(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】走行車システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230511BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20230511BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B65G1/04 551Z
B65G1/04 531D
B60L15/40 J
B60M7/00 X
(21)【出願番号】P 2021542586
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025892
(87)【国際公開番号】W WO2021039105
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019157169
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤原 英俊
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5720954(JP,B2)
【文献】特開2018-107907(JP,A)
【文献】特開平7-123520(JP,A)
【文献】特開2015-107880(JP,A)
【文献】特開平9-252501(JP,A)
【文献】特開2001-197603(JP,A)
【文献】特許第4860420(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B60L 15/40
B60M 7/00
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車の走行駆動部へ電力を供給する給電部が設けられている給電軌道と、前記給電軌道に接続されると共に、前記給電部が設けられていない無給電軌道と、前記給電軌道における第一位置と前記無給電軌道との間で前記走行車を移動させる移動装置と、少なくとも前記走行車と前記移動装置とを制御するコントローラと、を備える走行車システムであって、
前記コントローラは、前記第一位置まで走行させる第一指令を前記走行車に送信し、前記移動装置による移動を可能な状態とする第二指令を前記第一位置に停止した前記走行車に送信した後又は送信したと同時に、前記第一位置に停止した前記走行車を前記無給電軌道まで移動させる第三指令を前記移動装置に送信する、走行車システム。
【請求項2】
前記コントローラは、少なくとも前記走行駆動部における外部からの制御を不能にさせる前記第二指令を前記走行車に送信する、請求項1記載の走行車システム。
【請求項3】
前記走行駆動部は、無給電時に、ブレーキがかかる走行輪と、自由に回転する走行補助輪と、を有しており、
前記給電軌道における前記第一位置と前記無給電軌道との間、及び前記無給電軌道は、前記走行輪及び前記走行補助輪を下方から支持する下方支持部を有しており、
前記下方支持部は、鉛直方向において、前記走行補助輪に対向する第一部分が、前記走行輪に対向する第二部分よりも上方に位置するように形成されており、
前記コントローラは、少なくとも前記走行駆動部への電力供給を切断する第四指令を前記第一位置に停止した前記走行車に送信する、請求項1記載の走行車システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記無給電軌道から前記第一位置まで、又は、前記第一位置を有する前記給電軌道に対し前記無給電軌道を挟んで接続される前記給電軌道における第二位置まで、前記走行車を移動させる第五指令を前記移動装置に送信する、請求項1~3の何れか一項記載の走行車システム。
【請求項5】
前記走行駆動部は、電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になると、外部からの制御が可能となるように構成されている、請求項1~4の何れか一項記載の走行車システム。
【請求項6】
前記無給電軌道に移動した前記走行車を清掃する清掃装置を更に備え、
前記コントローラは、前記移動装置に前記第三指令を送信した後に、前記清掃装置に前記走行車を清掃させる第六指令を送信する、請求項1~5の何れか一項記載の走行車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、走行車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道を走行して物品を搬送する天井走行車が知られている。特許文献1には、天井に敷設された軌道を走行車が走行する際に発生する塵等を効率的に清掃する走行車システム(搬送車システム)が開示されている。特許文献1の走行車システムにおいて走行車を清掃する場合には、走行車を軌道に沿って所定の抜取箇所にまで移動させた後、当該抜取箇所に配備された昇降装置によって走行車を床側に降下させ、床側に配備された清掃装置にて走行車の清掃を実施している。この走行車システムにおいて走行車を清掃する場合、軌道に沿って走行車を抜取箇所まで移動させ、その後の昇降装置への走行車の移動は、作業者による手動運転用指令手段(いわゆるリモコン)の操作によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の走行車システムでは、昇降装置を構成する軌道には電力が供給されているが、電力が供給されない無給電軌道の昇降装置に走行車を進入させたい場合がある。