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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-22
(54)【発明の名称】魚類の飼育と植物の栽培とを行う構造物
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20230511BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20230511BHJP
   A01G 9/00 20180101ALI20230511BHJP
【FI】
A01K63/00 A
A01K63/04 A
A01G9/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019064126
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020162436
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成31年2月1日~3日 インテックス大阪で開催された大阪釣り具協同組合主催の「フィッシングショーOSAKA2019」において展示品として発表 平成31年1月29日、2月8日 株式会社ルミカのウェブサイトで、「第56回目を迎える釣りの一大イベント「フィッシングショーOSAKA2019」に出展いたします」および「「フィッシングショーOSAKA 2019」出展レポート」をウェブサイトにて公開(ウェブサイトのアドレス:https://www.lumica.co.jp/2019/01/29/8230/ https://www.lumica.co.jp/2019/02/08/8301/)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年(2018年)11月2日、11月20日、12月6日、平成31年(2019年)1月24日、1月30日、1月31日、2月3日、2月4日、2月9日、2月17日、2月28日、3月14日 株式会社ルミカのウェブサイトで、「日々是如夢 士郎の珍奇な発見と妄想」の、「アイパオの話(その14)」、「アイパオの話(その20)」、「アイパオの話(その21)」、「アイパオの話(その22)」、「アイパオの話(その23)」、「アイパオの話(その24)」、「アイパオの話(その25)」、「アイパオの話(その26)」、「アイパオの話(その27)」、「アイパオの話(その28)」、「アイパオの話(その29)」、および「アイパオの話(その30)」をウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (ウェブサイトのアドレス:https://www.lumica.co.jp/shiro/2018/11/02/アイパオの話その14/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2018/11/20/アイパオの話その20/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2018/12/06/アイパオの話その21/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/01/24/アイパオの話その22-2/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/01/30/アイパオの話その22/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/01/31/アイパオの話その24/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/02/03/アイパオの話その25/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/02/04/アイパオの話その26/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/02/09/アイパオの話その27/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/02/17/アイパオの話その28/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/02/28/アイパオの話その29/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/03/14/アイパオの話その30/ https://www.lumica.co.jp/shiro/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/shiro/page/2/ https://www.lumica.co.jp/shiro/page/3/ https://www.lumica.co.jp/shiro/page/4/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/03/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/02/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2019/01/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2018/12/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2018/11/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2018/11/page/2/ https://www.lumica.co.jp/shiro/2018/11/page/3/)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成31年2月4日~3月28日 株式会社ルミカ 本社・研究所駐車場で、構造物の設置・実証試験を行った。 平成31年2月4日~3月28日 アプリケーションソフトMIPCで、株式会社ルミカ 本社・研究所駐車場で設置・実証試験を行った構造物を公開した。 