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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/14 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
H02K21/14 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022086057
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2021059486の分割
【原出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022159267
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516000088
【氏名又は名称】株式会社空
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤野 勝昭
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特許第5920905(JP,B1)
【文献】特開平10-146023(JP,A)
【文献】特開2009-268225(JP,A)
【文献】特開2011-193649(JP,A)
【文献】特開2003-235201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の永久磁石が出力軸に設けられた回転子と、
前記回転子への磁界を発生する励磁用巻線と、
前記回転子の回転に伴う磁界により発電する発電用巻線と、
短絡部を有する調整回路および負荷とを備え、
前記励磁用巻線の非励磁期間の一部または全部の期間においては、前記短絡部が短絡することにより、前記短絡部が短絡状態となって、前記発電用巻線からの出力が前記負荷側へ流れ、励磁期間においては、前記短絡部が短絡しないことにより、前記短絡部が短絡状態とならず、前記発電用巻線からの出力が前記負荷側へ流れない電動機。
【請求項2】
前記調整回路は、前記励磁用巻線の励磁期間に電流が流れる期間に発電した前記発電巻線からの電流が流れる前記負荷を接続するための端子部を含む請求項記載の電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石による回転子と、巻線による固定子とを有する電動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転子への磁界を発生する励磁用巻線と、回転子の回転に伴う磁界により発電する発電用巻線とを備えた電動機として、特許文献1と、特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の回転電機は、永久磁石が回転する回転子と、永久磁石に軸線を向けて配置された第1巻線と、第1巻線と同軸に配置された第2巻線と、永久磁石の一方の磁極が対向位置にある第1巻線を、一方の磁極と同極の磁界を発生させるための電流を通電する制御回路と、第2巻線からの電流を調整する回転速度調整部とを備え、制御回路は、センサ部にて一方の磁極を検知すると、励磁回路部が第1巻線に通電するというものである。また、特許文献1に記載の電動機は、回転速度調整部に流れる電流に応じて永久磁石の回転数を調整することができるので、消費電力を増加させずに回転数を制御できる。
特許文献2に記載の磁力発電機は、永久磁石の磁力を利用して発電を行うものである。この磁力発電機は、ON/OFF電源の供給によりモータ用コイルと永久磁石との間に働く吸引および反発力を利用して動力を発生させ、その動力を利用して永久磁石と発電用コイルとを相対移動させて発電を行い、上記発電用コイルによって発電された電力エネルギーの少なくとも一部が上記モータ用コイルに供給されるON/OFF電源に使用されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5920905号公報
【文献】特開平7-23556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の電動機では、励磁用巻線(第1巻線)と同軸で、励磁用巻線より外周位置に発電用巻線(第2巻線)が配置されている。従って、永久磁石による回転子の向きが励磁用巻線に接近する位置、または対向する位置のときに、永久磁石と励磁用巻線と発電用巻線とがほぼ一列に並び、励磁用巻線が、永久磁石に反発する磁界に切り替わる。
そのため、励磁用巻線からの磁束だけでなく、永久磁石からの反対の磁束が、発電用巻線に影響を与え、発電用巻線からの磁界が励磁用巻線への励磁電流の流れを阻害するような影響を与えてしまい、モータ効率が低下してしまう。
また、特許文献2に記載の回転電機では、磁力発電機は、発電用コイルから取り出した電気エネルギーを、モータ用コイルの動力源としてバッテリ電源などに充電されるだけである。
【0006】
そこで本発明は、モータ効率を大きく低下させることなく、簡単に速度調整が可能な電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電動機は、複数の永久磁石が出力軸に設けられた回転子と、前記回転子への磁界を発生する励磁用巻線と、前記回転子の回転に伴う磁界により発電する発電用巻線と、前記励磁用巻線の非励磁期間の一部または全部を含む期間の前記発電用巻線からの出力を調整する調整回路とを備えたことを特徴とする。
【0008】
