(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20230511BHJP
G05G 1/015 20080401ALI20230511BHJP
G05G 1/08 20060101ALI20230511BHJP
G05G 5/05 20060101ALI20230511BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20230511BHJP
F16H 61/28 20060101ALI20230511BHJP
B60K 20/06 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B60K20/02 E
G05G1/015 A
G05G1/08 A
G05G5/05
G05G5/03 B
B60K20/02 G
F16H61/28
B60K20/06
(21)【出願番号】P 2019074993
(22)【出願日】2019-04-10
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰典
(72)【発明者】
【氏名】恩澤 達矢
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156153(JP,A)
【文献】特開2014-031826(JP,A)
【文献】特表2018-527242(JP,A)
【文献】特表2016-537232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
G05G 1/015
G05G 1/08
G05G 5/05
G05G 5/03
F16H 61/28
B60K 20/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
駆動機構によって一側に移動される際に前記シフト体と係合されて前記シフト体が
所定シフト位置に移動された後に
前記駆動機構によって一側に移動されて前記シフト体との係合が解除される移動体と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記シフト体と前記移動体とが付勢力により係合される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記シフト体の移動が停止されて前記シフト体と前記移動体との係合が解除される請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記移動体が回転される請求項1~請求項3の何れか1項記載のシフト装置。
【請求項5】
前記シフト体をシフト位置側に付勢すると共に、付勢力により前記シフト体と前記移動体とが係合される付勢機構を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載のシフト装置。
【請求項6】
前記付勢機構の付勢力により前記シフト体と前記移動体とが係合されて前記付勢機構の付勢力が低下される請求項5記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されてシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフト装置では、調整リングが初期位置から逆回転される際に、調整リングのノーズが操作要素のストッパ要素に係合されて、操作要素が逆回転される。
【0003】
ここで、このシフト装置では、操作要素が逆回転された後に、調整リングが正回転されることで、ノーズのストッパ要素への係合が解除されて、調整リングが初期位置に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、移動体が一側に移動される際にシフト体と移動体とが係合できると共にシフト体と移動体との係合を解除できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、一側に移動される際に前記シフト体と係合されて前記シフト体が移動された後に前記シフト体との係合が解除される移動体と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記シフト体と前記移動体とが付勢力により係合される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記シフト体の移動が停止されて前記シフト体と前記移動体との係合が解除される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記移動体が回転される。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記シフト体をシフト位置側に付勢すると共に、付勢力により前記シフト体と前記移動体とが係合される付勢機構を備える。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第5態様のシフト装置において、前記付勢機構の付勢力により前記シフト体と前記移動体とが係合されて前記付勢機構の付勢力が低下される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、シフト位置が変更される。また、移動体が一側に移動される際に、シフト体と移動体とが係合されて、シフト体が移動される。
