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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20230511BHJP
   E04F 19/08 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
E04H1/02
E04F19/08 103A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019120097
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021004532
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】橋口 公亮
(72)【発明者】
【氏名】鷺原 正義
(72)【発明者】
【氏名】内田 大輝
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-073511(JP,A)
【文献】特開2003-138761(JP,A)
【文献】特開2002-285723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習をするためのスタディコーナーを、キッチンと繋がって形成されるダイニング、又はリビングに面して配置し、且つ、前記スタディコーナーと、前記ダイニング又は前記リビングと、の境界に学習用の机を設置する住宅であって、
前記スタディコーナーは、洗面室と壁体を介して隔てられるとともに、前記洗面室の床部よりも高く形成された高床部の下部に床下収納を形成されており、
前記床下収納は、前記スタディコーナー及び前記洗面室から使用可能であることを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記スタディコーナーは、前記スタディコーナーと略同一の床高さを有する家事を行うためのスペースに面していることを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記スペースは、畳敷きの室であることを特徴とする請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記ダイニング及び前記リビングは、前記スタディコーナーの前記高床部よりも床部を低く形成されており、
前記床下収納は、前記ダイニング又は前記リビングから使用可能であることを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項5】
前記ダイニング及び前記リビングは、前記スタディコーナーの前記高床部よりも床部を低く形成されており、
前記床下収納は、前記ダイニング又は前記リビングから使用可能であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の住宅。
【請求項6】
前記スタディコーナーに隣接して、他階と当該スタディコーナーとを結ぶ第1階段が配置されることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の住宅。
【請求項7】
前記スタディコーナーに隣接して、他階と当該スタディコーナーとを結ぶ第1階段が配置されることを特徴とする請求項2、請求項3又は請求項5に記載の住宅。
【請求項8】
前記第1階段の階段裏には、収納スペースが形成されることを特徴とする請求項6に記載の住宅。
【請求項9】
前記第1階段の階段裏には、収納スペースが形成されることを特徴とする請求項7に記載の住宅。
【請求項10】
前記壁体は、当該スタディコーナー側の壁面に沿って収納棚を設置されることを特徴とする請求項1、請求項4、請求項6又は請求項8に記載の住宅。
【請求項11】
前記壁体は、当該スタディコーナー側の壁面に沿って収納棚を設置されることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5、請求項7又は請求項9に記載の住宅。
【請求項12】
前記ダイニングには、前記スタディコーナー及び前記スペースとの段差を解消する第2階段が形成されることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5、請求項7、請求項9又は請求項11に記載の住宅。
【請求項13】