前記調整回路は、前記励磁用巻線の非励磁期間の一部または全部を含む期間に、前記発電用巻線からの出力を、短絡させる短絡部または消費する消費部を含むものとすることができる。
【0009】
前記調整回路は、前記励磁用巻線の励磁期間に電流が流れる期間に発電した前記発電巻線からの電流が流れる負荷を接続するための端子部を含むものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、磁極検出信号のタイミングの変更により、回転速度を変更することができるので、入力電圧が一定でありながら簡単に速度調整が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る電動機を示す斜視図である。
図2図1に示す電動機の制御回路を示す回路図である。
図3図2に示す電動機における励磁用センサ部の回転を説明するための図である。
図4】(A)から(E)は、-5°から+15°までの励磁用センサ部の回転位置を示す図である。
図5図4(B)から同図(E)に示す励磁用センサ部の回転板を回転した位置と回転数との結果を示す一覧表であり、(A)はトルクを0.3N/mとした場合、(B)はトルクを0.4N/mとした場合、(C)はトルクを0.5N/mとした場合である。
図6図1に示す電動機について電子式で回転速度を調整するための構成図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る電動機を示す斜視図である。
図8図7に示す電動機の回転速度調整部を説明するための図である。
図9図7および図8に示す電動機の励磁電流を変化させたときの発電用巻線の発電電圧および発電電流と回転数との関係を説明するための一覧表である。
図10】本発明の実施の形態3に係る電動機の調整回路を示す図である。
図11図10に示す調整回路の調整用センサ部の配置を説明するための斜視図である。
図12図11に示す調整用センサ部が出力する調整指示信号のタイミングを説明するための波形図である。
図13】(A)は電動機の励磁開始角度を変更したときの回転数を示す一覧表、(B)は、調整回路により非励磁期間に発電機用巻線の出力を調整した状態で、電動機の励磁開始角度を変更したときの回転数を示す一覧表、(C)は発電機用巻線の出力が短絡状態で、電動機の励磁開始角度を変更したときの回転数を示す一覧表である。
図14】本発明の実施の形態4に係る電動機を示す斜視図である。
図15】(A)および(B)は、図13に示す電動機の磁路を説明するための斜視図である。
図16】(A)および(B)は、本発明の実施の形態5に係る電動機の磁路を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る電動機を図面に基づいて説明する。
図1に示す電動機10は、回転子20と固定子30とを備えている。
回転子20は、永久磁石21と、永久磁石21を保持する回転子本体22とを備えている。
【0013】
永久磁石21(第1磁石21a~第4磁石21d)は、回転子20の軸線X1を中心として、一方の磁極(例えば、N極。)と、一方の磁極と反対の磁極となる他方の磁極(例えば、S極。)とが、90度ごとに交互に直径方向に向かって配置されている。永久磁石21は、回転中心から外側に向かうに従って直径が小さくなる磁石を多段に積み重ねたものである。永久磁石21は、磁力が他の磁石より強いネオジム磁石が使用できる。
回転子本体22は、軸線位置に回転軸23(出力軸)が形成され、図示しないフレームに回転自在に保持される。
【0014】
固定子30は、回転子20の周囲に配置されている。固定子30は、永久磁石21に軸線X2を向け、回転子20を中心に、その周囲に90度ごとに4個(第1巻線31a~第4巻線31d)が配置された、回転子20への磁界を発生する励磁用巻線31を備えている。励磁用巻線31は、図示しないフレームに設けられている。励磁用巻線31は、対向位置の2個(例えば、第1巻線31aと第3巻線31c、第2巻線31bと第4巻線31d。)が対であり同極となり、隣合わせは異極となる。
【0015】
本実施の形態では、回転子本体22の周囲に永久磁石21が配置され、その周囲に固定子30が配置されているが、永久磁石21は回転子本体22の軸線X1に沿って等間隔の回転角度ごとに配置するようにしてもよい。例えば、2個の永久磁石21を配置する場合には、永久磁石21を90度ごとにN極とS極とを配置する。また、6個の永久磁石21を配置するときに、N極とS極とを交互に60度ごとに配置する。励磁用巻線31には、制御回路40が接続されている。
【0016】
図1および図2に示すように、制御回路40は、励磁用センサ部41と、励磁回路部42とを備えている。図2に示す制御回路40は、同極となる対向する、一方の一対の励磁用巻線31について図示しており、他方の一対の励磁用巻線31については、一方の励磁用巻線31と異極になるような励磁電流を発生している。
【0017】
励磁用センサ部41は、永久磁石21のN極の位置を検出する第1センサ部411(センサ部)と、永久磁石21のS極の位置を検出する第2センサ部412(センサ部)と、回転子20と共に回転する回転板413とを備えている。
励磁用センサ部41は、第1センサ部411およびこの第1センサ部411と回転方向に隣接する第2センサ部412による一対が、180度ずれて、向かい合わせに2組配置されている。
【0018】
第1センサ部411および第2センサ部412は、図2に示すように、発光ダイオードとフォトダイオードとによる透過型のフォトインタラプタにより形成されている。
