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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20230511BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230511BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20230511BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20230511BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20230511BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6557
H01M10/6566
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020525820
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2019024700
(87)【国際公開番号】W WO2019245028
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2018118815
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】長縄 伸之
(72)【発明者】
【氏名】歳岡 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 健太
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 英司
【審査官】宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049786(JP,A)
【文献】特開2018-081790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置であって、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延び、且つ、該第一方向と直交する第二方向に互いに間隔をあけて配置される一対のインシュレータと、
を備え、
前記複数の蓄電素子は、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向に向いた外面を有し、
前記一対のインシュレータは、それぞれ、前記外面上の位置から前記第一方向及び前記第三方向に延び、且つ、前記蓄電装置が設置される対向面と、前記外面との間の空間を形成する、空間形成部を有する、蓄電装置。
【請求項2】
隣り合う前記蓄電素子の間には、前記第三方向において前記外面を見たとき該外面間に開口すると共に温度調整用の流体が流通可能な流路が形成されている、請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記複数の蓄電素子のうち最も端に位置する蓄電素子の外側で該蓄電素子と前記第一方向に並ぶ隣接部材、
を備え、
前記一対のインシュレータのうち一方のインシュレータの空間形成部は、前記第一方向において前記隣接部材に近い端部から、前記一対のインシュレータのうち他方のインシュレータの空間形成部に向けて突出し且つ前記第三方向に沿って延びる第一のシールリブを有し、
前記一対のインシュレータのうち他方のインシュレータの空間形成部は、前記第一方向において前記隣接部材に近い端部から、前記一対のインシュレータのうち一方のインシュレータの空間形成部に向けて突出し且つ前記第三方向に沿って延びる第二のシールリブを有し、
前記隣接部材は、前記第二方向における前記一対のインシュレータの空間形成部の間において、前記最も端に位置する蓄電素子から離れるように前記第一方向に延びると共に前記流体を供給可能な流体用供給部材に接続可能な接続部を有し、
前記接続部は、前記一方のインシュレータの空間形成部と対向する外面における前記第一のシールリブと前記第二方向において対向する位置において、前記第三方向に延びる第一のシールリブ対向面を有すると共に、前記他方のインシュレータの空間形成部と対向する外面における前記第二のシールリブと前記第二方向において対向する位置において、前記第三方向に延びる第二のシールリブ対向面を有し、
前記第一のシールリブは、前記第一のシールリブ対向面に当接し
