(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】診療科選択支援用の学習モデルの更新方法、診療科選択支援システム、および、診療科選択支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20230511BHJP
G16H 10/20 20180101ALI20230511BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H10/20
(21)【出願番号】P 2021542000
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 JP2020018678
(87)【国際公開番号】W WO2021038969
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2019154575
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中矢 知宏
(72)【発明者】
【氏名】能登原 大介
(72)【発明者】
【氏名】服部 充宏
(72)【発明者】
【氏名】本郷 寛章
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼本 智則
(72)【発明者】
【氏名】西野 和義
(72)【発明者】
【氏名】高畑 太朗
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0046773(US,A1)
【文献】特開2018-67137(JP,A)
【文献】特開2016-24600(JP,A)
【文献】特開2014-98946(JP,A)
【文献】特開2017-68479(JP,A)
【文献】特開2011-128855(JP,A)
【文献】特開2019-87196(JP,A)
【文献】特開平11-338920(JP,A)
【文献】特開2016-177461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 50/20
G16H 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得するステップと、
前記問診回答
を入力教師データとし、
前記問診回答に基づいて前記患者が受診すべき診療科を示す診療科情報
を出力教師データとするデータセットにより機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された前記問診回答に対応する前記診療科情報を推定するステップと、
前記診療科情報を推定するステップの後に、前記患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得するステップと、
前記取得された問診回答
を入力教師データとし、
前記取得された問診回答に基づく前記診療科選択結果情報
における診療科を示す情報を出力教師データとするデータセットにより再度機械学習
し、取得された前記問診回答に対して、前記診療科選択結果情報における診療科を示す情報が推定されるように、前記学習モデルを更新するステップと、を備える、診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項2】
前記診療科選択結果情報を取得するステップは、前記患者に対して実際に診察が行われた診療科の情報を前記診療科選択結果情報として取得するステップである、請求項1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項3】
前記診療科選択結果情報を取得するステップは、前記診療科選択結果情報を医療機関に配置された医療機関端末により取得するステップである、請求項1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項4】
前記診療科選択結果情報を取得するステップは、前記医療機関端末とは別個に設けられた医師が診察の際に用いる端末である診察端末に含まれる電子カルテシステムに対して、前記患者についての診察結果と診療科とを含む情報である診察情報が入力されたことに基づいて、前記診療科選択結果情報を取得するステップである、請求項3に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項5】
前記学習モデルを更新するステップは、前記医療機関端末によって複数の前記診療科選択結果情報を取得した後に、取得された前記複数の診療科選択結果情報によって前記学習モデルを更新するステップである、請求項3に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項6】
携帯情報端末によって前記問診回答を受け付けるステップをさらに備え、
前記問診回答を取得するステップは、前記携帯情報端末によって受け付けた前記問診回答を前記医療機関端末によって取得するステップであり、
前記学習モデルを更新するステップは、前記携帯情報端末によって受け付けた前記問診回答
を入力教師データとし、
前記受け付けた問診回答に基づく前記診療科選択結果情報
における診療科を示す情報を出力教師データとするデータセットにより再度機械学習
し、取得された前記問診回答に対して、前記診療科選択結果情報における診療科を示す情報が推定されるように、前記学習モデルを更新するステップである、請求項3に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項7】
前記学習モデルを更新するステップは、所定の期間ごとに前記学習モデルを更新するステップである、請求項1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項8】
前記学習モデルを更新するステップは、複数の医療機関のうちの前記患者が受診する医療機関の診療科の選択に対応するように生成された前記学習モデルを更新するステップである、請求項1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【請求項9】
患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得する問診回答取得部と、
前記問診回答
を入力教師データとし、
前記問診回答に基づいて前記患者が受診すべき診療科を示す診療科情報
を出力教師データとするデータセットにより機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された前記問診回答に対応する前記診療科情報を推定する診療科情報推定部と、
前記患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得する診療科選択結果情報取得部と、
前記取得された問診回答
を入力教師データとし、
前記取得された問診回答に基づく前記診療科選択結果情報
における診療科を示す情報を出力教師データとするデータセットにより再度機械学習
し、取得された前記問診回答に対して、前記診療科選択結果情報における診療科を示す情報が推定されるように、前記学習モデルを更新する学習モデル更新部と、を備える、診療科選択支援システム。
【請求項10】
患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得する制御と、
前記問診回答を
入力教師データとし、
前記問診回答に基づいて前記患者が受診すべき診療科を示す診療科情報
