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特許7276789海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/40 20060101AFI20230511BHJP
   G01M 13/00 20190101ALI20230511BHJP
   E02D 1/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G01N3/40 B
G01M13/00
E02D1/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022180815
(22)【出願日】2022-11-11
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】202210823187.X
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520448452
【氏名又は名称】浙大城市学院
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】胡 成宝
(72)【発明者】
【氏名】李 冰
(72)【発明者】
【氏名】魏 綱
(72)【発明者】
【氏名】蒋 吉清
(72)【発明者】
【氏名】呉 熙
(72)【発明者】
【氏名】丁 智
(72)【発明者】
【氏名】陳 斌
(72)【発明者】
【氏名】余 剣英
(72)【発明者】
【氏名】蘇 淑銘
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113916663(CN,A)
【文献】中国実用新案第214794180(CN,U)
【文献】中国実用新案第212568249(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113686666(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111948046(CN,A)
【文献】特開2003-139673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/40
G01M 13/00
E02D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法であって、この試験装置は、支持フレームと、前記支持フレームに取り付けられる巻上げ機と、前記巻上げ機の下方に位置する引き上げプレートと、前記巻上げ機と前記引き上げプレートとを接続する上吊りロープと、前記上吊りロープに取り付けられる力測定機構と、前記引き上げプレートの下方に設けられる二つのアンカープレート機構と、二本の下吊りロープとを含み、前記下吊りロープと前記アンカープレート機構はいずれも前記上吊りロープの両側に位置し、且つ一対一に対応して設置され、前記アンカープレート機構は、模型箱と、前記模型箱内に充填される原土と、前記原土内に埋設されるアンカープレートと、プーリアセンブリとを含み、前記模型箱内に、前記引き上げプレートに近い近側壁を有し、前記近側壁に縦方向スリットが設けられ、前記プーリアセンブリは、前記縦方向スリットに対応して前記近側壁に摺動可能に取り付けられ、前記プーリアセンブリは、固定プーリを含み、各前記下吊りロープの一端は、引き上げプレートに接続され、他端は、対応する前記アンカープレート機構のアンカープレートに接続され、
前記下吊りロープは、第一の状態と第二の状態を有し、前記下吊りロープが第一の状態にある時、前記下吊りロープの前記引き上げプレートから離れる端は、模型箱の頂部開口を貫通して前記アンカープレートに接続され、前記下吊りロープが第二の状態にある時、前記下吊りロープの前記引き上げプレートから離れる端は、前記プーリアセンブリを迂回して前記縦方向スリットを貫通した後に、前記アンカープレートに接続され、
前記支持フレームは、支持トッププレートと、支持脚プレートと、支持レバーとを含み、前記支持トッププレートにロープ通し孔が設けられ、前記上吊りロープは、前記ロープ通し孔を貫通し、前記支持脚プレートは、前記支持トッププレートの下方に位置し、前記支持レバーの数は、前記支持脚プレートの数に等しく、且つ一対一に対応して設置され、各前記支持レバーの一端はいずれも前記支持トッププレートに接続され、他端はそれぞれ対応する前記支持脚プレートに接続され、
前記上吊りロープの中心線と二つの前記下吊りロープの中心線は同一の平面に位置して設置され、
前記近側壁にサイドカメラとレーザー変位センサが設置され、ここで、前記サイドカメラは、前記巻上げ機を巻き取る過程での前記原土の上面部分の変形を捕捉するために用いられ、前記レーザー変位センサは、前記巻上げ機を巻き取る過程での前記原土の上面部分の変位を捕捉するために用いられ、
前記模型箱は前壁をさらに有し、前記前壁は透明材料で製造され、前記前壁の前方に、前記原土の側部の変形を捕捉するためのフロントカメラが架設され、
前記引き上げプレートに二つの下ロープ接続点を有し、二つの前記下ロープ接続点は、前記引き上げプレートの中心線に関して対称的に設置され、二つの前記下吊りロープはそれぞれ二つの前記下ロープ接続点に接続され、
この試験装置に基づくテスト方法は、
支持フレームを試験サイトに取り付けるステップS1と、
巻上げ機を前記支持フレームに取り付けるステップS2と、
上吊りロープに力測定機構を取り付け、前記上吊りロープを介して前記引き上げプレートの中心と前記巻上げ機を接続するステップS3であって、前記引き上げプレートは二つの下ロープ接続点を有し、二つの下ロープ接続点は、前記引き上げプレートの中心線に関して対称的であるステップS3と、
二つの前記プーリアセンブリの前記固定プーリから対応する前記引き上げプレートの前記下ロープ接続点までの水平距離tcpを予め設定し、この予め設定された水平距離tcpに基づいて、前記縦方向スリットが開設され及び前記プーリアセンブリが取り付けられた二つの前記模型箱を試験サイトに置いて位置を決めるステップS4と、
対応する前記模型箱内の各前記アンカープレートの事前埋設深さh、事前引抜角度θ及び前記近側壁の内側壁までの事前埋設水平距離tsbを予め決定し、前記原土の充填高さhを予め決定し、さらに各前記アンカープレートに対応する前記近側壁の厚さt、前記固定プーリの中心から前記近側壁までの水平距離tbc、前記固定プーリの半径R、前記模型箱の上縁から前記引き上げプレートの前記下ロープ接続点までの縦方向距離h、前記模型箱の正味の高さh、及び前記固定プーリの中心から前記模型箱の上縁までの縦方向距離h
ここで、
θ’<θ<90°の場合、前記下吊りロープは、前記固定プーリを迂回する必要がなく、0°≦θ≦θ’の場合、前記下吊りロープは、前記固定プーリを迂回する必要があるステップS5と、
ステップS5で得られたデータに基づいて、前記下吊りロープの長さを計算し、前記下吊りロープが固定プーリを迂回する必要があれば、前記固定プーリの中心から前記模型箱の上縁までの縦方向距離をさらに計算し、前記固定プーリを対応する位置に摺動させて固定するステップS6であって、
下記式によって下吊りロープの長さを計算し、具体的には、
θ’<θ<90°の場合、前記下吊りロープの長さは、
前記下吊りロープと固定プーリの下縁の接点から引き上げプレートの下ロープ接続点までの前記下吊りロープの長さは、
θ=90°の場合、前記下吊りロープの長さは、
L=Hであり、
上記式において、
は、前記模型箱の上縁から前記引き上げプレートが前記下吊りロープに接続された下ロープ接続点までの縦方向距離であり、
は、前記模型箱の正味の高さであり、模型箱の底板の厚さを含まず、
は、前記原土の充填高さであり、
は、前記アンカープレートの埋められた深さであり、
は、前記固定プーリの幾何中心から前記模型箱の上縁までの縦方向距離であり、
Hは、前記アンカープレートの中心点から引き上げプレートの下ロープ接続点の位置する水平面までの縦方向距離であり、
Tは、前記引き上げプレートの下ロープ接続点から前記アンカープレートの幾何中心までの水平距離であり、
は、前記アンカープレートの厚さであり、
θは、前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