前記第二のシールリブは、前記第二のシールリブ対向面に当接している、請求項2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記シールリブは、弾性変形により延出端が前記第一方向における一方側又は他方側のいずれかに変位するように湾曲した状態で前記シールリブ対向面に当接している、請求項3記載の蓄電装置。
【請求項5】
蓄電装置であって、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延び、且つ、該第一方向と直交する第二方向に互いに間隔をあけて配置される一対のインシュレータと、
を備え、
前記複数の蓄電素子は、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向に向いた外面を有し、
前記一対のインシュレータは、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延びるインシュレータ本体部と、
前記蓄電装置が設置される対向面に向けて、前記インシュレータ本体部から前記第三方向に延びる延出部と、を有し、
前記外面と前記一対のインシュレータの前記延出部と前記対向面とによって囲まれた空間が前記第一方向に延びる、ことを特徴とする蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子を備え、各蓄電素子の間に温度調整用の流体が供給される蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣接する電池セルの間にスペーサが配置されたバッテリシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、このバッテリシステムは、図11に示すように、積層された複数の電池セル102と、隣り合う電池セル102の間に配置されたスペーサ103と、を備える。スペーサ103は、電池セル102と対向する対向面に、電池セル102の積層方向と直交する方向における両側端まで延びる溝110を複数設けることで、電池セル102との間に空気などの冷却気体を通過させる冷却隙間120を形成している。複数の溝110は、互いに平行に所定の間隔をあけた状態で設けられている。
【0003】
ところで、隣り合う電池セル102の間に形成された各冷却隙間(流路)120に温度調整用の流体を流通させるため、バッテリシステム(蓄電装置)が、流体を供給する流体用供給部材に当接する場合には、バッテリシステムそれぞれの構造(例えば、電池セル102の積層方向におけるバッテリシステムの寸法)に対応した専用の流体用供給部材が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-170258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本実施形態では、温度調整用の流体を流通させる場合に、専用の流体用供給部材を用いなくても、流体を供給する案内流路を構成することが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の蓄電装置は、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延び、且つ、該第一方向と直交する第二方向に互いに間隔をあけて配置される一対のインシュレータと、
を備え、
前記複数の蓄電素子は、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向に向いた外面を有し、
前記一対のインシュレータは、それぞれ、前記外面上の位置から前記第一方向及び前記第三方向に延び、且つ、前記蓄電装置が設置される対向面と、前記外面との間の空間を形成する、空間形成部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、前記蓄電装置の分解斜視図である。
図3図3は、前記蓄電装置が設置面に配置された状態を説明するための側面図である。
図4図4は、前記蓄電装置におけるX軸方向の一方側に配置された隣接部材のX軸方向における一方側の構成を説明するための斜視図である。
図5図5は、前記蓄電装置におけるX軸方向の他方側に配置された隣接部材のX軸方向における他方側の構成を説明するための斜視図である。
図6図6は、図3のVI-VI位置における断面図である。
図7図7は、図3のVII-VII位置における断面図である。
図8図8は、前記蓄電装置をX軸方向における一方側から見たときの正面図である。
図9図9は、図8のIX-IX位置における断面図である。
図10図10は、図9の領域Xにおける拡大図である。
