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  • 特許-皮膚貼付医療用部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】皮膚貼付医療用部材
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/58 20060101AFI20230511BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20230511BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20230511BHJP
   A61F 13/02 20060101ALI20230511BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20230511BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230511BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230511BHJP
【FI】
A61L15/58 300
A61L15/24
A61L15/22
A61F13/02 310J
C09J133/00
C09J11/08
C09J7/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018245837
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020103622
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛史
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-114960(JP,A)
【文献】特開2006-043262(JP,A)
【文献】特開2016-056296(JP,A)
【文献】特開昭59-213783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00
C09J 7/00
C09J 133/00
C09J 11/00
A61F 13/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用具、及び放射線滅菌耐性粘着剤層を備える、皮膚貼付医療用部材であって、
前記粘着剤層が、(メタ)アクリルポリマー、濡れ性安定化剤、及び紫外線架橋剤を含み、かつ、ホットメルト型であり、
前記濡れ性安定化剤が、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、及びそれらの水素化物から選択される少なくとも一種である、
皮膚貼付医療用部材。
【請求項2】
前記濡れ性安定化剤が、テルペンフェノール樹脂、及びその水素化物から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の医療用部材。
【請求項3】
前記濡れ性安定化剤が、粘着剤層中に15~60質量%含まれている、請求項1又は2に記載の医療用部材。
【請求項4】
前記粘着剤層の厚さが、10~300μmである、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用部材。
【請求項5】
前記医療用具が、投薬機器、通信機器、検査器具、及び保護具から選択される少なくとも一種である、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚貼付医療用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において種々の粘着剤が使用されている。このような分野で使用される粘着剤は、例えば、γ線、電子線等の放射線による滅菌処理が施される場合がある。
【0003】
特許文献1(特開2002-114960号公報)には、医療器具の包装材等に使用される、耐放射線剤を含む耐放射線性アクリル系粘着剤が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2006-043262号公報)には、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする共重合体100重量部と、軟化点が80℃未満で、50℃での粘度が10Pa・s以下である第1の粘着付与剤5~60重量部と、軟化点が80~150℃の第2の粘着付与剤5~60重量部とを含む、絆創膏等に使用される粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-114960号公報
【文献】特開2006-043262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粘着剤の濡れ性は、接着特性、例えば皮膚への接着力の経時変化などに密接に関係するため、皮膚への使用を意図する接着剤の特性として非常に重要である。
【0007】
適切な濡れ性の設計は、望ましい接着特性を実現できる一方、不適切な濡れ性、例えば、濡れ広がりすぎは、過度な接着力上昇による肌へのダメージを誘発し、濡れ性の不足は、部材の脱落を誘発する。
【0008】
適切な濡れ性を設計し、それを維持することは非常に重要であり、これは初期的な接着力だけでは語れない。
【0009】
一方でアクリル系重合体等を含む粘着剤は、γ線、電子線等の放射線による滅菌処理が施されると、例えば、架橋密度が増加して濡れ性が低下する場合があった。このような粘着剤は、放射線による滅菌処理が施される医療部材に用いられた場合、意図する性能を十分に発揮できないため、例えば、血糖値等を長期間にわたって検査するような検査器具等の医療用具を備える医療用部材の粘着剤としては使用することができなかった。
【0010】
本開示は、放射線滅菌処理後における粘着剤の濡れ性の低下を低減又は防止し得る放射線滅菌耐性粘着剤層、及び医療用具を備える皮膚貼付医療用部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施態様によれば、医療用具、及び放射線滅菌耐性粘着剤層を備えるともに、この粘着剤層が、(メタ)アクリルポリマー、及び濡れ性安定化剤を含み、かつ、この濡れ性安定化剤が、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、及びそれらの水素化物から選択される少なくとも一種である、皮膚貼付医療用部材が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、放射線滅菌処理後における粘着剤の濡れ性の低下を低減又は防止し得る放射線滅菌耐性粘着剤層、及び医療用具を備える皮膚貼付医療用部材を提供することができる。
