(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
F24C3/00 J
(21)【出願番号】P 2019174021
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 英展
(72)【発明者】
【氏名】井本 琢磨
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035511(JP,A)
【文献】特開2011-052839(JP,A)
【文献】特開2016-041982(JP,A)
【文献】特開2016-118337(JP,A)
【文献】特開2013-213643(JP,A)
【文献】特開2005-331161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナを収容する筐体部と、
前記筐体部の前部に固定されるフロント部と、
前記フロント部の前側に装着される化粧パネルと、
を備えるコンロであって、
前記化粧パネルは、
前記フロント部を前側から覆うパネル本体と、
前記パネル本体の上端部側に設けられるロック部と、
を有し、
前記ロック部は、少なくとも第1位置と第2位置との間で左右方向に移動可能な構成をなし、
前記フロント部は、前記ロック部の少なくとも一部を左右方向に移動可能に収容する収容部を有し、
前記収容部は、
前記化粧パネルが前記フロント部に装着されつつ前記ロック部が当該収容部内に収容された収容状態において前記ロック部の下方に配置される底壁部と、
前記底壁部から立ち上がる構成をなし、前記ロック部が前記収容状態で前記第2位置にあるときに前記ロック部の前側への移動を規制する前壁部と、
前記収容部の内部から外部に通じる開放領域を構成するとともに、前記ロック部が前記収容状態で前記第1位置となったときに前記ロック部の前側への移動を許容する開放部と、
を具備し、
前記開放部における下側内縁部には、前記底壁部より上方に突出する堰部が設けられている
コンロ。
【請求項2】
前記堰部は、前記開放部の下部における左右方向全体に設けられている
請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記底壁部の上面の少なくとも一部は、左右方向一方側に向かうにつれて下降する傾斜面として構成され、
前記収容部における左右方向一方側の端部側には、前記収容部に入り込んだ液体の排出経路となる排出部が設けられている
請求項1又は請求項2に記載のコンロ。
【請求項4】
前記排出部は、前記収容部の左右方向一方側に配置されるとともに前記左右方向に沿って延びる溝部を有し、
前記収容部内の空間と前記溝部内の空間とが通じており、
前記溝部における左右方向一方側の端部が開放している
請求項3に記載のコンロ。
【請求項5】
前記溝部の左右方向一方側には、前記端部に達した液体を下方に誘導する面を構成する誘導部が設けられ、
前記誘導部は、前記溝部の底面より下方側に延びる側面を含んでいる
請求項4に記載のコンロ。
【請求項6】
前記フロント部の前面部において前記排出部よりも左右方向他方側且つ前記側面の下端よりも下方側には、前方側に向かって開放した孔部が設けられ、
前記孔部内又は前記孔部の後方には、前記孔部の前方側に向かって光を照射する発光素子が配置されている
請求項5に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が開示するコンロは、キャビネットの前面開放部から露出するコンロ本体の前面パネルに化粧パネルを装着させる形式となっている。前面パネルは、上・下延長片がそれぞれ後方へ延長形成されていると共に、上延長片の上面には、係合部材として、断面略コ字状の支持箱が下方開放状態に設置されている。支持箱内には、中央に、解除手段としての解除軸が突設され、その両側方に一対の係合突起が突設された昇降板と、昇降板を支持箱の頂面板側(上方)へ付勢する付勢手段としてのコイルバネが収容されている。化粧パネルは、支持箱の頂面板及び下延長片を覆う上・下被覆片がそれぞれ後方へ延長形成されている。上被覆片には、解除軸が挿通可能な後方開放の切欠と、係合突起がワンウェイ係合する下方開放の係合凹部が設けられている。そして、係合突起が係合凹部にワンウェイ係合することにより、化粧パネルが前面パネルに装着される、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されるコンロでは、煮汁等の液体が上延長片の上面に浸入してしまうと、上延長片から流下する方向及び位置をコントロールすることができず、上延長片から前方に液体が流れ落ちるおそれがある。この場合、フロント部の各部に液体が付着することによる不具合(例えば、被水による部品の破損や、部品同士の円滑な移動の阻害)が生じる虞がある。
【0005】