を出力教師データとするデータセットにより機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された前記問診回答に対応する前記診療科情報を推定する制御と、
前記患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得する制御と、
前記取得された問診回答
を入力教師データとし、
前記取得された問診回答に基づく前記診療科選択結果情報
における診療科を示す情報を出力教師データとするデータセットにより再度機械学習
し、取得された前記問診回答に対して、前記診療科選択結果情報における診療科を示す情報が推定されるように、前記学習モデルを更新する制御と、をコンピュータに実行させる、診療科選択支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療科選択支援用の学習モデルの更新方法、診療科選択支援システム、および、診療科選択支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、問診に対する回答に関する入力情報を受け付ける診断支援方法が知られている。このような診断支援方法は、たとえば、特開2019―101491号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2019―101491号公報には、問診に対する回答に関する入力情報をユーザ端末により受け付ける診断支援方法が開示されている。この診断支援方法では、複数の問診項目の表示情報がユーザ端末に表示される。そして、ユーザ端末に対して、問診に対する回答が入力される。その後、ユーザ端末から診療支援装置に、問診に対する回答の情報である回答情報が送信される。そして、診療支援装置において、回答情報がカルテ情報として登録される。また、診療支援装置において、診断テーブルが参照され、回答情報に対応する疑いのある病名と受診すべき診療科とが推定される。そして、ユーザ端末により疑いのある病名の情報と受診すべき診療科の情報とが取得されるとともに、ユーザ端末に、疑いのある病名と受診すべき診療科とが、表示情報として出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特開2019―101491号公報に記載されている診断支援方法では、問診に対する回答の情報である回答情報に対して、推定された診療科が誤った診療科である場合が考えられる。その場合、医師は、正しい診療科を選択し直して、患者に対して正しい診療科を案内する。しかしながら、上記特開2019―101491号公報に記載の診断支援方法では、診断テーブルに基づいて回答情報に対応する受診すべき診療科が推定されるため、同一の内容の回答情報に対して推定される診療科は、同一の診療科となる。そのため、ある内容の回答情報に対して推定された診療科が誤った診療科である場合、同一の内容の回答情報に対して常に誤った診療科を推定することとなる。その場合、医師は、ある内容の回答情報に対して、毎回、正しい診療科を選択し直して、患者に対して正しい診療科を案内する作業が必要になる。このため、上記特開2019―101491号公報に記載の診断支援方法では、回答情報に基づく診療科の推定の精度を向上させることができないことによって、医師が正しい診療科を案内する作業が軽減されない場合があると考えられる。なお、本願明細書では、「医師」とは医師および歯科医師などを含む医療従事者を意味する。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、医師が正しい診療科を案内する作業の作業負担を軽減することが可能な診療科選択支援用の学習モデルの更新方法、診療科選択支援システム、および、診療科選択支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における診療科選択支援用の学習モデルの更新方法は、患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得するステップと、問診回答を入力教師データとし、問診回答に基づいて患者が受診すべき診療科を示す診療科情報を出力教師データとするデータセットにより機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された問診回答に対応する診療科情報を推定するステップと、診療科情報を推定するステップの後に、患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得するステップと、取得された問診回答を入力教師データとし、診療科選択結果情報における診療科を示す情報を出力教師データとするデータセットにより再度機械学習し、取得された問診回答に対して、診療科選択結果情報における診療科を示す情報が推定されるように、学習モデルを更新するステップと、を備える。
【0008】
この発明の第2の局面における、診療科選択支援システムは、患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得する問診回答取得部と、問診回答を入力教師データとし、問診回答に基づいて患者が受診すべき診療科を示す診療科情報を出力教師データとするデータセットにより機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された問診回答に対応する診療科情報を推定する診療科情報推定部と、患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得する診療科選択結果情報取得部と、取得された問診回答を入力教師データとし、取得された問診回答に基づく診療科選択結果情報における診療科を示す情報を出力教師データとするデータセットにより再度機械学習し、取得された問診回答に対して、診療科選択結果情報における診療科を示す情報が推定されるように、学習モデルを更新する学習モデル更新部と、を備える。
【0009】
この発明の第3の局面における、診療科選択支援プログラムは、患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得する制御と、問診回答を入力教師データとし、問診回答に基づいて患者が受診すべき診療科を示す診療科情報を出力教師データとするデータセットにより機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された問診回答に対応する診療科情報を推定する制御と、患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得する制御と、取得された問診回答を入力教師データとし、取得された問診回答に基づく診療科選択結果情報における診療科を示す情報を出力教師データとするデータセットにより再度機械学習し、取得された問診回答に対して、診療科選択結果情報における診療科を示す情報が推定されるように、学習モデルを更新する制御と、をコンピュータに実行させる。
【0010】
なお、「患者に対して診察が行われる診療科」とは、患者に対して診察が行われる予定の診療科と、実際に患者に対して診察が行われた診療科と、の両方を意味する。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の局面における学習モデルの更新方法、上記第2の局面における診療科選択支援システム、および、上記第3の局面における診療科選択支援プログラムでは、取得された問診回答と、診療科選択結果情報とを対応付けて再度機械学習することにより、学習モデルを更新する。これにより、問診回答に基づいて推定された診療科が誤っていた場合にも、医師によって選択された適切な診療科に基づいて、学習モデルを更新することができる。したがって、学習モデルが更新されることによって、診療科の推定の精度を向上させることができるので、誤った診療科の推定をする機会を減少させることができる。その結果、医師による誤った診療科の修正を行う機会が減少するため、医師が正しい診療科を案内する作業の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態による診療科選択支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による診療科選択支援システムとネットワークとの関係を説明するための図である。
