(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】プログラム、方法、情報処理装置、システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20230511BHJP
【FI】
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2022183103
(22)【出願日】2022-11-16
【審査請求日】2022-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森島 龍司
(72)【発明者】
【氏名】大木 真吾
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-020707(JP,A)
【文献】特開2003-278189(JP,A)
【文献】国際公開第2021/177371(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2050487(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、
人口データに基づき、前記メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、
前記対象エリアの下水普及率を取得するステップと、
前記メッシュを第1状態に設定し、算出した前記人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が前記下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、
前記第1状態
のメッシュを下水整備がない領域と推定し、前記第2状態
のメッシュを下水整備がある領域と推定するステップと
を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記対象エリアにおける上水関連施設による給水区域に関する情報を取得するステップと、
前記給水区域に該当しない前記メッシュを第A状態に設定し、前記給水区域に該当する前記メッシュを第B状態に設定するステップと、
前記第A状態
のメッシュを上水整備がない領域と推定し、前記第B状態
のメッシュを上水整備がある領域と推定するステップと、
前記第1状態、第2状態、第A状態、第B状態に基づき、上下水環境を4つの区域の少なくともいずれかに区分けするステップと
を前記プロセッサに実行させる請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記区域毎に、水の需要に応じて当該区域における既存インフラに家屋を接続する場合の第1費用と、前記家屋を前記既存インフラに接続せず分散型インフラを利用した場合の第2費用とを算出するステップを前記プロセッサに実行させる請求項2記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1費用と前記第2費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出するステップと、
前記メッシュ内で推定される管渠延長と前記限界距離との差に基づき、前記分散型インフラを利用することで削減されるコストを算出するステップと
を前記プロセッサに実行させる請求項3記載のプログラム。
【請求項5】
前記区域毎に、水の需要に応じて当該区域における既存インフラに複数の家屋を接続する場合の第1費用と、複数の前記家屋を前記既存インフラに接続せず分散型インフラを共有して利用した場合の第2費用とを算出するステップを前記プロセッサに実行させる請求項2記載のプログラム。
【請求項6】
前記第1費用と前記第2費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出するステップと、
前記メッシュ内で推定される管渠延長と前記限界距離との差に基づき、前記分散型インフラを利用することで削減されるコストを算出するステップと
を前記プロセッサに実行させる請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記対象エリアを、前記第1状態、前記第2状態、前記第A状態、前記第B状態、前記区分けされた区域、又はこれらのうち少なくとも2つ以上の組み合わせを識別可能に表示するステップを前記プロセッサに実行させる請求項2記載のプログラム。
【請求項8】
前記コストを算出するステップにおいて、前記対象エリアの一部乃至全てのメッシュについて前記コストを算出し、
前記対象エリアを、前記メッシュについて算出したコストを識別可能に表示するステップを前記プロセッサに実行させる請求項4記載のプログラム。
【請求項9】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行される方法であって、前記プロセッサが、
対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、
人口データに基づき、前記メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、
前記対象エリアの下水普及率を取得するステップと、
前記メッシュを第1状態に設定し、算出した前記人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が前記下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、
前記第1状態
のメッシュを下水整備がない領域と推定し、前記第2状態
のメッシュを下水整備がある領域と推定するステップと
を実行する方法。
【請求項10】
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、前記制御部が、
対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、
人口データに基づき、前記メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、
前記対象エリアの下水普及率を取得するステップと、
前記メッシュを第1状態に設定し、算出した前記人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が前記下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、
前記第1状態
のメッシュを下水整備がない領域と推定し、前記第2状態
のメッシュを下水整備がある領域と推定するステップと
を実行する情報処理装置。
【請求項11】
対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割する手段と、
人口データに基づき、前記メッシュ毎の人口密度を算出する手段と、
前記対象エリアの下水普及率を取得する手段と、
前記メッシュを第1状態に設定し、算出した前記人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が前記下水普及率に達するまで、第2状態に設定する手段と、
前記第1状態
のメッシュを下水整備がない領域と推定し、前記第2状態
のメッシュを下水整備がある領域と推定する手段と
を具備するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、情報処理装置、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理により検出した地図のエッジ情報を利用してなる管網シミュレーション装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、地図画像に基づいて人口密度を推定し、推定した人口密度に基づいて管網シミュレーションをするようにしている。しかしながら、特許文献1では、地図画像を取得し、地図画像から人が住んでいる家屋を判別する必要があり、処理が煩雑である。
【0005】
