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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/18 20090101AFI20230511BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20230511BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20230511BHJP
   H04W 72/12 20230101ALI20230511BHJP
【FI】
H04W92/18
H04W24/08
H04W28/04 110
H04W72/12
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018154770
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2019050559
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2017-0114687
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 基 訓
(72)【発明者】
【氏名】申 ミン 浩
(72)【発明者】
【氏名】盧 時 昌
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/126266(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/014555(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/072220(WO,A1)
【文献】Intel Corporation,Sensing based collision avoidance schemes for V2V communication[online], 3GPP TSG-RAN WG1#84 R1-160432,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_84/Docs/R1-160432.zip>,1-8頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末で実行される無線通信方法であって、
第1及び第2ユーザ端末から、第1及び第2コントロールチャネルを経由して、第1及び第2制御信号をそれぞれ受信する段階と、
前記第1及び第2制御信号に基づいて、前記第1制御信号又は前記第1コントロールチャネルに対応する第1データチャネルにおける干渉を推定する段階と、
前記第1データチャネルを経由して、前記第1ユーザ端末から、第1データ信号を受信する段階と、
前記推定の結果に基づいて、受信した前記第1データ信号を処理する段階と、を有し、
前記第1データチャネルは、前記第1ユーザ端末からの最初の送信及び少なくとも一つの再送信を含み、
受信した前記第1データ信号を処理する段階は、前記第1データチャネルで推定された干渉に基づいて、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信それぞれを選択的に結合する段階を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
前記干渉を推定する段階は、前記第1データチャネルのリソースブロックと、前記第2ユーザ端末から第2データ信号を受信するのに用いられる前記第2ユーザ端末の第2データチャネルのリソースブロックと、の衝突を検出する段階と、
検出された前記衝突に基づいて、前記第1データチャネルの干渉を決定する段階と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項3】
前記干渉を決定する段階は、前記第1データチャネルのリソースブロックのうち前記第2データチャネルのリソースブロックと衝突する衝突リソースブロックの個数に基づいて、干渉を決定する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の無線通信方法。
【請求項4】
前記干渉を決定する段階は、前記第1データチャネルのリソースブロックの個数に対する、前記衝突リソースブロックの個数の割合に基づいて、前記干渉を決定する段階を含むことを特徴とする請求項3に記載の無線通信方法。
【請求項5】
前記干渉を決定する段階は、リソースブロックの衝突数に比例する加重値に基づいて、干渉又は非干渉を決定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信方法。
【請求項6】
前記干渉を推定する段階は、前記第1ユーザ端末との前記第1コントロールチャネル又は前記第1データチャネルのチャネル品質と、前記第2ユーザ端末との前記第2コントロールチャネル又は前記第2データチャネルのチャネル品質と、を取得する段階をさらに含み、
前記干渉を決定する段階は、前記第1コントロールチャネル又は前記第1データチャネルのチャネル品質及び前記第2コントロールチャネル又は前記第2データチャネルのチャネル品質にさらに基づいて、前記干渉を決定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信方法。
【請求項7】
前記第1コントロールチャネル及び前記第2コントロールチャネルは、PSCCH(Physical Sidelink Control Channel)であり、
前記第1データチャネル及び前記第2データチャネルは、D2D(Device to Device)通信に使われるPSSCH(Physical Sidelink Shared Channel)であることを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項8】
前記各チャネル品質を取得する段階は、前記第1ユーザ端末の信号電力と、前記第2ユーザ端末の信号電力と、を取得する段階を含み、
前記干渉を決定する段階は、前記第1ユーザ端末の信号電力に対する、前記第2ユーザ端末の信号電力の割合に基づいて、前記干渉を決定する段階を含むことを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記干渉を決定する段階は、前記第1制御信号に含まれるMCS(Modulation and Coding Scheme)インデックスに基づいて、前記干渉を決定する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の無線通信方法。
【請求項10】
前記第1データチャネルは、前記第1ユーザ端末からの最初の送信(transmission)及び少なくとも一つの再送信(retransmission)を含み、
前記干渉を決定する段階は、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信のリダンダンシーバージョン(Redundancy Version;RV)にさらに基づいて、前記干渉を決定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信方法。
【請求項11】
前記選択的に結合する段階は、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信の内の互いに干渉を起こさない二つ以上を結合する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項12】
前記第1データチャネルは、順次に受信する前記最初の送信、第1再送信、第2再送信、及び第3再送信を含み、
前記選択的に結合する段階は、前記第1、第2、及び第3再送信の序数にさらに基づいて、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信を選択的に結合する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項13】
前記第1制御信号及び前記第2制御信号は、それぞれ、前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末をそれぞれ含む複数のユーザ端末のグループのグループ識別子を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項14】
前記第1及び第2制御信号に基づいて、第3データ信号を送信する第3データチャネルにおける干渉が減少するように、第3ユーザ端末へ送信する前記第3データ信号をスケジュールするのに用いられる第3制御信号を生成する段階と、
前記第3ユーザ端末と第3コントロールチャネルを経由して、前記第3ユーザ端末へ前記第3制御信号を送信する段階と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
【請求項15】
ユーザ端末で実行される無線通信方法であって、
少なくとも一つのコントロールチャネルを経由して、少なくとも一つのユーザ端末から、少なくとも一つの制御信号を取得する段階と、
前記少なくとも一つの制御信号に基づいて、前記少なくとも一つのユーザ端末のうち第1ユーザ端末との第1データチャネルにおける干渉を推定する段階と、
推定された前記干渉に基づいて、前記第1データチャネルを経由して受信した第1データ信号を処理する段階と、を有し、
