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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】カートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A45D40/20 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020034722
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021137092
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000140915
【氏名又は名称】株式会社カツシカ
(72)【発明者】
【氏名】湯下 大樹
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0239618(US,A1)
【文献】特開2013-102963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00-40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転筒(4)とスリーブ(5)の相対回転により棒状化粧料(1)を保持した紅皿(2)を繰上げ下げする回転繰り出し機構(61~65)を内装したカートリッジ(A)を、ホルダー(B)に、着脱可能に装着するカートリッジ式棒状化粧料繰出し容器に於いて、
前記カートリッジ(A)の回転筒(4)後部に、磁性体若しくは磁石から成る吸着部材(7)を止着し、前記ホルダー(B)の底部に、前記カートリッジ(A)の吸着部材(7)に吸着してカートリッジ(A)を着脱可能に保持する磁石(12)を設置し、
凸斜面(441)をどちらか一面にのみ設けた略直角三角形状の当接カム(44)、及び該当接カム(44)に噛み合う押上げカム(821)の、どちらか一方を前記カートリッジ(A)の回転筒(4)後端に、他方を前記ホルダー(B)の底部にそれぞれ設けて、ホルダー(B)の回転をカートリッジ(A)の回転筒(4)に伝達して回転繰り出し機構(61~65)を駆動し
前記回転繰り出し機構(61~65)の紅皿(2)の上昇限若しくは下降限以上に回転操作することにより、前記カートリッジ(A)とホルダー(B)間が空転し、前記押上げカム(821)が、当接カム(44)の凸斜面(441)を滑ってカートリッジ(A)を押上げ、カートリッジ(A)の吸着部材(7)とホルダー(B)の磁石(12)間を離間させるホルダー(B)の回転方向を、当接カム(44)の凸斜面(441)の向きにより一方向に限定することを特徴とするカートリッジ式棒状化粧料繰出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅などの棒状化粧料を着脱できるカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅などの棒状化粧料繰り出し容器には、棒状化粧料を使い切ってしまった時や、棒状化粧料の色を替えたい時など、棒状化粧料を収納したカートリッジを簡単に交換できるカートリッジ機構を付加したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器が知られている。このカートリッジ機構は、カートリッジとホルダーを着脱可能に連結する連結機能と、ホルダー若しくはカートリッジの回動を他方に伝達する伝達機能とより成っている。
【0003】
このうち、特許文献1及び特許文献2に於いて、カートリッジとホルダーの連結機能を磁石の吸着力で行うカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器が提案されている。この連結機能はカートリッジ及びホルダーの一方に磁石、他方に磁石若しくは磁性体をそれぞれ設置するだけで簡単に構成できた。
【0004】
この構成の場合、外部からの衝撃など、何らかの理由で磁石の吸着が外れてしまったとしても、磁石の磁界の範囲内であれば、自身の吸着力により再度吸着して、カートリッジとホルダーの連結が復元する利点があった。とはいっても、使用中などに不用意にカートリッジが脱落してしまわないよう、ある程度の吸着力が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭56-108808号公報
