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特許7276945燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1004 20160101AFI20230511BHJP
   H01M 8/04992 20160101ALI20230511BHJP
   H01M 8/04291 20160101ALI20230511BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230511BHJP
【FI】
H01M8/1004
H01M8/04992
H01M8/04291
H01M8/0438
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022164529
(22)【出願日】2022-10-13
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202210487531.2
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522401992
【氏名又は名称】中汽研新能源汽車検験中心(天津)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CATARC New Energy Vehicle Test Center (Tianjin) Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Xiongzi Road,Dongli District,Tianjin 300300,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 子栄
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 冬
(72)【発明者】
【氏名】張 妍懿
(72)【発明者】
【氏名】王 暁兵
(72)【発明者】
【氏名】陳 光
(72)【発明者】
【氏名】焦 道▲クワン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 岩
(72)【発明者】
【氏名】王 睿▲ディー▼
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-531800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/1004
H01M 8/04992
H01M 8/04291
H01M 8/0438
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法であって、
S1、燃料電池内部の膜水の輸送方程式を確立し、前記膜水の輸送方程式の電気浸透性抗力効果のパラメータを取得するステップと、
S2、前記膜水の輸送方程式の電気浸透性抗力効果のパラメータに基づいて、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化を行うステップと、
S3、ステップS2の離散化結果に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを取得するステップと、
S4、前記完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルに基づいて、前記膜水の輸送方程式を解き、燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを構築するステップとを含み、
前記完全な電気浸透性抗力効果に対する離散化は、膜水の含有量勾配による水輸送部分に対する離散化とプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分に対する離散化とを含み、
前記膜水の含有量勾配に起因する水輸送部分の計算式は、
【数40】
であり、
ここで、Fはファラデー定数、
【数41】
はそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の膜水の含有量勾配による水輸送部分、
【数42】
はそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックス、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、λ,λ,λ,λはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量であり、
前記アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックスの計算式は、
【数43】
であり、
ここで、J,J,J,Jはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界におけるプロトン輸送フラックスであり、
前記アノード触媒層の左境界、カソード触媒層の右境界のプロトン輸送フラックス及び前記アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面の両者のプロトン輸送フラックスの式は、
【数44】
であり、
ここで、Iは電流密度であり、
プロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分について、その計算式は、
【数45】
はそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層のプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分、λCLa,λMEM,λCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量であることを特徴とする燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法。
【請求項2】
ステップS1において、前記燃料電池内部の膜水輸送方程式は、
【数46】
であり、
ここで、ρmemはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、ωはポリマーの体積分率、λは膜水の含有量、tは時間、nは電気浸透性抗力係数、Jionはプロトン輸送フラックス、Fはファラデー定数、Dmwは膜水の拡散係数、Smwは膜水ソース項であり、
前記膜水ソース項の計算式は、
【数47】
であり、
ここで、Smwは膜水ソース項、Sreactは電気化学反応の生成物の水ソース項、Sm-vは膜水と水蒸気との間の相転移ソース項、Sm-1は膜水と液体状態の水との間の相転移ソース項であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法。
【請求項3】
電気浸透性抗力効果の式は、
【数48】
であり、
ここで、nは電気浸透性抗力係数、Jionはプロトン輸送フラックス、Fはファラデー定数、xは極板に垂直な方向、λは膜水の含有量、
【数49】
は膜水の含有量勾配による水輸送部分、
【数50】
はプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法。
