(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
B63C 11/00 20060101AFI20230511BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B63C11/00 F
B63C11/48 Z
(21)【出願番号】P 2019195718
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】300062821
【氏名又は名称】パシフィックソフトウエア開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】中谷 正彦
(72)【発明者】
【氏名】中城 一明
(72)【発明者】
【氏名】保木 峰夫
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-139711(JP,A)
【文献】実開昭61-179194(JP,U)
【文献】実開昭51-073500(JP,U)
【文献】登録実用新案第3179186(JP,U)
【文献】実開平06-042598(JP,U)
【文献】特開平09-243435(JP,A)
【文献】実開昭53-017099(JP,U)
【文献】特開平11-223671(JP,A)
【文献】実開昭58-086798(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107697242(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/00,11/34-11/44,11/48
B66B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降レールに沿って昇降する昇降装置であって、
昇降装置本体と、
前記昇降装置本体の下方に配設され、前記昇降レールの前面側において、該前面と接触する下方接触プレートと、
前記昇降装置本体の上方に配設され、前記昇降レールの背面側において、該背面と接触する接触ピンと、
前記昇降装置本体の下方に配設され、前記昇降レールの背面側において、該背面の下端部に配設された傾斜板に沿って摺動する背面プレートと、
前記昇降レールの前面側において、前記昇降装置本体の上方にピン接合される回動アームと、
前記回動アームに連結されるクランク部材と、
を含んでなり、
前記回動アームの後端側が第1回動ピンによって前記昇降装置本体に回動自在にピン接合され、前記回動アームの前端側に第2回動ピンによって前記クランク部材が回動自在にピン接合され、前記回動アームの前端に第1ウエイトを備え、
前記クランク部材において、前記回動アームが前記第2回動ピンによってピン接合された位置から一方に延びる第1アームの端部に昇降手段連結部を備え、該ピン接合された位置から他方に延びる第2アームにロックピンが配設され、該第2アームの端部に第2ウエイトが配設され、
前記昇降装置本体の上方における前記第1回動ピンの配設位置の下方に、前記ロックピンが係合される係合部を備えることを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記昇降レールがH形鋼に係る外側フランジからなり、該外側フランジを前記回動アームと前記接触ピン、前記下方接触プレートと前記背面プレートとでそれぞれ挟み込むように取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の状態を把握する各種センサを水中に配置するために好適な昇降装置に関し、特に、水中における各種センサを容易且つ安定的にロックすることができる昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本願出願人は、
図4~
図6に示すような昇降装置20によって各種センサを水中に配置していた。具体的には
図4(a)に示すように、センサ11を取り付けた昇降装置20を、同図に示すように船体等の外板12に設置したH形鋼から成る昇降レール13に取り付け、ウインチ14などの昇降手段によってセンサ11を水中に配置していた(
図4(b)参照)。
【0003】
そして、センサ11を水中に配置した際に、昇降装置20をウエイトによって昇降レール13の下端部にロックしていた。より具体的には、まず昇降装置20は、その上方に、H形鋼から成る昇降レール13に係る外側フランジ15の前面15a側(外側)と接触する上方接触プレート21を備え、下方にも昇降レール13に係る外側フランジ15の前面15a側(外側)と接触する下方接触プレート22を備える。また、昇降レール13に係る外側フランジ15を挟み込むように、外側フランジ15の背面15b側には背面プレート23を備える。
