(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】軸流タービン
(51)【国際特許分類】
F02C 7/18 20060101AFI20230511BHJP
F01D 25/12 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
F02C7/18 E
F01D25/12 E
(21)【出願番号】P 2020027329
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 章吾
(72)【発明者】
【氏名】田島 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】野村 大輔
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特許第5917324(JP,B2)
【文献】特開2013-050054(JP,A)
【文献】国際公開第2018/109810(WO,A1)
【文献】特開2006-104951(JP,A)
【文献】米国特許第02823891(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18
F01D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータと、
前記タービンロータを収容しているタービン車室と、
複数の静翼が前記タービン車室の内部に配置された静翼翼列、および、前記タービン車室の内部において複数の動翼が前記タービンロータに配置された動翼翼列を含むタービン段落と
を備え、作動媒体が前記タービン車室の内部に導入され、前記タービンロータの軸方向へ流れることによって前記タービンロータが回転する単流式の軸流タービンであって、
前記タービンロータの軸方向において前記作動媒体の上流側に位置する上流側グランド部と、
前記タービンロータの軸方向において前記作動媒体の下流側に位置する下流側グランド部と
を有し、
前記タービン車室は、
前記静翼翼列が内部に配置された内部車室と、
前記内部車室を内部に収容する外部車室と
を含み、
前記内部車室と前記外部車室との間に抽出冷却媒体配管が設けられており、
前記作動媒体よりも温度が低く圧力が高い冷却媒体が前記上流側グランド部において前記タービン車室の内部から外部へ流出する途中で抽出され、当該抽出された前記冷却媒体が
、前記抽出冷却媒体配管を経由して、前記静翼へ導入されるように構成されている、
軸流タービン。
【請求項2】
タービンロータと、
前記タービンロータを収容しているタービン車室と、
複数の静翼が前記タービン車室の内部に配置された静翼翼列、および、前記タービン車室の内部において複数の動翼が前記タービンロータに配置された動翼翼列を含むタービン段落と
を備え、作動媒体が前記タービン車室の内部に導入され、前記タービンロータの軸方向へ流れることによって前記タービンロータが回転する単流式の軸流タービンであって、
前記タービンロータの軸方向において前記作動媒体の上流側に位置する上流側グランド部と、
前記タービンロータの軸方向において前記作動媒体の下流側に位置する下流側グランド部と
、
流量調整バルブが設置された抽出冷却媒体配管と
を有し、
前記流量調整バルブは、前記タービン車室の外部に設けられ、
前記作動媒体よりも温度が低く圧力が高い冷却媒体が前記上流側グランド部において前記タービン車室の内部から外部へ流出する途中で抽出され、当該抽出された前記冷却媒体が
、前記抽出冷却媒体配管を経由して、前記静翼へ導入されるように構成されている、
軸流タービン。
【請求項3】
前記タービン段落は、複数であって、前記タービンロータの回転軸に沿った軸方向に前記複数のタービン段落が配置されており、
前記抽出冷却媒体配管は、
前記上流側グランド部において抽出された前記冷却媒体を前記複数のタービン段落のうち前段側に位置するタービン段落を構成する前記静翼へ導入する第1の抽出冷却媒体配管部と、
前記上流側グランド部において抽出された前記冷却媒体を前記複数のタービン段落のうち前記前段側のタービン段落よりも後段側に位置するタービン段落を構成する前記静翼へ導入する第2の抽出冷却媒体配管部と
を有する、
請求項
2に記載の軸流タービン。
【請求項4】
前記第1の抽出冷却媒体配管部は、前記上流側グランド部において第1抽出位置で抽出された前記冷却媒体が流れ、
前記第2の抽出冷却媒体配管部は、前記上流側グランド部において前記第1抽出位置よりも前記タービン車室の外部に近い第2抽出位置で抽出された前記冷却媒体が流れるように構成されている、
請求項
3に記載の軸流タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、単流式の軸流タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
単流式の軸流タービンは、タービンロータの軸方向に沿って作動媒体が一方に流れるように構成されている。単流式の軸流タービンは、作動媒体の流れ方向において、上流側の端部に位置する上流側グランド部と下流側の端部に位置する下流側グランド部とを有しており、一般に、グランドリーク量は、上流側グランド部の方が下流側グランド部よりも多い。グランドリークが生じた場合、タービン段落で仕事を行う作動媒体の流量が減り、タービン効率が低下する場合がある。
【0003】
