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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】車両遠隔制御方法及び車両遠隔制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20230511BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230511BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20230511BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20230511BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W60/00
B60W50/10
B60R99/00 360
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021544946
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 IB2019001028
(87)【国際公開番号】W WO2021048580
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康啓
(72)【発明者】
【氏名】小林 隼也
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538780(JP,A)
【文献】特開2016-074285(JP,A)
【文献】特開2019-061686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行制御機能を備えた車両を遠隔操作器遠隔操作する車両遠隔制御方法において
前記遠隔操作器は、
前記遠隔操作器のタッチパネルにより検出されたジェスチャの検出座標の時間的変移を示す検出座標情報を取得し、
前記遠隔操作器に生じる物理的変化の変化量を検出して、前記変化量の時間的変移を示す操作器変移情報を取得し、
前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定し、
前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合に、前記車両に自律走行制御を実行させる車両遠隔制御方法。
【請求項2】
前記遠隔操作器に生じる物理的変化とは、前記遠隔操作器に生じる姿勢の変化である請求項1に記載の車両遠隔制御方法。
【請求項3】
前記遠隔操作器に生じる物理的変化とは、前記タッチパネルに加わる圧力の変化である請求項1に記載の車両遠隔制御方法。
【請求項4】
前記遠隔操作器は、
前記ジェスチャが、予め設定した指令ジェスチャであるか否かを判定し、
前記ジェスチャが前記指令ジェスチャである場合に、前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定し、
前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合に、前記車両に自律走行制御を実行させる請求項1~3のいずれか1項に記載の車両遠隔制御方法。
【請求項5】
前記遠隔操作器は、
前記ジェスチャが、予め設定した指令ジェスチャであるか否かを判定し、
前記ジェスチャが前記指令ジェスチャである場合に、前記車両に自律走行制御を実行させ、
前記車両による自律走行制御の実行開始後に、前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定し、
前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合に、前記車両に自律走行制御を継続させ、
前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とに相関性がない場合に、前記車両に自律走行制御を中止させる請求項1~3のいずれか1項に記載の車両遠隔制御方法。
【請求項6】
前記遠隔操作器は、インストールされたアプリケーションソフトウェアの処理によって前記遠隔操作器として機能する携帯情報端末であり、
前記遠隔操作器に生じる物理的変化は、前記携帯情報端末が予め備えるセンサ検出する請求項1~5のいずれか1項に記載の車両遠隔制御方法。
【請求項7】
前記遠隔操作器は、前記ジェスチャが検出されなくなった場合、前記車両の自律走行制御を中止する請求項1~6のいずれか1項に記載の車両遠隔制御方法。
【請求項8】
前記遠隔操作器は、
前記遠隔操作器のタッチパネルにより検出されたジェスチャの検出座標の時間的変移を示す検出座標情報を検出し、
前記遠隔操作器に生じる物理的変化の変化量を検出できない場合は、操作者に対し、操作者のタッチ操作によってジェスチャを入力するように案内情報を提示する請求項1~7のいずれか1項に記載の車両遠隔制御方法。
【請求項9】
自律走行制御機能を備えた車両を遠隔操作器により遠隔操作するための車両遠隔制御装置であって、
前記遠隔操作器に生じる物理的変化の変化量を検出し、前記変化量の時間的変移を示す操作器変移情報を取得し、前記遠隔操作器のタッチパネルにより検出されたジェスチャの検出座標の時間的変移を示す検出座標情報を取得し、前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定する判定部と、
前記検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合に、前記車両に自律走行制御を実行させる指令部と、を備える車両遠隔制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行制御機能を備えた車両を遠隔操作により自律走行させる車両遠隔制御方法及び車両遠隔制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の遠隔操作装置のタッチパネルに入力されたジェスチャが、予め決められたジェスチャと一致するか否かを判定し、一致した場合に当該ジェスチャに割り当てられた所定の機能を車両に実行させる車両の遠隔制御方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許公開第2016/0170494号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、タッチパネルに入力されているジェスチャが、実際に操作者によって入力されているのか否かを判定することはできなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、操作者によってジェスチャが入力されているのか否かを判定することができる車両遠隔制御方法及び車両遠隔制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自律走行制御機能を備えた車両を遠隔操作器により遠隔操作する際に、遠隔操作器のタッチパネルにより検出されたジェスチャの検出座標の時間的変移を示す検出座標情報を取得し、遠隔操作器に生じる物理的変化の変化量を検出して、この変化量の時間的変移を示す操作器変移情報を取得する。そして、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定し、相関性がある場合に、車両に自律走行制御を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合、遠隔操作器に生じている物理的変化が、タッチパネルに対するジェスチャの入力によって生じていると判断することができる。したがって、入力されたジェスチャが操作者によって入力されているのか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の車両遠隔制御方法及び車両遠隔制御装置を適用したリモート駐車システムを示すブロック図である。
