(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】自動倉庫システム、及び、自動倉庫システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2022505155
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2021007101
(87)【国際公開番号】W WO2021177135
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020034896
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】名古 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】垣貫 剛
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴弘
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-17188(JP,A)
【文献】特開2013-61736(JP,A)
【文献】特開2007-200205(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168060(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動倉庫と、
複数の作業ステーションと、
前記複数の自動倉庫及び前記複数の作業ステーションにアクセス可能に設けられる走行経路と、
前記走行経路を走行する複数の無人搬送車と、
前記走行経路の少なくとも一部を含むエリアを前記無人搬送車が走行する走行エリアとして決定し、当該走行エリアに属する前記自動倉庫と前記作業ステーションとの間で荷物の搬送を行うように前記無人搬送車を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記自動倉庫又は前記作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づき、前記走行エリアの大きさを決定する、
自動倉庫システム。
【請求項2】
前記エリアは複数の基準エリアを有しており、
前記コントローラは、前記自動倉庫又は前記作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づいて、隣接する複数の前記基準エリアを統合するか、又は、前記基準エリアに分節することで、前記走行エリアの大きさを変更する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記走行エリアを複数設定するときに、各走行エリアに属する前記自動倉庫又は前記作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況が近くなるように前記走行エリアの大きさを決定する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記走行エリアに属する前記無人搬送車との間で荷物の搬送が行われる作業ステーションの数に対する前記自動倉庫の数の割合を、前記走行エリアの大きさを変更する前後において大きい方の前記走行エリアで大きくなるように定める、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記走行エリアは、隣接する第1走行エリアと第2走行エリアとを含み、
前記コントローラは、前記第1走行エリアに属する前記作業ステーションのうち最も前記第2走行エリア側の作業ステーションと、前記第2走行エリアに属する前記作業ステーションのうち最も前記第1走行エリア側の作業ステーションとをそれぞれ第1作業ステーション及び第2作業ステーションと決定し、前記無人搬送車に対して前記第1作業ステーション及び前記第2作業ステーションと前記自動倉庫との間で荷物の搬送を行わせるように制御する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
各自動倉庫は、当該自動倉庫において荷物を搬送する搬送装置を有し、
前記コントローラは、前記複数の自動倉庫における前記搬送装置の稼働率が高いときに前記走行エリアを小さくし、前記複数の自動倉庫における前記搬送装置の稼働率が低いときに前記走行エリアを大きくする、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記複数の無人搬送車の稼働率が高いときに前記走行エリアを小さくし、前記複数の無人搬送車の稼働率が低いときに前記走行エリアを大きくする、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
複数の自動倉庫と、複数の作業ステーションと、前記複数の自動倉庫及び前記複数の作業ステーションにアクセス可能に設けられる走行経路と、前記走行経路を走行する複数の無人搬送車と、を備える自動倉庫システムの制御方法であって、
前記走行経路の少なくとも一部を含むエリアを前記無人搬送車が走行する走行エリアとして決定するステップと、
前記走行エリアに属する前記自動倉庫と前記作業ステーションとの間で荷物の搬送を行うように前記無人搬送車を制御するステップと、を備え、
前記走行エリアの大きさは、前記自動倉庫又は前記作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づき決定される、