特に、軸流タービンの入口に導入される作動媒体の圧力が高いほど、軸流タービンの内部と外部(大気圧)との圧力差が大きくなるので、グランドリーク量が増加する。それゆえ、軸流タービンが一般的なガスタービンである場合よりも、蒸気タービンやCO2タービンである場合の方が、上記問題が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連技術にかかる単流式の軸流タービン12Jの一例に関して、
図7を用いて説明する。
図7は、鉛直方向zと第1水平方向xとによって規定される鉛直面(xz面)の一部断面(主に上半側の断面)を模式的に示している。
【0006】
関連技術に係る軸流タービン12Jは、タービン車室30において外部車室32に収容された内部車室31の内部に、作動媒体Fがトランジションピース311を介して導入される。そして、その導入された作動媒体Fは、上流側Usから下流側Dsに並ぶ複数のタービン段落40において、順次、仕事を行う。その後、作動媒体Fは、排気管(図示省略)を介して、タービン車室30の外部へ排出される。また、軸流タービン12Jは、冷却媒体導入管313を介して、冷却媒体CFが外部からタービン車室30の内部に導入される。
【0007】
軸流タービン12Jは、たとえば、CO2タービンであって、作動媒体Fは、たとえば、燃焼器での燃焼によって生じた燃焼ガスを含む超臨界の媒体である。冷却媒体CFは、たとえば、軸流タービン12Jから排気された後に冷却等が行われた媒体であって、作動媒体Fよりも温度が低く、作動媒体Fよりも圧力が高い状態で軸流タービン12Jに導入される。
【0008】
図7において破線の矢印で示すように、冷却媒体CFは、トランジションピース311の外周面と冷却媒体導入管313の内周面との間を経由して、内部車室31の内部に設けられた冷却室R31aに導入される。
【0009】
冷却室R31aに導入された冷却媒体CFは、内部車室31に形成された内部車室冷却媒体流路H31へ流入する。ここでは、内部車室冷却媒体流路H31は、第1の内部車室冷却媒体流路部H311と第2の内部車室冷却媒体流路部H312とを含む。第1の内部車室冷却媒体流路部H311は、タービンロータ20の軸方向に沿った孔であって、作動媒体Fの上流側Usに位置する一端が冷却室R31aに連通している。第2の内部車室冷却媒体流路部H312は、タービンロータ20の径方向に沿った孔であって、第1の内部車室冷却媒体流路部H311から冷却媒体CFを静翼41へ供給するために設けられている。冷却媒体CFは、複数のタービン段落40のそれぞれにおいて、静翼41へ供給される。そして、静翼41の冷却で用いられた冷却媒体CFは、たとえば、内部車室31の内部において作動媒体Fが流れる主流路へ排出される。
【0010】
また、冷却室R31aに導入された冷却媒体CFは、タービンロータ20に形成されたロータ冷却流路H21に導入される。ここでは、ロータ冷却流路H21は、第1のロータ冷却流路部H211と第2のロータ冷却流路部H212と第3のロータ冷却流路部H213とを含み、冷却媒体CFが、各部を順次流れる。そして、冷却媒体CFは、遮熱ピース70を構成する遮熱板71の内周面とタービンロータ20の外周面との間に位置する空間へ流れる。そして、たとえば、動翼42の植込部422とロータホイール21との間を通過して、冷却媒体CFが動翼42へ導入される。これにより、タービンロータ20および動翼42が冷却される。動翼42へ導入された冷却媒体CFは、たとえば、内部車室31の内部において作動媒体Fが流れる主流路へ排出される。
【0011】
最終段のタービン段落40において、遮熱板71の内周面とタービンロータ20の外周面との間に位置する空間へ流入した冷却媒体CFは、動翼42へ導入される他に、軸方向において最終段のロータホイール21よりも下流側Dsに位置する最終段ホイールスペースRWに流れる。最終段ホイールスペースRWに流れた冷却媒体CFは、下流側グランド部G2において、タービン車室30の内部から外部へリークする。具体的には、下流側グランド部G2において、冷却媒体CFは、グランドシール部35cが設けられたパッキンヘッド321の内周面とタービンロータ20の外周面との間へ流れる。
【0012】
上記の他に、冷却室R31aに導入された冷却媒体CFは、上流側グランド部G1において、タービン車室30の内部から外部へリークする。具体的には、上流側グランド部G1において、冷却媒体CFは、冷却室R31aから、グランドシール部35bが設けられた内部車室31の内周面とタービンロータ20の外周面との間へ流れる。その後、冷却媒体CFは、グランドシール部35aが設けられた外部車室32の内周面とタービンロータ20の外周面との間を流れる。
【0013】
上記の軸流タービン12Jの課題について説明する。
【0014】
上記のような単流式の軸流タービン12Jにおいては、上述したように、上流側グランド部G1の方が下流側グランド部G2よりも、回転体と静止体との間における冷却媒体CFのグランドリーク量が多い。
【0015】
さらに、冷却媒体CFの一部は冷却室R31aから内部車室冷却媒体流路H31へ導入される。これにより、冷却媒体CFの一部が内部車室冷却媒体流路H31に流れる分、上流側グランド部G1の入口部分へ流れる冷却媒体CFの流速は低くなり、圧力損失も小さくなる。これに伴い、上流側グランド部G1において、冷却媒体CFがタービン車室30の内部から外部へ流出するグランドリーク量が大きくなる。
【0016】
冷却媒体CFは、軸流タービン12Jから排気された後の作動媒体から抽出されるため、冷却媒体CFのグランドリークが生じた場合、作動媒体Fの流量が減るため、タービン効率が低下する。
【0017】
