IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東紡績株式会社の特許一覧

特許7276669アリルアミン系共重合体及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】アリルアミン系共重合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 226/02 20060101AFI20230511BHJP
   C09J 139/00 20060101ALI20230511BHJP
   C09D 139/00 20060101ALI20230511BHJP
   C09K 23/52 20220101ALI20230511BHJP
【FI】
C08F226/02
C09J139/00
C09D139/00
C09K23/52
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020501764
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2019005977
(87)【国際公開番号】W WO2019163737
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2018031083
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003975
【氏名又は名称】日東紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下田 真知子
(72)【発明者】
【氏名】文屋 勝
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-104107(JP,A)
【文献】特開平03-079610(JP,A)
【文献】特開2002-293842(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0043172(KR,A)
【文献】特開2001-106736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 226/00 - 226/12
C08F 2/00 - 2/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとを有するアリルアミン系共重合体であって、構成単位A/構成単位Bのモル比が、0.4~25であり、
前記モノアリルアミン系単量体aが、モノアリルアミン塩酸塩、モノアリルアミン硫酸塩、モノアリルアミン燐酸塩、及びモノアリルアミンアミド硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体を含み、
前記エチレン性不飽和単量体bが、(メタ)アクリル酸を含む、上記アリルアミン系共重合体。
【請求項2】
pH2、7、及び12において水溶性または水分散性である、請求項1に記載のアリルアミン系共重合体。
【請求項3】
固有粘度[η]が、0.03(dl/g)以上である、請求項1又は2に記載のアリルアミン系共重合体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体を含んでなる組成物であって、未反応のモノアリルアミン系単量体a及びエチレン性不飽和単量体bの含有量が、合計で15重量%以下である、上記組成物。
【請求項5】
モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとを共重合して、アリルアミン系共重合体を製造する方法であって、該モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下する工程を有する、上記方法。
【請求項6】
前記工程が、0~100℃の温度範囲内で実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工程に供される、モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとのモル比が、1:5から40:1である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
製造されるアリルアミン系共重合体における、前記モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、前記エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとのモル比A/Bが、0.4から25である、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アリルアミン系共重合体において、前記モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aが、該構成単位Aと前記エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとの合計に占めるモル比A/(A+B)が、前記工程に供される前記モノアリルアミン系単量体aが、同工程に供される該モノアリルアミン系単量体aと前記エチレン性不飽和単量体bとの合計に占めるモル比a/(a+b)から±25%の範囲内にある、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記アリルアミン系共重合体の仕込みからの収率が、70重量%以上である、請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記工程後に未重合で残存するモノアリルアミン系単量体aの量が、前記工程に供したモノアリルアミン系単量体aの量の70重量%以下である、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体を含んでなる、分散剤。
【請求項13】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体を含んでなる、接着剤。
【請求項14】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体を含んでなる、塗料。
【請求項15】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体を含んでなる、アンカーコート剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリルアミン系共重合体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、モノアリルアミン系単量体と、エチレン性不飽和単量体との共重合体であって、従来技術では実現できなかった共重合組成を有する共重合体、及びその様な共重合体を効率良く得ることができる製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アリル系モノマー、とりわけモノアリルアミン系単量体は、アリルラジカルの共鳴安定性のため退化的連鎖移動を起こしやすく、ラジカル重合性に乏しいと考えられている。一方、(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和単量体は、ラジカル重合性の高いモノマーとして知られている。このため、両者のほぼ等モル比での共重合体を得ることはできなかった。これら2種類の単量体を水中にて共重合させようとしたとき、従来の技術では両単量体の重合性、重合速度の違いによりラジカル重合性の高い(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和単量体のみ重合し、実質的に単独重合体が生成すると考えられる。
【0003】
