(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】進入検知システム
(51)【国際特許分類】
F16P 3/14 20060101AFI20230511BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20230511BHJP
B65G 1/00 20060101ALN20230511BHJP
【FI】
F16P3/14
B23Q11/00 D
B65G1/00 501C
B65G1/00 511
(21)【出願番号】P 2020102444
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】津田 恭宏
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-063362(JP,A)
【文献】特開2015-177337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0178385(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0347753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16P 3/14
B23Q 11/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め規定された領域に進入する物体を検知する進入検知システムであって、
規定範囲の平面状に設定された進入検知面に前記物体の一部が存在するか否かを検知する進入検知センサと、
前記進入検知センサによる前記物体の検出を無効化するために、前記物体を検知するセンサであって、第1ユニットと第2ユニットとを有するミューティングセンサと、
前記ミューティングセンサの検知結果に基づいて、前記進入検知センサの作動を制御する制御部と、を備え、
前記進入検知面に直交する方向を、通過方向とし、前記通過方向の一方側を通過方向第1側、他方側を通過方向第2側として、
前記第1ユニットは、前記進入検知面に対して前記通過方向第1側において前記進入検知面に平行な方向である幅方向に離間して対向配置された一対の第1センサを備え、
一対の前記第1センサのそれぞれは、予め規定された第1検知範囲内に前記物体が存在するか否かを検知し、
前記第1検知範囲は、一対の前記第1センサのそれぞれから、前記幅方向における一対の前記第1センサが互いに対向する方向に延びていると共に、一対の前記第1検知範囲が前記幅方向に互いに離間するように設定され、
前記第2ユニットは、前記進入検知面に対して前記通過方向第2側において前記幅方向に離間して対向配置された一対の第2センサを備え、
一対の前記第2センサのそれぞれは、予め規定された第2検知範囲内に前記物体が存在するか否かを検知し、
前記第2検知範囲は、一対の前記第2センサのそれぞれから、前記幅方向における一対の前記第2センサが互いに対向する方向に延びていると共に、一対の前記第2検知範囲が前記幅方向に互いに離間するように設定され、
前記制御部は、一対の前記第1センサの双方が前記物体を検知している第1検知状態、及び、一対の前記第2センサの双方が前記物体を検知している第2検知状態の少なくとも一方が成立している場合に、前記進入検知センサを無効化する、進入検知システム。
【請求項2】
一対の前記第1検知範囲同士の前記幅方向の離間距離である第1離間距離、及び、一対の前記第2検知範囲同士の前記幅方向の離間距離である第2離間距離は、前記進入検知面の通過が許容される対象物体の前記幅方向に沿った長さである対象物体幅、及び、前記対象物体が前記通過方向に沿って移動する場合に前記幅方向において位置ずれが許容される範囲である許容ずれ幅に基づいて設定されている、請求項1に記載の進入検知システム。
【請求項3】
前記第1離間距離及び前記第2離間距離は、前記対象物体幅から前記許容ずれ幅を差し引いた値に対応する長さに設定されている、請求項2に記載の進入検知システム。
【請求項4】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの前記通過方向に沿った離間距離は、人の体の前後方向の厚みよりも大きい、請求項1から3の何れか一項に記載の進入検知システム。
【請求項5】
前記進入検知センサと、前記ミューティングセンサとは、異なる検知原理により前記物体を検知するセンサである、請求項1から4の何れか一項に記載の進入検知システム。
【請求項6】