【0013】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】放射線滅菌処理前の粘着剤の90℃における損失正接tanδから放射線滅菌処理後の粘着剤の90℃における損失正接tanδを差し引いた絶対値に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の第1の実施形態における皮膚貼付医療用部材は、投薬機器、通信機器、検査器具、保護具等の医療用具、及び放射線滅菌耐性粘着剤層を備えており、この粘着剤層が、(メタ)アクリルポリマー、及び濡れ性安定化剤を含み、かつ、濡れ性安定化剤が、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、及びそれらの水素化物から選択される少なくとも一種である。係る粘着剤層は、放射線滅菌処理後における濡れ性等の性能の低下を低減又は防止することができるため、皮膚貼付医療用部材に放射線滅菌処理が施された場合であっても、皮膚のような凸凹とした表面に対して適切に濡れ広がることができ、医療用部材を十分に保持することができる。
【0016】
第1の実施形態の医療用部材における粘着剤層の濡れ性安定化剤としては、テルペンフェノール樹脂、及びその水素化物から選択される少なくとも一種を使用することができる。係る濡れ性安定化剤を含む粘着剤層は、適切な濡れ性を呈し得るとともに、架橋性、接着性等の性能にも優れている。
【0017】
第1の実施形態の医療用部材の粘着剤層中の濡れ性安定化剤の配合量としては、約15~約60質量%とすることができる。濡れ性安定化剤を所定量含む粘着剤層は、濡れ性等の性能の低下をより低減又は防止することができる。
【0018】
第1の実施形態の医療用部材の粘着剤層は、ホットメルト型とすることができる。係る粘着剤層は、溶剤を含まなくてもよいため、溶剤系の粘着剤等に比べ、皮膚に対して好適に使用することができる。
【0019】
第1の実施形態の医療用部材の粘着剤層の厚さとしては、約10~約300μmとすることができる。このような厚さの粘着剤層は、皮膚の凹凸内に適切に濡れ広がることができるため、医療用部材の保持性能を向上させることができる。
【0020】
第1の実施形態の医療用部材の医療用具としては、投薬機器、通信機器、検査器具、及び保護具から選択される少なくとも一種を使用することができる。
【0021】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0022】
本開示において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」又は「メタクリロイル」を意味する。
【0023】
本開示において「(メタ)アクリレートポリマー」には、一般的に「(メタ)アクリレートコポリマー」と呼ばれる概念のポリマーも包含することができる。
【0024】
本開示において「架橋」には、一般的に「硬化」と呼ばれる概念も包含することができる。
【0025】
本開示において「紫外線架橋性部位」とは、紫外線照射により活性化され、(メタ)アクリルポリマー及び紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーの分子内の他の部分又は(メタ)アクリルポリマー及び紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーの他の分子との間で架橋を形成することが可能な部位を指す。
【0026】
本開示において「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基を意味する。本開示において「分岐状」という用語は、直鎖状のアルキル鎖に、1個又は複数のアルキル基、例えば、メチル、エチル又はプロピルなどが付いているものを意味する。アルキル基は、非置換でもよく、また、1個又は複数の、ハロ原子、シクロアルキル、又はシクロアルケニル基などによって置換されていてもよい。
【0027】
本開示において「シクロアルキル」という用語は、非芳香族の単環式又は多環式の環状システムを意味し、例えば約3~約12個の炭素原子を含む。シクロアルキル環の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。このシクロアルキル基は、1個又は複数の、ハロ原子、メチレン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール又はヘテロアリールなどで置換されていてもよい。本開示において「ヘテロ」という用語は、1個又は複数の炭素原子と置換した酸素、窒素、又は硫黄のことを意味する。
【0028】
本開示において「シクロアルケニル」という用語は、炭素-炭素二重結合を有する、非芳香族の単環式又は多環式の環状システムを意味し、例えば約3~約10個の炭素原子を含む。このシクロアルケニル基は、非置換でもよく、また、1個又は複数の、ハロ原子、メチレン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はヘテロアリール基などで置換されていてもよい。
【0029】
本開示において「アリール」という用語は、芳香族炭素環式ラジカルを意味する。アリール基の例を挙げれば、場合によっては同一であっても異なっていてもよいが、1個又は複数のアリール基置換基によって置換された、フェニル又はナフチルがある。ここで「アリール基置換基」としては、水素、アルキル、シクロアルキル、場合によっては置換されたアリール、場合によっては置換されたヘテロアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、カルボキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルアミノ、アロイルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、その他公知の基などが挙げられる。
【0030】
上に挙げた化学基の説明は当分野では公知のものであって、これらの記述は、一般に認められている意味を変更しようとするものではない。
【0031】
以下、皮膚貼付医療用部材(単に「医療用部材」と称する場合がある。)についてさらに説明する。
【0032】
本開示の医療用部材は、投薬機器、通信機器、検査器具、保護具等の医療用具、及び放射線滅菌耐性粘着剤層(単に「粘着剤層」と称する場合がある。)を備えている。係る粘着剤層は、(メタ)アクリルポリマー、及び特定の濡れ性安定化剤を含むため、放射線滅菌処理後においても、適切な濡れ性を呈することができる。その結果、皮膚のような凸凹とした表面に対しても、粘着剤が適切に濡れ広がることができるため、各種医療用具を備える医療用部材を長期にわたって皮膚に対して安定的に貼り合わせることができる。