【
図3】一実施形態による電子カルテ装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態による電子カルテ装置の表示部に表示された電子カルテ情報について説明するための図である。
【
図5】一実施形態による問診端末の構成を示すブロック図である。
【
図6】一実施形態による問診に対する回答を受け付けるための画像を説明するための図である。
【
図7】一実施形態による病院端末の構成を示すブロック図である。
【
図8】一実施形態による病院端末の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【
図9】一実施形態による受診する診療科の推定を説明するための図である。
【
図10】一実施形態による診療科候補情報の表示について説明するための図である。
【
図11】一実施形態による診察情報および問診回答を含む電子カルテ情報の表示について説明するための図である。
【
図12】一実施形態による診察端末の構成を示すブロック図である。
【
図13】一実施形態による学習モデル生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図14】一実施形態による学習モデル生成装置の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【
図15】一実施形態による学習モデル生成装置による学習モデルの生成について説明するための図である。
【
図16】一実施形態による学習モデル生成装置による学習モデルの更新について説明するための図である。
【
図17】学習モデルの更新方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
[診療科選択支援システムの構成]
図1~
図16を参照して、本実施形態による診療科選択支援システム100について説明する。
【0015】
(診療科選択支援システムの全体構成)
図1に示すように、本実施形態における診療科選択支援システム100は、複数の診療科を備える医療機関(たとえば、病院)において、患者Pに対する問診Qの回答に基づいて患者Pが診察を受けるべき診療科を推定することによって、医師および看護師などの医療従事者による診察および作業と、受付員(事務員)による作業とを支援するためのシステムである。
【0016】
診療科選択支援システム100は、電子カルテ装置10と、問診端末20と、病院端末30と、診察端末40と、問診サーバ50と、学習モデル生成装置60とを備える。電子カルテ装置10、複数の病院端末30、および、複数の診察端末40は、電子カルテシステムを構成する。電子カルテシステムは、医師等の医療従事者による診察情報Rおよび後述する問診回答Dqをデータベースとして一括して電子カルテ情報Dkとして電子的に保存・管理するためのシステムである。すなわち、電子カルテシステムは、医療従事者および医療機関の受付員の事務作業の効率化や、情報管理の一元化を図るためのシステムである。なお、問診端末20は、請求の範囲の「携帯情報端末」の一例である。また、病院端末30は、請求の範囲の「医療機関端末」の一例である。
【0017】
図2に示すように、複数の問診端末20と複数の病院端末30と問診サーバ50とは、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、たとえば、インターネットである。
【0018】
(電子カルテ装置の構成)
図3に示すように、電子カルテ装置10は、患者毎に生成された電子カルテ情報Dkを管理する装置である。電子カルテ装置10は、制御部11と、電子カルテサーバ12と、操作部13と、表示部14と、通信部15とを含む。
【0019】
制御部11は、電子カルテプログラム12a(以下、「プログラム12a」とする)を実行することにより、電子カルテ装置10の動作を制御するように構成されている。たとえば、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路およびRAM(Random Access Memory)等の記憶回路を含む。制御部11は、後述する電子カルテ入力情報Dkiが生成された場合、および、診察情報Rが入力された場合に、電子カルテ情報Dkを更新または生成する制御を行うように構成されている。
【0020】
電子カルテサーバ12は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体を含む。電子カルテサーバ12は、プログラム12aが記憶されている。そして、電子カルテサーバ12には、複数の患者Pの各々に対応した電子カルテ情報Dkが記憶されている。すなわち、電子カルテサーバ12には、電子カルテデータベースが構築されている。また、電子カルテサーバ12に対して、電子カルテ入力情報Dkiが入力される(記憶される)ことに応じて、電子カルテ情報Dkが更新される。
【0021】
操作部13は、医療従事者または医療機関の従業員(受付員)の入力操作を受け付けるように構成されている。具体的には、操作部13は、キーボード、マウス、および、タッチパネルの少なくとも一つにより構成されている。たとえば、操作部13は、医師により、診察情報Rを受け付けるように構成されている。
【0022】
表示部14は、
図4に示すように、操作部13に対する入力操作および制御部11による指令に基づいて、電子カルテ情報Dkを表示(出力)するように構成されている。たとえば、表示部14は、液晶ディスプレイを含む。電子カルテ情報Dkは、たとえば、患者ID、患者氏名、既往歴およびアレルギーなどの患者基本情報と、処置歴および処方歴の情報と、問診回答Dqと、診察情報Rとを含む。たとえば、制御部11は、患者基本情報を示す画像E1と、処置歴および処方歴の情報を示す画像E2と、問診回答Dqと診察情報Rとを示す画像E3と、を表示部14に表示させる制御を行うように構成されている。問診回答Dqは、後述する問診Qに対する回答を示す情報である。診察情報Rは、患者Pについての診察結果と診療科とを含む情報である。診察情報Rは、たとえば、医師による所見、臨床検査の結果、および、診察が行われた診療科を示す情報である診療科選択結果情報Saなどを含む。
【0023】
通信部15は、病院端末30および診察端末40と有線通信または無線通信するように構成されている。たとえば、通信部15は、病院端末30および診察端末40と有線LAN(Local Area Network)または無線LANにより通信可能に構成されている。そして、通信部15は、病院端末30および診察端末40と、電子カルテ入力情報Dkiおよび診察情報Rを送受信するように構成されている。
【0024】
電子カルテ入力情報Dki(および診察情報R)は、たとえば、文字(テキスト)形式のデータを含む。たとえば、電子カルテ入力情報Dkiおよび診察情報Rは、HL7(Health Level 7)に準拠した形式のデータである。
【0025】
(問診端末の構成)