自動倉庫システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫と、ステーションと、自動倉庫とステーションとの間を走行する複数の無人搬送車と、を備える自動倉庫システム、及び、当該自動倉庫システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動倉庫と、ステーションと、自動倉庫とステーションとの間で荷物を搬送する無人搬送車と、を備える自動倉庫システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、上記の自動倉庫システムにおいて、多数の自動倉庫とステーションとを設け、多数の無人搬送車により自動倉庫とステーションとの間で荷物の搬送をすることが進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の自動倉庫システムにおいては、自動倉庫及び/又はステーションでの稼働状況が変化する場合がある。従来の自動倉庫システムでは無人搬送車が走行するエリアが予め決められ固定されている。そのため、あるエリア内での無人搬送車による荷物の搬送能力を超えた搬送指令がそのエリア内でなされると、そのエリア内で要求された荷物の搬送指令が未処理のまま残ることになる。その逆に、あるエリア内における荷物の搬送指令が少ない場合には、稼働していない無人搬送車が増加し、自動倉庫システムにおける荷物の搬送能力を生かせなくなる。
【0005】
また、多数の無人搬送車が自動倉庫とステーションとの間を移動し、1台の無人搬送車あたりの移動頻度が高くなると、例えば、無人搬送車同士の衝突を避けるべく、最短ではない経路で自動倉庫とステーションとの間を移動する必要があり、また、他の無人搬送車の通過のために待機する必要があるなどして、自動倉庫とステーションとの間の荷物の搬送効率が低下することがある。
その結果、自動倉庫及び/又はステーションの稼働率が高い場合と低い場合とで無人搬送車の稼働状況及び荷物の搬送効率に差が生じ、自動倉庫及び/又はステーションの稼働率が高い場合と低い場合で同じように高効率に自動倉庫システムの運用ができない。
【0006】
本発明の目的は、自動倉庫と、ステーションと、自動倉庫とステーションとの間で荷物を搬送する無人搬送車と、を備える自動倉庫システムにおいて、無人搬送車の稼働状況に対する自動倉庫及び/又はステーションの稼働状況の影響を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る自動倉庫システムは、複数の自動倉庫と、複数の作業ステーションと、走行経路と、複数の無人搬送車と、コントローラと、を備える。
走行経路は、複数の自動倉庫及び複数の作業ステーションにアクセス可能に設けられる。無人搬送車は、走行経路を走行する。
コントローラは、走行経路の少なくとも一部を含むエリアを無人搬送車が走行する走行エリアとして決定し、当該走行エリアに属する自動倉庫と作業ステーションとの間で荷物の搬送を行うように無人搬送車を制御する。
また、コントローラは、自動倉庫又は作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づき、無人搬送車が走行する走行エリアの大きさを決定する。
【0008】
上記の自動倉庫システムでは、自動倉庫又は作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づいて走行エリアの大きさが決定される。これにより、無人搬送車の稼働状況に対する自動倉庫システムの自動倉庫及び/又は作業ステーションの稼働状況による影響を小さくできる。
【0009】
コントローラが定めるエリアは複数の基準エリアを有してもよい。この場合、コントローラは、自動倉庫又は作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づいて、隣接する複数の基準エリアを統合するか、又は、基準エリアに分節することで、走行エリアの大きさを変更してもよい。
これにより、走行エリアの大きさの変更を容易な処理で実行できる。
【0010】
コントローラは、走行エリアを複数設定するときに、各走行エリアに属する自動倉庫又は作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況が近くなるように走行エリアの大きさを決定してもよい。
自動倉庫及び/又は作業ステーションの稼働状況を全ての走行エリアで近くなるようにすることで、全ての走行エリアで無人搬送車の稼働状況をそろえることができる。
【0011】
コントローラは、走行エリアに属する無人搬送車との間で荷の搬送が行われる作業ステーションの数に対する自動倉庫の数の割合を、走行エリアの大きさを変更する前後において、大きい方の走行エリアで大きくなるように定めてもよい。
これにより、自動倉庫及び/又は作業ステーションの稼働率が低いために大きな走行エリアを設定した場合に、稼働状態の作業ステーションの数を稼働率が低くなったことに応じて減らすことができる。
【0012】
走行エリアは、隣接する第1走行エリアと第2走行エリアとを含んでもよい。
この場合、コントローラは、第1走行エリアに属する作業ステーションのうち最も第2走行エリア側の作業ステーションと、第2走行エリアに属する作業ステーションのうち最も第1走行エリア側の作業ステーションとをそれぞれ第1作業ステーション及び第2作業ステーションと決定し、無人搬送車に対して、第1作業ステーション及び第2作業ステーションと自動倉庫との間で荷の搬送を行わせるように制御してもよい。
