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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】天井搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
B65G1/04 551A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021545161
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029593
(87)【国際公開番号】W WO2021049203
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2019167665
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6344410(JP,B2)
【文献】特開2000-012644(JP,A)
【文献】特開2005-194009(JP,A)
【文献】実開平06-037264(JP,U)
【文献】特公昭63-64371(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/079146(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道に沿って走行可能な本体部と、物品を把持する把持部を有し、前記本体部に対し複数の吊持部材によって昇降される昇降部と、を備えた天井搬送車であって、
前記把持部が設けられるベース部と、前記複数の吊持部材のそれぞれが取り付けられると共に、防振部を介して鉛直方向下方から前記ベース部を鉛直方向に移動可能に支持する複数の吊持部材取付部と、これら複数の吊持部材取付部のそれぞれと前記ベース部との相対位置関係を固定するロック機構と、を有する、前記昇降部と、
少なくとも前記昇降部の昇降動作の一部において、前記相対位置関係を固定するロック状態となるように前記ロック機構を制御し、少なくとも前記本体部の走行動作の一部において、前記ロック状態を解除してアンロック状態となるように前記ロック機構を制御する制御部と、を備える、天井搬送車。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ベース部に設けられており、前記ロック機構は、前記吊持部材取付部と前記ベース部との間の距離に応じて可動する連動部と、前記連動部を可動状態と可動不能状態とに切り替える切替部と、を有し、
前記切替部は、前記連動部を前記可動不能状態とすることにより前記ロック機構を前記ロック状態とし、前記連動部を前記可動状態とすることにより前記ロック機構を前記アンロック状態とする、請求項1記載の天井搬送車。
【請求項3】
前記切替部は、印加時に前記可動不能状態とし、無印加時に前記可動状態とするブレーキ機構であり、
前記把持部は、
閉状態とすることで前記物品を把持し、開状態とすることで前記物品の把持を解放する爪部と、
前記爪部を開閉する駆動部と、
無印加時に前記爪部の開閉をロックし、印加時に前記爪部における前記ロックを解除するブレーキ機構と、を備える、請求項2記載の天井搬送車。
【請求項4】
前記複数の吊持部材取付部は、リンク機構によって互いに連結されており、
前記リンク機構は、互いに連結される前記吊持部材取付部と前記ベース部との間の各距離同士を互いに近づけるように動作し、
前記リンク機構の動作を規制することにより、前記ロック機構を前記ロック状態とする、請求項1~3の何れか一項記載の天井搬送車。
【請求項5】
前記制御部は、前記昇降部の昇降動作を停止させた状態で、前記ロック機構が前記ロック状態となるように作動させる、請求項1~4の何れか一項記載の天井搬送車。
【請求項6】
前記制御部は、前記物品の移載箇所から前記物品を所定距離持ち上げた後、前記ロック機構が前記ロック状態となるように作動させる、請求項1~5の何れか一項記載の天井搬送車。
【請求項7】
前記制御部は、前記昇降部が下降を開始する前に、前記ロック機構が前記ロック状態となるように作動させる、請求項1~6の何れか一項記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道に沿って走行可能な本体部と、物品を把持する把持部を有し、本体部に対し複数の吊持部材が巻き取り及び繰り出しされることにより昇降する昇降部と、を備えた天井搬送車が知られている。例えば、特許文献1には、把持部が設けられるベース部と、防振部を介して鉛直方向下方からベース部を鉛直方向に移動可能に支持すると共に吊持部材が固定される吊持部材取付部と、を有する昇降部を備える天井走行車が開示されている。特許文献1の天井走行車では、走行中に物品に伝わる振動を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-145134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の天井搬送車では、走行中に物品に伝達される振動を低減することはできるものの、昇降部を上下方向へ移動させて物品を移載する際に物品に揺れが生じ、物品の移載位置への特に高さ方向における位置決めを難しくしている。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、走行時に物品に伝達される振動を低減しつつ、移載時の位置決めが容易になる天井搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、軌道に沿って走行可能な本体部と、物品を把持する把持部を有し、本体部に対し複数の吊持部材によって昇降される昇降部と、を備えた天井搬送車であって、把持部が設けられるベース部と、複数の吊持部材のそれぞれが取り付けられると共に、防振部を介して鉛直方向下方からベース部を鉛直方向に移動可能に支持する複数の吊持部材取付部と、これら複数の吊持部材取付部のそれぞれとベース部との相対位置関係を固定するロック機構と、を有する、昇降部と、少なくとも昇降部の昇降動作の一部において、相対位置関係を固定するロック状態となるようにロック機構を制御し、少なくとも本体部の走行動作の一部において、ロック状態を解除してアンロック状態となるようにロック機構を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この構成の天井搬送車では、吊持部材が取り付けられる吊持部材取付部とベース部との間に防振部が設けられている。これにより、走行時に生じる振動が防振部によって吸収され、振動が物品に伝達され難くなる。また、少なくとも昇降部の昇降動作の一部においてロック機構がロック状態となることによって、上記防振部に起因する揺れが低減される。これにより、移載時の位置決めが容易となる。これらの結果、走行時に物品に伝達される振動を低減しつつ、移載時の位置決めが容易になる。
【0008】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、ロック機構は、ベース部に設けられると共に吊持部材取付部とベース部との間の距離に応じて可動する連動部と、連動部を可動状態と可動不能状態とに切り替える切替部と、を有し、切替部は、連動部を可動不能状態とすることによりロック機構をロック状態とし、連動部を可動状態とすることによりロック機構をアンロック状態としてもよい。この構成の天井搬送車では、防振部における走行時の振動を吸収する動きの一部を規制及びその規制を解除することで、ロック状態とアンロック状態とが切り替えられるため、ロック機構を簡易な構成とすることができる。
