(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/06 20060101AFI20230511BHJP
G06F 11/14 20060101ALI20230511BHJP
G06F 13/10 20060101ALI20230511BHJP
G06F 16/11 20190101ALI20230511BHJP
【FI】
G06F3/06 304F
G06F3/06 301X
G06F3/06 302A
G06F11/14 648
G06F13/10 340A
G06F16/11
(21)【出願番号】P 2020036969
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2020-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】丸山 翔矢
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】須田 勝巳
【審判官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-170352(JP,A)
【文献】特開2007-257416(JP,A)
【文献】特開2013-186857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/06
G06F13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記憶手段と、
前記第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段と、
レプリケーションの受入元から更新内容を示す更新データを受け入れて、前記第1記憶手段に当該更新データを記録する受入手段と、
記録された前記更新データに基づいて、前記第2記憶手段が記憶しているデータを更新する更新手段と、
前記第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定する障害特定手段と、
前記更新手段によるデータ更新の途中で前記障害状態であると特定された場合、記録されている前記更新データの更新内容と当該更新
内容に係る前記第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録する情報記録手段と、
前記差分情報が記録された後、当該差分情報に係る前記更新データを前記第1記憶手段から削除する削除手段と、
前記更新データが削除された後に、前記障害状態
から回復したと特定された場合、記録された
前記差分情報を前記受入元に送信することにより、前記差分情報にかかる前記更新データを、前記受入元が前記受入手段に送信するように制御する再開手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記受入元は、データの編集に係る入力を受け入れるホスト装置である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記削除手段は、前記再開手段
による制御により前記受入元が前記受入手段に前記更新データを送信した後に、前記第3記憶手段に記録されている前記差分情報を削除する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受入手段は、前記再開手段
による制御により前記受入元から受け入れた前記更新データを前記第1記憶手段に記録する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
第1記憶手段と、前記第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段と、を備える情報処理装置
の情報処理方法であって、
レプリケーションの受入元から更新内容を示す更新データを受け入れて、前記第1記憶手段に当該更新データを記録するステップと、
記録された前記更新データに基づいて、前記第2記憶手段が記憶しているデータを更新するステップと、
前記第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定するステップと、
前記更新するステップによるデータ更新の途中で前記障害状態であると特定された場合、記録されている前記更新データの更新内容と当該更新
内容に係る前記第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録するステップと、
前記差分情報が記録された後、当該差分情報に係る前記更新データを前記第1記憶手段から削除するステップと、
前記更新データが削除された後に、前記障害状態
から回復したと特定された場合、記録された
前記差分情報を前記受入元に送信することにより、前記差分情報にかかる前記更新データを、前記受入元が前記情報処理装置に送信するように制御するステップと、
を
実行する情報処理方法。