前記進入検知センサは、光学式のセンサであり、前記ミューティングセンサは、超音波式のセンサである、請求項5に記載の進入検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め規定された領域に進入する物体を検知する進入検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010-133503号公報には、特定の領域へ物品(31)を搬入する搬入口に、いわゆるライトカーテン(30)を備え、搬入口から作業者などが当該特定の領域に進入することを検知する安全システムが開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。このライトカーテン(30)は、搬入対象の物品(31)も検知するため、物品(31)の搬入の際にはライトカーテン(30)による検知を無効化する機能(ミューティング機能)が設けられている。具体的には、平面視でライトカーテン(30)の検知面の近傍で交差するような検知範囲が設定されたミューティングセンサとして2組の回帰反射型光電センサが設置され、搬入経路に沿った搬入口の手前側で、搬入対象の物品(31)が検知された場合には、ライトカーテン(30)による検知が無効化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記においては、2組の回帰反射型光電センサによる検知範囲が交差しているので、それらの交差角度を大きくしなければ、ライトカーテンによる検出面から物体の検出位置までの距離を大きく確保することができない。しかし、当該交差角度を大きくするためには、2組の回帰反射型光電センサをライトカーテンから離して配置するために広い設置スペースが必要になる。そして、設置スペースが限られている場合には、ミューティングセンサによる検知位置とライトカーテンによる検知位置との距離が確保できず、物体の形状等によっては適切にライトカーテンを無効化できない場合もある。
【0005】
上記背景に鑑みて、予め規定された領域に進入する物体を検知する進入検知システムにおいて、進入が許容される物体の検知を適切に無効化することができる技術の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、予め規定された領域に進入する物体を検知する進入検知システムは、規定範囲の平面状に設定された進入検知面に前記物体の一部が存在するか否かを検知する進入検知センサと、前記進入検知センサによる前記物体の検出を無効化するために、前記物体を検知するセンサであって、第1ユニットと第2ユニットとを有するミューティングセンサと、前記ミューティングセンサの検知結果に基づいて、前記進入検知センサの作動を制御する制御部と、を備え、前記進入検知面に直交する方向を、通過方向とし、前記通過方向の一方側を通過方向第1側、他方側を通過方向第2側として、前記第1ユニットは、前記進入検知面に対して前記通過方向第1側において前記進入検知面に平行な方向である幅方向に離間して対向配置された一対の第1センサを備え、一対の前記第1センサのそれぞれは、予め規定された第1検知範囲内に前記物体が存在するか否かを検知し、前記第1検知範囲は、一対の前記第1センサのそれぞれから、前記幅方向における一対の前記第1センサが互いに対向する方向に延びていると共に、一対の前記第1検知範囲が前記幅方向に互いに離間するように設定され、前記第2ユニットは、前記進入検知面に対して前記通過方向第2側において前記幅方向に離間して対向配置された一対の第2センサを備え、一対の前記第2センサのそれぞれは、予め規定された第2検知範囲内に前記物体が存在するか否かを検知し、前記第2検知範囲は、一対の前記第2センサのそれぞれから、前記幅方向における一対の前記第2センサが互いに対向する方向に延びていると共に、一対の前記第2検知範囲が前記幅方向に互いに離間するように設定され、前記制御部は、一対の前記第1センサの双方が前記物体を検知している第1検知状態、及び、一対の前記第2センサの双方が前記物体を検知している第2検知状態の少なくとも一方が成立している場合に、前記進入検知センサを無効化する。
【0007】
この構成によれば、進入検知面に対する通過方向第1側及び通過方向第2側の双方において、物体を検知可能なミューティングセンサが設置されている。従って、通過方向に沿って進入検知面に近づく物体を、通過方向第1側及び通過方向第2側の一方側のミューティングセンサによって物体が進入検知面に到達するよりも前に検知することができる。また、物体の全てが当該一方側のミューティングセンサの検知範囲を通過した後に、物体の一部が未だ進入検知面に存在している場合には、他方側のミューティングセンサによって物体を検知することができる。従って、検知された物体が、進入検知面の通過を許容される物体の場合には、当該物体が進入検知面に達する前に進入検知センサを速やかに無効化することができると共に、当該物体が進入検知面を通り過ぎるまでの間、適切に無効化を継続させることができる。また、本構成によれば、ミューティングセンサを構成する第1センサが進入検知面に対して通過方向第1側に配置され、第2センサが進入検知面に対して通過方向第2側に配置されている。つまり、第1センサの検知範囲と第2センサの検知範囲とが交差しておらず、それぞれ進入検知面に平行するように設定されている。従って、比較的小さい設置スペースであっても、ミューティングセンサによる検知位置と進入検知センサによる検知位置との、通過方向に沿った位置関係を適切に設定し易い。また、一対の第1検知範囲が幅方向に互いに離間するように設定され、一対の第2検知範囲が幅方向に互いに離間するように設定されて、一対の第1センサの双方が物体を検知し、或いは、一対の第2センサの双方が物体を検知しなければ、進入検知センサが無効化されない。よって、一対の第1検知範囲の双方に入らない物体、及び、一対の第2検知範囲の双方に入らない物体に対しては、進入検知センサを有効にすることができる。従って、進入が許容されていない物体が通過すること進入検知センサにより適切に検知することができる。このように、本構成によれば、予め規定された領域に進入する物体を検知する進入検知システムにおいて、進入が許容される物体の検知を適切に無効化することができる技術を提供することができる。