図2図1のリモート駐車システムで実行される後退リモート駐車の一例を示す平面図である。
図3】自車両に対する図1の子機の相対位置を検出する状態を示す説明図である。
図4図1の遠隔操作器の構成を示すブロック図である。
図5図4のタッチパネルにジェスチャの入力ガイドが表示されている状態を示す説明図である。
図6A図4のタッチパネルで検出したX軸方向のタッチ操作の検出値と、検出値から求めた検出座標情報とを示すグラフである。
図6B図4のタッチパネルで検出したY軸方向のタッチ操作の検出値と、検出値から求めた検出座標情報とを示すグラフである。
図7A図4のセンサで検出した遠隔操作器の複合姿勢変化量を示すグラフである。
図7B図7Aに示す複合姿勢変化量から抽出した、ジェスチャの入力によって遠隔操作器に生じている姿勢変化量を示すグラフである。
図8図6A及び図6Bに示す検出座標情報と、図7Bに示すジェスチャの入力によって遠隔操作器に生じている姿勢変化量との比較図である。
図9図1のリモート駐車システムで実行される制御手順の一例を示すフローチャートである。
図10図9のリモート操作の手順を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態のリモート操作の手順を示すフローチャートである。
図12】第3実施形態のリモート操作の手順を示すフローチャートである。
図13】遠隔操作器のタッチパネルに案内情報を表示した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の車両遠隔制御方法及び車両遠隔制御装置を適用したリモート駐車システム1を示すブロック図である。本明細書において「自律走行制御」とは、ドライバの運転操作に依ることなく、車載された走行制御装置の自動制御により、車両を走行させることをいう。「自律駐車制御」とは、自律走行制御の一種であって、ドライバの運転操作に依ることなく、車載された走行制御装置の自動制御により、車両を駐車(入庫又は出庫)させることをいう。また、「駐車」とは、駐車スペースへ車両を継続的に止めておくことをいうが、「走行経路」という場合には、駐車スペースへ車庫入れする場合の駐車経路のみならず、駐車スペースからの車庫出し経路をも含むものとする。その意味で、「駐車時の車両走行制御方法及び車両走行制御装置」は、駐車スペースへの車庫入れ時の車両の走行制御と、駐車スペースからの車庫出し時の車両走行制御との両方が含まれる。なお、車庫入れを入庫とも言い、車庫出しを出庫とも言う。以下の実施形態においては、本発明に係る遠隔制御方法及び遠隔制御装置を、遠隔制御された車両を自律走行制御により駐車するリモート駐車システムに適用した一例を挙げて、本発明の具体例を説明する。本実施形態のリモート駐車システム1は、ドライバなどの操作者が車両に乗車して当該操作者の介入操作が可能なアシストモードにより自律走行制御を行う。その後、操作者が車両から降車し、車両の外部から遠隔操作器を用いたリモートコントロールモードにより自律走行制御を行う。
【0010】
本実施形態のリモート駐車システム1は、駐車スペースへの車庫入れ又は駐車スペースからの車庫出しをする場合に、自律走行制御により車庫入れ又は車庫出しを行うシステムである。より具体的には、車庫入れの途中でドライバが降車し、安全を確認しながら、遠隔操作器により実行指令信号を車両に送信し続けることで、車両は自律駐車制御を継続する。そして、車両が障害物と衝突するおそれがある場合には、遠隔操作器による実行指令信号の送信を中止することで、自律駐車制御を停止するものである。以下、ドライバなどの操作者が乗車して当該操作者の介入操作が可能な自律走行制御モードをアシストモード、操作者が降車して遠隔操作を併用した車庫入れ又は車庫出しを行う自律走行制御モードをリモートコントロールモードという。
【0011】
たとえば、幅狭の車庫や両隣に他車両が駐車している駐車場など、サイドドアが充分に開くほど余裕がない幅狭の駐車スペースでは、ドライバの乗降が困難となる。このような場合でも駐車を可能とするため、遠隔操作を併用したリモートコントロールモードを利用することができる。リモートコントロールモードで車庫入れを行う場合には、リモートコントロールモードを起動し、選択した駐車スペースへの入庫経路を演算して自律駐車制御が開始されたら、ドライバは遠隔操作器を所持して降車する。降車したドライバは、遠隔操作器により車両に実行指令信号を送信し続けることで車庫入れを完了する。
【0012】
また、当該駐車スペースからの車庫出しする場合には、ドライバは所持した遠隔操作器を用いて車両の内燃機関又は駆動用モータをONし、さらにリモート出庫モードを起動し、選択した車庫出し位置への出庫経路を演算して自律出庫制御が開始されたら、ドライバは遠隔操作器により実行指令を送信し続けることで車庫出しを完了し、その後に乗車する。本実施形態のリモート駐車システム1は、このような遠隔操作を併用したリモートコントロールモードを備えるシステムである。なお、自律駐車制御の一例として、図2に示す後退自律駐車制御を例示するが、車庫出し、縦列自律駐車その他の自律駐車にも本発明を適用することができる。
【0013】
本実施形態のリモート駐車システム1は、目標駐車スペース設定器11、車両位置検出器12、物体検出器13、駐車経路生成部14、物体減速演算部15、経路追従制御部16、目標車速生成部17、操舵角制御部18、車速制御部19、親機20、遠隔操作器21及び子機22を備える。目標駐車スペース設定器11、車両位置検出器12、物体検出器13、駐車経路生成部14、物体減速演算部15、経路追従制御部16、目標車速生成部17、操舵角制御部18、車速制御部19及び親機20は、車両に搭載されている。遠隔操作器21及び子機22は、ドライバなどの操作者により所持される。以下、各構成を説明する。
【0014】
目標駐車スペース設定器11は、リモートコントロールモードにおいて、自車両の周辺に存在する駐車スペースを探索し、駐車可能な駐車スペースの中から操作者に所望の駐車スペースを選択させる。また、目標駐車スペース設定器11は、選択された駐車スペースの位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)を駐車経路生成部14に出力する。
【0015】
目標駐車スペース設定器11は、上述した機能を発揮するために、入力スイッチ、複数のカメラ、駐車スペース検出部及びタッチパネル型ディスプレイ(いずれも図示せず)を備える。入力スイッチは、リモートコントロールモードと、アシストモードを択一的に選択する。複数のカメラは、車両の周囲を撮影する。なお、目標駐車スペース設定器11のカメラは、後述する物体検出器13のカメラと兼用してもよい。駐車スペース検出部は、複数のカメラで撮影された画像データから駐車可能な駐車スペースを検出するソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータである。タッチパネル型ディスプレイは、検出された駐車スペースの表示と、駐車スペースの選択に用いる。
【0016】
