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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20230511BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20230511BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230511BHJP
   H05K 5/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H02M3/00 Y
H05K7/14 C
H05K5/02 P
H05K5/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020009162
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021118577
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕介
(72)【発明者】
【氏名】志満津 仁
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3218109(JP,U)
【文献】特開2018-064056(JP,A)
【文献】特開2013-247091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H05K 7/14
H05K 5/02
H05K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換部が実装された基板と、
前記電力変換部に電力を入力する入力部と、
前記電力変換部からの電力が出力される出力部と、を備え、前記出力部に接続された外部機器に電力を供給する給電装置であって、
前記基板が収容される金属製のケースと、
前記基板を前記ケースに取り付ける板バネと、を備え、
前記板バネは、
前記ケースに掛けられる掛止部と、
前記掛止部を介して前記ケースから加わる力により弾性変形して前記基板を前記ケースに向けて押し付ける弾性変形部と、を備え
前記ケースは、前記板バネよりも熱伝導率の高い金属製である給電装置。
【請求項2】
電力変換部が実装された基板と、
前記電力変換部に電力を入力する入力部と、
前記電力変換部からの電力が出力される出力部と、を備え、前記出力部に接続された外部機器に電力を供給する給電装置であって、
前記基板が収容される金属製のケースと、
前記基板を前記ケースに取り付ける板バネと、を備え、
前記板バネは、
前記ケースに掛けられる掛止部と、
前記掛止部を介して前記ケースから加わる力により弾性変形して前記基板を前記ケースに向けて押し付ける弾性変形部と、
前記出力部を覆うカバーと、を備え
前記基板は、厚み方向に直交する方向の両端部を備え、
前記弾性変形部は、前記両端部のうち一方の端部である第1端部に接触しており、
前記板バネは、前記両端部のうち前記第1端部とは異なる端部である第2端部に接触する接触部を備え、
前記カバーは、前記接触部を前記基板に向けて押し付けるように設けられている給電装置。
【請求項3】
電力変換部が実装された基板と、
前記電力変換部に電力を入力する入力部と、
前記電力変換部からの電力が出力される出力部と、を備え、前記出力部に接続された外部機器に電力を供給する給電装置であって、
前記基板が収容される金属製のケースと、
前記基板を前記ケースに取り付ける板バネと、を備え、
前記板バネは、
前記ケースに掛けられる掛止部と、
前記掛止部を介して前記ケースから加わる力により弾性変形して前記基板を前記ケースに向けて押し付ける弾性変形部と、を備え
前記板バネは、前記基板の厚み方向に直交する方向に互いに向かい合う一対の前記掛止部を備え、
前記弾性変形部は、前記基板の厚み方向及び前記一対の前記掛止部同士が向かい合う方向の両方に直交する方向における前記基板の端部に接触している給電装置。
【請求項4】
電力変換部が実装された基板と、
前記電力変換部に電力を入力する入力部と、
前記電力変換部からの電力が出力される出力部と、を備え、前記出力部に接続された外部機器に電力を供給する給電装置であって、
前記基板が収容される金属製のケースと、
前記基板を前記ケースに取り付ける板バネと、を備え、
前記板バネは、
前記ケースに掛けられる掛止部と、
前記掛止部を介して前記ケースから加わる力により弾性変形して前記基板を前記ケースに向けて押し付ける弾性変形部と、を備え
前記ケースは、前記ケースの外面を流れる液体が前記出力部に流れることを抑制する流通抑制壁を備える給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の給電装置は、基板と、基板に設けられた入力部と、基板に設けられた出力部と、ケースと、ネジと、を備える。給電装置は、入力部から入力された電力を出力部から出力する。ケースは、基板を収容する。ケースは、ネジが締結されるネジ座を備える。ネジは、基板を挿通してネジ座に締結される。これにより、基板はケースに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-67604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、基板をネジによってケースに取り付けているため、ケースにネジを締結するためのネジ座を設ける必要がある。また、基板においてネジが挿通される部分やその周囲には、電子部品を実装することができないため、基板において電子部品を実装可能な実装面が少なくなる。これらの要因により、基板をネジによってケースに取り付ける場合、給電装置の大型化を招くおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図ることができる給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する給電装置は、電力変換部が実装された基板と、前記電力変換部に電力を入力する入力部と、前記電力変換部からの電力が出力される出力部と、を備え、前記出力部に接続された外部機器に電力を供給する給電装置であって、前記基板が収容される金属製のケースと、前記基板を前記ケースに取り付ける板バネと、を備え、前記板バネは、前記ケースに掛けられる掛止部と、前記掛止部を介して前記ケースから加わる力により弾性変形して前記基板を前記ケースに向けて押し付ける弾性変形部と、を備える。