【0008】
進入検知システムのさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】進入検知システムを備えた物品搬送設備の一例を示す図
【
図2】進入検知システムの構成の一例を示すブロック図
【
図3】進入検知システムの検知範囲の一例を示す説明図
【
図4】ミューティングセンサの幅方向の検知範囲の一例を示す図
【
図5】進入検知システムの通過方向に沿った配置位置の一例を示す図
【
図6】進入検知システムの一例を示すタイムチャート
【
図7】進入検知システムの一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、進入検知システムの実施形態を図面に基づいて説明する。進入検知システムは、作業者等の人の立ち入りが制限される特定の管理領域と、管理領域よりも制限の緩い一般領域とを備えた設備(例えば物品搬送設備や生産設備)に設けられている。
図1は、そのような設備(ここでは搬送設備100とする)の一例を模式的に示している。また、
図2のブロック図は、搬送設備100に備えられた進入検知システムの構成の一例を示している。また、
図3は、進入検知システムの検知範囲の一例を示している。
【0011】
搬送設備100は、予め設定された経路Rに沿って物品を搬送する。経路Rは、レール等によって形成された有軌道の経路であってもよいし、レール等を有することなく、例えば床面における座標に基づいて設定される無軌道の経路であってもよい。物品は、物品搬送車(物体Bの一例)によって搬送される。例えば、経路Rが無軌道の場合、物品搬送車として、AGV(Automatic Guided Vehicle)が用いられる。
【0012】
搬送設備100には、一般領域E1と管理領域E2とが少なくとも設けられている。例えば、管理領域E2の中には、物品を収納する倉庫や、物品を用いて生産を行う生産設備等が設置されている。例えば、倉庫には、倉庫と物品搬送車との間で物品を移載するための自動移載機等が備えられ、生産設備には自動工作機等が備えられている。このため、一般的には、管理領域E2への人の立ち入りは、作業者を含めて制限されている。誤って人が管理領域E2に進入した場合には、安全性を考慮して、自動移載機や自動工作機等の作動を停止させることが好ましい。このため、搬送設備100には、予め規定された領域である管理領域E2に進入する物体Bを検知する進入検知システム10が備えられている。
図2に示す管理領域制御部9は、進入検知システム10(特に、後述する進入検知センサ5)の検知結果に基づき、管理領域E2内の自動移載機や自動工作機等の作動を停止させることができる。
【0013】
図2に示すように、進入検知システム10は、物体Bを検知する進入検知センサ5と、進入検知センサ5による物体Bの検出を無効化するために物体Bを検知するミューティングセンサ3と、ミューティングセンサ3の検知結果に基づいて進入検知センサ5の作動を制御する制御部7とを備えている。
図1に示すように、進入検知センサ5は、規定範囲の平面状に設定された進入検知面Pに、物体Bの一部が存在するか否かを検知する。本実施形態では、進入検知面Pは、経路Rに直交するように設定されている。ここで、進入検知面Pに直交する方向を、通過方向Yとし、通過方向Yの一方側を通過方向第1側Y1、他方側を通過方向第2側Y2とする。また、通過方向Yに直交し、進入検知面Pに平行な方向の1つを幅方向Xとする。本実施形態では、通過方向Yに直交する各方向のうち、水平面に沿う方向を幅方向Xとしている。
【0014】
本実施形態では、進入検知センサ5は、ライトカーテンと称される光学式のセンサである。進入検知センサ5は、一列に複数の投光素子が配置された投光器51(
図3等参照)と、投光素子と同じ数の受光素子が一列に配置された受光器52(
図3参照)とが幅方向Xにおいて対向して配置されて構成されている。投光器51から受光器52に照射される光によって進入検知面Pが形成される。物体Bが、投光器51から受光器52に照射される光を遮った場合に、進入検知センサ5は、進入検知面Pに物体Bの一部が存在することを検知する。
【0015】
図2及び
図3に示すように、ミューティングセンサ3は、第1ユニット1と第2ユニット2とを有している。第1ユニット1は、進入検知面Pに対して通過方向第1側Y1において、幅方向Xに離間して対向配置された一対の第1センサS1(S1a,S1b)を備えている。また、第2ユニット2は、進入検知面Pに対して通過方向第2側Y2において、幅方向Xに離間して対向配置された一対の第2センサS2(S2a,S2b)を備えている。
図1及び
図3に示すように、一対の第1センサS1(S1a,S1b)のそれぞれは、予め規定された第1検知範囲K1内に物体Bが存在するか否かを検知する。同様に、一対の第2センサS2(S2a,S2b)のそれぞれは、予め規定された第2検知範囲K2内に物体Bが存在するか否かを検知する。
【0016】
図1及び
