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特許7277141電気通信装置、電気通信システム、電気通信装置を動作させる方法、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】電気通信装置、電気通信システム、電気通信装置を動作させる方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
H04M1/00 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018545415
(86)(22)【出願日】2017-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2017054651
(87)【国際公開番号】W WO2017148949
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2018-10-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】102016203235.6
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】アペル イェンス エッケハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン レンニーズ ホッホムート
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-69126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0242160(US,A1)
【文献】特開2004-32430(JP,A)
【文献】特開2007-60229(JP,A)
【文献】特開2001-25062(JP,A)
【文献】特開2005-236790(JP,A)
【文献】特開2014-72753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K11/00-13/00、H04B7/24-7/26、H04M1/00、1/24-3/00、3/16-3/20、3/38-3/58、7/00-7/16、1/00-11/10、99/00、H04R27/00-27/04、H04W4/00-8/24、8/26-16/32、24/00-28/00、28/02-72/02、72/04-74/02、74/04-74/06、74/08-84/10、 84/12-88/06、88/08-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の表現を含むオーディオ信号(110;210;310;410;710)を受信して、前記オーディオ信号を別の電気通信装置(600;754)に送信するように構成されたオーディオ信号送信手段(130;230;330;430;730)と、
前記オーディオ信号(110;210;310;410;620;710;770)が第三者にとって音響学的に理解可能である、または第三者にとっての妨害であるという懸念があるときに、信号(120;220;320;420;520;720)を出力するように構成されたシグナリング手段(140;240;340;440;500;740)と、
を備える電気通信装置(100;200;300;400;704)であって、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記電気通信装置の周辺のエリアに位置する第三者にとっての、前記電気通信装置(100;200;300;704)のユーザによって生成された前記音声信号の音声の理解可能性を決定または推定するように構成され、かつ、前記シグナリング手段は、前記音声の理解可能性に依存して前記信号を出力するように構成され、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記音声の理解可能性を決定または計算する(560)際に、前記電気通信装置の音響環境を考慮するように構成され、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記音声の理解可能性を決定または計算する(560)際に、背景雑音周波数コンテンツを考慮し、それによって前記電気通信装置の前記音響環境を考慮するように構成される、
電気通信装置(100;200;300;704)。
【請求項2】
電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の表現を含むオーディオ信号(110;210;310;410;710)を受信して、前記オーディオ信号を別の電気通信装置(600;754)に送信するように構成されたオーディオ信号送信手段(130;230;330;430;730)と、
前記オーディオ信号(110;210;310;410;620;710;770)が第三者にとって音響学的に理解可能である、または第三者にとっての妨害であるという懸念があるときに、信号(120;220;320;420;520;720)を出力するように構成されたシグナリング手段(140;240;340;440;500;740)と、
を備える電気通信装置(100;200;300;400;704)であって、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記電気通信装置の周辺のエリアに位置する第三者にとっての、前記電気通信装置(100;200;300;704)のユーザによって生成された前記音声信号の音声の理解可能性を決定または推定するように構成され、かつ、前記シグナリング手段は、前記音声の理解可能性に依存して前記信号を出力するように構成され、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記音声の理解可能性を決定または計算する(560)際に、前記電気通信装置の音響環境を考慮するように構成され、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記音声の理解可能性を決定または計算する(560)際に、背景雑音変調を考慮して、それによって前記電気通信装置の前記音響環境を考慮するように構成される、
電気通信装置(100;200;300;704)。
【請求項3】
電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の表現を含むオーディオ信号(110;210;310;410;710)を受信して、前記オーディオ信号を別の電気通信装置(600;754)に送信するように構成されたオーディオ信号送信手段(130;230;330;430;730)と、
前記オーディオ信号(110;210;310;410;620;710;770)が第三者にとって音響学的に理解可能である、または第三者にとっての外乱であるという懸念があるときに、信号(120;220;320;420;520;720)を出力するように構成されたシグナリング手段(140;240;340;440;500;740)と、
を備える電気通信装置(100;200;300;400;704)であって、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記電気通信装置の周辺のエリアに位置する第三者にとっての、前記電気通信装置(100;200;300;704)のユーザによって生成された前記音声信号の音声の理解可能性を決定または推定するように構成され、かつ、前記シグナリング手段は、前記音声の理解可能性に依存して前記信号を出力するように構成され、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記音声の理解可能性を決定または計算する(560)際に、前記電気通信装置の音響環境を考慮するように構成され、
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記音声の理解可能性を決定または計算する(560)際に、背景雑音の騒々しさを考慮して、それによって前記電気通信装置の前記音響環境を考慮するように構成される、
電気通信装置(100;200;300;704)。
【請求項4】
前記シグナリング手段は、前記電気通信装置(100;200;300;400;704)の周辺のエリアに位置する、前記電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとって、前記オーディオ信号が音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを決定または推定し、かつ、前記懸念に依存して前記信号を出力するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電気通信装置(100;200;300;400;704)。
【請求項5】
前記シグナリング手段(440;500)は、前記別の電気通信装置(600;754)の周辺のエリアに位置する、前記別の電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとって、前記オーディオ信号(410;620;770)が音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかについての情報(542;790)を得て、かつ、前記情報に依存して前記信号(420;720)を出力するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電気通信装置(400;704)。
【請求項6】
前記シグナリング手段は、前記電気通信装置(100;200;300;400;704)の周辺のエリアに位置するが、前記電気通信装置までの所定の距離より長い距離にいる第三者にとって、前記オーディオ信号が理解可能であるという懸念があるかどうかを決定または推定するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電気通信装置(100;200;300;400;704)。
【請求項7】
前記シグナリング手段は、前記電気通信装置(100;200;300;704)の周辺のエリアに位置する、前記電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとって、前記オーディオ信号(110;210;310;510)が音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを決定または推定するために、前記受信されたオーディオ信号(110;210;310;510)を評価するように構成される、および/または、前記シグナリング手段は、前記電気通信装置の周辺のエリアに位置する、前記電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとって、前記オーディオ信号が音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを決定または推定するために、別個のサウンドトランスデューサ(520)からの信号を評価するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の、電気通信装置(100;200;300;704)。
【請求項8】
前記電気通信装置は、前記オーディオ信号(410;510;620;770)が前記別の電気通信装置(600;754)のオーディオトランスデューサによって出力された後、前記別の電気通信装置の周辺のエリアに位置する、前記別の電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを示す信号(450;530;790)を、前記別の電気通信装置(600;754)から受信するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の、電気通信装置(400;704)。
【請求項9】
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記電気通信装置(100;200;300;704)のユーザの音声レベルに依存して、前記信号を出力するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電気通信装置(100;200;300;704)。
【請求項10】
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記電気通信装置の位置における前記オーディオ信号の音響ボリュームに依存して、および/または、前記受信したオーディオ信号(110;210;310;710)の電気的またはデジタル化された信号レベルに依存して、前記信号を出力するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電気通信装置(100;200;300;704)。