前記第1ユーザ端末から、前記第1データチャネルを経由して受信した最初の送信及び少なくとも一つの再送信を取得する段階をさらに有し、
前記第1データ信号を処理する段階は、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信と、前記少なくとも一つのコントロールチャネルの内の第2コントロールチャネルに対応する前記少なくとも一つのユーザ端末の内の第2ユーザ端末との第2データチャネルと、の間の干渉を含む推定された干渉に基づいて、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信を選択的に結合する段階を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項16】
前記少なくとも一つの制御信号を取得する段階は、前記第1ユーザ端末を含む複数のユーザ端末から受信した複数の制御信号を取得する段階を含み、
前記干渉を推定する段階は、前記複数の制御信号に基づいて、前記複数の制御信号に対応する複数のデータチャネルにおける、リソースブロック間の衝突を検出する段階と、
検出された前記衝突に基づいて、干渉を決定する段階と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の無線通信方法。
【請求項17】
前記複数の制御信号は、それぞれ、異なるユーザ端末からなるグループのグループ識別子を含むことを特徴とする請求項16に記載の無線通信方法。
【請求項18】
前記第1データ信号を処理する段階は、前記第1データチャネルと第3データチャネルとの間の干渉が減少するように、前記第3データチャネルをスケジュールするのに用いられ、第3ユーザ端末へ送信される送信用の第3制御信号を生成する段階と、
前記第3制御信号に基づいて、前記第3データチャネルをスケジュールする段階と、を含むことを特徴とする請求項16に記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信に関し、特に、端末間(Device to Device:以下、D2D)通信の衝突に考慮した無線通信方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、基地局から端末への通信は、下向きリンク(downlink:DL)と称され、端末から基地局への通信は、上向きリンク(uplink:UL)と称される。
下向きリンク及び上向きリンクに加えて、無線通信システムにおいて端末から他の端末への通信は、サイドリンク(sidelink:SL)と称される。
【0003】
二つ以上の端末がサイドリンクを通じてD2D通信を生成する場合、当該D2D通信の間に干渉が生じることがある。
干渉が生じたD2D通信は、干渉が生じたD2D通信を受信する端末で問題を誘発し、結果としてサイドリンクの効率を低下させるという問題がある。
したがって、端末で干渉が生じたD2D通信を効率的に処理する方法と、D2D通信間の干渉を減少させる方法が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-517673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の端末間通信における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、無線通信システムにおいて、D2D通信の効率を向上させる無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明による無線通信方法は、ユーザ端末で実行される無線通信方法であって、第1及び第2ユーザ端末から、第1及び第2コントロールチャネルを経由して、第1及び第2制御信号をそれぞれ受信する段階と、前記第1及び第2制御信号に基づいて、前記第1制御信号又は前記第1コントロールチャネルに対応する第1データチャネルにおける干渉を推定する段階と、前記第1データチャネルを経由して、前記第1ユーザ端末から、第1データ信号を受信する段階と、前記推定の結果に基づいて、受信した前記第1データ信号を処理する段階と、を有し、前記第1データチャネルは、前記第1ユーザ端末からの最初の送信及び少なくとも一つの再送信を含み、受信した前記第1データ信号を処理する段階は、前記第1データチャネルで推定された干渉に基づいて、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信それぞれを選択的に結合する段階を含むことを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するためになされた本発明による無線通信方法は、ユーザ端末で実行される無線通信方法であって、少なくとも一つのコントロールチャネルを経由して、少なくとも一つのユーザ端末から、少なくとも一つの制御信号を取得する段階と、前記少なくとも一つの制御信号に基づいて、前記少なくとも一つのユーザ端末のうち第1ユーザ端末との第1データチャネルにおける干渉を推定する段階と、推定された前記干渉に基づいて、前記第1データチャネルを経由して受信した第1データ信号を処理する段階と、を有し、前記第1ユーザ端末から、前記第1データチャネルを経由して受信した最初の送信及び少なくとも一つの再送信を取得する段階をさらに有し、前記第1データ信号を処理する段階は、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信と、前記少なくとも一つのコントロールチャネルの内の第2コントロールチャネルに対応する前記少なくとも一つのユーザ端末の内の第2ユーザ端末との第2データチャネルと、の間の干渉を含む推定された干渉に基づいて、前記最初の送信及び前記少なくとも一つの再送信を選択的に結合する段階を含むことを特徴とする。

【発明の効果】
【0009】
本発明に係る無線通信方法によれば、ユーザ機器は、複数のユーザ機器から受信した少なくとも一つのPSCCH(Physical Sidelink Control Channel)に基づいて、PSSCHの干渉を推定又は予測し、推定された干渉に基づいて、PSSCHを処理することができ、これにより、PSSCHでのデータ受信率が向上する、という効果がある。
また、ユーザ機器は、少なくとも一つのユーザ機器から受信された少なくとも一つのPSCCHに基づいて、他のPSSCHとの干渉が減少するように、他のユーザ機器へ送信するPSSCHをスケジュールすることができ、これにより、PSSCHでのデータ受信率が向上するだけでなく、無線通信システムにおけるD2D通信の効率が向上する、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による複数のユーザ機器及び基地局を含む無線通信システムの概略を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による無線通信方法を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態によるPSCCH内のSCIの一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるPSCCH及びPSSCHの一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による複数のサイドリンクのリソースプールを示す図である。
図6】本発明の一実施形態による無線通信方法を説明するためのフローチャートである。
図7A】本発明の一実施形態による図6の段階S200の例示を説明するためのフローチャートである。
図7B】本発明の一実施形態による図7Aの段階S200’による動作の例示を示す図である。
図8A】本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートである。
図8B】本発明の例示的な実施形態によって、図8Aの段階S244aによる動作の例示を示す図面である。
図9A】本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートである。
図9B】本発明の一実施形態による図9Aの段階S244bによる動作の例示を説明するための図である。
図10】本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートである。
図11A】本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートである。
図11B】本発明の一実施形態によるPSSCHの送信ブロックの例示を説明するための図である。
図12】本発明の一実施形態による図6の段階S300、S400の例示を説明するためのフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態による図12の段階S400’の例示を説明するためのフローチャートである。
図14A】本発明の一実施形態による図13の段階S420の例である擬似コードを示す図である。
図14B】本発明の一実施形態による図14Aの擬似コードによる結合の例を示すテーブルである。
図15】本発明の一実施形態による無線通信方法を説明するためのフローチャートである。
図16】本発明の一実施形態による図15の段階S600の例示を説明するためのフローチャートである。
図17】本発明の一実施形態による図16の段階S640の例示を説明するためのフローチャートである。
