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  • 特許-DNA配列のクラスター化のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】DNA配列のクラスター化のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6806 20180101AFI20230511BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230511BHJP
   C12Q 1/6874 20180101ALI20230511BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230511BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230511BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20230511BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6874 Z
C12N15/09 Z
C12N15/12
C12N15/31
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020520434
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018039454
(87)【国際公開番号】W WO2019005763
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】62/524,815
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519457535
【氏名又は名称】フェーズ ジェノミクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リアチコ, イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】サリバン, ショーン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ラングフォード, カイル
(72)【発明者】
【氏名】エーカー, スティーブン エム.
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/6806
C12Q 1/686
C12Q 1/6874
C12N 15/09
C12N 15/12
C12N 15/31
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸を含む微生物細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定するための方法であって、
微生物細胞を含む混合細胞集団を含む試料中に存在するある微生物細胞中で、1つまたは複数の微生物遺伝子と標的核酸との間で近接接合を生成するステップであって、前記標的核酸、前記1つまたは複数の微生物遺伝子のいずれかが、またはその両方が染色体外のものである、ステップ;
前記1つまたは複数の微生物遺伝子と前記標的核酸とを含む前記近接接合を、前記標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせるステップであって、前記標的核酸が公知の微生物遺伝子である、ステップ;および
前ステップからの前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドをプライマー伸長反応において伸長し、前記1つまたは複数の微生物遺伝子からの配列を含むプライマー伸長産物を生成し、それによって、前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした前記近接接合中の前記1つまたは複数の微生物遺伝子を検出するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
1つまたは複数の微生物遺伝子と前記標的核酸とを含む前記近接接合の前記生成が、
(i)前記混合細胞集団を含む前記試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、前記架橋剤が、前記微生物細胞中においてタンパク質を前記1つまたは複数の微生物遺伝子および前記標的核酸に架橋させ、それによって、前記微生物細胞内で、前記タンパク質と前記1つまたは複数の微生物遺伝子と前記標的核酸とを含む複合体を生成する、ステップ;
(ii)前記微生物細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;
(iii)前記1つまたは複数の微生物遺伝子と前記標的核酸とを含む前記複合体内の前記核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;
(iv)消化された前記核酸をライゲーションするステップ;ならびに
(v)架橋された前記タンパク質から、1つまたは複数の前記近接接合を放出させるステップであって、それによって、前記1つまたは複数の微生物遺伝子と前記標的核酸とを含む前記近接接合を生成する、ステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含み、前記架橋クエンチャーがグリシンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記放出させるステップが、架橋された前記タンパク質を、プロテアーゼ、熱またはそれらの組合せから選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含むか、または前記放出させるステップが、前記複合体を断片化することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、5’末端に付着した部分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、固体基材に結合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固体基材が、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記遊離核酸末端を、ステップ(v)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップ(v)後に生成される前記近接接合が、ビオチン標識され、ビオチン標識された前記近接接合が、前記近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、前記精製ステップが、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記プライマー伸長が、前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドと、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬と共に前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした前記近接接合に添加されたプライマーのセットからの少なくとも1つのプライマーとを使用してPCRを実施することを含み、プライマーの前記セット中の各プライマーが公知の配列に対して相補的な配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチド、およびプライマーの前記セット中の各プライマーが、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含み、前記方法が、前記近接接合中の前記1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プライマー伸長が標識されたヌクレオチドを使用して実施され、それによって、前記1つまたは複数の微生物遺伝子に対して相補的な配列を含む標識されたプライマー伸長産物を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記標的核酸または前記1つまたは複数の微生物遺伝子が、内因性微生物遺伝子、毒性微生物遺伝子、および抗生物質耐性遺伝子からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記混合細胞集団を含む前記試料が、個体における感染の部位、または農業的試料に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記標的核酸および/もしくは各々の前記1つまたは複数の微生物遺伝子が、プラスミド、ウイルスまたはゲノムDNA中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記混合細胞集団中の前記微生物細胞が、細菌細胞である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、全ての目的のためにその全体が本明細書で参照によって組み込まれる、2017年6月26日出願の米国仮特許出願第62/524,815号に基づく優先権の利益を主張している。
【0002】
配列表に関する陳述
本出願と関連する配列表は、紙コピーの代わりにテキストフォーマットで提供され、本明細書中に参照によって組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、PHGE_001_01WO_SeqList_ST25.txtである。このテキストファイルは、約1KBであり、2018年6月26日に作成され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
現在、細胞の内側の(例えば、異なる染色体上またはプラスミド上の)ゲノム中またはDNAの異なる小片上で遠く離れているDNA配列の対について、どの2つのDNAが同じ細胞に起源するかをショットガンシークエンシングによって判別することは、非常に困難であり得る。これは、プラスミドおよび他の可動性エレメントによって伝達され得る抗微生物耐性を追跡することを非常に困難にし得る。通常、目的の細胞は、培養を介してクローン的に精製され、次いで個々に配列決定される必要がある(この培養するステップの間に、目的の配列が失われ得る)。
【0004】
本発明は、2つの配列が同じ染色体上にない場合であっても、目的のどの遺伝子/配列がどの株の背景中に存在するのかを試験するための迅速な方法(培養なし)を可能にすることによって、これらおよび他の必要に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
一態様では、細胞の混合集団(例えば、感染もしくはマイクロバイオーム試料または腫瘍由来の混合細胞集団など)内の物理的に隣接するDNA配列を架橋し、目的の少なくとも1つのDNA配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子または発癌性対立遺伝子)が存在する架橋されたDNA接合を単離するために、in vivo近接ライゲーション方法(染色体コンフォメーション捕捉、3c)をDNA捕捉テクノロジー(例えば、エキソーム捕捉、捕捉hi-cなど)と組み合わせる方法が、本明細書で提供される。目的の配列を含む架橋された接合が精製されると、目的の配列に付着した残りの配列が、分析または決定される。目的の配列に付着したまたはそれと関連した配列の分析または決定は、前記配列の標識、および特異的な他の配列について問い合わせるために設計されたマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、ならびに/または例えば次世代配列決定(NGS)を使用した前記配列の配列決定を必然的に伴い得る。
【0006】
本明細書で提供される方法および組成物の最終的な成果は、目的の配列を選択する能力および目的の配列と同じ細胞中に存在する他の配列のうち1つまたは複数を決定する能力であり得る。
【0007】
一態様では、標的核酸を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定するための方法であって、細胞中の1つまたは複数の核酸と標的核酸との間で近接接合を生成するステップであって、細胞が、混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;1つまたは複数の核酸と標的核酸との間での近接接合を捕捉するステップであって、近接接合を、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした近接接合中の1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、標的核酸を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の場合には、1つまたは複数の核酸と標的核酸との間での近接接合の生成は、i.)細胞を含む試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、架橋剤が、細胞中においてタンパク質および1つまたは複数の核酸を標的核酸と架橋させ、それによって、1つまたは複数の核酸と標的核酸との間で複合体を生成する、ステップ;ii.)細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;iii.)1つまたは複数の核酸と標的核酸との間での複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびにv.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、1つまたは複数の核酸と標的核酸との間で近接接合を生成する、ステップを含む。一部の場合には、架橋試薬は、ホルムアルデヒドを含む。一部の場合には、この方法は、複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む。一部の場合には、架橋クエンチャーは、グリシンである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、DNaseである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、MNaseである。一部の場合には、放出させるステップは、架橋されたタンパク質を、プロテアーゼ、熱またはそれらの組合せから選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む。一部の場合には、放出させるステップは、複合体を断片化することを含む。一部の場合には、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、5’末端に付着した部分をさらに含む。一部の場合には、この部分は、ビオチンである。一部の場合には、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、固体基材に結合される。一部の場合には、固体基材は、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される。一部の場合には、ビーズは、磁性ビーズである。一部の場合には、この方法は、遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される近接接合が、ビオチン標識される。一部の場合には、ビオチン標識された近接接合は、近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、精製ステップは、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む。一部の場合には、捕捉するステップは、標的核酸を富化することをさらに含み、富化することは、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーは、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む。一部の場合には、捕捉するステップは、標的核酸を富化することをさらに含み、富化することは、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーは、ランダム配列を含む。一部の場合には、オリゴヌクレオチド、およびプライマーのセット中の各プライマーは、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む。一部の場合には、分析するステップは、近接接合中の1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む。一部の場合には、分析するステップは、近接接合中に存在する1つまたは複数の核酸を標識することを含む。一部の場合には、標識された1つまたは複数の核酸は、マイクロアレイにハイブリダイズされる。一部の場合には、標的核酸は、抗生物質耐性遺伝子である。一部の場合には、混合細胞集団を含む試料は、個体における感染の部位に由来する。一部の場合には、混合細胞集団を含む試料は、農業的試料に由来する。一部の場合には、農業的試料は、ウシルーメン(cow rumen)または厩肥である。一部の場合には、標的核酸は、プラスミド、ウイルスまたはゲノムDNA中に存在する。一部の場合には、1つまたは複数の核酸の各々は、プラスミド、ウイルスまたはゲノムDNA中に存在する。一部の場合には、標的核酸は、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子である。一部の場合には、混合集団を含む試料は、腫瘍試料である。