図3に示すように、第1センサ部411および第2センサ部412は、図示しないフレームにより取り付けられており、回転軸23を中心に第1センサ部411および第2センサ部412を回転板413に対する回転位置が変更可能に形成されている。この第1センサ部411および第2センサ部412の回転位置を変更可能とする機構を速度調整手段として機能させている。
【0019】
回転板413は、円盤本体413dに、円周方向に沿った円弧状のスリットが形成されることで光を透過する透過部413tと、スリット以外で光を遮蔽する遮光部413sとが形成される。
透過部413tは、励磁用巻線31が一方の磁極または他方の磁極を発生する期間となる範囲に形成された識別部として機能するものであり、遮光部413sは、透過部413tの残余の期間であり、非励磁期間となる範囲に形成されている。しかし、第1センサ部411が透過部413tを検出して励磁用巻線31が一方の磁極を発生した後に、遮光部413sを検出するときに、第2センサ部412が透過部413tを検出することで、励磁用巻線31が他方の磁極を発生している。従って、本実施の形態1では、切り替わり期間はあるものの、設計的には全く磁界を発生させない非励磁期間は無いようにしている。
【0020】
本実施の形態1では、励磁用巻線31が、90°ごとに通過する永久磁石21に合わせて、N極を発生させたり、S極を発生させたりしているので、円周方向に沿って90°の透過部413tと、透過部413tに続いて90°の遮光部413sと、次に90°の透過部413tと、90°の遮光部413sとが形成され、第1センサ部411と第2センサ部とが90°ずれて配置されている。
【0021】
回転板413は、励磁用巻線31が励磁用センサ部41の第1センサ部411(永久磁石21)と一致した位置、または励磁用巻線31が第2センサ部412(永久磁石21)と一致した位置を0°とした基準位置として、回転角度がマイナス方向とプラス方向に連続的に回転することで、第1センサ部411および第2センサ部412(センサ部)による回転板413の透過部413tおよび遮光部413s(識別部)の検出位置をずらすことができるので、励磁のタイミングをずらすことが可能である。
例えば、図4(A)は、励磁用センサ部41の角度が-5°であり、図4(B)は0°であり、図4(B)から図4(E)は、5°ごとに+15°まで回転させた状態を示している。
【0022】
回転角度についてのプラス方向は、回転子20の永久磁石21が固定子30の励磁用巻線31の位置に回ってくるより前に励磁用センサ部41が早めに検出する方向であり(図3においては反時計回り)、マイナス方向は、永久磁石21が励磁用巻線31の位置より過ぎたときに励磁用センサ部41が遅く検出する方向である(図3においては時計回り)。
【0023】
図2に示す励磁回路部42は、第1センサ部411部と第2センサ部412とを一組として、励磁用センサ部41からの磁極検出信号に基づいて、励磁用巻線31への通電方向を制御するものである。励磁回路部42は、第1FET421a,421bから第3FET423a,423bまでのトランジスタにより、励磁用巻線31への通電方向を制御している。
第1FET421aと第3FET423aとはn型FETである。第2FET422a,422bは、p型FETである。
【0024】
第1FET421a,421bは、ゲート端子Gが抵抗R11,R12を介して第1センサ部411および第2センサ部のフォトインタラプタに接続されている。また、第1FET421a,421bは、ソース端子Sが接地されている。
【0025】
第2FET422a,422bは、ソース端子SがダイオードD11,D12を介して電源に接続されていると共に、コンデンサC11,C12を介して接地されている。また、第2FET422a,422bのゲート端子Gは、抵抗R21,R22を介して第1FET421a,421bのドレイン端子Dに接続されていると共に、抵抗R31,R32を介して第2FET422a,422bのソース端子Sに接続されている。第2FET422a,422bのドレイン端子Dは、ダイオードD21,D22のアノード端子Aに接続され、コンデンサC11,C12を介して接地されていると共に、第3FET423a,423bのドレイン端子Dに接続されている。
【0026】
第3FET423a,423bは、ゲート端子Gが抵抗R41,R42を介して第1センサ部411および第2センサ部のフォトインタラプタに接続されている。第3FET423a,423bのソース端子Sは接地されている。
励磁用巻線31の一方の配線は、第2FET422aのドレイン端子Dに接続されていると共に、第3FET423aのドレイン端子Dに接続されている。
励磁用巻線31の他方の配線は、第2FET422bのドレイン端子Dに接続されていると共に、第3FET423bのドレイン端子Dに接続されている。
【0027】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る電動機の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。まず、第1巻線31aと第3巻線31cとの励磁について説明する。図2に示す制御回路40には電源が供給されているものとする。
【0028】
例えば、永久磁石21のN極が励磁用巻線31に位置することで、励磁用センサ部41のうち、第1センサ部411に、回転板413の透過部413tが位置する。
第1センサ部411の透過部413tにて発光ダイオードからの光が透過することで、フォトトランジスタが通電する。フォトトランジスタが通電することで、これが第1センサ部411から励磁回路部42への磁極検出信号となって、第1センサ部411に、抵抗R11,R41を介して接続された第1FET421aのゲート端子Gと、第3FET423aのゲート端子Gとは、第1FET421aと第3FET423aとがオン状態となる、第1電圧となる。