【0009】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、切替部は、印加時に可動不能状態とし、無印加時に可動状態とするブレーキ機構であり、把持部は、閉状態とすることで物品を把持し、開状態とすることで物品の把持を解放する爪部と、爪部を開閉する駆動部と、無印加時に爪部の開閉をロックし、印加時に爪部におけるロックを解除するブレーキ機構と、を備えてもよい。この構成では、ロック機構が有するブレーキ機構と把持部が有するブレーキ機構の二つのブレーキ機構に同時に印加されることがなくなるので、消費電力を抑制することが可能となる。
【0010】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、複数の吊持部材取付部は、リンク機構によって互いに連結されており、リンク機構は、互いに連結される吊持部材取付部とベース部との間の各距離同士を互いに近づけるように動作し、リンク機構の動作を規制することにより、ロック機構をロック状態としてもよい。この構成では、走行時における昇降部のローリング動作を抑制することができる。また、簡易な構成でロック機構を構成することができる。
【0011】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、制御部は、昇降部の昇降動作を停止させた状態で、ロック機構がロック状態となるように作動させてもよい。この構成では、ロック機構におけるロック動作に伴って発生する振動を低減することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、制御部は、物品の移載箇所から物品を所定距離持ち上げた後、ロック機構がロック状態となるように作動させてもよい。上述の防振部を有する天井搬送車では、物品を移載箇所から持ち上げた際に振動を吸収するための挙動が防振部において発生する。そして、当該挙動の途中でロック機構によってロック状態とされると、ロックを解除後に当該挙動が再開されることがある。この構成では、防振部による挙動が収束した状態、すなわち防振部が釣り合ったタイミングでロック状態とすることができるので、ロック解除時に物品が上下移動することがなくなる。これにより、ロック解除における揺れの発生を低減することができる。
【0013】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、制御部は、昇降部が下降を開始する前に、ロック機構がロック状態となるように作動させてもよい。この構成では、昇降部の昇降動作における振動の発生をより確実に低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、走行時に物品に伝達される振動を低減しつつ、移載時の位置決めが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係る天井搬送車を示す正面図である。
図2図2は、図1の天井搬送車を前方向から見た側面図である。
図3図3は、第一吊持部材取付部を右方向から見た正面図である。
図4図4は、第二吊持部材取付部を左方向から見た正面図である。
図5図5は、リンク機構の斜視図である。
図6図6は、ベース部の背面に配置されたリンク機構の斜視図である。
図7図7は、ベース部の背面に配置されたリンク機構の斜視図である。
図8図8(A)は、ロック機構を拡大して示した図であり、図8(B)は、リンク機構が作動したときのロック機構を拡大して示した図である。
図9図1の天井搬送車の機能構成を示すブロック図である。
図10】空荷状態で物品を移載するときの第一ブレーキ、第二ブレーキ及び開閉モータの状態を示す図である。
図11】積荷状態で物品を移載するときの第一ブレーキ、第二ブレーキ及び開閉モータの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、一実施形態に係る天井搬送車を示す正面図であり、図2は、図1の天井搬送車を前方向から見た側面図である。図1及び図2では、リンク機構70の図示は省略している。図1に示される天井搬送車1は、クリーンルームの天井等、床面より高い位置に設けられる走行レール(軌道)2に沿って走行する。天井搬送車1は、例えば保管設備と所定のロードポートとの間で物品としてのFOUP(Front Opening Unified Pod)90又はレチクルポッド等を搬送する。FOUP90には、例えば、複数枚の半導体ウェハ等が収容される。FOUP90は、天井搬送車1に保持されるフランジ98を有している。
【0018】
以下の説明では、説明の便宜のため、図1における左右方向(X軸方向)を天井搬送車1の前後方向とする。図1における上下方向を天井搬送車1の上下(鉛直)方向(Z軸方向)とする。図1における奥行方向を天井搬送車1の左右方向又は幅方向(Y軸方向)とする。X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する。
【0019】
図1に示されるように、天井搬送車1は、本体部4と、昇降部10とを備えている。本体部4は、走行駆動部3と、水平駆動部(本体部)5と、回転駆動部(本体部)6と、昇降駆動部(本体部)7と、コントローラ(制御部)67と、を有している。昇降部10は、保持装置(把持部)11と、第一吊持部材取付部(吊持部材取付部)50(図3参照)と、第二吊持部材取付部(吊持部材取付部)40(図5参照)と、リンク機構70(図4参照)と、ロック機構60(図5参照)と、を有している。
【0020】
天井搬送車1には、水平駆動部5、回転駆動部6、昇降駆動部7、昇降部10及び保持装置11を覆うように前後方向に一対のカバー8,8が設けられている。一対のカバー8,8は、昇降部10が上昇端まで上昇した状態において保持装置11の下方に、FOUP90が収容される空間を形成している。落下防止機構8Aは、昇降部10が上昇端まで上昇した状態において保持装置11に保持されたFOUP90の落下を防止する。また、揺れ抑制機構8Bは、走行時における保持装置11に保持されたFOUP90の天井搬送車1の前後方向(走行方向)及び左右方向の揺れを抑制する。
【0021】
走行駆動部3は、天井搬送車1を走行レール2に沿って移動させる。走行駆動部3は、走行レール2内に配置されている。走行駆動部3は、走行レール2を走行するローラ(図示しない)を駆動する。走行駆動部3の下部には、軸3Aを介して水平駆動部5が設けられている。水平駆動部5は、回転駆動部6、昇降駆動部7及び昇降部10を水平面内で走行レール2の延在方向に直交する方向(左右方向)に移動させる。回転駆動部6は、水平面内で昇降駆動部7及び昇降部10を回転させる。昇降駆動部7は、四本のベルト(吊持部材)9の巻き上げ及び繰り出しにより昇降部10を昇降させる。なお、昇降駆動部7におけるベルト9は、ワイヤ及びロープ等、適宜の吊持部材を用いてもよい。
【0022】
