(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】テープディスペンサー
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20230511BHJP
B26D 1/02 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B65H35/07 R
B26D1/02 F
(21)【出願番号】P 2023003999
(22)【出願日】2023-01-13
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2022202531
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300028595
【氏名又は名称】株式会社フェニックスエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 志也
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222393(JP,A)
【文献】特開2001-089012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
基材と、前記基材上に配置され、液体に濡れると、粘着性を発現する粘着剤とを有する粘着テープと、芯材とを備え、前記芯材に前記粘着テープを巻回してなる粘着テープ巻回体を装着する装着部と、
回転可能な操作部を有し、前記操作部を回転させると前記粘着テープを送り出すテープ送り機構とを有するテープディスペンサーであって、
前記テープ送り機構は、前記粘着テープを挟持する第1のローラーおよび第2のローラーと、
前記操作部の回転力を前記第1のローラーへ伝達する動力伝達機構とを有し、
前記テープ送り機構は、
前記操作部の前記ハウジングから外部に露出した露出部分の外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と同じ側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を許可し、前記粘着テープを当該テープディスペンサーから送り出し、
前記露出部分の前記外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と逆側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を阻止することを特徴とするテープディスペンサー。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、前記操作部に設けられた第1の歯車と、前記第1の歯車と噛合する第2の歯車と、前記第2の歯車と噛合する第3の歯車と、前記第3の歯車と噛合し、前記第1のローラーに設けられた第4の歯車とを有する請求項
1に記載のテープディスペンサー。
【請求項3】
前記第1のローラーと前記第2のローラーとのうちの一方の前記粘着テープと接触する部分は、弾性を有する請求項
1に記載のテープディスペンサー。
【請求項4】
ハウジングと、
基材と、前記基材上に配置され、液体に濡れると、粘着性を発現する粘着剤とを有する粘着テープと、芯材とを備え、前記芯材に前記粘着テープを巻回してなる粘着テープ巻回体を装着する装着部と、
回転可能な操作部を有し、前記操作部を回転させると前記粘着テープを送り出すテープ送り機構と
、
前記液体を貯留し、前記粘着テープに前記液体を供給する給液装置とを有するテープディスペンサーであって、
前記テープ送り機構は、
前記操作部の前記ハウジングから外部に露出した露出部分の外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と同じ側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を許可し、前記粘着テープを当該テープディスペンサーから送り出し、
前記露出部分の前記外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と逆側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を阻止
し、
前記給液装置は、前記液体を貯留するタンク本体を有し、
前記タンク本体には、前記タンク本体を所定角度傾斜させたとしても、前記タンク本体に貯留されている前記液体が外部に漏れ出ないことが保証される最大の量を示す指標が設けられていることを特徴とするテープディスペンサー。
【請求項5】
前記テープ送り機構は、前記操作部の一方の方向への回転を許可し、前記操作部の他方の方向への回転を阻止する逆回転阻止機構を有する請求項1
ないし4のいずれか1項に記載のテープディスペンサー。
【請求項6】
前記逆回転阻止機構は、前記操作部に設けられた歯車と、前記歯車の一方の方向への回転を許可し、他方の方向への回転を阻止する歯止めとを有するラチェット機構である請求項
5に記載のテープディスペンサー。
【請求項7】
前記粘着テープを切断する刃を有する刃機構を備える請求項1
ないし4のいずれか1項に記載のテープディスペンサー。
【請求項8】
前記刃機構は、前記刃が収納された収納状態と、前記刃が外部に突出した突出状態とを採
り得る請求項
7に記載のテープディスペンサー。
【請求項9】
前記装着部に装着された前記粘着テープ巻回体を覆う粘着テープカバーを有する請求項1
ないし4のいずれか1項に記載のテープディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープディスペンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用する前にテープの一方の面を水等の液体で濡らしてから、対象物に貼り付けるテープが知られている。そのようなテープは、水テープまたはガムテープ等と呼ばれている。ガムテープ(粘着テープ)は、例えば、クラフト紙などの基材に糊を塗布し、糊を乾燥させて、製造する。使用の際は、ガムテープの糊面を水などの液体に濡らしてから、対象物に対して貼り付ける。
【0003】
このようなガムテープを装着して、ガムテープを対象物に貼り付ける際に使用されるハンディータイプ(携帯用)のテープディスペンサーとして、ガムテープ貼り付け用具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されているガムテープ貼り付け用具では、ガムテーを対象物に貼り付ける作業を行う際、ガムテープを手指で把持する必要がある。このため、作業者の手指がガムテープに付着している水で濡れてしまう。
【0005】
