(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法及び容器詰め柑橘果皮加工品
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20230511BHJP
A23L 29/20 20160101ALI20230511BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20230511BHJP
A23L 21/10 20160101ALI20230511BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23L19/00 Z
A23L29/20
A23L29/269
A23L21/10
(21)【出願番号】P 2018223253
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-08-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】312017444
【氏名又は名称】ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小島 一剛
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-090688(JP,A)
【文献】特開2016-163548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00
A23L 29/20
A23L 29/269
A23L 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均径が1~6mmのダイス状の柑橘果皮と溶液との混合液を容器に充填する工程を含む容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法において、
前記混合液の80℃における粘度は、9~120Pa・sであ
り、
前記混合液中において、前記柑橘果皮の割合は、40~90質量%である容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法。
【請求項2】
前記混合液の80℃における粘度は、9~90Pa・sであり、
前記容器に充填する工程の前に、前記柑橘果皮と溶液との混合液の移送を伴う請求項1に記載の容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法。
【請求項3】
前記混合液は、酸性領域下で増粘性を示す増粘剤を含む請求項1又は2に記載の容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法。
【請求項4】
平均径1~6mmのダイス状の柑橘果皮と溶液との混合液が容器に充填されている容器詰め柑橘果皮加工品において、
前記混合液の80℃における粘度は、9~120Pa・sであ
り、
前記混合液中において、前記柑橘果皮の割合は、40~90質量%である容器詰め柑橘果皮加工品。
【請求項5】
前記混合液は、酸性領域下で増粘性を示す増粘剤を含む請求項
4に記載の容器詰め柑橘果皮加工品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法及び容器詰め柑橘果皮加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にレモン等の柑橘系果実の果皮は、マーマレイドの製造、レモン果皮オイルの抽出等に用いられている。近年、レモン等の柑橘系果実の果皮は、食感を維持するために所定の形状にカットした固形状の柑橘果皮加工品として製菓やパン等の原料に用いられ需要を伸ばしている。
【0003】
柑橘果皮加工品の一般的な製造方法としては、例えば、まず柑橘果実より果皮を果肉部より剥離後、果皮をボイルし、ダイス状にカット後、所定の濃度の糖液へ浸漬する。そして浸漬後糖液をきった後、個包装へ充填される。個包装へ充填する際、果皮加工品に流動性がないため、機械的な充填が難しく手包装によって充填されていた。
【0004】
特許文献1は、柑橘果皮を粉砕し、ペクチナーゼ処理して流動性を持たせた柑橘果皮加工品について開示する。かかる構成においては、ペクチナーゼにより果皮を崩壊してペースト状に加工することで流動性をもたせることで量産化が可能となっている。特許文献2は、所定形状にカットした野菜等の具材、砂糖等の調味料を含む水に増粘剤を添加し、粘度を2000~8000mPa・sに調整した液状混合物について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-93111号公報
【文献】特開2015-50969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の柑橘果皮加工品は、食感を維持するために所定の形状にカットした固形状の柑橘果皮加工品にはペクチナーゼによる処理が適用できないという問題があった。また、特許文献2の液状混合物は、充填機を用いて個包装に充填する際、均一な充填が未だ不十分であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的とするところは、均一な充填を可能にした容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法を提供するところにある。