【請求項6】
第1記憶手段と、前記第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段と、を備える情報処理装置
に、
レプリケーションの受入元から更新内容を示す更新データを受け入れて、前記第1記憶手段に当該更新データを記録するステップと、
記録された前記更新データに基づいて、前記第2記憶手段が記憶しているデータを更新するステップと、
前記第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定するステップと、
前記更新するステップによるデータ更新の途中で前記障害状態であると特定された場合、記録されている前記更新データの更新内容と当該更新
内容に係る前記第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録するステップと、
前記差分情報が記録された後、当該差分情報に係る前記更新データを前記第1記憶手段から削除するステップと、
前記更新データが削除された後に、前記障害状態
から回復したと特定された場合、記録された
前記差分情報を前記受入元に送信することにより、前記差分情報にかかる前記更新データを、前記受入元が前記情報処理装置に送信するように制御するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マスタデータベースに基づいてレプリカデータベースのデータを削除する時に障害が発生した場合、当該削除にかかる命令を格納して障害の復旧後に当該命令に基づいてレプリカデータベースのデータを削除する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マスター装置のデータを他の装置に送信して当該他の装置のデータの更新を行う場合がある。この場合、更新を高速化する技術として、一旦更新速度の速いキャッシュメモリにデータを記録した後、更新速度の遅いハードディスクに記録するライトバックの技術が知られている。
しかし、ライトバックの途中にハードディスクの障害が生じると、キャッシュメモリを活用するため、記録された更新データを削除する場合がある。この場合、障害により中断した更新を再開するためには、更新にかかる全てのデータをマスター装置から受け入れる必要がある。
本発明の目的は、上述した課題を解決する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報処理装置は、第1記憶手段と、第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段と、更新内容を示す更新データを受け入れて、第1記憶手段に当該更新データを記録する受入手段と、記録された更新データに基づいて、第2記憶手段が記憶しているデータを更新する更新手段と、第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定する障害特定手段と、障害状態であると特定された場合、記録されている更新データと当該更新データに係る第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録する情報記録手段と、差分情報が記録された後、当該差分情報に係る更新データを第1記憶手段から削除する削除手段と、更新データが削除された後に、障害状態でないと特定された場合、記録された差分情報にかかる更新データを、受入手段に送信するように制御する再開手段を備える。
【0006】
本発明に係る情報処理方法は、第1記憶手段と、第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段を備える情報処理装置において、更新内容を示す更新データを受け入れて、第1記憶手段に当該更新データを記録するステップと、記録された更新データに基づいて、第2記憶手段が記憶しているデータを更新するステップと、第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定するステップと、障害状態であると特定された場合、記録されている更新データと当該更新データに係る第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録するステップと、差分情報が記録された後、当該差分情報に係る更新データを第1記憶手段から削除するステップと、更新データが削除された後に、障害状態でないと特定された場合、記録された差分情報にかかる更新データを、受入手段に送信するように制御するステップを有する。
【0007】