特に、軸流タービン12Jの入口に導入される作動媒体Fの圧力が高いほど、冷却媒体CFの圧力も高くする必要があり、内部と外部(大気圧)との圧力差が大きくなるので、グランドリーク量が増加する。このため、上記の軸流タービン12Jのように、作動媒体Fおよび冷却媒体CFが超臨界媒体である場合には、上記問題が生じやすい。グランドリーク量の低減のために、グランドシール部35a,35bの設置数を増加することや、回転体と静止体との間の間隙を狭小化すること等が考えられる。
【0018】
しかしながら、上記の軸流タービン12Jのように圧力が高い場合には、シール部を流れる媒体の不安定化力に起因して、ホワール振動に対する安定性が低下する。このため、グランドシール部35a,35bの設置数を増加させるために軸受間のスパンを増加させた場合には、軸の安定性が低下する。また、回転体と静止体との間の間隙を狭小化した場合には、回転体と静止体との間で接触が生じやすくなるので、シールフィンなどの部材に破損が生ずる可能性が高まる。
【0019】
上記のような事情により、関連技術に係る単流式の軸流タービン12Jにおいては、上流側グランド部G1におけるグランドリーク量を低減させることが困難であるため、タービン効率を向上させることが容易でない。
【0020】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、グランドリーク量の低減を容易に実現可能な軸流タービンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
実施形態の軸流タービンは、タービンロータと、タービンロータを収容しているタービン車室と、複数の静翼がタービン車室の内部に配置された静翼翼列、および、タービン車室の内部において複数の動翼がタービンロータに配置された動翼翼列を含むタービン段落とを備え、作動媒体がタービン車室の内部に導入され、タービンロータの軸方向へ流れることによってタービンロータが回転する。軸流タービンは、単流式であって、タービンロータの軸方向において作動媒体の上流側に位置する上流側グランド部と、タービンロータの軸方向において作動媒体の下流側に位置する下流側グランド部とを有する。タービン車室は、静翼翼列が内部に配置された内部車室と、内部車室を内部に収容する外部車室とを含み、内部車室と外部車室との間に抽出冷却媒体配管が設けられている。軸流タービンは、作動媒体よりも温度が低く圧力が高い冷却媒体が上流側グランド部においてタービン車室の内部から外部へ流出する途中で抽出され、当該抽出された冷却媒体が、抽出冷却媒体配管を経由して、静翼へ導入されるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる単流式の軸流タービンの一部を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の変形例1-1にかかる単流式の軸流タービンの一部を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の変形例1-2にかかる単流式の軸流タービンの一部を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態にかかる単流式の軸流タービンの一部を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態にかかる単流式の軸流タービンの一部を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態にかかる単流式の軸流タービンの一部を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、関連技術にかかる単流式の軸流タービンの一部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
[構成]
第1実施形態にかかる単流式の軸流タービン12に関して、
図1を用いて説明する。
図1は、
図7と同様に、鉛直方向zと第1水平方向xとによって規定される鉛直面(xz面)の一部断面を模式的に示している。
【0024】
本実施形態に係る軸流タービン12は、
図1に示すように、タービンロータ20とタービン車室30とタービン段落40とを備える。軸流タービン12は、多段式であって、タービンロータ20の回転中心軸AXに沿った軸方向(x)に複数のタービン段落40が並ぶように配置されている。軸流タービン12では、作動媒体Fがトランジションピース311を介してタービン車室30の内部に導入され、上流側Usから下流側Dsに並ぶ複数のタービン段落40において、順次、仕事を行う。その後、作動媒体Fは、排気管(図示省略)を介して、タービン車室30の外部へ排出される。また、軸流タービン12は、冷却媒体導入管313を介して、冷却媒体CFが外部からタービン車室30の内部に導入されるように構成されている。
【0025】
本実施形態の軸流タービン12は、関連技術の場合と同様に、たとえば、CO2タービンであって、作動媒体Fは、たとえば、燃焼器での燃焼によって生じた燃焼ガスを含む超臨界の媒体である。冷却媒体CFは、たとえば、軸流タービン12から排気された後に冷却等が行われた媒体であって、作動媒体Fよりも温度が低く、作動媒体Fよりも圧力が高い状態で軸流タービン12に導入される。
【0026】
実施形態に係る軸流タービン12を構成する各部の詳細に関して順次説明する。
【0027】
タービンロータ20は、棒状体であって、回転中心軸AXが第1水平方向xに沿うように、軸受(図示省略)によって回転可能に支持されている。タービンロータ20には、複数のロータホイール21が外周面に設けられている。複数のロータホイール21は、回転中心軸AXに沿った軸方向(x)に並ぶように配列されている。