そこで、上述した課題の少なくとも一つを解決するために、浸入した液体の流れをコントロールすることができるコンロを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のコンロは、
ガスバーナを収容する筐体部と、
前記筐体部の前部に固定されるフロント部と、
前記フロント部の前側に装着される化粧パネルと、
を備えるコンロであって、
前記化粧パネルは、
前記フロント部を前側から覆うパネル本体と、
前記パネル本体の上端部側に設けられるロック部と、
を有し、
前記ロック部は、少なくとも第1位置と第2位置との間で左右方向に移動可能な構成をなし、
前記フロント部は、前記ロック部の少なくとも一部を左右方向に移動可能に収容する収容部を有し、
前記収容部は、
前記化粧パネルが前記フロント部に装着されつつ前記ロック部が当該収容部内に収容された収容状態において前記ロック部の下方に配置される底壁部と、
前記底壁部から立ち上がる構成をなし、前記ロック部が前記収容状態で前記第2位置にあるときに前記ロック部の前側への移動を規制する前壁部と、
前記収容部の内部から外部に通じる開放領域を構成するとともに、前記ロック部が前記収容状態で前記第1位置となったときに前記ロック部の前側への移動を許容する開放部と、
を具備し、
前記開放部における下側内縁部には、前記底壁部より上方に突出する堰部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
上記一態様のコンロでは、浸入した煮汁の流れをコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態のガスコンロを概略的に例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、第1フロント部、第1操作部及び化粧パネルを分解して概略的に例示する分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第2フロント部、第2操作部及び化粧パネルを分解して概略的に例示する分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第2フロント部、第2化粧パネル、ロック部を分解して例示する分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第2化粧パネルを後方から視た斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、第2化粧パネルを省略して第2フロント部の収容部及び第1位置におけるロック部を説明する説明図である。
図6(B)は、第2化粧パネルを省略して第2フロント部の収容部及び第2位置におけるロック部を説明する説明図である。
【
図7】
図7は、第2フロント部の一部を示す上面図である。
【
図8】
図8(A)は、
図7のA-A線に対応する位置で切断した収容部等を示す断面図である。
図8(B)は、
図7のB-B線に対応する位置で切断した収容部等を示す断面図である。
図8(C)は、
図7のC-C線に対応する位置で切断した誘導部等を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を列記して例示する。
【0010】
本開示のコンロは、収容部は、底壁部と前壁部と開放部とを具備していることが好ましい。そして、底壁部はロック部が当該収容部内に収容された収容状態においてロック部の下方に配置されることが望ましく、開放部における下側内縁部には、底壁部より上方に突出する堰部が設けられていることが望ましい。この構成を備えたガスコンロは、収容部内に侵入した液体を底壁部で受けることができる。そして、開放部における下側内縁部に底壁部より上方に突出する堰部が設けられているから、収容部に入り込んだ液体が開放部から前方に流れ落ちることを抑制できる。よって、このガスコンロは、化粧パネルをフロント部に装着するための構造である収容部において、浸入した液体が前方に流れ落ちないようにコントロールすることができる。
【0011】
本開示に係るコンロにおいて、堰部は、開放部の下部における左右方向全体に設けられていてもよい。この構成によれば、開放部の下部全域において、収容部に入り込んだ液体が開放部から前方に流れ落ちることを抑制できる。
【0012】
本開示に係るコンロにおいて、底壁部の上面の少なくとも一部は、左右方向一方側に向かうにつれて下降する傾斜面として構成されてもよい。収容部における左右方向一方側の端部側には、収容部に入り込んだ液体の排出経路となる排出部が設けられていてもよい。この構成によれば、収容部内の液体を傾斜面に沿って排出部側に流して、排出部から排出することができる。
【0013】
本開示に係るコンロにおいて、排出部は、収容部の左右方向一方側に配置されるとともに左右方向に沿って延びる溝部を有し、収容部内の空間と溝部内の空間とが通じており、溝部における左右方向一方側の端部が開放していてもよい。この構成によれば、溝部によって収容部内の液体を左右方向一方側に導き、溝部の左右方向一方側に排出することができる。
