(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】石材構造物
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
E04H13/00 C
(21)【出願番号】P 2019041253
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月22日に、出願人:ベルストン株式会社が、株式会社ヤマカ塩七(岩手県北上市さくら通り3丁目17番10号)に、本願発明に係る石材構造物のサンプル品及び画像が掲載された資料を提供した。
(73)【特許権者】
【識別番号】396004512
【氏名又は名称】ベルストン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】大友 保男
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-156308(JP,A)
【文献】特開平09-273334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
A47G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台石と、本体石と、前記台石の鉛直上方において回動の中心軸が鉛直方向にて延びるように前記台石に対して回動可能に前記本体石を支持する支持部と、を備える石材構造物であって、
前記本体石は
、鉛直下方向における端面である下端面にて開口する有底且つ円柱状の孔を有し、
前記支持部は、
前記孔の開口の一部分を閉じるとともに前記孔の開口の他部分を開くように、前記本体石の前記下端面に固定される平板と、
前記孔と略同じ直径である第1直径を有するとともに前記孔に回動可能に収容される第1径部と、前記第1直径よりも小さい第2直径を有するとともに前記他部分を通って前記平板を貫通するように前記第1径部から鉛直下方へ突出する第2径部と、を有し、且つ、鉛直下方向における端部が前記台石に固定される軸棒と、
を備える、石材構造物。
【請求項2】
請求項1に記載の石材構造物であって、
前記平板は、前記孔に連通する円形状の貫通孔を有する、石材構造物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の石材構造物であって、
前記第1径部の鉛直方向における長さは、前記孔の鉛直方向における長さよりも、所定の第1ギャップ長だけ短い、石材構造物。
【請求項4】
請求項
3に記載の石材構造物であって、
前記第2径部の鉛直方向における長さは、前記第1ギャップ長に前記平板の厚さを加えた長さよりも、所定の第2ギャップ長だけ長い、石材構造物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の石材構造物であって、
前記本体石は、前記下端面のうちの、前記平板の外周にて鉛直下方へ突出する突出部を備える、石材構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石材構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
台石と、本体石と、笠石と、鉛直方向における台石と笠石との間において回動の中心軸が鉛直方向にて延びるように台石及び笠石に対して回動可能に本体石を支持する支持部と、を備える石材構造物が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の石材構造物において、本体石は、鉛直方向にて延びる貫通孔を有する。支持部は、貫通孔を通って本体石を貫通する軸棒を備える。軸棒は、鉛直下方向における端部が台石に固定されるとともに、鉛直上方向における端部が笠石に固定される。本体石は、台石及び笠石のそれぞれから隔てられるように軸棒により支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、石材構造物が笠石を備えないことがある。また、本体石の鉛直上方向における端面が、他の物品(例えば、骨壺、又は、遺品等)を載置するための載置面として用いられることがある。また、笠石が、本体石から取り外し可能であるように、本体石の鉛直上方向における端面に載置されることがある。
【0006】