図7では図示を省略しているが、タービンロータ20は、発電機に連結されている。
【0028】
タービン車室30は、二重車室構造であって、内部車室31と外部車室32とを有する。
【0029】
タービン車室30において、内部車室31は、複数のタービン段落40を囲うように、タービンロータ20の周囲に設置されている。
【0030】
タービン車室30において、外部車室32は、内部車室31を介して、タービンロータ20を収容するように構成されている。
【0031】
また、外部車室32には、最終段のタービン段落40よりも下流側Dsであって径方向の内側部分にパッキンヘッド321が設置されている。ここでは、軸方向においてパッキンヘッド321と最終段のロータホイール21との間には、最終段ホイールスペースRWが介在している。
【0032】
タービン段落40は、複数の静翼41(ノズル翼)で構成された静翼翼列、および、複数の動翼42で構成された動翼翼列を含む。タービン段落40は、静翼翼列と、静翼翼列の下流側Dsにおいて隣接する動翼翼列とによって構成されており、複数が回転中心軸AXに沿った軸方向に並んでいる。
【0033】
静翼翼列を構成する複数の静翼41(ノズル翼)は、内部車室31の内部に設けられている。複数の静翼41は、内側シュラウド411と外側シュラウド412との間において、タービンロータ20の周りを囲うように、回転方向Rに配列されている。
【0034】
動翼翼列を構成する複数の動翼42は、内部車室31の内部においてタービンロータ20の周りを囲うように、回転方向Rに配列されている。動翼42は、径方向において内側部分に植込部422が設けられている。植込部422は、タービンロータ20のロータホイール21の外周面に嵌合されている。動翼42の外周は、シュラウドセグメント421で包囲されている。シュラウドセグメント421は、外側シュラウド412によって支持されている。
【0035】
タービンロータ20の外周面のうち静翼41に対面する部分には、たとえば、遮熱ピース70が設けられている。ここでは、遮熱ピース70は、タービンロータ20の外周面において内側シュラウド411の内周面に対面する部分に支持されている。遮熱ピース70は、タービン車室30の内部において作動媒体Fが流れる主流路と、タービンロータ20との間を遮熱するために設けられている。
【0036】
遮熱ピース70は、遮熱板71と脚部72とを備えており、タービンロータ20の径方向において外側から内側へ向かうに伴って、遮熱板71と脚部72とが順次設けられている。
【0037】
遮熱ピース70において、遮熱板71は、タービンロータ20の回転中心軸AXに沿って延在する部分を含む。遮熱板71は、遮熱板71の外周面と内側シュラウド411の内周面との間に隙間が介在していると共に、遮熱板71の内周面とタービンロータ20の外周面との間に空間が介在するように設置されている。脚部72は、タービンロータ20の径方向に延在しており、脚部72において径方向の内側には係合部72aが形成されている。係合部72aは、タービンロータ20に係合されている。
【0038】
静翼41の内周面と遮熱板71外周面との間を密封するために、適宜、シールフィン43が設けられている。また、動翼42の外周面と内部車室31に設けられたシュラウドセグメント421の内周面との間を密封するために、シールフィン43が設けられている。
【0039】
軸流タービン12は、上流側グランド部G1と下流側グランド部G2とを含む。
【0040】
上流側グランド部G1は、軸流タービン12において軸方向でタービン段落40が配置されていない両端部のうち、作動媒体Fの上流側Usに位置する一端部である。下流側グランド部G2は、軸流タービン12において軸方向でタービン段落40が配置されていない両端部のうち、作動媒体Fの下流側Dsに位置する一端部である。つまり、軸流タービン12においては、軸方向でタービン段落40が配置された部分が上流側グランド部G1と下流側グランド部G2とによって挟まれている。
【0041】
上流側グランド部G1および下流側グランド部G2においては、グランドシール部35a,35b,35cが設置されている。グランドシール部35a,35b,35cは、タービンロータ20を含む回転体とタービン車室30を含む静止体との間を密封するために設けられている。
【0042】
具体的には、グランドシール部35aは、上流側グランド部G1において、外部車室32の内周面とタービンロータ20の外周面との間を密封するように、外部車室32の内周面に複数が設置されている。グランドシール部35bは、上流側グランド部G1において、内部車室31の内周面とタービンロータ20の外周面との間を密封するように、内部車室31の内周面に複数が設置されている。そして、グランドシール部35cは、下流側グランド部G2において、内部車室31に設置されたパッキンヘッド321の内周面とタービンロータ20の外周面との間を密封するように、パッキンヘッド321の内周面に複数が設置されている。
【0043】
グランドシール部35a,35b,35cは、たとえば、ラビリンスフィンを含むように構成されている。この他に、ブラシシール、リーフシール、アブレイダブルシール、ハニカムシールなどのように種々のシール構造でグランドシール部35a,35b,35cを構成してもよい。
【0044】
トランジションピース311は、タービン車室30の上方から外部車室32と内部車室31とを貫通するように径方向に延在する部分を含む。トランジションピース311は、作動媒体Fを初段のタービン段落40に導入するように、初段のタービン段落40に連結されている。
【0045】