【0013】
ここで、移動体が一側に移動される際に、シフト体と移動体とが係合された後に、シフト体と移動体との係合が解除される。このため、移動体が一側に移動される際に、シフト体と移動体とが係合できると共に、シフト体と移動体との係合を解除できる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、シフト体と移動体とが付勢力により係合される。このため、簡単な構成でシフト体と移動体とが係合できる。
【0015】
本発明の第3態様のシフト装置では、シフト体の移動が停止されて、シフト体と移動体との係合が解除される。このため、簡単な構成でシフト体と移動体との係合を解除できる。
【0016】
本発明の第4態様のシフト装置では、移動体が回転される。このため、移動体が一側に1回転されることで、移動体が他側に回転されなくても、移動体が当初の回転位置に復帰できる。
【0017】
本発明の第5態様のシフト装置では、付勢機構がシフト体をシフト位置側に付勢する。
【0018】
ここで、付勢機構の付勢力によりシフト体と移動体とが係合される。このため、簡単な構成でシフト体と移動体とが係合できる。
【0019】
本発明の第6態様のシフト装置では、付勢機構の付勢力によりシフト体と移動体とが係合されて、付勢機構の付勢力が低下される。このため、シフト体と移動体とが係合されてシフト体が移動される際に、付勢機構の付勢力によるシフト体の移動抵抗力を低下できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す後斜め上方から見た分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す左斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の主要部を示す左斜め下方から見た斜視図であり、(A)は、レバーが「D」位置に配置される際を示し、(B)は、第1ロータカムが回転される際を示し、(C)は、レバーが「P」位置に配置される際を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が後斜め上方から見た分解斜視図にて示されており、
図2には、シフト装置10が左斜め下方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の右方を矢印RHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0022】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両のステアリングコラムに設置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前斜め下方、右方及び前斜め上方に向けられている。
【0023】
図1及び
図2に示す如く、シフト装置10には、シフト体を構成する操作体としての断面円形棒状のレバー12が設けられており、レバー12の基端部12A(前端部)は、ステアリングコラムに回転可能に支持されている。レバー12の基端部12Aは、前後方向に平行に配置されており、レバー12の基端部12Aの軸方向(前後方向)及び径方向への移動は、規制されている。レバー12の先端側部分(基端部を除く部分)は、後方へ向かうに従い右側(左側でもよい)へ向かう方向に延伸されており、レバー12は、基端部12Aが中心軸線周りに回転されて、正方向(下側、図面の矢印Aの方向)及び逆方向(上側、図面の矢印Bの方向)に回動(移動)可能にされている。
【0024】
レバー12の先端部(後端部)は、車室に回動可能に延出されており、レバー12は、車両の乗員(特に運転者)により、先端部が把持された状態で、回動操作可能にされている。また、レバー12が逆方向側から正方向側に回動されることで、レバー12のシフト位置が、例えば、「P」位置(パーキング位置、所定位置)、「R」位置(リバース位置)、「N」位置(ニュートラル位置)及び「D」位置(ドライブ位置)にこの順番で変更される。さらに、レバー12の各シフト位置間の回動角度は、同一にされている。
【0025】
レバー12の基端部12Aの後端部は、被規制部としての略扇形板状の規制板40の上部に貫通されており、規制板40は、レバー12の回動(基端部12Aの回転)と一体に左右方向に回動される。規制板40の下部には、矩形状の規制孔42が複数(本実施形態では4個)貫通形成されており、複数の規制孔42は、規制板40の回動周方向に等間隔に配置されている。