このような場合、軸棒の鉛直上方向における端部を笠石に固定できない。従って、上記石材構造物と同様の支持部を用いても、本体石を回動可能に支持することができない。そこで、例えば、本体石が鉛直下方向における端面にて開口する有底の孔を有し、支持部が、孔に回動可能に収容され且つ鉛直下方向における端部が台石に固定される軸棒を備えるように、石材構造物を構成することが考えられる。
【0007】
しかしながら、この石材構造物においては、本体石が持ち上げられた場合に、台石が本体石から脱落してしまう。このため、石材構造物を運搬することが困難である。
このように、特許文献1に記載の技術が適用された石材構造物においては、台石が本体石から脱落することを防止しながら、軸棒が本体石を貫通することなく本体石を回動可能に支持できない、という課題があった。
【0008】
本発明の目的の一つは、台石が本体石から脱落することを防止しながら、軸棒が本体石を貫通することなく本体石を回動可能に支持することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの側面では、石材構造物は、台石と、本体石と、台石の鉛直上方において回動の中心軸が鉛直方向にて延びるように台石に対して回動可能に本体石を支持する支持部と、を備える。
【0010】
本体石は、鉛直下方向における端面である下端面にて開口する有底且つ円柱状の孔を有する。
支持部は、平板と、軸棒と、を備える。
平板は、本体石の孔の開口の一部分を閉じるとともに当該孔の開口の他部分を開くように、本体石の下端面に固定される。
軸棒は、本体石の孔と略同じ直径である第1直径を有するとともに当該孔に回動可能に収容される第1径部と、第1直径よりも小さい第2直径を有するとともに当該孔の開口の他部分を通って平板を貫通するように第1径部から鉛直下方へ突出する第2径部と、を有し、且つ、鉛直下方向における端部が台石に固定される。
【発明の効果】
【0011】
台石が本体石から脱落することを防止しながら、軸棒が本体石を貫通することなく本体石を回動可能に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図7】第1実施形態の石材構造物の拡大断面図である。
【
図8】第1実施形態の石材構造物の分解斜視図である。
【
図9】第1実施形態の石材構造物の分解斜視図である。
【
図10】第1実施形態の第1変形例の石材構造物の斜視図である。
【
図11】第1実施形態の第1変形例の石材構造物の背面図である。
【
図12】第1実施形態の第1変形例の石材構造物の断面図である。
【
図13】第1実施形態の第2変形例の石材構造物の斜視図である。
【
図14】第1実施形態の第2変形例の石材構造物の背面図である。
【
図15】第1実施形態の第3変形例の石材構造物の斜視図である。
【
図16】第1実施形態の第3変形例の石材構造物の斜視図である。
【
図17】第1実施形態の第3変形例の石材構造物の平面図である。
【
図18】第1実施形態の第3変形例の石材構造物の背面図である。
【
図19】第1実施形態の第3変形例の石材構造物の断面図である。
【
図20】第1実施形態の第3変形例の本体石の平面図である。
【
図21】第1実施形態の第3変形例の笠石の斜視図である。
【
図22】第1実施形態の第3変形例の笠石の底面図である。
【
図23】第1実施形態の第3変形例の笠石の背面図である。
【
図24】第1実施形態の第4変形例の石材構造物の斜視図である。
【
図25】第1実施形態の第4変形例の石材構造物の斜視図である。
【
図26】第1実施形態の第4変形例の石材構造物の平面図である。
【
図27】第1実施形態の第4変形例の石材構造物の底面図である。
【
図28】第1実施形態の第4変形例の石材構造物の背面図である。
【
図29】第1実施形態の第4変形例の石材構造物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の石材構造物に関する各実施形態について
図1乃至
図29を参照しながら説明する。
【0014】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態の石材構造物は、台石と、本体石と、台石の鉛直上方において回動の中心軸が鉛直方向にて延びるように台石に対して回動可能に本体石を支持する支持部と、を備える。
本体石は、鉛直下方向における端面である下端面にて開口する有底且つ円柱状の孔を有する。
【0015】
支持部は、平板と、軸棒と、を備える。
平板は、本体石の孔の開口の一部分を閉じるとともに当該孔の開口の他部分を開くように、本体石の下端面に固定される。