本開示の目的は、公開されている情報に基づき、対象エリアにおける水道環境を、処理負担を抑えて推定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムである。プログラムは、プロセッサに、対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、メッシュ毎の人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、対象エリアの下水普及率を取得するステップと、メッシュを第1状態に設定し、算出した人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、第1状態のメッシュを下水整備がない区域と推定し、第2状態のメッシュを下水整備がある区域と推定するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、公開されている情報に基づき、対象エリアにおける水道環境を、処理負担を抑えて推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】システム1の全体構成の例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す情報処理装置10の構成例を表すブロック図である。
【
図3】情報処理装置10で記憶されるエリア情報テーブル181のデータ構造を示す図である。
【
図4】情報処理装置10が対象エリアについてのシミュレーションを実行する際の動作の例を表すフローチャートである。
【
図5】メッシュ領域について推定される区域を説明するための図である。
【
図6】家屋間限定距離を算出する際の処理を説明するための図である。
【
図7】分散型インフラを導入することによるコストメリットをシミュレーションした結果を表す図である。
【
図8】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<概略>
本実施形態に係る情報処理装置は、シミュレーションの対象となるエリアを所定の次数のメッシュ(例えば、4次メッシュ)に分割し、メッシュ毎の人口データ、上水事業+簡易水道事業による給水区域に関するデータ、下水普及率に関するデータ等に基づき、メッシュ領域の上下水環境を推定する。情報処理装置は、推定した環境に基づき、メッシュ毎に、水処理(上下水道)の大規模集中型インフラを、水処理の分散型インフラで代用することのコストメリットをシミュレーションする。情報処理装置は、シミュレーション結果を、ユーザに提示する。
【0011】
本実施形態において、水処理の大規模集中型インフラは、例えば、都市単位で構築される水処理のインフラであり、数十年かけて整備し投資回収するインフラである。水処理の大規模集中型インフラは、例えば、上水処理施設、及び下水処理施設を含む。上水処理施設は、水道水を供給するための施設であり、例えば、浄水場、及び水道水を需要家へ配水する上水管渠等を含む。下水処理施設は、需要家から排水される汚水を浄化するための施設であり、例えば、下水処理場、及び汚水を下水処理場へ送る下水管渠等を含む。
【0012】
本実施形態において、水処理の分散型インフラは、例えば、一人(一家屋)単位で構築され、1日で整備が完了し、家電のように数年で資産を償却することが可能な水処理のインフラである。分散型インフラは、例えば、小型の水循環システム(処理ユニットと称してもよい)である。
【0013】
水循環システムは、例えば、各家屋において生活排水を再生させる装置である。再生した水は、例えば、トイレ洗浄、お風呂、シャワー、洗濯、食器洗い等の生活用水として使用可能である。また、再生した水は、飲用水として用いてもよい。水循環システムは、基本的に排水を排出せず、わずかながら余剰水を生成する。余剰水は、自然放流可能な水質である。つまり、水循環システムを設置すれば、現在使用している下水処理施設、又は浄化槽は不要となるが、既存の下水処理施設、又は浄化槽の負荷を低減する目的で併用されても良い。。また、水循環システムは、雨水、表流水、又は地下水等をろ過し、生活用水、又は飲用水を生成する。つまり、水循環システムを設置すれば、浄水処理施設は不要にすることが可能となる。
【0014】
水循環システムは、例えば、需要家から出される排水(生活排水、汚水等)を処理して浄化する、調整槽、生物処理槽、貯水槽がコンパクトにまとめられた処理槽モジュールを含む。また、分散型インフラは、例えば、逆浸透膜、ナノろ過膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜等の物理ろ過の他、生物ろ過、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂等の化学ろ過等を有するろ過ユニットを含む。ろ過ユニットは、例えば、所定の水源から取水した水をろ過する。また、ろ過ユニットは、例えば、処理槽モジュールで処理された水をろ過する。また、分散型インフラは、例えば、提供する水を殺菌するUV殺菌ユニットを含む。また、分散型インフラは、例えば、オゾン発生器を含む。オゾン発生器は、例えば、処理槽モジュールの消臭、処理槽モジュール内の水の殺菌、処理槽モジュール内の水の脱色等を行うためのオゾンガスを発生させる。また、分散型インフラは、例えば、処理槽モジュール内における種々の物性を検出するためのセンサユニットを含む。
【0015】
なお、水循環システムによっては、排水を排出しないものに限定されず、排出量を減少させるものであってもよい。つまり、本実施形態において、水循環システムを導入したとしても、必ずしも下水処理施設、浄化槽、浄水処理施設が不要となるわけではない。
【0016】
<1 システム全体の構成図>
図1は、システム1の全体構成の例を示すブロック図である。
図1に示すシステム1は、例えば、情報処理装置10、端末装置20、サーバ30を含む。情報処理装置10、端末装置20、サーバ30は、例えば、ネットワーク80を介して通信接続する。
【0017】
図1において、システム1が端末装置20を2台含む例を示しているが、システム1に含まれる端末装置20の数は、2台に限定されない。端末装置20は、例えば、メッシュ領域の上下水環境を推定するための情報を取得する端末である。システム1に含まれる端末装置20は、2台未満であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0018】
本実施形態において、複数の装置の集合体を1つのサーバとしてもよい。1つ又は複数のハードウェアに対して本実施形態に係るサーバ30を実現することに要する複数の機能の配分の仕方は、各ハードウェアの処理能力及び/又はサーバ30に求められる仕様等に鑑みて適宜決定することができる。
【0019】
図1に示す情報処理装置10は、メッシュ領域の上下水環境を推定するユーザが操作する情報処理装置である。また、情報処理装置10は、水処理の分散型インフラで代用することのコストメリットをシミュレーションするユーザが操作する情報処理装置である。情報処理装置10は、例えば、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。情報処理装置10は、スマートフォン、タブレット等の携帯端末であってもよい。
【0020】
情報処理装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。出力装置14は、ユーザに対して情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
【0021】
端末装置20は、例えば、メッシュ領域の上下水環境を推定するための情報を取得する情報処理装置である。端末装置20は、例えば、メッシュ領域内の所定情報をリアルタイムに取得可能な情報をサーバ30に提供する。端末装置20は、例えば、カーナビゲーションシステムの車載端末により実現される。端末装置20が車載端末である場合、端末装置20は、例えば、衛星測位システムを利用して取得される走行情報をサーバ30へ提供する。
【0022】
また、端末装置20は、例えば、住民が携帯する携帯端末により実現される。端末装置20が携帯端末である場合、端末装置20は、例えば、衛星測位システムを利用して取得される自装置の位置に関する情報をサーバ30へ提供する。端末装置20が携帯端末である場合、端末装置20は、例えば、接続する無線基地局の位置を利用して自装置の位置を取得してもよい。