目標駐車スペース設定器11は、ドライバなどの操作者が、入力スイッチによりリモートコントロールモードを選択すると、複数のカメラにより自車両の周囲の画像データを取得し、画像データを解析して駐車可能な駐車スペースを検出する。また、目標駐車スペース設定器11は、駐車可能な駐車スペースを含む画像をタッチパネル型ディスプレイに表示し、操作者に車両を駐車したい駐車スペースの選択を促す。操作者が、表示された駐車スペースから所望の駐車スペースを選択すると、目標駐車スペース設定器11は、この駐車スペースの位置情報を駐車経路生成部14に出力する。なお、駐車可能な駐車スペースを探索する場合に、ナビゲーション装置の地図情報に詳細な位置情報を有する駐車場情報が含まれるときは、当該駐車場情報を用いてもよい。
【0017】
車両位置検出器12は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどから構成されている。GPSユニットは、複数の衛星通信から送信される電波を検出し、自車両の位置情報を周期的に取得する。車両位置検出器12は、GPSユニットにより取得した自車両の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、自車両の現在位置を検出する。車両位置検出器12により検出された自車両の位置情報は、所定時間間隔で駐車経路生成部14及び経路追従制御部16に出力される。
【0018】
物体検出器13は、自車両の周辺に、障害物などの物体が存在するか否かを探索するものであり、カメラ、レーダー(ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダーなど)若しくはソナーなど、又はこれらを組み合わせたものを備える。これらのカメラ、レーダー若しくはソナー又はこれらを組み合わせたものは、自車両の周囲の外板部に装着されている。物体検出器13の装着位置としては、特に限定はされないが、たとえば、フロントバンパの中央及び両サイド、リヤバンパの中央及び両サイド、左右のセンターピラー下部のシルアウタなどの全箇所又はこれらの一部箇所に装着することができる。
【0019】
また、物体検出器13は、カメラやレーダーなどで検出された物体の位置を特定するためのソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータを備える。このコンピュータは、特定された物体情報(物標情報)とその位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)を、駐車経路生成部14と、物体減速演算部15へ出力する。これらの物体情報及び位置情報は、自律駐車制御の開始前においては、駐車経路生成部14による駐車経路の生成に利用される。また、物体情報及び位置情報は、自律駐車制御中においては、不意な障害物などの物体を検出した場合に、物体減速演算部15により自車両を減速又は停車させる制御に利用される。
【0020】
駐車経路生成部14は、自車両の現在位置から目標駐車位置に向かう駐車経路(リモートコントロールモードの場合は入庫経路をいう。以下同じ。)であって、物体に衝突又は干渉しない駐車経路を演算する。駐車経路の演算には、予め記憶している自車両の大きさ(車幅、車長及び最小回転半径など)と、目標駐車スペース設定器11からの目標駐車位置(リモートコントロールモードの場合は駐車スペースの位置情報をいう。以下同じ)と、車両位置検出器12からの自車両の現在位置情報と、物体検出器13からの物体(障害物)の位置情報とを用いる。
【0021】
図2は、リモートコントロールモードの一例を示す平面図である。図2に示す自車両Vの現在位置P1において、ドライバなどの操作者Uが車内の入力スイッチを操作してリモートコントロールモードを選択すると、目標駐車スペース設定器11は1つの駐車可能な駐車スペースTPSを探索してこれを含む画像をディスプレイに表示する。これに対して操作者Uが駐車スペースTPSを選択すると、駐車経路生成部14は、現在位置P1から切り返し位置P3に至る駐車経路R1と、切り返し位置P3から目標とする駐車スペースTPSに至る駐車経路R2とを演算する。そして、この一連の駐車経路R1、R2を経路追従制御部16及び目標車速生成部17に出力する。
【0022】
物体減速演算部15は、物体検出器13からの障害物その他の物体の位置情報を入力し、物体との距離と、車速とに基づいて、物体と衝突するまでの時間(TTC:Time to Collision)を演算し、自車両の減速開始タイミングを演算する。たとえば、図2に示すリモートコントロールモードでは、切り返し位置P3における道路の右側の壁W、目標とする駐車スペースTPSに至る駐車経路R2の左右両側の家屋H1、H2及び植木WDなどが障害物としての物体となる。物体減速演算部15は、これらの障害物との距離が所定以上である場合は、車速を初期設定値とし、自車両Vが障害物に衝突するまでの時間TTCが所定値以下になるタイミングで、自車両Vの車速を減速する。また、図2に示す一連の自律駐車制御を実行中に、駐車経路R1、R2の中に不意な障害物を検出した場合も同様に、自車両Vがその障害物に衝突するまでの時間TTCが所定値以下になるタイミングで、自車両Vの車速を減速又は停車させる。この減速開始タイミングは、目標車速生成部17に出力する。
【0023】
経路追従制御部16は、駐車経路生成部14からの駐車経路と、車両位置検出器12からの自車両の現在位置とに基づいて、所定時間間隔で自車両を駐車経路に沿って追従するための目標操舵角を演算する。図2の駐車経路R1、R2についていえば、経路追従制御部16は、現在位置P1から切り返し位置P3まで直進及び右旋回する駐車経路R1の目標操舵角を、自車両Vの現在位置ごとに所定時間間隔で演算する。同様に、経路追従制御部16は、切り返し位置P3から目標とする駐車スペースTPSまで左旋回及び直進する駐車経路R2の目標操舵角を、自車両Vの現在位置ごとに所定時間間隔で演算する。経路追従制御部16は、算出した目標操舵角を操舵角制御部18に出力する。
【0024】
目標車速生成部17は、駐車経路生成部14からの駐車経路と、物体減速演算部15からの減速開始タイミングとに基づいて、所定時間間隔で自車両を駐車経路に沿って追従する際の目標車速を演算する。図2の駐車経路R1、R2についていえば、現在位置P1から発進し、直進及び右旋回して切り返し位置P3で停止する際の目標車速を、自車両Vの現在位置ごとに所定時間間隔で演算し、車速制御部19に出力する。同様に、目標車速生成部17は、切り返し位置P3から再度発進(後退)し、目標とする駐車スペースTPSの途中まで左旋回する際の目標車速と、目標とする駐車スペースTPSに接近して停車する際の目標車速とを、自車両Vの現在位置ごとに所定時間間隔で演算し、車速制御部19に出力する。また、図2に示す一連の自律駐車制御を実行中に、駐車経路R1、R2の中に不意な障害物を検出した場合は、物体減速演算部15から減速又は停車タイミングが出力されるので、これに応じた目標車速を車速制御部19に出力する。
【0025】
操舵角制御部18は、経路追従制御部16からの目標操舵角に基づいて、自車両Vの操舵系システムに設けられた操舵アクチュエータを動作する制御信号を生成する。また、車速制御部19は、目標車速生成部17からの目標車速に基づいて、自車両Vの駆動系システムに設けられたアクセルアクチュエータを動作する制御信号を生成する。これら操舵角制御部18と車速制御部19とを同時に制御することで、自律駐車制御が実行される。
【0026】
