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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20230511BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20230511BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230511BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230511BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230511BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230511BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20230511BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20230511BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20230511BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20230511BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20230511BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20230511BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/51
H01M50/204 401H
H01M10/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6557
H01G11/12
H01G11/18
H01M50/184 A
H01M50/186
H01M50/193
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020009769
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021118071
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 賢志
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】中村 知広
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160481(JP,A)
【文献】特開2019-216005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/10
H01M 50/20
H01M 10/04
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6557
H01G 11/12
H01G 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電板を介して積層されて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュールを含む蓄電装置であって、
前記蓄電モジュールは、前記蓄電モジュールの積層方向に積層された複数の電極と、前記複数の電極の縁部を覆う樹脂部とを有し、
前記複数の電極は、互いに対向する一方面及び他方面を含む金属板と、前記一方面に設けられた正極と、前記他方面に設けられた負極とを含むバイポーラ電極を有し、
前記導電板は、第1の方向に配列された複数の板状部材を連結部によって互いに回動可能に連結することによって構成され、前記蓄電モジュールの前記積層方向の端部において前記樹脂部から露出する露出面に接触しており、
前記複数の板状部材において、前記第1の方向に隣り合う第1の板状部材及び第2の板状部材は、互いに対向し合う連結端面をそれぞれ有し、
前記連結部は、前記第1の板状部材及び前記第2の板状部材の平面視において第1の方向に交差する第2の方向に前記連結端面の一端から他端にわたって延在している、蓄電装置。
【請求項2】
前記導電板は、前記蓄電モジュールを冷却するための冷却機構を有している、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記冷却機構は、冷却用流体を流通させるための貫通孔を含み、
前記貫通孔は、前記導電板の内部を前記第2の方向に貫通している、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記連結部は、
前記第1の板状部材の前記連結端面に設けられ、当該連結端面の前記一端から前記他端にわたって延在する第1の爪部と、
前記第2の板状部材の前記連結端面に設けられ、当該連結端面の前記一端から前記他端にわたって前記第1の爪部に係合する第2の爪部とによって構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1の爪部及び前記第2の爪部は、係合状態において前記第1の板状部材と前記第2の板状部材との間の前記蓄電モジュールの積層方向及び前記第1の方向への相対移動を規制する規制部をそれぞれ有している、請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記連結部は、
前記第1の板状部材の前記連結端面に設けられ、当該連結端面の前記一端から前記他端にわたって延在する凸部と、
前記第2の板状部材の前記連結端面に設けられ、当該連結端面の前記一端から前記他端にわたって前記凸部に嵌合する凹部とによって構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記凸部及び前記凹部は、嵌合状態において前記第1の板状部材と前記第2の板状部材との間の前記蓄電モジュールの積層方向及び前記第1の方向への相対移動を規制する規制部をそれぞれ有している、請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記導電板は、平面視において長辺及び短辺を含む長方形状をなし、
前記第1の方向は、前記導電板の前記長辺に沿っている、請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記第2の方向について、前記連結部の断面形状が一様となっている、請求項1~8のいずれか一項記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電モジュールとして、金属板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池がある(例えば特許文献1参照)。バイポーラ電池は、セパレータを介してバイポーラ電極を含む複数の電極を積層してなる電極積層体を備えている。電極積層体の側面には、積層方向に隣り合うバイポーラ電極間を封止する樹脂製の封止体が設けられており、バイポーラ電極間に形成された内部空間に電解液が収容されている。
【0003】
上述のような蓄電モジュールを備えた蓄電装置は、例えば導電板を介して蓄電モジュールを積層してなるモジュール積層体を有している。導電板は、モジュール積層体において蓄電モジュールの積層方向に隣り合う蓄電モジュールのエンドプレート(終端電極など)間に配置され、蓄電モジュール同士を電気的に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-204386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電装置においては、蓄電モジュールの電極積層体に含まれる電極やセパレータなどの厚み公差、或いは封止体の形成条件などにより、蓄電モジュールにおける導電板との接触面にうねり(凹凸)が生じる場合がある。導電板を1つの板状部材で構成する場合、導電板との接触面にうねりが生じると、導電板と蓄電モジュールとの接触面積が減少することが考えられる。接触面積が減少すると、導電板と蓄電モジュールとの間の抵抗が増大してしまうおそれがある。導電板に冷却機能を持たせる場合、接触面積の減少によって導電板の冷却効率が十分に得られなくなるおそれもある。また、導電板を一つの板状部材で構成する場合、サイズ違いの蓄電モジュールに対して複数種類の導電板を用意する必要があり、汎用性に乏しいという問題がある。