【0004】
更に、昇降装置20の上方には、一端側が回動ピン24によって回動自在にピン接合され、他端側にウエイト25が配設された回動アーム26を備えるとともに、回動ピン24は、昇降レール13に係る外側フランジ15の背面15b側に位置されている。また、回動ピン24の近傍には、回動アーム26が回動ピン24を回動軸として下方に回動した際に、昇降レール13に係る外側フランジ15の背面15b側と接触し、上方に回動した際に、背面接触部27とする接触ピン28が配設されている。そして、回動アーム26の中間部に昇降手段連結部29が配設され、この昇降手段連結部29にウインチ14に巻着されたワイヤ30が連結されている。
【0005】
以上の構成を備える従来のロック機構によると、昇降装置20を水中に向けて下ろしていく際は、
図4(a)に示すように、ワイヤ30によって昇降装置20が吊り下げられた状態となる。つまり、昇降手段連結部29を介して回動アーム26は上方に回動し、接触ピン28が背面接触部27に接触してその回動が規制された状態で、昇降装置20は昇降レール13の下端部まで下ろされていく。
【0006】
昇降装置20が昇降レール13の下端部に到達すると、
図5に示すように、昇降装置20に係る背面プレート23の下端が、昇降レール13に係る外側フランジ15の背面15b側の下端部に備える傾斜板16に沿って外側フランジ15の背面15b側へ移動することによって、昇降装置20に係る下方接触プレート22が外側フランジ15の前面15a側に接触する。
【0007】
そして、更にワイヤ30を送り出していくと、
図6に示すように、ウエイト26によって回動アーム26が回動ピン24を回動軸として下方へ回動していく。この回動アーム26の回動に伴って、接触ピン28が昇降レール13に係る外側フランジ15の背面15b側を押圧していき、最終的には昇降装置20に係る上方接触プレート21が昇降レール13に係る外側フランジ15の前面15a側と接触し、昇降レール13に係る外側フランジ15を上方接触プレート21と接触ピン28とで挟み込んだ状態で昇降装置20がロックされる。
【0008】
以上のようなロック機構を備える従来の昇降装置20によると、ワイヤ30を下ろすだけで昇降装置20を昇降レール13の下端部で簡単にロックすることができるとともに、ワイヤ30を巻き上げるだけで簡単にロックを解除することができる。
【0009】
また、従来から様々な構成を備えた昇降装置が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。特許文献1には、船舶の船底から音波を発信及び/または受信する送受波器を必要に応じ船底面より下方に突出させたり船底面内に格納させたりする送受波器の昇降装置において、前記送受波器を昇降せしめる昇降シャフトの前記送受波器の上部に、前記送受波器の外径寸法と同等またはそれ以下の外形寸法を有する水中翼を進行方向に向けて設けたことを特徴とする船舶の送受波器昇降装置が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、少なくとも3本のガイド棒により支持されて上下方向に所要の間隔で配置された一対のフレームを有する固定枠体と、該固定枠体の前記各ガイド棒にスライド可能に設けられた上部フレームに少なくとも3本のガイド棒により所要の間隔で配置された下部フレームを有する可動枠体と、該可動枠体の前記各ガイド棒にスライド可能に設けられた超音波センサー支持フレームと、該超音波センサー支持フレームに固定された超音波センサーと、前記固定枠体の近傍に設けられたロープの巻取り及び巻戻し兼用のロープ用ドラムと、該ロープ用ドラムに巻取り及び巻戻し可能に巻回されて、前記固定枠体の上部フレームと前記可動枠体の下部フレームと上部フレームとにそれぞれ設けられた滑車を介してその一端が前記超音波センサー支持フレームに固定された超音波センサー上昇用ロープと、前記ロープ用ドラムに前記超音波センサー上昇用ロープと逆向きに巻戻し及び巻取り可能に巻回されて、前記固定枠体の下部フレームと前記可動枠体の上部フレームと下部フレームとにそれぞれ設けられた滑車を介してその一端が前記超音波センサーの支持フレームに固定された超音波センサー下降用ロープとを備えた超音波センサーの昇降装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実開平6-42598号公報