モノアリルアミン系単量体と、(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和単量体とを共重合させる方法として、モノアリルアミン系単量体の塩酸塩等の付加塩と、(メタ)アクリル酸とをメタノール溶媒中で反応させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、モノアリルアミン塩酸塩/(メタ)アクリル酸共重合体の収率が50%以下となることが報告されている。また、当該方法では同時にモノアリルアミン塩酸塩単独重合体、(メタ)アクリル酸単独重合体が生成するため、これらをろ別で除去する等の煩雑な作業が必要となっていた。
更に、本発明者らによる追試によれば、特許文献1に記載の方法では、得られた共重合体は水への溶解性が低いという問題が生じた。当該共重合体は、ある一定のpH領域においてのみ水に溶解し、このことから実際には意図した組成の共重合体は得られておらず、実質的にはアクリル酸の単独重合体、又は両単量体の単独重合体の混合物となっていた可能性が高い。
この様に従来、モノアリルアミン系単量体とエチレン性不飽和単量体との共重合体について、実用的な合成手法は見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-106736号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】沢田秀夫ほか4名、日本油化学会誌、第46巻、第2号(1997年)、191~203頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように各先行技術文献には、モノアリルアミン塩酸塩/(メタ)アクリル酸共重合体が当該文献記載の合成法で合成可能であることが報告されているものの、現実に所期の共重合体が得られていた確証はなく、また水に溶解しにくい、収率が低いなどの問題もあり、所期の共重合体を確実に、高い収率で得られる合成法が求められていた。
本発明の目的は、上記従来技術の限界に鑑み、重合性の異なるモノアリルアミン系単量体と、エチレン性不飽和単量体とを、水中で収率良く重合し、所期の組成、重合度を有するアリルアミン系共重合体、及びその様なアリルアミン系共重合体を、実用的な効率、コストで製造することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水溶媒中において重合性の良い(メタ)アクリル酸等のラジカル重合性の良いエチレン性不飽和単量体を、モノアリルアミン系単量体に滴下しながら添加することで、常圧でかつ穏和な加熱条件下で容易にモノマリルアミン系単量体とエチレン性不飽和単量体との共重合体を製造できること、及び当該共重合体はアクリル酸の比率が多くとも水溶性または水分散性であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]
モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとを有するアリルアミン系共重合体であって、構成単位A/構成単位Bのモル比が、0.4~25である、上記アリルアミン系共重合体、である。
【0008】
また、以下[2]から[15]は、それぞれ本発明の一態様又は好ましい一実施形態である。
[2]
pH2、7、及び12において水溶性または水分散性である、[1]に記載のアリルアミン系共重合体。
[3]
固有粘度[η]が0.03(dl/g)以上である、[1]又は[2]に記載のアリルアミン系共重合体。
[4]
前記モノアリルアミン系単量体aが、モノアリルアミン塩酸塩、モノアリルアミン硫酸塩、モノアリルアミン燐酸塩、及びモノアリルアミンアミド硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体を含む、[1]から[3]のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体。
[5]
前記エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸を含む、[1]から[4]のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体。
[6]
[1]から[5]のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体を含んでなる組成物であって、未反応のモノアリルアミン系単量体a及びエチレン性不飽和単量体bの含有量が、合計で15重量%以下である、上記組成物。
[7]
モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとを共重合して、アリルアミン系共重合体を製造する方法であって、該モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下する工程を有する、上記方法。
[8]
前記工程が、0~100℃の温度範囲内で実施される、[7]に記載の方法。
[9]
前記工程に供される、モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとのモル比が、1:5から40:1である、[7]又は[8]に記載の方法。
[10]
製造されるアリルアミン系共重合体における、前記モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、前記エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとのモル比A/Bが、0.4から25である、[7]から[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記アリルアミン系共重合体において、前記構成単位Aが、該構成単位Aと前記構成単位Bとの合計に占めるモル比A/(A+B)が、前記工程に供される前記モノアリルアミン系単量体aが、同工程に供される該モノアリルアミン系単量体aと前記エチレン性不飽和単量体bとの合計に占めるモル比a/(a+b)から±25%の範囲内にある、[7]から[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記アリルアミン系共重合体の仕込みからの収率が、70重量%以上である、[7]から[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記工程後に未重合で残存するモノアリルアミン系単量体aの量が、前記工程に供したモノアリルアミン系単量体aの量の70重量%以下である、[7]から[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
[1]から[5]のいずれか一項に記載のアリルアミン系共重合体を含んでなる、分散剤、インクジェット式印刷用薬剤、接着剤、製紙用薬剤、帯電防止剤、塗料、廃水処理剤、アンカーコート剤、合成樹脂フィルム、染料固着剤、又は成形用樹脂。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来技術では製造することのできなかった、所期の組成、重合度を有する、モノアリルアミン系単量体とエチレン性不飽和単量体との共重合体が提供される。当該共重合体は、広いpH範囲にわたって水溶性または水分散性であり、印刷材料、接着剤、塗料等の水溶性または水分散性を要する用途に好適に使用される。
また、本発明の製造法によれば、モノアリルアミン系単量体とエチレン性不飽和単量体との共重合体を、水中で収率良く重合し、所期の組成、重合度を有するアリルアミン系共重合体を、実用的な効率、コストで製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
アリルアミン系共重合体
本発明は、モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとを有するアリルアミン系共重合体であって、構成単位A/構成単位Bのモル比が、0.4~25である、上記アリルアミン系共重合体である。
すなわち本発明のアリルアミン系共重合体は、モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとを、所定のモル比で有していればよく、それ以外の構成単位を有していてもよく、またそれ以外の構成単位を有さなくともよい。