θは、前記固定プーリを使用する場合、この時、前記固定プーリの下方に位置する前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
θは、前記固定プーリを使用する場合、この時、前記固定プーリの上方に位置する前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
θ’は、前記引き上げプレートの下ロープ接続点、前記アンカープレートの幾何中心及び前記固定プーリと前記下吊りロープの接触点が同一の直線にある時、前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
sbは、前記アンカープレートの幾何中心から前記模型箱の近側壁の内側までの水平距離であり、
は、前記模型箱の前記近側壁の厚さであり、
cpは、前記固定プーリの中心点から前記引き上げプレートの下ロープ接続点までの水平距離であり、
bcは、前記固定プーリの中心から前記模型箱の近側壁の外側面までの水平距離であり、
Rは、前記固定プーリの半径であり、
ここで、h、h、t、θ、t、tbc、tcp、Rはいずれも測定によって得られたものであるが、θ、θ、h、h、tsbは、試験の必要に応じて予め設定されたデータであるステップS6と、
ステップS6の計算結果に基づいて、必要な長さの二本の下吊りロープを提供し、二本の下吊りロープと前記模型箱を一対一に対応して設置し、二本の下吊りロープの一端をそれぞれ前記引き上げプレートの二つの前記下ロープ接続点に接続し、他端について、事前引抜角度θと対応する臨界角度θ’との比較結果に基づいて、対応する前記模型箱の鉛直スリットを貫通せずに、対応する前記アンカープレートに直接接続し、又は、前記固定プーリを迂回して前記鉛直スリットを貫通した後に、対応する前記アンカープレートに接続するステップS7と、
原土を模型箱内に充填し、充填高さが前記アンカープレートの事前埋設深さhに等しい場合、事前埋設深さhと事前埋設水平距離tsbに基づいて、前記アンカープレートを前記原土の表面の指定位置に入れて固定し、そして原土が指定の高さに充填されるまで、原土を模型箱内に充填し続けるステップS8と、
前記模型箱が透明な前壁を有し、各前記模型箱にサイドカメラとレーザー変位センサを取り付け、各前記模型箱の前壁の直前にフロントカメラを架設するステップS9と、
巻上げ機を起動してローディングを行い、前記サイドカメラと前記フロントカメラをオンにし、前記原土の変形を捕捉するステップS10と、
前記力測定機構によって、試験過程で前記巻上げ機により加えられたけん引力を読み出し、前記下吊りロープが受けた引抜力を計算するステップS11とを含む、ことを特徴とする海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法。
【請求項2】
二つの前記下吊りロープをそれぞれ第一の下吊りロープと第二の下吊りロープとして設定すれば、前記第一の下吊りロープの引抜力Fと前記第二の下吊りロープの引抜力Fは、下記式によって算出され、
前記引き上げプレートが水平に保持されば、
前記第一の下吊りロープが受けた引抜力F
前記第一の下吊りロープが左側にあり、前記第二の下吊りロープが右側にあり
前記引き上げプレートが傾斜し、且つ左側が跳ね上がって右側が傾斜すると、
前記第一の下吊りロープが受けた引抜力が
上記式において、
αは、前記引き上げプレートが傾斜した角度であり、
Fは、前記力測定機構の測定数値であり、
は、前記引き上げプレートの下ロープ接続点から前記引き上げプレートの中心線までの垂直距離であり、
は、前記引き上げプレートが傾斜した後にその半分の鉛直線での投影距離であり、
前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、前記第一の下吊りロープと水平線とのなす角であり、前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、前記固定プーリの上方に位置する第一の下吊りロープと水平線とのなす角であり、
前記第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、前記第二の下吊りロープと水平線とのなす角であり、前記第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、前記固定プーリと前記引き上げプレートとの間に位置する前記第二の下吊りロープと水平線とのなす角であり、
Fは、前記力測定機構によって測定され、L、hは、測定によって得られ、前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、実験の必要に応じて予め設定された角度であり、前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、測定によって得られ、第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、実験の必要に応じて予め設定された角度であり、第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、測定によって得られる、ことを特徴とする請求項1に記載の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカープレート試験領域、特に海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巨大な海洋エネルギーにおいて、海洋原油と海洋天然ガスは、主要な地位を占めている。海洋石油ガス資源は、主に海洋配管を通って陸地又は中継局に運ばれる。海洋洋流、波及び海水の浮力の多重作用下で、石油ガス配管の安定性は、石油ガス資源の円滑な輸送を保障するキーポイントである。海洋石油ガス配管は、長く(縦長)、大きく(直径)、深い(深く埋められている)という特徴を有し、それは、主に固定フレーム(プラットフォーム)によって複数対のアンカープレートを介して海洋の底部にアンカー固定される。上記アンカー固定方式によれば、海洋石油ガス配管の自重と複雑な外部荷重がまず固定フレーム(プラットフォーム)に伝達され、さらに固定フレーム(プラットフォーム)を介して、配管の縦方向に沿って対をなして配列されたアンカープレートに作用し、最後にアンカープレート基礎から海底基床に拡張される。複雑な海洋環境での石油ガス配管の安定性を有効に評価するために、異なる運転条件下での石油ガス配管のアンカー固定方案が提案されており、アンカーグループ作用下での固定フレーム(プラットホーム)の受力メカニズムの展開により、海底地盤におけるアンカーグループ基礎の変形破壊メカニズムを明らかにする必要がある。
【0003】
コストが低く、操作可能性が強く、シミュレーション性が高いため、室内縮尺模型試験は、上記研究を展開するための有効な手段の一つとなっている。公開又は認可された特許を参照すれば分かるように、アンカープレート室内模型試験のために与えられた試験装置は、主に以下のいくつかのものを含む。
【0004】
出願番号がCN202110789347.9である特許1において、強降雨-干ばつ極端気候模擬システムを含む可視化アンカープレート引抜試験装置を与えることで、強降雨-干ばつ極端気候条件下での水平アンカープレート基礎の弱化効果を模擬する。
【0005】
出願番号がCN202010750278.6である特許2において、透明な土に基づくアンカープレート引抜試験装置が設計されおり、これは、単一の垂直アンカープレートの引抜過程での周辺土体の三次元変形の観測の問題を主に解決する。
【0006】
出願番号がCN202111431236.7である特許3において、平面内での単一アンカーの引抜故障試験装置を設計することで、異なる引抜方向で単一のアンカープレート面内で力が受けることにより破壊される過程の模擬を実現した。
【0007】
上記試験装置が特定の目的のアンカープレート引抜試験を実現できるが、アンカープレート基礎に基づく海洋パイプライン類構造にとって、依然として多くの欠点が存在する。
【0008】
(1)奥行きの大きいパイプライン構造は、配管の縦方向の両側に位置する複数対の二重アンカープレートによってアンカー固定され、且つアンカープレートの上部が固定フレーム(プラットフォーム)に接続され、従来の試験装置はいずれも二重アンカープレートの引抜過程の模擬を実現できず、且つ引抜力をアンカープレートのタイバーに直接に加え、固定フレーム(プラットフォーム)とアンカープレートとの間の相互反応メカニズムが考慮されていない。