【0007】
板バネの弾性変形部からの押し付け力が基板に加わることで、基板はケースに取り付けられる。ネジを用いなくても基板をケースに取り付けることができるため、基板をケースに取り付けるためのネジを締結するための部位をケースに設けることなく基板をケースに取り付けることができる。また、基板をケースに取り付けるためのネジにより基板の実装面が少なくなることを抑制できる。従って、給電装置の小型化を図ることができる。
【0008】
上記給電装置について、前記ケースは、前記板バネよりも熱伝導率の高い金属製であってもよい。
基板からの放熱を促進させることができる。
【0009】
上記給電装置について、前記出力部を覆うカバーを備えていてもよい。
上記給電装置について、前記基板は、厚み方向に直交する方向の両端部を備え、前記弾性変形部は、前記両端部のうち一方の端部である第1端部に接触しており、前記板バネは、前記両端部のうち前記第1端部とは異なる端部である第2端部に接触する接触部を備え、前記カバーは、前記接触部を前記基板に向けて押し付けるように設けられていてもよい。
【0010】
基板の第1端部及び第2端部の両側を板バネでケースに向けて押し付けることができる。基板の第1端部及び第2端部のうちいずれかをケースに向けて押し付ける場合に比べて、安定した状態で基板をケースに取り付けることができる。
【0011】
上記給電装置について、前記板バネは、前記基板の厚み方向に直交する方向に互いに向かい合う一対の前記掛止部を備え、前記弾性変形部は、前記基板の厚み方向及び前記一対の前記掛止部同士が向かい合う方向の両方に直交する方向における前記基板の端部に接触していてもよい。
【0012】
上記給電装置について、前記板バネは、前記ケースの内面に沿って延びるリブを備えていてもよい。
上記給電装置について、前記ケースは、前記ケースの外面を流れる液体が前記出力部に流れることを抑制する流通抑制壁を備えていてもよい。
【0013】
流通抑制壁により出力部に液体が流れることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】給電装置の斜視図。
図2】給電装置の斜視図。
図3】給電装置の分解斜視図。
図4】ケースの斜視図。
図5】ケースの平面図。
図6】カバーを省略した状態での給電装置の斜視図。
図7】ケースを示す図4の7-7線端面図。
図8】ケースを示す図4の8-8線断面図。
図9】ケースを示す図4の9-9線断面図。
図10】板バネの斜視図。
図11】給電装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、給電装置の一実施形態について説明する。
図1図2及び図3に示すように、給電装置10は、ケース20と、ケース20内に設けられた基板81と、基板81に取り付けられた入力部89と、基板81に取り付けられた出力部90と、板バネ91と、カバー110と、を備える。給電装置10は、車両に搭載される。給電装置10は、車両に搭載されたバッテリの電力を外部機器に供給するために用いられる。
【0017】
図4及び図5に示すように、ケース20は、基板取付壁21と、互いに向かい合う入力壁41及び出力壁51と、互いに向かい合う第1取付壁61及び第2取付壁71と、を備える。第1取付壁61及び第2取付壁71は、入力壁41と出力壁51との間で延びている。入力壁41、出力壁51、第1取付壁61及び第2取付壁71はケース20の側壁である。入力壁41、出力壁51、第1取付壁61及び第2取付壁71によりケース20の側壁は四角枠状に構成されているといえる。基板取付壁21は、入力壁41、出力壁51、第1取付壁61及び第2取付壁71に囲まれている。入力壁41、出力壁51、第1取付壁61、第2取付壁71及び基板取付壁21によって囲まれる領域は、基板81が収容される収容領域Sである。以下の説明において、第1取付壁61と第2取付壁71とが互いに向かい合う方向を第1方向とし、入力壁41と出力壁51とが互いに向かい合う方向を第2方向とする。また、ケース20において、収容領域Sを区画している面を内面、内面とは異なる面を外面と称する。ケース20は、金属製である。本実施形態のケース20は、アルミニウム製である。なお、アルミニウムには、アルミニウム合金を含む。
【0018】
基板取付壁21は、入力側取付壁22と、縁壁23と、入力側連結壁24,25と、出力側取付壁27と、出力側連結壁29と、放熱壁31と、を備える。放熱壁31の厚み方向、入力側取付壁22の厚み方向、出力側取付壁27の厚み方向、及び縁壁23の厚み方向は同一方向である。放熱壁31の厚み方向、入力側取付壁22の厚み方向、出力側取付壁27の厚み方向及び縁壁23の厚み方向は、第1方向及び第2方向の両方に直交している。
【0019】