【請求項11】
前記シグナリング手段(140;240;340;500;740)は、前記オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるエリアのサイズについての情報(576a)を決定し、出力するように構成される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電気通信装置(100;200;300;400;704)。
【請求項12】
前記シグナリング手段は、前記オーディオ信号による第三者の妨害の大きさを決定し、出力するように構成される、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の電気通信装置(100;200;300;400;704)。
【請求項13】
前記電気通信装置は、前記電気通信装置の周辺のエリアの音響特性、および/または、前記電気通信装置の周辺のエリア内での使用ガイドラインを検出し、前記音響特性および/または前記使用ガイドラインに依存して前記第三者の妨害の大きさを決定するように構成される、請求項12に記載の電気通信装置(100;200;300;400;704)。
【請求項14】
前記電気通信装置は、前記別の電気通信装置(600;754)とは異なる第三者装置から、妨害信号(542)を受信するように構成され、かつ、前記シグナリング手段は前記妨害信号に依存して、前記オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能である、または第三者にとっての妨害であるという懸念があるかどうかについての評価をトリガする、または、前記評価において前記妨害信号を考慮するように構成される、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の電気通信装置(100;200;300;400;704)。
【請求項15】
電気通信装置を動作させるための方法(800)であって、
前記電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の表現を含むオーディオ信号を受信するステップ(810)と、
前記オーディオ信号を別の電気通信装置に送信するステップ(820)と、
前記音声信号が第三者にとって音響学的に理解可能である、または、第三者にとっての妨害であるという懸念があるときに、信号を出力するステップ(830)と、
を含み、
前記電気通信装置の周辺のエリアに位置する第三者にとっての、前記電気通信装置(100;200;300;704)の前記ユーザにより生成された前記音声信号の音声の理解可能性が決定または推定され、かつ、前記信号は前記音声の理解可能性に依存して出力され、
前記音声の理解可能性を決定あるいは計算(560)するときに前記電気通信装置の音響環境が考慮され、
前記音声の理解可能性を決定あるいは計算(560)するときに背景雑音周波数コンテンツが考慮され、それによって前記電気通信装置の前記音響環境が考慮される、
電気通信装置を動作させるための方法(800)。
【請求項16】
電気通信装置を動作させるための方法(800)であって、
前記電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の表現を含むオーディオ信号を受信するステップ(810)と、
前記オーディオ信号を別の電気通信装置に送信するステップ(820)と、
前記音声信号が第三者にとって音響学的に理解可能である、または、第三者にとっての外乱であるという懸念があるときに、信号を出力するステップ(830)と、
を含み、
前記電気通信装置の周辺のエリアに位置する第三者にとっての、前記電気通信装置(100;200;300;704)の前記ユーザにより生成された前記音声信号の音声の理解可能性が決定または推定され、かつ、前記信号は前記音声の理解可能性に依存して出力され、
前記音声の理解可能性を決定あるいは計算(560)するときに前記電気通信装置の音響環境が考慮され、
前記音声の理解可能性を決定あるいは計算(560)するときに背景雑音変調が考慮され、そのことによって前記電気通信装置の前記音響環境が考慮される、
電気通信装置を動作させるための方法(800)。
【請求項17】
電気通信装置を動作させるための方法(800)であって、
前記電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の表現を含むオーディオ信号を受信するステップ(810)と、
前記オーディオ信号を別の電気通信装置に送信するステップ(820)と、
前記音声信号が第三者にとって音響学的に理解可能である、または、第三者にとっての妨害であるという懸念があるときに、信号を出力するステップ(830)と、
を含み、
前記電気通信装置の周辺のエリアに位置する第三者にとっての、前記電気通信装置(100;200;300;704)の前記ユーザにより生成された前記音声信号の音声の理解可能性が決定または推定され、かつ、前記信号は前記音声の理解可能性に依存して出力され、
前記音声の理解可能性を決定あるいは計算(560)するときに前記電気通信装置の音響環境が考慮され、
前記音声の理解可能性を決定あるいは計算(560)するときに背景雑音の騒々しさが考慮され、それによって前記電気通信装置の前記音響環境が考慮される、
電気通信装置を動作させるための方法(800)。
【請求項18】
コンピュータプログラムが実行されるときに、請求項15~請求項17のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明の実施例は、電気通信装置に関する。
本願発明のさらなる実施例は、電気通信システムに関する。
本願発明のさらなる実施例は、電気通信装置を操作する方法に関する。
本願発明のさらなる実施例は、前記方法を実行するためのコンピュータプログラムに関する。
本願発明のさらなる実施例は、電話における人の音声レベルを測定して提示するための概念および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年において、音声信号またはオーディオ信号を送信する可能性が、一般的にかなり改善された。特に今日、音声信号またはオーディオ信号を送信することが、多くの状況で、例えば、人の家から、またはオフィスから、または路上で可能である。例えば、携帯電話は、今日、いくつかのエリアにおいて、すなわち、公共的な立地および公共輸送手段から、完全な通信範囲で可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
殆んどどのような位置でも電話をする可能性が、人間の生活をかなり改善または簡素化したけれども、新しい可能性は特定の問題ももたらす。例えば、電話をすることは、しばしば2人の間の直接会話ほど自然ではないと感じるので、近くで他人が電話をすると、多くの人々は気持ちが乱されたと感じる。さらに、また、特に、私的な状況の中で又はオフィスから電話を切らずに待つ携帯通信装置を介して会話をするときに、過去において、会話のプライバシーについて問題が生じていた。
【0004】
これを考慮して、従来の電気通信装置の使用に起因するプライバシー問題だけでなく、他の否定的な効果を減少させることが可能である概念についての必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明に係る実施の形態は、電気通信装置を提供する。電気通信装置は、オーディオ信号を受信して、このオーディオ信号を別の電気通信装置に送信するように構成されたオーディオ信号送信手段を含む。電気通信装置は、懸念があるとき(すなわち、例えば技術的パラメータによって正当化された懸念に対して理由があるとき)、オーディオ信号が第三者に音響学的に理解できる又は第三者についての妨害を表わす、シグナリングを出力するように構成されたシグナリング手段をさらに含む。
【0006】
この実施の形態は、仮にオーディオ信号送信手段によって別の電気通信装置に送信されるオーディオ信号が、第三者(すなわち、電気通信装置の側の話し手を除いた人々であって、別の電気通信装置の側の望ましい受信者)にとって理解できるならば、または、仮に第三者(ユーザの側または受信者の側のいずれか一方)が、オーディオ信号によって妨害されているならば、シグナリングによりユーザに知らせる又は警告することが望ましい、という発見に基づく。
【0007】
特に、電気通信装置に含まれるシグナリング信号手段によるユーザの支援は非常に有用であることが分かっている。なぜなら、ユーザは、例えば電話に集中しているので、しばしば彼/彼女が「あまりにも大声で」通話していることに気づいていないからである。従って、電気通信装置のユーザの発話音量および/または電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の音声理解可能性および/またはさらなる技術的条件(タイプまたはマイクロフォンの配置またはハンズフリーユニットが電気通信装置の側面で使用される場合またはオーディオ信号が送信される別の電気通信装置の側面に使用される場合の疑問)を考慮または評価するシグナリング手段により、例えば、電気通信装置のユーザが支援され、またはプライバシーの侵害、第三者の妨害を軽減または排除することができる。
【0008】
シグナリングは、多くの方法で、例えば光学的におよび/または音響学的に生じてもよい。シグナリングは、端末装置を介して直接に、または、無線方式または有線方式で端末装置に接続された別のデバイス(例えば、無線方式または有線方式で電気通信装置に接続された音声出力デバイス、および/または、無線方式または有線方式で電気通信装置に接続された別の電子デバイス)を介して生じてもよい。
【0009】
実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の周辺エリアに位置し、電気通信装置のユーザとは異なる第三者に対してオーディオ信号が音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを判定または評価するように構成され、これに応じてシグナリングを出力する。換言すれば、シグナリング手段は、オーディオ装置のユーザがどれほど大声で話しているか(オーディオ信号は通常、電気通信装置のユーザによって生成される)を判定するか評価するように構成することができ、オーディオ信号は、電気通信装置の周辺エリアに位置する第三者に対して理解可能および/または妨害になるというリスクを推測することを可能にする。シグナリング手段が(例えば、1つまたはいくつかの技術的パラメータを評価することによって)確率が比較的高い(例えば、特定の確率閾値よりも高い)旨を検出した場合、シグナリング手段は対応するシグナリングを出力することができる。従って、電気通信装置のユーザは、彼/彼女の周辺にいる第三者が自分のコメントを容易に理解することができる時、または彼/彼女が第三者を許容範囲外に妨害するときに、電気通信装置のユーザは、時間内に通知される。
【0010】
一実施形態では、シグナリング手段は、オーディオ信号が、別の電気通信装置の周辺エリアに位置し、かつ、別の電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかについての情報を取得するように構成され、それに応じてシグナリングを出力する。従って、電気通信装置のユーザは、第三者が電気通信の相手方側(すなわち、「別の電気通信装置」が位置する場所)で彼/彼女の話を聞くことができるときに、シグナリングによって警告を受けることもできる。例えば、これは、電気通信の相手方、すなわち、別の電気通信装置のユーザが、ハンズフリーユニット(またはスピーカユニット)を使用する場合であり得る。従って、シグナリングに対する反応として、電気通信装置のユーザは、電気通信の相手にプライバシーを確保するように尋ねることができる(すなわち、例えばハンズフリーユニットおよび/またはスピーカ装置をスイッチオフする)か、または電気通信装置のユーザは、彼/彼女の電気通信装置が、別の電気通信装置の周辺エリアに位置する第三者によってオーディオ信号が音響学的に理解可能であることを通知する場合に、第三者に開示されない個人情報をも保持することができる。従って、電気通信装置のユーザは、電話での通話の際のプライバシーが保証されないというリスクがあるときにも反応することができる。
【0011】
一実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の周辺エリアに位置しているが、電気通信装置までの特定の距離に少なくともいる第三者にとってオーディオ信号が理解可能であるという懸念があるかどうかを判断または評価するように構成されてもよい。換言すれば、音声信号(例えば、電気通信装置のユーザの音声に基づくものであってもよい)が依然として電気通信装置とのかなりの距離で理解可能であるかどうかを判定または評価することができる。換言すれば、シグナリング手段は、例えば、音声信号が、電気通信装置の近くでのみ理解可能であることを期待できる音量または音声理解可能性を含むかどうか(例えば、これは、ユーザが彼/彼女の携帯電話のマイクに直接話しかけ、非常に大声で話していない場合である)、または電気通信装置から遠い距離で音声信号が依然として理解可能であることが予想されるかどうか(例えば、これは、周囲雑音が低いにもかかわらず、ユーザが比較的大きな声で話す場合である)を判断することができる。従って、シグナリング手段は、電気通信装置までの距離が通常の使用距離または話し距離よりも著しく長い第三者が、依然として比較的少ない努力で音声信号を理解することができると予想されるときに、信号を出力することができる。従って、ユーザは潜在的に妨害されている可能性がある望ましくない聴取者または人々について再び警告される。