【0009】
(2)海洋底部が平坦なサイトではなく、対をなすアンカープレート基礎の埋設深さ、角度及び海床の具体的な形態は、地質条件に密に関わり、従来の試験装置は、二重アンカープレートの任意の埋設深さと傾斜角での引抜破壊過程、及びこの複雑な埋設条件下でのアンカープレートと固定フレーム(プラットフォーム)の応答規則を模擬できない。
【発明の概要】
【0010】
これによれば、従来のアンカープレート引抜力測定試験装置が二重アンカープレートの任意の埋設深さと傾斜角での引抜破壊過程を模擬できないという問題に対して、本発明は、二重アンカープレート引抜試験を行い、二重アンカープレートの共同作用での破壊モードと引抜抵抗力の規則分析を明らかにすることができ、異なる埋設深さ、埋設角度及び相対的位置の組み合わせ作用下で、二重アンカープレートがアンカープレートの限界引抜力に及ぼす影響の規則及び発揮過程を得て、アンカープレートの工事設計を指導する目的を達成することができる、海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法を提供する。
【0011】
上記目的を実現するために、本発明が採用する技術案は以下のとおりである。
【0012】
海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置は、支持フレームと、前記支持フレームに取り付けられる巻上げ機と、前記巻上げ機の下方に位置する引き上げプレートと、前記巻上げ機と前記引き上げプレートとを接続する上吊りロープと、前記上吊りロープに取り付けられる力測定機構と、前記引き上げプレートの下方に設けられる二つのアンカープレート機構と、二本の下吊りロープとを含み、前記下吊りロープと前記アンカープレート機構はいずれも前記上吊りロープの両側に位置し、且つ一対一に対応して設置され、前記アンカープレート機構は、模型箱と、前記模型箱内に充填される原土と、前記原土内に埋設されるアンカープレートと、プーリアセンブリとを含み、前記模型箱内に、前記引き上げプレートに近い近側壁を有し、前記近側壁に縦方向スリットが設けられ、前記プーリアセンブリは、前記縦方向スリットに対応して前記近側壁に摺動可能に取り付けられ、前記プーリアセンブリは、固定プーリを含み、各前記下吊りロープの一端は、引き上げプレートに接続され、他端は、対応する前記アンカープレート機構のアンカープレートに接続され、
前記下吊りロープは、第一の状態と第二の状態を有し、前記下吊りロープが第一の状態にある時、前記下吊りロープの前記引き上げプレートから離れる端は、模型箱の頂部開口を貫通して前記アンカープレートに接続され、前記下吊りロープが第二の状態にある時、前記下吊りロープの前記引き上げプレートから離れる端は、前記プーリアセンブリを迂回して前記縦方向スリットを貫通した後に、前記アンカープレートに接続される。
【0013】
本発明に記載の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置は、二つの模型箱を設置することで、二つのアンカープレートを模型箱の原土内にそれぞれ埋設し、さらに巻上げ機、引き上げプレート及び巻上げ機と引き上げプレートとを接続する上吊りロープを設置し、二つの下吊りロープを引き上げプレートに接続し、そして各模型箱の引き上げプレートに近い近側壁に縦方向スリットを設置し、近側壁に対して摺動できるプーリアセンブリを取り付け、試験時、巻上げ機は、上吊りロープ、引き上げプレート及び二つの下吊りロープによって、二つの模型箱内に置かれたアンカープレートにそれぞれ引抜力を加え、二重アンカープレートの引抜試験を実現することができ、そして模型箱の縦方向スリットと摺動可能なプーリアセンブリを組み合わせることで、アンカープレートに近い下吊りロープと水平線とのなす角を調整し、0°-90°範囲内のいずれか一つの角度でアンカープレートを引抜することを実現することもできる。そのため、本発明の試験装置は、二重アンカープレートの引抜力測定試験を行い、二重アンカープレートの共同作用での破壊モードと引抜力の規則分析を明らかにすることができ、異なる埋設深さ、埋設角度及び相対的位置の組み合わせ作用下で、二重アンカープレートがアンカープレートの限界引抜力に及ぼす影響の規則及び発揮過程を得て、アンカープレートの工事設計を指導する目的を達成することができ、そして本発明の試験装置は、構造が簡単であり、コストが低いという利点をさらに有する。
【0014】
ここで、一実施例では、前記支持フレームは、支持トッププレートと、支持脚プレートと、支持レバーとを含み、前記支持トッププレートにロープ通し孔が設けられ、前記上吊りロープは、前記ロープ通し孔を貫通し、前記支持脚プレートは、前記支持トッププレートの下方に位置し、前記支持レバーの数は、前記支持脚プレートの数に等しく、且つ一対一に対応して設置され、各前記支持レバーの一端はいずれも前記支持トッププレートに接続され、他端はそれぞれ対応する前記支持脚プレートに接続される。
【0015】
ここで、一実施例では、前記上吊りロープの中心線と二つの前記下吊りロープの中心線は同一の平面に位置して設置される。
【0016】
ここで、一実施例では、前記模型箱にサイドカメラとレーザー変位センサが設置され、ここで、前記サイドカメラは、巻上げ機を巻き取る過程での原土の上面の変形を捕捉するために用いられ、前記レーザー変位センサは、巻上げ機を巻き取る過程での原土の上面の変位を捕捉するために用いられる。
【0017】
ここで、一実施例では、前記模型箱は前壁をさらに有し、前記前壁は透明材料で製造され、前記前壁の前方に、前記原土の側部の変形を捕捉するためのフロントカメラが架設される。
【0018】
ここで、一実施例では、前記引き上げプレートに二つの下ロープ接続点を有し、二つの前記下ロープ接続点は、前記引き上げプレートの中心線に関して対称的に設置され、二つの前記下吊りロープはそれぞれ二つの前記下ロープ接続点に接続される。
【0019】
海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法であって、上述した海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置によれば、具体的な測定ステップは、
支持フレームを試験サイトに取り付けるステップS1と、
巻上げ機を前記支持フレームに取り付けるステップS2と、
上吊りロープに力測定機構を取り付け、前記上吊りロープを介して前記引き上げプレートの中心と前記巻上げ機を接続するステップS3であって、前記引き上げプレートは二つの下ロープ接続点を有し、二つの下ロープ接続点は、前記引き上げプレートの中心線に関して対称的であるステップS3と、
二つの前記プーリアセンブリの前記固定プーリから対応する前記引き上げプレートの前記下ロープ接続点までの水平距離tcpを予め設定し、この予め設定された水平距離tcpに基づいて、前記縦方向スリットが開設され及び前記プーリアセンブリが取り付けられた二つの前記模型箱を試験サイトに置いて位置を決めるステップS4と、
ステップS5で得られたデータに基づいて、前記下吊りロープの長さを計算し、前記下吊りロープが固定プーリを迂回する必要があれば、前記固定プーリの中心から前記模型箱の上縁までの縦方向距離をさらに計算し、前記固定プーリを対応する位置に摺動させて固定するステップS6と、
ステップS6の計算結果に基づいて、必要な長さの二本の下吊りロープを提供し、二本の前記下吊りロープと前記模型箱を一対一に対応して設置し、二本の前記下吊りロープの一端をそれぞれ前記引き上げプレートの二つの下ロープ接続点に接続し、他端について、事前引抜角度θと対応する臨界角度θ’との比較結果に基づいて、対応する前記模型箱の鉛直スリットを貫通せずに、対応するアンカープレートに直接接続し、又は、前記固定プーリを迂回して前記鉛直スリットを貫通した後に、対応するアンカープレートに接続するステップS7と、
原土を模型箱内に充填し、充填高さが前記アンカープレートの事前埋設深さhに等しい場合、事前埋設深さhと事前埋設水平距離tsbに基づいて、前記アンカープレートを原土の表面の指定位置に入れて固定し、そして原土が指定の高さに充填されるまで、原土を模型箱内に充填し続けるステップS8と、
前記模型箱が透明な前壁を有し、各前記模型箱にサイドカメラとレーザー変位センサを取り付け、各前記模型箱の前壁の直前にフロントカメラを架設するステップS9と、