また、前記特許文献1のガムテープ貼り付け用具では、ガムテープを送り出す際の操作性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、液体に濡れると粘着性を発現する粘着剤を有する粘着テープを送り出す際の操作性に優れているテープディスペンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のテープディスペンサーは、ハウジングと、
基材と、前記基材上に配置され、液体に濡れると、粘着性を発現する粘着剤とを有する粘着テープと、芯材とを備え、前記芯材に前記粘着テープを巻回してなる粘着テープ巻回体を装着する装着部と、
回転可能な操作部を有し、前記操作部を回転させると前記粘着テープを送り出すテープ送り機構とを有するテープディスペンサーであって、
前記テープ送り機構は、前記粘着テープを挟持する第1のローラーおよび第2のローラーと、
前記操作部の回転力を前記第1のローラーへ伝達する動力伝達機構とを有し、
前記テープ送り機構は、
前記操作部の前記ハウジングから外部に露出した露出部分の外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と同じ側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を許可し、前記粘着テープを当該テープディスペンサーから送り出し、
前記露出部分の前記外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と逆側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を阻止することを特徴とする。
本発明のテープディスペンサーは、ハウジングと、
基材と、前記基材上に配置され、液体に濡れると、粘着性を発現する粘着剤とを有する粘着テープと、芯材とを備え、前記芯材に前記粘着テープを巻回してなる粘着テープ巻回体を装着する装着部と、
回転可能な操作部を有し、前記操作部を回転させると前記粘着テープを送り出すテープ送り機構と、
前記液体を貯留し、前記粘着テープに前記液体を供給する給液装置とを有するテープディスペンサーであって、
前記テープ送り機構は、
前記操作部の前記ハウジングから外部に露出した露出部分の外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と同じ側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を許可し、前記粘着テープを当該テープディスペンサーから送り出し、
前記露出部分の前記外周面の移動方向が、前記粘着テープが当該テープディスペンサーから送り出されるときの前記粘着テープの移動方向と逆側となるように前記操作部を回転させる場合は、前記操作部の回転を阻止し、
前記給液装置は、前記液体を貯留するタンク本体を有し、
前記タンク本体には、前記タンク本体を所定角度傾斜させたとしても、前記タンク本体に貯留されている前記液体が外部に漏れ出ないことが保証される最大の量を示す指標が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のテープディスペンサーでは、前記テープ送り機構は、前記操作部の一方の方向への回転を許可し、前記操作部の他方の方向への回転を阻止する逆回転阻止機構を有することが好ましい。
【0010】
本発明のテープディスペンサーでは、前記逆回転阻止機構は、前記操作部に設けられた歯車と、前記歯車の一方の方向への回転を許可し、他方の方向への回転を阻止する歯止めとを有するラチェット機構であることが好ましい。
【0011】
本発明のテープディスペンサーでは、前記テープ送り機構は、前記粘着テープを挟持する第1のローラーおよび第2のローラーと、
前記操作部の回転力を前記第1のローラーへ伝達する動力伝達機構とを有することが好ましい。
【0012】
本発明のテープディスペンサーでは、前記動力伝達機構は、前記操作部に設けられた第1の歯車と、前記第1の歯車と噛合する第2の歯車と、前記第2の歯車と噛合する第3の歯車と、前記第3の歯車と噛合し、前記第1のローラーに設けられた第4の歯車とを有することが好ましい。
【0013】
本発明のテープディスペンサーでは、前記第1のローラーと前記第2のローラーとのうちの一方の前記粘着テープと接触する部分は、弾性を有することが好ましい。
【0014】
本発明のテープディスペンサーでは、前記液体を貯留し、前記粘着テープに前記液体を供給する給液装置を有することが好ましい。
【0015】
本発明のテープディスペンサーでは、前記給液装置は、前記液体を貯留するタンク本体を有し、
前記タンク本体には、前記タンク本体を所定角度傾斜させたとしても、前記タンク本体に貯留されている前記液体が外部に漏れ出ないことが保証される最大の量を示す指標が設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明のテープディスペンサーでは、前記粘着テープを切断する刃を有する刃機構を備えることが好ましい。
【0017】
本発明のテープディスペンサーでは、前記刃機構は、前記刃が収納された収納状態と、前記刃が外部に突出した突出状態とを採り得ることが好ましい。
【0018】
本発明のテープディスペンサーでは、前記装着部に装着された前記粘着テープ巻回体を覆う粘着テープカバーを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、粘着テープを送り出す際の操作性に優れている。これにより、容易かつ迅速に、粘着テープを対象物に貼り付けることができる。
【0020】
すなわち、液体に濡れると粘着性を発現する粘着剤を有する粘着テープを送り出すテープ送り機構を有しているので、粘着テープを対象物に貼り付ける作業を行う際、粘着テープを手指で把持する必要がなく、これにより、作業者の手指が粘着テープに付着している液体で濡れてしまうことを防止することができる。
【0021】
また、粘着テープを送り出す際の露出部分の外周面の移動方向と、粘着テープの移動方向とが同じ側であるので、粘着テープを送り出す際の操作部の操作方向を感覚的に把握することができ、これにより、容易かつ迅速に、粘着テープを送り出すことができる。
【0022】
また、液体に濡れた粘着テープが、逆方向に移動して、テープディスペンサー内において貼り付いてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す側面図である。
【
図3】本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す背面図である。
【
図4】本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す斜視図であり、粘着テープ巻回体を装着する操作等を説明するための図である。また、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
【
図5】本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す斜視図であり、粘着テープ巻回体を装着する操作等を説明するための図である。また、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