図5に示すように、問診端末20は、電子カルテ装置10とは別個に設けられた携帯情報端末として構成されている。たとえば、問診端末20は、患者Pが所有する携帯情報端末である。具体的には、問診端末20は、スマートフォン(携帯電話装置)、タブレット型情報端末、または、ノートパソコンなどのコンピュータにより構成されている。そして、問診端末20は、制御部21と、タッチパネル22と、通信部23と、記憶部24とを含む。
【0026】
制御部21は、制御プログラムを実行することにより、問診端末20の動作を制御するように構成されている。たとえば、制御部21は、問診回答用アプリケーションプログラム24a(以下、「プログラム24a」という)を実行するように構成されている。また、制御部21は、CPU等の演算処理回路およびRAM等の記憶回路を含む。
【0027】
タッチパネル22は、患者Pによる入力操作を受け付けるとともに、制御部21による指令に応じて画像を表示するように構成されている。タッチパネル22は、受け付けた入力操作の情報を制御部21に伝達するように構成されている。
【0028】
通信部23は、ネットワークNを介して、無線通信するためのインターフェースとして構成されている。たとえば、通信部23は、Wi-FiまたはBlutooth(登録商標)によりネットワークNに接続するか、または、無線移動体通信技術(たとえば、IMT-Advanced:4G)によりネットワークNに接続するように構成されている。
【0029】
記憶部24は、HDDまたはSSD等の不揮発性の記憶媒体を含む。そして、記憶部24は、プログラム24aが記憶されている。
【0030】
〈問診端末の機能的構成〉
図6に示すように、問診端末20(タッチパネル22)は、問診Qに対する回答である問診回答Dqを受け付けるように構成されている。問診Qは、複数の診療科に共通する問診内容により構成されている。すなわち、問診Qは、総合的(基本的)な内容の問診である。また、問診Qは、患者Pが受診する診療科を決定するための問診である。たとえば、
図6では、問診Qとして、症状が現れている部位を問うための問診、症状の種類を問うための問診、および、症状が現れた時期を問うための問診を示している。
【0031】
詳細には、制御部21は、タッチパネル22に、問診Qに対する回答を受け付けるための画像E11を表示する。具体的には、画像E11には、図および文字の少なくとも一方による問診Qが含まれる。たとえば、
図6に示すように、画像E11には、「どの部位に症状がありますか?」という文字の画像と、操作部画像E11aとが含まれる。たとえば、操作部画像E11aは、人体を模した画像、「全身」と回答するための画像および「気分」と回答するための画像である。そして、制御部21は、患者Pのタッチ入力操作に基づいて、タッチパネル22中のタッチ座標を取得するように構成されている。そして、制御部21は、タッチ座標に基づいて、回答結果(上記の例の場合、症状の部位の情報)を取得するように構成されている。そして、制御部21は、問診サーバ50に、受け付けた問診回答Dqを送信する制御を行う。
【0032】
また、問診端末20は、患者Pが受診する診療科を案内するための情報である診療科案内情報Sbを取得するように構成されている。具体的には、問診端末20は、病院端末30により受診すべき診療科が決定された後、問診サーバ50からネットワークNを介して診療科案内情報Sbを取得する。また、問診端末20の制御部21は、診療科案内情報Sbを取得したことに応じて、患者Pに受診すべき診療科を知らせる表示をタッチパネル22に表示させる。
【0033】
(病院端末の構成)
図7に示すように、病院端末30は、問診端末20とは別個に設けられている。病院端末30は、たとえば、医療機関(病院)内の総合受付に設けられたコンピュータである。また、病院端末30は、問診回答Dqに基づいて、複数の診療科のうちから患者Pが受診すべき診療科を推定する受診診療科推定装置として構成されている。また、病院端末30は、制御部31と、表示部32と、操作部33と、記憶部34と、通信部35とを含む。
【0034】
制御部31は、制御プログラムを実行することにより、病院端末30の動作を制御するように構成されている。たとえば、制御部31は、病院端末用アプリケーションプログラム34a(以下、「プログラム34a」という)を実行するように構成されている。また、制御部31は、CPU等の演算処理回路およびRAM等の記憶回路を含む。
【0035】
図8に示すように、制御部31は、問診回答取得部31aと、診療科情報推定部31bと、診療科選択結果情報取得部31cと情報生成部31dとを含む。なお、問診回答取得部31aと、診療科情報推定部31bと、診療科選択結果情報取得部31cと、情報生成部31dとは、プログラム34aを制御部31によって実行することによって機能する機能的な構成として示している。また、
図8では、問診回答取得部31aと診療科情報推定部31bと診療科選択結果情報取得部31cと情報生成部31dとを機能ブロックとして記載しているが、問診回答取得部31aと診療科情報推定部31bと診療科選択結果情報取得部31cと情報生成部31dとを一体的なハードウェアとして構成してもよいし、個別の専用のハードウェア(専用CPU)によりそれぞれ構成してもよい。
【0036】
問診回答取得部31aは、問診端末20によって受け付けた問診回答Dqを、通信部35を介して、問診サーバ50から取得するように構成されている。
【0037】
診療科情報推定部31bは、
図9に示すように、取得した問診回答Dqに基づいて、診療科情報Sを推定するように構成されている。診療科情報推定部31bには、問診回答Dqと患者Pが受診すべき診療科を示す診療科情報Sとが対応付けられて機械学習された診療科選択支援用の学習モデルMが設けられている。そして、診療科情報推定部31bは、問診回答Dqが入力された場合に、学習モデルMに基づいて、取得された問診回答Dqに対応する診療科情報Sを推定する。そして、診療科情報推定部31bは、推定された診療科情報Sである診療科候補情報Scを出力するように構成されている。
図10に示すように、診療科情報推定部31bは、表示部32に、診療科候補情報Scを示す画像E21を表示するように構成されている。また、診療科情報推定部31bは、表示部32に、受付員による受診する診療科の決定を受け付ける操作部表示E21aを表示するように構成されている。なお、学習モデルMについての詳細は後述する。
【0038】
診療科選択結果情報取得部31cは、患者Pに対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報Saを取得する。すなわち、診療科選択結果情報取得部31cは、患者Pに対して実際に診察が行われた診療科の情報を診療科選択結果情報Saとして取得する。具体的には、後述する診察端末40に含まれる電子カルテシステムに対して、診察情報Rが入力されたことに基づいて診療科選択結果情報Saを取得する。つまり、診療科選択結果情報取得部31cは、患者Pに対する医師の診察が行われ、電子カルテシステムに入力された診察情報Rに基づいて、実際に診察が行われた診療科の情報として診療科選択結果情報Saを取得する。たとえば、
図11に示すように、患者Pに対する診察が行われると、診療科選択結果情報取得部31cは、表示部32に、診察情報R(診療科選択結果情報Sa)および問診回答Dqを含む電子カルテ情報Dkを表示する。
【0039】
情報生成部31dは、学習モデル更新用の情報データセットJを生成する。具体的には、患者Pの問診回答Dqと、患者Pについての診療科選択結果情報Saとが対応づけられた情報データセットJを生成する。
【0040】
表示部32は、たとえば、液晶ディスプレイとして構成されている。
【0041】