巻上げ機を起動してローディングを行い、前記サイドカメラと前記フロントカメラをオンにし、前記原土の変形を捕捉するステップS10とを含む。
【0020】
ここで、一実施例では、ステップS6では、下記式によって下吊りロープの長さを計算し、具体的には、
θ’<θ<90°の場合、前記下吊りロープの長さは、
アンカープレートの中心から固定プーリの下縁の接点までの下吊りロープの長さは、
上記式において、
は、前記模型箱の上縁から前記引き上げプレートが前記下吊りロープに接続された下ロープ接続点までの縦方向距離であり、
は、前記模型箱の正味の高さであり、模型箱の底板の厚さを含まず、
は、前記原土の充填高さであり、
は、前記アンカープレートの埋められた深さであり、
は、前記固定プーリの幾何中心から前記模型箱の上縁までの縦方向距離であり、
Hは、前記アンカープレートの中心点から引き上げプレートの下ロープ接続点の位置する水平面までの縦方向距離であり、
Tは、前記引き上げプレートの下ロープ接続点から前記アンカープレートの幾何中心までの水平距離であり、
は、前記アンカープレートの厚さであり、
θは、前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
θは、前記固定プーリを使用する場合、この時、前記固定プーリの下方に位置する前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
θは、前記固定プーリを使用する場合、この時、前記固定プーリの上方に位置する前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
θ’は、前記引き上げプレートの下ロープ接続点、前記アンカープレートの幾何中心及び前記固定プーリと前記下吊りロープの接触点が同一の直線にある時、前記下吊りロープと水平線とのなす角であり、
sbは、前記アンカープレートの幾何中心から前記模型箱の近側壁の内側までの水平距離であり、
は、前記模型箱の前記近側壁の厚さであり、
cpは、前記固定プーリの中心点から前記引き上げプレートの下ロープ接続点までの水平距離であり、
bcは、前記固定プーリの中心から前記模型箱の近側壁の外側面までの水平距離であり、
Rは、前記固定プーリの半径であり、
ここで、h、h、t、θ、t、tbc、tcp、Rはいずれも測定によって得られたものであるが、θ、θ、h、h、tsbは、試験の必要に応じて予め設定されたデータである。
【0021】
ここで、一実施例では、前記ステップS10の後に、
前記力測定機構によって、試験過程で前記巻上げ機により加えられたけん引力を読み出し、前記二つの下吊りロープが受けた引抜力をそれぞれ計算するステップS11をさらに含む。
【0022】
ここで、一実施例では、二つの前記下吊りロープをそれぞれ第一の下吊りロープと第二の下吊りロープとして設定すれば、前記第一の下吊りロープの引抜力Fと前記第二の下吊りロープの引抜力Fは、下記式によって算出され、
前記引き上げプレートが水平に保持されば、
前記第一の下吊りロープが受けた引抜力F
上記式において、
αは、前記引き上げプレートが傾斜した角度であり、
Fは、力測定機構の測定数値であり、
は、前記引き上げプレートの下ロープ接続点から前記引き上げプレートの中心線までの垂直距離であり、
は、前記引き上げプレートが傾斜した後にその半分の鉛直線での投影距離であり、
前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、前記第一の下吊りロープと水平線とのなす角であり、前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、前記固定プーリの上方に位置する第一の下吊りロープと水平線とのなす角であり、
前記第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、前記第二の下吊りロープと水平線とのなす角であり、前記第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、前記固定プーリと前記引き上げプレートとの間に位置する前記第二の下吊りロープと水平線とのなす角であり、
Fは、前記力測定機構によって測定され、L、hは、測定によって得られ、前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、実験の必要に応じて予め設定された角度であり、前記第一の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、測定によって得られ、第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回しない場合、θは、実験の必要に応じて予め設定された角度であり、第二の下吊りロープが前記固定プーリを迂回する場合、θは、測定によって得られる。
【0023】
本発明の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法は、試験を行う場合、二つの下吊りロープを密に組み合わせ、そしてプーリアセンブリと縦方向スリットを組み合わせることで、同一の相対的位置での異なる埋設角度が二つのアンカープレートの荷重力に及ぼす影響を模擬することができ、そして同一の埋設角度での異なる相対的位置が二つのアンカープレートの荷重力に及ぼす影響を模擬することもでき、それによってアンカープレートの工事設計を指導する目的を達成することができる。
【0024】
なお、二つの模型箱の前壁を透明材料で製造するようにして位置決めマーク点を予め設け、近側壁にサイドカメラとレーザー変位センサを取り付け、そして前壁の直前にフロントカメラを架設することで、アンカープレートの運動軌跡及び原土の変形と破壊形態をリアルタイムで正確に捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例に記載の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の構造正面図である。
図2図1における模型箱の近側壁の側面図である。
図3図1に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、アンカープレートに接続された下吊りロープと水平線とのなす角がにある時の部分概略図である。
図4図1に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、アンカープレートに接続された下吊りロープと水平線とのなす角がにある時の部分概略図である。
図5図1に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、アンカープレートに接続された下吊りロープと水平線とのなす角がにある時の部分概略図である。
図6】ここで、一実施例に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープと第二の下吊りロープがいずれも固定プーリを迂回せず、引き上げプレートが水平に保持される時の部分概略図である。
図7図6に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープと第二の下吊りロープがいずれも固定プーリを迂回せず、引き上げプレートの左側が跳ね上がって右側が傾斜する時の部分概略図である。
図8図6に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープと第二の下吊りロープがいずれも固定プーリを迂回せず、引き上げプレートが左側が傾斜して右側が跳ね上がるように保持される時の部分概略図である。
図9】本発明の一実施例に記載の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープと第二の下吊りロープがいずれも固定プーリを迂回し、引き上げプレートが水平に保持される時の部分概略図である。
図10図9に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープと第二の下吊りロープがいずれも固定プーリを迂回し、引き上げプレートの左側が跳ね上がって右側が傾斜する時の部分概略図である。