次に、子機22と、親機20について説明する。車両の自律走行制御に関する国際規格では、車両の遠隔操作を許容する条件として、車両と操作者との距離が所定の遠隔操作距離以内(たとえば、6m以内)であることが規定されている。そのため、本実施形態のリモート駐車システム1では、操作者Uが所持する子機22と、自車両Vに搭載した親機20とを利用して、自車両Vに対する子機22の相対位置、すなわち、子機22を所持している操作者Uの自車両Vに対する相対位置を検出する。子機22及び親機20は、いわゆるキーレスエントリシステムを構成する。キーレスエントリシステムは、ドライバなどの操作者Uが子機22を所持した状態で自車両Vの所定距離以内に接近すると、自車両Vに設置した親機20と子機22との間で無線通信を行い、ドアロックの自動解除などを行うシステムである。
【0027】
本実施形態では、たとえば、図3に示すように、自車両Vの周囲の所定箇所に、親機20に接続されたアンテナ202a~202dを設置している。親機20は、アンテナ202a~202dから子機探索信号を送信する。子機22は、自車両Vの所定距離内に接近すると、各アンテナ202a~202dから送信されている子機探索信号を受信し、各アンテナ202a~202dの子機探索信号の電波強度を測定する。子機探索信号の電波強度は、子機22と、各アンテナ202a~202dとの距離によって変化する。すなわち、子機22がフロントバンパの左サイド近傍のアンテナ202bの近傍に存在する場合、アンテナ202bから受信した子機探索信号の電波強度が最も強くなるが、リヤバンパの右サイド近傍のアンテナ202cから受信した子機探索信号の電波強度は最も弱くなる。
【0028】
子機22は、測定した各アンテナ202a~202dの子機探索信号の電波強度を親機20に送信する。親機20の位置検出器201は、たとえば、子機22から受信した各アンテナ202a~202dの電波強度から、三角測量法などを用いて子機22の位置を演算するソフトウェアプログラムがインストールされたコンピユータである。位置検出器201は、子機22から受信した各アンテナ202a~202dの電波強度に基づいて、自車両Vに対する子機22の相対位置、すなわち、子機22を所持している操作者Uの自車両Vに対する相対位置を検出する。位置検出器201は、検出した子機22の相対位置を、経路追従制御部16及び目標車速生成部17(又はこれに代えて、操舵角制御部18及び車速制御部19でもよい)に出力し、遠隔操作器21に送信する。
【0029】
遠隔操作器21は、目標駐車スペース設定器11にて設定した自律駐車制御の実行を継続するか又は停止するかを、操作者Uが車外から指令するための装置である。そのため、遠隔操作器21は、経路追従制御部16及び目標車速生成部17(又はこれに代えて、操舵角制御部18及び車速制御部19でもよい)に実行指令信号を送信するための無線通信機能を備え、自車両Vに設けられた無線通信機能との間で通信を行う。
【0030】
車両の自律走行制御に関する国際規格では、操作者が遠隔操作器の操作を連続して行っている間だけ、車両に自律走行制御を実行させることが規定されている。そのため、本実施形態のリモート駐車システム1では、遠隔操作器21のタッチパネルに所定のジェスチャが連続して入力されている間だけ、遠隔操作器21から自車両Vに実行指令信号を送信し続ける。また、自車両Vは、遠隔操作器21から送信された実行指令信号を受信している間のみ、自律駐車制御を実行する。すなわち、遠隔操作器21でジェスチャが検出されなくなり、実行指令信号が送信されなくなった場合には、自律駐車制御の実行を中断又は中止する。
【0031】
遠隔操作器21は、たとえば、リモートコントロール用のアプリケーションソフトウェア(以下、アプリケーションという。)がインストールされたスマートフォンなどの携帯情報端末からなる。アプリケーションがインストールされたスマートフォンは、当該アプリケーションを起動することにより、リモート駐車システム1の遠隔操作器21として機能する。
【0032】
ところで、スマートフォンなどの携帯情報端末には、タッチパネル211に対するタッチ操作を記録して繰り返し再生する操作自動化機能を標準で備えたものや、アプリケーションソフトウェアをインストールすることによって、操作自動化機能が得られるものがある。上述したように、遠隔操作器21は、スマートフォンなどの携帯情報端末を利用しているため、操作自動化機能によってジェスチャを入力することで、実際には操作者がジェスチャを入力していないにも関わらず、自車両Vの自律駐車制御が実行される可能性がある。特に、自車両Vの遠隔操作距離を延ばすために、操作者Uが、自車両Vの近傍や、自車両Vの屋根の上に子機22を置き、子機22を所持しない状態で遠隔操作装器21の操作自動化機能を作動させてジェスチャを入力した場合、自車両Vは、操作者Uから離れた位置で、操作者Uの操作によらずに自律駐車制御を行うことになる。本実施形態のリモート駐車システム1では、操作自動化機能を利用したジェスチャの入力を抑制するために、遠隔操作器21に入力されているジェスチャが、操作者Uのタッチ操作によって入力されているのか否かを判定する。そして、操作者Uのタッチ操作によってジェスチャが入力されていない場合には、自車両Vの自律駐車制御の実行を中断又は禁止する。
【0033】
遠隔操作器21は、図4に示すように、タッチパネル211、センサ212、情報生成部213、記憶部214、判定部215、指令部216及び通信部217を備える。タッチパネル211は、操作者Uのタッチ操作により入力されたジェスチャを検出する。センサ212は、遠隔操作器21に生じる物理的変化の変化量を検出する。情報生成部213は、タッチパネル211により検出されたジェスチャの検出座標に基づいて、検出座標情報を生成する。また、情報生成部213は、遠隔操作器21の物理的変化の変化量の時間的変移(時間軸方向に対する変化量の移り変わりの集合又はプロファイル)を示す操作器変移情報を生成する。記憶部214は、検出座標情報と、予め設定された指令ジェスチャに関する指令ジェスチャ情報と、操作器変移情報とを記憶する。判定部215は、検出座標情報と指令ジェスチャ情報とを比較して、タッチパネル211で検出したジェスチャが指令ジェスチャであるか否かを判定する。また、判定部215は、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定する。指令部216は、検出したジェスチャが指令ジェスチャであって、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合に、実行指令信号を生成する。通信部217は、指令部216で生成された実行指令信号を自車両Vに送信する。
【0034】
以下、遠隔操作器21の各部について、さらに詳しく説明する。タッチパネル211には、遠隔操作器21として機能するスマートフォンのタッチパネルディスプレイが用いられる。タッチパネル211は、リモートコントロールモードにおいて、操作者Uのタッチ操作により入力されたジェスチャを検出する。タッチパネル211に入力されるジェスチャは、予め設定された規定の指令ジェスチャである。本実施形態では、たとえば、ジェスチャの1回の入力が開始される始端と、ジェスチャの1回の入力が終わる終端とが重なって閉じられた円環形状の図形を規定の指令ジェスチャとして設定している。図5に示すように、ジェスチャの入力開始時のタッチパネル211には、規定サイズの指令ジェスチャの形状を示す入力ガイド211aが表示される。また、入力ガイド211aの近傍には、「表示されている入力ガイドを矢印の方向に沿ってタッチ操作して下さい」などのメッセージが表示される。なお、入力ガイド211aは、入力されたジェスチャが指令ジェスチャであると判定された後で非表示にしてもよい。
【0035】