【文献】特開2013-172888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、カートリッジが不用意に脱落しないよう吸着力を強くすると、カートリッジの抜き取りに力が必要となり、しかも、カートリッジをある程度の距離を引き抜かなければ磁石の磁界の影響下から抜け出ることができない。したがって、中途半端な抜き方では、カートリッジが再吸着してしまい、カートリッジの抜き損じが発生しやすくなってしまった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
回転筒4とスリーブ5の相対回転により棒状化粧料1を保持した紅皿2を繰上げ下げする回転繰り出し機構61~65を内装したカートリッジAを、ホルダーBに、着脱可能に装着するカートリッジ式棒状化粧料繰出し容器に於いて、前記カートリッジAの回転筒4後部に、磁性体若しくは磁石から成る吸着部材7を止着し、前記ホルダーBの底部に、前記カートリッジAの吸着部材7に吸着してカートリッジAを着脱可能に保持する磁石12を設置し、凸斜面441をどちらか一面にのみ設けた略直角三角形状の当接カム44、及びこの当接カム44に噛み合う押上げカム821の、どちらか一方を前記カートリッジAの回転筒4後端に、他方を前記ホルダーBの底部にそれぞれ設けて、ホルダーBの回転をカートリッジAの回転筒4に伝達して回転繰り出し機構61~65を駆動し、前記回転繰り出し機構61~65の紅皿2の上昇限若しくは下降限以上に回転操作することにより、前記カートリッジAとホルダーB間が空転し、前記押上げカム821が、当接カム44の凸斜面441を滑ってカートリッジAを押上げ、カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12間を離間させるホルダーBの回転方向を、当接カム44の凸斜面441の向きにより一方向に限定する
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上のように、カートリッジAとホルダーBの連結機能を、吸着部材7と磁石12の吸着力により行い、ホルダーBのカートリッジAの回転筒4へのトルク伝達(伝達機能)はカートリッジAの当接カム44とホルダーBの押上げカム821の噛み合いにより行っている。したがって、ホルダーBの双方向の回転をカートリッジAの回転筒4に伝達し、繰り出し機構61~64を駆動して紅皿2を上下摺動させて棒状化粧料1を繰り上げ下げし、任意でカートリッジAを着脱できる、カートリッジ式棒状化粧料繰出し容器を極めて単純な構成で実現できる。
【0009】
更に、回転繰り出し機構61~65の紅皿2の上昇限若しくは下降限に達した時点で、ホルダーBの回転操作を続行すると、繰り出し機構61~64が駆動停止し、スリーブ5と回転筒4が相対回転不能となり、カートリッジAとホルダーB間で相対的回転が始まる。その結果、カートリッジAの当接カム44の凸斜面441を滑ってカートリッジAを押上げ、カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12の間を離間させる。つまり、この状態でカートリッジAを抜脱すれば、磁石12の吸着力が弱まった状態でカートリッジAの抜脱が行え、抜き損じなく安心してカートリッジを抜き取れる。
【0010】
また、前記当接カム44の形状を、凸斜面441をどちらか一面にのみ設けた略直角三角形状にすれば、押上げカム821が、当接カム44の凸斜面441を滑ってカートリッジAを押上げ、カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12間を離間させる離間メカの作動を、ホルダーBのどちらか一方向の回転方向に限定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器において、カートリッジをホルダーに装着した状態の正面断面図である。
図2】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器において、押上げカムを操作してカートリッジを押上げた状態の正面図である。
図3】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジ単体の正面断面図である。
図4】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジ単体の斜視図である。
図5】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、ホルダー単体の部分断面斜視図である。
図6】本発明実施例2のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器において、カートリッジをホルダーに装着した状態の正面断面図である。
図7】本発明実施例2のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器において、押上げカムを操作してカートリッジを押上げた状態の正面図である。