【文献】特開平9-243435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1や特許文献2に開示された昇降装置は、センサが取り付けられた状態で予め船底などに設置されており、昇降シャフトやガイド棒を介してセンサ自体もしっかりと固定されているため、水中において波の影響を受けることは殆どないものと思料する。しかし、センサを使用するときにのみ昇降装置に取り付ける着脱式とは異なるため、センサの種類を交換する際には手間が掛かるとともに、船舶等への昇降装置の設置も特殊な取付作業が必要となり、設置コストも掛かる。
【0013】
一方、
図4~
図6に示した昇降装置20によると、センサ11が昇降レール13に対して着脱式に構成されているため、センサ11を使用したい場合にのみセンサ11を昇降装置10に取り付けて昇降レール13に沿って水中へ投入することが可能である。また、ロック機構も含めて全体構成が非常に単純であるため、特殊な取付作業やロック操作も不要で低コスト化が図られる。
【0014】
しかし、センサ11を取り付けた昇降装置20が水中において波の影響を受けたり、船が大きく揺れたりすると、ウエイト26が浮き上がって昇降装置20のロック状態が解除され、昇降装置20が上方に移動してしまう場合があった。また、昇降装置20を下降させる際、重心の影響で昇降装置20の上方が前方(外側方向)に傾いた状態となる。従って、昇降装置20を昇降レール13の下端部でロックする際には、ロック機構が昇降装置20の後方(昇降レール13に係る外側フランジ15の背面15b側)に配設されているため、傾いた状態の昇降装置20を昇降レール13に沿って垂直状態に戻す必要があり、そのためには大きなウエイト26を必要としていた。更に、ウエイト26が大きくなると、波の影響等は少なくなるが、昇降レール13への昇降装置20の取り付け作業や昇降装置20の昇降作業に非常に労力を要することとなる。
【0015】
そこで本願発明者らは、上記の問題点に鑑み、センサを水中に配置してロックするに当たって、ウエイトをできるだけ軽くするとともに、波や船の揺れの影響を受けにくい昇降装置を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
即ち、本発明は、昇降レールに沿って昇降する昇降装置であって、昇降装置本体と、前記昇降装置本体の下方に配設され、前記昇降レールの前面側において、該前面と接触する下方接触プレートと、前記昇降装置本体の上方に配設され、前記昇降レールの背面側において、該背面と接触する接触ピンと、前記昇降装置本体の下方に配設され、前記昇降レールの背面側において、該背面の下端部に配設された傾斜板に沿って摺動する背面プレートと、前記昇降レールの前面側において、前記昇降装置本体の上方にピン接合される回動アームと、前記回動アームに連結されるクランク部材と、を含んでなり、前記回動アームの後端側が第1回動ピンによって前記昇降装置本体に回動自在にピン接合され、前記回動アームの前端側に第2回動ピンによって前記クランク部材が回動自在にピン接合され、前記回動アームの前端に第1ウエイトを備え、前記クランク部材において、前記回動アームが前記回動ピンによってピン接合された位置から一方に延びる第1アームの端部に昇降手段連結部を備え、該ピン接合された位置から他方に延びる第2アームにロックピンが配設され、該第2アームの端部に第2ウエイトが配設され、前記昇降装置本体の上方における前記第1回動ピンの配設位置の下方に、前記ロックピンが係合される係合部を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の昇降装置において、前記昇降レールがH形鋼に係る外側フランジからなり、該外側フランジを前記回動アームと前記接触ピン、前記下方接触プレートと前記背面プレートとでそれぞれ挟み込むように取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の昇降装置によると、センサを水中に配置してロックするに当たって、ウエイトをできるだけ軽くするとともに、波や船の揺れの影響を受けにくい昇降装置を提供することができる。特に、クランク部材に配設したロックピンが係合部に係合することによって、波や船の揺れが昇降装置に影響を及ぼすことが殆どなく、昇降装置の位置ズレを防止することができる。
【0019】
また、昇降装置が昇降レールの下端部に到達すると、回動アームが備える第1ウエイトとクランク部材が備える第2ウエイトとの自重によって、昇降装置を容易かつ安定的にロックすることができる。
【0020】