これにより、2つの走行エリアに属する作業ステーションを、同じ作業者で稼働させることができる。その結果、自動倉庫システムに配置する作業者の数を減少できる。
【0013】
各自動倉庫は、当該自動倉庫において荷物を搬送する搬送装置を有してもよい。この場合、コントローラは、複数の自動倉庫における搬送装置の稼働率が高いときに走行エリアを小さくし、複数の自動倉庫における搬送装置の稼働率が低いときに走行エリアを大きくしてもよい。
これにより、自動倉庫の稼働状況による影響を小さくして、自動倉庫システムにおける入出庫の効率を向上できる。
【0014】
コントローラは、複数の無人搬送車の稼働率が高いときに走行エリアを小さくし、複数の無人搬送車の稼働率が低いときに走行エリアを大きくしてもよい。
これにより、無人搬送車による荷物の搬送効率を向上させて、自動倉庫システムにおける入出庫の効率を向上できる。
【0015】
本発明の他の見地に係る方法は、自動倉庫システムの制御方法である。自動倉庫システムは、複数の自動倉庫と、複数の作業ステーションと、複数の自動倉庫及び複数の作業ステーションにアクセス可能に設けられる走行経路と、走行経路を走行する複数の無人搬送車と、を備える。自動倉庫システムの制御方法は、以下のステップを備える。
◎走行経路の少なくとも一部を含むエリアを無人搬送車が走行する走行エリアとして決定するステップ。
◎走行エリアに属する自動倉庫と作業ステーションとの間で荷物の搬送を行うように無人搬送車を制御するステップ。
上記の制御方法において、走行エリアの大きさは、自動倉庫又は作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づき決定される。
【0016】
上記の制御方法では、自動倉庫又は作業ステーションの少なくとも1つの稼働状況に基づいて走行エリアの大きさが決定される。これにより、無人搬送車の稼働状況に対する自動倉庫システムの自動倉庫及び/又は作業ステーションの稼働状況による影響を小さくできる。
【発明の効果】
【0017】
無人搬送車の稼働状況に対する自動倉庫及び/又はステーションの稼働状況の影響を小さくできるので、自動倉庫及び/又はステーションの稼働状況が変化しても同じように高効率に自動倉庫システムを運用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る自動倉庫システムの全体の概略平面図。
【
図3】自動倉庫システムの制御構成を示すブロック図。
【
図4】自動倉庫システムの動作を示すフローチャート。
【
図5】自動倉庫システムにおいて小さい走行エリアを定めた場合の一例を示す図。
【
図6】自動倉庫システムにおいて大きな走行エリアを定めた場合の一例を示す図。
【
図7】第3実施形態に係る作業ステーションの決定の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫システムの全体構成
図1及び
図2を用いて、自動倉庫システム100を説明する。
図1は、第1実施形態に係る自動倉庫システム100の全体の概略平面図である。
図2は、自動倉庫システム100の一部を拡大した平面図である。
自動倉庫システム100は、複数の自動倉庫1と、複数の作業ステーション3と、複数の無人搬送車5、とを含むシステムである。自動倉庫システム100は、例えば、各種の工場、物流拠点などに配置される。自動倉庫システム100では、作業ステーション3から自動倉庫1への荷物の入庫、及び、自動倉庫1から作業ステーション3への荷物の出庫が行われる。荷物の入庫及び出庫の際には、作業ステーション3と自動倉庫1との間で荷物の搬送が行われる。この荷物の搬送は、複数の無人搬送車5により実行される。
【0020】
以下の説明において、X方向(矢印Xの方向)は、複数の自動倉庫1の配置方向とし、Y方向(矢印Yの方向)は、X方向とは水平面において垂直な方向とする。また、Z方向(矢印Z)は、鉛直方向とする。
【0021】
(2)自動倉庫
自動倉庫1は、無人搬送車5によって搬送されてきた荷物を自動的に保管すると共に、保管している荷物を自動的に搬出する。自動倉庫1は、ラック11と、スタッカクレーン13と、入庫コンベヤ15と、出庫コンベヤ17と、を有する。
【0022】
ラック11は、Y方向を長手方向とし、X方向に間隔をあけて対向するように一対配置されている。ラック11は、荷物が載置されて収納される荷載置部をX方向及びZ方向に複数有している。これにより、ラック11は、荷物をX方向及びZ方向にマトリクス状に保管できる。
【0023】
スタッカクレーン13(搬送装置の一例)は、自動倉庫1において、荷物の搬送を行う。スタッカクレーン13は、走行レール13Aに沿って走行可能な走行台車と、この走行台車上のマストに沿って昇降自在で且つ移載装置が設けられた昇降台と、を含む。走行レール13Aは、自動倉庫1において、X方向に対向する2つのラック11の間にY方向に沿って延設される。走行台車が走行レール13Aに沿って走行することで、スタッカクレーン13は、ラック11の荷載置部と後述の入庫コンベヤ15及び出庫コンベヤ17との間で荷物を搬送できる。また、スタッカクレーン13は、昇降台に設けられた移載装置を用いて、ラック11の荷載置部、入庫コンベヤ15及び出庫コンベヤ17に対して、荷物の移載を行うことができる。
【0024】
スタッカクレーン13としては、特に限定されず、種々の公知のスタッカクレーンを用いることができる。昇降台に設けられ、荷物の移載を行う移載装置としては、例えば、荷物の後端にフックを引っ掛けて取り込むリアフック式、荷物の両側を挟んで保持し移載するクランプ式、スライドフォークで荷物をすくい上げて移載するフォーク式、又は、荷物の前端にフックを引っ掛けて取り込むフロントフック式等の装置を用いることができる。