【0033】
このように、本開示の医療用部材は、比較的長期間(例えば、1日又は2日以上の期間)、皮膚に対して安定的に貼付された状態で使用することができる。本開示の医療用部材は、具体的には、例えば、患者の健康状態を適切にモニタリングし、投薬する場合などに用いることができるため、意図せずに剥がれてしまうことによる、患者の健康維持、体調管理に影響するリスクなどを低減又は防止することができる。
【0034】
また、医療用部材は、比較的高価な検査器具等の医療用具を備えているため、頻繁に交換することはできない。
【0035】
したがって、短期的な接着力に限らず、適切な濡れ性を示し、且つ良好な接着力等を長期的に安定して発揮し得る本開示の粘着剤層は、皮膚貼付医療用部材の粘着剤層として特に好ましい材料であるといえる。
【0036】
ここで粘着剤層の濡れ性は、特許文献1で開示されるような、被着体の種類、粘着テープの剥離角度及び剥離速度、粘着テープの基材の種類、粘着剤層の厚みなどによって値が変動し得る、平坦なPP板等に対する単なる初期接着力(粘着力)では評価することはできない。粘着剤層の濡れ性は、例えば、粘着剤層を構成する粘着剤単体の損失正接tanδによって評価することができる。損失正接tanδは、粘着剤単体の粘性(粘着剤の濡れ広がり性)と弾性(粘着剤の凝集性)との比で表される数値であり、粘性と弾性の良好なバランスを確認できる重要なパラメーターである。損失正接tanδについては、例えば、後述する動的粘弾性試験によって求めることができる。
【0037】
具体的には、本開示の粘着剤の損失正接tanδ、特に、90℃における損失正接tanδは、放射線滅菌処理前において、例えば、0.80以上、0.90以上、又は1.00以上と規定することができ、1.80以下、1.70以下、又は1.60以下と規定することができる。このような範囲の損失正接tanδを有する粘着剤は、適切な濡れ性及び凝集性を呈し得るため、皮膚等の凸凹とした被着体に対し、適切に濡れ広がるとともに、良好な接着力を発揮することができる。
【0038】
本開示の粘着剤は、放射線滅菌処理後においても、損失正接tanδの変動を低減又は防止することができる。具体的には、本開示の粘着剤は、例えば、下記式1の条件を満足することができる:
|X-Y|≦約0.45 …式1
式中、Xは、放射線滅菌処理前の粘着剤の90℃における損失正接tanδであり、Yは、放射線滅菌処理後の粘着剤の90℃における損失正接tanδである。
【0039】
|X-Y|の値は、その値が小さければ小さいほど、放射線滅菌処理前の粘着剤と、放射線滅菌処理後の粘着剤との間で、濡れ性、凝集性等の変化(変性)が少ないということを意図することができる。本開示の粘着剤において、|X-Y|の値は、約0.45以下、約0.40以下、約0.35以下、又は約0.30以下とすることができる。|X-Y|の値の下限値については特に制限はないが、例えば、約0.00以上、約0.05以上、又は約0.10以上と規定することができる。
【0040】
本開示の粘着剤層は、(メタ)アクリレートポリマーを含む。この(メタ)アクリレートポリマーは、例えば、後述する紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーとは異なるポリマーであり、例えば、単官能モノマーと、任意に多官能(メタ)アクリレートとを含むモノマー成分を重合させて得ることができる。
【0041】
単官能モノマーとしては、例えば、アルキル基の炭素原子数が1~20のアルキル(メタ)アクリレート(場合により「C1~20アルキル(メタ)アクリレート」と称する。)、並びに、ビニルカルボニル基及び極性基を有する不飽和モノマー(場合により「極性不飽和モノマー」と称する。)などを挙げることができる。単官能モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができ、紫外線架橋部位を含んでも良い。
【0042】
アルキル基の炭素原子数が1~20のアルキル(メタ)アクリレートとは、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを、アクリル酸とアルキルアルコールのエステルとして見た場合に、当該アルキルアルコールの炭素原子数が1~20であることを意味する。すなわち、アルキル(メタ)アクリレートをCH=CH-COO-Rと表した場合、Rが、炭素原子数1~20のアルキル基であることを意味する。
【0043】
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素原子数は、例えば、粘着剤の接着力又は付着力の観点からすると、4~12であることが好ましく、粘着剤の濡れ性、肌への優しい適用性等の観点からすると、8~18であることが好ましい。このように、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素原子数は、医療用部材の使用用途等に応じて適宜選定することができる。
【0044】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、n-ペンタデシル(メタ)アクリレート、n-ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n-ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、濡れ性、接着性、電子線等の放射線に対する耐性、皮膚に対する使用性等の観点から、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
極性不飽和モノマーは、ビニルカルボニル基及び極性基を有する。
【0046】
極性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルバモイル基、アミノ基、エポキシ基、ニトリル基等が挙げられ、これらのうち、水酸基、カルボキシル基、アミノ基が好ましい。
【0047】
ビニルカルボニル基は、CH=CH-C(=O)-で表される基をいう。ビニルカルボニル基と極性基とは直接結合していてもよいし、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
【0048】
極性不飽和モノマーとしては、例えば、
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和モノマー;
アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和モノマー(単に「カルボン酸」と称する場合がある。);