本発明に係るプログラムは、第1記憶手段と、第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段を備える情報処理装置のコンピュータを、更新内容を示す更新データを受け入れて、第1記憶手段に当該更新データを記録するステップと、記録された更新データに基づいて、第2記憶手段が記憶しているデータを更新するステップと、第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定するステップと、障害状態であると特定された場合、記録されている更新データと当該更新データに係る第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録するステップと、差分情報が記録された後、当該差分情報に係る更新データを第1記憶手段から削除するステップと、更新データが削除された後に、障害状態でないと特定された場合、記録された差分情報にかかる更新データを、受入手段に送信するように制御するステップとして実行させる。
【発明の効果】
【0008】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、ライトバックの途中で装置障害によりデータの更新が中断された場合、全てのデータを再送信しなくても当該更新を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈第1の実施形態〉
《情報処理システムの構成》
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る情報処理システム1について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム1を示す図である。
情報処理システム1は、複数の情報処理装置10を備えて、情報処理装置10の間においてデータの更新を行うことにより、データのレプリケーションを行うシステムである。また、情報処理システム1は、ライトバックの途中で装置障害によりデータの更新が中断された場合、キャッシュメモリのデータ等を記録して障害復旧後に用いることにより、全てのデータを再送信しなくても当該更新を再開することができるシステムである。
【0011】
情報処理システム1は複数個の情報処理装置10を備える。第1の実施形態においては、情報処理システム1は情報処理装置10Aと情報処理装置10Bを備える。
情報処理装置10は、ホスト装置100から命令を受け入れて記憶するデータの更新を行う。また、情報処理装置10は、他の情報処理装置10から更新データを受け入れてデータの更新を行う。
情報処理装置10Aは、当該情報処理装置10Aが記憶しているデータのレプリケーションを情報処理装置10Bに対して行う。すなわち、情報処理装置10Aと情報処理装置10Bは同じデータを記憶するように制御される。例えば、情報処理装置10Aは、ホスト装置100Aにより当該情報処理装置10Aが記憶するデータの更新があった場合、情報処理装置10Bが記憶するデータも同様な更新が行われるように制御する。
【0012】
情報処理装置10は、ホスト制御部3と、コピー制御部4と、通信管理部5と、差分管理部6と、データ管理部7と、キャッシュメモリ8と、ディスク制御部9と、ハードディスク11を備える。
情報処理装置10Aと情報処理装置10Bは有線又は無線で接続する。
【0013】
情報処理装置10はホスト装置100と接続する。
ホスト装置100は、情報処理システム1のユーザからデータの編集にかかる入力を受けて、情報処理装置10が記憶しているデータを更新するように命令する。
第1の実施形態に係る情報処理装置10はホスト装置100を介してユーザの入力を受け入れるリモート処理装置であるが、ホスト装置100を備えず、直接ユーザから入力を受け入れても良い。この場合は、ホスト制御部3が情報処理システム1のユーザと直接接続する。ホスト装置100は、受入元の一例である。
【0014】
ホスト制御部3は、ホスト装置100及び他の情報処理装置10のホスト制御部3と、キャッシュメモリ8及びコピー制御部4との間で、データの送受信処理及び通信処理を行う。例えば、ホスト制御部3は、ホスト装置100又は他の情報処理装置10のホスト制御部3から更新データを受け入れて、キャッシュメモリ8に更新データを記録する。ホスト制御部3は受入手段の一例である。
また、ホスト制御部3は、コピー制御部4が制御することにより、受け入れた更新データをキャッシュメモリ8に記録する。コピー制御部4の詳細については後述する。
【0015】
ディスク制御部9は、キャッシュメモリ8とハードディスク11との間でデータの送受信を行う。例えば、ディスク制御部9は、キャッシュメモリ8に記録された更新データに基づいて、ハードディスク11が記憶しているデータを更新する。ディスク制御部9は更新手段の一例である。
【0016】
データ管理部7は、ハードディスク11が記憶しているデータの状態を管理する。また、データ管理部7は、ハードディスク11が障害状態であるか否かを特定する。また、データ管理部7は、特定したハードディスク11の状態をコピー制御部4に通知する。例えば、データ管理部7は、ハードディスク11に障害状態である場合やハードディスク11の障害状態でない場合、ハードディスク11の状態を示す信号をコピー制御部4に送信する。データ管理部7は、障害特定手段の一例である。
【0017】