センサ212は、遠隔操作器21として機能する携帯情報端末が予め備える加速度センサ、ジャイロセンサ、方位センサなどのいわゆるモーションセンサである。加速度センサ、ジャイロセンサ及び方位センサは、公知のセンサであるため詳しい説明は省略する。本実施形態では、遠隔操作器21に生じる物理的変化の変化量として、遠隔操作器21の姿勢の変化の変化量を検出する。たとえば、操作者Uが遠隔操作器21にジェスチャを入力する場合に、片方の手で遠隔操作器21を保持して、反対側の手でジェスチャを入力し、あるいは片手で遠隔操作器21を保持し、その保持している側の親指でジェスチャを入力する。このように、操作者Uが遠隔操作器21を保持してジェスチャを入力すると、そのジェスチャの入力に伴い、遠隔操作器21の姿勢に変化が生じる。センサ212は、遠隔操作器21で自車両Vをリモートコントロールする際に、遠隔操作器21の姿勢の変化の変化量を検出する。
【0036】
情報生成部213は、遠隔操作器21として機能する携帯情報端末のCPU(Central Processing Unit)が、アプリケーションにしたがって動作することで機能する。図6A及び図6Bに示すグラフは、操作者Uがタッチパネル211にジェスチャを入力したときに、タッチパネル211で検出されるタッチ操作の検出値の一例を示している。図6Aのグラフは、横軸が時間、縦軸がX軸方向におけるタッチ操作の検出値xrawを示す。図6Aのグラフの縦軸のプラス側は、タッチパネル211のX軸の中心線より右側を示し、マイナス側は、X軸の中心線より左側を示す。また、図6Bのグラフは、横軸が時間、縦軸がY軸方向におけるタッチ操作の検出値yrawを示す。図6Bのグラフの縦軸のプラス側は、タッチパネル211のY軸の中心線より上側を示し、マイナス側は、Y軸の中心線より下側を示す。すなわち、検出値xraw、yrawは、タッチパネル211で検出したタッチ操作の検出座標を示す。情報生成部213は、タッチパネル211から出力された検出値xraw、yrawの移動平均値を演算し、演算した移動平均値を、検出座標の時間的変移(時間軸方向に対する検出座標の移り変わりの集合又はプロファイル)を示す検出座標情報Dx、Dyとして、記憶部214に記憶する。
【0037】
また、情報生成部213は、センサ212の加速度センサ、ジャイロセンサ、方位センサによって検出された、遠隔操作器21の姿勢の変化量の時間的変移を示す操作器変移情報を生成する。図7Aに示すグラフは、横軸が時間、縦軸がセンサ212で検出された遠隔操作器21の姿勢変化量及び変化方向を示している。遠隔操作器21は、操作者Uが保持した状態でジェスチャを入力する際に、ジェスチャの入力に伴う姿勢変化だけでなく、その他の様々な要因によって姿勢変化を生じる。たとえば、操作者Uは、タッチパネル211にジェスチャを入力しながら遠隔操作器21を上下左右に動かすことがある。また、操作者Uが歩きながらジェスチャを入力した場合、その歩行振動による姿勢変化も発生する。図7Aに示すグラフは、このような様々な要因によって遠隔操作器21生じる複合姿勢変化量Pを示している。
【0038】
情報生成部213は、センサ212で検出された複合姿勢変化量から、タッチパネル211へのジェスチャの入力によって生じている姿勢変化量(以下、ジェスチャ姿勢変化量という)を抽出し、抽出したジェスチャ姿勢変化量を操作器変移情報として記憶部214に記憶する。たとえば、図7Aに示す例であれば、情報生成部213は、複合姿勢変化量Pから、上述した検出座標情報Dx、Dyの周波数特性に近い周波数特性を有する部分、たとえば、図7Aの符号Eで示す姿勢変化量を、ジェスチャ姿勢変化量として抽出する。そして、抽出したジェスチャ姿勢変化量を、図7Bに示すように、操作器変移情報Sとして記憶部214に記憶する。
【0039】
なお、複合姿勢変化量から、ジェスチャ姿勢変化量を抽出する手法は、上記の手法に限定されない。たとえば、複合姿勢変化量を周波数特性に応じて複数の姿勢変化量に分解し、分解した複数の姿勢変化量のなかから、検出座標情報Dx、Dyの周波数特性に近い周波数特性を有する姿勢変化量を操作器変移情報としてもよい。また、予め、ジェスチャの入力によって生じる遠隔操作器21の平均的な姿勢変化量をサンプルとして記憶部214に記憶しておき、このサンプルに基づいて、複合姿勢変化量からジェスチャ姿勢変化量を抽出してもよい。
【0040】
記憶部214は、遠隔操作器21として機能する携帯情報端末が予め備えるメモリなどのストレージである。記憶部214は、上述した検出座標情報Dx、Dyと、操作器変移情報Sを記憶する。また、記憶部214は、予め設定された指令ジェスチャの形態、サイズなどに関する指令ジェスチャ情報を記憶する。さらに、記憶部214を構成するストレージには、操作自動化機能によって記録されたタッチ操作の内容を示す操作自動化情報が記憶される。この操作自動化情報は、操作自動化機能によるタッチ操作の記録時に、遠隔操作器21のタッチパネル211により検出されたジェスチャの入力座標の時間的変移を示す情報であるため、検出座標情報に相当する。
【0041】
判定部215は、遠隔操作器21として機能するスマートフォンのCPUが、アプリケーションにしたがって動作することで機能する。判定部215は、記憶部214から、タッチパネル211により検出されたジェスチャの検出座標の時間的変移を示す検出座標情報を取得する。すなわち、判定部215は、操作者Uがタッチパネル211にジェスチャを入力している場合には、情報生成部213で生成された検出座標情報Dx、Dyを取得し、操作自動化機能によってジェスチャを入力している場合には、検出座標情報として、操作自動化情報を取得する。
【0042】
判定部215は、取得した検出座標情報Dx、Dyと、指令ジェスチャ情報を比較して、タッチパネル211で検出したジェスチャが指令ジェスチャであるか、ジェスチャの入力速度が所定範囲内であるかを判定する。なお、ジェスチャの入力速度を指令ジェスチャの判定に用いるのは、何らかの物体がタッチパネル211に接触して入力されたジェスチャを、操作者Uのジェスチャと区別するためである。また、判定部215が、検出座標情報として操作自動化情報を取得した場合には、操作自動化情報と、指令ジェスチャ情報とが比較される。
【0043】
また、判定部215は、遠隔操作器21に入力されているジェスチャが、操作者Uのタッチ操作によって入力されているのか否かを判定するために、検出座標情報Dx、Dyの周波数特性と、操作器変移情報Sの周波数特性とを比較して、相関性の有無を判定する。たとえば、図8は、上述した検出座標情報Dx、Dyと、操作器変移情報Sを比較した図である。この図から分かるように、検出座標情報Dxと操作器変移情報Sは、少なくとも周期、波長などの周波数特性が一致している。したがって、判定部215は、検出座標情報Dxと操作器変移情報Sは、相関性を有していると判定する。このように、検出座標情報Dxの周波数特性と、操作器変移情報Sの周波数特性とが相関性を有している場合、操作者Uによって遠隔操作器21が保持された状態でタッチパネル211にジェスチャが入力されていると判断することができる。
【0044】
これに対し、遠隔操作器21で操作自動化機能によってジェスチャの入力が行われている場合には、判定部215は、検出座標情報として、記憶部214から操作自動化情報を取得している。また、操作自動化機能によるジェスチャの入力時には、遠隔操作器21には、ジェスチャの入力によって生じる姿勢変化は発生しないので、情報生成部213で生成される操作器変移情報は、ジェスチャの入力によって生じる姿勢変化量を含まない。したがって、判定部215により、操作自動化情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とを比較しても相関性は認められない。これにより、操作者Uによってジェスチャが入力されていないと判断され、自車両Vに実行指令信号は送信されないので、操作自動化機能によるジェスチャの入力を抑制することができる。
【0045】