【0029】
また、第1センサ部411のフォトインタラプタに透過部413tが位置するときには、第2センサ部412には遮光部413sが位置するので、第2センサ部412は非通電状態にある。従って、第2センサ部412に、抵抗R12,R42を介して接続された第1FET421bのゲート端子Gと、第3FET423bのゲート端子Gとは、第1FET421bと第3FET423bがオフ状態となる、第1電圧より低電圧の第2電圧(0V)となる。
【0030】
第1FET421bがオフ状態であるときには、第1FET421bのドレイン端子Dに抵抗R21を介して接続された第2FET422aのゲート端子Gは、電源Vssに接続された抵抗R31により第2FET422aがオフ状態となる第1電圧となる。
【0031】
第1FET421aがオン状態であるときには、抵抗R22が第1FET421aのドレイン端子Dに接続されているため、第2FET422bのゲート端子Gは、第2FET422bがオン状態となる、第2電圧になる。
【0032】
このようにして、第1FET421a,421b~第3FET423a,423bのオン状態とオフ状態とが決定されると、電源Vssからの電流が、第2FET422bのソース端子SにダイオードD12を介して流れ込み、第2FET422bのドレイン端子Dから励磁用巻線31(第1巻線31a,第3巻線31c)へ流れる。そして、第1巻線31a,第3巻線31cの反対側から電流が、第3FET423aのドレイン端子Dからソース端子Sへ流れことで、第1巻線31a,第3巻線31cは、永久磁石21のN極と反発する同極の磁界を発生する。
第1巻線31a,第3巻線31cが発生した磁界により、永久磁石21のN極が反発して、回転子20が回転する。
【0033】
一方、永久磁石21のS極側では、励磁用センサ部41のうち、第2センサ部412に、回転板413の透過部413tが位置する。
第2センサ部412の透過部413tにて、発光ダイオードからの光が透過することで、フォトトランジスタが通電する。フォトトランジスタが通電することで、これが第2センサ部412から励磁回路部42への磁極検出信号となって、フォトトランジスタが通電することで、第2センサ部412に、抵抗R12,R42を介して接続された第1FET421bのゲート端子Gと、第3FET423bのゲート端子Gとは、第1FET421bと第3FET423bとがオン状態となる、第1電圧となる。
【0034】
また、第2センサ部412に透過部413tが位置するときには、第1センサ部411のフォトインタラプタには遮光部413sが位置するので、第1センサ部411は非通電状態にある。従って、第1センサ部411に、抵抗R11,R41を介して接続された第1FET421aのゲート端子Gと、第3FET423aのゲート端子Gとは、第1FET421aと第3FET423aがオフ状態となる、第2電圧となる。
【0035】
第1FET421aがオフ状態であるときには、第1FET421aのドレイン端子Dに抵抗R22を介して接続された第2FET422bのゲート端子Gは、電源Vssに接続された抵抗R32により第2FET422bがオフ状態となる第1電圧となる。
【0036】
第1FET421bがオン状態であるときには、抵抗R21が第1FET421bのドレイン端子Dに接続されているため、第2FET422aのゲート端子Gは、第2FET422aがオン状態となる、第2電圧になる。
【0037】
このようにして、第1FET421a,421b~第3FET423a,423bのオン状態とオフ状態とが決定されると、電源Vssからの電流が、第2FET422aのソース端子SにダイオードD11を介して流れ込み、第2FET422aのドレイン端子Dから励磁用巻線31(第1巻線31a,第3巻線31c)へ流れる。そして、第1巻線31a,第3巻線31cの反対側から電流が、第3FET423bのドレイン端子Dからソース端子Sへ流れことで、第1巻線31a,第3巻線31cは、永久磁石21のS極と反発する同極の磁界を発生する。
第2巻線31b,第4巻線31dが発生した磁界により、永久磁石21のS極が反発して、回転子20が回転する。
【0038】
この第1巻線31a,第3巻線31cにより、永久磁石21が反発する磁界を励磁することで回転子20が駆動され、回転方向に順次切り替わることで回転子20が回転し続ける。
【0039】
(第1実施例)
このように動作する本実施の形態1に係る電動機10を作製して、電動機10の出力軸(回転軸を発電機の入力軸に連結し、発電機の出力に電子負荷装置を接続してトルクを調整しながら、励磁用巻線31への入力電圧および入力電流と、回転子20の回転数との関係を測定した。
【0040】
励磁用巻線31は、銅線(Φ0.7mm)を400回巻いたものを使用した。
永久磁石21は、厚みが3mmの5個の円盤状磁石を積層したものであり、回転子本体22側から、直径が30mm、25mm、20mm、15mm、10mmのネオジム磁石を使用した。
【0041】
励磁回路部42への電源Vssとして30Vを印加した。
そして回転板413は、図4(B)に示す角度0°から図4(E)に示す角度+15°まで、5°ごとに回転させて回転軸23の回転数を測定した。また、電子負荷装置の負荷を調整して、電動機10のトルクを0.3N/m,0.4N/m,0.5N/mと変化させた。
【0042】
結果を図5(A)~同図(C)に示す。入力電圧(励磁電圧)が30Vで一定であるが、トルクを増加させると、入力電流(励磁電圧)が増加すると共に、回転数が上昇していることが判る。また、モータ効率は、角度を変化させても大きく低下していないことが判る。
【0043】