図11図9に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープと第二の下吊りロープがいずれも固定プーリを迂回し、引き上げプレートの左側が傾斜して右側が跳ね上がる時の部分概略図である。
図12】本発明の一実施例に記載の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープが固定プーリを迂回し、第二の下吊りロープが固定プーリを迂回せず、引き上げプレートが水平に保持される時の部分概略図である。
図13図12に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープが固定プーリを迂回し、第二の下吊りロープが固定プーリを迂回せず、引き上げプレートの左側が跳ね上がって右側が傾斜する時の部分概略図である。
図14図12に示す海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の、第一の下吊りロープが固定プーリを迂回し、第二の下吊りロープが固定プーリを迂回せず、引き上げプレートの左側が傾斜して右側が跳ね上がる時の部分概略図である。
図15】本発明におけるアンカープレートと引き上げプレートとの間に位置する下吊りロープの長さが調整可能である海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を結び付けながら本発明を詳細に説明する。
【0027】
<実施例1>
図1から図15を参照すると、本発明の実施例に記載の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置であり、この装置は、二つのアンカープレートの引抜力測定試験を実現することができ、それは、支持フレーム1と、支持フレーム1に取り付けられる巻上げ機2と、巻上げ機2の下方に位置する引き上げプレート3と、巻上げ機2と引き上げプレート3の中心を接続する上吊りロープ4と、上吊りロープ4に取り付けられる力測定機構5と、引き上げプレート3の下方に設けられる二つのアンカープレート機構と、二本の下吊りロープ7とを含み、下吊りロープ7とアンカープレート機構はいずれも上吊りロープ4の両側に位置し、且つ一対一に対応して設置され、アンカープレート機構は、模型箱61と、模型箱61内に充填される原土62と、原土62内に埋設されるアンカープレート63と、模型箱61に対して摺動可能に設置されるプーリアセンブリ64とを含み、模型箱61内に、引き上げプレート3に近く且つ上吊りロープ4に平行である近側壁611を有し、近側壁611に縦方向スリット612が設けられ、プーリアセンブリは、縦方向スリット612に対応して近側壁611に取り付けられ、プーリアセンブリ64は、固定プーリ641を含み、下吊りロープ7の一端は、引き上げプレート3に接続され、他端は、対応するアンカープレート機構のアンカープレート63に接続され、
二本の下吊りロープ7をそれぞれ第一の下吊りロープ7aと第二の下吊りロープ7bとして設定し、各下吊りロープ7は、第一の状態と第二の状態を有し、下吊りロープ7が第一の状態にある時、図3図5に示すように、下吊りロープ7の引き上げプレート3から離れる端は、模型箱61の頂部開口を貫通してアンカープレート63に接続され、下吊りロープ7が第二の状態にある時、図4に示すように、下吊りロープ7の引き上げプレート3から離れる端は、プーリアセンブリ64を迂回して縦方向スリット612を貫通した後に、アンカープレート63に接続される。
【0028】
試験時、巻上げ機2は、上吊りロープ4、引き上げプレート3、二つの下吊りロープ7によって、二つの模型箱61内に埋設されたアンカープレート63を引き上げ、試験の目的を達成する。説明すべきこととして、引き上げプレート3は、実際のプラットフォーム構造又はフレーム構造の簡略化構造と見なされる。
【0029】
アンカープレート63に近い下吊りロープ7の部分と水平線とのなす角をθに設定し、そしてこの角度をアンカープレート63の埋められた角度と呼び、試験時、本発明は、二つのアンカープレート63に対して異なる深さと角度の試験を行い、アンカープレート63の深さと角度が変化した場合、アンカープレート63に接続される下吊りロープ7と水平線とのなす角θにも、対応する角度変化が生じる。θ角度が、下吊りロープ7と引き上げプレート3の下ロープ接続点、アンカープレート63の幾何中心及び固定プーリ641と下吊りロープ7が同一の直線にあるまで調整された場合、この時、下吊りロープ7と水平線とのなす角度θ=θ’であり、この角度値θ’は、下吊りロープ7がプーリアセンブリ64を迂回する必要があるかどうかを決定する臨界角度値である。
【0030】
【0031】
図1に示すように、支持フレーム1は、支持トッププレート11と、支持脚プレート12と、支持レバー14とを含み、支持トッププレート11に、上吊りロープ4が貫通するのに供するためのロープ通し孔111が設けられ、支持脚プレート12は、支持トッププレート11の下方に位置し、支持レバー14の数は、支持脚プレート12の数に等しく、且つ一対一に対応して設置され、各支持レバー14の一端はいずれも支持トッププレート11に接続され、他端はそれぞれ対応する支持脚プレート12に接続される。
【0032】
支持トッププレート11は、円盤状、方形盤状又は他の形状の盤状である。本実施例において、支持トッププレート11は、好ましくは、円盤状である。
【0033】
本実施例において、支持フレーム1として、好ましくは、支持四脚フレームを採用し、即ち、支持レバー14の数は四つである。さらに、各支持レバー14として、好ましくは、鉄筋を採用する。
【0034】
各支持脚プレート12に縦方向孔が設けられ、縦方向孔に、支持脚プレート12を地面に固定するための膨張ナット13が嵌合される。
【0035】
本実施例において、支持レバー14と支持トッププレート11、及び支持レバー14と支持脚プレート12は、いずれも溶接の方式で接続される。無論、支持レバー14と支持トッププレート11、及び支持レバー14と支持脚プレート12の接続はこれに限定されず、支持レバー14と支持トッププレート11の接続、及び支持レバー14と支持脚プレート12の接続を実現できる他の方式も本発明に利用可能であり、例えば、他の実施例において、ネジ又はボルトの方式で接続される。
【0036】
巻上げ機2は、支持トッププレート11の上方に位置し、支持トッププレート11の上方に固定されるベース15に取り付けられる。さらに好ましくは、巻上げ機2は、ボルトを介してベース15に取り外し可能に接続される。
【0037】
本実施例において、ベース15は、溶接の方式で支持トッププレート11に接続される。他の実行可能な実施例において、ベース15と支持トッププレート11が取り外し可能に接続されるように設置されてもよい。例えば、ボルトの方式でベース15と支持トッププレート11を接続する。さらに好ましくは、他の実施例において、支持トッププレート11に、ベース15をロープ通し孔111の方向に移動可能とするためのウエスト型孔を設置してもよく、このウエスト型孔は、巻上げ機2からロープ通し孔111までの距離を調節して、巻上げ機2に接続された上吊りロープ4が支持トッププレート11のロープ通し孔111をスムーズに貫通するようにするために用いられる。
【0038】
引き上げプレート3は規則的に設置され、方形、円形又は他の形状であってもよい。本実施例において、支持トッププレート3は、好ましくは、方形の長尺板状である。
【0039】
引き上げプレート3は、二つの下ロープ接続点を有し、二つの下ロープ接続点はそれぞれ二つの下吊りロープ7に接続され、そして引き上げプレート3の中心線に関して対称的に設置され、この設置によって、試験時に測定すべきデータを減少させることができる。本実施例において、引き上げプレートが方形の長尺板状であるため、引き上げプレート3の下ロープ接続点は、好ましくは、引き上げプレート3の端点である。上吊りロープ4は、支持トッププレート11に設置されるロープ通し孔111を貫通する。支持トッププレート11に、上吊りロープ4が貫通するのに供するためのロープ通し孔111を設置することで、上吊りロープ4を位置決めし、上吊りロープ4が激しく揺れることによって試験結果に影響を及ぼすことを防止するという有益な効果を果たすことができる。
【0040】