図1及び図2に示されるように、本実施形態における昇降部10は、昇降駆動部7によって昇降可能に設けられており、天井搬送車1における昇降台として機能している。昇降部10は、FOUP90を把持する保持装置11を有すると共に、本体部としての水平駆動部5、回転駆動部6、及び昇降駆動部7に対してベルト9によって昇降される。保持装置11は、FOUP90を保持する。保持装置11は、L字状である一対のアーム12,12と、各アーム12,12に固定された爪部13,13と、一対のアーム12,12を開閉させる開閉機構15と、を備えている。
【0023】
一対のアーム12,12は、開閉機構15に設けられている。開閉機構15は、一対のアーム12,12を、互いに近接する方向及び互いに離間する方向に移動させる。開閉機構15の動作により、一対のアーム12,12は、前後方向に進退する。これにより、アーム12,12に固定された一対の爪部13,13が開閉する。開閉機構15は、第二ブレーキ15A(図9参照)と、開閉モータ(駆動部)15B(図9参照)と、を有している。第二ブレーキ15Aは、無磁励作動式のブレーキであり、無印加時に爪部13,13の開閉をロックし、印加時に爪部13,13におけるロックを解除する。開閉モータ15Bは、爪部13,13を開閉する。
【0024】
本実施形態では、一対の爪部13,13が開状態のときに、爪部13の保持面がフランジ98の下面の高さより下方となるように、保持装置11(昇降部10)の高さ位置が調整される。そして、この状態で一対の爪部13,13が閉状態となることで、爪部13,13の保持面がフランジ98の下面の下方へ進出し、この状態で昇降部10を上昇させることにより、一対の爪部13,13によってフランジ98が保持(把持)され、FOUP90の支持が行われる。
【0025】
昇降部10は、保持装置11が設けられるベース部10Aと、ベース部10Aを覆うカバー部10Bと、ベース部10Aを防振部50Aを介して鉛直方向下方から鉛直方向に移動可能に支持する第一吊持部材取付部50と、ベース部10Aを防振部40Aを介して鉛直方向下方から鉛直方向に移動可能に支持する第二吊持部材取付部40と、を備える。
【0026】
図3は、第一吊持部材取付部の概略構成を示した正面図であり、図4は、第二吊持部材取付部の概略構成を示した正面図である。なお、図3は、説明の便宜のため後述する第一本体部材54の一部及び第一吊持部材取付部50に連結されるリンク機構70の一部図示を省略している。図3及び図4に示されるように、第一吊持部材取付部50及び第二吊持部材取付部40は、ベルト9と昇降部10(図1参照)とを連結する機構であると共に、走行駆動部3が走行するとき又は昇降部10が昇降するときの振動がFOUP90に伝わることを抑制する機構である。
【0027】
図2に示されるように、第一吊持部材取付部50は、左右方向において昇降部10の右側に設けられている。また、第一吊持部材取付部50は、図3に示されるように前後方向において二箇所に配置されている。第一吊持部材取付部50は、接続部材51と、揺動部材53と、第一本体部材54と、第二本体部材56と、第一軸部57,57と、連結部材96と、挟持部材95と、防振部50Aと、を有している。防振部50Aは、一対の第一付勢部58,58と、一対の第二付勢部91A,91Aと、一対の第三付勢部92A,92Aと、を有している。
【0028】
接続部材51は、ベルト9に取り付けられる部材である。揺動部材53は、接続部材51に連結される部材である。揺動部材53は、第一ピン部材52を介して接続部材51に回転可能に連結される。第一本体部材54は、上端が開口する略U字状の部材であり、その底部は、水平方向に平坦となるように形成されている。第一本体部材54は、その上端が揺動部材53の両端にボルト55によって連結されている。第一本体部材54は、第一支持部材54A(図5及び図6参照)と、第二支持部材54B(図5及び図6参照)とを有している。
【0029】
第一支持部材54Aは、第一付勢部58を下方から支持する。第二支持部材54Bは、第一支持部材54Aに直交する部材である。第二本体部材56は、前後方向における揺動部材53及び第一本体部材54の略中心部同士を連結する部材である。一対の第一軸部57,57は、第一支持部材54Aから上方に延びる棒状の部材であり、前後方向に第二本体部材56を挟むように配置されている。第一軸部57におけるベース部10A側の一端は、ベース部10Aに形成された挿通孔に挿通されると共に、ベース部10Aを挟持する挟持部材95によってベース部10Aに固定されている。
【0030】
一対の第一付勢部58,58は、所定のバネ定数を有する圧縮コイルバネであり、一対の第一軸部57,57にそれぞれ挿通されている。一対の第一付勢部58,58のそれぞれの上端は、ベース部10Aに接触され、その下端は第一支持部材54Aに接触された状態で配置されている。すなわち、一対の第一付勢部58,58のそれぞれは、第一支持部材54Aとベース部10Aとの両方に接触した状態で設けられ、第一支持部材54A及びベース部10Aを互いに遠ざける方向に付勢する。防振部としての第一付勢部58は、互いに接触する部材間に伝わる振動を低減する役割を有する。
【0031】
一対の第二付勢部91A,91Aは、ウレタンゴムからなる部材であり、粘弾性を有する。一対の第二付勢部91A,91Aの上端は、ベース部10Aと隙間をあけて配置され、その下端は第一支持部材54Aに接触された状態で配置されている。すなわち、一対の第二付勢部91A,91Aのそれぞれは、第一支持部材54Aにのみ接触した状態で設けられ、第一付勢部58,58に所定値以上の荷重が加わると、連結部材96及びベース部10Aの両方に接触すると共に連結部材96及びベース部10Aを互いに遠ざける方向に付勢する。
【0032】
一対の第三付勢部92A,92Aは、ウレタンゴムからなる部材であり、粘弾性を有する。一対の第三付勢部92A,92Aのそれぞれは、ベース部10Aと挟持部材95との間に配置される。一対の第三付勢部92A,92Aのそれぞれは、ベース部10A及び挟持部材95の両方に接触すると共にベース部10A及び挟持部材95を互いに遠ざける方向に付勢する。
【0033】
図2に示されるように、第二吊持部材取付部40は、左右方向において昇降部10の左側に設けられている。第二吊持部材取付部40は、図4に示されるように、前後方向において中央部近傍に配置されている。第二吊持部材取付部40は、接続部材41,41と、揺動部材43と、第三本体部材45と、第四本体部材46と、第二軸部47,47と、挟持部材94と、防振部40Aと、を有している。防振部40Aは、一対の第一付勢部48,48と、一対の第二付勢部91B,91Bと、一対の第三付勢部92B,92Bと、を有している。
【0034】
接続部材41,41は、ベルト9,9が取り付けられる部材である。揺動部材43は、一対の接続部材41,41と、第三本体部材45とを連結する部材である。一対の接続部材41,41と揺動部材43とは、双方向に回転可能に連結され、一対の第三ピン部材42,42を介して連結される。揺動部材43と第三本体部材45とは、双方向に回転可能に連結され、第四ピン部材44を介して連結されている。
【0035】
第四本体部材46は、第三本体部材45の下端に連結されており、水平方向に延びる板材である。第四本体部材46は、第三支持部材46Aと、第四支持部材46Bとを有している。第三本体部材45は、第一付勢部48,48を下方から支持する。第三支持部材46Aは、第二付勢部91B,91Bを下方から支持する。第四支持部材46Bは、第三支持部材46Aに直交する部材である。一対の第二軸部47,47は、第三本体部材45の下端から上方に延びる棒状の部材であり、前後方向に第三本体部材45を挟むように配置されている。第二軸部47におけるベース部10A側の一端は、ベース部10Aに形成された挿通孔に挿通されると共に、ベース部10Aを挟持する挟持部材94によってベース部10Aに固定されている。