これは、永久磁石21が励磁用巻線31に接近して通過するときに、励磁用巻線31に逆起電力が発生し、励磁用巻線31の通電を阻害する。また、励磁用巻線31に通電すると過渡現象により時定数を持って電流が遅延して上昇する。従って、これらのことから、励磁用センサ部41の第1センサ部411と第2センサ部412とが励磁用巻線31に対応する位置に設定されていると、励磁用巻線31により発生する磁界は、永久磁石21が励磁用巻線31を通過した位置から最大となるものと推測される。
【0044】
しかし、励磁用センサ部41をプラス方向に移動して早めに透過部413tを検知させることで、励磁用巻線31への通電が早まるため、励磁用巻線31に電流が流れやすくなり、永久磁石21が励磁用巻線31に位置したあたりから、励磁用巻線31による磁界を最大とすることができる。従って、永久磁石21は、励磁用巻線31により大きく反発して、回転するので、電動機10の回転数を上昇させることができる。
【0045】
このように電動機10は、入力電圧が一定でありながら簡単に速度調整が可能である。
【0046】
なお、本実施の形態では、回転子20の永久磁石21のN極を検出するための第1センサ部411と、永久磁石21のS極を検出するための第2センサ部412との回転位置をずらすことで、回転数を調整していた。
しかし、手動式で第1センサ部411および第2センサ部412を回転移動することの他に電子式に調整することも可能である。
【0047】
例えば、図6に示すように、励磁用センサ部41からの磁極検出信号(N極を第1センサ部411により検出したことを示す信号であるN極検出信号,S極を第2センサ部412により検出したことを示す信号であるS極検出信号)がタイミング制御部43に入力されると、タイミング設定部44からの指示に基づいて、磁極発生信号(N極発生信号,S極発生信号)を磁極励磁部45に出力する。そして、磁極励磁部45は、励磁電流を第1,3巻線31a,31cと第2,4巻線31b,31dとに出力する。
【0048】
このとき、タイミング設定部44の設定が基準位置からマイナス方向を指示するものであれば、励磁用センサ部41からの磁極検出信号をタイミング制御部43が入力してから、タイミング設定部44の設定に応じて遅延させて、磁極発生信号を出力する。
また、タイミング設定部44の設定が基準位置からプラス方向を指示するものであれば、励磁用センサ部41からの磁極検出信号に基づいて、回転子20(回転板413)の1周の回転時間を算出し、タイミング設定部44の設定に基づく回転角度と、1周の回転時間から磁極発生信号を出力するタイミングを算出して出力する。
このように、第1センサ部411および第2センサ部412を手動式で回転させることなく、タイミング設定部44への設定により電子式で電動機の回転速度を調整することが可能である。
【0049】
図1に示す電動機10では、回転板413のスリットが形成された位置による透過部413tと、スリットが無い位置の遮光部413sとにより永久磁石21の位置を検出していたが、透過部413tと遮光部413sとを反対にしても、励磁回路部により反対の磁極を出力するようにすれば問題は無い。また、回転板413にスリットではなく、外周部に切り欠き部を形成するようにしてもよい。
【0050】
更に、回転板により励磁する期間が識別でき、検出できればよいので、例えば、回転板に識別部として磁石を設け、センサ部としてフォトインタラプタの代わりにホール素子により磁石を検出するようにしてもよいし、他の手段でもよい。
【0051】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る電動機を図面に基づいて説明する。なお、図7においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図7に示す電動機11は、発電用巻線32が励磁用巻線31と同軸で、且つ、励磁用巻線31より外周位置に配置されたものである。
【0052】
また、図8に示すように、発電用巻線32には、回転速度調整部50が接続されている。回転速度調整部50は、整流部51と、消費部52とを備えている。整流部51は、ダイオードブリッジにより構成することができる。
図8に示す回転速度調整部50では、整流部51に消費部52が1対1で接続されているが、回転速度調整部50は、他の発電用巻線32にも整流部51が接続され、他の複数の整流部51も1個の消費部52に対して接続されている。
【0053】
励磁用巻線31が通電されることで発電用巻線32に電力が発生する。発電用巻線32からの電流は整流部51により全波整流され、消費部52に流れる。消費部52では、発電用巻線32からの電力を、設定された抵抗値によって消費する。
【0054】
消費部52は、可変抵抗器とすることができるが、可変抵抗器の代わりに電気エネルギーを有効利用する負荷を接続してもよい。例えば、バッテリの充電回路としたり、照明器具としたり、電動機としたりすることができる。消費部52は、短絡状態から開放状態までの抵抗値を設定できるものとすることができる。
【0055】
(第2実施例)
図7および図8に示す電動機11を作製して、発電用巻線32に流れる電流を、消費部52を変更することで調整して、発電電圧および発電電流と、回転子20の回転数との関係を測定した。
なお、発電用巻線32として、銅線(Φ0.7mm)を320回巻いたものを使用した。他の条件は、実施例1と同じである。
【0056】
図9に示すように、励磁用センサ部41のセンサ角度を10°に一定、励磁用巻線31への励磁電圧を30Vに一定とし、消費部52を開放から短絡まで変更した。