【請求項4】
完全な電気浸透性抗力効果の計算式は、
【数51】
であり、
ここで、Iは電流密度、Fはファラデー定数、λ,λ,λ,λはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、λCLa,λCLcはそれぞれアノード触媒層、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量であり、
前記アノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量は線形補間方式によって求め、その計算式は、
【数52】
燃料電池内部における膜水の輸送方程式に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果を得るための離散化シミュレーションモデルは、
【数53】
であることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法。
【請求項5】
ステップS4において、前記膜水の輸送方程式を解けて構築した燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルは、
【数54】
であり、
ここで、
【数55】
はそれぞれt時刻におけるアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量、
【数56】
はそれぞれt-Δt時刻におけるアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量、
【数57】
はそれぞれアノード触媒層とプロトン交換膜の間、およびカソード触媒層とプロトン交換膜の間の有効膜水拡散係数、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、ρMEMはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、Δtは時間ステップの大きさ、ωCLa,ωMEM,ωCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層のポリマーの体積分率、Iは電流密度、Fはファラデー定数、Smwは膜水ソース項であることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はプロトン交換膜燃料電池の分野に属し、特に燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトン交換膜燃料電池(Proton exchange membrane fuel cell、PEMFC)は電気化学反応によって化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置であり、高エネルギー変換効率、低動作温度、ゼロノイズ、ゼロエミッションなどの優位性を有し、将来の交通輸送業界で広く利用されると見込まれるクリーンエネルギーの一つとなる。
【0003】
水素は、アノード流路の入口から燃料電池に入り、多孔質媒体層を通って触媒層の三相界面に到達し、ここでプロトンと電子に変換される。プロトンはプロトン交換膜中を直接移動することができるが、電子は外部回路を介してのみ移動することができる。酸素(又は空気)は、カソード流路から入り、ガス拡散層及び微多孔層を通ってカソード触媒層に運ばれて還元反応を起こし、水を生成する。プロトン交換膜は、アノードからカソードへのプロトンの移動のための通路又は経路となる燃料電池の主な構成要素である。水分子は、プロトンと水素結合してヒドロニウムイオン(例えば、H3O+、H5O2 +など)になりやすい極性を有しているため、アノードからカソードにプロトンが輸送される際に一定量の水分子を運ぶことになり、この輸送メカニズムは電気浸透性抗力効果(electro-osmotic drag effect)と呼ばれる。電気浸透性抗力効果はアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層中の水の分布状況に大きく影響し、膜電極の湿潤性はプロトン伝導度のレベルを決定し、それによってオーム電圧損失及び燃料電池出力性能に影響する。試験手段が運転状態での燃料電池内部の電気浸透性抗力効果を測定できないことを考慮して、数値シミュレーションは電気浸透性抗力効果を表現する有効な手段となっている。現在、国内外のシミュレーション研究は完全な電気浸透性抗力効果を考慮せずに電気浸透性抗力効果を計算する時に簡単化処理方法を採用しており、燃料電池内の水輸送過程の求解の正確性が不十分になり、シミュレーションモデルの全体の信頼性に影響を与えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化及び数値計算を行うことで、燃料電池の数値シミュレーション技術の進歩を促進し、国の燃料電池製品の設計開発能力を向上させる燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本願に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法は、
S1、燃料電池内部の膜水の輸送方程式を確立するステップと、
S2、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化を行うステップであって、前記離散化は、膜水の含有量勾配による水輸送部分とプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分を含むステップと、
S3、ステップS2の離散化結果に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを取得するステップと、
S4、前記膜水の輸送方程式を解き、燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを構築するステップとを含む。
【0006】
さらに、ステップS1において、燃料電池内部の膜水輸送方程式は、以下のとおりである。
【数1】
式(1)において、ρmemはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、ωはポリマーの体積分率、λは膜水の含有量、tは時間、nは電気浸透性抗力係数Jion、はプロトン輸送フラックス、Fはファラデー定数、Dmwは膜水の拡散係数、Smwは膜水ソース項である。
【0007】
前記膜水ソース項の計算式は以下のとおりである。
【数2】
式(2)において、Smwは膜水ソース項、Sreactは電気化学反応の生成物の水ソース項、Sm-vは膜水と水蒸気との間の相転移ソース項、Sm-1は膜水と液体状態の水との間の相転移ソース項である。
【0008】
前記電気化学反応の生成物の水ソース項、相転移ソース項、水力浸透効果のソース項の計算式は以下のとおりである。
【数3】
式(3)、(4)及び(5)において、Iは電流密度、Fはファラデー定数、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、ξmv,ξmlはそれぞれ膜水と水蒸気との間の相転移速度、膜水と液体状態の水との間の相転移速度、ρMEMはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、λは膜水の含有量、λeqは平衡膜水の含有量、λsatは飽和膜水の含有量である。