【0026】
規制板40の周囲には、規制部としてのU字形枠状の規制ブロック44が配置されており、規制ブロック44の前後方向、左右方向及び上下方向への移動は、規制されている。規制ブロック44内は、下側に開放されており、規制ブロック44の左側端と右側端との間には、規制板40の下部が配置されている。レバー12が「P」位置に回動された際には、規制ブロック44の右側端に規制板40が当接されて、レバー12の逆方向への回動が規制される。さらに、レバー12が「D」位置に回動された際には、規制ブロック44の左側端に規制板40が当接されて、レバー12の正方向への回動が規制される。このため、レバー12の回動可能範囲が「P」位置から「D」位置までの範囲に規制されている。
【0027】
規制板40の下部の前側には、規制部材としての矩形柱状のブロッカ46が配置されており、ブロッカ46は、前後方向(軸方向)に移動可能にされると共に、左右方向及び上下方向への移動が規制されている。ブロッカ46には、作動機構48が機械的に接続されると共に、作動機構48は、車両の制御装置16に電気的に接続されており、制御装置16の制御により、作動機構48が作動されて、ブロッカ46が後方に移動される。レバー12が各シフト位置に配置された際には、ブロッカ46の後方に規制板40の規制孔42が配置される。このため、レバー12が各シフト位置に配置された際に、作動機構48が作動されて、ブロッカ46が後方に移動されることで、規制孔42にブロッカ46が挿入(嵌入)されて、規制板40及びレバー12の回動が規制(ロック)される。
【0028】
シフト装置10には、検出装置14が設けられており、検出装置14は、レバー12の回動位置(例えば基端部12Aの回転位置)を検出して、レバー12のシフト位置を検出する。検出装置14は、制御装置16に電気的に接続されており、制御装置16には、車両の自動変速機18(変速機)が電気的に接続されている。レバー12が回動操作されて、レバー12のシフト位置が変更された際(レバー12のシフト位置の変更を検出装置14が検出した際)には、制御装置16の制御により、自動変速機18のシフトレンジがレバー12のシフト位置に対応するシフトレンジに変更される。
【0029】
レバー12の基端部12Aは、シフト体を構成する連絡体としての略円筒状の連絡筒20内に同軸上に挿通されており、連絡筒20は、レバー12の基端部12Aに固定されて、レバー12の基端部12Aと一体回転可能にされている。連絡筒20の径方向内側には、略円筒状の内筒20Aが設けられると共に、連絡筒20の径方向外側には、略円筒状の外筒20Bが設けられており、内筒20Aと外筒20Bとは、同軸上に配置されると共に、周方向の所定位置において一体回転可能に連結されている。
【0030】
連絡筒20の前側には、付勢機構としての節度機構22が設けられている。
【0031】
節度機構22には、保持体としての略矩形板状の節度板24が設けられており、節度板24は、レバー12の基端部12Aが同軸上に回転可能に貫通すると共に、前後方向、左右方向及び上下方向への移動が規制されている。節度板24の後面には、付勢部としての断面略三角形状の付勢凹部24Aが複数形成されており、付勢凹部24Aは、節度板24の径方向(レバー12の基端部12Aの径方向)に延伸されている。複数の付勢凹部24Aは、節度板24の周方向に等間隔に配置されており、各付勢凹部24Aの配置間隔角度は、レバー12の各シフト位置間の回動角度と同一にされている。
【0032】
節度板24の後側には、付勢体としての略円環板状の付勢板26が設けられており、付勢板26内には、レバー12の基端部12Aが同軸上に貫通されている。付勢板26の後面には、略円筒状の付勢筒26Aが同軸上に一体形成されており、付勢筒26Aは、連絡筒20の内筒20Aと外筒20Bとの間に同軸上に挿入されている。付勢板26の径方向への移動は、連絡筒20によって規制されており、付勢板26は、連絡筒20と一体回転可能にされると共に、連絡筒20に対し前後方向(軸方向)に移動可能にされている。
【0033】
付勢板26の前面には、被付勢部としての略三角柱状の付勢凸部26Bが複数(本実施形態では6個)一体形成されており、付勢凸部26Bは、前側に突出されている。付勢凸部26Bは、付勢板26の径方向に延伸されており、複数の付勢凸部26Bは、付勢板26の周方向に等間隔に配置されている。
【0034】
付勢板26の後側には、付勢部材としての節度スプリング28(圧縮コイルスプリング)が複数(本実施形態では4個)設けられており、複数の節度スプリング28は、それぞれ連絡筒20の内筒20Aと外筒20Bとの間に挿入されると共に、連絡筒20の周方向に等間隔に配置されている。節度スプリング28は、付勢板26の付勢筒26Aに当接されており、節度スプリング28は、付勢板26を前側に付勢している。
【0035】