このようなシステムでは、作業者が人力で昇降装置に走行車を進入させる。しかしながら、このような方法は、作業者が現場に立ち会う必要があり負担が大きい。また、省人化が求められている昨今、給電軌道から無給電軌道への走行車の移動を、作業者の手を介さずに自動化したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、給電軌道から無給電軌道への走行車の移動を自動化できる走行車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る走行車システムは、走行車の走行駆動部へ電力を供給する給電部が設けられている給電軌道と、給電軌道に接続されると共に、給電部が設けられていない無給電軌道と、給電軌道における第一位置と無給電軌道との間で走行車を移動させる移動装置と、少なくとも走行車と移動装置とを制御するコントローラと、を備える走行車システムであって、コントローラは、第一位置まで走行させる第一指令を走行車に送信し、移動装置による移動を可能な状態とする第二指令を第一位置に停止した走行車に送信した後又は送信したと同時に、第一位置に停止した走行車を無給電軌道まで移動させる第三指令を移動装置に送信する。
【0007】
この構成の走行車システムでは、走行車を無給電軌道に進入する手前の位置において、移動装置によって自由に移動できる状態として、移動装置による走行車の移動を開始させる。これにより、給電軌道から無給電軌道への走行車の移動を自動化できる。
【0008】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、コントローラは、少なくとも走行駆動部における外部からの制御を不能にさせる第二指令を走行車に送信してもよい。この構成では、簡易な制御にて、走行車を移動装置によって自由に移動できる状態とすることができる。
【0009】
本発明の一側面に係る走行車システムは、走行駆動部は、無給電時に、ブレーキがかかる走行輪と、自由に回転する走行補助輪と、を有しており、給電軌道における第一位置と無給電軌道との間、及び無給電軌道は、走行輪及び走行補助輪を下方から支持する下方支持部を有しており、下方支持部は、鉛直方向において、走行補助輪に対向する第一部分が、走行輪に対向する第二部分よりも上方に位置するように形成されており、コントローラは、少なくとも走行駆動部への電力供給を遮断する第四指令を第一位置に停止した走行車に送信してもよい。この構成の走行車における走行輪は、走行駆動部に電力が供給されていない状態において容易に回転しないように構成されている。このため、走行駆動部への電力の供給が遮断された状態、及び作業用軌道に位置することで電力が供給されない状態において、走行輪を接触させた状態で走行車を移動させることが難しい。この点、この構成の走行車システムでは、電力の供給が遮断又は電力が供給されない状態となっても、自由に回転する走行補助輪のみが作業用軌道に接触するので、走行車を容易に移動させることが可能となる。すなわち、走行車を移動装置によって自由に移動できる状態とすることができる。
【0010】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、コントローラは、無給電軌道から第一位置まで、又は、第一位置を有する給電軌道に対し無給電軌道を挟んで接続される給電軌道における第二位置まで、走行車を移動させる第五指令を移動装置に送信してもよい。この構成では、無給電軌道から給電軌道への走行車の移動を自動化できる。すなわち、無給電軌道と給電軌道との間の走行車の移動を自動化できる。
【0011】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、走行駆動部は、電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になると、外部からの制御が可能となるように構成されていてもよい。この構成では、移動装置による走行車の移動によって無給電軌道から給電軌道に移動させられると、自動的に外部からの走行車の制御が可能となる。
【0012】
本発明の一側面に係る走行車システムでは、無給電軌道に移動した走行車を清掃する清掃装置を更に備え、コントローラは、移動装置に前記第三指令を送信した後に、清掃装置に走行車を清掃させる第六指令を送信してもよい。この構成の走行車システムでは、給電軌道から無給電軌道への走行車の移動に加え、清掃装置の清掃処理も自動化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、給電軌道から無給電軌道への走行車の移動を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る走行車システムを示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の走行車を走行方向から見た正面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の作業用軌道を示した斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の作業用軌道と走行車の走行部とを示した断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の移動装置を示した平面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の作業エリアに配置される移動装置及び吸引装置を作業用軌道の延在方向から見た断面図である。
