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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】光点描式ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230511BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G09F9/30 371
G09F13/04 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019055028
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020154237
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】595055690
【氏名又は名称】平山 章三
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】平山 章三
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-123986(JP,A)
【文献】特開2011-027815(JP,A)
【文献】特開平06-102830(JP,A)
【文献】実開昭54-138747(JP,U)
【文献】特開昭51-146924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G09F 13/00-13/46
B43L 1/00-12/02
15/00-27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に多数の孔部を有する立設されたディスプレイ板部と、各孔部に対応して遮光体を設け、前記遮光体を移動させることにより後面側から前記前面側への光の透過と遮光とを可能として、光の点描を行う光点描式ディスプレイ装置において、
前記ディスプレイ板部が着磁された着磁シートから形成され、
前記遮光体が球状の磁性体ボールとされ、
前記ディスプレイ板部の前記後面側には各孔部に対応して前記遮光体が内部を転動する筒部を有する透光性ホルダが設けられ、
前記遮光体が、前記透光性ホルダ内において前記ディスプレイ板部から離間した位置にある透光状態と、前記ディスプレイ板部の磁力により吸引されて前記孔部に嵌込された遮光状態と、の間で位置を切り替え可能とされ、
前記遮光体が前記遮光状態へ移動する際に、両面着磁とされた前記ディスプレイ板部において、前記孔部の中心指向性を呈するとともに、
前記透光性ホルダには、前記後面側に前記ディスプレイ板部と平行に対向して前記筒部を閉塞する導光板部が設けられ、
前記遮光体の径寸法に対する前記透光性ホルダの前記導光板部の厚さ寸法の比が、1.7~1.8の範囲に設定され、
前記遮光体の径寸法に対する前記透光性ホルダの前記筒部の長さ寸法の比が、2.5~3.0の範囲に設定され、
前記遮光体の径寸法に対する前記孔部の開口径寸法の比が、0.86~0.95の範囲に設定され、
前記孔部の開口径寸法に対する前記孔部のピッチ寸法の比が、1.7~1.8の範囲とされる
ことを特徴とする光点描式ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記遮光状態において、前記遮光体が前記孔部の開口から前記遮光体の直径の4分の1から直径の3分の1までの範囲で突出する状態とされることを特徴とする請求項1記載の光点描式ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ディスプレイ板部において、前記着磁シートの厚さ寸法が、0.05mm~0.3mmの範囲に設定されることを特徴とする請求項1記載の光点描式ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記着磁シートの厚さ寸法に対する前記遮光体の径寸法の比が、6~10の範囲に設定されることを特徴とする請求項1記載の光点描式ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光点描式ディスプレイ装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、黒板やホワイトボード、あるいは、幼児用絵描き具などに用いることのできる光点描式ディスプレイ装置を特許文献1として既に出願している。
【0003】
この文献には、板部に多数の小孔を設け、板部裏面側に光源を設けると共に、各小孔に遮光体を設け、この遮光体を移動させて光点描を行うものが複数種類記載されている。
【0004】