本発明のアリルアミン系共重合体において構成単位A/構成単位Bのモル比が、0.4~25であることは、モノアリルアミン系単量体aとエチレン性不飽和単量体bとを、等モルでの共重合を含む広い範囲にわたって、所望の共重合比で重合できることを意味しており、従来の技術では得られなかった共重合体が得られたことを示している。
本発明のアリルアミン系共重合体における構成単位A/構成単位Bのモル比は、0.4~15であることが好ましく、0.5~12であることがより好ましく、0.6~10であることが、双方の官能基に特徴づけられた機能をより強く発現するため、特に好ましい。
本発明のアリルアミン系共重合体における構成単位A/構成単位Bのモル比は、元素分析により、共重合体を構成する、アリルアミン塩酸塩等のモノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位A、及びメタクリル酸等のエチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bの量を測定することで、特定することができる。
【0011】
本発明のアリルアミン系共重合体は、pH2、7、及び12において水溶性または水分散性であることが好ましい。ここで、「水溶性」とは、当該アリルアミン系共重合体が水に溶解して透明な溶液を形成することをいい、「水分散性」とは、当該アリルアミン系共重合体が、水中に分散(一部溶解する場合を含む)して、目視可能なほどの大きさの未溶解の固形物が残らないことをいう。
上記pH2、7、及び12において水溶性または水分散性であるということは、当該共重合体が広範なpH範囲において水溶性または水分散性であることを意味し、所望の組成(構成単位A/構成単位Bのモル比)を有するアリルアミン系共重合体が得られていることを間接的に示すものである。
一方、モノアリルアミン塩酸塩単独重合体及び(メタ)アクリル酸単独重合体等のエチレン性不飽和単量体の単独重合体が混在すると、上記pHのうちのいずれかにおいてイオンコンプレックス形成等により水に不溶となり得るので、上記pHのいずれかにおいて水に不溶である場合、所望の組成を有するアリルアミン系共重合体が高い収率で得られておらず、余剰のエチレン性不飽和単量体bからエチレン性不飽和単量体bの単独重合体が形成されていたり、他の単独重合体が形成されていたりする可能性がある。この場合、エチレン性不飽和単量体bの単独重合体等をろ別で除去する等の煩雑な作業を要するなどの不利益が懸念される。
アリルアミン系共重合体のpH2、7、及び12における水溶性または水分散性は、アリルアミン系共重合体を水中に溶解させ、NaOH水溶液等を用いて、当該水溶液のpHを2、7、及び12に調製して、沈殿物の形成を目視観察することにより判定することができる。
本発明のアリルアミン系共重合体は、pH0~14の範囲において水溶性または水分散性であることがより好ましく、pH0~14の範囲において水溶性であることが特に好ましい。
【0012】
本発明のアリルアミン系共重合体の分子量には特に制限は無く、要求される物性や用途との関係で適宜好適な分子量の(共)重合体を重合すればよい。アリルアミン系共重合体の分子量は、溶離液に溶解可能で有る場合には、GPC法により測定することができる。また、固有粘度[η]を測定することで、間接的に評価することができる。
分散剤、接着剤、塗料等の用途に適切な粘度を有し、かつ、実用上許容可能な時間及びコストで重合を行う観点からは、固有粘度[η]が0.03dl/g以上であることが好ましい。また、アリルアミン系共重合体の固有粘度[η]が0.03dl/g以上であることは、モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとを、高い重合性で共重合できたことを示している。すなわち、固有粘度[η]を測定することで、分子量及び/又は重合度を間接的に評価することができる。
アリルアミン系共重合体の固有粘度[η]は、0.06から0.40dl/gであることがより好ましく、0.09から0.22dl/gであることが特に好ましい。
アリルアミン系共重合体の固有粘度[η]は、例えばウベローデ粘度計等の 毛細管粘度計によって測定することができる。
アリルアミン(共)重合体の粘度は、必須及び任意単量体の種類及び組成、重合工程における温度、時間及び圧力、重合工程で用いるラジカル開始剤の種類及び量等を調整することで、適宜調整することができる。
【0013】
本発明のアリルアミン系共重合体は、モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとを、所定のモル比で有していればよく、それ以外の構成単位を有していてもよく、またそれ以外の構成単位を有さなくともよい。
アリルアミン系共重合体に占める、モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位A及びエチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bの割合には特に制限は無いが、50~100モル%であることが好ましく、80~100モル%であることがより好ましい。
モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位A及びエチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bの割合が上記範囲内にあることで、反応性、分散性等の好ましい特性を、一層容易に実現することができる。
モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位A及びエチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bの割合をはじめとする、アリルアミン系共重合体の組成は、重合条件、とりわけ重合にあたり供給されるモノマーの組成によって、適宜調整することができる。
【0014】
モノアリルアミン系単量体a
本発明のアリルアミン(共)重合体の必須構成単位である構成単位Aは、モノアリルアミン系単量体aから導かれるものである。
【0015】
モノアリルアミン系単量体aは、モノアリルアミン構造を有する化合物であればよいが、下記一般式(I)
【化1】


(式中のRおよびRは、それぞれ同一又は異なる水素原子、炭素数1~12のアルキル基、又は炭素数5~6のシクロアルキル基を示す。)で表される構造を有するモノアリルアミン化合物、又はその付加塩であることが好ましい。
【0016】
前記一般式(I)で表される好適な化合物において、RおよびRにおける炭素数1~12のアルキル基は直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、またアラルキル基であってもよい。その例としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ベンジル基などが挙げられる。また、炭素数5~6のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が挙げられるが、これらには限定されない。
【0017】
前記一般式(I)で表される好適なモノアリルアミン系単量体の例としては、モノアリルアミン、N-メチルアリルアミン、N-エチルアリルアミン、N-n-プロピルアリルアミン、N-イソプロピルアリルアミン、N-n-ブチルアリルアミン、N-イソブチルアリルアミン、N-tert-ブチルアリルアミン、N-ヘキシルアリルアミン、N-シクロヘキシルアリルアミン、N,N-ジメチルアリルアミン、N,N-ジエチルアリルアミン、N,N-ジプロピルアリルアミン、N、N-ジブチルアリルアミン等が挙げられるが、これらには限定されない。
中でも、モノアリルアミンが特に好ましい。
【0018】
これらの好適なモノアリルアミン系化合物の付加塩には特に制限はないが、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩、亜リン酸塩、亜硝酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、アミド硫酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などが挙げられるが、これらには限定されない。