【0006】
これらの問題に対し、複数の板状部材を互いに回動可能に連結して一つの導電板を構成することが考えられる。この場合、板状部材の回動によって蓄電モジュールの接触面の形状に導電板の形状を追従させることができるので、接触面と導電板との接触面積の減少を抑制できる。また、連結する板状部材の点数調整により導電板のサイズを調整できるので、サイズ違いの蓄電モジュールへの導電板の適用が可能となり、導電板の汎用性が高められる。一方で、複数の板状部材を互いに回動可能に連結して一つの導電板を構成する場合、板状部材間に一定の隙間が生じ得る。この場合、例えば内圧変動などに起因して蓄電モジュールに膨張が生じた際に、蓄電モジュールの接触面が板状部材の隙間に入り込み、接触面の破損が生じることが考えられる。
【0007】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、蓄電モジュールの接触面に対する追従性、及びサイズ違いの蓄電モジュールに対する汎用性を確保でき、蓄電モジュール膨張時の接触面の破損を抑制できる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る蓄電装置は、導電板を介して積層されて電気的に直列に接続された複数の蓄電モジュールを含む蓄電装置であって、蓄電モジュールは、蓄電モジュールの積層方向に積層された複数の電極と、複数の電極の縁部を覆う樹脂部とを有し、複数の電極は、互いに対向する一方面及び他方面を含む金属板と、一方面に設けられた正極と、他方面に設けられた負極とを含むバイポーラ電極を有し、導電板は、第1の方向に配列された複数の板状部材を連結部によって互いに回動可能に連結することによって構成され、蓄電モジュールの積層方向の端部において樹脂部から露出する露出面に接触しており、複数の板状部材において、第1の方向に隣り合う第1の板状部材及び第2の板状部材は、互いに対向し合う連結端面をそれぞれ有し、連結部は、第1の板状部材及び第2の板状部材の平面視において第1の方向に交差する第2の方向に連結端面の一端から他端にわたって延在している。
【0009】
この蓄電装置では、蓄電モジュール間の導電板が、第1の方向に配列された複数の板状部材を連結部によって互いに回動可能に連結することによって構成されている。これにより、板状部材の回動によって蓄電モジュールの接触面(露出面)の形状に導電板の形状を追従させることができるので、蓄電モジュールの接触面と導電板との接触面積の減少を抑制できる。また、連結する板状部材の点数調整により導電板のサイズを調整できるので、サイズ違いの蓄電モジュールへの導電板の適用が可能となり、導電板の汎用性が高められる。また、この導電板では、第1の板状部材及び第2の板状部材の平面視において第1の方向に交差する第2の方向に連結端面の一端から他端にわたって連結部が延在している。連結部が連結端面間に延在していることで、内圧変動などに起因して蓄電モジュールに膨張が生じた場合でも接触面が板状部材間に入り込むことを抑制できる。したがって、蓄電モジュール膨張時の接触面の破損を抑制できる。
【0010】
導電板は、蓄電モジュールを冷却するための冷却機構を有していてもよい。このように導電板に冷却機能を持たせる場合、導電板と蓄電モジュールの接触面との接触面積の確保により、導電板の冷却効率を十分に確保できる。
【0011】
冷却機構は、冷却用流体を流通させるための貫通孔を含み、貫通孔は、導電板の内部を第2の方向に貫通していてもよい。この場合、導電板の冷却機構を簡易に構成することができる。また、貫通孔が第2の方向に貫通していることにより、連結部に延在する隙間を冷却用流体を流通させる隙間として用いることもできる。
【0012】
連結部は、第1の板状部材の連結端面に設けられ、当該連結端面の一端から他端にわたって延在する第1の爪部と、第2の板状部材の連結端面に設けられ、当該連結端面の一端から他端にわたって第1の爪部に係合する第2の爪部とによって構成されてもよい。第1の爪部と第2の爪部との係合によって連結部を構成することにより、連結部の簡単化及び組み立て性の確保を両立できる。
【0013】
第1の爪部及び第2の爪部は、係合状態において第1の板状部材と第2の板状部材との間の蓄電モジュールの積層方向及び第1の方向への相対移動を規制する規制部をそれぞれ有していてもよい。第1の板状部材と第2の板状部材との間の積層方向及び第1の方向への相対移動が規制されることで、導電板の平面形状が保持され易くなる。このため、蓄電装置の組み立て作業性を十分に確保できる。また、第1の板状部材と第2の板状部材との間の第1の方向への相対移動が規制されることで、第1の板状部材と第2の板状部材との間の連結端面間に隙間が生じにくくなる。したがって、接触面が板状部材間に入り込むことをより確実に抑制できる。
【0014】
連結部は、第1の板状部材の連結端面に設けられ、当該連結端面の一端から他端にわたって延在する凸部と、第2の板状部材の連結端面に設けられ、当該連結端面の一端から他端にわたって凸部に嵌合する凹部とによって構成されていてもよい。凸部と凹部との嵌合によって連結部を構成することにより、連結部の簡単化及び組み立て性の確保を両立できる。
【0015】
凸部及び凹部は、嵌合状態において第1の板状部材と第2の板状部材との間の蓄電モジュールの積層方向及び第1の方向への相対移動を規制する規制部をそれぞれ有していてもよい。第1の板状部材と第2の板状部材との間の積層方向及び第1の方向への相対移動が規制されることで、導電板の平面形状が保持され易くなる。このため、蓄電装置の組み立て作業性を十分に確保できる。また、第1の板状部材と第2の板状部材との間の第1の方向への相対移動が規制されることで、第1の板状部材と第2の板状部材との間の連結端面間に隙間が生じにくくなる。したがって、接触面が板状部材間に入り込むことをより確実に抑制できる。
【0016】
導電板は、平面視において長辺及び短辺を含む長方形状をなし、第1の方向は、導電板の長辺に沿っていてもよい。長方形状の導電板を採用する場合、板状部材によって導電板を長辺方向に分割することにより、蓄電モジュールの接触面の形状に対する導電板の形状の追従性を好適に確保できる。
【0017】
第2の方向について、連結部の断面形状が一様となっていてもよい。この場合、板状部材と連結部の構成要素とを押出成形によって一体に形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、蓄電モジュールの接触面に対する追従性、及びサイズ違いの蓄電モジュールに対する汎用性を確保でき、蓄電モジュール膨張時の接触面の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】蓄電装置の一例を示す概略断面図である。
図2】蓄電モジュールの内部構成を示す断面図である。
図3】蓄電モジュール上の導電板を示す平面図である。
図4図3に示した導電板の板状部材単体の斜視図である。
図5図3に示した導電板の要部拡大断面図である。
図6図3に示した導電板の変形例を示す要部拡大断面図である。
図7】導電板の別の実施形態を示す要部拡大断面図である。
図8図7に示した導電板の変形例を示す要部拡大断面図である。
図9】導電板の更に別の実施形態を示す要部拡大断面図である。
図10】(a)は、図9に示した導電板の連結前の状態を示す概略的な断面図である。(b)は、図9に示した導電板の連結後の状態を示す概略的な断面図である。
図11図9に示した導電板の変形例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る蓄電装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の一例を示す概略断面図である。図1に示す蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車などの各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してモジュール積層体2の積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。以下の説明では、モジュール積層体2の積層方向をZ方向とし、積層方向に直交する第1の方向をX方向とし、積層方向及び第1の方向に直交する第2の方向をY方向とする。