ここでは、板状の磁石に開けた孔部を、孔部よりも径寸法の大きなボールで遮蔽可能な構成が極めて発展性が高いとわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3236244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載した構成では、多数設けられた孔部の遮蔽時、あるいは、孔部の開放時における表示の確実性を向上したいという要求がある。
【0007】
具体的には、一つの孔部を遮蔽した遮光状態とするためには、当該孔部に対して遮光体であるボールが、孔部の中央位置(中心位置)に、規定された深さとして嵌まり込むことが必要である。つまり、前面視して、孔部の中心と遮光体の中心とが一致していることが必要である。
ところが、遮光状態において、この遮光体が孔部の中心位置にしっかりとはまらない場合があった。
また、遮光状態にある遮光体に表面側から接触する、あるいは、押圧することで、遮光体を孔部から外すが、上手く外れずにきれいな表示状態とならない場合があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.個々の孔部に対する遮光状態の精度を向上可能とすること。
2.個々の孔部における表示性能を向上すること。
3.操作性の向上を図ること。
4.視野角の拡大など、視認性、および、視覚性の向上を図ること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、光点描式ディスプレイ装置を開発するに際して、遮光性能を向上したいと思料した。そのために、孔部の中心位置に遮光体(ボール)が位置しなかった場合の原因を探求した。
その結果、孔部の形成された板状の磁石、つまり、プラスチックマグネットシートにおける着磁の形式(着磁法)によって、改善可能であることを見出した。
【0010】
また、本発明者は、光点描式ディスプレイ装置を開発するに際して、操作性能を向上したいと思料した。そのために、孔部の開口に対する遮光体(ボール)の位置、および、孔部に対する遮光体(ボール)の引き寄せ状態の最適化を図った。
その結果、遮光体(ボール)の径寸法と、孔部の開口径寸法と、板状の磁石、つまり、プラスチックマグネットシートの厚さ寸法と、表示状態における板状の磁石と遮光体(ボール)との距離寸法と、を含む、これらの関係を規定することによって、操作性の向上が可能であることを見出した。
【0011】
さらに、上述の寸法関係を規定することで、視認性の向上、および、視覚性の向上が可能であることも見出した。
【0012】
また、市販のシート状のマグネットにおいて、着磁の形式は、ほとんど、片面二極着磁式となっている。しかし、この方式では、ディスプレイ板部に設けた孔部のピッチと、片面二極着磁された極間ピッチとの設定が一致している必要がある。同時に、着磁シートの極位置と孔部の形成位置も一致している必要がある。
この条件が満たされていない場合には、遮光状態において、遮光体(ボール)が孔部と一致しない、すなわち、孔部が完全に閉塞されないため、光が完全に遮蔽されず、表示が不完全となるため、好ましくない。
さらに、この条件を満たそうとした場合、シート加工上の条件が煩雑になり、加工工程数が増加し、また、加工コスト増加するため、好ましくない。
【0013】
これらを勘案して、本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前面側に多数の孔部を有する立設されたディスプレイ板部と、各孔部に対応して遮光体を設け、前記遮光体を移動させることにより後面側から前記前面側への光の透過と遮光とを可能として、光の点描を行う光点描式ディスプレイ装置において、
前記ディスプレイ板部が着磁された着磁シートから形成され、
前記遮光体が球状の磁性体ボールとされ、
前記ディスプレイ板部の前記後面側には各孔部に対応して前記遮光体が内部を転動する筒部を有する透光性ホルダが設けられ、
前記遮光体が、前記透光性ホルダ内において前記ディスプレイ板部から離間した位置にある透光状態と、前記ディスプレイ板部の磁力により吸引されて前記孔部に嵌込された遮光状態と、の間で位置を切り替え可能とされ、
前記遮光体が前記遮光状態へ移動する際に、両面着磁とされた前記ディスプレイ板部において、前記孔部の中心指向性を呈するとともに、
前記透光性ホルダには、前記後面側に前記ディスプレイ板部と平行に対向して前記筒部を閉塞する導光板部が設けられ、
前記遮光体の径寸法に対する前記透光性ホルダの前記導光板部の厚さ寸法の比が、1.7~1.8の範囲に設定され、
前記遮光体の径寸法に対する前記透光性ホルダの前記筒部の長さ寸法の比が、2.5~3.0の範囲に設定され、
前記遮光体の径寸法に対する前記孔部の開口径寸法の比が、0.86~0.95の範囲に設定され、
前記孔部の開口径寸法に対する前記孔部のピッチ寸法の比が、1.7~1.8の範囲とされる
ことにより上記課題を解決した。
本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記遮光状態において、前記遮光体が前記孔部の開口から前記遮光体の直径の4分の1から直径の3分の1までの範囲で突出する状態とされることができる
