(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】シーリングプロファイルにおける射出端溶接のためのモールド構造
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20230511BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
(21)【出願番号】P 2021560572
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(86)【国際出願番号】 TR2019050604
(87)【国際公開番号】W WO2021015682
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】521443232
【氏名又は名称】スタンダード プロフィール エーゲ オートモティヴ サナイ ヴェ ティカレット アノニム シルケティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タス、スレイマン アーハン
(72)【発明者】
【氏名】アパイディン、メフメット
(72)【発明者】
【氏名】バイラク、セラル
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102006048413(DE,A1)
【文献】特開平08-216696(JP,A)
【文献】特開平06-286024(JP,A)
【文献】特開平04-059208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットランナーシステム又はコールドランナーシステムにより移送される材料ペーストを使用することによる射出方法による
、ガラスプロファイ
ルにおける端溶接を提供するための端溶接モールドであって、
異なる端溶接リファレンスに応じて変更可能な少なくとも1つのモールドコア
と、
前記モールドコアの上部とプレス及び前記ホットランナーシステム又は前記コールドランナーシステムとの間の接触を確立するための上部プレートと、を備え、
前記ガラスプロファイルが、前記ホットランナーシステム又は前記コールドランナーシステムにより移送される前記材料ペーストの幾何学的成形のために、前記モールドコアを通過
し、
前記上部プレートは、前記モールドコアの標準組立ポイントに適した標準の大きさを有する均一な様式で製造され、前記ホットランナーシステム及び前記コールドランナーシステムは、標準化された大きさ及び設計で製造される、
端溶接モールド。
【請求項2】
前記端溶接モールドは、前記モールドコアの底部と
前記プレスとの間の接触を確立するための底部プレートを備える、請求項1に記載の端溶接モールド。
【請求項3】
前記端溶接モールドは、前記モールドコアと前記底部プレート及び前記上部プレートとの間の接触を確立するためのピンを備える、請求項
2に記載の端溶接モールド。
【請求項4】
前記モールドコアは、相互に接触している上部ブロックと底部ブロックとを有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の端溶接モールド。
【請求項5】
前記モールドコアはプロファイルチャネルを有し、
前記上部ブロックと前記底部ブロックとの間に画定された前記ガラスプロファイルが前記プロファイルチャネルを通過する、
請求項
4に記載の端溶接モールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車の窓のシーリングプロファイルにおける端溶接のためのモールド構造に関する。
【0002】
本発明は、より特に、端成形を用いたダイナミックシーリング(例えばドアシーリング)を含む、自動車産業の全ての車両区分のための動く窓及び固定窓へのTPE/TPV/EPDM端溶接の提供のための端溶接モールドに関する。
【背景技術】
【0003】
プロファイル構造は自動車産業の全ての車両区分の動く窓及び固定窓に用いられる。これらのプロファイル構造は、最小の摩擦でそれぞれのチャネル及びドア上の窓の静かな動作を可能にし、かつ/又は、防塵若しくは防水又は遮音及び断熱を提供する。TPE/TPV/EPDM端溶接はプロファイルの先端部分に配置される。
【0004】
既存のアプリケーションにおいては、まずプロファイルは、車両の組立のための図面に従って、押出成形ラインで製造され、次に、プロファイルは、仕上げラインで切断及び放電過程をたどる。次に、製品データに従ってプロファイルの両端に射出成形が施され、製品は最終形状となる。
【0005】
米国特許出願第2017080791A1号は同様の製造方法を有するアプリケーションに関する。当該特許出願は基本的に、プロファイル及びその製造方法に関する。その特許出願によると、プロファイルの端カバーは熱可塑性材料から作製され、溶接によりプロファイルに適合される。射出成形装置はプロファイル上の端カバースロットに対応する端カバーを製造するために用いられる。