平成31年2月15日、2月16日、2月19日、3月14日 動画投稿サイトYouTubeで、「2019年2月16日」、「2019年2月17日」、「フィッシングショー大阪2019会場でアイパオを組立てました」、「フィッシングショー2019大阪でアイパオがデビューしました」、および「魚植共生」をウェブサイトにて公開(ウェブサイトのアドレス:https://www.youtube.com/watch?v=l6_poRxcIxw https://www.youtube.com/watch?v=trUDL1gVo2M https://www.youtube.com/watch?v=hU6cj5sb1-I https://www.youtube.com/watch?v=DeB9iAsG62I https://www.youtube.com/watch?v=SNLmiEev3pU)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年12月29日、平成31年(2019年)2月2日、2月6日、2月7日、2月12日、3月14日「夜々如泣如訴」の「足りない足りない」、「一大イベント!」、「フィッシングショーOSAKA2019《Task編》」、「フィッシングショーOSAKA2019《Task編》▲2▼」、「さぁ41期です。」および「ルミカ会社説明会」をウェブサイトにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (ウェブサイトのアドレス:https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2018/12/29/post-1589/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2018/12/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2018/12/29/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/food-review/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/food-review/page/2/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/work/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/work/page/2/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/office/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/daily/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/daily/page/2/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/daily/page/3/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/1日24時間では足りない/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ラーメンとん太の醤油豚骨ラーメン/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/工具の整理/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ルミカ%e3%80%80アイパオ/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/釣り用防寒着/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/staff_blot/2019/02/02/post-1713/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/page/2/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/02/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ルミカ/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/フィッシングショーosaka-2019/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/大閃光エイト/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/48時間発光/ https://www.lumica.co.jp/staff_blot/tag/災害救助用ライト/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/防災用ライト/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/推しの誕生日/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ドラァグクイーン/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/06/post-1752/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/06/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/category/trip_event/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/釣りの禁断症状/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ipao/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/サクラマス/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/タコパ/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/麺とかき氷/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/07/post-1765/