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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】可視光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20230511BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20230511BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20230511BHJP
【FI】
H04B10/116
H04B10/516
H05B47/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018219724
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020088584
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193389
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 智利
(72)【発明者】
【氏名】角田 博一
(72)【発明者】
【氏名】木本 颯
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博
(72)【発明者】
【氏名】浦邊 秀樹
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-521320(JP,A)
【文献】特開2010-239350(JP,A)
【文献】特開2017-169069(JP,A)
【文献】特開2016-59032(JP,A)
【文献】Xingxing Huang et al.,A Gb/s VLC Transmission Using Hardware Preequalization Circuit,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS [online],2015年,VOL. 27, NO. 18,pp. 1915 - 1918,[令和4年7月20日検索],インターネット <URL: https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=7124419>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/11 - 10/116
H04B 10/516 - 10/556
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から信号が入力される入力端子、
前記入力端子に入力された信号を受信しアナログ入力信号として出力するアナログ信号入力部、
基本信号を出力する基本信号入力部、
前記アナログ信号入力部および前記基本信号入力部に接続された加算器、
前記加算器に接続された発光部を備え、
前記加算器において、前記入力端子に入力される信号に応じた前記アナログ入力信号が前記基本信号に重畳され、前記アナログ入力信号は100MHz以上の信号を含み、
前記加算器は、帯域補償部を介して前記発光部に接続され、
前記帯域補償部は、前記発光部の周波数特性に応じた周波数ごとの増幅特性を有することを特徴とする、可視光通信信号送信機。
【請求項2】
前記基本信号入力部は可視光通信における通信の状態に関する通信状態信号を受信する通信状態受信端子を備え、前記通信状態信号に応じて前記基本信号を変化させることを特徴とする、請求項1に記載の可視光通信信号送信機。
【請求項3】
前記アナログ信号入力部は、前記入力端子に入力された信号を変調した前記アナログ入力信号を出力するアナログ信号変調部であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の可視光通信信号送信機。
【請求項4】
前記アナログ信号入力部に接続されたアナログ信号増幅部を備え、
前記アナログ信号入力部はアナログ信号増幅部を介して前記加算器に接続されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の可視光通信信号送信機。
【請求項5】
前記アナログ信号増幅部は、前記発光部の周波数特性に応じた周波数ごとの増幅特性を有することを特徴とする、請求項4に記載の可視光通信信号送信機。
【請求項6】
前記基本信号入力部は、基本信号制御信号受信部を有し、基本信号制御信号に応じて前記基本信号を出力することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の可視光通信信号送信機。
【請求項7】
前記基本信号は照明信号であり、前記照明信号は前記アナログ入力信号より大きく、前記発光部は照明機器であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の可視光通信信号送信機。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の可視光通信信号送信機、および、可視光通信信号受信機を備え、
前記可視光通信信号受信機は、
受光部、前記受光部に接続された信号復調部を備え、
前記信号復調部は、アナログ信号処理部を備え、
前記アナログ信号処理部は、前記受光部が受信した100MHz以上の信号を含む受信信号に含まれるアナログ入力信号を復調することを特徴とする、可視光通信システム。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の可視光通信信号送信機、および、可視光通信信号受信機を同一の筺体内に備え、
前記可視光通信信号受信機は、
受光部、前記受光部に接続された信号復調部を備え、
前記信号復調部は、アナログ信号処理部を備え、
前記アナログ信号処理部は、前記受光部が受信した100MHz以上の信号を含む受信信号に含まれるアナログ入力信号を復調することを特徴とする、可視光通信システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光域の光を用いて通信を行う、可視光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可視光通信においては、レーザ発光ダイオード(LED)やレーザ光をON/OFFする方式が用いられており、遮断周波数は数MHzから50MHz、通信速度は数Mbps~数十Mbps程度であった。高感度で高速応答性の青色光用フォトダイオードを使用するものなども知られている(特許文献1)。
可視光通信では、ある程度の距離において通信するためには、高出力が求められる。さらに、高速通信を行おうとすれば、高出力かつ高遮断周波数の特殊なLEDや、それに対応した受光素子を用いなければならなかった。
【0003】
また、通信方式として、デジタル変調した信号を逆フーリエ変換した後、D/A変換して送信し、受信した信号を復調、A/D変換してフーリエ変換する可視光通信装置も知られている(特許文献2)。
さらに、デジタル変調した信号をD/A変換して送信する可視光通信装置も知られている(特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5374202号明細書
【文献】特許第5539247号明細書
【文献】特許第5811531号明細書
【文献】特許第6353280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタル信号やデジタル信号を元にしたアナログによる通信の場合、LEDなどの発光部(光源)への出力電圧は図25に示されるように矩形波になることが望ましい。なお、tは時間を示す。
【0006】
しかし、実際には、図26に示されるように、信号の立ち上がりに遅れが生じ、かつ、入力電圧が0となった後も出力電圧が完全に0となるまでに時間がかかるため、信号がなまってしまう。
さらに高速な通信を行おうとした場合、図27に示されるように、信号のなまりがひどくなり、通信が困難となる。
信号がなまると、それに従って、通信速度は低下する。
【0007】
また、引用文献3および引用文献4に記載の技術は、そもそも光源からの光を変調する技術であり、LEDなどの発光部における光信号のなまりに対処するものではない。
【0008】
そこで、本発明は、一般的なLEDおよび受光素子を用いながらも、素子の応答周波数以上の広い帯域において信号を重畳することで、高速大容量光通信を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る可視光通信信号送信機は、外部から信号が入力される入力端子、前記入力端子に入力された信号を受信しアナログ入力信号として出力するアナログ信号入力部、基本信号を出力する基本信号入力部、前記アナログ信号入力部および前記基本信号入力部に接続された加算器、前記加算器に接続された発光部を備え、前記加算器において、前記入力端子に入力される信号に応じた前記アナログ入力信号が前記基本信号に重畳され、アナログ入力信号は100MHz以上の信号を含むことを特徴とする、可視光通信信号送信機である。
本構成により、アナログ信号により通信を行うため、デジタル信号に比べて大容量高速通信が容易となる。また、デジタル信号ではなく、アナログ入力信号を用いることにより、100MHz以上の信号による通信が可能となる。そして、アナログ信号は100MHz以上の信号を含むことから、従来と比べて高速な通信が可能となる。