【
図6】本発明のテープディスペンサーの実施形態であり、内部を示す側面図である。
【
図7】本発明のテープディスペンサーの実施形態の外観および内部を示す斜視図である。
【
図8】本発明のテープディスペンサーの実施形態のテープ送り機構を示す側面図である。
【
図9】本発明のテープディスペンサーの実施形態のテープ送り機構を示す側面図である。
【
図10】本発明のテープディスペンサーの実施形態であり、外観および内部を示す斜視図である。
【
図11】本発明のテープディスペンサーの実施形態の逆回転阻止機構を示す側面図である。
【
図12】本発明のテープディスペンサーの実施形態の逆回転阻止機構を示す側面図である。
【
図13】本発明のテープディスペンサーの実施形態の逆回転阻止機構を示す斜視図である。
【
図14】本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構およびレバー持ち上げ機構を示す側面図である。
【
図15】本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構およびレバー持ち上げ機構を示す側面図である。
【
図16】本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構を示す斜視図である。
【
図17】本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構を示す側面図である。
【
図18】本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す斜視図である。
【
図19】本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す分解斜視図である。
【
図20】本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す平面図である。
【
図21】本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す側面図である。
【
図22】本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す正面図である。
【
図23】本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す断面図である。この場合、
図23(a)は、縦断面図、
図23(b)は、横断面図である。
【
図24】本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(表面側)である。
【
図25】本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(背面側)である。
【
図26】本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(表面側)である。
【
図27】本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(背面側)である。
【
図28】本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す分解斜視図である。
【
図29】本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
【
図30】本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
【
図31】本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
【
図32】本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
【
図33】本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における使用工程を説明するための図である。
【
図34】本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における使用工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のテープディスペンサーを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す斜視図である。
図2は、本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す側面図である。
図3は、本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す背面図である。
図4は、本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す斜視図であり、粘着テープ巻回体を装着する操作等を説明するための図である。また、
図4は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
図5は、本発明のテープディスペンサーの実施形態を示す斜視図であり、粘着テープ巻回体を装着する操作等を説明するための図である。また、
図5は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
図6は、本発明のテープディスペンサーの実施形態であり、内部を示す側面図である。
図7は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の外観および内部を示す斜視図である。
図8は、本発明のテープディスペンサーの実施形態のテープ送り機構を示す側面図である。
図9は、本発明のテープディスペンサーの実施形態のテープ送り機構を示す側面図である。
図10は、本発明のテープディスペンサーの実施形態であり、外観および内部を示す斜視図である。
図11は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の逆回転阻止機構を示す側面図である。
図12は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の逆回転阻止機構を示す側面図である。
図13は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の逆回転阻止機構を示す斜視図である。
図14は、本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構およびレバー持ち上げ機構を示す側面図である。
図15は、本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構およびレバー持ち上げ機構を示す側面図である。