【0025】
入庫コンベヤ15は、無人搬送車5により搬送されてきた荷物を、ラック11の近傍まで搬送する装置である。入庫コンベヤ15は、メインコンベヤ15Aと、サブコンベヤ15Bとを有している。
メインコンベヤ15Aは、サブコンベヤ15Bにて搬送された荷物を載置すると共に、当該荷物をラック11の近傍に向けて搬送する。ラック11の近傍に搬送された荷物は、スタッカクレーン13により搬送され、所定の荷載置部に載置され入庫される。メインコンベヤ15Aの種類又は構成等は特に限定されない。メインコンベヤ15Aとしては、例えばベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ又はローラコンベヤ等の種々のコンベヤを用いることができる。
【0026】
サブコンベヤ15Bは、メインコンベヤ15AのY方向端部に配置され、無人搬送車5から移載された荷物をメインコンベヤ15Aへと搬送する。
本実施形態では、無人搬送車5がサブコンベヤ15Bの下部に潜り込み、サブコンベヤ15Bのコンベヤ本体が無人搬送車5から荷物をすくい取ることで、無人搬送車5とメインコンベヤ15Aとの間で荷物の移載が行われる。例えば、サブコンベヤ15Bが昇降して無人搬送車5に載置された荷物をすくい取る方法、又は、無人搬送車5に設けられ荷物を載置したリフターが下降することで、リフターからサブコンベヤ15Bに荷物を移載できる。
【0027】
出庫コンベヤ17は、スタッカクレーン13により出庫のため搬送されてきた荷物を、無人搬送車5の到達位置まで搬送する装置である。出庫コンベヤ17は、メインコンベヤ17Aと、サブコンベヤ17Bとを有している。
メインコンベヤ17Aには、スタッカクレーン13が搬送してきた荷物が移載され載置される。メインコンベヤ17Aは、載置された荷物をサブコンベヤ17Bに向けて搬送する。メインコンベヤ17Aとしては、例えばベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ又はローラコンベヤ等の種々のコンベヤを用いることができる。
【0028】
サブコンベヤ17Bは、メインコンベヤ17AのY方向端部に配置され、メインコンベヤ17Aにより搬送された荷物を無人搬送車5へと移載する。
本実施形態では、無人搬送車5がサブコンベヤ17Bの下部に潜り込み、サブコンベヤ17Bが、荷物を載置したコンベヤ本体を無人搬送車5に向けて降下させることで、サブコンベヤ17Bから無人搬送車5への荷物の移載が行われる。
【0029】
(3)作業ステーション
複数の作業ステーション3は、複数の自動倉庫1に対して、Y方向に所定の間隔を空けて配置され、X方向に並んで配置されている。作業ステーション3は、入庫又は出庫する荷物のピッキング作業を行うステーションである。作業ステーション3には、荷物のピッキング作業を行う作業者又はピッキングロボットが配置される。
なお、作業ステーション3の近傍には、作業ステーション3への搬入待ちの無人搬送車5が待機するスペースが設けられている。
【0030】
図1に示すように、各作業ステーション3の側方にはコンベヤ33が設けられている。このコンベヤ33は、作業ステーション3からY方向に離れた位置で合流する。コンベヤ33は、作業ステーション3にてピッキングした荷物を外部に搬送する。
【0031】
作業ステーション3にてピッキングした荷物をコンベヤ33で搬送する方法としては、例えば、作業ステーション3で宛先毎に荷物をピッキングし、それをコンベヤ33により外部に搬送する方法がある。
その他、例えば、同一宛先の複数の荷物の一部を複数の作業ステーション3にてピッキングしてコンベヤ33により外部に搬送し、その後、搬送先の外部において上記の複数の荷物を同一宛先としてまとめる方法がある。
【0032】
(4)無人搬送車
複数の無人搬送車5は、荷物を搬送するための台車であり、無人走行可能である。無人搬送車5は、予め定められた走行経路Rを走行する。無人搬送車5は、その上部に設けられた荷物の載置部に荷物を載置して移動することで、当該荷物を搬送する。
【0033】
図1及び
図2に示すように、走行経路Rは、X方向に延びる複数の経路と、Y方向において自動倉庫1と作業ステーション3との間に延びる複数の経路とにより、格子状に形成されている。また、走行経路Rは、サブコンベヤ15B、17B内を通って延びている。走行経路Rにおいて、X方向に延びる経路とY方向に延びる経路との交点には、QRコード(登録商標)などの識別コードを表示した札などが配置されている。
【0034】
無人搬送車5は、自動倉庫1と作業ステーション3との間を上記の識別コードを検知しつつ移動する。無人搬送車5は、移動中に識別コードを検知したら、検知した識別コードから、当該識別コードが配置された交点において移動方向を変更すべきか否かを判定する。
無人搬送車5の走行指令には、例えば、走行経路Rに配置された上記識別コードと、当該識別コードが配置された交点からはどの方向に移動すべきかを示す情報と、が関連付けられている。また、交点において移動方向を変更すべきか否かの判定は無人搬送車5で実行されてもよいし、無人搬送車5が交点に到達する毎に後述するコントローラ50に移動方向を変更するか否かを問い合わせてもよい。
【0035】
交点で移動方向を変更すると判定した場合には、無人搬送車5は、当該交点においてターンして移動方向を変更後に直進を開始する。一方、交点で移動方向を変更しないと判定した場合には、そのまま直進する。このようにして、無人搬送車5は、自動倉庫1と作業ステーション3との間において、必要に応じて直進とターンとをしながら、格子状の走行経路Rを移動できる。