中でも、塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩、及びアミド硫酸塩が好ましく、モノアリルアミンの塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩、及びアミド硫酸塩が特に好ましい。
【0019】
本発明においては、モノアリルアミン系単量体aは、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。1種類のみのモノアリルアミン系単量体aを用いることは、コストや、重合工程の制御の容易さの点で有利であることが多く、2種類以上を組み合わせて用いることは、共重合体に所望の性質を付与する点で有利であることが多い。
【0020】
エチレン性不飽和単量体b
モノアリルアミン系単量体aと共重合される、エチレン性不飽和単量体bには特に制限はなく、少なくとも1のエチレン性不飽和基を有し、モノアリルアミン系単量体aと共重合可能である化合物を適宜使用することができる。
エチレン性不飽和単量体bの好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのカルボン酸単量体、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、メタクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド、メチルビニルケトン、メチルビニルエーテル、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、ビニルイソシアネート、アクロレイン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられるが、これらには限定されない。
中でも、アクリル酸、及びメタクリル酸が特に好ましい。
本発明においては、モノアリルアミン系単量体aは、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。1種類のみのモノアリルアミン系単量体aを用いることは、コストや、重合工程の制御の容易さの点で有利であることが多く、2種類以上を組み合わせて用いることは、共重合体に所望の性質を付与する点で有利であることが多い。
【0021】
アリルアミン系共重合体の製造方法
本発明の他の一形態であるアリルアミン系共重合体の製造方法は、モノアリルアミン系単量体aとエチレン性不飽和単量体bとを共重合して、アリルアミン系共重合体を製造する方法であって、該モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bを滴下する工程を有するものである。当該工程を採用することで、重合性の異なるモノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとを、水中で収率良く重合し、所期の組成、重合度を有するアリルアミン系共重合体を、実用的な効率、コストで製造することができる。
モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体の水溶液を滴下する工程を有することで上記の有利な効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、より重合性の高いエチレン性不飽和単量体bを水溶液としてある程度希釈し、これをより重合性の低いモノアリルアミン系単量体aの水溶液中に滴下することで、より重合性の低いモノアリルアミン系単量体aが常に大過剰となる条件を維持したまま重合を行なうことができることと、何らかの関連があるものと推定される。
【0022】
モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体の水溶液を滴下する工程を実施する温度には、特に制限はないが、0~100℃の温度範囲内で実施することが好ましく、50~65℃の温度範囲内で実施することが特に好ましい。その際の圧力にも特に制限はなく、コスト等を考慮すると大気圧近傍で実施することが好ましい。
モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下する工程においては、共重合反応を促進するために重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤の種類には特に制限はなく、例えば一般に用いられるラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質等によってラジカルを生成して重合性単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または水分散性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等がある。中でも水溶性または水分散性のアゾビス化合物が好ましく、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピレンアミジン)二塩酸塩、(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル)などを好適に使用することができる。
上記工程を実施する時間には特に制限はないが、モノアリルアミン系単量体aの大過剰を維持し、安定して重合反応を行なう等の観点からは、5~12時間にわたってエチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下することが好ましく、6~8時間にわたって滴下することが特に好ましい。
【0023】
モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下する工程に供される、モノアリルアミン系単量体a及びエチレン性不飽和単量体bの量、割合には特に制限はないが、モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとのモル比が1:5から40:1 であることが好ましく、1:3から20:1 であることが特に好ましく、2:3から20:1 であることが更に好ましい。モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとを上記モル比で供給することで、所望の組成のアリルアミン系共重合体を効率よく製造することができる。
上記工程における水溶液中のモノアリルアミン系単量体aの濃度、及びエチレン性不飽和単量体bの濃度には特に制限はないが、安定的かつ均一な共重合を行なうなどの観点からは、一定値以下の濃度であることが好ましく、重合効率のなどの観点からは、一定値以上の濃度であることが好ましい。より具体的には、モノアリルアミン系単量体aの濃度は、4.0×10-3~6.5×10-3mol/gであることが好ましく、4.5×10-3~6.3×10-3mol/gであることが特に好ましい。エチレン性不飽和単量体bの濃度は、10×10-3~20×10-3mol/gであることが好ましく、10×10-3~15×10-3mol/gであることが特に好ましい。
重合開始剤の使用量にも特に制限はないが、水溶性または水分散性のアゾビス化合物を重合開始剤として用いる場合には、モノアリルアミン系単量体a、及びエチレン性不飽和単量体bの合計に対して1.0~10.0mol%用いることが好ましく、2.0~5.0mol%用いることが特に好ましい。
【0024】
当該製造方法によって得られるアリルアミン系共重合体の好ましい形態は、本発明のアリルアミン系共重合体について説明したものと同様である。したがって、当該製造方法によって得られるアリルアミン系共重合体の組成は、モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとのモル比A/Bが、0.4~25であることが好ましく、0.4~15であることがより好ましく、0.5~12であることが更に好ましく、0.6~10であることが特に好ましい。好ましい分子量、固有粘度などについても、本発明のアリルアミン系共重合体について、上記にて説明したものと同様である。