【0008】
別の態様では、抗生物質耐性遺伝子と関連する1つまたは複数の核酸を検出するための方法であって、細胞中の1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間で近接接合を生成するステップであって、細胞が、混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間での近接接合を捕捉するステップであって、近接接合を、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした近接接合中の1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、抗生物質耐性遺伝子を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の場合には、1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間での近接接合の生成は、i.)細胞を含む試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、架橋剤が、細胞中においてタンパク質および1つまたは複数の核酸を抗生物質耐性遺伝子と架橋させ、それによって、1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間で複合体を生成する、ステップ;ii.)細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;iii.)1つまたは複数の核酸と癌遺伝子との間での複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびにv.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間で近接接合を生成する、ステップを含む。一部の場合には、架橋試薬は、ホルムアルデヒドを含む。一部の場合には、この方法は、複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む。一部の場合には、架橋クエンチャーは、グリシンである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、DNaseである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、MNaseである。一部の場合には、放出させるステップは、架橋されたタンパク質を、プロテアーゼ、熱またはそれらの組合せから選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む。一部の場合には、放出させるステップは、複合体を断片化することを含む。一部の場合には、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、5’末端に付着した部分をさらに含む。一部の場合には、この部分は、ビオチンである。一部の場合には、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、固体基材に結合される。一部の場合には、固体基材は、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される。一部の場合には、ビーズは、磁性ビーズである。一部の場合には、この方法は、遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される近接接合が、ビオチン標識される。一部の場合には、ビオチン標識された近接接合は、近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、精製ステップは、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む。一部の場合には、捕捉するステップは、抗生物質耐性遺伝子を富化することをさらに含み、富化することは、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーは、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む。一部の場合には、捕捉するステップは、抗生物質耐性遺伝子を富化することをさらに含み、富化することは、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーは、ランダム配列を含む。一部の場合には、オリゴヌクレオチド、およびプライマーのセット中の各プライマーは、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む。一部の場合には、分析するステップは、近接接合中の1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む。一部の場合には、分析するステップは、近接接合中に存在する1つまたは複数の核酸を標識することを含む。一部の場合には、標識された1つまたは複数の核酸は、マイクロアレイにハイブリダイズされる。一部の場合には、抗生物質耐性遺伝子は、プラスミドまたは細胞のゲノム中に存在する。一部の場合には、1つまたは複数の核酸の各々は、プラスミドまたは細胞のゲノム中に存在する。一部の場合には、試料は、個体における感染の部位に由来する。一部の場合には、試料は、農業的試料に由来する。一部の場合には、農業的試料は、ウシルーメンまたは厩肥である。
【0009】
さらに別の態様では、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子と関連する1つまたは複数の核酸を検出するための方法であって、細胞中の1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間で近接接合を生成するステップであって、細胞が、個体に由来する混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間での近接接合を捕捉するステップであって、近接接合を、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした近接接合中の1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の場合には、1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間での近接接合の生成は、i.)試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、架橋剤が、細胞中においてタンパク質および1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子とを架橋させ、それによって、1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間で複合体を生成する、ステップ;ii.)細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;iii.)1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間での複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびにv.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間で近接接合を生成する、ステップを含む。一部の場合には、架橋試薬は、ホルムアルデヒドを含む。一部の場合には、この方法は、複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む。一部の場合には、架橋クエンチャーは、グリシンである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、DNaseである。一部の場合には、エンドヌクレアーゼは、MNaseである。一部の場合には、放出させるステップは、架橋されたタンパク質を、プロテアーゼまたは熱から選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む。一部の場合には、放出させるステップは、複合体を断片化することを含む。一部の場合には、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、5’末端に付着した部分をさらに含む。一部の場合には、この部分は、ビオチンである。一部の場合には、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドは、固体基材に結合される。一部の場合には、固体基材は、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される。一部の場合には、ビーズは、磁性ビーズである。一部の場合には、この方法は、遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される近接接合が、ビオチン標識される。一部の場合には、ビオチン標識された近接接合は、近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、精製ステップは、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む。一部の場合には、捕捉するステップは、癌遺伝子を富化することをさらに含み、富化することは、癌遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーは、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む。一部の場合には、捕捉するステップは、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子を富化することをさらに含み、富化することは、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーは、ランダム配列を含む。一部の場合には、オリゴヌクレオチド、およびプライマーのセット中の各プライマーは、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む。一部の場合には、分析するステップは、近接接合中の1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む。一部の場合には、分析するステップは、近接接合中に存在する1つまたは複数の核酸を標識することを含む。一部の場合には、標識された1つまたは複数の核酸は、マイクロアレイにハイブリダイズされる。一部の場合には、混合集団を含む試料は、腫瘍試料である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、核酸(例えば、DNA)捕捉テクノロジーと組み合わせて近接ライゲーションを使用して、細胞中の、目的の標的配列と関連するおよび/または目的の標的配列に隣接する核酸(例えば、DNA)の存在を決定または検出するための方法を示す。一般に、細胞の混合集団(例えば、細胞A、BおよびC)が、クロスリンカーで処理され、細胞の内側の近傍のDNA分子が捕獲され、架橋されたクロマチンが、細胞集団から精製され、引き続いて断片化され、近接ライゲーションが、同じ細胞中にあった配列間でキメラDNA接合を創出するために実施され、架橋が逆転され、それによって、近接ライゲーションされた接合が遊離され(例えば、逆転され)、特異的近接接合が選択および検出される。図1は、目的の配列にアニーリングされた、それに付着したビーズ(例えば、ビオチン)を含む捕捉プライマー(またはオリゴヌクレオチド)を使用して選択および検出すること、(例えば、磁性ビーズを使用して)捕捉プライマーを単離すること、ならびに近接接合をカバーする配列を、PCRまたは伸長/置き換えポリメラーゼを使用して延長させることを示す。回収されたDNA分子は、マイクロアレイまたは配列決定(例えば、次世代配列決定)を使用して分析される。あるいは、捕捉オリゴヌクレオチドまたはプライマーは、アニーリングの前にビーズ(例えば、磁性ビーズ)に事前にローディングされ得、近接ライゲーションされた接合は、ビーズ結合した複合体を形成するためにビーズにローディングされ、これらは、適所で加熱およびアニーリングされ、次いで伸長される。伸長は、標識(例えば、Cy3)の存在下で実施され得、それによって、標識された(例えば、緑色)プローブを有するビーズが生じる。
【0011】
図2図2A~2Dは、標的配列およびHi-C相互作用を富化するための、本明細書で提供される捕捉Hi-C方法の使用を示す。図2Aは、E.coliおよびB.subtilisゲノム内の100個のランダムに選択された領域の配列決定カバレッジ分布を示す。垂直線は、平均カバレッジの>1標準偏差を示す、捕捉された配列について観察されたカバレッジを示す。図2Bは、そのそれぞれのプローブによる捕捉後の、E.coliおよびB.subtilisゲノムの2つの異なる領域へのリード対マッピングのフラクションを示す。図2Cは、Hi-Cシグナルを示すリードのフラクションの別の指標である、互いに10kbよりも離れたリード対マッピングのフラクションを示す。図2Dは、非Hi-Cリードを示す、参照ゲノム配列中の互いに0塩基対離れたリード対マッピングのフラクションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
定義
以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、以下の定義が、本明細書に開示された主題の説明を容易にするために示される。
【0013】
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、その実体の1つまたは複数を指す、即ち、複数形の指示対象を指し得る。このように、用語「1つの(a)」または「1つの(an)」、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」は、本明細書で相互交換可能に使用される。さらに、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」による「1つの要素(an element)」に対する言及は、それらの要素のうち1つおよび1つのみが存在することを文脈が明らかに要求しない限り、1つよりも多くの要素が存在する可能性を排除しない。
【0014】
文脈が他を要求しない限り、本明細書および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」ならびにそのバリエーション、例えば、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、「~を含むがそれらに限定されない」という、オープンで包括的な意味であると解釈すべきである。選択肢(例えば、「または」)の使用は、それらの選択肢の一方、両方、またはそれらの任意の組合せのいずれかを意味すると理解すべきである。本明細書で使用する場合、用語「約」および「~から本質的になる」は、特記しない限り、示された範囲、値または構造の±20%を意味する。
【0015】
「一実施形態」または「ある実施形態」に対する本明細書を通じた言及は、その実施形態に関連して記載された特定の特色、構造または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。したがって、本明細書を通じた種々の場所における語句「一実施形態では」または「ある実施形態では」の出現は、全てが同じ実施形態を必ずしも指すわけではない。明確さのために別々の実施形態の状況で記載される本開示のある特定の特色は、単一の実施形態での組合せでも提供され得ることが理解される。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の状況で記載される本開示の種々の特色は、別々に、または任意の適切な下位組合せでも提供され得る。
【0016】
本開示を通じて、本明細書で提供される方法および組成物の種々の態様は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は、単に簡便さおよび簡潔さのためであると理解すべきなのであって、本発明の範囲に対する硬直した限定として解釈すべきではない。したがって、範囲の記載は、全ての可能な下位範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると解釈すべきである。例えば、範囲の記載、例えば、1~6は、下位範囲、例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5および6を具体的に開示していると解釈すべきである。これは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0017】