操作部33は、医療機関の受付員による入力操作を受け付けるように構成されている。たとえば、操作部33は、キーボード、マウス、および、タッチパネルの少なくとも一つを含む。
【0042】
記憶部34は、HDDまたはSDD等の不揮発性メモリにより構成されている。また、記憶部34には、プログラム34aと学習モデルMと情報データセットJとが記憶されている。
【0043】
通信部35は、ネットワークNを介して、無線通信するためのインターフェースとして構成されている。たとえば、通信部35は、Wi-FiまたはBlutooth(登録商標)によりネットワークNに接続するように構成されている。また、通信部35は、ネットワークNを介して、問診端末20および問診サーバ50と通信するように構成されている。また、通信部35は、有線LANまたは無線LANを介して、電子カルテ装置10と診察端末40と、学習モデル生成装置60と通信するように構成されている。
【0044】
(診察端末の構成)
図12に示すように、診察端末40は、病院端末30とは別個に設けられた医師が診察の際に用いる端末である。診察端末40は、たとえば、診察室に設けられたコンピュータである。また、診察端末40は、電子カルテシステムを含む。また、診察端末40は、制御部41と、表示部42と、操作部43と、記憶部44と、通信部45とを含む。
【0045】
制御部41は、制御プログラムを実行することにより、診察端末40の動作を制御するように構成されている。たとえば、制御部41は、診察端末用アプリケーションプログラム44a(以下、「プログラム44a」という)を実行するように構成されている。また、制御部41は、CPU等の演算処理回路およびRAM等の記憶回路を含む。そして、制御部41は、電子カルテ装置10の電子カルテサーバ12に、電子カルテ入力情報Dkiおよび診察情報Rを記憶するように構成されている。
【0046】
表示部42は、たとえば、液晶ディスプレイとして構成されている。そして、病院端末30と同様に、
図11に示すように、表示部32は、制御部31の指令に基づいて、電子カルテ情報Dkを表示するように構成されている。
【0047】
操作部43は、医療従事者または医療機関の従業員(受付員)の入力操作を受け付けるように構成されている。具体的には、操作部43は、キーボード、マウス、および、タッチパネルの少なくとも一つにより構成されている。たとえば、操作部43は、医師による患者Pの診察の結果として、診療科選択結果情報Saを含む診察情報Rを受け付けるように構成されている。
【0048】
記憶部44は、HDDまたはSDD等の不揮発性メモリにより構成されている。また、記憶部44には、プログラム44aが記憶されている。
【0049】
通信部45は、有線LANまたは無線LANを介して、電子カルテ装置10と病院端末30と通信するように構成されている。
【0050】
(問診サーバの構成)
図1に示すように、問診サーバ50は、病院端末30とは別個に構成され、問診回答Dqが記憶(格納)されるサーバ(情報格納装置)として構成されている。
【0051】
問診サーバ50は、クラウド(クラウドコンピューティング)上に構築されている。そして、問診サーバ50は、複数の問診端末20および複数の病院端末30と、ネットワークNを介して通信するように構成されている。また、問診サーバ50は、問診端末20から問診回答Dqを取得する。そして、問診サーバ50は、取得した問診回答Dqを病院端末30に送信するとともに、取得した診療科案内情報Sbの情報を問診端末20に送信するように構成されている。
【0052】
(学習モデル生成装置の構成)
図13に示すように、学習モデル生成装置60は、制御部61と、記憶部62と、通信部63と、を含む。制御部61は、制御プログラム62a(以下、「プログラム62a」という)を実行することにより学習モデル生成装置60の動作を制御するように構成されている。また、制御部61は、CPU等の演算回路をおよびRAM等の記憶回路を含む。記憶部62は、HDDまたはSDD等の不揮発性メモリにより構成されている。また、記憶部62には、プログラム62aが記憶されている。通信部63は、病院端末30と通信可能に構成されている。
【0053】
図14に示すように、制御部61は、学習モデル生成部61aと、学習モデル更新部61bとを含む。学習モデル生成部61aと、学習モデル更新部61bとは、プログラム62aを制御部61によって実行することによって機能する機能的な構成として示している。また、
図14では、学習モデル生成部61aと学習モデル更新部61bとを機能ブロックとして記載しているが、学習モデル生成部61aと学習モデル更新部61bとを一体的なハードウェアとして構成してもよいし、個別の専用のハードウェア(専用CPU)によりそれぞれ構成してもよい。
【0054】
学習モデル生成部61aは、
図15に示すように、問診回答Dqを入力教師データとするとともに、診療科情報Sを出力教師データとする情報データセットJ0によって、機械学習を行うことにより、診療科選択支援用の学習モデルMを生成する。たとえば、学習モデルMは、ニューラルネットワークであり、機械学習を行うことによって、中間層の重み付けを学習する。また、学習モデル生成部61aは、問診回答Dqに基づいて、複数の医療機関(病院)のうちの患者Pが受診する医療機関(病院)の診療科の選択に対応するように学習モデルMを生成する。すなわち、病院ごとの診療科の振り分けに対応するように、学習モデルMを生成する。
【0055】
学習モデル更新部61bは、たとえば、
図10および
図11に示すように、診療科情報推定部31bによって推定された診療科候補情報Scと、電子カルテ情報Dkに含まれる患者Pに対して実際に診察が行われた診療科を示す診療科選択結果情報Saとが、異なる場合にも、取得された問診回答Dqに対して正しい診療科を推定するために、学習モデルMの更新を行う。具体的には、
図16に示すように、制御部61は、取得された問診回答Dqと、診療科選択結果情報Saとを対応付けて再度機械学習することによって、生成された学習モデルMを更新するように構成されている。制御部61は、通信部63を介して、病院端末30より情報データセットJを取得する。そして、問診回答Dqを入力教師データとするとともに、診療科選択結果情報Saを出力教師データとして、機械学習を行うことによって、学習モデルMを更新する。
【0056】
制御部61は、所定の期間ごとに学習モデルMを更新する。また、制御部61は、病院端末30によって複数の診療科選択結果情報Saを取得した後に、取得された複数の診療科選択結果情報Saによって学習モデルMを更新する。たとえば、制御部61は、24時間ごとに学習モデルMを更新するように構成されている。病院端末30において、24時間のうちに、診察を受けた複数の患者Pについての問診回答Dqおよび診療科選択結果情報Saを情報データセットJとして保存する。そして、制御部61は、保存された情報データセットJを、通信部63を介して取得することによって、複数の問診回答Dqを入力教師データとするとともに、複数の診療科選択結果情報Saを出力教師データとして、機械学習を行うことによって学習モデルMの更新を行う。なお、すべての患者Pについての情報データセットJを取得して学習モデルMの更新を行ってもよいし、ランダムに選択された患者Pについての情報データセットJを取得して学習モデルMの更新を行ってもよい。また、診療科情報推定部31bによって推定された診療科情報Sである診療科候補情報Scが、医療従事者などによって誤りであると判定された場合においてのみ、情報データセットJを取得することによって学習モデルMの更新を行うようにしてもよい。
【0057】
制御部61は、通信部63を介して、病院端末30に対して更新された学習モデルMを送信することによって、病院端末30に備えられた学習モデルMを更新する。