軸棒は、本体石の孔と略同じ径である第1径を有するとともに当該孔に回動可能に収容される第1径部と、第1径よりも小さい第2径を有するとともに、本体石の開口の他部分を通って平板を貫通するように第1径部から鉛直下方へ突出する第2径部と、を有する。更に、軸棒は、鉛直下方向における端部が台石に固定される。
【0016】
これによれば、本体石が持ち上げられた場合、本体石に固定された平板が、第1径部のうちの、鉛直下方向における端面に当接する。これにより、軸棒が本体石とともに持ち上げられる。従って、軸棒が固定された台石も、本体石とともに持ち上げられる。
【0017】
このように、上記構成によれば、台石が本体石から脱落することを防止しながら、軸棒が本体石を貫通することなく本体石を回動可能に支持できる。これにより、本体石を台石に対して回動させることができる。また、石材構造物を容易に運搬できる。
次に、第1実施形態の石材構造物について、
図1乃至
図9を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(構成)
以下、
図1乃至
図9に表されるように、x軸、y軸、及び、z軸を有する右手系の直交座標系を用いて、第1実施形態の石材構造物1を説明する。なお、本明細書において、後述の
図10乃至
図29においても同様の座標系が用いられる。
【0019】
本例では、石材構造物1は、亡くなった人又は愛玩動物を祀るために用いられる。本例では、石材構造物1は、屋外に載置される。なお、石材構造物1は、屋内に載置されてもよい。
【0020】
本例では、x軸方向、y軸方向、及び、z軸方向は、石材構造物1の左右方向、石材構造物1の前後方向、及び、石材構造物1の上下方向とそれぞれ表されてもよい。また、本例では、x軸の正方向、x軸の負方向、y軸の正方向、y軸の負方向、z軸の正方向、及び、z軸の負方向は、石材構造物1の右方向、石材構造物1の左方向、石材構造物1の前方向、石材構造物1の後方向、石材構造物1の上方向、及び、石材構造物1の下方向とそれぞれ表されてもよい。
本例では、z軸の正方向、及び、z軸の負方向は、鉛直上方向、及び、鉛直下方向にそれぞれ一致する。
【0021】
図1乃至
図5に表されるように、石材構造物1は、台石10と、本体石20と、を備える。
図1は、石材構造物1の右方であり、石材構造物1の前方であり、且つ、石材構造物1の上方である位置から、石材構造物1を見た図(換言すると、右前上方斜視図)である。
図2は、石材構造物1の右方であり、石材構造物1の前方であり、且つ、石材構造物1の下方である位置から、石材構造物1を見た図(換言すると、右前下方斜視図)である。
【0022】
図3は、石材構造物1の上方から石材構造物1を見た図(換言すると、平面図)である。
図4は、石材構造物1の下方から石材構造物1を見た図(換言すると、底面図)である。
図5は、石材構造物1の後方から石材構造物1を見た図(換言すると、背面図)である。
【0023】
図6は、
図5のVI-VI線により表される平面により切断された石材構造物1の断面をx軸の負方向にて見た図である。
図7は、
図6の破線により囲まれた領域VIIを拡大した図である。
図8は、石材構造物1が分解された状態における石材構造物1の右前上方斜視図である。
図9は、石材構造物1が分解された状態における石材構造物1の右前下方斜視図である。
【0024】
図1乃至
図4に表されるように、台石10は、石材構造物1のうちの、鉛直下方向における端部を構成する。本例では、台石10は、本体石20の鉛直下方に位置する。例えば、台石10は、平面に載置される。
【0025】
図5、
図8、及び、
図9に表されるように、台石10は、鉛直方向にて延びる柱体状である。本例では、台石10は、断面が円形状である。本例では、
図5に表されるように、台石10は、断面の直径が鉛直方向にて変化する。なお、台石10は、断面の直径が鉛直方向にて一定であってもよい。また、台石10は、断面が円形状と異なる形状(例えば、楕円形状、又は、多角形状等)であってもよい。
【0026】
図6及び
図7に表されるように、台石10は、鉛直方向にて台石10を貫通する貫通孔を形成する孔部11を有する。換言すると、台石10は、鉛直方向にて台石10を貫通する貫通孔を有する。孔部11により形成される貫通孔は、鉛直方向にて延びる柱体状である。
【0027】
本例では、孔部11により形成される貫通孔の断面は、円形状である。孔部11により形成される貫通孔の中心軸は、台石10の中心軸を通る直線上に位置する。なお、孔部11により形成される貫通孔の断面は、円形状と異なる形状(例えば、楕円形状、又は、多角形状等)であってもよい。