入力側取付壁22は、放熱壁31の厚み方向に放熱壁31から離間している。入力側取付壁22は、入力壁41に沿って設けられている。入力側取付壁22は、第1取付壁61と第2取付壁71との間のうち第1方向の中央部分に設けられている。入力側取付壁22は、第1取付壁61と第2取付壁71との間のうち第1方向の一部に設けられているといえる。基板取付壁21のうち入力壁41に沿う部分には、縁壁23が設けられている。縁壁23は、放熱壁31の厚み方向において放熱壁31と同一位置に設けられている。縁壁23は、入力側取付壁22を間に挟んだ両側に設けられている。縁壁23は、ケース20を放熱壁31の厚み方向から見て、入力側取付壁22と各取付壁61,71との間に設けられている。
【0020】
入力側連結壁24,25は、入力側取付壁22と放熱壁31とを連結する第1入力側連結壁24と、入力側取付壁22と縁壁23とを連結する第2入力側連結壁25と、を含む。入力側取付壁22及び入力側連結壁24,25は、基板取付壁21のうち放熱壁31から放熱壁31の厚み方向に凹んだ部分といえる。
【0021】
出力側取付壁27は、放熱壁31の厚み方向のうち入力側取付壁22と同一方向に放熱壁31から離間している。出力側取付壁27は、第1取付壁61及び第2取付壁71に連結されている。出力側取付壁27は、出力壁51に沿って設けられている。
【0022】
図6に示すように、出力側取付壁27は、出力側取付壁27の厚み方向のうち収容領域Sに向かう方向とは反対方向に突出する掛止突部28を備える。掛止突部28はケース20外に向けて突出しているといえる。
【0023】
図4及び図5に示すように、出力側連結壁29は、出力側取付壁27と放熱壁31とを連結している。出力側連結壁29は、第1取付壁61及び第2取付壁71に連結されている。出力側取付壁27及び出力側連結壁29は、基板取付壁21のうち放熱壁31から放熱壁31の厚み方向に凹んだ部分といえる。基板取付壁21において、出力壁51に沿う部分は、全体に亘って放熱壁31の厚み方向に凹んでいるといえる。
【0024】
放熱壁31は、入力側取付壁22と出力側取付壁27との間に位置している。放熱壁31は、第1取付壁61及び第2取付壁71に連結されている。放熱壁31は、厚み方向に突出する台座32を複数備える。本実施形態では、4つの台座32が設けられている。
【0025】
入力壁41には、切欠部42が形成されている。切欠部42は、入力壁41を厚み方向に貫通し、かつ、入力側取付壁22の厚み方向のうち入力側取付壁22から放熱壁31に向かう方向に開口している。切欠部42は、第1方向の中央位置に設けられている。詳細にいえば、切欠部42は、第1入力側連結壁24と向かい合う位置に設けられている。
【0026】
図4及び図7に示すように、入力壁41は、切欠部42と入力側取付壁22との間に、入力側取付壁22から切欠部42に向けて突出している凸部43を備える。
図1及び図2に示すように、入力壁41は、切欠部42を挟んだ2箇所に厚肉部44を備える。厚肉部44は、入力壁41の他の部分よりも厚い部分であり、収容領域Sの外側に向けて突出している部分である。
【0027】
図8に示すように、入力壁41は、各厚肉部44のそれぞれに第1取付孔形成面45及び第2取付孔形成面46を備える。両取付孔形成面45,46は、環状の面である。第1取付孔形成面45と第2取付孔形成面46は、入力壁41の厚み方向に並んで設けられている。第1取付孔形成面45は、第2取付孔形成面46よりも入力壁41の外面側に位置する。第1取付孔形成面45の周方向の寸法は、第2取付孔形成面46の周方向の寸法よりも長い。第1取付孔形成面45と第2取付孔形成面46との境界は段差となっている。両取付孔形成面45,46は、入力壁41の厚み方向に貫通する取付孔47を形成している。取付孔47は、収容領域Sの内外を連通させている。
【0028】
図4及び図5に示すように、出力壁51には、2箇所に切欠部52が形成されている。2つの切欠部52は、第1方向に並んで設けられている。切欠部52は、出力壁51を厚み方向に貫通し、かつ、出力側取付壁27の厚み方向のうち出力側取付壁27から放熱壁31に向かう方向に開口している。
【0029】
第1取付壁61は、第1掛止孔形成面62を備える。第1掛止孔形成面62は、環状の面であり、第1取付壁61の厚み方向の両面の間で延びている。第1掛止孔形成面62は、第1取付壁61の厚み方向に貫通する第1掛止孔63を形成している。第1掛止孔63は、収容領域Sの内外を連通させている。図9に示すように、第1取付壁61は、第1掛止孔形成面62と基板取付壁21との間に第1突出部64を備える。第1突出部64は、収容領域S内に向けて突出している。
【0030】
図4及び図5に示すように、第2取付壁71は、第2掛止孔形成面72を備える。第2掛止孔形成面72は、環状の面であり、第2取付壁71の厚み方向の両面の間で延びている。第2掛止孔形成面72は、第2取付壁71の厚み方向に貫通する第2掛止孔73を形成している。第2掛止孔73は、収容領域Sの内外を連通させている。図9に示すように、第2取付壁71は、第2掛止孔形成面72と基板取付壁21との間に第2突出部74を備える。第2突出部74は、収容領域S内に向けて突出している。第1掛止孔63と第2掛止孔73とは第1方向に互いに向かい合っている。
【0031】
図4及び図5に示すように、ケース20は、位置決めリブ66と、基板受け座67と、位置決めピン68と、を備える。位置決めリブ66は、第1取付壁61及び第2取付壁71のそれぞれに設けられている。位置決めリブ66は、第1取付壁61及び第2取付壁71のそれぞれから収容領域Sに向けて突出している。本実施形態では、位置決めリブ66は、第1取付壁61及び第2取付壁71のうち縁壁23に沿う位置に設けられている。基板受け座67は、2つの縁壁23のそれぞれから収容領域Sに向けて突出している。位置決めピン68は、出力側取付壁27から収容領域Sに向けて突出している。
【0032】