図8】本発明実施例2のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジ単体の正面断面図である。
図9】本発明実施例2のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、ホルダー単体の正面断面図である。
図10】本発明その他の実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰出し容器のカートリッジ装着時の正面断面図である。
図11】本発明その他の実施例2のカートリッジ式棒状化粧料繰出し容器のカートリッジ装着時の正面断面図である。
図12】本発明その他の実施例3のカートリッジ式棒状化粧料繰出し容器のカートリッジ装着時の正面断面図である。
図13】本発明の当接カム及び押上げカム形状のその他の実施例の斜視図である。
【実施例1】
【0012】
本発明実施例1を図によって説明する。本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器は、棒状化粧料1を収納したカートリッジAと、このカートリッジAを着脱可能に装着するホルダーBより成っている。図1及び図2はカートリッジAとホルダーBの装着時、図3及び図4はカートリッジA単体時、図5はホルダーB単体時をそれぞれ示す。
【0013】
まず、カートリッジAの構造について図3により説明する。このカートリッジA内には、紅皿2、中間ネジ筒3、回転筒4、及びスリーブ5より成る回転繰り出し機構61を内蔵している。棒状化粧料1の下端を収嵌保持する紅皿2は、外側壁に回動防止片21を突設し、スリーブ5内に摺動可能に内装されている。この紅皿2の下端よりは、ネジ棒22が垂下している。このネジ棒22の外周には、棒雄ネジ221を螺設している。この棒雄ネジ221は下端が閉じている。このネジ棒22は、中間ネジ筒3に挿入されている。
【0014】
この中間ネジ筒3の上部内壁には、前記ネジ棒22の棒雄ネジ221が螺合する突起状の中間雌ネジ31を設けている。このネジ棒22と中間ネジ筒3は、中間雌ネジ31が棒雄ネジ221の終端に当接して脱落しないようになっている。中間ネジ筒3の外壁には、中間雄ネジ32を螺設している。この中間雄ネジ32も棒雄ネジ221と同様に、下端が閉じている。この中間ネジ筒3は、回転筒4に挿入されている。
【0015】
この回転筒4は上下端に開口したパイプ状をしており、上部内壁には、前記中間ネジ筒3の中間雄ネジ32が螺合する突起状の回転雌ネジ41を設けている。この中間ネジ筒3と回転筒4は、回転雌ネジ41が中間雄ネジ32の終端に当接して脱落しないようになっている。この回転筒4の外周壁には連結溝42を刻設し、この連結溝42下方外周壁には鍔部43が設けられている。この回転筒4の下端面には、図4に示す当接カム44を刻設している。この当接カム44は、凸斜面441と水平部442と凹部443を繰り返す凹凸状になっている。この水平部442は、凸斜面441の頂点部分より連続して設けている。この凸斜面441と水平部442よりなる形状は、下方を向いた頂点部分が平らになった略直角三角形状をしている。
【0016】
更に、回転筒4には、回転筒4の下端開口部を塞ぐように吸着部材7が挿入止着され、吸着部材7下方に連結穴45を構成している。この吸着部材7は、鉄などの強磁性体より成っている。この回転筒4は、スリーブ5下端より回転自在に挿入され、スリーブ5下端が鍔部43に当接している。
【0017】
このスリーブ5の内壁には、前記紅皿2の回動防止片21が係合して回動不能に摺動自在に案内する案内溝51を軸線方向に刻設している。また、スリーブ5下端内周壁には、前記回転筒4の連結溝42に係合してスリーブ5と回転筒4を回動自在に脱落不能に連結する連結凸部52を突設している。
【0018】
本発明実施例1のカートリッジAは以上構成であり、外部に露出しているのは図4に示したように、スリーブ5及び回転筒4の一部の鍔部43より下方のみであるため、カートリッジA内に回転繰り出し機構61を内蔵しているにもかかわらずカートリッジA単体での繰り出し操作が難しく、使用しにくい形態となっている。
【0019】
次に、このカートリッジAを着脱可能に装着するホルダーBについて、図1図2及び図5により説明する。ホルダーBは、外筒10、嵌合筒9、連結部材8及びキャップ11とより成り、外筒10、嵌合筒9、連結部材8が脱落不能に組付けられている。外筒10は、有底筒状であり、底部に連結部材8を止着している。嵌合筒9は両端が開口したパイプ状をしており、外筒10内に圧入止着されている。この嵌合筒9の下端は、連結部材8に当接しており、連結部材8を押さえている。この嵌合筒9の先端部分は、外筒10より上方に突出してキャップ11が抜脱可能に嵌合する嵌合部91になっている。
