IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーションの特許一覧 ▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図1
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図2
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図3
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図4
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図5
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図6
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図7
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図8
  • 特許-ポリシロキサン流体圧流体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ポリシロキサン流体圧流体
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20230511BHJP
   C08K 5/51 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K5/51
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018559844
(86)(22)【出願日】2017-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 AU2017050435
(87)【国際公開番号】W WO2017193174
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】62/334,555
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511307096
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バラード, マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー, フィリップ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ, スーザン ワン-イー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ, キャメロン デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンゼンベルグ, ケヴィン ノルマン
(72)【発明者】
【氏名】ハル, ジェームズ
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03532730(US,A)
【文献】米国特許第02634288(US,A)
【文献】米国特許第03579449(US,A)
【文献】特開平08-231568(JP,A)
【文献】特開平05-202078(JP,A)
【文献】特開平04-091125(JP,A)
【文献】国際公開第2015/116509(WO,A1)
【文献】特開平11-021443(JP,A)
【文献】米国特許第03048545(US,A)
【文献】特開平05-177294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
C08G 77/00 - 77/62
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシロキサン化合物と非ハロゲン化ジホスホネート化合物とを含有する流体圧流体組成物であって、ポリシロキサン化合物が、式1:
[ここで
yは1~40から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
~Rの少なくとも一つ、又はy単位の少なくとも一つからのR及びRの少なくとも一つが、C1-10アルキルアリールである]
の化合物によって表され、
ジホスホネート化合物が、式2:
[ここで
Xは、アリール、C1-20アルキル、C1-20アルキルアリール、及びC1-20ジアルキルアリールからなる群から選択され;かつ
11、R12、R13、及びR14が、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される]
の化合物によって表され、
組成物中のジホスホネート化合物に対するポリシロキサン化合物の体積比が、それぞれ4:1~1:4の体積比で提供される、流体圧流体組成物。
【請求項2】
式1のポリシロキサン化合物が、式1a:
[ここで
xが0~10から選択される整数であり;
yが1~20から選択される整数であり;
zが0~10から選択される整数であり;
、R、R、及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
各R、R、R、及びR10が、C1-10アルキルから独立して選択される]
の化合物によって表される、請求項1に記載の流体圧流体組成物。
【請求項3】
及びRの少なくとも一方又は両方が、アリール及びC1-10アルキルアリールからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の流体圧流体組成物。
【請求項4】
組成物が式1の少なくとも2種のポリシロキサン化合物の混合物を含有する、請求項1から3の何れか一項に記載の流体圧流体組成物。
【請求項5】
ポリシロキサン混合物が、6~17から独立して選択される整数yをそれぞれが有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含む、請求項4に記載の流体圧流体組成物。
【請求項6】
ポリシロキサン混合物が、9~12の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも4種のポリシロキサン化合物又は8~13の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも6種のポリシロキサン化合物を含む、請求項4に記載の流体圧流体組成物。
【請求項7】
組成物が、式3:
[ここで、
17、R18、及びR19が、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される]
の化合物によって表されるホスホネート化合物を更に含有する、請求項1から6の何れか一項に記載の流体圧流体組成物。
【請求項8】
組成物が、酸スカベンジャー、壊食防止添加剤、粘度指数向上剤、消泡剤、酸化防止剤、腐食防止添加剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含有するか又はそれらからなる、請求項1から7の何れか一項に記載の流体圧流体組成物。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の式1のポリシロキサン化合物とジホスホネート化合物とを組成物中に任意の順序で一緒に添加することを含む、流体圧流体組成物の調製方法。
【請求項10】
式1:
[ここで
yは4~40から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
~Rの少なくとも一つ、又はy単位の少なくとも一つからのR及びRの少なくとも一つが、C1-10アルキルアリールである]
のポリシロキサン化合物を含有する、請求項1に記載の流体圧流体組成物。
【請求項11】
式1のポリシロキサン化合物が、式1a:
[ここで
xが0~10から選択される整数であり;
yが4~20から選択される整数であり;
zが0~10から選択される整数であり;
、R、R、及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
各R、R、R、及びR10が、C1-10アルキルから独立して選択され;かつ
~Rの少なくとも一つ、又はx、y又はz単位の少なくとも一つからのR~R10の少なくとも一つが、C1-10アルキルアリールである]
の化合物によって表される、請求項10に記載の流体圧流体組成物。
【請求項12】
組成物が請求項10又は請求項11にそれぞれ記載の式1の少なくとも2種のポリシロキサン化合物の混合物を含有する、請求項10又は請求項11に記載の流体圧流体組成物。
【請求項13】
ポリシロキサン混合物が、6~17から独立して選択される整数yをそれぞれが有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含む、請求項12に記載の流体圧流体組成物。
【請求項14】
ポリシロキサン混合物が、9~12の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも4種のポリシロキサン化合物又は8~13の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも6種のポリシロキサン化合物を含む、請求項12に記載の流体圧流体組成物。
【請求項15】
組成物が、式3:
[ここで、
17、R18、及びR19が、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される]
のホスホネート化合物を更に含有する、請求項10から14の何れか一項に記載の流体圧流体組成物。
【請求項16】
組成物が、酸スカベンジャー、壊食防止添加剤、粘度指数向上剤、消泡剤、酸化防止剤、腐食防止添加剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含有するか又はそれらからなる、請求項10から15の何れか一項に記載の流体圧流体組成物。
【請求項17】
式1のポリシロキサン化合物と一又は複数の追加の化合物及び添加剤とを組成物中に任意の順序で一緒に組み合わせることを含み、式1の一又は複数のポリシロキサン化合物、式3のホスホネート化合物を含む一又は複数の追加の化合物、及び一又は複数の追加の添加剤のそれぞれが、請求項10から16の何れか一項に記載された通りである、流体圧流体組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、その内容を出典明示によりここに援用する2016年5月11日に出願された米国仮特許出願第62/334555号の優先権を主張する。
【0002】
[分野]
本開示は、ポリシロキサン、ポリシロキサンを調製するための方法、及びポリシロキサンを含む流体圧流体に関する。本開示はまた一又は複数のポリシロキサン化合物及びジホスホネート化合物を含む流体圧流体、及び例えば流体又は組成物に難燃特性を付与するための流体圧流体における又は様々な組成物中での添加剤又は成分としてのジホスホネート化合物の使用に関する。本開示はまた航空機を含む様々な機械、車両及びクラフトに使用されうる流体圧流体としての組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
航空機は、典型的には、着陸装置、ブレーキなどの可動構成要素を稼働させ、作動させるための流体圧システムを備える。民間航空機の流体圧システムに使用される流体圧流体は、典型的には、リン酸トリアルキル、リン酸ジアルキルアリールエステル、リン酸アルキルジアリールエステル、及びリン酸トリアリールエステルを含むリン酸エステルの幾つかの組み合わせを含む。しかし、塗料を剥がし、金属を腐食させ、プラスチックを溶解し、使用中に酸性度の増加を生じる傾向を含む望ましくない性質が、現在使用されているリン酸エステル系流体圧流体には存在する。その結果、これらの望ましくない性質の幾つかを緩和する様々な添加剤を含むリン酸エステル系流体圧流体配合物の開発が進行中であるが、添加剤の幾つかはそれ自体が今やユーザーフレンドリーではないと考えられるか又は将来の供給制限を伴う。幾つかの流体圧流体は、壊食(エロージョン)防止剤として過フッ素化アルキルスルホン酸塩のような余り望ましくないフッ素化界面活性剤をまた含む。リン酸エステル系流体圧流体を、より無害でよりユーザーフレンドリーな流体で置き換える必要がある。
【0004】
従って、適切な粘度、潤滑性、及び幾つかの用途、例えば航空機用を含む様々なクラフト、車両及び機械における使用では、体積弾性率及び難燃特性を含む、適切なレオロジー、トライボロジー及び化学的性質を提供することができる代替の流体圧流体を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明者等は、ポリシロキサン化合物を含む代替の流体圧流体組成物を特定した。更なる利点が、流体圧流体組成物にジホスホネート化合物を使用することによっても特定された。例えば、ここに記載の少なくとも幾つかの実施態様に係るポリシロキサン化合物は、適切な粘度などの適切な特性を流体圧流体組成物に提供することができ、ここに記載の少なくとも幾つかの実施態様に係るジホスホネート化合物は、難燃性及び潤滑性のような適切な性質を流体圧流体組成物に付与することができる。他の化合物又は添加剤を、追加の利点を達成するため又は組成物に様々な更なる性質を付与するために、流体圧流体組成物にまた含めてもよい。ここに記載の少なくとも幾つかの実施態様によれば、化合物は、一を超える性質(又は機能)を流体圧流体組成物に付与することができる。望ましい性質には、広い温度範囲(準周囲温度を含む)にわたる適切な作動粘度、難燃特性、潤滑性、他の材料との(例えば、ゴム成分又は塗料コーティングとの)適合性、作動条件の安定性、並びに金属及び合金表面に対する低腐食性又は腐食性の低下の何れか一又は複数が含まれうる。
【0006】
一態様では、ポリシロキサン化合物とジホスホネート化合物とを含有し、ポリシロキサン化合物が、式1:
[ここで
yは1~40から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;かつ
各R及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される]
の化合物によって表される流体圧流体組成物が提供される。
【0007】
別の態様では、耐火流体圧流体又は航空機用の流体圧流体としての流体圧流体組成物の使用が提供される。
【0008】
別の態様では、ここに記載の任意の実施例に係るジホスホネート化合物を含有する流体圧流体組成物を調製するための、ここに記載の任意の実施例に係る式1のポリシロキサン化合物の使用が提供される。
【0009】
別の態様では、ここに記載の任意の実施例に係る式1のポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物を調製するための、ここに記載の任意の実施例に係るジホスホネート化合物の使用が提供される。
【0010】
別の態様では、ここに記載の任意の実施例に係る式1のポリシロキサン化合物とジホスホネート化合物とを組成物中に任意の順序で一緒に添加することを含む流体圧流体組成物の調製方法が提供される。該方法は、ここに記載される任意の実施例に係るホスホネート化合物又は添加剤の少なくとも一つを任意の順序で添加することを含みうる。
【0011】
他の態様では、式1:
[ここで
yは1~40から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択され;
各R及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択され;かつ
~Rの少なくとも一つ、又はy基の少なくとも一つからのR及びRの少なくとも一つが、アリール及びC1-10アルキルアリールの少なくとも一つから選択される]
のポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物が提供される。
【0012】
別の態様では、式1:
[ここで
yは2~25から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択され;かつ
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択され;かつ
及びRの少なくとも一つが、アリール及びC1-10アルキルアリールから選択される]
のポリシロキサン化合物が提供される。
【0013】
上記態様の何れかの式1のポリシロキサン化合物は、式1a:
[ここで
xは0~10から選択される整数であり;
yは1~20から選択される整数であり;
zは0~10から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択され;かつ
、R、R、及びR10は、C1-10アルキルから独立して選択される]
の化合物によって表されうる。
【0014】
各R、R、R、及びR10は、メチルであってもよく、x及びzはそれぞれ1~3から独立して選択される整数であってもよい。Yは2~16から選択される整数であってもよく、又はx、y及びzの合計は2~16から選択される整数でありうる。
【0015】
及びRは、C1-10アルキル、アリール及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。各R、R、R、R、R、R、及びR10は、C1-4アルキルでありうる。各R及びyは、アリール及びC1-10アルキルアリールから独立して選択される1~6の任意の置換基を有する式1aのポリシロキサン化合物を提供するように選択されうる。各Rの任意の他の置換基は、C1-4アルキルから独立して選択されうる。各R、R、R、R、R、R、及びR10はメチルであってもよく、各Rはメチル、アリール及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。
【0016】
及びRの少なくとも一方又は両方は、アリール及びC1-10アルキルアリールの少なくとも一つから選択されうる。C1-10アルキルアリールは、C1-6アルキルフェニル、例えばフェネチルでありうる。シロキサン化合物中のフェニル置換基の数は、ポリシロキサン化合物中のフェニルのモル%がケイ素に対して2~50モル%となるように選択されうる。
【0017】
式1のポリシロキサン化合物は、式1の2種以上のポリシロキサン化合物の混合物によって提供されてもよい。ポリシロキサン混合物は、異なるy値又は9~12、8~13、9~14、8~15、7~16、又は6~17から選択され、各整数を含む所定数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれ有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含みうる。ここに記載の実施例の何れか一又は複数に係るポリシロキサン化合物の混合物を含む配合物又は流体圧流体組成物が提供されうることが理解される。
【0018】
ここに記載の任意の実施例に係るポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物は、ここに記載の任意の実施例に係るモノホスホネート及びジホスホネート化合物の少なくとも一つから選択されるホスホネート化合物を更に含有しうる。例えば、流体圧流体組成物は、ここに記載の式2のジホスホネート化合物を含有しうる。例えば、流体圧流体組成物は、ここに記載の式3のモノホスホネート化合物を含有しうる。
【0019】
ジホスホネート化合物は、式2:
[ここで
Xは、アリール、C1-20アルキル、C1-20アルキルアリール、及びC1-20ジアルキルアリールからなる群から選択され;かつ
11、R12、R13、及びR14は、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからそれぞれ独立して選択される]の化合物でありうる。
【0020】
ジホスホネート化合物は、式2(a):
[ここで
Xは、存在しないかアリールであり;
r及びsは0~10から独立して選択される整数であり、sが0でXが存在しない場合はrが少なくとも1であり;
11、R12、R13、及びR14は、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからそれぞれ独立して選択され;かつ
各R15及び各R16は、水素、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールから独立して選択される]の化合物でありうる。
【0021】
ジホスホネート化合物は、式2(a)(i):
[ここで
mは、1~10から選択される整数であり;
11、R12、R13、及びR14は、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからそれぞれ独立して選択され;かつ
各R15及び各R16は、水素、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールから独立して選択される]の化合物でありうる。
【0022】
上記の流体圧流体組成物では、mは1~6から選択される整数であり得;R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールから独立して選択され;かつ各R15及びR16は、水素及びメチルから独立して選択されうる。