図3に示すように、第1検知範囲K1は、一対の第1センサS1(S1a,S1b)のそれぞれから、幅方向Xにおける一対の第1センサS1(S1a,S1b)が互いに対向する方向に延びている。また、第1検知範囲K1は、一対の第1検知範囲K1が幅方向Xに互いに離間するように設定されている。同様に、第2検知範囲K2は、一対の第2センサS2(S2a,S2b)のそれぞれから、幅方向Xにおける一対の第2センサS2(S2a,S2b)が互いに対向する方向に延びている。また、第2検知範囲K2は、一対の第2検知範囲K2が幅方向Xに互いに離間するように設定されている。
【0017】
ミューティングセンサ3は、設定距離の範囲内における物体の有無を検知するセンサによって構成されている。第1ユニット1は、一対の第1センサS1(S1a,S2b)のそれぞれから、幅方向Xにおいて対向する方向における第1検知範囲K1内に、物体Bが存在するか否かを検出する。或いは、第1ユニット1は、物体Bが第1検知範囲K1内に存在する場合に、一対の第1センサS1(S1a,S2b)のそれぞれから物体Bまでの距離を検知する距離センサによって構成されていても良い。第2ユニット2についても同様である。本実施形態では、このようなミューティングセンサ3として、超音波式のセンサが用いられる。進入検知センサ5は、上述したように光学式のセンサである。進入検知センサ5の検知原理とミューティングセンサ3の検知原理とをそれぞれ異ならせることによって、両者の干渉等をなくし、検知精度の低下や誤検知が抑制される。
【0018】
ここで、
図6に示すように、一対の第1センサS1(S1a,S1b)の双方が物体Bを検知している状態、つまり、第1ユニット1が物体Bを検知している状態を、第1検知状態ST1と称する。また、一対の第2センサS2(S2a,S2b)の双方が物体Bを検知している状態、つまり、第2ユニット2が物体Bを検知している状態を、第2検知状態ST2と称する。また、進入検知センサ5が、物体Bを検知している状態を、進入検知状態STWと称する。
【0019】
制御部7は、第1検知状態ST1及び第2検知状態ST2の少なくとも一方が成立している場合に、進入検知センサ5を無効化する。ここで、無効化とは、進入検知センサ5が物体Bの検知を行わないように、例えば進入検知状態STWとならないように、進入検知センサ5が制御される形態であってもよいし、進入検知センサ5が物体Bの検知を行い、進入検知状態STWとなっても制御部7や管理領域制御部9(
図3参照)が、その検知状態を無視する形態であってもよい。
【0020】
例えば、
図6に示すように、時刻t1において第1ユニット1が物体Bを検知すると第1検知状態ST1となり、制御部7は、進入検知センサ5を無効化する。その後、時刻t2において進入検知センサ5が物体Bを検知して進入検知状態STWとなっても、第1検知状態ST1が成立しているため、進入検知センサ5は無効化されている。その後の時刻t3では、第2ユニット2も物体Bを検知し、第2検知状態ST2となる。時刻t4において、物体Bが第1センサS1を通り過ぎ、第1検知状態ST1が解消されるが、第2検知状態ST2が成立しているため、進入検知センサ5の無効化は継続される。
【0021】
時刻t5では、物体Bが進入検知面Pを通り過ぎ、進入検知状態STWも解消される。その後の時刻t6において、物体Bが第2センサS2も通り過ぎ、第2検知状態ST2も解消されると、進入検知センサ5が有効化される。この場合、第1検知状態ST1及び第2検知状態ST2の少なくとも一方が成立している時刻t1~時刻t6の間がミュート期間M(第1ミュート期間M1)となり、進入検知センサ5が無効化される。尚、物体Bが進入検知面Pを通り過ぎる間の間、途切れることなく無効化が継続されるように、時刻t3~時刻t4のように、第1検知状態ST1と第2検知状態ST2が重複する期間があることが好ましい。
【0022】
尚、進入検知センサ5が物体Bを検知しなくなった後、つまり時刻t5以降は、進入検知センサ5が無効化されなくても、物体Bは検知されない。時刻t5から時刻t6までの時間が長いと、管理領域E2への進入が許容される対象物体TB(
図4等参照)を追って、進入が制限されるべき物体B(例えば人)が進入できる可能性がある。本実施形態では、通過方向Yにおける第1検知範囲K1の位置と進入検知面Pとの間の離間距離である第1通過方向離間距離F1(
図5参照)と、通過方向Yにおける第2検知範囲K2の位置と進入検知面Pとの間の離間距離である第2通過方向離間距離F2(
図5参照)とを、容易に異ならせることができる。
【0023】
例えば、第1通過方向離間距離F1は、対象物体TBが検知されてから進入検知センサ5を無効化するまでに十分な時間を確保できるような長さに設定されると好適である。具体的には、第1センサS1による検知に要する時間及び検知から無効化までに要する時間の和と、対象物体TBとしての物品搬送車の移動速度とに基づいて、通過方向Yにおける第1検知範囲K1の位置が設定されると好適である。第2通過方向離間距離F2は、進入検知センサ5及び第2センサS2の感度に基づき、第2センサS2が最も早く対象物体TBを検知しなくなる時点において、進入検知センサ5が対象物体TBを検知していないように、設定されていると好適である。当然ながら、第1通過方向離間距離F1と第2通過方向離間距離F2とが同じであることを妨げるものではない。
【0024】
また、第1検知状態ST1及び第2検知状態ST2の少なくとも一方が成立している場合に、進入検知センサ5が無効化されるように、第1ユニット1(第1センサS1)と第2ユニット2(第2センサS2)との通過方向Yに沿った離間距離であるユニット間離間距離Fは、対象物体TBの通過方向Yに沿った長さよりも短く設定されている。
