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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】火災報知設備及び受信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018222110
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020087086
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】茂木 稜子
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-096469(JP,A)
【文献】特開2004-086467(JP,A)
【文献】特開2004-302965(JP,A)
【文献】特開平02-224095(JP,A)
【文献】特開2006-004241(JP,A)
【文献】特開平08-161674(JP,A)
【文献】特開平05-325062(JP,A)
【文献】特開2015-135584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
G08B17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機又は前記受信機に通信回線より接続された1又は複数の中継盤から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備において、
前記受信機に、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記スイッチ操作無効制御手段は、前記操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、前記表示手段にスイッチ操作無効中を示すスイッチ操作無効中画面を表示させ、前記スイッチ操作無効中画面に前記受信機で発生した所定のイベントを画面表示させるイベント表示釦を画面表示させ、前記イベント表示釦の画面操作により前記イベント内容を表示させることを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
受信機又は前記受信機に通信回線より接続された1又は複数の中継盤から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備において、
前記受信機に、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記スイッチ操作無効制御手段は、前記操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、前記表示手段にスイッチ操作無効中を示すスイッチ操作無効中画面を表示させ、前記スイッチ操作無効中画面にスイッチ操作無効解除釦を隠し表示したことを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
受信機又は前記受信機に通信回線より接続された1又は複数の中継盤から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備において、
前記受信機に、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記受信機は、前記スイッチ操作無効制御手段によりスイッチの操作が無効にされ、前記受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作無効を維持し、前記表示手段に前記操作手段によるスイッチ操作無効中であることを示す画面に火災に係る情報を加えたスイッチ操作無効中火災時画面を表示することを特徴とする火災報知設備。
【請求項4】
受信機又は前記受信機に通信回線より接続された1又は複数の中継盤から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備において、
前記受信機に、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記受信機は、前記スイッチ操作無効制御手段によりスイッチの操作が無効にされ、前記受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作無効を維持し、前記表示手段に火災に係る情報を表示することを特徴とする火災報知設備。
【請求項5】
引き出した信号回線に火災感知器を含む端末機器を接続して火災を監視可能とする受信機において、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記スイッチ操作無効制御手段は、前記操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、前記表示手段にスイッチ操作無効中を示すスイッチ操作無効中画面を表示させ、前記スイッチ操作無効中画面に、前記受信機で発生した所定のイベントを画面表示させるイベント表示釦を画面表示させ、前記イベント表示釦の画面操作により前記イベント内容を表示させることを特徴とする受信機。
【請求項6】
引き出した信号回線に火災感知器を含む端末機器を接続して火災を監視可能とする受信機において、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記スイッチ操作無効制御手段は、前記操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、前記表示手段にスイッチ操作無効中を示すスイッチ操作無効中画面を表示させ、前記スイッチ操作無効中画面にスイッチ操作無効解除釦を隠し表示したことを特徴とする受信機。