レバー12が各シフト位置に配置される際には、節度スプリング28の付勢力により、付勢板26の付勢凸部26Bが、節度板24の付勢凹部24Aに挿入されて、付勢板26の周方向において付勢凹部24Aに嵌合されており、これにより、付勢板26の回転位置が保持されることで、連絡筒20の回転位置が保持されて、レバー12が各シフト位置に保持される。レバー12が回動されて、レバー12のシフト位置が変更される際には、節度スプリング28の付勢力に抗して、付勢板26が後側に移動されつつ、付勢凸部26Bが付勢凹部24Aから離脱された後に、節度スプリング28の付勢力により、付勢板26が前側に移動されつつ、付勢凸部26Bが当該付勢凹部24Aに隣設される付勢凹部24Aに挿入される。
【0036】
連絡筒20の後側には、移動機構としての駆動機構30が設けられている。
【0037】
駆動機構30には、移動体としての円環板状の第1ロータカム32(ウォームホイール)が設けられており、第1ロータカム32内には、レバー12の基端部12Aが同軸上に貫通されている。第1ロータカム32は、レバー12の基端部12Aに回転可能に支持されており、第1ロータカム32の軸方向(前後方向)及び径方向への移動は、規制されている。第1ロータカム32の前面には、係合部としての断面略三角形状の凹部32Aが所定数(本実施形態では4個)形成されており、所定数の凹部32Aは、それぞれ第1ロータカム32の径方向に延伸されると共に、第1ロータカム32の周方向に等間隔に配置されている。第1ロータカム32には、所定数(本実施形態では4個)の基準回転位置(基準位置)が周方向に等間隔に設定されており、第1ロータカム32は、基準回転位置に配置されている。
【0038】
駆動機構30には、移動検出機構としての回転検出装置50が設けられており、回転検出装置50は、第1ロータカム32の回転位置を検出すると共に、制御装置16に電気的に接続されている。
【0039】
第1ロータカム32の前側には、シフト体を構成する連動体としての略円環板状の第2ロータカム34が設けられており、第2ロータカム34内には、レバー12の基端部12Aが同軸上に貫通されている。第2ロータカム34の前面には、略円筒状の連動筒34Aが同軸上に一体形成されており、連動筒34Aは、連絡筒20の内筒20Aと外筒20Bとの間に同軸上に挿入されている。第2ロータカム34の径方向への移動は、連絡筒20によって規制されており、第2ロータカム34は、連絡筒20と一体回転可能にされると共に、連絡筒20に対し前後方向(軸方向)に移動可能にされている。
【0040】
第2ロータカム34の後面には、被係合部としての略三角柱状の凸部34Bが所定数(本実施形態では4個)一体形成されており、凸部34Bは、後側に突出されている。凸部34Bは、第2ロータカム34の径方向に延伸されており、所定数の凸部34Bは、第2ロータカム34の周方向に等間隔に配置されている。
【0041】
第2ロータカム34の連動筒34Aには、節度機構22の節度スプリング28が当接されており、節度スプリング28は、第2ロータカム34を後側に付勢して、第2ロータカム34の凸部34Bを第1ロータカム32の前面に当接させている。レバー12が「P」位置から「D」位置までの範囲で回動操作される際には、凸部34Bが第1ロータカム32の前面における凹部32A間の範囲で回転される(
図3の(A)及び(C)参照)。
【0042】
第1ロータカム32には、伝達部材としてのウォーム36が噛合されており、ウォーム36は、第1ロータカム32の回転を規制している。ウォーム36には、駆動装置としてのモータ38が機械的に接続されており、モータ38は、制御装置16に電気的に接続されている。モータ38は、制御装置16の制御により駆動可能にされており、モータ38が駆動されることで、ウォーム36が回転されて、第1ロータカム32が回転される。
【0043】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0044】
以上の構成のシフト装置10では、レバー12が正方向及び逆方向に回動操作されて、レバー12のシフト位置が変更される際に、レバー12の基端部12Aと一体に連絡筒20が回転される。このため、節度機構22において、連絡筒20と一体に付勢板26が回転されることで、節度スプリング28の付勢力に抗して付勢板26の付勢凸部26Bが節度板24の付勢凹部24Aから離脱された後に、節度スプリング28の付勢力により付勢凸部26Bが当該付勢凹部24Aに隣設される付勢凹部24Aに挿入される。これにより、レバー12の回動操作に回動抵抗力が作用された後に回動補助力が作用されて、レバー12の回動操作に節度感が作用される。また、制御装置16の制御により、自動変速機18のシフトレンジがレバー12のシフト位置に対応するシフトレンジに変更される。
【0045】
ところで、レバー12が「P」位置以外の位置(例えば「D」位置)に配置された際における所定の機会(例えば車両のエンジンが停止された場合)には、制御装置16の制御により自動変速機18のシフトレンジが自動的に「P」レンジ(パーキングレンジ)に変更される。
【0046】
レバー12が「P」位置以外の位置に配置された際における所定の機会(