図11図11は、従来の蓄電装置を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態の蓄電装置は、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延び、且つ、該第一方向と直交する第二方向に互いに間隔をあけて配置される一対のインシュレータと、
を備え、
前記複数の蓄電素子は、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向に向いた外面を有し、
前記一対のインシュレータは、それぞれ、前記外面上の位置から前記第一方向及び前記第三方向に延び、且つ、前記蓄電装置が設置される対向面と、前記外面との間の空間を形成する、空間形成部を有する。
【0009】
かかる構成によれば、一対のインシュレータの空間形成部が、複数の蓄電素子の外面と対向面との間の空間を区切ることで、流体を供給する案内流路を構成しているため、専用の流体用供給部材を用いなくても、この案内流路を用いることで、流体を供給することができる。
【0010】
前記蓄電装置では、
前記隣り合う蓄電素子の間には、前記第三方向において前記外面を見たとき該外面間に開口すると共に温度調整用の流体が流通可能な流路が形成されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、案内流路に供給される温度調整用の流体を蓄電素子の間に形成された各流路に供給することができる。
【0012】
前記蓄電装置では、
前記複数の蓄電素子のうち最も端に位置する蓄電素子の外側で該蓄電素子と前記第一方向に並ぶ隣接部材、
を備え、
前記一対の空間形成部の一方は、前記第一方向において前記隣接部材に近い端部から、前記一対の空間形成部の他方に向けて突出し且つ前記第三方向に沿って延びるシールリブを有し、
前記隣接部材は、前記第二方向における前記一対の空間形成部の間において、前記最も端に位置する蓄電素子から離れるように前記第一方向に延びると共に前記流体を供給可能な流体用供給部材に接続可能な接続部を有し、
前記接続部は、前記空間形成部と対向する外面における前記シールリブと前記第二方向において対向する位置において、前記第三方向に延びるシールリブ対向面を有し、
前記シールリブは、前記シールリブ対向面に当接してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、流体用供給部材から、空間形成部を流体用供給部材に当接させてシールリブがシールリブ対向面に当接することで形成された案内流路に、流体が供給されたときに、空間形成部と接続部との間からの流体の漏れが抑えられる。
【0014】
前記蓄電装置では、
前記シールリブは、弾性変形により延出端が前記第一方向における一方側又は他方側のいずれかに変位するように湾曲した状態で前記シールリブ対向面に当接していてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、シールリブは、弾性変形により延出端が前記第一方向における一方側又は他方側のいずれかに変位するように湾曲した状態でシールリブ対向面に密着しているため、前記第一方向や第二方向において隣接部材やインシュレータに製造誤差や組み立て誤差が生じても、この誤差を吸収することができる、即ち、案内流路の入口における密閉性を確保できる。
【0016】
本実施形態の蓄電装置は、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延び、且つ、該第一方向と直交する第二方向に互いに間隔をあけて配置される一対のインシュレータと、
を備え、
前記複数の蓄電素子は、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向に向いた外面を有し、
前記一対のインシュレータは、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延びるインシュレータ本体部と、
前記蓄電装置が設置される対向面に向けて、前記本体部から前記第三方向に延びる延出部と、を有し、
前記外面と前記一対のインシュレータの前記延出部と前記対向面とによって囲まれた空間が前記第一方向に延びる。
【0017】
かかる構成によれば、一対のインシュレータの延出部が、複数の蓄電素子の外面と対向面との間の空間を区切ることで、流体を供給する案内流路を構成しているため、専用の流体用供給部材を用いなくても、この案内流路を用いることで、流体を供給することができる。
【0018】
以上より、本実施形態によれば、蓄電素子の間に形成された各流路に温度調整用の流体を流通させる場合に、専用の流体用供給部材を用いなくても、各流路に流体を供給する案内流路を構成することが可能な蓄電装置を提供することができる。