【0014】
本開示に係るコンロにおいて、溝部の左右方向一方側には、端部に達した液体を下方に誘導する面を構成する誘導部が設けられてもよい。誘導部は、溝部の底面より下方側に延びる側面を含んでいてもよい。この構成によれば、溝部において左右方向一方側に流れた液体を誘導部の側面を伝って下方に流すことができる。
【0015】
本開示に係るコンロにおいて、フロント部の前面部において排出部よりも左右方向他方側且つ側面の下端よりも下方側には、前方側に向かって開放した孔部が設けられていてもよい。孔部内又は孔部の後方には、孔部の前方側に向かって光を照射する発光素子が配置されていてもよい。この構成によれば、側面の下端から落ちる液体が発光素子や孔部に及びにくくなり、発光素子の被水や、孔部から浸入した液体による電子基板等の被水を抑制できる。
【0016】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について、図面を参照して説明する。
1.ガスコンロの概要
図1で示されるガスコンロ1は、コンロの一例に相当し、キャビネット(
図1では図示省略)に組み込まれるビルトインコンロとして構成されている。
【0017】
ガスコンロ1は、多数の部品が一体的に構成されたコンロ本体部1Aを備える。コンロ本体部1Aは、ガスバーナ4,5,6、筐体部2、天板3、第1フロント部20(
図2)、第2フロント部120(
図3)、第1操作部60(
図2)、第2操作部160(
図3)、化粧パネル90,92,190,192などを備える。
【0018】
以下の説明では、
図1で示されるガスコンロ1において、板状に構成された天板3の板面方向(天板3の上面をなす所定の平坦面と平行な平面方向)のうち第1方向(
図1の例では天板3を平面視したときの短手方向)が前後方向である。そして、上記第1方向と直交する第2方向(
図1の例では、天板3を平面視したときの長手方向)が左右方向である。更に、前後方向及び左右方向と直交する方向が上下方向である。なお、
図1の例では、上下方向は、天板3の板厚方向である。
【0019】
筐体部2は、例えば公知の金属材料を主体として構成され、ガスコンロ1の外郭部を構成しており、ガスバーナ4,5,6やその他の部品を収容する。筐体部2は、左右方向両側に一対の側壁部を備えるとともに、これら側壁部の後端部に連結される形で後壁部(
図1では図示省略)が設けられる。筐体部2の前面部(
図1では図示省略)は、フレーム状又は壁状に構成されており、例えば、上述の一対の側壁部に架け渡される形で配置されるフレーム部などを有する。更に、これら前面部、一対の側壁部、後壁部の下部には底壁部(
図1では図示省略)が連結されている。筐体部2は、これら前面部、一対の側壁部、後壁部、底壁部によって自身の内部空間が囲まれる構成をなし、上部が開口した箱状形態をなしている。
【0020】
天板3は、筐体部2の上端部に固定されており、筐体部2の上端の開口を部分的に閉塞する構成で筐体部2上に配置される。天板3は、平面視矩形状の板状形態をなしており、ガスバーナ4,5,6を露出させるための開口部(貫通孔)が複数個形成された構成をなす。
【0021】
ガスバーナ4,5,6は、天板3に形成された各開口部にそれぞれ対応するように設けられている。具体的には、天板3における右端寄りかつ前端寄りの位置に形成された開口部に挿入される形態でガスバーナ(右バーナ)4が設けられている。また、天板3における左端寄りかつ前端寄りの位置に形成された開口部に挿入される形態でガスバーナ(左バーナ)5が設けられている。更に、また、天板3における中央奥側に形成された開口部に挿入される形態でガスバーナ(奥バーナ)6が設けられている。更に、筐体部2の中央付近には、グリル部8が設けられている。グリル部8は、箱状に構成されたグリル庫(
図1では図示省略)、グリル庫を開閉するグリル扉8B、ガスバーナとして構成されるとともにグリル庫内に配置されるグリルバーナ(
図1では図示省略)、などを備える。
【0022】
図1のように、筐体部2の前面の右端寄りには2つの点火ボタン11,14(点火操作部)が設けられ、筐体部2の前面の左端寄りにはもう2つの点火ボタン12,13が設けられている。点火ボタン11は、ガスバーナ4の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。点火ボタン12は、ガスバーナ5の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。点火ボタン13は、ガスバーナ6の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。点火ボタン14は、グリル部8のガスバーナの点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。各点火ボタン11,12,13,14は、前方側から視認可能な構成かつ前方側からの操作が可能な構成で配置されている。各点火ボタン11,12,13,14のいずれも、前方側に突出した突出位置と突出位置よりも後方側に退避した後退位置とに変位可能に構成されており、更に、各点火ボタン11,12,13,14のいずれも、回転可能に構成されている。