消費部52を開放としたときには、発電用巻線32の発電電圧が22.45V、回転数が3,650rpmであった。そして、発電電流を0.5Aごとに上昇させると、回転数が3,750rpm、3,900rpm、4,070rpmと徐々に、回転数が上昇する。図5(A)から同図(C)に示す結果では、センサ角度を0°から+15°まで変更することで、回転数が上昇していたことから、図7に示す電動機11においても、センサ角度を変更しつつ、発電用巻線32に流れる発電電流を消費部52の負荷を変更することで、更に回転数を上昇させたり、抑制したりできると推定できる。
【0057】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る電動機を図面に基づいて説明する。
【0058】
本実施の形態3に係る電動機では、モータ効率を大きく低下させることなく、簡単に速度調整が可能なものとするために、回転子への磁界を発生する励磁用巻線と、前記回転子の回転に伴う磁界により発電する発電用巻線と、前記励磁用巻線の非励磁期間の一部または全部を含む期間の前記発電用巻線からの出力を調整する前記発電用巻線からの出力を調整する調整回路とを備えている。
【0059】
以下、本実施の形態3に係る電動機を詳述する。
本実施の形態3に係る電動機は、図7に示す実施の形態2に係る電動機11と同様に、回転子20の回転に伴う磁界により発電する発電用巻線32を備えている。発電用巻線32は、励磁用巻線31と同軸で、且つ、励磁用巻線31より外周位置に配置されている。
【0060】
実施の形態3に係る電動機では、図10に示すように発電用巻線32の出力に、電動機の回転を制御するための、短絡部による調整回路60が接続されている。調整回路60は、発電用巻線32から出力を整流する整流部61と、励磁用巻線31からの非励磁期間の一部または全部を含む期間に発電用巻線32からの出力を短絡させる短絡部62と、負荷Lを接続するための端子部63とを備えている。
なお、図10では、1セット分を図示しているが、励磁用巻線31および発電用巻線32の組み合わせは4組である。そのため、本実施の形態3に係る電動機では、図10に示す調整回路60をもう1セット備えている。
【0061】
整流部61は、ダイオードブリッジにより構成することができる。
また、短絡部62は、所定のタイミングで調整指示信号を出力する調整用センサ部621と、調整用センサ部621からの調整指示信号により整流部61(発電用巻線32)の出力を短絡するスイッチ回路622とを備えている。
調整用センサ部621は、光ダイオードとフォトダイオードとによる透過型のフォトインタラプタにより形成されている。
スイッチ回路622は、整流部61からの出力がドレイン端子に接続され、調整用センサ部621からの出力が抵抗を介してゲート端子に接続されたP型FETとすることができる。
【0062】
端子部63は、スイッチ回路622(FET)のソース端子に接続されていると共に、グランドに接続され、負荷Lが接続される。
【0063】
ここで、調整用センサ部621について、図11に基づいて説明する。
図11に示すように、調整用センサ部621は、励磁用巻線31が一方の磁極を発生していない非励磁期間を検出する第1センサ部621aと、励磁用巻線31が他方の磁極を発生していない非励磁期間を検出する第2センサ部621bとを備えている。この第1センサ部621aと第2センサ部621bとが、回転子20と共に回転する回転板413に設けられている。
【0064】
回転板413には、励磁用巻線31が一方の磁極を発生する期間(磁極検出信号を発生する期間)となる範囲として機能すると共に、磁極を発生する期間が経過した後に、調整指示信号を出力する期間となる範囲(以下、調整範囲と称す。)として機能する透過部413tであり、回転板413の円周方向に沿った、円弧状の透過部413tが形成されている。
【0065】
本実施の形態3では、図7に示す第1巻線31aと第3巻線31cとが同じ一方の磁極を発生し、第2巻線31bと第4巻線31dとが一方の磁極とは異なる他方の磁極を発生するので、円周方向に沿って45°の透過部413tと、透過部413tに続いて135°の遮光部413sと、次に45°の透過部413tと、135°の遮光部413sとが形成されている。
【0066】
次に、このように配置された第1センサ部621aおよび第2センサ部621bによる調整指示信号の発生タイミングについて、図12に基づいて説明する。
まず、図2に示す制御回路40の第1センサ部411(図12参照)が透過部413tを検出することで、磁極検出信号が励磁回路部42(図2参照)に出力され、励磁用巻線31に励磁電流が流れ、N極が発生する(S10参照)。
【0067】
回転子20と励磁用巻線31とによる磁界により、発電用巻線32が発電する。
調整用センサ部621は遮光部413sが位置しているため、出力には電流が流れてない状態である。従って、スイッチ回路622のゲート端子は、抵抗R61,R62によりプルアップされるため、整流部61により整流された発電用巻線32からの出力は、スイッチ回路622から端子部63を介して負荷Lに流れる。
【0068】
次に、回転板413が回転することで透過部413tから遮光部413sが第1センサ部411により検出されることで、励磁用巻線31への励磁電流が停止され、非励磁期間となる(S20参照)。
【0069】
そして、図11に示す第1センサ部621aにより透過部413tが検出される(S30参照)。図10に示すように、第1センサ部621aにより透過部413tが検出されると、第1センサ部621aからの出力の電圧が低下する。そうすると、整流部61により整流された発電用巻線32からの出力は、第1センサ部621aからグランドに流れるため短絡した状態となる。
【0070】