図16は、本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構を示す斜視図である。
図17は、本発明のテープディスペンサーの実施形態のテンションローラー機構を示す側面図である。
図18は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す斜視図である。
図19は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す分解斜視図である。
図20は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す平面図である。
図21は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す側面図である。
図22は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す正面図である。
図23は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の給水装置を示す断面図である。この場合、
図23(a)は、縦断面図、
図23(b)は、横断面図である。
図24は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(表面側)である。
図25は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(背面側)である。
図26は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(表面側)である。
図27は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す斜視図(背面側)である。
図28は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の刃機構を示す分解斜視図である。
図29は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
図30は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
図31は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
図32は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における準備工程を説明するための図である。
図33は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における使用工程を説明するための図である。
図34は、本発明のテープディスペンサーの実施形態の使用方法における使用工程を説明するための図である。
【0026】
また、説明の都合上、各図において、図中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0027】
また、本明細書において、「平行」とは、2つの線または面が、完全な平行である場合のみならず、±5°以内で傾斜している場合も含む。また、本明細書において、「直交」とは、2つの線または面が、完全な直交である場合、すなわち、2つの線または面のなす角が、90°である場合のみならず、85°以上90°未満の場合と、90°より大きく95°以下の場合も含む。
【0028】
各図に示すテープディスペンサー1は、ハンディータイプ(携帯用)の装置であり、装着部11に装着された粘着テープ巻回体101の粘着テープ103に水(液体)を供給し、その粘着テープ103を送り出し、対象物に貼り付ける装置である。
【0029】
このテープディスペンサー1は、据え置きタイプに比べて、小型、軽量であり、テープディスペンサー1を持って作業を行うことができ、取り扱いが容易であり、また、持ち運びが可能である。
【0030】
また、テープディスペンサー1は、例えば、製品の梱包等において、粘着テープ103を貼り付け、製品を入れた箱(例えば、ダンボール箱)の蓋を止める際等に用いられる。
【0031】
また、
図4に示すように、粘着テープ巻回体101は、基材と、その基材上に配置され、水(液体)に濡れると、粘着性(接着性)を発現する粘着剤(接着剤)とを有する粘着テープ103と、芯材102とを備え、芯材102に粘着テープ103を巻回してなるものである。粘着剤としては、水(液体)に濡れると、粘着性を発現するものであれば、特に限定されないが、例えば、糊(ガム)等が挙げられる。すなわち、粘着テープ103としては、例えば、ガムテープ、水テープ等が挙げられる。
【0032】
また、粘着テープ103の幅は、本実施形態では、50mmであるが、これに限定されず、例えば、63mmでもよく、また、他の幅でもよい。
【0033】
図1~
図7に示すように、テープディスペンサー1は、箱状のハウジング2と、取手12と、粘着テープ103を切断する刃機構(切断機構)3と、粘着テープ巻回体101を装着する装着部11と、装着された粘着テープ巻回体101の粘着テープ103を送り出すテープ送り機構4と、レバー持ち上げ機構5と、テンションローラー機構6と、装着部11に装着された粘着テープ巻回体101を覆う粘着テープカバー9と、ハウジング2に着脱可能な(カートリッジ式の)給水装置(給液装置)70とを有している。そして、ハウジング2内に、テープ送り機構4、レバー持ち上げ機構5およびテンションローラー機構6等が収納されている。
【0034】
また、取手12は、ハウジング2の上部に固定されており、作業者は、取手12を把持し、テープディスペンサー1を持つことができる。
【0035】
次に、装着部11について説明する。
図1~
図7、
図10に示す装着部11は、粘着テープ巻回体101を装着する装置(機構)である。この装着部11は、前述したように、粘着テープ103の幅が50mm用の装置であるが、それに限定されるものではない。
【0036】
また、装着部11は、ハウジング2に設けられている。また、装着部11は、ハウジング2の後方(
図1中の右側)に配置されている。
【0037】
また、装着部11は、装着部本体111と、装着部本体111に対して着脱可能な押え部材(押え部)112とを有している。
【0038】
また、装着部本体111は、筒状をなしており、装着部本体111の外周部に粘着テープ巻回体101の芯材102が装着されるようになっている。すなわち、装着部11に粘着テープ巻回体101を装着する際は、装着部本体111が芯材102に挿入されるようになっている。この装着部本体111の外周部に粘着テープ巻回体101の芯材102が装着された状態では、芯材102は、装着部本体111(装着部11)に対して、回転可能である。また、装着部本体111は、本実施形態では、ハウジング2に対して着脱可能である。
【0039】