【
図8】
図8は、走行車システムの機能構成を示したブロック図である。
【
図9】
図9は、走行車システムにおいて走行車を清掃するときの各部の動作を示すシーケンス図である。
【
図10】
図10は、走行車システムにおいて走行車を清掃するときの各部の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一側面の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図2、
図4及び
図7では、説明の便宜のため「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」方向を定義する。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、走行車システム1は、走行用軌道4に沿って移動可能な天井走行車6(以下、「走行車6」と称する。)を用いて、物品10を載置部9間で搬送するためのシステムである。物品10には、例えば、複数の半導体ウェハを格納するFOUP(Front Opening Unified Pod)及びガラス基板を格納するレチクルポッド等のような容器、並びに一般部品等が含まれる。走行車システム1は、走行用軌道(給電軌道)4、複数の走行車6、複数の載置部9、作業用軌道(無給電軌道)41、及び清掃ユニット100(
図7参照)を備える。
【0017】
走行用軌道4は、例えば、作業者の頭上スペースである天井付近に敷設されている。走行用軌道4は、例えば天井から吊り下げられている。走行用軌道4は、走行車6を走行させるための予め定められた走行路である。走行用軌道4は、支柱40A,40Aにより支持される。走行車システム1の走行用軌道4は、所定のエリアを一方向に巡回する本線部4Aと、走行車6をメンテンナンスするための作業エリア160が設けられた作業用軌道41に走行車6を導入させる退避部4Bと、を有している。なお、退避部4Bにおいても、走行車6は、予め定められた一方向に移動する。
【0018】
走行用軌道4は、一対の下面部40B,40Bと一対の側面部40C,40Cと天面部40Dとからなる筒状のレール本体部40と、給電部40Eと、磁気プレート40Fと、を有している。レール本体部40は、走行車6の走行部(走行駆動部)50を収容する。下面部40Bは、走行車6の走行方向に延在し、レール本体部40の下面を構成する。下面部40Bは、走行車6の走行ローラ51を転動させて走行させる板状部材である。側面部40Cは、走行車6の走行方向に延在し、レール本体部40の側面を構成する。天面部40Dは、走行車6の走行方向に延在し、レール本体部40の上面を構成する。
【0019】
給電部(給電線)40Eは、走行車6の給電コア57に電力を供給すると共に、給電コア57と信号の送受信を行う部位である。給電部40Eは、一対の側面部40C,40Cのそれぞれに固定され、走行方向に沿って延在している。給電部40Eは、給電コア57(
図4参照)に対して非接触の状態で電力を供給する。磁気プレート40Fは、走行車6のLDM(Linear DC Motor)59に走行又は停止のための磁力を発生させる。磁気プレート40Fは、天面部40Dに固定され、走行方向に沿って延在している。
【0020】
走行車6は、走行用軌道4に沿って走行し、物品10を搬送する。走行車6は、物品10を移載可能に構成されている。走行車6は、天井走行式無人走行車である。走行車システム1が備える走行車6の台数は、特に限定されず、複数である。走行車6は、本体部7と、走行部50と、本体コントローラ35と、を有する。本体部7は、本体フレーム22と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、カバー33と、を有する。
【0021】
本体フレーム22は、走行部50と接続されており、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、カバー33とを支持する。横送り部24は、θドライブ26、昇降駆動部28及び昇降台30を一括して、走行用軌道4の走行方向と直角な方向に横送りする。θドライブ26は、昇降駆動部28及び昇降台30の少なくとも何れかを水平面内で所定の角度範囲内で回動させる。昇降駆動部28は、ワイヤ、ロープ及びベルト等の吊持材を巻取る又は繰出すことによって昇降台30を昇降させる。昇降台30には、チャックが設けられており、物品10の把持又は解放が自在とされている。カバー33は、例えば走行車6の走行方向の前後に一対設けられている。カバー33は、図示しない爪等を出没させて、搬送中に物品10が落下することを防止する。
【0022】
走行部50は、走行車6を走行用軌道4に沿って走行させる。
図4に示されるように、走行部50は、走行ローラ51、サイドローラ52、分岐ローラ53、補助ローラ54、傾斜ローラ55、給電コア57及びLDM59を有している。
図2では、分岐ローラ53、補助ローラ54、及び傾斜ローラ55の図示は省略する。
【0023】
走行ローラ51は、走行輪としての外輪51A及び走行補助輪としての内輪51Bからなるローラ対である。走行ローラ51は、走行部50の前後の左右両端に配置されている。走行ローラ51は、走行用軌道4の一対の下面部40B,40B(