【0023】
上記の流体圧流体組成物では、mは1~6から選択される整数であり得;R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ、C2-10アルキルから独立して選択され得;かつ各R15及びR16は水素でありうる。
【0024】
上記の流体圧流体組成物では、mは2~4から選択される整数であり得;R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ、C2-6アルキルから独立して選択され得;かつ各R15及びR16は水素でありうる。
【0025】
流体圧流体組成物は、式3:
[ここで、R17、R18、及びR19は、それぞれ、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールから独立して選択されうる]の化合物によって表されるホスホネート化合物を更に含有しうる。
【0026】
17、R18、及びR19は、それぞれ、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。
【0027】
組成物の重量%に基づく、ポリシロキサン化合物の量は、約10~90%の間で提供されうる。組成物中のポリシロキサン化合物対ジホスホネート化合物の体積比は、約1:2を超える、例えば、1:1、2:1又は3:1の体積比で提供されうる。
【0028】
流体圧流体組成物は、酸スカベンジャー、壊食防止添加剤、粘度指数向上剤、消泡剤、腐食防止添加剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも一種の添加剤を更に含有しうるか又はそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、酸スカベンジャー、消泡剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも一種の添加剤を更に含有するか又はそれらからなりうる。組成物は、群全体から選択される単一の添加剤を含有しうるか又はそれらからなりうることは理解されよう。
【0029】
酸スカベンジャーは、フェニルグリシジルエーテル、ピネンオキシド、スチレンオキシド、グリシジルシクロヘキシルエーテル、グリシジルエポキシシクロヘキシルエーテル、ジグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、ブタジエンジオキシドシクロヘキシレンオキシド、ビスエポキシシクロヘキシルアジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されうる。
【0030】
消泡剤は、シリコーン油、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されうる。
【0031】
酸化防止剤は、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、フェニル-α-ナフチルアミン、ジ(オクチルフェニル)アミン、6-メチル-2,4-ビス(オクチルチオ)-メチル]フェノール、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されうる。
【0032】
流体圧流体組成物は、フッ素化された壊食防止添加剤を実質的に含まなくてもよい。流体圧流体組成物は、過フッ素化アニオン界面活性剤、例えばペルフルオロアルキルスルホン酸又はその塩を実質的に含んでいなくてもよい。これらの組成物は、よりユーザフレンドリーであり、取扱いの容易性が改善され得、又は添加剤の数が少ないと、製造の容易さ又は商品コストの低減を促進することができる。
【0033】
流体圧流体組成物は、更なる粘度指数向上剤、例えばポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)エステル、多環式ポリマー、ポリウレタン、ポリアルキレンオキシド、ポリエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを実質的に含まなくてもよい。添加剤が少ないこれらの組成物は、製造の容易さ又は商品コストの低減を促進することができ、又は例えば低密度又は難燃性の向上をもたらしうる。
【0034】
流体圧流体組成物の引火点は、Stanhope Seta Open Cup装置で2~4mlの容量のASTM D4206の引火点試験法を使用して測定した場合、160~300℃でありうる。流体圧流体組成物の密度(298Kにおけるgcm-3)は、1.5、1.4、1.3、1.2、又は1.1未満でありうる。流体圧流体組成物は、約100°Fで約5~約25センチポアズの粘度を示し、-65°Fで約500~約3500センチポアズの粘度を示しうる。
【0035】
流体圧流体組成物は、耐火流体圧流体又は民間航空機用のような航空機用流体圧組成物でありうる。
【0036】
上述のような特徴のうちの一又は複数を含みうる更なる態様及び実施例がここに記載されることが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、軍用機及び航空機での使用に適したものを含む代替の流体圧流体組成物を特定するために実施された研究に関する次の様々な非限定的実施例を記載している。驚くべきことに、ここに記載の様々な組成物及び化合物を含む、ポリシロキサン化合物を含有する組成物は、有効な流体圧流体特性をもたらすことができ、少なくとも幾つかの実施例によれば、それらが民間航空機における使用に対して有効であるような利点をもたらしうることが見出された。ジホスホネート化合物がポリシロキサン化合物を含む流体圧流体に更なる利点をもたらすことがまた特定された。例えば、流体圧流体組成物の一又は複数の望ましい特性には、温度による粘度の低い変化率、難燃特性、潤滑性、ゴム成分との適合性、作動条件における安定性、並びに金属及び合金表面に対する低腐食性が含まれうる。更なる利点は、例えば、よりユーザーフレンドリーな配合物、取扱いの容易さ、又は配合の複雑さの低減からの製造の容易さもしくは商品コストの低下を可能にしうる。ある化合物が組成物に一又は複数の特性をもたらす場合があり、よって、複数の化合物と場合によっては何らかの他の添加剤を流体圧流体組成物に含めることは、特に民間航空機での使用のために開発されている場合、流体圧流体のための望ましい特性を達成する点で重要な課題を提示しうる。流体圧流体は、適切なレオロジー、トライボロジー、及び化学的性質をもたらさなければならず、個々の化合物がそれだけでそのような様々な性質をもたらすことはありそうにないが、複数の化合物を含む流体は、流体中の各化合物が適切な個々の性質に寄与して組成物の全体的性質を改変するならば、そのような様々な特性を提供しうる。現在使用されているリン酸エステル系流体圧流体配合物は、長年にわたり複雑さを増し続けており、今は様々な化合物や添加剤の多面的な配列を含む。リン酸エステル系流体圧流体配合物とは対照的に、少なくとも幾つかの実施例によれば、民間航空機を含む航空機での使用に有効でありうる代替の流体圧流体組成物がここに開示される。
【0038】
[特定の用語]
理解されるように、単独で使用されても、又はアルキルアリールのような複合語において使用されても、「アリール」は、(i)例えば約6~約20個の炭素原子の、置換又は非置換の単環式又は多環式芳香族炭素環部分、例えばフェニル、ナフチル又はフルオレニル;又は(ii)アリール及びシクロアルキル又はシクロアルケニル基が互いに縮合してテトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル又はフルオレン環などの環状構造を形成する置換又は非置換の部分的に飽和した多環式炭素環芳香族環系を意味しうる。多環式環系は、二環式及び/又は三環式環系を含みうることが理解されよう。「非置換の」という用語は、一又は複数の置換基が存在しないこと、あるいは一又は複数の水素が存在することを意味することもまた理解されよう。「置換」基は、ここで定義されるC1-10アルキル、例えば直鎖又は分岐C1-4アルキルでありうる。
【0039】
単独で使用されても、又はアルキルアリールのような複合語において使用されても、「アルキル」は、1~約20個の炭素原子又はそれ以上のサイズの範囲の直鎖又は分岐鎖炭化水素を表す。従って、アルキル部分には、より小さい基に明示的に限定されない限り、サイズが例えば1~約6個の炭素原子又はそれ以上の範囲の部分、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル及び/又はブチル、ペンチル、ヘキシル、及び高級異性体、例えば、約6~約20個の炭素原子又はそれ以上のサイズの範囲の直鎖又は分岐鎖炭化水素が含まれる。
【0040】
ここで使用される「C1-20アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を指す。代表的な「C1-20アルキル」基には、限定されないが、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、-n-ヘキシル、-n-ヘプチル、-n-オクチル、-n-ノニル、-n-デシル;n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-イコシルが含まれる。
【0041】
ここで使用される「C1-10アルキル」という用語は、1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を指す。代表的な「C1-10アルキル」基には、限定されないが、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、-n-ヘキシル、-n-ヘプチル、-n-オクチル、-n-ノニル及び-n-デシルが含まれ;分岐C1-8アルキルには、例えば、限定されないが、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2,3,4-トリメチルペンチル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、3,5-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルペンチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、及びイソオクチルが含まれる。
【0042】
「アルキルアリール」、「C1-20アルキルアリール」、又は「C1-10アルキルアリール」という用語は、「アルキル」、「C1-20アルキル」、C1-10アルキル」、及び「アリール」部分がそれぞれ上で定義されているアリール基に結合したアルキル基を有する化合物を指す。
【0043】
「ジアルキルアリール」、「C1-20ジアルキルアリール」、又は「C1-10ジアルキルアリール」という用語は、「アルキル」、「C1-20アルキル」、C1-10アルキル」、及び「アリール」部分がそれぞれ上で定義されている2つのアルキル基で置換されたアリール部分を指す。各アルキル基が、式2の化合物において別の原子に結合するための点を提供しうることが理解されるであろう。
【0044】
「低腐食」という用語は、一般に、腐食を実質的に抑制又は低減するのに有効な濃度又は量、例えば、典型的には、流体圧流体と接触する金属の厚さの約100ミクロン/年未満の損失を意味する。別の例では、「低腐食」という用語は、流体圧流体と接触している金属の厚さの約10ミクロン/年未満の損失を意味しうる。腐食は、ASTM D4636のプロトコルを使用して決定することができる。
【0045】
[一般用語]
この開示の全体を通して、別段の記載がないか、又は文脈上他の意味を必要としない限り、単一工程、物質の組成物、工程群又は物質の組成物群への言及は、その工程、物質の組成物、工程群又は物質の組成物群の一つ及び複数(つまり、一又は複数)を包含すると解釈される。従って、ここで使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、複数の態様を含む。例えば、「a」への言及は、単一だけでなく2つ以上を含み;「an」への言及は単一だけでなく2つ以上を含み;「the」への言及は、単一だけでなく2つ以上を含む等である。
【0046】
当業者であれば、ここでの開示は、具体的に記載されたもの以外の変形及び変更を受け入れる余地があることを理解するであろう。本開示は、そのような変形及び変更の全てを含むことが理解されるべきである。本開示はまた個別に又は集合的にこの明細書中で言及され又は示された工程、特徴、組成物及び化合物の全てを、また前記工程又は特徴の任意で全ての組み合わせ又は任意の2つ以上を含む。
【0047】
ここに記載された本開示の各実施例は、他に特に断らない限り、他の実施例の各々及び全てに準用される。本開示は、例示のみを目的とするここに記載の特定の実施例によって範囲が限定されるものではない。機能的に等価な製品、組成物及び方法が、ここに記載の開示の範囲内にあることは明らかである。
【0048】
「難燃性」という用語は、流体中の燃焼性を低下させるか又は燃焼を遅らせうる物質、添加物又は化合物の性質を指す。
【0049】
「潤滑」、「潤滑性」という用語又は類似の用語は、摩擦又は摩耗の減少を促進しうる物質、添加剤又は化合物の性質を指す。
【0050】
「高温安定性」という用語は、一般に、約1時間、約250℃の温度に加熱された場合、分解の低下又は分解の程度が低いことを指す。
【0051】
「及び/又は」という用語、例えば「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」を意味すると理解され、両方の意味又は何れかの意味に対する明示的なサポートを提供するものである。
【0052】
この明細書を通して、「含む(comprise)」という単語、又は「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」などの変形語は、記載された要素、整数もしくは工程、又は要素、整数もしくは工程の群を含むが、任意の他の要素、整数もしくは工程、又は要素、整数もしくは工程の群を排除しないことを意味すると理解される。
【0053】
「からなる(consists of)」という用語又は「からなる(consisting of)」のような変形語は、任意の記載された要素、整数もしくは工程、又はこの用語に関連して列挙された要素、整数もしくは工程の群を含み、任意の他の要素、整数もしくは工程、又はこの用語に関連して列挙されていない要素、整数もしくは工程の群を排除することを意味する。
【0054】
ここでは多数の先行技術文献に言及されているが、この引用が、これらの文献の何れかがオーストラリア又は任意の他の国での当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成していることの自認を構成するものではないことは明らかに理解されよう。
【0055】
他に定義されない限り、ここで使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。ここに記載されているものと類似又は均等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、適切な方法及び材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び実施例は例示的なものに過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0056】
[流体圧流体組成物]
本開示は、一又は複数のポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物を提供する。本開示はまた一又は複数のホスホネート化合物を更に含有する流体圧流体組成物を提供する。ホスホネート化合物は、ジホスホネート化合物でありうる。ポリシロキサン化合物は、ここに記載の式1又は式1aの任意の一又は複数の化合物でありうる。ホスホネート化合物は、ここに記載の式2の任意の一又は複数のジホスホネート化合物でありうる。ホスホネート化合物は、ここに記載の式3の任意の一又は複数のジホスホネート化合物でありうる。流体圧流体組成物は、ここに記載の任意の一又は複数の追加の化合物及び添加剤をまた含有しうるか又は更にそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、15~85%、20~80%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、又は45~55%の範囲で選択される全組成物の重量%でポリシロキサン化合物を含有しうる。流体圧流体組成物は、組成物全体の少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80%(重量%)のポリシロキサン化合物を含有しうる。流体圧流体組成物は、組成物全体の約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、又は30%(重量%)未満のポリシロキサン化合物を含有しうる。ポリシロキサン化合物は、組成物に粘度調整剤としての性質を付与することができ、ジホスホネート化合物を含有する組成物中に、より有効な流体圧流体、例えば航空機での使用に有効な流体圧流体が提供されるように、更なる性質を含みうる。例えば、少なくとも幾つかの実施例によれば、流体圧流体組成物は、更なる粘度調整添加剤を必要としなくてもよい。ハロゲン化ポリシロキサンとは対照的に、ここに記載の非ハロゲン化ポリシロキサン化合物はまた有害性や腐食性が少なく、流体圧流体中のジホスホネート化合物との使用に有効な他の潤滑性又は引火点特性をもたらしうる。非ハロゲン化ポリシロキサンはまたより無害でよりユーザーフレンドリーであり、例えばPFOSのようなフッ素化界面活性剤のような壊食防止又は腐食防止添加剤の必要性を低減しうる。
【0057】
少なくともここに記載の幾つかの実施例によれば、ジホスホネートに対するポリシロキサンの量又は比率の増加は、(例えば、準周囲温度を含む)ある温度範囲にわたる粘度の改善、塗料、Oリングシール及び金属との適合性、(Skydrol(登録商標)ブランドの耐火性流体圧流体との)混和性、潤滑性、及び流動点の一又は複数を含む更なる有利な性質を流体にもたらしうる。流体中のジホスホネートの量の増加はまた改善された難燃性をもたらしうる。
【0058】
流体圧流体組成物は、ポリシロキサン化合物中のアリール又はアルキルアリール(例えばフェニル、ベンジル又はフェネチル)置換基の数が、ケイ素に対して2~50モル%、5~45モル%、10~40モル%、15~35モル%、又は20~30モル%から選択される範囲のポリシロキサン化合物中のアリール部分のモル%を提供するポリシロキサン化合物を含有しうる。少なくとも幾つかの実施例によれば、ポリシロキサン化合物にアリール部分が提供されることにより、例えば材料適合性、粘性のようなレオロジー特性及び熱特性(例えば、引火点及び燃焼点)において更なる利点が提供されうる。
【0059】
流体圧流体組成物は、15~85%、20~80%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、又は45~55%の範囲で選択される全組成物の重量%でジホスホネート化合物を含有しうる。流体圧流体組成物は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、又は75%の全組成物の重量%で、ジホスホネート化合物を含有しうる。流体圧流体組成物は、ジホスホネート化合物を、約70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、又は10%未満の全組成物の重量%で含有しうる。ジホスホネート化合物は、組成物に難燃性及び潤滑性を付与することができる。ジホスホネート化合物は、よりユーザーフレンドリーであり、従って流体圧流体中での使用に関してより受け入れられる可能性がある。
【0060】
流体圧流体組成物は、約95:5~5:95、90:10~10:90、85:15~15:85、80:20~20:80、25:75~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60、55:45~45:55、又は約50:50の又はその間の範囲から選択される体積比を有するポリシロキサン化合物及びジホスホネート化合物を含みうるか又はそれらからなりうる。上記のように、流体中のポリシロキサン化合物及びジホスホネート化合物の量は、所望の用途に関して、粘度、潤滑性及び難燃特性のよりバランスのとれた組み合わせなど、特定の用途のための改善されたレオロジー特性をもたらすように選択されうる。
【0061】
流体圧流体組成物は、追加の成分、例えば、ここに記載の追加の化合物及び/又は添加剤を、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、又は5%未満の全組成物の重量%の量で更に含有するか又はそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、少なくとも約1、2、5、10、15、20、25、30、35、又は40%の全組成物の重量%の量で一又は複数の追加成分を更に含有するか又はそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、約1%~30%、約3%~25%、又は約5%~20%の範囲の全組成物の重量%の量で一又は複数の追加成分を更に含有するか又はそれらからなりうる。流体圧流体に含まれる一又は複数の追加成分の量及び種類は、特定の使用のための改良されたレオロジー特性を提供するように、又は追加の性質を流体に加えるか、又は流体の性質を緩和するように選択することもできる。