【0022】
モジュール積層体2は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール4と、複数(本実施形態では4つ)の導電板5とを含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、Z方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などの二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、蓄電モジュール4としてニッケル水素二次電池を例示する。
【0023】
複数の蓄電モジュール4は、導電板5を介してZ方向に沿って積層されており、Z方向において電気的に直列に接続されている。導電板5は、例えば金属などの導電材料からなる板状部材である。導電板5の材料としては、例えばアルミニウムが挙げられる。導電板5の表面には、例えばニッケルなどのめっき層が形成されていてもよい。導電板5は、Z方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4間に配置されている。互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。モジュール積層体2のZ方向の一方の積層端には、蓄電モジュール4に電気的に接続された導電板Pと、絶縁板Bとが順に積層されている。同様に、モジュール積層体2のZ方向の他方の積層端には導電板Pと絶縁板Bとが順に積層されている。一方の導電板Pには負極端子7が接続されており、他方の導電板Pには正極端子6が接続されている。正極端子6及び負極端子7のそれぞれは、例えば導電板Pの縁部からX方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
【0024】
蓄電モジュール4間に配置された導電板5の内部には、空気などの冷却用流体F(図3及び図4参照)を流通させる複数の貫通孔(流路)5aが設けられている。複数の貫通孔5aは、蓄電モジュール4を冷却するための冷却機構を構成する。導電板5は、互いに隣り合う蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能を有すると共に、複数の貫通孔5aに冷却用流体Fを流通させることにより蓄電モジュール4からの熱を放熱する放熱板としての機能を有している。図1に示す例では、Z方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さくなっている。しかしながら、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同一であってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。導電板5の詳細な構成については後述する。
【0025】
拘束部材3は、モジュール積層体2をZ方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、Zから見た蓄電モジュール4、導電板5、及び導電板Pの面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8と導電板Pとの間には、電気絶縁性を有する絶縁板Bが設けられている。この絶縁板Bにより、エンドプレート8と導電板Pとの間が絶縁されている。
【0026】
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通されている。他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4、導電板5、及び導電板Pがエンドプレート8によって挟持され、モジュール積層体2としてユニット化されている。また、モジュール積層体2に対してZ方向に拘束荷重が付加されている。
【0027】
次に、蓄電モジュール4の具体的な構成について説明する。図2は、図1に示す蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。図2に示すように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12(樹脂部)とを備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介してZ方向に沿って積層された複数の電極によって構成されている。これらの電極は、複数のバイポーラ電極14と、負極終端電極18と、正極終端電極19とを含む。
【0028】
バイポーラ電極14は、Z方向において互いに対向する一方面15a及び他方面15bを含む金属板15と、一方面15aに設けられた正極16と、他方面15bに設けられた負極17とを有している。正極16は、正極活物質が金属板15に塗工されることにより形成されている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17は、負極活物質が金属板15に塗工されることにより形成されている。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。
【0029】
本実施形態では、金属板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、金属板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んでZ方向の一方に隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んでZ方向の他方に隣り合う別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0030】
負極終端電極18は、金属板15と、金属板15の他方面15bに設けられた負極17とを有している。負極終端電極18は、他方面15bが電極積層体11におけるZ方向の中央側を向くように、電極積層体11のZ方向の一端に配置されている。負極終端電極18の金属板15の他方面15bに設けられた負極17は、Z方向において負極終端電極18に隣り合うバイポーラ電極14の正極16とセパレータ13を介して対向している。負極終端電極18の金属板15の一方面15aは、電極積層体11のZ方向における一方の外側面を構成し、蓄電モジュール4に隣り合う一方の導電板5又は導電板P(図1参照)と電気的に接続されている。
【0031】
正極終端電極19は、金属板15と、金属板15の一方面15aに設けられた正極16とを有している。正極終端電極19は、一方面15aが電極積層体11におけるZ方向の中央側を向くように、電極積層体11のZ方向の他端に配置されている。正極終端電極19の一方面15aに設けられた正極16は、Z方向において正極終端電極19に隣り合うバイポーラ電極14の負極17とセパレータ13を介して対向している。正極終端電極19の金属板15の他方面15bは、電極積層体11のZ方向における他方の外側面を構成し、蓄電モジュール4に隣り合う他方の導電板5又は導電板P(図1参照)と電気的に接続されている。
【0032】
金属板15は、例えば表面にめっきが施されたニッケル板、又は、表面にめっきが施された鋼板などによって構成される。本実施形態では、金属板15は、鋼板の表面にニッケルによるめっきを施してなるめっき鋼板によって構成されている。めっき鋼板の基材となる鋼板には、例えば圧延鋼などの普通鋼、又はステンレス鋼などの特殊鋼が用いられる。金属板15の縁部15cは、矩形の枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
【0033】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、並びに、ポリプロピレン及びメチルセルロースなどからなる織布又は不織布などが例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されていてもよい。
【0034】
