化合物と、を反応させてなる、2官能以上のイソシアネート化合物が挙げられ、例えば、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネートアダクト体(製品名「タケネートD-160N」、三井化学社製)、トリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネートアダクト体(製品名「タケネートD-140N」、三井化学社製)、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体が挙げられる。
【0064】
その他の縮合体としては、上述のイソシアネート基含有化合物の多官能体、カルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体が挙げられ、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(製品名「PAPI27」、ダウ社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(製品名「タケネートD-165N」、三井化学社製)、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(製品名「Isonate 143L」、ダウ社製)が挙げられる。
【0065】
中でも架橋剤として好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体等の3官能イソシアネート化合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートであり、これらを使用すると、高い凝集力が得られるため好ましい。より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0066】
架橋剤(D)中のイソシアネート基と、接着剤組成物に含まれる全水酸基とのモル比(イソシアネート基のモル数/水酸基のモル数)は、好ましくは0.2~5.0であり、より好ましくは0.5~3.0である。モル比が0.2~5.0であると、接着力と柔軟性、及び密着性に優れるため好ましい。
【0067】
<その他成分>
接着剤組成物は、さらに、反応促進剤、シランカップリング剤、リン酸又はリン酸誘導体、レベリング剤又は消泡剤、充填剤、噴射剤、可塑剤、超可塑剤、湿潤剤、難燃剤、粘度調整剤、保存剤、安定剤及び着色剤等の公知の添加剤を含むことができる。
【0068】
反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
反応促進剤の添加量は、接着剤組成物中のウレタン・アクリル複合樹脂100質量部に対し、好ましくは0.005~5質量部である。
【0070】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するトリアルコキシシラン;3―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するトリアルコキシシラン;が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい
【0071】
シランカップリング剤の添加量は、接着剤組成物中のウレタン・アクリル複合樹脂100質量部に対し、好ましくは0.05~10質量部である。
【0072】
リン酸又はリン酸誘導体の内、リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、上述のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール等が挙げられる。リン酸又はその誘導体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
リン酸又はその誘導体の添加量は、接着剤組成物中のウレタン・アクリル複合樹脂100質量部に対し、好ましくは0.005~5質量部である。
【0074】
レベリング剤又は消泡剤の内、レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチン等が挙げられる。
【0075】
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
【0076】
<積層体>
本発明の積層体は、本発明の接着剤組成物を用いて形成されるものである。積層体の製造方法は特に制限されず、例えば、接着剤組成物を基材の一方の面に塗布し、次いで、未硬化の接着剤面に他の基材を重ねて20~150℃程度の加熱処理により接着剤を硬化させることで、積層体を得ることができる。硬化後の接着剤層の膜厚は0.1μm~300mmであることが好ましい。
【0077】
本発明の接着剤組成物は、多種の基材間の接着に用いることができる。好適な基材としては、例えば、アルミニウム等の金属、ポリエチレン、ポリロピレン、ポリウレタン、ポリアクリレート及びポリカーボネート及びそれらのコポリマー等の熱可塑性ポリマー、加硫ゴム等の熱硬化性ポリマー、尿素-ホルムアルデヒドフォーム、メラミン樹脂、木材、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック及びその他の繊維強化プラスチックが挙げられ、接着剤層を介して接着される基材は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0078】
本発明の積層体は、優れた接着力、柔軟性、及び基材密着性を有しており、自動車、建材、船舶、航空機等の輸送機器の構造部材(パネル部品、骨格部品、足回り部品など)として有用である。
【実施例
【0079】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、特に断りのない限り実施例における「部」及び「%」は、各々「質量部」及び「質量%」を表す。
【0080】
[数平均分子量(Mn)]
数平均分子量は、カラムとしてShodexGPCLF-604(Shodex社製)と、RI検出器とを備えたGPC(Shodex社製、GPC-104)を用いて、展開溶媒をTHFとした場合のポリスチレン換算分子量を用いた。
【0081】
<ウレタン・アクリル複合樹脂の製造>
[製造例1]
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、ポリオールとしてP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート28.3部、触媒としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させて、両末端にイソシアネート基を有するウレタンユニットを得た。
得られた生成物を80℃まで冷却し、反応性希釈剤(E)としてアデカポリエーテルG-400(製品名、一般名:3官能ポリプロピレングリコール、水酸基価265、ADEKA社製)70.6部、連鎖移動剤として2-アミノエタンチオール4.3部を加え、75℃で2時間反応させて、両末端にスルファニル基を有するウレタンプレポリマーと反応性希釈剤(E)とを含む組成物を得た。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピーク(2270cm-1付近)の消失により確認した。
得られた組成物に、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)として2-ヒドロキシエチルメタクリレート6.4部、分子内にケトン基及びアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)として2-アセトアセトキシエチルメタクリレート6.4部、その他のエチレン性不飽和単量体としてn-ブチルメタクリレート19.2部を加え均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温した。次いで、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤の添加後にさらに2時間反応させて、(メタ)アクリロイルユニット(B)を形成し、ウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)と反応性希釈剤とを含む組成物を得た。
得られたウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)のウレタンユニット(A)と(メタ)アクリロイルユニット(B)の和に対するウレタンユニット(A)の含有量、(メタ)アクリロイルユニット(B)中の水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(b1)の含有量、(メタ)アクリロイルユニット(B)中のエチレン性不飽和単量体(b2)の含有量、ウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)の数平均分子量は表1の通りである。
【0082】
[製造例2~20、比較製造例1~2]
表1に示す配合組成に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、ウレタン・アクリル複合樹脂(C-2~C-22)と反応性希釈剤とを含む組成物を得た。
【0083】
[比較製造例3]
反応性希釈剤(E)を用いなかった以外は、製造例1と同様の操作を行い、比較用のウレタン・アクリル複合樹脂(C-23)を得た。
【0084】
[比較製造例4]
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、アデカポリエーテルP-1000(製品名、一般名:2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製)100部、イソホロンジイソシアネート16.8部、反応促進剤としてチタンジイソプロポキシビズ(エチルアセトアセテート)を0.02部仕込み均一に撹拌した後、窒素雰囲気下110℃で5時間反応させて、両末端に水酸基を有するウレタンユニットを得た。
得られた生成物に、アデカポリエーテルG-400(製品名、一般名:3官能ポリプロピレングリコール、水酸基価265、ADEKA社製)50.0部を添加し、十分に攪拌混合して比較用のウレタン樹脂(C-24)と反応性希釈剤とを含む組成物を得た。
【0085】
[比較製造例5]
窒素ガス導入管、攪拌装置、温度計、還流器を備えた反応容器に、アデカポリエーテルG-400(製品名、一般名:3官能ポリプロピレングリコール、水酸基価265、ADEKA社製)4.3部、2-アセトアセトキシエチルメタクリレート2.0部、n-ブチルメタクリレート6.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート2.0部を加え均一に撹拌した後、窒素雰囲気下で75℃に昇温した。次いで、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を30分毎に13回分割して加え、重合開始剤をすべて添加した後さらに2時間反応させて、比較用のアクリル樹脂(C-25)と反応性希釈剤とを含む組成物を得た。
【0086】
【表1】
【0087】
表1中の略称を以下に示す。
P-1000;2官能ポリプロピレングリコール、水酸基価110、ADEKA社製
PTG1000SN:2官能ポリテトラメチレングリコール、水酸基価110、保土谷化学工業社製
IPDI:イソホロンジイソシアネート
システアミン:2-アミノエタンチオール
G-400:3官能ポリプロピレングリコール、水酸基価397、ADEKA社製
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
HEAA:N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド
AAEM:2-アセトアセトキシエチルメタクリレート
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
BMA:n-ブチルメタクリレート
NIPAM:イソプロピルアクリルアミド
HO-MS(N):2-メタクリロイロキシエチルコハク酸
【0088】
<接着剤組成物の調製>
[実施例1]接着剤組成物(F-1)
ウレタン・アクリル複合樹脂(C-1)を10部、架橋剤(D)としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート4.7部を室温で攪拌混合し、接着剤組成物(F-1)を調製した。
【0089】
[実施例2~20及び比較例1~7]
表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、接着剤組成物(F2~F-27)を調製した。なお接着剤組成物(F-24)は、粘度が高く均一に撹拌混合することが困難であり、接着剤組成物を得ることができなかった。
【0090】
<接着剤組成物の評価>
得られた接着剤組成物について以下の評価を行った。結果を表2に示す。(F-24)は接着剤組成物が得られず評価を行うことができなかった。
【0091】
[接着力]
各接着剤組成物を、アルミニウム基材(長さ100mm、幅25mm、厚み2mm)上に幅25mm、長さ10mm、厚み0.1mmとなるよう塗布し、炭素繊維強化プラスチック基材(長さ100mm、幅25mm、厚み2mm)と貼りあわせ、厚み0.1mmを保持するよう圧着した状態で80℃1日間養生して接着剤を硬化させ、試験片を得た。得られた試験片を温度25℃、相対湿度50%の条件下、引張り速度1mm/分で引張り試験機を用いてせん断接着力を測定し、接着力を以下の評価基準で判定した。
(評価基準)
S:せん断接着力が13.0MPa以上である(非常に良好)
A:せん断接着力が11.5MPa以上、13.0MPa未満である(良好)
B:せん断接着力が10.0MPa以上、11.5MPa未満である(使用可能)
C:せん断接着力が10.0MPa未満である(使用不可)
【0092】
[破断伸び(柔軟性)]
厚さ2mmのシート状型枠に各接着剤組成物を充填し、表面を整えて、80℃1日間の養生後、ダンベル型枠で打ち抜き、ダンベル型硬化物を作製した。このダンベル片を用いて、引張速度50mm/分で引張試験を行い、破断時の伸び率(%)を測定し、破断伸び(柔軟性)を以下の基準で判定した。
(評価基準)
S:破断時の伸び率が150%以上である(非常に良好)
A:破断時の伸び率が125%以上、150%未満である(良好)
B:破断時の伸び率が100%以上、125%未満である(使用可能)
C:破断時の伸び率が100%未満である(使用不可)
【0093】
[基材密着性]
上述の接着力を評価した後の試験片について、接着剤組成物の硬化物が基材から剥がれた面積の割合を観察し、基材密着性を以下の基準で判定した。剥がれた面積は、アルミニウム基材と炭素繊維強化プラスチック基材のうち、剥がれの大きい方の基材の面積を用いた。
S:剥がれた面積が20%未満である(非常に良好)
A:剥がれた面積が20%以上、35%未満である(良好)
B:剥がれた面積が35%以上、50%未満である(使用可能)
C:剥がれた面積が50%以上である(使用不可)
【0094】
【表2】
【0095】
表2中の略称を以下に示す。
polymeric MDI:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート
【0096】
表2の結果により、本発明の接着剤組成物は、接着力、破断伸び(柔軟性)、基材密着性ともに良好な結果が得られた。特に、(メタ)アクリル単量体(b1)及びエチレン性不飽和単量体(b2)由来の構成単位の含有量、ウレタンユニット(A)の含有量、及びウレタン・アクリル複合樹脂(C)の数平均分子量が好適な範囲内であり、エチレン性不飽和単量体(b2)が、β-ジケトン構造を有する、実施例1、4~10、17及び18は、いずれの評価においても優れた結果となった。