【0036】
本実施形態においては、一台の無人搬送車5により入庫する荷物と出庫する荷物の搬送とを両方実行することもできる。
具体的には、入庫する荷物を作業ステーション3から搬送する無人搬送車5は、サブコンベヤ15B内の走行経路Rに沿って移動することで、入庫コンベヤ15のサブコンベヤ15Bに正面から進入する。その後、サブコンベヤ15Bにより入庫する荷物がすくい取られる。
その後、荷物をすくい取られた無人搬送車5は、走行経路Rに沿って、入庫コンベヤ15のサブコンベヤ15Bから、出庫コンベヤ17のサブコンベヤ17Bに正面又は側方から進入する。その後、サブコンベヤ17Bにより出庫する荷物が無人搬送車5に載置される。荷物を載置された無人搬送車5は、サブコンベヤ17Bの正面から退出して作業ステーション3に向けて荷物を搬送する。
【0037】
上記のように、一台の無人搬送車5が入庫する荷物の搬送と出庫する荷物の搬送とを両方実行することにより、無人搬送車5による荷物の搬送を効率よく実行できる。
【0038】
複数の無人搬送車5のそれぞれは、走行経路R全体のうち予め決められたエリア(走行エリアA1、A2(
図5、
図6)と呼ぶ)内の走行経路のみを移動可能となっている。この走行エリアA1、A2の決定については、後ほど詳しく説明する。
【0039】
本実施形態では、無人搬送車5は、走行モータ5B(
図3)により車輪を回転させて走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)である。その他、無人搬送車5は、例えば天井走行車又は有軌道台車等であってもよい。
【0040】
なお、走行経路Rは、経路の交点に識別コードを配置する方式以外にも、例えば走行経路Rを磁気テープで構成する方式(磁気誘導式)、走行経路Rをレールで構成する方式(有軌道式)、等他の方式により構成されてもよい。
【0041】
(5)制御構成
図3を用いて、自動倉庫システム100の制御構成を説明する。
図3は、自動倉庫システム100の制御構成を示すブロック図である。
自動倉庫システム100は、自動倉庫システム100の制御構成としてコントローラ50を有している。コントローラ50は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ50は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、自動倉庫システム100における各種制御動作を行う。
【0042】
コントローラ50は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ50の機能は、一部又は全てが、コントローラ50を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、制御部の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0043】
コントローラ50は、各無人搬送車5の走行制御部5Aと無線で通信可能となっており、走行制御部5Aに各無人搬送車5の走行指令を送信する。走行制御部5Aは、走行指令に基づいて無人搬送車5の走行モータ5Bを制御して、無人搬送車5の移動を制御する。
走行制御部5Aは、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。
【0044】
コントローラ50は、各入庫コンベヤ15(メインコンベヤ15A、サブコンベヤ15B)、及び、各出庫コンベヤ17(メインコンベヤ17A、サブコンベヤ17B)と無線又は有線で通信可能となっており、入庫コンベヤ15及び出庫コンベヤ17による荷物の搬送を制御する。
【0045】
さらに、コントローラ50は、スタッカクレーン13と無線又は有線で通信可能となっており、スタッカクレーン13によるラック11への荷物の入庫、及び、ラック11からの荷物の出庫を制御する。
【0046】
(6)自動倉庫システムの動作
以下、
図4を用いて、上記の構成を有する自動倉庫システム100の動作を説明する。
図4は、自動倉庫システム100の動作を示すフローチャートである。
図4のフローチャートに示す処理は、コントローラ50により実行される。
図4のフローチャートに示す処理の全部がコントローラ50の記憶装置に記憶されたプログラムにより実行されてもよいし、当該処理の一部がプログラムにより実行され残りの一部がコントローラ50を構成するハードウェアよって実行されてもよい。
【0047】
また、
図4のフローチャートに示す処理(及び関連する処理)の一部がコントローラ50によって実行され、残りの一部が他のコントローラにより実行されてもよい。
【0048】
自動倉庫システム100が動作を開始すると、まず、無人搬送車5の走行エリアA1、A2が決定される。走行エリアA1、A2は、走行経路Rの少なくとも一部を含み、当該走行エリアA1、A2に属する無人搬送車5が移動できる範囲を定める。また、決められた走行エリアA1、A2には、複数の自動倉庫1のうちいずれか、及び、複数の作業ステーション3のいずれかが属する。すなわち、本実施形態では、全ての自動倉庫1がいずれかの走行エリアA1、A2に属しており、いずれの走行エリアA1、A2にも属さない自動倉庫1は存在しない。具体的には、以下のようにして走行エリアA1、A2が定められる。
【0049】
コントローラ50は、ステップS1において、走行エリアA1、A2を定めるに際して自動倉庫システム100の稼働状況を判断する。本実施形態において、自動倉庫システム100の稼働状況は、自動倉庫1におけるスタッカクレーン13の稼働率である。このスタッカクレーン13の稼働率は、例えば、荷物の入出庫に関する情報を記録するスケジュールデータに基づいて決定できる。
