(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】安全継手
(51)【国際特許分類】
F16L 37/32 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
F16L37/32
(21)【出願番号】P 2021003869
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 正浩
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-127555(JP,A)
【文献】特開2007-120717(JP,A)
【文献】実開平02-077371(JP,U)
【文献】特開2007-177990(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0019973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路が形成され、充填装置側部材と接続されている状態では遮断弁が開放している筒状のノズル側部材と、
ノズル側部材と接続している状態でノズル側部材の流路と連通している流路が形成され、遮断弁が開放している筒状の充填装置側部材から構成され、
ノズル側部材が充填装置側部材から離脱するとノズル側部材及び充填装置側部材の遮断弁が閉じる管継手において、
充填装置側部材の遮断弁を遮断する機構は、
充填装置側の弁体を付勢する充填装置側の弾性部材と、
充填装置側の弁体に接続された棒状部材と、
当該棒状部材を支持している支持部材を含み、
当該支持部材は、ノズル側部材が充填装置側部材から外れる際にノズル側部材と共に移動して棒状部材を支持しない状態に変動
し、
前記支持部材は、突起及び切欠部を有し回転自在に軸支された円板状部材を有し、円板状部材の突起が挿入される開口がノズル側部材の突出部に形成されており、前記円板状部材の切欠部は平坦部分を有しており、ノズル側部材と充填装置側部材が接続されている場合には前記棒状部材の端部が平坦部分に当接して支持されていることを特徴とする安全継手。
【請求項2】
内部に流路が形成され、充填装置側部材と接続されている状態では遮断弁が開放している筒状のノズル側部材と、
ノズル側部材と接続している状態でノズル側部材の流路と連通している流路が形成され、遮断弁が開放している筒状の充填装置側部材から構成され、
ノズル側部材が充填装置側部材から離脱するとノズル側部材及び充填装置側部材の遮断弁が閉じる管継手において、
充填装置側部材の遮断弁を遮断する機構は、
充填装置側の弁体を付勢する充填装置側の弾性部材と、
充填装置側の弁体に接続された棒状部材と、
当該棒状部材を支持している支持部材を含み、
当該支持部材は、ノズル側部材が充填装置側部材から外れる際にノズル側部材と共に移動して棒状部材を支持しない状態に変動し、
前記支持部材は、突起、平坦部及び傾斜部を有するロッド載置部材と、ロッド載置部材の傾斜部と相補形状の傾斜部を有し且つ充填装置側部材に取り付けられている変形用部材を有しており、
ロッド載置部材の突起が挿入される開口がノズル側部材の突出部に形成されており、
ノズル側部材と充填装置側部材が接続されている場合には前記棒状部材の端部がロッド載置部材の平坦部に当接して支持されており、
充填装置側部材にはノズル側部材の突出部が挿入される開口部が充填装置側部材の流路と直交する方向に延在して形成され、当該開口部における充填装置側部材の流路よりもノズル側の領域には径大部が形成され、
前記ロッド載置部材の傾斜部が変形用部材の傾斜部と当接した際に突起が開口から外れる様に構成されている
ことを特徴とする安全継手。
【請求項3】
内部に流路が形成され、充填装置側部材と接続されている状態では遮断弁が開放している筒状のノズル側部材と、
ノズル側部材と接続している状態でノズル側部材の流路と連通している流路が形成され、遮断弁が開放している筒状の充填装置側部材から構成され、
ノズル側部材が充填装置側部材から離脱するとノズル側部材及び充填装置側部材の遮断弁が閉じる管継手において、
充填装置側部材の遮断弁を遮断する機構は、
充填装置側の弁体を付勢する充填装置側の弾性部材と、
充填装置側の弁体に接続された棒状部材と、
当該棒状部材を支持している支持部材を含み、
当該支持部材は、ノズル側部材が充填装置側部材から外れる際にノズル側部材と共に移動して棒状部材を支持しない状態に変動し、
前記支持部材は、円環状の部分及びボールを挟み込んで保持するボール保持部分を有し、
ノズル側部材と充填装置側部材が接続されている場合には前記棒状部材の端部が円環状の部分に当接して支持されており、
ボール保持部分が保持しているボールの一部が挿入される凹部がノズル側部材の突出部に形成されており、
充填装置側部材にはノズル側部材の突出部が挿入される開口部が充填装置側部材の流路と直交する方向に延在して形成され、当該開口部における充填装置側部材の流路よりもノズル側の領域には径大部が形成され、
ノズル側部材が充填装置側部材から外れてボールが前記径大部に到達すると、ボールが前記凹部から外れて径大部内に移動する
ことを特徴とする安全継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料として用いられる水素ガス等の気体を充填するための充填装置に関する。より詳細には、本発明は、当該充填装置で気体を充填している際に緊急事態が生じた時に、充填装置と気体充填用ノズルとを安全に分離する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水素を燃料として走行する車両Aでは、
図14で示す様に、水素充填施設に設けられた水素充填装置200の充填ホース201先端に設けた充填ノズル202を、車両側充填口203と接続して水素ガスを充填する。そして、係る水素ガスの充填は、車両Aに搭載された水素タンク204の圧力に応じて制御しながら行われる。
ここで、例えば充填中に車両Aが移動する等により充填ホース201が引っ張られると、充填ノズル202及び充填ホース201等の機器が破損して水素ガスが噴出し、危険な状態になる。そこで、緊急離脱用の管継手300を水素充填装置200と充填ホース201の途中に設け、充填ホース201に一定以上の引張荷重が負荷されると管継手300を分離して、充填ノズル202及び充填ホース201等の機器が破損する事態を防止している。
【0003】