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/07/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/やはりラーメン/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/お得なチャー玉丼/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/魚植共生館/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/開発館/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ラーメン館/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ラーメン即日完売/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/サクラマスの稚魚/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/来年も期待/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/12/post-1790/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/02/12/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ケミホタル/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ルミカ新卒採用/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/2020年卒%e3%80%80新卒採用/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ルミカ会社説明会/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/フィッシングショー大阪2019/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/03/14/post-1980/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/03/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/2019/03/14/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/2020年新卒向け会社説明会/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/ひとに何かを伝えるのは難しい/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/tag/大事なのはテクニックより想い/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.lumica.co.jp/staff_blog/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/page/2/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/page/3/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/page/4/ https://www.lumica.co.jp/staff_blog/page/5/)
(73)【特許権者】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】原田 士郎
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132238(JP,A)
【文献】特開2008-199915(JP,A)
【文献】特開2011-135796(JP,A)
【文献】特開昭59-210836(JP,A)
【文献】特開平05-168368(JP,A)
【文献】特開平05-305800(JP,A)
【文献】特開2013-078296(JP,A)
【文献】特開2014-050369(JP,A)
【文献】登録実用新案第3196077(JP,U)
【文献】意匠登録第1432425(JP,S)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0045793(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00-65/00
A01K 61/80-63/10
A01G 9/00- 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視したとき略環状の水槽部と、前記水槽部の上部に設けられた棚に配置されたプランターと、を有し、
構造物の外周に配置された複数の外側柱部と、前記複数の外側柱部に接続されて、前記プランターの上部に構造物を覆う屋根部とを有し、
前記水槽部の外形が、幅2000mm以上である魚類の飼育と植物の栽培とを行う構造物。
【請求項2】
前記プランターの底部に、孔および/またはメッシュフィルターを有し、
前記プランターが、土を収容したものであり、
前記プランターの底部から前記水槽部に、前記プランターから漏出した水が供給される請求項1記載の構造物。
【請求項3】
前記屋根部に、太陽光発電パネルを設置した請求項記載の構造物。
【請求項4】
扉部を有し、内側に中空部を有し、前記水槽の上部に複数段の棚を有する請求項1~3のいずれかに記載の構造物
【請求項5】
記外側柱部の内側の内周に配置された複数の内側柱部とを有し、
前記複数の外側柱部の間に板状部材を配置して前記水槽部の第一の壁とし、
前記複数の内側柱部の間に板状部材を配置して前記水槽部の第二の壁とし、
前記第一の壁と前記第二の壁との底辺間に板状部材を配置して底部とすることで形成された前記水槽部を有する請求項1~4のいずれかに記載の構造物。
【請求項6】
平面視の外形が6角形以上の多角形である請求項1~5のいずれかに記載の構造物。
【請求項7】