【0062】
流体圧流体組成物は、航空機での使用のために処方され得、又は所定の性質をもたらし又は所定の仕様を達成するように処方され得、例えばSAE AS1241仕様用に処方されうる。
【0063】
一例では、流体圧流体組成物は、ここに記載の任意の実施例に係るポリシロキサン化合物からなるポリシロキサン化合物を含有する。例えば、流体圧流体組成物は、ポリシロキサン化合物を記載している実施例以外のシロキサン又はポリシロキサン化合物を実質的に含まなくてもよい。この特定の実施例のための流体圧流体組成物は、ここに記載の一又は複数の他の化合物及び添加剤を、それらがシロキサン又はポリシロキサンから選択されなければ、含みうることが理解される。
【0064】
[引火点]
流体圧流体組成物は、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、少なくとも200℃、少なくとも210℃、少なくとも220℃、少なくとも230℃、少なくとも240℃、少なくとも250℃、少なくとも260℃、少なくとも270℃、少なくとも280℃、少なくとも290℃、又は少なくとも300℃から選択される引火点を有しうる。
【0065】
流体圧流体組成物は、160℃~300℃の引火点を有しうる。流体圧流体組成物は、約180℃~290℃、約200℃~280℃、約210℃~270℃、約220℃~260℃、又は約240℃~250℃の範囲から選択される引火点を有しうる。
【0066】
引火点は、ASTM D4206において提供されたプロトコルを使用して決定することができる。ASTM D4206法は、Stanhope Seta Open Cup装置で2~4ml容量の流体組成物を使用することを含む。
【0067】
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たす引火点を有しうる。
【0068】
[燃焼点]
流体圧流体組成物は、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、少なくとも200℃、少なくとも210℃、少なくとも220℃、少なくとも230℃、少なくとも240℃、少なくとも250℃、少なくとも260℃、少なくとも270℃、少なくとも280℃、少なくとも290℃、又は少なくとも300℃から選択される燃焼点を有しうる。
【0069】
流体圧流体組成物は、約160℃~300℃の間の燃焼点を有しうる。流体圧流体組成物は、約180℃~290℃、約200℃~280℃、約210℃~270℃、約220℃~260℃、又は約240℃~250℃の範囲から選択される燃焼点を有しうる。
【0070】
燃焼点は、ASTM D4206又はASTM D92のプロトコルを使用して決定することができる。
【0071】
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たす燃焼点を有しうる。
【0072】
[流動点]
流体圧流体組成物は、10℃、20℃、30℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、又は75℃未満の流動点を有しうる。
【0073】
流動点は、ASTM D97のプロトコルを使用して決定することができる。
【0074】
[密度]
流体圧流体組成物は、約1.5g/cm未満の密度(298Kにおける)を有しうる。流体圧流体組成物は、約1.4g/cm、約1.3g/cm、約1.2g/cm、約1.1g/cm、約1.08g/cm、約1.06g/cm、約1.04g/cm、約1.02g/cm、約1.01g/cm、又は約1.00g/cm未満の密度を有しうる。
【0075】
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たす密度を有しうる。
【0076】
[融点]
流体圧流体組成物は、大気圧で約0℃未満の融点を有しうる。流体圧流体組成物は、約-10℃、約-20℃、約-30℃、約-40℃、約-45℃、又は約-50%未満から選択される融点を有しうる。
【0077】
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たす融点を有しうる。
【0078】
[粘度]
流体圧流体組成物は、約5~15cP、約6~14cP、約7~13cP、約8~12cP、又は約9cP~11cPの範囲から選択される粘度(100°F)を有しうる。
【0079】
流体圧流体組成物は、約500~3500cP、約1000~3000cP、又は約1500~2500cPの範囲から選択される粘度(-65°F)を有しうる。
【0080】
粘度は、ASTM D445と低温測定では例えばASTM D445FL1のプロトコルを使用して決定することができる。
【0081】
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たす粘度を有しうる。
【0082】
[塗料硬度]
流体圧流体に暴露された塗装表面の塗料硬度試験は、流体圧流体が使用時に塗装表面に接触する可能性があるため、塗装表面との流体の適合性を示す指標となりうる。
【0083】
流体圧流体組成物は、少なくとも7B、6B、5B、4B、3B、又は2Bの、周囲温度(約20℃)で流体に曝されてから28日後の塗料硬度(鉛筆押し込み)を有しうる。
【0084】
流体圧流体組成物は、少なくとも7B、6B、5B、4B、3B、又は2Bの、約60℃で流体に曝されてから28日後の塗料硬度(鉛筆押し込み)を有しうる。
【0085】
流体圧流体組成物は、少なくとも4B、3B、2B、1B、F、HB、1H、2H、3H、4H、5H、又は6Hの、周囲温度で流体に曝されてから28日後の塗料硬度(最終値)を有しうる。
【0086】
塗料硬度は、ASTM D3363のプロトコルを使用して決定することができる。
【0087】
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たす塗料硬度特性を有しうる。
【0088】
[Oリング膨潤]
Oリングを流体圧流体に曝すことによるOリング膨潤試験は、流体圧流体が使用中にこれらのタイプの材料に接触する可能性があるので、航空宇宙産業で使用されるもののような他の材料との流体の適合性についてのもう一つの指標となりうる。
【0089】
流体圧流体組成物は、35%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、又は10%未満のO-リングの体積減少を有しうる。流体圧流体組成物は、約0~30%、約2~25%、約4~20%、又は約6~18%の範囲のO-リングの体積減少を誘発しうる。
【0090】
O-リング膨潤試験は、ASTM D6546のプロトコルを使用して決定することができる。試験は、Kapco又はパーカーOリングを使用して行うことができる。
【0091】
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たすO-リング膨潤試験特性を有しうる。
【0092】
[芯サイクル]
芯サイクル試験は、流体圧流体の可燃性に対する蒸発の影響を決定するために使用される。この試験は、流体浸漬芯(すなわち、パイプクリーナーステム)をブンゼンバーナー火炎中に循環させることによって流体圧流体の耐火性を本質的に測定する。芯の発火までのサイクル数がカウントされる。毎分約30サイクルが実行される。流体は周囲温度で試験される。流体圧流体サンプルは最小サイクル数の間、発火に耐えなければならない。
【0093】
流体圧流体組成物は、芯の発火が、少なくとも25回、少なくとも50回、少なくとも75回、少なくとも100回、少なくとも150回、少なくとも200回、少なくとも250、又は少なくとも300の最小サイクル数の間、起こらない芯試験特性を有しうる。
【0094】
芯サイクルは、ASTM D4172のプロトコルを使用して決定することができる。
ここに記載の少なくとも幾つかの実施例に係る流体圧流体組成物は、SAE AS1241仕様を満たす芯サイクル試験特性を有しうる。
【0095】
[毒性と環境への影響]
流体組成物は、低い毒物学的又は環境的な影響、例えば、Skydrol(登録商標)ブランドの耐火性流体圧流体と比較して低い毒物学的性質をもたらすように選択することができる。ここに記載のポリシロキサンは、実質的に無毒性であり、Skydrol(登録商標)LD4(リン酸エステル系流体圧流体)及びSkydrol(登録商標)5(壊食防止添加剤として過フッ素化界面活性剤を含んでいるリン酸エステル系流体圧流体)に使用されるものなどのフッ素化界面活性剤又はモノホスフェートエステルの使用に特に関連してしかりである。ここに記載のジホスホネートは、特に、Skydrol(登録商標)5に使用されるもののようなフッ素化界面活性剤又はモノホスフェートエステルの使用に関連して、比較的低い毒物学的特性をまたもたらしうる。一例では、流体圧組成物は、モノホスフェートエステル及びフッ素化界面活性剤の少なくとも一つを実質的に含まない場合がある。別の例では、流体圧組成物は、過フッ素化酸(例えば、PFOS)などのフッ素化界面活性剤を実質的に含まない場合がある。
【0096】
[反応生成物]
一又は複数のシクロシロキサンと水素末端シロキサンとの反応生成物であるポリシロキサン化合物を含有し、反応生成物がアルキル、アリール又はアルキルアリール基で更にキャップされている流体圧流体組成物が提供されうる。アルキル、アリール又はアルキルアリール基は、ここに記載されるその任意の一又は複数の例によって提供され得、例えば、アルキル基はC1-10アルキルでありうる。
【0097】
別の例では、式Aの置換シクロシロキサンと場合によってはアルキル、アリール又はアルキルアリール基でキャップされた式Bのシロキサンとの反応生成物であるポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物が提供される:
ここで、各Rは、水素、C1-10アルキル、アリール及びC1-10アルキルアリールから独立して選択され;aは0~20から選択される整数であり;bは1~15から選択される整数である。式A及びBがその何れか一又は複数の例について以下に記載されている他の例も提供されうる。
【0098】
[ポリシロキサン化合物]
本開示の流体圧流体組成物はポリシロキサン化合物を含有する。ポリシロキサン化合物は、次の式1の化学構造によって記述することができる:
【0099】
上記式1では、yは1~40から選択される整数でありうる。R、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。yが1より大きい場合、各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されてもよく、例えば、1つのR基はC1-10アルキルであり得、別のR基はC1-10アルキルアリールでありうることが理解される。
【0100】
上記式1では、yは1~40の任意の整数又は整数範囲から選択されうる。用語yは、例えば1~35、2~30、3~25、4~20、又は5~15から選択される整数でありうる。整数yは、例えば、少なくとも2、4、6、8、10、又は12の整数でありうる。整数yは、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、又は8以下の整数でありうる。
【0101】
別の例では、R~Rの少なくとも一つ、又はy基の少なくとも一つからの少なくとも一つのR及びRが、アリール及びC1-10アルキルアリールの少なくとも一つから選択される。別の例では、R及びRの少なくとも一つが、アリール及びC1-10アルキルアリールから選択される。別の例では、R及びRが、アリール及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択される。別の例では、yは2~25から選択される整数である。
【0102】
式1の上記のポリシロキサン化合物は、次の式1aのポリシロキサン化合物によって更に記述することができる:
【0103】
上記式1aでは、xは0~10から選択される整数でありうる。用語yは1~20から選択される整数でありうる。用語zは0~10から選択される整数でありうる。R、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。各R及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。各R、R、R、及びR10は、C1-10アルキルから独立して選択されうる。上記式1aでは、各R、R、R、及びR10はメチル基であり得、x及びzは1~3からそれぞれ独立して選択される整数でありうる。
【0104】
上記式1aでは、yは1~20の任意の整数又は整数範囲から選択されうる。用語yは、例えば1~18、2~16、3~14、4~12、又は5~11から選択される整数でありうる。整数yは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の整数でありうる。整数yは、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、又は4以下の整数でありうる。
【0105】
上記式1aでは、xは、1~10の任意の整数又は整数範囲から選択されうる。用語xは、例えば1~9、2~8、3~7、又は4~6から選択される整数でありうる。整数xは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、又は8の整数でありうる。整数xは、9、8、7、6、5、4、3、又は2以下の整数でありうる。
【0106】
上記式1aでは、zは、0~10の任意の整数又は整数範囲から選択されうる。ゼロの整数への言及は、基が存在しないことと理解される。用語zは、例えば1~9、2~8、3~7、又は4~6から選択される整数でありうる。整数zは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、又は8の整数でありうる。整数zは、9、8、7、6、5、4、3、又は2以下の整数でありうる。
【0107】
上記式1aでは、整数x、y及びzの合計は、2~40の任意の整数又は整数範囲から選択されうる。整数x、y及びzの合計は、1~20、2~16、3~14、又は4~12から選択される整数でありうる。整数x、y及びzの合計は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12の整数でありうる。整数x、y及びzの合計は、18、16、14、12、10、又は8以下の整数でありうる。
【0108】
[R~R10基]
式1及び式1aの上記ポリシロキサン化合物のR~R10基は、次のように更に記述されうる。
【0109】
~R10は、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R~R10基はまたある数又はモル%のアリール及びC1-10アルキルアリール基を有する式1及び式1aのポリシロキサン化合物を提供するように選択されうる。例えば、ポリシロキサン化合物は、アリール及びC1-10アルキルアリール基から選択される1~10の置換基を含み得、残りの置換基はC1-10アルキル基である。ポリシロキサン化合物は、アリール及びC1-10アルキルアリール基から選択される1~6、又は2~4の置換基を含み得、残りの置換基はC1-10アルキル基である。C1-10アルキル置換基の残りはメチルでありうる。
【0110】
ポリシロキサン化合物中のアリール又はアルキルアリール置換基の数は、ケイ素に対して2~50モル%、5~45モル%、10~40モル%、15~35モル%、又は20~30モル%の、ポリシロキサン化合物中のアリール部分のモル%を提供しうる。例えば、アリール又はアリールアルキル基がフェニル部分を含む場合、ポリシロキサン化合物中のフェニル置換基の数は、2~50モル%、5~45モル%、10~40モル%、15~35モル%、又は20~30モル%の、シロキサン化合物中のフェニルのモル%を提供しうる。
【0111】
及びRは、アリール及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R及びRは、C1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。アリール又はC1-10アルキルアリールは、単環式又は二環式アリールでありうる。単環式アリールはフェニルであり得、あるいは単環式アルキルアリールはC1-10アルキルフェニルでありうる。C1-10アルキルアリールは、C1-6アルキルフェニルでありうる。C1-6アルキルフェニルはフェネチルでありうる。
【0112】
式1aでは、R及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択され得;各R、R、R、R、R、R、及びR10が、C1-4アルキルであり得;かつ各R及びyが、アリール及びC1-10アルキルアリールから独立して選択される1~10の任意の置換基を有する式1aのポリシロキサン化合物を提供するように選択され得、かつ各Rの任意の他の置換基がC1-4アルキルから独立して選択される。アリール及びC1-10アルキルアリールから独立して選択される任意の置換基は、1~6の置換基又は2~4の置換基を提供するように選択されうる。
【0113】
式1では、各R、R、及びRは、C1-10アルキルから選択され得、かつ各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。各R、R、及びRは、メチルから選択され得、かつ各Rは、メチル、アリール及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。R及びRは、アリール及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R及びRは、C1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。アリール又はC1-10アルキルアリールは、単環式又は二環式アリールでありうる。単環式アリールはフェニルであり得、又は単環式アルキルアリールはC1-10アルキルフェニルでありうる。C1-10アルキルアリールは、C1-6アルキルフェニルでありうる。C1-6アルキルフェニルはフェネチルでありうる。
【0114】
式1aでは、各R、R、R、R、R、R、及びR10は、C1-10アルキルから選択され得、かつ各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。各R、R、R、R、R、R、及びR10はメチルから選択され得、かつ各Rはメチル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。R及びRは、アリール及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R及びRは、C1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。アリール又はC1-10アルキルアリールは、単環式又は二環式アリールでありうる。単環式アリールはフェニルであり得、あるいは単環式アルキルアリールはC1-10アルキルフェニルでありうる。C1-10アルキルアリールは、C1-6アルキルフェニルでありうる。C1-6アルキルフェニルはフェネチルであり得、これはここではエチルベンゼン又はEBとも称されうる。
【0115】
別の例では、R~Rの少なくとも一つ、又はy基の少なくとも一つからの少なくとも一つのR及びRは、アリール及びC1-10アルキルアリールの少なくとも一つから選択される。別の例では、R~Rの少なくとも一つ、又はx、y又はz基の少なくとも一つからのR~R10の少なくとも一つは、アリール及びC1-10アルキルアリールから選択される。別の例では、R及びRの少なくとも一つは、アリール及びC1-10アルキルアリールから選択される。別の例では、R及びRは、アリール及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択される。別の例では、x、y及びzの合計は2~25であり、かつR~Rの少なくとも一つはアリール及びC1-10アルキルアリールから選択される。
【0116】
ここに記載のポリシロキサン化合物は、所望される用途に関連して、低密度及びレオロジー特性、例えば粘度と潤滑性の効果的な組合せのような、流体圧流体としての使用に適した特性をもたらしうる。少なくともここに記載された幾つかの実施例に係るポリシロキサンは、少なくともSkydrol(登録商標)ブランドの耐火性流体圧流体(例えば、Skydrol(登録商標)5)と比較して、比較的安全で低毒性の特性を有し、取扱いが容易である化合物をまた提供しうる。
【0117】
[ポリシロキサン分散度]
ポリシロキサンは、ここに記載のポリシロキサン化合物の混合物として提供されうる。ポリシロキサン化合物の混合物の組成と構成成分はまた組成物中の様々なポリシロキサン化合物の分布の指標を提供するその分散度の値(多分散指数-PDIとも呼ばれる)によって記述され得、決定した重量平均分子量を数平均分子量で割って測定されうる。重量平均分子量と数平均分子量は、HPLC又はNMR法などの様々なクロマトグラフィー又は分光法によって、ポリシロキサンのサンプル混合物から決定することができることが理解されよう。