次に、遠隔操作器21の指令部216及び通信部217について説明する。指令部216は、遠隔操作器21として機能するスマートフォンのCPUが、アプリケーションにしたがって動作することで機能する。指令部216は、タッチパネル211で検出されたジェスチャが、判定部215で指令ジェスチャであると判定され、ジェスチャが操作者Uによって入力されたと判定された場合に、自車両Vに自律走行制御機能による自律駐車制御を実行させるための実行指令信号を生成する。指令部217は、生成した実行指令信号を通信部216に出力する。
【0046】
通信部217には、遠隔操作器21として機能するスマートフォンが予め備えている通信機能を利用する。通信部217は、たとえば、Bluetooth(登録商標)などの無線通信部であり、リモートコントロールモードにおいて、自車両Vに搭載された無線通信部(図示せず)と接続する。通信部217は、指令部216で生成された実行指令信号を自車両Vに送信する。なお、通信部217として、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)や、携帯電話回線などを用いてもよい。
【0047】
図1に示すように、自車両Vに送信された実行指令信号は、経路追従制御部16と、目標車速生成部17とに入力される。また、上述したように、自車両Vと子機22との相対位置は、位置検出器201から、経路追従制御部16と目標車速生成部17とに入力されている。経路追従制御部16は、自車両Vと子機22との距離が遠隔操作距離以内であって、かつ、遠隔操作器21からの実行指令信号が入力された場合に、操舵角制御部18に目標操舵角を出力する。同様に、目標車速生成部17は、自車両Vと子機22との距離が遠隔操作距離以内であって、かつ、遠隔操作器21からの実行指令信号が入力された場合に、車速制御部19に目標車速を出力する。操舵角制御部18は、経路追従制御部16からの目標操舵角に基づいて、自車両Vの操舵系システムに設けられた操舵アクチュエータを動作する制御信号を生成する。また、車速制御部19は、目標車速生成部17からの目標車速に基づいて、自車両Vの駆動系システムに設けられたアクセルアクチュエータを動作する制御信号を生成する。
【0048】
また、経路追従制御部16は、自車両Vと子機22との距離が遠隔操作距離よりも離れている場合には、遠隔操作器21からの実行指令信号が入力されている場合であっても、操舵角制御部18に目標操舵角を出力しない。同様に、目標車速生成部17は、自車両Vと子機22との距離が遠隔操作距離よりも離れている場合には、遠隔操作器21からの実行指令信号が入力されている場であっても、車速制御部19に目標車速を出力しない。すなわち、自車両Vと子機22との距離が遠隔操作距離よりも離れている場合には、遠隔操作器21から指令ジェスチャが入力されていても自律駐車制御は実行されない。
【0049】
次に図9及び図10を参照して、本実施形態のリモート駐車システム1の制御フローを説明する。ここでは、図2に示す後退駐車を自律駐車制御により実行するシーンを説明する。図9は、本実施形態のリモート駐車システム1で実行される制御手順を示すフローチャートである。図10は、遠隔操作器21におけるジェスチャの検出、判定及び実行指令信号の送信までの手順を示すフローチャートである。
【0050】
まず、自車両Vが目標とする駐車スペースTPSの近傍の位置P1に到着すると、図9に示すステップS1において、ドライバなどの操作者Uは、車載された目標駐車スペース設定器11のリモート駐車の開始スイッチをONしてリモート入庫モードを選択する。目標駐車スペース設定器11は、ステップS2にて、車載された複数のカメラなどを用いて自車両Vが駐車可能な駐車スペースを探索し、ステップS3にて駐車可能な駐車スペースがあるか否かを判定する。駐車可能な駐車スペースがある場合はステップS4へ進み、駐車可能な駐車スペースがない場合はステップS1へ戻る。ステップS2により駐車可能な駐車スペースが検出されない場合は、「駐車スペースがありません」といった言語表示または音声にて操作者に報知し、本処理を終了してもよい。
【0051】
目標駐車スペース設定器11は、ステップS4にて、駐車可能な駐車スペースを車載のディスプレイに表示し、操作者Uに希望する駐車スペースの選択を促し、操作者Uが特定の駐車スペースTPSを選択したら、その目標駐車位置情報を駐車経路生成部14へ出力する。駐車経路生成部14は、ステップS5において、自車両Vの現在位置P1と目標駐車位置である駐車スペースTPSとから、図2に示す駐車経路R1,R2を生成する。物体減速演算部15は、物体検出器13により検出された物体情報に基づいて、自律駐車制御時の減速開始タイミングを演算する。駐車経路生成部14により生成された駐車経路R1,R2は経路追従制御部16へ出力され、物体減速演算部15により演算された減速開始タイミングは、目標車速生成部17へ出力される。
【0052】
以上により自律駐車制御がスタンバイ状態となるので、ステップS6にて、操作者に自律駐車制御の開始の承諾を促し、操作者が開始を承諾すると、アシストモードによる自律走行制御が開始される。図2に示す後退駐車においては、現在位置P1から一旦右旋回で前進し、切り返し位置P3に到着したら、左旋回で中間停車位置P4まで後退する。
【0053】
ステップS7では、自車両Vの位置が中間停車位置P4に到達したので、自車両Vを停車し、操作者Uに降車を促す。ステップS7にて降車が促され、操作者が遠隔操作器21を持って降車すると、ステップS8にて、操作者Uは遠隔操作器21を起動する。これにより遠隔操作が開始される。なお、遠隔操作器21による遠隔操作の開始入力は、遠隔操作器21にインストールされたアプリケーションの起動のほか、ドアの開錠操作、ドアの施錠及び開錠操作、これらとアプリケーションの起動の組み合わせなどを例示することができる。なお、ステップS7からステップS9までの間は、自車両Vは停車状態とされる。
【0054】
ステップS9においては、遠隔操作器21と自車両Vとのペアリング処理が行われる。ステップS9のペアリング処理により、自車両Vが遠隔操作器21を認証して指令の受け付けが可能になると、ステップS10にてリモート操作が開始される。
【0055】
遠隔操作器21によるリモート操作では、図10のステップS101にて、自車両Vに対する子機22の相対位置、すなわち子機22を所持する操作者Uの相対位置の検出を開始する。子機22は、自車両Vの各アンテナ202a~202dから送信されている子機探索信号を受信し、各アンテナ202a~202dの子機探索信号の電波強度を測定する。子機22は、測定した子機探索信号の電波強度を親機20に送信する。親機20の位置検出器201は、子機22から受信した各アンテナ202a~202dの電波強度に基づいて、自車両Vに対する子機22の相対位置を検出する。これにより、操作者Uが子機22を所持している場合には、自車両Vに対する操作者Uの相対位置を検出することができる。位置検出器201は、検出した相対位置を、経路追従制御部16及び目標車速生成部17(又はこれに代えて、操舵角制御部18及び車速制御部19でもよい)に出力し、遠隔操作器21に送信する。
【0056】
遠隔操作器21は、次のステップS102にて、自車両Vと子機22との間の距離が、所定の遠隔操作距離以内である場合には、ステップS103に進んでジェスチャの入力を確認する。なお、ステップS102にて、自車両Vと子機22との間の距離が所定の遠隔操作距離以内でない場合には、タッチパネル211に対し、たとえば「車両の6m以内に近づいてください」などのメッセージを表示する。
【0057】