コピー制御部4は、ホスト制御部3と、通信管理部5と、差分管理部6と、データ管理部7と連携して、情報処理装置10の間におけるデータの更新の制御を行う。例えば、コピー制御部4は、差分情報を差分管理部6に記録する。差分情報とは、キャッシュメモリ8が記憶している更新データの更新内容と当該更新内容に係るハードディスク11のアドレスとを関連付けた情報である。
【0018】
また、コピー制御部4は、差分管理部6に差分情報を記録した後、当該差分情報に係る更新データをキャッシュメモリ8から削除する。
また、コピー制御部4は、キャッシュメモリ8から更新データが削除された後に、データ管理部7からハードディスク11の状態を示す信号を受け入れて、ハードディスク11が障害状態でないと特定された場合、差分情報にかかる更新データをホスト制御部3が受け入れるように制御する。例えば、コピー制御部4は、ホスト装置100に差分情報を示す信号を送信する。ホスト装置100又は他の情報処理装置10が差分情報にかかる更新データを情報処理装置10に送信する。これにより、ホスト制御部3は、送信された差分情報にかかる更新データを受け入れる。
コピー制御部4は情報記録手段の一例である。コピー制御部4は削除手段の一例である。また、コピー制御部4は再開手段の一例である。
【0019】
通信管理部5は、ホスト制御部3を介して他の情報処理装置10との遠隔通信を管理する。また、通信管理部5は、コピー制御部4に対して、他の情報処理装置10からの更新データの受け入れ開始と中断、再開の要求指示を通知する。
【0020】
差分管理部6は、コピー制御部4により記録された差分情報を記憶する記憶装置である。差分管理部6の例としては、ハードディスク11とは別のハードディスクと、キャッシュメモリ8とは別のキャッシュメモリが挙げられる。差分管理部6は、第3記憶手段の一例である。
【0021】
キャッシュメモリ8は、ホスト制御部3により記録される更新データを記憶する記憶装置である。キャッシュメモリ8は、第1記憶手段の一例である。
ハードディスク11は、情報処理装置10のデータを記憶する記憶装置である。
図1における情報処理装置10は、1つのハードディスク11を備えているが、複数のハードディスク11を備えるディスクアレイであっても良い。ハードディスク11は、第1記憶手段より更新速度の遅い第2記憶手段の一例である。
【0022】
《データの更新にかかる情報処理システムの動作》
以下、情報処理システム1のデータの更新にかかる動作を説明する。
図2は、情報処理システム1のデータの更新にかかる動作を示すフローチャートである。
【0023】
ホスト装置100Aが情報処理装置10Aに更新データを送信する(ステップS1)。
ステップS1で送信された更新データを、ホスト制御部3Aが受け入れる(ステップS2)。
【0024】
コピー制御部4Aは、ホスト制御部3Aが受け入れた更新データを、キャッシュメモリ8Aに記録する(ステップS3)。
コピー制御部4Aは、差分情報Z0を差分管理部6Aに記録する(ステップS4)。
【0025】
ディスク制御部9Aは、キャッシュメモリ8Aに記録されている更新データに基づいてハードディスク11Aが記憶しているデータを更新する(ステップS5)。
ステップS6により更新が終了すると、ディスク制御部9Aは、キャッシュメモリ8Aに更新済みを登録する(ステップS6)。
【0026】
上記の動作により、情報処理システム1は、ホスト装置100Aから更新要求を受け取って、更新速度の早いキャッシュメモリ8に一旦更新データを記録して、後で更新速度の遅いハードディスク11のデータを更新する。これにより、情報処理システムは、ハードディスク11に記録されているデータの更新を高速化することができる。
【0027】
《レプリケーションにかかる情報処理システムの動作》
以下、情報処理システム1のレプリケーションにかかる動作を説明する。以下のレプリケーションは、
図2にかかるデータの更新後に行われる一例である。すなわち、情報処理装置10Aの更新にかかる差分情報Z0における情報処理装置10Bに対するレプリケーションである。
図3は、情報処理システム1のレプリケーションにかかる動作を示すフローチャートである。
【0028】
ディスク制御部9Aは、差分情報Z0に基づいて、ハードディスク11Aから当該差分情報にかかる更新データを読み出してキャッシュメモリ8Aに記録する(ステップS11)。
【0029】
通信管理部5Aは、ステップS11で読み出した更新データを情報処理装置10Bに送信する(ステップS12)。
ホスト制御部3Bは、ステップS13により送信された更新データを受け入れる(ステップS13)。
【0030】
ホスト制御部3Bは、ステップS14により受け入れられた更新データをキャッシュメモリ8Bに記録する。すなわち、キャッシュメモリ8Bが更新データを受信する(ステップS14)。
【0031】
ホスト制御部3Bは、情報処理装置10Aに対して更新データの処理完了を通知する(ステップS15)。
ステップS15により処理完了の通知を受けた後、コピー制御部4Aは、差分管理部6Aに記録されている差分情報を削除する(ステップS16)。