上吊りロープ4と下吊りロープ7として、いずれも好ましくは鋼撚りロープを採用する。さらに好ましくは、上吊りロープ4は、下吊りロープ7よりも太く、即ち、上吊りロープ4は、直径が比較的に大きい太い吊りロープであり、下吊りロープ7は、直径が比較的に小さい細い吊りロープである。試験時、上吊りロープ4が受ける力が比較的に大きいため、上吊りロープ4を太い吊りロープとすることで、上吊りロープ4が引き上げ時に折れやすいことを防止することができる。下吊りロープ7を細い吊りロープとすることで、一方では、上吊りロープ4が受ける力を減少させ、上吊りロープ4を保護する効果を達成し、そして下吊りロープ7の重量が試験の精度に及ぼす影響を減少させるという有益な効果を果たすことができ、他方では、模型箱61における、下吊りロープ7が貫通するのに供する縦方向スリット612の寸法を減少させることができ、さらに、模型箱61の寸法をさらに減少させ、試験コストを低減させるという目的を達成することができる。
【0041】
本実施例において、力測定機構5として、力変位センサが選択される。本実施例において、力測定機構5全体は上吊りロープ4に直接に取り付けられる。他の実施例において、力測定機構5を引き上げプレート3と上吊りロープ4との間に接続してもよい。
【0042】
図2に示すように、縦方向スリット612の少なくとも一側に縦方向スライド移動レール613が設置され、縦方向スライド移動レール613がプーリアセンブリ65と滑合して設置されることで、プーリアセンブリ65が近側壁611を摺動可能であり、プーリアセンブリ65が摺動した後、プーリアセンブリ65をさらに固定することができる。本実施例において、縦方向スリット612の両側にいずれも縦方向スライド移動レール613が設けられる。
【0043】
好ましくは、模型箱61は、近側壁611に接続される前壁をさらに有し、前壁の材質が透明材質で製造されることで、原土62の変形を観察しやすくする。さらに好ましくは、前壁の材質として、裂けにくい透明な強化ガラスを採用する。
【0044】
さらに、各模型箱61にサイドカメラとレーザー変位センサが設けられ、測定をより正確にするために、サイドカメラの両側にいずれもレーザー変位センサが設置され、サイドカメラは、対応する模型箱61内の原土62の表層破壊形態を捕捉するために用いられる。レーザー変位センサは、模型箱61内の原土62の表層の変位を捕捉するために用いられる。本実施例において、サイドカメラとレーザー変位センサはいずれも模型箱61の近側プレート611に取り付けられる。
【0045】
各模型箱61の前壁の直前にいずれもフロントカメラを架設し、模型箱61の外側に位置決めマークを設置し、好ましくは、前壁に設置する。フロントカメラは、巻上げ機を巻き取る過程での原土62の側面の変形を捕捉し、そして平滑粒子流体力学的方法に基づいて、対応する模型箱61内の原土62の変位ベクトル図を得るために用いられる。
【0046】
二本の下吊りロープ7の長さの計算及び試験時の二本の下吊りロープ7の引抜力の計算を容易にするために、上吊りロープ4の中心線と二本の下吊りロープ7の中心線は同一の平面に位置して設置される。
【0047】
本実施例において、引き上げプレート3とアンカープレート63との間に接続された下吊りロープ7の長さは調整不可能である。他の実施例において、下吊りロープ7の頻繁な交換を避けるように、引き上げプレート3とアンカープレート63との間に接続された下吊りロープ7の長さが調整可能であるように設置してもよい。例えば、図15に示すように、引き上げプレート3の下ロープ接続点の位置する部位に縦方向方形貫通孔31及び縦方向方形貫通孔31に垂直に連通する締め付け孔32が設けられ、締め付け孔32に締め付けボルト8が螺合され、引き上げプレート3の上側に回転可能な巻き取り柱9が設けられ、下吊りロープ7の引き上げ用の有効部分は、引き上げプレート3とアンカープレート63との間に位置し、下吊りロープ7の引き上げ不要な無効部分は、縦方向方形貫通孔31を貫通した後に巻き取り柱9に巻き取られ、縦方向方形貫通孔31内に位置する下吊りロープ7の無効部分は、締め付けボルト8と縦方向方形貫通孔31の近側壁611との間に挟まれる。下吊りロープ7の有効部分の長さを調整する場合、締め付けボルト8を縦方向方形貫通孔31内の下吊りロープ7部分から離れるように回転し、そして下吊りロープ7の有効部分又は下吊りロープ7の無効部分を引き、下吊りロープ7の引き上げ用の有効部分の長さを増加又は減少させ、調整した後に、締め付けボルト8を回転し、縦方向方形貫通孔31内に位置する下吊りロープ7の無効部分を引き上げプレート3に押圧し、下吊りロープ7を引き上げプレート3に締め付ける。
【0048】
本実施例の有益な効果は以下のとおりである。本発明の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置は、二つの模型箱61を設置することで、二つのアンカープレート63を模型箱61の原土62内にそれぞれ埋設し、さらに巻上げ機2、引き上げプレート3及び巻上げ機2と引き上げプレート3とを接続する上吊りロープ4を設置し、二つの下吊りロープ7を引き上げプレート3に接続し、そして各模型箱61の引き上げプレート3に近い近側壁611に縦方向スリット612を設置し、近側壁611に対して摺動するプーリアセンブリ64を取り付け、試験時、巻上げ機2は、上吊りロープ4、引き上げプレート3及び二つの下吊りロープ7によって、二つの模型箱61内に置かれたアンカープレート63にそれぞれ引抜力を加えることで、二重アンカープレート63の引抜力測定試験を実現することができ、そして模型箱61の縦方向スリット612と摺動可能なプーリアセンブリ64を組み合わせることで、アンカープレート63に近い下吊りロープ7と水平線とのなす角を調整し、0°-90°範囲内のいずれか一つの角度でアンカープレート63を引抜することを実現することもできる。そのため、本発明の試験装置は、二重アンカープレート63の引抜力測定試験を行うことができ、それによって二重アンカープレート63の共同作用での破壊モードと引抜力の規則分析を明らかにすることができ、異なる埋設深さ、埋設角度及び相対的位置の組み合わせ作用下で、二重アンカープレート63がアンカープレート63の限界引抜力に及ぼす影響の規則及び発揮過程を得て、アンカープレート63の工事設計を指導する目的を達成することができる。そして、本発明の試験装置が簡単であるが、種々の試験条件下でのパラメータ変換を完了することができ、試験コストを節約するだけでなく、そしてアンカープレート63の限界引抜力、引抜失効メカニズム及びその変化規則をより正確に得ることができる。
【0049】
<実施例2>
本実施例は、海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法を開示し、実施例1に記載の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置によれば、具体的な測定ステップは以下のとおりである。
【0050】
S0において、支持フレーム1を組み立てる。
【0051】
ここで、ステップS0は具体的には以下のステップを含む。
【0052】
a1において、支持脚プレート12を試験サイトに平置き、膨張ナット13が支持脚プレート12における縦方向孔を貫通することによってそれを地面に固定し、
本実施例において、支持脚プレート12の数が四つであるため、四つの支持脚プレート12をそれぞれ試験サイトの四つの方位に置き、
a2において、支持トッププレート11の中心位置でロープ通し孔111を切開し、支持トッププレート11の上表面にベース15を溶接する。
【0053】
S2において、巻上げ機2を支持フレーム1に取り付ける。
【0054】
具体的には、巻上げ機2をベース15に置き、ボルトでベース15に固定する。
【0055】
S3において、上吊りロープ4に力測定機構5を取り付け、上吊りロープ4を介して引き上げプレート3の中心と巻上げ機2を接続し、引き上げプレート3は二つの下ロープ接続点を有し、二つの下ロープ接続点は、引き上げプレート3の中心線に関して対称的である。
【0056】
上吊りロープ4を引き上げプレート3に接続する前に、上吊りロープ4に、前記支持トッププレート11に設置されたロープ通し孔111を貫通する。
【0057】
S4において、二つのプーリアセンブリ64の固定プーリ641から対応する引き上げプレート3の下吊りロープ7に接続されるための下ロープ接続点までの水平距離tcpを予め設定し、この予め設定された水平距離tcpに基づいて、縦方向スリット612が開設され及びプーリアセンブリ64が取り付けられた二つの模型箱61を試験サイトに置いて位置を決め、各模型箱61は、引き上げプレート3に近い近側壁611及び近側壁611に接続される透明な前壁を有する。