【0028】
図7に表されるように、孔部11は、小径部111と、大径部112と、を備える。
小径部111は、孔部11のうちの、鉛直上方向における端部を含む。大径部112は、孔部11のうちの、小径部111よりも鉛直下方向の部分である。
小径部111により形成される孔の断面の直径は、所定の第1孔直径である。大径部112により形成される孔の断面の直径は、第1孔直径よりも大きい第2孔直径である。
【0029】
図1乃至
図4に表されるように、本体石20は、石材構造物1のうちの、台石10よりも鉛直上方向の部分を構成する。換言すると、本体石20は、台石10の鉛直上方に位置する。
【0030】
図5、
図8、及び、
図9に表されるように、本体石20は、鉛直方向にて延びる柱体状である。本例では、本体石20は、断面が円形状である。本例では、
図5に表されるように、本体石20は、鉛直方向における両端部を除いて、断面の直径が鉛直方向にて一定である。なお、本体石20は、断面の直径が鉛直方向にて変化していてもよい。また、本体石20は、断面が円形状と異なる形状(例えば、楕円形状、又は、多角形状等)であってもよい。
【0031】
図6に表されるように、本体石20は、本体石20のうちの、鉛直下方向における端面(換言すると、下端面)にて開口する有底の孔を形成する孔部21を有する。孔部21により形成される孔は、鉛直方向にて延びる柱体状である。本例では、孔部21により形成される孔の断面は、円形状である。孔部21により形成される孔の中心軸は、本体石20の中心軸を通る直線上に位置する。なお、孔部21により形成される孔の断面は、円形状と異なる形状(例えば、楕円形状、又は、多角形状等)であってもよい。
【0032】
更に、本体石20は、軸受体22を備える。軸受体22は、孔部21を被覆する。本例では、軸受体22は、樹脂(例えば、フッ素樹脂等)からなる。なお、軸受体22は、金属又は合金からなっていてもよい。
【0033】
軸受体22は、軸受体22のうちの下端面にて開口する有底の孔を形成する孔部23を有する。孔部23により形成される孔は、鉛直方向にて延びる柱体状である。孔部23により形成される孔の断面は、円形状である。孔部23により形成される孔の中心軸は、本体石20の中心軸を通る直線上に位置する。
【0034】
更に、石材構造物1は、軸棒30と、第1平板40と、第2平板50と、第3平板60と、締結体70と、を備える。本例では、軸棒30、第1平板40、第2平板50、第3平板60、及び、締結体70は、支持部を構成する。
【0035】
図6、
図8、及び、
図9に表されるように、軸棒30は、鉛直方向にて延びる柱体状である。軸棒30は、断面が円形状である。本例では、軸棒30は、金属又は合金からなる。なお、軸棒30は、樹脂からなっていてもよい。
【0036】
軸棒30は、第1径部31と、第2径部32と、第3径部33と、を備える。
第1径部31は、軸棒30のうちの、鉛直上方向における端部を含む。第2径部32は、軸棒30のうちの、第1径部31よりも鉛直下方向の部分である。第3径部33は、軸棒30のうちの、第2径部32よりも鉛直下方向の部分である。
【0037】
第1径部31の直径は、所定の第1軸直径である。第1軸直径は、孔部23により形成される孔の直径と略等しい。
図7に表されるように、第1径部31の鉛直方向における長さは、孔部23により形成される孔の鉛直方向における長さよりも、所定の第1ギャップ長G1だけ短い。
【0038】
第2径部32の直径は、第1軸直径よりも小さい第2軸直径である。
図7に表されるように、第2径部32の鉛直方向における長さL2は、第1ギャップ長G1に、後述の第1平板40の第1厚さT1を加えた長さよりも、所定の第2ギャップ長G2だけ長い。
【0039】
第3径部33の直径は、第2軸直径よりも小さい第3軸直径である。第3径部33の直径は、小径部111により形成される孔の断面の直径よりも小さい。第3径部33の鉛直方向における長さは、小径部111の鉛直方向における長さよりも長い。本例では、第3径部33は、小径部111のうちの下端面により形成される平面から鉛直下方へ突出する。
【0040】
第3径部33は、第3径部33の側壁面に、図示されない螺子(本例では、雄螺子)を有する。第3径部33が有する螺子は、後述の締結体70が有する螺子に螺合する。
【0041】
第1径部31は、軸受体22に対して摺動することにより回動可能であるように、孔部23により形成される孔に収容される。