【0023】
図2、
図3で示される第1フロント部20及び第2フロント部120は、例えば、樹脂材料を主体として構成された樹脂フレームを有するとともに樹脂フレームに金属部品などが組み付けられる構成をなしており、グリル部8の左右両側にそれぞれ配置されている。本構成では、筐体部2の前面部は、少なくとも一部が開放した構成をなしており、第1フロント部20及び第2フロント部120はいずれも、筐体部2の前面部に構成された開放領域を介して筐体部2内に一部が挿入される構成で筐体部2の前部に組み付けられている。筐体部2の前部とは、筐体部2における前側の部分(少なくとも筐体部2の前後方向の中心よりも前側に位置する部分)であり、上述した前面部は筐体部2の前部の一例に相当する。
【0024】
図2、
図3で示される第1操作部60及び第2操作部160は、ユーザによって操作される部品である。第1操作部60は、上述の第1フロント部20に組み付けられるとともに第1回動軸部23,24を中心として回動する構成をなし、少なくとも操作領域が第1フロント部20の前側に配置される前方位置と操作領域が前方位置のときよりも後方側に退避した退避位置とに変位する構成をなす。第2操作部160は、上述の第2フロント部120に組み付けられるとともに第2回動軸部123,124を中心として回動する構成をなし、少なくとも操作領域が第2フロント部120の前側に配置される前方位置と操作領域が前方位置のときよりも後方側に退避した退避位置とに変位する構成をなす。
【0025】
化粧パネル90は、第1フロント部20における上側領域を前側から覆うように配置される板状のパネル部材であり、第1フロント部20に対して着脱可能とされている。化粧パネル90は、板厚方向が前後方向に沿った方向となるように第1フロント部20に取り付けられる。化粧パネル90は、樹脂材料によって板状且つ枠状に構成される樹脂体90Aと、金属材料などによって板状に構成される化粧板90Bとを備えており、樹脂体90Aと化粧板90Bとが前後に重ねられた構成をなす。化粧板90Bは、光沢を有し、ガスコンロ1の前面部の一部を構成する。樹脂体90Aは、化粧板90Bと重なる板部91Aと、板部91Aから後方側に延出するとともに枠状形態をなす後方延出部91Bとを備える。化粧パネル90は、枠状に構成された後方延出部91Bが第1フロント部20の前面部に形成された膨出部20Aと嵌まり合う構成をなす。
【0026】
化粧パネル92は、第1操作部60を覆うように配置される板状のパネル部材であり、第1操作部60に対して前側から固定されている。化粧パネル92は、第1操作部60が退避位置にあるときに自身の板厚方向が前後方向に沿った方向となるように且つ第1操作部60を前側から覆うように第1操作部60に取り付けられる。化粧パネル92は、樹脂材料によって板状に構成される樹脂板92Aと、金属材料などによって板状に構成される化粧板92Bとを備えており、全体として板状に構成されている。化粧板92Bは、光沢を有し、ガスコンロ1の前面部の一部を構成する。樹脂板92Aは、操作部60の前面部に固定される構成をなす。
【0027】
化粧パネル190は、第2フロント部120における上側領域を前側から覆うように配置される板状のパネル部材であり、第2フロント部120に対して着脱可能とされている。化粧パネル190は、板厚方向が前後方向に沿った方向となるように第2フロント部120に取り付けられる。化粧パネル190は、樹脂材料によって板状且つ枠状に構成される樹脂体190Aと、金属材料などによって板状に構成される化粧板190Bとを備えており、樹脂体190Aと化粧板190Bとが前後に重ねられた構成をなす。化粧板190Bは、光沢を有し、ガスコンロ1の前面部の一部を構成する。樹脂体190Aは、化粧板190Bと重なる板部191Aと、板部191Aから後方側に延出するとともに枠状形態をなす後方延出部191Bとを備える。化粧パネル190は、枠状に構成された後方延出部191Bが第2フロント部120の前面部に形成された膨出部120Aと嵌まり合う構成をなす。
【0028】
化粧パネル192は、第2操作部160を覆うように配置される板状のパネル部材であり、第2操作部160に対して前側から固定されている。化粧パネル192は、第2操作部160が退避位置にあるときに自身の板厚方向が前後方向に沿った方向となるように且つ第2操作部160を前側から覆うように第2操作部160に取り付けられる。化粧パネル192は、樹脂材料によって板状に構成される樹脂板192Aと、金属材料などによって板状に構成される化粧板192Bとを備えており、全体として板状に構成されている。化粧板192Bは、光沢を有し、ガスコンロ1の前面部の一部を構成する。樹脂板192Aは、操作部160の前面部に固定される構成をなす。