図2参照)又は後述する
図4の下方支持部43を転動する。本実施形態の外輪51Aは、走行部50に電力が供給されていない状態において容易に回転しないように構成されている。すなわち、外輪51Aは、給電コア57に電力が供給されない状態において回転しないようにブレーキがかかる。
【0024】
サイドローラ52は、走行ローラ51の外輪51Aのそれぞれを前後方向に挟むように配置されている。サイドローラ52は、走行用軌道4の側面部40C(
図2参照)又は後述する
図4の側方支持部45に接触可能に設けられている。分岐ローラ53は、サイドローラ52のそれぞれを上下方向に挟むように配置されている。サイドローラ52は、走行用軌道4の接続部又は分岐部等に配置されているガイド(図示せず)に接触可能に設けられている。
【0025】
補助ローラ54は、走行部50の前後に設けられている、三つ一組のローラ群である。補助ローラ54は、走行部50が加減速等により走行中に前後に傾いたときに、LDM59及び給電コア57等が走行用軌道4の上面に配置された磁気プレート40F(
図2参照)に接触することを防止するために設けられている。傾斜ローラ55は、LDM59の四隅に設けられている。傾斜ローラ55は、前後方向から傾いた状態で配置されている。傾斜ローラ55は、走行部50がカーブ区間を走行する際の遠心力による傾きを防止するために設けられている。
【0026】
給電コア57は、走行部50の前後に、左右方向にLDM59を挟むように配置されている。走行用軌道4に配置された給電部40E(
図2参照)との間で非接触による給電と、非接触による各種信号の送受信を行う。給電コア57は本体コントローラ35との間で信号をやりとりする。LDM59は、走行部50の前後に設けられている。LDM59は、電磁石によって走行用軌道4の上面に配置された磁気プレート40F(
図2参照)との間で、走行又は停止のための磁力を発生させる。
【0027】
走行部50は、後段にて詳述する搬送コントローラ(コントローラ)90によって本体コントローラ35を介した状態で制御される。具体的には、搬送コントローラ90からの指令が本体コントローラ35に送信され、当該指令を受信した本体コントローラ35が走行部50を制御する。走行部50は、電力が供給されている状態において、走行車6の外部の搬送コントローラ90からの制御が可能となっている。また、走行部50は、電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になると、搬送コントローラ90からの指令が本体コントローラ35に送信され、当該指令を受信した本体コントローラ35が走行部50を制御する状態となる。
【0028】
図1に示されるように、載置部9は、走行用軌道4に沿って配置され、走行車6が物品10を受け渡し可能な位置に設けられている。載置部9には、バッファ及び受渡ポートが含まれる。バッファは、物品10が一時的に載置される載置部である。バッファは、例えば、目的とする受渡ポートに他の物品10が載置されている等の理由により、走行車6が搬送している物品10をその受渡ポートに移載できない場合に、物品10が仮置きされる載置部である。受渡ポートは、例えば洗浄装置、成膜装置、リソグラフィ装置、エッチング装置、熱処理装置、平坦化装置をはじめとする半導体の処理装置(図示せず)に対して物品10の受渡を行うための載置部である。なお、処理装置は、特に限定されず、種々の装置であってもよい。
【0029】
例えば、載置部9は、走行用軌道4の側方に配置されている。この場合、走行車6は、横送り部24で昇降駆動部28等を横送りし、昇降台30を僅かに昇降させることにより、載置部9との間で物品10を受け渡しする。なお、図示はしないが載置部9は、走行用軌道4の直下に配置されてもよい。この場合、走行車6は、昇降台30を昇降させることにより、載置部9との間で物品10を受け渡しする。
【0030】
本体コントローラ35は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。本体コントローラ35は、走行車6における各種動作を制御する。具体的には、本体コントローラ35は、走行部50と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、を制御する。本体コントローラ35は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。本体コントローラ35は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。本体コントローラ35は、走行用軌道4の給電部40E(フィーダー線)等を利用して、搬送コントローラ90(
図1参照)と通信を行う。
【0031】
図1に示されるように、作業エリア160は、退避部4Bの一部に設けられ、走行車6に含まれる走行部50の走行ローラ51及び給電コア57等のメンテナンスを実施するエリアである。作業エリア160には、作業用軌道41(
図3参照)と、移動装置60(
図5及び
図6参照)と、吸引装置80(
図7参照)と、が設けられている。
【0032】
作業用軌道41は、その両端が走行用軌道4,4に連続するように一方向(以下、「延在方向X」と称する。)に延在し、
図3及び
図4に示されるように、走行部50の少なくとも一部(例えば、給電コア57)を露出させる開放部47を形成している。言い換えれば、作業用軌道41には、