図18】本発明の一実施形態による無線通信装置の例示的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る無線通信方法を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による複数のユーザ機器(User Equipment:UE)及び基地局(Base Station:BS)を含む無線通信システム10を示す図である。
無線通信システム10は、非制限的な例示として、LTE(Long Term Evolution)システム、CDMA(Code Division Multiple Access)システム、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)システム、WLAN(Wireless Local Area Network)システム、又は他の任意の無線通信システムである。
以下、無線通信システム10は、LTEシステムを主に参照して述べるが、本発明の例示的な実施形態がこれに制限されない点は理解できるであろう。
本明細書において、ユーザ機器(UE)は、ユーザ端末、モバイルステーション、モバイル装置などと互いに交換可能に使われる。
【0013】
基地局(以下、BS)12は、一般的にユーザ機器(以下、UE)及び/又は他のBSと通信する固定された地点(fixed station)であり、UE及び/又は他のBSと通信することによってデータ及び制御情報を交換することができる。
例えば、BS12は、「Node B」、「eNB(evolved-Node B)」、「セクター」、「サイト」、「BTS(Base Transceiver System)」、「AP(Access Point)」、「リレーノード」、「RRH(Remote Radio Head)」、「RU(Radio Unit)」、「スモールセル」などを含む。
本明細書において、BS12又はセルは、CDMAでの「BSC(Base Station Controller)」、WCDMA(登録商標)での「Node-B」、LTEでの「eNB」又は「セクター(サイト)」などがカバーする一部の領域又は機能を表す包括的な意味と解釈され、メガセル、マクロセル、マイクロセル、ピコセル、フェムトセル、及びリレーノード、RRH、RU、スモールセルの通信範囲など、様々なカバレッジ領域を全て包括する。
【0014】
第1~第5ユーザ機器(UE1~UE5)は、無線通信機器であり、固定されるか、又は移動性を有しており、BS12と通信してデータ及び/又は制御情報を送受信できる様々な機器である。
例えば、第1~第5ユーザ機器(UE1~UE5)は、端末機器、MS(Mobile Station)、MT(Mobile Terminal)、UT(User Terminal)、SS(Subscribe Station)、無線装置、携帯装置などを含む。
第1~第5ユーザ機器(UE1~UE5)とBS12との間の無線通信ネットワークは、可用(available)ネットワークリソースを共有することによって、多くのユーザが通信することを支援することができる。
【0015】
例えば、無線通信ネットワークにおいて、CDMA、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)、OFDM-FDMA、OFDM-TDMA、OFDM-CDMAなどの様々な多重接続方式により情報が伝達される。
【0016】
図1を参照すると、第1ユーザ機器UE1及びBS12は、上向きリンク(UL)及び下向きリンク(DL)を通じて互いに通信することができる。
LTEシステム、「LTE-Advanced」システムのような無線システムにおいて、上向きリンク及び下向きリンクは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)のような制御チャネルを通じて制御情報を送信(伝送)し、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)のようなデータチャネルを通じてデータを送信(伝送)する。
【0017】
第1ユーザ機器UE1及び第2ユーザ機器UE2は、サイドリンク(SL)を通じて互いに通信することができる。
3GPP(3rd Generation Partnership Project)LTEでは、端末間(Device to Device:D2D)通信として、Prose(Proximity-based Service)通信についての標準化をRelease12バージョンで完了した。
また、Release13バージョンで、eD2D(enhancedD2D)についての標準化が完了し、Release14バージョンで、サイドリンクを使用するV2V(Vehicle to Vehicle)及びV2X(Vehicle to Everything)についての標準化が完了した。
【0018】
再び、図1を参照すると、第1~第5ユーザ機器(UE1~UE5)は、サイドリンクを通じて互いに通信することができる。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、自身と同じ第1グループG1に属する第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)とサイドリンク(SL12、SL13)を通じて通信する。
サイドリンクは、PSCCH(Physical Sidelink Control Channel)(又は、SA(Scheduling Assignment))のようなコントロールチャネルを通じて、制御情報を含む制御信号を送信し、PSSCH(Physical Sidelink Shared Channel)(又は、D2Dデータチャネル)のようなデータチャネルを通じて、データを含むデータ信号を送信(伝送、以下、「送信」に用語を統一)する。
本明細書において、PSCCH又はPSSCHを経由して信号を送受信することを、“PSCCH又はPSSCHを送信/受信する”という形態で表現することとする。
【0019】
D2D通信において、第1ユーザ機器UE1及び第2ユーザ機器UE2それぞれは、独立してD2D通信が発生するので、送信間の干渉が誘発される。
例えば、第1ユーザ機器UE1が、第2ユーザ機器UE2からサイドリンクSL12を通じて受信するD2D通信は、第1グループG1に属する第3ユーザ機器UE3が、サイドリンクSL13を通じて送信するD2D通信と干渉する。
【0020】
また、図1において点線で示すSL15のように、第1ユーザ機器UE1が、第2ユーザ機器UE2からサイドリンクSL12を通じて受信するD2D通信は、第2グループG2に属する第5ユーザ機器UE5が、サイドリンクSL45を通じて第4ユーザ機器UE4へ送信するD2D通信と干渉することもある。
LTEシステムにおいて、D2D通信は、BS12によって電波リソースが決定される第1モードと、第1~第5ユーザ機器(UE1~UE5それぞれによって電波リソースが決定される第2モードとを定義する。
第1モードの場合、D2D通信間の干渉が相対的に微弱であるが排除することができず、第2モードの場合、第1~第5ユーザ機器(UE1~UE5)の独立したリソース割り当てに起因して干渉が頻繁に生じる。
第1及び第2モード以外にも、LTEでのD2D通信は、V2Xで第3及び第4モードをさらに定義する。
【0021】
後述するように、一部の実施形態において、ユーザ機器は、複数のユーザ機器から受信された少なくとも一つのPSCCHに基づいて、PSSCHの干渉を推定あるいは予測し、推定された干渉に基づいて、PSSCHを処理することができる。
これにより、PSSCHでのデータ受信率が向上する。
また、一部の実施形態において、ユーザ機器は、少なくとも一つのユーザ機器から受信された少なくとも一つのPSCCHに基づいて、他のPSSCHとの干渉が減少するように、他のユーザ機器へ送信するPSSCHをスケジュールすることができる。
これにより、PSSCHでのデータ受信率が向上するだけでなく、無線通信システム10のようなシステムにおけるD2D通信の効率が向上する。
【0022】
以下、本発明の実施形態による無線通信方法は、図1の第1ユーザ機器UE1により行われるものと仮定して述べるが、本発明の例示的な実施形態は、D2D通信を支援する任意の装置により行われる点を留意するものとする。
図2は、本発明の一実施形態による無線通信方法を説明するためのフローチャートである。
例えば、図2に示す無線通信方法は、図1の第1ユーザ機器UE1により行われ、以下、図2は、図1を参照して述べる。
【0023】
図2を参照すると、段階S21で、PSCCHで少なくとも一つのSCI(Sidelink Control Information)を受信する動作を行う。
SCIは、PSCCH上で受信され、PSCCHに後続して受信するPSSCHをスケジュールした情報を含む。
例えば、SCIは、PSCCHに割り当てられたサブフレームのセット及びリソースブロックのセットを決定する。
また、SCIは、MCS(Modulation and Coding Scheme)情報及びPSCCHを送信したユーザ機器が属するグループ(例えば、図1のG1)を表すグループIDを含む。
これにより、第1ユーザ機器UE1は、SCIを通じて、PSCCHに後続して受信するPSSCHリソース構成、すなわちPSSCHリソースプールで、PSSCHを送信したユーザ機器のデータを含むリソースブロックを認識することができる。