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって形成されており、全体として矩形の枠状をなしている。封止体12は、金属板15の縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15cを保持している。封止体12は、金属板15の縁部15cに結合された複数の第1封止部21と、Z方向に沿って側面11aに延びると共に第1封止部21のそれぞれに結合された第2封止部22と、を有している。第1封止部21及び第2封止部22のそれぞれは、耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂によって構成されている。第1封止部21及び第2封止部22のそれぞれの構成材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
【0035】
第1封止部21は、例えばZ方向に所定の厚さを有するフィルムである。第1封止部21は、金属板15の一方面15aにおいて縁部15cの全周にわたって連続的に設けられ、Z方向から見て矩形の枠状をなしている(図3参照)。本実施形態では、バイポーラ電極14の金属板15のみならず、負極終端電極18の金属板15及び正極終端電極19の金属板15にも第1封止部21が設けられている。負極終端電極18では、金属板15の一方面15aの縁部15cに第1封止部21が設けられている。正極終端電極19では、金属板15の一方面15a及び他方面15bの双方の縁部15cに第1封止部21が設けられている。
【0036】
第1封止部21の内側部分は、Z方向に互いに隣り合う金属板15の縁部15c同士の間に位置している。第1封止部21の外側部分は、金属板15の外縁よりも外側に張り出しており、第2封止部22によって保持されている。Z方向に沿って互いに隣り合う第1封止部21同士は、互いに離間していてもよく、互いに接していてもよい。また、第1封止部21の外側部分同士は、例えば熱板溶着などによって互いに結合されていてもよい。第1封止部21と金属板15の縁部15cとの重なり部分Kでは、第1封止部21は、例えば超音波又は熱圧着によって金属板15に気密に溶着されている。
【0037】
第1封止部21を金属板15に溶着するにあたり、金属板15の表面は、例えば電解めっきで形成した複数の突起状めっきによって粗面化されている。粗面化は、金属板15において、少なくとも第1封止部21が溶着される面に施されていればよい。本実施形態では、バイポーラ電極14を構成する金属板15及び負極終端電極18を構成する金属板15については、一方面15aのみが粗面化されていればよく、正極終端電極19を構成する金属板15については、一方面15a及び他方面15bの両面が粗面化されていればよい。金属板15と第1封止部21との結合界面では、溶融状態の樹脂が粗面化により形成された複数の突起状めっき間に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、金属板15と第1封止部21との間の結合強度を向上させることができる。
【0038】
第2封止部22は、電極積層体11及び第1封止部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2封止部22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、Z方向に沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2封止部22は、Z方向を軸方向として延在する矩形の枠状をなしている(図3参照)。第2封止部22は、例えば射出成形時の熱によって第1封止部21の外側部分に溶着されている。
【0039】
第1封止部21及び第2封止部22は、互いに隣り合う電極の間に形成される内部空間Vを封止する。より具体的には、第2封止部22は、第1封止部21と共に、互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間、をそれぞれ封止している。これにより、隣り合うバイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液などのアルカリ溶液を含む水系の電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16、及び負極17に含浸されている。
【0040】
次に、前述した導電板5の詳細な構成について説明する。
【0041】
図3は、蓄電モジュール4上の導電板5を示す平面図である。図3に示すように、導電板5は、Z方向から見て(すなわち平面視において)、蓄電モジュール4の平面形状よりも一回り小さい面積を有する矩形状をなしている。本実施形態では、導電板5は、一対の長辺5b及び長辺5cと一対の短辺5d及び短辺5eとを含む長方形状をなしている。一対の長辺5b及び長辺5cは、X方向に沿って延在しており、Y方向において互いに対向している。一対の短辺5d及び短辺5eは、Y方向に沿って延在しており、X方向において互いに対向している。導電板5の短辺5d側及び短辺5e側には、検出素子70がそれぞれ接続されている。検出素子70は、例えば、蓄電モジュール4の温度を検出する素子、及び蓄電モジュール4から出力される電圧を検出する素子を含む。
【0042】
導電板5は、第2封止部22の枠内に位置している。導電板5の厚さ方向の両側の表面50a及び表面50bのそれぞれは、隣接する蓄電モジュール4と電気的に接続される接続面となっている。接続面の縁部領域は、第2封止部22の内縁より内側に張り出す第1封止部21の内側部分と重なっている。蓄電モジュール4では、実際には、電極積層体11の中央領域(バイポーラ電極14において活物質層が配置されている領域)が縁部領域(金属板15の縁部15cに第1封止部21が溶着されている領域)に比べてZ方向に膨らんでいる。このため、接続面の中央領域は、電極積層体11のZ方向の端部において封止体12から露出する最外層の金属板15に接触した状態となっている。つまり、当該金属板15における接続面の中央領域との接触面(露出面)は、蓄電モジュール4における導電板5との接触面となっている。
【0043】
導電板5は、X方向に沿って配列された複数(本実施形態では4枚)の板状部材50と、X方向において互いに隣り合う板状部材50同士を回動可能に連結する連結部60と、を含んでいる。各板状部材50は、Z方向から見て(すなわち平面視において)矩形状をなしている。本実施形態では、各板状部材50は、Z方向から見て、Y方向に沿った一対の長辺とX方向に沿った一対の短辺とを含む長方形状をなしている。各板状部材50は、互いに隣り合う板状部材50の長辺同士がX方向に向かい合うように、X方向に沿って配列されている。
【0044】
板状部材50は、X方向において互いに対向する一対の端面50c及び端面50dと、Y方向において互いに対向する一対の端面50e及び端面50fと、を含んでいる。端面50c及び端面50dのそれぞれは、板状部材50の長辺を含む平坦な面であり、YZ平面に沿っている。端面50c及び端面50dのそれぞれは、Y方向に沿って延在している。端面50cは、X方向の短辺5d側に位置しており、端面50dは、X方向の短辺5e側に位置している。X方向において互いに隣り合う2つの板状部材50のうち一方の板状部材50の端面50cと、他方の板状部材50の端面50dとは、X方向において互いに向かい合っている。互いに向かう端面50c及び端面50dのそれぞれは、連結部60によって互いに連結される連結端面となっている。連結部60は、端面50c及び端面50dのそれぞれにおいてY方向の一端から他端にわたって延在しており、Y方向に沿った各位置において同一のXZ断面形状を有している。つまり、連結部60のXZ断面形状は、Y方向について一様となっている。
【0045】
端面50e及び端面50fのそれぞれは、板状部材50の短辺を含む平坦な面であり、XZ平面に沿っている。端面50e及び端面50fのそれぞれは、X方向に沿って延在している。端面50eは、Y方向の長辺5b側に位置しており、端面50c及び端面50dのY方向の一端同士を接続している。端面50fは、Y方向の長辺5c側に位置しており、端面50c及び端面50dのY方向の他端同士を接続している。各板状部材50において、各端面50eのY方向の位置は互いに揃っており、各端面50fのY方向の位置は互いに揃っている。
【0046】
図4は、導電板5の板状部材50単体の斜視図である。図4に示すように、板状部材50のそれぞれには、前述した複数の貫通孔5aが形成されている。各貫通孔5aは、板状部材50の端面50eから端面50fまでY方向に板状部材50の内部を貫通しており、X方向に沿って配列されている。各貫通孔5aの断面形状は、例えば、Y方向から見てX方向を長手方向とする長方形状をなしている。各貫通孔5a内には、冷却用流体Fが流通する。冷却用流体Fは、例えば、板状部材50の端面50e側から端面50f側に向かって各貫通孔5a内をY方向に流通する。