【0025】
このように、本実施形態では、進入検知面Pに対する通過方向第1側Y1及び通過方向第2側Y2の双方に、ミューティングセンサ3が設置されている。従って、進入検知面Pに近づく物体Bを、一方側のミューティングセンサ3(第1ユニット1)によって物体Bが進入検知面Pに到達するよりも前に検知することができる。また、物体Bの全てが第1ユニット1の検知範囲を通過した後、少なくとも物体Bの一部が未だ進入検知面Pに存在している状態では、他方側のミューティングセンサ3(第2ユニット2)によって物体Bを検知するようにしている。従って、物体Bが、進入検知面Pの通過を許容される対象物体TBの場合には、進入検知センサ5を適切に無効化することができ、対象物体TBは進入検知面Pを通過することができる。
【0026】
また、第1ユニット1及び第2ユニット2は、それぞれ検知範囲が進入検知面Pに平行となるように配置されている。従って、上述したように、ミューティングセンサ3による検知位置と進入検知センサ5による検知位置との、通過方向Yに沿った位置関係を適切に設定し易い。これにより、ミューティングセンサによって、進入が許容される対象物体TBが検知されてから進入検知センサ5が無効化されるまでに十分な時間を確保でき、また、進入検知センサ5の無効化を終了するまでの時間を適切に設定できる。
【0027】
尚、ミューティングセンサ3による検知は、進入検知面Pの通過を許容する物体Bである対象物体TBは検知する一方で、人などの通過を制限する物体Bは検知しない必要がある。従って、一対の第1検知範囲K1同士の幅方向Xの離間距離(幅方向離間距離D)である第1離間距離D1(
図3参照)、及び、一対の第2検知範囲K2同士の幅方向Xの離間距離(幅方向離間距離D)である第2離間距離D2(
図3参照)は、適切に設定される必要がある。第1ユニット1及び第2ユニット2の対象物体TBは同一であるから、第1離間距離D1及び第2離間距離D2は同一の値であってよい。例えば、第1離間距離D1及び第2離間距離D2は、進入検知面Pの通過が許容される対象物体TBの幅方向Xに沿った長さである対象物体幅Hに基づいて設定されていると好適である。尚、対象物体幅Hは、物品搬送車の幅に限定されるものではない。搬送される物品が物品搬送車の幅を超え、幅方向Xに物品がはみ出した状態で搬送されるような場合には、搬送対象の物品の幅を対象物体幅Hとしても良い。
【0028】
ところで、物品搬送車等が経路Rを走行する際には、誤差が生じる場合がある。特に、幅方向Xに位置ずれが生じる場合がある。従って、
図4に示すように、第1離間距離D1及び第2離間距離D2は、対象物体TBが通過方向Yに沿って移動する場合に幅方向Xにおいて位置ずれが許容される範囲である許容ずれ幅Gに基づいて設定されていると好適である。
【0029】
例えば、対象物体TBが幅方向Xにおける一方側である幅方向第1側X1に第1許容ずれ幅G1ずれた場合には、一対の第1センサS1(第2センサS2も同様)の内の一方側のセンサS1b(第2センサS2の“S2b”も同様)の検知範囲を、幅方向第1側X1に“G1”だけ延長する必要がある。同様に、対象物体TBが幅方向Xにおける他方側である幅方向第2側X2に第2許容ずれ幅G2ずれた場合には、一対の第1センサS1(第2センサS2も同様)の内の他方側のセンサS1a(第2センサS2の“S2a”も同様)の検知範囲を、幅方向第2側X2に“G2”だけ延長する必要がある。つまり、検知範囲Kは、一対の第1センサS1(第2センサS2も同様)が対向する方向に向かって、第1許容ずれ幅G1と第2許容ずれ幅G2との和である許容ずれ幅Gだけ、延長される。従って、第1離間距離D1及び第2離間距離D2は、さらに、許容ずれ幅Gにも基づいて設定されると好適である。
【0030】
即ち、幅方向離間距離D(第1離間距離D1及び第2離間距離D2)は、対象物体幅H及び許容ずれ幅Gに基づいて設定される。具体的には、
図4に示すように、幅方向離間距離D(第1離間距離D1及び第2離間距離D2)は、対象物体幅Hから許容ずれ幅Gを差し引いた値に対応する長さに設定されている。尚、対象物体幅Hにも誤差があるため、この場合の対象物体幅Hは、許容誤差の範囲で最小となる値であると好適である。或いは、対象物体幅Hの標準値に対して、マイナス側の最大公差を“α”として、幅方向離間距離Dは、対象物体幅Hから許容ずれ幅G及び最大マイナス公差“α”を差し引いた長さに設定されていると好適である。
【0031】
ところで、
図5に示すように、第1ユニット1(第1センサS1)と第2ユニット2(第2センサS2)との通過方向Yに沿った離間距離であるユニット間離間距離Fは、
図5に示すように、対象物体TBの通過方向Yに沿った長さよりも短く設定されている。これは、上述したように、対象物体TBが進入検知面Pを通過する間、第1検知状態ST1及び第2検知状態ST2の少なくとも一方が成立している状態として、進入検知センサ5が無効化されるようにするためである。一方、進入を制限すべき物体Bは、この条件を満たさないことが好ましい。多くの場合、人などの制限されるべき物体Bは、一対の第1センサS1の検知範囲Kにおいて同時に検知されることや、一対の第2センサS2の検知範囲Kにおいて同時に検知されることは、ほぼ無いと考えられるが、さらに、第1ユニット1と第2ユニット2とで同時に検知されないようになっていることが好ましい。例えば、第1ユニット1と第2ユニット2との通過方向Yに沿った離間距離であるユニット間離間距離Fは、人の体の前後方向の厚みよりも大きく設定されている。これにより、人が進入検知面Pを通過する際に、第1ユニット1と第2ユニット2とのいずれにも検知されない状態となる期間が生じることになるため、進入検知センサ5によって人の進入を検知することができる可能性を高めることができる。