【0012】
一実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の周囲に位置し、電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとってオーディオ信号が理解可能であるという懸念があるかどうかを判定あるいは評価するために受信したオーディオ信号を評価するように構成されている。あるいは、電気通信装置の周囲に位置し、電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとってオーディオ信号が音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを判定するあるいは評価するために、シグナリング手段は、セパレートサウンドトランスデューサ(例えば、オーディオ信号の電気的表現をキャプチャするために使用される音響トランスデューサとは異なる音響トランスデューサからの信号)を評価するように構成されてもよい。第1の選択肢(オーディオ信号送信手段から受信される典型的な電気オーディオ信号の評価)は、特に簡単な実施を可能にするが、第2の信号経路が開かれており、そしてそれ故、音声信号が特に取付けられた音響トランスデューサによって(例えば、ユーザの頭に近接して配置されたマイクロフォンによって)キャプチャされた場合であっても、状況(音声ボリュームおよび/または音声理解能力)は電気通信装置の位置で(または、分離した音響トランスデューサの位置で)評価できるので、第2の選択肢(セパレートサウンドトランスデューサを使用する)は、特に高い信頼性を伴う。従って、セパレートサウンドトランスデューサを使用することによって、オーディオ信号をキャプチャするサウンドトランスデューサ(例えば、マイクロフォン)が環境ノイズの効果的な抑制に関して最適化された場合でも、またはそれに応じて配置された場合でも、意味あるシグナリングが生成できる。
【0013】
一実施形態では、電気通信装置は、別の電気通信装置から、別の電気通信装置の音声トランスデューサによって出力された後の音声信号が、別の電気通信装置の周辺エリアに位置し、別の電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを示す信号を受信するように構成される。対応する実施を通じて、本電気通信装置は、遠隔電気通信装置(別の電気通信装置)と共に動作でき、この電気通信装置から、別の遠隔電気通信装置の側に非正規の(または望ましくない)第三者が本電気通信装置のユーザを理解することができるという特定のリスクがあるかどうかについての情報を得ることが可能である。したがって、別の電気通信装置との通信を通じて、本電気通信装置のユーザは、望ましくない可能性のある聴取者に関する追加の制御レベルを取得する。別の電気通信装置によって受信された信号に対応する(またはそれに応答する)シグナリングを実行する現在の電気通信装置のために、信頼性のあるシグナリングは、現在の電気通信装置のユーザが別の電気通信装置のユーザに(おそらくは繰返し)尋ねなければならないことなく実行することができる。従って、重要でプライベートな電話は、リラックスして実行することができる。
【0014】
一実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置のユーザの音声レベルに応じて信号を出力するように構成される。音声レベルに依存するシグナリングの出力(もっとも単純な場合にはただ音声レベルのみに基づく)は、シグナリング手段の比較的簡単な実現を可能にする。さらに、音声レベルは、第三者が電話に容易に耳を傾けたり、電話で妨害したりするリスクのレベルについてのある種の意見を既に可能にする。
【0015】
さらなる実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の位置でのオーディオ信号の音響ボリュームおよび/または受信オーディオ信号の電気信号レベルまたはデジタル化信号レベル(電気信号としての表現における)に応じてシグナリングを出力するように構成されている。シグナリング手段のそのような実現は、より低い労力で比較的信頼できるシグナリングを可能にする。
【0016】
さらに好ましい実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の周辺エリアに位置する第三者とっての電気通信装置のユーザによって生成された音声信号の音声理解可能性を判定または評価するように構成される。この場合、電気通信装置は、それに応じてシグナリングを出力するように構成されることが好ましい。この実施形態は、音声理解可能性が、音声信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるかどうか、または音声信号が第三者にとって妨害を表すかどうかを判定するための重要な測定であるという知見に基づいている。比較的低い音声理解能力を有する音声信号は、非正規な第三者が聴取する可能性が比較的低いリスクを伴うため、シグナリング手段は音声理解能力が比較的低い音声信号に対してシグナリングを出力すべきではないが、シグナリング手段は、比較的良好な音声理解能力を有する音声信号のシグナリングを出力すべきである。さらに、第三者は、一般に、比較的理解できない音声信号(例えば、背景雑音よりも僅かに大きい)よりも比較的容易に理解できる音声信号によって妨害されることが示されている。
【0017】
一実施形態では、シグナリング手段は、会話理解能力を判定または計算する際に電気通信装置の音響環境を考慮するように構成される。例えば、雑音またはそれぞれの場所の特定の状態(減衰、エコーなど)を考慮に入れることができる。従って、シグナリング手段は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるかどうか、および/またはオーディオ信号が第三者にとって妨害を表すかどうかに関して特に有意義な情報を得ることができる。従って、シグナリング手段によって生成されたシグナリングの重要性が増大する。
【0018】
一実施形態では、信号装置は、音声理解可能性を判定する際に、妨害雑音レベルおよび/または妨害雑音周波数コンテンツおよび/または妨害雑音変調および/または妨害雑音騒音性および/または残響時間を考慮するように構成される。シグナリング手段が上記の基準の1つまたは複数を考慮して、正当な技術的努力で特に有意なシグナリングを得ることができる。
【0019】
好ましい実施形態では、シグナリング手段は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるエリアのサイズに関する情報を判定して出力するように構成されている。例えば、オーディオ信号(例えば、音声信号)と妨害雑音との比が一定の値に達するかそれを超えるエリアを判定または評価することができ、そのようなエリアは、シグナリング手段によって、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるエリアとして解釈してもよい。換言すれば、シグナリング手段は、音声の理解可能性(例えば、音声レベルおよび/または音声理解可能性から導出され得る別の基準)がある値に達するか、またはそれを超える場合にオーディオ信号があるエリア内の第三者にとって理解可能であるか、または第三者にとって妨害につながるという仮定の下でシグナリングを生成することができる。対応するシグナリングを介して、およびオーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるエリアのサイズに関する情報の出力を通じて、ユーザは、聞いている他人の危険性について警告を受けることができる。第三者にとってオーディオ信号が音響学的に理解できるという懸念があるエリアのサイズに関する情報を判定して出力することにより、ユーザは、そのエリア内の人々が彼/彼女のプライバシーまたは会話のプライバシーの危険を冒すかどうかを評価することができ、かつユーザは、例えば、彼/彼女の周りの人に十分な距離を作ることによって、秘密ではないコンテンツやわずかなコンテンツに電話による会話を限定することによって、状況に応じて対応することができる。
【0020】
さらなる実施形態では、シグナリング手段は、オーディオ信号による第三者の妨害の測定値を判定して出力するように構成されている。このようにして、例えば、電話に集中しているユーザは、例えば、彼/彼女が彼/彼女の周りの人々を邪魔する前に、時間内に警告を受けることができる。このように、電気通信装置内にシグナリング装置が存在するために、公共交通手段における口論などの人間の衝突を防止することができる。
【0021】
好ましい実施形態では、電気通信装置は、電気通信装置の周辺エリアの音響特性および/または電気通信装置の周辺エリアの使用ガイドラインを検出し、それに応じて第三者の妨害の測定値を判定するように構成されてもよい。例えば、比較的騒々しい環境では、例えば、静かな環境の場合のように、第三者によってある音声信号(例えば、通話)が妨害されにくいと知覚されると想定することができる。さらに、例えば、シグナリング手段は、無音の命令または発呼禁止のような特定の使用制限を検出することができ(使用制限のシグナリングは、無線ネットワーク通信、近距離通信、または例えば、別の表示などの異なる通信経路を介して実行されてもよい。)、シグナリングを生成するときにこれらを考慮する。このようにして、たとえばサイレントゾーン(例えば、病院内または列車の寝台車内)の通話に対する許容しきい値が他のエリアよりも低い可能性があるという事実は、技術的な測定によって認められる可能性がある。従って、電気通信装置のユーザは、他人の許容閾値を超える前に警告を発することができる。
【0022】
さらなる実施形態では、電気通信装置は、別の電気通信装置とは異なる第三者装置から妨害シグナリングを受信するように構成される。この場合、シグナリング手段は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるか妨害シグナリングに応じて第三者にとって妨害を表すという懸念があるかどうかの評価をトリガするか、あるいは評価における妨害シグナリングを考慮するように構成されている。この実施により、第三者(例えば、第三者装置のユーザ)が、妨害が存在する(例えば、そのユーザがあまりにも大きな声で話す)というメッセージを電気通信装置に送ることが可能である。しかしながら、電気通信装置は、例えば、そのようなメッセージを、無意識でユーザに転送することができるが、実際に第三者の妨害の懸念があるかどうかを、シグナリング手段を用いてチェックすることもできる。従って、一方では、第三者による妨害信号は、実際に妨害の懸念があるかどうかのチェックの根拠としてシグナリング手段によって使用されてもよいが、第三者のすべての(おそらくは不当な)妨害シグナリングが、自動的に電気通信装置のユーザの妨害通知につながるわけではない。例えば、シグナリングが実行されるかどうかを判定するために使用される閾値を増加または減少させるために、シグナリング手段によって第三者による妨害シグナリングを使用することができる。例えば、第三者による妨害シグナリングは、電気通信装置のユーザの低い発話レベルで、第三者の妨害の可能性が想定され、シグナリングが実行されるように、シグナリング手段の感度を高めることができる。
【0023】
従って、第三者による妨害シグナリングが、第三者の各妨害シグナリングが、シグナリング手段によるシグナリングの出力に必ずもたらすことなく、シグナリング手段に影響を及ぼすことが達成される(他方では、電気通信装置のユーザに対して妨害を与える可能性がある)。
【0024】
本発明によるさらなる実施形態は、電気通信装置を提供する。電気通信装置は、別の電気通信装置からオーディオ信号を受信し、それを音響出力するように構成されたオーディオ信号受信手段を含む。さらに、電気通信装置は、出力オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であること、または第三者にとって妨害を表すことに懸念がある場合に、シグナリングを出力するように構成されたシグナリング手段を含む。
【0025】