その様な緊急離脱用の管継手の従来技術として、出願人は先に、内部に流路が形成された筒状のプラグ(充填ノズル側部材)と、当該プラグが挿入されると遮断弁が開いてプラグ内流路と連続するソケット内流路が形成された筒状のソケット(充填装置側部材)から構成され、ソケットからプラグが離脱すると遮断弁が閉じる緊急離脱用の管継手において、プラグ内流路の中心軸とソケット内流路の中心軸が同一直線状に配置されておらず、ソケットにプラグが挿入されている場合には、ソケット側弁棹の端部(弁体の反対側端部)はプラグ側ロッド収納ケースに当接し、ソケット側弁棹の他端側に設けた弁体はソケット側の弾性体の弾性反撥力に抗してソケット側弁座から離隔した位置に保持され、プラグ側ロッド収納ケースに保持された係止部材はソケット本体側の開口部分の内壁面により半径方向外方の移動が抑制され、プラグ側弁棹が係止部材に当接してソケット側に移動せず、プラグ側弁棹に設けられた弁体はプラグ側の弾性体の弾性反撥力に抗してプラグ側弁座から離隔した位置に保持される管継手(緊急離脱用の管継手)を提案している(特許文献1参照)。
上述した管継手(特許文献1の管継手)は有用な技術である。
【0004】
しかし前記従来技術(特許文献1)に係る管継手100において、充填ホース201(
図14)に大きな引張力が作用した場合、プラグ10がソケット20から抜け出す初期の段階(抜け出し始めの段階)では、
図15で示す様に、ソケット20側の弁体25に接続したソケット側ロッド22が、プラグ側弁棹2或いは当該弁棹のカバー部材3に載置してしまう。その状態(
図15で示す状態)では、ソケット側弁体25はソケット20側のスプリング23の弾性反発力に抗してソケット側弁座21Eから離隔した位置となり、ソケット側遮断弁24は開放された状態になる。そのため、プラグ10がソケット20から抜け出す初期段階(抜け出し始めの段階)では、ソケット20側の開口部21Cを介して、充填装置200(
図14)から供給された高圧の水素ガスが、いわゆる「アウトガス」として管継手100の外部に流出してしまう。
図15においては、アウトガスの流出は矢印OGで示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、ノズル側部材であるプラグが充填装置側部材であるソケットから抜け出す初期の段階で直ちに水素ガス流路を遮断して、アウトガスの放出を防止することが出来る安全継手の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の安全継手(100)は、
内部に流路(1A:プラグ内流路)が形成され、充填装置側部材(20:ソケット)と接続されている状態では遮断弁(5:プラグ側遮断弁)が開放している筒状のノズル側部材(10:プラグ)と、
ノズル側部材(10)と接続している状態でノズル側部材(10)の流路(1A:プラグ内流路)と連通している流路(21A:ソケット内流路)が形成され、遮断弁(24:ソケット側遮断弁)が開放している筒状の充填装置側部材(20:ソケット)から構成され、
ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱するとノズル側部材(10)及び充填装置側部材(20)の遮断弁(プラグ側遮断弁5及びソケット側遮断弁24)が閉じる(緊急離脱用の)管継手(100)において、
充填装置側部材(20)の遮断弁(24:ソケット側遮断弁)を遮断する機構は、
充填装置側の弁体(25:ソケット側弁体)を付勢する充填装置側の弾性部材(23:ソケット側スプリング)と、
充填装置側の弁体(25)に接続された棒状部材(22:ロッド)と、
当該棒状部材(22)を支持(載置)している支持部材(26:ロッド支持部材)を含み、
当該支持部材(26)は、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる際にノズル側部材(10)と共に移動して棒状部材(22)を支持しない(載置しない)状態に変動し、
前記支持部材(26)は、突起(26A)及び切欠部(26B)を有し回転自在に軸支された円板状部材(26D)を有し、円板状部材(26D)の突起(26A)が挿入される開口(3C:溝)がノズル側部材(10)の突出部(3)に形成されており、前記円板状部材(26D)の切欠部(26B)は平坦部分(26C)を有しており、ノズル側部材(10)と充填装置側部材(20)が接続されている場合には前記棒状部材(22)の端部が平坦部分(26C)に当接して支持(載置)されていることを特徴としている。
【0009】
また本発明の安全継手(100-1)は、
内部に流路(1A:プラグ内流路)が形成され、充填装置側部材(20:ソケット)と接続されている状態では遮断弁(5:プラグ側遮断弁)が開放している筒状のノズル側部材(10:プラグ)と、
ノズル側部材(10)と接続している状態でノズル側部材(10)の流路(1A:プラグ内流路)と連通している流路(21A:ソケット内流路)が形成され、遮断弁(24:ソケット側遮断弁)が開放している筒状の充填装置側部材(20:ソケット)から構成され、
ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱するとノズル側部材(10)及び充填装置側部材(20)の遮断弁(プラグ側遮断弁5及びソケット側遮断弁24)が閉じる(緊急離脱用の)管継手(100-1)において、
充填装置側部材(20)の遮断弁(24:ソケット側遮断弁)を遮断する機構は、
充填装置側の弁体(25:ソケット側弁体)を付勢する充填装置側の弾性部材(23:ソケット側スプリング)と、
充填装置側の弁体(25)に接続された棒状部材(22:ロッド)と、
当該棒状部材(22)を支持(載置)している支持部材(27:ロッド支持部材)を含み、
当該支持部材(27)は、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる際にノズル側部材(10)と共に移動して棒状部材(22)を支持しない(載置しない)状態に変動し、
前記支持部材(27)は、突起(27A)、平坦部(27B)及び傾斜部(27C:テーパー部)を有するロッド載置部材(27D)と、ロッド載置部材(27D)の傾斜部(27C)と相補形状の傾斜部(27E)を有し且つ充填装置側部材(20)に取り付けられている変形用部材(27F)を有しており、
ロッド載置部材(27D)の突起(27A)が挿入される開口(3D:溝)がノズル側部材(10)の突出部(3)に形成されており、
ノズル側部材(10)と充填装置側部材(20)が接続されている場合には前記棒状部材(22)の端部がロッド載置部材(27D)の平坦部(27B)に当接して支持(載置)されており、
充填装置側部材(20)にはノズル側部材(10)の突出部(3)が挿入される開口部(21C:貫通孔)が充填装置側部材(20)の流路(21A:ソケット内流路)と直交する方向に延在して形成され、当該開口部(21C)における充填装置側部材(20)の流路(21A)よりもノズル側の領域には径大部(21H)が形成され、
前記ロッド載置部材(27D)の傾斜部(27C)が変形用部材(27F)の傾斜部(27E)と当接した際に突起(27A)が開口(3D)から外れる様に構成されていることを特徴としている。
【0010】
さらに本発明の安全継手(100-2)は、