アクリルアミド等のカルバモイル基含有不飽和モノマー;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和モノマー;
などが挙げられる。
【0049】
任意成分である多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
(メタ)アクリレートポリマーは、公知の重合法、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、光重合法、無溶媒重合法などを使用して調製することができる。
【0051】
(メタ)アクリレートポリマーの調製においてカルボン酸等の極性不飽和モノマーを使用する場合には、極性不飽和モノマーは、(メタ)アクリレートモノマー及びカルボン酸の総量100質量%当たり、約1.0質量%以上、約1.5質量%以上、又は約2.0質量%以上混合することができ、約20.0質量%以下、約15.0質量%以下、又は約10.0質量%以下混合することができる。このような範囲で極性不飽和モノマーが含まれていると、粘着剤の接着性を向上させることができる。ここで、「(メタ)アクリレートモノマー」とは、(メタ)アクリレートポリマーのモノマー成分のうち、極性不飽和モノマー以外の(メタ)アクリレート系のモノマー成分を意図することができる。
【0052】
本開示の(メタ)アクリレートポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はないが、例えば、約10万以上、約20万以上、又は約30万以上と規定することができ、約150万以下、約100万以下、又は約80万以下と規定することができる。重量平均分子量がこのような範囲にあると、粘着剤に対して適切な凝集力及び良好な接着力を付与することができる。本開示における「重量平均分子量」とは、GPC法による標準ポリスチレンで換算した分子量を意味する。
【0053】
本開示の粘着剤層は、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、及びそれらの水素化物から選択される少なくとも一種の濡れ性安定化剤を含む。これらの濡れ性安定化剤を含む粘着剤層は、たとえ電子線等の放射線滅菌処理が適用されたとしても、粘着剤の濡れ性等に関する変性を低減又は防止することができる。つまり、本開示の粘着剤層の粘着剤は、医療用部材に対して施される放射線滅菌処理による濡れ性等に関する変性を低減又は防止することができるため、要求性能に応じた粘着剤の接着力等の初期設計を自由にコントロールすることができる。
【0054】
上述した濡れ性安定化剤の中でも、接着性、架橋性等の観点から、テルペンフェノール樹脂、及びその水素化物から選択される少なくとも一種が好ましい。
【0055】
本開示の粘着剤層は、(メタ)アクリルポリマー、及び濡れ性安定化剤を含む。粘着剤層中の濡れ性安定化剤の配合量については、特に制限はないが、例えば、約15質量%以上、約16質量%以上、又は約17質量%以上とすることができ、約60質量%以下、約55質量%以下、約50質量%以下、約45質量%以下、約40質量%以下、約38質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。このような範囲で濡れ性安定化剤が含まれていると、放射線滅菌処理後における粘着剤の濡れ性等に関する変性をより低減又は防止することができる。
【0056】
本開示の粘着剤層は、(メタ)アクリルポリマー、濡れ性安定化剤、及び架橋剤を含む組成物を含み、当該組成物を用いて調製することができる。架橋剤を含む組成物を用いることによって、粘着剤層は架橋構造を備えることができる。架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、熱架橋剤、紫外線架橋剤などを使用することができるが、生産性等の観点から、紫外線架橋剤が好ましい。
【0057】
熱架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、トルイジンジイソシアナート等のイソシアナート化合物;1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)トルエン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等のエポキシ化合物;トリスエチルアセトアセテートアルミニウム、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の金属キレート化合物;N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン、ヘキサメチレンジエチレン尿素等のイミン化合物を挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0058】
紫外線架橋剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物、紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマー等を一種以上使用することができる。
【0059】
紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリルポリマー及び濡れ性安定化剤を含む組成物を紫外線架橋性とするための添加剤として作用させることができる。このような紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーを含む組成物は、各成分間の相溶性が良好であることから、微視的又は巨視的な相分離などが生じにくいため、架橋性、透明性等の性能を向上させることができる。紫外線架橋性部位は、(メタ)アクリル基、エポキシ基などの重合性官能基であってもよく、紫外線照射により水素ラジカルを引き抜くことが可能な構造を有してもよい。
【0060】
代表的な実施態様の紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーは、紫外線照射により水素ラジカルを引き抜くことが可能な構造を少なくとも一種以上有する。この構造は、紫外線照射により励起されて、粘着剤組成物中の(メタ)アクリルポリマー及び紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーの分子内の他の部分又は(メタ)アクリルポリマー及び紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーの他の分子から水素ラジカルを引き抜く。その結果、(メタ)アクリルポリマー及び紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーの分子上にラジカルが生成し、生成したラジカル同士の結合による架橋構造の形成、酸素分子との反応によるパーオキシドラジカルの生成及び生成したパーオキシドラジカルを介した架橋構造の形成、生成したラジカルによる別の水素ラジカルの引き抜きなど、様々な反応が系中で起こり、最終的に本開示の粘着剤組成物を架橋させて粘着剤を得ることができる。追加の光開始剤を必要としないことから、紫外線架橋性部位が紫外線照射により水素ラジカルを引き抜くことが可能な構造を有することが有利である。