【0036】
一対の第一付勢部48,48は、所定のバネ定数を有する圧縮コイルバネであり、一対の第二軸部47,47にそれぞれ挿通されている。一対の第一付勢部48,48のそれぞれの上端は、ベース部10Aに接触され、その下端は第三本体部材45に接触された状態で配置されている。すなわち、一対の第一付勢部48,48のそれぞれは、第三本体部材45とベース部10Aとの両方に接触した状態で設けられ、第三本体部材45及びベース部10Aを互いに遠ざける方向に付勢する。防振部としての第一付勢部48は、互いに接触する部材間に伝わる振動を低減する役割を有する。
【0037】
一対の第二付勢部91B,91Bは、ウレタンゴムからなる部材であり、粘弾性を有する。一対の第二付勢部91B,91Bの上端は、ベース部10Aと隙間をあけて配置され、その下端は第三支持部材46Aに接触された状態で配置されている。すなわち、一対の第二付勢部91B,91Bのそれぞれは、第三支持部材46Aにのみ接触した状態で設けられ、第一付勢部48,48のそれぞれに所定値以上の荷重が加わると、第三支持部材46A及びベース部10Aの両方に接触すると共に第三支持部材46A及びベース部10Aを互いに遠ざける方向に付勢する。
【0038】
一対の第三付勢部92B,92Bは、ウレタンゴムからなる部材であり、粘弾性を有する。第三付勢部92B,92Bのそれぞれは、挟持部材94とベース部10Aとの間に配置され、挟持部材94及びベース部10Aの両方に接触すると共に挟持部材94及びベース部10Aを互いに遠ざける方向に付勢する。
【0039】
図5図7に示されるように、リンク機構70は、前後方向(走行方向)及び上下方向(鉛直方向)の両方に直交する左右方向(幅方向)に配列された二つの第一吊持部材取付部50及び第二吊持部材取付部40を連結すると共に、前後方向に配列された二つの第一吊持部材取付部50,50同士を連結する。リンク機構70は、第一吊持部材取付部50における第一本体部材54(連結部材96)とベース部10Aとの間の距離と、第二吊持部材取付部40における第四本体部材46とベース部10Aとの間の距離と、を互いに近づけるように動作する。また、リンク機構70は、左側に配置される第一吊持部材取付部50における第一本体部材54とベース部10Aとの間の距離と、右側に配置される第一吊持部材取付部50における第一本体部材54とベース部10Aとの間の距離とを互いに近づけるように動作する。以下、リンク機構70の詳細について説明する。
【0040】
リンク機構70は、第一シャフト71と、第二シャフト72と、第三シャフト73と、第四シャフト74と、第一ブッシュ81と、第一ブロック82と、第二ブロック83と、第二ブッシュ84と、第三ブッシュ85と、固定部86と、連結部88と、を有している。
【0041】
第一シャフト71は、第二吊持部材取付部40における第四支持部材46Bに固着された第一ブッシュ81に支持されており、前後方向に延在している。第一シャフト71は、第一ブッシュ81の挿通孔81Aに挿通され、第一ブッシュ81に対して回転可能かつ軸方向へ摺動可能に設けられている。第一ブッシュ81の材料は、第一シャフト71が所定の回転性かつ所定の摺動性を有するように適宜選定される。前後方向に配列される二つの第一シャフト71は、前後方向に略一直線上に配置されている。また、それぞれの第一シャフト71は、前後方向において一対の第一付勢部48,48がそれぞれ挿通される第二軸部47,47(図4参照)と一直線上になるように配置されている。
【0042】
第三シャフト73は、第一吊持部材取付部50における第二支持部材54Bに固着された第二ブッシュ84に支持されており、前後方向に延在している。第三シャフト73は、第二ブッシュ84の挿通孔84Aに挿通され、第二ブッシュ84に対して回転可能かつ軸方向へ摺動可能に設けられている。第四シャフト74は、第一吊持部材取付部50における第二支持部材54Bに固着された第三ブッシュ85に支持されており、前後方向に延在している。第四シャフト74は、第三ブッシュ85の挿通孔85Aに挿通され、第三ブッシュ85に対して回転可能かつ軸方向へ摺動可能に設けられている。第二ブッシュ84及び第三ブッシュ85の材料も、第一ブッシュ81と同様に、第三シャフト73及び第四シャフト74が所定の回転性かつ所定の摺動性を有するように適宜選定される。
【0043】
第三シャフト73と第四シャフト74とは、第一吊持部材取付部50を挟んで互いに平行となるように配置されている。前後方向に配列される二つの第三シャフト73,73は、前後方向に一直線上に配置されており、後段にて詳述する連結部88を介して連結されている。また、前後方向に配列される二つの第四シャフト74,74は、前後方向に一直線上に配置されている。
【0044】
第二シャフト72は、第一ブロック82(又は後述するロック機構60の一部であるギア61D)及びベース部10Aの底面に固着された第二ブロック83に支持されており、左右方向に延在している。第二シャフト72は、第二ブロック83の挿通孔83Aに挿通され、第二ブロック83に対して回転可能かつ軸方向へ摺動可能に設けられている。
【0045】
左右方向における第二シャフト72の一端は、第一シャフト71に連結されている。具体的には、第一シャフト71の端部が第二シャフト72に形成された挿通孔72Aに挿通されている。左右方向における第二シャフト72の他端は、第三シャフト73に連結されている。具体的には、第三シャフト73の端部が第二シャフト72に形成された挿通孔72Bに挿通されている。また、第二シャフト72は、左右方向における第一ブロック82(又はギア61D)と第二ブロック83との間において、第四シャフト74に連結されている。第二シャフト72は、ベース部10Aの底面に固着された固定部86を介して第四シャフト74に連結されている。固定部86は、第四シャフト74と第二シャフト72との取付公差を吸収する。
【0046】
天井搬送車1を右方向から見たときに、前側に配置される第一吊持部材取付部50に連結される第三シャフト73と、後側に配置される第一吊持部材取付部50に連結される第三シャフト73とは、連結部88を介して連結されている。連結部88は、前後方向に配列された二つの第二ブッシュ84,84の略中心となる位置に配置されている。連結部88は、前側に配置される第三シャフト73の外径よりも大きな内径を有する内挿部88Aを有する。第三シャフト73は、例えば、内挿部88A内における一箇所で樹脂等の支持部材を介して固定されている。これにより、第三シャフト73は、内挿部88Aの内部を上下左右方向に移動可能に設けられる。
【0047】
図5図6図7図8(A)及び図8(B)に示されるように、ロック機構60は、第一吊持部材取付部50における第一本体部材54(連結部材96)とベース部10Aとの相対位置関係(第一本体部材54に対するベース部10Aの相対位置及びベース部10Aに対する第一本体部材54の相対位置)を固定し、第二吊持部材取付部40における第四本体部材46とベース部10Aとの相対位置関係(第四本体部材46に対するベース部10Aの相対位置及びベース部10Aに対する第四本体部材46の相対位置)を固定する機構である。なお、ロック機構60において、両者の相対位置関係が固定された状態をロック状態と称する。ロック機構60は、ベース部10Aに設けられている。より詳細には、ロック機構60は、ギア機構(連動部)61と、第一ブレーキ(切替部)62と、を備えている。