【請求項7】
引き出した信号回線に火災感知器を含む端末機器を接続して火災を監視可能とする受信機において、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記スイッチ操作無効制御手段によりスイッチの操作が無効にされ、前記受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作無効を維持し、前記表示手段に前記操作手段によるスイッチ操作が無効中であることを示す画面に火災に係る情報を加えたスイッチ操作無効中火災時画面を表示することを特徴とする受信機。
【請求項8】
引き出した信号回線に火災感知器を含む端末機器を接続して火災を監視可能とする受信機において、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが前記表示手段の外に設けられた操作手段と、
前記操作手段に設けられた前記スイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられ、
前記スイッチ操作無効制御手段によりスイッチの操作が無効にされ、前記受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作無効を維持し、前記表示手段に火災に係る情報を表示することを特徴とする受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備及びその受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備としては、R型火災報知設備とP型火災報知設備が知られている。
【0003】
R型火災報知設備にあっては、受信機から引き出された信号回線に、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアナログ火災感知器を接続し、火災発生時には、アナログ火災感知器からの火災割込みに基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報したアナログ火災感知器のアドレスを特定し、受信機で火災代表灯を点灯して主音響警報を出力し、更に、アドレス表示器等に火災を検出した感知器アドレスを表示するようにしている。
【0004】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0005】
P型火災報知設備は、受信機から引き出された信号回線にオンオフ火災感知器を接続して回線単位に火災を監視しており、火災検出時にはオンオフ火災感知器の火災発報により信号回線に発報電流を流すことで火災検出信号を受信機に送信し、火災警報を出力すると共に火災検出信号を受信した信号回線に対応した地区表示灯を点灯して火災発生地区を表示するようにしている。
【0006】
また、R型火災報知設備の受信機は、盤面に火災の監視操作に必要な主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ、火災断定スイッチ等のスイッチが設けられ、また受信機盤面に開閉自在に設けられた小扉内側に、復旧スイッチ、地区音響一斉鳴動スイッチ、移報遮断スイッチ、連動起動遮断スイッチ、蓄積解除スイッチ等のスイッチが設けられ、状況に応じたスイッチ操作を可能としている。
【0007】
このような火災報知設備にあっては、受信機が施設の共用部に設置され、誰でも容易に受信機に近づいて操作できる場合にあっては、いたずらや不審者による意図的な操作により、例えば地区音響一斉鳴動等の好ましからざる事態が発生する場合がある。
【0008】
このような問題に対し特許文献1の火災受信機にあっては、特殊なスイッチ操作、例えば2つのスイッチを同時に長押し操作すると、スイッチによる操作を無効にするようにし、いたずら等の操作による不都合を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2004-302965号公報
【文献】特開2017-004779号公報
【文献】特開2007-219870号公報
【文献】特開2000-268276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、スイッチの特殊操作によりスイッチ操作を無効とする従来の受信機にあっては、スイッチ操作を無効にできる機能が設けられたことで、火災発生時に操作する主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ、火災断定スイッチ以外の通常は盤面内側の小扉の内側に設置しているスイッチについても盤面に露出して配置しており、このためスイッチ操作を無効にしていても、いたずらや不審者が意図的に操作した場合に、スイッチの特殊操作が偶然に行われてスイッチ操作の無効が解除されてしまう可能性があり、確実性に欠けるという問題がある。
【0011】
また、スイッチ操作を無効にした場合には、その旨を示す表示灯を点灯するようにしているが、悪戯をする者や不審者には表示灯を見てもスイッチ操作が無効になっていることは分からず、スイッチを操作しても動作しないことが分かっていれば操作を行わないが、それが分からないことでスイッチ操作が無意味に行われ、偶然にスイッチ操作の無効が解除されてしまう可能性が残る。
【0012】
本発明は、受信機のスイッチ操作を無効にした状態でのいたずらや不審者によるスイッチ操作の無効解除を確実に防止可能とする火災報知設備及びその受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(火災報知設備)
本発明は、受信機又は受信機に通信回線より接続された1又は複数の中継盤から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備に於いて、