特記しない限り、本明細書で提供される方法および組成物は、当該分野の技術範囲内の、有機化学、ポリマーテクノロジー、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術および説明を利用できる。かかる従来技術には、ポリマーアレイ合成、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、および標識を使用したハイブリダイゼーションの検出が含まれる。適切な技術の具体的な例示は、以下の本明細書の実施例に対する言及によって行われ得る。しかし、他の等価な従来手順もまた、当然使用され得る。かかる従来技術および説明は、標準的な実験室マニュアル、例えば、Genome Analysis: A Laboratory Manual Series (Vols. I-IV)、Using Antibodies: A Laboratory Manual、Cells: A Laboratory Manual、PCR Primer: A Laboratory ManualおよびMolecular Cloning: A Laboratory Manual(全てCold Spring Harbor Laboratory Pressから)、Gait, "Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach" 1984, IRL Press, London, Nelson and Cox (2000)、Lehninger et al., (2008) Principles of Biochemistry 5th Ed., W.H. Freeman Pub., New York, N.Y.ならびにBerg et al. (2006) Biochemistry, 6.sup.th Ed., W.H. Freeman Pub., New York, N.Y.において見出され得、これらは全て、全ての目的のためにその全体が本明細書で参照によって組み込まれる。
【0018】
従来のソフトウェアおよびシステムもまた、本明細書で提供される方法および組成物において使用され得る。本発明のコンピューターソフトウェア製品は、典型的には、本発明の方法の論理ステップを実施するためのコンピューター実行可能な指示を有するコンピューター可読媒体を含む。適切なコンピューター可読媒体には、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM/DVD/DVD-ROM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリー、ROM/RAM、磁気テープなどが含まれる。コンピューター実行可能な指示は、適切なコンピューター言語またはいくつかの言語の組合せで書かれ得る。基礎計算生物学の方法は、例えば、Setubal and Meidanis et al., Introduction to Computational Biology Methods (PWS Publishing Company, Boston, 1997);Salzberg, Searles, Kasif, (Ed.), Computational Methods in Molecular Biology, (Elsevier, Amsterdam, 1998);Rashidi and Buehler, Bioinformatics Basics: Application in Biological Science and Medicine (CRC Press, London, 2000)およびOuelette and Bzevanis Bioinformatics: A Practical Guide for Analysis of Gene and Proteins (Wiley & Sons, Inc., 2.sup.nd ed., 2001)に記載されている。米国特許第6,420,108号を参照のこと。
【0019】
本明細書で提供される方法および組成物はまた、種々の目的、例えば、プローブ設計、データの管理、分析、および器具操作のために、種々のコンピュータープログラム製品およびソフトウェアを使用し得る。米国特許第5,593,839号、同第5,795,716号、同第5,733,729号、同第5,974,164号、同第6,066,454号、同第6,090,555号、同第6,185,561号、同第6,188,783号、同第6,223,127号、同第6,229,911号および同第6,308,170号を参照のこと。高密度マイクロアレイ分析を使用して遺伝子型決定することに関するコンピューター方法もまた、本発明の方法において使用され得る。例えば、米国特許公開第20050250151号、同第20050244883号、同第20050108197号、同第20050079536号および同第20050042654号を参照のこと。
【0020】
さらに、本開示は、米国特許公開第20030097222号、同第20020183936号、同第20030100995号、同第20030120432号、同第20040002818号、同第20040126840号および同第20040049354号に示されるように、インターネットなどのネットワーク上に遺伝情報を提供するための方法を含む好ましい実施形態を有し得る。
【0021】
対立遺伝子は、細胞内、個体内または集団内の遺伝配列(例えば、遺伝子)の1つの特定の形態、遺伝子の配列内の少なくとも1つの、頻繁には1つよりも多くのバリアント部位の配列における、同じ遺伝子の他の形態とは異なる特定の形態を指し得る。異なる対立遺伝子間で異なるこれらのバリアント部位における配列は、「変動」、「多型」または「変異」と呼ばれ得る。各常染色体特異的染色体位置または「遺伝子座」において、個体は、2つの対立遺伝子を有し、一方は一方の親から遺伝し、一方は他方の親から遺伝する、例えば、一方は母親から遺伝し、一方は父親から遺伝する。個体は、ある遺伝子座において2つの異なる対立遺伝子を有する場合、その遺伝子座において「ヘテロ接合性」である。個体は、ある遺伝子座において2つの同一の対立遺伝子を有する場合、その遺伝子座において「ホモ接合性」である。
【0022】
用語「アレイ」は、本明細書で使用する場合、合成または生合成のいずれかによって調製され得る分子の、意図的に創出された集合を指し得る。アレイ中の分子は、同一であってもよく、互いに異なってもよい。アレイは、可溶性分子のライブラリー;樹脂ビーズ、シリカチップ、マイクロ粒子、ナノ粒子または他の固体支持体に繋がれた化合物のライブラリーなどの、種々の形式を取り得る。
【0023】
用語「相補的な」は、本明細書で使用する場合、ヌクレオチド間または核酸間での、例えば、二本鎖DNA分子の2つの鎖間、またはオリゴヌクレオチドプライマーと、配列決定もしくは増幅される一本鎖核酸上のプライマー結合部位との間などでの、ハイブリダイゼーションまたは塩基対合を指し得る。本明細書で参照によって組み込まれるM. Kanehisa Nucleic Acids Res. 12:203 (1984)を参照のこと。
【0024】
用語「ハイブリダイゼーション」は、本明細書で使用する場合、2つの一本鎖ポリヌクレオチドが安定な二本鎖ポリヌクレオチドを形成するように非共有結合するプロセスを指し得る;三本鎖ハイブリダイゼーションも理論的には可能である。得られた(通常は)二本鎖ポリヌクレオチドは、「ハイブリッド」である。安定なハイブリッドを形成するポリヌクレオチドの集団の割合は、本明細書で「ハイブリダイゼーションの程度」と呼ばれる。
【0025】
ハイブリダイゼーションは、1M以下の塩濃度および少なくとも25℃の温度などのストリンジェントな条件下で実施され得る。例えば、5×SSPE(750mM NaCl、50mMリン酸Na、5mM EDTA、pH7.4)および25~30℃の温度の条件が、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適切である。ストリンジェントな条件については、例えば、上記の全ての目的のためにその全体が本明細書で参照によって組み込まれる、Sambrook, Fritsche and Maniatis. "Molecular Cloning A laboratory Manual" 2.sup.nd Ed. Cold Spring Harbor Press (1989)を参照のこと。一部の態様では、ハイブリダイゼーションのための塩濃度は、好ましくは、約200mMと約1Mとの間または約200mMと約500mMとの間である。ハイブリダイゼーション温度は、5℃の低さであり得るが、典型的には22℃よりも高く、より典型的には約30℃よりも高く、好ましくは約37℃を超える。より長い断片は、特異的ハイブリダイゼーションのために、より高いハイブリダイゼーション温度を必要とし得る。塩基組成および相補鎖の長さ、有機溶媒の存在ならびに塩基ミスマッチの程度を含む他の因子が、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響し得るので、パラメーターの組合せは、いずれか1つ単独の絶対的尺度よりも重要である。
【0026】
本明細書で提供される方法および組成物においてポリヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイを実施するための方法は、当該分野で任意の公知のものであり得、開発され得る。ハイブリダイゼーションアッセイの手順および条件は、適用に依存して変動し得、Maniatis et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2.sup.nd Ed. Cold Spring Harbor, N.Y., 1989);Berger and Kimmel Methods in Enzymology, Vol. 152, Guide to Molecular Cloning Techniques (Academic Press, Inc., San Diego, Calif., 1987);Young and Davis, P.N.A.S, 80: 1194 (1983)において言及されるものを含む、公知の一般的な結合方法に従って選択され得る。反復され制御されるハイブリダイゼーション反応を実施するための方法および装置は、その各々が本明細書で参照によって組み込まれる、米国特許第5,871,928号、同第5,874,219号、同第6,045,996号および同第6,386,749号、同第6,391,623号に記載されている。
【0027】
本明細書で提供される方法および組成物は、ある特定の好ましい実施形態では、リガンド間でのハイブリダイゼーションのシグナル検出もまた利用できる。その各々もまた全ての目的のためにその全体が本明細書で参照によって組み込まれる、米国特許第5,143,854号、同第5,578,832号、同第5,631,734号、同第5,834,758号、同第5,936,324号、同第5,981,956号、同第6,025,601号、同第6,141,096号、同第6,185,030号、同第6,201,639号、同第6,218,803号および同第6,225,625号、米国特許公開第20040012676号ならびにPCT出願番号PCT/US99/06097(WO99/47964として公開された)を参照のこと。
【0028】
シグナル検出および強度データの処理のための方法および装置は、その各々もまた全ての目的のためにその全体が本明細書で参照によって組み込まれる、例えば、米国特許第5,143,854号、同第5,547,839号、同第5,578,832号、同第5,631,734号、同第5,800,992号、同第5,834,758号、同第5,856,092号、同第5,902,723号、同第5,936,324号、同第5,981,956号、同第6,025,601号、同第6,090,555号、同第6,141,096号、同第6,185,030号、同第6,201,639号;同第6,218,803号;および同第6,225,625号、米国特許公開第20040012676号および同第20050059062号、ならびにPCT出願番号PCT/US99/06097(WO99/47964として公開された)に開示されたものであり得る。
【0029】
用語「混合集団」または時に「複合集団」による言及は、本明細書で使用する場合、望ましいおよび望ましくない核酸または細胞を両方とも含む任意の試料を指し得る。非限定的な例として、核酸の複合集団は、全ゲノムDNA、全ゲノムRNAまたはそれらの組合せであり得る。全ゲノムDNAまたはRNAは、細胞の混合集団内の細胞の1つ、複数または全てに由来し得る。さらに、核酸の複合集団は、所与の集団について富化されていてもよいが、他の望ましくない集団を含み得る。例えば、核酸の複合集団は、望ましいメッセンジャーRNA(mRNA)配列について富化されているが、一部の望ましくないリボソームRNA配列(rRNA)をなおも含む試料であり得る。
【0030】
用語「mRNA」または「mRNA転写物」には、本明細書で使用する場合、プレmRNA転写物、転写物プロセシング中間体、翻訳の用意ができた成熟mRNAおよび遺伝子(単数または複数)の転写物、またはmRNA転写物に由来する核酸が含まれ得るが、これらに限定されない。転写物プロセシングには、スプライシング、編集および分解が含まれ得る。本明細書で使用する場合、mRNA転写物に由来する核酸は、その合成のためにmRNA転写物またはその部分配列が鋳型として最終的に機能した核酸を指す。したがって、mRNAから逆転写されたcDNA、そのcDNAから転写されたRNA、cDNAから増幅されたDNA、増幅されたDNAから転写されたRNAなどは、全てmRNA転写物に由来し、かかる誘導された産物の検出は、試料中の元の転写物の存在および/または存在量を示す。したがって、mRNA由来の試料には、遺伝子(単数または複数)のmRNA転写物、mRNAから逆転写されたcDNA、cDNAから転写されたcRNA、遺伝子から増幅されたDNA、増幅されたDNAから転写されたRNAなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「核酸」は、本明細書で使用する場合、プリンおよびピリミジン塩基、あるいは他の天然の、化学的にもしくは生化学的に改変された、非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基を含む、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはペプチド核酸(PNA)のいずれかの、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを指し得る。ポリヌクレオチドの骨格は、RNAもしくはDNAにおいて典型的には見出され得るような糖およびリン酸基、または改変もしくは置換された糖もしくはリン酸基を含み得る。ポリヌクレオチドは、改変されたヌクレオチド、例えば、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログを含み得る。ヌクレオチドの配列には、非ヌクレオチド成分が割り込み得る。したがって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、デオキシヌクレオシドおよびデオキシヌクレオチドという用語は一般に、本明細書に記載されるものなどのアナログを含む。これらのアナログは、核酸またはオリゴヌクレオシド配列中に取り込まれた場合に、溶液中での天然に存在する核酸配列とのハイブリダイゼーションを可能にするように、天然に存在するヌクレオシドまたはヌクレオチドと共通したいくつかの構造的特色を有する分子であり得る。典型的には、これらのアナログは、塩基、リボースまたはホスホジエステル部分を交換および/または改変することによって、天然に存在するヌクレオシドおよびヌクレオチドから誘導され得る。これらの変化は、所望により、ハイブリッド形成を安定化もしくは不安定化するため、または相補的な核酸配列とのハイブリダイゼーションの特異性を増強するために、オーダーメイドされ得る。
【0032】
用語「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用する場合、少なくとも2、好ましくは少なくとも8、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長の範囲の核酸、またはポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする化合物を指し得る。本明細書で提供される方法および組成物のポリヌクレオチドには、天然の供給源から単離され得る、組換え産生され得るまたは人工的に合成され得る、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)の配列、およびそれらの模倣物が含まれ得る。本明細書の発明で提供される方法および組成物のポリヌクレオチドのさらなる例は、ペプチド核酸(PNA)であり得る。本明細書で提供される方法および組成物は、ある特定のtRNA分子において同定され、三重らせん中に存在すると推論されているフーグスティーン塩基対合などの非伝統的塩基対合が存在する状況もまた包含し得る。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で提供される方法および組成物において、相互交換可能に使用され得る。
【0033】