前記スタディコーナーは、前記ダイニング、前記キッチン、前記リビング、及び前記スペースを内包する大空間居室内に形成されることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5、請求項7、請求項9、請求項11又は請求項12に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習をするためのスタディコーナーをダイニングに面して配置した住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、キッチンやリビングに隣接するダイニングで子供が勉強や読書をする学習方法が増えており、この学習方法によると、キッチンで家事をしたりリビングで寛ぐ親のそばで子供が学習をすることにより、子供のやる気や集中力を向上させる効果があるとされている。しかしながら、ダイニングテーブルで子供が勉強すると、勉強道具や教材が散乱してしまいダイニング廻りの整理整頓が難しいという問題点があった。そこで、ダイニングに面して学習を行うためのスタディコーナーを形成する発明が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)
【0003】
これらの発明では、家族が集まるダイニングやリビングに面してスタディコーナーを形成しているため、子供は親に見守られながら集中力やモチベーションを保持したまま学習を行うことができ、また、ダイニングテーブルに勉強道具や教材が散乱しないのでダイニングを清潔な状態に保つことができる。そして、特許文献1に記載の発明では、スタディコーナーの床を高床部として床下収納を形成するとともに、スタディコーナーを階段裏に配置して省スペース化を図ることにより、狭小な住宅であっても子供が親に見守られながら集中して学習を行える環境を無理なく実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-209646
【文献】特開2017-25614
【文献】実登3140203
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1から特許文献3に記載の発明は、子供の集中力を増すことができるものの、リビングやダイニングに隣接してスタディコーナーを形成すると、同一階に形成される洗面室や浴室などのサニタリールーム、及び収納スペースなどの非居室が圧迫されるため、狭小な住宅ではこれらの室面積を十分確保できないという問題が挙げられる。そして特許文献1のように、スタディコーナーの机の向きをダイニングに対向する壁に向かって配置すると、子供はキッチンやダイニングにいる家族とコミュニケーションをとることが難しく、折角のスタディコーナーが閉塞感のある空間となってしまう。また一方で、昨今ライフスタイルが多様化していることもあり、子育てを行うファミリー世帯では、リビングという同一空間に家族全員が留まりながらもそれぞれが「寛ぐ」、「食事する」、「学習する」、「趣味を楽しむ」といった様々な行動をとりながら家族団欒を過ごすことが多く、多様な用途に使用可能な空間を有する住宅が求められる傾向にある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであって、開放的な空間の中、子供が親に見守られながら集中して学習でき、且つ、各室の収納スペースを確保しつつも居住者の多様なライフスタイルに対応可能な住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の住宅は、学習をするためのスタディコーナーを、キッチンと繋がって形成されるダイニング、又はリビングに面して配置し、且つ、前記スタディコーナーと、前記ダイニング又は前記リビングと、の境界に学習用の机を設置する住宅であって、前記スタディコーナーは、洗面室と壁体を介して隔てられるとともに、前記洗面室の床部よりも高く形成された高床部の下部に床下収納を形成されており、前記床下収納は、前記スタディコーナー及び前記洗面室から使用可能であることを特徴としている。
【0008】
本発明の第2の住宅は、前記スタディコーナーが、前記スタディコーナーと略同一の床高さを有する家事を行うためのスペースに面していることを特徴としている。
【0009】
本発明の第3の住宅は、前記スペースが、畳敷きの室であることを特徴としている。
【0010】
本発明の第4の住宅は、前記ダイニング及び前記リビングが、前記スタディコーナーの前記高床部よりも床部を低く形成されており、前記床下収納が、前記ダイニング又は前記リビングから使用可能であることを特徴としている。
【0011】
本発明の第5の住宅は、前記スタディコーナーに隣接して、他階と当該スタディコーナーとを結ぶ第1階段が配置されること特徴としている。
【0012】
本発明の第6の住宅は、前記第1階段の階段裏には、収納スペースが形成されることを特徴としている。
【0013】
本発明の第7の住宅は、前記壁体が、当該スタディコーナー側の壁面に沿って収納棚を設置されることを特徴としている。
【0014】
本発明の第8の住宅は、前記ダイニングには、前記スタディコーナー及び前記スペースとの段差を解消する第2階段が形成されることを特徴としている。
【0015】