また、押え部材112は、装着部本体111の先端部に着脱可能に装着される部材である。この場合、押え部材112は、装着部本体111の外周部に粘着テープ巻回体101の芯材102が装着され、かつ、粘着テープカバー9が、粘着テープ巻回体101を覆うようにして、ハウジング2に装着された状態で、粘着テープカバー9の外側から装着部本体111の先端部に装着される。これにより、装着部11から粘着テープ巻回体101が離脱したり、ずれることを防止することができ、また、ハウジング2から粘着テープカバー9が離脱することを防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、装着部11(装着部本体111)は、ハウジング2に固定され、ハウジング2に対して回転しないが、これに限らず、例えば、装着部11は、ハウジング2に対して回転可能になっていてもよい。この場合、粘着テープ巻回体101の芯材102は、装着部11(装着部本体111)に対して、回転しないようになっていてもよい。
【0041】
次に、粘着テープカバー9について説明する。
図1~
図3、
図5、
図6に示す粘着テープカバー9は、装着部11に装着された粘着テープ巻回体101を覆う部材(構造体)である。
【0042】
また、粘着テープカバー9は、ハウジング2に設けられている。また、粘着テープカバー9は、ハウジング2の後方(
図1中の右側)であって、装着部11(装着部11に装着された粘着テープ巻回体101)に対応する位置に配置されている。また、粘着テープカバー9は、本実施形態では、ハウジング2に対して着脱可能である。
【0043】
また、粘着テープカバー9は、筒状をなしている。また、粘着テープカバー9の先端側は、基端側に比べて開口91の面積(開口面積)が小さいリング状(環状)をなしており、そのリング状の部分の開口91の位置に、装着部11が配置される。
【0044】
この粘着テープカバー9により、装着部11に装着された粘着テープ巻回体101の粘着テープ103が、粘着テープ巻回体101の径方向に拡散したり、粘着テープ巻回体101の中心軸の方向に拡散することを抑制することができる。すなわち、粘着テープカバー9により、粘着テープ103が適正な状態に保持されている。
【0045】
次に、刃機構3について説明する。
図24~
図28に示す刃機構3は、粘着テープ103を切断する(切る)機構(装置)である。
【0046】
また、刃機構3は、ハウジング2に設けられている。また、刃機構3は、ハウジング2の前方(
図1中の左側)に配置されている。また、刃機構3は、本実施形態では、ハウジング2に対して着脱可能(カートリッジ式)である。これにより、刃機構3の刃31の交換等を容易かつ迅速に行うことができる。
【0047】
また、刃機構3は、粘着テープ103を切断する刃31と、ケーシング32と、2方向に付勢することが可能な付勢部材である反転ばね35とを有している。また、ケーシング32は、支持部材33と、支持部材33に対して変位可能(移動可能)に設けられたシャッター34とを有しており、刃31は、支持部材33に支持されている。また、本実施形態では、刃31は、支持部材33に対して上下方向に移動可能に設けられている。また、本実施形態では、刃31は、1対の両面テープ36で、支持部材33の一方の面に接着(粘着)されている。
【0048】
また、支持部材33は、その上側の部位に配置された取付部331、332と、その下側の部位に配置された取付部333、334とを有している。刃機構3は、この取付部331~334により、ハウジング2の前方に着脱可能に取り付けられる。
【0049】
また、刃機構3は、刃31がケーシング32に収納された状態と、刃31がケーシング32から外部に突出した状態とを採り得るようになっている。但し、本実施形態では、刃31の一方の面は、ケーシング32から外部に露出している。そして、刃機構3は、ハウジング2に装着された状態で、ハウジング2とケーシング32とで構成される構造体に対して、刃31が収納されたり、刃31が外部に突出するようになっている。以下では、単に、「刃31が収納」、「刃31が外部に突出」とも言う。また、「刃31が収納された状態」を単に、「収納状態」、「刃31が外部に突出した状態」を単に、「突出状態(使用可能状態)」とも言う。
【0050】
具体的に説明すると、シャッター34は、支持部材33の刃31が配置されている側の面(一方の面)と反対側の面(他方の面)に配置されており、支持部材33に対して、上下方向に移動可能に設置されている。これにより、
図24および
図25に示す刃31が収納された状態(刃31が外部に突出していない状態)と、
図26および
図27に示す刃31が外部に突出した状態とを採ることできる。
【0051】
また、反転ばね35の一方の端部に配置されている取付部351は、支持部材33の中央部から若干ずれた位置に取り付けられ、他方の端部に配置されている取付部352は、シャッター34の中央部に取り付けられている。そして、反転ばね35は、支持部材33に対してシャッター34を付勢している。具体的には、反転ばね35は、シャッター34を、シャッター34が閉まる方向(刃31が収納される方向)、すなわち、下側と、シャッター34が開く方向(刃31が外部に突出する方向)、すなわち、上側とに、選択的に付勢し得るようになっている。
【0052】
すなわち、
図24および
図25に示す収納状態では、反転ばね35は、その弾性力(復元力)により、シャッター34を支持部材33に対して下側に付勢する。これにより、シャッター34が不本意に開くことを防止することができる。また、収納状態にすることにより安全になる。
【0053】
一方、
図26および
図27に示す突出状態では、反転ばね35は、その弾性力(復元力)により、シャッター34を支持部材33に対して上側に付勢する。これにより、シャッター34が不本意に閉じることを防止することができる。また、突出状態にすることにより、刃31で粘着テープ103を切断することができる。
【0054】
また、収納状態で、反転ばね35の付勢力に抗して、シャッター34を支持部材33に対して上側に移動させると、シャッター34が開き、突出状態となる。
【0055】
また、突出状態で、反転ばね35の付勢力に抗して、シャッター34を支持部材33に対して下側に移動させると、シャッター34が閉じ、収納状態となる。
【0056】
次に、給水装置(給液装置)70について説明する。
図18~
図23に示す給水装置(給液装置)70は、水(液体)を貯留し、粘着テープ103に液体を供給する装置(機構)である。
【0057】
また、給水装置70は、ハウジング2に設けられている。また、給水装置70は、ハウジング2の前方(
図1中の左側)かつ下部に配置されている。また、給水装置70は、本実施形態では、ハウジング2に対して着脱可能(カートリッジ式)である。これにより、給水タンク7への水の貯留、給水タンク7の洗浄等を容易かつ迅速に行うことができる。
【0058】
また、給水装置70は、給水タンク7と、吸水ローラー8とを有している。