【0058】
(学習モデルの更新方法)
次に、
図17を参照して、本実施形態による診療科選択支援システム100による診療科選択支援用の学習モデルの更新方法について説明する。ステップ101は、問診端末20の制御部21により実行される。ステップ102~104は、病院端末30の制御部31により実行される。ステップ105は、学習モデル生成装置60の制御部61により実行される。
【0059】
まず、ステップ101において、問診端末20によって、問診回答Dqが受け付けられる。
【0060】
次に、ステップ102において、病院端末30によって、問診端末20によって受け付けられた問診回答Dqが取得される。
【0061】
次に、ステップ103において、病院端末30によって、学習モデルMに基づいて、取得された問診回答Dqに対応する診療科情報Sが推定される。
【0062】
次に、ステップ104において、病院端末30によって、患者Pに対して実際に診察が行われた診療科の情報が診療科選択結果情報Saとして取得される。
【0063】
次に、ステップ105において、学習モデル生成装置60によって、取得された問診回答Dqと、診療科選択結果情報Saとを対応付けて再度機械学習を行うことにより、学習モデルMが更新される。
【0064】
[本実施形態の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法の効果]
本実施形態の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0065】
本実施形態の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法では、上記のように、取得された問診回答Dqと、診療科選択結果情報Saとを対応付けて再度機械学習することにより、学習モデルMを更新する。これにより、問診回答Dqに基づいて推定された診療科が誤っていた場合にも、医師によって選択された適切な診療科に基づいて、学習モデルMを更新することができる。したがって、学習モデルMが更新されることによって、診療科の推定の精度を向上させることができるので、誤った診療科の推定をする機会を減少させることができる。その結果、医師による誤った診療科の修正を行う機会が減少するため、医師が正しい診療科を案内する作業の作業負担を軽減することができる。
【0066】
[本実施形態のシステムおよびプログラムの効果]
本実施形態の診療科選択支援システム100および診療科選択支援プログラム、24a、34a、44a、および、62aでは、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
本実施形態の診療科選択支援システム100および診療科選択支援プログラム、24a、34a、44a、および、62aでは、上記のように、取得された問診回答Dqと、診療科選択結果情報Saとを対応付けて再度機械学習することにより、学習モデルMを更新する。これにより、問診回答Dqに基づいて推定された診療科が誤っていた場合にも、医師によって選択された適切な診療科に基づいて、学習モデルMを更新することができる。したがって、学習モデルMが更新されることによって、診療科の推定の精度を向上させることができるので、誤った診療科の推定をする機会を減少させることができる。その結果、医師による誤った診療科の修正を行う機会が減少するため、医師が正しい診療科を案内する作業の作業負担を軽減するように診療科選択支援システム100またはコンピュータ(学習モデル生成装置60)が処理を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、以下のように構成したことによって、更なる効果が得られる。
【0069】
すなわち、本実施形態では、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104は、患者Pに対して実際に診察が行われた診療科の情報を診療科選択結果情報Saとして取得するステップ104である。ここで、医療機関の受付員(事務員)によって、患者Pに対して診察を受けるよう案内された診療科(診察を行われる予定の診療科)を診療科選択結果情報Saとして取得するように構成した場合、案内された診療科が医師の判断により変更される場合が考えられる。上記のように、実際に診察が行われた診療科の情報を診療科選択結果情報Saとして取得するように構成すれば、案内された診療科が変更された場合にも、最終的に医師によって実際に診察が行われた診療科を診療科選択結果情報Saとして取得することができる。このため、取得された問診回答Dqと、実際に医師によって診察が行われた診療科とを、対応付けて再度機械学習を行うことによって、学習モデルMを更新することができる。その結果、取得された問診回答Dqに対して、診察が行われるべき診療科をより正しく出力するように学習モデルMを更新することができるので、医師が正しい診療科を案内する作業の作業負担を軽減することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104は、診療科選択結果情報Saを医療機関に配置された医療機関端末(病院端末30)により取得するステップ104である。このように構成すれば、複数の患者Pについての問診回答Dqと診療科選択結果情報Saとを医療機関(病院)に配置された病院端末30によって取得することができる。そのため、複数の問診回答Dqと複数の診療科選択結果情報Saとを対応づけて機械学習を行うことができるので、様々な種類の問診回答Dqに対応可能なように学習モデルMを更新することができる。その結果、様々な種類の問診回答Dqに対して、正しく受診すべき診療科を推定することができるため、医師が正しい診療科を案内する作業の作業負担をより軽減することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104は、医療機関端末(病院端末30)とは別個に設けられた医師が診察の際に用いる端末である診察端末40に含まれる電子カルテシステムに対して、患者Pについての診察結果と診療科とを含む情報である診察情報Rが入力されたことに基づいて、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104である。このように構成すれば、医師が患者Pに対して診察を行い、電子カルテシステムに対して診察情報Rを入力することによって、診療科選択結果情報Saを取得することができる。このため、医師は、電子カルテシステムに対して診察情報Rを入力することに加えて、病院端末30に対して診療科選択結果情報Saを入力する作業を行わなくとも、診療科選択結果情報Saを病院端末30に取得させることができる。その結果、医師による入力の手間を省くことができるので、学習モデルMを更新するための作業負担の増加を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、学習モデルMを更新するステップ105は、医療機関端末(病院端末30)によって複数の診療科選択結果情報Saを取得した後に、取得された複数の診療科選択結果情報Saによって学習モデルMを更新するステップ105である。このように構成すれば、診療科選択結果情報Saを取得するたびに学習モデルMを更新しなくとも、ある程度まとまった数の診療科選択結果情報Saによって学習モデルMを更新することができる。