【0023】
サーバ30は、例えば、メッシュ領域の上下水環境を推定するための情報を蓄積する情報処理装置である。サーバ30は、例えば、所定の公共情報を記憶している。本実施形態において、公共情報は、例えば、いつでも誰でもアクセス可能な、公共的な情報を表す。公共情報は、例えば、人口に関する情報を含む。公共情報は、例えば、上水処理施設に関する情報を含む。公共情報は、例えば、下水処理施設に関する情報を含む。公共情報は、例えば、道路長に関する情報を含む。公共情報は、無線局地図・情報、送電線地図・情報、地形情報、河川・湖池情報等を含むその他の地図情報を含む。
【0024】
具体的には、例えば、人口に関する情報は、国土交通省から公開されている所定の次数のメッシュ(例えば、4次メッシュ)の県別人口データを含む。また、例えば、上水処理施設に関する情報は、国土交通省上水道関連施設データで提供される、上水事業+簡易水道事業による給水区域についてのGIS形式のポリゴンデータを含む。また、例えば、下水処理施設に関する情報は、日本下水道協会から公開されている、各市町村の下水普及率を含む。また、例えば、道路長に関する情報は、国土交通省から公開されている所定の次数のメッシュの道路長データを含む。道路長データは、例えば、上下水道管渠延長を推定するために使用される。
【0025】
上下水道管渠延長は、平均家屋間距離から推定されてもよい。平均家屋間距離は、例えば、メッシュ内に家屋がランダムにあるとして推定される。また、上下水道管渠延長は、上下水道施設に関する情報から推定されてもよい。上下水道施設に関する情報には、例えば、上下水道施設の規模、処理水量、施設間の距離が含まれる。上下水道施設の規模、処理水量に基づき、例えば、上下水道施設に収容される家屋の範囲が推定され、推定された範囲に基づき、上下水道管渠延長が推定される。
【0026】
また、サーバ30は、例えば、端末装置20から提供される情報に基づいて取得される情報を記憶している。具体的には、サーバ30は、例えば、端末装置20から提供される情報に基づき、メッシュ領域内の所定の情報をリアルタイムで取得する。より具体的には、例えば、サーバ30は、端末装置20が車載端末である場合、端末装置20から提供される走行情報に基づき、道路情報を取得する。また、例えば、サーバ30は、端末装置20が携帯端末である場合、端末装置20から供給される携帯端末の位置に関する情報に基づき、人口情報を取得する。
【0027】
サーバ30は、情報処理装置10からの要求に応じ、情報処理装置10から要求された情報を情報処理装置10へ提供する。
【0028】
各情報処理装置は演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成および、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。情報処理装置10、端末装置20、サーバ30のそれぞれについて、後述するコンピュータの基本ハードウェア構成およびコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
【0029】
<1.1 端末装置の構成>
図2は、
図1に示す情報処理装置10の構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置10は、通信部120と、入力装置13と、出力装置14と、音声処理部17と、マイク171と、スピーカー172と、カメラ160と、位置情報センサ150と、記憶部180と、制御部190とを備える。情報処理装置10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0030】
通信部120は、情報処理装置10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部120は、制御部190で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、サーバ30)へ送信する。通信部120は、外部から受信した信号に受信処理を施し、制御部190へ出力する。
【0031】
入力装置13は、情報処理装置10を操作するユーザが指示、又は情報を入力するための装置である。入力装置13は、例えば、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス131等により実現される。情報処理装置10がPC等である場合には、入力装置13は、リーダー、キーボード、マウス等により実現されてもよい。入力装置13は、ユーザから入力される指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御部190へ出力する。なお、入力装置13には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0032】
出力装置14は、情報処理装置10を操作するユーザへ情報を提示するための装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ141等により実現される。ディスプレイ141は、制御部190の制御に応じたデータを表示する。ディスプレイ141は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0033】
音声処理部17は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換処理を行う。音声処理部17は、マイク171から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部190へ与える。また、音声処理部17は、音声信号をスピーカー172へ与える。音声処理部17は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク171は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部17へ与える。スピーカー172は、音声処理部17から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を情報処理装置10の外部へ出力する。
【0034】
カメラ160は、受光素子により光を受光し、撮影信号として出力するためのデバイスである。
【0035】
位置情報センサ150は、情報処理装置10の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される情報処理装置10の現在位置を検出する。位置情報センサ150は、情報処理装置10が接続する無線基地局の位置から、情報処理装置10の現在の位置を検出してもよい。
【0036】
記憶部180は、例えば、メモリ15、及びストレージ16等により実現され、情報処理装置10が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部180は、例えば、エリア情報テーブル181を記憶する。
【0037】
エリア情報テーブル181は、メッシュ領域に関する情報を記憶するテーブルである。詳細は後述する。
【0038】
制御部190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部190は、情報処理装置10の動作を制御する。制御部190は、プログラムに従って動作することにより、操作受付部191と、送受信部192と、推定部193と、算出部194と、提示制御部195ととしての機能を発揮する。
【0039】
操作受付部191は、入力装置13から入力される指示、又は情報を受け付けるための処理を行う。具体的には、例えば、操作受付部191は、タッチ・センシティブ・デバイス131等から入力される指示、又は情報を受け付ける。
【0040】
また、操作受付部191は、マイク171から入力される音声指示を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部191は、マイク171から入力され、音声処理部17でデジタル信号に変換された音声信号を受信する。操作受付部191は、例えば、受信した音声信号を分析して所定の名詞を抽出することで、ユーザからの指示を取得する。