図2に示される走行用軌道4に設けられているような給電部40E及び天面部40Dが設けられておらず、走行用軌道4の給電部40E及び天面部40Dに対応する部分が開放部47となっている。
【0033】
作業用軌道41は、作業用軌道41の両端に配置されるフレーム42,42と、一対の下方支持部43,43と、一対の側方支持部45,45と、を有している。
【0034】
フレーム42は、一対の側面部42A,42Aと、天面部42Bと、を有している。一対の側面部42A,42Aは、左右方向に対向して配置され、鉛直方向に延在する板状部材である。側面部42Aは、ブラケット(図示せず)及び支柱(図示せず)を介して天井に固定される。天面部42Bは、一対の側面部42A,42Aを、一対の側面部42A,42Aの上端にて接続する板状部材である。
【0035】
下方支持部43は、走行部50を下方から支持する。より詳細には、下方支持部43は、走行車6の走行ローラ51の内輪51Bを転動させて走行させる部材である。下方支持部43は、フレーム42の側面部42Aの下端に固定され、一対のフレーム42,42に延在方向Xに沿って掛け渡されている。下方支持部43は、鉛直方向において、内輪51Bに対向する第一部分43Bが、外輪51Aに対向する第二部分43Aよりも上方に位置するように形成されている。下方支持部43の第一部分43B(すなわち、内輪51Bの転動面)は、走行用軌道4に接続される部位において、走行用軌道4の下面部40B(
図2参照)の上面と面一に接続される。
【0036】
側方支持部45は、走行車6のサイドローラ52が接触する部材である。側方支持部45は、フレーム42の側面部42Aに固定され、一対のフレーム42,42に掛け渡されている。
【0037】
図5~
図8に示されるように、清掃ユニット100は、移動装置60と吸引装置(清掃装置)80とユニットコントローラ95とを有している。清掃ユニット100は、作業用軌道41に位置する走行車6を清掃する。移動装置60は、作業用軌道41に沿って走行車6を移動させる。作業用軌道41の両端には、走行用軌道4,4が接続されているので、移動装置60は、一方の走行用軌道4から作業用軌道41を経由して他方の走行用軌道4との間で走行車6を移動させる。移動装置60は、ベースプレート70と、移動プレート71と、第一アーム部61及び第二アーム部65からなる一対のアーム部と、第一回動駆動部62と、第二回動駆動部66と、第一移動駆動部64と、第二移動駆動部68と、を備える。
【0038】
ベースプレート70は、移動プレート71、第一アーム部61、第二アーム部65、第一回動駆動部62、第二回動駆動部66、第一移動駆動部64、及び第二移動駆動部68を支持する、板状の部材である。ベースプレート70は、吊下部材75によって天井から吊り下げられている。
【0039】
移動プレート71は、第一アーム部61、第二アーム部65、第一回動駆動部62、第二回動駆動部66、第一移動駆動部64、及び第二移動駆動部68を支持する、板状の部材である。移動プレート71は、ベースプレート70に対して延在方向Xに移動可能に設けられている。より詳細には、移動プレート71は、LMガイド(Linear Motion Guide)68A及び駆動モータ68B等からなる第二移動駆動部68によって、ベースプレート70に対して延在方向Xに移動可能に設けられている。
【0040】
第一アーム部61は、走行車6の走行方向における上流側に配置されている。すなわち、第一アーム部61は、走行車6を移動させるとき、走行車6の後端(カバー33)に接触する。第一アーム部61は、第一回動駆動部62によって、走行車6を挟み込む位置(接触位置)と走行車6から退避する位置(退避位置)との間で移動する。第一アーム部61及び第一回動駆動部62は、第一移動駆動部64によって、移動プレート71に対して延在方向Xに移動可能に設けられている。より詳細には、第一アーム部61及び第一回動駆動部62はLMガイド64A及び駆動モータ64B等からなる第一移動駆動部64によって、移動プレート71に対して延在方向Xに移動可能に設けられている。
【0041】
第二アーム部65は、走行車6の走行方向における下流側に配置されている。すなわち、第二アーム部65は、走行車6を移動させるとき、走行車6の前端に接触する。第二アーム部65は、第二回動駆動部66によって、走行車6を挟み込む位置と走行車6から退避する位置との間で移動する。第二アーム部65及び第二回動駆動部66は、第一アーム部61及び第一回動駆動部62とは異なり、移動プレート71に対して延在方向Xに移動不能に設けられている。
【0042】
吸引装置80は、作業エリア160(作業用軌道41)に位置する走行車6に、開放部47を介して、走行部50の少なくとも一部に清掃作業を実行する。より詳細には、吸引装置80は、走行部50の少なくとも一部(例えば、給電コア57)に付着した付着物を吸引する。吸引装置80は、天井から吊り下げられた支持プレート85に設けられている。吸引装置80は、六つ(六軸)の関節によって構成される垂直多関節型ロボット81であり、その先端には、付着物を吸引する吸引部82が設けられている。
【0043】