従って、対応する電気通信装置は、電気通信装置のユーザの音声信号による妨害が信号化されるだけでなく、他の電気通信装置から受信され、音響学的に出力されるオーディオ信号による妨害の可能性も提供する。従って、例えば、遠隔の会話相手によって何が言われているのかを、非正規の第三者が理解する懸念がある場合、電気通信装置のユーザに通知することができる。同様に、電話機のハンズフリー機能またはスピーカ機能の使用が、周囲の他人の妨害につながる場合など、電気通信装置のユーザに通知されてもよい。さらに、シグナリングは、更なる遠隔の電気通信装置のユーザに、その遠隔電気通信装置のユーザが、彼/彼女が言ったことが第三者が聴取する可能性があるという懸念があるほど大きな声で電気通信装置の脇に出力されているという事実によってプライバシーが妨害されていることを知ることができるようにすることもできる。従って、本明細書に記載された電気通信装置は、上述の電気通信装置とやりとりしてもよく、電気通信の参加者は、会話相手がハンズフリーユニットを使用して当事者が聞くことができるときに警告を受けることができる。
【0026】
一実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の周辺エリアに位置し、電気通信装置のユーザとは異なる第三者にとってオーディオ信号が音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを判定または評価するように構成されてもよい。このシグナリング手段は、それに応じてシグナリングを出力するようにさらに構成されてもよい(すなわち、上述の判定および/または評価に依存する)。
【0027】
さらなる実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の周辺エリアに位置しているが電気通信装置まで指定の距離よりも大きいところに位置する第三者にとってオーディオ信号が理解可能であるという懸念があるかどうかを判断または評価するように構成することができる。これは、電気通信装置の「正規の」ユーザが、受信され、音響学的に出力されるオーディオ信号を実際に知覚するという状況を可能にする一方で、受信され、音響学的に出力されるオーディオ信号は、典型的には、その正規のユーザよりも電気通信装置から離れて位置している第三者にとって理解できない。
【0028】
さらなる実施形態では、シグナリング手段は、オーディオ信号が音響学的に出力される音量に応じてシグナリングを判定するように構成される。この実施形態は、オーディオ信号が音響学的に出力されるボリュームが、出力オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるか第三者にとって妨害であるかという懸念があるかどうかの重要な基準を表すという知見に基づいている。
【0029】
さらなる実施形態では、シグナリング手段は、オーディオ信号が、個々のユーザのための直接再生のために判定された音響トランスデューサ、または別のあるいは複数のユーザへの遠隔再生のために判定された音響トランスデューサを介して出力されるかによりシグナリングを判定するように構成される。従って、シグナリング手段は、携帯電話の内部スピーカを介して出力されるオーディオ信号が、携帯電話から比較的遠く離れた第三者にとってはほとんど理解できない一方、ハンズフリーユニットを介した(例えば、1人または複数のユーザへの遠隔再生のために判定された音響トランスデューサを介した)受信されたオーディオ信号の音響再生は、通常、例えば第三者にとってよく理解できる。従って、例えば、シグナリング手段は、シグナリングの生成において、および/またはシグナリングが出力されるべきか否かに関する判定において、受信されたオーディオ信号を出力するために使用される音響トランスデューサの出力の特性(例えば、放射特性および/または指向特性)を考慮するように構成されている。
【0030】
さらなる実施形態では、シグナリング手段は、電気通信装置の周辺エリアに位置する第三者の電気通信デバイスのサウンドトランスデューサによって生成された音声信号の音声理解可能性を判定または評価するように構成される。この場合、シグナリング手段は、それに応じて(すなわち、判定されたまたは評価された音声の理解可能性に応じて)シグナリングを出力するように構成されてもよい。このようにして、シグナリングは、例えば周囲雑音レベルが比較的低い場合にのみ(周囲の騒音レベルが比較的高い場合はそうではない)、例えば電気通信装置の音響トランスデューサによって生成された音声信号の所与の音量でシグナリングを実行することによって、条件に現実的に適合させることができる。
【0031】
別の実施の形態において、電気通信装置は、伝送路を介してシグナリングを別の電気通信装置に送信するように構成される。例えば、これによって、それは、別の電気通信装置のユーザに、別の電気通信装置のユーザが彼/彼女の発呼行動を調整することを可能にして、聴取している無許可の第三者のリスクがあることを示すことができる。
【0032】
さらなる実施形態は、第1の電気通信装置から第2の電気通信装置にオーディオ信号を送信するための電気通信システムを提供する。電気通信システムは、ユーザからオーディオ信号を受信し、それを別の電気通信装置に送信するように構成されたオーディオ信号送信手段を有する第1の電気通信装置を含む。さらに、電気通信システムは、第1の電気通信装置からオーディオ信号を受信し、それを音響出力するように構成されたオーディオ信号受信手段を備えた第2の電気通信装置と、第2の電気通信装置によって出力されたオーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であること、または第三者にとって妨害を表す懸念がある第1の電気通信装置にシグナリング信号を出力するように構成された信号手段とを含む。第1の電気通信装置は、第2の電気通信装置によって受信されたシグナリング信号に応答して、第1の電気通信装置のユーザに、第2の通信装置によるオーディオ信号出力は第三者にとって音響学的に理解可能であるか、または第三者にとって妨害であることを表わす懸念があることを示すためのシグナリングを出力するように構成されたシグナリング手段をさらに備える。対応するシステムコンセプトのために、第1の電気通信装置のユーザは、例えば、彼/彼女の音声信号が、第2の電気通信装置の側で、第3の電気通信装置が第三者にとって理解可能なあるいは第三者を妨害するような大きな音で出力されたとき、警告されることができる。従って、電気通信装置を介した通信のセキュリティギャップを低く抑えることができる。
【0033】
別の実施の形態は、電気通信装置を操作する方法を提供する。方法は、オーディオ信号を受信し、オーディオ信号を別の電気通信装置に送信することを含む。方法は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解できるか、または第三者にとって妨害を表している懸念がある時に、シグナリングを出力することをさらに含む。方法は、上述の電気通信装置と同じ概念に基づく。
【0034】
別の実施の形態は、電気通信装置を操作する別の方法を提供する。この方法は、受信したオーディオ信号を音響学的に出力することだけでなく別の電気通信装置からオーディオ信号を受信することを含む。方法は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解できるか、または第三者にとって妨害を表している懸念がある時に、シグナリングを出力することをさらに含む。この方法は、また、上述の電気通信装置と同じ概念に基づく。
【0035】
別の実施の形態は、コンピュータにおいてコンピュータプログラムが実行される時に前記方法を実行するためのコンピュータプログラムを提供する。
【0036】
コンピュータプログラムは、また、上述の方法および/または言及された電気通信装置と同じ概念に基づく。
【0037】
本願発明による実施形態は、添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明の実施の形態による電気通信装置のブロック図を示す。
図2図2は、本発明の別の実施の形態による電気通信装置のブロック図を示す。
図3図3は、本発明の別の実施の形態による電気通信装置のブロック図を示す。
図4図4は、本発明の別の実施の形態による電気通信装置のブロック図を示す。
図5図5は、本発明の実施の形態によるシグナリング手段のブロック図を示す。
図6図6は、本発明の実施の形態による電気通信装置のブロック図を示す。
図7図7は、本発明の実施の形態による電気通信装置のブロック図を示す。
図8図8は、本発明の実施の形態による方法のフローチャートを示す。
図9図9は、本発明の別の実施の形態による方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
1.図1に従う実施の形態
図1は、本願発明の実施の形態による電気通信装置のブロック図を示す。
【0040】
電気通信装置100は、送信されるオーディオ信号110を受信し、それに基づいて、符号化または符号化されていない表現で送信されるオーディオ信号を含む送信信号112を提供するように構成される。電気通信装置100はさらに、シグナリング120をユーザに出力するように構成される。電気通信装置100は、オーディオ信号110を受信し、それを別の電気通信装置に送信するように構成されたオーディオ信号送信手段130を含む。この目的のために、送信信号112が供給されることが好ましい。電気通信装置100は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であること、または第三者にとって妨害を表すことに懸念がある場合に、シグナリング120を出力するように構成されたシグナリング手段140をさらに含む。
【0041】
以下では、電気通信装置100の動作モードをより詳細に説明する。電気通信装置100のユーザは、音響信号として音声信号(例えば、音声信号、代わりに音楽信号または他の音声信号)を生成すると仮定する。この音響信号は、電気通信装置100によって(例えば、電気通信装置100に含まれるマイクロフォンを使用して)直接キャプチャされるか、電気通信装置100のユーザによって生成された音響信号を表す電気信号または光信号が、外部の音響トランスデューサによって生成できる。ここでは、音響信号のこの電気的、光学的またはデジタル化された表現は、電気通信装置100のユーザが出力する音響信号と同じように「オーディオ信号」とも呼ばれる。従って、オーディオ信号送信手段130は、オーディオ信号の電気的または光学的表現またはデジタル化バージョンを処理でき、それを別の電気通信装置への伝送に適した適切な信号形式に変換することができる。送信されるべきオーディオ信号110を特に表す送信信号112、さらに可能な限り付加的な情報(例えば、シグナリング情報、エラー保護情報、メタデータ情報など)は、使用される伝送媒体に適合できる。例えば、送信信号112は、電話ネットワークにおける送信に適合させることができる。あるいは、送信信号110は、有線または無線のデータネットワークにおける送信に適合させることができる。従って、オーディオ信号送信手段130は、送信されたオーディオ信号をデジタルまたはアナログ形式で送信信号112に付加することができる。従って、オーディオ信号送信手段130は、送信されたオーディオ信号をデジタルまたはアナログ形式で送信信号112に付加することができる。例えば、オーディオ信号送信手段130は、(オーディオ信号110がまだデジタル化されていない場合)オーディオ信号110をデジタル化し、圧縮されたビットレート効率の高い方法でデジタル化信号を送信信号112に加えることができる。しかしながら、オーディオ信号送信手段130は、非圧縮形式で送信されるオーディオ信号110を送信信号112に追加することもできる。送信信号112において送信されるオーディオ信号110の表現に関して、アナログまたはデジタル方式でオーディオ信号を送信するための任意の既知の概念を使用することができる。
【0042】
シグナリング手段140は、例えば、1つまたは複数のオーディオ信号のルールベースの評価または他のシグナリング信号に起因して、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であり、および/または第三者のための妨害を表すという懸念があることをシグナリング手段が推測する場合に、電気通信装置100のユーザにシグナリングを出力するように構成される。換言すれば、シグナリング手段は、例えば、特定の判定ルールを評価でき、シグナリングを出力すべきか否か、例えば、判定ルールの評価の結果が、問題のある状況(すなわち、例えばオーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるか第三者にとって妨害を表すという懸念がある状況)の存在を示すことが事前に定義された結果をもたらすときシグナリングが出力であるかの評価結果に基づいて判定できる。
【0043】
例えば、シグナリングは、光学的に又は音響学的に行われる。この場合、シグナリング手段は、シグナリング要素(例えば、発光ダイオードまたは音響信号発生器)を直接的に制御してもよく、または光学的信号または音響学的信号の出力について最終的な応答を有する高次のシーケンスコントローラにメッセージを転送してもよい。より高い次数を有するシーケンシングコントローラは、電気通信装置のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラであってもよく、例えばディスプレイ出力または信号音の生成について担当する。
