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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ストレッチング装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20230511BHJP
   A61H 1/00 20060101ALI20230511BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A61H23/02 340
A61H1/00 311C
A61H1/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020082411
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2020189087
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2019094119
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114190
【氏名又は名称】ミナト医科学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉村 拓司
(72)【発明者】
【氏名】青池 啓太
(72)【発明者】
【氏名】有本 米次郎
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-539976(JP,A)
【文献】特開2006-141694(JP,A)
【文献】特開2008-220834(JP,A)
【文献】特開2019-037392(JP,A)
【文献】国際公開第2017/176271(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
A61H 1/00
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に当接する当接部と、前記利用者の椎間及び肋椎関節を刺激するために前記当接部を機械的に振動させる振動部と、前記当接部の振動状態を検出する振動状態検出部を備え、前記振動部は、前記利用者の個体差による効果の相違を緩和するために、所定範囲内で、その周波数を周期的に変動させるとともに、前記振動状態検出部の出力状態に応じて、変動する前記周波数の中心周波数及び/又は帯域幅を変更してなるストレッチング装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記利用者が仰臥位で当接するための台座としてなる請求項1記載のストレッチング装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記利用者の脊柱に当接する箇所を凹状、または他部より柔軟としてなる請求項1記載のストレッチング装置。
【請求項4】
前記振動部は、30~60Hzの範囲で、その周波数を変動してなる請求項1~3のいずれか1項に記載のストレッチング装置。
【請求項5】
前記振動部は、100~250Hz の範囲で、その周波数を変動してなる請求項1~3のいずれか1項に記載のストレッチング装置。
【請求項6】
前記振動部は、偏心錘を軸に取り付けたモータを用いて構成してなる請求項1~5のいずれか1項に記載のストレッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者がストレッチを行う際に使用する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のストレッチング装置は、例えば、先行文献1、2に開示される構造のものがある。先行文献1は、仰臥位の利用者の頭部から臀部に至るまで、体幹の中心近傍を支持するストレッチ台に関するものである。 当該ストレッチ台を硬く保つとともに、脊柱が当たる部分を凹部とすることで、ストレッチ台の歪みを抑制しつつ、脊柱を圧迫せずに、効果的なストレッチ運動を可能としたものである。
【0003】
また、先行文献2は、テーブル上に患者を寝かせ、テーブルを振動させることにより、患者に振動を与え、脊椎矯正治療を施す治療装置に関するものである。左右方向、前後方向の振動周期、振動強度及び付与時間等について、手動あるいは自動的に選択付加する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-141694号
【文献】特開平2-193661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行文献1記載のストレッチ台は、利用者が、ストレッチ台上で、深呼吸やストレッチ(体幹の捻転や肩関節周辺などの運動)を行うことにより、脊柱起立筋や胸郭などの柔軟性を効果的に向上することができるが、ストレッチ台に仰臥位になった利用者自身が運動することで、肋椎関節を刺激できるものであるため、利用者の運動量によって、その効果が大きく異なる可能性があった。
【0006】