内部に流路(1A:プラグ内流路)が形成され、充填装置側部材(20:ソケット)と接続されている状態では遮断弁(5:プラグ側遮断弁)が開放している筒状のノズル側部材(10:プラグ)と、
ノズル側部材(10)と接続している状態でノズル側部材(10)の流路(1A:プラグ内流路)と連通している流路(21A:ソケット内流路)が形成され、遮断弁(24:ソケット側遮断弁)が開放している筒状の充填装置側部材(20:ソケット)から構成され、
ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から離脱するとノズル側部材(10)及び充填装置側部材(20)の遮断弁(プラグ側遮断弁5及びソケット側遮断弁24)が閉じる(緊急離脱用の)管継手(100-2)において、
充填装置側部材(20)の遮断弁(24:ソケット側遮断弁)を遮断する機構は、
充填装置側の弁体(25:ソケット側弁体)を付勢する充填装置側の弾性部材(23:ソケット側スプリング)と、
充填装置側の弁体(25)に接続された棒状部材(22:ロッド)と、
当該棒状部材(22)を支持(載置)している支持部材(28:ロッド支持部材)を含み、
当該支持部材(28)は、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる際にノズル側部材(10)と共に移動して棒状部材(22)を支持しない(載置しない)状態に変動し、
前記支持部材(28)は、円環状の部分(28A)及びボール(29)を挟み込んで保持するボール保持部分(28B)を有し、
ノズル側部材(10)と充填装置側部材(20)が接続されている場合には前記棒状部材(22)の端部が円環状の部分(28A)に当接して支持(載置)されており、
ボール保持部分(28B)が保持しているボール(29)の一部が挿入される凹部(3E:溝)がノズル側部材(10)の突出部(3)に形成されており、
充填装置側部材(20)にはノズル側部材(10)の突出部(3)が挿入される開口部(21C:貫通孔)が充填装置側部材(20)の流路(21A:ソケット内流路)と直交する方向に延在して形成され、当該開口部(21C)における充填装置側部材(20)の流路(21A)よりもノズル側の領域には径大部(21I)が形成され、
ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れてボール(29)が前記径大部(21I)に到達すると、ボール(29)が前記凹部(3E)から外れて径大部(21I)内に移動することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上述の構成を具備する本発明の安全継手(100、100-1、100-2)によれば、充填装置側の弁体(25)に接続された棒状部材(22:ロッド)を支持(載置)している支持部材(26、27、28:ロッド支持部材)は、ノズル側部材(10)に連動して、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れると、その初期の段階で棒状部材(22)を支持しない(載置しない)状態に変動する。棒状部材(22)が支持部材(26、27、28)に支持されなくなると、棒状部材(22)は弁体(25)の移動を阻止しない状態になるので、充填装置側の弾性部材(23)により充填装置側の弁体(25)が押圧されて弁座(21E:ソケット側弁座)に座着する。そのため、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる初期の段階で、充填装置側の遮断弁(24)が遮断し、アウトガスの発生が抑えられる。
【0012】
例えば、前記支持部材(26)が突起(26A)及び切欠部(26B)を有し回転自在に軸支された円板状部材(26D)を有し、円板状部材(26D)の突起(26A)が挿入される開口(3C:溝)がノズル側部材(10)の突出部(3)に形成されており、ノズル側部材(10)と充填装置側部材(20)が接続されている場合には前記棒状部材(22)の端部が平坦部分(26C)に当接して支持(載置)されていれば、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる動きはノズル側部材(10)の開口(3C)及び円板状部材(26D)の突起(26A)を介して円板状部材(26D)の回動に変換され、円板状部材(26D)が回動すると前記棒状部材(22)は円板状部材(26D)の平坦部分(26C)に支持(載置)されない状態となる。
【0013】
また、前記支持部材(27)が、突起(27A)、平坦部(27B)及び傾斜部(27C:テーパー部)を有するロッド載置部材(27D)と、ロッド載置部材(27D)の突起(27A)が挿入される開口(3D:溝)がノズル側部材(10)の突出部(3)に形成され、ノズル側部材)(10)と充填装置側部材(20)が接続されている場合には前記棒状部材(22)の端部がロッド載置部材(27D)の平坦部(27B)に当接して支持(載置)されていれば、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる動きは、ノズル側部材(10)の開口(3D)及びロッド載置部材(27D)の突起(27A)を介してロッド載置部材(27D)の移動に変換され、ロッド載置部材(27D)が移動すれば、棒状部材(22)の端部はロッド載置部材(27D)の平坦部(27B)に支持(載置)されていない状態になる。
そして、ロッド載置部材(27D)の傾斜部(27C)と相補形状の傾斜部(27E)を有し且つ充填装置側部材(20)に取り付けられている変形用部材(27F)を有し、前記ロッド載置部材(27D)の傾斜部(27C)が変形用部材(27F)の傾斜部(27E)と当接した際に突起(27A)が開口(3D)から外れる様に構成されていれば、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れると、ロッド載置部材(27D)の傾斜部(27C)が変形用部材(27F)の傾斜部(27E)と当接して、ロッド載置部材(27D)が変形用部材(27F)の傾斜部(27E)に乗り上げて、ロッド載置部材(27D)がノズル側部材(10)の開口(3D)の縁部を中心に回動して、径大部(21H)内に収容される。その結果、ロッド載置部材(27D)が他の部材と所謂「噛んだ」状態になることなく、ノズル側部材(10)が充填機側部材(20)から円滑に外れる。
【0014】