【0047】
図5は、導電板5の要部拡大断面図であり、各板状部材50を互いに連結する連結部60の構成を詳細に示している。以下では、X方向に互いに隣り合う2つの板状部材50をそれぞれ区別して説明する場合には、一方の板状部材50を第1の板状部材51と称し、他方の板状部材50を第2の板状部材52と称する。図5に示すように、連結部60は、第1の板状部材51の端面50dに設けられる第1の爪部61と、第2の板状部材52の端面50cに設けられる第2の爪部62と、によって構成されている。第1の爪部61は、第1の板状部材51の端面50dから第2の板状部材52の端面50cに向かってX方向に突出しており、第1の板状部材51の端面50dのY方向の一端から他端にわたって延在している。第1の爪部61は、第1の板状部材51の端面50dのY方向の一端から他端まで同一のXZ断面形状を有している。つまり、第1の爪部61のXZ断面形状は、Y方向について一様となっている。第1の爪部61のXZ断面は、例えば、矩形の渦巻状をなしている。
【0048】
第1の爪部61は、第1の板状部材51の端面50dからX方向に張り出す壁部61aと、壁部61aからZ方向に張り出す壁部61bと、壁部61bからX方向に張り出す壁部61cと、壁部61cからZ方向に張り出す壁部61dと、を含んでいる。壁部61aは、第1の板状部材51の端面50dにおける表面50b側の端部から、第2の板状部材52の端面50cに向かってX方向に直線状に張り出している。壁部61bは、壁部61aのX方向の端面50c側の先端から、Z方向の表面50a側に向かって直線状に張り出している。壁部61cは、壁部61bのZ方向の表面50a側の先端から、第1の板状部材51のX方向の端面50d側に向かって直線状に張り出している。壁部61dは、壁部61cのX方向の端面50d側の先端から、Z方向の表面50b側に向かって直線状に張り出している。
【0049】
第2の爪部62は、第2の板状部材52の端面50cから第1の板状部材51の端面50dに向かってX方向に突出しており、第2の板状部材52の端面50cにおいてY方向の一端から他端にわたって延在している。第2の爪部62は、第2の板状部材52の端面50cの一端から他端にわたって第1の爪部61と係合している。第2の爪部62は、第1の爪部61と同様、第2の板状部材52の端面50cのY方向の一端から他端まで同一のXZ断面形状を有している。つまり、第2の爪部62のXZ断面形状は、Y方向について一様となっている。第2の爪部62のXZ断面は、例えば、第1の爪部61とは回転方向が反転した矩形の渦巻状をなしている。
【0050】
第2の爪部62は、第2の板状部材52の端面50cからX方向に張り出す壁部62aと、壁部62aからZ方向に張り出す壁部62bと、壁部62bからX方向に張り出す壁部62cと、壁部62cからZ方向に張り出す壁部62dと、を含んでいる。壁部62aは、第2の板状部材52の端面50cにおける表面50a側の端部から、第1の板状部材51の端面50dに向かってX方向に直線状に張り出している。壁部62bは、壁部62aのX方向の端面50d側の先端からZ方向の表面50b側に向かって直線状に張り出している。壁部62cは、壁部62bのZ方向の表面50b側の先端から、X方向の端面50c側に向かって直線状に張り出している。壁部62dは、壁部62cのX方向の端面50c側の先端から、Z方向の表面50a側に向かって直線状に張り出している。
【0051】
第1の爪部61と第2の爪部62との係合状態において、第1の爪部61の壁部61bは、X方向において第2の爪部62の壁部62dと第2の板状部材52の端面50cとの間に配置されている。第1の爪部61の壁部61cは、Y方向において第2の爪部62の壁部62aと壁部62dとの間に配置されている。第1の爪部61の壁部61dは、X方向において第2の爪部62の壁部62bと壁部62dとの間に配置されている。第2の爪部62の壁部62bは、X方向において第1の爪部61の壁部61dと第1の板状部材51の端面50dとの間に配置されている。第2の爪部62の壁部62cは、Y方向において第1の爪部61の壁部61aと壁部61dとの間に配置されている。第2の爪部62の壁部62dは、X方向において第1の爪部61の壁部61bと壁部61dとの間に配置されている。
【0052】
第1の爪部61と第2の爪部62とによって構成される連結部60には、X方向及びZ方向の隙間が形成される。X方向の隙間は、第1の爪部61の壁部61dと第2の爪部62の壁部62dとの隙間、壁部62dと第1の爪部61の壁部61bとの隙間、及び、壁部61bと第2の板状部材52の端面50cとの隙間によって構成される。Z方向の隙間は、第1の爪部61の壁部61aと第2の爪部62の壁部62cとの隙間、及び、壁部62cと第1の爪部61の壁部61dとの隙間によって構成される。これらの隙間は、Y方向に沿って板状部材50の端面50eから端面50fにわたって延在している。したがって、これらの隙間は、Y方向に沿って流通する冷却用流体F(図3及び図4参照)の流路として利用することができる。
【0053】
第1の板状部材51に対して第2の板状部材52をX方向に移動させると、第2の爪部62の壁部62dは、第1の爪部61の壁部61bとのX方向の隙間分だけ移動して壁部61bに当接するか、或いは、第1の爪部61の壁部61dとのX方向の隙間分だけ移動して壁部61dに当接する。この当接によって、第1の板状部材51に対する第2の板状部材52のX方向への移動が規制される。したがって、壁部61b及び壁部61dは、第1の板状部材51に対する第2の板状部材52のX方向への移動を規制する規制部を構成する。
【0054】
また、第2の板状部材52に対して第1の板状部材51をX方向に移動させると、第1の爪部61の壁部61dは、第2の爪部62の壁部62bとのX方向の隙間分だけ移動して壁部62bに当接するか、或いは、第2の爪部62の壁部62dとのX方向の隙間分だけ移動して壁部62dに当接する。この当接によって、第2の板状部材52に対する第1の板状部材51のX方向への移動が規制される。したがって、壁部62b及び壁部62dは、第2の板状部材52に対する第1の板状部材51のX方向への移動を規制する規制部を構成する。
【0055】
第1の板状部材51に対して第2の板状部材52をZ方向に移動させると、第2の爪部62の壁部62cは、第1の爪部61の壁部61aとのZ方向の隙間分だけ移動して壁部61aに当接するか、或いは、第1の爪部61の壁部61dとのZ方向の隙間分だけ移動して壁部61dに当接する。この当接によって、第1の板状部材51に対する第2の板状部材52のZ方向への移動が規制される。したがって、壁部61a及び壁部61dは、第1の板状部材51に対する第2の板状部材52のZ方向への移動を規制する規制部を構成する。
【0056】
第2の板状部材52に対して第1の板状部材51をZ方向に移動させると、第1の爪部61の壁部61cは、第2の爪部62の壁部62aとのZ方向の隙間分だけ移動して壁部62aに当接するか、或いは、第2の爪部62の壁部62dとのZ方向の隙間分だけ移動して壁部62dに当接する。この当接によって、第2の板状部材52に対する第1の板状部材51のZ方向への移動が規制される。したがって、壁部62a及び壁部62dは、第2の板状部材52に対する第1の板状部材51のZ方向への移動を規制する規制部を構成する。
【0057】
第1の板状部材51と第2の板状部材52とをY方向に相対移動させると、第1の爪部61及び第2の爪部62のそれぞれのXZ断面形状はY方向について一様となっているので、第1の爪部61と第2の爪部62とは、Y方向において互いに当接することなくスライドする。つまり、第1の爪部61及び第2の爪部62は、Y方向において互いに相対移動可能となっている。
【0058】
第1の爪部61と第2の爪部62とは、互いに回動可能に構成されている。「回動可能」とは、回転中心周りの方向において第1の爪部61と第2の爪部62との相対位置が固定されないことを意味する。「回転中心」は、例えば、第1の爪部61及び第2の爪部62によって構成される連結部60の中心部分である。具体的には、「回転中心」は、例えば、第1の爪部61の壁部61dの先端、又は第2の爪部62の壁部62dの先端である。「回動可能に構成されている」とは、回転中心周りの方向において第1の爪部61と第2の爪部62との相対位置が厳密に固定されていなければよく、当該相対位置が僅かに移動する場合と、当該相対位置が自由に移動する場合との両方を含む。本実施形態では、当該相対位置が自由に移動する場合を例示する。