例えば、スケジュールデータにおいて所定の時間範囲内に多数の入出庫に関する情報が記録されている場合には、自動倉庫1におけるスタッカクレーン13の稼働率が高くなると判断する。一方で、上記の所定の時間範囲内に少数の入出庫に関する情報が記録されている場合には、当該スタッカクレーン13の稼働率は低いと判断する。
【0050】
自動倉庫システム100の稼働状況は、自動倉庫1におけるスタッカクレーン13の稼働率に限られず、例えば、走行エリアA1、A2における無人搬送車5の稼働率であってもよい。
【0051】
自動倉庫システム100におけるスタッカクレーン13又は無人搬送車5の稼働率が高いか低いかの判断基準(例えば、「高い」又は「低い」を判断するための稼働率の閾値)は、自動倉庫システム100の規模、スタッカクレーン13又は無人搬送車5の搬送能力などに応じて適宜決定できる。
【0052】
複数の自動倉庫1におけるスタッカクレーン13の稼働率が全体的に高い場合(又は走行エリアA1、A2における無人搬送車5の稼働率が全体的に高い場合)(ステップS1で「高稼働率」)、コントローラ50は、ステップS2において、
図5に示すように、走行経路Rを多数の小さな走行エリアA1に分割する。
図5は、自動倉庫システム100において小さい走行エリアA1を定めた場合の一例を示す図である。この場合、複数の作業ステーション3の全てに対して作業者が配置される。
なお、「稼働率が全体的に高い」とは、大部分のスタッカクレーン13又は無人搬送車5が荷物の搬送のための動作を比較的高頻度に実行しており、当該動作を全く実行していないか又は当該動作の頻度が低いスタッカクレーン13又は無人搬送車5がほとんど存在していないか、又は、全く存在していない状態である。
【0053】
図5に示す例では、走行経路Rは4つの小さな走行エリアA1に分割されており、小さな走行エリアA1のそれぞれには、3つの作業ステーション3と、7又は8組の自動倉庫1と、が含まれている。各走行エリアA1に属する無人搬送車5の数は、ほぼ同じとする。
図5においては、1つの走行エリアA1に属する自動倉庫1を一点鎖線にて囲んであり、1つの走行エリアA1に属する作業ステーション3を破線にて囲んである。
【0054】
このように、複数の自動倉庫1におけるスタッカクレーン13の稼働率が全体的に高い場合、すなわち、荷物の入出庫の頻度が高い場合に、小さな走行エリアA1のみで移動可能とすることで、多数の入出庫を、小さな走行エリアA1に属する自動倉庫1、作業ステーション3、及び無人搬送車5に担当させて、自動倉庫システム100における入出庫の効率を向上できる。
また、無人搬送車5を小さな走行エリアA1のみで移動可能とすることで、無人搬送車5が自動倉庫1と作業ステーション3との間を移動する距離、及び、無人搬送車5が経路の交点においてターンする数を減少できる。その結果、無人搬送車5による荷物の搬送効率を向上させて、自動倉庫システム100における入出庫の効率を向上できる。
【0055】
その一方、複数の自動倉庫1におけるスタッカクレーン13の稼働率が全体的に低い場合(又は走行エリアA1、A2における無人搬送車5の稼働率が均等に低い場合)(ステップS1で「低稼働率」)、コントローラ50は、ステップS3において、
図6に示すように、走行経路Rを大きな走行エリアA2に分割する。
図6は、自動倉庫システム100において大きな走行エリアA2を定めた場合の一例を示す図である。
なお、「稼働率が全体的に低い」とは、大部分のスタッカクレーン13又は無人搬送車5が荷物の搬送のための動作を低頻度に実行しているか又は全く実行しておらず、当該動作を高頻度に実行しているスタッカクレーン13又は無人搬送車5がほとんど存在していないか、又は、全く存在していない状態である。
【0056】
図6に示す例では、走行経路Rは2つの大きな走行エリアA2に分割されており、大きな走行エリアA2のそれぞれには、14又は15組の自動倉庫1が含まれている。各走行エリアA2に属する無人搬送車5の数は、走行エリアの変更前後でほぼ同じとする。
図6においては、1つの走行エリアA2に属する自動倉庫1を一点鎖線にて囲んであり、1つの走行エリアA2に属し使用される(すなわち、無人搬送車5により荷物が搬送される)作業ステーション3を破線にて囲んである。
このように、複数の自動倉庫1におけるスタッカクレーン13の稼働率が均等に低い場合、すなわち、荷物の入出庫の頻度が低い場合に、無人搬送車5をより多くの自動倉庫1を含む大きな走行エリアA2で移動可能とすることで、荷物の入出庫の頻度(自動倉庫システム100の稼働状況)による無人搬送車5の稼働状況に対する影響を小さくできる。
【0057】
図6の破線で示すように、大きな走行エリアA2を設定する場合に、1つの走行エリアA2に対して隣接する3つの作業ステーション3に作業者が配置される。つまり、走行エリアの変更前後で1つの走行エリアに属する作業ステーション3の数はほとんど変化しない方、1つの走行エリアA2に属する自動倉庫1の数は増加している。
【0058】
さらに言い換えると、コントローラ50は、走行エリアA1、A2に属する無人搬送車5との間で荷物の搬送が行われる作業ステーション3の数に対する自動倉庫1の数の割合を、走行エリアA1、A2の大きさを変更する前後において、大きい方の走行エリアA2で大きくなるように定めている。
これにより、自動倉庫1及び/又は作業ステーション3の稼働率が低いために大きな走行エリアA2を設定した場合に、稼働状態の作業ステーション3の数を稼働率が低くなったことに応じて減らすことができる。