SCIについての詳細な内容は、図3及び図4を参照して後述する。
【0024】
段階S22で、PSSCHの干渉を推定する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1が、段階S21で、第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)からPSCCHで二つのSCIを受信した場合、第1ユーザ機器UE1は、第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)からのPSSCH間の干渉を推定することができる。
すなわち、第1ユーザ機器UE1は、二つのSCIから、第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)からのPSSCHリソース構成を認識できるので、データを含むリソースブロックのうち互いに衝突する衝突ブロックを検出することができる。
第1ユーザ機器UE1は、衝突ブロックに基づいて、両データ送信間の干渉を推定することができる。
段階S23で、PSSCHを処理する動作を行う。
一部の実施形態において、第1ユーザ機器UE1は、段階S22で推定された干渉に基づいて、受信したPSSCHを処理することができる。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、推定された干渉に基づいて、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)結合動作を行う。
一部の実施形態において、第1ユーザ機器UE1は、段階S22で推定された干渉に基づいて、送信するPSSCHをスケジュールすることができる。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、推定された干渉に基づいて、送信するPSSCHをスケジュールし、スケジュールされたPSSCHによるSCIを含むPSCCH及びPSSCHを送信することができる。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態によるPSCCH上でのSCIの一例を示す図である。
具体的には、図3は、D2D通信の第1及び第2モードで使われる‘SCI format 0’を示す。
図3を参照すると、PSCCH内のSCIは、D2D通信のための制御情報として第1~第6フィールド(F01~F06)を含む。
第1フィールドF01は、‘Frequency hopping flag’であり、PSSCHに周波数ホッピングが適用されるか否かを表す。
第2フィールドF02は、‘Resource block assignment and hopping resource allocation’であり、PSSCHに割り当てられたリソースブロックについての情報を提供し、周波数ホッピングが適用された場合には、ホッピング構成についての更なる情報を提供する。
【0026】
第3フィールドF03は、‘Time resource pattern’であり、PSSCHで使われるサブフレームを表す。
第4フィールドF04は、‘Modulation and coding scheme’であり、PSSCHに適用される変調及びコーディングを表す。
第5フィールドF05は、‘Timing advance indication’であり、D2D通信の第1モードで使われ、受信端のためのタイミング調節値を表す。
第6フィールドF06は、‘Group destination ID’であり、PSSCHを送信するユーザ機器が属するグループを表す。
【0027】
上述したSCIの第1~第6フィールド(F01~F06)のうち、第1~第3フィールド(F01~F03)によって、PSSCHリソース構成が定義される。
すなわち、ユーザ機器は、PSCCHで受信したSCIに含まれる第1~第3フィールド(F01~F03)に基づいて、後続するPSSCHリソース構成を認識することができる。
SCIにより定義されるPSSCHリソース構成の例示は、図4を参照して後述する。
【0028】
D2D通信を支援するユーザ機器は、PSCCHリソースプールを常に監視することができる。
D2D通信を受信しようとするユーザ機器は、PSCCHリソースプールにある全てのPSCCHリソースについての受信を試み、成功裏に受信したPSCCHで、SCIの第6フィールドF06からグループIDを抽出することができる。
ユーザ機器は、抽出されたグループIDが自身と関連している場合(例えば、自身のグループIDと同じ場合)、第1~第3フィールド(F01~F03)によるPSSCH内のリソースブロックを第4フィールドF04による方式で処理することができる。
ユーザ機器は、抽出したグループIDが自身と関連していない場合(例えば、自身のグループIDと異なる場合)、PSCCHリソースプールに対応する後続するPSSCHリソースプールを監視しない。
【0029】
一部の実施形態において、ユーザ機器は、自身のグループIDと関連していないPSCCHに対応するPSSCHリソース構成を認識することができる。
例えば、図1の第1ユーザ機器UE1は、D2D通信の干渉を推定するために、自身と同じグループ(すなわち、G1)に属する第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)だけでなく、自身と異なるグループ(すなわち、G2)に属する第5ユーザ機器UE5のPSCCHから、それに対応するPSSCHリソース構成を認識することができる。
すなわち、ユーザ機器は、SCIの第6フィールドF06に関係なく、第1~第3フィールド(F01~F03)からPSSCHリソース構成を認識することができる。
また、図10を参照して後述するように、一部の実施形態において、ユーザ機器は、D2D通信の干渉を推定するために、SCIに含まれた第4フィールドF04が表すMCSが使うこともある。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態によるPSCCH及びPSSCHの一例を示す図であり、図5は、本発明の一実施形態による複数のサイドリンクのリソースプールを示す図である。
具体的には、図4は、D2D通信の第2モードで、PSCCH及びPSSCHの一例を示し、図5は、図1の複数のユーザ機器が、サイドリンク(SL12、SL13)を含むサイドリンクを通じて同時にD2D通信を試みる例示を示す。
図3を参照して前述したように、PSCCHは、PSSCHリソース構成を定義する。
図4のPSSCHリソース構成は、PSCCHにより定義される例示に過ぎず、図4に示すところと異なる形態で、PSCCHによりPSSCHリソース構成が定義される点が留意される。
以下、図4及び図5は、図3を参照して述べるものとする。
【0031】
図4を参照すると、PSCCH及びPSSCHは、一定の周期「saPeriod」内で送信され、PSCCHが周期「saPeroid」の開始点から送信され、周期「saPeriod」の開始点から一定の時間(すなわち、オフセット)が経過した後にPSSCHが送信される。
PSCCH及びPSSCHが送信されるリソースプールRPは、サイドリンク送信に割り当てられたリソースの集合を称し、サブフレームと、サブフレーム内のリソースブロックとで構成される。
【0032】
PSSCHで使われるサブフレームは、バイナリ値で表現されるビットマップにより決定される。
例えば、図4に示すように、バイナリ値を有する「subframeBitmap」で、「1」は使われるサブフレームを表し、「0」は使われていないサブフレームを表す。
PSSCHで、「subframeBitmap」は繰り返され、それによって、使われるサブフレームのパターンが繰り返される。
一部の実施形態において、図3のSCIの第3フィールドF03は、TRP(Time Resource Pattern)インデックス「I_TRP」を含み、TRPインデックス「I_TRP」により「bitframeBitmap」が決定される。
【0033】
使用されるサブフレーム内の、使用されるリソースブロック、すなわちデータを含むリソースブロックは、PRB(Physical Resource Block)が割り当てられたか否かによって識別される。
例えば、図4に示すように、「startPRB」及び「numPRB」により、使われる帯域が決定される。
すなわち、「startPRB」は、使われる最初のリソースブロックを表し、「numPRB」は、使用されるリソースブロックの個数を表す。
これにより、使用されるサブフレーム内のリソースブロックのうち、「startPRB」及び「numPRB」により定義される帯域に含まれるリソースブロックがデータで満たされる。
【0034】
一部の実施形態において、図3のSCIの第2フィールドF02により、「startPRB」及び「numPRB」が決定される。
図4では、一つの帯域のみを示したが、二つ以上の帯域が使用されることもある。
例えば、図3のSCIの第2フィールドF02により、「endPRB」がさらに決定され、「endPRB」及び「numPRB」により、図4に示した帯域と離隔した他の帯域がさらに使用される。
【0035】
図5を参照すると、D2D通信の間に干渉が生じる可能性がある。
例えば、図5に示すように、サイドリンクSL12を経由して第2ユーザ機器UE2が送信したPSSCHは、サイドリンクSL13を経由して第3ユーザ機器UE3が送信したPSSCHと干渉する可能性がある。