また、給水タンク7は、水(液体)を貯留することが可能なタンク本体(ケーシング)71と、タンク本体71の孔711に着脱可能な蓋72とを有している。
【0059】
また、吸水ローラー8は、タンク本体71内に、回転可能に設けられている。また、吸水ローラー8の一部は、タンク本体71から外部に露出(突出)している。また、吸水ローラー8は、テープ送り機構4のローラー44、45の下流側に配置されている。
【0060】
また、吸水ローラー8は、ローラー本体81と、ローラー本体81の外周面(表面)に設けられたスポンジシート82とを有している。
【0061】
また、ローラー本体81は、本実施形態では、2つの部材、すなわち、第1部材(上側部材)と第2部材(下側部材)とを有し、それらを接合してなる部材で構成されている。また、ローラー本体81は、中空の部材であり、スポンジシート82が設けられていない部分に、ローラー本体81の内部と外部とを連通する複数の孔を有している。
【0062】
また、スポンジシート82は、スポンジ(例えば、ウレタン等)で構成されたシートであり、水(液体)を吸収することが可能(吸液性を有する)で、弾力性(柔軟性)を有する部材の1例である。
【0063】
また、タンク本体71は、その内部に水(液体)を貯留可能に構成されている。また、タンク本体71は、本実施形態では、2つの部材、すなわち、第1ケース(上側ケース)と第2ケース(下側ケース)とを有し、それらを両面テープ(接着剤)73で接合してなる部材で構成されている。また、タンク本体71の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、給水装置70がハウジング2に装着された状態で、タンク本体71の鉛直方向の厚さが薄くなるような扁平形状をなしている。
【0064】
また、タンク本体71の上側には、タンク本体71の内部と外部とを連通する孔711が形成されている。また、孔711の平面視での形状は、円形をなしている。
【0065】
また、蓋72は、孔711に着脱可能になっており、蓋72が孔711から離脱した状態では、孔711からタンク本体71内に水を注入することができ、また、蓋72が孔711に装着された状態では、孔711からタンク本体71内の水が漏れることを防止することができる。
【0066】
また、タンク本体71の上側には、タンク本体71の内部と外部とを連通する孔712が形成されている。また、孔712の平面視での形状は、吸水ローラー8の平面視での形状に対応した形状をなしている。
【0067】
また、吸水ローラー8の上側の部分は、孔712からタンク本体71の外部に露出(突出)している。
【0068】
また、タンク本体71の所定部分、本実施形態では、タンク本体71の全体が、光透過性を有している。すなわち、タンク本体71は、透明または半透明である。これにより、タンク本体71の内部の水の量や状態を視認することができる。
【0069】
また、タンク本体71の外面(表面)には、給水タンク7(タンク本体71)を水平な姿勢から所定角度(本実施形態では、90°)傾斜させたとしても(
図23参照)、内部に貯留されている水が外部に漏れ出ないことが保証される最大の量(貯留量)を示す指標713が設けられている。また、指標713は、本実施形態では、直線で構成されている。
【0070】
すなわち、給水タンク7が水平な姿勢で、内部に貯留されている水の水面の位置が指標713の位置と同じか、または、前記水面の位置が指標713よりも鉛直方向下側にあれば、給水タンク7を水平な姿勢からいずれの方向へも90°まで傾斜させたとしても(
図23参照)、貯留されている水は、外部に漏れ出ないようになっている。
【0071】
また、その指標713の近傍には、「MAX」の文字が設けられている。これにより、作業者は、給水タンク7内に、指標713の位置まで水を貯留してもよいことを把握することができる。
【0072】
また、給水装置70では、給水タンク7に貯留されている水を吸水ローラー8のスポンジシート82で吸収(吸水)し、その水を粘着テープ103の粘着剤に塗布する。
【0073】
次に、テープ送り機構4について説明する。
図1~
図13に示すテープ送り機構4は、回転可能な操作部41を有しており、操作部41を手動で回転させることにより、粘着テープ103を送り出すようになっている。このテープ送り機構4を有することにより、粘着テープ103を送り出す際の操作性に優れている。また、テープ送り機構4は、手動で作動するので、電池や電源を必要としない。
【0074】
また、操作部41の一部(
図8中の上部)は、ハウジング2から外部に露出(突出)している。この操作部41の外部に露出(突出)している部分が、露出部分(突出部分)42である。作業者は、操作部41のうちの露出部分42を手指で操作する(回転させる)。
【0075】
また、操作部41の側面視での(
図6の紙面に対して直交する方向から見たときの)外形形状は、円形である。また、操作部41の外周面には、複数のリブ411が形成されている。このリブ411により、操作部41を手指で回転させる操作を行ったとき、手指が滑ることを防止することができる。
【0076】
また、テープ送り機構4は、操作部41の一方の方向(
図8中の反時計周りの方向)への回転を許可し、操作部41の他方の方向(
図8中の時計周りの方向)への回転を阻止する逆回転阻止機構43を有している。
【0077】
また、逆回転阻止機構43は、操作部41に設けられた歯車432と、歯車432の一方の方向(
図8中の反時計周りの方向)への回転を許可し、他方の方向(
図8中の時計周りの方向)への回転を阻止する歯止め433とを有するラチェット機構431である。
【0078】
また、テープ送り機構4は、粘着テープ103を挟持するローラー(第1のローラー)44およびローラー(第2のローラー)45と、操作部41の回転力をローラー44へ伝達する動力伝達機構46とを有している。
【0079】
また、ローラー44とローラー45とのうちの一方の粘着テープ103と接触する部分、本実施形態では、ローラー44は、弾性を有している。すなわち、ローラー44は、ゴム製(弾性体製)のローラーである。これにより、ローラー44とローラー45とで、粘着テープ103を挟持した際、ローラー44が弾性変形し、粘着テープ103を適確に挟持し、粘着テープ103がローラー44および45に対して滑ることを防止することができる。
【0080】
また、動力伝達機構46は、操作部41に設けられた歯車(第1の歯車)461と、歯車461と噛合する歯車(第2の歯車)462と、歯車462と噛合する歯車(第3の歯車)463と、歯車463と噛合し、ローラー44に設けられた歯車(第4の歯車)464とを有している。本実施形態では、動力伝達機構46が有する歯車の数は、4個であるが、これに限らず、偶数個であればよく、例えば、2個、6個、8個等としてもよい。
【0081】
また、ハウジング2の取手12が配置されている側の面(上面)であって、操作部41の近傍の部位は、作業者が手指で、テープ送り機構4の操作部41を操作する(回転させる)際に、その手指が接触し、摺動する面(手指を滑らせる面)であり、その面を操作面(操作用平面)21と言う。また、操作面21は、平面である。