【0025】
モノアリルアミン系単量体aとエチレン性不飽和単量体bとを共重合して、アリルアミン系共重合体を製造する方法において、該モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下する工程を採用することで、仕込みのモノマー組成(当該工程に供するモノアリルアミン系単量体aとエチレン性不飽和単量体bとのモル比)、と共重合体組成(得られたアリルアミン系共重合体における、モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、前記エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとのモル比)との差が小さなものとなり、共重合体組成の制御が、容易かつ正確なものとなる。共重合体組成を、仕込みのモノマー組成により、容易かつ正確に制御できることは、例えば、得られたアリルアミン系共重合体において、前記構成単位Aが、該構成単位Aと前記構成単位Bとの合計に占めるモル比A/(A+B)と、前記工程に供される前記モノアリルアミン系単量体aが、同工程に供される該モノアリルアミン系単量体aと前記エチレン性不飽和単量体bとの合計に占めるモル比a/(a+b)とを比較することで評価することが可能であり、その差が小さいことが好ましい。より具体的には、共重合体におけるモル比A/(A+B)が、仕込み組成におけるモル比a/(a+b)から±25%以下であることが好ましく、±15%以下であることがより好ましい。
【0026】
モノアリルアミン系単量体aとエチレン性不飽和単量体bとを共重合して、アリルアミン系共重合体を製造する方法において、該モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下する工程を採用することで、重合工程に供給した単量体a及びbを無駄なく共重合させ、高い収率でアリルアミン系共重合体を製造することができる。
上記製造方法において、仕込からの収率は、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。
【0027】
また、上記製造方法を用いることで、収率が向上するだけでなく、共重合に関与しなかった残存モノマーや、一方のモノマーだけが重合した単独重合体、特に、より反応性が低いモノアリルアミン系単量体aの残存モノマー、及びより反応性が高いエチレン性不飽和単量体bの単独重合体、の生成が抑制される。
また、重合工程後に残存するモノアリルアミン系単量体aの量は、重合工程に供したモノアリルアミン系単量体aの量の70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましく、40重量%以下であることが特に好ましい。
更に、重合工程後に存在するエチレン性不飽和単量体bの単独重合体の量は、重合工程に供したエチレン性不飽和単量体bの量の10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることが特に好ましい。また、エチレン性不飽和単量体bの単独重合体が実質的に存在しないことは、重合工程で得られた、アリルアミン系共重合体を含む生成物がpH2、7、及び12において水溶性または水分散性であることによっても確認することができる。
【0028】
モノアリルアミン系単量体aと、エチレン性不飽和単量体bとを共重合するプロセスの生成物は、通常、モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとを有するアリルアミン系共重合体を含み、更に場合により、共重合しなかったモノアリルアミン系単量体aやエチレン性不飽和単量体b、とりわけ反応性の低いモノアリルアミン系単量体a、一方のモノマーだけが重合した単独重合体、とりわけ反応性の高いエチレン性不飽和単量体bの単独重合体等をも含む、組成物として得られる。ここで、該モノアリルアミン系単量体aの水溶液中に該エチレン性不飽和単量体bの水溶液を滴下する工程を採用することで、所望のアリルアミン系共重合体の収率が向上し、残存モノマーが減少し、単独重合体の生成が抑制される。
この結果、プロセスの生成物である組成物における、所望のアリルアミン系共重合体(モノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位Aと、エチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bとを有するアリルアミン系共重合体であって、構成単位A/構成単位Bのモル比が、0.4~25である、上記アリルアミン系共重合体)以外の成分の含有量が低減される。所望のアリルアミン系共重合体以外の成分の含有量は、好ましくは10重量%以下である。
また、当該組成物における未反応のモノアリルアミン系単量体a及びエチレン性不飽和単量体bの含有量が低減される。未反応のモノアリルアミン系単量体a及びエチレン性不飽和単量体bの含有量は、好ましくは15重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。
【0029】
用途
本発明のアリルアミン系共重合体は、従来技術では製造することのできなかった、所期の組成、重合度を有する、モノアリルアミン系単量体とエチレン性不飽和単量体との共重合体であり、広いpH範囲にわたって水溶性または水分散性、水分散性を示し、分散剤、インクジェット式印刷用薬剤、接着剤、製紙用薬剤、帯電防止剤、塗料、廃水処理剤、アンカーコート剤、合成樹脂フィルム、染料固着剤、又は成形用樹脂等の用途に好適に使用される。
【実施例
【0030】
以下、本発明を実施例/比較例を参照しながらさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
【0031】
以下の実施例/比較例において、物性/特性の評価は下記の方法で行った。
(再沈収率)
再沈収率は、下式により定義される。
【数1】

ここで、再沈濃度は、以下の方法により測定した。
高分子の水溶液約2gをとり、サンプル重量(A)を測定する。その後、約500mlの溶媒に添加して高分子を沈殿、析出させる。次に、ガラスフィルターを用いて沈殿をろ取する。次いで、ろ取した固体状の高分子を真空乾燥機にて50℃、12時間乾燥させる。最後に乾燥沈殿物の重量(B)を測定する。再沈濃度(%)は下式に従い算出する。
【数2】

また、固形分濃度は、以下の方法により測定した。
高分子の水溶液約2gをとり、サンプル重量(C)を測定する。熱風乾燥器にて120℃、2時間乾燥する。乾燥後の重量(D)を測定する。固形分濃度は下式に従い算出する。
【数3】


(仕込みからの収率)
仕込み量、及び再沈収率から、下式にしたがって算出した。
【数4】

(残存モノマー量)
ガスクロマログラフィーにより、不純物として検出される残存モノマーの量を測定した。残存モノマー量の測定はSHIMADZU GAS CHROMATOGRAPH GC-2014を使用し、キャリアーガスにはヘリウムガスを使用した。試料注入部および水素イオン検出器(FID)を250℃、カラムを110℃、キャリアーガス内における線速度を毎秒40cmとし、スプリット比1/20で試料溶液1μL注入した。カラムはDB-1(Agilent Technologies社製、長さ30m、内径0.32mmID、液相の膜厚3μm)を用いて測定した。カラムオーブンの温度プログラムは110℃で5分間保持した後、10℃/minで200℃まで昇温し、20℃/minで280℃まで昇温させた後、10分間保持した。

(共重合比)
元素分析により、共重合体を構成する、アリルアミン塩酸塩等のモノアリルアミン系単量体aから導かれる構成単位A、及びメタクリル酸等のエチレン性不飽和単量体bから導かれる構成単位Bの量を測定し、共重合比を分析した。