【0061】
紫外線照射により水素ラジカルを引き抜くことが可能な構造としては、例えば、ベンゾフェノン基、ベンジル基、o-ベンゾイル安息香酸エステル基、チオキサントン基、3-ケトクマリン基、2-エチルアントラキノン基、カンファーキノン基などを挙げることができる。中でも、透明性、反応性等の観点から、ベンゾフェノン基を用いることが好ましい。
【0062】
紫外線照射により水素ラジカルを引き抜くことが可能な構造を有する(メタ)アクリルポリマーは、炭素原子数1~22の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートと、ベンゾフェノン基、ベンジル基、o-ベンゾイル安息香酸エステル基、チオキサントン基、3-ケトクマリン基、2-エチルアントラキノン基、カンファーキノン基などを有する(メタ)アクリレートとの共重合体であってもよい。
【0063】
例えば、ベンゾフェノン基を有する(メタ)アクリレートとして、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、及びこれらの混合物などを使用することができる。これらの中でも、安定性と反応性のバランスに優れていることから、(メタ)アクリロイル基とベンゾフェノン基との間にアルキレン基、例えば、炭素原子数1~6のアルキレン基が介在しているものが有利であり、そのような(メタ)アクリレートとして、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0064】
炭素原子数1~22の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0065】
いくつかの実施態様では、紫外線照射により水素ラジカルを引き抜くことが可能な構造、例えば、ベンゾフェノン基のモル数は、組成物中の(メタ)アクリルポリマーと紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーとの合計質量を基準として、約0.3μmol/g以上、約5μmol/g以上、又は約10μmol/g以上とすることができ、約320μmol/g以下、約250μmol/g以下、又は約150μmol/g以下とすることができる。紫外線照射により水素ラジカルを引き抜くことが可能な構造の量をこのような範囲とすることにより、紫外線照射により形成される架橋構造の密度を制御して接着性等の性能を調整することができる。
【0066】
紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーは、上記以外の他のモノマーに由来する重合単位を一種以上有してもよい。そのような他のモノマーとして、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレンなどのビニルモノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1-グリセロール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びN-オクチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。
【0067】
紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーは、上記モノマーを重合開始剤の存在下で重合することにより製造することができる。重合方法としては、一般的なラジカル重合法、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などを用いることができる。
【0068】
紫外線架橋性部位が反応しないように、熱重合開始剤によるラジカル重合を使用することが好ましい。係る熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸t-ブチル、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキシド、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドなどの有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]などのアゾ系化合物などが挙げられる。
【0069】
紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はないが、例えば、約1万以上、約5万以上、又は約10万以上と規定することができ、約100万以下、約80万以下、又は約60万以下と規定することができる。
【0070】
粘着剤層を調製するための組成物(粘着剤組成物)中の架橋剤の配合量については、特に制限はないが、例えば、固形分換算で、約0.05質量%以上、約0.1質量%以上、約0.5質量%以上、又は約1.0質量%以上とすることができ、約10質量%以下、約5.0質量%以下、又は約1.0質量%以下とすることができる。このような範囲で架橋剤が含まれていると、放射線滅菌処理後における粘着剤の濡れ性等に関する変性をより低減又は防止することができる。
【0071】
粘着剤組成物は、本開示の効果に影響を及ぼさない範囲で、任意に他の成分を単独で又は二種以上組み合わせて配合することができる。例えば、(メタ)アクリルポリマー以外の他の熱可塑性樹脂、充填剤、導電剤、熱伝導性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを挙げることができる。
【0072】
本開示の粘着剤層は、例えば、(メタ)アクリルポリマー、濡れ性安定化剤、及び架橋剤を含む組成物を、後述する基材又は剥離ライナーへ適用した後に、加熱処理又は紫外線照射処理することによって得ることができる。
【0073】
加熱処理は、例えば、赤外線ヒーター等の加熱ヒーター、熱風、オーブンなどを用いて行うことができる。加熱処理はバッチで行うこともでき、ベルトコンベアなどを用いて連続的に行うこともできるが、生産性等の観点から、連続的に行うことが好ましい。加熱温度(設定温度)としては、例えば、約70℃以上、約80℃以上、又は約90℃以上とすることができる。加熱温度の上限値については特に制限はないが、例えば、約160℃以下、約140℃以下、又は約120℃以下と規定することができる。