【0032】
以下、
図7のフローチャートも参照して説明する。制御部7は、まず、無効化条件を満たすか否かを判定する(#1)。ここでは、
図6等を参照して上述したように、一対の第1センサS1(S1a,S1b)の双方が物体Bを検知している第1検知状態ST1であるか否かが判定される。制御部7は、第1検知状態ST1であると判定すると、進入検知センサ5を無効化すると共にタイマーをスタートさせる(#2)。この無効化は、上述したように、進入検知センサ5の機能を停止させても良いし、進入検知センサ5による検知結果を制御部7が無視するものであってもよい。また、進入検知センサ5の検知結果が、直接、管理領域制御部9に伝達される場合には、管理領域制御部9において無視されるように、制御部7から管理領域制御部9に無効化を示す情報を伝達してもよい。
【0033】
尚、タイマーは、無効化が所定時間以上継続した場合に、安全性を考慮してタイムアウトにより再度、進入検知センサ5を有効化するためにセットされている。例えば、物品搬送車が、ミューティングセンサ3に検知される位置において故障等に停止してしまったような場合、進入検知面Pにおける検知が無効化された状態が継続することとなる。この時、物品搬送車が、進入検知センサ5に検知される位置において停止していた場合には、物品搬送車によって管理領域E2への進入も妨げられるため、人が一般領域E1から管理領域E2へ進入することは困難である。しかし、物品搬送車が、進入検知センサ5に検知される位置よりも手前において停止していた場合には、進入口が開放状態のため、人が、一般領域E1から管理領域E2へ比較的容易に進入できる可能性がある。管理領域E2においては、自動移載機や自動工作機が稼働している可能性も高いから、このような場合には、進入検知センサ5が有効化されることが好ましい。
【0034】
制御部7は、進入検知センサ5を無効化すると、再度、無効化条件を満たしているか否かを判定する(#3)。つまり、一対の第1センサS1(S1a,S1b)の双方が物体Bを検知している第1検知状態ST1、及び、一対の第2センサS2(S2a,S2b)の双方が物体Bを検知している第2検知状態ST2、の少なくとも一方が成立しているか否かを判定する。第1検知状態ST1及び第2検知状態ST2の何れか一方が成立しており、タイマーがタイムアップしていない場合(#4)には、無効化が継続される(
図6の時刻t1~t6)。第1検知状態ST1及び第2検知状態ST2の双方が成立しなくなった場合(
図6の時刻t6以降)、或いは、タイマーがタイムアップした場合(#4)には、無効化が終了され、再度、進入検知センサ5が有効化される(#5)。
【0035】
以上、説明したように、本実施形態によれば、予め規定された領域(管理領域E2)に進入する物体Bを検知する進入検知システム10において、進入が許容される物体B(対象物体TB)の検知を適切に無効化することができる。
【0036】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0037】
(1)上記においては、進入検知センサ5が光学式のセンサであり、ミューティングセンサ3が超音波式のセンサである形態を例示した。しかし、進入検知センサ5が超音波式のセンサであり、ミューティングセンサ3が光学式のセンサである形態を妨げるものではない。また、進入検知センサ5とミューティングセンサ3の検知原理が異なっていれば、光学式及び超音波式以外の検知原理によるセンサが用いられていてもよい。
【0038】
(2)上記においては、進入検知センサ5とミューティングセンサ3の検知原理が異なっている形態を例示した。しかし、進入検知センサ5とミューティングセンサ3の検知原理が同じであることを妨げるものではない。例えば、進入検知センサ5が光学式のライトカーテンであり、ミューティングセンサ3も光学式の距離センサであってもよい。
【0039】
(3)上記においては、第1ユニット1と第2ユニット2との通過方向Yに沿ったユニット間離間距離Fが、進入を制限されるべき物体である人の体の前後方向の厚みよりも大きい形態を例示した。しかし、人の場合には、一対の第1センサの双方により同時に検知されたり、一対の第2センサの双方により同時に検知されたりする可能性は低いと考えられる。従って、効率等を優先して、ユニット間離間距離Fが人の体の前後方向の厚み以下に設定されることを妨げるものではない。
【0040】
(4)上記においては、経路Rが水平面に沿って形成されており、進入検知面Pが垂直方向Zに沿って設定されている形態を例示した(
図1参照)。しかし、物品搬送車は水平方向に移動する形態に限らず、垂直方向に移動する形態であってもよく、その場合には、進入検知面Pが水平面に沿って設定されていてもよい。その場合において、通過方向Yに直交する各方向のうち任意の方向を幅方向Xとすることができる。