【0118】
ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、約300~5000、400~4500、500~4000、600~3500、800~3000、又は1000~2500の範囲で提供されうる。ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、少なくとも約300、500、700、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、又は4500でありうる。ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、約5000、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、700、又は500未満でありうる。重量平均分子量は、上述のこれら上限と下限の何れか2つの間の範囲で提供されうる。
【0119】
ポリシロキサン化合物の数平均分子量は、約300~3000、400~2000、500~1500、600~1000、又は800~900の範囲で提供されうる。ポリシロキサン化合物の数平均分子量は、少なくとも約400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、又は2500でありうる。ポリシロキサン化合物の数平均分子量は、約3000、2500、2000、1500、1000、900、800、700、600、又は500未満でありうる。数平均分子量は、上述のこれら上限と下限の何れか2つの間の範囲で提供されうる。
【0120】
組成物中のポリシロキサン化合物の分散度は、約1~20、1~15、1~10、1~5、又は1~3の範囲で提供されうる。組成物中のポリシロキサン化合物の分散度は、約20、19、18、17、16、15、13、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1.5未満でありうる。組成物中のポリシロキサン化合物の分散度は、少なくとも約1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15でありうる。組成物中のポリシロキサン化合物の分散度は、上述のこれら上限と下限の何れか2つの間の範囲で提供されうる。
【0121】
式1のポリシロキサン化合物は、式1の2種以上のポリシロキサン化合物の混合物で提供されてもよい。例えば、ポリシロキサン混合物は、式1の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、又は19の異なるポリシロキサン化合物で提供されうる。ポリシロキサン混合物は、9~12から選択されるy値又はシロキサン反復単位(Si-O)の平均数を有する式1のポリシロキサン化合物を含みうる。別の例では、ポリシロキサン混合物は、8~13、7~15、6~17、5~19、4~21、又は3~23から選択されるy値又はシロキサン反復単位(Si-O)の平均数を有するポリシロキサン化合物を含みうる。平均数は、例えば、上述のy値又はシロキサン反復単位に対する式1のポリシロキサン化合物の混合物に基づく、平均(mean)、最頻値又は中間値に基づく平均(average)でありうる。ポリシロキサン混合物は、それぞれ9~12の各整数を含み、該整数から選択される異なるy値又は所定数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれ有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含みうる。別の例では、ポリシロキサン混合物は、それぞれ8~13、7~15、6~17、5~19、4~21、又は3~23の各整数を含み、該整数から選択される異なるy値又は所定数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれ有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含みうる。別の例では、ポリシロキサン混合物は、9~12の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれ有する少なくとも4種のポリシロキサン化合物、少なくとも8~13の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも6種のポリシロキサン化合物、7~14の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも8種のポリシロキサン化合物、6~15の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも10種のポリシロキサン化合物、5~16の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも12種のポリシロキサン化合物、又は4~17の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも14種のポリシロキサン化合物を含みうる。上記の例の何れか一又は複数に係るポリシロキサン化合物の混合物を含有する配合物又は流体圧流体組成物が提供されうることが理解されるであろう。
【0122】
以下に記載される少なくとも幾つかの実施例に係る、ポリシロキサン化合物及びポリシロキサン化合物の混合物は、例えば、他の化合物及び流体との混和性の改善、燃焼点及び引火点、レオロジー特性、及びジホスホネートを含む材料との適合性など、更なる利点をもたらしうる。
【0123】
[ポリシロキサン化合物の合成]
ここに記載されるポリシロキサンは、様々なシクロシロキサンの開環重合反応、例えばカチオン開環重合(CROP)反応を使用することによって調製されうる。CROP反応は、水素末端シロキサンの存在下でカチオン開始剤を使用することによって開始されうる。CROP反応及び試薬の選択は、ここに記載のポリシロキサン、例えば、上記のシロキサン反復単位又は多分散度を有するポリシロキサンのような、低重量ポリシロキサン又は低重量ポリシロキサンの混合物を得るための比較的制御された合成及び重合反応を可能にする。これは、よりユーザーフレンドリーな流体圧流体として使用するために驚くほど効果的な特性をもたらすことを示した、本開示に記載のポリシロキサン化合物の調製方法を提供する。
【0124】
カチオン開始剤は、シクロシロキサンの酸分解及び縮合と、様々な水素末端ポリシロキサンへの成長をもたらすことが理解されるであろう。シロキサン鎖に沿って水素基がまた提供されうる水素末端ポリシロキサンは、ついで、様々なアルキル、アリール及びアルキルアリール基で置換又は「キャップ」されうる。例えば、水素末端ポリシロキサンは、これらの基のビニル等価物との反応によって、様々なアルキル、アリール及びアルキルアリール基で、触媒の存在下で末端キャップされうる。
【0125】
カチオン開始剤は、非求核塩基を有する酸、又はプロトン性カチオン酸、例えばHSO、HClO及びCFSOH(トリフルオロスルホン酸)、又はルイスカチオン酸、例えばAlCl及びSnClから選択されうる。一例では、カチオン開始剤はCFSOHである。触媒は、白金又は有機白金化合物、例えばKarstedt触媒でありうる。
【0126】
一例では、カチオン開始剤及び水素末端シロキサンの存在下でシクロシロキサンを反応させて水素末端ポリシロキサンを形成する工程;及び触媒及びビニルアルキル、アリール又はアリールアルキル基の存在下で水素末端ポリシロキサンを反応させてポリシロキサン化合物を形成する工程を含むここに記載のポリシロキサン化合物の調製方法が提供される。
【0127】
別の例では、式1:
[ここで
yは1~40から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、そC1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群かられぞれ独立して選択され;かつ
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される]のポリシロキサン化合物を調製する方法であって、
(a)式Aの置換シクロシロキサンを含む溶液を式Bのシロキサンの存在下でカチオン開始剤と反応させて、式Cの水素末端ポリシロキサンを形成する工程:
[ここで、各Rは、水素、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択され;
aは、0~20から選択される整数であり;
bは、1~15から選択される整数であり;
cは、1~40から選択される整数である]
(b)式Cのポリシロキサンを含む溶液を、アルキル、アリール及びアルキルアリール基の少なくとも一つ、又はその反応性前駆体と反応させて、式1のポリシロキサンを形成する工程
を含む方法が提供される。
【0128】
式A、B及びCの更なる例は、式1の様々なポリシロキサンについてここに記載される任意の一又は複数の例によって提供されうることが理解される。
【0129】
反応工程(a)では、式Cのポリシロキサンの所望の成長後に、例えば塩基で存在する任意の酸を中和させることによって反応工程を完了させることによる、中和工程がまた提供されうる。
【0130】
式Aのシクロシロキサンは式A又はAのシクロシロキサンでありうる:
[ここで、
aは、0~20から選択される整数であり;
各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択される]。
【0131】
式Aのシクロシロキサンは、式A又はAのシクロシロキサンの混合物によって提供されうる。例えば、本方法の工程(a)は、式Aのシクロシロキサン及び式Aのシクロシロキサンを提供するシクロシロキサン混合物を含みうる。例えば、式Aのシクロシロキサンはオクタメチルシクロシロキサンであり得、式Aのシクロシロキサンはテトラメチルシクロシロキサンでありうる。式A及びAの比は、シロキサン鎖中の水素を置換するのに望ましいビニル基の数に依存して変わりうる。式A及びAの比は、1:1でありうる。
【0132】
各RがC1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択される上記の式Bのシロキサンが提供されうる。各RがメチルなどのC1-10アルキルから独立して選択される式Bのシロキサンが提供されうる。一例では、bは1~10から選択される整数である。例えば、式Bのシロキサンは、テトラメチルジシロキサン(TMDS)でありうる。
【0133】
式Cのシロキサン化合物は、式Cのシロキサンによって表されうる:
[ここで
xは、0~10から選択される整数であり;
yは、1~20から選択される整数であり;
zは、0~10から選択される整数であり;
各Rは、C1-10アルキルから独立して選択され;かつ
各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択される]。
式Cの別の例では、各Rはメチルであり;各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択され;x及びzはそれぞれ1~3から独立して選択される整数であり;かつyは2~16から選択される整数であるか又はx、y及びzの合計は2~16から選択される整数である。
【0134】
比は、式Aのシクロシロキサンと式Bのシロキサンとの間で変わりうる。このような比の変化は、ポリシロキサン鎖の長さを変更する選択肢を提供することが理解されるであろう。例えば、式Bのシロキサンと式Aのシクロシロキサンとの間の比は、それぞれ少なくとも約1:1、例えば約1:1~1:10又は1:1~1:5で提供されうる。例えば、工程(a)における式Bのシロキサンと式Aのシクロシロキサンとの比は、それぞれ1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、又は1:8の任意の一又は複数の値又はその間で提供されうる。
【0135】
上記工程(b)における反応は、触媒とビニル基を含む反応でありうる。この反応は、例えばKarstead触媒を使用するヒドロシリル化反応でありうる。アルキル、アリール及びアルキルアリール基は、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリール基、例えばアルケニル又はアルケニルアリール基を提供するビニル化前駆体のように、ビニル基として提供されうる。C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリール基は、シロキサン上に存在する水素基の一又は複数をキャップしうる。式Cのシロキサン化合物は、一方又は両方の端部に水素基を提供し得、これがC1-10アルキル、アリール、又はC1-10アルキルアリール基によって「末端キャップ」され得、例えばエチルベンゼンで末端キャップされうる。ビニル基に対する式Cのシロキサンの比は、少なくとも所望のC1-10アルキル、アリール、又はC1-10アルキルアリール基の数に少なくとも等価でありうる。工程(b)についてのビニル基に対する式Cのシロキサンの比は、それぞれ少なくとも約1:1、例えば約1:1~1:10又は1:1~1:5で提供されうる。例えば、工程(b)における式Cのシロキサンとビニル基との比は、それぞれ1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、又は1:8で、又はそれらの間で提供されうる。
【0136】
[ジホスホネート化合物]
本開示の流体圧流体組成物は、一又は複数のジホスホネート化合物を含有しうる。一例では、ジホスホネート化合物は、ホスホネート基を連結する炭化水素鎖を有する。炭化水素鎖は、場合によってはアリール基、例えばベンジル基で中断されうる。炭化水素鎖は、ここに記載のアルキル基でありうる。
【0137】
一又は複数のジホスホネート化合物は式2の化合物によって表されうる:
【0138】
式2のジホスホネート化合物は、次のように更に記述される。Xは、アリール、C1-20アルキル、C1-20アルキルアリール、及びC1-20ジアルキルアリールからなる群から選択されうる。Xは、C1-20アルキル及びC1-20ジアルキルアリール基からなる群から選択されうる。C1-20ジアルキルアリール基はC1-20ジアルキルフェニルでありうる。C1-20ジアルキルアリールはC1-10ジアルキルフェニル、例えば1,4-ジメチレニルベンゼンでありうる。
【0139】
11、R12、R13、及びR14は、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R11、R12、R13、及びR14は、C1-20アルキル及びC1-20アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R11、R12、R13、及びR14は、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R11、R12、R13、及びR14は、C2-10アルキル又はC2-6アルキルからそれぞれ独立して選択されうる。
【0140】
一又は複数のジホスホネート化合物は、式2(a)の化合物によって表されうる:
【0141】
式2(a)のジホスホネート化合物は、次のように更に記述されうる。
11、R12、R13、及びR14は、上に既に記載されたようなその任意の例によって提供されうる。
Xは存在しなくてもよく、又はアリール、例えばベンゼン基でありうる。
【0142】
用語r及びsの各々は、0~10から選択される整数であり得、sが0であり、Xが存在しない場合、rは少なくとも1である。用語r及びsの各々は、1~10から選択される整数でありうる。用語r及びsは、例えば、1~9、1~6、又は2~4から独立して選択される整数でありうる。それぞれ独立した用語r及びsは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、又は8でありうる。それぞれ独立した用語r及びsは、9、8、7、6、5、4、3、又は2以下でありうる。
【0143】
各R15及び各R16は、水素、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールから独立して選択されうる。各R15及び各R16は、水素、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。各R15及び各R16は、水素、C1-10アルキル、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。各R15及び各R16は、水素及びC1-10アルキルから独立して選択されうる。各R15及び各R16は、水素及びメチルから独立して選択されうる。各R15及び各R16は水素でありうる。
【0144】
ジホスホネート化合物は式2a(i)の化合物によって表されうる:
【0145】
式2(a)(i)のジホスホネート化合物は、次のように更に記述されうる。
用語mは、1~10から選択される整数でありうる。用語mは、1~10の任意の整数又は整数範囲から選択されうる。用語mは、例えば1~9、1~6、又は2~4から選択される整数でありうる。整数mは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、又は8の整数でありうる。整数mは、9、8、7、6、5、4、3、又は2以下の整数でありうる。
【0146】
11、R12、R13、及びR14は、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R11、R12、R13、及びR14は、C1-20アルキル及びC1-20アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R11、R12、R13、及びR14は、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択されうる。R11、R12、R13、及びR14は、C2-10アルキル又はC2-6アルキルからそれぞれ独立して選択されうる。
【0147】
各R15及びR16は、水素、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールから独立して選択されうる。各R15及びR16は、水素、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。各R15及びR16は、水素、C1-10アルキル、及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。各R15及びR16は、水素及びC1-10アルキルから独立して選択されうる。各R15及びR16は、水素及びメチルから独立して選択されうる。各R15及びR16は水素でありうる。
【0148】
ここに記載のジホスホネート化合物は、ここに記載のポリシロキサン化合物と混合した場合に流体圧流体として使用するのに適した特性をもたらすことができる。例えば、ジホスホネート化合物は、流体に難燃性を付与しうるか、又は所望の用途に関連して、適切な密度(例えば重量)及びレオロジー特性、例えば難燃性と潤滑性の効果的な組合せを流体に付与しうる。
【0149】
ポリシロキサン又はジホスホネート化合物を含む、ここに記載の本開示の全ての式及び化合物構造は、任意の幾何異性体(例えば、シス/トランス又はE/Z異性)を含む、それらの任意の立体異性体を包含しうる。例えば、本開示の何れかの式又は化合物構造は、全てのシス及びトランス異性体並びにそれらの任意の混合物を含む。
【0150】
[例示化合物]
式1のポリシロキサン化合物の幾つかの例が次のように表1に提供される:
【0151】
式2のジホスホネート化合物の幾つかの例が次のように表2に与えられる:
【0152】
[追加の成分]
本開示の流体圧流体組成物はまた、流体圧流体組成物としてのその機能を補助しうる、以下に記載される「追加の化合物」及び「追加の添加剤」のような任意の一又は複数の追加の成分を含有するか又はそれらからなりうる。追加の化合物は、モノホスホネート化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィネート化合物、又はそれらの組み合わせを含むか又はそれらからなりうる。例えば、流体圧流体組成物は、ここに記載のその任意の実施例に係る一又は複数のポリシロキサン化合物、ここに記載のその任意の実施例に係る一又は複数のジホスホネート化合物、及びここに記載のその任意の実施例に係るモノホスホネート化合物を含有するか又はそれらからなりうる。これらの追加の成分、すなわち、以下に記載される「追加の化合物」及び「追加の添加剤」は、例のみであり、他の追加の化合物又は成分を組成物に使用してもよい。
【0153】