【0029】
2.特徴部分の詳細
以下の説明では、第2フロント部120が、フロント部の一例に相当する。また、化粧パネル190が、化粧パネルの一例に相当する。第2フロント部120の前側に装着される化粧パネル190は、
図4に示すように、パネル本体170とロック部180を有している。第1フロント部20、化粧パネル90は、第2フロント部120、化粧パネル190と概ね左右対称の構成とされており、その説明を省略する。
【0030】
第2フロント部120は、
図4に示すように、前面部125に点火ボタン12,13が挿入される挿入孔126,127を有している。第2フロント部120は、化粧パネル190の下縁部を取り付けるための取付部128,129を有している。取付部128,129は、第2フロント部120の左右両側に設けられている。
【0031】
化粧パネル190は、第2フロント部120を前側から覆うパネル本体170と、パネル本体170の上端部側に設けられるロック部180と、を有している。パネル本体170とロック部180とは別部品として構成され、化粧パネル190はパネル本体170にロック部180が組み付けられて構成されている。
【0032】
パネル本体170は、
図4及び
図5に示すように、第2フロント部120の前面部125を覆う前パネル部171と、前パネル部171の上縁から後方に向けて立ち上がる上パネル部172と、前パネル部171の側縁から後方に向けて立ち上がる側パネル部175と、前パネル部171の下縁から後方に向けて突出する被取付部178,179と、を有している。前パネル部171は、挿入孔126,127と対応する位置に点火ボタン12,13が挿入されるパネル側挿入孔176,177を有している。前パネル部171は、第2フロント部120の前面部125の側方(グリル部8とは反対側、左側)に張り出して、前面部125と共に第2フロント部120の側方空間を前方から覆う構成とされる。被取付部178,179は、パネル本体170の左右両側に設けられている。被取付部178,179は、上面側に突出する爪部178A,179Aを有している。被取付部178,179は、爪部178A,179Aが取付部128,129の後面側に引っ掛かることにより、化粧パネル190が第2フロント部120の前方に移動することを規制する。
【0033】
上パネル部172は、化粧パネル190が第2フロント部120に装着された状態で、第2フロント部120の後述する収容部130,140を上方から覆う構成をなす。上パネル部172は、ロック部180が組み付けられる組付孔173,174を有している。組付孔173,174は、後述するロック部180の2つの突出部183,184に対応して2つ設けられている。
【0034】
ロック部180は、
図5及び
図6に示すように、少なくとも第1位置と第2位置との間で左右方向に移動可能な構成をなす。ロック部180は、左右方向に長い板状の板部181と、板部181の上方に設けられ左右方向へ移動する際に操作される操作部182と、板部181から下方に突出する突出部183,184と、を有している。板部181は、上パネル部172の上面側に配置され、下面が上パネル部172の上面に沿って摺動する。板部181は、ロック部180の第1位置と第2位置のいずれにおいても組付孔173,174を上方から覆う構成をなす。突出部183,184は、板部181において突出部183,184の各々は、ブロック状をなし、操作部182左右両側にそれぞれ設けられている。
【0035】
第2フロント部120は、
図6及び
図7に示すように、突出部183,184(ロック部180の少なくとも一部)を左右方向に移動可能に収容する収容部130,140を有している。収容部130は、底壁部131、前壁部132、開放部133を具備している。この収容部130は、後壁部134、左壁部135、右壁部136を更に具備しており、壁部131,132,134,135,136で囲まれた空間にロック部180の突出部183を収容する構成をなす。収容部140は、底壁部141、前壁部142、開放部143を具備している。この収容部140は、後壁部144、左壁部145、右壁部146を更に具備しており、壁部141,142,144,145,146で囲まれた空間にロック部180の突出部184を収容する構成をなす。収容部130と収容部140の各部は互いに同様の構成とされており、以下の説明では、収容部140に関する説明を一部省略する。
【0036】
底壁部131は、化粧パネル190が第2フロント部120に装着されつつロック部180が収容部130内に収容された収容状態においてロック部180の下方に配置される。底壁部131は、ロック部180の第1位置と第2位置の双方において、突出部183の下面との間に隙間を有して対向して配置される。底壁部131の上面は、前後左右に沿って延びる形状をなし、上面が上方からの液体を受ける面となる。底壁部131の上面の少なくとも一部は、左右方向一方側に向かうにつれて下降する傾斜面として構成される。2つの収容部130,140内の空間は互いに通じており、底壁部131,141は互いに略面一状に連なっている。