【0041】
(5)上記においては、
図6に示す第1ミュート期間M1のように、第1検知状態ST1、及び、第2検知状態ST2の少なくとも一方が成立している場合に、進入検知センサ5を無効化する第1ミュート期間M1が設定される形態を例示して説明した。しかし、進入検知センサ5が物体Bを検知しなくなった後、つまり時刻t5以降は、進入検知センサ5が無効化されなくても、物体Bは検知されない。従って、時刻t5においてミュート期間Mが終了する形態であってもよい(第2ミュート期間M2)。この場合、制御部7は、第1検知状態、及び、進入検知状態STW且つ第2検知状態である状態、の少なくとも一方が成立する場合に、進入検知センサ5を無効化する。
【0042】
第1ミュート期間M1における判定では、ミューティングセンサ3のみによってミューティングの要否が判定されるのに対して、この場合には、ミューティングセンサ3(第1ユニット1、第2ユニット2)、及び進入検知センサ5の双方の検知結果に基づいてミューティングの要否が判定されるため、システム構成は少し複雑化する。また、無効化が進入検知センサ5による検知機能自体を無効化する場合には、第2ミュート期間M2は採用できない。しかし、第2ミュート期間M2を採用する場合には、ミューティングが不要になった時点において速やかに進入検知センサ5を有効化することができる。
【0043】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した進入検知システムの概要について簡単に説明する。
【0044】
予め規定された領域に進入する物体を検知する進入検知システムは、1つの好適な態様として、規定範囲の平面状に設定された進入検知面に前記物体の一部が存在するか否かを検知する進入検知センサと、前記進入検知センサによる前記物体の検出を無効化するために、前記物体を検知するセンサであって、第1ユニットと第2ユニットとを有するミューティングセンサと、前記ミューティングセンサの検知結果に基づいて、前記進入検知センサの作動を制御する制御部と、を備え、前記進入検知面に直交する方向を、通過方向とし、前記通過方向の一方側を通過方向第1側、他方側を通過方向第2側として、前記第1ユニットは、前記進入検知面に対して前記通過方向第1側において前記進入検知面に平行な方向である幅方向に離間して対向配置された一対の第1センサを備え、一対の前記第1センサのそれぞれは、予め規定された第1検知範囲内に前記物体が存在するか否かを検知し、前記第1検知範囲は、一対の前記第1センサのそれぞれから、前記幅方向における一対の前記第1センサが互いに対向する方向に延びていると共に、一対の前記第1検知範囲が前記幅方向に互いに離間するように設定され、前記第2ユニットは、前記進入検知面に対して前記通過方向第2側において前記幅方向に離間して対向配置された一対の第2センサを備え、一対の前記第2センサのそれぞれは、予め規定された第2検知範囲内に前記物体が存在するか否かを検知し、前記第2検知範囲は、一対の前記第2センサのそれぞれから、前記幅方向における一対の前記第2センサが互いに対向する方向に延びていると共に、一対の前記第2検知範囲が前記幅方向に互いに離間するように設定され、前記制御部は、一対の前記第1センサの双方が前記物体を検知している第1検知状態、及び、一対の前記第2センサの双方が前記物体を検知している第2検知状態の少なくとも一方が成立している場合に、前記進入検知センサを無効化する。
【0045】
この構成によれば、進入検知面に対する通過方向第1側及び通過方向第2側の双方において、物体を検知可能なミューティングセンサが設置されている。従って、通過方向に沿って進入検知面に近づく物体を、通過方向第1側及び通過方向第2側の一方側のミューティングセンサによって物体が進入検知面に到達するよりも前に検知することができる。また、物体の全てが当該一方側のミューティングセンサの検知範囲を通過した後に、物体の一部が未だ進入検知面に存在している場合には、他方側のミューティングセンサによって物体を検知することができる。従って、検知された物体が、進入検知面の通過を許容される物体の場合には、当該物体が進入検知面に達する前に進入検知センサを速やかに無効化することができると共に、当該物体が進入検知面を通り過ぎるまでの間、適切に無効化を継続させることができる。また、本構成によれば、ミューティングセンサを構成する第1センサが進入検知面に対して通過方向第1側に配置され、第2センサが進入検知面に対して通過方向第2側に配置されている。つまり、第1センサの検知範囲と第2センサの検知範囲とが交差しておらず、それぞれ進入検知面に平行するように設定されている。従って、比較的小さい設置スペースであっても、ミューティングセンサによる検知位置と進入検知センサによる検知位置との、通過方向に沿った位置関係を適切に設定し易い。また、一対の第1検知範囲が幅方向に互いに離間するように設定され、一対の第2検知範囲が幅方向に互いに離間するように設定されて、一対の第1センサの双方が物体を検知し、或いは、一対の第2センサの双方が物体を検知しなければ、進入検知センサが無効化されない。よって、一対の第1検知範囲の双方に入らない物体、及び、一対の第2検知範囲の双方に入らない物体に対しては、進入検知センサを有効にすることができる。従って、進入が許容されていない物体が通過すること進入検知センサにより適切に検知することができる。このように、本構成によれば、予め規定された領域に進入する物体を検知する進入検知システムにおいて、進入が許容される物体の検知を適切に無効化することができる技術を提供することができる。