【0042】
第1平板40は、所定の第1厚さT1を有する。第1平板40は、円形状である。なお、第1平板40は、円形状と異なる形状(例えば、多角形状、又は、楕円形状等)であってもよい。第1平板40は、鉛直方向にて第1平板40を貫通する貫通孔を形成する孔部41を有する。換言すると、第1平板40は、鉛直方向にて第1平板40を貫通する貫通孔を有する。孔部41により形成される貫通孔は、鉛直方向にて延びる柱体状である。
【0043】
本例では、孔部41により形成される貫通孔の断面は、円形状である。孔部41により形成される貫通孔の中心軸は、孔部23により形成される孔の中心軸を通る直線上に位置する。孔部41により形成される貫通孔の断面の直径は、第2径部32の直径よりも大きく、且つ、第1径部31の直径よりも小さい。
【0044】
第1平板40は、第1平板40のうちの、鉛直上方向における端面(換言すると、上端面)が、本体石20の下端面に接するように、本体石20に固定(本例では、接着)される。
このような構成により、孔部41により形成される貫通孔は、孔部23により形成される孔に連通する。従って、第1平板40は、孔部23により形成される孔の開口の一部分を閉じるとともに、当該孔の開口の他部分を開くように、本体石20の下端面に固定される。
【0045】
なお、孔部41により形成される貫通孔の断面は、円形状と異なる形状(例えば、多角形状、又は、楕円形状等)であってもよい。また、第1平板40は、複数の構成体により構成されていてもよい。
【0046】
第2平板50は、所定の第2厚さを有する。本例では、第2厚さは、第1厚さと等しい。なお、第2厚さは、第1厚さと異なっていてもよい。第2平板50は、円形状である。第2平板50の直径は、小径部111により形成される孔の断面の直径よりも大きい。なお、第2平板50は、円形状と異なる形状(例えば、多角形状、又は、楕円形状等)であってもよい。
【0047】
第2平板50は、鉛直方向にて第2平板50を貫通する貫通孔を形成する孔部51を有する。換言すると、第2平板50は、鉛直方向にて第2平板50を貫通する貫通孔を有する。孔部51により形成される貫通孔は、鉛直方向にて延びる柱体状である。
【0048】
本例では、孔部51により形成される貫通孔の断面は、円形状である。孔部51により形成される貫通孔の中心軸は、孔部11により形成される孔の中心軸を通る直線上に位置する。孔部51により形成される貫通孔の断面の直径は、第3径部33の直径よりも大きく、且つ、第2径部32の直径よりも小さい。
【0049】
第2平板50は、第2径部32のうちの下端面(換言すると、軸棒30のうちの、第2径部32と第3径部33との間の境界を構成し且つ水平面に沿って延びる壁面)と、台石10のうちの上端面と、に挟持されることにより固定される。
なお、第2径部32の直径が、小径部111により形成される孔の断面の直径よりも大きい場合、石材構造物1は、第2平板50を備えなくてもよい。
【0050】
第3平板60は、所定の第3厚さを有する。本例では、第3厚さは、第1厚さと等しい。なお、第3厚さは、第1厚さと異なっていてもよい。第3平板60は、円形状である。第3平板60の直径は、小径部111により形成される孔の断面の直径よりも大きい。なお、第3平板60は、円形状と異なる形状(例えば、多角形状、又は、楕円形状等)であってもよい。
【0051】
第3平板60は、鉛直方向にて第3平板60を貫通する貫通孔を形成する孔部61を有する。換言すると、第3平板60は、鉛直方向にて第3平板60を貫通する貫通孔を有する。孔部61により形成される貫通孔は、鉛直方向にて延びる柱体状である。
【0052】
本例では、孔部61により形成される貫通孔の断面は、円形状である。孔部61により形成される貫通孔の中心軸は、孔部11により形成される孔の中心軸を通る直線上に位置する。孔部61により形成される貫通孔の断面の直径は、第3径部33の直径よりも大きい。
【0053】
第3平板60は、締結体70のうちの上端面と、小径部111のうちの下端面(換言すると、台石10のうちの、小径部111と大径部112との間の境界を構成し且つ水平面に沿って延びる壁面)と、に挟持されることにより固定される。
なお、石材構造物1は、第3平板60を備えなくてもよい。
【0054】