【0032】
コピー制御部4Aは、キャッシュメモリ8Aに記録されている更新データを削除する(ステップS17)。
ディスク制御部9Bは、キャッシュメモリ8Bに記録されている更新データに基づいて、ハードディスク11Bのデータを更新する(ステップS18)。
ディスク制御部9Bは、キャッシュメモリ8Bに更新済みを登録する(ステップS19)。
【0033】
上記の動作により、情報処理装置10Aのデータにおいて、情報処理装置10Bに対するレプリケーションを行うことができる。すなわち、差分情報Z0にかかる更新データが情報処理装置10Bにも反映され、ハードディスク11Bが記憶しているデータが更新される。
【0034】
《障害状態におけるレプリケーションの動作》
以下、情報処理装置10Bがレプリケーションの途中に障害状態となった場合における、情報処理システム1の動作を説明する。上記レプリケーションは、情報処理装置10Aに差分情報Z0、差分情報Z1にかかる更新がされた場合の一例である。
図4は、情報処理装置10Bがレプリケーションの途中に障害状態となった場合における、情報処理システム1の動作を示すフローチャートである。
【0035】
差分情報Z0と差分情報Z1にかかるレプリケーションにおいて、ハードディスク11Bに障害が発生する。差分情報Z0にかかる更新データはハードディスク11Bに反映されたが、レプリケーションの途中に障害が発生したため、差分情報Z1にかかる更新データはハードディスク11Bに反映されていない。
ハードディスク11Bと接続するデータ管理部7Bが障害を特定する(ステップS21)。
データ管理部7BがステップS21で特定された障害状態を示す信号を、コピー制御部4Bに通知する(ステップS22)。
【0036】
コピー制御部4Bは、通信管理部5Bを介して通信管理部5Aに更新データの中断を示す信号を送信する(ステップS23)。
ステップS23の信号を受け入れた通信管理部5Aは、差分情報Z0と差分情報Z1の他の差分情報がある場合であっても、情報処理装置10Bに対するレプリケーションを中断させる(ステップS24)。すなわち、情報処理装置10Aから情報処理装置10Bへの更新データの送信は中断される。
【0037】
コピー制御部4Bは、キャッシュメモリ8Bに記録されている更新データにかかる差分情報を差分管理部6Bに記録する(ステップS25)。すなわち、差分情報Z1が差分管理部6Bに記録される。
コピー制御部4Bは、キャッシュメモリ8Bに記録されている更新データを削除する(ステップS26)。すなわち、差分情報Z1にかかる更新データが削除される。
【0038】
ステップS26の後、ハードディスク11Bへの修理によりハードディスク11Bが障害状態から回復する。データ管理部7Bが、ハードディスク11Bが障害状態でないことを特定し、ハードディスク11Bが障害状態でないことを示す通知をコピー制御部4Bに送信する(ステップS27)。
【0039】
ステップS27で通知を受けたコピー制御部4Bは、通信管理部5Bを介して、情報処理装置10Aに差分情報Z1にかかる更新データの送信の再開を要求する。また、通信管理部5Bは、差分管理部6Bに記録されている差分情報Z1をコピー制御部4Aに送信する。(ステップS28)。すなわち、情報処理装置10Bは、情報処理装置10Aに対してレプリケーションの再開を要求して、差分情報Z1を送信する。
【0040】
コピー制御部4Aは、ステップS28により送信された差分情報Z1に基づいて、差分情報Z1にかかる更新データを情報処理装置10Bに送信する(ステップS29)。
通信管理部5Aを介して情報処理装置10Bに送信された差分情報Z1にかかる更新データを、ホスト制御部3Bが受け入れる。その後、ホスト制御部3Bがキャッシュメモリ8Bに記録する(ステップS30)。
【0041】
ディスク制御部9Bは、差分情報Z1にかかる更新データに基づいて、ハードディスク11Bを更新する(ステップS31)。
【0042】
上記の動作により、情報処理システム1のユーザは、レプリケーションの途中において情報処理装置10Bに障害が生じる場合でも、全ての更新データを再送することなく、レプリケーションを再開することができる。
【0043】
《作用・効果》
本発明に係る情報処理装置10は、第1記憶手段と、第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段と、更新内容を示す更新データを受け入れて、第1記憶手段に当該更新データを記録する受入手段と、記録された更新データに基づいて、第2記憶手段が記憶しているデータを更新する更新手段と、第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定する障害特定手段と、障害状態であると特定された場合、記録されている更新データと当該更新データに係る第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録する情報記録手段と、差分情報が記録された後、当該差分情報に係る更新データを第1記憶手段から削除する削除手段と、更新データが削除された後に、障害状態でないと特定された場合、記録された差分情報にかかる更新データを、受入手段に送信するように制御する再開手段を備える。