用語「多型」は、本明細書で使用する場合、集団における、2つまたはそれよりも多くの遺伝的に決定された代替的配列または対立遺伝子の存在を指し得る。多型マーカーまたは部位は、相違が存在する遺伝子座であり得る。多型は、1つもしくは複数の塩基変化、挿入、リピートまたは欠失を含み得る。多型遺伝子座は、1塩基対の小ささであり得る。多型マーカーには、制限断片長多型、可変数タンデムリピート(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチドリピート、トリヌクレオチドリピート、テトラヌクレオチドリピート、単純な配列リピート、および挿入エレメント、例えばAluが含まれる。最初に同定された対立遺伝子形態は、自由裁量で参照形態と指定され得、他の対立遺伝子形態は、代替的またはバリアント対立遺伝子と指定され得る。選択された集団において最も頻繁に存在する対立遺伝子形態は、野生型形態と呼ばれる場合があり得る。二倍体生物は、対立遺伝子形態についてホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。二対立遺伝子多型は、2つの形態を有し得る。三対立遺伝子多型は、3つの形態を有し得る。単一ヌクレオチド多型(SNP)は、多型に含まれ得る。
【0034】
用語「プライマー」は、本明細書で使用する場合、4つの異なるヌクレオシド三リン酸および重合のための薬剤、例えば、DNAもしくはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素などの存在下で、適切な条件、例えば、緩衝液および温度の下で、鋳型によって指示されるDNA合成のための開始点として作用することが可能な一本鎖オリゴヌクレオチドを指し得る。任意の所与の場合、プライマーの長さは、例えば、プライマーの意図した使用に依存し、一般には、15~30ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は一般に、鋳型と共に十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より低い温度を必要とし得る。プライマーは、鋳型の正確な配列を反映しなくてもよいが、かかる鋳型とハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならない。プライマー部位は、プライマーがハイブリダイズする鋳型の領域であり得る。プライマー対は、増幅される配列の5’末端とハイブリダイズする5’上流プライマーおよび増幅される配列の3’末端の相補体とハイブリダイズする3’下流プライマーを含むプライマーのセットであり得る。
【0035】
用語「固体支持体」、「固体基材」、「支持体」および「基材」は、本明細書で使用する場合、相互交換可能に使用され得、剛性または半剛性の表面(単数または複数)を有する材料または材料の群を指し得る。多くの実施形態では、固体支持体の少なくとも1つの表面は、実質的に平坦であるが、一部の実施形態では、例えば、ウェル、隆起した領域、ピン、エッチングされた溝などによって、異なる化合物のために合成領域を物理的に分離することが望まれ得る。他の実施形態によれば、固体支持体は、ビーズ、樹脂、ゲル、ミクロスフェアまたは他の幾何学的構成の形態を取る。例示的な基材については、米国特許第5,744,305号ならびに米国特許公開第20090149340号および同第20080038559号を参照のこと。
概説
【0036】
標的核酸と関連した1つまたは複数の核酸の存在を決定または検出するための方法および組成物が、本明細書で提供される。1つもしくは複数の核酸および/または標的核酸は、細胞の混合集団内の同じ細胞に由来し得るまたは同じ細胞に起源し得る。本明細書で提供される方法は、当該分野で現在公知の方法よりも効率的で、それほど時間がかからない様式での、標的核酸と関連した核酸(例えば、DNA)配列の同定を可能にし得る。一部の場合には、この方法は、それらの配列が、異なる染色体またはプラスミド上に位置する場合であっても、核酸(例えば、DNA)のある特定の配列または対立遺伝子が、混合集団中の同じ細胞内に共存するかどうかについての、迅速で配列決定が不要な問い合わせを可能にし得る。
【0037】
本明細書で提供される方法は、細胞または核酸の任意の混合集団をデコンボリューションするために使用され得る。例えば、本明細書で提供される方法は、微生物細胞または微生物群の混合集団をデコンボリューションするために使用され得る。さらに、本明細書で提供される方法は、固形腫瘍内の同じ細胞中にどの対立遺伝子が存在するかを問うために使用され得る。本明細書で提供される方法および組成物による使用のための細胞または核酸の混合集団の他の非限定的な例は、臓器全体/全血液、混入したまたは混合された法医学的試料であり得る。
【0038】
一実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物は、目的のクエリー遺伝子が捕捉ビーズに繋がれ得、マイクロアレイが、既知の供給源(例えば、細胞、または核酸のプール)由来の核酸のセットのために設計され得るように、診断試験の基礎として機能し得る。診断試験は、既知の供給源が微生物の公知の株または種であり得るように、微生物抗生物質耐性遺伝子を検出するためのものであり得る。この方法の間に生成される架橋されたクロマチンは、同じ細胞内の核酸(例えば、DNA)配列の対間で近接接合を創出し得る。これらの接合は、捕捉またはPCR試薬を用いて選択され得、次いで、捕捉された配列がマイクロアレイ(または配列データベース)上の任意のまたは複数の核酸と細胞内で相互作用するかどうかを判別するために、マイクロアレイプローブにハイブリダイズされ得る(または配列決定され得る)。
【0039】
当該分野で公知の方法(例えば、Hi-C)とは対照的に、本明細書で提供される方法は、de novoでゲノムをアセンブルしないが、(配列決定を排除することによって、または配列決定が維持される場合には、配列ライブラリーの複雑さを徹底的に低減させることによって)、プロセスのコストを徹底的に低減させることができる。さらに、本明細書で提供される方法は、Hi-Cよりも顕著に速くかつ安価であり得、診断目的のためにはるかにスケーラブルであり得る。
【0040】
図1に示されるように、本明細書で提供される方法は、以下を一般に含む。
【0041】
1.混合細胞集団中の細胞(例えば、図1中の細胞A、BおよびC)内の核酸および/またはタンパク質を、架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド)に供するステップ。次いで、架橋された核酸および/またはタンパク質複合体(例えば、クロマチン)は、細胞集団から放出または精製され得る。例えば、各細胞由来の架橋されたクロマチン(図1中で、それぞれ細胞A、BまたはCに由来するクロマチンを示すために、「A」、「B」および「C」と表示される)が細胞から放出される図1を参照のこと。次いで、精製された架橋された複合体(例えば、クロマチン)は、断片化され得る。
【0042】
2.架橋された分子から生成されたDNA末端を連結またはライゲーションして、近接接合を創出するステップ。一部の場合には、DNA末端は、引き続くステップにおいてアフィニティービーズを用いて精製することができる接合を創出するために、ライゲーション前にビオチン化され得る。重要なことに、接合は、異なる株/種/細胞に起源する配列間では形成されない。
【0043】
3.架橋されたクロマチンから近接接合を放出させるステップ。
【0044】
4.近接接合を選択し、目的の標的配列に隣接するまたはそれと近接した1つまたは複数の核酸配列を検出するステップ。
架橋
【0045】
一実施形態では、架橋は、核酸-核酸架橋またはタンパク質-核酸架橋を含むがこれらに限定されない群から選択される。本明細書で提供される方法に適切な架橋剤の例には、アルキル化剤、例えば、1,3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア(BCNU、カルムスチン)およびナイトロジェンマスタード、シスプラチン(シス-ジアンミンジクロロ白金(II))およびその誘導体、ソラレン、アクロレイン、クロトンアルデヒド、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、またはそれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。一部の場合には、架橋剤は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドまたはそれらの組合せである。
【0046】
一実施形態では、架橋剤で処理される細胞は、非哺乳動物細胞を含む。一実施形態では、非哺乳動物細胞は、魚類、両生類、昆虫、鳥類、酵母、真菌、細菌またはカビを含むがこれらに限定されない群から選択される細胞を含む。一実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞を含む。一実施形態では、哺乳動物細胞は、ヒト細胞を含む。一実施形態では、哺乳動物細胞は、腫瘍またはがん細胞である。一実施形態では、腫瘍またはがん細胞は、腫瘍細胞の混合集団の一部である。一実施形態では、細胞は、微生物細胞を含む。一実施形態では、微生物細胞は、混合微生物集団の一部である。架橋剤もしくはクロスリンカーで処理されるまたは架橋剤もしくはクロスリンカーに供される細胞は、例えば、混合微生物集団または腫瘍試料であり得る。細胞は、インタクトであり得る。
【0047】
インタクトな細胞は、さらなる薬剤(例えば、検出剤)を細胞中に進入させるために、架橋剤での処理後に透過処理され得る。透過処理は、細胞を透過処理剤で処理することによって実施され得る。本明細書で提供される方法における使用のための透過処理剤の例は、当該分野で公知の任意の透過処理剤、例えば、有機溶媒または界面活性剤などであり得る。有機溶媒は、メタノールまたはアセトンであり得る。界面活性剤は、サポニン、Triton X-100またはTween-20であり得る。
【0048】
一実施形態では、架橋は、細胞内(重要なことに、細胞間では決してない)の核酸配列または分子(例えば、DNA)の近傍の対間で架橋された接合を創出し得る。一部の接合は、同じ核酸分子上の核酸または遺伝子配列間であり得る。一部の場合には、接合は、1つまたは複数のプラスミド上の遺伝子とゲノムDNA内に存在する宿主細胞遺伝子との間であり得る。一部の場合には、接合は、複数の染色体上の核酸配列または遺伝子間であり得る。
架橋された接合の消化
【0049】
一部の場合には、本明細書で提供される方法を使用して生成される架橋された接合(例えば、架橋されたクロマチン)は、DNA末端を創出するために消化され得る。DNA末端は、引き続くステップにおいて、互いに連結またはライゲーションされ得る。架橋された接合の消化は、例えば、制限酵素またはエンドヌクレアーゼ(例えば、DNAse IまたはMNase)などの酵素を使用して、実施され得る。一部の場合には、架橋された接合の断片化は、オーバーハングまたは「粘着」DNA末端を生成する。オーバーハングまたは「粘着」末端は、「フィルイン」され得る、または平滑にされ得る。フィルインは、当該分野で公知の任意の方法または酵素、例えば、クレノウ断片などを使用して達成され得る。一部の場合には、断片化は、制限酵素消化によって達成され、オーバーハング末端は、E.coli DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を使用してフィルインされる。
DNA末端の連結/ライゲーション
【0050】
DNA末端の消化および生成の後、生成されたDNA末端は、連続的な骨格を有する単一のより大きいポリヌクレオチドを産生するために、共有結合で付着されていてもよい。DNA末端を連結するための方法は、当該分野で公知であり、これには、限定なしに、酵素的および非酵素的(例えば、化学的)方法が含まれる。非酵素的であるライゲーション反応の例には、本明細書で参照によって組み込まれる米国特許第5,780,613号および同第5,476,930号に記載される非酵素的ライゲーション技術が含まれる。一部の実施形態では、DNA末端は、リガーゼ、例えば、DNAリガーゼまたはRNAリガーゼなどを介したライゲーションによって連結される。特徴付けられた反応条件を各々が有する複数のリガーゼが、当該分野で公知であり、これには、限定なしに、tRNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Therrnusfi4fonnis DNAリガーゼ、Escherichia coli DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Thermus scoroducws DNAリガーゼ(IおよびII)、熱安定性リガーゼ、Ampligase熱安定性DNAリガーゼ、VanC型リガーゼ、9°N DNAリガーゼ、Tsp DNAリガーゼ、およびバイオプロスペクティングによって発見される新規リガーゼを含むNAD依存的リガーゼ;T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T3 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、Pth DNAリガーゼ、DNAリガーゼ1、DNAリガーゼIll、DNAリガーゼIV、およびバイオプロスペクティングによって発見される新規リガーゼを含むATP依存的リガーゼ;ならびにそれらの野生型、変異体アイソフォーム、および遺伝子操作されたバリアントが含まれる。架橋された接合の消化は、ハイブリダイズ可能な配列、例えば、相補的なオーバーハングを有するDNA末端を生成でき、それによって、粘着末端ライゲーションのために有用であり得る。架橋された接合の消化は、平滑であるDNA末端を生成でき、それによって、平滑末端ライゲーションのために有用であり得る。一般に、5’リン酸が、ライゲーション反応において利用される。5’リン酸は、生成されたDNA末端の一方または両方によって提供され得る。5’リン酸は、必要に応じて、連結されるDNA末端に付加され得る、または連結されるDNA末端から除去され得る。
【0051】
5’リン酸の付加または除去のための方法は、当該分野で公知であり、これには、限定なしに、酵素的および化学的プロセスが含まれる。5’リン酸の付加および/または除去において有用な酵素には、キナーゼ、ホスファターゼおよびポリメラーゼが含まれる。一部の実施形態では、2つの末端を連結する際に2つの共有結合が作製されるように、ライゲーション反応において連結される2つの末端の両方が、5’リン酸を提供する。一部の実施形態では、2つの末端を連結する際に共有結合が1つだけ作製されるように、ライゲーション反応において連結される2つの末端の一方のみが、5’リン酸を提供する。一部の実施形態では、3’リン酸は、ライゲーション前に除去される。
【0052】
以前に記載したように、DNA末端は、ビオチン標識された接合を創出するために、ライゲーション前にビオチン化され得る。
接合を放出させること
【0053】
本明細書で議論したように、近接接合の生成後、架橋された核酸は、架橋の放出に供され得る。架橋の放出は、目的の標的配列(即ち、「クエリー遺伝子」)の捕捉、ならびにそれと関連するまたは目的の標的配列と近接して位置する任意のおよび全ての核酸の引き続く検出を促進し得る。放出は、全てのDNAを放出させるように架橋を逆転させることによって、またはネイキッドDNA近接接合を放出させるように、架橋された/ライゲーションされたクロマチンを断片化することによって、実施され得る。架橋の逆転は、当該分野で公知の任意の方法を使用して達成され得る。例えば、架橋は、酵素的または非酵素的手段を使用して逆転され得る。架橋逆転のための酵素的手段の非限定的な例には、制限酵素、プロテアーゼまたはプロテイナーゼKでの処理が含まれるが、非酵素的架橋逆転手段の非限定的な例には、熱処理が含まれる。一部の場合には、架橋を逆転させることは、少なくとも約55℃、少なくとも約65℃または少なくとも約95℃まで架橋を加熱することを含む。一部の場合には、架橋を逆転させることは、プロテイナーゼKなどのプロテイナーゼと共にパーティションをインキュベートすることを含む。一部の場合には、酵素的手段(例えば、プロテアーゼまたはプロテイナーゼK)および非酵素的手段(例えば、熱処理)の組合せが、架橋を逆転させるために使用される。あるいは、架橋は、架橋された/連結された(例えば、ライゲーションされた)クロマチンを断片化するために超音波処理に供され得、それによって、ネイキッド近接接合を放出させ得る。一部の場合には、架橋の逆転が、pHを変化させることによって、または例えばUV光を使用して架橋を光で逆転させることによって達成することができるように、前記架橋を生成するために使用されるクロスリンカーは、例えば、ソラレンなど、可逆的である。
【0054】
一部の実施形態では、近接接合は、精製および検出前に富化され得る。一実施形態では、ビオチン標識は、本明細書に記載されるように近接接合に付け足され、アビジンもしくはストレプトアビジン部分でコーティングされたまたはそれにカップリングされた基材、例えばアフィニティービーズなどに、ハイブリダイズまたは結合される。引き続いて、非結合複合体が、ビオチン/アビジン(ストレプトアビジン)複合体から、洗浄または分離される。ビオチン選択は、近接接合の選択または精製前に、顕著な量の背景DNAを除去するように機能し得る。
選択および検出
【0055】