【0059】
なお、
図6に示す例では、各走行エリアA2に属する6つの作業ステーション3のうち3つの作業ステーション3を使用することにしているが、これに限られず、使用する作業ステーション3の数(割合)は任意とできる。
【0060】
さらに、本実施形態において、コントローラ50は、2つの隣接する小さい走行エリアA1を統合して、上記の大きな走行エリアA2を生成している。具体的には、
図5においてX方向左側の2つの隣接する走行エリアA1を統合して走行エリアA2を生成し、X方向右側の2つの隣接する走行エリアA1を統合して走行エリアA2を生成している。
【0061】
小さな走行エリアを統合して大きな走行エリアを生成する際に、隣接する3以上の小さな走行エリアを統合してもよい。すなわち、大きな走行エリアを生成する際に統合する小さな走行エリアの数は任意とできる。
【0062】
このように、小さい走行エリアA1を統合して大きな走行エリアA2を生成することで、走行エリアA1、A2の大きさの変更を容易な処理により実行できる。大きな走行エリアA2の生成に用いられる最小単位の走行エリアを、特に「基準エリア」と呼ぶ。本実施形態において、小さな走行エリアA1が基準エリアである。
基準エリアが走行エリアA1であるので、設定する走行エリアを大きな走行エリアA2から小さな走行エリアA1に切り替える場合、コントローラ50は、大きな走行エリアA2を基準エリアに分節して走行エリアA1を設定する。
【0063】
上記の基準エリアに属する自動倉庫1と作業ステーション3の数は、例えば、1つの作業ステーション3で滞りなく処理できる数の荷物をいくつの自動倉庫1で搬送できるかに基づいて定められる。
【0064】
走行エリアA1、A2を設定後、コントローラ50は、ステップS4において、自動倉庫システム100において荷物の入出庫を開始するよう指令する。具体的には、コントローラ50は、設定した走行エリアA1、A2内で当該走行エリアA1、A2に属する無人搬送車5による荷物の搬送を許可しつつ、設定した走行エリアA1、A2に属する自動倉庫1と作業ステーション3との間で荷物を入出庫するよう指令する。
【0065】
上記のステップS1~S4を実行することにより、自動倉庫システム100における自動倉庫1のスタッカクレーン13の稼働状況に基づいて走行エリアA1、A2の大きさを決定し、無人搬送車5の稼働状況に対する自動倉庫1の稼働状況の影響を小さくできる。その結果、自動倉庫1の稼働状況が変化しても同じように高効率に自動倉庫システム100を運用できる。
【0066】
(7)変形例1
上記の実施形態では、自動倉庫1のスタッカクレーン13の稼働状況に基づいて走行エリアA1、A2の大きさが決定されていたが、変形例1として、自動倉庫1のサブコンベヤ15B、17Bの稼働状況に基づいて走行エリアA1、A2の大きさを決定することもできる。
例えば、出庫用のサブコンベヤ17Bにおいて荷物の滞留が発生している場合には、そのサブコンベヤ17Bを含む自動倉庫1が属する走行エリアを小さくして、当該走行エリアにおける荷物の出庫の能力を向上させて、出庫する荷物の滞留を解消できる。
【0067】
(8)変形例2
上記の実施形態及び変形例1では、自動倉庫1の稼働状況に基づいて走行エリアA1、A2の大きさが決定されていたが、変形例2として、作業ステーション3の稼働状況に基づいて走行エリアA1、A2の大きさを決定することもできる。
例えば、作業ステーション3の稼働数(作業者が配置された作業ステーション3の数)に基づいて走行エリアA1、A2の大きさを決定できる。例えば、作業ステーション3の稼働数が多い場合には、走行エリアA1、A2の大きさを小さくして、荷物の入出庫の能力を向上できる。
【0068】
また、作業ステーション3における荷物の処理の状況に基づいて走行エリアA1、A2の大きさを決定できる。例えば、作業ステーション3において未処理の荷物が滞留している場合には、その作業ステーション3が属する走行エリアA1、A2の大きさを大きくして、荷物の滞留を解消できる。
さらに、例えば、走行エリアA1、A2の大きさを変化させない場合、又は、走行エリアを大きくする場合であっても、走行エリアに属する作業ステーション3が他に存在していれば、当該他の作業ステーション3に荷物の処理を振り替えることによっても、荷物の滞留を防止できる。
【0069】
さらに、自動倉庫1の稼働状況と作業ステーション3の稼働状況の両方に基づいて走行エリアA1、A2の大きさを決定できる。この場合、自動倉庫1の稼働状況を重視するか、作業ステーション3の稼働状況を重視するかにより、走行エリアA1、A2の大きさに対する自動倉庫1の稼働状況及び作業ステーション3の稼働状況の寄与率を調整してもよい。
【0070】
また、例えば、自動倉庫システム100において作業を行う作業員の数に基づいて、すなわち、稼働できる作業ステーション3の数に基づいて走行エリアA1、A2を定めてもよい。
【0071】
2.第2実施形態
上記の第1実施形態では、複数の自動倉庫1の稼働率が全体的にほぼ均等であるとの前提に基づいて、設定する走行エリアA1、A2の大きさをほぼ同一としていた。
しかし、これに限られず、複数の走行エリアを設定する場合に、自動倉庫1毎に稼働率が異なる場合には、各走行エリアに属する自動倉庫1又は作業ステーション3の少なくとも1つの稼働状況が近くなるように走行エリアの大きさを決定してもよい。
なお、上記の「稼働状況が近くなるように走行エリアの大きさを決定する」とは、単に稼働状況が同一であるか又はほぼ同一となるように1つの走行エリアの大きさを定めることと、小さい走行エリアA1を統合した後に生成される複数の走行エリアのぞれぞれで稼働状況の差が小さくなるようにすること、との両方の意味を含む。