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図1図10を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0020】
蓄電装置は、図1及び図2に示すように、所定方向に並ぶ複数の蓄電素子2と、複数の蓄電素子2に沿った状態で所定方向に延びる一対のインシュレータ5と、を備える。本実施形態の蓄電装置1は、蓄電素子2と隣り合う隣接部材3と、複数の蓄電素子2を保持する保持部材4と、異なる蓄電素子2同士を導通可能に接続するバスバ6と、複数の蓄電素子2の入出力を行う外部入出力用端子49と、を備える。
【0021】
複数の蓄電素子2のそれぞれは、一次電池、二次電池、キャパシタ等である。本実施形態の蓄電素子2は、充放電可能な非水電解質二次電池である。より具体的には、蓄電素子2は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この蓄電素子2は、いわゆる角型のリチウムイオン二次電池である。
【0022】
複数の蓄電素子2のそれぞれは、電極体と、電極体を電解液と共に収容するケース21と、少なくとも一部がケース21の外側に露出する外部端子22と、を有する(図2参照)。
【0023】
ケース21は、開口を有するケース本体211と、ケース本体211の開口を塞ぐ(閉じる)板状の蓋板216と、を有する。本実施形態のケース本体211は、有底角筒状であり、ケース21は、扁平な直方体形状である。ケース本体211は、矩形板状の閉塞部212と、閉塞部212の周縁に接続される筒状の胴部(周壁)213と、を備える。胴部213は、偏平な角筒形状を有する。この胴部213は、閉塞部212の周縁における長辺から延びる一対の長壁部214と、閉塞部212の周縁における短辺から延びる一対の短壁部215とを有する。短壁部215が一対の長壁部214の対応する端部同士をそれぞれ接続することによって、扁平な角筒状の胴部213が形成される。蓋板216は、ケース本体211の開口を塞ぐ矩形板状の部材である。この蓋板216には、一対の外部端子22が間隔をあけて配置されている。
【0024】
本実施形態の蓄電装置1では、複数の蓄電素子2は、ケース21(ケース本体211)の長壁部214同士を互いに対向させた状態で並んでいる。
【0025】
以下では、複数の蓄電素子2が並ぶ所定方向(第一方向)を直交座標系のX軸とし、ケース本体211の短壁部215が対向する方向(第二方向)を直交座標系のY軸とし、閉塞部212の外面の向く方向(第三方向)を直交座標系のZ軸とする。
【0026】
また、本実施形態の蓄電装置1は、図3図6、及び、図7に示すように、設置面S1に設置される。本実施形態の設置面S1は、蓄電装置1が設置されたときに(設置状態のときに)、複数の蓄電素子2の外面(例えば、閉塞部212の外面)が間隔をあけた状態で対向する対向領域(対向面)S2と、蓄電装置1のX軸方向における両端が固定される設置領域S3と、を含む。本実施形態の設置面S1は、水平面である。
【0027】
隣接部材3は、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子2の間(例えば、各蓄電素子2の間のそれぞれ)、又は、X軸方向の最も端の蓄電素子2と該蓄電素子2に対してX軸方向に並ぶ部材(本実施形態の例では、保持部材4の一部)との間に配置される(図2参照)。この隣接部材3は、樹脂等の絶縁性を有する部材によって構成される。また、隣接部材3は、隣接する蓄電素子2との間に該蓄電素子2の温度調整用の流体が流通可能な流路35を複数形成する(図7参照)。本実施形態の複数の流路35のうちの少なくとも一つの流路35は、Z軸方向における隣接部材3の他方側の端部位置(蓄電素子2の閉塞部212と対応する位置)に形成される開口(入口)35aから、Y軸方向における隣接部材3の一方側及び他方側の端部位置(蓄電素子2の各短壁部215と対応する位置)に形成される開口(出口)35bまで延びている。この流路35は、長手方向の途中位置において曲がっている。また、この開口35aは、蓄電素子2の閉塞部212の外面を外側(Z軸方向における他方側)から見たとき、X軸方向に並ぶ閉塞部212の外面間において開口している。
【0028】
図4は、最も端に位置する蓄電素子2の外側で該蓄電素子2とX軸方向において並ぶ隣接部材3のうちX軸方向における一方側(図2における右側)に位置する隣接部材3を示している。また、同図は、この隣接部材3のX軸方向における一方側の構成(該蓄電素子2と対向する側とX軸方向において反対側の構成)を示している。隣接部材3は、蓄電素子2と保持部材4との間に位置する板状の本体部321と、本体部321からZ軸方向における外側の位置に延びる枠状の接続部323、及び、接続部323内に配置された補強部324等を有する。