また、先行文献2記載の治療装置は、テーブルを左右前後に振動させることで、患者の身体全体を振動させており、また、左右、前後方向の振動の周期および強度と付与時間等について、手動的または自動的に選択可能であるが、その具体的な振動周波数については開示されておらず、また、水平方向の振動であるため表面資材、服装や肉付きによる治療効果の個体差が大きくなる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に関わるストレッチング装置は、利用者に当接する当接部と、利用者の椎間及び肋椎関節を刺激するために、当接部を機械的に振動させる振動部と、当接部の振動状態を検出する振動状態検出部を備え、振動部は、利用者の個体差による効果の相違を緩和するために、所定範囲内で、その周波数を周期的に変動させるとともに、振動状態検出部の出力状態に応じて、変動する周波数の中心周波数及び/又は帯域幅を変更させてなるものである。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、振動刺激がメカノレセプタを刺激することで、利用者自身がストレッチを行うことなく、脊柱起立筋や胸郭の柔軟性の向上効果を高めることができる。また、振動周波数を、所定の範囲内で変動させることにより、利用者の個体差によることなく、胸、背中、肩周囲の筋緊張を効果的に解放することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るストレッチング装置の外観図
図2図1のA-A’面に沿う横断面図
図3図1のB-B’面に沿う横断面図
図4】本発明の実施の形態に係る振動部の構成を示した図
図5】本発明の実施の形態に係る振動部のPWM制御の状態を示した図
図6】本発明の実施の形態に係る振動部の振動周波数変動を示した図
図7】本発明の第1の実施例に係るストレッチング装置の外観図
図8】本発明の第1の実施例に係るストレッチング装置の断面図
図9】同ストレッチング装置を折り畳んだ状態を示す図
図10】同ストレッチング装置の胸部支持部の横断面図
図11】同ストレッチング装置の胸部支持部の素材による振動の伝わり方を示した図
図12】利用者の体勢変化によるうなり周波数の変化を示した図
図13】同ストレッチング装置の振動部の構成を示した図
図14】同ストレッチング装置のモータ制御モデルを示した図
図15】本発明の第2の実施例に係るストレッチング装置の振動ユニットの構成を示した図
図16】同ストレッチング装置の胸部支持部の横断面図
図17】本発明の第3の実施例に係るストレッチング装置の振動状態検出部を示した図
図18】同ストレッチング装置のモータ制御モデルを示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図1図6を用いて説明する。本発明の実施の形態に係るストレッチング装置は、仰臥位となった利用者に当接するための台座となる当接部1と、利用者の椎間及び肋椎関節を刺激するために、当接部1を機械的に振動させる振動部4と、振動部4を内蔵する芯材部2と、床面と当接するクッション部3から構成されている。
【0011】
当接部1は、利用者の脊柱に当接する中央部を凹部とすることで、脊柱中央部への刺激を軽減するとともに、脊柱周囲を取り巻く傍脊柱筋へ効果的な振動、圧刺激を与えることができる。
【0012】
振動部4は、モータ5と、振動錘6と、ケース7により構成されている。図5に示すように、モータ5の回転数制御には、PWM制御を用いている。PWM制御により、基本周期taに対するモータ5のオン時間t1の割合を変更することで、モータ5の回転数を制御している。また、モータ5の回転数を制御することにより、振動錘6の振動周波数、即ち、振動部4の振動周波数を制御している。なお、本実施形態では、振動錘6をモータ5の回転軸から偏心して取り付けることにより、効果的に振動を発生させている。
【0013】
芯材部2は、図3に示すように、振動部を2個(4a、4b)を設け、利用者の脊柱下に配置している。また、芯材部2の材質を樹脂、発砲ポリスチレンなどにすることで、振動部4a、4bの互いの振動が伝わり、振動部4a、4bの振動周波数の差(うなり振動周波数)が、うなり振動刺激となるよう構成している。
【0014】
クッション部3は、スポンジや発砲ゴムなどのクッション性のあるシートを用い、床面による振動の減衰を防止することができる。
【0015】
上記構成により、振動部4a、4bを同時に振動させ、振動周波数を時間経過とともに相違させることで、うなり振動刺激を発生させ、リズミカルな振動刺激を治療部位に与えることができる。
【0016】
また、メカノレセプタは、持続的な振動刺激に順応し、応答し難くなり、神経系への刺激が小さくなる特性がある。しかし、本発明の実施の形態では、リズミカルな振動刺激をメカノレセプタに与えることにより、神経系への刺激向上効果を高めている。また、振動周波数を30Hz~250Hzすることで、メカノレセプタのうち、特に姿勢制御に関わる筋紡錘、マイスネル小体、パチニ小体への効果的な振動刺激を行うことができる。
【0017】
例えば、筋紡錘が良く応答する振動周波数は60Hzと言われているが、振動部4a、4bの振動周波数を60Hzとし、持続的な振動刺激を与えると、振動刺激へ順応してしまう。
【0018】
そこで、本発明の実施の形態では、図6(a)に示すように、振動部4a、4bの振動周波数を一定の範囲で周期的に変動させ、うなり振動刺激を発生させている。例えば、振動部4a、4bの振動周波数を60Hz前後の58Hz~62Hzの範囲で周期的に変動させることにより、うなり振動周波数4Hz以下の範囲のうなり振動刺激が発生し、筋紡錘の振動刺激への順応を低減することができる。
【0019】
また、図6(c)に示すように、振動部4a、4bの振動周波数は、振動部4aの振動周波数を基準に、振動部4bの振動周波数を上下に変動させてもよい。例えば、振動部4aの振動周波数を60Hzで一定とし、振動部4bの振動周波数を58Hz~62Hzの範囲で周期的に変動させることで、うなり振動周波数2Hz以下の振動刺激を発生させることができる。