【0041】
送受信部192は、情報処理装置10が、サーバ30等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。具体的には、例えば、送受信部192は、ユーザから入力された要求をサーバ30へ送信する。また、送受信部192は、サーバ30から提供される情報を受信する。
【0042】
推定部193は、例えば、シミュレーションの対象となるエリアを分割したメッシュ領域毎の上下水環境を推定する。具体的には、例えば、推定部193は、対象エリアを、所定の次数のメッシュ(例えば、4次メッシュ)に分割する。推定部193は、対象エリアについて記憶されている、メッシュ毎の人口データをサーバ30から取得する。推定部193は、メッシュ毎の人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出する。メッシュ毎の人口密度が外部から取得可能である場合には、人口密度を算出しなくてもよい。
【0043】
推定部193は、対象エリアの下水普及率をサーバ30から取得する。推定部193は、メッシュ領域の状態を第1状態か第2状態に設定する。第1状態は、下水が整備されていない領域であることを表す。第2状態は、下水が整備されている領域であることを表す。推定部193は、全体のメッシュ領域の数に対する第2状態であるメッシュ領域の数の割合が下水普及率に一致するように、メッシュ領域の状態を第1状態か第2状態に設定する。
【0044】
推定部193は、第1状態のメッシュ領域を下水整備がない区域と推定し、第2状態のメッシュ領域を下水整備がある区域と推定する。
【0045】
また、推定部193は、対象エリアにおける上水処理施設による給水区域についてのデータをサーバ30から取得する。推定部193は、給水区域に該当しないメッシュを第A状態に設定する。第A状態は、上水が整備されていない領域であることを表す。推定部193は、給水区域に該当するメッシュを第B状態に設定する。第B状態は、上水が整備されている領域であることを表す。
【0046】
推定部193は、第A状態のメッシュ領域を上水整備がない区域とし、第B状態のメッシュ領域を上水整備がある区域とする。推定部193は、第2状態かつ第B状態のメッシュ領域を第1区域と推定する。第1区域は、上下水道が共に整備されている区域を表す。推定部193は、第1状態かつ第B状態のメッシュ領域を第2区域と推定する。第2区域は、上水は整備されているが、下水が整備されていない区域を表す。推定部193は、第1状態かつ第A状態のメッシュ領域を第3区域と推定する。第3区域は、上下水道が共に整備されていない区域を表す。
【0047】
なお、上水が整備されていないが、下水が整備されている区域は、非常にまれだが存在はする。しかしながら、本実施形態では、原則存在しないものとして扱う。
【0048】
算出部194は、メッシュ領域毎に、既存のインフラを水処理の分散型インフラに代替した場合のコストメリットを算出する。具体的には、例えば、算出部194は、推定した区域毎に、上下水道が既に整備された区間(以下、既整備区間と略す)に周辺家屋を取り込む場合の費用と、周辺家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを利用した場合の費用とに基づき、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。
【0049】
より具体的には、算出部194は、例えば、既整備区間に周辺家屋を取り込む場合の費用と、周辺家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。本実施形態において、家屋間の限界距離は、既整備区間に周辺家屋を取り込むのにかかる費用と、分散型インフラを利用する費用とが同じになるときの距離を表す。つまり、家屋間距離が限界距離よりも大きい場合、分散型インフラの方がコストが低く、家屋間距離が限界距離よりも小さい場合、既整備の方がコストが低くなる。
【0050】
さらに具体的には、例えば、算出部194は、第1区域のメッシュ領域において、上水整備と下水整備とに周辺家屋を取り込む場合の費用と、周辺家屋を上水整備と下水整備とに取り込まずに分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0051】
また、例えば、算出部194は、第1区域のメッシュ領域において、上水整備と下水整備とに周辺家屋を取り込む場合の費用と、周辺家屋を上水整備に取り込み、下水整備に取り込まずに分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0052】
また、例えば、算出部194は、第2区域のメッシュ領域において、上水整備に周辺家屋を取り込み、家屋に浄化槽を取り付ける場合の費用と、周辺家屋を上水整備に取り込まず、家屋に浄化槽を取り付けずに分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0053】
第3区域では、上水処理施設に代えて、地下水、表流水を利用した専用水道、又は小規模自家用水道が使用され得る。専用水道、又は小規模自家用水道の設置費、維持費については、種々の理由によるばらつきがあるため、本実施形態では、上水処理施設と同程度の設置費、維持費がかかるものと推定できる。すなわち、第3区域において、算出部194は、例えば、第2区域と同様に、上水整備に周辺家屋を取り込み、家屋に浄化槽を取り付ける場合の費用と、周辺家屋を上水整備に取り込まず、家屋に浄化槽を取り付けずに分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0054】
算出部194は、算出した限界距離と、メッシュ内で推定される管渠延長との差に基づき、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。算出部194は、管渠延長を例えば、以下のように算出する。算出部194は、例えば、道路長データに基づき、メッシュ内の道路延長を算出する。算出部194は、道路延長を上下水道管渠延長とする。算出部194は、対象エリアの全てのメッシュ領域に対し、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。
【0055】
算出部194は、分散型インフラを個別の需要家に設置するのみでなく、複数の需要家で共有するように設置する場合のコストを算出してもよい。具体的には、算出部194は、例えば、推定した区域毎に、既整備区間に複数の周辺家屋を取り込む場合の費用と、複数の周辺家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを共有して利用した場合の費用とに基づき、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。
【0056】
より具体的には、算出部194は、例えば、既整備区間に複数の周辺家屋を取り込む場合の費用と、複数の周辺家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを共有して利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0057】
さらに具体的には、例えば、算出部194は、第1区域のメッシュ領域において、上水整備と下水整備とに複数の周辺家屋を取り込む場合の費用と、複数の周辺家屋を上水整備と下水整備とに取り込まずに分散型インフラを共有して利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0058】
また、例えば、算出部194は、第1区域のメッシュ領域において、上水整備と下水整備とに複数の周辺家屋を取り込む場合の費用と、複数の周辺家屋を上水整備に取り込み、下水整備に取り込まずに分散型インフラを共有して利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0059】