【0082】
そして、テープ送り機構4は、露出部分42の外周面の移動方向が、粘着テープ103がテープディスペンサー1(ハウジング2)から送り出されるときの粘着テープ103の移動方向と同じ側となるように操作部41を回転させる場合、すなわち、操作部41を(
図8中の反時計周りの方向)(
図9中の時計周りの方向)に回転させる場合は、操作部41の回転を許可し、粘着テープ103をテープディスペンサー1から送り出す。この場合、作業者は、手指を、操作面21に沿って、すなわち、操作面21の面内で(操作面21と平行で)、
図8および
図9中の矢印aの方向に移動させる(操作する)。
【0083】
また、テープ送り機構4は、露出部分42の外周面の移動方向が、粘着テープ103がテープディスペンサー1から送り出されるときの粘着テープ103の移動方向と逆側となるように操作部41を回転させる場合、すなわち、操作部41を(
図8中の時計周りの方向)(
図9中の反時計周りの方向)に回転させる場合は、逆回転阻止機構43の歯車432が歯止め433に係止されることにより、操作部41の回転を阻止する。この場合、作業者は、手指を、操作面21に沿って、すなわち、操作面21の面内で(操作面21と平行で)、
図8および
図9中の矢印bの方向に移動させる(操作する)。
【0084】
次に、テンションローラー機構6について説明する。
図6、
図7、
図10、
図14~
図17に示すテンションローラー機構6は、テープ送り機構4により送られた粘着テープ103の粘着剤に水(液体)を塗布(供給)するために、水を吸収(吸水)した吸水ローラー8に、粘着テープ103を押し付ける機構(装置)である。
【0085】
また、テンションローラー機構6は、ハウジング2に、変位可能に設けられている。また、テンションローラー機構6は、ハウジング2の前方(
図1中の左側)で、給水装置70の上側に配置されている。
【0086】
また、テンションローラー機構6は、テンションローラー61を有している。このテンションローラー61は、テープ送り機構4のローラー44、45の下流側に配置されている。そして、テンションローラー61は、レバー持ち上げ機構5により、変位し、吸水ローラー8から離間したり、吸水ローラー8に押し付けられるようになっている。換言すれば、テンションローラー機構6は、
図15に示すテンションローラー61と吸水ローラー8とが離間した離間状態と、
図14、
図16、
図17に示すテンションローラー61が吸水ローラー8に押し付けられた押付状態(押圧状態)、すなわち、テンションローラー61と吸水ローラー8とで粘着テープ103を挟持した挟持状態とを採り得るようになっている。
【0087】
次に、レバー持ち上げ機構5について説明する。
図1~
図6、
図14、
図15、
図31、
図32に示すレバー持ち上げ機構5は、テンションローラー機構6と、テープ送り機構4の動力伝達機構46およびローラー44等を変位させる機構(装置)である。このレバー持ち上げ機構5は、ハウジング2に設けられている。
【0088】
また、レバー持ち上げ機構5は、操作レバー(操作部)51と、操作レバー51の変位を最終的にテンションローラー61およびローラー44へ伝達する動力伝達機構52と、2方向に付勢することが可能な付勢部材である反転ばね53とを有している。また、動力伝達機構52は、リンク機構、カム機構等を有している。
【0089】
また、操作レバー51は、ハウジング2の上部に、変位可能、本実施形態では、操作レバー51の一方の端部を中心(回動中心)として回動可能に設けられている。すなわち、操作レバー51は、作業者の操作により、操作レバー51が起立した状態(起立状態)と、操作レバー51が伏倒した状態(伏倒状態)とに変位することができる。以下、操作レバー51が起立した状態を「操作レバー51の起立状態」とも言い、また、操作レバー51が伏倒した状態を「操作レバー51の伏倒状態」とも言う。
【0090】
また、反転ばね53は、ハウジング2に対して操作レバー51および動力伝達機構52を付勢している。具体的には、反転ばね53は、操作レバー51および動力伝達機構52を、操作レバー51が起立する方向と、操作レバー51が伏倒する方向とに選択的に付勢し得るようになっている。これにより、操作レバー51および動力伝達機構52は、操作レバー51の起立状態では、反転ばね53の弾性力(復元力)により、その状態が保持され、また、操作レバー51の伏倒状態では、反転ばね53の弾性力(復元力)により、その状態が保持される。
【0091】
また、
図15に示す操作レバー51の起立状態では、テンションローラー機構6のテンションローラー61は、給水装置70の吸水ローラー8から離間している。
【0092】
これにより、粘着テープ103をテンションローラー61と吸水ローラー8との間に配置することができる。
【0093】
また、
図15に示す操作レバー51の起立状態では、テープ送り機構4のローラー44は、ローラー45から離間している。
【0094】
これにより、粘着テープ103をローラー44とローラー45との間に配置することができる。
【0095】
また、
図14に示す操作レバー51の伏倒状態では、テンションローラー機構6のテンションローラー61は、給水装置70の吸水ローラー8に押し付けられている。
【0096】
これにより、テンションローラー61と吸水ローラー8とで粘着テープ103を挟持することができる。
【0097】
また、
図14に示す操作レバー51の伏倒状態では、テープ送り機構4のローラー44は、ローラー45に押し付けられている。
【0098】
これにより、ローラー44とローラー45とで粘着テープ103を挟持することができる。
【0099】
このように、レバー持ち上げ機構5により、テンションローラー61と吸水ローラー8とが離間した状態およびローラー44とローラー45とが離間した状態と、テンションローラー61が吸水ローラー8に押し付けられている状態(テンションローラー61と吸水ローラー8とで粘着テープ103を挟持した状態)およびローラー44がローラー45に押し付けられている状態(ローラー44とローラー45とで粘着テープ103を挟持した状態)とを採り得るようになっている。
【0100】
次に、テープディスペンサー1の使用例(使用方法)について説明する。
<準備工程>
(1)
図29、
図30に示すように、取付部331~334により、刃機構3をハウジング2に装着する。
【0101】
(2)
図4および
図5に示すように、装着部本体111に、粘着テープ巻回体101の芯材102を装着する。
【0102】
次に、操作レバー51の起立状態で、粘着テープ巻回体101の粘着テープ103をローラー44とローラー45との間、テンションローラー61と吸水ローラー8との間に配置し、粘着テープ103の先端部が、テープディスペンサー1の前方(
図5中の左側)から外部に突出するようにする。
【0103】
次に、
図5に示すように、粘着テープカバー9を装着部本体111に装着し、押え部材112を装着部本体111に装着する。