冷却媒体導入管313は、トランジションピース311と同様に、タービン車室30の上方から外部車室32と内部車室31とを貫通するように径方向に延在している。冷却媒体導入管313は、トランジションピース311において径方向に延在する部分を囲うように設置されている。冷却媒体導入管313の内径は、トランジションピース311において径方向に延在する部分の外径よりも大きく、冷却媒体導入管313の内周面とトランジションピース311において径方向に延在する部分の外周面との間を、冷却媒体CFが流れる。冷却媒体導入管313とトランジションピース311との間を流れた冷却媒体CFは、内部車室31の内部においてタービンロータ20の周りを回転方向Rに囲うように形成された冷却室R31aに導入される。
【0046】
内部車室31には、冷却媒体CFが流れる内部車室冷却媒体流路H31が形成されている。内部車室冷却媒体流路H31は、冷却媒体CFをタービン段落40の静翼41へ供給するために設けられている。ここでは、内部車室冷却媒体流路H31は、第1の内部車室冷却媒体流路部H311と第2の内部車室冷却媒体流路部H312とを含む。
【0047】
第1の内部車室冷却媒体流路部H311は、タービンロータ20の軸方向に沿った孔である。本実施形態では、第1の内部車室冷却媒体流路部H311は、関連技術の場合(
図7参照)と異なり、作動媒体Fの上流側Usに位置する一端が冷却室R31aに連通していない。
【0048】
第2の内部車室冷却媒体流路部H312は、タービンロータ20の径方向に沿った孔であって、径方向において第1の内部車室冷却媒体流路部H311よりも内側に形成されている。第2の内部車室冷却媒体流路部H312は、径方向において外側の一端が第1の内部車室冷却媒体流路部H311に連通している。これに対して、第2の内部車室冷却媒体流路部H312のうち径方向において内側の他端は、外側シュラウド412を介して、静翼41に連通している。
【0049】
内部車室冷却媒体流路H31は、たとえば、軸流タービン12において上半側と下半側とのそれぞれに1つずつ設けられている。内部車室冷却媒体流路H31は、回転方向Rにおいて複数が等間隔で設けられていることが好ましい。
【0050】
タービンロータ20は、冷却媒体CFが流れるロータ冷却流路H21が形成されている。ロータ冷却流路H21は、遮熱板71の内周面とタービンロータ20の外周面との間に位置する空間へ、冷却室R31aから冷却媒体CFが流れるように構成されている。ここでは、ロータ冷却流路H21は、第1のロータ冷却流路部H211と第2のロータ冷却流路部H212と第3のロータ冷却流路部H213とを含む。
【0051】
第1のロータ冷却流路部H211は、タービンロータ20の径方向に沿った孔である。第1のロータ冷却流路部H211は、径方向において外側の一端が冷却室R31aに連通している。これに対して、第1のロータ冷却流路部H211のうち径方向において内側の他端は、第2のロータ冷却流路部H212に連通している。
【0052】
第2のロータ冷却流路部H212は、タービンロータ20の軸方向に沿った孔であって、タービンロータ20の回転中心軸AXに対して同軸に設けられている。
【0053】
第3のロータ冷却流路部H213は、タービンロータ20の径方向に沿った孔である。第3のロータ冷却流路部H213は、径方向において内側の一端が第2のロータ冷却流路部H212に連通している。これに対して、第3のロータ冷却流路部H213のうち径方向において外側の他端は、遮熱板71の内周面とタービンロータ20の外周面との間に位置する空間に連通している。第3のロータ冷却流路部H213は、複数のタービン段落40のそれぞれに対応して設けられている。
【0054】
抽出冷却媒体配管T1は、
図1に示すように、内部車室31と外部車室32との間において軸方向に延在する部分を含み、一端が抽出孔H81に連通しており、他端が抽出媒体供給孔H82に連通している。
【0055】
抽出孔H81は、上流側グランド部G1において冷却媒体CFがタービン車室30の内部から外部へ流出する途中で抽出されるように内部車室31に形成されている。ここでは、抽出孔H81は、径方向に延在しており、抽出孔H81において抽出冷却媒体配管T1が接続される一端とは反対側の他端が、上流側グランド部G1において内部車室31の内周面とタービンロータ20の外周面との間の隙間に連通している。
【0056】
抽出媒体供給孔H82は、径方向に延在しており、抽出媒体供給孔H82において抽出冷却媒体配管T1が接続される一端とは反対側の他端が、内部車室冷却媒体流路H31の第1の内部車室冷却媒体流路部H311に連通している。
【0057】
[冷却媒体CFの流れ]
上記の軸流タービン12Jにおける冷却媒体CFの流れに関して説明する。
図1では、冷却媒体CFについて破線の矢印で示している。
【0058】
冷却媒体CFは、トランジションピース311の外周面と冷却媒体導入管313の内周面との間を経由して、内部車室31の内部に設けられた冷却室R31aに導入される。ここでは、冷却媒体CFは、作動媒体Fよりも温度が低く、作動媒体Fよりも圧力が高い状態で導入される。
【0059】
冷却室R31aに導入された冷却媒体CFは、上流側グランド部G1において、タービン車室30の内部から外部へリークする。具体的には、上流側グランド部G1において、冷却媒体CFは、冷却室R31aから、内部車室31の内周面とタービンロータ20の外周面との間へ流れる。本実施形態において冷却室R31aから上流側グランド部G1に流入する冷却媒体CFは、関連技術(
図7参照)において冷却室R31aから上流側グランド部G1を流れる冷却媒体CFの他に、冷却室R31aから直接的に内部車室冷却媒体流路H31へ流れる冷却媒体CFを更に含む。その後、冷却媒体CFは、上流側グランド部G1において、外部車室32の内周面とタービンロータ20の外周面との間を流れる。