受信機に、
火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、
火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが表示手段の外に設けられた操作手段と、
操作手段に設けられたスイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段と、
が設けられたことを特徴とする。
【0016】
(スイッチ操作無効中のイベント表示機能)
スイッチ操作無効制御手段は、操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、表示手段にスイッチ操作無効中を示すスイッチ操作無効中画面を表示させ、スイッチ操作無効中画面に受信機で発生した所定のイベントを画面表示させるイベント表示釦を画面表示させ、イベント表示釦の画面操作によりイベント内容を表示させる。
【0018】
(スイッチ操作無効解除釦の隠し表示)
スイッチ操作無効制御手段は、操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、表示手段にスイッチ操作無効中を示すスイッチ操作無効中画面を表示させ、スイッチ操作無効中画面にスイッチ操作無効解除釦を隠し表示させる。ここで、画面における釦の隠し表示とは、画面中の例えば特定の表示文字に操作釦を埋め込んで隠蔽する手法や、無意味な文字、図形、符号等のアイコンを操作釦といて表示する手法等で表示された釦を意味する。
【0020】
(火災イベント発生による表示)
受信機は、スイッチ操作無効制御手段によりスイッチの操作が無効にされ、受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作無効を維持し、表示手段に操作手段によるスイッチ操作無効中であることを示す画面に火災に係る情報を加えたスイッチ操作無効中火災時画面を表示する。
【0021】
スイッチ操作無効を維持した上での火災に係る情報の表示
受信機は、スイッチ操作無効制御手段によりスイッチの操作が無効にされ、受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作無効を維持し、表示手段に火災に係る情報を表示する。
【発明の効果】
【0022】
(基本的な効果)
本発明は、受信機又は受信機に通信回線より接続された1又は複数の中継盤から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備に於いて、受信機に、火災監視に必要な所定の情報を画面表示する表示手段と、火災監視に必要な所定のスイッチ操作を行うスイッチが表示手段の外に設けられた操作手段と、操作手段に設けられたスイッチの操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御手段とが設けられたため、受信機に設けられたディスプレイ等の表示手段の画面操作により暗証番号を入力することでスイッチ操作の無効と無効解除ができるため、いたずらする者や不審者等の第三者が暗証番号を知ることは実質的に不可能であり、また、暗証番号の桁数を十分に大きくすることで暗証番号の解読は不可能に近くなり、暗証番号の画面操作による入力によりスイッチ操作の無効が確実に維持され、いたずらや不審者のスイッチ操作による動きを確実に防止することができる。
【0023】
(スイッチ操作無効の暗証番号入力画面による効果)
また、スイッチ操作無効制御手段は、表示手段によりスイッチ操作無効を行わせる所定の暗証番号入力画面を表示して暗証番号を入力させるようにしたため、簡単な画面操作により関係者のみが知っている所定桁数の暗証番号を入力してスイッチ操作を無効とすることができる。
【0024】
(スイッチ操作無効中の画面表示による効果)
また、スイッチ操作無効制御手段は、操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、表示手段にスイッチ操作無効中を示す画面を固定表示させるようにしたため、いたずらをしようとする者や不審者は、ディスプレイ等の表示手段にスイッチ操作無効中が表示されることを見ることで、スイッチを操作しても動作しないことが分かり、無意味なスイッチ操作を行うことを思い留まらせることが可能となる。
【0025】
(スイッチ操作無効中のイベント表示機能による効果)
また、スイッチ操作無効制御手段は、表示手段によるスイッチ操作無効中の表示画面に、受信機で発生した所定のイベントを画面表示させるイベント表示釦を画面表示させ、イベント表示釦の画面操作によりイベント内容を表示させるようにしたため、スイッチ操作無効中を示す画面の表示中に、暗証番号の再入力によりスイッチ操作の無効を解除して画面の固定表示を解除しなくとも、発生したイベントを簡単に見ることができる。
【0026】
(スイッチ操作無効解除の暗証番号入力画面による操作)
また、スイッチ操作無効制御手段は、スイッチ操作無効中を示す画面に、スイッチ操作無効解除釦を表示し、スイッチ操作無効解除釦の画面操作によりスイッチ操作無効の解除を行わせる所定の暗証番号入力画面を表示して暗証番号を入力させるようにしたため、関係者が共用部に設置している受信機のスイッチ操作を行いたい場合には、スイッチ操作無効中画面のスイッチ操作無効解除釦をタッチ操作することで、スイッチ操作の無効解除のための暗証番号入力画面に切り替えて暗証番号を入力することで簡単にスイッチ操作の無効を解除できる。
【0027】
(スイッチ操作無効解除釦の隠し表示による効果)