また、例えば、算出部194は、第2区域のメッシュ領域において、上水整備に複数の周辺家屋を取り込み、複数の家屋に浄化槽を取り付ける場合の費用と、複数の周辺家屋を上水整備に取り込まず、複数の家屋に浄化槽を取り付けずに分散型インフラを共有して利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0060】
算出部194は、算出した限界距離と、メッシュ内で推定される管渠延長との差に基づき、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。
【0061】
提示制御部195は、シミュレーション結果をユーザに対して提示するため、出力装置14を制御する。具体的には、例えば、提示制御部195は、対象エリアのメッシュを、算出されたコストを識別可能にディスプレイ141に表示させる。
【0062】
<2 データ構造>
図3は、情報処理装置10で記憶されるエリア情報テーブル181のデータ構造を示す図である。なお、
図3は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。また、同一のテーブルに記載されるデータであっても、記憶部180において離れた記憶領域に記憶されていることもあり得る。
【0063】
図3に示すエリア情報テーブル181は、メッシュ番号をキーとして、人口、人口密度、上水整備、下水整備、区域、管渠延長、コストメリットのカラムを有するテーブルである。
【0064】
メッシュ番号は、メッシュを一意に識別するための番号を記憶する項目である。人口は、対応するメッシュ内に存在する人口を記憶する項目である。項目「人口」には、サーバ30から取得したメッシュ毎の人口が格納される。人口密度は、対応するメッシュ内の人口の密度を記憶する項目である。項目「人口密度」には、例えば、人口に基づいて算出された人口密度が格納される。
【0065】
上水整備は、上水整備が整っているか否かの状態を記憶する項目である。項目「上水整備」には、例えば、上水が整備されていない領域であることを表す「A」、又は、上水が整備されている領域であることを表す「B」が格納される。なお、状態を表す文字はA、Bに限定されず、その他の文字であってもよいし、数字であっても記号であっても構わない。下水整備は、下水整備が整っているか否かの状態を記憶する項目である。項目「下水整備」には、例えば、下水が整備されていない領域であることを表す「1」、又は、下水が整備されている領域であることを表す「2」が格納される。なお、状態を表す数字は1、2に限定されず、その他の数字であってもよいし、文字であっても記号であっても構わない。
【0066】
区域は、メッシュ領域が属すると推定される区域を記憶する項目である。項目「区域」は、上下水道が整備されているかに応じ、1~4の何れかが設定される。区域は、上水整備の状態と、下水整備の状態とに基づいて設定される。なお、区域を表す数字は1~4に限定されず、その他の数字であってもよいし、文字であっても記号であっても構わない。管渠延長は、メッシュ領域内の家屋あたりの管渠の長さを記憶する項目である。項目「管渠延長」には、例えば、道路長データに基づいて推定された管渠延長が格納される。コストメリットは、対応するメッシュにおいて、既整備から、分散型インフラへ切り替えた際のコストの変動を記憶する項目である。項目「コストメリット」には、例えば、算出部194により算出されるコストが格納される。
【0067】
<3 動作>
情報処理装置10が対象エリアについてメッシュ毎の上下水環境を推定し、分散型インフラのコストメリットをシミュレーションする動作について説明する。
【0068】
図4は、情報処理装置10が対象エリアについてのシミュレーションを実行する際の動作の例を表すフローチャートである。
【0069】
ユーザは、所定のエリアを対象として分散型インフラのコストメリットをシミュレーションする場合、まず、対象エリアを指定する。ユーザは、対象エリアを指定し、シミュレーションの実行指示を情報処理装置10に入力する。
【0070】
ステップS11において、情報処理装置10は、対象エリアにおける上下水処理施設の整備に係る区域を推定する。具体的には、情報処理装置10の制御部190は、推定部193により、対象エリアを、所定の次数のメッシュ(例えば、4次メッシュ)に分割する。推定部193は、対象エリアについて記憶されている、メッシュ毎の人口データをサーバ30から取得する。推定部193は、メッシュ毎の人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出する。
【0071】
推定部193は、対象エリアの下水普及率をサーバ30から取得する。推定部193は、メッシュ領域の状態を第1状態か第2状態に設定する。具体的には、推定部193は、対象エリアにおける全てのメッシュ領域を、第1状態に設定する。各市町村において、人口密度の高い領域は下水が整備されていると仮定する。推定部193は、人口密度順にメッシュ領域の状態を、第1状態から第2状態へ切り替える。推定部193は、全体のメッシュ領域の数に対する第2状態であるメッシュ領域の数の割合が下水普及率に一致するまで、メッシュ領域の状態を第2状態へ切り替える。
【0072】
推定部193は、対象エリアにおける上水処理施設による給水区域についてのデータをサーバ30から取得する。推定部193は、給水区域に該当しないメッシュを第A状態に設定する。推定部193は、給水区域に該当するメッシュを第B状態に設定する。
【0073】
推定部193は、第2状態かつ第B状態のメッシュ領域を、上下水道が共に整備されている区域である第1区域と推定する。推定部193は、第1状態かつ第B状態のメッシュ領域を、上水は整備されているが、下水が整備されていない区域である第2区域と推定する。推定部193は、第1状態かつ第A状態のメッシュ領域を、上下水道が共に整備されていない区域である第3区域と推定する。
【0074】
図5は、メッシュ領域について推定される区域を説明するための図である。
図5において、メッシュ内の人口密度は、第1区域が最も密であり、第2区域、第3区域となるに応じ、疎になっていくと推定される。
【0075】
ステップS12において、情報処理装置10は、家屋間限定距離を算出する。
【0076】
図6は、家屋間限定距離を算出する際の処理を説明するための図である。
【0077】
具体的には、制御部190は、算出部194により、第1区域のメッシュ領域において、上水整備と下水整備とに周辺家屋を取り込む場合の費用と、周辺家屋を上水整備と下水整備とに取り込まずに分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0078】
算出部194は、例えば、周辺家屋を上水整備と下水整備とに取り込まずに分散型インフラを利用した場合の費用を、以下のように算出する。
CS(X)+MS(X)+CW(Y-y)+MW(Y-y)+CU+MU 式(1)
【0079】
式(1)において、Xは、汚水処理場規模(m
3/日)を表す。CSは、償却期間を所定年数に設定した場合の、年あたりの下水処理場の建設費(万円/年)を表す。MSは、下水処理場の維持管理費(万円/年)を表す。Yは、浄水場規模(m
3/日)を表す。yは、分散型インフラを利用した際の一戸当たりの上水節約量(m
3/日)を表す。CWは、償却期間を所定年数に設定した場合の、年あたりの浄水場の建設費(万円/年)を表す。MWは、浄水場の維持管理費(万円/年)を表す。CUは、耐用年数を所定年数に設定した場合の、年あたりの分散型インフラの建設費(万円/年/戸)を表す。CUは、例えば、耐用年数を所定年数に設定した場合の、年あたりの浄化槽の建設費のk倍と設定してもよい。MUは、浄化槽の維持管理費(万円/年)を表す。MUは、例えば、浄化槽の維持管理費のk倍と設定してもよい。
【0080】
また、算出部194は、例えば、上水整備と下水整備とに周辺家屋を取り込む場合の費用を、以下のように算出する。
CS(X+x)+MS(X+x)+CW(Y)+MW(Y)+CPS(LS)+CPW(LW)+MPS(LS)+MPW(LW) 式(2)
【0081】
式(2)において、xは、一戸当たりの日最大汚水量(m