【0044】
情報処理装置10のユーザは、レプリケーションの途中において情報処理装置10に障害が生じる場合でも、全ての更新データを再送することなく、レプリケーションを再開することができる。
【0045】
また、情報処理装置10の受入元は、データの編集に係る入力を受け入れるホスト装置である。
これにより、ホスト装置が情報処理装置10のユーザから受け入れたデータの更新にかかるレプリケーションの途中において、情報処理装置10に障害が生じる場合でも、全ての更新データを再送することなく、レプリケーションを再開することができる。
【0046】
また、情報処理装置10の削除手段は、再開手段により受入元が受入手段に更新データを送信した後に、第3記憶手段に記録されている差分情報を削除する。
情報処理装置10は、レプリケーションが終了した後に不要になった差分情報を削除する。これにより、情報処理装置10のユーザは情報処理装置10の記憶手段をより有効活用することができ、情報処理装置10の性能を向上できる。
【0047】
また、情報処理装置10の受入手段は、再開手段により受入元から受け入れた更新データをキャッシュメモリに記録する。
情報処理装置10は、再開手段により受け入れた更新データをキャッシュメモリに記録する。これにより、情報処理装置10は、第2記憶手段の障害によりレプリケーションが中断された場合、再開後の更新データに基づいて、第2記憶手段のデータを更新することができる。
【0048】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
【0049】
上記の実施形態では情報処理装置10Aに記録されているデータのレプリケーションが情報処理装置10Bに対して行われている。これに対し、情報処理装置10Aに記録されているデータを、複数の情報処理装置10Bと、情報処理装置10C等に対してレプリケーションが行われても良い。
【0050】
また、情報処理装置10Aが複数のハードディスク11を備えて、1つの情報処理装置10の内部の複数のハードディスク11におけるデータのレプリケーションであっても良い。
【0051】
〈基本構成〉
基本構成に係る実施形態の構成は、上記で説明した第1の実施形態の構成と同様である。すなわち、基本構成に係る情報処理装置10は、ホスト制御部3と、コピー制御部4と、通信管理部5と、差分管理部6と、データ管理部7と、キャッシュメモリ8と、ディスク制御部9と、ハードディスク11を備える。
【0052】
基本構成に係る情報処理装置10は、第1記憶手段と、第1記憶手段より更新速度が低速な第2記憶手段と、更新内容を示す更新データを受け入れて、第1記憶手段に当該更新データを記録する受入手段と、記録された更新データに基づいて、第2記憶手段が記憶しているデータを更新する更新手段と、第2記憶手段が障害状態であるか否かを特定する障害特定手段と、障害状態であると特定された場合、記録されている更新データと当該更新データに係る第2記憶手段のアドレスとを関連付けた情報である差分情報を、第3記憶手段に記録する情報記録手段と、差分情報が記録された後、当該差分情報に係る更新データを第1記憶手段から削除する削除手段と、更新データが削除された後に、障害状態でないと特定された場合、記録された差分情報にかかる更新データを、受入手段に送信するように制御する再開手段を備える。
【0053】
情報処理装置10のユーザは、レプリケーションの途中において情報処理装置10に障害が生じる場合でも、全ての更新データを再送することなく、レプリケーションを再開することができる。
【0054】
〈コンピュータ構成〉
図5は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インタフェース1140を備える。
上述の情報処理装置10は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0055】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0056】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータに接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0057】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理システム
3 ホスト制御部
4 コピー制御部
5 通信管理部
6 差分管理部
7 データ管理部
8 キャッシュメモリ
9 ディスク制御部
10 情報処理装置
11 ハードディスク
100 ホスト装置
1100 コンピュータ
1110 プロセッサ
1120 メインメモリ
1130 ストレージ
1140 インタフェース