流体組成物はまた低い毒性又は環境影響の流体のような更なる利点、例えばSkydrol(登録商標)LD4(モノホスフェートエステル系流体圧流体)及びSkydrol(登録商標)5(壊食防止添加剤として過フッ素化界面活性剤を含むモノホスフェートエステル系流体圧流体)を含むSkydrol(登録商標)ブランドの耐火性流体圧流体と比較して、低い毒性を提供するように選択されうる。ここに記載のポリシロキサンは、特に、Skydrol(登録商標)5において使用されるもののようなフッ素化界面活性剤又はモノホスフェートエステルに関連して、低い毒性を提供しうる。ここに記載のジホスホネートは、また、特に、Skydrol(登録商標)5において使用されるもののようなフッ素化界面活性剤又はホスフェートエステルに関連して、低い毒性を提供しうる。一例では、流体圧組成物は、モノホスフェートエステル及びフッ素化界面活性剤(例えば、PFOS)の少なくとも一つを実質的に含まなくてもよい。別の例では、流体圧組成物は、フッ素化界面活性剤(例えば、PFOS)を実質的に含まなくてもよい。例えば、ここに記載の追加の化合物及び追加の添加剤を含む追加の成分は、任意のフッ素化界面活性剤を排除するように選択することができる。別の例では、ここに記載の追加の化合物及び追加の添加剤を含む追加の成分は、フッ素化界面活性剤及びモノホスフェートエステルの少なくとも一つを排除するように選択することができる。
【0154】
追加の成分、すなわち「追加の化合物」及び「追加の添加剤」は、流体圧流体組成物中に、一緒に又は個々に、約30%(全流体圧流体組成物の重量基準)までの量、例えば約30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満、あるいは例えば少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、又は25%の量で含まれうる。追加の成分は、流体圧流体組成物全体の重量で約1%~約30%、例えば約2%~約25%、約3%~約20%、又は約5%~約15%の量で流体圧流体組成物に含められうる。
【0155】
「実質的に含まない」とは、一般に、存在しうる微量分又は不純物以外に組成物中にその化合物が存在しないことを指し、例えば、これは、約1%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の全組成物中の重量%による量でありうる。ここに記載の組成物は、例えば、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の全組成物中の重量%による量の不純物をまた含みうる。組成物が式1に対してyが少なくとも2である(又は式1aに対してx、y及びzの合計が少なくとも2である)一又は複数のポリシロキサン化合物を含有するか又はそれからなる特定の一例における不純物は、例えば、ジエチルベンゼンジシロキサンなどのジシロキサニル化合物でありうる。
【0156】
[追加の化合物]
[モノホスホネート化合物]
本開示の流体圧流体組成物中の追加の成分は、一又は複数のモノホスホネート化合物を更に含むか又はそれらからなりうる。モノホスホネート化合物は、例えば、更なる潤滑性又は難燃性を付与するか、又は粘度を変更することによって、流体圧流体組成物における使用に適した更なる特性を促進するか又は付与しうる。
【0157】
一例では、モノホスホネートは炭化水素基で置換されうる。炭化水素基は、ここに記載のそれらの基の任意の例に従って、アルキル、アルキルアリール、及びアリールから選択されうる。炭化水素基は、アルキル基でありうる。アルキル基は、直鎖アルキルでありうる。モノホスホネート化合物の選択は、例えば、Skydrol(登録商標)LD4又はSkydrol(登録商標)5のホスフェートエステルよりも低い毒性の化合物を提供しうる。
【0158】
モノホスホネート化合物は、式3の化合物によって表されうる:
【0159】
17、R18、及びR19の各々がC1-20アルキル、アリール及びC1-20アルキルアリールから独立して選択される、式3の上記モノホスホネート化合物が更に記載されうる。
【0160】
17、R18、及びR19の各々は、C1-10アルキル、アリール及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。R17、R18、及びR19の各々は、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールから独立して選択されうる。R17、R18、及びR19の各々は、C1-6アルキル及びC1-6アルキルアリールから独立して選択されうる。アリールは、単環式又は二環式アリールでありうる。アリールはフェニルでありうる。C1-10アルキルアリールは、C1-10アルキルフェニル、例えばベンジルでありうる。例えば、モノホスホネート化合物は、ジエチルベンジルホスホネート又はジブチルオクタンホスホネートでありうる。
【0161】
式3のモノホスホネート化合物の例は、表3の次の化合物によって提供されうる。
【0162】
本開示の流体圧流体組成物は、約30%(全流体圧流体組成物の重量基準)までの量、例えば約30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満、あるいは例えば少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、又は25%の量でモノホスホネート化合物を更に含有するか又はそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、全流体圧流体組成物の重量で約1%~約30%、例えば約2%~約25%、約3%~約20%、又は約5%~約15%の量でモノホスホネート化合物を更に含有するか又はそれらからなりうる。
【0163】
[ホスファゼン化合物]
本開示の流体圧流体組成物中の別の追加の成分は、一又は複数のホスファゼン化合物を更に含むか又はそれらからなりうる。ホスファゼン化合物は、典型的には、多量のリンを含み、これが更なる難燃性を促進又は付与しうる。
【0164】
ホスファゼン化合物は、環状ホスファゼンでありうる。ホスファゼン化合物は、環状フッ素化ホスファゼン化合物でありうる。ホスファゼン化合物の例には、2,2,4,4,6,6-ジ(4-フルオロフェノキシ)テトラ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン、2,2,4,4,6,6-ジ(3-フルオロフェノキシ)テトラ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン、2,2,4,4,6,6-ジ(2-フルオロフェノキシ)テトラ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン、2,2,4,4,6,6-トリ(2-フルオロフェノキシ)トリ(3-トリフルオロフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン、2,2,4,4,6,6-トリ(3-フルオロフェノキシ)トリ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン、2,2,4,4,6,6-トリ(4-フルオロフェノキシ)トリ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン、2,2,4,4,6,6,8,8-トリ(4-フルオロフェノキシ)ペンタ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5,7-テトラザ-2,4,6,8-テトラホスフォリン、2,2,4,4,6,6,8,8-トリ(3-フルオロフェノキシ)ペンタ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5,7-テトラザ-2,4,6,8-テトラホスホリン、2,2,4,4,6,6,8,8-テトラ(4-フルオロフェノキシ)テトラ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5,7-テトラザ-2,4,6,8-テトラホスホリン、2,2,4,4,6,6,8,8-テトラ(3-フルオロフェノキシ)テトラ(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5,7-テトラザ-2,4,6,8-テトラホスホリン、2,2,4,4,6,6,8,8-2.57(3-フルオロフェノキシ)-5.43(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5,7-テトラザ-2,4,6,8-テトラホスホリン、2,2,4,4,6,6,8,8-2.57(4-フルオロフェノキシ)-5.43(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5,7-テトラザ-2,4,6,8-テトラホスホリン及びそれらの混合物が含まれうる。好ましい例では、ホスファゼンは、2,2,4,4,6,6-ジ(3-フルオロフェノキシ)テトラ(m-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン、2,2,4,4,6,6-ジ(4-フルオロフェノキシ)テトラ(m-トリフルオロメチルフェノキシ)-1,3,5-トリアザ-2,4,6-トリホスホリン又はそれらの混合物である。
【0165】
本開示の流体圧流体組成物は、約30%(全流体圧流体組成物の重量基準)までの量、例えば約30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満、あるいは例えば少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、又は25%の量でホスファゼン化合物を更に含有するか又はそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、全流体圧流体組成物の重量で約1%~約30%、例えば約2%~約25%、約3%~約20%、又は約5%~約15%の量でホスファゼン化合物を更に含有するか又はそれらからなりうる。
【0166】
[ホスフィネート化合物]
本開示の流体圧流体組成物中の別の追加の成分は、一又は複数のホスフィネート化合物を更に含むか又はそれからなりうる。
【0167】
ホスフィネート化合物は、アリールジアルキルホスフィネートエステルでありうる。
【0168】
ホスフィネート化合物の例には、フェニル-ジ-n-プロピルホスフィネート、フェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、フェニル-ジ-sec-ブチルホスフィネート、フェニル-ジ-n-ペンチルホスフィネート、フェニル-ジ-ネオペンチルホスフィネート、フェニル-ジ-n-ヘキシルホスフィネート、フェニル-ジ-n-iブチルチオホスフィネート、p-メトキシフェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、m-クロロフェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、フェニル-(n-プロピル-n-ペンチル)ホスフィネート、フェニル-(n-プロピル-n-ブチル)ホスフィネート、フェニル-(n-プロピル-n-ヘキシル)ホスフィネート、フェニル-(n-ブチル-n-ペンチル)ホスフィネート、フェニル-(n-ブチル-n-ヘキシル)ホスフィネート、フェニル-(n-ペンチル-n-ヘキシル)ホスフィネート、フェニル-(ネオペンチル-n-プロピル)ホスフィネート、フェニル-(ネオペンチル-n-ブチル)ホスフィネート、フェニル-(ネオペンチル-n-ヘキシル)ホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-プロピルホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-ペンチルホスフィネート、クレシル-ジ-n-ペンチルホスフィネート、tert-ブチルフェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、n-ブチルフェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、secブチルフェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、エチルフェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、キシリル-ジ-n-ブチルホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-ヘキシルホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-ブチルホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-プロピルチオホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-ブチル-チオホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-ペンチルチオホスフィネート、チオフェニル-ジ-n-ヘキシルチオホスフィネート、チオフェニル-(n-プロピル-n-ブチル)ホスフィネート、チオフェニル-(n-プロピル-n-ペンチル)ホスフィネート、チオフェニル-(n-プロピル-n-ヘキシル)ホスフィネート、チオフェニル-(n-ブチル-n-ペンチル)ホスフィネート、チオフェニルnブチル-n-ヘキシル)ホスフィネート、チオフェニル-(n-ペンチル-n-ヘキシル)チオホスフィネート、チオフェニル-(n-プロピル-n-ブチル)チオホスフィネート、チオフェニル-(n-プロピル-n-ペンチル)チオホスフィネート、チオフェニルn-プロピル-n-ヘキシル)チオホスフィネート、チオフェニル-(n-ブチル-n-ペンチル)チオホスフィネート、チオフェニル-(n-ブチル-n-ヘキシル)チオホスフィネート、及びチオフェニルn-ペンチル-n-ヘキシル)チオホスフィネートが含まれうる。
【0169】
本開示の流体圧流体組成物は、約30%(全流体圧流体組成物の重量基準)までの量、例えば約30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満、あるいは例えば少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、又は25%の量でホスフィネート化合物を更に含有するか又はそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、全流体圧流体組成物の重量で約1%~約30%、例えば約2%~約25%、約3%~約20%、又は約5%~約15%の量でホスフィネート化合物を更に含有するか又はそれらからなりうる。
【0170】
[追加の添加剤]
上述したように、本開示の流体圧流体組成物は、流体圧流体組成物としてのその機能を補助しうる追加の化合物及び/又は追加の添加剤のような一又は複数の追加の成分を更に含有するか又はそれらからなりうる。追加の添加剤は、酸スカベンジャー、壊食防止剤、粘度指数調整剤、酸化防止剤、消泡剤、腐食防止剤、又はそれらの組み合わせを更に含むか又はそれらからなりうる。別の例では、追加の添加剤は、酸スカベンジャー、粘度指数調整剤、酸化防止剤、消泡剤、又はそれらの組み合わせを更に含むか又はそれらからなりうる。別の例では、追加の添加剤は、酸スカベンジャー、壊食防止剤、酸化防止剤、消泡剤、又はそれらの組み合わせを更に含むか又はそれらからなりうる。これらの追加の添加剤は例であり、他の追加の添加剤又は成分がまた使用されうる。
【0171】
本開示の流体圧流体組成物は、約30%(全流体圧流体組成物の重量基準)までの量、例えば約30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満、あるいは例えば少なくとも約0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、又は25%の量で一又は複数の追加の添加剤を更に含有するか又はそれらからなりうる。流体圧流体組成物は、全流体圧流体組成物の重量で約1%~約30%、例えば約2%~約25%、約3%~約20%、又は約5%~約15%の量で一又は複数の追加の添加剤を更に含有するか又はそれらからなりうる。追加の範囲は、前述の下限値及び上限値の何れか2つによって提供されうる。これらの量又は範囲の何れか一又は複数は、以下に記載される各クラス、混合物又は個々の添加剤に個々に、又は流体圧流体組成物中に提供される全ての「追加の添加剤」に集合的に適用されうる。
【0172】
[酸スカベンジャー]
流体圧流体組成物中の追加の添加剤は、酸スカベンジャー化合物を更に含むか又はそれからなりうる。酸スカベンジャーは、酸不純物又は望ましくない反応生成物を除去し、低減させ又は不活性化するために組成物に添加される化学物質であることが理解されよう。酸スカベンジャーは、様々なエステル又は脂肪族エポキシド、例えばエポキシアルキルカルボキシレートを含みうる。適切な酸スカベンジャーには、例えば少なくとも一つのエポキシド基を含む有機化合物、例えば、フェニルグリシジルエーテル、ピネンオキシド、スチレンオキシド、グリシジルシクロヘキシルエーテル、グリシジルエポキシシクロヘキシルエーテル、ジグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、ブタジエンジオキシドシクロヘキシレンオキシド、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、3,4-エポキシシクロアルキルカルボシレート及びカルボジイミド(例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルカルボシレート又は3,4-エポキシシクロヘキサン)、及びそれらの混合物が含まれる。一例では、酸スカベンジャーは、3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート又は3,4-エポキシシクロヘキサンなどの4-エポキシシクロアルキルカルボキシレート及びカルボジイミドからなる群から選択されうる。
【0173】
上記の追加の添加剤の量に加えて、更なる例では、酸化防止剤が、全組成物の3重量%未満、例えば約0.1~約1重量%の範囲の量で提供されうる。
【0174】
上記の追加の添加剤の量に加えて、更なる例では、酸スカベンジャーが、約0.5~10重量%、例えば約2~9重量%又は約4~8重量%の範囲の量で提供されうる。
【0175】
[壊食防止剤]
流体圧流体組成物中の追加の添加剤は、壊食防止剤を更に含むか又はそれからなりうる。壊食防止剤は、より正確にはゼータ腐食と呼ばれる流動誘起電気化学的腐食を抑制するのに有効な量で導入されうる。壊食防止添加剤は、過フッ素化アニオン性界面活性剤でありうる。
【0176】
壊食防止剤は、過フッ素化アニオン性界面活性剤でありうる。過フッ素化アニオン性界面活性剤は、アルカリ金属塩、例えばペルフルオロアルキルスルホン酸のカリウム塩でありうる。典型的には、アルキル成分は、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、又はそれらの混合物を含み、ペルフルオロオクチルが幾つかの例において更なる利点をもたらす。
【0177】
壊食防止剤は、ペルフルオロメチルスルホン酸、ペルフルオロエチルスルホン酸、ペルフルオロプロピルスルホン酸、ペルフルオロブチルスルホン酸、ペルフルオロペンチルスルホン酸、ペルフルオロヘプチルスルホン酸、ペルフルオロオクチルスルホン酸、ペルフルオロデシルスルホン酸、ペルフルオロオクトデシルスルホン酸、ペルフルオロシクロペンチルスルホン酸、ペルフルオロシクロヘキシルスルホン酸、ペルフルオロシクロヘプチルスルホン酸、ペルフルオロ(エチルシクロヘキシル)スルホン酸、ペルフルオロ(シクロヘキシルメチル)スルホン酸、ペルフルオロ(シクロヘキシルエチル)スルホン酸、ペルフルオロ(シクロヘキシルプロピル)スルホン酸、ペルフルオロ(メチルシクロヘキシル)スルホン酸、及びペルフルオロ(ジメチルシクロヘキシル)、並びにそれらの任意の塩又は組合せからなる群から選択されるペルフルオロアルキルスルホン酸でありうる。フッ素化された壊食防止剤は、一又は複数の他の壊食防止剤、例えば非フッ素化壊食防止添加剤と混合物として、又は組み合わせて提供されうる。例えば、非フッ素化壊食防止添加剤は、モノエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、例えば2-エチル-1-ヘキシルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートでありうる。
【0178】
壊食防止剤は、ペルフルオロオクチルスルホン酸又はその塩でありうる。
【0179】
壊食防止剤は、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムからなる群から選択される塩でありうる。過フッ素化アニオン性界面活性剤は、カリウム塩でありうる。壊食防止剤の一例はKPFである。
【0180】
壊食防止剤は、ペルフルオロオクチルスルホン酸カリウムでありうる。
【0181】
壊食防止剤は、主に、ペルフルオロオクチルスルホン酸のカリウム塩を含むか又はそれからなりうる。
【0182】
航空機流体圧流体組成物システムの作用では、壊食防止剤のスルホン酸部分が、流体圧流体組成物の表面張力を低下させ、それにより流体圧流体組成物が典型的に接触する金属表面をより良好に覆うことができる。サーボ弁の計量縁部は、一般に、電気化学的腐食からの保護を必要とする最も重要な金属部分である。壊食防止剤のアルカリ金属イオンを含む流体中の陽イオンが、金属表面に吸着され、それがなければサーボ弁計量縁部上の流体圧流体組成物の急速な流れによって生成される金属上の負電荷を中和する。