その結果、学習モデルMを更新する処理を行う回数を削減することができるので、更新する処理にかかる処理負担の増大を抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、携帯情報端末(問診端末20)によって問診回答Dqを受け付けるステップ101をさらに備え、問診回答Dqを取得するステップ102は、問診端末20によって受け付けた問診回答Dqを医療機関端末(病院端末30)によって取得するステップ102であり、診療科情報Sを推定するステップ103は、問診端末20によって受け付けた問診回答Dqに対応する診療科情報Sを推定するステップ103である。ここで、紙媒体の問診用紙を用いて問診回答Dqを受け付ける場合においては、医療機関の受付員が、患者Pに対する応対と、紙に記入された問診回答Dqについて電子データにするための入力作業とを、行う必要があると考えられる。上記のように、問診端末20によって問診回答Dqを受け付けるように構成すれば、問診回答Dqの入力と、電子データ化とを問診端末20において行うことができるので、医療機関の受付員の作業負担が増大することを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、学習モデルMを更新するステップ105は、所定の期間ごとに学習モデルMを更新するステップ105である。このように構成すれば、たとえば、医療機関の診察時間外である夜間などの定まった時刻に、学習モデルMを更新することができる。そのため、学習モデルMを更新する作業が、医師および医療機関の受付員の、患者Pを応対する作業の妨げとなることを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、学習モデルMを更新するステップ105は、複数の医療機関のうちの患者Pが受診する医療機関の診療科の選択に対応するように生成された学習モデルMを更新するステップ105である。ここで、同一の問診回答Dqに対して、複数の医療機関の各々によって受診すべき診療科が異なる場合が考えられる。上記のように、患者Pが受診する医療機関の診療科の選択に対応するように生成された学習モデルMを用いることによって、患者Pが受診する医療機関に対応するように受診すべき診療科を推定することができる。その結果、複数の医療機関の各々に対応する受診すべき診療科を精度よく推定することができる。
【0076】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0077】
たとえば、上記実施形態では、問診端末20を、患者Pが所有する携帯情報端末とする例を説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、問診端末20は、患者Pが所有する携帯情報端末ではなく、医療機関に備えられた(医療機関が所有する)携帯情報端末であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、診療科選択支援システム100に、問診サーバ50を設けて、問診端末20と病院端末30とが問診サーバ50を介して、問診回答Dqを送受信する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、診療科選択支援システム100に、問診サーバ50を設けずに、問診端末20から病院端末30に、問診回答Dqを直接送信してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、病院端末30の操作部33に対する入力操作に基づいて、1つの診療科候補情報Scから受診する診療科を決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、病院端末30の診療科情報推定部31bにより推定された複数の診療科候補情報Scのうちから受診する診療科を決定してもよいし、推定された一の診療科を自動的に受診する診療科として決定してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、病院端末30により電子カルテ入力情報Dkiを生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、問診端末20、診察端末40、問診サーバ50、または、電子カルテ装置10のいずれかにより、電子カルテ入力情報Dkiを生成してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、電子カルテ入力情報Dkiのデータ形式をテキスト形式として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電子カルテ入力情報Dkiのデータ形式を画像形式として構成してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、問診サーバ50はクラウド(クラウドコンピューティング)上に構築される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、問診サーバ50が1つのハードウェアに構築されるようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、学習モデル生成装置60は、制御部61と、記憶部62と、通信部63と、を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、学習モデル生成装置60が、クラウド(クラウドコンピューティング)上に構成されていてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、電子カルテ装置10が、診察端末40と別個の構成である例を示したが、本発明はこれに限られない。診察端末40に、電子カルテサーバ12などの電子カルテ装置10の機能が含まれるように構成されていてもよい。同様に、病院端末30が電子カルテ装置10の機能を兼ね備えるように構成されていてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104は、患者Pに対して実際に診察が行われた診療科の情報を診療科選択結果情報Saとして取得するステップ104である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、患者Pが受診する診療科を案内するための情報である診療科案内情報Sbを診療科選択結果情報Saとして取得するように構成されていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104は、診療科選択結果情報Saを医療機関に配置された医療機関端末(病院端末30)により取得するステップ104である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、診療科選択結果情報Saを学習モデル生成装置60によって直接取得するように構成されていてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104は、医療機関端末(病院端末30)とは別個に設けられた医師が診察の際に用いる端末である診察端末40に含まれる電子カルテシステムに対して、患者Pについての診察結果と診療科とを含む情報である診察情報Rが入力されたことに基づいて、診療科選択結果情報Saを取得するステップ104である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、診察を終えた後に、病院端末30において、診察情報Rに基づいて診療科選択結果情報Saを入力するように構成されていてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、学習モデルMを更新するステップ105は、医療機関端末(病院端末30)によって複数の診療科選択結果情