【0009】
さらに、ステップS2において完全な電気浸透性抗力効果に対する離散化は、
A1、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化を行うステップと、
A2、膜水の含有量勾配による水輸送部分に対して離散化を行うステップと、
A3、プロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分に対して離散化を行うステップとを含む。
【0010】
さらに、ステップA1における電気浸透性抗力効果の離散化式は、以下のとおりである。
【数4】
式(6)及び(7)において、nは電気浸透性抗力係数、Jionはプロトン輸送フラックス、Fはファラデー定数、xは極板に垂直な方向、λは膜水の含有量、
【数5】
は膜水の含有量勾配による水輸送部分、
【数6】
はプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分である。
【0011】
さらに、ステップA2において、膜水の含有量勾配に起因する水輸送部分について、以下のように計算される。
【数7】
式(8)において、
【数8】
はそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の膜水の含有量勾配に起因する水輸送部分、Fはファラデー定数、
【数9】
はそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックス、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、λ,λ,λ,λはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量である。
【0012】
前記アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックスの計算式は以下の通りである。
【数10】
式(9)において、J,J,J,Jはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界におけるプロトン輸送フラックスである。
【0013】
プロトンはアノード触媒層で生成され、カソード触媒層に輸送され、消耗されるため、アノード触媒層の左境界、カソード触媒層の右境界のプロトン輸送フラックスはいずれも0となる。また、プロトン交換膜で輸送される時、生成されず、消耗されないため、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面の両者のプロトン輸送フラックスは等しく、その式は以下の通りである。
【数11】

式(10)において、Iは電流密度である。
【0014】
さらに、ステップA3において、プロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分について、その計算式は以下の通りである。
【数12】
式(11)において、
【数13】
はアノード、λCLa,λMEM,λCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量である。
【0015】
さらに、ステップS3において、完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを取得するには、
B1、ステップS2における電気浸透性抗力効果の離散化結果に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化シミュレーション計算を行うステップと、
B2、燃料電池内部の膜水の輸送方程式に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを取得するステップとを含む。
さらに、ステップB1における完全な電気浸透性抗力効果の計算式は以下のようになる。
【数14】
式(12)において、Iは電流密度、Fはファラデー定数、λ,λ,λ,λはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、λCLa,λCLcはそれぞれアノード触媒層、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量である。
【0016】
前記アノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量は線形補間方式によって求め、その計算式は以下の通りである。
【数15】
【0017】
上記ステップB2において、燃料電池内部における膜水の輸送方程式に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果を得るための離散化シミュレーションモデルは、以下の通りである。
【数16】
【0018】
さらに、ステップS4において、前記膜水の輸送方程式を解き、燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを以下のように構築する。
【数17】
式(15)、(16)及び(17)において、
【数18】
はそれぞれt時刻におけるアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量、
【数19】
はそれぞれt-Δt時刻におけるアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量、
【数20】
はそれぞれアノード触媒層とプロトン交換膜の間、およびカソード触媒層とプロトン交換膜の間の有効膜水拡散係数、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、ρMEMはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、Δtは時間ステップの大きさ、ωCLa,ωMEM,ωCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層のポリマーの体積分率、Iは電流密度、Fはファラデー定数、Smwは膜水ソース項である。
【0019】
従来技術と比べ、本願に記載の燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法は、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化処理及び数値シミュレーションを行うことができ、また、膜水の含有量勾配による水輸送部分及びプロトン伝送フラックス勾配による水輸送部分を含むため、従来のシミュレーションモデルが前記後者を無視することによる燃料電池内部の水輸送過程の求解の正確性の不足を補い、燃料電池シミュレーション技術の信頼性の向上を促進し、実験コスト及び製品開発周期を大幅に低下させる。
【0020】