前記水槽の水を前記水槽部の上部にくみ上げるポンプおよび前記水槽部の水をろ過するろ過器を、前記水槽部の上部の棚に有する請求項1~6のいずれかに記載の構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類の飼育と植物の栽培とを行うことができる構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類の水産養殖と水耕栽培とを組み合わせた有機循環システムは、魚類が排出する有機物を水耕栽培される植物が利用する循環型のシステムである。この有機循環システムは、水産養殖(Aquaculture)と水耕栽培(Hydroponics)とから、アクアポニックス(Aquaponics)ともよばれている。
【0003】
特許文献1は、魚を飼育する水槽に水替えを長期間しなくて済むようにし、併せて無農薬の水耕栽培をすることができるようにする水槽のろ過装置とろ過方法及び水耕栽培装置と水耕栽培方法を開示するものである。
特許文献2は、魚類養殖と水耕栽培を合体し、循環給水にサイフォン管の活用等で省エネを図って魚類養殖と水耕栽培を可能にする魚類養殖・水耕栽培装置を開示するものである。
特許文献3は、観賞魚水槽と観葉植物を有する植木鉢を一体化することによって、小型の観賞魚の飼育と観葉植物の水耕栽培を同じに楽しむことができ、且つ観賞性を高める観賞魚水槽を有する水耕栽培を開示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-131018公報
【文献】実用新案登録第3158233号公報
【文献】特開2006-271355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
魚類を飼育する水槽と、水耕栽培等される植物とを組み合わせたものが提案されているが、飼育できる魚類が制限されたり、魚類と植物の組み合わせによって、使用する設備等が異なるときに、それらを設置する場所が十分に確保しにくい場合があった。また、魚類が泳ぎ回る様子を観察しにくいものであった。
【0006】
係る状況下、本発明の目的は、多様な魚類の飼育に用いることができ、プランターや、維持管理の設備等の組み換えを自在に行うことができ、興趣性に優れた魚類の飼育と植物の栽培を行うことができる構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0008】
<1> 平面視したとき略環状の水槽部と、前記水槽部の上部に設けられた棚に配置されたプランターと、を有する魚類の飼育と植物の栽培とを行う構造物。
<2> 前記プランターの上部に構造物を覆う屋根部を有する前記<1>記載の構造物。
<3> 前記屋根部に、太陽光発電パネルを設置した前記<2>記載の構造物。
<4> 前記水槽部の外形が、幅2000mm以上である前記<1>~<3>のいずれかに記載の構造物。
<5> 構造物の外周に配置された複数の外側柱部と、前記外側柱部の内側の内周に配置された複数の内側柱部とを有し、
前記複数の外側柱部の間に板状部材を配置して前記水槽部の第一の壁とし、
前記複数の内側柱部の間に板状部材を配置して前記水槽部の第二の壁とし、
前記第一の壁と前記第二の壁との底辺間に板状部材を配置して底部とすることで形成された前記水槽部を有する前記<1>~<4>のいずれかに記載の構造物。
<6> 平面視の外形が6角形以上の多角形である前記<1>~<5>のいずれかに記載の構造物。
<7> 前記水槽の水を前記水槽部の上部にくみ上げるポンプおよび/または前記水槽部の水をろ過するろ過器を有する前記<1>~<6>のいずれかに記載の構造物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多様な魚類の飼育に用いることができ、プランターや、維持管理の設備等の組み換えを自在に行うことができる構造物が提供され、この構造物は興趣性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る構造物の第一の実施形態の正面概略図である。
図2】本発明に係る構造物の第一の実施形態の断面概略図である。
図3】本発明に係る構造物の設置例を示す像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0012】
[本発明の構造物]
本発明の構造物は、平面視したとき略環状の水槽部と、前記水槽部の上部に設けられた棚に配置されたプランターと、を有する。この構造物は、魚類の飼育と植物の栽培とを行うために用いられる。このような構造物とすることで、多様な魚類の飼育に用いることができ、プランターや、維持管理に用いられる設備等の組み換えを自在に行うことができる。また、この構造物は、一体感があり魚類と植物が共生している様子を外観からも感じることができる構造である。また、多様な方向から魚類やプランターの植物等を観察することができ興趣性も優れている。
【0013】
本発明者らは、魚類の飼育と植物の栽培を両立するにあたって、意匠登録第1432425号公報に開示されているドーム型組立構造物のような組立て構造物の利用を検討した。この組立て構造物は、平面視したとき12角形となる多角形の頂点に位置する部分に配置された外側の柱部材と、外側の柱部材の内側に設けられた内側の柱部材とを有しており、これらの間に横架材を設けて、さらに横架材間に水平方向に板状部材を設けることで、組立構造物の中心から見たとき周囲に複数段の棚を有する構造となっている。
本発明者は、この構造物の外側の柱部材や、内側の柱部材、棚などの構造等を利用することで、従来の水槽よりも多様な魚類の飼育に適しており、かつ、植物のプランターや、これらの維持管理のための設備の組み換えや利用が容易となり、興趣性に優れた構造物を創作した。
【0014】
[第一の実施形態]
本発明に係る構造物の第一の実施形態を図1、2に示す。図1は、構造物10は正面視したときの外観図である。図2は、構造物10をA-A線から鉛直方向下側に見た断面図である。構造物10は、水槽2と、その上部の棚1411、1412などに設けられたプランター31~34を有している。
【0015】
[水槽2]
構造物10は、水槽2を有している。水槽2は、図2に示すように平面視したとき略環状である。水槽2の外形は円のみでなく、多角形でよい。平面視したとき略環状の水槽部の中で魚類が一方向に泳ぎ続けることができる。このため、泳ぎ続けやすいことで魚へのストレスを抑えることができ、また長時間泳ぎ続ける生態の魚類も含めた多様な魚類を飼育することができる。
【0016】