また、本発明の別の目的とするところは、個包装間で果皮量のばらつきのない柑橘果皮と溶液との混合液が充填された容器詰め柑橘果皮加工品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平均径が1~6mmの柑橘果皮と溶液との混合液を容器に充填する工程を含む容器詰め柑橘果皮加工品において、混合液の粘度を所定の範囲に規定することにより均一に充填できることを見出したことに基づくものである。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、平均径が1~6mmの柑橘果皮と溶液との混合液を容器に充填する工程を含む容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法において、前記混合液の80℃における粘度は、9~120Pa・sである容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法が提供される。
【0010】
前記混合液の80℃における粘度は、9~90Pa・sであり、前記容器に充填する工程の前に、前記柑橘果皮と溶液との混合液の移送を伴ってもよい。
前記混合液は、酸性領域下で増粘性を示す増粘剤を含んでもよい。
【0011】
本発明の一態様では、平均径1~6mmの柑橘果皮と溶液との混合液が容器に充填されている容器詰め柑橘果皮加工品において、前記混合液の80℃における粘度は、9~120Pa・sである容器詰め柑橘果皮加工品が提供される。
【0012】
前記混合液は、酸性領域下で増粘性を示す増粘剤を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、柑橘果皮と溶液との混合液を容器に均一に充填できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法の一実施形態を説明する。本実施形態の容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法に適用される柑橘果皮としては、平均径が1~6mmの柑橘果実の果皮(柑橘果皮加工品)が用いられる。柑橘果実の種類としては、特に限定されないが、例えばレモン、ライム、シークワサー、スダチ、ユズ、ダイダイ、カボス等の香酸柑橘類、グレープフルーツ、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、サワーオレンジ、ハッサク、温州ミカン、イヨカン、ポンカン、甘夏等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。柑橘果皮の平均径は、固形状の柑橘果皮加工品として製菓やパン等の原料等に用いるために1~6mm、好ましくは2~5mm、より好ましくは3~4mmである。かかる範囲に規定することにより優れた食感を維持することができ、各種用途に好適に利用することができる。柑橘果皮の平均径は、篩を用いて調整することができる。また、加工品の形状は、特に限定されず、所定の大きさに粉砕されたものであっても、ダイス状等の角形状にカットされたものであってもよい。また、柑橘果皮はそのまま用いることができるが、好ましい食感を得るために又は水分を溶出させやすくするために果皮をボイル等のブランチング処理されたものを用いてもよい。
【0015】
本実施形態の製造方法としては、まず、タンク等の混合容器内で所定の大きさの柑橘果皮と溶液とが混合され、柑橘果皮と溶液との混合液を得る工程が行われる。溶液としては、飲食品に適用可能な液体であれば適宜採用することができ、例えば水、エタノール等が挙げられる。また、水は、砂糖等の糖質の添加、粉砕等によって果皮から溶出される果皮由来の水分であっても、添加される水分であってもよい。なお、添加される溶液の量は、果皮から溶出する水分も考慮することが好ましい。果皮と溶液の混合割合としては、柑橘果皮加工品の大きさ等を勘案し、本発明の目的を達成できる範囲で適宜設定される。例えば果皮加工品1質量部を水5質量部で希釈混合した後、傾斜角30°の20メッシュで水を1分間そのまま放置し、液部をきった後に測定した質量を果皮質量とした場合、混合液中における果皮の割合は40~90質量%が好ましく、より好ましくは50~80質量%、さらに好ましくは60~70質量%である。
【0016】
混合液の80℃における粘度の下限は、9Pa・s以上、好ましくは9.1Pa・s以上、より好ましくは9.2Pa・s以上である。混合液の粘度が9Pa・s以上の場合、柑橘果皮と溶液との混合液を高温状態(例えば65~95℃)で容器に充填する際、固液の分離が発生せず、均一に容易に充填することができる。また、柑橘果皮と溶液との混合液を高温状態で配管等で移送する際も均一状態を維持しながら移送することができる。
【0017】
混合液の80℃における粘度の上限は、120Pa・s以下、好ましくは90Pa・s以下、より好ましくは60Pa・s以下である。混合液の粘度が120Pa・s以下の場合、柑橘果皮と溶液との混合液を高温状態で容器に充填する際、固液の分離が発生せず、均一に容易に充填することができる。また、柑橘果皮と溶液との混合液を高温状態で配管等で移送する際も均一状態を維持しながら移送することができる。また、柑橘果皮と溶液との混合液を充填又は移送する際の送液負荷を低減することができる。
【0018】