【0072】
例えば、稼働率が高い自動倉庫1及び/又は作業ステーション3が属する走行エリアの大きさは小さくしつつ、稼働率が高くない自動倉庫1及び/又は作業ステーション3が属する走行エリアを大きくできる。このように、自動倉庫1及び/又は作業ステーション3の稼働状況を全ての走行エリアで近くなるようにすることで、全ての走行エリアで無人搬送車5の稼働状況をそろえることができる。
【0073】
3.第3実施形態
走行経路Rを複数の走行エリアに分割する場合に、
図7に示すように、コントローラ50は、互いに隣接する走行エリアを第1走行エリアA21と第2走行エリアA22とし、第1走行エリアA21に属する作業ステーション3のうち最も第2走行エリア側の作業ステーション3と、第2走行エリアA22に属する作業ステーション3のうち最も第1走行エリア側の作業ステーション3とをそれぞれ第1作業ステーション31及び第2作業ステーション32と決定し、無人搬送車5に対して、第1作業ステーション31及び第2作業ステーション32と自動倉庫1との間で荷の搬送を行わせるようにしてもよい。
図7は、第3実施形態に係る作業ステーションの決定の一例を示す図である。
【0074】
これにより、2つの走行エリアに属する作業ステーション3を、例えば、1人の作業者又は1台のピッキングロボットで稼働させることができる。その結果、自動倉庫システム100に配置する作業者又はピッキングロボットの数を減少できる。
例えば、一方の作業ステーションにて作業している間に他方の作業ステーションに荷物を滞留させ、当該他方の作業ステーションにある程度の荷物が滞留したところで作業者又はピッキングロボットが当該他方の作業ステーションに移動することを繰り返すことで、1人の作業者又は1台のピッキングロボットで、異なる走行エリアに属する作業ステーションを稼働できる。
【0075】
4.実施形態の共通事項
上記第1~第3実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
自動倉庫システム100(自動倉庫システムの一例)は、複数の自動倉庫1(複数の自動倉庫の一例)と、複数の作業ステーション3(複数の作業ステーションの一例)と、走行経路R(走行経路の一例)と、複数の無人搬送車5(複数の無人搬送車の一例)と、コントローラ50(コントローラの一例)と、を備える。
走行経路Rは、複数の自動倉庫1及び複数の作業ステーション3にアクセス可能に設けられる。無人搬送車5は、走行経路Rを走行する。
コントローラ50は、走行経路Rの少なくとも一部を含むエリアを無人搬送車5が走行する走行エリアA1、A2(走行エリアの一例)として決定し、当該走行エリアA1、A2に属する自動倉庫1と作業ステーション3との間で荷物の搬送を行うように無人搬送車5を制御する。
また、コントローラ50は、自動倉庫1又は作業ステーション3の少なくとも1つの稼働状況に基づき、無人搬送車5が走行する走行エリアA1、A2の大きさを決定する。
【0076】
上記の自動倉庫システム100では、自動倉庫1又は作業ステーション3の少なくとも1つの稼働状況に基づいて走行エリアA1、A2の大きさが決定されている。これにより、無人搬送車5の稼働状況に対する自動倉庫システム100の自動倉庫1及び/又は作業ステーション3の稼働状況による影響を小さくできる。
【0077】
5.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)上記の第1実施形態では、走行エリアの最小単位である基準エリアの大きさが、小さい走行エリアA1の大きさと同じであった。しかし、これに限られず、基準エリアを小さい走行エリアA1より小さくしてもよい。
【0078】
(B)走行エリアの大きさの変更を、自動倉庫システム100における経時的な稼働状況に基づいてリアルタイムに実行してもよい。
【0079】
(C)特定の無人搬送車5が、走行エリアの大きさの変更前後で異なる走行エリアに属することとなった場合に、当該無人搬送車5は、走行エリアの大きさの変更後に自身が属する走行エリアへと自動的に移動してもよい。
【0080】
(D)自動倉庫1は、例えば、ラック11の段毎に設けられラック11の長さ方向に移動して荷物を搬送するシャトル台車を有するシャトル倉庫であってもよい。
【0081】
(E)いずれの走行エリアA1、A2にも属さない自動倉庫1が存在してもよい。例えば、稼働率がほぼ0である自動倉庫1は、走行エリアA1、A2のいずれにも属さないようにしてもよい。
【0082】
(F)自動倉庫システム100において使用しない作業ステーション3の近傍の走行経路Rを、いずれの走行エリアA1、A2にも含めないようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、自動倉庫システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0084】
100 自動倉庫システム
1 自動倉庫
3 作業ステーション
31 第1作業ステーション
32 第2作業ステーション
33 コンベヤ
5 無人搬送車
5A 走行制御部
5B 走行モータ
11 ラック
13 スタッカクレーン
13A 走行レール
15 入庫コンベヤ
15A メインコンベヤ
15B サブコンベヤ
17 出庫コンベヤ
17A メインコンベヤ
17B サブコンベヤ
50 コントローラ
A1、A2 走行エリア
A21 第1走行エリア
A22 第2走行エリア
R 走行経路