近接接合の放出および/または富化後、目的のクエリー配列と関連する、それと共局在する、またはそれと近接した1つまたは複数の配列は、選択または精製され得、引き続いて検出され得る。一部の実施形態では、近接接合は、DNA捕捉テクノロジー(エキソーム精製と同様の)を用いて富化される。一実施形態では、目的のクエリー配列は、目的のクエリー配列に対して相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチド(例えば、図1の捕捉プライマーを参照のこと)に曝露されることによって、選択または精製される。一実施形態では、適切な近接接合を捕捉するために使用されるオリゴヌクレオチド中の相補的な配列は、目的の異なるクエリー遺伝子もしくは配列のために変化させてもよく、および/または目的の遺伝子周囲の別個のもしくは異なる配列を各々が含む捕捉オリゴヌクレオチドのプールであり得る。
【0056】
一実施形態では、目的のクエリーまたは標的配列に対して相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドは、それに付着した部分を有する。この部分は、好ましくは、捕捉オリゴヌクレオチドの5’末端において付着される。一実施形態では、この部分は、ビオチンである(例えば、図1を参照のこと)。一実施形態では、目的のクエリー配列に対して相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドは、その5’末端に付着した部分(例えば、ビオチン)をさらに含む。この実施形態に加えて、捕捉オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションを促進するまたは許容する条件下で、放出された近接接合に導入される。捕捉オリゴヌクレオチドは、これらの近接接合(例えば、DNA接合)に結合でき、このとき、接合の少なくとも一方の側または部分は、捕捉オリゴヌクレオチド中に存在する配列に対して相補的なクエリー配列を含み、それによって、近接接合の少なくとも一方の側または部分に結合した捕捉オリゴヌクレオチドを含む複合体を生成する。次いで、複合体は、捕捉オリゴヌクレオチド上の(例えば、5’末端上の)部分を、固体基材またはマトリックスと複合体化させることによって、単離または精製され得る。捕捉オリゴヌクレオチドがビオチンで標識される場合、複合体化は、固体マトリックス、あるいはアビジンもしくはストレプトアビジンでコーティングされたまたはそれと複合体化されたマトリックスの使用を介して促進され得る。基材またはマトリックスは、ビーズ、例えば、磁性ビーズまたはアフィニティービーズなどであり得る。
【0057】
別の実施形態では、目的のクエリー配列に対して相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドは、放出された近接接合に導入される前に、固体基材またはマトリックス(例えば、アフィニティービーズまたは磁性ビーズ)に付着される。この場合には、固体基材またはマトリックスは、捕捉オリゴヌクレオチドで事前にローディングされると言うことができる。捕捉オリゴヌクレオチドがビオチンで標識される場合、事前のローディングは、アビジンもしくはストレプトアビジンでコーティングされたまたはそれと複合体化された固体基材またはマトリックスの使用を介して促進され得る。次いで、放出された近接接合は、目的のクエリー配列に対して相補的な配列を含む前記固体基材またはマトリックスに、ハイブリダイゼーションを促進するまたは許容する条件下で、曝露され得る。基材またはマトリックスは、これらの近接接合(例えば、DNA接合)に結合でき、このとき、接合の少なくとも一方の側または部分は、固体基材またはマトリックスに付着した配列に対して相補的なクエリー配列(例えば、「クエリー遺伝子」、例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含む。
【0058】
したがって、上記実施形態に加えて、マトリックス/ビーズを精製することは、クエリー配列を含む接合を精製するように機能し得る。望ましい近接接合の捕捉後、目的のクエリー配列との近接接合中に存在する1つまたは複数の配列は、標識され得る。図1に示されるように、近接接合をカバーする配列は、PCRまたは伸長/置き換えポリメラーゼを使用して延長され得る。標識は、配列決定(例えば、NGS)による、または標識された1つもしくは複数の配列に対して相補的な配列を含むマイクロアレイへのハイブリダイゼーション(接合の「他方の側」上の目的の配列の存在をアッセイするための)による、前記1つまたは複数の配列の検出を可能にするように機能し得る。1つまたは複数の配列の標識は、当該分野で公知の任意の方法を使用して、例えば、1つまたは複数の標識されたヌクレオチド(例えば、Cy3またはCy5標識されたdUTP)を用いたPCRなどを使用して、実施され得る。マイクロアレイ上の配列への、標識された1つまたは複数の配列の結合の検出は、当該分野で公知の任意の方法を使用して検出され得る。
【0059】
別の実施形態では、クエリー配列を含む近接接合は、目的のクエリー配列の相補体が1つのプライマー上に配置されるが、第2のプライマーまたは第2のプライマーのセットが、ランダム配列、または公知の配列の混合プールに対して指向され得るような、PCRによって選択または増幅され得る。この実施形態では、第2のプライマーまたは第2のプライマーのセットは、ランダムになるように変動され得る、または公知の配列に対して指向されるプライマーの混合プールに限定され得る。一部の場合には、目的のクエリー配列との近接接合中に存在する1つまたは複数の配列は、標識され得る。標識は、標識された1つまたは複数の配列に対して相補的な配列を含むマイクロアレイへの、前記標識された1つまたは複数の配列の結合の際に、前記1つまたは複数の配列の検出を可能にするように機能し得る。1つまたは複数の配列の標識は、当該分野で公知の任意の方法を使用して、例えば、1つまたは複数の標識されたヌクレオチド(例えば、Cy3またはCy5標識されたdUTP)を用いたPCRなどを使用して、実施され得る。マイクロアレイ上の配列への、標識された1つまたは複数の配列の結合の検出は、当該分野で公知の任意の方法を使用して検出され得る。
【0060】
さらに別の実施形態では、第1および/または第2のプライマーが、それに付け足された配列決定アダプター配列を有することができるように、選択は、本明細書に記載されるPCRの使用を必然的に伴う。配列決定アダプター配列の存在は、配列決定ライブラリーの迅速な創出を可能にし得る。配列決定ライブラリーは、引き続いて、シーケンサー中にローディングされ得、配列決定され得る。シーケンサーは、当該分野で公知の任意の型の配列決定と適合性であり得る。一部の場合には、配列決定の型は、公知の次世代配列決定(NGS)方法およびその使用のためのシステムである。例えば、NGS配列決定は、Illumina(登録商標)配列決定、Polony配列決定、454パイロシークエンシング、Illumina(Solexa)配列決定、SOLiD配列決定、Ion Torrent半導体配列決定、DNAナノボール配列決定、Heliscope単一分子配列決定、単一分子リアルタイム(SMRT)配列決定またはNanopore DNA配列決定であり得る。
微生物抗生物質耐性遺伝子の検出
【0061】
一実施形態では、本明細書で提供される方法は、微生物細胞の1つの集団または混合集団を含む試料中の、標的核酸(即ち、目的のクエリー配列)との、1つまたは複数の微生物遺伝子の関連または存在を検出または決定するために利用される。1つまたは複数の微生物遺伝子は、試料中の細胞(例えば、微生物細胞)内の標的核酸と共局在され得、それと隣接し得、またはそれと近接し得る。試料は、微生物細胞またはその混合集団を含む任意の試料、例えば、個体または患者内の感染の部位などであり得る。1つもしくは複数の微生物遺伝子および/または標的核酸は、ゲノムDNA、またはプラスミドもしくは他の染色体外実体上に位置する遺伝子であり得る。1つもしくは複数の微生物遺伝子および/または標的核酸は、毒性微生物遺伝子であり得る。一実施形態では、1つもしくは複数の微生物遺伝子および/または標的核酸は、抗生物質耐性遺伝子である。抗生物質耐性遺伝子は、当該分野で公知の抗生物質に対する耐性を付与する任意の遺伝子であり得る。抗生物質は、アミノグリコシド、ベータ-ラクタム、マクロライド-リンコサミド-ストレプトグラミンB(MLS)、テトラサイクリン、バンコマイシンから選択され得る。抗生物質耐性遺伝子は、当該分野で公知の任意の抗生物質耐性遺伝子であり得る。例えば、抗生物質耐性遺伝子は、任意の多剤トランスポーター遺伝子であり得る。抗生物質耐性遺伝子は、例えば、aac2ia、aac2ib、aac2ic、aac2id、aac2i、aac3ia、aac3iia、aac3iib、aac3iii、aac3iv、aac3ix、aac3vi、aac3viii、aac3vii、aac3x、aac6i、aac6ia、aac6ib、aac6ic、aac6ie、aac6if、aac6ig、aac6iia、aac6iib、aad9、aad9ib、aadd、acra、acrb、adea、adeb、adec、amra、amrb、ant2ia、ant2ib、ant3ia、ant4iia、ant6ia、aph33ia、aph33ib、aph3ia、aph3ib、aph3ic、aph3iiia、aph3iva、aph3va、aph3vb、aph3via、aph3viia、aph4ib、aph6ia、aph6ib、aph6ic、aph6id、arna、baca、bcra、bcrc、bl1_acc、bl1_ampc、bl1_asba、bl1_ceps、bl1_cmy2、bl1_ec、bl1_fox、bl1_mox、bl1_och、bl1_pao、bl1_pse、bl1_sm、bl2a_1、bl2a_exo、bl2a_iii2、bl2a_iii、bl2a_kcc、bl2a_nps、bl2a_okp、bl2a_pc、bl2be_ctxm、bl2be_oxy1、bl2be_per、bl2be_shv2、bl2b_rob、bl2b_tem1、bl2b_tem2、bl2b_tem、bl2b_tle、bl2b_ula、bl2c_bro、bl2c_pse1、bl2c_pse3、bl2d_lcr1、bl2d_moxa、bl2d_oxa10、bl2d_oxa1、bl2d_oxa2、bl2d_oxa5、bl2d_oxa9、bl2d_r39、bl2e_cbla、bl2e_cepa、bl2e_cfxa、bl2e_fpm、bl2e_y56、bl2f_nmca、bl2f_sme1、bl2_ges、bl2_kpc、bl2_len、bl2_veb、bl3_ccra、bl3_cit、bl3_cpha、bl3_gim、bl3_imp、bl3_l、bl3_shw、bl3_sim、bl3_vim、ble、blt、bmr、cara、cata10、cata11、cata12、cata13、cata14、cata15、cata16、cata1、cata2、cata3、cata4、cata5、cata6、cata7、cata8、cata9、catb1、catb2、catb3、catb4、catb5、ceoa、ceob、cml_e1、cml_e2、cml_e3、cml_e4、cml_e5、cml_e6、cml_e7、cml_e8、dfra10、dfra12、dfra13、dfra14、dfra15、dfra16、dfra17、dfra19、dfra1、dfra20、dfra21、dfra22、dfra23、dfra24、dfra25、dfra25、dfra25、dfra26、dfra5、dfra7、dfrb1、dfrb2、dfrb3、dfrb6、emea、emrd、emre、erea、ereb、erma、ermb、ermc、ermd、erme、ermf、ermg、ermh、ermn、ermo、ermq、ermr、erms、ermt、ermu、ermv、ermw、ermx、ermy、fosa、fosb、fosc、fosx、fusb、fush、ksga、lmra、lmrb、lnua、lnub、lsa、maca、macb、mdte、mdtf、mdtg、mdth、mdtk、mdtl、mdtm、mdtn、mdto、mdtp、meca、mecr1、mefa、mepa、mexa、mexb、mexc、mexd、mexe、mexf、mexh、mexi、mexw、mexx、mexy、mfpa、mpha、mphb、mphc、msra、norm、oleb、opcm、opra、oprd、oprj、oprm、oprn、otra、otrb、pbp1a、pbp1b、pbp2b、pbp2、pbp2x、pmra、qac、qaca、qacb、qnra、qnrb、qnrs、rosa、rosb、smea、smeb、smec、smed、smee、smef、srmb、sta、str、sul1、sul2、sul3、tcma、tcr3、tet30、tet31、tet32、tet33、tet34、tet36、tet37、tet38、tet39、tet40、teta、tetb、tetc、tetd、tete、tetg、teth、tetj、tetk、tetl、tetm、teto、tetpa、tetpb、tet、tetq、tets、tett、tetu、tetv、tetw、tetx、tety、tetz、tlrc、tmrb、tolc、tsnr、vana、vanb、vanc、vand、vane、vang、vanha、vanhb、vanhd、vanra、vanrb、vanrc、vanrd、vanre、vanrg、vansa、vansb、vansc、vansd、vanse、vansg、vant、vante、vantg、vanug、vanwb、vanwg、vanxa、vanxb、vanxd、vanxyc、vanxye、vanxyg、vanya、vanyb、vanyd、vanyg、vanz、vata、vatb、vatc、vatd、vate、vgaa、vgab、vgba、vgbb、vph、ykkc、ykkdまたはそれらの任意の組合せから選択され得る。抗生物質遺伝子は、今後発見されるまたは未だ記載されていない任意の抗生物質耐性遺伝子であり得る。
【0062】
一実施形態では、適切な近接接合を捕捉するために使用される目的のクエリー配列は、任意の公知の微生物遺伝子である。例えば、目的のクエリー配列は、抗生物質耐性遺伝子(例えば、本明細書で列挙される抗生物質耐性遺伝子のいずれか)である。この実施形態に加えて、目的のクエリー配列(例えば、本明細書で提供される抗生物質耐性遺伝子)に対して相補的な配列は、固体基材(例えば、アフィニティービーズまたは磁性ビーズ)に付着されていてもよいし、またはその上に事前にローディングされてもよい。次いで、放出された近接接合は、ハイブリダイゼーションを促進するまたは許容する条件下で、目的のクエリー配列に対して相補的な配列を含む前記固体基材に曝露され得る。望ましい近接接合の捕捉後、目的のクエリー配列(例えば、本明細書で提供される抗生物質耐性遺伝子)との近接接合中に存在する1つまたは複数の配列は、標識され得る。標識は、標識された1つまたは複数の配列に対して相補的な配列を含むマイクロアレイへの、前記標識された1つまたは複数の配列の結合の際に、前記1つまたは複数の配列の検出を可能にするように機能し得る。一部の場合には、マイクロアレイは、当該分野で公知のおよび/または本明細書で提供される任意の抗生物質耐性遺伝子を含む。1つまたは複数の配列の標識は、当該分野で公知の任意の方法を使用して、例えば、1つまたは複数の標識されたヌクレオチド(例えば、Cy3またはCy5標識されたdUTP)を用いたPCRなどを使用して、実施され得る。マイクロアレイ上の配列への、標識された1つまたは複数の配列の結合の検出は、当該分野で公知の任意の方法を使用して検出され得る。
がん遺伝子の検出
【0063】
一実施形態では、本明細書で提供される方法は、がんに罹患しているまたはがんを有する疑いがある患者から得られた試料中の、標的核酸(即ち、目的の配列)との、1つまたは複数の核酸の関連または存在を検出または決定するために利用される。1つまたは複数の核酸は、試料中の細胞内の標的核酸と共局在され得、それと隣接し得、またはそれと近接し得る。1つまたは複数の核酸は、特定の型のがんと関連する任意の遺伝子または遺伝子変異であり得る。標的核酸は、特定の型のがんと関連する任意の遺伝子または遺伝子変異であり得る。1つもしくは複数の核酸および/または標的核酸は、特定の型のがんと関連するまたは関連し得る、当該分野で公知の任意の癌遺伝子、または腫瘍抑制遺伝子の変異体であり得る。試料は、固形腫瘍試料(例えば、組織生検)または体液試料であり得る。体液(液体生物学的試料または液体生検とも呼ばれる)は、血液(全血、白血球、末梢血単核球、バフィーコート、血漿および血清を含む)、痰、涙、粘液、鼻洗浄液、鼻吸引液、呼気、尿、精液、射精液、唾液、髄膜液(meningeal fluid)、羊水、腺液(glandular fluid)、リンパ液、乳頭吸引液、気管支吸引液、滑液、関節吸引液、腹水、細胞、細胞性抽出物および脳脊髄液であり得る。一部の場合には、体液は、血液である。一部の場合には、腫瘍試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料である。一部の場合には、腫瘍試料は、新鮮凍結試料である。
【0064】