【0060】
本実施形態では、上流側グランド部G1において、冷却媒体CFの一部は、タービン車室30の内部から外部へ流出する途中で抽出孔H81へ抽出される。たとえば、上流側グランド部G1において、内部車室31とタービンロータ20との間を密封するために設置された複数のグランドシール部35bのうち、一つ目のグランドシール部35bと二つ目のグランドシール部35bとの間の位置から、冷却媒体CFの一部が抽出される。抽出孔H81に抽出された冷却媒体CFは、抽出冷却媒体配管T1と抽出媒体供給孔H82とを経由して、内部車室冷却媒体流路H31へ流れる。内部車室冷却媒体流路H31に流入した冷却媒体CFは、関連技術の場合と同様に、静翼41等へ導入される。
【0061】
具体的には、内部車室冷却媒体流路H31に流入した冷却媒体CFは、外側シュラウド412に設けられた空間に導入される。外側シュラウド412において設けられた空間は、回転方向Rにリング状に連通した空間であって、たとえば、静翼41と内側シュラウド411とのそれぞれの内部に形成された冷却孔(図示省略)に連通している。冷却媒体CFは、外側シュラウド412から静翼41と内側シュラウド411とのそれぞれに形成された冷却孔を順次流れる。これにより、静翼41などが冷却される。そして、冷却媒体CFは、たとえば、内部車室31の内部において作動媒体Fが流れる主流路へ排出される。
【0062】
この他に、本実施形態では、冷却室R31aに導入された冷却媒体CFは、関連技術の場合と同様に、タービンロータ20に形成されたロータ冷却流路H21に導入され、タービンロータ20および動翼42等の冷却に用いられる。
【0063】
[作用/効果]
本実施形態の作用および効果について説明する。
【0064】
本実施形態において、内部車室冷却媒体流路H31を構成する第1の内部車室冷却媒体流路部H311は、関連技術の場合と異なり、作動媒体Fの上流側Usに位置する一端が冷却室R31aに直接的には連通していない。このため、冷却媒体CFは、関連技術の場合と異なり、冷却室R31aから内部車室冷却媒体流路H31へ直接的に導入されない。内部車室冷却媒体流路H31には、抽出冷却媒体配管T1を介して、冷却室R31aから冷却媒体CFが導入される。これにより、本実施形態の軸流タービン12は、上流側グランド部G1において冷却媒体CFが流入する入口部分では、関連技術の場合よりも冷却媒体CFが高い流速で流れる。その結果、上流側グランド部G1において冷却媒体CFが流入する入口部分は、関連技術の場合よりも圧力損失が大きくなる。これに伴い、上流側グランド部G1において、冷却媒体CFがタービン車室30の内部から外部へ流出するグランドリーク量を低減させることができる。
【0065】
したがって、本実施形態は、グランドリーク量の低減が容易であって、タービン効率を容易に向上可能である。
【0066】
なお、
図1において、抽出冷却媒体配管T1は、断面を示していないが、他の部材と区別するためにハッチングを付している。
【0067】
[変形例1-1]
第1実施形態の変形例1-1に関して、
図2を用いて説明する。
【0068】
図2に示すように、ロータ冷却流路H21(
図1参照)については、設けなくてもよい。第1実施形態の変形例では、冷却媒体CFは、冷却室R31aからロータ冷却流路H21に導入されないので、第1実施形態においてロータ冷却流路H21に導入される分の冷却媒体CFが、上流側グランド部G1において冷却媒体CFが流入する入口部分に導入される。その結果、上流側グランド部G1において冷却媒体CFが流入する入口部分は、第1実施形態の場合よりも圧力損失が大きくなる。これに伴い、上流側グランド部G1において、冷却媒体CFがタービン車室30の内部から外部へ流出するグランドリーク量を更に低減させることができる。なお、この場合には、静翼41等を通過した冷却媒体CFが動翼42等に導入されるように構成することで、動翼42等を冷却することができる。
【0069】
[変形例1-2]
第1実施形態の変形例1-2に関して、
図3を用いて説明する。
【0070】
図3に示すように、上流側グランド部G1において抽出された冷却媒体CFは、複数のタービン段落40のうち初段のタービン段落40を構成する静翼41等へ導入されずに、初段のタービン段落40よりも後段(たとえば、第2段以降)に位置するタービン段落40の静翼41等へ導入されるように構成されていてもよい。この場合、複数のタービン段落40のうち初段のタービン段落40を構成する静翼41等に関しては、関連技術の場合と同様に、上流側グランド部G1で抽出されなかった冷却媒体CFが冷却室R31aから導入される。
【0071】
本変形例においては、冷却室R31aから直接導入される冷却媒体CFのうち、上流側グランド部G1以外に流入する冷却媒体CFの流入先は初段落のみである。つまり、上流側グランド部G1において冷却媒体CFが流入する入口部分には、初段落のみに流入する冷却媒体CF以外の冷却媒体CFが多くなり、流速も高くなり、上流グランド部G1での圧力損失が大きくなるので、リーク量も少なくなる。
【0072】
一方、関連技術の場合は、冷却室R31aに導入される冷却媒体CFのうち、上流側グランド部G1以外に流入する冷却媒体CFの流入先は、第1の内部車室冷却媒体流路部H311を経由して、初段と2段落以降の全段落であるため、上流グランド部G1に流入する冷却媒体に流入する冷却媒体CFは、本変形例よりも少なくなるため流速も低くなり、上流グランド部G1でのリーク量も多くなる。
【0073】