さらに本発明において、支持部材(28)は、円環状の部分(28A)及びボール(29)を挟み込んで保持するボール保持部分(28B)を有し、ノズル側部材(10)と充填装置側部材(20)が接続されている場合には前記棒状部材(22)の端部が円環状の部分(28A)に当接して支持(載置)されており、ボール保持部分(28B)が保持しているボール(29)の一部が挿入される凹部(3E:溝)がノズル側部材(10)の突出部(3)に形成されており、充填装置側部材(20)にはノズル側部材(10)の突出部(3)が挿入される開口部(21C:貫通孔)が充填装置側部材(20)の流路(21A:ソケット内流路)と直交する方向に延在して形成され、当該開口部(21C)における充填装置側部材(20)の流路(21A)よりもノズル側の領域には径大部(21I)が形成されていれば、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる動きは、ノズル側部材(10)の凹部(3E:溝)及びボール(29)を介してボール保持部分(28B)の移動に変換され、ボール保持部分(28B)が移動すれば、棒状部材(22)の端部は円環状の部分(28A)に支持(載置)されていない状態になる。
そして、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れてボール(29)が前記径大部(21I)に到達すると、ボール(29)が前記凹部(3E)から外れて径大部(21I)内に移動するので、ボール保持部分(28B)とノズル側部材(10)の突出部(3)は別体になり、ノズル側部材(10)が充填装置側部材(20)から外れる動きをボール保持部分(28B)及びボール(29)が阻害することはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る安全継手において、プラグがソケットに接続している状態を示す説明断面図である。
【
図2】
図1の安全継手における支持部材の説明拡大図である。
【
図3】
図1の安全継手において、プラグがソケットから外れた状態を示す説明断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る安全継手において、プラグがソケットに接続している状態を示す説明断面図である。
【
図5】
図4の安全継手における支持部材の説明拡大図である。
【
図6】
図4の安全継手において、プラグがソケットから外れる初期の状態を示す説明断面図である。
【
図7】
図4の安全継手において、プラグがソケットから外れた状態を示す説明断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る安全継手において、プラグがソケットに接続している状態を示す説明断面図である。
【
図9】
図8の安全継手における支持部材の説明拡大図である。
【
図10】
図8の安全継手において、プラグがソケットから外れる初期の状態を示す説明断面図である。
【
図11】
図8の安全継手において、プラグがソケットから外れる直前の状態を示す説明断面図である。
【
図12】
図8の安全継手において、プラグがソケットから外れた状態を示す説明断面図である。
【
図13】図示の実施形態の変形例を示す断面図である。
【
図15】従来技術に係る安全継手において、プラグがソケットから抜き出る初期の段階を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図示の実施形態において、従来技術(特許文献1)と同様な部材には同様な符号を付している。
図示の実施形態において、全体を符号100で示す安全継手は、充填装置側部材であるソケット20と、ノズル側部材であるプラグ10とを有している。
最初に
図1、
図2、
図3を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
プラグ10(ノズル側部材)とソケット20(充填装置側部材)が接続した状態が示されている
図1において、全体が筒状のプラグ10は、プラグ本体1とソケット20側(
図1では左側)に突出するプラグ側突出部材3を有している。プラグ10とソケット20が接続されている
図1で示す状態では、プラグ側突出部材3は、ソケット本体21に形成された開口21Cに挿入されている。
プラグ本体1の車両側(
図1で右側:ソケット20側から離隔した側)端部には水素ガス供給口1B(水素ガス出口)が設けられており、水素ガス出口1Bは充填ホース201(
図14参照:
図1では図示せず)に接続される。
【0017】
プラグ本体1、プラグ側突出部材3の上下方向中央部には、プラグ内流路1Aが形成されており、プラグ内流路1Aはプラグ10の軸方向(長手方向:
図1の左右方向)に延在している。
プラグ内流路1Aには、拡径された領域であるプラグ側弁体収容部1Cが設けられている。プラグ内流路1Aは、プラグ側突出部材3内の流路(プラグ側突出部材3の内部空間3B)から、プラグ側弁体収容部1C内の流路を介して、水素ガス出口1Bに連通しており、換言すれば、プラグ内流路1Aはプラグ側突出部材3の内部空間3B及びプラグ側弁体収容部1C内の流路を含んでいる。
プラグ側突出部材3には孔部3Aが形成されており、孔部3Aによりプラグ内流路1Aとソケット内流路21Aが連通している。
プラグ内流路1Aにはプラグ側ロッド2が収容されている。プラグ側ロッド2のソケット20から離隔した側(
図1で右側)の端部には、プラグ側弁体6が設けられており、プラグ側弁体6は弁体収容部1Cに収容されている。弁体収容部1C内において、プラグ側弁体6のソケット20から離隔した側(
図1で右側)にはプラグ側スプリング4(弾性材)が配置されており、プラグ側スプリング4はプラグ側弁体6をソケット20側(
図1で左側)に付勢している。
プラグ側弁体6と弁座1Fによりプラグ側遮断弁5が構成されており、弁座1Fは弁体収容部1Cのテーパー部により構成されている。そしてプラグ側遮断弁5は、プラグ内流路1Aを遮断し或いは開放する機能を有している。
図1で示す様に、プラグ10とソケット20が接続された状態ではプラグ側遮断弁5は開放され、プラグ内流路1Aはソケット内流路21Aと連通している。
【0018】
図1において、プラグ側突出部材3のソケット20側(
図1では左側)の先端近傍に係止用ボール用7の溝が形成されており、係止用ボール7が保持されている。ソケット20側(ソケット本体21)には円環状のボール収容空間21Fが形成されており、ボール収容空間21Fは、プラグ10とソケット20の接続が解除された時に係止用ボール7を収容する。
プラグ側弁体6に接続しているプラグ側ロッド2はソケット20側(
図1で左側)に延在しており、ソケット20側の先端には平板部材2Aが設けられている。プラグ10とソケット20が接続されている状態では、平板部材2Aは係止用ボール7(におけるプラグ側突出部材3の内部空間3Bへ突出した部分)に当接している。
図1で示す状態では、係止用ボール7は円環状のボール収容空間21Fに位置しておらず、そのため、平板部材2Aは係止用ボール7よりもプラグ10から離隔する側(ソケット20側:
図1の左側)には移動することが出来ず、プラグ側ロッド2は、プラグ側スプリング4の弾性反発力に抗して、係止用ボール7と当接する位置からソケット20側(
図1では左側)に移動しない。従って、
図1で示すプラグ10とソケット20が接続された状態では、プラグ側弁体6はプラグ用弁座1Fから離隔した状態に保持され、プラグ10側の遮断弁5は開放状態に保持される。