【0044】
従って、電気通信装置100は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるか、またはオーディオ信号が第三者にとって妨害を表す懸念がある問題のある状況が存在する場合に、ユーザに信号を送ることを可能にする。第1のケースでは、許可されていない第三者が彼/彼女の言うことを聞くことができるという懸念があるときに、ユーザがシグナリングによって思い出させることができるので、通信の機密性が改善される。第2の場合、社会的葛藤は、非常に大声で話すときに電気通信手段の使用者に警告することによって避けることができる(必要以上に絶対的に大きすぎるか、必要以上に大きいか、周囲の騒音を考慮して適切か)。
【0045】
さらに、シグナリングは、シグナリング手段が、例えば、別の電気通信装置からの対応するメッセージを介して情報を取得したときに、電気通信装置のユーザによって言われたことが、異なる場所の権限のない第三者に対して音響学的に理解できることも生じる。
【0046】
シグナリング手段に関するさらなる詳細は、以下で説明される。
【0047】
2.図2に応じた実施形態

図2は、本発明の一実施形態による電気通信装置200のブロック図を示す。電気通信装置200は、送信されるオーディオ信号210を受信し、送信信号212を提供するように構成される。電気通信装置200は、オーディオ信号送信手段230およびシグナリング手段240を含む。オーディオ信号110に関する上記コメントは、オーディオ信号210に当てはまることに留意されたい。送信信号212に関しては、送信信号112に関する上記のコメントも適用され、音声信号送信手段230に関しては、音声信号送信手段130に関する上記コメントが適用される。
【0048】
シグナリング手段240は、送信されるべきオーディオ信号210を(例えば、電気信号または光信号として、またはデジタル信号としての表現形式で)受信するように構成されている。シグナリング手段240は、送信されるオーディオ信号210に基づいてシグナリング220を生成するように構成される。
【0049】
例えば、シグナリング手段240は、オーディオ信号210の音声レベルを判定し、および/またはオーディオ信号210の音声理解可能性を判定するように構成される。さらに、シグナリング手段240は、判定された音声レベルおよび/または判定された音声理解可能性を評価する(例えば、それを指定または可変基準値と比較する)ように構成され、比較の結果に基づいてシグナリングを出力する。
【0050】
従って、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であること、または第三者にとって妨害であることが懸念される場合、電気通信装置のユーザに低い技術的努力で信号を送ることが可能である。シグナリング手段が上記の評価ルールを評価することによって得られる結果は、ここでは、第三者による音声信号の理解可能性が懸念されるかどうか、または第三者にとっての妨害が懸念であるかどうかに関して比較的信頼性の高い情報と考えられる。
【0051】
従って、対応する電気通信装置は、潜在的なセキュリティリスクまたは隣接する人々の妨害についてユーザに警告するのに非常に適している。
【0052】
3.図3に応じた実施形態

図3は、本発明のさらなる実施形態による電気通信装置のブロック図を示す。
【0053】
図3による電気通信装置300は、送信されるオーディオ信号310を受信し、それに基づいて送信信号312を提供するように構成される。さらに、電気通信装置300は、シグナリング320を提供するように構成される。送信されるべきオーディオ信号310は、オーディオ信号110,210に対応することが理解される。送信信号312は、送信信号112,212に対応する。したがって、上記のコメントが適用される。電気通信装置310は、オーディオ信号送信手段230および/またはオーディオ信号送信手段130に対応するオーディオ信号送信手段330をさらに含む。
【0054】
電気通信装置300は、例えば、マイクロフォンまたは同様の構成要素を含む音響トランスデューサ350をさらに含む。電気通信装置300は、その基本的な機能において、シグナリング手段140および/またはシグナリング手段240に対応するシグナリング手段340をさらに含む。しかしながら、シグナリング手段340は、例えば、マイクロフォンまたは音響トランスデューサ350からマイクロフォン信号を受信するように構成される。従って、シグナリング手段340は、例えば、マイクロフォン350からのマイクロフォン信号に基づいて、信号320が出力されるべきか否かを判定するために送信されるべき音声信号310の代わりに(別個の)音響トランスデューサ350からのマイクロフォン信号を使用することができる。さらに、シグナリング手段340は、オプションで、評価において送信されるべき音声信号310をさらに含むことができる。
【0055】
従って、音声信号310を送信するために使用される音響トランスデューサ以外の特性を有する別個の音響トランスデューサを介して、例えば、電気通信装置300のユーザのこの特徴がユーザの周辺エリアの人々に妨害を与える程度あるいはユーザの音声が周囲のエリアでどの程度知覚される(従って、第三者が理解できる)かについての情報を人々が得ることが可能である。セパレートサウンドトランスデューサを使用すれば、例えば、送信されるオーディオ信号310を生成するために使用される音響トランスデューサが、例えば、ユーザの音声信号をキャプチャするように最適化され得るので、有利であり得る。しかしながら、更なる音響トランスデューサ350は、例えば、送信されるオーディオ信号310を生成するために使用される音響トランスデューサよりも高い程度で周辺ノイズを捕捉するように適合されてもよい。さらに、音響トランスデューサ350は、典型的には、送信されるオーディオ信号310をキャプチャするために使用される音響トランスデューサとは異なる箇所に配置されてもよい。従って、別個の音響トランスデューサ350は、多くの状況において、電気通信装置300のユーザの音声が第三者にとってどれほどよく理解できるか、または電気通信装置300のユーザの発言に由来する妨害ポテンシャルが第三者にとってどれだけ大きいかについてのより現実的な概観を提供することができることに留意されたい。
【0056】
さらに、電気通信装置300は、上述の電気通信装置に関していくつかの利点を有するが、セパレートサウンドトランスデューサ350を使用することに起因してより高いコストが生じることに留意されたい。
【0057】
4.図4に応じた実施形態

図4は、さらなる実施形態による電気通信装置のブロック図を示す。
【0058】
図4による電気通信装置400は、送信されるオーディオ信号410を受信し、それに基づいて送信信号412を生成するように構成される。さらに、電気通信装置400は、別の電気通信装置からシグナリング送信信号450を受信するように構成される。さらに、電気通信装置400は、電気通信装置400のユーザにシグナリング420を出力するように構成される。なお、伝送されるオーディオ信号410はオーディオ信号110,210,310に対応しているので、上記のコメントが依然当てはまる点に留意されたい。さらに、送信信号412は、上述した送信信号112,212,312に対応する点に留意されたい。
【0059】
さらに、電気通信装置400は、上述のオーディオ信号送信手段130,230,330に対応するオーディオ信号送信手段430を含む。
【0060】
電気通信装置400は、別の電気通信装置からシグナリング送信信号450を受信し、それに基づいてシグナリング420を出力するように構成されたシグナリング手段440をさらに含む。従って、シグナリング手段440は、必ずしもそれ自体の信号処理を備える必要はなく、シグナリング送信信号450に含まれる情報について最も単純な場合に依存することができる。この場合、シグナリング送信信号450は、典型的には送信信号412に含まれるオーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるか、または第三者にとって妨害を表す懸念があるかどうかを示す情報を含む。シグナリング手段440がシグナリング送信信号450内の対応する情報を見つけた場合、シグナリング手段440はシグナリング420を発生させる。しかしながら、シグナリング送信信号450が、オーディオ信号が第三者に対して音響学的に理解可能であるという懸念がないことを示す場合、シグナリング手段440は、シグナリング420を非アクティブにする。従って、電気通信装置400は、「協働的」な別の電気通信装置と対話するように構成される。この場合、電気通信装置400は、電気通信装置400から別の電気通信装置に送信されるオーディオ信号が(通常は許可されていない)第三者に理解可能であるという懸念があるときに、シグナリングするために別の電気通信装置(図4には示されていない)に依拠する。例えば、別の電気通信装置は、シグナリング装置400によって送信されたオーディオ信号が別の電気通信装置のハンズフリーユニットによって出力されるときに、対応するシグナリングをシグナリング送信信号450に挿入することができる(ハンズフリーユニットによる出力は、許可されていない第三者が聴くことができる危険性がある)。
【0061】
従って、電気通信装置400は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能でありおよび/または第三者にとって妨害であるという懸念があることを示すシグナリングを含むかについて別の電気通信装置から受信した信号を検査することに留意すべきである。換言すれば、電気通信装置400は、それに応じて指定された情報について、別の電気通信装置から受信された信号またはデータメッセージを検索し、対応する信号情報の存在に応答して信号420を出力することができる。
【0062】
従って、電気通信装置400とそれに対応する協働的な別の電気通信装置との相互作用により、例えば、スピーカユニットまたはハンズフリーユニットが、別の電気通信装置で起動されるためこれらのプライバシーリスクが別の電気通信装置の側に存在する場合、この/彼女の会話のプライバシーについての危険性をユーザに警告することが可能である。
【0063】
5.図5に応じたシグナリング手段

図5は、本発明の一実施形態によるシグナリング手段500のブロック図を示す。例えば、シグナリング手段500は、シグナリング手段140、シグナリング手段240、シグナリング手段340、またはシグナリング手段440を置き換えることができる。
【0064】
図5によるシグナリング手段500は、非常に広範な機能を含むことに留意されたい。しかしながら、特に、シグナリング手段500は、以下に説明する機能の一部のみを備えることも可能であり、シグナリング手段500は、典型的には、オーディオ信号が音響学的に第三者にとって理解可能でありおよび/または第三者への妨害を表すという懸念がある場合にシグナリングを出力するように構成される。しかしながら、図5に基づいて以下に説明されるように、シグナリング手段が、第三者にとってオーディオ信号が音響学的に理解可能であるか、または第三者にとって妨害を表しているという懸念があることを検出する方法は、大きく変わる可能性がある。
【0065】
シグナリング手段500は、典型的には、例えば上述のオーディオ信号110,210,310,410に対応するオーディオ信号510を受信するように構成される。さらに、シグナリング手段は、オーディオ信号が第三者に対して音響学的に理解可能であること、または第三者のために妨害を表す懸念が存在することを通知するシグナリング520を出力するように構成される。
【0066】
オーディオ信号510に加えて、シグナリング手段は、いくつかの実施形態では、別個のサウンドトランスデューサ(例えば、マイクロフォン)から別のオーディオ信号520を受信することができ、セパレートサウンドトランスデューサは、通常、シグナリング手段500の一部を形成しない。この追加のオーディオ信号520を使用することは任意であると考えられるべきである。
【0067】
シグナリング手段500は、別の電気通信装置から信号530を受信するようにさらに構成されてもよい。例えば、この信号530は、別の電気通信装置によって送信されるシグナリング送信信号であってもよい。更なる電気通信装置は、典型的には、シグナリング手段を含む本電気通信装置が音声通信関係にある電気通信装置である。換言すれば、シグナリング手段は、典型的には、シグナリング送信手段530を含む電気通信装置が現在電気通信関係にある(すなわち、例えば、シグナリング手段500のシグナリング送信信号が受信される時点で)相手のオーディオ通信装置からシグナリング送信信号530を取得する。
【0068】