【0029】
本体部321は、蓄電素子2のケース21における長壁部214とX軸方向から見て重なる部位であり、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向に広がる。
【0030】
接続部323は、流体を供給可能な流体用供給部材(例えば、ダクト)に接続可能な部位である。本実施形態の接続部323は、本体部321のZ軸方向における他方側に位置する端縁3213からZ軸方向における外側(他方側)まで延びると共に、X軸方向における外側(X軸方向における一方側、X軸方向において最も端に位置する蓄電素子2と反対側)にも延びている。この接続部323は、本体部321の端縁3213からX軸方向に延びると共にX-Y面(X軸とY軸とを含む面)方向に広がる板状の第一部位3231と、第一部位3231のY軸方向における両側に位置する端縁とそれぞれと連続し且つX-Z面(X軸とZ軸とを含む面)方向にそれぞれ広がる板状の一対の第二部位3232と、一対の第二部位3232のZ軸方向における端縁を接続し且つY軸方向に延びる第三部位3233と、を有する。第一部位3231のX軸方向における寸法及び第二部位3232のX軸方向における寸法は、いずれも、第三部位3233のX軸方向における寸法より長い。本実施形態の接続部323には、第一部位3231と一対の第二部位3232と第三部位3233とで区画される枠に、流体用供給部材が当接されることで、流体用供給部材が接続される。
【0031】
本実施形態の一対の第二部位3232は、第一部位3231に連続し且つX-Z面方向に広がる平板領域3232aと、平板領域3232aからY軸方向における外側まで延びる延設領域3232bと、を有する。延設領域3232bは、図9に示すように、平板領域3232aのX軸方向における内側(X軸方向における本体部321と対向する蓄電素子2側、X軸方向における他方側)に位置する端部に配置されている。延設領域3232bのY軸方向における外側に位置する外面3232cは、X軸方向に対して傾斜した傾斜面(シールリブ対向面)であり、例えば、X軸方向における外側に位置する部位ほどY軸方向における内側に位置する傾斜面である。
【0032】
補強部324は、Y軸方向に沿って延びる第一部位3241と、Z軸方向に沿って延びる第二部位3242と、を有する(図4図6図8参照)。第一部位3241は、一対の第二部位3232のX軸方向における内側(他方側)の端縁のZ軸方向における略中央位置同士を接続する。第二部位3242は、本体部321の端縁3213のY軸方向における略中央位置と、第三部位3233のX軸方向における内側(他方側)の端縁のY軸方向における略中央位置とを接続する。
【0033】
図5は、最も端に位置する蓄電素子2の外側で該蓄電素子2とX軸方向において並ぶ隣接部材3のうちX軸方向における他方側(図2における左側)に位置する隣接部材3を示している。また、同図は、この隣接部材3のX軸方向における他方側の構成(該蓄電素子2と対向する側とX軸方向において反対側の構成)を示している。隣接部材3は、蓄電素子2と保持部材4との間に位置する板状の本体部321と、本体部321からZ軸方向における外側の位置に延びる隔壁部325等を有する。
【0034】
隔壁部325は、流体用供給部材から供給される流体を密閉する部位である。本実施形態の隔壁部325は、本体部321のZ軸方向における他方側に位置する端縁3213からZ軸方向における外側(他方側)まで延びている。この隔壁部325は、接続部323にX軸方向から見て重なる部位であり、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向に広がる。
【0035】
保持部材4は、複数の蓄電素子2と複数の隣接部材3との周囲を囲むことにより、これら複数の蓄電素子2及び複数の隣接部材3をひとまとめに保持する(図1参照)。この保持部材4は、金属等の導電性を有する部材によって構成されている。具体的に、保持部材4は、X軸方向において複数の蓄電素子2の両側に配置される一対の終端部材40と、終端部材40におけるY軸方向の端部同士を接続する接続部材43と、を有する。また、保持部材4は、終端部材40と接続部材43とを固定(連結)する固定部材45を有する。本実施形態の蓄電装置1では、一対の接続部材43が、一対の終端部材40におけるY軸方向の両方の端部同士を接続している。
【0036】
一対の終端部材40のそれぞれは、X軸方向の端に配置された蓄電素子2との間に隣接部材3を挟み込むように配置される。これら一対の終端部材40のそれぞれは、Y-Z面に沿って広がり且つX軸方向から見て蓄電素子2と重なる部位である終端部材本体41と、終端部材本体41から延びる延設部42と、を有する。
【0037】