したがって、本変形例の方が、関連技術よりも、冷却媒体CFが上流グランド部G1の入口部分で高い流速で流れ、上流グランド部G1での圧力損失が大きくなるので、グランドリーク量を効果的に低減可能である。また、上流側グランド部G1において抽出された冷却媒体CFの圧力が、初段のタービン段落40を流れる作動媒体Fの圧力よりも低い状態である場合には、作動媒体Fが流れる主流路へ冷却媒体CFが静翼41等から排出されにくくなる場合がある。これにより、最も温度が高くなる初段のタービン段落40の静翼41等が、十分に冷却できない可能性がある。しかし、本変形例では、初段のタービン段落40を流れる作動媒体Fよりも圧力が高い冷却媒体CFを供給できるので、最も温度が高くなる初段のタービン段落40について、より十分に冷却可能となる。
【0074】
<第2実施形態>
第2実施形態にかかる単流式の軸流タービン12bに関して、
図4を用いて説明する。
【0075】
図4に示すように、本実施形態では、抽出冷却媒体配管T1の形態が、上記の第1実施形態の場合(
図1参照)と異なっている。この点および関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する内容に関しては、適宜、説明を省略する。
【0076】
本実施形態において、抽出冷却媒体配管T1は、流量調整バルブV80が設置されている。抽出冷却媒体配管T1は、流量調整バルブV80が設置された部分が、タービン車室30の外部に設けられている。
【0077】
本実施形態では、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFは、抽出冷却媒体配管T1を経由して、静翼41等へ導入される。このとき、タービン車室30の外部に設けられた流量調整バルブV80を用いて、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFが静翼41等へ導入される流量を調整可能である。
【0078】
したがって、本実施形態においては、グランドリーク量の低減を効果的に実現可能であり、タービン効率を容易に向上可能である。また、静翼41や動翼42の計測温度を確認して冷却流量を調整することも可能となり、強度面でロバストな設計となり、安全性が向上するという側面もある。流量調整バルブV80は、電動、手動を問わず、電動の場合は計測温度を用いてロジックを組むことも可能であり、突発的事故で静翼や動翼の温度が上昇しても、自動で対応することが可能であり、重大事故を回避することも可能となる。
【0079】
<第3実施形態>
第3実施形態にかかる単流式の軸流タービン12cに関して、
図5を用いて説明する。
【0080】
図5に示すように、本実施形態では、抽出冷却媒体配管T1の形態が、上記の第2実施形態の場合(
図4参照)と異なっている。この点および関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する内容に関しては、適宜、説明を省略する。
【0081】
本実施形態において、抽出冷却媒体配管T1は、第1の抽出冷却媒体配管部T1aと第2の抽出冷却媒体配管部T1bとを含む。
【0082】
第1の抽出冷却媒体配管部T1aは、上流側グランド部G1において抽出された冷却媒体CFを複数のタービン段落40のうち前段側(上流側Us)に位置するタービン段落40を構成する静翼41等へ導入するために設けられている。
【0083】
第2の抽出冷却媒体配管部T1bは、上流側グランド部G1において抽出された冷却媒体CFを複数のタービン段落40のうち上記の前段側(上流側Us)のタービン段落40よりも後段側(下流側Ds)に位置するタービン段落40を構成する静翼41等へ導入するために設けられている。
【0084】
第1の抽出冷却媒体配管部T1aには、第1の流量調整バルブV80aが設置されている。第1の抽出冷却媒体配管部T1aは、第1の流量調整バルブV80aが設置された部分が、タービン車室30の外部に設けられている。
【0085】
同様に、第2の抽出冷却媒体配管部T1bには、第2の流量調整バルブV80bが設置されている。第2の抽出冷却媒体配管部T1bは、第2の流量調整バルブV80bが設置された部分が、タービン車室30の外部に設けられている。
【0086】
本実施形態では、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFは、抽出冷却媒体配管T1において第1の抽出冷却媒体配管部T1aと第2の抽出冷却媒体配管部T1bとのそれぞれに分岐して流れる。第1の抽出冷却媒体配管部T1aを通過した冷却媒体CFは、前段側に位置する初段と第2段のタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される。このとき、タービン車室30の外部に設けられた第1の流量調整バルブV80aを用いて、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFが、前段側に位置するタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される流量を調整可能である。また、第2の抽出冷却媒体配管部T1bを通過した冷却媒体CFは、たとえば、後段側に位置する第3段と第4段のタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される。このとき、タービン車室30の外部に設けられた第2の流量調整バルブV80bを用いて、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFが、後段側に位置するタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される流量を調整可能である。