しかしながら、シグナリング送信信号530の受信及び評価は任意であると考えられることに留意されたい。一方、シグナリング送信信号530の受信および評価は、非常に簡単な実施形態では、オーディオ信号510またはオーディオ信号520の受信および評価を置き換えることができる。
【0069】
さらに、シグナリング手段500は、シグナリング手段を含む電気通信装置が位置する環境の特性を、例えば記述する環境情報540を受信するように任意に構成されている。例えば、環境情報は、電気通信装置に含まれる情報判定器によって配信されてもよい。例えば、環境情報540は、特定の環境において無音の特別な必要性(例えば、無音要求として定義)が存在すること、または通信禁止(例えば、通話禁止として定義される)が環境において存在することを通知するために取得することができる。例えば、環境情報は、光学評価ユニットを介して禁止標識または要求標識を評価することによって電気通信装置によって取得されてもよい。あるいは、例えば、電子的禁止情報または要求情報(例えば、対応するメッセージの有線または無線通信によって、または近距離通信などを介してRFID識別子の評価を介して通知される)を評価することができる。あるいは、特定の要求および/または禁止は、例えば電気通信装置によって判定された位置情報から評価されてもよい。従って、対応する光学的または電子的な信号伝達は、電気通信装置によって評価され、対応する環境情報540を提供するために使用される公共輸送手段、教育施設または病院において行われ得る。
【0070】
さらに、シグナリング手段520は、例えば、シグナリング手段を含む遠隔通信装置との音声通信関係に現在ない、第三者装置から妨害シグナリング542を受信するように任意に構成することができる。第3のデバイス、例えば、携帯電話、ラップトップ、タブレットコンピュータ、または他の電子デバイスは、シグナリング手段500を含む電気通信装置にシグナリングを送信することができ、これは特別な沈黙の必要があることを示すか、電気通信装置またはそのユーザによって生成されたオーディオ信号は、第三者にとっての妨害を表すことを示す。例えば、第三者の装置からのこの妨害シグナリング542は、光、電気または音響信号を介して、または光学的、電気的または音響学的なメッセージを介して送信されてもよく、場合によっては、第三者装置のユーザがシグナリング手段を含む電気通信装置の電子的識別子を知っている必要はない。例えば、第三者の装置のユーザは、「妨害する」電気通信装置(信号伝達手段を含む)を指すように光信号発生器(例えば、赤外線送信器またはレーザ送信器)に指示することができる。このように、妨害シグナリング542は、第三者装置からシグナリング手段500を含む電気通信装置に直接送信することができる。あるいは、ネットワークプロバイダは、妨害シグナリング542を第三者装置からシグナリング手段500を含む電気通信装置に送信するのを支援することができる。例えば、第三者の装置のユーザが、他の発信者によって公衆の場所で妨害されていることを認識した場合には、彼/彼女は、対応するデータメッセージで彼/彼女を担当するネットワークプロバイダ(例えば、電気通信プロバイダ)にこれを示すことができ、かつネットワークプロバイダは、妨害ユーザの電気通信装置の周りの特定の周辺エリアに位置するすべての電気通信装置に妨害シグナリング542を送信することができる。要約すると、妨害シグナリング542を第三者装置からシグナリング手段500を含む遠隔通信装置に、またはシグナリング手段500自体に送信する多くの異なる方法がある。
【0071】
シグナリング手段500によって受信された情報(オーディオ信号510、追加オーディオ信号520、シグナリング送信信号530、環境情報540および第三者装置からの妨害シグナリング542)は、オーディオ信号が第三者に対して音響学的に理解可能であること、または第三者のための妨害を表すことが懸念されるときを示す、有意義なシグナリングを生成するために、シグナリング手段によって評価される。
【0072】
異なる状況で、または異なる入力情報に応じて、シグナリングを生成する異なる機能ユニットを、以下で説明する。
【0073】
シグナリングの音声レベルベースの生成は、第1の重要な機能単位である。音声レベルベースの機能装置は、音声レベル判定器550と、オプションの音声理解可能性判定器560と、評価ユニット570とを含む。音声レベル判定器550は、オーディオ信号510および/または追加のオーディオ信号520を受信し、それに基づいて音声レベル情報552を判定するように構成される。例えば、音声レベル判定器550は、音声レベル情報552が音声信号510の音響ボリュームおよび/または分離された音響変換器によってキャプチャされた追加の音声信号520の測定値を表すように、音声レベル情報552を送出できる。
【0074】
音声理解可能性判定器560は、音声レベル判定器550に加えて存在してもよい。いくつかの実施形態では、音声理解可能性判定器560は、音声レベル判定器550がもはや必要でないように、音声レベル判定器550を置換えることができる。音声理解可能性判定器560は、別個の音声変換器から音声信号510及び/又は追加の音声信号520を受信し、それに基づいて音声理解可能性情報562を生成するように構成される。例えば、音声理解可能性判定器は、妨害雑音レベル判定器564および(任意に)妨害雑音パラメータ判定器566を含むことができる。例えば、妨害雑音レベル判定器564は、(例えば、音声信号成分と背景雑音成分とを分離することによって)信号対雑音比を判定するように構成することができる。あるいは、妨害雑音レベル判定器564は、背景ノイズの(例えば、ボリューム情報の意味での)強度を判定するように構成されてもよい。これに関して、当業者に知られている異なる概念が考えられる。特に、妨害雑音レベル判定器564は、音声信号成分をバックグラウンドノイズ信号成分(妨害ノイズ信号成分とみなすことができる)から分離するために、音声信号の特性に関する既知の情報を使用することができる。
【0075】
従って、妨害雑音レベル判定器564は、妨害雑音レベル情報564aを送出する。
例えば、妨害雑音パラメータ判定器566は、例えば、妨害雑音の周波数内容に関する情報、妨害雑音の変調に関する情報、または妨害雑音の定常性に関する情報を含む妨害雑音パラメータ情報566aを判定するように構成することができる。さらに、妨害雑音パラメータ情報566aは、妨害雑音が音声信号(例えば、電気通信装置のユーザとは異なる遠方の他の話者の音声信号)であるか、または一般的な雑音のような妨害雑音であるかに関する情報も含むことができる。例えば、音声理解可能性判定器560は、音声レベル情報552、妨害雑音レベル情報564a、場合によってはさらに妨害雑音パラメータ情報566aに基づいて音声理解可能性情報562を判定するように構成された評価器568をさらに含む。例えば、評価器568は、様々な入力情報を異なる方法で評価することができ、線形接続または非線形接続を使用することができる。例えば、評価器568は、電気通信装置の「近くのユーザ」の音声レベルが妨害レベル(遠く離れた人の発言、および/または雑音のような背景雑音から生じる)よりもどれだけ高いかを知るために、音声レベル情報552を妨害雑音レベル情報564aと比較することができる。例えば、音声レベル情報552が、「近くのユーザ」の音声信号の音声レベルが妨害レベル情報564aによって記述される妨害レベルよりわずかに高いだけであることを示す場合、音声理解可能性情報562は、音声理解可能性は比較的低いか、または低い値を含むことを示すことができる。しかしながら、音声レベル情報552によって記述された近くのユーザの音声レベルが妨害雑音レベル(妨害雑音レベル情報564aによって記述される)よりも著しく高い場合、音声理解可能性情報562は、比較的高い音声理解可能性を示す(または比較的高い値を有する)。この場合、任意の妨害雑音パラメータ情報566aも影響を及ぼし得る。例えば、妨害ノイズの周波数内容が音声周波数帯域内にある場合、これは音声理解可能性情報562の比較的低い値につながる可能性がある。例えば、背景雑音または妨害雑音が音声的である(すなわち、離れた第三者の音声信号を含む)事実(妨害雑音パラメータ判定器によって判定される)は、音声理解可能性情報562の値の減少をもたらす。
【0076】
要約すると、音声理解可能性判定器560は、音声理解可能性情報562が近距離話者の音声、典型的には電気通信装置のユーザの音声が周囲の騒音を考慮してどの程度良好に理解できるかについての定量的測定を表すように音声理解可能性情報562を形成することに留意すべきである。音声信号および/または周囲雑音のレベルおよび特性も考慮され得る。
【0077】
例えば、評価器570は、音声レベル情報および/または音声理解可能性情報を受信するように構成されている。評価器570は、閾値情報572をさらに受信してもよく、または指定された閾値を使用してもよい。例えば、評価器570は、音声レベル情報552および/または音声理解可能性情報562を固定または可変閾値(後者は閾値情報572によって記述することができる)と比較するように構成された閾値比較器574を含む。例えば、閾値比較器574は、音声理解度情報562の値が固定または可変の閾値よりも大きいか小さいかに応じた比較結果574aを出力するか、音声レベル情報552の値が固定または可変の閾値よりも大きいかまたは小さいかに応じた比較結果を出力する。オプションで、評価器570は、音声レベル情報552および/または音声理解可能性情報562に基づいて、音声信号(例えば、電気通信装置の近くのユーザの音声信号)が所定のボリュームまたは品質(例えば、音声信号対背景雑音量比によって定義される)でどのエリア(またはその周辺)内で知覚可能であるかを示すエリア情報576aを出力するように構成されたエリア判定器576をさらに含む。例えば、エリア情報は、電気通信装置(または別の基準点の周り)の周りのxメートルの周辺内で、(例えば、近くのユーザの)音声信号が(例えば、特定の値に対応する)良好な音声の理解可能性で理解可能である(例えば、少なくとも特定の値に対応する信号対雑音比で)。
【0078】
シグナリング手段500は、光シグナリングのためのコントローラ580および/または音響シグナリングのためのコントローラ590をさらに含む。例えば、光シグナリング用コントローラ580は、比較結果574aに応じて、発光ダイオード、テキストディスプレイまたはグラフィックスディスプレイを制御して、音声レベル情報552の値または音声理解可能性情報562の値が所定の固定可変閾値よりも大きいときに例えば警告信号を出力するように構成することができる。同様の方法で、コントローラ590は、音声レベル情報552の値、または音声理解可能性の値が、指定された閾値より大きいとき、音響シグナリングについて音響警告トーン(例えば信号トーンおよび/または音声メッセージ)を生じまたは出力できる。さらに、光シグナリングのためのコントローラ580または音響シグナリングのためのコントローラ590は、エリア情報576aを考慮することができ、従って、例えば、音声の理解可能性が、(特定の品質を有して)第三者に対して、特定の周辺(例えば、xメートルの)および/または電気通信装置の周りまたは電気通信装置のユーザの周りの特定のエリアに与えられることを示すことができる。
【0079】
従って、シグナリング520は、例えば、音声レベル情報552および/または音声理解可能性情報562に基づいて供給されてもよい。
【0080】
更なる任意の変形及び/又は改良が以下に記載される。
【0081】
例えば、上述のシグナリング送信信号530は、光シグナリングのためのコントローラ580および/または音響シグナリングのためのコントローラ590に直接供給されてもよい。従って、シグナリング手段500は、光シグナリングおよび/または音響シグナリング520が出力されるべきかどうかを判定するために、別の電気通信装置によって配信されるシグナリング送信信号530を直接かつさらなる評価を伴わずに、使用することができる。このアプローチは、例えば、電気通信装置のユーザの音声信号が、第三者について遠隔の別の電気通信装置の側で、例えば、遠隔の別の電気通信装置の側でハンズフリーユニットを使用しているために聞こえることを知らせるために推奨される。従って、別の電気通信装置によって配信されるシグナリング送信信号530に基づいて、シグナリング手段は、シグナリング520が発生するか否かを非常に効率的に判定することができる。
【0082】
さらに、シグナリング送信信号530を使用することは、非常に単純な実施形態では、音声レベル情報552または音声理解可能性情報562を使用して完全に置き換えることができることに留意されたい。
【0083】