【0020】
連結部材8は、中央部分に侵入部81が突出し、侵入部81の周囲に当接部82を構成している。この侵入部81及び当接部82は、図1に示すように、ホルダーBにカートリッジAを装着した際、侵入部81がカートリッジAの連結穴45に侵入、嵌合し、当接部82がカートリッジAの当接カム44に当接するようになっている。
【0021】
この侵入部81の先端面には、前記カートリッジAの吸着部材7と吸着する磁石12を上面が露出して埋設している。また、当接部82には、前記当接カム44の凸斜面441に当接する押上げカム821を突設している。この押上げカム821は、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12が当接した時、当接カム44の凹部443に収まり、前記カートリッジAの回転筒4とホルダーBの連結部材8を相対回転させると、図2に示すように、押上げカム821が当接カム44の凸斜面441を滑ってカートリッジAを押し上げ、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12の間を離間する離間メカとなっている。
【0022】
本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器は以上構成であり、カートリッジAをホルダーBに装着すると、図1に示すように、カートリッジAの吸着部材7にホルダーBの侵入部81の磁石12が吸着し、カートリッジAの当接カム44の凹部443にホルダーB当接部82の押上げカム821が収まって(噛み合って)、ホルダーBの回動を回転筒4に伝達できるようになる。その結果、カートリッジAのスリーブ5とホルダーBの外筒10を相対回転すると、ホルダーBと噛み合ったカートリッジAの回転筒4が外筒10と同期回転し、スリーブ5と同期回転する紅皿2のネジ棒22に設けられた棒雄ネジ221と螺合する中間雌ネジ31を有した中間ネジ筒3の中間雄ネジ32が回転筒4内壁に設けられた回転雌ネジ41に螺合しているため、螺合作用により紅皿2及び中間ネジ筒3が上下摺動するようになっている。
【0023】
更に、図2に示すように、紅皿2の下死点(下降限)の時、更に繰り下げ操作を行うと、回転繰り出し機構61が作動停止しているため、カートリッジAのスリーブ5と回転筒4が同期回転し、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの連結部材8の磁石12間が相対回転を始める。その結果、連結部材8の押上げカム821が吸着部材7の当接カム44の凸斜面441を滑って離間メカが作動し、カートリッジAを押し上げ、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12の間を離間させることによりカートリッジAとホルダーBの吸着磁力を弱くしてカートリッジAを抜き取り易くする。この時、凸斜面441に連続して水平部442を設けているため、水平部442の範囲でカートリッジAとホルダーBの最大離間状態をある程度の空転角度の間維持できる。
【0024】
また、前記カートリッジAの連結穴45と、この連結穴45に侵入、嵌合するホルダーBの侵入部81は、カートリッジAとホルダーBの最大離間状態時も嵌合状態が維持される。そのため、カートリッジAの抜脱時までカートリッジAがホルダーBに安定的に保持継続される。逆に、カートリッジAをホルダーBに挿入していくと、まず、連結穴45と侵入部81が嵌合した後、当接カム44と押上げカム821が噛み合う。そのため、スムーズなカートリッジAの装着が行える。
【実施例2】
【0025】
次に、本発明実施例2を図によって説明する。本発明実施例2のカートリッジ式棒状化粧料容器は、棒状化粧料1を収納したカートリッジAと、このカートリッジAを着脱可能に装着するホルダーBとより成っている。図6及び図7は、カートリッジAとホルダーBの装着時、図8はカートリッジA単体時、図9はホルダーB単体時をそれぞれ示す。
【0026】
まず、カートリッジAの構成について図8により説明する。このカートリッジA内には、紅皿2、回転筒4、及び螺旋筒13より成る回転繰り出し機構62を内蔵している。棒状化粧料1の下端を収嵌保持する紅皿2は、外側壁に螺合凸部23を突設し、回転筒4内に摺動可能に内装されている。
【0027】
この回転筒4は、上下に開口したパイプ状をしており、内壁には、前記紅皿2の螺合凸部23が貫通し紅皿2を上下摺動自在に回動不能に案内する案内溝51を軸線に長く穿設している。この回転筒4の外周壁には連結溝42を刻設し、この連結溝42下方外周壁には鍔部43が設けられている。この回転筒4の下端面には、当接カム44を刻設している。この当接カム44は、凸斜面441と水平部442と凹部443とを繰り返す凹凸状になっている。水平部442は凸斜面441の頂点部分より連続して設けている。この凸斜面441と水平部442より成る形状は、下方を向いた頂点部分が平らになった略直角三角形状をしている。