図3(A)参照)には、駆動機構30において、制御装置16の制御によりモータ38が駆動されて、ウォーム36が回転されることで、第1ロータカム32が基準回転位置から逆方向に回転されて、節度スプリング28の付勢力により第1ロータカム32の凹部32Aに第2ロータカム34の凸部34Bが挿入(係合)される(
図3(B)参照)。また、凹部32Aと凸部34Bとの係合力は、付勢板26の付勢凸部26Bと節度板24の付勢凹部24Aとの係合力に比し大きくされる。このため、付勢凸部26Bが付勢凹部24Aに対し節度スプリング28の付勢力に抗して離脱及び節度スプリング28の付勢力により挿入されつつ、第1ロータカム32により第2ロータカム34、連絡筒20、付勢板26及びレバー12の基端部12Aが逆方向に回転されることで、レバー12が「P」位置に回動されて、レバー12のシフト位置が自動変速機18のシフトレンジに対応される。
【0047】
さらに、レバー12が「P」位置に回動された際には、レバー12の規制板40が規制ブロック44の右側端に当接されて、レバー12の逆方向への回動が規制される(レバー12が「P」位置に停止される)ことで、第2ロータカム34の逆方向への回転が規制されて、節度スプリング28の付勢力に抗して第1ロータカム32の凹部32Aから第2ロータカム34の凸部34Bが離脱(係合解除)される。そして、第1ロータカム32が次の逆方向側の基準回転位置に回転された際には、制御装置16の制御によりモータ38の駆動が停止されて、第1ロータカム32が当該基準回転位置に停止される(
図3(C)参照)。
【0048】
また、車両が自動運転(例えば自動駐車)される際には、制御装置16の制御により自動変速機18のシフトレンジが自動的に変更されて、レバー12のシフト位置が自動変速機18のシフトレンジに対応しなくなる。
【0049】
車両が自動運転される際において、レバー12のシフト位置が自動変速機18のシフトレンジに対応しない場合には、駆動機構30において、制御装置16の制御によりモータ38が駆動されて、ウォーム36が回転されることで、第1ロータカム32が基準回転位置から一方向(正方向及び逆方向の一方)に回転されて、節度スプリング28の付勢力により第1ロータカム32の凹部32Aに第2ロータカム34の凸部34Bが挿入される。このため、付勢板26の付勢凸部26Bが節度板24の付勢凹部24Aに対し節度スプリング28の付勢力に抗して離脱及び節度スプリング28の付勢力により挿入されつつ、第1ロータカム32により第2ロータカム34、連絡筒20、付勢板26及びレバー12の基端部12Aが一方向に回転されることで、レバー12が一方向に回動されて、レバー12のシフト位置が自動変速機18のシフトレンジに対応される。
【0050】
レバー12のシフト位置が自動変速機18のシフトレンジに対応された際(瞬間)には、制御装置16の制御により作動機構48が作動されて、ブロッカ46が後方に移動されることで、レバー12の規制板40の規制孔42にブロッカ46が挿入されて、規制板40及びレバー12の回動が規制される(レバー12が当該シフト位置に停止される)。このため、第2ロータカム34の一方向への回転が規制されて、節度スプリング28の付勢力に抗して第1ロータカム32の凹部32Aから第2ロータカム34の凸部34Bが離脱される。そして、第1ロータカム32が次の一方向側の基準回転位置に回転された際には、制御装置16の制御によりモータ38の駆動が停止されて、第1ロータカム32が当該基準回転位置に停止される。
【0051】
また、上述の如く第1ロータカム32の凹部32Aから第2ロータカム34の凸部34Bが離脱された直後には、制御装置16の制御により作動機構48の作動が解除されて、ブロッカ46が前方に移動されることで、レバー12の規制板40の規制孔42からブロッカ46が離脱されて、規制板40及びレバー12の回動が許可される。その後、レバー12が回動操作された際には、制御装置16の制御により車両の自動運転が強制終了される。
【0052】
ここで、上述の如く、第1ロータカム32が一方向(一側)に回転される際には、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが係合されて、レバー12が所定シフト位置に回動された後に、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとの係合が解除される。このため、第1ロータカム32が一方向に回転される際に、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが係合できるのみならず、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとの係合を解除できる。これにより、レバー12が所定シフト位置に回動された後に、第1ロータカム32を他方向(正方向及び逆方向の他方、他側)に回転させて、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとの係合を解除することで、第1ロータカム32を元の基準回転位置に回転(復帰)させる必要をなくすことができ、駆動機構30の作動時間(モータ38の駆動時間)を低減できる。