本発明の請求項2に係る可視光信号送信機は、前記基本信号入力部は可視光通信における通信の状態に関する通信状態信号を受信する通信状態受信端子を備え、前記通信状態信号に応じて前記基本信号を変化させることを特徴とする、請求項1に記載の可視光信号送信機である。
通信路の状態など、通信の状態に関する通信状態信号に応じて基本信号を変化させ、通信の状態にダイナミックに対応した通信を行うことで通信の安定性や精度を向上させることができる。

本発明の請求項3に係る可視光通信信号送信機は、前記アナログ信号入力部は、前記入力端子に入力された信号を変調した前記アナログ入力信号を出力するアナログ信号変調部であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の可視光通信信号送信機である。
本構成により、入力端子に入力された信号をアナログ入力信号としてアナログ信号により通信を行うため、デジタル信号に比べて大容量高速通信が容易となる。

本発明の請求項4に係る可視光通信信号送信機は、前記アナログ信号入力部に接続されたアナログ信号増幅部を備え、前記アナログ信号入力部はアナログ信号増幅部を介して前記加算器に接続されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の可視光通信信号送信機である。
本構成により、入力端子に入力された信号がそのままでは通信に耐えられない場合でも、増幅されることで通信が可能となる。

本発明の請求項5に係る可視光通信信号送信機は、前記アナログ信号増幅部は、前記発光部の周波数特性に応じた周波数ごとの増幅特性を有することを特徴とする、請求項3または4のいずれかに記載の可視光通信信号送信機である。
本構成により、発光部における周波数特性による影響を抑制することができ、より精度の高い通信が可能となる。

本発明の請求項6に係る可視光通信信号送信機は、前記加算器は、帯域補償部を介して前記発光部に接続され、前記帯域補償部は、前記発光部の周波数特性に応じた周波数ごとの増幅特性を有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の可視光通信信号送信機である。
本構成により、基本信号およびアナログ入力信号が加算された信号に対して、発光部の周波数特性に応じた増幅が可能となり、より精度の高い通信が可能となる。

本発明の請求項7に係る可視光通信信号送信機は、前記基本信号入力部は、基本信号制御信号受信部を有し、前記基本信号制御信号に応じて前記基本信号を出力することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の可視光通信信号送信機である。
本構成により、基本信号を制御することができ、例えば、通信に用いられるアナログ入力信号の強度に応じた基本信号とすることで、より精度の高い通信が可能となる。

本発明の請求項8に係る可視光通信信号送信機は、前記基本信号は照明信号であり、前記照明信号は前記アナログ入力信号より大きく、前記発光部は照明機器であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の可視光通信信号送信機である。
本構成により、照明信号に比べてアナログ入力信号が小さいため、照明機器として照明に用いられている間も、ちらつきなど通信による影響を抑えることができる。