【0037】
前壁部132は、底壁部131から立ち上がる構成をなし、ロック部180が収容状態で第2位置にあるときにロック部180の前側への移動を規制する。具体的には、前壁部132は、ロック部180が収容状態で第2位置にあるときに突出部183の下面より高い位置まで立ち上がっている。そして、前壁部132は、後面が突出部183の前面に接触して、突出部183が収容部130,140から前方に移動しないように規制する。前壁部132の下端は、底壁部131の前端に連なり、前壁部132の左端は左壁部135の前端に連なる。前壁部132の右端は、開放部133の後述する第2内縁部133Cを構成する。
【0038】
開放部133は、収容部130の内部から外部に通じる開放領域を構成するとともに、ロック部180が収容状態で第1位置となったときにロック部180の前側への移動を許容する。開放部133は、下側内縁部133Aと、開放領域の右側に配置される第1内縁部133Bと、開放領域の左側に配置される第2内縁部133Cと、を有している。開放領域は、下側内縁部133A、第1内縁部133B、第2内縁部133Cに囲まれた、平面視矩形状の領域とされる。この開放領域は、左右方向において突出部183の寸法より大きい寸法を有している。
【0039】
開放部133における下側内縁部133Aには、底壁部131より上方に突出する堰部137が設けられている。堰部137は、第1内縁部133Bと第2内縁部133Cとに連結される形態で配置される。堰部137は、ロック部180が収容状態で第1位置にあるときに突出部183の下面より低い位置まで突出している。堰部137は、左右に延びる突条をなし、前壁部132の左端に連なる。言い換えれば、堰部137と前壁部132は、突出高さを異にして底壁部131から上方に突出し、底壁部131の前端において左右に連なる突条の構造を構成する。同様にして、開放部143における下側内縁部143Aには、底壁部141より上方に突出する堰部147が設けられている。
【0040】
収容部130,140における右側の端部140E側には、収容部130,140に入り込んだ液体の排出経路となる排出部150が設けられている。収容部130,140のうち左側に位置する収容部130は、左壁部135と後壁部134の間が連結され、右壁部136と後壁部134の間に隙間を有する。収容部130,140のうち右側に位置する収容部140は、左壁部145と後壁部134の間と、右壁部146と後壁部134の間に隙間を有する。このような構成により、第2フロント部120は、2つの収容部130,140の間と、右側に位置する収容部140と排出部150との間に液体が流れる隙間が設けられている。つまり、第2フロント部120の上部には、収容部130、収容部140、排出部150により、液体を左側から右側(グリル部8側)に流す一連の流路が形成されている。この流路は左側の端部(収容部130の左側の端部)が閉塞されており、左側に向けて液体が流れることが規制される。
【0041】
排出部150は、収容部130,140の右側に配置されるとともに左右方向に沿って延びる溝部151を有する。排出部150は、収容部130,140内の空間と溝部151内の空間とが通じており、溝部151における左右方向一方側の端部151Eが開放している。具体的には、溝部151は、底壁部131の上面に連なる底面152を有している。底面152は、左側(収容部130,140側)より右側(収容部130,140とは反対側)の方が下がる形状をなしている。具体的には、底面152は、左側の部分が底壁部131,141の上面と同等の高さであり、右側の部分が底壁部131,141の上面より一段低い段差形状を有している。
【0042】
溝部151の右側には、端部151Eに達した液体を下方に誘導する面を構成する誘導部154が設けられている。誘導部154は、溝部151の底面152より下方側に延びる側面156を含んでいる。この側面156は、溝部151の底面152における左右方向一方側の端部から下方に延びる面であってもよく、底面152の左右方向一方側に位置する隣接面155の左右方向一方側の端部から下方に延びる面であってもよい。本実施形態の誘導部154は、溝部151の底面152から右側に延びる隣接面155と、隣接面155の右端部から下方に延びる側面156とを含んでいる。隣接面155と側面156は、収容部130,140の後壁部134,144を含む面から前方に膨出した膨出部120Aの表面として構成される。側面156は、第2フロント部120の側方を向く面であり、具体的にはグリル部8側を向く面として構成される。
【0043】