【0059】
第1の爪部61と第2の爪部62との係合及び係合の解除は、上記回転中心を基準として、第1の板状部材51と第2の板状部材52とを所定の相対角度となるまで相対回動させることによって行われる。具体的には、図5に示された状態から、第1の板状部材51及び第2の板状部材52の表面50b同士が接近する方向に第1の板状部材51及び第2の板状部材52を例えば相対角度90°以下となるまで相対回動させることによって、第1の爪部61と第2の爪部62との係合が解除される。また、第1の板状部材51と第2の板状部材52とを上記相対角度となるまで相対回動させた状態から、図5に示された状態(すなわち相対角度が180°となる)まで第1の板状部材51及び第2の板状部材52を相対回動させることによって、第1の爪部61と第2の爪部62とが互いに係合する。
【0060】
第1の爪部61と第2の爪部62との係合及び係合の解除は、第1の爪部61と第2の爪部62とをY方向にスライドさせることによって行われてもよい。すなわち、第1の爪部61と第2の爪部62とをY方向に互いにずれた位置から、互いに摺動するようにY方向に相対移動させることによって、第1の爪部61と第2の爪部62とを互いに係合してもよい。また、第1の爪部61と第2の爪部62との係合状態から、Y方向への相対移動によって第1の爪部61と第2の爪部62とをY方向に互いにずらすことによって、第1の爪部61と第2の爪部62との係合を解除してもよい。
【0061】
図5において、第1の板状部材51の端面50dに第1の爪部61が設けられる一方、第1の板状部材51の端面50cには第2の爪部62が設けられている。同様に、第2の板状部材52の端面50cに第2の爪部62が設けられる一方、第2の板状部材52の端面50dには第1の爪部61が設けられている。つまり、図5に示す例では、各板状部材50は、端面50dに第1の爪部61が設けられる一方、端面50cに第2の爪部62が設けられた構成を有している。なお、X方向の短辺5d側(図3参照)の一端に位置する板状部材50の端面50cには、第1の爪部61又は第2の爪部62が設けられなくてもよい。当該板状部材50の端面50cには、別の接続機構が設けられてもよく、この接続機構によって一方の検出素子70が接続されてもよい。同様に、X方向の短辺5e側(図3参照)の他端に位置する板状部材50の端面50dには、第1の爪部61又は第2の爪部62が設けられなくてもよい。当該板状部材50の端面50dには、別の接続機構が設けられてもよく、この接続機構によって他方の検出素子70が接続されてもよい。
【0062】
以上の構成を備える導電板5を形成する際、まず、第1の爪部61及び第2の爪部62が端面50d及び端面50cにそれぞれ設けられた各板状部材50を、押し出し成形によって形成する。このとき、各板状部材50の押し出し方向をY方向とする。このように形成される板状部材50、第1の爪部61、及び第2の爪部62のぞれぞれのYZ断面は、Y方向についてそれぞれ一様となる。次に、第1の爪部61及び第2の爪部62を係合させることによって、各板状部材50を互いに連結する。このとき、前述したように、第1の板状部材51と第2の板状部材52とを相対回動させることによって、第1の板状部材51の端面50dに設けられた第1の爪部61と、第2の板状部材52の端面50cに設けられた第2の爪部62と、を互いに係合させる。
【0063】
このようにして各板状部材50を互いに連結させることによって、導電板5が得られる。そして、導電板5の短辺5d及び短辺5eのそれぞれに各検出素子70を接続し、各検出素子70が接続された導電板5と蓄電モジュール4とを交互に積層することによって、導電板5を介して複数の蓄電モジュール4が積層されたモジュール積層体2が形成される。その後、モジュール積層体2に拘束部材3を組み付け、蓄電装置1が得られる。
【0064】
次に、本実施形態に係る蓄電装置1の作用効果を説明する。本実施形態に係る蓄電装置1では、蓄電モジュール4間の導電板5が、X方向に配列された複数の板状部材50を連結部60によって互いに回動可能に連結することによって構成されている。これにより、板状部材50の回動によって蓄電モジュール4における導電板5との接触面の形状に導電板5の形状を追従させることができる。蓄電モジュール4の接触面には、電極積層体11に含まれる電極やセパレータ13などの厚み公差、或いは封止体12の形成条件などにより、蓄電モジュール4の接触面にうねり(凹凸)が生じる場合がある。例えば、蓄電モジュール4の製造工程において、電極に含まれる金属板15上に正極16又は負極17を押し固める際のプレスの圧力が金属板15の正極16及び負極17が設けられる部分のみに付加されることによって、電極の表面にうねりが生じ、これに起因して蓄電モジュール4の接触面にうねりが生じ得る。蓄電モジュール4の接触面の形状に導電板5の形状を追従させることができれば、蓄電モジュール4の接触面にうねりが生じた場合であっても、蓄電モジュール4の接触面と導電板5との接触面積の減少を抑制できる。
【0065】
また、連結する板状部材50の点数調整により導電板5のサイズを調整できるので、サイズ違いの蓄電モジュール4への導電板5の適用が可能となり、導電板5の汎用性が高められる。また、導電板5では、端面50c及び端面50dにおいて一端から他端にわたって連結部60が延在している。連結部60が端面50c及び端面50d間に延在していることで、内圧変動などに起因して蓄電モジュール4に膨張が生じた場合でも接触面が板状部材50間に入り込むことを抑制できる。したがって、蓄電モジュール4膨張時の接触面の破損を抑制できる。
【0066】
本実施形態に係る蓄電装置1では、導電板5は、蓄電モジュール4を冷却するための冷却機構を有している。このように導電板5に冷却機能を持たせることで、導電板5と蓄電モジュール4の接触面との接触面積の確保により、導電板5の冷却効率を十分に確保できる。
【0067】
本実施形態に係る蓄電装置1では、冷却機構は、冷却用流体Fを流通させるための貫通孔5aを含み、貫通孔5aは、導電板5の内部をY方向に貫通している。これにより、導電板5の冷却機構を簡易に構成することができる。また、貫通孔5aがY方向に貫通していることにより、連結部60に延在する隙間を冷却用流体Fを流通させる隙間として用いることもできる。
【0068】
本実施形態に係る蓄電装置1では、連結部60は、第1の板状部材51の端面50cに設けられ、端面50cの一端から他端にわたって延在する第1の爪部61と、第2の板状部材52の端面50dに設けられ、端面50dの一端から他端にわたって第1の爪部61に係合する第2の爪部62と、によって構成されている。第1の爪部61と第2の爪部62との係合によって連結部60を構成することにより、連結部60の簡単化が図られる。更に、第1の爪部61と第2の爪部62とを相対回動させることで第1の爪部61と第2の爪部62とを係合できるので、導電板5の組立性を十分に確保できる。
【0069】
本実施形態に係る蓄電装置1では、第1の爪部61及び第2の爪部62は、係合状態において第1の板状部材51と第2の板状部材52との間の蓄電モジュール4のZ方向及びX方向への相対移動を規制する規制部をそれぞれ有している。第1の板状部材51と第2の板状部材52との間のZ方向及びX方向への相対移動が規制されることで、導電板5の平面形状が保持され易くなる。このため、蓄電装置1の組み立て作業性を十分に確保できる。また、第1の板状部材51と第2の板状部材52との間のX方向への相対移動が規制されることで、第1の板状部材51と第2の板状部材52との間の端面50c及び端面50d間に隙間が生じにくくなる。したがって、蓄電モジュール4の接触面が板状部材50間に入り込むことをより確実に抑制できる。
【0070】
本実施形態に係る蓄電装置1では、導電板5は、平面視において一対の長辺5b及び長辺5cと一対の短辺5d及び短辺5eとを含む長方形状をなし、各板状部材50が配列されるX方向は、導電板5の長辺5b及び長辺5cに沿っている。長方形状の導電板5を採用する場合、板状部材50によって導電板5を長辺方向に分割することにより、蓄電モジュール4の接触面の形状に対する導電板5の形状の追従性を好適に確保できる。
【0071】