両PSSCH間の干渉は、サイドリンクSL12のPSCCHにより定義されたPSSCHリソース構成と、サイドリンクSL13のPSCCHにより定義されたPSSCHリソース構成に依存する。
【0036】
例えば、サイドリンクSL12のPSSCHリソース構成によるリソースブロックと、サイドリンクSL13のPSSCHリソース構成によるリソースブロックとの衝突が生じ、衝突に起因して、両PSSCH間の干渉が生じる。
これにより、ユーザ機器は、PSCCHを経由して認識したPSSCHリソース構成に基づいて、PSSCHの干渉を推定することができる。
以下、図面を参照して後述するように、推定された干渉は、ユーザ機器が受信したPSSCHを処理するのに使われ、他のユーザ機器へ送信するPSSCHをスケジュールするのに使用される。
PSSCHのリソースブロック間の衝突は、図7Bなどを参照して述べる。
【0037】
図6は、本発明の一実施形態による無線通信方法を説明するためのフローチャートである。
具体的には、図6は、PSSCHの干渉に基づいて、ユーザ機器が受信したPSSCHを処理する方法を示す。
例えば、図6の無線通信方法は、図1の第1ユーザ機器UE1により行われ、第1ユーザ機器UE1は、第2ユーザ機器UE2から受信したPSSCHを処理することができる。以下、図6は、図1を参照して述べる。
【0038】
図6を参照すると、段階S100で、PSCCHで複数のSCIを受信する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、第1グループG1に属する第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)だけでなく、第2グループG2に属する第5ユーザ機器UE5から、PSCCH内のSCIを受信する。
段階S200で、PSSCHの干渉を推定する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、段階S100で受信した複数のSCIに基づいて、複数のSCIに対応する複数のPSSCHリソース構成を認識し、認識したPSSCHリソース構成に基づいて、PSSCHの干渉を推定する。
段階S200についての例示は、図7A及び図7Bなどを参照して述べるものとする。
【0039】
段階S300で、PSSCHを受信する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、第2ユーザ機器UE2からPSSCHを受信する。
一部の実施形態において、第1ユーザ機器UE1は、段階S200よりも段階S300を先に行うか、又は段階S200と並列的に段階S300を行うことができる。
段階S400で、推定された干渉に基づいて、受信したPSSCHを処理する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、推定された干渉に基づいて、PSSCHに含まれたサブフレーム及び/又はリソースブロックを選択的に処理する。
段階S400についての詳細な内容は、図12などを参照して述べるものとする。
【0040】
図7Aは、本発明の一実施形態による図6の段階S200の例示を説明するためのフローチャートであり、図7Bは、本発明の一実施形態による図7Aの段階S200’による動作の例示を示す図である。
図6を参照して前述したように、図7Aの段階S200’で、PSSCHの干渉を推定する動作が行われる。
以下、図7A及び図7Bは、図1及び図6を参照して述べる。
【0041】
図7Aを参照すると、段階S220で、複数のPSSCHのリソースブロック間の衝突を検出する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)が送信したPSSCHのリソースブロック間の衝突を検出する。
図7Bに示すように、第2及び第3ユーザ機器(UE2、UE3)のサイドリンク(SL12、SL13)で、PSSCHは、(k+1)番目のサブフレーム及び(k+2)番目のサブフレームで衝突したリソースブロック、すなわち衝突リソースブロックを含む。
【0042】
段階S240で、検出された衝突に基づいて、PSSCHの干渉又は非干渉を決定する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、第2ユーザ機器UE2からサイドリンクSL12をを経由して受信したPSSCHで干渉を起こしたかどうかを決定する。
図7Aに示すように、段階S240は、複数の段階(S242、S244、S246、S248)を含む。
段階S242で、PSSCHで衝突を検出したか否かをチェックする動作を行う。
例えば、第2ユーザ機器UE2からのPSSCHで衝突が検出された場合は、段階S244が後続して行われる一方、そうでない場合は、段階S248で、第2ユーザ機器UE2からのPSSCHで干渉を起こしていないと決定する。
【0043】
段階S244で、PSSCHの干渉を起こしたかどうかどうかを判断する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、第2ユーザ機器UE2からのPSSCHについての情報に基づいて、第2ユーザ機器UE2からのPSSCHで干渉を起こしたかどうかを判断する。
段階S244についての詳細な内容は、図8A図11Bを参照して、サブフレームの単位で干渉を判断する例示により後述する。
第2ユーザ機器UE2からのPSSCHが干渉されたものと判断した場合、段階S246で、第2ユーザ機器UE2からのPSSCHは干渉と決定する一方、そうでない場合は、第2ユーザ機器UE2からのPSSCHは、段階S248で、第2ユーザ機器UE2からのPSSCHで干渉を起こしていないと決定する。
図12などを参照して後述するように、PSSCHの干渉又は非干渉によってPSSCHが処理される。
【0044】
図8Aは、本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートであり、図8Bは、本発明の一実施形態による図8Aの段階S244aによる動作の例示を示す図である。
図7Aを参照して前述したように、図8Aの段階S244aで、PSSCHで干渉を起こしたかどうかを判断する動作が行われ、段階S244aで、PSSCHで干渉を起こしたかどうかは、衝突リソースブロックの個数に基づいて決定される。
図8Aに示したように、段階S244aは、段階S81、S82を含む。
【0045】
段階S81で、衝突リソースブロックの個数(cRB)を取得する動作を行う。
例えば、図8Bに示すように、サイドリンクS12のPSSCHは、k番目及び(k+3)番目のサブフレームで三つの衝突をそれぞれ有し、(k+2)番目のサブフレームで二つの衝突を有する。
段階S82で、衝突リソースブロックの個数(cRB)を因子として有する関数の結果「f(cRB)」と、第1基準値REF1とを比較する動作を行う。
例えば、「f(cRB)」は、衝突リソースブロックの個数(cRB)に比例しており、「f(cRB)」が第1基準値REF1よりも大きい場合は、PSSCHで干渉を起こしたと判断され、図7Aの段階S246が後続して行われる。
一方、「f(cRB)」が第1基準値REF1よりも大きくない場合は、PSSCHで干渉を起こしていないと判断され、図7Aの段階S248が後続して行われる。
【0046】
図8Bを参照すると、一部の実施形態において、衝突リソースブロックの個数(cRB)と、第1基準値REF1とを比較する。
例えば、第1基準値REF1が「2」である場合、k番目及び(k+3)番目のサブフレームは干渉を起こしていると判断される一方、(k+2)番目のサブフレームは干渉を起こしていないと判断される。
一部の実施形態において、全体のリソースブロックの個数(nRB)に対する、衝突リソースブロックの個数(cRB)の割合と、第1基準値REF1とを比較する。
例えば、図8Bに示すように、サブフレームそれぞれで「cRB/nRB」が計算され、第1基準値REF1が50%である場合、k番目及び(k+3)番目のサブフレームは干渉を起こしていると判断される一方、(k+2)番目のサブフレームは干渉を起こしていないと判断される。
【0047】
一部の実施形態において、「f(cRB)」は、リソースブロックの衝突数に比例する加重値が反映される。
例えば、図8Bに示すように、サブフレームに含まれた衝突リソースブロックが有する衝突数のうち最も大きい値「nCollision」が抽出され、第1基準値REF1と比較される。
k番目及び(k+3)番目のサブフレームは、同じ数の衝突リソースブロックを含む一方、(k+3)番目のサブフレームに含まれる衝突リソースブロックは、k番目のサブフレームに含まれた衝突リソースブロックよりも大きい衝突数「nCollison」を有する。
これにより、加重値に起因して、(k+3)番目のサブフレームに対応する関数の結果は、k番目のサブフレームに対応する関数の結果よりも大きい。
以上、図8Bを参照して前述した、衝突リソースブロックの個数(cRB)に基づいて、PSSCHで干渉が引き起こされたかどうかを判断する動作は例示に過ぎず、衝突リソースブロックの個数(cRB)に基づいて推定されるPSSCHにおける干渉がより強いほど、任意の関数(f)はより大きな値を提供することができる点は理解できるであろう。
【0048】
図9Aは、本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートであり、図9Bは、本発明の一実施形態による図9Aの段階S244bによる動作の例示を説明するための図である。
図9Aの段階S244bで、PSSCHでの干渉の発生は、D2D通信のチャネル品質に基づいて決定される。