図4に示すように、第2フロント部120の前面部125において排出部150よりも左側且つ側面156の下端よりも下方側には、前方側に向かって開放した孔部121が設けられている。孔部121又は孔部121の後方には、孔部121の前方側に向かって光を照射する発光素子122が配置されている。孔部121は、発光素子122からの透過する一方、前面部125を伝う液体が第2フロント部120の内側に浸入する経路となり得る。本実施形態では、収容部130,140、排出部150、及び誘導部154が、第2フロント部120の上方からの液体を孔部121の上方側から遠ざける流路を構成する。
【0044】
続いて、化粧パネル190の第2フロント部120への装着作業について説明する。作業者は、化粧パネル190を上側が前傾する姿勢とし、化粧パネル190の被取付部178,179を第2フロント部120の取付部128,129に下方から組み付け、爪部178A,179Aを取付部128,129の後面側に引っ掛ける。そして、作業者は、被取付部178,179が取付部128,129に組み付けられた状態で、化粧パネル190の上側を後方に向けて変位させる。その過程で、ロック部180の突出部183,184が収容部130,140の開放部133,143の開放領域を前方から後方に通過して収容部130,140内に収容される。この状態では、化粧パネル190は、前面が上下方向に沿った姿勢になる。ロック部180は収容部130,140内に収容された収容状態において、第1位置にある。作業者は第1位置にあるロック部180の操作部182を右側に向けて操作して、ロック部180を第2位置に変更する。すると、突出部183が前壁部132の後方に移動して、前壁部132がロック部180の前側への移動を規制した状態となる。以上により、化粧パネル190の第2フロント部120への装着が完了する。なお、化粧パネル190を第2フロント部120から外す場合には、上述の装着作業とは反対に各部を移動させればよい。
【0045】
続いて、第2フロント部120の上部に液体が入り込んだ場合の作用の一例について説明する。煮汁などの液体がガスコンロ1の上方でこぼれた場合、化粧パネル190と第2フロント部120との間の隙間や組付孔173,174に液体が浸入する。浸入した液体の一部は収容部130,140に流入し、底壁部131,141の上面で受けられる。収容部130,140は、
図7に示すように、後方が後壁部134,144で堰き止めされ、前方が前壁部132,142及び堰部137,147で堰き止められている。このため、液体が底壁部131,141の上面から第2フロント部120の後方又は前方に落ちることが規制される。一方、底壁部131,141の上面は右側に向かうにつれて下降する傾斜面として構成されている。このため、
図6及び
図7の矢印で示すように、収容部130,140に流入した液体は、収容部130,140の底壁部131,141の上面を低い方に向けて流れ、右側の収容部130,140の右側の端部140Eに達する。収容部130,140の右側の端部140Eに達した液体は、排出部150に流入し、溝部151に沿って右側に流れる。溝部151の右側の端部151Eに達した液体は、
図6の矢印で示すように、誘導部154の隣接面155及び側面156に沿って誘導される。側面156の下端まで達した液体は、側面156の下端から下方に落ちる。第2フロント部120において液体が落ちる位置は、例えば、第2フロント部120に形成された孔部121や、発光素子122等を避ける位置に設定されている(
図4参照)。つまり、ガスコンロ1は、収容部130,140に入り込んだ液体が開放部133から前方に流れ落ちることを抑制しつつ、収容部130,140を液体の流れる経路として用いて、液体の流れをコントロールする仕様となっている。これによって、ガスコンロ1は、第2フロント部120の内部に設置された図示しない回路基板や、発光素子122、操作部120の可動部等に液体が付着する可能性が低減されている。
【0046】
次に、本構成の効果を例示する。
本実施形態のガスコンロ1では、収容部130,140内に侵入した液体を底壁部131,141で受けることができる。そして、開放部133,143における下側内縁部133A,143Aに底壁部131,141より上方に突出する堰部137,147が設けられているから、収容部130,140に入り込んだ液体が開放部133,143から前方に流れ落ちることを抑制できる。よって、このガスコンロ1は、化粧パネル190をフロント部120に装着するための構造である収容部130,140において、浸入した液体が前方に流れ落ちないようにコントロールすることができる。
【0047】
ガスコンロ1では、堰部137は、開放部133の下部における左右方向全体に設けられている。より具体的には、開放部133は、開放領域の左右方向一方側に配置される第1内縁部133Bと、開放領域の左右方向他方側に配置される第2内縁部133Cと、を有している。そして、堰部137は、第1内縁部133Bと第2内縁部133Cとに連結される形態で配置されている。この構成によれば、第1内縁部133Bと第2内縁部133Cとの間の全域において、収容部130,140に入り込んだ液体が開放部133から前方に流れ落ちることを抑制できる。