本明細書で提供される方法および組成物における使用のためのがんの非限定的な例には、副腎皮質がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳または神経系のがん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、ユーイングファミリーの腫瘍、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイドがん、消化管間質性がん、ホジキン病、腸がん、カポジ肉腫、腎臓がん、大腸がん、喉頭がん、下咽頭がん、喉頭および下咽頭がん、白血病、ヘアリー細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、非HCLリンパ系腫瘍(ヘアリー細胞異型、脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)、脾びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫(SDRPSBCL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病、低悪性度リンパ腫、全身性肥満細胞症、または脾リンパ腫/白血病・分類不能型(SLLU))、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、鼻腔がん、副鼻腔がん、鼻腔および副鼻腔がん、上咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、中咽頭がん、口腔および中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、成人軟部肉腫、皮膚がん、基底細胞皮膚がん、扁平上皮皮膚がん、基底細胞および扁平上皮皮膚がん、黒色腫、胃がん、小腸がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮肉腫、子宮がん、膣がん、外陰部がん、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症ならびにウィルムス腫瘍が含まれる。
【0065】
一実施形態では、適切な近接接合を捕捉するために使用される目的のクエリー配列は、任意の公知の癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子またはハウスキーピング遺伝子の変異である。この実施形態に加えて、目的のクエリー配列(例えば、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子またはハウスキーピング遺伝子の変異)に対して相補的な配列は、固体基材(例えば、アフィニティービーズまたは磁性ビーズ)に付着されていてもよいし、またはその上に事前にローディングされてもよい。次いで、放出された近接接合は、ハイブリダイゼーションを促進するまたは許容する条件下で、目的のクエリー配列に対して相補的な配列を含む前記固体基材に曝露され得る。望ましい近接接合の捕捉後、目的のクエリー配列(例えば、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子またはハウスキーピング遺伝子の変異)との近接接合中に存在する1つまたは複数の配列は、標識され得る。標識は、標識された1つまたは複数の配列に対して相補的な配列を含むマイクロアレイへの、前記標識された1つまたは複数の配列の結合の際に、前記1つまたは複数の配列の検出を可能にするように機能し得る。一部の場合には、マイクロアレイは、当該分野で公知のおよび/または本明細書で提供される任意の癌遺伝子、または腫瘍抑制遺伝子の変異を含む。1つまたは複数の配列の標識は、当該分野で公知の任意の方法を使用して、例えば、1つまたは複数の標識されたヌクレオチド(例えば、Cy3またはCy5標識されたdUTP)を用いたPCRなどを使用して、実施され得る。マイクロアレイ上の配列への、標識された1つまたは複数の配列の結合の検出は、当該分野で公知の任意の方法を使用して検出され得る。
【実施例
【0066】
以下の実施例は、本開示の種々の実施形態を示す目的で提供されるのであって、いずれの様式でも本開示を限定することを意味しない。本開示の精神内に包含されるその中での変化および他の使用は、特許請求の範囲によって定義されるように、当業者によって認識される。
(実施例1)
混合細胞集団に対する捕捉Hi-C方法の使用:原理の証拠
序文
【0067】
この実施例は、混合細胞集団中の特異的標的配列に対するHi-C相互作用について富化するための、本明細書で提供される捕捉Hi-C方法の使用に関する原理の証拠を実証する。
材料および方法
【0068】
この方法を試験するために、微生物細胞(即ち、Bacillus subtilisおよびEscherichia coli)の混合集団に由来する近接接合のライブラリーを、本明細書で提供され、図1に記載される方法を使用して生成した。特に、インタクトなBacillus subtilisおよびEscherichia coli細胞の混合集団を、クロスリンカー(室温で20分間の1%ホルムアルデヒド)で処理し、1%の最終濃度のグリシンでクエンチした。引き続いて、架橋されたクロマチンを、物理(ビーズ叩打)および化学(1%Triton X100とその後の1%SDS;65℃まで加熱)の組合せによって混合微生物細胞集団から精製し、その後、架橋された材料をペレット化し、トリス緩衝食塩水で洗浄した。架橋されたクロマチン内のDNAを、制限酵素消化によって断片化し、オーバーハング末端を、E.coli DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を使用してフィルインし、そのプロセスにおいてビオチン化デオキシアデノシン(deoxyadensosine)を取り込んだ。次いで、断片化された架橋されたクロマチンを、室温で4時間の、T4 DNAリガーゼを使用した近接ライゲーションに供した。架橋を、プロテイナーゼKで処理し、65℃まで1時間加熱することによって逆転させた。DNAを、カラムクロマトグラフィーを使用して精製した。次いで、内部ビオチンを含む精製されたDNAを、ストレプトアビジンコーティングされた常磁性ビーズを使用して捕捉した。NGS配列決定アダプターを、Nextera酵素を使用したタグメンテーション(即ち、DNAのトランスポゾン切断およびタグ化)によって、捕捉DNA配列に付加した。ビーズを洗浄し、次いでPCRに供して、Illumina適合性を有する配列決定ライブラリー(即ち、インプットHi-Cライブラリー)を創出した。
【0069】
インプットHi-CライブラリーのPCR増幅後、過剰なプライマーを、固相可逆固定(SPRI)ビーズ方法を使用して除去し、蛍光光度法によって定量した。標的配列を含む近接接合の選択およびそれと関連した配列の検出を促進するために、これらの微生物種の各々中の領域にハイブリダイズすると予測される捕捉プローブを生成し(表1)、捕捉を、プローブの各々について独立して実施した。
【0070】
【表1-1】
【表1-2】
【0071】
より具体的には、別々の反応において、500ngの増幅され精製されたHi-Cインプットライブラリーを、高塩緩衝液(6×SSC(0.9M塩化ナトリウムおよび90mMクエン酸ナトリウム))および表1の捕捉プローブのうち1つを含む捕捉ハイブリダイゼーション反応に添加した。各捕捉プローブは、オリゴヌクレオチドの5’末端に共有結合したビオチン分子を保有する120~150ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオチドであることに留意すべきである。
【0072】
各反応において、プローブおよびライブラリーを、95℃まで加熱したサーモサイクラーにおいて、ハイブリダイゼーション溶液中で一緒に変性させた。5分間の変性期間後、プローブを、オリゴヌクレオチド捕捉プローブの予測された融点(T)よりも5℃低い温度で、ライブラリー中の標的配列にハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションのこの期間の後、ハイブリダイゼーション反応を、捕捉プローブのTよりも5℃低い温度で維持しつつ、ストレプトアビジンコーティングされた常磁性ビーズを、ハイブリダイゼーション反応に添加した。5分間の結合後、ビーズ/ハイブリダイゼーション反応スラリーを、磁性チューブスタンド上に配置し、上清を除去した。ビーズを、加熱した6×SSCで3回洗浄し、低塩緩衝液(1×SSC)で1回洗浄した。ビーズを、PCR反応中に再懸濁し、インプットHi-Cライブラリーの生成の間に増幅した。次いで、インプットおよび捕捉ライブラリーを、Illumina HiSeq 4000を使用したハイスループット配列決定に供した。
結果
【0073】
各場合において、プローブに対して相補的な配列は、同じゲノム中の他の領域と比較して、捕捉ライブラリーにおいて大きな比率を占めた(図2A)。予測したとおり、捕捉された配列に対応するリードにおけるこの富化によって、捕捉された配列と関連するHi-Cシグナルの割合における富化が観察された(図2B~Dを参照のこと)。宿主ゲノムの2つの異なる領域間でのそれらのマッピングにおいて分割されたリードのフラクション(図2B)および参照ゲノム中の互いに10kbよりも離れたリード対マッピングのフラクション(図2C)は増加したが、互いに0距離のリード対マッピングのフラクションは、捕捉後に減少した(図2D)。これらの測定基準は、記載された捕捉Hi-C方法が、特異的配列に対するHi-C相互作用を富化することが可能であることを示している。
本開示の番号付き実施形態
【0074】
本開示によって企図される他の主題は、以下の番号付き実施形態に示される。
1.標的核酸を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定するための方法であって、
細胞中の1つまたは複数の核酸と標的核酸との間で近接接合を生成するステップであって、細胞が、混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;
1つまたは複数の核酸と標的核酸との間での近接接合を捕捉するステップであって、近接接合を、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および
標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした近接接合中の1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、標的核酸を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップ
を含む、方法。
2.1つまたは複数の核酸と標的核酸との間での近接接合の生成が、
i.)細胞を含む試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、架橋剤が、細胞中においてタンパク質および1つまたは複数の核酸を標的核酸と架橋させ、それによって、1つまたは複数の核酸と標的核酸との間で複合体を生成する、ステップ;
ii.)細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;
iii.)1つまたは複数の核酸と標的核酸との間での複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;
iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびに
v.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、1つまたは複数の核酸と標的核酸との間で近接接合を生成する、ステップ
を含む、実施形態1に記載の方法。
3.架橋試薬が、ホルムアルデヒドを含む、実施形態2に記載の方法。
4.複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む、実施形態2に記載の方法。
5.架橋クエンチャーがグリシンである、実施形態4に記載の方法。
6.エンドヌクレアーゼが、制限エンドヌクレアーゼである、実施形態2から5のいずれかに記載の方法。
7.エンドヌクレアーゼがDNaseである、実施形態2から5のいずれかに記載の方法。
8.エンドヌクレアーゼがMNaseである、実施形態2から5のいずれかに記載の方法。
9.放出させるステップが、架橋されたタンパク質を、プロテアーゼ、熱またはそれらの組合せから選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む、実施形態2から8のいずれかに記載の方法。
10.放出させるステップが、複合体を断片化することを含む、実施形態2から8のいずれかに記載の方法。
11.標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドが、5’末端に付着した部分をさらに含む、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
12.部分がビオチンである、実施形態11に記載の方法。
13.標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドが、固体基材に結合される、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
14.固体基材が、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される、実施形態13に記載の方法。
15.ビーズが磁性ビーズである、実施形態14に記載の方法。
16.遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される近接接合が、ビオチン標識される、実施形態2から15のいずれかに記載の方法。
17.ビオチン標識された近接接合が、近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、精製ステップが、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む、実施形態16に記載の方法。
18.捕捉するステップが、標的核酸を富化することをさらに含み、富化することが、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーが、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
19.捕捉するステップが、標的核酸を富化することをさらに含み、富化することが、標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーが、ランダム配列を含む、実施形態1から17のいずれかに記載の方法。
20.オリゴヌクレオチド、およびプライマーのセット中の各プライマーが、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む、実施形態18または19に記載の方法。
21.分析するステップが、近接接合中の1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む、実施形態20に記載の方法。
22.分析するステップが、近接接合中に存在する1つまたは複数の核酸を標識することを含む、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
23.標識された1つまたは複数の核酸が、マイクロアレイにハイブリダイズされる、実施形態22に記載の方法。
24.標的核酸が、抗生物質耐性遺伝子である、上記実施形態のいずれかに記載の方法。
25.混合細胞集団を含む試料が、個体における感染の部位に由来する、実施形態24に記載の方法。
26.混合細胞集団を含む試料が、農業的試料に由来する、実施形態24に記載の方法。
27.農業的試料が、ウシルーメンまたは厩肥である、実施形態26に記載の方法。
28.標的核酸が、プラスミド、ウイルスまたはゲノムDNA中に存在する、実施形態24から27のいずれかに記載の方法。
29.1つまたは複数の核酸の各々が、プラスミド、ウイルスまたはゲノムDNA中に存在する、実施形態24から28のいずれかに記載の方法。
30.標的核酸が、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子である、実施形態1から23のいずれかに記載の方法。
31.混合集団を含む試料が、腫瘍試料である、実施形態30に記載の方法。
32.抗生物質耐性遺伝子と関連する1つまたは複数の核酸を検出するための方法であって、
細胞中の1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間で近接接合を生成するステップであって、細胞が、混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;
1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間での近接接合を捕捉するステップであって、近接接合を、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および
抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした近接接合中の1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、抗生物質耐性遺伝子を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップ
を含む、方法。
33.1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間での近接接合の生成が、