なお、ソケット側の開口21Cにおけるプラグ10から離隔した側(
図1では左側)には、プラグ側突出部材3と一体に校正された栓部材3Jが設けられている。
図1において、符号SSはシール部材(例えばOリング)である。
【0019】
図1において、全体が筒状のソケット20のソケット本体21において、図示しない水素充填装置側(
図1で上方側)の端部には、水素充填機から供給される水素ガスを導入する水素ガス導入口21Bが設けられている。水素ガス導入口21Bには内部に流路を形成した栓部材31が設けられている。
ソケット本体21には、
図1において上下方向に延在するソケット内流路21Aが形成されている。ソケット内流路21Aには拡径された領域であるソケット側弁体収容部21Dが形成されており、ソケット側弁体収容部21Dにはソケット側弁体25が収容されている。ソケット内流路21Aにおいて、ソケット側弁体収容部21Dの水素ガス導入口21Bから離隔した側(
図1の下方)の領域はソケット側ロッド収容部21Gを構成している。
【0020】
図1において、ソケット20はソケット側ロッド22(充填装置側棒状部材)、ソケット側ロッド22の水素充填装置側(
図1で上方)に一体的に接続されるソケット側弁体25、ソケット側弁体25の水素ガス導入口21B側(
図1で上方)に配置されたソケット側スプリング23を有しており、ソケット側ロッド22、ソケット側弁体25、ソケット側スプリング23は、ソケット内流路21A(ソケット本体21の内部空間)に収容されている。ここでソケット側スプリング23は、ソケット側弁体25を水素ガス導入口21Bから離隔する側(
図1で下側)に付勢している。
ソケット側弁体25と弁座21Eによりソケット側遮断弁24が構成されており、弁座21Eは弁体収容部21Dのテーパー部により構成されている。ソケット側遮断弁24は、ソケット内流路21Aを遮断し或いは開放する機能を有している。
図2で明示する様に、ソケット側ロッド22は支持部材26(ロッド支持部材)により支持(載置)されている。
図2において、支持部材26は円板状部材26D(
図2)を有し、円板状部材26Dは回転中心26Eによりソケット本体21に回転自在に軸支されている。円板状部材26Dには突起26A及び切欠部26Bが設けられており、切欠部26Bは平坦部分26Cを有している。突起26は、プラグ側突出部材3に形成されている開口3C(溝)に係合(挿入)している。
プラグ10とソケット20が接続された状態(
図1、
図2の状態)では、円板状部材26Dの切欠部26Bはソケット側弁体25側(
図1、
図2で上側)に位置しており、ソケット側ロッド22のプラグ側突出部材3側(
図1、
図2で下側)の端部は平坦部分26Cに当接して支持(載置)されている。円板状部材26Dの突起26が開口3Cに係合しているので円板状部材26Dは回動せず、ソケット側ロッド22が平坦部分26Cに支持(載置)されるため、ソケット側ロッド26はソケット側スプリング23の弾性反発力に抗してソケット側弁体を
図1、
図2で示す様に弁座21Eから離隔した位置に保持され、ソケット側遮断弁24は開放された状態を維持する。
【0021】
図1で示す様に、プラグ10とソケット20が接続されている状態では、ソケット側遮断弁24は開放されている。その際、ソケット内流路21Aは、水素ガス導入口21Bからソケット側弁体収容部21D、ソケット側ロッド収容部21G、円環状のボール収容空間21Fを介して、ソケット本体21の開口部分21C(貫通孔)に連通している。そして、ソケット内流路21Aは、プラグ側突出部材3に形成された孔部3Aを介して、プラグ内流路1Aと連通している。
係る連通路により、水素ガス導入口21Bから安全継手100内に流入した水素ガスは水素ガス供給口1Bまで流れ、充填ホース201(
図14)内を流れる。
【0022】
図1において、例えば水素充填中の図示しない燃料電池自動車(FCV)が急発進して、充填ホースに大きな張力が作用すると、矢印Qで示す様に、プラグ10がソケット20から抜け出そうとする力が作用する。当該張力が所定値以上であると、プラグ10は矢印Q方向に移動して、プラグ10とソケット20の接続は解除される。しかし、
図1~
図3の第1実施形態では、その様な場合に、直ちにソケット側遮断弁24を遮断する機能を有している。
ソケット20における支持部材26は、プラグ10がソケット20から外れる際にソケット側ロッド22を支持しない(載置しない)状態に変動する。
【0023】
上述した様に、円板状部材26Dの突起26Aはプラグ側突出部材3の溝3Cに係合しているので、プラグ10がソケット20に対して矢印Q方向に移動すると、円板状部材26Dが矢印R方向(
図2)に回動する。
円板状部材26Dが矢印R方向に回動すると、円板状部材26Dの切欠部26Bの平坦部分26Cはソケット側弁体25側(
図1、
図2では上側)の水平な位置から、
図3で示す様に、水平ではない位置(
図3で示す位置:平坦部分26Cは円板状部材26Dにおける左側の位置)に移動するので、ソケット側ロッド22は平坦部分26Cに載置(支持)されなくなる。円板状部材26Dの平坦部分26Cに載置(支持)されなくなったソケット側ロッド22は、ソケット側スプリング23の弾性反発力に抗することは出来ずに、プラグ側突出部材3側(
図1~
図3では下側)に移動(落下)する。ソケット側ロッド22が落下すると、ソケット側弁体25はソケット側スプリング23の弾性反発力により押圧されて弁座21Eに瞬時に座着し、ソケット側遮断弁24が閉鎖される。
すなわち、支持部材26の円板状部材26Dの切欠部26Bの平坦部分26Cによって支持されていたソケット側ロッド22は、プラグ10が矢印Q方向に移動して円板状部材26Dが矢印R方向に回動すると、瞬時にプラグ側突出部材3側に移動(下降)するので、プラグ10がソケット20から外れる初期段階で瞬時に、
図3で示す様にソケット側遮断弁24が閉鎖される。そしてソケット側遮断弁24が閉鎖することにより、ガス導入口21Bからソケット内流路21Aに流入した水素がソケット20の外部に流出することが防止される。
【0024】
上述した様に、
図1の状態(プラグ10とソケット20が接続している状態)では、プラグ側ロッド2の平板状の端部2Aは係止用ボール7と当接しているため、
図1で示す状態からプラグ側スプリング4の伸長方向(
図1の左方向)に移動することはできない。
図1において、プラグ10がソケット20から抜け出し始めると、プラグ10は矢印Q方向に移動し、係止用ボール7も矢印Q方向(
図1で右方向)に移動して、円環状のボール収容空間21Fの位置に到達する。係止用ボール7が円環状のボール収容空間21Fの位置に到達すると、プラグ側スプリング4の弾性反発力により押圧されている係止用ボール7は半径方向外方(
図1では上下方向)に移動して、円環状のボール収容空間21F内に進入する。