具体的には、以下の技術的効果を有する。(1)本願に記載の燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法は、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化及び数値計算を行い、膜水の含有量勾配による水輸送部分及びプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分を含むため、従来のシミュレーションモデルが前記後者を無視することによる燃料電池内部の水輸送過程の求解の正確性の不足が補われる。(2)本願に記載された燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法は、試験手段が運転状態で燃料電池内部の電気浸透性抗力効果に対して測定できない問題を解決し、燃料電池シミュレーション技術の信頼性向上を促進し、実験コストと製品開発周期を大幅に低下させる。
【0021】
本願の一部となる図面は本願対しての理解を深めるためのものであり、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を説明するためのものであり、本願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法の離散化計算の概略図である。
図2図2は、本出願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法におけるアノード触媒層内の電気浸透性抗力効果を従来のモデルの簡略化結果と比較したものである。
図3図3は、本出願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法におけるプロトン交換膜内の電気浸透性抗力効果を従来のモデルの簡略化結果と比較したものである。
図4図4は、本出願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法におけるカソード触媒層内の電気浸透性抗力効果を従来のモデルの簡略化結果と比較したものである。
図5図5は、本出願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法におけるアノード触媒層内の膜水の含有量を従来のモデルの簡略化結果と比較したものである。
図6図6は、本出願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法におけるプロトン交換膜内の膜水の含有量を従来のモデルの簡略化結果と比較したものである。
図7図7は、本出願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法におけるカソード触媒層内の膜水の含有量を従来のモデルの簡略化結果と比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本開示の例示的な実施例を図面に示したが、本開示は、本明細書に記載された実施例に限定されることなく、様々な形態で実施され得ることを理解されたい。むしろ、これらの実施例は、本開示をより完全に理解し、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0024】
以下、本発明の方法の具体的な手順を、図面を参照して具体的な実施例を用いて説明する。
【0025】
図1は、本願の実施形態に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法の離散化処理の概略図である。
図1に示すように、本願の離散化モデリング方法の離散化処理は、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層から構成される構成を対象とする。
具体的には、本実施例では、アノード触媒層の厚さ:0.01mm、プロトン交換膜の厚さ:0.025mm、カソード触媒層の厚さ:0.01mmとした。
アノード触媒層中のポリマーの体積分率:0.4、プロトン交換膜中のポリマーの体積分率:1.0、カソード触媒層中のポリマーの体積分率:0.4とした。
プロトン交換膜の等価質量:1.1 kg mol-1とした。
膜水と水蒸気との間の相転移速度:1.0s-1、膜水と液体状態の水との間の相転移速度:1.0s-1とした。
ファラデー定数:96487C mol-1とした。
運転電流密度:1.0A cm-2とした。
初期アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量:6.2、6.2、6.2とした。初期燃料電池温度:20℃とした。カソード、アノードの入口におけるガス温度:80℃とした。カソード、アノードのガス入口の相対湿度:100%とした。
時間ステップ:0.1sとした。
【0026】
以下、49.9sから50.0sまでの時間帯を選択して本願の実施の形態を説明する。
本願に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法は、
S1、燃料電池内部の膜水(membrane water)の輸送方程式を確立するステップと、
S2、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化を行うステップと、
S3、ステップS2の離散化結果に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを取得するステップと、
S4、前記膜水の輸送方程式を解き、燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを構築するステップとを含むことを特徴とする。
【0027】
図2図7は、いずれも本願の実施例に係る燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法の実施効果である。
(1)S1、燃料電池内部の膜水の輸送方程式を確立する。
【数21】
上記の式において、ρmemはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、ωはポリマーの体積分率、λは膜水の含有量、tは時間、nは電気浸透性抗力係数、Jionはプロトン輸送フラックス、Fはファラデー定数、Dmwは膜水の拡散係数、Smwは膜水ソース項である。
【0028】
前記膜水ソース項の計算式は以下のとおりである。
【数22】
上記の式において、Smwは膜水ソース項、Sreactは電気化学反応の生成物の水ソース項、Sm-vは膜水と水蒸気との間の相転移ソース項、Sm-1は膜水と液体状態の水との間の相転移ソース項である。
【0029】
前記電気化学反応の生成物の水ソース項、相転移ソース項、水力浸透効果のソース項の計算式は以下のとおりである。
【数23】
上記の式において、Iは電流密度、Fはファラデー定数、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、ξmv,ξmlはそれぞれ膜水と水蒸気との間の相転移速度、膜水と液体状態の水との間の相転移速度、ρMEMはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、λは膜水の含有量、λeqは平衡膜水の含有量、λsatは飽和膜水の含有量である。
【0030】
前記平衡膜水の含有量、飽和膜水の含有量の計算式は以下のとおりである。
【数24】
49.9sの時点で、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量はそれぞれ10.828、13.722、17.031であり、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における温度は354.198K、354.259K、354.318Kである。