本発明の第9の住宅は、前記スタディコーナーが、前記ダイニング、前記キッチン、前記リビング、及び前記スペースを内包する大空間居室内に形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の住宅によると、学習をするためのスタディコーナーを、キッチンと繋がって形成されるダイニング、又はリビングに面して配置し、且つ、スタディコーナーと、ダイニング又はリビングと、の境界に学習用の机を設置するので、親はキッチンで家事を行ったりリビングで寛ぎながらも子供の学習する様子を見守ることができ、また子供は、開放的な雰囲気の中、必要に応じて家族とコミュニケーションを図りながら集中力を持続させて学習することができる。そして、スタディコーナーは洗面室と壁体を介して隔てられ、高床部の下部に形成された床下収納は洗面室から使用可能であるので、スタディコーナーを設けることにより洗面室の室面積が圧迫されても、洗面室に必要な収納スペースを確保することができる。さらに床下収納は、スタディコーナーからも使用可能であるため、洗濯の必要な衣服類などをスタディコーナー側から床下収納へ投入すると、洗面室側から取り出すことができる。したがって、学校から帰宅した子供達は、使用済みの体操服やハンカチなどの衣服類をスタディコーナーから床下収納に投入するだけでこれらの衣服類を容易に洗面室へ移動させることができ、スタディコーナーに物が散乱することを効果的に防止できる。
【0017】
本発明の第2の住宅によると、スタディコーナーは、スタディコーナーと略同一の床高さで形成された家事を行うためのスペースに隣接しているので、親は、スペースで家事をしながらも子供の学習する様子を見守ることができ、子供のやる気や集中力を向上させることができる。
【0018】
本発明の第3の住宅によると、スペースは畳敷きの室であるため、親は家事の最中だけでなく畳上で寛いでいる際にも子供の学習する様子を見守ることができ、子供のやる気や集中力を向上させることができる。
【0019】
本発明の第4の住宅によると、ダイニング及びリビングは、スタディコーナーの高床部よりも床部を低く形成されており、また床下収納はダイニング又はリビングからも使用可能であるので、床下収納をダイニングやリビングで使用する日用品などの収納スペースとして使用することができ、各スペースの床高さに変化をつけることによって効果的に省スペース化を図ることができる。
【0020】
本発明の第5の住宅によると、高床部であるスタディコーナーに隣接して、他階と当該スタディコーナーとを結ぶ第1階段が配置されるので、第1階段は高床部の高さ分だけ段差を省略することができ、階段の全長を短縮して効果的に省スペース化を図ることができる。
【0021】
本発明の第6の住宅によると、第1階段の階段裏に収納スペースが形成されるので、階段裏の空間を有効利用して省スペース化を図ることができる。
【0022】
本発明の第7の住宅によると、壁体は、スタディコーナー側の壁面に沿って収納棚を設置されるので、子供のランドセル、玩具、スタディコーナーで使用する勉強道具や教材、PC、ノート類を収納することができ、利便性を向上させることができる。
【0023】
本発明の第8の住宅によると、ダイニングには、スタディコーナー及びスペースとの段差を解消する第2階段が形成されるので、スタディコーナー及びスペースへアクセス可能な段差解消手段を1つの階段に集約して効果的に省スペース化を図ることができる。
【0024】
本発明の第9の住宅によると、スタディコーナーは、ダイニング、キッチン、リビング、及びスペースを内包する大空間居室内に形成されるので、大空間居室に家族全員が留まりながらもそれぞれが「学習する」、「食事する」、「家事をする」、「寛ぐ」といった思い思いの行動をとりながら家族団欒を過ごすことができ、多様なライフスタイルに対応可能な住宅を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】住宅の1階を示す平面図
図2図1のA-A断面図。
図3図1のB-B断面図。
図4図1のC-C断面図。
図5】床下収納をダイニングから使用可能とする状況を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る住宅1の実施形態について各図を参照しつつ説明する。住宅1は、主に子育てを行うファミリー世帯が暮らす住宅であり、子供が親に見守られながら集中して学習でき、且つ、居住者の多様なライフスタイルに柔軟に対応可能とすることを目的とした住宅である。図1は、本発明の住宅1の一例を示すもので、1階平面図を示している。なお、本発明において「左」、「右」、「上」、「下」とは図1における左方向、右方向、上方向、下方向をそれぞれ指すものとする。また、本願において「繋がって形成される」とは、各領域が床面から天井面までを閉塞する間仕切壁によって分断されていないことを意味する。
【0027】