係止用ボール7が円環状のボール収容空間21F内に進入すると、係止用ボール7はプラグ側突出部材3の内部空間3Bへ突出していないので、プラグ側ロッド2の端部2Aがプラグ側スプリング4の伸長方向(
図1の左方向)へ移動することを妨げない。その結果、
図3で示す様に、プラグ側弁体6はプラグ側スプリング4の弾性反発力により伸長方向(
図1、
図3の左方向)に移動して弁座1Fに座着し、プラグ側遮断弁5が閉鎖され、プラグ内流路1Aに存在する高圧の水素はプラグ10の外部に流出することが防止される。
すなわち
図3で示す様に、第1実施形態に係る安全継手100においてプラグ10とソケット20の接続が解除されると、プラグ側遮断弁5及びソケット側遮断弁24は瞬時に閉鎖され、水素ガスがプラグ10の外部或いはソケット20の外部へ流出することが防止される。
【0025】
次に
図4~
図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図4~
図7の第2実施形態については、
図1~
図3の第1実施形態とは異なる部分を主として説明する。
第2実施形態において、プラグ10とソケット20の接続が解除された場合にソケット側遮断弁24を直ちに遮断する機構は、ソケット側ロッド22を支持(載置)している支持部材27(ロッド支持部材)を含んでいるが、支持部材27は
図1~
図3の第1実施形態の支持部材26と相違している。
図4~
図7の第2実施形態における支持部材27は、プラグ10がソケット20から外れる際にプラグ10と共に移動して、ソケット側ロッド22を支持しない(載置しない)状態に変動する。
【0026】
図5で示す様に、支持部材27はロッド載置部材27Dと変形用部材27Fを有し、ロッド載置部材27Dは突起27A、平坦部27B、傾斜部27C(テーパー部)を有している。そして変形用部材27Fは、ロッド載置部材27Dの傾斜部27Cと相補形状の傾斜部27Eを有している。
図5において、変形用部材27Fは、ロッド載置部材27Dに対してプラグ本体1側(
図5で右側)に位置しており、ソケット本体21(
図4)に取り付けられている。また、プラグ側突出部材3には、ロッド載置部材27Dの突起27Aが係合する開口3D(溝)が形成されている。
また、ソケット20には開口部21C(貫通孔)が形成され、開口部21Cにはプラグ側突出部材3が挿入され、開口部21Cはソケット内流路21Aと直交する方向に延在して形成されている。開口部21Cにおいて、ソケット内流路21Aよりもプラグ10側(
図4、
図5では右側)の領域には径大部21Hが形成されている。
プラグ10とソケット20が接続された状態(
図4、
図5の状態)では、ロッド載置部材27Dの平坦部27Bは、
図4、
図5においてソケット側ロッド22の直下に位置しているので、ソケット側ロッド22のプラグ側突出部材3側(
図4、
図5で下側)の端部は、水平な状態の平坦部27Bに支持(載置)されている。ロッド載置部材27Dの突起27Aが開口3Dに係合しているためロッド載置部材27Dは
図4、
図5の状態ではプラグ10側(
図4、
図5では右側)に移動せず、ソケット側ロッド22が平坦部27Bに支持(載置)された状態が維持されるので、ソケット側ロッド22はソケット側スプリング23の弾性反発力に抗してソケット側弁体25が弁座21Eから離隔した状態を保持し、ソケット側遮断弁24は開放されている。
【0027】
図4で示す状態において、水素ガス導入口21Bから流入した水素ガスは、水素ガス導入口21Bのソケット側弁体収容部21D、開放されているソケット側遮断弁24、ソケット側ロッド収容部21G、円環状のボール収容空間21Fを介して、ソケット本体21の開口部分21C(貫通孔)に流入し、プラグ側突出部材3に形成された孔部3Aを介してプラグ内流路1Aを流れ、水素ガス出口1Bから充填ホース201(
図14)内を流れる。
ここで、
図1~
図3の第1実施形態と同様に、プラグ10とソケット20が接続されている状態ではプラグ側遮断弁5は開放されており、プラグ内流路1Aは、プラグ側突出部材3内の流路(プラグ側突出部材3の内部空間3B)から、プラグ側弁体収容部1C内の流路を介して、水素ガス出口1Bに連通している。
【0028】
図4、
図5において、支持部材27(ロッド支持部材)のロッド載置部材27Dの下側の突起27Aはプラグ側突出部材3の溝3D(開口)に係合している。そのため、プラグ10とソケット20の接続が解除され、プラグ10が矢印Q方向(
図4、
図5の右方向)に移動すると、プラグ10と共に突起27A及びロッド載置部材27Dも矢印Q方向(
図4の右側)に移動する。
ロッド載置部材27Dが矢印Q方向(
図4の右側)に移動すると、ロッド載置部材27Dの平坦部27Bに載置されていた(支持されていた)ソケット側ロッド22は、ロッド載置部材27Dの平坦部Bがソケット側ロッド22直下の位置に存在しなくなるので、ソケット側スプリング23の弾性反発力によりプラグ側突出部材3側(
図4、
図5で下側)に移動(下降)する。
ソケット側ロッド22が下降すると、ソケット側弁体25はソケット側スプリング23の弾性反発力により押圧されて弁座21Eに瞬時に座着し、ソケット側遮断弁24が瞬時に閉鎖される。
この様に、支持部材26のロッド載置部材27Dの平坦部27Bによって支持されているソケット側ロッド22は、ロッド載置部材27Dが矢印Q方向(
図4で右方向)に移動すると、直ちにプラグ側突出部材3側(
図4、
図5で下側)に移動(下降)するので、プラグ10がソケット20から外れる初期段階で瞬時にソケット側遮断弁24が閉鎖される。そして、ガス導入口21Bからソケット内流路21Aに流入した水素は、ソケット側遮断弁24が遮断することにより、ソケット20の外部に流出することがない。係る状態が
図6、
図7に示されている。
【0029】
プラグ10がソケット20から外れる初期の状態が示されている
図6において、プラグ10が矢印Q方向へさらに移動する際に、仮にロッド載置部材27Dが
図6の矢印W側に回動せず、径大部21H(
図4、
図5)内に収容される方向に移動しなければ、ロッド載置部材27Dはプラグ側突出部材3の溝3D(開口)に嵌っている状態を保持してしまい、プラグ10がソケット20に対してプラグ10が外れる側(
図4~
図7の右側)へ更に移動するとロッド載置部材27Dが他の部材と干渉して、所謂「噛んだ」状態(ロックした状態)となり、プラグ10がソケット20から外れなくなってしまう恐れがある。
図4~
図7の第2実施形態によれば、プラグ10が矢印Q方向へ移動すると、
図6で示す様に、ロッド載置部材27Dの傾斜部27C(テーパー部)が変形用部材27F(
図5)の傾斜部27E(テーパー部、
図5)に接触し、プラグ10の矢印Q方向への移動と共に傾斜部27Cはテーパー部27Eにより案内され、ロッド載置部材27Dはプラグ10側(
図6では右側)に移動する。傾斜部27Cがテーパー部27Eにより案内されることにより、ロッド載置部材27D(
図5)は変形用部材27F(