3/日)を表す。CPSは、償却期間を所定年数に設定し、下水管渠延長LS(m)とした場合の、年あたりの下水管渠の建設費(万円/年)を表す。CPWは、償却期間を所定年数に設定し、上水管渠延長LW(m)とした場合の、年あたりの上水管渠の建設費(万円/年)を表す。MPSは、下水管渠延長LS(m)の下水管渠の維持管理費(万円/年)を表す。MPWは、上水管渠延長LW(m)の上水管渠の維持管理費(万円/年)を表す。
【0082】
算出部194は、家屋間限界距離L1を、式(1)=式(2)である場合に、LS=LW=L1を代入して算出する。
【0083】
家屋と上水処理施設との接続は保持するが上水使用量が節約できる場合(簡単のため上水使用量は0とする)は、式(2)において上水管渠の配管コスト(CPW+MPW)を考慮しないことにより求まる。このことはつまり、算出部194が、第1区域のメッシュ領域において、上水整備と下水整備とに周辺家屋を取り込む場合の費用と、周辺家屋を上水整備に取り込み、下水整備に取り込まずに分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出することに相当する。
【0084】
また、算出部194は、第2区域のメッシュ領域において、上水整備に周辺家屋を取り込み、家屋に浄化槽を取り付ける場合の費用と、周辺家屋を上水整備に取り込まず、家屋に浄化槽を取り付けずに分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。
【0085】
算出部194は、例えば、周辺家屋を上水整備に取り込まず、家屋に浄化槽を取り付けずに分散型インフラを利用した場合の費用を、以下のように算出する。
CW(Y-y)+MW(Y-y)+CU+MU 式(3)
【0086】
また、算出部194は、例えば、上水整備に周辺家屋を取り込み、家屋に浄化槽を取り付ける場合の費用を、以下のように算出する。
CW(Y)+MW(Y)+CJ+CPW(LW)+MJ+MPW(LW) 式(4)
【0087】
式(4)において、CJは、償却期間を所定年数に設定した場合の、年あたりの浄化槽の建設費(万円/年/戸)を表す。MJは、浄化槽の維持管理費(万円/年/戸)を表す。
【0088】
算出部194は、家屋間限界距離L2を、式(3)=式(4)である場合に、LW=L2を代入して算出する。
【0089】
ステップS13において、情報処理装置10は、算出した限界距離と、メッシュ内で推定される管渠延長との差に基づき、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。具体的には、算出部194は、例えば、道路長データに基づき、メッシュ内の道路延長を算出する。算出部194は、道路延長を上下水道管渠延長とする。
【0090】
算出部194は、第1区域のメッシュについて、上下水道管渠延長が家屋間限界距離L1よりも長いメッシュを抽出する。算出部194は、上下水道管渠延長が家屋間限界距離L1よりも長いメッシュで分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。
【0091】
コスト算出に当たっては、例えば、メッシュ内の将来平均の家屋数、家屋当たりの上下水道家屋延長を考慮する。また、コスト算出に当たっては、例えば、管渠の建設費、及び管渠の維持管理費を考慮する。このとき、管渠の建設費と管渠の維持管理費については、償却期間を所定年数に設定した場合の単年当たりコストを考慮してもよい。また、施設される管渠の内径等を考慮してもよい。
【0092】
算出部194は、第2区域のメッシュについて、上水道管渠延長が家屋間限界距離L2よりも長いメッシュを抽出する。算出部194は、上水道管渠延長が家屋間限界距離L2よりも長いメッシュで分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。
【0093】
コスト算出に当たっては、例えば、メッシュ内の将来平均の家屋数、家屋当たりの上水道家屋延長を考慮する。また、コスト算出に当たっては、例えば、管渠の建設費、及び管渠の維持管理費を考慮する。このとき、管渠の建設費と管渠の維持管理費については、償却期間を所定年数に設定した場合の単年当たりコストを考慮してもよい。また、施設される管渠の内径等を考慮してもよい。
【0094】
算出部194は、第3区域のメッシュについて、上水道管渠延長が家屋間限界距離L2よりも長いメッシュを抽出する。算出部194は、上水道管渠延長が家屋間限界距離L2よりも長いメッシュで分散型インフラを導入することで削減されるコストを、第2区域のメッシュと同様に算出する。
【0095】
ステップS14において、情報処理装置10は、シミュレーション結果を、ユーザに提示する。具体的には、制御部190は、提示制御部195により、例えば、コストメリットのシミュレーション結果をディスプレイ141に表示させる。より具体的には、提示制御部195は、対象エリアを、各メッシュについて算出されたコストを識別可能にディスプレイ141に表示させる。
【0096】
図7は、分散型インフラを導入することによるコストメリットをシミュレーションした結果を表す図である。
図7では、石川県珠洲市について実施したシミュレーション結果を示している。
図7において、算出部194は、k=2、つまり、分散型インフラのコストが浄化槽の2倍である場合をシミュレートしている。
図7において、コストメリットが出る領域が主に山間部に存在する。
【0097】
また、提示制御部195は、区域の推定結果を、それぞれの区域が識別可能にディスプレイ141に表示させる。また、提示制御部195は、対象エリアを、第1状態、第2状態、第A状態、第B状態、又はこれらのうち少なくとも2つ以上の組み合わせを識別可能にディスプレイ141に表示させる。
【0098】
以上のように、上記実施形態では、制御部190は、推定部193により、対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割する。推定部193は、人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出する。推定部193は、対象エリアの下水普及率を取得する。推定部193は、メッシュを第1状態に設定し、算出した人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が下水普及率に達するまで、第2状態に設定する。推定部193は、第1状態及び第2状態に基づき、メッシュにおける下水整備の有無を推定する。これにより、情報処理装置10は、公開されている情報に基づき、対象エリアにおいて、下水整備が存在する区域を推定することが可能となる。このため、煩雑な処理をすることなく、対象エリアにおける、下水整備の有無を推定することが可能となる。
【0099】
したがって、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、公開されている情報に基づき、対象エリアにおける水道環境を、処理負担を抑えて推定できる。
【0100】
また、上記実施形態では、推定部193は、対象エリアにおける上水関連施設による給水区域に関する情報を取得する。推定部193は、給水区域に該当しないメッシュを第A状態に設定し、給水区域に該当するメッシュを第B状態に設定する。推定部193は、第A状態及び第B状態に基づき、メッシュにおける上水整備の有無を判断する。推定部193は、第1状態、第2状態、第A状態、第B状態に基づき、上下水環境を4つの区域の少なくともいずれかに区分けする。これにより、情報処理装置10は、上水整備の有無も考慮し、区域を推定することが可能となる。
【0101】
また、上記実施形態では、算出部194は、推定した区域毎に、既整備区間に家屋を取り込む場合の費用と、家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを利用した場合の費用とに基づき、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。これにより情報処理装置10は、推定した区域に適した計算をすることが可能となり、コストを正確にシミュレートすることが可能となる。
【0102】