まず住宅1の1階の平面構成について説明する。住宅1の1階は、平面視略矩形状に形成されており、右下に位置する玄関土間2及び玄関ホール3、玄関ホール3の上方向に並んで形成される玄関ホール収納4、トイレ5、玄関ホール3の左側に形成されるひと続きの大空間であり、1階の過半以上を占める大空間居室6、左上に位置する洗面室7及び浴室8、浴室8の右側に並んで配置される第1収納スペース9、第1階段10、大空間居室6とトイレ5との間に配置される第2収納スペース11、によって構成されている。大空間居室6は、間仕切や構造柱が全く露出していない1つの空間であり、大空間居室6内の右下に配置されるリビング61、リビング61の左側に配置されるダイニング62、ダイニング62の更に左側に形成されるキッチン63、ダイニング62の上側に配置される学習を行うためのスタディコーナー64、リビングの上側に配置される家事を行うためのスペース65から構成されている。
【0028】
図1に示すように、住宅1へは玄関ポーチAから玄関土間2に面して形成される玄関出入口D1を通って入室することができ、また、リビング61及びダイニング62は、下側に位置する第1壁体W1によって屋外と隔てられてるとともに、第1壁体W1に形成された掃き出し窓D2によって屋外に形成されたウッドデッキスペースBと行き来可能となっている。またスペース65は、上側に位置する第2壁体W2によって、屋外と隔てられてるとともに、第2壁体W2に形成された掃き出し窓D3によって屋外に形成された縁側Cと行き来可能となっている。
【0029】
図2に示すように、スタディコーナー64及びスペース65の床部は、1階の床高さよりも高い高床部F1とされており、それ以外の室の床部は1階床高さである低床部F2とされている。また低床部F2と高床部F1との段差H1は350mm~450mm程度であり、図1に示すダイニング62のスタディコーナー64との境界部には、スタディコーナー64及びスペース65に行き来するための第2階段12が設置されている。なお、第2階段12が設置されていない低床部F2と高床部F1との境界部分の段差は、居住者がリビング61、ダイニング62、キッチン63の方向を向いて腰を掛ける椅子として機能することができる。
【0030】
図1に示すように、スタディコーナー64は平面視略矩形状の空間であり、ダイニング62に面するとともに、リビング61、キッチン63からも視認可能な位置に配置されている。スタディコーナー64は、少なくとも当該スタディコーナー64とダイニング62との境界に配置される学習を行うための机64a、及び勉強道具や教材を収納するための収納棚64bに面しており、これらを使用して子供が学習を行うスペースとなっている。図2に示すように、机64aは、第2階段12に隣接するダイニング62の低床部F2に配置されており、また、図2及び図4に示す収納棚64bは机64aに隣接するとともに、スタディコーナー64と洗面室7とを隔てる第3壁体W3のスタディコーナー64側の壁面W3aに沿って設置されている。
【0031】
子供がスタディコーナー64で学習する際は、図3に示すように、先述した低床部F2と高床部F1との段差に座ることで、ダイニング62の方向を向いて机64aで学習することができ、一方ダイニング62やダイニング62に隣接するリビング61、及びキッチン63に滞在する親は、家事をしたり寛ぎながら子供の様子を見守り、また、必要に応じて子供とのコミュニケーションを図って子供の集中力を向上させることができる。なお図示するように、机64aのダイニング62側に椅子を置けば、机64aを挟んで親と子供とで向かい合って座ることも可能となる。
【0032】
机64aの各種寸法は、特に限定されるものではないが、例えば、図2に示す幅Wを1500mm程度、高さH2を650mm~750mm程度、図3に示す奥行きDを600mm程度、とすることができ、このような寸法であれば、低床部F2と高床部F1との段差に座って問題なく学習することができる。
【0033】
収納棚64bは、図3に示すように、垂直方向に仕切り板64cを、水平方向に棚板64dをそれぞれ複数有しており、収納する物品によって仕切り板64c同士や棚板64d同士の間隔を異ならせている。収納棚64bには、勉強道具や教材のほか、ランドセル、玩具、PCなどを収納することができ、また図示するように、ハンガーパイプPを設置することで制服や上着などの衣服類を掛けてもよい。さらに、図4に示すようにスタディコーナー64の高床部F1の下部には床下収納Sが形成されており、収納棚64bの最下部には、床下収納S内に物品を投入することができる投入口64eが設置されている。この床下収納Sは、洗濯室7やダイニング62に面する部分を閉塞しないことにより、スタディコーナー64からだけでなく、両空間7、62からも使用することができる。その際は、図4及び図5に示すように、各空間7、62側からそれぞれ操作可能な洗濯かご7aや引き出し62aなどを床下収納S内に設置してもよい。