終端部材本体41は、蓄電素子2と対応した矩形状の部位である。この延設部42は、蓄電装置1を設置面に固定するのに用いられる。本実施形態の終端部材40は、Y軸方向に間隔をあけて配置される二つの延設部42を有する。二つの延設部42において、蓄電装置1は、設置面S1の設置領域S3に固定される(図3参照)。
【0038】
一対の接続部材43は、Y軸方向において複数の蓄電素子2の両側に配置される(図2参照)。これら一対の接続部材43のそれぞれは、複数の蓄電素子2のそれぞれの短壁部215に沿ってX軸方向に延びる接続部材本体44と、接続部材本体44のZ軸方向の他方側の端部からY軸方向に延び且つ複数の蓄電素子2のそれぞれの閉塞部212に沿って延びる第一延設部46と、第一延設部46からZ軸方向の他方側の位置に延びる第二延設部47と、を有する。また、一対の接続部材43のそれぞれは、接続部材本体44のX軸方向の各端部から終端部材40におけるX軸方向の外側を向いた面に沿ってY軸方向に延びる被連結部48を有する。
【0039】
第二延設部47は、第一延設部46のX軸方向における少なくとも一部から、Z軸方向に沿って延びる(図2参照)。尚、第二延設部47がZ軸方向に沿って延びるとは、第二延設部47の延出方向がZ軸方向成分を含んでいることをいう。本実施形態の第二延設部47は、第一延設部46のX軸方向における全域から、Z軸方向における他方側の位置に延びている。また、本実施形態の第二延設部47は、第一延設部46に連続し且つZ軸方向に対して傾斜した状態でZ軸方向に沿って延びる傾斜部位470と、傾斜部位470に連続し且つZ軸方向に対して平行に延びる平行部位471と、を含む(図6図7参照)。本実施形態の傾斜部位470は、Z軸方向における他方側に位置する部位ほどY軸方向における内側に位置するよう傾斜している。また、傾斜部位470は平板状である。本実施形態の平行部位471のZ軸方向における先端は、終端部材40の延設部42の先端(Z軸方向における他方側に位置する先端)よりZ軸方向において内側(一方側)に位置している。
【0040】
インシュレータ5は、絶縁性を有し、接続部材43と複数の蓄電素子2との間に配置される(図2参照)。また、インシュレータ5は、Y軸方向において間隔をあけた状態で、複数の蓄電素子2の両側に一対配置される。これら一対のインシュレータ5のそれぞれは、複数の蓄電素子2に沿って配置される。さらに、一対のインシュレータ5のそれぞれは、接続部材43における少なくとも複数の蓄電素子2と対向する領域を覆う。具体的に、各インシュレータ5は、接続部材本体44における各蓄電素子2を向いた面を覆う本体被覆部50と、本体被覆部50から複数の蓄電素子2のそれぞれの閉塞部212に沿って延びる第一被覆部51と、第一被覆部51からZ軸方向に沿って延びる第二被覆部52と、を有する。
【0041】
第一被覆部51は、接続部材本体44における各蓄電素子2を向いた面を覆う部位である。具体的に、第一被覆部51は、第一延設部46における各蓄電素子2を向いた面を覆う部位である。また、第一被覆部51は、本体被覆部50のZ軸方向における端部と連続すると共に、Y軸方向に沿って延びている。(図2図6図7参照)。本実施形態の第一被覆部51は、本体被覆部50のZ軸方向の他方側の端部のX軸方向における全域から延びている(図2参照)。また、本実施形態の第一被覆部51は、蓄電素子2の閉塞部212のうちY軸方向における外側に位置する端部を被覆する。尚、本実施形態の蓄電装置1では、第一被覆部51が、Y軸方向において一対のインシュレータ5にそれぞれ設けられるため、一対の第一被覆部51は、蓄電素子2の閉塞部212のうちY軸方向における両端部を被覆する。
【0042】
第二被覆部52は、第二延設部47におけるZ軸方向の内側を向いた面を覆う部位である。また、第二被覆部52は、複数の蓄電素子2の閉塞部212の外面に沿った位置であって、Z軸方向において開口35aを挟む位置からZ軸方向に沿って延び、且つ、設置状態のときに対向領域S2と閉塞部212の外面との間の空間(X軸方向において各流路35に流体を案内する案内流路38)を区切る空間形成部である。
【0043】
具体的に、第二被覆部52は、第一被覆部51のY軸方向における端部と連続すると共に、Z軸方向に沿って延びる。本実施形態の第二被覆部52は、第一被覆部51のX軸方向における全域から、Z軸方向における他方側まで延びている(図2参照)。また、本実施形態の第二被覆部52は、終端部材40の延設部42の先端(Z軸方向における他方側に位置する先端)よりもZ軸方向における一方側の位置まで延びている(図6図7参照)。さらに、本実施形態の第二被覆部52は、第一被覆部51に連続し且つZ軸方向に対して傾斜した状態でZ軸方向に沿って延びる傾斜部位520と、傾斜部位520に連続し且つZ軸方向に対して平行に延びる平行部位521と、平行部位521に連続し且つY軸方向における両側に延びる先端部位522と、を有する。尚、一対の第二被覆部52の間には、接続部323が配置されている。