オプションとして、シグナリング手段500は、閾値アダプタ596をさらに含む。例えば、閾値アダプタ596は、環境情報540および/または妨害シグナリング542を第三者装置から受信し、閾値比較器574によって供給される閾値情報572をそれに応じて適合させるように構成される。例えば、閾値アダプタ596は、ある環境(例えば、無音または通話禁止の要求がある環境の場合がある)において、環境情報が会話に対する許容度が比較的低いことを示す場合、閾値情報572を下げることができる(従って、閾値比較器574は、音声理解可能性情報562の低い音声理解度値で、シグナリング520をトリガする比較結果574を既に配信する)。換言すれば、環境情報540が、無音または通話禁止の要求が存在することを示す場合、第三者の妨害の懸念があるという信号がより早く(すなわち、音声理解可能性情報の比較的低い値で)生じる。同様に、第三者装置からの妨害シグナリング542が閾値アダプタ596によって受信されると、閾値情報572の値(閾値情報の正常値と比較して)が低下する可能性がある。したがって、第三者装置からの妨害シグナリング542は、閾値比較器の「許容閾値」を下げることにつながり、これは通信装置のユーザに、比較的低い音声レベルのまたは比較的低い音声の理解可能性の第三者に対する妨害の懸念を警告する。従って、潜在的に妨害された第三者は、電気通信装置のユーザが、ソフトに話すときに第三者の可能性のある妨害について既に警告されていることを、妨害シグナリング(彼/彼女の第三者の装置を用いて)を生成することによって電気通信装置のユーザとおそらくは衝突を必要としないものにする可能性がある妨害された第三者との間の直接的な通信を生じさせる。
【0084】
従って、要約すると、シグナリング手段は、シグナリング(光学的にまたは音響学的に)が出力されるべきかどうかを判定するために、異なる基準を適用してもよい。非常に簡単なケースでは、(例えば、シグナリング手段を含む電気通信装置のユーザに対する)シグナリングを出力するか否かを判定するために、オーディオ信号510のボリュームまたはシグナリング送信信号530を使用することができる。付加的な詳細、例えば、音声理解能力も評価されてもよい。さらに、(環境情報540を介した)環境状況または(第三者装置からの妨害シグナリング542による)妨害された第三者からのシグナリングも、シグナリングについて判定するために考慮されてもよい。
【0085】
6.図6に応じた実施形態

図6は、さらなる実施形態による電気通信装置のブロック図を示す。
【0086】
電気通信装置600は、別の遠隔電気通信装置から(フォワード)音声送信信号610を受信するように構成される。例えば、オーディオ送信信号610は、上述したように、送信信号112,212,312,412に対応することができる。電気通信装置600はさらに、送信されたオーディオ信号620を出力するように構成される。例えば、出力送信オーディオ信号620は、他の電気通信装置によってキャプチャされたオーディオ信号110,210,310に本質的に(損失または送信による変動を無視して、)対応させることができる。
【0087】
電気通信装置はさらに、電気通信装置600のユーザまたは別の電気通信装置にシグナリング630,640を出力するように構成される。
【0088】
例えば、電気通信装置600は、別の電気通信装置からの(例えば、「他の」電気通信装置からの)オーディオ信号(例えば、オーディオ送信信号610の形態の)を受信するように、かつオーディオ信号(例えば、送信されたオーディオ信号620として)を音響学的に出力するように構成されたオーディオ信号受信手段650を含む。
【0089】
理解可能性検出器/妨害検出器660(これはシグナリング手段とも見なすことができる)は、出力オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であること、または第三者とって妨害を示すことが懸念される場合にはシグナリング630,640を出力するように構成される。従って、理解可能性検出器/妨害検出器660は、例えば、(音響学的に出力された)送信されたオーディオ信号620の音量に関する情報を得ることができる。代替的にまたは追加的に、理解可能性検出器/妨害検出器660は、送信されたオーディオ信号がどのように出力されるかに関する情報を取得および処理することができる。例えば、理解可能性検出器/妨害検出器660は、送信されたオーディオ信号がどのように出力されるか、すなわち、送信されたオーディオ信号が、単一の聴取者に対して最適化された音声トランスデューサを介して出力されるか、数人の聴取者に対して最適化された音声トランスデューサを介して出力されるかについての情報を取得することができる。例えば、理解可能性検出器/妨害検出器が、送信されたオーディオ信号がハンズフリーユニットまたはスピーカ装置によって出力されたことを検出した場合、これは、シグナリングを引き起こす可能性があり、あるいは、例えば、シグナリングが出力されることを開始するボリューム閾値を引き下げることができる。しかしながら、理解可能性検出器/妨害検出器が、送信されたオーディオ信号が、ヘッドフォンを介して、または携帯電話ユーザの耳での直接的な音声出力のために最適化された携帯電話スピーカを介して出力されていると判断した場合、シグナリングが抑圧されるか、シグナリングが実行される閾値の開始は、比較的高いように選択されてもよい。従って、シグナリングが発生するか否かを判定する際には、理解可能性検出器/妨害検出器によって、音響トランスデューサの種類及び特性が考慮されてもよい。さらに、理解可能性検出器/妨害検出器660は、代替的または追加的に、シグナリング手段500の1つまたは複数の機能を含むこともできることに留意されるべきである。例えば、理解可能性検出器/妨害検出器660は、図5に基づいて説明したセパレートサウンドトランスデューサ520に本質的に対応するセパレートサウンドトランスデューサから情報も受信する。例えば、理解可能性検出器/妨害検出器660は、音声レベル判定器550、理解可能性判定器560、評価器570、および光信号および音響信号のコントローラ580,590の機能をそれぞれ備えることができる。閾値アダプタ596はまた、理解可能性検出器/妨害検出器660に含まれてもよい。
【0090】
さらに、シグナリングは異なる方法で行われてもよいことに留意されたい。例えば、シグナリング630は、電気通信装置600のユーザに対して行うことができる。この場合、シグナリング手段500に関連して説明したようにシグナリング手段を使用することができる。換言すれば、シグナリング630は、例えば、シグナリング520に対応することができる。
【0091】
あるいは、シグナリングは、別の電気通信装置へのシグナリング640として行われてもよい。特に、これは、信号640が、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるか否かに関する情報を含む場合に意味をなす。従って、電気通信装置600は、電気通信装置600の近くに配置される(許可されていない)第三者にとって理解できるという懸念があるように送信されたオーディオ信号620が出力されたときに、オーディオ送信信号610を受信する例えば別の電気通信装置に知らせる信号を送ることができる。
【0092】
他方、電気通信装置600は、音響学的に出力された送信音声信号620が第三者にとって音響学的に理解可能であり、および/または第三者にとって妨害を表すことが懸念される場合には、それ自体のユーザに信号を送ることもできる。
【0093】
換言すれば、分かり易さ検出器/妨害検出器を有する電気通信装置は、送信されたオーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるか第三者にとって妨害を表す懸念があるとき対応する信号630,640を、それが音声送信信号610を受信する他の電気通信装置に、またはそれ自体のユーザに、または両方に送信することができる。シグナリングが誰に出力されるかについての詳細(電気通信装置600のユーザ;他の電気通信装置)は、説明されるように、実施形態によって異なる。
【0094】
7.図7に応じたシステム

図7は本発明の実施の形態による電気通信システムのブロック図を示す。
【0095】
図7による電気通信システム700は、最初の電気通信装置704および2番目の電気通信装置754を含む。最初の電気通信装置704は、送信されるオーディオ信号710を受信し、それに基づき、2番目の電気通信装置754に送信される(フォワード)オーディオ送信信号712を生成する。最初の電気通信装置704はそのユーザにシグナリング720をさらに提供するか、またはそのユーザにこのシグナリングを出力する(例えば送信されるべきオーディオ信号710が本質的に生じる)。
【0096】
2番目の電気通信装置754は、(フォワード)オーディオ送信信号712を受信する(但し最初の電気通信装置704から2番目の電気通信装置754への送信は、1つ以上の送信手段、妨害手段等が最初の電気通信装置704および二番目の電気通信装置754の間に接続できるように通信ネットワークを介して行うことができる)。2番目の電気通信装置754は送信されたオーディオ信号770(一般には音響学的な形で)をユーザに出力する。さらに、2番目の電気通信装置754は、最初の電気通信装置704に送信される(例えば通信ネットワークを介して)シグナリング送信信号790を提供する。
【0097】
例えば、最初の電気通信装置704は、ユーザからオーディオ信号710を受信し、オーディオ信号710を(例えば(フォワード)オーディオ送信信号712という形で)別の(2番目の)電気通信装置754に送信するように構成されたオーディオ信号送信手段730を含む。
【0098】
2番目の電気通信装置は、最初の電気通信装置704(例えばオーディオ送信信号712という形の)からオーディオ信号を受け取り、オーディオ信号を音響学的に(例えば送られたオーディオ信号770という形で)出力するように構成されたオーディオ信号受信手段760を含む。さらに、2番目の電気通信装置754は、2番目の電気通信装置により出力されたオーディオ信号770が第三者にとって音響学的に理解可能であるか第三者にとって妨害を表す懸念がある時に、最初の電気通信装置(例えば、シグナリング送信信号790)にシグナリング信号を出力するように構成されたシグナリング手段764を含む。さらに、最初の電気通信装置704は、2番目の電気通信装置754(シグナリング送信信号790)から受信されたシグナリング信号に呼応して2番目の電気通信装置754によって出力されたオーディオ信号770が第三者にとって音響学的に理解可能であるか第三者にとって妨害を示す懸念がある旨を最初の電気通信装置704のユーザに知らせるためにシグナリングを出力するように構成されたシグナリング手段740を含む。
【0099】
従って、最初の電気通信装置704および2番目の電気通信装置754の相互作用によって、(典型的には遠隔の)2番目の電気通信装置754の側に音響学的に出力された送信オーディオ信号770が第三者にとって妨害を表すか音響学的に出力された送信オーディオ信号770が第三者にとって理解できない懸念があるとき、電気通信システム700は、最初の電気通信装置のユーザがシグナリング720により通知されることを可能にする。従って、最初の電気通信装置704のユーザは彼/彼女の発呼行動を適応させて、および/または、2番目の電気通信装置754のユーザに、第三者の妨害を避けるか、または電話のプライバシーにより注意するように頼むことができる。
【0100】
さらに、最初の電気通信装置704が上述の電気通信装置400に例えば対応している点に留意すべきである。例えば、2番目の電気通信装置754は、上述の電気通信装置600に対応するかもしれない。
【0101】
上述の電気通信装置100、200、300の機能は、また、それらの機能をさらに拡張するために、電気通信装置704、754に組込まれうる。
【0102】
従って、電気通信接続の「遠端」にプライバシー問題がある時にユーザがシグナリングを得るという事実のため図7によるシステムは、特によいプライバシーを保証できる点に留意すべきである。
【0103】
8.図8に応じた方法

図8は本願発明の実施の形態による方法のフローチャートを示す。
【0104】
方法800は、別の電気通信装置へのオーディオ信号を送信すること820だけでなく1つのオーディオ信号を受信すること810を含む。方法800は、オーディオ信号が第三者にとって音響学的に理解できるか、または第三者にとって妨害を表しているという懸念が存在しているときにシグナリングを出力すること830をさらに含む。
【0105】
ここに説明された方法は、上述の装置と同じ概念に基づく。
【0106】
さらに、現在の方法は、発明による装置に関する上述のすべての特徴と機能を含むかもしれない。
【0107】
9.図9に応じた方法

図9は、電気通信装置を操作する方法900のフローチャートを示す。方法900は、別の電気通信装置から1つのオーディオ信号910を受信することを含む。方法900は、受信したオーディオ信号を音響学的に出力すること920をさらに含む。方法900は、出力オーディオ信号が第三者に音響学的に理解できるか、または第三者にとっての妨害を表している懸念がある時にシグナリングを出力すること930をさらに含む。
【0108】
方法900は、上述の装置と同じ概念に基づく。さらに、方法900は、発明による装置に関して上述したようにすべての特徴と機能を含むかもしれない。
【0109】
10.結論および他の側面

電話における個々の発話レベルを測定し提示するための上述のプロセスおよび上述の方法のいくつかの態様を以下に説明する。