【0020】
また、図示を省略しているが、振動部4aの振動周波数を60Hzで一定とし、振動部4bの振動周波数を60Hz~62Hzの範囲で変動させてもよい。また、振動部4a、4bを入れ替えても同様の効果を得ることができる。
【0021】
本発明の実施の形態では、うなり振動周波数を0.05Hz~2Hz、望ましくは0.1Hz~1Hzの範囲で変更可能としている。0.05Hz~2Hzのうなり振動周波数は、手技による、もみ、さすり感覚を治療部位に与え、より効果的なマッサージ効果を得ることができる。
【0022】
以上より、本発明の実施形態は、姿勢制御に関わるメカノレセプタの充分な応答による柔軟性の向上効果と、手技による、もみ、さすり感覚が得られるマッサージ効果を同時に高めることができる。
【0023】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について、図7図14を用いて説明する。本発明の実施例1に係るストレッチング装置は、図7図8に示すように、当接部1を胸部支持部10と、頭部支持部11と、臀部支持部9に3分割し、それぞれを可撓性を有するシート12で接続している。
【0024】
胸部支持部10に振動部4a、4bを設けている。振動部4a、4bは、樹脂や発砲ポリスチレンなどの比較的硬い材質の胸部芯材部17で、連結することで互いの振動が伝わるよう構成している。
【0025】
また、頭部支持部11内には制御基板14、電池15を設け、制御基板14により、電気信号線13で接続された振動部4a、4bや振動強度表示部(図示せず)、操作部(図示せず)、を制御している。
【0026】
また、図9に示すように、頭部支持部11と臀部支持部9を胸部支持部10へ折り畳むことを可能としている。通常、ストレッチング装置は、治療スペースに移動させて使用されることが多い。しかし、頭部から臀部付近を支持する必要があり、長手方向の長さが90cm前後必要であるため、持ち運びが不便である場合がある。
【0027】
本発明の実施例1は、頭部支持部11と臀部支持部9を胸部支持部10へ折り畳むことで、長手方向の長さが胸部支持部10の長さとなり、可搬性または収納性を向上させている。
【0028】
また、頭部は感覚器官が集中しているため、頭部に振動刺激を与えると利用者の気分が悪くなる等の悪影響が出る可能性があったが、頭部と胸部を分割することにより、胸部支持部10の振動刺激を頭部支持部11、即ち、頭部に振動刺激を伝わり難くすることで、利用者への悪影響を低減することが可能となる。
【0029】
また、振動部4と制御基板14、電池15等の電子部品を分離することにより、電子部品が振動により故障等の悪影響を受ける可能性を低減することができる。
【0030】
また、電池15を内蔵し頭部支持部11の質量を重くすることで、床面やコードを伝ってくる振動をより減衰させる効果もある。
【0031】
図10に示すように、胸部支持部10の胸部芯材部17の中央部に凹部を設け、胸部芯材部17と利用者間には、比較的硬い低反発体8を設けている。低反発体8により、胸部芯材部17と利用者間の隙間を埋め、胸部芯材部17と接触していない部位にも、図11(b)に示すように、効率よく振動を伝えることを可能としている。
【0032】
また、床面にストレッチング装置を直接置くと、利用者と床面に挟まれ、振動部4を振動させてもストレッチング装置の振動が抑えられ、利用者に振動を伝えることはできない。ストレッチング装置の振動を、床面に伝えないことで、より効率よく振動させることが可能であるため、クッション部3に柔軟性のある高反発体を使用する。
【0033】
また、胸部支持部10に、ヒータ16を内蔵している。脊柱起立筋や他の筋は低温で緊張、高温で弛緩する特性があるため、ヒータの働きにより、メカノレセプタへの振動刺激との相乗効果が期待できるものである。
【0034】
図13に示すように、本発明の実施例1における振動部4a、4bは、振動錘6の回転数を検知する回転数検出部17を設けている。回転数検出部17は、例えば、フォトセンサ、近接センサなどを用いることができる。図14に示すように、回転数を検知し、フィードバック制御を行うことにより、振動周波数と、うなり周波数を状況に応じてきめ細やかな制御をすることができる
【0035】
例えば、図12に示すように、ストレッチング装置上に仰臥位となった利用者の姿勢の相違によって、振動部4a、4bの振動周波数が変動し、状況によっては、うなり振動周波数が10Hz以上に変動する場合がある。うなり振動周波数は、10Hz以上のうなり振動周波数となると、利用者はうなりの振動刺激を感じ難くなり、不快な感覚を与える。
【0036】
そこで、振動部4a、4bの振動周波数を制御し、うなり振動周波数が10Hz以下の範囲で変更することにより、利用者へ、安定したうなり振動刺激を与えることができる。
【0037】
また、筋紡錘、マイスネル小体を中心に応答させる場合には、振動周波数を30Hz~60Hzの範囲で変更し、パチニ小体を中心に応答させる場合には、振動周波数を100Hz~250Hzの範囲で変更することができる。