【0044】
傾斜部位520は、第二延設部47の傾斜部位470のZ軸方向における一方側を向いた面を被覆している。本実施形態の傾斜部位520は、Z軸方向における他方側に位置する部位ほどY軸方向における内側に位置するよう傾斜している。尚、傾斜部位520は平板状である。
【0045】
平行部位521は、第二延設部47の平行部位471のY軸方向における内側の面を被覆している。また、平行部位521は、隣接部材3(X軸方向における最も端に位置する蓄電素子2の外側で該蓄電素子2と並ぶ隣接部材3)側に位置する端部5210から、該平行部位521とY軸方向において対向する平行部位521に向けて突出するシールリブ5211を有する(図9図10参照)。
【0046】
シールリブ5211は、Z軸方向に沿って延びる。また、シールリブ5211は、傾斜面3232cに当接している。具体的に、シールリブ5211は、Y軸方向における内側に延びる延出端5212を有すると共に、弾性変形により延出端5212がX軸方向における他方側に変位するように湾曲した状態で、傾斜面3232cに当接する。尚、傾斜面3232cは、第二被覆部52と対向する外面におけるシールリブ5211とY軸方向において対向する位置において、Z軸方向に沿って延びる対向面(シールリブ対向面)である。
【0047】
先端部位522は、平行部位521のZ軸方向における外側(他方側)の端縁から延びている。また、先端部位522は、第二延設部47の平行部位471の先端面(例えば、Z軸方向における他方側を向いた面)を被覆している。さらに、先端部位522の延出側の端面(先端面)は平坦な面である。本実施形態の先端部位522は、蓄電素子2の閉塞部212が対向領域S2から離れると共に蓄電装置1のX軸方向における両端(一対の終端部材40)が設置領域S3に固定された状態において、対向領域S2に当接している(図3図6図7参照)。
【0048】
尚、本実施形態の先端部位522は、対向領域S2に対して間接に当接している。具体的には、シール部材8を介して対向領域S2に対して間接に当接している。シール部材8の材質は、例えば、インシュレータ5の材質よりも柔らかい。
【0049】
バスバ6は、金属等の導電性を有する板状の部材である。バスバ6は、蓄電素子2の外部端子22同士、又は、蓄電素子2の外部端子22と外部入出力用端子49とを導通させる。バスバ6は、蓄電装置1において複数(複数の蓄電素子2の数及び外部入出力用端子49の数と対応する数)設けられる。本実施形態の複数のバスバ6は、蓄電装置1に含まれる複数の蓄電素子2の全てを直列に接続する(導通させる)。
【0050】
以上の蓄電装置1によれば、一対のインシュレータ5の第二被覆部(空間形成部)52が、複数の蓄電素子2の閉塞部212の外面と対向領域S2との間の空間を区切ることで、各流路35に流体を供給する案内流路38を構成しているため、専用の流体用供給部材を用いなくても、この案内流路38を用いることで、各流路35に流体を供給することができる。
【0051】
本実施形態の蓄電装置1では、第二被覆部(空間形成部)52を流体用供給部材に当接させて、シールリブ5211をシールリブ対向面3232cに当接させて形成された案内流路38に、流体用供給部材から流体が供給されたときに、第二被覆部(空間形成部)52と接続部323との間からの流体の漏れが抑えられる。
【0052】
しかも、シールリブ5211は、弾性変形により延出端5212がX軸方向における一方側又は他方側のいずれかに変位するように湾曲した状態でシールリブ対向面(傾斜面)3232cに密着しているため、X軸方向やY軸方向において隣接部材3やインシュレータ5に製造誤差や組み立て誤差が生じても、この誤差を吸収することができる、即ち、案内流路38の入口における密閉性を確保できる。また、本実施形態の蓄電装置1では、シールリブ対向面3232cが傾斜面であるため、仮にシールリブ5211が十分に湾曲しなくても、X軸方向におけるシールリブ対向面3232cのシールリブ5211に対する相対位置が変化することで(X軸方向において、隣接部材3の接続部323の位置が、インシュレータ5の位置に対して変化することで)、シールリブ5211がシールリブ対向面3232cに当接しやすいため、このような誤差を吸収することができる。
【0053】