このような構成により、第2径部32は、孔部41により形成される貫通孔を通って第1平板40を貫通するように第1径部31から鉛直下方へ突出する。更に、第3径部33は、孔部51により形成される貫通孔を通って第2平板50を貫通するように第2径部32から鉛直下方へ突出する。更に、第3径部33は、孔部61により形成される貫通孔を通って第3平板60を貫通するように、第3平板60よりも鉛直下方向へ突出する。
【0055】
締結体70は、第3径部33が有する螺子に螺合する、図示されない螺子(本例では、雌螺子)を有する。本例では、締結体70は、ナットである。締結体70は、第3径部33の鉛直下方向における端部にて、締結体70が有する螺子が、第3径部33が有する螺子に螺合することにより、第3径部33に締結される。
【0056】
このようにして、軸棒30は、鉛直下方向における端部が台石10に固定される。従って、本例では、台石10、第2平板50、第3平板60、及び、締結体70は、本体石20、軸棒30、及び、第1平板40に対して、取り外し可能に取り付けられる。
【0057】
以上により、本体石20は、台石10の鉛直上方において回動の中心軸が鉛直方向にて延びるように台石10に対して回動可能に軸棒30によって支持される。
【0058】
なお、締結体70は、ボルトであってもよい。この場合、軸棒30は、ボルトが有する螺子が螺合する螺子を内壁面に有し、軸棒30のうちの下端面にて開口する有底の孔を有してよい。
【0059】
(動作)
次に、第1実施形態の石材構造物1の動作について説明する。
本例では、本体石20に、本体石20の中心軸回りに回転させようとする力が加えられた場合、本体石20は、当該中心軸回りに台石10に対して回転する。これにより、本体石20を台石10に対して回動させることができる。
【0060】
更に、例えば、石材構造物1を運搬するために、本体石20が持ち上げられた場合、第1径部31が軸受体22に対して、第1径部31の中心軸に沿った方向にて摺動することにより、第1平板40のうちの上端面は、第1径部31のうちの下端面に当接する。これにより、本体石20は、軸棒30を介して台石10を支持する。この結果、本体石20と台石10とが分離することを防止できる。従って、石材構造物1を容易に運搬できる。
【0061】
以上、説明したように、第1実施形態の石材構造物1は、台石10と、本体石20と、台石10の鉛直上方において回動の中心軸が鉛直方向にて延びるように台石10に対して回動可能に本体石20を支持する支持部(本例では、軸棒30、第1平板40、第2平板50、第3平板60、及び、締結体70)と、を備える。
【0062】
本体石20は、鉛直下方向における端面である下端面にて開口する有底且つ円柱状の孔を有する。
支持部は、軸棒30と、第1平板40と、を備える。
第1平板40は、本体石20の孔の開口の一部分を閉じるとともに当該孔の開口の他部分を開くように、本体石20の下端面に固定される。
【0063】
軸棒30は、第1径部31と、第2径部32と、を備える。第1径部31は、本体石20の孔と略同じ直径である第1直径を有するとともに当該孔に回動可能に収容される。第2径部32は、第1直径よりも小さい第2直径を有するとともに、本体石20の孔の開口の他部分を通って第1平板40を貫通するように第1径部31から鉛直下方へ突出する。更に、軸棒30は、鉛直下方向における端部が台石10に固定される。
【0064】
これによれば、本体石20が持ち上げられた場合、本体石20に固定された第1平板40が、第1径部31のうちの、鉛直下方向における端面に当接する。これにより、軸棒30が本体石20とともに持ち上げられる。従って、軸棒30が固定された台石10も、本体石20とともに持ち上げられる。
【0065】
このように、石材構造物1によれば、台石10が本体石20から脱落することを防止しながら、軸棒30が本体石20を貫通することなく本体石20を回動可能に支持できる。これにより、本体石20を台石10に対して回動させることができる。また、石材構造物1を容易に運搬できる。
【0066】
更に、第1実施形態の石材構造物1において、第1平板40は、本体石20の孔に連通する円形状の貫通孔を有する。
【0067】
本体石20が持ち上げられた場合、軸棒30、及び、台石10の重さによって生じる力が第1平板40に加えられる。これに対し、石材構造物1によれば、第1平板40に加えられる力を、周方向にて均等に分散できる。これにより、第1平板40が本体石20から剥がれること、又は、第1平板40が破損することを抑制できる。
【0068】
更に、第1実施形態の石材構造物1において、第1径部31の鉛直方向における長さは、本体石20の孔の鉛直方向における長さよりも、所定の第1ギャップ長G1だけ短い。