【0046】
また、一対の前記第1検知範囲同士の前記幅方向の離間距離である第1離間距離、及び、一対の前記第2検知範囲同士の前記幅方向の離間距離である第2離間距離は、前記進入検知面の通過が許容される対象物体の前記幅方向に沿った長さである対象物体幅、及び、前記対象物体が前記通過方向に沿って移動する場合に前記幅方向において位置ずれが許容される範囲である許容ずれ幅に基づいて設定されていると好適である。
【0047】
この構成によれば、対象物体の幅方向に沿った長さ及び対象物体の移動中の幅方向の位置ずれを考慮して、第1離間距離及び第2離間距離を適切に設定することができる。従って、ミューティングセンサによって、適切に対象物体を検知することができる。
【0048】
また、前記第1離間距離及び前記第2離間距離は、前記対象物体幅から前記許容ずれ幅を差し引いた値に対応する長さに設定されていると好適である。
【0049】
この構成によれば、対象物体、及び対象物体が許容ずれ幅の範囲内で幅方向に位置ずれした場合であっても、一対の第1検知範囲の双方に対象物体が入り、一対の第2検知範囲の双方に対象物体が入るため、対象物体の幅方向の位置ずれにかかわらず、ミューティングセンサによって適切に対象物体を検知することができる。
【0050】
また、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの前記通過方向に沿った離間距離は、人の体の前後方向の厚みよりも大きいと好適である
【0051】
このような進入検知面において通過を制限される対象は、人である場合がある。多くの場合、進入検知面の通過を許容される物品の通過方向に沿った長さは、人の体の前後方向の厚みよりも大きい。そのため、第1ユニットと第2ユニットとのいずれか一方が物体を検知している場合に、進入検知センサを無効化することで、通過を許容される物体が適切に通過できるように進入検知センサの作動が制御される。そして、第1ユニットと第2ユニットとが、通過方向に沿って人の体の前後方向の厚みよりも離間していることにより、人が進入検知面を通過する際に、第1ユニットと第2ユニットとのいずれにも検知されない状態となる期間が生じることになるため、進入検知センサによって人の進入を検知することができる可能性を高めることができる。
【0052】
また、前記進入検知センサと、前記ミューティングセンサとは、異なる検知原理により前記物体を検知するセンサであると好適である。
【0053】
例えば、進入検知センサとミューティングセンサとが、共に光学式のセンサであるような場合には、進入検知面の通過が許容される物体、例えば物品搬送車の表面やネジなどの締結部材によって反射(乱反射を含む)した光などにより、ミューティングセンサの検知精度が低下したり、誤検知が生じたりする場合がある。また、例えば物品搬送車が無人搬送車の場合には、作業者や他の物体との接触や衝突を防止するために、光学式の障害物センサが搭載されていることも多い。このような障害物センサから投光される光がミューティングセンサに入光することで、検知精度が低下する可能性もある。また、進入検知センサとミューティングセンサとが、共に超音波式のセンサであるような場合にも、干渉等により同様に検知精度が低下したり、誤検知が生じたりする可能性がある。本構成のように、進入検知センサの検知原理と、ミューティングセンサの検知原理とが異なると、上述したような精度の低下や誤検知が抑制される。
【0054】
また、前記進入検知センサは、光学式のセンサであり、前記ミューティングセンサは、超音波式のセンサであると好適である。
【0055】
光学式のセンサは、厚みが薄い面状の検知範囲を設定し易い。一方、超音波式のセンサは、検知範囲の広がりが光学式のセンサよりも大きくなる傾向があるため、ある程度の広がりを有した範囲で物体の有無を検知することができる。そのため、超音波式のセンサは、進入検知面の通過が許容される物体の存否を検知する場合に物体の形状による影響を受けにくい。そのため、ミューティングセンサの検知遅れによって進入を許容すべき物品を誤って進入検知センサによって検出してしまうことを抑制できる。従って、進入検知センサが光学式のセンサであり、ミューティングセンサが超音波式のセンサであると、進入検知センサの作動を適切に制御しつつ、進入検知面において物体を適切に検知することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 :第1ユニット
2 :第2ユニット
3 :ミューティングセンサ
5 :進入検知センサ
7 :制御部
10 :進入検知システム
B :物体
D :幅方向離間距離(幅方向の離間距離)
D1 :第1離間距離
D2 :第2離間距離
E2 :管理領域(予め規定された領域)
F :ユニット間離間距離(通過方向に沿った離間距離)
G :許容ずれ幅
H :対象物体幅
K :検知範囲
K1 :第1検知範囲
K2 :第2検知範囲
P :進入検知面
S1 :第1センサ
S2 :第2センサ
ST1 :第1検知状態
ST2 :第2検知状態
TB :対象物体
X :幅方向
Y :通過方向
Y1 :通過方向第1側
Y2 :通過方向第2側