本実施形態に係る蓄電装置1では、Y方向について、連結部60の断面形状が一様となっている。このため、板状部材50と連結部60の構成要素とを押出成形によって一体に形成できる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
【0073】
図6は、導電板5の変形例を示す要部拡大断面図である。図6に示す導電板5Aでは、第1の板状部材51の端面50dに、第1の爪部61に代えて第2の爪部62が設けられており、第2の板状部材52の端面50cに、第2の爪部62に代えて第1の爪部61が設けられている。したがって、導電板5Aでは、第1の板状部材51の端面50c及び端面50dの双方に第2の爪部62がそれぞれ設けられており、第2の板状部材52の端面50c及び端面50dの双方に第1の爪部61がそれぞれ設けられている。
【0074】
このような形態であっても、導電板5と同一の効果を奏する。なお、導電板5Aでは、第1の板状部材51の端面50c及び端面50dの双方に第1の爪部61がそれぞれ設けられてもよく、第2の板状部材52の端面50c及び端面50dの双方に第2の爪部62がそれぞれ設けられてもよい。或いは、導電板5Aの各板状部材50において、各端面50dに第2の爪部62が設けられ、各端面50cに第1の爪部61が設けられてもよい。
【0075】
図7は、導電板5の別の実施形態を示す要部拡大断面図である。図7に示す導電板5Bでは、連結部60Aの構成が導電板5とは異なっている。連結部60Aは、第1の爪部61に代えて第1の爪部61Aを備えており、第2の爪部62に代えて第2の爪部62Aを備えている。第1の爪部61AのXZ断面が円形の渦巻状をなしている点で、第1の爪部61Aは導電板5の第1の爪部61とは異なっている。第1の爪部61Aは、第1の爪部61の壁部61a、壁部61b、壁部61c、及び壁部61dにそれぞれ対応する壁部61e、壁部61f、壁部61g、及び壁部61hを含んでいる。壁部61e、壁部61f、壁部61g、及び壁部61hは、XZ断面において、円弧状となるように滑らかに連続している。
【0076】
壁部61eのX方向の端面50c側の先端は、Z方向の表面50a側に円弧状に湾曲している。壁部61fは、X方向の端面50c側に膨らむように円弧状に湾曲しており、壁部61eの先端に滑らかに接続されている。壁部61gは、Z方向の表面50a側に膨らむように円弧状に湾曲しており、壁部61fのZ方向の表面50a側の先端に滑らかに接続されている。壁部61hは、壁部61gのX方向の端面50d側の先端に滑らかに接続されるように円弧状に湾曲している。
【0077】
第2の爪部62AのXZ断面が第1の爪部61Aと180°の回転対称性を有する円形の渦巻状をなしている点で、第2の爪部62Aは導電板5の第2の爪部62とは異なっている。第2の爪部62Aは、第2の爪部62の壁部62a、壁部62b、壁部62c、及び壁部62dにそれぞれ対応する壁部62e、壁部62f、壁部62g、及び壁部62hを含んでいる。壁部62e、壁部62f、壁部62g、及び壁部62hは、XZ断面において、円弧状となるように滑らかに連続している。
【0078】
壁部62eのX方向の端面50d側の先端は、Z方向における表面50b側に円弧状に湾曲している。壁部62fは、X方向の端面50d側に膨らむように円弧状に湾曲しており、壁部62eの先端に滑らかに接続されている。壁部62gは、Z方向の表面50b側に膨らむように円弧状に湾曲しており、壁部62fのZ方向の表面50b側の先端に滑らかに接続されている。壁部62hは、壁部62gのX方向の端面50c側の先端に滑らかに接続されるように円弧状に湾曲している。第1の爪部61Aと第2の爪部62Aとの係合及び係合の解除は、上記実施形態に係る導電板5と同様に行われる。このような形態であっても、導電板5と同一の効果を奏する。
【0079】
図8は、図7に示した導電板5Bの変形例を示す要部拡大断面図である。図8に示す導電板5Cでは、第1の板状部材51の端面50dに、第1の爪部61Aに代えて第2の爪部62Aが設けられており、第2の板状部材52の端面50cに、第2の爪部62Aに代えて第1の爪部61Aが設けられている。したがって、導電板5Cでは、第1の板状部材51の端面50c及び端面50dの双方に第2の爪部62Aがそれぞれ設けられており、第2の板状部材52の端面50c及び端面50dの双方に第1の爪部61Aがそれぞれ設けられている。このような形態であっても、導電板5Bと同様の効果を奏する。なお、導電板5Cでは、第1の板状部材51の端面50c及び端面50dの双方に第1の爪部61Aがそれぞれ設けられてもよく、第2の板状部材52の端面50c及び端面50dの双方に第2の爪部62Aがそれぞれ設けられてもよい。或いは、導電板5Cの各板状部材50において、各端面50dに第2の爪部62Aが設けられてもよく、各端面50cに第1の爪部61Aが設けられてもよい。
【0080】
図9は、導電板5の更に別の実施形態を示す要部拡大断面図である。図9に示す導電板5Dでは、連結部60Bの構成が導電板5とは異なっている。連結部60Bは、第1の爪部61に代えて凸部61Bを備えており、第2の爪部62に代えて凹部62Bを備えている。凸部61Bは、第1の板状部材51の端面50dのY方向の一端から他端にわたって延在しており、端面50dのY方向の一端から他端まで同一のXZ断面形状を有している。つまり、凸部61BのXZ断面形状は、Y方向について一様となっている。凸部61BのXZ断面は、例えば、第1の板状部材51の端面50dから第2の板状部材52の端面50cに向かってX方向に張り出す矢印状をなしている。
【0081】
凸部61Bは、第1の板状部材51の端面50dにおけるZ方向の中央部から、第2の板状部材52の端面50cに向かってX方向に沿って直線状に張り出す軸部61iと、軸部61iの端面50c側の先端からZ方向の両側に張り出す頭部61jと、を含んでいる。頭部61jは、XZ断面において、X方向の端面50c側に頂点の一つ(先端)が向く三角形状をなしている。頭部61jは、軸部61iの先端からZ方向の両側にそれぞれ張り出す一対の段差面61kと、一対の段差面61kにそれぞれ接続されると共に頭部61jの上記頂点をなす2辺を構成する一対の傾斜面61mと、を含んでいる。
【0082】
一対の段差面61kは、YZ平面に沿っており、軸部61iに対して略垂直となるように形成されている。一対の傾斜面61mは、XY平面及びYZ平面に対して傾斜した傾斜面であり、X方向の端面50c側に近づくにつれて互いのZ方向の距離が小さくなるように傾斜している。一方の傾斜面61mは、一方の段差面61kのZ方向の表面50a側の一端と頭部61jの先端とを接続している。他方の傾斜面61mは、他方の段差面61kのZ方向の表面50b側の一端と、頭部61jの先端とを接続している。
【0083】
凹部62Bは、第2の板状部材52の端面50cのY方向の一端から他端にわたって延在しており、端面50cのY方向の一端から他端まで同一のXZ断面形状を有している。つまり、凹部62BのXZ断面形状は、Y方向について一様となっている。凹部62Bは、端面50cのY方向の一端から他端にわたって凸部61Bと嵌合している。凹部62Bは、端面50cのZ方向の両端部のそれぞれからX方向に張り出す一対の壁部62iと、一対の壁部62iのそれぞれの端面50d側の先端から、Z方向において互いに接近するように張り出す一対の壁部62jと、を含んでいる。凸部61Bの頭部61jは、第2の板状部材52の端面50cと一対の壁部62iと一対の壁部62jとによって囲まれる凹部62Bの内部空間に配置されている。頭部61jの一対の段差面61kは、X方向において凹部62Bの一対の壁部62jとそれぞれ対向している。凸部61Bの軸部61iは、Z方向において一対の壁部62jの間に配置されている。
【0084】
凸部61Bと凹部62Bとによって構成される連結部60Bには、X方向及びZ方向の隙間が形成される。X方向の隙間とは、例えば、第1の板状部材51の端面50dと凹部62Bの壁部62jとの隙間、壁部62jと凸部61Bの頭部61jの段差面61kとの隙間、頭部61jの傾斜面61mと第2の板状部材52の端面50cとの隙間である。Z方向の隙間とは、例えば、凸部61Bの軸部61iと凹部62Bの壁部62jとの隙間、及び、凸部61Bの頭部61jと凹部62Bの壁部62iとの隙間である。これらの隙間は、Y方向に沿って板状部材50の端面50eから端面50fにわたって延在している。冷却用流体F(図3及び図4参照)は、前述したようにY方向に沿って流通するので、Y方向に沿って延在するこれらの隙間を冷却用流体Fの流路として利用することができる。