【0048】
ギア機構61は、軸受部61Aと、軸部61Bと、ギア受部61Cと、ギア61Dとを有している。軸受部61Aは、ベース部10Aに固定されている。軸部61Bは、軸受部61Aに回転可能に設けられている。ギア受部61Cは、円筒形状の部材であり、軸部61Bに取り付けられている。ギア受部61Cは、軸部61Bの回転と共に回転可能に設けられている。ギア61Dは、その一端が第二シャフト72に対して固定されている。ギア61Dの他端は、ギア受部61Cの外周面に接触するように配置されている。
【0049】
ギア61Dは、ギア受部61Cが回転可能な状態(後述するアンロック状態)のとき、第二シャフト72の移動に伴って一端が回動すると、その他端がギア受部61Cと連動して、ギア受部61Cの外周面に接触した状態で揺動する(図8(A)及び図8(B)参照)。すなわち、ギア61Dは、第一吊持部材取付部50における第一本体部材54(連結部材96)とベース部10Aとの距離、及び第二吊持部材取付部40における第四本体部材46とベース部10Aとの距離に応じて可動可能に設けられている。
【0050】
第一ブレーキ62は、ギア機構61を構成するギア受部61Cを可動状態と可動不能状態とに切り替える。すなわち、第一ブレーキ62は、軸受部61Aに回転可能に設けられている軸部61Bを回転可能状態と回転不能状態とに切り替える。第一ブレーキ62は、励磁作動式のブレーキであり、印加時に軸部61Bを回転不能状態とし、無印加時に軸部61Bを回転可能状態とする。第一ブレーキ62は、ギア受部61Cを可動不能状態とすることにより、ロック機構60をロック状態とし、ギア受部61Cを可動状態とすることによりロック機構60をアンロック状態とする。
【0051】
図9に示されるように、コントローラ67は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。コントローラ67は、天井搬送車1における各種動作を制御する。具体的には、コントローラ67は、走行駆動部3と、水平駆動部5と、回転駆動部6と、昇降駆動部7と、第一ブレーキ62と、第二ブレーキ15Aと、開閉モータ15Bと、を制御する。コントローラ67は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。コントローラ67は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。コントローラ67は、走行レール2の給電部(給電線又はフィーダー線)等を利用して、上位コントローラ(図示せず)と通信を行う。
【0052】
本実施形態のコントローラ67は、少なくとも昇降部10の昇降動作の一部においてロック機構60をロック状態とし、少なくとも本体部4の走行動作の一部においてロック機構60を上記ロック状態から解除してアンロック状態とする。また、コントローラ67は、昇降部10の昇降動作を停止させた状態で、ロック機構60がロック状態となるように第一ブレーキ62を制御する。
【0053】
より詳細には、コントローラ67は、FOUP90の移載箇所からFOUP90を所定距離持ち上げた後、ロック機構60がロック状態となるように作動させる。具体的には、コントローラ67は、ベルト9の巻き取り量に基づいてロック機構60がロック状態となるように作動させる。ここで、昇降部10によってFOUP90を持ち上げると一時的に第一吊持部材取付部50の第一付勢部58が圧縮された後に再び伸び、これを繰り返した後に釣り合った状態となる。第二吊持部材取付部40の第一付勢部48も同様に、一時的に圧縮された後に再び伸び、これを繰り返した後に釣り合った状態となる。ここでいう所定距離とは、上記の釣り合った状態となるタイミングを見計らった距離であり、FOUP90、FOUP90に収容される被収容物の重量、及び昇降部10の上昇加速度等を考慮して適宜決定される。また、コントローラ67は、昇降部10が下降を開始する前に、ロック機構60がロック状態となるように第一ブレーキ62を作動させる。
【0054】
次に、図3を用いて第一吊持部材取付部50の動作の一例を説明する。圧縮バネである第一付勢部58には、保持装置11が空のFOUP90を保持したときに第一付勢部58が縮まないように予め与圧が付与されている。具体的には、ベース部10A、保持装置11、及び空のFOUP90の重量の和と同じ反発力が得られるように圧縮されている。このため、第一付勢部58は、保持装置11が何らかの被収容物を収容したFOUP90を把持し、第一所定値よりも大きな荷重が第一付勢部58に作用すると圧縮される。なお、比較的軽い被収容物が収容されている場合(第一付勢部58の縮み量が所定値以下の場合)、ベース部10Aは、第二付勢部91Aの端部には接触しない。すなわち、ベース部10Aは、第一付勢部58のみを介して第一本体部材54(連結部材96)に支持される。
【0055】
第一所定値よりも更に大きな第二所定値の荷重が第一付勢部58に作用すると、第一付勢部58は更に圧縮され、ベース部10Aが、第二付勢部91Aの端部に接触するようになる。すなわち、ベース部10Aは、第一付勢部58及び第二付勢部91Aを介して第一本体部材54(連結部材96)に支持されるようになる。ベース部10Aは、第一付勢部58のみを介して第一本体部材54(連結部材96)に支持される場合と比べて、第一付勢部58及び第二付勢部91Aを介して第一本体部材54(連結部材96)に支持される場合には、同じ重量に対する沈み量(ベース部10Aと第一本体部材54(連結部材96)との接近量)が小さくなる。すなわち、防振部50Aの反発係数は、第二所定値の荷重が第一付勢部58に作用するときを境にして切り替わる。
【0056】
また、第一付勢部58が縮み、第二付勢部91Aがベース部10Aに接触すると、第二付勢部91Aに反発力が生じる。当該反発力は、ベース部10Aに振動を生じさせる。ベース部10Aと挟持部材95との間に配置される第三付勢部92Aは、当該反発力によって生じる上方向への衝撃を吸収する。
【0057】
次に、図4を用いて第二吊持部材取付部40の動作の一例を説明する。圧縮バネである第一付勢部48には、保持装置11が空のFOUP90を保持したときに第一付勢部48が縮まないように予め与圧が付与されている。具体的には、第一吊持部材取付部50と同様に、ベース部10A、保持装置11、及び空のFOUP90の重量の和と同じ反発力が得られるように圧縮されている。このため、第一付勢部48は、保持装置11が何らかの被収容物を収容したFOUP90を把持し、第一所定値よりも大きな荷重が第一付勢部48に作用すると圧縮される。なお、比較的軽い被収容物が収容されている場合(第一付勢部48の縮み量が所定値以下の場合)、ベース部10Aは、第二付勢部91Bの端部には接触しない。すなわち、ベース部10Aは、第一付勢部48のみを介して第四本体部材46に支持される。
【0058】
第一所定値よりも更に大きな第二所定値の荷重が第一付勢部48に作用すると、第一付勢部48は更に圧縮され、ベース部10Aが、第二付勢部91Bの端部に接触するようになる。すなわち、ベース部10Aは、第一付勢部48及び第二付勢部91Bを介して第四本体部材46に支持されるようになる。ベース部10Aは、第一付勢部48のみを介して第四本体部材46に支持される場合と比べて、第一付勢部48及び第二付勢部91Bを介して第四本体部材46に支持される場合には、同じ重量に対する沈み量(ベース部10Aと第四本体部材46との接近量)が小さくなる。すなわち、防振部40Aの反発係数は、第二所定値の荷重が第一付勢部48に作用するときを境にして切り替わる。