また、上記実施形態では、算出部194は、既整備区間に家屋を取り込む場合の費用と、家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。算出部194は、メッシュ内で推定される管渠延長と限界距離との差に基づき、分散型インフラを利用することで削減されるコストを算出する。これにより、情報処理装置10は、処理負担を軽減させて正確にコストをシミュレートすることが可能となる。
【0103】
また、上記実施形態では、算出部194は、推定した区域毎に、既整備区間に複数の家屋を取り込む場合の費用と、複数の家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを共有して利用した場合の費用とに基づき、分散型インフラを導入することで削減されるコストを算出する。これにより、情報処理装置10は、分散型インフラを複数の家屋で共有する場合について削減されるコストを正確にシミュレートすることが可能となる。
【0104】
また、上記実施形態では、算出部194は、既整備区間に複数の家屋を取り込む場合の費用と、複数の家屋を既整備区間に取り込まず分散型インフラを共有して利用した場合の費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出する。算出部194は、メッシュ内で推定される管渠延長と限界距離との差に基づき、分散型インフラを利用することで削減されるコストを算出する。これにより、情報処理装置10は、分散型インフラを複数の家屋で共有する場合について削減されるコストを、処理負担を軽減させて正確にシミュレートすることが可能となる。
【0105】
また、上記実施形態では、提示制御部195は、対象エリアを、第1状態、第2状態、第A状態、第B状態、区分けされた区域、又はこれらのうち少なくとも2つ以上の組み合わせを識別可能に表示する。これにより、ユーザは、対象エリア内の各区域の分布を把握することが可能となる。また、ユーザは、対象エリア内の上下水道環境を把握することが可能となる。
【0106】
また、上記実施形態では、算出部194は、対象エリアの一部乃至全てのメッシュについてコストを算出する。提示制御部195は、対象エリアを、メッシュについて算出したコストを識別可能に表示する。これにより、ユーザは、対象エリア内のコスト分布を把握することが可能となり、分散型インフラを導入するべき地域を把握することが可能となる。
【0107】
<変形例>
以上のように、上記実施形態では、制御部190は、推定部193により、国土交通省から公開されている人口データに基づき、メッシュ内の人口密度を算出している。推定部193は、公開されている人口を、端末装置20により取得された位置情報に基づいて補正してもよい。具体的には、サーバ30は、端末装置20(パーソナルコンピューターや携帯電話、カーナビゲーション等の情報端末)により取得された位置情報に基づいてメッシュ内の人口を推定する。推定部193は、公開されている人口を、サーバ30で推定された人口に基づいて補正する。推定部193は、補正した人口に基づき、メッシュ内の人口密度を算出する。これにより、処理負担は増加するが、より精度の高い人口密度を算出することが可能となる。
【0108】
また、上記実施形態では、人口データが公開されているデータに基づく場合を説明した。しかしながら、人口データは、公開されているデータに基づくものに限定されない。メッシュ内の人口データは、例えば、端末装置20により取得された情報に基づいて推定されてもよい。例えば、サーバ30又は情報処理装置10は、端末装置20により取得された位置情報に基づき、メッシュ内の特定時間における人口を推定する。
【0109】
また、上記実施形態では、人口データは、住民の人口に限定されない。メッシュ内の地域は、商業地(例えば、病院、企業等が存在する地域)のように時間によって存在する人口が変動する地域であってもよい。また、メッシュ内の地域は、観光地(例えば、ホテル、旅館等が存在する地域)のように、季節によって存在する人口が変動する地域であってもよい。メッシュがこのような地域である場合、情報処理装置10は、取得した人口データに所定の係数をかけることでメッシュ内の人口を算出する。
【0110】
また、人口が一時的に増減する上記のようなメッシュは、分散型インフラを設置する対象領域となり得る。人口が一時的に増減するエリアは、一時的に人口が多くなる時期が存在するが、上下水道施設を設置するまでの必要性が生じない場合があるからである。情報処理装置10は、例えば、人口が一時的に増減するメッシュを判別する。情報処理装置10は、例えば、リアルタイムで取得するメッシュ内の人口の変化が所定の要件を満たす場合、人口が一時的に増減するメッシュであると判別する。情報処理装置10は、登録されている事業体に関する情報、又は建物(テナント)に関する情報等からメッシュ内が人口が一時的に増減するエリアであるか否かを判断してもよい。情報処理装置10は、人口が一時的に増減するエリアと判別したメッシュについて、分散型インフラの導入シミュレーションを実施する。
【0111】
また、メッシュ内の人口データは、上下水道施設に関する情報から推定されてもよい。上下水道施設に関する情報には、例えば、上下水道施設の規模、処理水量、施設間の距離が含まれる。例えば、サーバ30又は情報処理装置10は、上下水道施設の規模、処理水量からメッシュ内で必要とされる水量を推定する。サーバ30又は情報処理装置10は、推定した必要とされる水量に基づき、メッシュ内の人口を推定する。
【0112】
また、上記実施形態において、人口データは、現状の人口に限られない。人口データは、居住世帯の構成、年齢、地域への流出入傾向、土地開発の計画等から推定される将来の人口を含んでもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、上下水道施設の普及状態を推定し、推定した普及状態毎に分散型インフラの導入をシミュレーションした。しかしながら、上下水道施設の普及状態を表す情報が存在する場合、上下水道施設の普及状態を推定しなくてもよい。情報処理装置10は、上下水道施設の普及状態を表す情報を利用し、分散型インフラの導入を、メッシュ毎にシミュレーションしてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、制御部190は、算出部194により、国土交通省から公開されている道路長データに基づき、メッシュ内の道路延長を算出している。算出部194は、算出された道路延長を、端末装置20により取得された走行情報に基づいて補正してもよい。具体的には、サーバ30は、端末装置20により取得された走行情報に基づいてメッシュ内の道路を推定する。算出部194は、公開されている道路長データに基づき、メッシュ内の道路延長を算出する。算出部194は、算出した道路延長を、サーバ30で推定された道路に基づいて補正する。これにより、処理負担は増加するが、より精度の高い道路延長を算出することが可能となる。
【0115】
また、上記実施形態では、道路延長が公開されているデータに基づく場合を説明した。しかしながら、道路延長は、公開されているデータに基づくものに限定されない。メッシュ内の道路延長は、例えば、端末装置20により取得された情報に基づいて推定されてもよい。例えば、サーバ30又は情報処理装置10は、端末装置20により取得された走行情報に基づき、メッシュ内の道路延長を推定する。
【0116】
また、上記実施形態では、分散型インフラの維持管理費は、メッシュ内で分散型インフラが複数建設されると安くなるようにしてもよい。例えば、分散型インフラに係る水循環システムは、種々のモジュール、及びユニットを有している。そのため、所定の周期で保守者がメンテナンスをする必要がある。メッシュ内で分散型インフラが複数建設されていれば、保守者がまとめてメンテナンスを行えるため、メンテナンスに訪れる工数を減らすことが可能となる。これにより、複数の分散型インフラを建設するメリットを考慮してコストメリットをシミュレートすることが可能となる。
【0117】