【0006】
このアプリケーション及び同様のアプリケーションは、モールドの変更を要し、また、使用される材料(TPE/TPV/EPDM)に応じた好ましいホットランナーシステム又はコールドランナーシステムをも要する。さらに、異なる製造タイプごとに、構成もまた変更される必要がある。加えて、修理又はメンテナンス作業が必要なときは、異なる製品ごとに別個のスペア部品が使用される必要がある。製品タイプの変更は、特別な付加価値のない設置時間の延長及び労働コストの増大の原因となる。
【0007】
従って、上述のように様々な課題が存在し、既存のアプリケーションはこれらの課題に対する満足な解決策の提供を欠いているので、この技術分野にはさらに改良が導入される必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ガラスプロファイル端溶接モールドに関し、ガラスプロファイル端溶接モールドは上記の要求を満たし、全ての不利益を排除し、付加的な利益をもたらす。
【0009】
本発明の主目的は、モールドコストを低減し、資源の効率的な使用により全体的な製造コストの低減を伴う端溶接モールドを製造することである。
【0010】
本発明の別の目的は、モールドを提供することであって、モールドはリファレンス切り替えの際の付加価値を有さない労力の必要を排除する。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、短縮された設置及び調整時間を有するモールドを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、モールドを提供することであって、モールドは業務事故のリスクを低減し、人間工学的な利益をもたらす。
【0013】
本発明の別の目的は、モールドを提供することであって、モールドは、異なるモールドごとの並びにホットランナーシステム及びコールドランナーシステムに応じた別個のスペア部品を保持する必要を排除し、それによりスペア部品在庫コストを低減することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、モールドを提供することであって、モールドは同じリファレンス値に対して、より少ないエネルギー消費、より少ない熱損失及びより少ない材料使用量を提供する。本発明の別の目的は、延長された経済寿命を有するモールドを提供することである。
【0015】
本発明はモールドを提供することを目的としており、モールドはより早いモールド設計及び製造を可能とする。
【0016】
本発明は、ホットランナーシステム又はコールドランナーシステムにより移送される材料ペーストを使用することによる射出方法による、車両の全ての動くガラスプロファイル若しくは固定されたガラスプロファイル又はドアシーリングのようなダイナミックシーリングにおける端溶接を提供するための端溶接モールドに関する。端溶接モールドは、異なる端溶接リファレンスに応じて変更可能な少なくとも1つのモールドコアを備え、プロファイルが、ホットランナーシステム又はコールドランナーシステムにより移送されるペーストの幾何学的成形のために、モールドコアを通過する。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明はまた、モールドコアとプレスとの間の接触を確立するための底部プレートを備える。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明はまた、モールドコアの上部とプレス及びホットランナーシステム又はコールドランナーシステムとの間の接触を確立するための上部プレートを備える。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明はモールドコアと上部プレート及び底部プレートとの間の接触を確立するためのピンをさらに備える。
【0020】
上記目的を達成するため、モールドコアは相互に接触している上部ブロック及び底部ブロックを備える。
【0021】
上記目的を達成するため、モールドコアはプロファイルチャネルをさらに備え、上部ブロックと底部ブロックとの間に画定されたプロファイルはプロファイルチャネルを通過する。
【0022】
本発明の構造特性、特徴及び全ての利益は下記の図面と併せて発明の詳細な説明を読むことでより明確に理解される。それゆえ、本発明は添付図面と併せて詳細な説明を読むことで最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】プレスと共に本発明の端溶接モールドの全体図である。
【0024】
図面は必ずしもスケールされておらず、本発明の理解のために本質的でない詳細は省略され得る。さらに、少なからず同一の又は少なからず同一の機能を有する要素は、以下に示される同じ番号を用いて指定される。参照番号10 端溶接モールド