【0074】
紫外線照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、UV-LEDなどを光源として用いて行うことができる。紫外線照射はバッチで行うこともでき、ベルトコンベアなどを用いて連続的に行うこともできるが、生産性等の観点から、連続的に行うことが好ましい。紫外線の照射量(UV-C)としては、例えば、約1mJ/cm以上、約50mJ/cm以上、又は約100mJ/cm以上と規定することができる。紫外線の照射量の上限値については特に制限はないが、例えば、約500mJ/cm以下又は約450mJ/cm以下と規定することができる。
【0075】
本開示の粘着剤層としては、ホットメルト型の粘着剤層を採用することができる。係る粘着剤層は、溶剤を含まなくてもよいため、溶剤系の粘着剤等に比べ、皮膚に対して好適に使用することができ、また、製造工程での揮発性有機化合物(VOC)の発生を減少し得るため、環境保全の観点からも望ましい。
【0076】
本開示の粘着剤層の厚さとしては、皮膚への濡れ性、要する接着力等を考慮して適宜選択すればよく、次のものに限定されないが、例えば、約10μm以上、約20μm以上、又は約30μm以上とすることができ、約300μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。このような厚さの粘着剤層は、皮膚の凹凸内に適切に濡れ広がることができるため、医療用部材の保持性能を向上させることができる。
【0077】
本開示の粘着剤層は、該層を構成する粘着剤が、上述した濡れ性及び凝集性の指針となる損失正接tanδに関する性能を奏すること以外に、糊残りを低減又は防止することができたり、又は下記のような接着性能を呈することもできる。
【0078】
本開示の粘着剤層は、180度剥離試験において、例えば、ポリプロピレン板に対する粘着剤層の接着力(例えば、粘着剤を適用して約2分以内の接着力)に関し、放射線滅菌処理前においては、約1.0N/インチ以上、約2.0N/インチ以上、又は約3.0N/インチ以上とすることができ、約35N/インチ以下、約20N/インチ以下、又は約15N/インチ以下とすることができ、放射線滅菌処理後においては、約1.0N/インチ以上、約2.0N/インチ以上、又は約3.0N/インチ以上とすることができ、約20N/インチ以下、約17N/インチ以下、又は約15N/インチ以下とすることができる。
【0079】
或いは、例えば、人工皮革に対する粘着剤層の接着力(例えば、粘着剤を適用して約2分以内の接着力)に関し、放射線滅菌処理前においては、約1.0N/インチ以上、約2.0N/インチ以上、又は約3.0N/インチ以上とすることができ、約25N/インチ以下、約20N/インチ以下、又は約15N/インチ以下とすることができ、放射線滅菌処理後においては、約1.0N/インチ以上、約2.0N/インチ以上、又は約3.0N/インチ以上とすることができ、約20N/インチ以下、約15N/インチ以下、又は約10N/インチ以下とすることができる。
【0080】
放射線滅菌処理前の粘着剤の接着力をa(N/インチ)、放射線滅菌処理後の粘着剤の接着力をb(N/インチ)とした場合、粘着剤は、180度剥離試験において以下の式2を満足することができる:
|a-b|≦約8.0N/インチ …式2
【0081】
係る粘着剤の|a-b|の値としては、さらに、約7.0N/インチ以下、約5.0N/インチ以下、約3.0N/インチ以下、約2.5N/インチ以下、約2.0N/インチ以下、又は約1.5N/インチ以下と規定することができる。|a-b|の値の下限値については特に制限はないが、例えば、約0N/インチ以上、又は約0N/インチ超と規定することができる。
【0082】
本開示の粘着剤層は、医療用具とともに本開示の医療用部材に適用される。粘着剤層は、医療用具に対して直接適用されてもよく、或いは、基材を介して医療用具に対して適用されてもよい。粘着剤層が、基材を介して医療用具に適用される場合には、例えば、医療用具/粘着剤層/基材/粘着剤層の構成、医療用具/接着剤層/基材/粘着剤層の構成などにすることができる。粘着剤層の医療用具側の反対側の面には、剥離ライナーを適用してもよい。粘着剤層、基材、及び接着剤層等は、通気性を付与し得るような孔が適宜形成されていてもよい。
【0083】
本開示の医療用部材に適用される医療用具としては、特に制限はなく、例えば、投薬機器、通信機器、検査器具、及び保護具から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0084】
投薬機器としては、例えば、インシュリン等の各種薬剤を所定量及び/又は所定期間、点滴等の形態で投与し得る機器などを挙げることができる。
【0085】
通信機器としては、例えば、投薬機器、検査器具等への情報、及び/又はこのような機器若しくは器具等からの情報を、wifi等の無線手段又は有線手段などを通じて送受信可能な機器などを挙げることができる。
【0086】
検査器具としては、例えば、血液、心拍、脈拍、脳波、血圧、及び呼吸から選択される少なくとも一種の生体信号などを測定する器具を挙げることができる。血液の測定に関しては、例えば、血液検査で検査可能な項目、例えば、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球数、血小板数、血清カルシウム、MCV、MCH、MCHC、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、血糖値、HbA1c、尿糖、尿酸、ZTT、AST、ALT、γ-GTP、ALP、総ビリルビン、尿ウロビリノーゲン、総たんぱく、アルブミン、Hbs抗原、Hbs抗体、HCV抗体、アミラーゼ、CRP、リウマトイド因子などの少なくとも一種を挙げることができる。
【0087】
保護具としては、例えば、手術用ドレープなどで使用されている、手術中の消毒液の垂れ込み、血液の付着などから保護するための部材などを挙げることができる。このような部材としては、例えば、以下の基材と同様のものを、単独で又は複数組み合わせて適宜使用することができる。
【0088】
本開示の医療用部材は、任意に、例えば、粘着剤層を支持する基材、医療用具と基材とを接合する接着剤層、及び粘着剤層を保護する剥離ライナーを単独で又は複数組み合わせて適宜備えることができる。このような部材を用いることによって、生産性、強度、保管性等の性能を向上させることができる。
【0089】
本開示において基材とは、剥離ライナーとは異なり剥がすことを意図しない部材であって、粘着剤層を支持し得る部材を意図することができる。係る基材の材料としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、PET等のポリエステルなどの樹脂材料;ゴム材料;ガラス、セラミックス等の無機材料;紙材料などを挙げることができる。これらは単独で又は複数組み合わせて使用することができる。中でも、生産性等の観点から、樹脂材料が好ましい。