ステップS103でジェスチャの入力が行われている場合、判定部215は、次のステップS104にて、記憶部214から、タッチパネル211により検出されたジェスチャの検出座標の時間的変移を示す検出座標情報を取得する。すなわち、操作者Uがタッチパネル211にジェスチャを入力している場合には、情報生成部213で生成された検出座標情報Dx、Dyを取得し、操作自動化機能によってジェスチャを入力している場合には、検出座標情報として、操作自動化情報を取得する。
【0058】
次のステップS105では、情報生成部213は、センサ212で検出された複合姿勢変化量から、タッチパネル211へのジェスチャの入力によって生じている姿勢変化量を抽出し、抽出した姿勢変化量を操作器変移情報Sとして記憶部214に記憶する。
【0059】
判定部215は、ステップS106にて、記憶部214から取得した検出座標情報Dx、Dyと、指令ジェスチャ情報を比較し、タッチパネル211で検出したジェスチャが指令ジェスチャであるか否かを判定する。また、判定部215は、入力されたジェスチャが指令ジェスチャであった場合、次のステップS107にて、ジェスチャの入力速度が所定範囲内であるか否かを判定する。判定部215は、入力されたジェスチャが指令ジェスチャであり、かつ、入力速度が所定範囲内である場合に、指令ジェスチャが入力されたと判定する。なお、判定部215は、検出座標情報として、操作自動化情報を取得した場合には、操作自動化情報と、指令ジェスチャ情報とを比較する。なお、操作自動化情報は、ジェスチャの自動入力のために、指令ジェスチャと判定される適正なジェスチャのタッチ操作を記録したものであるから、判定部215によって、指令ジェスチャであると判定される。
【0060】
検出したジェスチャが指令ジェスチャであった場合、次のステップS108に進み、判定部215は、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報Sの周波数特性とを比較して、相関性の有無を判定する。判定部215が取得した検出座標情報が、操作者Uがタッチパネル211にジェスチャを入力することにより生成された検出座標情報Dx、Dyである場合には、たとえば、図8に示すように、検出座標情報Dxと操作器変移情報Sは、少なくとも周期、波長などの周波数特性が一致することになる。そのため、判定部215は、検出座標情報Dxと操作器変移情報Sは、相関性を有していると判定する。
【0061】
判定部215において、検出座標情報Dxの周波数特性と、操作器変移情報Sの周波数特性とが相関性を有していると判定された場合、次のステップS109にて、指令部216は実行指令信号を生成し、通信部217から自車両Vへ実行指令信号を送信する。次のステップS110において、ジェスチャの入力が継続されている場合には、ステップS104に戻ってジェスチャの判定と、実行指令信号の送信とを繰り返す。
【0062】
一方、遠隔操作器21で操作自動化機能によってジェスチャの入力が行われている場合には、判定部215は、検出座標情報Dx、Dyの代わりに、記憶部214から操作自動化情報を取得している。また、遠隔操作器21には、ジェスチャの入力によって生じる姿勢変化は発生しないため、情報生成部213で生成される操作器変移情報は、ジェスチャの入力によって生じる姿勢変化量を示す周波数特性を含まない。そのため、ステップS108では、判定部215は、操作自動化情報と操作器変移情報Sとを比較して、相関性がないと判定するので、自車両Vに実行指令信号は送信されない。
【0063】
図7に戻り、ステップS11では、経路追従制御部16は、自車両Vと子機22との距離が遠隔操作距離以内であって、かつ、遠隔操作器21からの実行指令信号が入力されている場合に、操舵角制御部18に目標操舵角を出力する。同様に、目標車速生成部17は、自車両Vと子機22との距離が遠隔操作距離以内であって、かつ、遠隔操作器21からの実行指令信号が入力されている場合に、車速制御部19に目標車速を出力する。操舵角制御部18は、経路追従制御部16からの目標操舵角に基づいて、自車両Vの操舵系システムに設けられた操舵アクチュエータを動作する制御信号を生成する。また、車速制御部19は、目標車速生成部17からの目標車速に基づいて、自車両Vの駆動系システムに設けられたアクセルアクチュエータを動作する制御信号を生成する。これにより、次のステップS12で自律駐車制御が実行される。
【0064】
なお、ステップS10から後述するステップS13までの処理は、ステップS13にて自車両Vが目標とする駐車スペースTPSに到着するまでの間、所定時間間隔で実行される。ステップS13にて、自車両Vが目標とする駐車スペースTPSに到着したか否かを判断し、到着していない場合はステップS10へ戻り、自車両Vが目標とする駐車スペースTPSに到着した場合は、自車両Vを停車して処理を終了する。以上により、自車両Vの現在位置P1から中間停車位置P4までの走行経路は、アシストモードによる自律走行制御を実行し、中間停車位置P4から目標とする駐車スペースTPSまでの走行経路はリモートコントロールモードによる自律走行制御を実行する。
【0065】
以上のとおり、本発明の車両の遠隔制御方法及び遠隔制御装置を適用したリモート駐車システム1によれば、自律走行制御機能を備えた自車両Vを遠隔操作器21により遠隔操作する際に、遠隔操作器21のタッチパネル211により検出されたジェスチャの検出座標の時間的変移を示す検出座標情報Dx、Dyを取得し、遠隔操作器21に生じる物理的変化の変化量を検出して、変化量の時間的変移を示す操作器変移情報Sを生成する。次いで、検出座標情報Dx、Dyの周波数特性と、操作器変移情報Sの周波数特性とを比較して相関性の有無を判定し、相関性がある場合に、自車両Vに自律走行制御を実行させる。すなわち、検出座標情報Dx、Dyの周波数特性と、操作器変移情報Sの周波数特性とが相関性を有する場合には、操作者Uのタッチ操作によってジェスチャが入力されていると判断することができる。これに対し、検出座標情報として、操作自動化情報を取得していた場合には、操作自動化情報によりタッチパネル211により検出されるジェスチャの検出座標は変化していることが検出されるが、遠隔操作器21の物理的変化は生じないため、操作自動化情報の周波数特性と、操作器変移情報Sの周波数特性とは相関性を有さないことになり、操作者Uのタッチ操作によってジェスチャが入力されていないと判断することができる。操作者Uのタッチ操作によってジェスチャが入力されていない場合、自車両Vに実行指令信号は送信されないので、操作自動化機能によるジェスチャの入力を抑制することができる。
【0066】
また、遠隔操作器21に生じる物理的変化として、遠隔操作器に生じる姿勢の変化を用いるので、操作者Uが遠隔操作器21を保持した状態でジェスチャを入力しているか否かを判定することができ、操作自動化機能によるジェスチャの入力を抑制することができる。
【0067】
また、ジェスチャが予め設定した指令ジェスチャであるか否かを判定し、ジェスチャが指令ジェスチャである場合に、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定する。そして、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合に、自車両Vに自律走行制御を実行させている。これにより、操作者Uに対し、規定の指令ジェスチャをタッチ操作によって入力することを促すことができ、操作自動化機能によるジェスチャの入力を抑制することができる。
【0068】
また、遠隔操作器21として、インストールされたアプリケーションソフトウェアの処理によって遠隔操作器21として機能する携帯情報端末を利用し、遠隔操作器21に生じる物理的変化は、携帯情報端末が予め備えるセンサによって検出している。これにより、遠隔操作器21にセンサを新たに設ける必要がないため、ローコストである。