【0058】
具体的には、模型箱61を試験サイトに置く前に、まず、模型箱61の近側壁611に縦方向スリット612を開設し、縦方向スリット612に対応して近側壁にプーリアセンブリ64を取り付け、さらに予め設定された各固定プーリの幾何中心から対応する下吊りロープ7に接続されるための下ロープ接続点までの水平距離tcpに基づいて、各模型箱61を試験サイトにおける対応する位置に置いてもよい。
【0059】
まず、模型箱61をサイトに置き、そして模型箱61の近側プレート611に縦方向スリット612を開設し、縦方向スリット612に対応してプーリアセンブリ64を取り付け、最後に予め設定された各固定プーリ641の幾何中心から対応する引き上げプレート3の下吊りロープ7に接続されるための下ロープ接続点までの水平距離tcpに基づいて、試験サイトにおいて模型箱611の位置を調整してもよい。
【0060】
S5において、図3図4及び図5に示すように、対応する模型箱内の各アンカープレート63の事前埋設深さh、事前引抜角度θ及び近側壁611の内側までの水平距離tsbを予め決定し、原土62の充填高さhを予め決定し、さらに各アンカープレート63に対応する近側壁611の厚さt、固定プーリ641の中心から近側壁611までの水平距離tbc、固定プーリ641の半径R、模型箱61の上縁から引き上げプレートの下吊りロープ7に接続されるための下ロープ接続点までの縦方向距離h、模型箱61の正味の高さhを測定し、ここで、事前引抜角度θは、アンカープレート63に近い下吊りロープ7部分と水平線とのなす角であり、
に基づいて、各下吊りロープ7がプーリアセンブリ64を使用するかどうか臨界角度θ’を計算し、θ’は、引き上げプレート3の下ロープ接続点、アンカープレート63及び固定プーリ641が同一の直線にある時の下吊りロープ7と水平線とのなす角であり、ここで、Hは、アンカープレート63の幾何中心から引き上げプレート3の下ロープ接続点までの縦方向距離であり、Tは、引き上げプレート3の下ロープ接続点からアンカープレート63の中心点までの水平距離であり、HとTは、下記式
【0061】
ここで、引き上げプレート3の下ロープ接続点、アンカープレート63及び固定プーリ641が同一の直線にあることは、具体的には、引き上げプレート3と下吊りロープ7の下ロープ接続点、アンカープレート63と下吊りロープ7の下ロープ接続点及び固定プーリ641と下吊りロープ7の接触点が同一の直線にあることである。アンカープレート63の引抜角度は具体的には、アンカープレート63に近い下吊りロープ7の部分と水平面とのなす角である。
【0062】
S6において、ステップS5で得られたデータに基づいて、下吊りロープ7の長さを計算し、下吊りロープ7が固定プーリ641を迂回する必要があれば、固定プーリ641の幾何中心から模型箱61の上縁までの縦方向距離をさらに計算し、固定プーリ641を対応する位置に摺動させて固定する。
【0063】
さらに、ステップS6では、下記式によって下吊りロープ7の長さを計算し、具体的には、
固定プーリ641の中心から模型箱61の上縁までの縦方向距離の計算結果によって、固定プーリ641を必要な位置に正確にスライド移動することができる。
【0064】
L=Hであり、
上記式において、
h1は、模型箱61の上縁から引き上げプレート3の下面までの縦方向距離であり、
h2は、模型箱61の正味の高さであり、模型箱61の底板の厚さを含まず、
h3は、原土62の高さであり、
h4は、アンカープレート63の埋められた深さであり、
hcは、固定プーリ641の幾何中心から模型箱61の上縁までの縦方向距離であり、
Hは、アンカープレート63の幾何中心から引き上げプレート3の下ロープ接続点の位置する水平面までの縦方向距離であり、
Tは、引き上げプレート3の下ロープ接続点からアンカープレート63の幾何中心までの水平距離であり、
taは、アンカープレート63の厚さであり、
θは、下吊りロープ7と水平線とのなす角であり、
θaは、固定プーリ641を使用する場合、この時、固定プーリ641の下方に位置する下吊りロープ7と水平線とのなす角であり、
θbは、固定プーリ641を使用する場合、この時、固定プーリ641の上方に位置する下吊りロープ7と水平線とのなす角であり、
θ’は、引き上げプレート3の下ロープ接続点、アンカープレート63の幾何中心及び固定プーリ641と下吊りロープ7の接触点が同一の直線にある時、下吊りロープ7と水平線とのなす角であり、
tsbは、アンカープレート63の幾何中心から模型箱61の近側壁611の内側までの水平距離であり、
tbは、模型箱61の近側壁611の厚さであり、
tcpは、固定プーリ641の幾何中心から引き上げプレート3の下吊りロープ7に接続される下ロープ接続点までの水平距離であり、
tbcは、固定プーリ641の幾何中心から模型箱61の近側壁611の外側面までの水平距離であり、
Rは、固定プーリ641の半径であり、
ここで、h1、h2、θb、tb、tbc、tcp、Rはいずれも測定によって得られたものであるが、θ、θa、h3、h4、ta、tsbは、試験の必要に応じて予め設定されたデータである。
【0065】
二つのアンカープレートのそれぞれに対応するh、h、h、h、h、t、θ、θ、tsb、t、tcp、tbc、Rを必要な式に代入することで、対応する引き上げを実現するための下吊りロープ7の長さを算出することができる。
【0066】
S7において、下吊りロープ7の計算式に基づいて、必要な長さの二本の下吊りロープ7を提供し、二本の下吊りロープ7と模型箱61を一対一に対応して設置し、二本の下吊りロープ7の一端をそれぞれ引き上げプレート3の二つの下ロープ接続点に接続し、他端について、対応するアンカープレート63の事前引抜角度θと臨界角度θ’との比較結果に基づいて、対応する模型箱61の縦方向スリット612を貫通せずに、アンカープレート63に直接接続し、又は、固定プーリ641を迂回して縦方向スリット612を貫通した後に、アンカープレート63に接続する。
【0067】
さらに、上吊りロープ4と二本の下吊りロープ7を取り付ける時、上吊りロープ4の中心線と二本の下吊りロープ7の中心線が同一の平面に位置することを確保することで、下吊りロープ7の引抜力分析を行う時、構築された受力分析幾何図を比較的に簡単にし、さらに構築された受力方程式を比較的に簡単にし、後続で下吊りロープ7の引抜力の結果を迅速に算出することを容易にする。
【0068】
S8において、原土62を模型箱61内に充填し、充填高さがアンカープレート63の事前埋設深さhに等しい場合、事前埋設深さhと事前埋設水平距離tsbに基づいて、アンカープレート63を原土62の表面の指定位置に入れて固定し、そして原土62が指定の高さに充填されるまで、原土62を模型箱61内に充填し続ける。
【0069】
原土62を模型箱61内に充填する過程では、原土62の側面の変形を観測しやすくするために、一定の高さを充填する毎に、模型箱612の透明な前壁の内側に一層のカラーサンドを塗布し、原土62が指定の高さまで充填された後に、原土の充填を停止する。
【0070】
S9において、各模型箱61にサイドカメラとレーザー変位センサを取り付け、各模型箱61の前壁の直前にフロントカメラを架設する。
【0071】
本実施例において、サイドカメラとレーザー変位センサはいずれも模型箱61の近側壁611に位置するように設置される。
【0072】
S10において、試験装置とローディング、テスト装備を検出し、潜在的なリスクを排除した後、巻上げ機2を起動してローディングを行い、サイドカメラとフロントカメラをオンにし、原土62の変形を捕捉し、そして平滑粒子流体力学的技術に基づいて二つの模型箱内の原土4の変位ベクトル図を得る。
【0073】
具体的には、サイドカメラは、対応する模型箱61内の原土62の表層の破壊形態を捕捉するために用いられ、レーザー変位センサは、模型箱61内の原土62の表層の変位を捕捉するために用いられ、フロントカメラは、巻上げ機を巻き取る過程での原土62の側面の変形を捕捉するために用いられる。
【0074】
S11において、力測定機構によって、試験過程で巻上げ機2により加えられたけん引力を読み出し、各下吊りロープ7が受けた引抜力を計算する。
【0075】