本発明の請求項9に係る可視光通信信号受信機は、受光部、前記受光部に接続された信号復調部を備え、 前記信号復調部は、アナログ信号処理部を備え、 前記アナログ信号処理部は、前記受光部が受信した100MHz以上の信号を含む受信信号に含まれるアナログ入力信号を復調することを特徴とする、可視光通信信号受信機である。
本構成により、アナログ信号により通信を行うため、デジタル信号に比べて大容量高速通信が容易となる。また、デジタル信号ではなく、アナログ信号を用いることにより、100MHz以上の信号による通信が可能となる。そして、アナログ信号は100MHz以上の信号を含むことから、従来と比べて高速な通信が可能となる。

本発明の請求項10に係る可視光通信信号受信機は、前記受光部は、アバランシェ・フォト・ダイオードを有することを特徴とする、請求項9に記載の可視光通信信号受信機である。
アバランシェ・フォト・ダイオード(以下「APD」)は小面積でも十分で、かつ、高速の応答特性を有するため、本構成により、より小型の可視光通信信号受信機により、より高速の通信が可能となる。

本発明の請求項11に係る可視光通信信号受信機は、前記受光部は、アレイ状に配置された複数のアバランシェ・フォト・ダイオードを有することを特徴とする、請求項9に記載の可視光通信信号受信機である。
本構成により、APDを用いる利点に加えて、通信方向の検知なども可能となる。

本発明の請求項12に係る可視光通信信号受信機は、前記受光部と前記信号復調部は、バンドパスフィルタまたはハイパスフィルタを介して接続されることを特徴とする、請求項9ないし11のいずれかに記載の可視光通信信号受信機である。
本構成により、外部のノイズ信号などを減衰させることができ、より精度の高い通信が可能となる。

本発明の請求項13に係る可視光通信システムは、請求項1ないし9のいずれかに記載の可視光通信信号送信機、および、請求項9ないし12のいずれかに記載の可視光信号受信機を備えたことを特徴とする、可視光通信システムである。
本構成により、以上で述べた利点を備えた可視光通信システムが可能となる。