構造物10は、構造物10の外周に配置された外側柱部1101~1112と、その内側に配置された内側柱部1201~1212を有している。さらに、互いに隣り合う、外側柱部1101~1112と、内側柱部1201~1212との間に、横架材を設けて、同じ高さの横架材間に板状部材を配置した棚を有する。例えば、外側柱部1101、1102と、内側柱部1201、1202との4本の柱部材の間には、上段に棚1411、その下段に棚1412が設けられ、棚1412の下は水槽2となっている。また、鉛直方向に垂直な外側柱部材の上部から高さ方向のより高い方向に向かって内側に傾斜する屋根用柱部材を設けることでドーム状の屋根部13を有する。これらの柱部材や横架材、板状部材は、金属部材や樹脂、木材等を成形したものなどを用いることができる。
【0017】
[プランター31~34]
構造物10は、プランター31~34を有する。これらのプランターは、水槽2の上部に置かれており、構造物10の柱部や横架材の間に配置された板状部材による棚の上に配置されている。例えば、プランター31は、棚1411の上に、プランター32は棚1412の上に置かれている。このプランター31~34を用いて植物を栽培することができ、これらの植物に、水槽2の水をくみ上げて供給する。植物は、任意の植物を広く栽培することができるが、例えば、シマラッキョウやネギ、レタスなど食用できるものを栽培してもよいし、観葉植物や花などを栽培してもよい。また、水耕栽培を行う植物等を栽培するものとしてもよい。
【0018】
水槽2は、魚類の飼育に伴い、残餌や排泄物等の有機物が含まれた状態となる。これらの有機物が水槽内の水に滞積すると、水質が悪化して魚類が病気になったり死んだりする場合がある。本発明ではこれらの有機物を含む水をプランター31~34等に供給することで、プランター31~34の土や砂、石などによるろ過や土壌細菌等により分解され、栽培されている植物の栄養として利用される。
【0019】
プランター31~34の底部には適宜孔やメッシュフィルター等を設けることができ、プランター31~34の土や砂、石などで保持できる量を超えたり、底部まで浸透した水は、プランター31~34の底部から水槽2の方向へと漏出する構成となる。この底部から水槽2に向かって漏出する水は、プランター31~34内の土や砂、石などでろ過された清浄度が高い状態である。このように、構造物10は、廃棄される有機物等の発生が極めて少ない循環型のシステムとなる。
【0020】
[外側柱部1101~1112、内側柱部1201~1212]
構造物10は、その骨組みとなる組立て構造物の外側柱部1101~1112や内側柱部1201~1212などを利用して、水槽2を設けている。この水槽2の構成例について、以下に詳述する。
【0021】
例えば、外側柱部1101と外側柱部1102のように隣り合う柱部材間の底部付近に板状部材を設ける。次に、同様に外側柱部1102と外側柱部1103の間にも板状部材を設ける。これを、順次繰り返すことで、外側柱部間を周状に板状部材でつないだ第一の壁21を設ける。
【0022】
同様に内側柱部1201と内側柱部1202のように隣り合う柱部材間の底部付近に板状部材を設ける。次に、同様に内側柱部1202と内側柱部1203の間にも板状部材を設ける。これを、順次繰り返すことで、内側柱部間を周状に板状部材でつないだ第二の壁22を設ける。
【0023】
これにより図2に示すような内側柱部1201~1212間をつないだ内側の多角形(12角形)と、外側柱部1101~1112間をつないだ外側の多角形(12角形)との間に環状部が生じる。この環状部を、水槽2の水路として利用する。なお、第二の壁22の内側には、中空部15が生じ、構造物10内の作業エリアや鑑賞エリア、居住エリアとして利用することができる。
【0024】
水槽2は、構造物10を配置した床面を底部としてもよいが、第一の壁と第二の壁との底辺間にさらに板状部材を設けて底部とすることが好ましい。
【0025】
第一の壁や第二の壁、水槽2の底部に用いられる板状部材は、水槽2に用いられる任意のものを用いてよい。例えば、アクリル板やポリカーボネート板のような透明で耐水性を有するような部材とすることができる。また、部材に合わせて、部材間の隙間には溶着等を行ってより漏れが生じないものとすることができるし、水路用のフィルム部材を配置して、その周囲を板状部材で補強するものとしてもよい。水路用のフィルム部材は、水路の形状に合わせたものを用いることができる。また、水槽2の水圧に耐えられるように板状部材の周囲に補強部材などを設けてもよい。
【0026】
このような構成とすることで、組み立て構造物の構造を活用して、環状の水槽2を効率よく得ることができる。また、この環状の水槽2は、周回する流路が形成されており水流も調整しやすいため魚類が泳ぎやすい。また、中央にも水を張る構造よりも少ない水量で、外形としては大型の水槽2とすることができ、それぞれの壁への水圧も低下する。さらに、周囲や、内部、水槽の上からなど、多様な方向から魚類を観察することができる。これは、魚類が泳ぎやすい構造であることも含めて、魚類の成長状態や、体調なども多様な方向から確認でき、さらに、魚類が泳ぐ速度や活発さから、その状態を把握することもできる点でも優れている。
【0027】
水槽2の外形は、幅2000mm以上であることが好ましい。水槽2の外形をこのような大きさとすることで、環状部となる水槽2が十分に大きな円状を描くような水路を確保することができ、多くの種類の魚類に適した泳ぎやすい水槽とすることができる。また、このような大きさのとき、水槽2の上に棚1411、1412等を設けて、その上にプランター等を置くとき、プランターの大きさも比較的大きなものも用いることができる。
【0028】
水槽2の外形は、2500mm以上や3000mm以上とすることもできる。その上限は特に定めなくてもよいが、過剰に大きいと、構造物の製造が難しく、設置できる場所が限定され、相対的に水量も多くなり水槽2を設計するときの板状部材等の選定が難しくなる。このため、10000mm以下や、7000mm以下、5000mm以下のような上限を設けてもよい。このような範囲の大きさのとき、少人数の人が中で鑑賞や作業等が行いやすく全体を把握しやすいものとなり、より一体感がある構成となる。
【0029】
水槽2の第一の壁21と第二の壁22との間隙に相当する水路の幅は、20cm以上や30cm以上など任意の幅としてよい。また上限も構造物10の大きさや、棚の大きさ等も考慮して適宜設定することができ、例えば1.2m以下や、1.0m以下、0.8m以下のような上限を設けてもよい。
【0030】