【0053】
また、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが付勢力により係合される。このため、簡単な構成で第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが係合できる。
【0054】
しかも、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが節度スプリング28の付勢力により係合される。このため、一層簡単な構成で第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが係合できる。
【0055】
さらに、レバー12の一方向への回動が規制されて、節度スプリング28の付勢力に抗して第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとの係合が解除される。このため、簡単な構成で第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとの係合を解除できる。
【0056】
また、第1ロータカム32が回転される。このため、第1ロータカム32が一方向に1回転されることで、第1ロータカム32が他方向に回転されなくても、第1ロータカム32が当初の回転位置に復帰できる。これにより、第1ロータカム32の当初の回転位置からの一方向への回転量が1回転を超える場合でも、第1ロータカム32が一方向に回転される際に、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとを係合及び係合解除できる。
【0057】
さらに、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが係合されて、レバー12が回動される際において、レバー12に外力が作用された場合には、節度スプリング28の付勢力に抗して第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとの係合が解除されて、第1ロータカム32とレバー12との連絡が解除される。このため、第1ロータカム32とレバー12との連絡が解除されずに駆動機構30(例えばウォーム36又は第1ロータカム32)が損傷することを抑制できる。
【0058】
また、第1ロータカム32の凹部32Aと第2ロータカム34の凸部34Bとが節度スプリング28の付勢力により係合される際には、凹部32Aへの凸部34Bの挿入により第2ロータカム34が後側に移動されて、節度スプリング28の付勢力が低下される。このため、凹部32Aと凸部34Bとが係合されてレバー12が回動される際において、節度スプリング28の付勢力により付勢板26の付勢凸部26Bが節度板24の付勢凹部24Aに挿入される際に発生する音を低減できる。さらに、節度スプリング28の付勢力に抗する付勢凸部26Bの付勢凹部24Aからの離脱力(付勢板26の回転抵抗力)を低下させることができ、駆動機構30において、モータ38の駆動力を小さくできてモータ38を小型化でき、また、モータ38から第1ロータカム32への減速比を小さくできてモータ38から第1ロータカム32への減速機構(例えばウォーム36及び第1ロータカム32)を小型化できる。
【0059】
なお、本実施形態では、節度板24に付勢凹部24Aが設けられると共に、付勢板26に付勢凸部26Bが設けられる。しかしながら、節度板24に付勢凸部26Bが設けられると共に、付勢板26に付勢凹部24Aが設けられてもよい。
【0060】
さらに、本実施形態では、第1ロータカム32に凹部32Aが設けられると共に、第2ロータカム34に凸部34Bが設けられる。しかしながら、第1ロータカム32に凸部34Bが設けられると共に、第2ロータカム34に凹部32Aが設けられてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、第1ロータカム32(移動体)が回転される。しかしながら、移動体が回動又はスライドされてもよい。
【0062】
さらに、本実施形態では、レバー12(操作体)が回動される。しかしながら、操作体がスライド又は中心軸線周りに回転されてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、シフト装置10がステアリングコラムに設置される。しかしながら、シフト装置10がインストルメントパネル又はコンソールに設置されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10・・・シフト装置、12・・・レバー(シフト体)、20・・・連絡筒(シフト体)、22・・・節度機構(付勢機構)、32・・・第1ロータカム(移動体)、34・・・第2ロータカム(シフト体)