【0059】
また、第一付勢部48が縮み、第二付勢部91Bがベース部10Aに接触すると、第二付勢部91Bに反発力が生じる。当該反発力は、ベース部10Aに振動を生じさせる。ベース部10Aと挟持部材94との間に配置される第三付勢部92Bは、当該反発力によって生じる上方向への衝撃を吸収する。
【0060】
次に、図5図7を用いて、左右方向に配列された第二吊持部材取付部40と第一吊持部材取付部50とを連結するリンク機構70の動作の一例を説明する。例えば、走行時の遠心力により、左側の第二吊持部材取付部40の第一付勢部48,48に力が作用したとする。第二吊持部材取付部40の第一付勢部48,48に力が作用すると第一付勢部48,48は縮められ、第四本体部材46は上方(矢印D1)に移動する。すなわち、第四本体部材46とベース部10Aとの距離が縮まる。第四本体部材46が上方に移動すると、第四本体部材46に第一ブッシュ81を介して固定された第一シャフト71の第一ブッシュ81側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として上方(矢印D2)に移動する。
【0061】
第一シャフト71の第一ブッシュ81側の端部が上方に移動すると、第二シャフト72は、右回り(矢印D3)に回転する。第二シャフト72が右回りに回転すると、これに連結された第三シャフト73の連結部88側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として上方(矢印D4)に移動する。また、第二シャフト72が右回りに回転すると、これに連結された第四シャフト74の第二シャフト72に連結される側とは反対側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として上方(矢印D4)に移動する。これにより、第二ブッシュ84を介して第三シャフト73に固定されると共に第三ブッシュ85を介して第四シャフト74に固定された第一本体部材54は上方(矢印D5)に押し上げられる。第一本体部材54が上方に押し上げられると、一対の第一付勢部58,58が縮められる。すなわち、第一本体部材54とベース部10Aとの距離が縮まる。
【0062】
一方、第一付勢部48,48が伸び、第四本体部材46は下方(矢印D1とは反対方向)に移動すると、第一シャフト71の第一ブッシュ81側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として下方(矢印D2とは反対方向)に移動する。第一シャフト71の第一ブッシュ81側の端部が下方に移動すると、第二シャフト72は、左回り(矢印D3とは反対方向)に回転する。第二シャフト72が左回りに回転すると、第三シャフト73の連結部88側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として下方(矢印D4とは反対方向)に移動し、第四シャフト74の第二シャフト72に連結される側とは反対側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として下方(矢印D4とは反対方向)に移動する。これにより、第一本体部材54が下方(矢印D5とは反対方向)に押し下げられ、一対の第一付勢部58,58が伸ばされる。
【0063】
このように、左右方向に配列される第二吊持部材取付部40と第一吊持部材取付部50とを連結するリンク機構70は、第二吊持部材取付部40及び第一吊持部材取付部50の一方のバネ部材が縮んだり伸びたりすれば、ベース部10Aの底面に固着された第一ブロック82(又はギア61D)及び第二ブロック83を支点に第二シャフト72が追従して回転運動し、第二吊持部材取付部40及び第一吊持部材取付部50の他方のバネ部材を縮めたり、伸ばしたりする。すなわち、リンク機構70は、互いに連結されている第二吊持部材取付部40及び第一吊持部材取付部50におけるベース部10Aと第四本体部材46との距離と、ベース部10Aと第一本体部材54との距離との間に差が生じたときに、互いに連結されている第二吊持部材取付部40及び第一吊持部材取付部50におけるベース部10Aと第四本体部材46との距離と、ベース部10Aと第一本体部材54との距離とを互いに近づけるように動作する。
【0064】
リンク機構70は、互いに連結される第二吊持部材取付部40及び第一吊持部材取付部50におけるベース部10Aと第四本体部材46との距離と、ベース部10Aと第一本体部材54との距離との間に差が生じたときに応力(捻り応力)が発生する第二シャフト72を有している。第二シャフト72に発生した応力に対する反力は、互いに連結されている第二吊持部材取付部40及び第一吊持部材取付部50におけるベース部10Aと第四本体部材46との距離と、ベース部10Aと第一本体部材54との距離とを互いに近づける力として作用する。
【0065】
次に、前後方向に配列された第一吊持部材取付部50同士を連結するリンク機構70の動作の一例を説明する。例えば、走行時の加速又は減速により、後側の第一吊持部材取付部50の第一付勢部58,58に力が作用したとする。第一吊持部材取付部50の第一付勢部58,58に力が作用すると第一付勢部58,58は縮められ、第一本体部材54は上方(矢印D6)に移動する。すなわち、第一本体部材54とベース部10Aとの距離が縮まる。第一本体部材54が上方(矢印D5)に移動すると、第二ブッシュ84を介して第一本体部材54に固定された第三シャフト73の連結部88側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として上方(矢印D6)に移動する。
【0066】
連結部88が上方(矢印D6)に移動すると、連結部88に連結される他方の第三シャフト73(図5において左方に配置された第三シャフト73)も、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として連結部88側の端部が上方(矢印D6)に移動する。これにより、第二ブッシュ84を介して第三シャフト73に固定された前側の第一吊持部材取付部50の第一本体部材54が上方(矢印D7)に押し上げられる。第一本体部材54が上方に押し上げられると、一対の第一付勢部58,58が縮められる。すなわち、第一本体部材54とベース部10Aとの距離が縮まる。
【0067】
一方、前側の第一吊持部材取付部50の第一付勢部58,58が伸び、第一本体部材54が下方(矢印D5とは反対方向)に移動すると、第三シャフト73の連結部88側の端部が、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として下方(矢印D6とは反対方向)に移動する。連結部88が下方に移動すると、連結部88に連結される他方の第三シャフト73も、第二シャフト72に連結される側の端部を基点として連結部88側の端部が下方(矢印D6とは反対方向)に移動する。これにより、前側の第一吊持部材取付部50の第一本体部材54が下方(矢印D7とは反対方向)に押し下げられる。第一本体部材54が下方に押し下げられると、一対の第一付勢部58,58が伸ばされる。
【0068】