水槽2の深さは、飼育する魚類等を考慮して使用時の水深に応じて設定することができ、水槽2の深さとしては第一の壁、第二の壁の高さと、底板を設けた場所により、適宜その深さが設定される。水深としては、例えば20~80cmや、30~70cmとすることができる。また、その使用時の水深の上限よりも、10cm以上や、20cm以上、30cm以上程度を適宜水槽2の深さとすることができる。水槽2に用いる水は、飼育する魚類や栽培する植物に応じて、適宜選択することができ、淡水や海水、またこれらの組み合わせ程度の濃度のものなどを適宜利用することができる。植物の選択肢を多様にする観点からは、淡水を用いてもよい。魚類としては、任意のものを飼育することができるが、例えば、ヤマメやアユ、メダカ、キンギョ、コイなどを飼育することができる。
【0031】
構造物10の全高さは、例えば0.8m以上や、1.0m以上、1.5m以上などとすることができる。全高さの上限は、4m以下や、3.5m以下としてもよい。人が入って作業等を行いやすいように、外側柱部1101~1112と、内側柱部1201~1212の高さとして、1.5m以上や、1.8m以上とすることができる。外側柱部1101~1112と、内側柱部1201~1212の高さの上限は、人が入って上段まで操作しやすいように、2.5m以下や、2.0m以下としてもよい。さらに、外側柱部1101~1112と、内側柱部1201~1212の上部に設ける屋根部13の高さは、0.5m以上や0.8m以上、1.0m以上とすることができる。その上限は、1.5m以下や、1.4m以下としてもよい。
【0032】
構造物10は、平面視したとき外径が12角形である。多角形とすることで、第一の壁21と、第二の壁22とを設けることで生じる水槽2の水路が、円に近い状態で周回するものとなり、鋭角で急な方向転換を行う必要がなく魚類が泳ぎやすくなる。構造物10は、平面視したとき、正十二角形としているが、この外形は他の形状でもよく、平面視したときの外形は6角形以上が好ましい。より好ましくは、8角形以上が好ましく、10角形以上がより好ましい。多角形の形状の上限は特に定めず、弧を描く辺も設けてもよく、円となるものでもよい。柱部材の本数が多すぎると設計が複雑となったり、上部に設けられる棚やプランターの幅を制限する恐れがあるため、20角形以下や、16角形以下のような上限を設けてもよい。
【0033】
構造物10は扉部16を有するものとすることができる。構造物10の内側の中空部15に入って、利用者は内側から、作業や鑑賞等を行うことができる。この出入りのために、構造物10は出入口となる扉部16を有するものとすることができる。この出入り口となる扉部16を設ける構造をより詳しく説明する。構造物10は、隣り合う外側柱部1102、1103と、内側柱部1202、1203との間に、棚1411と同じ段の横架材や板状部材を設けず、開放した状態である。この開放部は利用者が出入りしやすい大きさとすることができ、この開放部に開閉自在に取り付けたものが扉部16である。なお、この扉部16は、構造物10の設置場所や用途等を考慮して、適宜取り外して開放した通路としてもよい。
【0034】
[送水ポンプ41、42]
構造物10は送水ポンプ41、42を有する。送水ポンプ41、42は、水槽2の水を水槽2の上部にくみあげて供給するくみあげ器として用いる。送水ポンプ41は、プランター31、32に水を供給する。送水ポンプ42は、プランター33、34に水を供給する。
【0035】
[設置機器43~45]
構造物10は、設置機器43~45を有することができる。構造物10は、多数の棚を有している。この棚には、様々な設置機器43~45を設置することができる。これらの設置機器43~45としては、例えば、水槽2の水のろ過器や、給餌器、散水機、照明、水温調整機器、カメラ、構造物10のメンテンナス備品、水槽2への酸素供給機などを、飼育する魚類や、栽培する植物、利用目的や、使用者の嗜好、季節、周辺環境などを考慮して、適宜配置して用いることができる。このように、構造物10は維持管理のための設備の組み換えや利用も容易であり、興趣性にも優れている。
【0036】
なお、横架材間に配置する棚は、透明な板状部材にして水槽2を鑑賞するための窓としてもよい。また、棚を設けずに、水槽2を上部から作業するための開口部としてもよい。
【0037】
[階段5]
構造物10は階段5を有する。階段5は、扉部16からの出入りを容易にするために設けることができる。なお、構造物10の内部にも内側用の階段を設けてもよい。
【0038】
[太陽光パネル6]
構造物10は太陽光パネル6を有する。構造物10は、ドーム状の屋根部13を有するため、その設置場所に応じて、太陽光が効率よく照射される面などに太陽光パネルを設置することができる。この太陽光パネルを用いて発電させて、その電気を用いて、送水ポンプ41、42や、電力を消費する設備機器43~45などを使用することができる。このような構成とすることで電力が必要な機器を併用する場合も、構造物10単独で独立した構造単位で任意の場所で長期間使用することもできる。
【0039】
構造物10の外側には、フィルムや布等を張って周囲を被覆した状態で使用することもでき水槽や植物、各種機器等を雨風などから保護することができる。また、構造物10は、屋内で用いてもよいし、屋外で用いてもよい。なお、構造物10の設備等に用いる、バッテリーや、酸素ボンベ、充電器などは内側に配置することで、全体の外観としては、ドーム状の一体感を維持することができ、これらの各種機器等をより雨風などから保護することもできる。
【0040】
図3は本発明に係る構造物の使用例を示す像である。図3(a)は屋外に設置された構造物である。屋根部には透明な樹脂板を設け、構造物内に雨が入り込みにくい構造としている。また、外側柱部と内側柱部を利用して最下段を環状の水槽として、その上段の複数の棚にプランターやろ過機等を設けている。
図3(b)は屋内に設置された構造物である。最下段を環状の水槽として、水槽の上の段の横架材間には棚を設けずに水槽を上からも観察しやすい構造としている。また、さらに上の段の横架材間に棚を設けて植物のプランターとしている。また、屋根部の内側から構造物内全体を照らす照明を設けており、内側から水槽やプランターを観察しやすい構造としている。いずれも出入りがしやすいように扉は設けず、水槽の上の段の一部に横架材がを設けないことで通用口を設けている。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、魚の飼育や植物の栽培に利用することができ、これらを同時に行う用途で用いることができ産業上有用である。
【符号の説明】
【0042】
10 構造物
1101~1112 外側柱部
1201~1212 内側柱部
13 屋根部
1411、1412 棚
15 中空部
16 扉部
2 水槽
21 第一の壁
22 第二の壁
31~34 プランター
41、42 送水ポンプ
43~45 設置機器
5 階段
6 太陽光パネル
図1
図2
図3