【0090】
基材の形状又は形態も特に制限はなく、例えば、平坦形状、曲面形状、各種三次元形状などであってもよく、フィルム、シート、板、発泡体、織物、編物、網物、不織布等の形態であってもよい。これらは単独で又は複数組み合わせて使用することができる。
【0091】
基材の厚さは、例えば、約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上とすることができ、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下とすることができる。
【0092】
本開示において接着剤層とは、粘着剤層とは異なる接着性の層を意図している。係る接着剤層の材料としては、例えば、一般に使用される(メタ)アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を単独で又は複数組み合わせて使用することができる。接着剤層は、両面接着テープのような形態であってもよい。
【0093】
接着剤層の厚さとしては、例えば、約1μm以上、約10μm以上、又は約30μm以上とすることができ、約500μm以下、約300μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
【0094】
剥離ライナーとしては、例えば、紙;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、酢酸セルロースなどの樹脂材料;このような樹脂材料で被覆された紙などを挙げることができる。これらは単独で又は複数組み合わせて使用することができる。これらの剥離ライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。
【0095】
剥離ライナーの厚さは、例えば、約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上とすることができ、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下とすることができる。
【0096】
本開示の医療用部材は、皮膚に貼付して使用される。係る皮膚は、ヒト又は動物の何れであってもよい。ここで、本開示における「皮膚」には、「爪」も包含することができる。
【0097】
本開示の医療用部材の製造方法は、特に限定されるものではない。一例として、以下に、本開示の医療用部材の製造方法について記載する。
【0098】
例えば、無溶媒重合法などの重合手段を採用して、上述した単官能モノマーと、任意に多官能(メタ)アクリレートとを含むモノマー成分を重合させて(メタ)アクリレートポリマーを調製する。得られた(メタ)アクリレートポリマーと、濡れ性安定化剤、及び架橋剤とを混合して混合液を調製する。得られた混合液を、コーティング法等の公知の方法を用いて基材上に適用して粘着剤層を形成し、必要に応じて、乾燥工程を適用する。ここで、粘着剤層は、基材の片面又は両面に適用することができ、基材の全面に適用してもよく、或いは、基材に対して部分的に適用してもよい。次いで、得られた粘着剤層に対して直接又は剥離ライナーを介して熱又は紫外線等を適用し、粘着テープを得ることができる。粘着剤層に対して熱又は紫外線等を直接適用する場合には、その後に粘着剤層に対して剥離ライナーをさらに適用してもよい。粘着テープは、ロール状に巻き上げてロールの形態にしてもよく、或いは、適当なサイズにカットして枚葉品の形態にしてもよい。
【0099】
粘着テープを所定の大きさにカットし、粘着テープの基材面又は医療用具の片面に、両面接着テープ等の接着剤層を適用し、係る接着剤層を介して、カットした粘着テープと、医療用具とを貼り合わせて、本開示の医療用部材を形成することができる。
【0100】
本開示の医療用部材は、γ線、電子線等の放射線による滅菌処理を適用することができる。中でも、設備の簡便さ、生産性等の観点から、電子線による滅菌処理が好ましい。滅菌処理は、例えば、粘着テープ、医療用具等を別々に滅菌処理しておいてもよく、或いは、医療用部材の構成にしてから滅菌処理を実施してもよい。滅菌処理は、バッチ式で実施してもよく、或いは、連続的に実施してもよいが、生産性等の観点から、連続式であることが好ましい。
【0101】
滅菌処理における放射線の照射線量については特に制限はない。例えば、約10kGy以上、約15kGy以上、又は約20kGy以上とすることができ、約120kGy以下、約100kGy以下、又は約80kGy以下とすることができる。
【実施例
【0102】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0103】
本実施例で使用した成分を以下の表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
濡れ性安定化剤の有無等、種々の成分の使用に基づく、損失正接(tanδ)、及び粘着剤層の接着力に関する評価を実施した。
【0106】
〈実施例1〉
2EHAを約96.5質量部、AAを約3.5質量部、及びOmnirad 184を約0.2質量部、ABPを約0.05質量部の割合で混合し、無溶剤条件下で重合した。得られたポリマーに濡れ性安定化剤のKE-311を約30質量部となる割合で、170℃で混合し、粘着剤を調製した。
【0107】
〈実施例2〉
濡れ性安定化剤をKE-311から105に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の粘着剤を調製した。
【0108】
〈実施例3〉
濡れ性安定化剤をKE-311からKE-359に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の粘着剤を調製した。
【0109】
〈実施例4〉
濡れ性安定化剤をKE-311からYSポリスター(商標)UH115に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の粘着剤を調製した。
【0110】
〈実施例5〉
濡れ性安定化剤をKE-311からYSポリスター(商標)U115に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の粘着剤を調製した。
【0111】
〈比較例1〉
濡れ性安定化剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の粘着剤を調製した。
【0112】
〈比較例2〉