このように、前後方向に配列される第一吊持部材取付部50同士を連結するリンク機構70は、一方の第一吊持部材取付部50の一方の第一付勢部58,58が縮んだり伸びたりすれば、連結部88を支点に一方の第三シャフト73の動きに他方の第三シャフト73の動きが追従して、他方の第一吊持部材取付部50の第一付勢部58,58を縮めたり伸ばしたりする。すなわち、リンク機構70は、互いに連結されている第一吊持部材取付部50におけるベース部10Aと各第一本体部材54,54との間の距離同士を互いに近づけるように動作する。
【0069】
リンク機構70は、互いに連結される第一吊持部材取付部50同士におけるベース部10Aと第一本体部材54との各距離の間に差が生じたときに応力が発生する第三シャフト73を有している。第三シャフト73に発生した応力に対する反力は、互いに連結されている第一吊持部材取付部50同士におけるベース部10Aと第一本体部材54との各距離を互いに近づける力として作用する。
【0070】
次に、ロック機構60をロック状態にしたときと、ロック機構60をアンロック状態にしたときのリンク機構70の動作について説明する。ロック機構60は、コントローラ67からの指令によって、第一ブレーキ62が印加され、軸部61Bを回転不能状態とすることでロック状態にすることができる。すなわち、軸部61Bを回転不能状態とすることで回転不能状態となったギア受部61Cに接触するギア61Dも回転不能状態となる。ギア61Dのこのようなロックは、第二シャフト72の動きを規制し、ひいてはリンク機構70全体の動きを規制する。リンク機構70の動きの規制は、第一吊持部材取付部50の第一付勢部58及び第二吊持部材取付部40の第一付勢部48の動きを規制することとなるから、第一吊持部材取付部50における第一本体部材54(連結部材96)とベース部10Aとの相対位置関係が固定され、第二吊持部材取付部40における第四本体部材46とベース部10Aとの相対位置関係が固定されたロック状態となる。
【0071】
また、ロック機構60は、第一ブレーキ62への印加がなくなると、軸部61Bが回転可能状態となってロック状態が解除され、アンロック状態になる。軸部61Bが回転可能状態になると、ギア受部61Cに接触するギア61Dも回転可能状態となる。ギア61Dのこのような状態は、第二シャフト72の動きを制限しないので、上述したようなリンク機構70の本来の動きを復活させる。
【0072】
次に、コントローラ67による第一ブレーキ62、第二ブレーキ15A及び開閉モータ15Bの制御の一例について、主に図9図11を用いて説明する。最初に、図10に示される、FOUP90を把持しない状態で、移載箇所に載置されているFOUP90を掴む場合(掴み制御)を説明する。この場合、空荷状態の天井搬送車1は、走行レール2の所定位置に停車した状態において、昇降部10の下降を開始させ(ステップS1)、フランジ98を検出した時点で、昇降部10の下降を停止させる(ステップS2)。次に、天井搬送車1は、開閉モータ15Bを作動させて爪部13,13を閉じて(ステップS3)、FOUP90を把持する。天井搬送車1は、昇降部10を所定距離上昇させ(クリープ上昇)、FOUP90の把持状態等を確認するために上昇を一旦停止させる(ステップS4)。天井搬送車1は、ここで把持状態等が問題ないと判断すると、昇降部10の上昇を再開し、走行時における昇降部10の規定位置(原点位置)で停止する(ステップS6)。ステップS4及びステップS6における昇降部10の停止は、コントローラ67からの信号、すなわち、ベルト9が所定量繰り出されたか等に基づいて制御されてもよい。天井搬送車1は、昇降部10を原点位置に格納すると走行を開始し(ステップS7)、目的位置(搬送先)にて停止する(ステップS8)。
【0073】
コントローラ67は、上述したような一連のステップS1~S8において、昇降部10が下降すると共にクリープ上昇するまで(ステップS1~S4)は、第一ブレーキ62に印加せず、ロック機構60をアンロック状態とする。なお、ステップS1~S4では、ロック機構60をロック状態としてもよいが、印加状態としないアンロック状態とする方が消費電力の観点でメリットがある。コントローラ67は、昇降部10をクリープ上昇後から原点位置に格納するまで(ステップS5~S6)、第一ブレーキ62に印加してロック機構60をロック状態とする。コントローラ67は、ステップS5においてロック機構60をロック状態とする。更に詳細には、コントローラ67は、昇降部10の昇降が開始される前、すなわち、昇降部10の昇降が停止している状態でロック機構60をロック状態にする。
【0074】
コントローラ67は、昇降部10を原点位置に格納後、第一ブレーキ62への印加を停止し、ロック機構60をアンロック状態とする。また、コントローラ67は、ステップS3において爪部13,13を閉じるときに、第二ブレーキ15Aに印加して保持装置11をアンロック状態にすると共に、開閉モータ15Bを制御する。一方、コントローラ67は、ステップS3において爪部13,13を閉じるとき以外は、第二ブレーキ15Aに印加せずに保持装置11をロック状態にする。
【0075】
次に、図11に示される、FOUP90を把持した状態で、移載箇所に把持したFOUP90を卸す場合(卸し制御)を説明する。なお、卸し制御におけるステップS1~ステップS9の動作は、ステップS1においてFOUP90を把持している点、ステップS2において所定繰出量を検出した時点で停止する点、ステップS3において爪部を開く点、ステップS4~ステップS8においてFOUP90を把持していない点で、上記掴み制御とは異なっている。
【0076】
コントローラ67は、上述したような一連のステップS1~S8において、昇降部10が移載箇所に下降するまで(ステップS1~S2)は、第一ブレーキ62に印加し、ロック機構60をロック状態とする。なお、コントローラ67は、昇降部10を下降させる前までに、ロック機構60をロック状態にしている。コントローラ67は、移載箇所にFOUP90を卸した後(ステップS3~S8)は、第一ブレーキ62には印加せず、ロック機構60をアンロック状態とする。また、コントローラ67は、ステップS3において爪部13,13を開くときに、第二ブレーキ15Aに印加して保持装置11をアンロック状態にすると共に開閉モータ15Bを制御する。一方、コントローラ67は、ステップS3において爪部13,13を閉じるとき以外は、第二ブレーキ15Aに印加せずに保持装置11をロック状態にする。
【0077】
上記実施形態の天井搬送車1の作用効果について説明する。上記実施形態の天井搬送車1では、第一吊持部材取付部50とベース部10Aとの間、及び第二吊持部材取付部40とベース部10Aとの間に、それぞれ防振部50A及び防振部40Aが設けられている。これにより、走行時に生じる振動が防振部50A及び防振部40Aによって吸収され、振動がFOUP90に伝達され難くなる。また、少なくとも昇降部10の昇降動作の一部においてロック機構60がロック状態となることによって、防振部50A及び防振部40Aに起因する揺れが低減される。これにより、移載時の位置決めが容易となる。これらの結果、走行時にFOUP90に伝達される振動を低減しつつ、移載時の位置決めが容易になる。
【0078】
上記実施形態では、ロック機構60は、ベース部10Aに設けられると共に第一吊持部材取付部50とベース部10Aとの間の距離、及び第二吊持部材取付部40とベース部10Aとの間の距離に応じて可動するギア61Dと、61Dを可動状態と可動不能状態とに切り替える第一ブレーキ62と、を有し、第一ブレーキ62が、ギア機構61を可動不能状態とすることによりロック機構60をロック状態とし、ギア機構61を可動状態とすることによりロック機構60をアンロック状態としている。これにより、第一付勢部48,58における走行時の振動を吸収する動きの一部を規制及びその規制を解除することで、ロック状態とアンロック状態とが切り替えられるので、ロック機構60を簡易な構成とすることができる。