【0034】
図1に示すスペース65は、畳敷きの和室であり、アイロン掛けや洗濯物を畳むなどの家事を行うほかに寛ぐためのスペースとしても使用される。スペース65は、隣合うリビング61及びスタディコーナー64との境界際に障子などの間仕切戸D4を設けており、必要に応じて開閉することができる。このように、スペース65をスタディコーナー64に面して形成することにより、親は家事を行ったり寛いだりしている時に子供の学習中の様子をそばで見守ることができ、子供の集中力をより向上させることができる。
【0035】
図1及び図4に示す洗面室7は、洗面や洗濯を行う場所であり、第3壁体W3によってスタディコーナー64と隔てられている。洗面室7の高床部F1下部に形成された床下収納Sに面する部分は、第3壁体W3が設けられておらず、洗面室7から床下収納S内に物品を自由に挿入したり、反対に床下収納S内の物品を取り出したりすることができる。したがって、床高さに変化をつけることにより、狭くなりがちな洗面室7内に設置される洗剤類やタオル類、体重計などの収納スペースを無理なく確保することができる。また、先述したように、スタディコーナー64及び洗面室7の両方から床下収納Sを使用可能とすることにより、利便性を向上させることができる。例えば、学校から帰宅した子供は、スタディコーナー64の収納棚64bにランドセルや勉強道具、上着などを収納するとともに、使用済みの体操服やハンカチ、給食袋など洗濯が必要な衣服類等を先述した投入口64eから床下収納Sへ投入することができる。このとき、洗面室7側から床下収納S内に予め洗濯かご7aを設置しておけば、投入口64eから投入された衣服類は洗濯かご7a内に落下し、そのまま洗面室7側から洗濯かご7aごと取り出して洗濯することができる。つまり居住者は、スタディコーナー64と洗面室7とを行き来することなく床下収納Sを通じて物品を受け渡すことができるので、洗濯動線を効果的に短縮することができる。
【0036】
図1に示す第1収納スペース9は、デッドスペースとなりやすい第1階段10の階段裏空間を有効活用して設置されており、スタディコーナー64と行き来可能に隣接しているため、スタディコーナー64で使用する物品だけでなくリビング61やダイニング62で使用する日用品等も保管することができる。また第1階段10は、スタディコーナー64の床部が高床部F1となっているため、高床部F1の高さ分だけ段差を省略することができ、階段の全長Lを縮めて省スペース化を図ることができる。
【0037】
このように住宅1は、スタディコーナー64を家族が集うリビング61、ダイニング62、キッチン63、スペース65から視認可能な位置に配置しているので、親は家事をしたり寛いだりしながら子供が学習する様子を見守ることができ、子供のやる気や集中力を向上させることができる。また床下収納Sは、スタディコーナー64だけでなく洗面室7やダイニング62からも使用可能であるため、住宅1内にスタディコーナー64を設置しても隣合う室の収納スペースを無理なく確保することができる。そしてスタディコーナー64は、収納棚64bが設置されるとともに、第1収納スペース9と行き来可能に隣接しているので、勉強道具や教材等をこれらのスペースに収納することができ、スタディコーナー64内に物品が散乱することを防止できる。なおスタディコーナー64は、将来子供が使用しなくなった際に、必要に応じて大人が書斎や趣味コーナーとして使用することもできる。
【0038】
さらに住宅1は、大空間居室6内にリビング61、ダイニング62、キッチン63、スタディコーナー64、スペース65、を内包し、且つ、同空間6の床の高さや床材に変化を加えて領域性を持たせているので、1つの空間に家族全員が留まりながらもそれぞれが「寛ぐ」、「食事する」、「家事をする」、「学習する」、といった思い思いの行動をとりながら家族団欒を過ごす空間を構築することができ、多様なライフスタイルに対応可能な住宅とすることができる。なお本実施形態では、スタディコーナー64をダイニング62に面して設置しているが、スタディコーナー64は、ダイニング62だけでなくリビング61に面して設置してもよく、その場合は、床下収納Sをリビングから使用可能としてもよい。
【0039】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る住宅は、子供が学習する際の集中力を向上させるために好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 住宅
6 大居室空間
61 リビング
62 ダイニング
63 キッチン
64 スタディコーナー
64a 机
64b 収納棚
65 スペース
7 洗面室
9 第1収納スペース
10 第1階段
12 第2階段
S 床下収納
F1 高床部
W3 第3壁体(壁体)
W3a 壁面(スタディコーナー側の壁面)
図1
図2
図3
図4
図5