更に、本発明の昇降装置において、昇降レールがH形鋼に係る外側フランジからなり、回動アームと接触ピン、下方接触プレートと背面プレートとで外側フランジをそれぞれ挟み込むようにして昇降装置を取り付けることによって、昇降装置に係る昇降装置本体の上方及び下方をそれぞれ昇降レールにしっかりと固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の昇降装置の一実施形態を含むセンサの設置状態の全体構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した昇降装置におけるロック解除状態を示す側面図である。
【
図3】
図1に示した昇降装置におけるロック状態を示す側面図である。
【
図4】従来の昇降装置の一例を含む全体構成を示す側面図である。
【
図5】従来の昇降装置におけるロック解除状態を示す側面図である。
【
図6】従来の昇降装置におけるロック状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る昇降装置1を含むセンサ11の設置状態の全体構成を示す図であって、(a)は昇降装置1に取り付けたセンサ11を昇降レール13に沿って昇降させている状態を示す側面図、(b)は昇降装置1を昇降レール13の下端部に配設してセンサ11を水中に設置した状態を示す側面図である。また、
図2は昇降装置1が昇降レール13の下端部においてロックが解除されている状態を示す側面図、
図3は昇降装置1が昇降レール13の下端部においてロックされている状態を示す側面図である。
【0023】
これらの図に示すように、センサ11を水中に設置する場合は、まず昇降装置1にセンサ11を取り付け、このセンサ11が取り付けられた昇降装置1を船体の外板12に設置した昇降レール13に取り付ける。そして、昇降装置1をウインチ14などの昇降手段により昇降レール13に沿って降下させることによってセンサ11を水中に設置することができる。なお、本実施形態では昇降レール13を船体の外板12に設置しているが、昇降レール13が設置される場所は船体の外板12に限定されず、センサ11を設置したい所定の場所に予め設置される。
【0024】
また、昇降レール13の態様は特に限定されないが、H形鋼やI形鋼等の形鋼を適用することによって、容易かつ安価に昇降レール13を設置することができる。特に、H形鋼に係る外側フランジを昇降レール13として使用することによって、昇降装置1の各部でこの外側フランジを挟み込むようにして昇降装置1を取り付けることができ、昇降装置1を容易かつ安定的に昇降させることができる。
【0025】
本発明の一実施形態に係る昇降装置1は、昇降装置本体2と、昇降装置本体2の下方に配設され、昇降レール13の前面13a側において、この前面13aと接触する下方接触プレート3と、昇降装置本体2の上方に配設され、昇降レール13の背面13b側において、この背面13bと接触する接触ピン4と、昇降装置本体2の下方に配設され、昇降レール13の背面13b側において、この背面13bの下端部に配設された傾斜板16に沿って摺動する背面プレート5と、昇降レール13の前面13a側において、昇降装置本体2の上方にピン接合される回動アーム6と、回動アーム6に連結されるクランク部材7と、を含んでなる。
【0026】
ここで、昇降レール13にH形鋼を適用する場合、このH形鋼における外側フランジ(船体と反対側)を昇降レール13とし、この外側フランジからなる昇降レール13に係る外側を前面13a側とし、外側フランジの内側(船体側)を昇降レール13の背面13b側とする。
【0027】
この場合、昇降装置本体2の下方における昇降レール13の前面13a側に配設される下方接触プレート3は、昇降装置1の昇降移動に伴って昇降レール13の前面13a上を摺動する。
【0028】
また、昇降装置本体2の上方における昇降レール13の背面13b側に配設される接触ピン4は、昇降装置1の昇降移動に伴って昇降レール13の背面13b上を摺動する。
【0029】
そして、昇降装置本体2の下方における昇降レール13の背面13b側に配設される背面プレート5は、昇降レール13を下方接触プレート3とで挟み込むようにして配設されている。一方、昇降レール13の背面13bの下端部には、昇降レール13の外側から内側に向かって下方に傾斜した傾斜板16が配設されており、昇降装置1が昇降レール13の下端部に到達した際に、背面プレート5の下端部が傾斜板16上を摺動することとなる。
【0030】
更に、昇降装置本体2の上方における昇降レール13の前面13a側に配設される回動アーム6は、昇降レール13を接触ピン4とで挟み込むようにして、第1回動ピン8によるピン接合によって配設されている。
【0031】