【0085】
第1の板状部材51と第2の板状部材52とをX方向に相対移動させると、凹部62Bの一対の壁部62jは、第1の板状部材51の端面50dとのX方向の隙間分だけ移動して端面50dに当接するか、或いは、凸部61Bの一対の段差面61kとのX方向の隙間分だけ移動して一対の段差面61kにそれぞれ当接する。この当接によって、第1の板状部材51と第2の板状部材52とのX方向への相対移動が規制される。したがって、一対の壁部62j及び一対の段差面61kは、第1の板状部材51と第2の板状部材52とのX方向への相対移動を規制する規制部を構成する。
【0086】
第1の板状部材51と第2の板状部材52とをZ方向に相対移動させると、凸部61Bの軸部61iは、凹部62Bの一方の壁部62jとのZ方向の隙間分だけ移動して一方の壁部62jに当接するか、或いは、凸部61Bの他方の壁部62jとZ方向の隙間分だけ移動して他方の壁部62jにそれぞれ当接する。この当接によって、第1の板状部材51と第2の板状部材52とのZ方向への相対移動が規制される。したがって、軸部61i及び一対の壁部62jは、第1の板状部材51と第2の板状部材52とのZ方向への相対移動を規制する規制部を構成する。
【0087】
第1の板状部材51と第2の板状部材52とをY方向に相対移動させると、凸部61B及び凹部62BのそれぞれのXZ断面形状はY方向について一様となっているので、凸部61Bと凹部62Bとは、Y方向において互いに当接することなくスライドする。つまり、凸部61B及び凹部62Bは、Y方向に互いに相対移動可能となっている。また、回転中心周りの方向における凸部61Bと凹部62Bとの相対位置は、僅かに移動可能となっている。導電板5Bでは、回転中心は、例えば、凹部62Bの壁部62jの先端である。凸部61Bの軸部61iと凹部62Bの壁部62jとの間に隙間が形成されていることによって、壁部62jの先端を回転中心とする凸部61Bと凹部62Bとの回動が許容されている。
【0088】
凸部61Bと凹部62Bとの嵌合は、凸部61Bと凹部62BとをX方向に相対移動させることによって行われる。図10(a)は、導電板5Dの連結前の状態を示す概略的な断面図である。凸部61Bを凹部62Bに嵌合させる際、まず、第1の板状部材51と第2の板状部材52とをX方向に沿って配列し、第1の板状部材51の端面50dに設けられた凸部61Bと、第2の板状部材52の端面50cに設けられた凹部62Bとを互いに向かい合わせる。その後、第1の板状部材51と第2の板状部材52とをX方向に沿って互いに接近させ、凸部61Bの頭部61jを凹部62Bの内部空間に挿入させる。
【0089】
図10(b)は、導電板5Dの連結後の状態を示す概略的な断面図である。凸部61Bの頭部61jを凹部62B内に挿入する際、頭部61jの一対の傾斜面61mが凹部62Bの一対の壁部62jにX方向にそれぞれ当接する。各傾斜面61mが各壁部62jに当接すると、各傾斜面61mから各壁部62jに反力が付与され、この反力によって、凹部62Bが弾性変形して各壁部62jがZ方向に拡開される。このとき、各壁部62jが各傾斜面61mに当接した状態で各傾斜面61mに沿って摺動する。各壁部62jが各傾斜面61mを乗り越えて凸部61Bの軸部61iに達すると、凹部62Bが元の形状に弾性復帰し、拡開されていた各壁部62jが元の位置に戻る。
【0090】
このようにして、凸部61Bが凹部62Bに嵌合する。すなわち、凸部61Bの頭部61jが凹部62B内に入り込み、頭部61jが凹部62Bの一対の壁部62jにX方向に引っ掛かった状態となる。凸部61Bと凹部62Bとの嵌合は、例えば、凸部61Bと凹部62BとをY方向にスライドさせることによって行われてもよい。すなわち、凸部61Bと凹部62BとをY方向に互いにずれた位置から、互いに摺動するようにY方向に相対移動(接近)させることによって、凸部61Bを凹部62Bに嵌合させてもよい。凸部61Bと凹部62Bとの嵌合を解除する際には、凸部61Bと凹部62Bとの嵌合状態から、凸部61Bと凹部62BとをY方向に互いに離間するようにスライドさせることによって行われてもよい。
【0091】
導電板5Dによれば、導電板5と同様の効果を奏する。また、凸部61Bと凹部62Bとの嵌合によって連結部60Bを構成することにより、連結部60Bの簡単化が図られる。更に、凸部61Bと凹部62BとをX方向に相対移動(接近)させることで凸部61Bを凹部62Bに嵌合できるので、導電板5Dの組立性を十分に確保できる。また、第1の板状部材51と第2の板状部材52との間のZ方向及びX方向への相対移動が規制されることで、導電板5Dの平面形状が保持され易くなる。このため、導電板5Dを備える蓄電装置の組み立て作業性を十分に確保できる。更に、第1の板状部材51と第2の板状部材52との間のX方向への相対移動が規制されることで、第1の板状部材51と第2の板状部材52との間の端面50c及び端面50d間に隙間が生じにくくなる。したがって、蓄電モジュール4の接触面が板状部材50間に入り込むことをより確実に抑制できる。
【0092】
図11は、導電板5Dの変形例を示す要部拡大断面図である。図11に示す導電板5Eでは、第1の板状部材51の端面50dに、凸部61Bに代えて凹部62Bが設けられており、第2の板状部材52の端面50cに、凹部62Bに代えて凸部61Bが設けられている。したがって、導電板5Eでは、第1の板状部材51の端面50c及び端面50dの双方に凹部62Bがそれぞれ設けられており、第2の板状部材52の端面50c及び端面50dの双方に凸部61Bがそれぞれ設けられている。このような形態であっても、導電板5Dと同一の効果を奏する。なお、導電板5Eでは、第1の板状部材51の端面50c及び端面50dの双方に凸部61Bがそれぞれ設けられてもよく、第2の板状部材52の端面50c及び端面50dの双方に凹部62Bがそれぞれ設けられてもよい。或いは、導電板5Cの各板状部材50において、各端面50dに凹部62Bが設けられてもよく、各端面50cに凸部61Bが設けられてもよい。
【0093】
本開示は、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した各実施形態及び各変形例を、必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。また、導電板の構成は、上述した各実施形態及び各変形例に限られない。例えば、上述した各実施形態及び各変形例において、導電板を構成する複数の板状部材は、導電板の長手方向に沿ったX方向に配列されているが、複数の板状部材は、導電板の短手方向に沿ったY方向に配列されてもよい。また、複数の板状部材は、導電板の長手方向に沿ったX方向に配列されると共に、導電板の短手方向に沿ったY方向に配列されてもよい。つまり、複数の板状部材は、X方向及びY方向の各方向に沿って分割された構成を有してもよい。Z方向から見た板状部材の形状は、矩形状に限られず他の形状であってもよい。また、連結部の構成は、上述した各実施形態及び各変形例に限られず、種々の態様を採り得る。上述した各実施形態及び各変形例では、導電板5,5A~5Eに本発明を適用しているが、導電板Pに本発明を適用してもよい。
【0094】
上述した各実施形態及び各変形例では、電極積層体の最外層は、負極終端電極及び正極終端電極となっているが、負極終端電極の外層側及び/又は正極終端電極の外層側に金属板を更に積層してもよい。この場合、最外層の金属板は、正極及び負極をいずれも有しておらず、隣り合う終端電極に対して電気的に接続される。最外層の金属板を設けることにより、内圧上昇時の電極積層体の膨張を抑制できる。また、負極終端電極の外層側に金属板を設けることにより、アルカリクリープの電解液の進行経路を長くすることができ、電解液の漏液を抑制できる。
【符号の説明】
【0095】
1…蓄電装置、4…蓄電モジュール、5,5A,5B,5C,5D,5E…導電板、5a…貫通孔、5b,5c…長辺、5d,5e…短辺、11…電極積層体、12…封止体(樹脂部)、14…バイポーラ電極、15…金属板,15a…一方面、15b…他方面、18…負極終端電極、19…正極終端電極、50…板状部材、50a,50b…表面、50c,50d,50e,50f…端面、51…第1の板状部材、52…第2の板状部材、60,60A,60B…連結部、61,61A…第1の爪部、61B…凸部、62,62A…第2の爪部、62B…凹部、F…冷却用流体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11