【0048】
底壁部131,141の上面の少なくとも一部は、左右方向一方側に向かうにつれて下降する傾斜面として構成されている。収容部130,140における左右方向一方側の端部140E側には、収容部130,140に入り込んだ液体の排出経路となる排出部150が設けられている。この構成によれば、収容部130,140内の液体を傾斜面に沿って排出部150側に流して、排出部150から排出することができる。
【0049】
排出部150は、収容部130,140の左右方向一方側に配置されるとともに左右方向に沿って延びる溝部151を有し、収容部130,140内の空間と溝部151内の空間とが通じており、溝部151における左右方向一方側の端部151Eが開放している。この構成によれば、溝部151によって収容部130,140内の液体を左右方向一方側に導き、溝部151の左右方向一方側に排出することができる。
【0050】
溝部151の左右方向一方側には、端部151Eに達した液体を下方に誘導する面を構成する誘導部154が設けられている。誘導部154は、溝部151の底面152より下方側に延びる側面156を含んでいる。この構成によれば、溝部151において左右方向一方側に流れた液体を誘導部154の側面156を伝って下方に流すことができる。
【0051】
第2フロント部120の前面部125において排出部150よりも左右方向他方側且つ側面156の下端よりも下方側には、前方側に向かって開放した孔部121が設けられている。孔部121内又は孔部121の後方には、孔部121の前方側に向かって光を照射する発光素子122が配置されている。この構成によれば、側面156の下端から落ちる液体が発光素子122や孔部121に及びにくくなり、発光素子122の被水や、孔部121から浸入した液体による電子基板等の被水を抑制できる。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態を、次のように変更してもよい。
【0053】
上述した実施形態では、堰部が第1内縁部と第2内縁部とに連結される形態で配置される構成を例示したが、堰部は第1内縁部及び/又は第2内縁部に連結されていなくてもよい。例えば、収容部が左壁部を有しない構成において、堤部は前壁部のみに連結されていてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、底壁部の上面が、右側に向かうにつれて下降する傾斜面として構成される構成を例示したが、底壁部の上面は左側に向かうにつれて下降する傾斜面として構成されてもよい。また、底壁部の上面の一部のみが傾斜面として構成されてもよい。
【0055】
上述した実施形態以外にも、排出部の構成は適宜変更可能である。例えば、排出部は、溝部を有する構成に限られず、底壁部の上面に連なる面によって構成されてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、フロント部に孔部が設けられ、孔部内または後方に発光素子が配置される構成を例示したが、フロント部には、発光素子が配置される孔部が設けられていなくてもよい。
【0057】
上述した実施形態では、第2フロント部120がフロント部の一例に相当し、化粧パネル190が化粧パネルの一例に相当するものとして説明したが、孔部と発光素子に係る構成を除いて、第1フロント部20がフロント部の他の例に相当し、化粧パネル90が化粧パネルの他の例に相当する。この場合、第1フロント部20は、ロック部の第2位置が第1位置の右側に位置する点については第2フロント部120と一致する。第1フロント部20の上部には、収容部、収容部、排出部により、液体を右側から左側(グリル部8側)に流す一連の流路が形成されており、第1フロント部20は液体の排出方向が第2フロント部120と相違する。
【0058】
上述した実施形態のガスコンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロ等であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…ガスコンロ(コンロ)
2…筐体部
4,5,6…ガスバーナ
120…第2フロント部(フロント部)
121…孔部
122…発光素子
125…前面部
130,140…収容部
131,141…底壁部
132,142…前壁部
133,143…開放部
133A…下側内縁部
133B…第1内縁部
133C…第2内縁部
137,147…堰部
137…堰部
140E…収容部における左右方向一方側の端部
150…排出部
151…溝部
151E…溝部における左右方向一方側の端部
152…底面
154…誘導部
156…側面
170…パネル本体
180…ロック部
190…化粧パネル