図5)のテーパー部27E(
図5)に乗り上げる。
ロッド載置部材27Dが変形用部材27Fのテーパー部27Eに乗り上げると、ロッド載置部材27Dは、プラグ側突出部材3の溝3Dの縁部P(
図6)を中心に、矢印W方向(
図6)に回動する。矢印W方向に回動することにより、ロッド載置部材27Dは径大部21H内に収容される様に移動する。矢印W方向に回動する際に、ロッド載置部材27Dの突起27Aが溝3D(開口)から外れるため、プラグ10が矢印Q方向へ移動してもロッド載置部材27Dは矢印Q方向には移動しなくなり、ロッド載置部材27Dが他の部材と干渉して、所謂「噛んだ」状態になることはない。そしてプラグ10はソケット20から(
図4~
図7における右側に)円滑に外れる(抜ける)。
【0030】
図4~
図7の第2実施形態において、プラグ側弁体6によるプラグ側遮断弁5の開閉については、
図1~
図3の第1実施形態と同様である。
プラグ10とソケット20が接続している
図4の状態では、プラグ側ロッド2の平板状の端部2Aが係止用ボール7と当接しているため、ロッド端部2Aは係止用ボール7よりもプラグ本体1から離隔する側(
図4の左側)に移動せず、プラグ側弁体6がプラグ用弁座1Fから離隔した状態に保持されるので、プラグ側遮断弁5は開放した状態である。
それに対し、プラグ10がソケット20から抜け出し始め、プラグ10が矢印Q方向に移動すると、係止用ボール7も矢印Q方向(右)に移動し、ボール収容空間21Fに到達すると係止用ボール7はボール収容空間21F内に進入し、プラグ側突出部材3の内部空間3Bには突出しなくなる。そのため、係止用ボール7はプラグ側ロッド2の端部2Aがプラグ本体1から離隔する側(
図4の左側)へ移動することを妨げず、プラグ側弁体6はプラグ側スプリング4の伸長方向(
図4の左方向)に移動する。そして、プラグ側弁体6はプラグ側スプリング4の弾性反発力によりプラグ用弁座1Fに瞬時に座着し、プラグ側遮断弁5が閉鎖される。
【0031】
プラグ側遮断弁5が閉鎖されることにより、プラグ10から水素ガスが流出することは防止される。
ソケット側遮断弁24、プラグ側遮断弁5が閉鎖された状態が
図6、
図7に示されている。
プラグ10がソケット20から完全に外れた状態を示す
図7において、ロッド載置部材27D、変形用部材27Fは、ソケット本体21に形成された径大部21Hに収容されている。
【0032】
図4~
図7の安全継手100-1によれば、支持部材27はロッド載置部材27Dと変形用部材27Fを有し、プラグ10とソケット20が接続されている場合にはソケット側ロッド22の端部がロッド載置部材27Dの平坦部27Bに当接して支持(載置)されているので、ソケット側弁体25はソケット側スプリング23の弾性反発力に抗して開放状態に保持される。
安全継手100-1において、プラグ10がソケット20から外れる動きは、プラグ側突出部材3の溝3D及びロッド載置部材27Dの突起27Aを介してロッド載置部材27Dに伝達され、ロッド載置部材27Dがプラグ10と共に移動すれば、ソケット側ロッド22の端部はロッド載置部材27Dの平坦部27Bに支持(載置)されていない状態になり、ソケット側弁体25はソケット側スプリング23の弾性反発力により瞬時に弁座に座着する。
ここで、プラグ10がソケット20から外れる際に、ロッド載置部材27Dの傾斜部27Cが変形用部材27Fの傾斜部27Eと当接して、ロッド載置部材27Dが変形用部材27Fの傾斜部27Eに乗り上げて、ロッド載置部材27Dが、プラグ側突出部材3の溝3Dにおける縁部Pを中心に
図6の矢印W方向に回動して、径大部21H内に収容される。ロッド載置部材27Dが径大部21H内に収容されることにより、ロッド載置部材27Dが他の部材と干渉して所謂「噛んだ」状態になることが防止され、プラグ10はソケット20から円滑に外れる。
第2実施形態の安全継手100-1におけるその他の構成及び作用効果は
図1~
図3の第1実施形態の安全継手100と同様である。
【0033】
次に
図8~
図12を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図8~
図12の第3実施形態の安全継手100-2は、第1実施形態の安全継手100、第2実施形態の安全継手100-1とは、支持部材(ロッド支持部材)の構成が異なっている。以下の第3実施形態の説明においては、第1実施形態、第2実施形態と異なる部分を主として説明する。
プラグ10とソケット20が接続している状態を示す
図8において、ソケット20は、ソケット側弁体25、ソケット側スプリング23、ソケット側ロッド22に加え、ソケット側ロッド22を支持(載置)している支持部材28を含んでおり、プラグ10とソケット20の接続が解除された場合にソケット側遮断弁24を直ちに遮断する様に構成されている。そして支持部材28は、プラグ10がソケット20から外れる際にプラグ10と共に移動(動作)して、ソケット側ロッド22を支持しない(載置しない)状態に変動し、以て、ソケット側遮断弁24を遮断する様に構成されている。
【0034】
支持部材28を拡大して示す
図9において、ボール29に隣接して配置される支持部材28(ロッド支持部材)は、円環状の部分28Aとボール29を挟み込んで保持するボール保持部分28Bを有しており、円環状部分28Aとボール保持部分28Bは一体的に構成されている。ボール保持部分28Bは円環状の部分28Aに対してプラグ10側(
図8、
図9で右側)に配置され、その内部の中空部にボール29を保持している。
ボール保持部分28Bは、プラグ側突出部材3の半径方向(
図8、
図9の上下方向)の両面(底面及び上面)にボール29の直径より小径の開口が設けられている。プラグ側突出部材3の半径方向において、ボール保持部分28Bからボール29の一部が突出しているが、ボール29全体がボール保持部分28Bから抜け出さない様に、前記小径の開口は構成されている。
図9において、プラグ側突出部材3にはボール29の一部が係合(挿入)する凹部3E(溝)が形成されている。
図8、
図9において、ソケット20にはプラグ側突出部材3が挿入される開口部21C(貫通孔)がソケット内流路21Aと直交する方向に延在して形成され、開口部21Cにおけるソケット内流路21Aよりもプラグ10側の領域には径大部21Iが形成される。
図8で示す様にプラグ10とソケット20が接続されている場合には、ソケット側ロッド22の端部が円環状の部分28Aに当接して支持(載置)されている。そのため、ソケット側弁体25は弁座21Eから離隔した状態に保持され、ソケット側遮断弁24は開放されている。プラグ10とソケット20が接続されている状態では、ボール保持部分28Bに保持されたボール29の一部は、プラグ側突出部材3の溝3E(凹部)に係合しており、ボール29における溝3Eと係合している部分と反対側(プラグ側突出部材3の半径方向で外方)の部分は、ソケット本体21の開口21Cの内壁面に当接しているので、ボール29はプラグ側突出部材3の半径方向(