また、本実施形態の蓄電装置1では、接続部323の一対の第二部位3232の間に補強部324(第一部位3241)が延びているため、インシュレータ5のシールリブ5211から一対の第二部位3232にY軸方向における内側に向かう力がかかったとしても、この力を補強部324が受けることにより、接続部323(一対の第二部位3232)の変形を抑えられる。これにより、流体用供給部材から案内流路38に供給された流体の接続部323と第二被覆部(空間形成部)52との間からの漏れが確実に抑えられる。
【0054】
さらに、本実施形態の蓄電装置1では、インシュレータ5(例えば、先端部位522)がシール部材8を介して対向領域S2に間接に当接すると共に、シール部材8の材質がインシュレータ5の材質よりも柔らかいことで、対向領域S2の表面が凹凸形状を有していたり、インシュレータ5の対向領域S2に間接に当接する部位(例えば、先端部位522)の表面が凹凸形状を有していたり、インシュレータ5の対向領域S2に間接に当接する部位(例えば、先端部位522)の表面が対向領域S2の表面に対して傾斜したりしていても、インシュレータ5が確実に対向領域S2に密接する。
【0055】
尚、本発明の蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0056】
例えば、シールリブ5211は、延出端5212が弾性変形によりX軸方向における一方側に変位するように湾曲した状態で、シールリブ対向面3232cに当接していてもよく、この場合、シールリブ対向面3232cは、X軸方向における外側に位置する部位ほどY軸方向における外側に位置するよう傾斜していてもよい。また、シールリブ5211は、弾性変形しなくてもよく、例えば、第二被覆部52(空間形成部)の平行部位521の端部5210から、一対の第二被覆部52のうち対向する第二被覆部52に向けてY軸方向に沿って突出する形状(例えば、Y軸方向における内側に向かいY軸方向に沿って突出する平板状)であってもよい。この場合においても、シールリブ対向面3232cが傾斜面であれば、シールリブ5211がシールリブ対向面3232cに当接しやすいため、隣接部材3やインシュレータ5に製造誤差や組み立て誤差を吸収することができる。
【0057】
接続部323のシールリブ5211と対向するシールリブ対向面3232cは、傾斜面に限らず、平坦な面や湾曲面でもよい。例えば、シールリブ対向面3232cが平坦な面であっても、延出端5212が弾性変形によりX軸方向における一方側又は他方側のいずれかに変位するように湾曲した状態で、シールリブ5211はシールリブ対向面3232cに当接していてもよい。このような場合においても、シールリブ5211がシールリブ対向面3232cに密着しているため、X軸方向やY軸方向において隣接部材3やインシュレータ5に製造誤差や組み立て誤差が生じても、この誤差を吸収することができる。
【0058】
一対の第二被覆部(空間形成部)52は、シールリブ5211とは異なる形状を有すると共に、接続部323のシールリブ対向面3232cに当接する当接部を含んでもよい。
【0059】
接続部323の形状は、上記実施形態の形状に限らず、流体用供給部材に接続可能な形状であればよい。
【0060】
蓄電装置1に含まれる蓄電素子2の数は複数に限らず、一つであってもよい。換言すると、蓄電装置1に含まれる蓄電素子2の数は少なくとも一つであればよい。
【符号の説明】
【0061】
1…蓄電装置、2…蓄電素子、21…ケース、22…外部端子、211…ケース本体、212……閉塞部、213…胴部、214…長壁部、215…短壁部、216…蓋板、3…隣接部材、315…ボルト、321…本体部、3213…端縁、323…接続部、3231…第一部位、3232…第二部位、3232a…平板領域、3232b…延設領域、3232c…傾斜面(シールリブ対向面、外面)、3233…第三部位、324…補強部、3241…第一部位、3242…第二部位、325…隔壁部、35…流路、35a…入口(開口)、35b…出口(開口)、38…案内流路、4…保持部材、40…終端部材、41…終端部材本体、42…延設部、43…接続部材、44…接続部材本体、441…梁部、442…端部接続部、443…中間接続部、45…固定部材、46…第一延設部、47…第二延設部、470…傾斜部位、471…平行部位、48…被連結部、49…外部入出力用端子、5…インシュレータ、50…本体被覆部(インシュレータ本体部)、51…第一被覆部、52…第二被覆部(空間形成部、案内流路構成部)、520…傾斜部位、521…平行部位、5210…端部、5211…シールリブ、5212…延出端、522…先端部位、53…梁部被覆部、54…端部被覆部、55…中間被覆部、6…バスバ、8…シール部材、102…電池セル、103…スペーサ、110…溝、120…冷却隙間(流路)、S1…設置面、S2…対向領域(対向面)、S3…設置領域
図1
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図11