また、上記実施形態では、情報処理装置10が、推定部193及び算出部194を有する場合を例に説明した。しかしながら、推定部193及び算出部194の機能は、サーバ30が有してもよい。情報処理装置10は、サーバ30に対し、対象エリア内のメッシュの区域を推定するように指示を出す。サーバ30は、指示に応じ、対象エリア内のメッシュの区域を推定する。情報処理装置10は、サーバ30に対し、既存のインフラを水処理の分散型インフラに代替した場合のコストメリットをシミュレートするように指示を出す。サーバ30は、指示に応じ、コストメリットをシミュレートする。情報処理装置10は、推定結果又はシミュレーション結果をサーバ30から読み出し、読み出した情報をディスプレイ141に表示させる。
【0118】
<4 コンピュータの基本ハードウェア構成>
図8は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0119】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0120】
主記憶装置92とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0121】
補助記憶装置93とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0122】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0123】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0124】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図8に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0125】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0126】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0127】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0128】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0129】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0130】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0131】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、対象エリアの下水普及率を取得するステップと、メッシュを第1状態に設定し、算出した人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、第1状態及び第2状態に基づき、メッシュにおける下水整備の有無を推定するステップとを実行させるプログラム。
(付記2)
対象エリアにおける上水関連施設による給水区域に関する情報を取得するステップと、給水区域に該当しないメッシュを第A状態に設定し、給水区域に該当するメッシュを第B状態に設定するステップと、第A状態及び第B状態に基づき、メッシュにおける上水整備の有無を判断するステップと、第1状態、第2状態、第A状態、第B状態に基づき、上下水環境を4つの区域の少なくともいずれかに区分けするステップとをプロセッサに実行させる(付記1)に記載のプログラム。
(付記3)
区域毎に、水の需要に応じて当該区域における既存インフラに家屋を接続する場合の第1費用と、家屋を既存インフラに接続せず分散型インフラを利用した場合の第2費用とをステップをプロセッサに実行させる(付記2)に記載のプログラム。
(付記4)
第1費用と第2費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出するステップと、メッシュ内で推定される管渠延長と限界距離との差に基づき、分散型インフラを利用することで削減されるコストを算出するステップとをプロセッサに実行させる(付記3)に記載のプログラム。
(付記5)
区域毎に、水の需要に応じて当該区域における既存インフラに複数の家屋を接続する場合の第1費用と、複数の家屋を既存インフラに接続せず分散型インフラを共有して利用した場合の第2費用とを算出するステップをプロセッサに実行させる(付記2)に記載のプログラム。
(付記6)
第1費用と第2費用とに基づいて家屋間の限界距離を算出するステップと、メッシュ内で推定される管渠延長と限界距離との差に基づき、分散型インフラを利用することで削減されるコストを算出するステップとをプロセッサに実行させる(付記5)に記載のプログラム。
(付記7)
対象エリアを、前記第1状態、前記第2状態、前記第A状態、前記第B状態、区分けされた区域、又はこれらのうち少なくとも2つ以上の組み合わせを識別可能に表示するステップをプロセッサに実行させる(付記2)に記載のプログラム。
(付記8)
コストを算出するステップにおいて、対象エリアの少なくとも一部のメッシュについてコストを算出し、対象エリアを、メッシュについて算出したコストを識別可能に表示するステップをプロセッサに実行させる(付記4)に記載のプログラム。
(付記9)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行される方法であって、プロセッサが、対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、対象エリアの下水普及率を取得するステップと、メッシュを第1状態に設定し、算出した人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、第1状態及び第2状態に基づき、メッシュにおける下水整備の有無を推定するステップとを実行する方法。
(付記10)
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、制御部が、対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、対象エリアの下水普及率を取得するステップと、メッシュを第1状態に設定し、算出した人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、第1状態及び第2状態に基づき、メッシュにおける下水整備の有無を推定するステップとを実行する情報処理装置。
(付記11)
対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割する手段と、人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出する手段と、対象エリアの下水普及率を取得する手段と、メッシュを第1状態に設定し、算出した人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が下水普及率に達するまで、第2状態に設定する手段と、第1状態及び第2状態に基づき、メッシュにおける下水整備の有無を推定する手段とを具備するシステム。
【符号の説明】
【0132】
1…システム
10…情報処理装置
120…通信部
13…入力装置
131…タッチ・センシティブ・デバイス
14…出力装置
15…メモリ
16…ストレージ
19…プロセッサ
20…端末装置
30…サーバ
【要約】
【課題】公開されている情報に基づき、対象エリアにおける水道環境を、処理負担を抑えて推定する。
【解決手段】プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムである。プログラムは、プロセッサに、対象エリアを、所定の次数のメッシュに分割するステップと、人口データに基づき、メッシュ毎の人口密度を算出するステップと、対象エリアの下水普及率を取得するステップと、メッシュを第1状態に設定し、算出した人口密度が高いメッシュから順に、全メッシュの数に対する第2状態のメッシュの数の割合が下水普及率に達するまで、第2状態に設定するステップと、第1状態及び第2状態に基づき、メッシュにおける下水整備の有無を推定するステップとを実行させる。
【選択図】
図5