次に、図2に示す制御回路40の第2センサ部412(図12参照)が透過部413tを検出することで、磁極検出信号が励磁回路部42(図2参照)に出力され、励磁用巻線31に励磁電流が流れ、S極が発生する(S40参照)。
【0071】
回転子20と励磁用巻線31とによる磁界により、発電用巻線32が発電する。
調整用センサ部621は遮光部413sが位置しているため、出力には電流が流れてない状態である。従って、スイッチ回路622のゲート端子は、抵抗R61,R62によりプルアップされるため、整流部61により整流された発電用巻線32からの出力は、スイッチ回路622から端子部63を介して負荷Lに流れる。
【0072】
次に、回転板413が回転することで透過部413tから遮光部413sが第2センサ部412により検出されることで、励磁用巻線31への励磁電流が停止され、非励磁期間となる(S50参照)。
【0073】
そして、図11に示す第2センサ部621bにより透過部413tが検出される(S60参照)。図10に示すように、第2センサ部621bにより透過部413tが検出されると、第2センサ部621bからの出力の電圧が低下する。そうすると、整流部61により整流された発電用巻線32からの出力は、第2センサ部621bからグランドに流れるため短絡した状態となる。
【0074】
ここで、第2実施例における図7に示す電動機11に、図10および図11に示す調整回路60を実装して、励磁用センサ部41の回転板413を回転させたときの回転数を測定した。
図13(A)では、まず、負荷Lは接続せず、調整回路60を動作させない状態(発電用巻線32の出力が開放状態と等価)で測定した。
次に、図13(B)では、図12に示すタイミングで、励磁用巻線31が励磁され、非励磁期間に調整回路60(図10参照)により短絡される状態を測定した。
更に、図13(C)では、常に調整回路60を短絡させた状態(発電用巻線32の出力が短絡状態と等価)で測定した。
そして、図13(A)から同図(C)では、回転板413を、図4(A)に示す角度-5°から図4(E)に示す角度+15°まで、5°ごとに回転させた。
【0075】
図13(A)と図13(B)とを比較すると、入力電圧一定であるが、回転板413の回転角度を-5°から+15°に回転させると、図13(A)に示す発電用巻線32の出力を開放状態としたときより、図13(B)に示す非励磁期間に発電用巻線32の出力を短絡させた方が、回転数が上がっていることがわかる。
回転数だけを見ると、図13(C)に示す発電用巻線32の出力を短絡状態としたときの方が、図13(B)よりも高い。
しかし、図13(C)に示す発電用巻線32の出力を、常時短絡した状態では、大幅にモータ効率が、図13(A)に示す開放状態より低下してしまう。
【0076】
従って、図13(A)に示す開放状態より、図13(B)に示すようにモータ効率が、-2.7から1.1までと大幅に低下させることなく、回転数が50rpmから940rpmと上昇させることができる。特に、回転板413の回転角度が+10°、+15°のときには、回転数を大幅に上昇させることができ、モータ効率も0.1、1.1と向上させることができた。
【0077】
これは、励磁用巻線31の非励磁期間に発電用巻線32を短絡しない場合、回転子20の永久磁石21が励磁用巻線31に反発して通過して、励磁用巻線31の励磁期間が過ぎたときに、次の永久磁石21が励磁用巻線31に接近するときに、永久磁石21からの磁界により発電用巻線32が誘導されることで、励磁用巻線31に次の励磁電流が流れることを阻害しているものと推定される。従って、非励磁期間に発電用巻線32を短絡することで、励磁用巻線31に瞬時に励磁電流を流すことができるので、モータ効率を大幅に低下させることなく回転数を上昇させることができる。
【0078】
なお、本実施の形態3では、発電用巻線32の出力を短絡する短絡部としているが、発電用巻線32の出力を短絡する短絡部の代わりに、負荷による消費部を接続して、非励磁期間に発電用巻線32の出力を消費するようにすることも可能である。また、調整回路60では、非励磁期間の全部を短絡状態としているが、非励磁期間の一部とすることができる。負荷は、ダミー負荷だけでなく、発電用巻線32からの電流により回路を動作させるものでもよい。例えば、負荷は、充電回路によりバッテリを充電するようにしてもよい。
【0079】
また、本実施の形態3では、第1センサ部411,621aによる励磁期間を45°、非励磁期間(短絡期間)を45°、第2センサ部412,621bによる励磁期間を45°、非励磁期間(短絡期間)を45°としているため、図11に示す回転板413に、透過部413tが2箇所に形成され、同一円周上の透過部413tを検知するために、第1センサ部411,621aと第2センサ部412,621bとが配置されている。
【0080】
励磁期間を60°、非励磁期間(短絡期間)を30°のように異なる角度とすることもできる。
【0081】
その場合には、励磁期間を示す透過部413tと、非励磁期間(短絡期間)を示す透過部413tとを半径方向にずれた位置に形成して、第1センサ部411が通過した透過部413tの後に遮光部413sを検出したときに、第1センサ部621aが透過部413tを検出し、同様に、第2センサ部412が通過した透過部413tの後に遮光部413sを検出したときに、第2センサ部621bが透過部413tを検出するように配置することで可能である。
【0082】
また、図10に示す負荷Lを、図8に示す回転速度調整部50の消費部52のように、抵抗値を可変とすることで、回転速度調整部50によっても回転数を調整するようにしてもよい。
【0083】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る電動機を図面に基づいて説明する。