【0069】
また、本実施形態では、ジェスチャが検出されなくなった場合に、自車両Vに自律駐車制御を中止させている。そのため、自車両Vに自律駐車制御を中止させるための操作は不要となるので、自車両Vの遠隔操作が容易になる。
【0070】
《第2実施形態》
次に、本発明の車両遠隔制御方法及び車両遠隔制御装置を適用したリモート駐車システムの第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0071】
本実施形態では、遠隔操作器21に生じる物理的変化として、タッチパネル211に加わる圧力の変化を利用する。なお、タッチパネル211に加わる圧力の変化は、センサ212として、タッチパネル211の圧力を検出する圧力センサを備えている場合には、この圧力センサの検出値を利用する。また、タッチパネル211が感圧式タッチパネルである場合、あるいは圧力センサを備えている場合には、タッチパネル211で検出された検出値を利用してもよい。
【0072】
遠隔操作器21のタッチパネル211にタッチ操作によってジェスチャを入力する場合、タッチ操作の圧力は一定ではなく、タッチ操作しやすい位置では圧力が高くなり、タッチ操作しにくい位置では圧力が低くなることがある。また、これとは逆に、タッチ操作しにくい位置では、タッチ操作を確実に行うために無意識に圧力が高くなり、タッチ操作しやすい位置では圧力が低くなることがある。このように、操作者Uの遠隔操作器21の保持の仕方や、タッチ操作の癖などによって、ジェスチャ入力時のタッチ操作の圧力は変動する。
【0073】
本実施形態では、図11に示すように、ステップS101からステップS104までは、第1実施形態と同じ手順で処理を進めるが、ステップS105aでは、タッチパネル211に加わる圧力の変化量を検出して、情報生成部213により、変化量の時間的変移を示す操作器変移情報を生成する。そして、ステップS106~ステップS108では、第1実施形態と同様に、判定部215にて、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定する。そして、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とに相関性があった場合には、ステップS109にて、指令部216で実行指令信号を生成し、通信部217で自車両Vに送信する。また、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とに相関性がない場合には、自車両Vに実行指令信号を送信しない。
【0074】
このように、遠隔操作器21に生じる物理的変化として、タッチパネル211に加わる圧力の変化を用いるので、操作者Uが実際にタッチパネル211にタッチ操作してジェスチャを入力しているか否かを判定することができ、操作自動化機能によるジェスチャの入力を抑制することができる。
【0075】
《第3実施形態》
次に、本発明の車両遠隔制御方法及び車両遠隔制御装置を適用したリモート駐車システムの第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0076】
第1実施形態及び第2実施形態では、操作器変移情報を生成するために、複数回のジェスチャの入力を必要とする。つまり、操作器変移情報を精度よく生成するには、遠隔操作器21の物理的変化の変化量のサンプリング数を増やす必要があるため、自車両Vの自律駐車制御の開始が遅くなる。本実施形態では、このような課題を解決し、自車両Vの自律駐車制御の開始が迅速に行われるようにするものである。
【0077】
本実施形態では、図12に示すように、ステップS121~ステップS124は、図10に示す第1実施形態のステップS101~ステップS104と同様の処理である。また、ステップS125~ステップS127は、第1実施形態のステップS106、ステップS107及びステップS109と同様の処理である。すなわち、本実施形態では、判定部215において、入力されたジェスチャが指令ジェスチャであるか否かを先に判定し、入力されたジェスチャが指令ジェスチャであった場合には、指令部216で実行指令信号を生成し、通信部217で自車両Vに送信する。
【0078】
次のステップS128では、図10に示す第1実施形態のステップS105のように、情報生成部213により、遠隔操作器21の姿勢変化量から操作器変異情報を生成してもよいし、図11に示す第2実施形態のステップS105aのように、タッチパネル211に加わる圧力の変化から操作器変異情報を生成してもよい。
【0079】
次のステップS129では、図10に示す第1実施形態のステップS108と同様に、判定部215によって、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定する。そして、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とに相関性がある場合には、ステップS130にて、実行指令信号の生成と送信とを継続する。また、検出座標情報の周波数特性と、操作器変移情報の周波数特性とに相関性がない場合には、ステップS131にて、実行指令信号の生成と送信とを中止する。
【0080】
以上で、説明したように、本実施形態では、ジェスチャが、予め設定した指令ジェスチャであるか否かを判定し、ジェスチャが指令ジェスチャである場合に、自車両Vに自律走行制御を実行させる。そして自車両Vによる自律走行制御の実行後に、検出座標情報の周波数特性と、前記操作器変移情報の周波数特性とを比較して相関性の有無を判定し、相関性がある場合には、自車両Vに自律走行制御を継続させ、相関性がない場合には、自律走行制御を中止させる。これにより、自車両Vの自律駐車制御の開始が迅速に行われるようになる。また、自車両Vの自律駐車制御の開始後に、ジェスチャの入力が操作者Uのタッチ操作によって行われておらず、操作自動化機能によって行われている場合には、自車両Vの自律駐車制御を中止するので、操作自動化機能によるジェスチャの入力を抑制することができる。
【0081】
上記の第1~第3実施形態では、操作者Uが携帯情報端末の操作自動化機能を利用してジェスチャを入力している場合に、自車両Vの自律走行制御を実行しないようにしたが、それと同時に、操作者Uに対し、タッチ操作によってジェスチャを入力するように案内を行うようにしてもよい。図13に示す例では、遠隔操作器21のタッチパネル211に、たとえば、「操作自動化機能の利用をやめて、タッチ操作を行ってください」などの案内情報211bを表示している。これにより、操作者Uに操作自動化機能は利用できないこと、及びタッチ操作によってジェスチャを入力する必要があることを報知することができる。なお、案内情報211bは、音声で提示してもよいし、音声とタッチパネル211による表示とを併用してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…リモート駐車システム
11…目標駐車スペース設定器
12…車両位置検出器
13…物体検出器
14…駐車経路生成部
15…物体減速演算部
16…経路追従制御部
17…目標車速生成部
18…操舵角制御部
19…車速制御部
20…親機
22…子機
21…遠隔操作器
211…タッチパネル
212…センサ
213…情報生成部
214…記憶部
215…判定部
216…指令部
217…通信部
V…自車両
TPS…目標とする駐車スペース
R1,R2…駐車経路
W…壁(障害物)
H1,H2…家屋(障害物)
WD…植木(障害物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13