【0087】
本実施形態では、軸方向におけるタービン段落40の位置に応じて、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFを適宜調整して、静翼41等へ導入可能である。したがって、本実施形態においては、グランドリーク量の低減を更に効果的に実現可能であり、タービン効率を容易に向上可能である。
【0088】
<第4実施形態>
第4実施形態にかかる単流式の軸流タービン12dに関して、
図6を用いて説明する。
【0089】
図6に示すように、本実施形態では、抽出冷却媒体配管T1において、第1の抽出冷却媒体配管部T1aおよび第2の抽出冷却媒体配管部T1bの形態が、上記の第3実施形態の場合(
図5参照)と異なっている。この点および関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する内容に関しては、適宜、説明を省略する。
【0090】
本実施形態の抽出冷却媒体配管T1において、第1の抽出冷却媒体配管部T1aは、上流側グランド部G1において、内部車室31とタービンロータ20との間を密封するために設置された複数のグランドシール部35bのうち、一つ目のグランドシール部35bと二つ目のグランドシール部35bとの間に位置する第1抽出位置で抽出された冷却媒体CFが流れるように構成されている。第1の抽出冷却媒体配管部T1aを通過した冷却媒体CFは、前段側に位置する初段と第2段のタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される。このとき、タービン車室30の外部に設けられた第1の流量調整バルブV80aを用いて、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFが、前段側に位置するタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される流量を調整可能である。
【0091】
これに対して、第2の抽出冷却媒体配管部T1bは、上流側グランド部G1において、内部車室31とタービンロータ20との間を密封するために設置された複数のグランドシール部35bのうち、二つ目のグランドシール部35bと三つ目のグランドシール部35bとの間に位置する第2抽出位置で抽出された冷却媒体CFが流れるように構成されている。すなわち、第2の抽出冷却媒体配管部T1bは、上流側グランド部G1において第1抽出位置よりもタービン車室の外部に近い第2抽出位置で抽出された冷却媒体CFが流れるように構成されている。第2抽出位置で抽出された冷却媒体CFは、第1抽出位置で抽出された冷却媒体CFよりも、圧力が低い。第2の抽出冷却媒体配管部T1bを通過した冷却媒体CFは、たとえば、後段側に位置する第3段と第4段のタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される。このとき、タービン車室30の外部に設けられた第2の流量調整バルブV80bを用いて、上流側グランド部G1で抽出された冷却媒体CFが、後段側に位置するタービン段落40を構成する静翼41等へ導入される流量を調整可能である。
【0092】
本実施形態では、軸方向におけるタービン段落40の位置に応じて、上流側グランド部G1で冷却媒体CFが抽出される位置が異なっており、後段側のタービン段落40よりも前段側のタービン段落40へ、温度が低く圧力が高い冷却媒体CFを導入可能である。したがって、本実施形態においては、グランドリーク量の低減を更に効果的に実現可能であり、タービン効率を容易に向上可能である。
【0093】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0094】
たとえば、上記の実施形態では、CO2タービンの場合について説明しているが、これに限らない。蒸気タービンなどのように、CO2タービンで用いる作動媒体以外の媒体で駆動するタービンにおいても、必要に応じて、上記実施形態と同様に冷却媒体が流れるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0095】
12…軸流タービン、12J…軸流タービン、12b…軸流タービン、12c…軸流タービン、12d…軸流タービン、20…タービンロータ、21…ロータホイール、30…タービン車室、31…内部車室、32…外部車室、35a…グランドシール部、35b…グランドシール部、35c…グランドシール部、40…タービン段落、41…静翼、42…動翼、43…シールフィン、70…遮熱ピース、71…遮熱板、72…脚部、72a…係合部、311…トランジションピース、313…冷却媒体導入管、321…パッキンヘッド、411…内側シュラウド、412…外側シュラウド、421…シュラウドセグメント、422…植込部、AX…回転中心軸、CF…冷却媒体、Ds…下流側、F…作動媒体、
G1…上流側グランド部、G2…下流側グランド部、H21…ロータ冷却流路、H211…第1のロータ冷却流路部、H212…第2のロータ冷却流路部、H213…第3のロータ冷却流路部、H31…内部車室冷却媒体流路、H311…第1の内部車室冷却媒体流路部、H312…第2の内部車室冷却媒体流路部、H81…抽出孔、H82…抽出媒体供給孔、R…回転方向、R31a…冷却室、RW…最終段ホイールスペース、T1…抽出冷却媒体配管、T1a…第1の抽出冷却媒体配管部、T1b…第2の抽出冷却媒体配管部、Us…上流側、V80…流量調整バルブ、V80a…流量調整バルブ、V80b…流量調整バルブ