【0183】
本開示の流体圧流体組成物は、壊食防止剤又はペルフルオロオクチルスルホン酸添加剤を必要としないが、組成物がそのような添加剤を場合によっては含みうることが理解されるであろう。従って、流体圧流体組成物は、本組成物が壊食防止剤、例えばペルフルオロオクチルスルホン酸添加剤を含まないか又は実質的に含まないことを条件として、ここに記載の組成物を更に含むか又はそれからなりうる。一例では、流体圧流体組成物は、フッ素化された壊食防止添加剤を実質的に含まない。流体圧流体組成物は、過フッ素化アニオン界面活性剤、例えばペルフルオロアルキルスルホン酸又はその塩を実質的に含まなくてもよい。これらの組成物は、よりユーザーフレンドリーで取り扱いが容易であり得、添加物が少ないと、製造の容易さ又は商品コストの低減を促進しうる。
【0184】
別の例では、壊食防止添加剤は、非フッ素化壊食防止添加剤でありうる。例えば、非フッ素化壊食防止添加剤はモノエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、例えば2-エチル-1-ヘキシルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートでありうる。
【0185】
上記の追加の添加剤の量に加えて、更なる例では、壊食防止添加剤が、約0.001~1重量%、例えば約0.01~0.5重量%又は約0.02~0.4重量%の量で提供されうる。
【0186】
[粘度指数調整剤]
流体圧流体組成物中の追加の添加剤は、粘度指数調整剤を更に含むか又はそれからなりうる。適切な粘度指数調整剤は、ポリアルキルアクリレート、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)エステル、多環式ポリマー、ポリウレタン、脂肪族エポキシド、ポリアルキレンオキシド及びポリエステル、並びにそれらの組み合わせを含みうる。粘度指数調整剤は、ポリ(ブチルメタクリレート)又はポリ(ヘキシルメタクリレート)又はそれらの混合物でありうる。一例では、流体圧流体組成物は、上述したような粘度指数調整剤を実質的に含まなくてもよい。
【0187】
粘度指数調整剤(粘度指数向上剤とも呼ばれる)は、例えば、約50000~約100000の数平均分子量と約200000~350000の重量平均分子量を有する高分子量化合物でありうる。
【0188】
上記の追加の添加剤の量に加えて、更なる例では、粘度指数調整剤が、約1~10重量%、例えば約2~9重量%又は約3~8重量%の範囲の量で提供されうる。
【0189】
[酸化防止剤]
流体圧流体組成物中の追加の添加剤は、流体圧流体組成物又はその成分の何れかの酸化を抑制するのに有効な量で酸化防止剤又は酸化防止剤の混合物を更に含むか又はそれらからなりうる。代表的な酸化防止剤には、例を挙げると、フェノール系酸化防止剤、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]-メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン等;例を挙げると、ジアリールアミン、例えばオクチル化ジフェニルアミンフェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン、又はN-フェニルベンジルアミンの、2,4,4-トリメチルペンテン、ジフェニルアミン、ジトイルアミン、フェニルトリル-アミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、ジ-p-メトキシジフェニルアミン、又は4-シクロヘキシルアミノジフェニルアミンとの反応生成物を含むアミン酸化防止剤が含まれる。更に他の適切な酸化防止剤には、N-ブチルアミノフェノール、N-メチル-N-アミルアミノフェノール及びN-イソオクチル-p-アミノフェノールのようなアミノフェノール、並びに任意のそのような酸化防止剤の混合物が含まれる。
【0190】
酸化防止剤の混合物は、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール及びジ(オクチルフェニル)アミンを含むか又はそれらからなりうる(例えば、1:1混合物)。別の混合物は、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ジ(オクチルフェニル)アミン及び6-メチル-2,4-ビス(オクチルチオ)-メチル]-フェノールを含むか又はそれらからなりうる(例えば、1:2:4混合物)。酸化防止剤の別の混合物は、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、ジ(オクチルフェニル)アミン及びテトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンを含むか又はそれらからなりうる(例えば、1:2:3の混合物)。
【0191】
上記の追加の添加剤の量に加えて、更なる例では、酸化防止剤が、全組成物の3重量%未満、例えば約0.1~約1重量%の範囲の量で提供されうる。
【0192】
[消泡剤]
流体圧流体組成物中の追加の添加剤は、消泡剤を更に含むか又はそれからなりうる。消泡剤は、シリコーン油、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、又はそれらの組み合わせから選択されうる。消泡剤はシリコーン油、例えばポリジメチルシロキサンのようなポリシロキサンでありうる。消泡剤は、ポリアクリレート、例えばポリ(アルキルアクリレート)及びポリ(アルキルメタクリレート)でありうる。
【0193】
[腐食防止剤]
流体圧流体組成物中の追加の添加剤は、腐食防止添加剤又は腐食抑制剤とも呼ばれうる腐食防止剤を更に含むか又はそれらからなりうる。腐食防止剤は、金属表面の腐食速度を抑制し、低減させ又は防止するのに有効な量で導入されうる。腐食防止剤は、錆の形成を抑制し、低減させ又は防止するのに有効な量で導入されうる。
【0194】
腐食防止添加剤は、無機又は有機ホスフェート、アルカノールアミンで中和された脂肪族カルボン酸、アミンカルボキシレート、アルキルアミン、アルカノールアミン、プロピルガレート、ポリオキシアルキレンポリオール、オクタデシルアミン、ノニルフェノールエトキシレート、水素化ペンタデシルフェノールのカルシウムフェノレート、アルキルベンゼンスルホン酸マグネシウム、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択されうる。一例では、腐食防止添加剤は、ベンゾトリアゾールなどの銅腐食抑制剤から選択されうる。
【0195】
腐食防止添加剤は、アルカノールアミンでありうる。適切なアルカノールアミンは、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンを含みうる。
【0196】
腐食防止添加剤は、アルキルアミンでありうる。適切なアルキルアミンは、C6-20の直鎖又は分岐アルキル基を含みうる。
【0197】
腐食防止添加剤は、アルカノールアミンでありうる。適切なアルカノールアミンは、1~12の炭素原子と、場合によっては1より多いアルカノール基を含み得、例えばジアルカノールアミン及びトリアルカノールアミンである。
【0198】
腐食防止添加剤は、ベンゾトリアゾールでありうる。適切なベンゾトリアゾールは、オクチル1Hベンゾトリアゾール及びジtertブチル化1H-ベンゾトリアゾールを含みうる。
【0199】
他の腐食防止剤は、ポリエトキシル化脂肪族アミン及びポリエトキシル化ジアミンを含みうる。
【0200】
一例では、腐食抑制剤は、存在する場合には、例えば流体圧流体と接触する金属の厚みにおいて損失が約10ミクロン/年未満であるように腐食を実質的に抑制するのに有効な濃度又は量で提供されうる。
【0201】
ここに記載された実施例の多くの変更が、前述の説明と関連する図面及び図に示された教示の利益を有する本開示が関連する当業者には想起されるであろう。従って、本開示は例証された特定の実施例に限定されるものではなく、変形例及び他の実施例が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されることが理解されるべきである。更に、前述の説明と関連する図面及び図が、要素及び/又は機能の所定の例示的な組み合わせの文脈において本開示の実施例を記述しているが、要素及び/又は機能の異なる組合せが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替の実施によってもたらされうることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0202】
実施例では、添付の図面が参照される。
図1】本開示の一実施例に係るポリシロキサン混合物の液体クロマトグラフィーの概略図を示し、特定のポリシロキサン化合物の量が縦軸に提供され、シラン(Si)基の数によって規定されるポリシロキサン化合物が横軸に沿って提供される。
図2】本開示の一実施例に係るEB-D8-EBの調製の第一工程のGCデータを示し、GCにおいて揮発性であるオリゴマーの分布を示す。
図3】本開示の一実施例に係るEB-D8-EBの調製の第一工程のプロトンNMRを示し、明らかな末端Si-H基(~4.65のピーク)を伴って生じた鎖延長とSi(ピーク~0.15が末端Siであり、ピーク0.05が骨格Siである)に結合するメチル基を示す。
図4】本開示の一実施例に係るEB-D8-EBの第二工程(ヒドロシリル化)に関するGCデータを示し、GCにおいて揮発性であるオリゴマーの分布を示す。
図5】本開示の一実施例に係るEB-D8-EBの調製のための第二反応工程のプロトンNMRを示す。
図6】本開示の一実施例に係る低分子量オリゴマーを示すEB-D8-EBのHPLCを示す。
図7】本開示の一実施例に係るオリゴマーの全分布を示すEB-D8-EBのHPLCを示す。
図8】蒸留/WFE前の本開示の一実施例に係るEB-D8-EBのGCデータを示す。
図9】蒸留/WFE後の本開示の一実施例に係るEB-D8-EBのGCデータを示す。
【実施例
【0203】
本開示を、次の実施例によって更に説明する。次の説明は、特定の実施例のみを説明するためのものであり、上記の記載について限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0204】
A.流体圧流体組成物
流体圧流体組成物を調製し、様々な性質を決定した。流体組成物の実施例の範囲を以下の表4及び5に示す。表4では、ポリシロキサンは、組成物中にそれぞれ50:50~95:5の比でジホスホネートと共に提供された。モノホスホネート、ジホスホネート及びSkydrol(登録商標)(LD4)の航空産業用流体圧流体とのポリシロキサンの適切な混和性をまた評価した。現在使用されている航空用流体圧流体は、Skydrol(登録商標)(LD4)のようなモノホスフェート系流体である。現在使用されている別の流体圧流体は、壊食防止添加剤として過フッ素化界面活性剤をまた含むモノホスフェート系流体圧流体であるSkydrol(登録商標)5である。現在の航空用流体圧流体に使用されるモノホスフェート化合物(すなわちP(=O)(OR))は、酸素原子を介さずにリン原子に直接結合した炭化水素基を含むホスホネート(すなわちP(=O)(OR))、例えばここに記載のモノホスホネート又はジホスホネートとは構造的に区別される。表5はまた、単独で、及びポリシロキサンとジホスホネートの組み合わせ混合物である「F9ミックス」と組み合わせて、アルキルホスホネートを含む流体組成物のある範囲の更なる例を提供する。流体組成物はまた、例えば、酸スカベンジャー及び酸化防止剤を含む、ある範囲の追加の添加剤をカバーして調製し、試験した。
【0205】
【0206】
[生成物分析]
ポリシロキサン生成物を、GC、プロトンNMR及び/又はHPLCの何れかによって分析した。以下に提示される分析データはEB-D8-EBに関するものであり、EB-D8-EB以外のポリシロキサンに対する分析アプローチの例を提供する。ここに提示された分析データは、第一反応工程、すなわちポリシロキサン骨格を形成する開環重合(GC及びNMR)、第二反応工程、すなわちヒドロシリル化による末端キャッピング(GC及びNMR)並びに最終生成物中におけるオリゴマーの分布(HPLC)に関連している。追加的に提示されるのは、低分子量揮発物が除去された蒸留/WFE生成物の典型的なGCトレースである。
【0207】
[EB-D8-EBの分析データ]
EB-D8-EBの調製の第一工程について、GCにおいて揮発性であるオリゴマーの分布を示すGCデータを図2に示す。プロセスのこの段階では、19のケイ素鎖長に対するオリゴマーがGCにおいて観察される(図2参照)。以下の表6にまた提供されるGCの結果は、標的D8に近い数平均/重量平均(NiWi)を有するポリシロキサン骨格の形成を示している。
【0208】
EB-D8-EBの調製の第一工程に関して、明らかな末端Si-H基(~4.65のピーク)を伴って生じた鎖延長とSi(ピーク~0.15が末端Siであり、ピーク0.05が骨格Siである)に結合するメチル基を示すプロトンNMRが図3に提供される。
【0209】
EB-D8-EBの調製の第二工程(ヒドロシリル化)に関して、GCにおいて揮発性であるオリゴマーの分布を示すGCデータが図4に提供される。プロセスのこの段階では、ヒドロシリル化が起こった結果、11のケイ素鎖長のオリゴマーが観察される。より長い鎖のオリゴマーはGCに現れないので、平均鎖長が実際よりも短く見えることに留意されたい。GCデータは以下の表7にもまた提供される。
【0210】
EB-D8-EBの調製のための第二反応工程の図5に示すプロトンNMRは、出発H-D8-H(上のプロトンNMRにおける~4.65のピークは明らかでない)がプロセスの完了時には見られないことを示している。
【0211】
図6のEB-D8-EBのHPLCは、低分子量オリゴマーの分離を示す。図7のEB-D8-EBのHPLCは、オリゴマーの全分布を示す。
【0212】
EB-D8-EB生成物中に存在するオリゴマーの相対量を示す上に提示された統合HPLCデータの解析及び積分により、平均鎖長が~8であるとの決定が可能になった(図1参照)。
【0213】
図8(蒸留/WFE前)及び図9(蒸留/WFE後)のGCデータは、蒸留/WFE後の分布を示し、低分子量揮発性物質の存在の減少を明確に示している。
【0214】
[添加剤の添加]
酸価が仕様外であった場合、酸価を活性アルミナの使用によって減少させることができた。リン酸エステル配合物中の酸レベルを制限するためにSkydrol(登録商標)(LD4)において使用された制酸添加剤である、DCE410[7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-カルボン酸,2-エチルヘキシル]の使用は、酸価が減少した後に効果的であることが見出された。
【0215】
B.式1及び1aのポリシロキサン化合物の調製
実施例1:α,ω-ジエチルベンジルオクタシロキサン(EB-D8-EB)の調製
TMMS(テトラメチルジシロキサン;671.6g)を、磁気撹拌子(magnetic flea)、窒素供給口、真空ライン及び凝縮器を備えた5000mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;2341.7g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでトリフルオロメタンスルホン酸(4.34g)を撹拌しながら添加した。温度を3時間の間、50℃に上昇させて、平均長8反復単位のヒドリド末端シロキサン鎖の分布を生成した。次に、大過剰の重炭酸ナトリウム(6.08g)を加え、混合物を30分間撹拌して確実に酸を中和した。スチレン(1066.9g)にKarstedt触媒(2%、1.00g)を添加し、ついでその混合物をヒドリド末端シロキサンに約1時間の間隔で3回(293g、352g及び448g)に分けて加えた。各添加の直後に温度は約40℃上昇し、その後徐々に低下した。最後の添加の1時間後、活性炭(20g)を加えてKarstedt触媒を吸着させ、混合物を更に1時間撹拌した。ついで、濾過助剤(セライト542;20g)を添加し、混合物を中速紙で濾過した。ついで、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)、又は拭き取りフィルム蒸発(150℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、揮発性物質(主に残留スチレン及びD4)を、濾過した反応混合物から除去した。最終生成物は、白色から淡黄色の油状物であった。
【0216】
シロキサン生成物の組成を液体クロマトグラフィーで分析し、得られたシロキサンオリゴマー混合物を、特定のシロキサン化合物の量が縦軸に、シラン(Si)基の数によって規定されるシロキサン化合物が横軸に沿って設けられる図1に示すチャートに示す。数平均モル質量は869であり、重量平均モル質量は1044であると決定され、これらの計算から、多分散度(PD)は約1.2であると決定された。シロキサンオリゴマーの混合物の組成は、本質的に、約8のシラン基(すなわち、EB-D8-EB)に対応する数平均シロキサンオリゴマーを提供する。このシロキサン生成物組成物は、有利な粘度特性及び様々な成分とその添加剤を含む他の流体圧流体との様々な適合性を含む、流体圧流体又はその中の成分としての使用に有利な特性をもたらすことが示された。
【0217】
実施例2:α,ω-ジエチルベンジルエチルベンジルドデカシロキサン(EB-D12EB-EB)の調製
TMDS(テトラメチルジシロキサン;134.3g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた2000mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;667.4g)及び「D4H」(テトラメチルシクロテトラシロキサン;60.1g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでトリフルオロメタンスルホン酸(1.72g)を、撹拌しながら添加した。温度を50~60℃に3時間の間、上昇させて、鎖当たり平均3ヒドリド単位を持つ平均長12反復単位のヒドリド末端シロキサン鎖の分布を生成した。次に、大過剰の重炭酸ナトリウム(3.65g)を加え、混合物を30分間撹拌して確実に酸を中和した。スチレン(320.1g)にKarstedt触媒(2%、1.50g)を添加し、ついでその混合物を、添加間に約1時間の遅れを持たせて、160.0gの2回分でヒドリド末端シロキサンに加えた。各添加の直後に温度は約50℃上昇し、その後徐々に低下した。最後の添加の1時間後、活性炭(8.8g)を加えてKarstedt触媒を吸着させ、混合物を更に1時間撹拌した。ついで、濾過助剤(セライト542;8.8g)を添加し、混合物を中速紙で濾過した。ついで、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)、又は拭き取りフィルム蒸発(150℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、揮発性物質(主に残留スチレン及びD4)を、濾過した反応混合物から除去した。最終生成物は、白色から淡黄色の油状物であった。
【0218】
実施例3:α,ω-ジエチルベンジルジエチルベンジルヘキサデカシロキサン(EB-D16EB2-EB)の調製
TMDS(テトラメチルジシロキサン;94.03g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた2000mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;622.90g)及び「D4H」(テトラメチルシクロテトラシロキサン;84.18g)を加え、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでトリフルオロメタンスルホン酸(1.602g)を、撹拌しながら加えた。温度を60~70℃に4時間の間、上昇させて、鎖当たり平均3ヒドリド単位を持つ平均長16反復単位のヒドリド末端シロキサン鎖の分布を生成した。次に、大過剰の重炭酸ナトリウム(5.66g)を加え、混合物を30分間撹拌して確実に酸を中和した。スチレン(298.72g)にKarstedt触媒(2%、0.8g)を添加し、ついでその混合物を、添加間に約40分の遅れを持たせて、149.36gの2回分でヒドリド末端シロキサンに加えた。各添加の直後に温度はそれぞれ約70℃及び40℃上昇し、その後徐々に低下した。最後の添加の1時間後、活性炭(8.2g)を加えてKarstedt触媒を吸着させ、混合物を更に2~3時間撹拌した。ついで、濾過助剤(セライト542;5.46g)を添加し、混合物を中速紙で濾過した。ついで、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)、又は拭き取りフィルム蒸発(150℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、揮発性物質(主に残留スチレン及びD4)を、濾過した反応混合物から除去した。最終生成物は、白色から淡黄色の油状物であった。
【0219】