また、スイッチ操作無効制御手段は、スイッチ操作無効中を示す画面に、スイッチ操作無効解除釦を隠し表示させるようにしたため、悪戯をしようとする者や不審者等の第三者がスイッチ操作無効中画面を見てもスイッチ操作の無効を解除するためにどのような操作が必要かが分からず、また、スイッチ操作の無効解除に暗証番号の入力が必要であることを知っていても、暗証番号の入力の仕方がスイッチ操作無効中の画面表示からは分からず、第三者によるスイッチ操作の無効解除を確実に防止して、スイッチ操作の無効を維持することができる。
【0028】
(火災イベント発生による無効解除の効果)
また、スイッチ操作無効制御手段は、受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作の無効を自動的に解除するようにしたため、緊急を要する火災イベントが発生して火災警報が出力された場合には、暗証番号を入力しなくとも自動的にスイッチ操作の無効が解除され、火災イベントの発生に対し主音響停止、地区音響一時停止、現場確認に基づく火災断定といった火災対処のためのスイッチ操作を有効に行って動作させることができる。
【0029】
(火災イベント発生による表示の効果)
また、受信機は、受信機で火災イベントが発生した場合に、スイッチ操作無効を維持し、スイッチ操作無効中画面に火災に係る情報を加えたスイッチ操作無効中火災時画面を表示するようにしたため、火災イベント時に解除を行わず表示のみを行う形態にあっては、火災時のみにスイッチ操作無効の解除手段を報知させることができる。
【0030】
(ガイダンス手段によるスイッチ操作無効解除情報の報知)
受信機は、表示手段の外部にガイダンス手段を設け、
操作手段によるスイッチ操作を無効としたときに、ガイダンス手段が操作された場合に、スイッチ操作無効の解除に関する情報について報知するようにしたため、スイッチ操作無効時においてガイダンスSWを押した場合、解除方法もしくは解除方法のヒントを与えることができる。また、管理者のスイッチ操作無効解除方法忘れに対して、例えば隠されたスイッチ操作無効解除釦の位置や暗証番号のヒント等、スイッチ操作無効解除釦方法を想起させることで解除可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明が適用されるR型の火災報知設備の概要を示した説明図
図2】受信機の外観を正面から示した説明図
図3】通常監視画面を示した説明図
図4】運用管理メニュー画面を示した説明図
図5】スイッチ操作を無効とする暗証番号入力画面を示した説明図
図6】暗証番号を再入力する暗証番号入力画面を示した説明図
図7】スイッチ操作無効中画面を示した説明図
図8】スイッチ操作の無効を解除する暗証番号入力画面を示した説明図
図9】スイッチ操作無効中画面の表示中に発生した火災イベントにより表示される火災警報画面を示した説明図である。
図10】受信機と中継盤で構成された分散システムを示した説明図
図11】火災に係る情報を加えたスイッチ操作無効中画面を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
[火災報知設備]
図1は本発明が適用されるR型の火災報知設備の概要を示した説明図である。
【0033】
[実施形態の基本的概念]
本実施形態による火災報知設備は、受信機10に操作手段として設けられた主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ、火災断定スイッチ等の各種のスイッチにつき、受信機10に設けられたディスプレイ36による暗証番号の入力により、スイッチによるスイッチ操作を無効とし、いたずらをしようとする者や不審者等の第三者によるスイッチ操作に対し受信機10が動かないようにし、更に、スイッチ操作を無効に設定したときには、ディスプレイ36にスイッチ操作無効中を示す画面を表示し、これにより第三者にスイッチ操作を行っても受信機10が動作しない旨を示して不必要な操作を思い留まらせ、更に、スイッチ操作の無効を解除する暗証番号の入力画面に切り替えても、暗証番号が分からない第三者によるスイッチ操作の無効解除を事実上不可能とし、これにより受信機10が第三者が自由に近づいて操作することのできる建物や施設の共用部等に設置されていても、第三者による不必要な操作により火災監視の機能が損なわれたり、地区音響一斉鳴動等の不足の事態が発生することを確実に防止するものである。以下、具体的に説明する。
【0034】
[火災報知設備の概要]
図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の第三者が出入り可能な共用部には例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線12-1~12-3が引き出されている。なお、以下の説明では、信号回線12-1~12-3を区別する必要がない場合は、信号回線12という場合がある。
【0035】
信号回線12-1には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数のアナログ火災感知器14が接続され、また、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16から引き出された感知器回線17にオンオフ火災感知器18及び発信機20が接続されている。
【0036】
信号回線12-2には複数のアナログ火災感知器14の接続に加え、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアドレッサブル発信機22が接続されている。更に、信号回線12-3には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介して地区音響装置、防火シャッター、防火戸、排煙装置等の防災機器24が接続されている。
【0037】
ここで、信号回線12-1~12-3に接続されるアナログ火災感知器14、中継器16等の端末機器に設定される最大アドレス数は例えば255としており、信号回線12には最大255台のアナログ火災感知器14を含む端末機器が接続できる。