図8、
図9の上下方向)より外方には移動出来ない。
【0035】
上述した様に、
図8示す様にプラグ10とソケット20が接続されている状態ではソケット側遮断弁24は開放されており、ソケット内流路21Aの水素ガス導入口21Bは、ソケット側弁体収容部21D、ソケット側ロッド収容部21G、円環状のボール収容空間21Fを介して、ソケット本体21の開口部分21Cに連通する。そして、プラグ側突出部材3に形成された孔部3Aを介して、プラグ内流路1Aに連通する。
図示第1実施形態及び第2実施形態と同様に、プラグ10とソケット20が接続されている状態ではプラグ側遮断弁5は開放されており、プラグ内流路1Aは、プラグ側突出部材3の内部空間3B及びプラグ側弁体収容部1C内の流路を介して、水素ガス出口1Bに連通する。そのため、水素ガス導入口21Bから流入した水素ガスは、水素ガス出口1Bから流出して充填ホース201(
図14参照)を流れる。
【0036】
プラグ10とソケット20が接続している状態ではボール29の一部はプラグ側突出部材3の溝3E(凹部)に係合しているので、
図10で示す様に、プラグ10とソケット20の接続が解除されプラグ10がソケット20から離隔する方向(矢印Q方向)に移動すると、ボール29と共にロッド支持部材28の円環状の部分28A及びボール保持部分28Bも矢印Q方向(
図8、
図9の右方向)に移動(右行)する。
ロッド支持部材28が矢印Q方向に移動すると、ロッド支持部材28の円環状の部分28Aに載置(支持)されていたソケット側ロッド22は、円環状の部分28Aで載置されていない状態になり、ソケット側スプリング23の弾性反発力により直ちに開口部21C側に移動(落下)する。ソケット側ロッド22が落下すると、ソケット側弁体25はソケット側スプリング23に押圧されて瞬時にソケット側弁座21Eに座着し、ソケット側遮断弁24が直ちに閉鎖される。
【0037】
換言すれば、プラグ10とソケット20が接続している状態では円環状部分28Aによって支持されているソケット側ロッド22は、プラグ10がソケット20から外れ始めるとロッド支持部材28が矢印Q方向(
図10で右方向)に移動すると、直ちに円環状部分28Aから外れて開口部21C側に落下し、そのため、プラグ10がソケット20から外れる初期段階で、瞬時にソケット側遮断弁24が閉鎖される。ソケット側遮断弁24が閉鎖することにより、ソケット20に流入した水素はソケット20外部に流出することが防止される。
そして、第1実施形態及び第2実施形態と同様なメカニズムにより、プラグ10がソケット20から外れる初期段階でプラグ側遮断弁5は瞬時に閉鎖し、水素ガスがプラグ10の外部に流出することが防止される。
そのため、
図8~
図12の第3実施形態では、プラグ10がソケット20から外れる初期段階において、ソケット側遮断弁24及びプラグ側遮断弁5が瞬時に閉鎖するので、安全継手100-2から水素ガスが流出することが防止される。
【0038】
プラグ10がソケット20から外れる初期の状態が示されている
図10において、ソケット20に対してプラグ10が矢印Q方向へ移動した結果、ボール29は径大部21Iに到達する。プラグ10が矢印Q方向へ移動することにより、ボール29は円環状部分28Aと径大部21Iの内壁面により押圧されるので、その押圧力により、径大部21Iに到達したボール29は半径方向外方(
図9、
図10では上下方向)に移動して、プラグ側突出部材3の溝3E(凹部:
図9)から外れ、径大部21I内に収容される。その際、ボール保持部分28Bは径大部21Iの前記内壁面に当接する。
ボール29が溝3E(凹部)から外れ、径大部21I内に収容される結果、ロッド支持部材28(円環状の部分28A及びボール保持部分28B)はプラグ10とは相対的に動く(プラグ10と相対移動可能になる)ので、ロッド支持部材28はプラグ10(の移動:
図10の矢印Q方向の移動)に干渉することなく、また、ボール29がプラグ10に干渉することなく、
図11、
図12で示す様に、プラグ10は矢印Q方向へ移動して、ソケット20から外れることが出来る。
【0039】
ここで、プラグ10がソケット20から抜けるのは一瞬で行われるので、
図10の状態から
図11の状態に変動するのは瞬時に行われ、
図11の状態から
図12の状態になるのも瞬時に行われる。
図11の状態では、ソケット本体21の開口部21Cにプラグ側突出部材3の先端が僅かに挿入されており、ソケット側遮断弁24から開口部21Cに至る空間に存在する水素ガスは、開口部21Cにおけるプラグ10から離隔した側(
図11、
図12の左側)の端部から放出される。そして、水素ガスが放出されるのに連行されて、
図12で示す様に、ボール29及びロッド支持部材28(円環状の部分28A、ボール保持部分28B)が、開口部21Cにおけるプラグ10から離隔した側の円環状の空間21Fに移動する。
図8~
図12の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図1~
図7の実施形態と同様である。
【0040】
図13を参照して、図示の実施形態の変形例を説明する。
図13において、ソケット本体21の開口部分21Cのプラグ10とは離隔した側(
図13では左側)にサイレンサ30(消音装置)を設けている。サイレンサ30を設けることにより、プラグ10がソケット20から抜けるときの騒音を低減している。
図13では
図8~
図12の第3実施形態にサイレンサ30を設けているが、
図1~
図3の第1実施形態、
図4~
図7の第2実施形態にサイレンサ30を設けることも出来る。
【0041】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0042】
1・・・プラグ本体
1A・・・プラグ内流路
2・・・プラグ側ロッド
3・・・プラグ側突出部材
3C・・・溝(開口、プラグ側突出部材の溝)
3D・・・溝(開口、プラグ側突出部材の溝)
3E・・・凹部(溝、プラグ側突出部材の凹部)
4・・・プラグ側スプリング(弾性部材)
5・・・プラグ側遮断弁
6・・・プラグ側弁体
10・・・プラグ(ノズル側部材)
20・・・ソケット(充填装置側部材)
21・・・ソケット本体
21A・・・ソケット内流路
21C・・・開口部(貫通孔)
21H、21I・・・径大部
22・・・ソケット側ロッド(棒状部材)
23・・・ソケット側スプリング(弾性部材)
24・・・ソケット側遮断弁
25・・・ソケット側弁体
26、27、28・・・ロッド支持部材
26A・・・突起
26B・・・切欠部
26C・・・平坦部分
26D・・・円板状部材
27A・・・突起
27B・・・平坦部
27C・・・テーパー部(傾斜部)
27D・・・ロッド載置部材
27E・・・傾斜部
27F・・・変形用部材
28A・・・円環状の部分
28B・・・ボール保持部分
29・・・ボール
100、100-1、100-2・・・安全継手