【0038】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について図15図16を用いて説明する。本発明の実施例2に係るストレッチング装置は、実施例1と異なり、振動部4にボイスコイルモータ(VCM)を使用した振動ユニット19を設けている。VCMは、振動周波数を一定に保ったまま、振動強度を変動させることができるため、振動ユニット19を1個用いれば、リズミカルな振動刺激を与えることができ、メカノレセプタの順応を回避することができる。しかし、振動を干渉させていないため、実施例1で実現したもみ、さすり感覚を得るためには、振動ユニット19を2個用いる必要がある。
【0039】
図15に示すように、振動ユニット19は、コイル21と、マグネット20、ばね22からなるVCMをケースに封入している。コイル21に交流電流を流すことでマグネット20を振動させ、その反作用で振動ユニット19全体が振動する構成である。
【0040】
図16に示すように、利用者への密着度を向上するために、実施例1と異なり、低反発体8に変わり、粉体を封入した袋部18を設けている。袋部18内部の空気量を調整し、ジャミング転移現象を利用することにより、人体への密着度を向上させている。
【0041】
具体的には、振動刺激付与直前に、袋部18内部の空気を排出する。袋部18内部が真空になり、粉体が硬化することで、振動を効率よく伝えることができ、人体に密着した状態で効率よく振動刺激を伝えることができる。
【0042】
(実施例3)
以下、本発明の実施例3について、図17を用いて説明する。本発明の実施例3に係るストレッチング装置は、実施例1のストレッチング装置に加え、当接部1の一部である胸部支持部10の振動状態を検出する振動状態検出部24を有する。具体的には、図17に示すように、胸部芯材部17に振動状態検出部24として、加速度センサを配置している。この振動状態検出部24を用いて、図18に示すように、胸部支持部10の振動状態に応じて、振動部(4a、4b)の振動周波数を変動させ、利用者の個体差による効果の相違を緩和するものである。
【0043】
例えば、利用者の体重により、胸部支持部10にかかる体圧が異なるため、実施例1で示した振動ユニット19を用いた場合の胸部支持部10の振動状態は、利用者によって異なる。体重の重い利用者は、胸部支持部10にかかる体圧が大きくなり、振動部(4a、4b)の振動状態が抑制される。そのため、利用者に対する振動刺激が、所望の振動刺激より弱くなる場合がある。そこで、本実施例におけるストレッチング装置は、胸部支持部10の振動状態に応じて、所望の振動刺激を利用者に与えることが出来るように、振動部(4a、4b)の振動周波数を変動させ、利用者の体重の差異による効果の相違を緩和するものである。
より具体的には、実施形態で示したように、振動錘6をモータ5の回転軸から偏心して取り付けた場合を含め、利用者からの体圧によっては、意図する振動状態が得られない場合があり得る。このような場合に、例えば、意図する振動状態に比べて抑制されている場合には、モータ5の振動変動の中心周波数を高くするともに、その変動帯域幅を広げることにより、効果的に、利用者に対する適切な振動を付与するものである。また、振動部4a、4bの振動周波数の差(うなり振動周波数)によって、うなり振動刺激となるよう構成している場合には、その振動周波数の差を、更に大きくすることによって、意図する振動状態となるように補正するものである。
【0044】
また、利用者の姿勢変化によっても、胸部支持部10にかかる体圧の分布が異なり、胸部支持部10の振動状態は変化し得る。例えば、高齢者など筋肉の少ない利用者は、仰臥位の姿勢をストレッチング装置上で保つために、姿勢を変える場合がある。この場合、胸部支持部10にかかる体圧の分布が変化し、胸部支持部10の振動状態が変化する。そのため、予期しない振動刺激を利用者に、与える場合があり得る。そこで、本実施例におけるストレッチング装置は、利用者の姿勢変化に応じて、振動部(4a、4b)の振動周波数を変動させたものである。その結果、利用者の姿勢変化が起きても、所望の振動刺激を利用者に与え、利用者の姿勢の差異による効果の相違を緩和することができる。
【0045】
更に、振動部(4a、4b)による振動刺激により、利用者の筋緊張が解放され、胸部支持部10にかかる体圧の分布が変化する場合がある。この場合、振動部(4a、4b)による振動刺激により、利用者の左右の脊柱起立筋における筋緊張のバランスが改善されるため、胸部支持部10にかかる体圧の分布が変化する。その結果、筋緊張の解放が進むにともない、振動刺激も変化し、筋緊張の解放の効果が抑制される場合があり得る。しかしながら、本実施例におけるストレッチング装置は、胸部支持部10の振動状態が変化しても、所望の振動刺激を利用者に与えることができるため、ストレッチング装置の筋緊張の解放を、より効果的に促進させることができる。
【0046】
また、本実施例では、振動状態検出部24を胸部芯材部17(芯材部2)に配置したが、低反発体8に配置しても同様の制御を行うことができる。また、振動状態検出部24として、加速度センサを用いたが、胸部支持部10の振動状態を検出可能であればよく、速度検出型、変位検出型の振動センサでも利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 当接部
2 芯材部
3 クッション部
4 振動部
5 モータ
6 振動錘
7 ケース
8 低反発体
9 臀部支持部
10 胸部支持部
11 頭部支持部
12 シート
13 電気信号線
14 制御基板
15 電池
16 ヒータ
17 胸部芯材部
18 回転検出部
19 振動ユニット
20 マグネット
21 コイル
22 ばね
23 袋部
24 振動状態検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18