混合液の粘度は、増粘剤等の各種添加剤を配合することにより調整することができる。なお、本実施形態における混合液の粘度は、柑橘果皮を含んだ状態の混合液の粘度を示し、粘度の測定は、B型粘度計を用い、80℃及び1分後の測定条件で求めることができる。B型粘度計の具体例としては、例えばTVB-10型粘度計(東機産業社製)等を挙げることができる。
【0019】
増粘剤は、公知のものを適宜採用することができ、具体例としては、例えばキサンタンガム、カラヤガム、ウェランガム、グアーガム、ペクチン、タマリンドガム、カラギーナン、キトサン、アラビアガム、ローカストビーンガム、セルロースの他、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。これらは1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。増粘剤の配合量は、溶液の粘度の観点から使用する種類に応じて適宜調整することができる。
【0020】
これらの中で柑橘果皮と併用する観点から酸性領域下で増粘性を示す増粘剤が好ましい。酸性領域下で増粘性を示すとは、酸性条件(pH5以下)のいずれかの範囲において、中性(pH7)に対して粘度の低下率が10%未満の増粘剤を示す。酸性領域下で増粘性を示す増粘剤の具体的としては、例えばキサンタンガム、グアーガム、カラヤガム、タマリンドガム、ウェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。また、微生物の繁殖を抑えるため、混合物の殺菌も兼ね柑橘果皮加工品を加熱(65~95℃)して容器に充填する場合、耐熱性(高温状態でも常温時と同程度の増粘効果が維持される)を有する増粘剤がより好ましい。具体的には、キサンタンガム、ウェランガム、タマリンドガム等が挙げられる。これらの中で容器詰め柑橘果皮加工品の製造後、柑橘果皮の食感を維持できる観点からキサンタンガムがさらに好ましい。
【0021】
混合容器内への原料の投入順は、特に限定されず、水等の溶液に所定形状の柑橘果皮、増粘剤、必要に応じてその他の添加剤を投入し、ニーダー、スクリュー等の撹拌機、容器の回転等により均一に混合することにより柑橘果皮と溶液との混合液を調製することができる。
【0022】
混合容器内で柑橘果皮と溶液との混合液が調製された後、次に包装容器に充填する工程が行われ容器詰め柑橘果皮加工品が得られる。包装容器への充填工程は、混合容器から直接行ってもよく、その前に移送工程を経てもよい。また、殺菌された容器詰め柑橘果皮加工品を得る観点から、原料を混合後、混合液を加熱して高温状態で容器に充填することが好ましい。混合液の加熱温度としては、好ましくは65~95℃、より好ましくは70~90℃、より好ましくは75~85℃である。
【0023】
充填工程は、市販の充填機を用いて行うことができる。充填機の種類としては、例えばチューブポンプ式充填機、ロータリー式充填機、ピストン式充填機等が挙げられる。包装容器としては特に限定されず、圧着シールにより密閉可能なピローパウチ等のパウチ容器、ペットボトル等の合成樹脂容器、瓶等のガラス容器、缶詰等の金属容器、ラミネート紙を用いた紙パック等の紙容器等が挙げられる。
【0024】
充填工程前に移送工程を経る場合、移送は混合タンクから充填機を直接連結する配管、ホース等の通液手段を用いてもよく、混合タンクから移送用タンクに一旦移し変えて移送させてもよい。通液手段を用いる場合、その動力は特に限定されず、例えば重力、ポンプ、加圧、減圧等のいずれを使用してもよい。上記の得られた容器詰め柑橘果皮加工品は、さらに加熱又は加圧による殺菌処理を行ってもよい。
【0025】
本実施形態の容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、平均径が1~6mmの柑橘果皮と溶液との混合液を容器に充填する工程を含む容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法において、混合液の80℃における粘度を9~120Pa・sの範囲に規定した。したがって、混合液中に所定の大きさの柑橘果皮を均一に分散させることができるため、混合時、移送時、又は充填時において均一状態を維持することができる。最終的には、個包装間で果皮量のばらつきのない柑橘果皮と溶液との混合液が充填された容器詰め柑橘果皮加工品を大量生産することができる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、本発明の容器詰め柑橘果皮加工品を具体化した第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態について、下記の記載以外は、第1実施形態の容器詰め柑橘果皮加工品の製造方法と同様の構成が適用される。
【0027】
本実施形態の容器詰め柑橘果皮加工品は、平均径1~6mmの柑橘果皮と溶液との混合液が容器に充填されている。容器に充填された混合液の80℃における粘度は、9~120Pa・sである。混合液の粘度は、第1実施形態において例示した増粘剤等の各種添加剤を配合することにより調整することができる。増粘剤の具体例の中で、耐熱性(高温状態でも常温時と同程度の増粘効果が維持される)を有する増粘剤が好ましい。具体的には、キサンタンガム、ウェランガム、タマリンドガム等が挙げられる。かかる増粘剤を使用することにより、常温での保存時又は使用時において柑橘果皮と溶液とが良好に分散した混合液を得ることができる。また、これらの中でも柑橘果皮の食感を維持できる観点からキサンタンガムがより好ましい。