各下吊りロープ7が受けた引抜力を計算することで、二つのアンカープレート63が異なる引抜力で原土62を押す変形を捕捉し、アンカープレート63が受けた限界引抜力を正確に算出することができる。
【0076】
まず、二つの下吊りロープ7がいずれも固定プーリ641を迂回しないというケースを例として、各下吊りロープ7の受力状況を分析して説明する。
【0077】
図6に示すように、引き上げプレート3が水平に保持されば、以下を得る。
【0078】
第一の下吊りロープ7aが受けた引抜力は以下のとおりである。
【0079】
第二の下吊りロープ7aが受けた引抜力は以下のとおりである。
【0080】
図7に示すように、前記第一の下吊りロープ7aが左側にあり、前記第二の下吊りロープ7bが右側にあり、引き上げプレート3が傾斜し、且つ左側が跳ね上がって右側が傾斜すると、以下を得る。
【0081】
前記第一の下吊りロープ7aが受けた引抜力は以下のとおりである。
【0082】
第二の下吊りロープ7aが受けた引抜力は以下のとおりである。
【0083】
図8に示すように、二つのアンカープレートが傾斜し、且つ左側が傾斜して右側が跳ね上がると、以下を得る。
【0084】
前記第一の下吊りロープ7aが受けた引抜力は以下のとおりである。
【0085】
前記第二の下吊りロープ7bが受けた引抜力は以下のとおりである。
【0086】
上記式において、
θは、固定プーリ641を迂回しない第一の下吊りロープ7aと水平線とのなす角であり、
θは、固定プーリ641を迂回しない第二の下吊りロープ7bと水平線とのなす角であり、
αは、引き上げプレート3が傾斜した角度であり、
Fは、力測定機構5の測定数値であり、
は、引き上げプレート3の下ロープ接続点から引き上げプレート3の中心線までの垂直距離であり、
は、引き上げプレート3が傾斜した後にその半分の鉛直線での投影距離であり、
θとθは、実験の必要に応じて予め設定された角度であり、Fは、力測定機構5によって測定され、L、hは、測定によって得られ、引き上げプレート3の傾斜状況に基づいて、既知のデータを適切な下吊りロープ7の受けた荷重力の計算式に入れることで、第一の下吊りロープ7aの受けた引抜力と第二の下吊りロープ7bの引抜力を得ることができる。
【0087】
次に、第一の吊りロープと第二の吊りロープの他のケースについて分析する。第一の下吊りロープ7aと第二の下吊りロープ7bがいずれも固定プーリ641を迂回する場合、図9から図11に示すように、θを固定プーリ641と引き上げプレート3との間に位置する第一の下吊りロープ7aと水平線とのなす角に置き換え、θを固定プーリ641と引き上げプレート3との間に位置する第二の下吊りロープ7bと水平線とのなす角に置き換える。ここで、θとθはいずれも測定によって得られたものである。
【0088】
そのため、第一の下吊りロープ7aと第二の下吊りロープ7bがいずれも固定プーリ641を迂回するという条件下では、図9に示すように、引き上げプレート3が水平に保持される時、分析から分かるように、第一の下吊りロープ7aの引抜力Fの計算と第二の下吊りロープ7bの引抜力Fの計算は、依然として上記式1.1と式1.2を使用し、図10に示すように、引き上げプレート3に、左側が傾斜して右側が跳ね上がるという傾斜が生じた時、第一の下吊りロープ7aの引抜力Fの計算と第二の下吊りロープ7bの引抜力Fの計算は、依然として上記式1.3と式1.4を使用し、図11に示すように、引き上げプレート3に、左側が跳ね上がって右側が傾斜するという傾斜が生じた時、第一の下吊りロープ7aの引抜力Fの計算と第二の下吊りロープ7bの引抜力Fの計算は、依然として上記式1.5と1.6を使用し、αは依然として式1.7で計算される。
【0089】
二つの下吊りロープ7のうち、一本の下吊りロープ7が固定プーリ641を迂回し、別の下吊りロープ7が固定プーリ641を迂回しない場合について、本明細書において、第一の下吊りロープ7aが固定プーリ641を迂回し、第二の下吊りロープ7bが固定プーリ641を迂回しないことを例として説明する。図12から図14に示すように、θを前記固定プーリ641と引き上げプレート3との間に位置する第一の下吊りロープ7aと水平線とのなす角にのみ置き換え、θは依然として固定プーリ641を迂回しない第二の下吊りロープ7bと水平線とのなす角である。ここで、θは、測定によって得られたものであり、θは、実験の必要に応じて予め設定された角度である。
【0090】
そのため、第一の下吊りロープ7aが固定プーリ641を迂回し、第二の下吊りロープ7bが固定プーリ641を迂回しない場合、図12に示すように、引き上げプレート3が水平に保持される時、第一の下吊りロープ7aの引抜力Fの計算と第二の下吊りロープ7bの引抜力Fの計算は、依然として上記式1.1と式1.2を使用し、図13に示すように、引き上げプレート3に、左側が傾斜して右側が跳ね上がるという傾斜が生じた時、第一の下吊りロープ7aの引抜力Fの計算と第二の下吊りロープ7bの引抜力Fの計算は、依然として上記式1.3と式1.4を使用し、図14に示すように、引き上げプレート3に、左側が跳ね上がって右側が傾斜するという傾斜が生じた時、第一の下吊りロープ7aの引抜力Fの計算と第二の下吊りロープ7bの引抜力Fの計算は、依然として上記式1.5と1.6を使用する。αは依然として式1.7で計算される。
【0091】
これから分かるように、第一の下吊りロープ7aと第二の下吊りロープ7bが固定プーリ641を迂回するかどうかに基づいて、θ、θに対して対応する意味変換を行い、引き上げプレート3の傾斜状況に基づいて、式式1.1、式1.2、式1.3、式1.4、式1.5、式1.6から対応する式を選択すれば、第一の下吊りロープ7aの引抜力Fと第二の下吊りロープ7bの引抜力Fの計算を実現することができる。
【0092】
本発明の海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法は、試験を行う場合、二つの下吊りロープ7を密に組み合わせ、そしてプーリアセンブリ64と縦方向スリット612を組み合わせることで、同一の相対的位置での異なる埋設角度が二つのアンカープレート63の荷重力に及ぼす影響を模擬することができ、そして同一の埋設角度での異なる相対的位置が二つのアンカープレート63の荷重力に及ぼす影響を模擬することもでき、それによってアンカープレートの工事設計を指導する目的を達成することができる。
【0093】
なお、二つの模型箱61の前壁を透明材料で製造するようにして位置決めマーク点を予め設け、近側壁611にサイドカメラとレーザー変位センサを取り付け、そして前壁の直前にフロントカメラを架設することで、アンカープレート63の運動軌跡及び原土62の変形と破壊形態をリアルタイムで正確に捕捉することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 支持フレーム、11 支持トッププレート、111 ロープ通し孔、12 支持脚プレート、13 膨張ナット、14 支持レバー、15 ベース、2 巻上げ機、3 引き上げプレート、31 縦方向方形貫通孔、32 締め付け孔、4 上吊りロープ、5 力測定機構、61 模型箱、611 近側壁、612 縦方向スリット、613 縦方向スライド移動レール、62 原土、63 アンカープレート、64 プーリアセンブリ、641 固定プーリ、7 下吊りロープ、7a 第一の下吊りロープ、7b 第二の下吊りロープ、8 締め付けボルト、9 巻き取り柱
【要約】      (修正有)
【課題】海洋パイプラインアンカーグループ作用に基づく引抜力測定試験装置の測定方法を提供する。
【解決手段】一実施例による試験装置は、支持フレーム1と、巻上げ機2と、引き上げプレート3と、巻上げ機2と引き上げプレート3とを接続する上吊りロープ4と、上吊りロープ4に取り付けられる力測定機構5と、二つのアンカープレート機構と、二本の下吊りロープ7a、7bとを含む。下吊りロープ7a、7bとアンカープレート機構はいずれも上吊りロープ4の両側に位置し、アンカープレート機構は、模型箱61と、模型箱61内に充填される原土62と、原土62内に埋設されるアンカープレート63と、アンカープレート63の引抜角度を調整するためのプーリアセンブリ64とを含み、各下吊りロープ7a、7bの一端は、引き上げプレート3に接続され、他端は、対応するアンカープレート機構のアンカープレート63に接続される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15