ユニットコントローラ95は、CPU、ROM及びRAM等からなる電子制御ユニットである。ユニットコントローラ95は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。ユニットコントローラ95は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。ユニットコントローラ95は、移動装置60及び吸引装置80の動作を制御する。ユニットコントローラ95は、搬送コントローラ90と通信可能に接続されている。
【0044】
搬送コントローラ90は、CPU、ROM及びRAM等からなる電子制御ユニットである。搬送コントローラ90は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。搬送コントローラ90は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。搬送コントローラ90は、走行車6に物品10を搬送させる搬送指令を送信する。搬送コントローラ90は、複数の走行車6のそれぞれ及び清掃ユニット100のユニットコントローラ95と通信可能に接続されている。
【0045】
ここで、
図1に示されるように、走行車6の走行方向において作業用軌道41の上流側端部に隣接する走行用軌道4の所定位置を第一位置P1とし、作業用軌道41の下流側端部に隣接する走行用軌道4の所定位置を第二位置P2とする。
【0046】
搬送コントローラ90は、第一指令、第二指令、第三指令、第五指令、及び第六指令を送信する。第一指令は、走行車6に送信する指令であり、走行用軌道4を走行する走行車6を第一位置P1まで走行させる指令である。第一指令を受信した走行車6は、第一位置P1まで走行し、停止する。第二指令は、走行車6に送信する指令であり、移動装置60による移動を可能な状態とする指令である。より詳細には、第二指令は、少なくとも走行車6の走行部50における外部からの制御を不能(シャットダウン)にさせる指令である。第二指令を受信した走行車6は、外部との通信が切断され、外部から走行部50が制御されることがなくなる。なお、搬送コントローラ90の移動装置60及び吸引装置80への指令の送信は、ユニットコントローラ95を介して行われる。
【0047】
第三指令は、第二指令を第一位置P1に停止した走行車6に送信した後又は送信したと同時に、移動装置60に送信する指令である。第三指令は、第一位置P1に停止した走行車6を作業用軌道41まで移動させる指令である。第三指令を受信した移動装置60は、第一位置P1に停止している走行車6を作業用軌道41まで搬送する。第五指令は、移動装置60に送信する指令であり、作業用軌道41から第二位置P2まで走行車6を移動させる指令である。第五指令を受信した移動装置60は、作業用軌道41に停止している走行車6を第二位置P2まで搬送する。
【0048】
第六指令は、走行車6に第三指令を送信した後に、吸引装置80に送信する指令である。第六指令は、作業用軌道41に停止する走行車6を吸引装置80に清掃させる指令である。第六指令を受信した移動装置60は、作業用軌道41に停止する走行車6の清掃を開始する。
【0049】
次に、走行用軌道4を走行する走行車6を作業用軌道41に入場させ、清掃ユニット100において走行車6を清掃した後、再び走行用軌道4に走行車6を復帰させるまでの動作について、
図9及び
図10に従って説明する。
【0050】
ユニットコントローラ95は、清掃ユニット100において走行車6の清掃が可能か否かを判定する(ステップS1)。ユニットコントローラ95は、移動装置60が所定位置(例えば、第一位置P1に位置する走行車6を移動させることが可能な位置)に位置しているか否かを判定する。ここでは、移動装置60が上記所定位置に位置していることを検知すると、走行車6の清掃が可能であると判定する。なお、ユニットコントローラ95は、作業用軌道41に走行車6が位置しているか否かを判定することによって、走行車6の清掃が可能であると判定してもよい。
【0051】
ユニットコントローラ95は、清掃ユニット100において走行車6の清掃が可能であることを判定すると、搬送コントローラ90にその旨の通知である可能通知を送信する(ステップS2)。可能通知を受信した搬送コントローラ90は、走行車6に第一指令を送信する(ステップS3)。第一指令を受信した走行車6は、第一位置P1まで走行し、第一位置P1に到着する(ステップS4)。第一位置P1に到着した走行車6は、搬送コントローラ90に到着通知を送信する(ステップS5)。なお、搬送コントローラ90は、走行車6からの到着通知を受信すると、到着した走行車6の形式等をユニットコントローラ95に送信する(ステップS6)。これにより、走行車6の形式(サイズ)等に合わせて移動装置60を動作させることが可能となる。
【0052】
到着通知を受信した搬送コントローラ90は、第二指令を走行車6に送信する(ステップS7)。第二指令を受信した走行車6は、移動装置60によって移動が可能な状態となる。より詳細には、第二指令を受信した走行車6は、走行車6の走行部50における外部からの制御が不能(シャットダウン)になる(ステップS8)。これにより、走行車6は、移動装置60によって自由に移動させられる状態となる。搬送コントローラ90は、走行車6がシャットダウンしたタイミングで、移動装置60に第三指令を送信する(ステップS10)。例えば、搬送コントローラ90は、第二指令を送信した後、所定時間経過後に第三指令を移動装置60に送信するようにしてもよい。なお、上述したとおり、搬送コントローラ90から移動装置60への第三指令の送信は、ユニットコントローラ95を介して行われる。
【0053】