図9Aに示すように、段階S244bは、段階S91、S92を含む。
【0049】
段階S91で、複数のチャネル品質(qCHs)を取得する動作を行う。
例えば、図9Bに示すように、第1ユーザ機器UE1は、サイドリンクSL12で第2ユーザ機器UE2とのチャネル品質(qCH12)と、サイドリンクSL13で第3ユーザ機器UE3とのチャネル品質(qCH13)とを取得する。
一部の実施形態において、チャネル品質(qCHs)は、PSCCHから取得され、例えば、「k’」番目のサブフレームから取得される。
複数のチャネル品質(qCHs)は、様々な因子により決定される値である。
【0050】
一部の実施形態において、図9Bに示すように、複数のチャネル品質(qCHs)それぞれは、PSCCHの信号電力であり、一部の実施形態において、チャネルのSNR(Signal-to-Noise Ratio)、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)又はそれらの組み合わせから定義される。
高いチャネル品質を有するサイドリンクで強い信号が受信できるので、受信しようとするサイドリンクの強い信号は、受信率を増加させる一方、他のサイドリンクの強い信号は、干渉をもたらし、受信率を減少させる。
【0051】
段階S92で、複数のチャネル品質(qCHs)を因子として有する関数の結果「g(qCHs)」と、第2基準値REF2とを比較する動作を行う。
例えば、「g(qCHs)」は、受信しようとするサイドリンクのチャネル品質に反比例し、他のサイドリンクのチャネル品質に比例している。
「g(qCHs)」が第2基準値REF2よりも大きい場合は、PSSCHで干渉を起こしていると判断され、図7Aの段階S246が後続して行われる一方、そうでない場合は、PSSCHで干渉は起こっていないと判断され、図7Aの段階S248が後続して行われる。
【0052】
図9Bを参照すると、第1ユーザ機器UE1がサイドリンクSL12のPSSCHを受信しようとする場合、関数(g’)は、サイドリンクSL12のチャネル品質(qCH12)に対する、サイドリンクSL13のチャネル品質(qCH13)の割合として定義され、それによって、第3ユーザ機器UE3からのPSCCHの信号電力に対する、第2ユーザ機器UE2からのPSCCHの信号電力の割合として定義される。
これにより、サイドリンクSL12のPSSCHでk番目のサブフレームの場合は、衝突リソースブロックの個数は一つに過ぎないが、「g’(qCHs)」の値が第2基準値REF2よりも大きい場合は、干渉されたサブフレームと判断される。
【0053】
図10は、本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートである。
図10の段階S244cで、PSSCHでの干渉の発生は、SCIから抽出されたMCSに基づいて決定される。
図10に示すように、段階S244cは、段階S101、S102を含む。
【0054】
段階S101で、SCIからMCSインデックス(I_MCS)を取得する動作を行う。
図3を参照して前述したように、SCIは、PSSCHの変調及びコーディングを表す第4フィールドF04を含み、第1ユーザ機器UE1は、第4フィールドF04からMCSインデックス(I_MCS)を抽出する。
MCSインデックス(I_MCS)は、事前に定義されたMCSテーブルで、変調方式及びコーディング方式に対応するインデックスを称する。
第1ユーザ機器UE1は、MCSテーブルを参照して、取得したMCSインデックス(I_MCS)に対応する変調方式及びコーディング方式を認識することができる。
MCSテーブルで、高いMCSインデックス(I_MCS)は、高い変調次数に対応する。
【0055】
段階S102で、MCSインデックス(I_MCS)と第3基準値REF3とを比較する動作を行う。
例えば、高い変調次数により変調された信号は、干渉にさらに脆弱であるので、衝突が検出されたPSSCHで、相対的に高いMCSインデックスが使われた場合は、PSSCHは干渉を起こしたと判断される。
MCSインデックス(I_MCS)が第3基準値REF3よりも高い場合は、PSSCHは干渉を起こしたと判断され、図7Aの段階S246が後続して行われる一方、そうでない場合は、PSSCHで干渉が起こっていないと判断され、図7Aの段階S248が後続して行われる。
【0056】
図11Aは、本発明の一実施形態による図7Aの段階S244の例示を説明するためのフローチャートであり、図11Bは、本発明の一実施形態によるPSSCHの送信ブロック(Transport Block:TB)の例示を説明するための図である。
図11Aの段階S244dで、PSSCHでの干渉の発生は、リダンダンシーバージョン(Redundancy Version:RV)に基づいて決定される。
図11Aに示すように、段階S244dは、段階S111、S112を含む。
【0057】
段階S111で、RVを取得する動作を行う。
例えば、図11Bに示すように、第1ユーザ機器UE1は、PSSCHから、サブフレームとリソースブロックとで構成されたTBを抽出する。
D2D通信(又は、サイドリンク通信)において、受信端は、送信端に受信についてのフィードバックを提供していないので、送信端は、最初の送信及び三回の再送信を生成し、受信端は、最初の送信及び三回の再送信を結合することができる。
本明細書において、受信した送信、例えば、最初の送信及び三回の再送信の結合は、受信した送信それぞれに含まれたリソースブロックを結合することを称することもある。
【0058】
一部の実施形態において、四回の送信それぞれは、異なるRVがそれぞれ適用される。
すなわち、再送信されるビットが、元来送信されるビットと一致していないIR(Incremental Redundancy)に基づいて、受信した最初の送信及び受信した再送信が選択的に結合される。
例えば、図11Bに示すように、最初の送信(TX0)にリダンダンシーバージョン(0)(RV0)が適用される一方、第1~第3再送信(rTX1~rTX3)にRV2、RV3、及びRV1がそれぞれ順次に適用される。
順次な四回の送信(TX0、rTX1~rTX3)にRVが固定された順序で適用される場合、RVを取得することは、四回の送信(TX0、rTX1~rTX3)の序数を取得することと呼ぶことができる。
【0059】
段階S112で、RVが必要であるか否かを判断する動作を行う。
例えば、D2D通信において、異なるRVは、同じMCSを有する一方、エンコードされたデータの異なる部分に対応している。
これにより、異なるRVをそれぞれ有する、受信した四回の送信(TX0、rTX1~rTX3)それぞれは、衝突したリソースブロックを含むにもかかわらず、デコーディングに必要な部分に対応する場合、結合され得る。
一部の実施形態において、第1ユーザ機器UE1は、以前に受信した少なくとも一つの送信が他の送信と衝突したかどうか、及びRVに応じて、デコーディングに必要なデータの一部を認識し、現在受信されている送信と他の送信とを組み合わせるどうかを決定するために、現在受信されている送信の衝突及びRVに基づいて判断することができる。
取得されたRVが必要なものと判断された場合は、図7Aの段階S246が後続して行われることにより、干渉送信と決定される一方、そうでない場合は、図7Aの段階S248が後続して行われることにより、非干渉送信と決定される。
【0060】
以上、図8A図11Bを参照して、PSSCHで干渉を起すかどうかを判断する図7Aの段階S244の例示を述べたが、以上の例示の内の一つ以上の組み合わせがPSSCHでの干渉を判断するのに使われ、PSSCHでの干渉を判断する上述の例示と異なる方法が使われてもよい点は理解できるであろう。
【0061】
図12は、本発明の一実施形態による図6の段階S300、S400の例示を説明するためのフローチャートである。
図6を参照して前述したように、図12の段階S300’で、PSSCHを受信する動作が行われ、図12の段階S400’で、干渉に基づいてPSSCHを処理する動作が行われる。
【0062】
図12を参照すると、段階S300’で、PSSCHで最初の送信及び少なくとも一つの再送信を受信する動作を行う。
例えば、図11Bを参照して前述したように、最初の送信(TX0)及び第1~第3再送信(rTX1~rTX3)を、PSSCHで受信する。
一部の実施形態において、図6の段階S200で、最初の送信(TX0)及び第1~第3再送信(rTX1~rTX3)それぞれに対する干渉を推定する。
【0063】
段階S400’で、推定した干渉に基づいて、受信した最初の送信及び少なくとも一つの受信した再送信それぞれを選択的に結合する動作を行う。
例えば、図11Bの受信した最初の送信(TX0)及び受信した第1~第3再送信(rTX1~rTX3)は、干渉の発生に応じて選択的に結合される。
一部の実施形態において、干渉を起こしていない送信のみを結合してもよく、他の実施形態において、干渉を起こした送信も条件によって結合してもよい。
【0064】
送信での干渉の発生に関わりなく、受信した最初の送信(TX0)及び受信した第1~第3再送信(rTX1~rTX3)を全て結合して、復調及び/又はデコーディングを行う場合、干渉が起こった送信により、結合による性能低下が誘発される。
例えば、図7Bの例示において、サイドリンクSL12を通じて第2ユーザ機器UE2から受信するサブフレームのうち、衝突リソースブロックを含む(k+1)番目及び(k+2)番目のサブフレームは、結合による復調及び/又はデコーディングの性能低下を誘発する。