図6に示すように、ケース20は、複数のフィン76を備える。フィン76は、放熱壁31の厚み方向の面のうち収容領域S側の面とは反対面、即ち、放熱壁31の外面から放熱壁31の厚み方向に突出している。複数のフィン76は、第1方向に並んでいる。フィン76は、第2方向に延びている。フィン76は、第1入力側連結壁24と出力側連結壁29との間で延びている。フィン76は、第1部位77と、第1部位77よりも放熱壁31に向けて凹んだ第2部位78と、を備える。第1部位77が出力側連結壁29側、第2部位78が第1入力側連結壁24側に位置するようにフィン76は設けられている。以下の説明において、フィン76同士の間を第1通路S1、フィン76と各取付壁61,71との間を第2通路S2と称する。
【0033】
図3に示すように、基板81には、電力変換部82が実装されている。本実施形態の電力変換部82は、入力部89から入力されたバッテリの電圧を異なる電圧に変換して出力する。基板81は、四角板状の基板本体83と、基板本体83から突出する基板突出部86と、を備える。
【0034】
基板本体83の長手方向の寸法は、入力壁41の内面と出力壁51の内面との間隔よりも短い。基板本体83の短手方向の寸法は、第1取付壁61の内面と第2取付壁71の内面との間隔よりも短い。
【0035】
基板本体83の長手方向の両端部の一方を第1端部84とし、第1端部84とは異なる端部を第2端部85とする。基板突出部86は、第1端部84から基板本体83の長手方向に突出している。基板突出部86は、基板本体83の短手方向に間隔を空けて2つ設けられている。基板本体83は、基板位置決め孔形成面87を備える。基板位置決め孔形成面87は、基板本体83の第2端部85に設けられている。基板位置決め孔形成面87は、基板本体83の厚み方向の両面の間で延びている。基板位置決め孔形成面87は、基板本体83を厚み方向に貫通する基板位置決め孔88を形成している。基板位置決め孔88は、基板本体83の長手方向における寸法が基板本体83の短手方向における寸法よりも長い長孔である。
【0036】
基板本体83の第1端部84には電力変換部82にバッテリからの電力を入力する入力部89が設けられている。基板本体83の第2端部85には、電力変換部82からの電力が出力される出力部90が設けられている。出力部90は、レセプタクル型のコネクタである。出力部90は、ユニバーサルシリアルバス規格のコネクタであり、詳細にいえば、ユニバーサルシリアルバスタイプC規格に準拠したコネクタである。出力部90は、基板本体83の短手方向に間隔を空けて2つ設けられている。入力部89と出力部90とは、基板本体83の長手方向に離間して配置されているといえる。
【0037】
電力変換部82は、USBPD:USB Power Delivery規格で定義される出力電圧を出力部90から出力する。USBPD規格では、5[V]~20[V]の範囲で出力電圧が定められており、最大で20[V]、5[A]の電力を出力可能である。ユニバーサルシリアルバスタイプC規格に準拠する出力部90は、USBPD規格に対応する電力供給が可能な出力部である。
【0038】
図10に示すように、板バネ91は、金属製の板材を屈曲させたものである。本実施形態において、板バネ91はステンレス製である。ケース20は、板バネ91よりも熱伝導率の高い金属製といえる。
【0039】
板バネ91は、複数の平板状部材が組み合わされて構成されている。板バネ91は、矩形平板状のベース92と、ベース92の外周縁のうち2つの長辺端縁E1,E2のそれぞれに設けられた2つの平板状のリブ93a,93bと、2つのリブ93a,93bに設けられた爪部94と、2つの平板状の弾性変形部95と、平板状のバネ突出部97と、ベース92に設けられた掛止爪部98と、平板状の接触部99と、2つの平板状の延設部103と、2つの平板状の連結部104と、を備える。
【0040】
板バネ91は、ケース20に組付けられる部材である。
2つのリブ93a,93bは、ベース92の2つの長辺端縁E1,E2のそれぞれからベース92の厚み方向に延びている。2つのリブ93a,93b同士は、互いに向かい合っている。リブ93aは、板バネ91がケース20に組付けれた状態でケース20の第1取付壁61と向かい合う。リブ93bは、板バネ91がケース20に組付けれた状態でケース20の第2取付壁71と向かい合う。2つのリブ93a,93bの厚み方向の面のうち互いに向かい合う面とは反対面同士の間隔は、第1取付壁61の内面と第2取付壁71の内面との間隔よりも短い。リブ93a,93bは、板バネ91の強度を向上させるために設けられている。
【0041】
爪部94は、2つのリブ93a,93bのそれぞれに設けられている。爪部94は、リブ93a,93bの一部に切り込みを形成し、切り込みに囲まれる部分を屈曲させた部分である。爪部94の基端はリブ93a,93bに連結され、爪部94の先端はリブ93a,93bと分離されている。爪部94は、リブ93a,93bからリブ93a,93bの厚み方向に屈曲している。爪部94は、ベース92から離れる方向に屈曲している。
【0042】
2つの弾性変形部95のそれぞれは、ベース92の外周縁のうち2つの短辺端縁E3,E4のうちの1つ(短辺端縁E3)から、ベース92の長辺端縁E1,E2の延びる方向で、かつ、ベース92の長辺端縁E1,E2に対して傾くように延びている。2つの弾性変形部95は、2つのリブ93a,93bが互いに向かい合う方向に間隔を空けて設けられている。なお、2つのリブ93a,93bが互いに向かい合う方向は、ベース92の短辺端縁E3,E4の延びる方向ともいえる。
【0043】
バネ突出部97は、2つの弾性変形部95の間に設けられている。バネ突出部97は、ベース92の外周縁のうち2つの短辺端縁E3,E4のうちの1つ(短辺端縁E3)から、ベース92の長辺端縁E1,E2の延びる方向に延びている。バネ突出部97は、ベース92からベース92の長辺端縁E1,E2の延びる方向に突出している。