第三指令を受信した移動装置60は、第一位置P1に停止している走行車6を作業用軌道41まで移動させる(ステップS11)。ここで、移動装置60が走行車6を第一位置P1から作業用軌道41まで移動させる動作について詳細に説明する。
【0054】
作業用軌道41に走行車6が存在しないとき、
図11(a)に示されるように、第一アーム部61が退避位置に位置し、第二アーム部65が接触位置に位置している。このような状態において、第一指令を受信した走行車6が作業用軌道41に入場してくると、
図11(b)に示されるように、走行車6は、第二アーム部65に接触する位置で一旦停止する。この位置が第一位置P1となる。
【0055】
走行車6が第二アーム部65に接触する位置で一旦停止すると、第三指令を受信した移動装置60の第一回動駆動部62は、第一アーム部61を接触位置に回動させ、第一移動駆動部64は、第一アーム部61及び第一回動駆動部62を前進(走行車6の走行方向における下流側に移動)させる。これにより、
図11(c)に示されるように、走行車6は、第一アーム部61と第二アーム部65とによって挟み込まれた状態となる。
【0056】
次に、第二移動駆動部68は、移動プレート71を前進させる。すなわち、第二移動駆動部68は、第一アーム部61と第二アーム部65との間の距離を維持したまま、第一アーム部61、第一回動駆動部62、第二アーム部65、及び第二回動駆動部66とを前進させる。移動装置60による走行車6の前進の途中で、走行車6は、走行用軌道4から作業用軌道41に乗り移る。すなわち、走行車6は、給電区間から無給電区間に乗り移る。このタイミング(ステップS12)で、走行車6への給電が断たれ、走行車6への給電がOFFとなる(ステップS13)。走行車6は、第一アーム部61と第二アーム部65とによって挟み込まれた状態で前進させられ、
図11(d)に示されるように、作業用軌道41の所定位置で停止させられる。この位置は、走行車6が吸引装置80によって清掃が実施される位置である。
【0057】
次に、搬送コントローラ90は、吸引装置80に第六指令を送信する(ステップS15)。なお、上述したとおり、搬送コントローラ90から吸引装置80への第六指令の送信は、ユニットコントローラ95を介して行われる。第六指令を受信した吸引装置80は、作業用軌道41の所定位置に停止する走行車6の清掃を開始する(ステップS16)。搬送コントローラ90は、吸引装置80による走行車6の清掃が終了したタイミングで、第五指令を移動装置60に送信する(ステップS17)。なお、搬送コントローラ90は、第六指令を吸引装置80に送信してから所定時間経過後に移動装置60に第五指令を送信してもよい。第五指令を受信した移動装置60は、作業用軌道41の所定位置から第二位置P2まで走行車6を移動させる(ステップS18)。ここで、移動装置60が走行車6を作業用軌道41の所定位置から第二位置P2まで移動させる動作について詳細に説明する。
【0058】
走行車6は、第一アーム部61と第二アーム部65とによって挟み込まれた状態で前進させられ、
図12(a)に示されるように、作業用軌道41の所定位置から走行用軌道4の第二位置P2まで移動させられる。この移動装置60による走行車6の前進の途中で、走行車6は、作業用軌道41から走行用軌道4に乗り移る。すなわち、走行車6は、無給電区間から給電区間に乗り移る。このタイミング(ステップS21)で、走行車6への給電が開始され、走行車6への給電がONとなる(ステップS22)。走行車6の走行部50は、電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になると、外部からの制御が可能(起動する)(ステップS23)となる。
【0059】
走行車6は、走行部50における外部からの制御が可能になるように起動すると、搬送コントローラ90に起動通知を送信する(ステップS24)。起動通知を受信した搬送コントローラ90は、起動通知を送信した走行車6に、本線部4Aの所定位置に移動するような移動指令を送信する(ステップS25)。これにより、走行車6は、本線部4Aに復帰する。
【0060】
移動装置60は、走行車6を第二位置P2まで移動させると、
図12(b)に示されるように、第二回動駆動部66は、第二アーム部65を退避位置に回動させる。その後、走行車6は、走行部50の給電コア57に供給される電力によって、自身の走行部50が有する駆動部によって前進を開始する。同時に、搬送コントローラ90は、ユニットコントローラ95に移動装置60を所定位置(例えば、第一位置P1に位置する走行車6を移動させることが可能な位置)に戻させるような指示を通知する(ステップS26)。
【0061】
次に、
図12(c)に示されるように、第二回動駆動部66は、第二アーム部65を接触位置に回動させる。そして、第二移動駆動部68は、移動プレート71を後退させる。すなわち、第二移動駆動部68は、第一アーム部61と第二アーム部65との間の距離を維持したまま、第一アーム部61、第一回動駆動部62、第二アーム部65、及び第二回動駆動部66を後退させる。その後、第一移動駆動部64は、第一アーム部61及び第一回動駆動部62を後退させる。これにより、
図12(d)に示されるように、第一アーム部61及び第二アーム部65は、次に入場してくる走行車6を待つ位置にまで戻る。そして、
図11(a)に示されるように、第一アーム部61が退避位置に位置し、第二アーム部65が接触位置に位置している状態で、次の走行車6の到着を待つ(ステップS27)。
【0062】