【0038】
(受信機の機能構成)
受信機10には、メインCPU26と複数のサブCPU基板28-1~28-3が設けられ、サブCPU基板28-1~28-3にはサブCPU30-1~30-3と伝送部32-1~32-3が設けられている。
【0039】
メインCPU26とサブCPU30-1~30-3は、シリアル転送バス34で接続されており、相互にデータを送受信する。なお、以下の説明では、サブCPU30-1~30-3及び伝送部32-1~32-3を区別する必要がない場合はサブCPU30及び伝送部32という場合がある。
【0040】
メインCPU26には、表示手段として機能する液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ36が接続され、ディスプレイ36には受信機10による火災監視に必要な情報がそのときの受信機10の状況に応じて表示される。
【0041】
ディスプレイ36による火災監視に必要な情報には、通常監視時及び火災時に発生したイベント、運用管理に必要な情報、火災警報時の対処操作や対処行動に必要な情報等の全ての情報、更に、受信機の施工保守モードでの運用管理や操作に必要な情報も含まれ、その中に受信機10の操作部40に設けているスイッチによるスイッチ操作の無効と無効解除の設定操作を暗証番号の入力により行うスイッチ操作無効制御のための表示が含まれる。
【0042】
メインCPU26に対して表示手段として機能するディスプレイ36に加え、LED等の表示灯を用いた表示部38が設けられる。表示部38には火災代表灯、ガス漏れ代表灯等が設けられる。
【0043】
また、メインCPU26に対しては操作部40が接続され、操作部40には火災監視に必要な火災断定スイッチ、主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ等の各種スイッチに加え、本実施形態では、ガイドスイッチが設けられ、利用者がガイドスイッチを操作すると、そのときディスプレイ36に画面表示している情報に対応したガイダンス情報が画面表示される。
【0044】
操作部40には、更に、受信機10の盤面に設けた小扉55の内側に配置している復旧スイッチ、地区音響一斉鳴動スイッチ、移報停止スイッチ、連動起動遮断スイッチ、蓄積解除スイッチ等の各種のスイッチが設けられる。
【0045】
また、メインCPU26には、スピーカが設けられた音響警報部42、及び、移報部44が接続されている。本実施形態の移報部44からの移報信号は自動通報装置45に出力されており、移報信号を受信した自動通報装置45は電話回線を介して消防署に火災発生を自動通報する移報制御を行うようにしている。
【0046】
メインCPU26にはプログラムの実行により制御手段として機能する火報制御部46が設けられ、更に、スイッチ操作無効制御手段として機能するスイッチ操作無効制御部48が設けられる。
【0047】
(受信機の外観)
図2は受信機の外観を正面から示した説明図である。受信機10の盤面には、表示手段として機能する液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ36が配置される。ディスプレイ36はカラー画像を画面表示し、また、タッチパネルが画面に配置されることで、画面タッチ操作による選択や入力を可能としている。なお、表示手段はディスプレイ36以外にELパネル等の適宜の画像表示パネルが使用できる。
【0048】
ディスプレイ36の下側で盤面の左右中央となる利用者にとって見やすく且つ操作しやすい位置に、ガイドスイッチ50が十分な大きさで目立つように配置されている。ガイドスイッチ50は照光機能を備えた照光スイッチを使用しており、照光スイッチはLED等の表示灯を内蔵し、例えば、ガイドスイッチ50の周囲を囲むリング部分が内側に配置したLEDの作動によりリング状に点灯又は点滅する。例えば、火災イベント発生によりディスプレイ36に火災警報画面が表示されると、ガイドスイッチ50の照光機能が有効となって点滅し、利用者にガイドスイッチ50の操作を促す。
【0049】
火災イベント発生とは、アナログ火災感知器14からの火災検出信号の受信、発信機20の操作に伴う信号の受信、非常電話装置子機からの非常電話装置親機の呼出信号に伴う信号の受信等により、受信機10が火災発生とみなす状態が発生したことを指す。
【0050】
また、ディスプレイ36の下側の盤面には、火災断定スイッチ51、主音響停止スイッチ52及び地区音響一時停止スイッチ54が配置され、火災イベントが発生した場合の火災警報画面のガイダンス表示に従った火災対処操作を可能としている。ガイドスイッチ50の下側の盤面には小扉55が下側を軸として前開き自在に設けられており、小扉55の内側には、復旧スイッチ、地区音響一斉鳴動スイッチ、移報停止スイッチ、連動起動遮断スイッチ、蓄積解除スイッチ等の各種のスイッチが設けられており、小扉55を開いて必要なスイッチ操作を行う。
【0051】
また、火災断定スイッチ50の外側には電話マイク64が配置され、ディスプレイ36の横に設けられた音響孔62の内部のスピーカとの組み合わせにより、ハンドフリーによる非常電話機能を実現している。
【0052】
また、ディスプレイ36の上側の盤面には火災代表灯58とガス漏れ代表灯60が設けられている。更に、受信機10の盤面の下側にはプリンタ56が配置され、受信機10で発生したイベントを印字出力するようにしている。
【0053】
(受信機の火災監視制御)
図1に示すように、サブCPU基板28-1のサブCPU30-1を例にとると、伝送部32-1に指示してアナログ火災感知器14との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、火災監視制御を行っている。伝送部32-1からアナログ火災感知器14に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、信号回線12-1の線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0054】