【0044】
掛止爪部98は、ベース92の短辺端縁E3,E4の延びる方向に並んで2つ設けられている。掛止爪部98は、ベース92の一部に切り込みを形成し、切り込みに囲まれる部分を屈曲させた部分である。爪部94の基端部はベース92に連結され、爪部94の先端部はベース92から分離されている。掛止爪部98は、ベース92からベース92の厚み方向に屈曲している。掛止爪部98は、ベース92の厚み方向のうち2つのリブ93a,93bの延びる方向とは反対方向に屈曲している。
【0045】
接触部99は、ベース92の外周縁のうち2つの短辺端縁E3,E4のうちの一つ(短辺端縁E4)の中心部から、長辺端縁E1,E2の延びる方向で、かつ、ベース92の長辺端縁E1,E2に対して傾くように延びている。2つの延設部103は、短辺端縁E4の両端から長辺端縁E1,E2の延びる方向に延びている。連結部104は、接触部99と延設部103とを連結している。接触部99は、バネ位置決め孔形成面101を備える。バネ位置決め孔形成面101は、接触部99の厚み方向の両面の間で延びる環状の面である。バネ位置決め孔形成面101は、接触部99を接触部99の厚み方向に貫通するバネ位置決め孔102を形成している。
【0046】
図1及び図2に示すように、カバー110は、挿入部111と、カバー突出部121と、蓋部131と、を備える。
挿入部111は、ケース20を挿入可能に構成されている。挿入部111は、四角筒状であり、4つの壁部を備える。4つの壁部のうち互いに向かい合う2つの壁部を第1壁部112及び第2壁部113とする。第1壁部112は、第1壁部112の厚み方向に貫通するU字状の切欠部114を備える。第1壁部112において切欠部114に囲まれる部分をカバー掛止部115とすると、カバー掛止部115は、第1カバー掛止孔形成面116を備える。第1カバー掛止孔形成面116は、第1壁部112の厚み方向の両面の間で延びている。第1カバー掛止孔形成面116は、第1壁部112を厚み方向に貫通する第1カバー掛止孔117を形成している。
【0047】
カバー突出部121は、第2壁部113から挿入部111の軸線方向に突出している。カバー突出部121は、2つ設けられている。カバー突出部121は、板状である。カバー突出部121は、第2カバー掛止孔形成面122を備える。第2カバー掛止孔形成面122は、カバー突出部121の厚み方向の両面の間で延びている。第2カバー掛止孔形成面122は、カバー突出部121を厚み方向に貫通する第2カバー掛止孔123を形成している。
【0048】
蓋部131は、挿入部111の軸線方向の両端部のうちカバー突出部121が設けられた端部とは反対側の端部に設けられている。蓋部131は、ヒンジにより挿入部111に対して回動可能に取り付けられている。蓋部131が回動することで、挿入部111の軸線方向の開口のうち一方の開口の閉塞と開放を切り替えることができる。
【0049】
給電装置10は、板バネ91及びカバー110によってケース20に基板81を取り付けることで構成されている。
図3に示すように、基板81は、基板本体83の短手方向が第1方向と一致し、かつ、基板本体83の長手方向が第2方向と一致する態様で収容領域Sに収容されている。第1方向は、基板81の厚み方向に直交する方向であり、第2方向は基板81の厚み方向及び第1方向の両方に直交する方向である。基板81の厚み方向と放熱壁31の厚み方向とは同一方向である。
【0050】
基板本体83の第1端部84は入力壁41側に位置し、基板本体83の第2端部85は出力壁51側に位置する。基板突出部86は、取付孔47に挿入されている。入力部89は、切欠部42を介してケース20外に突出している。出力部90は、切欠部52を介してケース20外に突出している。基板位置決め孔88には、位置決めピン68が挿入されている。なお、図示は省略するが、基板81と台座32との間等、基板81と放熱壁31との間には基板81から放熱壁31への伝熱を促進する伝熱部材が設けられている。伝熱部材としては、例えば、放熱シート等の放熱壁31及び基板81に密着可能な部材が用いられる。伝熱部材は、空気よりも熱伝導率の高い部材である。
【0051】
板バネ91は、長辺端縁E1,E2の延びる方向が第2方向と一致する態様でケース20に取り付けられている。また、弾性変形部95が基板本体83の第1端部84に接触し、接触部99が基板本体83の第2端部85に接触するように板バネ91は取り付けられている。基板位置決め孔88には、位置決めピン68が挿入されている。リブ93a,93bは、各取付壁61,71の内面に沿って設けられている。リブ93a,93bは、ケース20の内面に沿って延びているといえる。2つのリブ93a,93bの1つは放熱壁31の厚み方向において第1突出部64に向かい合っており、2つのリブ93a,93bの1つは放熱壁31の厚み方向において第2突出部74に向かい合っている。
【0052】
第1掛止孔63及び第2掛止孔73のそれぞれに爪部94が挿入されている。2つの爪部94は、第1方向に互いに向かい合っている。2つの爪部94のうちの1つは第1掛止孔形成面62に掛けられている。2つの爪部94のうちの1つは第2掛止孔形成面72に掛けられている。2つの爪部94は、一対の掛止部として機能している。弾性変形部95は、基板81の厚み方向及び爪部94同士が向かい合う方向の両方に直交する方向である第2方向における基板81の端部に接触しているといえる。
【0053】
図11に示すように、カバー110は、出力部90を覆うように取り付けられている。詳細にいえば、カバー110の挿入部111には出力壁51が挿入されている。出力部90は、挿入部111内に位置している。
【0054】