元素分析はPerkin Elmer 2400II CHNS/O全自動元素分析装置を使用し、CHNモードにて測定した。キャリアーガスはヘリウムガスを使用した。測定は錫カプセルに固体試料を量りとり、燃焼管内に落下して純酸素ガス中で燃焼温度1800℃以上で試料を燃焼し、分離カラム及び熱伝導検出器によるフロンタルクロマトグラフィー方式で各測定成分を検出し、校正係数を用いて各元素の含有率を定量した。

(重合体の固有粘度[η])

重合体の固有粘度[η]は、一般式
【数5】

で表される。ηspは比粘度であり、cは容積濃度(g/dl)である。式中[η]はcを0に補外することによって求められる値を示す。具体的な方法としては、重合体を0.1N NaCl水溶液に溶解させて、濃度の異なる溶液として、濃度0.25g/dl、0.50g/dl 、0.75g/dl、2.00g/dlの4種の溶液を作製し、この溶液を30℃に調製した後、ウベローデ粘度計により粘度を測定し、濃度を0に補外することによって、固有粘度[η]求めた。

(pH2、7、及び12での水溶性、水分散性)
アリルアミン系共重合体を温度25℃、濃度0.5重量%で水中に溶解させ、1N NaOH溶液を用いてpH2.0、7.0、12.0に調製し、沈殿物の形成を目視観察することにより、各pHでの水溶性、水分散性の有無を測定した。
【0032】
(実施例1)
アリルアミン塩酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率1:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに蒸留水32.78g、アリルアミン塩酸塩0.5molを仕込んだ。また、200mlのビーカーにて蒸留水100.0g、メタクリル酸0.5mol、モノマー(アリルアミン塩酸塩とメタクリル酸の合計)に対して2.0mol%分の次亜リン酸ナトリウムを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩)をモノマーに対して1.0mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸の滴下は7時間かけて行い、その間、2時間おきに4回、モノマーに対して0.5mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、黄色透明の高粘性溶液を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は100.93%であった。また、仕込みモノマー量から算出した歩留りは97.34%であった。再沈物のFT-IR測定より、メタクリル酸モノマー由来のピーク(1700cm-1、1155cm-1、3000cm-1)、及びアリルアミン塩酸塩モノマー由来のピーク(1155cm-1、3000cm-1)を確認した。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0033】
(実施例2)
アリルアミン塩酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率3:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにアリルアミン塩酸塩0.90molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水60.01g、メタクリル酸0.30molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とメタクリル酸の合計 )に対して1.0mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液をマイクロチューブポンプにて滴下しながら添加することで重合を開始した。メタクリル酸の滴下は12時間かけて行った。その間、重合開始から3時間後に1モル%、20時間後に0.5mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加し、30時間後に重合反応を終了させ、黄色透明の高粘性溶液を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は104.00%、仕込みから算出した歩留りは100.82%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0034】
(実施例3)
アリルアミン塩酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率5:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにアリルアミン塩酸塩1.00molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水17.04g、メタクリル酸0.20molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とメタクリル酸の合計 )に対して0.5mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸の滴下は12時間かけて行った。その間、重合開始から4時間後に1.0mol%、20時間後に1.0mol%開始剤V-50を反応系内に直接添加した。30時間後に重合反応を終了させ、黄色透明の高粘性溶液を得た。収率の確認はIPAによる再沈操作にて行い、再沈収率は96.49%、仕込みから算出した歩留りは98.93%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0035】
(実施例4)
アリルアミン塩酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率10:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにアリルアミン塩酸塩1.20molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水15.39g、メタクリル酸0.12molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とメタクリル酸の合計 )に対して1.0mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸の滴下は6時間かけて行い、その間、3時間おきに2回、モノマーに対して1.0mol%を1回、1.5mol%を1回、開始剤V-50を反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、黄色透明の高粘性溶液を得た。収率の確認はIPAによる再沈操作にて行い、再沈収率は100.50%、仕込みから算出した歩留りは100.02%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0036】
(実施例5)
アリルアミン塩酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率15:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにアリルアミン塩酸塩1.20molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水10.26g、メタクリル酸0.08molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とメタクリル酸の合計 )に対して0.5mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸の滴下は6時間かけて行い、その間、3時間おきに2回、モノマーに対して0.5mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、黄色透明の高粘性溶液を得た。収率の確認はIPAによる再沈操作にて行い、再沈収率は98.91%、仕込みから算出した歩留りは96.57%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0037】