計算した結果、49.9sの時点で、電気化学反応の生成物の水ソース項は5.182kmol m-3 s-1であり、アノード膜水と水蒸気との間の相転移ソース項は-3.104kmol m-3 s-1であり、カソード膜水と水蒸気との間の相転移ソース項は4.222kmol m-3 s-1であり、アノード膜水と液体状態の水との間の相転移ソース項は0であり、カソード膜水と液体状態の水との間の相転移ソース項は4.222kmol m-3s-1である。 従って、アノード触媒層、カソード触媒層の膜水ソース項は、それぞれ3.104kmol m-3 s-1、-3.262kmol m-3s-1となる。
【0031】
(2)S2、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化を行い、前記離散化は、膜水の含有量勾配による水輸送部分とプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分を含む。S3、スステップS2の離散化結果に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを取得する。
【0032】
図2図4は、それぞれアノード触媒層内の電気浸透性抗力効果を従来のモデルの簡略化結果と比較したもの、プロトン交換膜内の電気浸透性抗力効果を従来のモデルの簡略化結果と比較したもの、カソード触媒層内の電気浸透性抗力効果を従来のモデルの簡略化結果と比較したものである。
【0033】
前記完全な電気浸透性抗力効果に対する離散化は、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化を行うステップと、膜水の含有量勾配による水輸送部分に対して離散化を行うステップと、プロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分に対して離散化を行うステップとを含む。
【0034】
電気浸透性抗力効果の離散化式は以下のとおりである。
【数25】
上記の式において、nは電気浸透性抗力係数、Jionはプロトン輸送フラックス、Fはファラデー定数、xは極板に垂直な方向、λは膜水の含有量、
【数26】
は膜水の含有量勾配による水輸送部分、
【数27】
はプロトン輸送フラックス勾配による水輸送部分である。
【0035】
膜水の含有量勾配に起因する水輸送部分について、以下のように計算される。
【数28】
上記の式において、Fはファラデー定数、
【数29】
はそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックス、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、λ,λ,λ,λはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量である。
【0036】
前記アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックスの計算式は以下の通りである。
【数30】
上記の式において、J,J,J,Jはそれぞれアノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界におけるプロトン輸送フラックスである。
【0037】
プロトンはアノード触媒層で生成され、カソード触媒層に輸送され、消耗されるため、アノード触媒層の左境界、カソード触媒層の右境界のプロトン輸送フラックスはいずれも0となる。また、プロトン交換膜で輸送される時、生成されず、消耗されないため、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面の両者のプロトン輸送フラックスは等しく、その式は以下の通りである。
【数31】
上記の式において、Iは電流密度である。
【0038】
前記アノード触媒層の左境界、アノード触媒層とプロトン交換膜との界面、プロトン交換膜とカソード触媒層との界面、カソード触媒層の右境界における膜水の含有量は線形補間方式によって求め、その計算式は以下の通りである。
【数32】
49.9sの時点で、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量は、それぞれ10.828、13.722、17.031である。
計算した結果、49.9s時点で、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックスはそれぞれ5000A m-2、10000A m-2、5000A m-2であり、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層における膜水の含有量勾配による水輸送分はそれぞれ-0.963kmol m-3 s-1、2.064kmol m-3 s-1、-2.796kmol m-3s-1である。
【0039】
プロトン輸送フラックス勾配に起因する水輸送部分について、計算式は以下のようになる。
【数33】
上記の式において、λCLa,λMEM,λCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量である。
【0040】
時刻49.9sにおいて、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量は、それぞれ10.828、13.722、17.031である。
計算した結果、49.9sの時点で、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層におけるプロトン輸送フラックス勾配による水輸送分は、それぞれ-12.753kmol m-3 s-1、0kmol m-3 s-1、-16.161kmol m-3s-1であった。
従って、49.9sの時点で、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層における完全な電気浸透性抗力効果は、それぞれ13.716kmol m-3 s-1、2.064kmol m-3 s-1、-18.957kmol m-3s-1である。
【0041】
上述したシミュレーション式及び図面から明らかなように、従来のモデルでは、電気浸透性抗力効果を簡易化しているため、シミュレーション結果では、電気浸透性抗力効果の絶対値が、本願で算出した完全な電気浸透性抗力効果の絶対値よりも低くなっている。
【0042】
(3)S4、前記膜水の輸送方程式を解き、燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを構築する。
【0043】
図5図7はそれぞれ、アノード触媒層内の膜水の含有量を従来のモデルの簡略化結果と比較した概略図、プロトン交換膜内の膜水の含有量を従来のモデルの簡略化結果と比較した概略図、カソード触媒層内の膜水の含有量を従来のモデルの簡略化結果と比較した概略図である。
【数34】
上記の式において、
【数35】
はそれぞれt時刻におけるアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量、
【数36】