図1及び図2に示すように、ケース20の掛止突部28は第1カバー掛止孔117に挿入され、板バネ91の掛止爪部98は第2カバー掛止孔123に挿入されている。掛止突部28が第1カバー掛止孔形成面116に掛かり、掛止爪部98が第2カバー掛止孔形成面122に掛かることでカバー110はケース20に取り付けられている。第2壁部113の内面は、ベース92の厚み方向の面に接している。
【0055】
板バネ91は、ケース20及びカバー110からの力を受けることで弾性変形している。板バネ91の爪部94が各掛止孔形成面62,72に掛けられることで、板バネ91には基板81に向かう力が作用している。更に、第2壁部113が板バネ91のベース92に接することで、板バネ91には基板81に向かう力が作用している。弾性変形部95は、板バネ91に作用する力によって弾性変形している。これにより、弾性変形部95には元の形状への復元力が作用し、この力が基板81を基板取付壁21に押し付ける押し付け力となる。同様に、連結部104は弾性変形している。連結部104には元の形状への復元力が作用し、この力は接触部99を介して基板81に加わる。弾性変形部95及び接触部99から基板81に加わる押し付け力によって、基板81はケース20と板バネ91によって挟持されている。
【0056】
ケース20に基板81を取り付ける際の工程について説明する。
ケース20に基板81を取り付ける際には、基板81を基板取付壁21に向かい合うように配置する。この際、位置決めピン68が基板位置決め孔88に挿入され、位置決めリブ66が基板81の第1方向への移動を規制する。受け座は基板81の厚み方向への移動を規制する。基板81を入力壁41に向けてスライドさせることで、基板突出部86が取付孔47に挿入される。これにより、基板81の位置決めが行われる。
【0057】
基板81の位置決めが行われると、板バネ91が取り付けられる。バネ位置決め孔102に位置決めピン68が挿入されることで、板バネ91は位置決めされる。板バネ91を基板81に向けて押し込むと、爪部94が各掛止孔63,73に入り込む。板バネ91を押し込む際に、リブ93a,93bが各突出部64,74に当たると、各突出部64,74により板バネ91の押し込みが規制される。これにより、板バネ91が過剰に押し込まれることが抑制されている。
【0058】
板バネ91がケース20に取り付けられると、カバー110が取り付けられる。これにより、ケース20、基板81、板バネ91、及びカバー110がユニット化され、給電装置10が構成される。
【0059】
本実施形態の作用について説明する。
給電装置10は、放熱壁31の外面が鉛直方向上方を向く態様で車両に搭載される。即ち、フィン76が設けられた面が鉛直方向上方を向く。放熱壁31は、板バネ91よりも鉛直方向上方に位置しているといえる。また、給電装置10は、カバー110の蓋部131が車両の搭乗者に視認可能な態様で設けられる一方で、ケース20及び板バネ91が車両の搭乗者に視認不可能な態様で設けられる。車両の搭乗者は、蓋部131を回動させることで、挿入部111内の出力部90に外部機器を接続可能である。外部機器としては、バッテリを搭載し、バッテリの電力によって駆動する装置や、給電装置10から供給される電力によって駆動する装置が挙げられる。バッテリの電力によって駆動する装置が接続される場合、給電装置10から供給される電力によってバッテリが充電される。
【0060】
給電装置10では、板バネ91の弾性変形部95からの押し付け力が基板81に加わることで、基板81はケース20に取り付けられる。ネジを用いなくても基板81をケース20に取り付けることができるため、基板81をケース20に取り付けるネジを締結するための部位をケース20に設けたり、基板81をケース20に取り付けるためのネジにより基板81の実装面が少なくなることを抑制できる。従って、給電装置10の小型化を図ることができる。なお、基板81の実装面とは、電力変換部82を構成する電子部品を実装可能な面である。
【0061】
なお、基板81をケース20に取り付けるためのネジとして、直径の短いネジを用いることで、給電装置10の小型化を図ることも考えられる。しかしながら、給電装置10は、車両に搭載されるため、車両からの振動が加わる。直径の短いネジを用いて基板81をケース20に取り付けた場合、車両の振動による基板81の振動を十分に抑制できないおそれがある。従って、給電装置10では、直径の短いネジを用いることが困難であり、ネジを用いて基板81をケース20に取り付ける場合に給電装置10の大型化を招きやすい。なお、板バネ91を用いて基板81をケース20に取り付ける場合であっても、板バネ91と基板81とが接触する部分には電子部品を実装できず、実装面が少なくなる。しかしながら、ネジを用いた場合、基板81においてネジが挿通される孔、及び基板81の厚み方向の両面におけるネジの周囲に電子部品を実装することができない。これに対し、板バネ91を用いた場合には、板バネ91の接触する箇所には電子部品を実装できないものの、基板81の厚み方向における板バネ91の接触する箇所の反対の箇所には電子部品を実装することができる。
【0062】
本実施形態の給電装置10は、USBPD規格で定義された電力を出力する。USB 2.0規格では2.5[W]、USB 3.0規格では4.5[W]、USB Battery Charging 1.2規格では7.5[W]までの電力を外部機器に供給可能である一方で、USBPD規格では100[W]までの電力を外部機器に供給可能である。USBPD規格では、出力可能な電力が大きく、発熱量も多い。
【0063】