【0079】
更に、このような本実施形態のロック機構60の構成は、例えば、支持部材(第四本体部材46又は連結部材96に該当する部材)に設けられた一部の部位をベース部10Aの一部の部位に接触させることによりロック状態と、支持部材に設けられた一部の部位をベース部10Aに非接触にさせることによりアンロック状態とする構成(比較構成)に比べ、ロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にする。すなわち、ベース部10Aに設けられると共に第一吊持部材取付部50とベース部10Aとの間の距離、又は第二吊持部材取付部40とベース部10Aとの間の距離の変動をその動きの中で制止する上記実施形態は、上記距離の変動が生じない体勢に移行させる予備動作によって上記距離をロックする比較構成と比べて、予備動作を介さずに済むことで様々なメリットがある。例えば、予備動作に起因する振動の発生を抑制することができたり、ロック状態とアンロック状態との切り替えを迅速に行えたりする。これにより、ロック状態とアンロック状態との切り替えタイミングに柔軟性を持たせることができるので、所望のタイミングで上記状態の切り替えが可能になるというメリットが生じる。
【0080】
上記実施形態では、第一ブレーキ62として、印加時に可動不能状態とし、無印加時に可動状態とするブレーキ機構を採用すると共に、第二ブレーキ15Aとして、無印加時に爪部13,13の開閉をロックし、印加時に爪部におけるロックを解除するブレーキ機構を採用している。この構成では、図10及び図11に示されるように、上述した一連の掴み制御及び卸し制御の中で、二つの第一ブレーキ62及び第二ブレーキ15Aに同時に印加されることがなくなるので、消費電力を抑制することが可能となる。
【0081】
上記実施形態では、互いに連結される第一吊持部材取付部50とベース部10Aとの間、及び第二吊持部材取付部40とベース部10Aとの間の各距離同士を互いに近づけるように動作するリンク機構70を備えている。これにより、走行時における昇降部10のローリング動作を抑制することができる。更に詳細には、リンク機構70は、走行駆動部3が走行する前後方向及び上下方向の両方に直交する左右方向(幅方向)に配列された二つの第一吊持部材取付部50及び第二吊持部材取付部40同士を連結するので、カーブ走行時又はFOUP90を横方向へ移載する時に発生する幅方向へのロール運動を抑制できる。また、リンク機構70は、走行駆動部3が走行する方向に配列された二つの第一吊持部材取付部50同士を連結するので、走行時の加速又は減速によって発生する前後方向へのロール運動を抑制できる。
【0082】
上記実施形態では、コントローラ67は、昇降部10の昇降動作を停止させた状態で、ロック機構60がロック状態となるように作動させるので、ロック機構60におけるロック動作に伴って発生する振動を低減することができる。
【0083】
上記実施形態では、コントローラ67は、FOUP90の移載箇所からFOUP90を所定距離持ち上げた後(ステップS4)、ロック機構60がロック状態となるように作動させている。上述の第一付勢部48,58を有する天井搬送車1では、FOUP90を移載箇所から持ち上げた際に振動を吸収するための挙動(一時的な圧縮及び伸び)が第一付勢部48,58において発生する。そして、当該挙動の途中でロック機構60によってロック状態とされると、ロックを解除後に当該挙動が再開される。この構成では、第一付勢部48,58による挙動が収束した状態、すなわち第一付勢部48,58が釣り合ったタイミングでロック機構60をロック状態とすることができるので、ロック解除時にFOUP90が上下移動することがなくなる。これにより、ロック解除における揺れの発生を低減することができる。
【0084】
上記実施形態では、コントローラ67は、昇降部10が下降を開始する前に、ロック機構60がロック状態となるように第一ブレーキ62を作動させている。これにより、昇降部10の昇降動作における振動の発生をより確実に低減することができる。
【0085】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0086】
上記実施形態では、左右方向に配列された二つの第一吊持部材取付部50及び第二吊持部材取付部40を連結すると共に、前後方向に配列された二つの第一吊持部材取付部50,50同士を連結するリンク機構70が設けられている例を挙げて説明したが、リンク機構70が設けられない構成の天井搬送車1であってもよい。この場合、例えば、第一吊持部材取付部50及び第二吊持部材取付部40のそれぞれに対応させて上述したロック機構60を設け、ギア61Dの一端を第四本体部材46及び連結部材96のそれぞれに接触させてもよい。この場合であっても、ロック機構60をロック状態とすれば、第一吊持部材取付部50における第一本体部材54(連結部材96)とベース部10Aとの間の距離、及び第二吊持部材取付部40における第四本体部材46とベース部10Aとの間の距離を固定することができる。
【0087】
上記実施形態及び変形例では、第一吊持部材取付部50は左右方向において昇降部10の右側に設けられ、第二吊持部材取付部40は左右方向において昇降部10の左側に設けられる例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、左右方向において第一吊持部材取付部50と第二吊持部材取付部40との位置を入れ替えてもよいし、左右方向の両側に第一吊持部材取付部50又は第二吊持部材取付部40を配置してもよい。
【0088】
上記実施形態及び変形例の第一付勢部58又は第一付勢部48に代えて、又は加えて、例えばシリコーン樹脂等によって形成されるゲル状の弾性体を配置してもよい。この場合であっても、第一付勢部58又は第一付勢部48を配置する場合と同様に振動及び衝撃を吸収することができる。
【0089】
上記実施形態及び変形例では、ロック機構60を制御するコントローラ67は、本体部4に設けられている例を挙げて説明したが、例えば、天井搬送車1全体を制御するコントローラとは別に、昇降部10に設けられてもよい。また、上記実施形態及び変形例では、昇降部10の原点位置での停止は、コントローラ67からの信号に基づいて制御される例を挙げて説明したが、昇降部10に設けられた原点位置を検知するセンサ等に基づいて制御してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…天井搬送車、4…本体部、9…ベルト(吊持部材)、10…昇降部、10A…ベース部、13…爪部、15…開閉機構、15A…第二ブレーキ、15B…開閉モータ、40…第二吊持部材取付部(吊持部材取付部)、40A…防振部、50…第一吊持部材取付部(吊持部材取付部)、50A…防振部、60…ロック機構、61…ギア機構、61A…軸受部、61B…軸部、61C…ギア受部、61D…ギア、62…第一ブレーキ、67…コントローラ(制御部)、70…リンク機構、90…FOUP(物品)。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11