次に、上記実施形態の走行車システム1の作用効果について説明する。上記実施形態の走行車システム1では、走行車6を作業用軌道41に進入する手前の位置(第一位置P1)において、移動装置60によって自由に移動できる状態として、移動装置60による走行車6の移動を開始させる。これにより、走行用軌道4から作業用軌道41への走行車6の移動を自動化できる。
【0063】
上記実施形態の走行車システム1では、搬送コントローラ90は、少なくとも走行部50における外部(搬送コントローラ90)からの制御を不能にさせる第二指令を走行車6に送信している。この構成では、走行車6は、外部(搬送コントローラ90)からの制御を不能にさせるものの、走行用軌道4を走行している間は電力が供給されるので、外輪51Aにはブレーキがかからない。すなわち、本実施形態では、簡易な制御にて、走行車6を移動装置60によって自由に移動できる状態とすることができる。
【0064】
上記実施形態の走行車システム1では、搬送コントローラ90は、無給電軌道の所定位置から第二位置P2まで走行車6を移動させる第五指令を移動装置60に送信している。この構成では、走行用軌道4から作業用軌道41への走行車6の移動に加え、作業用軌道41から走行用軌道4への走行車6の移動を自動化できる。すなわち、走行用軌道4と作業用軌道41との間の走行車6の移動を自動化できる。
【0065】
上記実施形態の走行車システム1では、走行部50は、電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になると、外部(搬送コントローラ90)からの制御が可能となるように構成されている。これにより、移動装置60による走行車6の移動によって作業用軌道41から走行用軌道4に移動させられると、自動的に外部からの走行車6の制御が可能となる。
【0066】
上記実施形態の走行車システム1では、搬送コントローラ90は、第三指令を送信した後に、ユニットコントローラ95を介して吸引装置80に走行車を清掃させる第六指令を送信している。これにより、走行用軌道4から作業用軌道41への走行車6の移動に加え、吸引装置80の清掃処理も自動化できる。
【0067】
以上、本発明の一側面の一実施形態について説明したが、本発明の一側面は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0068】
上記実施形態では、第一位置P1に移動してきた走行車6に対し、搬送コントローラ90は、少なくとも走行部50における外部(搬送コントローラ90)からの制御を不能にさせる第二指令を送信する例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、搬送コントローラ90は、第二指令を送信する例に代えて、少なくとも走行部50への電力供給を遮断する第四指令を第一位置P1に停止した走行車6に送信してもよい。この場合も、仮に、走行車6が外部からの制御が可能であったとしても、走行部50には電力が供給されないので走行車6は走行できない。そこで、走行用軌道4においても、第一位置P1と作業用軌道41との間、及び作業用軌道と第二位置P2との間にも、作業用軌道41に形成される第一部分43B及び第二部分43Aを形成する(
図4参照)。すなわち、走行用軌道4の走行面には、鉛直方向において、内輪51Bに対向する第一部分が、外輪51Aに対向する第二部分よりも上方に位置するように形成されている。このような変形例においても、走行車6を移動装置60によって自由に移動できる状態とすることができる。
【0069】
上記実施形態では作業エリア160(すなわち、作業用軌道41)が走行用軌道4と走行用軌道4との間に配置されている例を挙げて説明したが、作業エリア160は、走行用軌道4の終端部に配置されてもよい。この場合、第三指令による移動装置60の移動方向と第五指令による移動装置60の移動方向とは、互いに反対の方向となる。すなわち、第三指令によって、走行用軌道4から作業用軌道41に走行車6を進入させ、第五指令によって、作業用軌道41から走行用軌道4に走行車6を退出させる。
【0070】
上記実施形態の移動装置60は、第一アーム部61と第二アーム部65とが移動プレート71に設けられ、一体的に延在方向Xに移動する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第一アーム部61及び第二アーム部65は、ベースプレート70に設けられ、ベースプレート70に対してそれぞれ独立して延在方向Xに移動可能に設けられてもよい。
【0071】
上記実施形態の作業用軌道41では、下方支持部43は、鉛直方向において第一部分43Bが第二部分43Aよりも上方に位置するように形成されている例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、走行部50の走行輪が内輪51Bとして形成され、走行補助輪が外輪51Aとして構成されている場合には、第二部分43Aが第一部分43Bよりも上方に位置するように形成されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…走行車システム、4…走行用軌道(給電軌道)、41…作業用軌道(無給電軌道)、40E…給電部、6…天井走行車(走行車)、35…本体コントローラ、50…走行部、60…移動装置、80…吸引装置、90…搬送コントローラ、95…ユニットコントローラ、100…清掃ユニット、P1…第一位置、P2…第二位置。