本発明の請求項14に係る可視光通信システムは、請求項1ないし8のいずれかに記載の可視光通信信号送信機、および、請求項9ないし12のいずれかに記載の可視光信号受信機を同一の筺体内に備えたことを特徴とする、可視光通信システムである。
本構成により、可視光通信システムにおいて双方向の送受信が可能となり、例えば照明間での双方向通信や、照明と携帯通信端末との間、通信端末同士での双方向通信が可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図2】本発明の一実施例における発光部に入力される信号の例を示す。
図3】本発明の一実施例における発光部に入力される信号の例を示す。
図4】本発明の一実施例における発光部に入力される信号の例を示す。
図5】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図6】本発明の一実施例における発光部に入力される信号の例を示す。
図7】本発明の一実施例における発光部に入力される信号の例を示す。
図8】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図9】本発明の一実施例における発光部の発光効率の例を示す。
図10】本発明の一実施例におけるアナログ信号増幅部の増幅率の例を示す。
図11】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図12】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図13】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図14】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図15】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図16】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図17】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図18】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号送信機の構成を示す。
図19】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号受信機の構成を示す。
図20】本発明の一実施例におけるAPDアレイの構成を示す。
図21】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号受信機の構成を示す。
図22】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号受信機の構成を示す。
図23】本発明の一実施例における可視光通信システムの可視光通信信号受信機の構成を示す。
図24】本発明の一実施例における可視光通信システムの構成を示す。
図25】LEDへの出力電圧の例を示す。
図26】LEDへの出力電圧の例を示す。
図27】LEDへの出力電圧の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の、可視光通信信号送信機200の構成を示し、図2から図4は、最終的に発光部290に入力される信号の例を示す。
可視光通信信号送信機200は、外部から信号が入力される入力端子210、アナログ信号入力部220、基本信号入力部240、加算器260、出力端子280、発光部290を備える。
アナログ信号入力部220は、入力端子210に入力された信号を受信し、例えば図2に示されるような数百MHzの高周波などのアナログ入力信号として出力する。
基本信号入力部240は、例えば図3に示されるような一定の信号など、基本信号を出力する。
【0012】
加算器260は、アナログ信号入力部220および基本信号入力部240に接続され、図4に示されるように、アナログ入力信号および基本信号を加算した信号を出力する。
発光部290は例えばLED等のレーザ発光部などであり、出力端子280を介して加算器260に接続される。必要に応じて、レンズ295などの光学素子を設けて、発光部290からの光信号がレンズ295を通して出力される構成としも良い。
【0013】
本構成により、加算器260において、外部から入力端子に入力される信号に応じたアナログ入力信号が基本信号に重畳される。
本構成により、アナログ信号により通信を行うため、デジタル信号に比べて大容量高速通信が容易となる。
【0014】
アナログ入力信号は50MHz以上の信号を含むことができる。本明細書において「アナログ入力信号は50MHz以上の信号を含む」とは、当然、ノイズとしての50MHz以上の信号を含むという意味ではなく、50MHz以上の信号を、受信側において信号として処理可能な状態で送信することを意味する。
【0015】
さらに、アナログ入力信号は100MHz以上の信号を含むことができる。本明細書および請求の範囲において「アナログ入力信号は100MHz以上の信号を含む」とは、当然、ノイズとしての100MHz以上の信号を含むという意味ではなく、100MHz以上の信号を、受信側において信号として処理可能な状態で送信することを意味する。
一般のLED素子の応答周波数は50MHz程度までであるが、素子の応答周波数以上の広い帯域において信号を重畳することで、高速大容量光通信が実現できる。
【0016】
図5は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の、可視光通信信号送信機200の構成を示す。
本実施例において、基本信号入力部240は、通信状態受信端子241を備える。通信状態受信端子241は、可視光通信における通信の状態に関する通信状態信号を受信する。そして、基本信号入力部240は、通信状態受信端子241を通して受信した通信状態信号に応じて基本信号を変化させる。
基本信号は、通信路の状態に応じて変化する。通信路の状態がほぼ一定である場合、例えば図3に示されるような一定の信号である。通信路の状態が急激に変化する場合には、例えば図6に示されるように急激に増減する。また、例えば通信路の起点となる光源の状態が熱により次第に変化する場合には、図7に示されるように変化する。
【0017】
図8は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の、可視光通信信号送信機200の構成を示す。
可視光通信信号送信機200は、アナログ信号入力部220に接続されたアナログ信号増幅部である増幅部250を備え、アナログ信号入力部220はアナログ信号増幅部である増幅器250を介して加算器260に接続される。
本構成により、入力端子210に入力された信号がそのままでは通信に耐えられない場合でも、増幅されることで通信が可能となる。
【0018】
発光部290にはLEDなどの発光素子を用いることができるが、発光素子への入力電圧に対する発光効率は、例えば図9に示されるように、高周波になるほど低くなる傾向にある。なお、図9図10のfは周波数を示す。
このため、アナログ信号増幅部である増幅部250は、発光部290の周波数特性に応じた周波数ごとの増幅特性を有する構成とすることもできる。この場合、例えば、発光部290において、図9に示されるように、周波数fが高いほど発光効率が低くなる場合、予めアナログ信号増幅部250において、図10に示されるように、周波数fが高いほど増幅率を高くしておくなど、アナログ信号増幅部250が、発光部290の周波数特性と逆の周波数特性を有する構成とすることができる。