(実施例6)
アリルアミン塩酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率20:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにアリルアミン塩酸塩1.40molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水8.98g、メタクリル酸0.07molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とメタクリル酸の合計 )に対して0.5mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸の滴下は6時間かけて行い、その間、3時間おきに2回、モノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、黄色透明の高粘性溶液を得た。収率の確認はIPAによる再沈操作にて行い、再沈収率は99.72%、仕込みから算出した歩留りは98.65%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0038】
(実施例7)
アリルアミン塩酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率2:3
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに蒸留水21.94g、アリルアミン塩酸塩0.3molを仕込んだ。また、200mlのビーカーにて蒸留水115.83g、メタクリル酸0.45mol、モノマーに対して4.0mol%分の次亜リン酸ナトリウムを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とメタクリル酸の合計 )に対して0.5mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を定量ポンプにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸の滴下は10時間かけて行い、その間、3、7時間後にモノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。30時間後に重合反応を終了させ、黄色透明の高粘性溶液を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は98.06%、仕込みから算出した歩留りは96.35%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0039】
(実施例8)
アリルアミン塩酸塩/アクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率1:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに蒸留水28.90g、アリルアミン塩酸塩0.4molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水60.05gとアクリル酸0.4molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とアクリル酸の合計 )に対して1.0mol%加え、次いでアクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。アクリル酸の滴下は7時間かけて行い、その間、2時間おきにモノマーに対して0.5mol%の開始剤V-50を3回反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、橙色透明の溶液を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は104.07%、仕込みから算出した歩留りは101.42%であった。再沈物のFT-IR測定より、アクリル酸モノマー由来のピーク(1700cm-1、1155cm-1、3000cm-1)、及びアリルアミン塩酸塩モノマー由来のピーク(1155cm-1、3000cm-1)を確認した。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0040】
(実施例9)
アリルアミン塩酸塩/アクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率3:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにアリルアミン塩酸塩0.6molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水61.90g、アクリル酸0.2molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とアクリル酸の合計 )に対して1.0mol%加え、次いでアクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。アクリル酸の滴下は7時間かけて行い、その間、3時間おきにモノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を2回反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、橙色透明の溶液を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は91.17%、仕込みから算出した歩留りは89.31%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0041】
(実施例10)
アリルアミン塩酸塩/アクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率5:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにアリルアミン塩酸塩1.0molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水37.17g、アクリル酸0.2molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とアクリル酸の合計 )に対して1.0mol%加え、次いでアクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。アクリル酸の滴下は7時間かけて行い、その間、3時間おきにモノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を2回反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、橙色透明の溶液を得た。収率の確認はIPAによる再沈操作にて行い、再沈収率は97.37%であった。仕込みから算出した歩留りは95.24%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0042】
(実施例11)
アリルアミン塩酸塩/アクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率2:3
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに蒸留水10.55g、アリルアミン塩酸塩0.40molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水69.49gとアクリル酸0.60molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩 )をモノマー(アリルアミン塩酸塩とアクリル酸の合計 )に対して0.5mol%加え、次いでアクリル酸水溶液を定量ポンプにて添加することで重合を開始した。アクリル酸の滴下は12時間かけて行い、その間、3、18時間経過時にモノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。30時間後に重合反応を終了させ、橙色透明の溶液を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は105.42%、仕込みから算出した歩留りは106.13%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0043】