基板81の配線や、基板81に実装された電力変換部82は、発熱源となる。ケース20は、板バネ91よりも熱伝導率が高いため、熱は基板81から放熱壁31に伝導しやすい。放熱壁31に伝導した熱は、雰囲気との熱交換により放熱される。放熱壁31との熱交換により暖められた気体は、上昇する。仮に、放熱壁31が板バネ91よりも鉛直方向下方に位置するように給電装置10を配置すると、放熱壁31との熱交換により暖められた気体の上昇が阻害され、放熱壁31からの放熱が行われにくくなる。放熱壁31を板バネ91よりも鉛直方向上方に配置し、放熱壁31との熱交換により暖められた気体の上昇を阻害しないことで、放熱壁31からの放熱を促進できる。
【0064】
搭乗者が液体をこぼした場合など、車両の内装の隙間から給電装置10に向けて液体が落ちる場合がある。給電装置10は、フィン76が設けられた面が鉛直方向上方を向くように搭載されているため、液体の一部はフィン76同士の間の第1通路S1や、フィン76と各取付壁61,71との間の第2通路S2に供給される。
【0065】
ここで、出力側連結壁29は、第1取付壁61と第2取付壁71との間で全体に亘って延びているため、第1通路S1及び第2通路S2の第2方向の端部のうち一方は出力側連結壁29によって閉塞されている。第1入力側連結壁24は、第1取付壁61と第2取付壁71との間の一部に設けられている。第1通路S1の第2方向の端部のうち出力側連結壁29とは反対側の端部は第1入力側連結壁24によって閉塞されている。一方で、第2通路S2の第2方向の端部のうち出力側連結壁29とは反対側の端部は第1入力側連結壁24によって閉塞されていない。詳細にいえば、各取付壁61,71と、第2入力側連結壁25との間には第2通路S2を第2方向に開口させる排出路S3が区画されている。
【0066】
第1通路S1に液体が供給されると、第1通路S1内で液面が上昇していく。第1通路S1に供給された液体の量が多くなると、液体は第1通路S1から溢れて、第2通路S2に流入する。第1通路S1から液体が溢れる際には、第2部位78から液体が溢れる。第2通路S2に流入した液体は、第2通路S2を流れる。第2通路S2を流れる液体は、出力側連結壁29を越えて出力部90に流通することが抑制されている。出力側連結壁29は、ケース20の外面を流れる液体が出力部90に流れることを抑制する流通抑制壁として機能している。第2通路S2を流れる液体は、排出路S3から第2通路S2の外部に排出されることになる。
【0067】
入力壁41には、取付孔47が設けられており、排出路S3から排出された液体は入力壁41の外面を伝い、取付孔47に浸入するおそれがある。第1取付孔形成面45の周方向の寸法を第2取付孔形成面46の周方向の寸法よりも短くし、第1取付孔形成面45と第2取付孔形成面46との境目を段差とすることで、液体がケース20内に浸入することを抑制している。
【0068】
給電装置10に向けて液体が落ちる場合、液体の一部は入力側取付壁22の外面を伝い、ケース20から落下する場合がある。また、第1通路S1から溢れた液体の一部が入力側取付壁22の外面に流れる場合がある。この際、入力側取付壁22の外面から切欠部42に向けて液体が流入しようとすると、凸部43によって切欠部42からケース20内に液体が浸入することが抑制される。
【0069】
上記したように、給電装置10では、放熱壁31の外面を液体が流れる場合、この液体を入力部89に向けて誘導している。そして、ケース20における入力部89の周囲は、ケース20内に液体が浸入することを抑制する構造としている。これにより、出力部90に液体が流れることを抑制しつつ、ケース20内に液体が浸入することを抑制できる。
【0070】
給電装置10に向けて液体が落ちる場合、液体の一部は各取付壁61,71の厚み方向の面のうちフィン76に向かい合う面の反対面を伝い、ケース20から落下する場合がある。この際、板バネ91のリブ93a,93bが各取付壁61,71の内面に沿って設けられていることで、リブ93a,93bと各取付壁61,71との境界がケース20内に設けられる。仮に、リブ93a,93bと各取付壁61,71との境界がケース20外に位置していると、この境界からケース20内に液体が浸入するおそれがある。リブ93a,93bと各取付壁61,71との境界がケース20内に設けられるようにすることで、境界からケース20内に液体が浸入することを抑制できる。
【0071】
本実施形態の効果について説明する。
(1)板バネ91によって基板81をケース20に取り付けている。このため、ネジによって基板81をケース20に取り付ける場合に比べて給電装置10の小型化が図られる。
【0072】
(2)ケース20は、板バネ91よりも熱伝導率の高い金属製である。実施形態のように、ケース20の放熱壁31が板バネ91よりも鉛直方向上方に位置するように給電装置10を配置する場合、ケース20からの放熱が促進されやすい。特に、USBPD規格では、電力変換部82や基板81での発熱量が多くなるため、ケース20からの放熱を促進し、電力変換部82や基板81を効率良く冷却することが求められる。ケース20からの放熱を促進することで、USBPD規格を採用しつつ、電力変換部82や基板81の効率的な冷却を図ることができる。
【0073】
(3)給電装置10は、出力部90を覆うカバー110を備える。カバー110は、車両の搭乗者に視認可能な位置に設けられる。カバー110により、給電装置10の意匠性を向上させることができる。車両の搭乗者に視認されにくいケース20は金属製とすることで放熱性を向上させ、車両の搭乗者に視認されやすい位置にはカバー110を設けて意匠性を向上させることで、放熱性と意匠性の両立を図ることができる。
【0074】
(4)板バネ91の弾性変形部95は基板81の第1端部84に接触しており、板バネ91の接触部99は基板81の第2端部85に接触している。基板81の第1端部84及び第2端部85の両側を板バネ91でケース20に向けて押し付けることができる。基板81の第1端部84及び第2端部85のうちいずれかをケース20に向けて押し付ける場合に比べて、安定した状態で基板81をケース20に取り付けることができる。