はそれぞれt-Δt時刻におけるアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量、
【数37】
はそれぞれアノード触媒層とプロトン交換膜の間、およびカソード触媒層とプロトン交換膜の間の有効膜水拡散係数、δCLa,δMEM,δCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の厚さ、ρMEMはプロトン交換膜の密度、EWはプロトン交換膜の等価質量、Δtは時間ステップの大きさ、ωCLa,ωMEM,ωCLcはそれぞれアノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層のポリマーの体積分率、Iは電流密度、Fはファラデー定数、Smwは膜水ソース項である。
【0044】
49.9sの時点で、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量はそれぞれ10.828、13.722、17.031であり、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における温度はそれぞれ354.198K、354.259K、354.318Kであり、アノード触媒層とプロトン交換膜の間、プロトン交換膜とカソード触媒層の間の有効の膜水拡散係数
【数38】
はそれぞれ3.551×10-10m2 s-1、4.683×10-10m2 s-1である。
【数39】
結果50.0sの時点で、アノード触媒層、プロトン交換膜、カソード触媒層の内部中心位置における膜水の含有量は、それぞれ10.816、13.724、17.011と算出された。
【0045】
上述したシミュレーション式及び図面から明らかなように、従来のモデルシミュレーション処理の結果における電気浸透性抗力効果の絶対値は、本願において算出された完全な電気浸透性抗力効果の絶対値よりも小さいため、従来のモデルの計算結果における膜水の含有量は、本願において算出された膜水の含有量よりも大きくなる。
【0046】
本出願は完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化及び数値計算を行い、膜水の含有量勾配による水輸送部分及びプロトンの輸送フラックス勾配による水輸送部分を含むため、従来のシミュレーションモデルが前記後者を無視することによる燃料電池内部の水輸送過程の求解の正確性の不足を補い、燃料電池シミュレーション技術の信頼性の向上を促進し、実験コスト及び製品開発周期を大幅に低下させる。
【0047】
本発明のフローチャートは、本発明の実施例に係る方法のステップを説明するために用いられる。なお、前後のステップは必ずしも順序通りに正確に行われるとは限らない。逆に、種々のステップを逆順に処理してもよいし、同時に処理してもよい。また、これらのプロセスに他の操作を追加することも可能である。
【0048】
当業者であれば、上述した方法のステップの全部または一部が、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアに命令して完了させてもよく、プログラムは、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、または光ディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよいことを理解するであろう。あるいは、上述の実施例のステップの全部または一部は、1つまたは複数の集積回路を使用して実現されてもよい。また、上記実施例における各モジュール/ユニットは、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールにより実現されてもよい。本開示は、ハードウェアおよびソフトウェアの特定の形態の組み合わせに限定されない。
【0049】
本明細書において使用される全ての用語は、特に断らない限り、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。また、通常の辞書に定義されているような用語は、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された、または極端に形式的な意味を適用して解釈されるべきではなく、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであることも理解されたい。
【0050】
以上が本発明の説明であり、これに限定されるものではない。本開示のいくつかの例示的な実施例を説明したが、当業者であれば、本開示の新規の教示および利点から逸脱することなく、例示的な実施例に多くの変更を加えることができることを容易に理解するであろう。したがって、このような修正は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。以上が本発明の説明であり、開示された特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、開示された実施形態および他の実施形態に対する変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを理解されたい。本開示は、特許請求の範囲及びその等価物によって規定される。
【0051】
本明細書の説明において、用語「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「特定の例」、または「いくつかの例」などの記載は、その実施例または例に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本願の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。なお、本明細書において、上記の用語の概略表現は、必ずしも同一の実施例又は例を示すものではない。さらに、記載された特定の特徴、構造、材料、または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において、適切な方法で組み合わせることができる。
【0052】
上記の説明は単に本出願の好ましい実施例であり、本出願を制限することを意図するものではなく、本出願の精神及び原則の範囲内で、いかなる修正、均等物の置換、改良などを行っても、本出願の保護範囲に含まれるものとする。
【要約】      (修正有)
【課題】燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化モデリング方法を提供する。
【解決手段】燃料電池内部の膜水の輸送方程式を確立するステップと、完全な電気浸透性抗力効果に対して離散化を行うステップと、離散化の結果に基づいて、完全な電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを取得するステップと、膜水の輸送方程式を解き、燃料電池における水輸送の電気浸透性抗力効果の離散化シミュレーションモデルを構築するステップとを含む。
【効果】本願の離散化モデリング方法は、燃料電池シミュレーション技術の信頼性の向上を促進し、実験コスト及び製品開発周期を大幅に低下させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7