これに対しアナログ火災感知器14から伝送部32-1に対する上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、信号回線12-1に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機10に伝送される。
【0055】
サブCPU30-1による火災監視制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部32-1に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信したアナログ火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、サブCPU30-1は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0056】
アナログ火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を伝送部32-1に送信する。また、アナログ火災感知器14は煙濃度又は温度が所定の火災注意レベルを超えると受信機10の伝送部32-1に対し火災割込み信号を送信する。
【0057】
サブCPU30-1は伝送部32-1を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出しているアナログ火災感知器14のアドレスを特定してセンサのアナログデータを集中的に収集し、シリアル転送バス34を介してメインCPU26に送信する。
【0058】
メインCPU26はサブCPU30-1から受信したアナログデータを所定の火災判定レベルと比較しており、アナログデータが火災判定レベルに達した場合に火災と判定し、表示部38の火災代表灯58を点灯し、音響警報部42のスピーカから火災発生を示す所定の主音響警報を出力させ、ディスプレイ36に火災が検出された感知器アドレスに基づき火災発生場所を含む火災警報情報を表示させ、更に、移報部44により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0059】
サブCPU基板28-2に設けられたサブCPU30-2と伝送部32-2による火災監視制御も、前述したサブCPU基板28-1の場合と同じになる。また、サブCPU基板28-3に設けられたサブCPU30-3と伝送部32-3は、メインCPU26で火災が検知された場合に予め記憶された連動情報に基づき防災機器24の連動制御を行う。
【0060】
[スイッチ操作無効制御]
図3は通常監視画面を示した説明図、図4は運用管理メニュー画面を示した説明図、図5はスイッチ操作を無効とする暗証番号入力画面を示した説明図、図6は暗証番号を再入力する暗証番号入力画面を示した説明図、図7はスイッチ操作無効中画面を示した説明図、図8はスイッチ操作の無効を解除する暗証番号入力画面を示した説明図、図9はスイッチ操作無効中画面の表示中に発生した火災イベントにより表示される火災警報画面を示した説明図である。
【0061】
(スイッチ操作無効制御)
受信機10のメインCPU26に設けた火報制御部46は、通常監視状態で図3に示す通常監視画面66をディスプレイ36に表示している。通常監視画面66はメインエリアにメニュー釦68a,68b,68cが表示され、ガイドスイッチ50を操作すると、画面下側の空エリアに、メニュー釦68a~68cに対応したメニュー説明文が画面表示される。通常監視画面66で「次へ」釦70をタッチ操作すると図4に示す運用管理メニュー画面72に切り替わる。
【0062】
なお、本実施形態でディスプレイ36に画面表示される釦とは、用途、機能などを図や絵柄、簡単な文字で表したアイコンとしての機能を備え、併せて、タッチ操作により対応する処理動作を実行させる操作釦(ツール釦)としての機能を備える。
【0063】
図4に示す運用管理メニュー画面72の中には、アイコン及び操作釦として機能するスイッチ操作無効釦74が表示されており、スイッチ操作無効釦74をタッチ操作すると図1の受信機10のメインCPU26に設けられたスイッチ操作無効制御部48が起動し、スイッチ操作無効制御が実行され、図5に示すスイッチ操作を無効とする暗証番号入力画面78-1がディスプレイ36に表示される
(スイッチ操作無効の設定)
図5の暗証番号入力画面78-1には、スイッチ操作無効設定のための暗証番号の入力を指示するガイダンス80、6桁の暗証番号入力枠82、数字キー84、1文字消去釦86、全クリア釦88、決定釦90及び「戻る」釦92が設けられている。
【0064】
利用者は予め定めた6桁の暗証番号を数字キー84のタッチ操作で入力すると、暗証番号入力枠82に記号*によりマスクされた状態で暗証番号が入力され、決定釦90がタッチ操作されると、図6に示す確認のための暗証番号入力画面78-2の表示に切り替わる。
【0065】
図6の暗証番号入力画面78-2には、確認のために暗証番号の再入力を求めるガイダンス93が表示され、これに従って利用者が同様にして暗証番号を入力して決定釦90をタッチ操作すると、受信機10のスイッチ操作無効制御部48が動作する。
【0066】
スイッチ操作無効制御部48は、入力した暗証番号をメモリに記憶してスイッチ操作無効を設定する制御を行い、図2に示した受信機10の盤面に設けている火災断定スイッチ51、主音響停止スイッチ52及び地区音響一時停止スイッチ54、及び小扉55の内側に配置している復旧スイッチ、地区音響一斉鳴動スイッチ、移報停止スイッチ、連動起動遮断スイッチ、蓄積解除スイッチ等の各種のスイッチについて、スイッチ操作を行っても各スイッチ操作で指定された動作を行わないスイッチ操作無効状態を確立させる。