11 底部プレート
12 上部プレート
13 ピン
14 モールドコア
141 上部ブロック
142 底部ブロック
143 プロファイルチャネル
20 ホットランナーシステム
30 コールドランナーシステム
40 プレス
50 プロファイル
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のプロファイル50端溶接モールド10の詳細な説明は、発明の好ましい実施形態の説明を目的とするに過ぎず、開示の範囲を限定することを目的としない。
【0026】
本発明の端溶接モールド10は、射出方法による全ての車両の動く窓及び固定窓に設置されたプロファイル50端溶接を成形するために用いられることを目的とする。
図1を参照すると、プレス40と接触している端溶接モールド10は端溶接を成形するために用いられる。端溶接製造過程の間、
図2に示されているホットランナーシステム20又は
図3に示されているコールドランナーシステム30は、一定量の材料ペーストを端溶接モールド10に移送するために用いられる。TPE及びTPVペーストが使用される場合においては、ホットランナーシステム20が端溶接モールド10と接触し、EPDMが使用される場合においては、コールドランナーシステム30について同じことが成り立つ。
【0027】
図2の詳細図に示されている端溶接モールド10は、底部プレート11、底部プレート11と十分に平行に配置される上部プレート12、底部プレート11と上部プレート12の間に接触する好ましくは2つのモールドコア14、及び、モールドコア14を底部プレート11と上部プレート12に適合させ、容易な組立/分解、センタリングを可能にし、また、リファレンス動作をも可能にするためのピン13、を備える。好ましくは、ボールピン13が使用される。ピン13はまた、モールドコア14が正しいスロットに配置されることを保証するポカヨケ機構として働く。底部プレート11はモールドコア14が接触を確立する場所であり、また、モールド10をプレス40へと接続する。上部プレート12はモールドコア14がホットランナーシステム20又はコールドランナーシステム30との接触を確立する場所であり、また、モールド10をプレス40へと接続する。
【0028】
モールドコア14はプロファイル50における端溶接を製造する射出領域の幾何学的成形を可能にする。モールドコア14は、互いの上に配置される上部ブロック141及び底部ブロック142を備える。上部ブロック141と底部ブロック142との間に、プロファイルチャネル143が画定される。プロファイル50は、端溶接射出動作のためにプロファイルチャネル143を通過する。モールドコア14の数は必要な射出溶接に基づいて変更され得る。
【0029】
端溶接モールド10の要素として、モールドコア14は射出溶接の幾何形状に従って異なる形状及び大きさに製造される。一方で、底部プレート11及び上部プレート12は常に、モールドコア14の標準組立ポイントに適した標準の大きさを有する均一な様式で製造される。従って、ホットランナーシステム20及びコールドランナーシステム30もまた標準化された大きさ及び設計で製造され得る。
【0030】
本発明のモールド10は、端溶接リファレンスごとに別個の底部プレート11、上部プレート12、モールド動作機構システム、ホットランナーシステム20又はコールドランナーシステム30を製造する必要を排除する。端溶接モールド10は、標準タイプの底部プレート11及び上部プレート12並びに単純な設置過程に適合するモールドコア14の製造により、全てのリファレンス値のために調整され得る。このことは、従前のアプリケーションと比して20%のコスト割合でリファレンス値ごとにモールド10を製造することを可能とし、それにより製造コストの節約を提供する。本発明の別の利益は、本発明が端溶接モールド10のリファレンス切り替えの際の付加価値を伴わない労力の必要性を排除することである。端溶接モールドにおいて従来実現されているようにモールドを取り除いて新しいモールドを挿入する代わりに、モールドコア14を除いた全ての物がそのまま残り、そのことが設置及び調整の時間を節約する。従って、このことはまたモールド設計及び製造時間の短縮にも役立つ。本発明の端溶接モールド10は、業務事故のリスクを低減し、人間工学的な利益をもたらす。さらに、本発明はまた、異なるモールド並びにそれらのホットランナーシステム20及びコールドランナーシステム30のための別個のスペア部品を保持する必要を排除し、それによりスペア部品在庫コストを低減する。本発明は、より特に、ホットランナーシステム20及びコールドランナーシステム30の取込みを低減することを可能にする。製造パラメータのそのような最適化は、プロファイル50のためのより少ないエネルギー消費、より少ない熱損失及び最小の材料使用量での製造をさらに可能にする。