【0065】
PSSCH間の干渉は、チャネル品質によって正確に推定することが容易でない。
例えば、PSSCHのDMRS(Demodulation Reference Signal)は、相対的に単純に決定されるので、二つ以上のユーザ機器から送信されるPSSCHで、同じDMRSが発見される可能性が相対的に高い。
これにより、PSSCHのチャネル品質、例えば、SINRが高いとしても、PSCCHにより定義されたリソース構成を有するPSSCHの干渉が必ず微弱であるといえない。
したがって、図を参照して前述したように、SCIからPSSCHリソース構成を認識し、それに基づいてPSSCHのリソースブロック間の衝突を検出することにより、PSSCHの干渉を、向上した正確度で検出することができる。
結果として、検出された干渉に基づいて、四つの受信した送信を選択的に結合することにより、受信率が向上する。
【0066】
図13は、本発明の一実施形態による図12の段階S400’の例示を説明するためのフローチャートである。
図12を参照して前述したように、図13の段階S400”で、受信した最初の送信及び少なくとも一つの受信した再送信それぞれを選択的に結合する動作を行う。
図13を参照すると、段階S400”は、複数の段階S420、S440を含む。
【0067】
段階S420で、受信した送信を条件によって結合する動作を行う。
一部の実施形態において、干渉を起こさない(あるいは、干渉が推定されないか、又は非干渉の)送信のみが結合される。
他の実施形態において、干渉を起こさない送信が結合される一方、干渉を起こした(又は、干渉が推定された)送信は、所定の条件を満足する場合に結合する。
干渉を起こした送信を結合する段階S420についての例示は、図14A及び図14Bを参照して後述する。
段階S420に後続して、段階S440で、復調及び/又はデコーディングを行う。
【0068】
図14Aは、本発明の一実施形態による図13の段階S420の例である擬似コードを示し、図14Bは、本発明の一実施形態による図14Aの擬似コードによる結合の例を示すテーブルである。
図13を参照して前述したように、図14Aの擬似コードS420’で、受信した送信を条件によって結合する動作を行う。
図14Bのテーブルにおいて、「N」は非干渉を表し、「I」は干渉を表し、それぞれの場合に互いに結合される送信のグループを表す。
【0069】
図14Aを参照すると、ライン11~ライン13で、最初の送信が処理される。
最初の送信は、干渉の発生に関わりなく、新たな送信と取り扱われる。
すなわち、最初の送信と他の送信との組み合わせは、最初の送信において干渉が発生するかどうか、及び後続して受信する送信に応じて決定され得る。
ライン14~ライン22で、第1又は第2再送信が処理される。
第1又は第2再送信以前に干渉を起こしていない送信が存在するか否かがチェックされ(ライン15)、第1又は第2再送信以前に干渉を起こしていない送信が存在する場合、干渉を起こした第1又は第2再送信は結合されない一方(ライン16)、干渉を起こしていない第1又は第2再送信は結合される(ライン17)。
【0070】
一方、第1又は第2再送信以前に干渉を起こしていない送信が存在しない場合、すなわち、第1又は第2再送信以前の送信が全て干渉を起こした場合、干渉を起こした第1又は第2再送信は結合される一方(ライン20)、干渉を起こしていない第1又は第2再送信は、新たな送信と取り扱われる。
新たな送信と取り扱われた第1又は第2再送信は、以前に受信した送信と結合されるの代わりに、後続して受信する送信と結合される。
【0071】
ライン23~ライン29で、第3再送信が処理される。
第3再送信以前に干渉を起こしていない送信が存在するか否かがチェックされ(ライン24)、第3再送信以前に干渉を起こしていない送信が存在する場合、受信した第3再送信を結合する(ライン24)。
一方、第3再送信以前に干渉を起こしていない送信が存在しない場合、すなわち、第3再送信以前の送信が全て干渉を起こしている場合、干渉を起こした第3再送信は結合される一方(ライン26)、非干渉の第3再送信は、新たな送信と取り扱われる。
新たな送信と取り扱われた第3再送信は、以前に受信された送信と結合されず、独立してデコーディングされる。
【0072】
図14Bを参照すると、非干渉「N」と推定された送信は結合される一方、干渉「I」と推定された送信のうち一部も結合される。
例えば、第3再送信(rTX3)は全てデコーディングに使われ、最初の送信(TX0)、第1及び第2再送信(rTX1、rTX2)が干渉を起こした場合(T15)、単独で復調及び/又はデコーディングされる一方、その他の場合、少なくとも一つの以前に受信された送信と結合される。
また、最初の送信(TX0)、第1~第3再送信(rTX1~rTX3)が全て干渉を起こした場合(T16)、一部を結合から排除することよりも全て結合することが有利であるため、受信した最初の送信(TX0)及び受信した第1~第3再送信(rTX1~rTX3)が全て結合される。
【0073】
図14BのT09~T15のように、第1~第3再送信(rTX1、rTX2、rTX3)は、新たな送信と取り扱われ、これにより、受信した最初の送信(TX0)が結合される第1グループと異なる第2グループに結合される。
一部の実施形態において、現在までの送信からデコーディングが成功した場合、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check)が成功した場合、後続して受信する送信の処理(例えば、結合、デコーディング)は行われない。
すなわち、図14Bの第1グループのデコーディングが成功した場合、第2グループの処理は行われない。
【0074】
図14A及び図14Bの例示によって、受信した送信を結合する条件は、下記のように表す。
・条件1:全ての以前の送信が干渉を起こし、現在の送信も干渉を起こした場合、全ての以前に受信した送信と、現在受信している送信とを結合する。
例えば、図14BのT13で、最初の送信(TX0)及び第1再送信(rTX1)が干渉を起こした場合、受信した第1再送信(rTX1)は、受信した最初の送信(TX0)と結合される。
・条件2:全ての以前の送信が干渉を起こし、現在の送信は干渉を起こしていない場合、現在受信している送信を以前に受信した送信と結合しない。
例えば、図14BのT09で、最初の送信(TX0)が干渉を起こし、第1再送信(rTX1)が干渉を起こしていない場合、受信した第1再送信(rTX1)は、受信した最初の送信と結合する代わりに、後続して受信する送信と結合する。
【0075】
・条件3:現在の送信が干渉を起こしていない場合、現在の送信を少なくとも一つの干渉を起こしていない以前の送信と結合する。
例えば、図14BのT05で、最初の送信(TX0)が干渉を起こしていなく、第1再送信(rTX1)が干渉を起こし、第2再送信(rTX2)が干渉を起こしていない場合、受信した第2再送信(rTX2)を、受信した最初の送信(TX0)と結合する一方、受信した第1再送信(rTX1)は結合から排除する。
・条件4:受信した第3再送信(rTX3)を、少なくとも一つの干渉を起こしていない以前に受信した送信と結合する。
すなわち、図14BのT15及びT16で、最初の送信(TX0)、第1及び第2再送信(rTX1、rTX2)が全て干渉を起こした場合、干渉を起こしていない第3再送信(rTX3)は、独立してデコーディングされ、干渉を起こした第3再送信(rTX3)は、受信した最初の送信(TX0)、受信した第1及び第2再送信(rTX1、rTX2)と結合する。
【0076】
実験結果は、特定の環境(I_MCS=27,36RB、SINR>25dB、k_TRP=2)で、本発明の実施形態による選択的な結合により、受信率が約55%から約95%に上昇することを見せる。
また、実験結果は、互いに衝突するリソースブロックの個数が増加するほど、無条件的な結合は受信率が急減する一方、本発明の実施形態による選択的な結合は、受信率が実質的に維持されることを見せる。
一部の実施形態において、擬似コードの結合は、最初の干渉を起こしていない送信から結合に含ませるが、全て干渉を起こしていない送信である場合に、以前に干渉を起こした送信も選別的に結合する動作を行う。
以上、図14A及び図14Bを参照して前述した条件は例示に過ぎず、本発明の例示的な実施形態によって、干渉を起こした送信を結合させる他の条件が定義される点は理解できるであろう。
【0077】
図15は、本発明の一実施形態による無線通信方法を説明するためのフローチャートである。
具体的には、図15は、PSSCHの干渉に基づいて、ユーザ機器がPSSCHをスケジュールすることにより、PSSCHを送信する方法を示す。
例えば、図15に示す無線通信方法は、図1の第1ユーザ機器UE1により行われ、第1ユーザ機器UE1は、第2ユーザ機器UE2及び/又は第3ユーザ機器UE3へPSSCHを送信する。
以下、図15は、図1を参照して述べるものとする。
【0078】
図15を参照すると、段階S500で、PSCCHで少なくとも一つのSCIを受信する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、第1グループG1に属する第2ユーザ機器UE2及び第3ユーザ機器UE3、第2グループG2に属する第5ユーザ機器UE5の内の少なくとも一つから、PSCCHでSCIを受信する。