【0019】
本構成により、入力端子210に入力される元の信号に対して、より精確な信号を発光部290から送信することで、発光部290における周波数特性による影響を抑制することができ、より精度の高い通信が可能となる。
【0020】
アナログ信号入力部220の後の、アナログ信号増幅部である増幅部250において、発光効率を補償する代わりに、図11におけるように、加算器260が、発光部290の周波数特性に応じた周波数ごとの増幅特性を有する帯域補償部270を介して、発光部290に接続される構成とすることもできる。
本構成により、基本信号およびアナログ入力信号が加算された信号に対して、発光部290の周波数特性に応じた増幅が可能となり、より精度の高い通信が可能となる。
【0021】
図12図13は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の、可視光通信信号送信機200の構成を示す。
アナログ信号入力部220は、入力端子210に入力された信号を変調したアナログ入力信号を出力するアナログ信号変調部221である。
本構成により、入力端子210に入力される信号が、デジタル信号や通信に最適化されていない信号である場合にも、アナログ入力信号として変調を行うことで、最適な信号により通信を行うことができる。
【0022】
図13に示されるように、可視光通信信号送信機200は、アナログ信号変調部221に接続されたアナログ信号増幅部である増幅部250を備え、アナログ信号入力部220は増幅器250を介して加算器260に接続される構成とすることもできる。
【0023】
図14は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の、可視光通信信号送信機200の構成を示す。
基本信号入力部240は、基本信号制御信号受信部242を有する。
基本信号入力部240は、基本信号制御信号受信部242を介して受信した、基本信号制御信号に応じた基本信号を出力する。
本構成により、基本信号を制御することができ、例えば、通信に用いられるアナログ入力信号の強度に応じた基本信号とすることで、より精度の高い通信が可能となる。
【0024】
図15に示されるように、基本信号を照明信号として、発光部290は照明機器291とすることもできる。本構成の場合、照明信号はアナログ入力信号より大きくすることができる。この場合、照明信号に比べてアナログ入力信号が小さいため、照明機器として照明に用いられている間に通信を行っても、ちらつきなどによる影響を抑えることができる。
請求項における「前記基本信号は照明信号であり」との記載は、基本信号が照明信号を含む場合も含む。つまり、照明信号は、常にアナログ入力信号より大きくするために、定常状態にある信号に、照明機器を任意の明るさで発光させるための信号を加えたものとすることができる。
【0025】
また、図16に示されるように、アナログ信号増幅器250および帯域補償部270の双方を有するものとすることもできる。
【0026】
入力端子210に入力される信号が、通信に適切なアナログ信号である場合には、図17図18に示されるように、アナログ信号入力部220やアナログ信号変調部221を有しない構成とすることもできる。
【0027】
図19は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の、可視光通信信号受信機300の構成を示す。
可視光通信信号受信機300は、受光部310、信号復調部350を備える。
受光部310は、レンズ301を通して信号を受信する構成とすることもできる。
信号復調部350は、受光部310に接続されており、アナログ信号処理部351を備える。
アナログ信号処理部351は、受光部310が受信した受信信号に含まれるアナログ入力信号を復調する。
【0028】
受光部は、前述の可視光通信信号送信機から送信された信号を受信する。そして、アナログ信号処理部は、受光部が受信した信号、つまり受信信号に含まれる、アナログ入力信号を復調する。
アナログ信号処理部は、受光部が受信した100MHz以上の信号を含む受信信号に含まれるアナログ入力信号を復調することができる。
【0029】
本構成により、アナログ信号により通信を行うため、デジタル信号に比べて大容量高速通信が容易となる。
また、信号復調部350は、受光部310からの信号をアナログ信号処理部351で処理した後、アナログ信号処理部351に接続されたアナログ信号復調部352で信号を復調する構成とすることもできる。
【0030】
受光部310は、アバランシェ・フォト・ダイオードを有する構成とすることもできる。
アバランシェ・フォト・ダイオード(以下「APD」)は小面積でも十分で、かつ、高速の応答特性を有するため、本構成により、より小型の可視光通信信号受信機300により、より高速の通信が可能となる。
あるいは、受光部310は、図20に示されるような、アレイ状に配置された複数のアバランシェ・フォト・ダイオード、つまりAPDアレイ311を有する構成とすることもできる。
本構成により、APDを用いる利点に加えて、通信方向の検知なども可能となる。
【0031】
図21図22に示されるように、受光部310と信号復調部350は、バンドパスフィルタ321またはハイパスフィルタ322を介して接続される構成とすることもできる。
本構成により、外部のノイズ信号などを減衰させることができ、より精度の高い通信が可能となる。
【0032】
図23は、本発明の一実施例における可視光通信システム100の構成を示す。
可視光通信システム100は、上述の可視光通信信号送信機200、および、上述の可視光信号受信機を備える。
【0033】
図24は、本発明の一実施例における可視光通信システム100A、100Bの構成を示す。
可視光通信システム100Aは、上述の可視光通信信号送信機200A、および、上述の可視光信号受信機300Aを同一の筺体101A内に備え、可視光通信システム100Bは、上述の可視光通信信号送信機200B、および、上述の可視光信号受信機を同一の筺体101B内に備える。
本構成により、可視光通信システム100Aおよび可視光通信システム100Bにおいて双方向の送受信が可能となり、例えば照明間での双方向通信や、照明と携帯通信端末との間、通信端末同士での双方向通信が可能となる。
【0034】
本発明は以上の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施例を含むことは言うまでもない。
例えば、可視光通信システムは、車両などの移動体に設ける構成とすることもできる。
発光部としては、青色レーザ発光ダイオードなどを用いることもできる。
【符号の説明】
【0035】
100 可視光通信システム
100A 可視光通信システム
100B 可視光通信システム
101A 筺体
101B 筺体

200 可視光通信信号送信機
200A 可視光通信信号送信機
200B 可視光通信信号送信機
210 入力端子
220 アナログ信号入力部
221 アナログ信号変調部
240 基本信号入力部
241 通信状態受信端子
242 基本信号制御信号受信部
250 増幅器
260 加算器
270 帯域保証部
280 出力端子
290 発光部
295 レンズ

300 可視光通信信号受信機
300A 可視光通信信号受信機
300B 可視光通信信号受信機
301 レンズ
310 受光部
311 PADアレイ
321 バンドパスフィルタ
322 ハイパスフィルタ
350 信号復調部
351 アナログ信号処理部
352 アナログ信号復調部
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