【0075】
(5)2つの爪部94は、互いに第1方向に向かい合うように設けられており、弾性変形部95は、基板81における第2方向の端部である第1端部84に接触している。弾性変形部95を基板81における第1方向の端部に接触させる場合、2つの爪部94と弾性変形部95とを離間させにくい。弾性変形部95を基板81における第2方向の端部に接触させることで、爪部94と弾性変形部95を離間させやすく、弾性変形部95から基板81に作用する力を大きくすることができる。
【0076】
(6)板バネ91のリブ93a,93bは、各取付壁61,71の内面に沿って設けられている。リブ93a,93bと各取付壁61,71との境界がケース20内に設けられる。実施形態のように、リブ93a,93bと各取付壁61,71との境界が鉛直方向上方を向くように給電装置10を配置する場合に、リブ93a,93bと各取付壁61,71との境界からケース20内に液体が浸入することを抑制できる。
【0077】
(7)出力側連結壁29は、ケース20の外面を流れる液体が出力部90に流れることを抑制している。出力部90は、車両の搭乗者が外部機器を接続できるように配置されるため、出力部90に液体が流れると、車室内に液体が流入する。出力部90に液体が流れることを抑制することで、車室内に液体が流入することを抑制できる。
【0078】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○出力側取付壁27、及び出力側連結壁29は第1取付壁61と第2取付壁71の間の一部に設けられていてもよい。この場合、出力側連結壁29は、流通抑制壁として機能しなくなる。即ち、給電装置10は、流通抑制壁を備えていなくてもよい。
【0079】
○ケース20は、出力側連結壁29とは異なる流通抑制壁を備えていてもよい。流通抑制壁は、第1通路S1及び第2通路S2の液体が出力部90に流れることを抑制できればよく、例えば、フィン76同士の間や、フィン76と各取付壁61,71との間で延びる壁部であってもよい。
【0080】
○排出路S3は、各取付壁61,71の外面に開口するように設けられていてもよい。
○排出路S3は、設けられていなくてもよい。この場合、給電装置10は、液体がかからないように設けられることが好ましい。
【0081】
○リブ93a,93bは、ケース20の外面に沿って設けられていてもよい。この場合、リブ93a,93bとケース20の外面との境界が鉛直方向下方を向くように給電装置10を車両に搭載することが好ましい。
【0082】
○弾性変形部95は、基板81のいずれの位置に接触するように設けられていてもよい。
○弾性変形部95の数は、単数であってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0083】
○掛止部は、爪部94に限られず、ケース20からの力を受けることができれば、どのような形状であってもよい。例えば、各取付壁61,71から収容領域Sに向けて突出する掛止突起を設け、この掛止突起に板バネ91のベース92を掛けることで、ケース20からの力が板バネ91に加わるようにしてもよい。この場合、ベース92が掛止部として機能する。
【0084】
○給電装置10は、カバー110を備えていなくてもよい。
○ケース20は、板バネ91と同一の金属製であってもよいし、板バネ91よりも熱伝導率の低い金属製であってもよい。
【0085】
○カバー110は、金属製など、樹脂製とは異なる材料製であってもよい。
○板バネ91は、少なくとも、弾性変形部95と、掛止部とを備えていればよく、接触部99やバネ突出部97を備えていなくてもよい。
【0086】
○出力部90は、ユニバーサルシリアルバス規格に準拠した出力部であればよく、ユニバーサルシリアルバスタイプA規格や、ユニバーサルシリアルバスタイプB規格に準拠した出力部であってもよい。
【0087】
○ケース20は、位置決めピン68を備えていなくてもよい。この場合、基板81は基板位置決め孔形成面87を備えていなくてもよく、板バネ91はバネ位置決め孔形成面101を備えていなくてもよい。同様に、ケース20は、位置決めリブ66及び基板受け座67を備えていなくてもよい。
【0088】
○ケース20は、取付孔47を備えていなくてもよい。この場合、基板81は基板突出部86を備えていなくてもよい。
○出力部90の数は、単数であってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0089】
○ケース20は、フィン76を備えていなくてもよい。
○ケース20は、凸部43を備えていなくてもよい。
○カバー110は、蓋部131を備えていなくてもよい。
【0090】
○給電装置10は、放熱壁31の外面が鉛直方向下方を向く態様で車両に搭載されてもよい。
○給電装置10は、車両に搭載されていなくてもよく、どのような機器に搭載されていてもよい。
【0091】
○入力部89には、電力変換装置等、バッテリ以外からの電力を電力変換部82に入力してもよい。
○出力部90は、ユニバーサルシリアルバス規格とは異なる規格のコネクタであってもよい。出力部90は、外部機器と接続することができ、外部機器に電力を供給することができれば、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…給電装置、20…ケース、29…流通抑制壁としての出力側連結壁、81…基板、82…電力変換部、84…第1端部、85…第2端部、89…入力部、90…出力部、91…板バネ、93a,93b…リブ、94…掛止部としての爪部、95…弾性変形部、99…接触部、110…カバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11