実施例4:α,ω-ジエチルベンジルジフェニルヘキサデカシロキサン(EB-D16(Ph2)-EB)の調製
TMDS(テトラメチルジシロキサン;94.03g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた2000mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;622.90グラム)及び「D3PH」(トリメチルトリフェニルシクロシロキサン;190.72グラム)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついで、撹拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸(1.43g)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、鎖当たり平均3ヒドリド単位を持つ平均長16反復単位のヒドリド末端シロキサン鎖の分布を生成した。次に、大過剰の重炭酸ナトリウム(4.01g)を加え、混合物を30分間撹拌して確実に酸を中和した。スチレン(149.36g)にKarstedt触媒(2%、0.234g)を添加し、ついでその混合物をヒドリド末端シロキサンに添加した。直後に、温度が約60℃上昇し、ついで徐々に低下した。1時間後、活性炭(11.04g)を加えてKarstedt触媒を吸着させ、混合物を更に2~3時間撹拌した。ついで、濾過助剤(セライト542;184.36g)を添加し、混合物を中速紙で濾過した。ついで、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)、又は拭き取りフィルム蒸発(150℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、揮発性物質(主に残留スチレン及びD4)を、濾過した反応混合物から除去した。
【0220】
実施例5:α,ω-テトラフェニルオクトシロキサン(Ph2-D8-Ph2)の調製
磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた100mlの丸底フラスコに、TPhTMTS(1,1,5,5-テトラフェニル-1,3,3,5-テトラメチルトリシロキサン、24.24g)を投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;18.54g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでトリフルオロメタンスルホン酸(0.11g)を窒素下で5時間撹拌しながら添加した。過剰の重炭酸ナトリウム(0.76g)及び活性炭(0.76g)を加え、混合物を6時間撹拌した。ついで、濾過助剤(セライト)を添加し、混合物を中速紙で濾過した。ついで、濾過した反応混合物から揮発性物質を、80℃で3~4時間の~10mBarでの回転蒸発により、除去した。透明な液体を生成した。
【0221】
実施例6:テトラエチルベンジルテトラメチルテトラシクロシロキサンの調製
D4H(テトラメチルシクロテトラシロキサン;24.05g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた100mlの丸底フラスコに投入した。窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでKarstedt触媒(2%、0.16g)を添加した。続いて、スチレン(42.675g)を4回に分けて加え、次の添加前に混合物を冷却した。各添加の直後に温度は約40~70℃上昇し、その後徐々に低下した。最後の添加後、混合物を冷却させ、活性炭(0.66g)を加えてKarstedt触媒を吸着させた。混合物を中速紙で濾過し、ついで揮発性物質を、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)又は拭き取りフィルム蒸発(150℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、濾過した反応混合物から除去した。最終生成物は粘稠な液体であった。
【0222】
実施例7:α,ω-ジエチルベンジルフェニルドデカシロキサン(EB-D12(Ph)-EB)の調製
TMDS(テトラメチルジシロキサン;6.72g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた250mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;33.37g)及び「D3Ph」(トリメチルトリフェニルシクロシロキサン:6.81g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでトリフルオロメタンスルホン酸(0.10g)を撹拌しながら添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。重炭酸ナトリウム(0.35g)を加え、混合物を30分間撹拌して確実に酸を中和した。ついで、スチレン(10.67g)を添加し、続いてKarstedt触媒(2%、0.075g)を添加した。添加直後に温度はそれぞれ約60℃上昇し、その後徐々に低下した。活性炭(0.6g)を加えてKarstedt触媒を吸着させた。その後、揮発性物質を、濾過した反応混合物から、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)の何れかにより2時間除去した。
【0223】
実施例8:α,ω-ジエチルベンジルジフェニルドデカシロキサン(EB-D12(Ph2)-EB)の調製
TMDS(テトラメチルジシロキサン;6.72g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた250mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;29.66g)及び「D3Ph」(トリメチルトリフェニルシクロシロキサン:13.62g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでトリフルオロメタンスルホン酸(0.09g)を撹拌しながら添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。重炭酸ナトリウム(0.15g)を加え、混合物を30分間撹拌して確実に酸を中和した。ついで、スチレン(10.67g)を添加し、続いてKarstedt触媒(2%、0.04g)を添加した。添加直後に温度はそれぞれ約60℃上昇し、その後徐々に低下した。活性炭(0.6g)を加えてKarstedt触媒を吸着させた。ついで、揮発性物質を、濾過した反応混合物から、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)の何れかにより2時間除去した。
【0224】
実施例9:α,ω-ジエチルベンジルエチルベンジルドデカシロキサン(EB-D12(EB)-EB)の調製
TMDS(テトラメチルジシロキサン;2014.9g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた2000mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;10010.8g)及び「D4H」(テトラメチルシクロテトラシロキサン;901.9g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついで撹拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸(25.85g)を添加した。混合物を70℃で4時間撹拌した。重炭酸ナトリウム(0.15g)を加え、混合物を30分間撹拌して確実に酸を中和した。ついで、スチレン(2400g)を添加し、続いてKarstedt触媒(2%、0.5g)を添加した。~80℃の発熱が観察され、反応混合物を~70℃まで冷却させた後、スチレン(2400g)の二回目分を加え、~40℃の発熱が起こった。反応を~80℃まで冷却させた後、活性炭(132.1g)を加えてKarstedt触媒を吸着させた。セライト(88g)及びMgSO(88g)を加え、混合物を濾過した。その後、揮発性物質を、2時間の減圧蒸留(~1mbar、160℃まで)により、濾過した反応混合物から除去した。
【0225】
実施例10:α,ω-ジエチルベンジルジエチルベンジルドデカシロキサン(EB-D12(EB2)-EB)の調製
TMDS(テトラメチルジシロキサン;6.72g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた100mlの丸底フラスコに投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;29.7g)及び「D4H」(テトラメチルシクロテトラジロキサン;6.01g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついで撹拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸(0.106g)を添加した。混合物を50~60℃で3時間撹拌した。重炭酸ナトリウム(0.18g)を加え、混合物を10~20分間撹拌して確実に酸を中和した。ついで、スチレン(21.3g)を添加し、続いてKarstedt触媒(2%、0.08g)を添加した。~100℃の発熱が観察された。活性炭(0.6g)を添加してKarstedt触媒を吸着させる前に、反応物を周囲温度まで冷却させた。混合物を濾過した。ついで、揮発性物質を、2時間、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)により、濾過した反応混合物から除去した。
【0226】
実施例11:テトラフェニルヘキサデカシロキサン(Ph2-D16-Ph2)の調製
磁気撹拌子、窒素供給口、真空ライン、凝縮器及び温度プローブを備えた100mlの丸底フラスコに、TPhTMTS(1,1,5,5-テトラフェニル-1,3,3,5-テトラメチルトリシロキサン、9.7g)を投入した。D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン;19.28g)を添加し、窒素及び真空を使用して混合物を脱気し、ついでシロキサノレート(0.3g)を窒素下で一晩撹拌して加え、その後150℃で1時間加熱した。
【0227】
C.式2のジホスホネート化合物の調製
実施例7:テトラエチルプロパンジホスホネートの調製
磁気撹拌子、窒素供給口、凝縮器、レシーバー及び温度プローブを備えた250mlの丸底フラスコに、1,3-ジブロモプロパン(60.6g)及び亜リン酸トリエチル(100.0g)を投入した。ゆっくりとした窒素供給を開始し、撹拌しながら温度を180℃に上昇させた。約150℃で、副生成物である臭化エチルがレシーバーに留出して、混合物が沸騰し始め、温度上昇速度が増加した。温度は約185℃でピークを迎え、その後、残りの亜リン酸トリエチル(50.0g)をゆっくりと加えた。混合物を170~180℃に更に2時間保持して反応を完結させた。ついで、粗生成物を冷却し、揮発性物質(主に未反応の亜リン酸トリエチル及び副反応副生成物のジエチルエチルホスホネート)を、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)によって、又は拭き取りフィルム蒸発(160℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、反応混合物から除去した。最終生成物は白色の油状物であった。
【0228】
実施例8:テトラブチルプロパンジホスホネートの調製
磁気撹拌子、窒素供給口、凝縮器、レシーバー及び温度プローブを備えた5000mlの丸底フラスコに、1,3-ジブロモプロパン(888.3g)及び亜リン酸トリブチル(2203g)を投入した。ゆっくりとした窒素供給を開始し、撹拌しながら温度を180℃に上昇させた。約150℃で、副生成物である臭化ブチルがレシーバーに留出して、混合物が沸騰し始め、温度上昇速度が増加した。温度が200℃に達したとき、残りの亜リン酸トリブチル(881g)を、反応温度を200℃近くに維持するのに十分な速度で供給した。混合物を170~190℃に更に2時間保持して反応を完結させた。次に、粗生成物を冷却し、揮発性物質(主に未反応の亜リン酸トリブチル及び副反応副生成物のジブチルブタンホスホネート)を、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)によって、又は拭き取りフィルム蒸発(160℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、反応混合物から除去した。最終生成物は、白色から淡黄色の油状物であった。
【0229】
実施例9:ジエチルジブチルプロパンジホスホネートの調製
磁気撹拌子、窒素供給口、凝縮器、レシーバー及び温度プローブを備えた2000mlの丸底フラスコに、1,3-ジブロモプロパン(504.72g)及び亜リン酸トリエチル(498.47g)を投入した。ゆっくりとした窒素供給を開始し、撹拌しながら温度を160℃に上昇させた。約140℃で、副生成物である臭化エチルがレシーバーに留出して、混合物が沸騰し始め、温度上昇速度が増加した。発熱がピークに達し、副産物を留去した後、亜リン酸トリブチル(625.8g)を、反応温度を200℃近くに維持するのに十分な速度で供給した。混合物を170~180℃に更に2時間保持して反応を確実に完了させた。次に、粗生成物を冷却し、揮発性物質(主に未反応の亜リン酸トリエチル及び/又はトリブチル)を、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)によって、又は拭き取りフィルム蒸発(160℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、反応混合物から除去した。最終生成物は淡黄色の油状物であり、活性炭を使用して色を除いた。
【0230】
実施例10:テトラブチルキシリルジホスホネートの調製
α,α’-ジクロロキシレン(17.51g)及び亜リン酸トリブチル(150.19g)を、磁気撹拌子、窒素供給口、凝縮器、レシーバー及び温度プローブを備えた250mlの丸底フラスコに投入した。ゆっくりとした窒素供給を開始し、撹拌しながら温度を200℃に上昇させた。反応混合物を約160℃に冷却し、反応物に臭化ナトリウム(20.58g)及びヨウ化ナトリウム(30g)を連続的に加えた。ついで、粗生成物を冷却し、揮発性物質(主に未反応の亜リン酸トリブチル)を、減圧蒸留(~1mBar、160℃まで)、又は拭き取りフィルム蒸発(160℃で~5mBar、2”単位で流量4ml/分)によって、反応混合物から除去した。
【0231】
D.式3のホスホネート化合物の調製
実施例11:ジエチルベンジルホスホネートの調製
臭化ベンジル(171.0g)及び亜リン酸トリエチル(28.5g)を、蒸留装置、磁気撹拌子、及び20cm長のDufton分留塔を備えた500mlの丸底フラスコに加えた。撹拌しながら反応物を140℃に加熱し、副生成物の臭化エチルを留去して集めた。スチルヘッド温度を約40℃に、反応器温度を約140℃に維持するような速度で亜リン酸トリエチル(28.5g)を更に5回添加した。蒸留が終了したところで、NMRを使用して、プロトンNMRにおいて-C -Brシグナルが存在しないことから反応が完了したことを確認した。粗生成物を高真空蒸留により精製して、揮発性物質(主に未反応の亜リン酸トリエチル及び副反応副生成物のジエチルエチルホスホネート)を除去した。最終生成物は透明で淡黄色の油状物であった。
【0232】
実施例12:ジブチルヘキサンホスホネートの調製
1-ブロモヘキサン(194.8g)及び亜リン酸トリブチル(443.1g)を、蒸留装置及び磁気撹拌子を備えた丸底フラスコに加えた。反応物を165~170℃に加熱し、副生成物の臭化ブチルを留去して集めた。蒸留が終了したところで、NMRを使用して、プロトンNMRにおいて通常約2~3時間後に-C -Brシグナルが存在しないことから、反応が完了したことを確認した。一般に、急速な揮発を防止するその比較的高い沸点のため臭化ブチルの理論量の約50%しか回収されなかった。粗生成物を高真空蒸留により精製して、揮発性物質(主に未反応の亜リン酸トリブチル及び副反応副産物のジブチルブタンホスホネート)を除去した。最終生成物は透明で淡黄色の油状物であった。
【0233】
実施例13:ジエチルオクタンホスホネートの調製
蒸留装置、磁気撹拌子、及び20cm長のDufton分留塔を備えた5000mlの丸底フラスコに、ブロモオクタン(1931.3g)及び全亜リン酸トリエチル(1994g)の一部を添加した。反応混合物を200℃に加熱した。温度が160~180℃を超えると激しい発熱が起こり、副生する臭化エチルが留出されて回収された。蒸留物の温度を100℃以下に保つように、残りの亜リン酸トリエチルをゆっくりと加える。発熱が低下し、反応が完了に近づくと、温度を170℃~180℃に更に2時間維持する。未反応の亜リン酸トリエチル及び他の揮発性成分のジエチルエチルホスフェート(DEEP)を真空蒸留によって除去する。蒸留が終了したところで、NMRを使用して、プロトンNMRにおいて-C -Brシグナルが存在しないことから、反応が完了したことを確認した。粗生成物を高真空蒸留により精製して、揮発性物質(主に未反応亜リン酸トリエチル及び副反応副生成物のジエチルエチルホスホネート)を除去した。
【0234】
本開示は次の番号を付したパラグラフの何れか一又は複数を参照して更に明らかにされうる:
1. ポリシロキサン化合物と非ハロゲン化ジホスホネート化合物とを含有する流体圧流体組成物であって、ポリシロキサン化合物が、式1:
[ここで
yは1~40から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
~Rの少なくとも一つ、又はy単位の少なくとも一つからのR及びRの少なくとも一つが、C1-10アルキルアリールである]
の化合物によって表される、流体圧流体組成物。
2. 式1のポリシロキサン化合物が、式1a:
[ここで
xが0~10から選択される整数であり;
yが1~20から選択される整数であり;
zが0~10から選択される整数であり;
、R、R、及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
各R、R、R、及びR10が、C1-10アルキルから独立して選択される]
の化合物によって表される、パラグラフ1に記載の流体圧流体組成物。
3. 各R、R、R、及びR10がメチルであり、x及びzが1~3からそれぞれ独立して選択される整数である、パラグラフ2に記載の流体圧流体組成物。
4. yが2~16から選択される整数であり、又はx、y及びzの合計が2~16から選択される整数である、パラグラフ1から3の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
5. R及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;各R、R、R、R、R、R、及びR10が、C1-4アルキルであり;かつ各R及びyが、アリール及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される1~6の任意の置換基を有する式1aのポリシロキサン化合物を提供するように選択され、かつ各Rの任意の他の置換基がC1-4アルキルから独立して選択される、パラグラフ2から4の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
6. 各R、R、R、R、R、R、及びR10が、メチルであり;かつ各Rが、メチル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される、パラグラフ5に記載の流体圧流体組成物。
7. R及びRの少なくとも一方又は両方が、アリール及びC1-10アルキルアリールからなる群から選択される、パラグラフ1から6の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
8. C1-10アルキルアリールがC1-6アルキルフェニルである、パラグラフ1から7の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
9. ポリシロキサン化合物中のフェニル置換基の数が、ケイ素に対して2~50モル%のシロキサン化合物中のフェニルのモル%を与える、パラグラフ8に記載の流体圧流体組成物。
10. 組成物が式1の少なくとも2種のポリシロキサン化合物の混合物を含有する、パラグラフ1から9の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
11. ポリシロキサン混合物が、異なるy値又は9~12、8~13、9~14、8~15、7~16、又は6~17から選択され、各整数を含む所定数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含む、パラグラフ10に記載の流体圧流体組成物。