KE-311に代えてアルコン(商標)M100を使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の粘着剤を調製した。
【0113】
〈比較例3〉
KE-311に代えてWingtack(商標)Plusを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の粘着剤を調製した。
【0114】
〈評価試験〉
(動的粘弾性測定:損失正接(tanδ))
Rheometric Scientific社製のAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)を用い、周波数1Hz、昇温条件5℃/分の条件で、紫外線(UV)処理した後の各粘着剤試料の90℃における損失正接(tanδ)、及びUV処理後にさらに電子線(EB)で滅菌処理(照射量:約75kGy)した後の各粘着剤試料の90℃における損失正接(tanδ)を求めた。その結果を、表2、5及び図1に示す。ここで、図1は、紫外線照射処理後の粘着剤の90℃における損失正接tanδ(X)から紫外線照射処理後にさらに電子線で滅菌処理した粘着剤の90℃における損失正接tanδ(Y)を差し引いた絶対値(|X-Y|)を棒グラフ化したものであり、棒グラフが小さければ小さいほど、電子線滅菌処理後の粘着剤の濡れ性等に関する変性が少ないことを意図している。
【0115】
(接着力試験1)
粘着剤の調製において作製した混合物を、25μm厚のPETフィルム上にコーティングした後、メタルハライドランプを用い、約50mJ/cmの照射量で紫外線を照射して厚さ約90μmの粘着剤層を備える粘着テープを調製した。
【0116】
得られた粘着テープを約1インチ×約6インチのサイズにカットした後、剥離ライナーを除去し、粘着テープの粘着剤層を、ポリプロピレン板(株式会社スタンダードテストピース製、ポリプロピレン(両面SG))に貼り付けて試験片を調製した。得られた試験片を、引張試験機(株式会社エーアンドディー製:RTG-1250)に取り付けた。ポリプロピレン板に対して180度の角度及び約300mm/分の速度で試験片を引っ張って、粘着剤層の接着力を測定した。その結果を表3、5に示す。
【0117】
ここで、表中の「UV処理後(a)」とは、紫外線照射処理後の粘着テープの接着力であり、「EB処理後(b)」とは、紫外線照射処理後にさらに電子線で滅菌処理(照射量:約75kGy)した粘着テープの接着力であり、「|a-b|」とは、紫外線照射処理後の粘着テープの接着力から紫外線照射処理後にさらに電子線で滅菌処理した粘着テープの接着力を差し引いた絶対値であり、係る値が小さければ小さいほど、電子線滅菌処理後の粘着テープにおける粘着剤の接着力に関する変性が少ないことを意図している。また、「維持率(%)」とは、以下の式3より算出されるものであり、UV処理後の粘着テープの接着力が、EB処理後にどの程度維持されているかを示すものである:
維持率(%)=(EB処理後の粘着テープの接着力(b)/UV処理後の粘着テープの接着力(a))×100 …式3
【0118】
(接着力試験2)
上述した接着力試験1と同様にして、粘着テープを調製した。得られた粘着テープを約1インチ×約6インチのサイズにカットした後、剥離ライナーを除去し、粘着テープの粘着剤層を、皮膚を模した人工皮革(イデアテックス ジャパン株式会社製、PBZ13001 KAKI)に貼り付けて試験片を調製した。ここで、試験片は、粘着剤層を人工皮革に適用して直後のものと、人工皮革に適用して2分後のものの二種類を調製した。得られた各試験片を、引張試験機(株式会社エーアンドディー製:RTG-1250)に取り付け、人工皮革に対して180度の角度及び約300mm/分の速度で試験片を引っ張って、粘着剤層の接着力を測定した。その結果を表4に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
濡れ性安定化剤であるテルペンフェノールの配合量に基づく、損失正接(tanδ)、及び粘着剤層の接着力に関する評価を実施した。
【0123】
〈比較例4〉
YSポリスター(商標)U115の配合量を30質量部から5質量部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして比較例4の粘着剤及び粘着テープを調製した。
【0124】
〈比較例5〉
YSポリスター(商標)U115の配合量を30質量部から10質量部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして比較例5の粘着剤及び粘着テープを調製した。
【0125】
〈実施例6〉
YSポリスター(商標)U115の配合量を30質量部から20質量部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして実施例6の粘着剤及び粘着テープを調製した。
【0126】
〈実施例7〉
YSポリスター(商標)U115の配合量を30質量部から40質量部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして実施例7の粘着剤及び粘着テープを調製した。
【0127】
〈実施例8〉
YSポリスター(商標)U115の配合量を30質量部から50質量部に変更したこと以外は、実施例5と同様にして実施例8の粘着剤及び粘着テープを調製した。
【0128】
実施例6~8並びに比較例4及び5における粘着剤及び粘着テープに関し、上述と同様に、損失正接、及び粘着剤層の接着力を評価し、その結果と、実施例5の結果を、表5に示す。
【0129】
【表5】
【0130】
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目6]に記載する。
[項目1]
医療用具、及び放射線滅菌耐性粘着剤層を備える、皮膚貼付医療用部材であって、
前記粘着剤層が、(メタ)アクリルポリマー、及び濡れ性安定化剤を含み、かつ、
前記濡れ性安定化剤が、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、及びそれらの水素化物から選択される少なくとも一種である、
皮膚貼付医療用部材。
[項目2]
前記濡れ性安定化剤が、テルペンフェノール樹脂、及びその水素化物から選択される少なくとも一種である、項目1に記載の医療用部材。
[項目3]
前記濡れ性安定化剤が、粘着剤層中に15~60質量%含まれている、項目1又は2に記載の医療用部材。
[項目4]
前記粘着剤層が、ホットメルト型である、項目1~3のいずれか一項に記載の医療用部材。
[項目5]
前記粘着剤層の厚さが、10~300μmである、項目1~4のいずれか一項に記載の医療用部材。
[項目6]
前記医療用具が、投薬機器、通信機器、検査器具、及び保護具から選択される少なくとも一種である、項目1~5のいずれか一項に記載の医療用部材。
図1