【0028】
更に、回転筒4の下端よりは、吸着部材7が下端開口部分を塞ぐよう挿入止着され、吸着部材7下方に連結穴45を構成している。この吸着部材7は、鉄などの強磁性体より成っている。この回転筒4は、スリーブ5下端より回転自在に挿入され、スリーブ5下端が鍔部43に当接している。
【0029】
このスリーブ5の内壁には、前記回転筒4の案内溝51を貫通した螺合凸部23が螺合する螺旋溝53を内壁に螺設した螺旋筒13を圧入止着している。また、スリーブ5下端内周壁には、前記回転筒4の連結溝42に係合してスリーブ5と回転筒4を回動自在に脱落不能に連結する連結凸部52を突設している。
【0030】
本発明実施例2のカートリッジAは以上構成であり、外部に露出しているのは図8に示すスリーブ5及び回転筒4の一部の鍔部43のみであるため、カートリッジA内に回転繰り出し機構62を内蔵しているにもかかわらずカートリッジA単体での繰り出し操作不能で、使用できない形態となっている。
【0031】
次に、このカートリッジAを着脱可能に装着するホルダーBについて図6図7及び図9により説明する。ホルダーBは、図9に示したように、外筒10、嵌合筒9、連結部材8及びキャップ11とより成り、外筒10、嵌合筒9、連結部材8が脱落不能に組付けられている。外筒10は、有底筒状であり、底部に連結部材8を止着している。嵌合筒9は両端が開口したパイプ状をしており、外筒10内に圧入止着されている。この嵌合筒9の下端は、連結部材8に当接しており、連結部材8を押さえている。この嵌合筒9の先端部分は、外筒10より上方に突出してキャップ11が抜脱可能に嵌合する嵌合部91になっている。
【0032】
連結部材8は、中央部分に侵入部81が突出し、侵入部81の周囲に当接部82を構成している。この侵入部81及び当接部82は、ホルダーBにカートリッジAを装着した際、侵入部81がカートリッジAの連結穴45に侵入し、当接部82がホルダーBの当接カム44に当接するようになっている。
【0033】
この侵入部81の先端面には、前記カートリッジAの吸着部材7と吸着する磁石12を上面が露出して埋設している。また、当接部82には、前記当接カム44の凸斜面441に当接する押上げカム821を突設している。この押上げカム821は、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12が当接した時、当接カム44の凹部443に収まり、前記カートリッジAの回転筒4とホルダーBの連結部材8を相対回転させると、図7に示すように、押上げカム821が当接カム44の凸斜面441を滑ってカートリッジAを押し上げ、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12の間を離間するようになっている。
【0034】
本発明実施例2のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器は以上構成であり、カートリッジAをホルダーBに装着すると、図6に示すように、カートリッジAの吸着部材7にホルダーBの侵入部81の磁石12が吸着し、カートリッジAの当接カム44の凹部443にホルダーBの当接部82の押上げカム821が収まって(噛み合って)、ホルダーBの回動を回転筒4に伝達できるようになる。その結果、カートリッジAのスリーブ5とホルダーBの外筒10を相対回転すると、ホルダーBに連動するカートリッジAの回転筒4が外筒10と同期回転し、回転筒4と同期回転する紅皿2の螺合凸部23とスリーブ5の内壁に設けられた螺旋溝53の螺合作用により紅皿2が上下摺動するようになっている。
【0035】
更に、紅皿2の下死点(下降限)の時、更に繰り下げ操作を行うと、回転繰り出し機構62が作動停止しているため、カートリッジAのスリーブ5と回転筒4が同期回転し、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの連結部材8の磁石12間が相対回転を始める。その結果、連結部材8の押上げカム821が吸着部材7の当接カム44の凸斜面441を滑って離間メカが作動し、カートリッジAを押し上げ、前記カートリッジAの吸着部材7とホルダーBの磁石12の間を離間させることによりカートリッジAとホルダーBの吸着磁力を弱くしてカートリッジAを抜き取り易くする。この時、凸斜面441に連続して水平部442を設けているため、水平部442の範囲でカートリッジAとホルダーBの最大離間状態をある程度の空転角度の間維持できる。
【0036】