報Saを取得した後に、取得された複数の診療科選択結果情報Saによって学習モデルMを更新するステップ105である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、患者Pについての診療科選択結果情報Saを取得するたびに学習モデルMの更新を行うようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、携帯情報端末(問診端末20)によって問診回答Dqを受け付けるステップ101をさらに備え、問診回答Dqを取得するステップ102は、問診端末20によって受け付けた問診回答Dqを医療機関端末(病院端末30)によって取得するステップ102であり、学習モデルMを更新するステップ105は、問診端末20によって受け付けた問診回答Dqと、診療科選択結果情報Saとを対応付けて再度機械学習することにより、学習モデルMを更新するステップ105である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、問診端末20ではなく、医療施設(病院)に備えられた病院端末30によって問診回答Dqを受け付けるようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、学習モデルMを更新するステップ105は、所定の期間ごとに学習モデルMを更新するステップ105である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、予め定めておいた一定の人数についての診療科選択結果情報Saを取得するごとに、学習モデルMを更新するように構成してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、学習モデルMを更新するステップ105は、複数の医療機関のうちの患者Pが受診する医療機関の診療科の選択に対応するように生成された学習モデルMを更新するステップ105である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の医療機関(病院)について、同一の学習モデルMに基づいて診療科情報Sを推定するように構成されていてもよい。
【0092】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0093】
(項目1)
患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得するステップと、
前記問診回答と、前記患者が受診すべき診療科を示す診療科情報とが対応付けられて機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された前記問診回答に対応する前記診療科情報を推定するステップと、
前記診療科情報を推定するステップの後に、前記患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得するステップと、
前記取得された問診回答と、前記診療科選択結果情報とを対応付けて再度機械学習することにより、前記学習モデルを更新するステップと、を備える、診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0094】
(項目2)
前記診療科選択結果情報を取得するステップは、前記患者に対して実際に診察が行われた診療科の情報を前記診療科選択結果情報として取得するステップである、項目1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0095】
(項目3)
前記診療科選択結果情報を取得するステップは、前記診療科選択結果情報を医療機関に配置された医療機関端末により取得するステップである、項目1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0096】
(項目4)
前記診療科選択結果情報を取得するステップは、前記医療機関端末とは別個に設けられた医師が診察の際に用いる端末である診察端末に含まれる電子カルテシステムに対して、前記患者についての診察結果と診療科とを含む情報である診察情報が入力されたことに基づいて、前記診療科選択結果情報を取得するステップである、項目3に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0097】
(項目5)
前記学習モデルを更新するステップは、前記医療機関端末によって複数の前記診療科選択結果情報を取得した後に、取得された前記複数の診療科選択結果情報によって前記学習モデルを更新するステップである、項目3に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0098】
(項目6)
携帯情報端末によって前記問診回答を受け付けるステップをさらに備え、
前記問診回答を取得するステップは、前記携帯情報端末によって受け付けた前記問診回答を前記医療機関端末によって取得するステップであり、
前記学習モデルを更新するステップは、前記携帯情報端末によって受け付けた前記問診回答と、前記診療科選択結果情報とを対応付けて再度機械学習することにより、前記学習モデルを更新するステップである、項目3に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0099】
(項目7)
前記学習モデルを更新するステップは、所定の期間ごとに前記学習モデルを更新するステップである、項目1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0100】
(項目8)
前記学習モデルを更新するステップは、複数の医療機関のうちの前記患者が受診する医療機関の診療科の選択に対応するように生成された前記学習モデルを更新するステップである、項目1に記載の診療科選択支援用の学習モデルの更新方法。
【0101】
(項目9)
患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得する問診回答取得部と、
前記問診回答と、前記患者が受診すべき診療科を示す診療科情報とが対応付けられて機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された前記問診回答に対応する前記診療科情報を推定する診療科情報推定部と、
前記患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得する診療科選択結果情報取得部と、
前記取得された問診回答と、前記診療科選択結果情報とを対応付けて再度機械学習することにより、前記学習モデルを更新する学習モデル更新部と、を備える、診療科選択支援システム。
【0102】
(項目10)
患者が受診する診療科を決定するための問診に対する回答である問診回答を取得する制御と、
前記問診回答と、前記患者が受診すべき診療科を示す診療科情報とが対応付けられて機械学習された診療科選択支援用の学習モデルに基づいて、取得された前記問診回答に対応する前記診療科情報を推定する制御と、
前記患者に対して診察が行われる診療科を示す診療科選択結果情報を取得する制御と、
前記取得された問診回答と、前記診療科選択結果情報とを対応付けて再度機械学習することにより、前記学習モデルを更新する制御と、をコンピュータに実行させる、診療科選択支援プログラム。
【符号の説明】
【0103】
100 診療科選択支援システム
20 問診端末(携帯情報端末)
30 病院端末(医療機関端末)
31a 問診回答取得部
31b 診療科情報推定部
31c 診療科選択結果情報取得部
40 診察端末
61b 学習モデル更新部