【0028】
本実施形態の容器詰め柑橘果皮加工品によれば、第1実施形態の効果に加えて以下のような効果を得ることができる。
(2)本実施形態では、平均径1~6mmの柑橘果皮と溶液との混合液が容器に充填されている容器詰め柑橘果皮加工品において、混合液の80℃における粘度を9~120Pa・sの範囲に規定した。したがって、個包装間で果皮量のばらつきのない柑橘果皮と溶液との混合液が充填された容器詰め柑橘果皮加工品が得られる。
【0029】
(3)本実施形態の容器詰め柑橘果皮加工品において、増粘剤としてキサンタンガムを使用した場合、優れた食感が維持された柑橘果皮を得ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0030】
・上記実施形態の柑橘果皮の用途は、特に限定されないが、柑橘果皮加工品として製菓やパン、生菓子等食品用原料として用いることができる。また、柑橘果皮が含有された飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、その他の飲食品、医薬品、化粧品等の分野において使用することができる。なお、上記実施形態の平均径が1~6mmの柑橘果皮は、調理時等の使用時に粉砕処理することを妨げるものではない。
【0031】
また、飲食品の用途としては、特に限定されず、いわゆる一般食品、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品等として適用することができる。
【0032】
・上記実施形態の柑橘果皮を混合する溶液には、本発明の効果を損なわない範囲内において、酸味料、甘味料、食物繊維、上記以外の多糖類等の糖類、香料、色素、安定剤、ビタミン類、アミノ酸類、各種ミネラル、アスコルビン酸等の酸化防止剤、植物性油脂及び動物性油脂等の油性成分、ポリフェノール等の機能性成分等の添加剤を適宜配合してもよい。
【0033】
酸味料の具体例としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、フィチン酸、リン酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸、乳酸、アジピン酸等が挙げられる。甘味料の具体例としては、例えばステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、糖アルコール等が挙げられる。糖アルコールの具体例としては、例えばソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール等が挙げられる。糖質の具体例としては、例えばグルコース、ショ糖、果糖、乳糖等が挙げられる。これらの各成分は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0034】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試験例1:容器詰め柑橘果皮加工品の製造>
まず、レモン果皮を95℃の湯でブランチングした。混合容器内にレモン果皮部を3.2mm角のダイス状にカットし、表1に示される配合量でショ糖、及び溶液としての水を投入し、攪拌した。次に、増粘剤としてキサンタンガムを無水クエン酸で分散させ、表1に示される配合量で最終的に表3に示される各例の濃度になるように投入し、混合液を得た。その後、ニーダーで攪拌しながら80℃まで加熱し、殺菌した。殺菌後、冷却することなく、かかる温度が維持された状態でロータリー式充填機を備えたピローパウチ包装機を用いて個包装に充填し、密閉した後、冷却することにより容器詰め柑橘果皮加工品を得た。容器詰め果皮加工品中の果皮の割合は65質量%で、溶液のBrixは50.0であった。
【0035】
次に、柑橘果皮と溶液との混合液について、80℃の粘度を測定した。粘度計は東機産業社製のTVB-10Mを使用した。測定時に使用したスピンドルと回転数は表2に示す条件を採用した。また、柑橘果皮と溶液との混合液を個包装に充填する際の充填適性について製造者が評価した。結果を表3に示す。
【0036】
【0037】
【0038】
【表3】
表3に示されるように、比較例1に示されるように混合液の粘度が8.88Pa・sの場合の固液の分離が生ずるため均一な充填が困難であった。所定の大きさの柑橘果皮を含む混合液を製造機を用いて均一に個包装する場合、混合液の粘度を所定値以上に規定する必要があることが確認された。
【0039】
<参考試験:柑橘果皮の食感>
増粘剤としてウェランガムを使用し、実施例1と同様の粘度となるよう、試験例1と同様の方法にて実施例4の容器詰め柑橘果皮加工品を製造した。
【0040】
実施例1と実施例4の容器詰め柑橘果皮加工品について、専門の味覚の評価者4名でレモン果皮加工品の食感を評価した。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
表4に示されるように、増粘剤としてキサンタンガムを使用した方が果皮の食感が残っており、食感に優れる容器詰め柑橘果皮加工品が得られることが確認された。
【0042】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(a)酸性領域下で増粘性を示す増粘剤はキサンタンガムである容器詰め柑橘果皮加工品。従って、この(a)に記載の発明によれば、優れた食感を得ることができる。