i.)細胞を含む試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、架橋剤が、細胞中においてタンパク質および1つまたは複数の核酸を抗生物質耐性遺伝子と架橋させ、それによって、1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間で複合体を生成する、ステップ;
ii.)細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;
iii.)1つまたは複数の核酸と癌遺伝子との間での複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;
iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびに
v.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間で近接接合を生成する、ステップ
を含む、実施形態32に記載の方法。
34.架橋試薬が、ホルムアルデヒドを含む、実施形態33に記載の方法。
35.複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む、実施形態33に記載の方法。
36.架橋クエンチャーがグリシンである、実施形態35に記載の方法。
37.エンドヌクレアーゼが、制限エンドヌクレアーゼである、実施形態33から36のいずれかに記載の方法。
38.エンドヌクレアーゼがDNaseである、実施形態33から36のいずれかに記載の方法。
39.エンドヌクレアーゼがMNaseである、実施形態33から36のいずれかに記載の方法。
40.放出させるステップが、架橋されたタンパク質を、プロテアーゼ、熱またはそれらの組合せから選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む、実施形態33から39のいずれかに記載の方法。
41.放出させるステップが、複合体を断片化することを含む、実施形態33から39のいずれかに記載の方法。
42.抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドが、5’末端に付着した部分をさらに含む、実施形態32から41のいずれかに記載の方法。
43.部分がビオチンである、実施形態42に記載の方法。
44.抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドが、固体基材に結合される、実施形態32から43に記載の方法。
45.固体基材が、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される、実施形態44に記載の方法。
46.ビーズが磁性ビーズである、実施形態45に記載の方法。
47.遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される近接接合が、ビオチン標識される、実施形態33から46のいずれかに記載の方法。
48.ビオチン標識された近接接合が、近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、精製ステップが、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む、実施形態47に記載の方法。
49.捕捉するステップが、抗生物質耐性遺伝子を富化することをさらに含み、富化することが、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーが、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む、実施形態32から48のいずれかに記載の方法。
50.捕捉するステップが、抗生物質耐性遺伝子を富化することをさらに含み、富化することが、抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーが、ランダム配列を含む、実施形態32から48のいずれかに記載の方法。
51.オリゴヌクレオチド、およびプライマーのセット中の各プライマーが、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む、実施形態49または50に記載の方法。
52.分析するステップが、近接接合中の1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む、実施形態51に記載の方法。
53.分析するステップが、近接接合中に存在する1つまたは複数の核酸を標識することを含む、実施形態32から52のいずれかに記載の方法。
54.標識された1つまたは複数の核酸が、マイクロアレイにハイブリダイズされる、実施形態53に記載の方法。
55.抗生物質耐性遺伝子が、プラスミドまたは細胞のゲノム中に存在する、実施形態32から54のいずれかに記載の方法。
56.1つまたは複数の核酸の各々が、プラスミドまたは細胞のゲノム中に存在する、実施形態32から55のいずれかに記載の方法。
57.試料が、個体における感染の部位に由来する、実施形態32から56のいずれかに記載の方法。
58.試料が、農業的試料に由来する、実施形態32から56のいずれかに記載の方法。
59.農業的試料が、ウシルーメンまたは厩肥である、実施形態58に記載の方法。
60.癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子と関連する1つまたは複数の核酸を検出するための方法であって、
細胞中の1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間で近接接合を生成するステップであって、細胞が、個体に由来する混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;
1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間での近接接合を捕捉するステップであって、近接接合を、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および
癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした近接接合中の1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップ
を含む、方法。
61.1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間での近接接合の生成が、
i.)試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、架橋剤が、細胞中においてタンパク質および1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子とを架橋させ、それによって、1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間で複合体を生成する、ステップ;
ii.)細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;
iii.)1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間での複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;
iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびに
v.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間で近接接合を生成する、ステップ
を含む、実施形態60に記載の方法。
62.架橋試薬が、ホルムアルデヒドを含む、実施形態61に記載の方法。
63.複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む、実施形態61に記載の方法。
64.架橋クエンチャーがグリシンである、実施形態63に記載の方法。
65.エンドヌクレアーゼが、制限エンドヌクレアーゼである、実施形態61から64のいずれかに記載の方法。
66.エンドヌクレアーゼがDNaseである、実施形態61から64のいずれかに記載の方法。
67.エンドヌクレアーゼがMNaseである、実施形態61から64のいずれかに記載の方法。
68.放出させるステップが、架橋されたタンパク質を、プロテアーゼまたは熱から選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む、実施形態61から67のいずれかに記載の方法。
69.放出させるステップが、複合体を断片化することを含む、実施形態61から67のいずれかに記載の方法。
70.抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドが、5’末端に付着した部分をさらに含む、実施形態60から69のいずれかに記載の方法。
71.部分がビオチンである、実施形態70に記載の方法。
72.癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドが、固体基材に結合される、実施形態60から71に記載の方法。
73.固体基材が、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される、実施形態72に記載の方法。
74.ビーズが磁性ビーズである、実施形態73に記載の方法。
75.遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される近接接合が、ビオチン標識される、実施形態61から74のいずれかに記載の方法。
76.ビオチン標識された近接接合が、近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、精製ステップが、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む、実施形態75に記載の方法。
77.捕捉するステップが、癌遺伝子を富化することをさらに含み、富化することが、癌遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーが、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む、実施形態60から76のいずれかに記載の方法。
78.捕捉するステップが、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子を富化することをさらに含み、富化することが、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーのセット中の各プライマーが、ランダム配列を含む、実施形態60から76のいずれかに記載の方法。
79.オリゴヌクレオチド、およびプライマーのセット中の各プライマーが、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む、実施形態77または78に記載の方法。
80.分析するステップが、近接接合中の1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む、実施形態79に記載の方法。
81.分析するステップが、近接接合中に存在する1つまたは複数の核酸を標識することを含む、実施形態60から80のいずれかに記載の方法。
82.標識された1つまたは複数の核酸が、マイクロアレイにハイブリダイズされる、実施形態81に記載の方法。
83.混合集団を含む試料が、腫瘍試料である、実施形態60から82のいずれかに記載の方法。
【0075】
上記種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。本明細書中で言及されるおよび/または出願データシートに列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は全て、それらの全体が本明細書で参照によって組み込まれる。実施形態の態様は、なおさらなる実施形態を提供するために、種々の特許、出願および刊行物のコンセプトを使用するために、必要に応じて改変され得る。
【0076】
これらおよび他の変化は、上に詳述した説明に照らして、実施形態に対してなされ得る。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、本明細書および特許請求の範囲に開示される具体的な実施形態に特許請求の範囲を限定すると解釈すべきではないが、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に、全ての可能な実施形態を含むと解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
標的核酸を含む細胞中の1つまたは複数の核酸の存在を決定するための方法であって、
細胞中の1つまたは複数の核酸と標的核酸との間で近接接合を生成するステップであって、前記細胞が、混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;
前記1つまたは複数の核酸と前記標的核酸との間での前記近接接合を捕捉するステップであって、前記近接接合を、前記標的核酸に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および
前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした前記近接接合中の前記1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、前記標的核酸を含む前記細胞中の前記1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップ
を含む、方法。
(項目2)
1つまたは複数の核酸と前記標的核酸との間での前記近接接合の生成が、
i.)前記細胞を含む前記試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、前記架橋剤が、前記細胞中においてタンパク質および前記1つまたは複数の核酸を前記標的核酸と架橋させ、それによって、前記1つまたは複数の核酸と前記標的核酸との間で複合体を生成する、ステップ;
ii.)前記細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;
iii.)前記1つまたは複数の核酸と前記標的核酸との間での前記複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;
iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびに
v.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、前記1つまたは複数の核酸と前記標的核酸との間で前記近接接合を生成する、ステップ
を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記架橋試薬が、ホルムアルデヒドを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記架橋クエンチャーがグリシンである、項目4に記載の方法。
(項目6)
エンドヌクレアーゼが、制限エンドヌクレアーゼである、項目2に記載の方法。
(項目7)
エンドヌクレアーゼがDNaseである、項目2に記載の方法。
(項目8)
エンドヌクレアーゼがMNaseである、項目2に記載の方法。
(項目9)
前記放出させるステップが、前記架橋されたタンパク質を、プロテアーゼ、熱またはそれらの組合せから選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む、項目2に記載の方法。
(項目10)
前記放出させるステップが、前記複合体を断片化することを含む、項目2に記載の方法。
(項目11)
前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、5’末端に付着した部分をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記部分がビオチンである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、固体基材に結合される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記固体基材が、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記ビーズが磁性ビーズである、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される前記近接接合が、ビオチン標識される、項目2に記載の方法。
(項目17)