【0067】
続いて、スイッチ操作無効制御部48は、スイッチ操作無効の設定を完了すると図7に示すスイッチ操作無効中画面78-3をディスプレイ36に表示させる。図7に示すスイッチ操作無効中画面78-3は、「スイッチ操作無効中」のガイダンス94を画面中央に表示し、その下にスイッチ操作無効解除釦95を表示し、更に、イベント表示釦96と画面OFF釦98を表示している。
【0068】
このようなスイッチ操作無効中画面78-3が受信機10のスイッチ操作を無効に設定した状態で表示されているため、いたずらをしようとする者や不審者等の第三者は、受信機10のスイッチを操作しても動作しないことを知り、受信機10が動かないようなスイッチ操作を思い留まることを可能とする。
【0069】
一方、スイッチ操作無効制御部48は、イベント表示釦96が操作されると、そのとき受信機10で発生しているイベントを示す情報をポップアップ形式のウインドにより表示させる。このため利用者は、スイッチ操作無効中であっても、暗証番号の入力によりスイッチ操作の無効を解除することなく、受信機10で発生しているイベントを簡単に確認することができる。この際のイベントは通信異常や電源低下等の保守イベント等の適宜のイベントである。
【0070】
なお、本実施形態は、スイッチ操作の無効および無効解除に暗証番号を使用しているが、数字と英文字の組み合わせによるパスワードの入力により、スイッチ操作の無効と無効解除を行うようにしても良い。
【0071】
(スイッチ操作無効の解除)
受信機10のスイッチ操作無効を利用者が解除したい場合には、スイッチ操作無効中画面78-3に配置されているスイッチ操作無効解除釦95をタッチ操作すると、図8のスイッチ操作の無効を解除するための暗証番号入力画面78-4がディスプレイ36に表示される。
【0072】
図8の暗証番号入力画面78-4には、スイッチ操作の無効を解除するために暗証番号を入力する旨のガイダンス100が表示され、数字キー84によりスイッチ操作無効の設定で入力したと同じ暗証番号を入力して決定釦90をタッチ操作すると、受信機10のスイッチ操作無効制御部48が入力された暗証番号とメモリに記憶している暗証番号と照合し、照合一致が得られるとスイッチ操作無効の解除が行われ、受信機10に設けている全てのスイッチについて、スイッチ操作を検出した場合にスイッチ操作で指定された動作を実行する。
【0073】
ここで、図7のスイッチ操作無効中画面78-3では、スイッチ操作無効解除釦95が分かるように表示しており、このため第三者がタッチ操作することで図8のスイッチ操作の無効を解除する暗証番号入力画面78-4に切り替わり、暗証番号の不正入力ができる状態になることから、スイッチ操作無効解除釦95は暗証番号を知っている関係者しか分からない隠し釦とすることが望ましい。
【0074】
スイッチ操作無効解除釦95の隠し釦は、例えばガイダンス94の中の「無効」の部分に埋め込まれた隠し釦とし、第三者から図8の暗証番号入力画面78-4への切替えができないようにする。また、スイッチ操作無効解除釦95のアイコンに無意味な文字、図形、記号等を表記し、分かりにくい場所に配置することで、隠蔽しても良い。
【0075】
(火災イベント発生による自動解除)
受信機10のスイッチ操作無効制御部48は、図7のスイッチ操作無効中画面78-3が表示されたスイッチ操作無効中に、アナログ火災感知器14からの火災検出信号の受信により火災イベントが発生したときには、スイッチ操作無効を暗証番号の入力を必要とすることなく自動的に解除する制御を行う。
【0076】
受信機10の火報制御部46は、火災イベントが発生すると図9に示す火災警報画面102をディスプレイ36に表示し、このときスイッチ操作無効制御部48はそれまで設定していたスイッチ操作の無効を暗証番号の入力を必要とすることなく自動的に解除し、盤面に設けている火災断定スイッチ51、主音響停止スイッチ52及び地区音響一時停止スイッチ54のスイッチ操作を有効として火災対処操作を可能とする。
【0077】
図9に示す火災警報画面102は、「火災発生!」のガイダンス104に続いて第一報場所106を表示し、その下に、「この盤の音を止めて対処する」とするガイダンスが示された火災対処釦108が表示され、利用者が主音響停止スイッチ52を操作して主音響を停止すると、現場確認のガイダンス画面となり、火災の現場確認により火災断定スイッチ51の火災断定操作が行われると火災対処行動のガイダンス画面となり、一方、非火災が現場確認されると非火災対処行動のガイダンス画面となり、ガイダンス画面の遷移に従って火災対処操作及び火災対処行動を迅速且つ正確に進めることができる。
【0078】
[分散システム]
図10は受信機と中継盤で構成された分散システムを示した説明図である。監視対象とする施設が複数の住棟に分かれる等して大規模になる場合には、図10に示すように、防災センター等に設置した受信機10に対し例えば住棟毎に分けて中継盤120が設置され、受信機10と中継盤120の間を通信回線として機能するイーサネット(登録商標)等のネットワーク回線126により通信接続している。
【0079】
受信機10は図1に示したと同じであり、これに対し中継盤120は図1の受信機10からディスプレイ36、表示部38、操作部40及び音響警報部42を含む操作表示機能を除いた構成となり、それ以外は、受信機10と基本的に同じとなり、警戒区域に引き出された信号回線122にアナログ火災感知器14を含む端末機器が受信機10と同様に接続されている。また受信機10の火報制御部46に対応して中継盤120には中継制御部124の機能が設けられている。
【0080】