また、前記カートリッジAの連結穴45と、この連結穴45に侵入、嵌合するホルダーBの侵入部81は、カートリッジAとホルダーBの最大離間状態時も嵌合状態が維持される。そのため、カートリッジAの抜脱時までカートリッジAがホルダーBに安定的に保持継続される。逆に、カートリッジAをホルダーBに挿入していくと、先ず連結穴45と侵入部81が嵌合した後、当接カム44と押上げカム821が噛み合う。そのため、スムーズなカートリッジA装着が行える。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、上記実施例1及び実施例2に述べた回転繰り出し機構61、62に限定されるものではない。例えば図10図12のその他の実施例1~3に示した回転繰り出し機構63~65に於いても実施可能である。以下、簡潔に説明する。各図には、明細書に記載の番号以外の番号も採番されているが、これは、実施例1及び実施例2の図面に記載された番号に準じている。
【0038】
図10に示したその他の実施例1の回転繰り出し機構63は、図1図4に示した本発明実施例1の回転繰り出し機構61より、中間ネジ筒3を除去し、棒雄ネジ221と回転雌ネジ41を螺合させたものである。結果、棒状化粧料1を繰り出すネジはネジ棒22の棒雄ネジ221のみとなり、紅皿2のネジ棒22及び棒雄ネジ221は、棒状化粧料1のストロークに応じて長くなっている。
【0039】
図11に示したその他の実施例2の回転繰り出し機構64は、図10に示したその他の実施例1の回転繰り出し機構63の、棒雄ネジ221と回転雌ネジ41の配置を逆にしたものである。回転筒4は、外周に棒雄ネジ221を螺設したネジ棒22を立ち上げる。棒状化粧料1を保持した紅皿2の下端よりは、前記ネジ棒22を挿入する脚筒24を垂下する。この脚筒24の下端内側壁に前記ネジ棒22の棒雄ネジ221が螺合する回転雌ネジ41を螺設し、下端外側壁に回動防止片21を突設する。スリーブ5の下部内壁には、紅皿2の回動防止片21が係合して紅皿2をスリーブ5内で回動不能に上下摺動自在に案内する案内溝51を穿設する。
【0040】
図12に示したその他の実施例3の回転繰り出し機構65は、図6図8に示した本発明実施例2の回転繰り出し機構62の螺旋溝53を、スリーブ5の内面に螺設し、螺旋筒13を除去したものである。この螺旋溝53は、スリーブ5の内面全周に浅く無数条ローレット状に設けられている。そして、このローレット状の螺旋溝53に螺合する紅皿2の螺合凸部23の先端面は、隣り合った複数条の螺旋溝53に螺合している。
【0041】
また、本発明実施例1~2及びその他の実施例1~3に於いて、磁石12と強磁性体である吸着部材7の配置も、交換されるカートリッジA側の吸着部材7に鉄などの安価な強磁性体を用いた構成を説明したが、強磁性体を磁石に置き換えることも可能である。この場合、磁石の異極同士を対向させるのは言うまでもない。
【0042】
また、本発明実施例1~2及びその他の実施例1~3、図1~12に於いては、紅皿2の下降限時に更に繰り下げ操作を行う事により離間メカを作動させてカートリッジAを押上げ、簡単に取り外し可能とする構成を説明しているが、この離間メカの作動回転方向は、当接カム44の凸斜面441の向きにより設定できる。つまり、当接カム44の凸斜面441を頂点の両側に設けた略二等辺三角形状にすれば回転繰り出し機構61~65の紅皿2の上昇限及び下降限双方で、離間メカを作動させてカートリッジAの押上げ操作を行える。
【0043】
更に、当接カム44の凸斜面441を一面にのみ設けた略直角三角形状にすれば、離間メカの作動回転方向を一方向に規制できる。その回転方向は当接カム44の凸斜面441の向きにより設定できる。図13に於いて、紅皿2の上昇限時に離間メカを作動させる構成を示す。当接カム44は、凸斜面441を一面にのみ設けた略直角三角形状をしており、この凸斜面441の向きは、本発明実施例1~2及びその他の実施例1~3に於いて説明した当接カム44の凸斜面441の向きとは逆になっている。
【0044】
また、本発明明細書に於いては、当接カム44をカートリッジAに、押上げカム821をホルダーBにそれぞれ設けた構成を説明したが、それを逆にすることも可能である。つまり、カートリッジAに押上げカム821を、ホルダーBに当接カム44を設けても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 棒状化粧料
4 回転筒
5 スリーブ
7 吸着部材
12 磁石
44 当接カム
45 連結穴
61~ 65 回転繰り出し機構
81 侵入部
441 凸斜面
442 水平部
443 凹部
821 押上げカム
A カートリッジ
B ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
図12
図13