ビオチン標識された前記近接接合が、前記近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、前記精製ステップが、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記捕捉するステップが、前記標的核酸を富化することをさらに含み、前記富化することが、前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした前記近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーの前記セット中の各プライマーが、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記捕捉するステップが、前記標的核酸を富化することをさらに含み、前記富化することが、前記標的核酸に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした前記近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーの前記セット中の各プライマーが、ランダム配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記オリゴヌクレオチド、およびプライマーの前記セット中の各プライマーが、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む、項目18または19に記載の方法。
(項目21)
前記分析するステップが、前記近接接合中の前記1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記分析するステップが、前記近接接合中に存在する前記1つまたは複数の核酸を標識することを含む、項目1に記載の方法。
(項目23)
標識された1つまたは複数の核酸が、マイクロアレイにハイブリダイズされる、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記標的核酸が、抗生物質耐性遺伝子である、項目1に記載の方法。
(項目25)
前記混合細胞集団を含む前記試料が、個体における感染の部位に由来する、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記混合細胞集団を含む前記試料が、農業的試料に由来する、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記農業的試料が、ウシルーメンまたは厩肥である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記標的核酸が、プラスミド、ウイルスまたはゲノムDNA中に存在する、項目24から27のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記1つまたは複数の核酸の各々が、プラスミド、ウイルスまたはゲノムDNA中に存在する、項目24から27のいずれかに記載の方法。
(項目30)
前記標的核酸が、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子である、項目1に記載の方法。
(項目31)
前記混合集団を含む前記試料が、腫瘍試料である、項目30に記載の方法。
(項目32)
抗生物質耐性遺伝子と関連する1つまたは複数の核酸を検出するための方法であって、
細胞中の1つまたは複数の核酸と抗生物質耐性遺伝子との間で近接接合を生成するステップであって、前記細胞が、混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;
前記1つまたは複数の核酸と前記抗生物質耐性遺伝子との間での前記近接接合を捕捉するステップであって、前記近接接合を、前記抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および
前記抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした前記近接接合中の前記1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、前記抗生物質耐性遺伝子を含む前記細胞中の前記1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップ
を含む、方法。
(項目33)
1つまたは複数の核酸と前記抗生物質耐性遺伝子との間での前記近接接合の生成が、
i.)前記細胞を含む前記試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、前記架橋剤が、前記細胞中においてタンパク質および前記1つまたは複数の核酸を前記抗生物質耐性遺伝子と架橋させ、それによって、前記1つまたは複数の核酸と前記抗生物質耐性遺伝子との間で複合体を生成する、ステップ;
ii.)前記細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;
iii.)前記1つまたは複数の核酸と癌遺伝子との間での前記複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;
iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびに
v.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、前記1つまたは複数の核酸と前記抗生物質耐性遺伝子との間で前記近接接合を生成する、ステップ
を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記架橋試薬が、ホルムアルデヒドを含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記架橋クエンチャーがグリシンである、項目35に記載の方法。
(項目37)
エンドヌクレアーゼが、制限エンドヌクレアーゼである、項目33に記載の方法。
(項目38)
エンドヌクレアーゼがDNaseである、項目33に記載の方法。
(項目39)
エンドヌクレアーゼがMNaseである、項目33に記載の方法。
(項目40)
前記放出させるステップが、前記架橋されたタンパク質を、プロテアーゼ、熱またはそれらの組合せから選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む、項目33に記載の方法。
(項目41)
前記放出させるステップが、前記複合体を断片化することを含む、項目33に記載の方法。
(項目42)
前記抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、5’末端に付着した部分をさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目43)
前記部分がビオチンである、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、固体基材に結合される、項目32から43のいずれかに記載の方法。
(項目45)
前記固体基材が、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記ビーズが磁性ビーズである、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される前記近接接合が、ビオチン標識される、項目33に記載の方法。
(項目48)
ビオチン標識された前記近接接合が、前記近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、前記精製ステップが、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記捕捉するステップが、前記抗生物質耐性遺伝子を富化することをさらに含み、前記富化することが、前記抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした前記近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーの前記セット中の各プライマーが、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む、項目32に記載の方法。
(項目50)
前記捕捉するステップが、前記抗生物質耐性遺伝子を富化することをさらに含み、前記富化することが、前記抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした前記近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーの前記セット中の各プライマーが、ランダム配列を含む、項目32に記載の方法。
(項目51)
前記オリゴヌクレオチド、およびプライマーの前記セット中の各プライマーが、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む、項目49または50に記載の方法。
(項目52)
前記分析するステップが、前記近接接合中の前記1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記分析するステップが、前記近接接合中に存在する前記1つまたは複数の核酸を標識することを含む、項目32に記載の方法。
(項目54)
標識された1つまたは複数の核酸が、マイクロアレイにハイブリダイズされる、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記抗生物質耐性遺伝子が、プラスミドまたは前記細胞のゲノム中に存在する、項目32に記載の方法。
(項目56)
前記1つまたは複数の核酸の各々が、プラスミドまたは前記細胞のゲノム中に存在する、項目32に記載の方法。
(項目57)
前記試料が、個体における感染の部位に由来する、項目32に記載の方法。
(項目58)
前記試料が、農業的試料に由来する、項目32に記載の方法。
(項目59)
前記農業的試料が、ウシルーメンまたは厩肥である、項目58に記載の方法。
(項目60)
癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子と関連する1つまたは複数の核酸を検出するための方法であって、
細胞中の1つまたは複数の核酸と癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子との間で近接接合を生成するステップであって、前記細胞が、個体に由来する混合細胞集団を含む試料中に存在する、ステップ;
前記1つまたは複数の核酸と前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子との間での前記近接接合を捕捉するステップであって、前記近接接合を、前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む、ステップ;および
前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした前記近接接合中の前記1つまたは複数の核酸を分析するステップであって、それによって、前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子を含む前記細胞中の前記1つまたは複数の核酸の存在を決定する、ステップ
を含む、方法。
(項目61)
1つまたは複数の核酸と前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子との間での前記近接接合の生成が、
i.)前記試料を、架橋剤と共にインキュベートするステップであって、前記架橋剤が、前記細胞中においてタンパク質および前記1つまたは複数の核酸と前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子とを架橋させ、それによって、前記1つまたは複数の核酸と前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子との間で複合体を生成する、ステップ;
ii.)前記細胞を、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤および1つまたは複数の非イオン性界面活性剤の組合せを含む溶解緩衝液中で溶解させるステップ;
iii.)前記1つまたは複数の核酸と前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子との間での前記複合体内の核酸を消化するステップであって、それによって、遊離核酸末端を生成する、ステップ;
iv.)消化された核酸をライゲーションするステップ;ならびに
v.)架橋されたタンパク質から、1つまたは複数の近接接合を放出させるステップであって、それによって、前記1つまたは複数の核酸と前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子との間で前記近接接合を生成する、ステップ
を含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記架橋試薬が、ホルムアルデヒドを含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記複合体を架橋クエンチャーと共にインキュベートするステップをさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記架橋クエンチャーがグリシンである、項目63に記載の方法。
(項目65)
エンドヌクレアーゼが、制限エンドヌクレアーゼである、項目61に記載の方法。
(項目66)
エンドヌクレアーゼがDNaseである、項目61に記載の方法。
(項目67)
エンドヌクレアーゼがMNaseである、項目61に記載の方法。
(項目68)
前記放出させるステップが、前記架橋されたタンパク質を、プロテアーゼまたは熱から選択される作用因子で処理することによって、架橋を逆転させることを含む、項目61に記載の方法。
(項目69)
前記放出させるステップが、前記複合体を断片化することを含む、項目61に記載の方法。
(項目70)
抗生物質耐性遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、5’末端に付着した部分をさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目71)
前記部分がビオチンである、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドが、固体基材に結合される、項目60から71のいずれかに記載の方法。
(項目73)
前記固体基材が、ビーズ、マルチウェルプレート中のウェル、またはスライドの表面から選択される、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記ビーズが磁性ビーズである、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記遊離核酸末端を、ステップv.)の前にビオチンで標識するステップをさらに含み、それによって、ステップv.)後に生成される前記近接接合が、ビオチン標識される、項目61に記載の方法。
(項目76)
ビオチン標識された前記近接接合が、前記近接接合を捕捉するステップの前に、精製ステップに供され、前記精製ステップが、ビオチンを、固体基材に付着したアビジンまたはストレプトアビジンと結合させることを含む、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記捕捉するステップが、前記癌遺伝子を富化することをさらに含み、前記富化することが、前記癌遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした前記近接接合にプライマーのセットおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加することによって、PCRを実施することを含み、プライマーの前記セット中の各プライマーが、1つまたは複数のさらなる標的核酸に対して相補的な配列を含む、項目60に記載の方法。
(項目78)
前記捕捉するステップが、前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子を富化することをさらに含み、前記富化することが、前記癌遺伝子または前記腫瘍抑制遺伝子に対して相補的な配列を含む前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした前記近接接合にプライマーのセットおよびPCR試薬を添加することによってPCRを実施することを含み、プライマーの前記セット中の各プライマーが、ランダム配列を含む、項目60に記載の方法。
(項目79)
前記オリゴヌクレオチド、およびプライマーの前記セット中の各プライマーが、次世代配列決定(NGS)システムと適合性を有するアダプター配列をさらに含む、項目77または78に記載の方法。
(項目80)
前記分析するステップが、前記近接接合中の前記1つまたは複数の核酸を配列決定することを含む、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記分析するステップが、前記近接接合中に存在する前記1つまたは複数の核酸を標識することを含む、項目60に記載の方法。
(項目82)
標識された1つまたは複数の核酸が、マイクロアレイにハイブリダイズされる、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記混合集団を含む前記試料が、腫瘍試料である、項目60に記載の方法。
図1
図2
【配列表】
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