【0069】
本体石20が持ち上げられていない状態において、第1径部31のうちの、鉛直下方向における端面が第1平板40に接すると、本体石20を回動させた場合に、当該端面が第1平板40に対して摺動することにより、音が発生する。これに対し、石材構造物1によれば、本体石20が持ち上げられていない状態において、第1径部31のうちの、鉛直下方向における端面が第1平板40に接しない。従って、本体石20を回動させた場合における音の発生を抑制できる。
【0070】
更に、第1実施形態の石材構造物1において、第2径部32の鉛直方向における長さは、第1ギャップ長G1に第1平板40の第1厚さT1を加えた長さよりも、所定の第2ギャップ長G2だけ長い。
【0071】
第2径部32の鉛直方向における長さが、第1ギャップ長G1に第1平板40の第1厚さT1を加えた長さと等しい場合、本体石20が持ち上げられていない状態において、第1平板40が台石10に接する。従って、本体石20を回動させた場合に、第1平板40が台石10に対して摺動することにより、音が発生する。これに対し、石材構造物1によれば、本体石20が持ち上げられていない状態において、第1平板40が台石10に接しない。従って、本体石20を回動させた場合における音の発生を抑制できる。
【0072】
<第1実施形態の第1変形例>
次に、第1実施形態の第1変形例の石材構造物について説明する。第1実施形態の第1変形例の石材構造物は、第1実施形態の石材構造物に対して、本体石が突出部を備える点が相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第1変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0073】
図10乃至
図12に表されるように、第1実施形態の第1変形例の石材構造物1Aは、本体石20に代えて、本体石20Aを備える。
図10は、石材構造物1Aの右前上方斜視図である。
図11は、石材構造物1Aの背面図である。
図12は、
図11のXII-XII線により表される平面により切断された石材構造物1Aの断面をx軸の負方向にて見た図である。
【0074】
図12に表されるように、本体石20Aは、本体石20Aのうちの下端面の外縁部にて鉛直下方へ突出する突出部24Aを備える。従って、突出部24Aは、第1平板40の外周に位置する。本例では、突出部24Aは、本体石20Aのうちの下端面の外縁部の全体に亘って延在する。なお、突出部24Aは、本体石20Aのうちの下端面の外縁部の一部のみに亘って延在していてもよい。本例では、突出部24Aの鉛直方向における長さは、第1平板40の第1厚さT1よりも長い。
【0075】
第1実施形態の第1変形例の石材構造物1Aによれば、第1実施形態の石材構造物1と同様の作用及び効果が奏される。
更に、第1実施形態の第1変形例の石材構造物1Aにおいて、本体石20Aは、本体石20Aの下端面のうちの、第1平板40の外周にて鉛直下方へ突出する突出部24Aを備える。
【0076】
これによれば、
図11に表されるように、水平方向にて石材構造物1Aを見た場合に、突出部24Aにより第1平板40を遮蔽できる。これにより、本体石20Aと台石10とが連結される部分(換言すると、連結部)に水が浸入することを抑制できる。この結果、連結部の劣化を抑制できる。
【0077】
<第1実施形態の第2変形例>
次に、第1実施形態の第2変形例の石材構造物について説明する。第1実施形態の第2変形例の石材構造物は、第1実施形態の石材構造物に対して、本体石の鉛直方向における長さが相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第2変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0078】
図13及び
図14に表されるように、第1実施形態の第2変形例の石材構造物1Bは、本体石20に代えて、本体石20Bを備える。
図13は、石材構造物1Bの右前上方斜視図である。
図14は、石材構造物1Bの背面図である。
【0079】
図13及び
図14に表されるように、本体石20Bの鉛直方向における長さは、本体石20の鉛直方向における長さよりも長い。
第1実施形態の第2変形例の石材構造物1Bによれば、第1実施形態の石材構造物1と同様の作用及び効果が奏される。
【0080】
<第1実施形態の第3変形例>