(実施例12)
アリルアミンアミド硫酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率1:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに蒸留水55.63g、アリルアミンアミド硫酸塩0.3molを仕込んだ。また、200mlのビーカーにて蒸留水60.0g、メタクリル酸0.3mol、モノマー(アリルアミンアミド硫酸塩とメタクリル酸の合計)に対して2.0mol%分の次亜リン酸ナトリウムを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩)をモノマーに対して1.0mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸水溶液の滴下は7時間かけて行い、その間、3時間おきに2回、モノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、黄色透明溶液の高粘性液体を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は98.03%であった。また、仕込みから算出した歩留りは97.55%であった。再沈物のFT-IR測定より、メタクリル酸モノマー由来のピーク(1700cm-1、1155cm-1、3000cm-1)、及びアリルアミンアミド硫酸塩モノマー由来のピーク(1155cm-1、3000cm-1)を確認した。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0044】
(実施例13)
アリルアミンアミド硫酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率3:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに蒸留水77.75g、アリルアミンアミド硫酸塩0.45molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水19.24g、メタクリル酸0.15mol、モノマー(アリルアミンアミド硫酸塩とメタクリル酸の合計)に対して1.0mol%分の次亜リン酸ナトリウムを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩)をモノマーに対して1.0mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸水溶液の滴下は8時間かけて行い、その間、3時間おきに2回、モノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、黄色透明溶液の高粘性液体を得た。収率の確認はアセトンによる再沈操作にて行い、再沈収率は94.72%であった。また、仕込みから算出した歩留りは93.14%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0045】
(実施例14)
アリルアミンアミド硫酸塩/メタクリル酸共重合体、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率5:1
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに蒸留水49.26g、アリルアミンアミド硫酸塩0.7molを仕込んだ。また、100mlのビーカーにて蒸留水28.00g、メタクリル酸0.14molを混合した。セパラブルフラスコ内の内温を60℃に加温し、開始剤V-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩)をモノマーに対して1.0mol%加え、次いでメタクリル酸水溶液を滴下ロートにて添加することで重合を開始した。メタクリル酸水溶液の滴下は8時間かけて行い、その間、3時間おきに2回、モノマーに対して1.0mol%の開始剤V-50を反応系内に直接添加した。24時間後に重合反応を終了させ、黄色透明溶液の高粘性液体を得た。収率の確認はIPAによる再沈操作にて行い、再沈収率は96.22%であった。また、仕込みから算出した歩留りは98.93%であった。
結果を表1に示す。
また、pH2、7、及び12での水溶性、水分散性の評価結果を、表2に示す。
【0046】
(比較例1)
従来技術によるアリルアミンアミド硫酸塩/アクリル酸共重合体の製造、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率2:3
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにメタノール99.62g、アリルアミンアミド硫酸塩0.3mol、アクリル酸0.45モルを仕込み、内温を50℃に加温した。内温安定後、開始剤V-601(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル)をモノマーに対して2.5mol%、さらに24時間後にモノマー(アリルアミンアミド硫酸塩とアクリル酸の合計 )に対して2.5mol%添加し、48時間後に重合反応を終了させた。フラスコ底部に沈殿した白色析出物をろ別し、高粘性の黄色濁り溶液を150.31g得た。IPAによる再沈操作にてアクリル酸の単独重合体を除去し、ろ物としてアリルアミンアミド硫酸塩/アクリル酸共重合体を得た。得られた共重合体の再沈収率は67.08%、仕込みから算出した歩留りは50.91%であった。また、水には溶解せず、高アルカリ下の特定のpH条件でのみ溶解した。
結果を表1及び2に示す。
【0047】
(比較例2)
従来技術によるアリルアミンアミド硫酸塩/アクリル酸共重合体の製造、モノアリルアミン系単量体a:エチレン性不飽和単量体bの比率2:3
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた300mlのセパラブルフラスコにメタノール28.78g、アリルアミンアミド硫酸塩0.3molを仕込んだ。また、100mlビーカーにてメタノール75.34gとアクリル酸0.45molを混合した。内温を50℃に加温し、内温安定後、開始剤V-601(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル)をモノマー(アリルアミンアミド硫酸塩とアクリル酸の合計 )に対して2.5mol%添加し、次いでアクリル酸モノマーメタノール溶液を定量ポンプにて滴下することで重合を開始した。アクリル酸モノマーの滴下は8時間かけて行い、重合開始から24時間後に開始剤V-601をモノマーに対して2.5mol%反応系内に直接添加し、48時間反応を継続した。反応終了後、フラスコ底部に沈殿した白色析出物をろ別し、高粘性の黄色濁り溶液を106.00g得た。IPAによる再沈操作にてアクリル酸の単独重合体を除去し、ろ物としてアリルアミンアミド硫酸塩/アクリル酸共重合体を得た。得られた共重合体の再沈収率は68.45%、仕込みから算出した歩留りは35.08%であった。また、水には溶解せず、高アルカリ下の特定のpH条件でのみ溶解した。
結果を表1及び2に示す。
【0048】

【表1】

【表2】
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、所期の組成、重合度を有する、モノアリルアミン系単量体とエチレン性不飽和単量体との共重合体が、実用的な効率、コストで提供されるという実用上高い価値を有する顕著な技術的効果を実現するものであり、化学産業、製紙産業、電気電子産業をはじめとする産業の各分野において、高い利用可能性を有する。