受信機10の火報制御部46は、ディスプレイ36により火災監視に必要な受信機10の情報に加え、火災監視に必要な中継盤120の情報も表示しており、スイッチ操作無効制御部48は暗証番号の入力によりスイッチ操作無効と無効解除を行うことができる。また、スイッチ操作無効制御部48は、スイッチ操作無効中に、中継盤120で発生したイベントをイベント表示釦のタッチ操作で行うことができ、また、スイッチ操作無効中に、中継盤120で火災イベントが発生して受信機10に通知されたとき、自動的にスイッチ操作無効を解除して受信機10に設けているスイッチの操作を有効とする。
【0081】
[本発明の変形例]
(P型受信機)
上記の実施形態は、R型の受信機からの信号回線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した火災報知設備及び回線単位に火災を監視するP型火災報知設備についても、同様に、暗証番号の入力によりスイッチ操作の無効と無効解除を行うスイッチ操作無効制御部48の機能を設けることができる。
【0082】
上記の実施形態では、スイッチ操作無効制御手段は暗証番号の入力により、スイッチの操作の無効と無効解除を行うとしているが、画面上のボタン複数の長押し、複数スイッチの長押し、認証カードキーやスクリーンセイバー作動等の適宜の方法でスイッチ操作を無効としても良い。また、ボタン複数の長押し、複数スイッチの長押し、認証カードキー等の適宜の方法でスイッチ操作を有効としても良い。また、スイッチ操作の有効とするためには認証が必要であるが無効とするためには簡易なボタンやスイッチの操作で良いなど、スイッチ操作の無効と有効の切替えは異なる方法で行うようにしても良い。
【0083】
(火災イベント発生時の自動解除の別実施例)
上記の実施形態では、火災イベント発生時はスイッチ操作無効を解除するとしているが、スイッチ操作無効を解除せずに火災時には火災に係る画面表示を行うようにしても良い。
火災に係る画面表示は、イベント表示釦の画面操作を伴わずに表示する。表示内容は火災イベントの種類により異なる詳細を表示するようにしてもよいし、共通の表示としても良い。表示は適宜の形態をとってよいが、感知器の発報場所・発信機の操作場所、非常電話子機の発呼元等を示す場所情報を表示することが好適である。火災イベントの種類により異なる詳細を表示する場合は、例えば、感知器発報の場合は感知器発報を示す「第一報」と発報場所を示す「○○棟○○階○○地区」を表示する。
【0084】
図11は火災に係る情報を加えたスイッチ操作無効中画面を示した説明図であり、図7に示したスイッチ操作無効中画面78-3における「スイッチ操作無効中」のガイダンス94を表示に加え、画面下欄に、火災イベントの発生を示す共通表示「火災発生」と発報場所を示す「○○棟○○階○○地区」を表示する。
【0085】
(ガイドスイッチ)
ガイドスイッチ50は他のスイッチと同様にスイッチ操作無効中はスイッチ操作無効としても良いが、ガイドスイッチ50のみ例外的にスイッチ操作無効中でもスイッチ操作有効とし、それ以外の全てのスイッチについてスイッチ操作無効としても良い。
【0086】
火災断定スイッチ51、主音響停止スイッチ52及び地区音響一時停止スイッチ54、及び小扉55の内側に配置している復旧スイッチ、地区音響一斉鳴動スイッチ、移報停止スイッチ、連動起動遮断スイッチ、蓄積解除スイッチ等の各種のスイッチの操作は火災警報動作に係る操作を行わせるものなので、不特定多数の人物に操作されることは望ましくないが、ガイドスイッチ50は受信機の操作方法や表示内容をガイダンスするものであり火災警報動作に係る操作を行わせるものでないためである。
【0087】
ガイドスイッチ50の操作により、スイッチ操作無効中の状態を説明やスイッチ操作無効の解除方法もしくは解除方法のヒント等の適宜のガイダンスを行うようにしても良い。このようにガイドスイッチ50を有効とすることで、管理者のスイッチ操作無効解除方法忘れに対して、例えば隠されたスイッチ操作無効解除釦の位置や暗証番号のヒント等、スイッチ操作無効解除釦方法を想起させることで解除可能とする。
【0088】
また、火災イベント発生時はスイッチ操作無効を解除せずに火災時には火災に係る画面表示を行う実施形態においては、火災イベント非発生時と火災イベント発生時のガイダンス内容を異ならせ、火災イベント発生時のガイダンス内容がスイッチ操作無効の解除方法を把握しやすい内容にしても良い。
【0089】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0090】
10:受信機
12、12-1~12-3、122:信号回線
14:アナログ火災感知器
16:中継器
17:感知器回線18:オンオフ火災感知器
20:発信機
22:アドレッサブル発信機
24:防災機器
26:メインCPU
28-1~28-3:サブCPU基板
30、30-1~30-3:サブCPU
32、32-1~32-3:伝送部
34:シリアル転送バス
36:ディスプレイ
38:表示部
40:操作部
42:音響警報部
44:移報部
46:火報制御部
48:スイッチ操作無効制御部
50:ガイドスイッチ
51:火災断定スイッチ
52:主音響停止スイッチ
54:地区音響一時停止スイッチ
55:小扉
56:プリンタ
58:火災代表灯
60:ガス漏れ代表灯
62:音響孔
64:電話マイク
66:通常監視画面
68a~68c:メニュー釦
72:運用管理メニュー画面
74:スイッチ操作無効釦
78-1,78-2,78-4:暗証番号入力画面
78-3:スイッチ操作無効中画面
80、93、94、100、104:ガイダンス
82:暗証番号入力枠
84:数字キー
86:1文字消去釦
88:全クリア釦
90:決定釦
92:「戻る」釦
95:スイッチ操作無効解除釦
96:イベント表示釦
98:画面OFF釦
120:中継盤
124:中継盤制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11