次に、第1実施形態の第3変形例の石材構造物について説明する。第1実施形態の第3変形例の石材構造物は、第1実施形態の石材構造物に対して、本体石の形状、及び、笠石を備える点が相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第3変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0081】
図15乃至
図23に表されるように、第1実施形態の第3変形例の石材構造物1Cは、本体石20に代えて、本体石20Cを備えるとともに、笠石80Cを備える。
【0082】
図15は、石材構造物1Cの右前上方斜視図である。
図16は、石材構造物1Cの右前下方斜視図である。
図17は、石材構造物1Cの平面図である。
図18は、石材構造物1Cの背面図である。
図19は、
図18のXIX-XIX線により表される平面により切断された石材構造物1Cの断面をx軸の負方向にて見た図である。
図20は、本体石20Cの平面図である。
図21は、笠石80Cの右前下方斜視図である。
図22は、笠石80Cの底面図である。
図23は、笠石80Cの背面図である。
【0083】
図19及び
図20に表されるように、本体石20Cは、本体石20Cのうちの上端面にて開口する有底の孔を形成する孔部25Cを有する。孔部25Cにより形成される孔は、鉛直方向にて延びる柱体状である。本例では、孔部25Cにより形成される孔の断面は、円形状である。孔部25Cにより形成される孔の中心軸は、本体石20Cの中心軸を通る直線上に位置する。なお、孔部25Cにより形成される孔の断面は、円形状と異なる形状(例えば、楕円形状、又は、多角形状等)であってもよい。
例えば、孔部25Cにより形成される孔には、遺品が収容されてよい。
【0084】
図19に表されるように、笠石80Cは、孔部25Cにより形成される孔の開口を閉じるように、本体石20Cの上端面に載置される。
【0085】
第1実施形態の第3変形例の石材構造物1Cによれば、第1実施形態の石材構造物1と同様の作用及び効果が奏される。
【0086】
<第1実施形態の第4変形例>
次に、第1実施形態の第4変形例の石材構造物について説明する。第1実施形態の第4変形例の石材構造物は、第1実施形態の石材構造物に対して、本体石の形状、及び、台石の形状が相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第1実施形態の第4変形例の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0087】
図24乃至
図29に表されるように、第1実施形態の第4変形例の石材構造物1Dは、台石10に代えて、台石10Dを備えるとともに、本体石20に代えて、本体石20Dを備える。
【0088】
図24は、石材構造物1Dの右前上方斜視図である。
図25は、石材構造物1Dの右前下方斜視図である。
図26は、石材構造物1Dの平面図である。
図27は、石材構造物1Dの底面図である。
図28は、石材構造物1Dの背面図である。
図29は、
図28のXXIX-XXIX線により表される平面により切断された石材構造物1Dの断面をx軸の負方向にて見た図である。
【0089】
図24乃至
図29に表されるように、台石10Dは、断面が正方形状である。本例では、
図28に表されるように、台石10Dは、断面の辺の長さが鉛直方向にて変化する。なお、台石10Dは、断面の辺の長さが鉛直方向にて一定であってもよい。
【0090】
図24乃至
図29に表されるように、本体石20Dは、断面が正方形状である。本例では、
図28に表されるように、本体石20Dは、鉛直方向における両端部を除いて、断面の辺の長さが鉛直方向にて一定である。なお、本体石20Dは、断面の辺の長さが鉛直方向にて変化していてもよい。
【0091】
第1実施形態の第4変形例の石材構造物1Dによれば、第1実施形態の石材構造物1と同様の作用及び効果が奏される。
【0092】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【符号の説明】
【0093】
1,1A,1B,1C,1D 石材構造物
10,10D 台石
11 孔部
111 小径部
112 大径部
20,20A,20B,20C,20D 本体石
21 孔部
22 軸受体
23 孔部
24A 突出部
25C 孔部
30 軸棒
31 第1径部
32 第2径部
33 第3径部
40 第1平板
41 孔部
50 第2平板
51 孔部
60 第3平板
61 孔部
70 締結体
80C 笠石