そして、この回動アーム6にクランク部材7が連結されている。より具体的には、回動アーム6の後端6a側が、昇降装置本体2の上方における昇降レール13の前面13a側に、第1回動ピン8によって回動自在にピン接合されている。一方、回動アーム6の前端6b側には、第2回動ピン9によってクランク部材7が回動自在にピン接合されており、更に回動アーム6の前端6bに第1ウエイト10が配設されている。
【0032】
回動アーム6の前端6b側に第2回動ピン9によって回動自在にピン接合されているクランク部材7において、第2回動ピン9によって回動アーム6とピン接合されている位置から一方に延びる第1アーム7aの端部には昇降手段連結部19を備え、ウインチ14(昇降手段)に巻着されたワイヤ30が連結される。また、第2回動ピン9によって回動アーム6とピン接合されている位置から他方に延びる第2アーム7bにはロックピン17が配設され、第2アーム7bの端部に第2ウエイト18が配設されている。
【0033】
そして、昇降装置本体2の上方における昇降レール13の前面13a側に配設された第1回動ピン8の下方には、第2アーム7bに配設されたロックピン17が係合される係合部15を備えている。
【0034】
以上の構成を備える本実施形態の昇降装置1によると、以下のようにして昇降レール13の下端部において容易かつ安定的に昇降装置1をロックすることができる。具体的には、
図1(a)に示すように、センサ11を取り付けた昇降装置1を昇降レール13に取り付け、昇降装置1をウインチ14などの昇降手段により昇降レール13に沿って降下させる。このとき、昇降装置1に係る昇降装置本体2に配設された下方接触プレート3は昇降レール13の前面13a上を摺動し、昇降装置本体2に配設された接触ピン4は昇降レール13の背面13b上を摺動しながら降下していく。
【0035】
図2に示すように、昇降装置1が昇降レール13の下端部に到達すると、昇降装置1に係る昇降装置本体2に配設された背面プレート5の下端部が、昇降レール13の背面13bの下端部に配設された傾斜板16上を摺動することによって、昇降装置1自体が船体側へ引き寄せられ、下方接触プレート3は昇降レール13の前面13aに密着し、昇降装置本体2の下方側が昇降レール13にしっかりと固定される。
【0036】
この状態から更にウインチ14に巻着されたワイヤ30を送り出すと、回動アーム6が備える第1ウエイトの自重によって、第2回動ピン9によって回動アーム6に連結されているクランク部材7が下方へ移動するとともに、回動アーム6が第1回動ピン8を回動軸として回動する。そして、回動アーム6の後端6aが昇降レール13の前面13aに当接して回動アーム6の回動が制止されるとともに、昇降レール13の背面13b側に配設されている接触ピン4が背面13b方向に引き寄せられて背面13bに密着し、昇降装置本体2の上方側も昇降レール13にしっかりと固定される。
【0037】
この状態から更にウインチ14に巻着されたワイヤ30を送り出すと、クランク部材7が備える第2ウエイトの自重によって、クランク部材7が第2回動ピン9を回動軸として回動し、最終的にクランク部材7に係る第2アーム7bに配設されたロックピン17が、昇降装置1に係る昇降装置本体2に配設された係合部15に係合することによって、
図3に示すように、昇降装置1が昇降レール13の下端部においてロックされる。
【0038】
以上のように、本実施形態の昇降装置1によると、昇降装置1が昇降レール13の下端部に到達すると、第1ウエイト及び第2ウエイトの自重によって容易かつ安定的に昇降装置1をロックすることができる。
【0039】
また、本実施形態の昇降装置1の構成によると、クランク部材に配設したロックピンが係合部に係合することによって、波や船の揺れが昇降装置1に影響を及ぼすことが殆どなく、昇降装置1の位置ズレを防止することができる。従って、第1ウエイト及び第2ウエイトもできるだけ軽くすることが可能となり、昇降装置1の昇降作業の負担軽減を図ることができる。
【0040】
更に、本実施形態において、昇降レール13にH形鋼に係る外側フランジを適用し、回動アーム6と接触ピン4、下方接触プレート3と背面プレート5とで外側フランジをそれぞれ挟み込むようにして昇降装置1を取り付けることによって、昇降装置1に係る昇降装置本体2の上方及び下方をそれぞれ昇降レール13にしっかりと固定することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0042】
1:昇降装置
2:昇降装置本体
3:下方接触プレート
4:接触ピン
5:背面プレート
6:回動アーム
7:クランク部材
7a:第1アーム
7b:第2アーム
8:第1回動ピン
9:第2回動ピン
10:第1ウエイト
11:センサ
12:外板
13:昇降レール
14:ウインチ
15:係合部
16:傾斜板
17:ロックピン
18:第2ウエイト
19:昇降手段連結部