12. ポリシロキサン混合物が、9~12の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも4種のポリシロキサン化合物又は8~13の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも6種のポリシロキサン化合物を含む、パラグラフ10に記載の流体圧流体組成物。
13. ジホスホネート化合物が、式2:
[ここで
Xは、アリール、C1-20アルキル、C1-20アルキルアリール、及びC1-20ジアルキルアリールからなる群から選択され;かつ
11、R12、R13、及びR14が、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される]
の化合物によって表される、パラグラフ1から12の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
14. ジホスホネート化合物が、式2(a)(i):
[ここで
mが、1~10から選択される整数であり;
11、R12、R13、及びR14が、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;かつ
各R15及びR16が、水素、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群から独立して選択される]
の化合物によって表される、パラグラフ1から12の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
15. mが、1~6から選択される整数であり;
11、R12、R13、及びR14が、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;かつ
各R15及びR16が、水素及びメチルからなる群から独立して選択される、パラグラフ14に記載の流体圧流体組成物。
16. mが、1~6から選択される整数であり;
11、R12、R13、及びR14が、C2-10アルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ
各R15及びR16が水素である、パラグラフ14に記載の流体圧流体組成物。
17. 組成物が、式3:
[ここで、
17、R18、及びR19が、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される]
の化合物によって表されるホスホネート化合物を更に含有する、パラグラフ1から16の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
18. R17、R18、及びR19が、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される、パラグラフ17に記載の流体圧流体組成物。
19. 組成物の重量%に基づくポリシロキサン化合物の量が約10~90%で提供される、パラグラフ1から18の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
20. 組成物中のジホスホネート化合物に対するポリシロキサン化合物の体積比が、ポリシロキサンに対して約1:2を超えるか、又はそれぞれ約4:1~1:4の体積比で、提供される、パラグラフ1から19の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
21. 組成物が、酸スカベンジャー、壊食防止添加剤、粘度指数向上剤、消泡剤、酸化防止剤、腐食防止添加剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含有するか又はそれらからなる、パラグラフ1から20の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
22. 組成物が、酸スカベンジャー、消泡剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含有するか又はそれらからなる、パラグラフ21に記載の流体圧流体組成物。
23. 酸スカベンジャーが、フェニルグリシジルエーテル、ピネンオキシド、スチレンオキシド、グリシジルシクロヘキシルエーテル、グリシジルエポキシシクロヘキシルエーテル、ジグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、ブタジエンジオキシドシクロヘキシレンオキシド、ビスエポキシシクロヘキシルアジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート及び3,4-エポキシシクロヘキサン、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ21又はパラグラフ22に記載の流体圧流体組成物。
24. 消泡剤が、シリコーン油、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ21から23の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
25. 酸化防止剤が、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、フェニル-α-ナフチルアミン、ジ(オクチルフェニル)アミン、6-メチル-2,4-ビス(オクチルチオ)-メチル]フェノール、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ21から24の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
26. 組成物が、フッ素化された壊食防止添加剤を実質的に含まない、パラグラフ1から25の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
27. 組成物が、過フッ素化アニオン性界面活性剤を実質的に含まない、パラグラフ26に記載の流体圧流体組成物。
28. 組成物が、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)エステル、多環式ポリマー、ポリウレタン、ポリアルキレンオキシド、及びポリエステルからなる群から選択される一又は複数の追加の粘度指数向上剤を実質的に含まない、パラグラフ1から27の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
29. 組成物の引火点が、Stanhope Seta Open Cup装置で2~4mlの容量のASTM D4206の引火点試験法を使用して測定した場合、160~300℃である、パラグラフ1から28の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
30. 組成物の密度(298Kにおけるgcm-3)が、1.5未満である、パラグラフ1から29の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
31. 組成物が、約100°Fで約5~約25センチポアズ、-65°Fで約500~約3500センチポアズの粘度を示す、パラグラフ1から30の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
32. 組成物が、耐火流体圧流体としての使用に対して効果的である、パラグラフ1から31の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
33. 組成物が、航空機における流体圧流体としての使用に対して効果的である、パラグラフ32に記載の流体圧流体組成物。
34. パラグラフ1から33の何れか一に記載の流体圧流体組成物の、耐火流体圧流体としての使用。
35. 耐火流体圧流体が航空機に使用される、パラグラフ34に記載の使用。
36. パラグラフ13から16の何れか一に記載のジホスホネート化合物を含有する流体圧流体組成物の調製における、パラグラフ1から12の何れか一に記載の式1のポリシロキサン化合物の使用。
37. パラグラフ1から12の何れか一に記載の式1のポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物の調製における、パラグラフ13から16の何れか一に記載のジホスホネート化合物の使用。
38. パラグラフ1から33の何れか一に記載の式1のポリシロキサン化合物とジホスホネート化合物とを組成物中に任意の順序で一緒に添加することを含む、流体圧流体組成物の調製方法。
39. 流体圧流体組成物が、ホスホネート化合物又は添加剤の少なくとも一つを任意の順序で組成物中に添加することにより調製される、パラグラフ38に記載の方法。
40. 式1:
[ここで
yは4~40から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
~Rの少なくとも一つ、又はy単位の少なくとも一つからのR及びRの少なくとも一つが、C1-10アルキルアリールである]
のポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物。
41. 式1のポリシロキサン化合物が、式1a:
[ここで
xが0~10から選択される整数であり;
yが4~20から選択される整数であり;
zが0~10から選択される整数であり;
、R、R、及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
各R、R、R、及びR10が、C1-10アルキルから独立して選択され;かつ
~Rの少なくとも一つ、又はx、y又はz単位の少なくとも一つからのR~R10の少なくとも一つが、C1-10アルキルアリールである]
の化合物によって表される、パラグラフ40に記載の流体圧流体組成物。
42. 各R、R、R、及びR10がメチルであり、x及びzが1~3からそれぞれ独立して選択される整数である、パラグラフ41に記載の流体圧流体組成物。
43. yが4~16から選択される整数であるか、又はx、y及びzの合計が4~16から選択される整数である、パラグラフ40から42の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
44. R及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからそれぞれ独立して選択され;各R、R、R、R、R、R、及びR10が、C1-4アルキルであり;かつ各R及びyが、アリール及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される1~6の任意の置換基を有する式1aのポリシロキサン化合物を提供するように選択され、かつ各Rの任意の他の置換基がC1-4アルキルから独立して選択される、パラグラフ40から43の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
45. 各R、R、R、R、R、R、及びR10がメチルであり、各Rがメチル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される、パラグラフ44に記載の流体圧流体組成物。
46. R及びRの少なくとも一方がC1-10アルキルアリールである、パラグラフ40から45の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
47. C1-10アルキルアリールがC1-6アルキルフェニルである、パラグラフ40から46の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
48. ポリシロキサン化合物中のフェニル置換基の数が、ケイ素に対して2~50モル%のシロキサン化合物中のフェニルのモル%を提供する、パラグラフ47に記載の流体圧流体組成物。
49. 組成物が、それぞれがパラグラフ40から48の何れか一に記載された式1の少なくとも2種のポリシロキサン化合物の混合物を含有する、パラグラフ40から48の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
50. ポリシロキサン混合物が、異なるy値又は9~12、8~13、9~14、8~15、7~16、又は6~17から選択され、各整数を含む所定数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含む、パラグラフ49に記載の流体圧流体組成物。
51. ポリシロキサン混合物が、9~12の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも4種のポリシロキサン化合物又は8~13の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも6種のポリシロキサン化合物を含む、パラグラフ50に記載の流体圧流体組成物。
52. 組成物が、式3:
[ここで、
17、R18、及びR19が、C1-20アルキル、アリール、及びC1-20アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される]
のホスホネート化合物を更に含有する、パラグラフ40から51の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
53. R17、R18、及びR19が、C1-10アルキル及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される、パラグラフ52に記載の流体圧流体組成物。
54. 組成物の重量%に基づくポリシロキサン化合物の量が約10~90%で提供される、パラグラフ40から53の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
55. 組成物が、酸スカベンジャー、壊食防止添加剤、粘度指数向上剤、消泡剤、酸化防止剤、腐食防止添加剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含有するか又はそれらからなる、パラグラフ40から54の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
56. 組成物が、酸スカベンジャー、消泡剤、酸化防止剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含有するか又はそれらからなる、パラグラフ55に記載の流体圧流体組成物。
57. 組成物が、フッ素化された壊食防止添加剤を実質的に含まない、パラグラフ40から56の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
58. 組成物が、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)エステル、多環式ポリマー、ポリウレタン、ポリアルキレンオキシド、及びポリエステルからなる群から選択される一又は複数の追加の粘度指数向上剤を実質的に含まないパラグラフ40から57の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
59. 組成物の引火点が、Stanhope Seta Open Cup装置で2~4mlの容量のASTM D4206の引火点試験法を使用して測定した場合、160~300℃である、パラグラフ40から58の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
60. 組成物の密度(298Kにおけるgcm-3)が1.5未満である、パラグラフ40から59の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
61. 組成物が、約100°Fで約5~約25センチポアズ、-65°Fで約500~約3500センチポアズの粘度を示す、パラグラフ40から60の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
62. 組成物が、耐火流体圧流体としての又は航空機における流体圧流体としての使用に対して効果的である、パラグラフ40から61の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
63. パラグラフ40から62の何れか一に記載の式1のポリシロキサン化合物の、流体組成物のための粘度調整剤としての又は流体圧流体組成物の調製のための使用。
64. 式1のポリシロキサン化合物と一又は複数の追加の化合物及び添加剤とを組成物中に任意の順序で一緒に組み合わせることを含み、式1の一又は複数のポリシロキサン化合物、式3のホスホネート化合物を含む一又は複数の追加の化合物、及び一又は複数の追加の添加剤のそれぞれが、パラグラフ40から62の何れか一に記載された通りである、流体圧流体組成物の調製方法。
65. 式1:
[ここで
yは4~25から選択される整数であり;
、R、R、及びRは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rは、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
及びRの少なくとも一つが、C1-10アルキルアリールである]
のポリシロキサン化合物。
66. 式1のポリシロキサン化合物が、式1a:
[ここで
xが0~10から選択される整数であり;
yが4~20から選択される整数であり;
zが0~10から選択される整数であり;
、R、R、及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;
各R及び各Rが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択され;かつ
各R、R、R、及びR10が、C1-10アルキルから独立して選択され;かつ
x、y及びzの合計が4~25であり、R~Rの少なくとも一つがC1-10アルキルアリールである]
の化合物によって表される、パラグラフ65に記載のポリシロキサン化合物。
67. 各R、R、R、及びR10がメチルであり、x及びzが1~3からそれぞれ独立して選択される整数である、パラグラフ66に記載のポリシロキサン化合物。
68. yが4~16から選択される整数であり、又はx、y及びzの合計が4~16から選択される整数である、パラグラフ65から67の何れか一に記載のポリシロキサン化合物。
69. R及びRが、C1-10アルキル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;各R、R、R、R、R、R、及びR10が、C1-4アルキルであり;かつ各R及びyが、アリール及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される1~6の追加の置換基を有するポリシロキサン化合物を提供するように選択され、かつ各Rの任意の他の置換基がC1-4アルキルから独立して選択される、パラグラフ65から68の何れか一に記載のポリシロキサン化合物。
70. 各R、R、R、R、R、R、及びR10が、メチルであり;かつ各Rが、メチル、アリール、及びC1-10アルキルアリールからなる群から独立して選択される、パラグラフ69に記載のポリシロキサン化合物。
71. R及びRの両方がC1-10アルキルアリールである、パラグラフ65から70の何れか一に記載のポリシロキサン化合物。
72. C1-10アルキルアリールがC1-6アルキルフェニルである、パラグラフ65から71の何れか一に記載のポリシロキサン化合物。
73. ポリシロキサン化合物中のフェニル置換基の数が、ケイ素に対して2~50モル%のシロキサン化合物中のフェニルのモル%を与える、パラグラフ72に記載のポリシロキサン化合物。
74. パラグラフ65から73の何れか一に記載のポリシロキサン化合物を含有する流体圧流体組成物。
75. 組成物が式1の少なくとも2種のポリシロキサン化合物の混合物を含有する、パラグラフ74に記載の流体圧流体組成物。
76. ポリシロキサン混合物が、異なるy値又は9~12、8~13、9~14、8~15、7~16、又は6~17から選択され、各整数を含む所定数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する式1の一連の異なるポリシロキサン化合物を含む、パラグラフ75に記載の流体圧流体組成物。
77. ポリシロキサン混合物が、9~12の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも4種のポリシロキサン化合物又は8~13の反復単位から選択される異なる数のシロキサン反復単位(Si-O)をそれぞれが有する少なくとも6種のポリシロキサン化合物を含む、パラグラフ75に記載の流体圧流体組成物。
78. 組成物が、耐火流体圧流体としての又は航空機における流体圧流体としての使用に対して効果的である、パラグラフ74から77の何れか一に記載の流体圧流体組成物。
79. パラグラフ65から73の何れか一に記載の式1のポリシロキサン化合物の、流体組成物のための粘度調整剤としての又は流体圧流体組成物の調製における使用。
80. パラグラフ65から73の何れか一に記載の式1のポリシロキサン化合物を、任意の順序で組成物において一又は複数の追加の化合物及び/又は添加剤と一緒に組み合わせることを含む、流体圧流体組成物の調製方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9