【0104】
(3)
図31および
図32に示すように、給水装置70の給水タンク7に水を注入し、その給水装置70をハウジング2に装着する。なお、給水タンク7に貯留する水量は、最大で、指標713の位置に水面が位置するまでの量とする。
【0105】
なお、前記(1)の工程と、前記(2)の工程と、前記(3)の工程の順序は、いかなる順序であってもよい。
【0106】
(4)
操作レバー51を伏倒状態にする。これにより、ローラー44とローラー45とで粘着テープ103が挟持され、テンションローラー61と吸水ローラー8とで粘着テープ103が挟持される。
【0107】
なお、前記(1)の工程と、前記(2)の工程と、前記(3)の工程の順序を変更した場合、前記(4)の工程は、前記(2)の工程および前記(3)の工程の後であればよい。
【0108】
<使用工程>
図33に示すように、対象物の1例であるであるダンボール箱201の上に、テープディスペンサー1を載置する。
【0109】
そして、ローラー44とローラー45とで粘着テープ103が挟持され、かつ、テンションローラー61と吸水ローラー8とで粘着テープ103が挟持された状態で、
図8中の矢印aの方向に手指を移動させ、操作部41を
図8中の反時計周りの方向に回転させる。これにより、操作部41の歯車432は、歯止め433に係止されることがなく、操作部41が回転する。これにより、歯車461、歯車462、歯車463、歯車464が、順次、回転し、ローラー44が
図8中の時計周りの方向に回転し、そのローラー44とともにローラー45が
図8中の反時計周りの方向に回転する(
図8、
図9参照)。これにより、粘着テープ103は、
図8および
図33中の左側に移動する。
【0110】
また、粘着テープ103は、テンションローラー61と、給水タンク7の水を吸収した吸水ローラー8との間を通過し、その際、粘着テープ103の粘着剤に水が塗布され、これにより、粘着剤が粘着性を発現する。また、粘着テープ103は、ハウジング2の前方から繰り出される。
【0111】
そして、
図33および
図34に示すように、粘着テープ103をダンボール箱201の所定の箇所に貼り付ける。
【0112】
また、粘着テープ103のダンボール箱201への貼り付けが完了したら、粘着テープ103を所定の位置において、刃機構3の刃31で切断する。以上で、粘着テープ103をダンボール箱201に貼り付ける作業が完了する。
【0113】
なお、刃機構3については、予め(事前に)、突出状態にしておいてもよく、また、粘着テープ103を切断する直前に突出状態にしてもよい。
【0114】
一方、
図8中の矢印aの方向ではなく、
図8中の矢印bの方向に手指を移動させ、操作部41を
図8中の時計周りの方向に回転させようとすると、操作部41に設けられた歯車432は、歯止め433に係止され、操作部41の回転が阻止される。
【0115】
これにより、水に濡れた粘着テープ103が、逆方向に移動して、テープディスペンサー1内において貼り付いてしまうことを防止することができる。
【0116】
以上説明したように、テープディスペンサー1によれば、粘着テープ103を送り出す際の操作性に優れている。これにより、容易かつ迅速に、粘着テープ103を対象物に貼り付けることができる。
【0117】
すなわち、テープ送り機構4を有しているので、粘着テープ103を対象物に貼り付ける作業を行う際、粘着テープ103を手指で把持する必要がなく、これにより、作業者の手指が粘着テープ103に付着している水で濡れてしまうことを防止することができる。
【0118】
また、粘着テープ103を送り出す際の露出部分42の外周面の移動方向と、粘着テープ103の移動方向とが同じ側であるので、粘着テープ103を送り出す際の操作部41の操作方向を感覚的に把握することができ、これにより、容易かつ迅速に、粘着テープ103を送り出すことができる。
【0119】
また、逆回転阻止機構43を有しているので、水に濡れた粘着テープ103が、逆方向に移動して、テープディスペンサー1内において貼り付いてしまうことを防止することができる。
【0120】
以上、本発明のテープディスペンサーを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0121】
また、前記実施形態では、テープディスペンサー(装着部)は、幅が50mmである1種類の粘着テープ(テープ)に対応するものであるが、本発明では、対応可能な粘着テープの幅は、これに限定されず、例えば、63mmでもよく、また、他の幅でもよい。
【0122】
また、前記実施形態では、対応可能な粘着テープの幅は、1種類であるが、本発明では、対応可能な粘着テープの幅は、これに限定されず、例えば、2種類以上(複数種類)であってもよい。具体的には、テープディスペンサーは、例えば、幅が50mmの粘着テープと、幅が63mmの粘着テープとの2種類の粘着テープに対応可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 テープディスペンサー
2 ハウジング
21 操作面
3 刃機構
31 刃
32 ケーシング
33 支持部材
331 取付部
332 取付部
333 取付部
334 取付部
34 シャッター
35 反転ばね
351 取付部
352 取付部
36 両面テープ
4 テープ送り機構
41 操作部
411 リブ
42 露出部分
43 逆回転阻止機構
431 ラチェット機構
432 歯車
433 歯止め
44 ローラー
45 ローラー
46 動力伝達機構
461 歯車
462 歯車
463 歯車
464 歯車
5 レバー持ち上げ機構
51 操作レバー
52 動力伝達機構
53 反転ばね
6 テンションローラー機構
61 テンションローラー
7 給水タンク
70 給水装置
71 タンク本体
711 孔
712 孔
713 指標
72 蓋
73 両面テープ
8 吸水ローラー
81 ローラー本体
82 スポンジシート
9 粘着テープカバー
91 開口
11 装着部
111 装着部本体
112 押え部材
12 取手
101 粘着テープ巻回体
102 芯材
103 粘着テープ
201 ダンボール箱
a 矢印
b 矢印
【要約】
【課題】液体に濡れると粘着性を発現する粘着剤を有する粘着テープを送り出す際の操作性に優れているテープディスペンサーを提供する。
【解決手段】テープディスペンサー1は、テープ送り機構4を有する。また、テープ送り機構4は、露出部分42の外周面の移動方向が、粘着テープ103がテープディスペンサー1から送り出されるときの粘着テープ103の移動方向と同じ側となるように操作部41を回転させる場合は、操作部41の回転を許可し、粘着テープ103をテープディスペンサー1から送り出す。また、テープ送り機構4は、露出部分42の外周面の移動方向が、粘着テープ103がテープディスペンサー1から送り出されるときの粘着テープ103の移動方向と逆側となるように操作部41を回転させる場合は、操作部41の回転を阻止する。
【選択図】
図6