段階S600で、PSSCHでの干渉が減少するようにSCIを定義する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、段階S500で受信したSCIに基づいて、受信したSCIに対応するPSSCHリソース構成を認識し、認識されたPSSCHリソース構成を有するPSSCHでの干渉が減少するように、送信するPSSCHをスケジュールするSCI(又は、送信用SCI)を定義する。
段階S600についての例示は、図16を参照して述べるものとする。
【0079】
段階S700で、PSCCHでSCIを送信する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、段階S600で定義したSCIをPSCCHで送信する。
PSCCHで送信されるSCIは、第1グループG1を表すグループIDを含む。
段階S800で、PSSCHを送信する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、段階S600で定義され、段階S700で送信されたSCIによってスケジュールされたPSSCHを送信する。
すなわち、送信されるPSSCHは、段階S700で送信されたSCIにより定義されたリソース構成、すなわち、SCIにより位置が決定された、データを含むリソースブロックを含む。
他の少なくとも一つのユーザ機器によるPSSCHでの干渉が減少するように、第1ユーザ機器UE1が送信するPSSCHリソース構成が定義されたので、受信端で第1ユーザ機器UE1が送信するPSSCHの受信率は向上する。
【0080】
図16は、本発明の一実施形態による図15の段階S600の例示を説明するためのフローチャートである。
図15を参照して前述したように、図16の段階S600’で、PSSCHでの干渉が減少するようにSCIを定義する動作が行われる。
以下、図16は、図1及び図15を参照して述べるものとする。
【0081】
段階S620で、PSSCHリソースプールを検出する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、図15の段階S500で受信したSCIに基づいて、受信したSCIに対応するPSSCHリソースプール又はPSSCHリソース構成を検出する。
これにより、PSSCHからデータを含むリソースブロックの配置が検出される。
段階S640で、PSSCHをスケジュールする動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、他のユーザ機器へ送信するPSSCHを、段階S620で検出されたPSSCHリソースプールに基づいてスケジュールする。
【0082】
一部の実施形態において、第1ユーザ機器UE1は、検出されたPSSCHリソースプール上のデータを含むリソースブロックとの衝突が減少するように、PSSCHをスケジュールする。
一部の実施形態において、第1ユーザ機器UE1は、検出されたPSSCHリソースプールに基づいて、衝突するリソースブロックとの干渉が減少するように、PSSCHをスケジュールする。
これにより、他のPSSCHを考慮することにより、向上した受信率を提供するようにPSSCHがスケジュールされる。
段階S640の例示は、図17を参照して後述する。
【0083】
図17は、本発明の一実施形態による図16の段階S640の例示を説明するためのフローチャートである。
図16を参照して前述したように、図17の段階S640’で、送信するPSSCHをスケジュールする動作が行われ、段階S640’は、段階S642、S644を含む。
以下、図17は、図1及び図16を参照して述べるものとする。
【0084】
段階S642で、非衝突のサブフレームを割り当てる動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、検出されたPSSCHリソースプールで使われていないサブフレーム、すなわち、データを含むリソースブロックを含んでいないサブフレームを検出し、送信するPSSCHのためのサブフレーム(すなわち、非衝突のサブフレーム)に割り当てる。
これにより、割り当てられたサブフレームでのリソースブロックは、他のリソースブロックと衝突しない。
段階S644で、サブフレームとの干渉を推定する動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、検出されたPSSCHリソースプールで使われているサブフレーム、すなわち、データを含むリソースブロックを含むサブフレームとの干渉を推定する。
【0085】
サブフレームとの干渉は、図を参照して前述した実施形態によって、少なくとも一つの因子ARGに基づいて推定される。
例えば、サブフレームとの干渉は、衝突リソースブロックの個数(cRB)、サブフレーム内のリソースブロックの個数(nRB)に対する衝突リソースブロックの個数(cRB)の割合(cRB/nRB)、及びチャネル品質(qCHs)の内の少なくとも一つ、又はそれらの内の二つ以上の組み合わせなどに基づいて、サブフレームとの干渉を推定する。
【0086】
段階S646で、衝突サブフレームを割り当てる動作を行う。
例えば、第1ユーザ機器UE1は、段階S644で推定された干渉に基づいて、微弱な干渉を提供するサブフレームの順に送信するPSSCHのためのサブフレーム(すなわち、衝突サブフレーム)に割り当てる。
これにより、第1ユーザ機器UE1が送信するPSSCHは、他のユーザ機器によるPSSCHとの減少した干渉を有する。
【0087】
図18は、本発明の一実施形態による無線通信装置20の例示的な構成を示すブロック図である。
図18に示すように、無線通信装置20は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)21、ASIP(Application Specific Instruction set Processor)23、メモリ25、メインプロセッサ27、及びメインメモリ29を含む。
ASIC21、ASIP23、及びメインプロセッサ27の内の二つ以上は、互いに通信可能である。
また、ASIC21、ASIP23、メモリ25、メインプロセッサ27、及びメインメモリ29の内の少なくとも二つ以上は、一つのチップに内蔵され得る。
【0088】
ASIP23は、特定の用途のためにカスタム化された集積回路であり、特定のアプリケーションのための専用の命令語セットを支援し、命令語セットに含まれた命令語を実行する。
メモリ25は、ASIP23と通信しており、非一時的な保存装置として、ASIP23により実行される複数の命令語を保存する。
例えば、メモリ25は、非制限的な例示として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、テープ、磁気ディスク、光学ディスク、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、及びこれらの組み合わせのように、ASIP23によりアクセス可能な任意の類型のメモリを含む。
【0089】
メインプロセッサ27は、複数の命令語を実行することにより、無線通信装置20を制御する。
例えば、メインプロセッサ27は、ASIC21及びASIP23を制御し、無線通信ネットワークを通じて受信されたデータを処理するか、又は無線通信装置20へのユーザの入力を処理する。
メインメモリ29は、メインプロセッサ27と通信しており、非一時的な保存装置として、メインプロセッサ27により実行される複数の命令語を保存する。
例えば、メインメモリ29は、非制限的な例示として、RAM、ROM、テープ、磁気ディスク、光学ディスク、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、及びこれらの組み合わせのように、メインプロセッサ27によりアクセス可能な任意の類型のメモリを含む。
【0090】
上述した本発明の例示的な実施形態による無線通信方法は、図18の無線通信装置に含まれた構成要素の内の少なくとも一つにより行われる。
一部の実施形態において、上述した無線通信方法の段階の内の少なくとも一つの段階は、メモリ25に保存された複数の命令語として具現される。
一部の実施形態において、ASIP23がメモリ25に保存された複数の命令語を実行することにより、無線通信方法の段階の内の少なくとも一つの段階を行う。
一部の実施形態において、無線通信方法の段階の内の少なくとも一つの段階は、論理合成などにより設計されたハードウェアブロックとして具現され、ASIC21に含まれる。
一部の実施形態において、無線通信方法の段階の内の少なくとも一つの段階は、メインメモリ29に保存された複数の命令語として具現され、メインプロセッサ27がメインメモリ29に保存された複数の命令語を実行することにより、無線通信方法の段階の内の少なくとも一つの段階を行う。
【0091】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る無線通信方法は、端末間(D2D)通信をおこなう通信機器(端末)の無線通信システムに好適に使用される。
【符号の説明】
【0093】
10 無線通信システム
20 無線通信装置
21 ASIC
23 ASIP
25 メモリ
27 メインプロセッサ
29 メインメモリ
12 基地局
G1 第1グループ
G2 第2グループ
UE1 第1ユーザ機器
UE2 第2ユーザ機器
UE3 第3ユーザ機器
UE4 第4ユーザ機器
UE5 第5ユーザ機器
SL12、SL13、SL15、SL45 サイドリンク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18