なお、図14および図15においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図14および図15に示す電動機12は、回転軸23の軸線に沿って、回転子20と固定子30とを一組として、その組み合わせが偶数組の一例である2組配置されたものである。
そして、回転軸23の軸線方向F1に並ぶ2個の励磁用巻線31の軸線位置に配置されたコア(図示せず)同士を連結するヨーク33が設けられている。
【0084】
また、軸線方向F1に並ぶ2個の励磁用巻線31は、制御回路40により互いに異極に励磁される。軸線方向F1に並ぶ回転子20の永久磁石21のうち、軸線方向F1に並ぶ永久磁石21は、異極になるように配置されている。
【0085】
このように形成された電動機12は、ヨーク33が回転軸23の軸線方向F1に並ぶ2個の励磁用巻線31の軸線位置に配置されたコア同士を連結している。そのため、磁路M11が、前後方向の一方の励磁用巻線31(後方の励磁用巻線31)からヨーク33を介して他方の励磁用巻線31(前方の励磁用巻線31)に向かうように発生する。また、反対に、磁路M12が、他方の励磁用巻線31(前方の励磁用巻線31)からヨーク33を介して一方の励磁用巻線31(後方の励磁用巻線31)に向かうように発生する。
【0086】
例えば、図1に示す電動機10にヨークを実装する際には、固定子30の4個の励磁用巻線31を周回するように形成することが考えられる。従って、回転軸23の軸線方向F1に偶数組の固定子30が配置された、図14に示す電動機12であっても、1組の固定子30の4個の励磁用巻線31を周回するようにヨークを実装してもよい。
しかし、4個の励磁用巻線31を周回するようにヨークを実装すると、漏れ磁束が大きくなり、効率の低下が心配される。
【0087】
本実施の形態では、ヨーク33が回転軸23の軸線方向F1に並ぶ2個の励磁用巻線31の軸線位置に配置されたコア同士を連結している。そのため、軸線方向F1に並ぶ励磁用巻線31を繋いだ部分のみに磁路が形成されるので、漏れ磁束を少なくすることができるため効率を向上させることができる。また、無駄なヨーク部分を減らせることができるので、コストを抑制することができる。
【0088】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る電動機を図面に基づいて説明する。なお、図16においては、図7および図14と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図16(A)および同図(B)に示す電動機13は、図7の電動機11と同様に、発電用巻線32が励磁用巻線31と同軸で、且つ、励磁用巻線31より外周位置に配置されたものである。この発電用巻線32には、図8に示す回転速度調整部50が接続されている。
そして、回転軸23の軸線方向F1に並ぶ2個の励磁用巻線31および2個の発電用巻線32の軸線位置に配置されたコア(図示せず)同士を連結するヨーク33が設けられている。
【0089】
このように形成された電動機13は、ヨーク33が回転軸23の軸線方向F1に並ぶ2個の励磁用巻線31および2個の発電用巻線32の軸線位置に配置されたコア同士を連結している。そのため、磁路M21が、前後方向の一方の励磁用巻線31(後方の励磁用巻線31)からヨーク33を介して他方の励磁用巻線31(前方の励磁用巻線31)に向かうように発生する。また、反対に、磁路M22が、他方の励磁用巻線31(前方の励磁用巻線31)からヨーク33を介して一方の励磁用巻線31(後方の励磁用巻線31)に向かうように発生する。
【0090】
このように、励磁用巻線31に発電用巻線32が同軸に連結されていても、軸線方向F1に並ぶ励磁用巻線31同士を、発電用巻線32を介してヨーク33により連結することで、図14に示す電動機12と同様に、漏れ磁束を少なくすることができるため効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、複数の永久磁石が出力軸に設けられた回転子と、出力軸の回転円周に沿って配置された複数の励磁用巻線を有する固定子とを有する電動機に好適である。
【符号の説明】
【0092】
10,11,12,13 電動機
20 回転子
21 永久磁石
211 第1部分
212 第2部分
213 第3部分
214 第4部分
215 第5部分
22 回転子本体
23 回転軸
30 固定子
31 励磁用巻線
31a~31d 第1巻線~第4巻線
32 発電用巻線
33 ヨーク
40 制御回路
41 励磁用センサ部
411 第1センサ部
412 第2センサ部
413 回転板
413d 円盤本体
413t 透過部
413s 遮光部
42 励磁回路部
421a,421b 第1FET
422a,422b 第2FET
423a,423b 第3FET
43 タイミング制御部
44 タイミング設定部
45 磁極励磁部
可 50 回転速度調整部
51 整流部
52 消費部
60 調整回路
61 整流部
62 短絡部
621 調整用センサ部
621a 第1センサ部
621b 第2センサ部
622 スイッチ回路
63 端子部
G ゲート端子
S ソース端子
D ドレイン端子
R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42 抵抗
R61,R62 抵抗
C11,C12 コンデンサ
D11,D12,D21,D22 ダイオード
M11,M12,M21,M22 磁路
F1 軸線方向
L 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16