【0110】
本発明の実施の形態は、とりわけ、携帯電話機が世界中ほぼどこででも電話通信を使用できるという知見に基づいている。これは、発呼者の近くで、それを好むか否かにかかわらず、発呼者の発言に従わなければならない人々が、失望することが多いことが分かっている。発呼者が特に大声で話す場合、これは特に劇的であるか問題があることがわかっている。観察によれば、発呼者(例えば、電気通信装置のユーザ)が特に大きな声で話すことは、しばしば意図していないことが示されている。しかしながら、接続が悪いときや反対側(遠隔地、すなわち例えば別の電気通信装置754の場所などで)に非常に大きな背景雑音があるとき、大きな音声が実際に自動的に発生することが判明している。現代の音声伝送方法では、音声信号の符号化(例えば、通信手段730による)および復号化(例えば、手段760による)中にそのようなレベル補償を実際に自動的に採用するが、発呼者は、(近くの位置、例えば、彼/彼女の電気通信装置704の位置で)補償を行おうとする。
【0111】
本発明の第1の態様は、近傍位置(すなわち、発信者または彼/彼女の電気通信装置100,200,300,が位置する)で発信者(例えば、電気通信装置100,200,300のユーザ)により発せられた発話レベルを測定するステップと、適切な態様、例えばヘッドセットを用いて電話をかけるとき、携帯電話(すなわち、電気通信装置100,200,300)のスクリーン上に、または装置、例えばインテリジェントウオッチ(例えば、「アップル・スマートウォッチ(Apple Smartwatch)(Appleは登録商標)」)のスクリーン上に、または近くの位置で特別な音量を示す特別な音響信号(オーディオ・ヒントまたは「オーディオ・アイコン」)を再生することにより、測定に基づくレベルを表示するステップとを含む。
【0112】
本発明の第2の態様は、第1の態様と同様であるが、音声理解可能性(例えば、音声理解可能性情報562)の判定は、近くの空間におけるリスニング状況を記述する異なるパラメータ、すなわち少なくとも発信者の音声レベル(例えば、音声レベル情報552)に基づいて実行される。しかしながら、検出されたパラメータに関する可能ではあるが最終的ではない拡張は、その妨害レベルおよび妨害周波数内容、ならびに近傍空間における妨害ノイズ(変調、他のスピーカ、連続的な背景雑音など)の性質、残響時間、その他であるかもしれない。
【0113】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様と同様であるが、(例えば、エリア情報576aを表示することによって)音声レベルまたは音声理解可能性が周囲エリアにどのように分布するかの視覚化を伴う。例えば、自分の声が4メートルの距離で100%理解可能であることを示すことができる。これは、例えば、公共輸送手段(例えば、電車内)を見回し、誰が聴いたり聞いたりするかを判定する場合など、ユーザにとって非常に印象的であり得る。
【0114】
本発明の第4の態様は、第1の態様または第2の態様または第3の態様と同様であるが、通常の電話中またはハンズフリーモードにおけるスピーカ(例えば送信されたオーディオ信号620の出力)を介して離れた話者(すなわち、例えば自分の電気通信装置600と通話接続にある電気通信装置400のユーザ)の音声出力は、第1の発明の態様、第2の態様、または第3の態様のいずれかにおけるように、キャプチャされ、判定され、光学的にまたは音響学的に表示される(例えば、シグナリング630またはシグナリング640により)。
【0115】
第5の態様によれば、第4の態様で判定された結果の表現は、離れた場所(例えば、遠隔通信装置400)で行われ、遠隔地の話者(例えば、遠隔通信装置400すなわち、フォワード送信信号610を送信し、および/またはシグナリング送信信号640を受信する電気通信装置400、のユーザ)は、彼/彼女がその近くの第三者がどれほどよく理解できるかを理解することができる。
【0116】
本願発明のさらに別の第6の態様は、異なる測定パラメータまたは計算されたパラメータを用いて、前述した態様のうちの1つ(態様1~5)の1つと同様であり、次にこれを説明する。ここでは、例えば、望ましくない聴取によって達成される「不快感」を直接的にイメージ化する「煩さ要素」が考えられる。例えば、環境情報540が評価され得るコンパートメントにおいて電話が禁止される場合、この値はより高くなり得る。
【0117】
上述の本願発明の態様のいくつかまたはすべての特徴は、本願明細書に記載の電気通信装置および/または関連する方法によって実現することができる。
【0118】
実際の実現のためのさらなる提案は、欧州特許出願EP 2 247 082 A1から得ることができる。しかしながら、本願発明によれば、離れた場所の話者が彼/彼女が第三者に理解されることがないようにすることができる。従って、本発明の実施形態では、従来の場合とは異なる表現形式が使用された。
【0119】
5.実装の選択肢
いくつかの態様は、装置の文脈内で説明されているが、前記態様は対応する方法の説明も表しているので、装置のブロックまたは構成要素は、対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴として使用することができる。これと同様に、方法ステップの文脈内または方法ステップとして記載されている態様は、対応するブロックまたは対応する装置の詳細または特徴の記述を表す。方法ステップの一部または全部は、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路のようなハードウェア装置を使用して実行されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのいくつかまたはいくつかは、そのようなデバイスによって実行されてもよい。
【0120】
特定の実施要件に応じて、本願発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実施されてもよい。実装は、例えばフロッピーディスク、DVD、Blu-ray(登録商標)ディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ、ハードディスクまたはそれぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働できるか、または協働する電子的に読み取り可能な制御信号を記憶した他の磁気または光学メモリを含む。これが、デジタル記憶媒体がコンピュータ可読である理由である。
【0121】
従って、本願発明によるいくつかの実施形態は、本願明細書に記載された方法のいずれかが実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる電子的に読取り可能な制御信号を含むデータ担体を備える。
【0122】
一般に、本願発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実施されてもよく、そのプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で動作するときに、方法のいずれかを実行するのに有効である。
【0123】
プログラムコードは、例えば、機械読取り可能な担体に格納することもできる。
【0124】
他の実施形態は、本願明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムは、機械可読担体に格納される。
【0125】
換言すれば、本願発明の方法の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本願明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0126】
従って、本願発明の方法のさらなる実施形態は、本願明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムが記録されたデータ担体(またはデジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。データ担体、デジタル記憶媒体、または記録された媒体は、典型的には有形または不揮発性である。
【0127】
従って、本願発明の方法のさらなる実施形態は、本願明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号のシーケンスである。データストリームまたは信号のシーケンスは、例えばデータ通信リンク、例えば、インターネットを介して、転送されるように構成することができる。
【0128】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するように構成または適合された処理手段、例えばコンピュータまたはプログラマブル論理装置を含む。
【0129】
さらなる実施形態は、本願明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされるコンピュータを含む。
【0130】
本願発明によるさらなる実施形態は、本願明細書に記載の方法のうちの少なくとも1つを実行するためのコンピュータプログラムをレシーバに送信するように構成されたデバイスまたはシステムを含む。送信は、例えば、電子的であってもよいし、光学的であってもよい。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル装置、メモリ装置、または同様の装置であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムをレシーバに送信するためのファイルサーバを含むことができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA)が、本願明細書に記載の方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、マイクロプロセッサと協働して、本願明細書に記載の方法のいずれかを実行することができる。一般に、方法は、いくつかの実施形態では、任意のハードウェア装置によって実行される。前記ハードウェア装置は、コンピュータプロセッサ(CPU)などの普遍的に適用可能な任意のハードウェアであってもよく、またはASICなどの前記方法に特有のハードウェアであってもよい。
【0132】
本願明細書で説明される装置は、例えば、ハードウェア装置を使用することによって、またはコンピュータを使用することによって、またはハードウェア装置とコンピュータとの組合せを使用することによって実施することができる。
【0133】
本願明細書で説明されるデバイス、または本願明細書で説明されるコンポーネントのいずれかは、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(コンピュータプログラム)で少なくとも部分的に実装されてもよい。
【0134】
本願明細書に記載の方法は、例えば、ハードウェア装置を使用することによって、またはコンピュータを使用することによって、またはハードウェア装置とコンピュータの組み合わせを使用することによって実施することができる。
【0135】
方法、本願明細書に記載の方法、または本明細書に記載の任意の構成要素は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって少なくとも部分的に実行することができる。
【0136】
上述の実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。本明細書に記載された構成および詳細の変更および変形は他の当業者には明らかであることが理解される。従って、本願発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、実施形態の記載および説明を参照して本願明細書に提示される特定の詳細によっては制限されないことが意図される。
【0137】
以下において、さらなる実施形態および適用可能性が、本発明の態様に従って記載される。これらの態様は、本願発明に記載のすべての実施形態と任意に組み合わせることができる。
【0138】
本発明の一態様によれば、話者の近くの(第三者による)音声理解可能性の評価は、例えば、音声信号が第三者にとって音響学的に理解可能であるという懸念があるかどうかを判定または判定するために使用される。
【0139】
発明の一態様による別の可能なアプリケーションシナリオは次の通りである:ユーザは会話の相手とテーブルでの秘密の会話をする。ユーザは、装置を、会話が近くの人により(技術的な支援なしで)聞かれるかもしれないことを言い、および/または、示し、および/または、シグナリングするテーブル(例えば、電気通信装置)に置く。発明の1つの面によると、この装置は電気通信装置であり、例えば、(評価された)会話の分かり易さ(例えば、信号対雑音比)を評価できる。
図1
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