また、本発明において、前記ディスプレイ板部において、前記着磁シートの厚さ寸法が、0.05mm~0.3mmの範囲に設定される手段を採用することもできる
本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記着磁シートの厚さ寸法に対する前記遮光体の径寸法の比が、6~10の範囲に設定されることができる。
【0014】
本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前面側に多数の孔部を有する立設されたディスプレイ板部と、各孔部に対応して遮光体を設け、前記遮光体を移動させることにより後面側から前記前面側への光の透過と遮光とを可能として、光の点描を行う光点描式ディスプレイ装置において、
前記ディスプレイ板部が着磁された着磁シートから形成され、
前記遮光体が球状の磁性体ボールとされ、
前記ディスプレイ板部の前記後面側には各孔部に対応して前記遮光体が内部を転動する筒部を有する透光性ホルダが設けられ、
前記遮光体が、前記透光性ホルダ内において前記ディスプレイ板部から離間した位置にある透光状態と、前記ディスプレイ板部の磁力により吸引されて前記孔部に嵌込された遮光状態と、の間で位置を切り替え可能とされ、
前記遮光体が前記遮光状態へ移動する際に、両面着磁とされた前記ディスプレイ板部において、前記孔部の中心指向性を呈する。
これにより、ディスプレイ板部において両面着磁とされたことで、着磁されたディスプレイ板部によって孔部付近で形成される磁力は、孔部の中心位置に向かって遮光体を吸引可能な形状に形成される。
つまり、孔部付近における磁力線が、孔部の中心を通りディスプレイ板部の法線となる軸線に対して、軸対称な形状で、かつ、ディスプレイ板部の面に対して対称な形状として形成することができる。
したがって、遮光体が、透光状態から遮光状態へと切り替わる際に、中心指向性を呈するディスプレイ板部の磁力により吸引されて、孔部の中心位置にきれいに嵌め込まれることができる。
さらに、遮光状態において、遮光体が、中心指向性を呈するディスプレイ板部の磁力により吸引されて、孔部の中心位置に嵌め込まれた状態を維持することができる。
これにより、遮光体が孔部の中心位置に嵌め込まれた状態を確実に実現することができ、多数設けられた全ての孔部において、いずれも、光の遮蔽を確実におこない、光点描式ディスプレイ装置における表示を確実にすることが可能となる。
【0015】
本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記遮光状態において、前記遮光体が前記孔部の開口から前記遮光体の直径の4分の1から直径の3分の1までの範囲で突出する状態とされる。
これにより、遮光状態において、孔部から突出する球状の遮光体に当接するだけで、孔部から遮光体が外れて、透光状態とすることが容易に可能である。また、透光状態から遮光状態とする際に、ディスプレイ板部の磁力のみで、球状磁性体とされる遮光体が、孔部に嵌まり込んだ状態とすることが容易に可能となる。
したがって、光点描式ディスプレイ装置における操作性を向上させ、表示の確実性を向上させることができる。
ここで、前記遮光体が前記孔部の開口から前記遮光体の直径の4分の1から直径の3分の1までの範囲で突出する状態とは、前記遮光体が前記孔部の開口と接することで形成される円の中心位置から、球面とされる前記遮光体の外表面が前記孔部の開口よりもっとも外側に位置する箇所までの距離が、前記遮光体の直径の4分の1から直径の3分の1までの範囲とされることを意味する。
なお、前記遮光体が前記孔部の開口から前記遮光体の半径の半分程度突出する状態とされることが好ましい。
【0016】
本発明において、前記遮光体の径寸法に対する前記孔部の開口径寸法の比が、0.86~0.95の範囲に設定される。
これにより、遮光状態において、遮光体が孔部の開口から遮光体の半径の半分突出する状態とすることを実現できる。これにより、遮光状態において、孔部から突出する球状の遮光体に当接するだけで、孔部から遮光体が外れて、透光状態とすることが容易に可能である。また、透光状態から遮光状態とする際に、ディスプレイ板部の磁力のみで、球状磁性体とされる遮光体が、孔部に嵌まり込んだ状態とすることが容易に可能となる。
したがって、光点描式ディスプレイ装置における操作性を向上させ、表示の確実性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明において、前記ディスプレイ板部において、前記着磁シートの厚さ寸法が、0.05mm~0.3mmの範囲に設定される。
これにより、着磁シートにおいて、遮光体を孔部付近において嵌め込んで遮光状態とするために必要な磁力を有することができる。同時に、着磁シートにおいて、遮光状態の遮光体に当接して孔部から外して透光状態とする際に不必要に大きな磁力を有することがない。したがって、透光状態と遮光状態との切り替えをスムーズにおこなうことが可能となり、操作性を向上することができる。
また、着磁シートの厚さを薄くできるため、後面側から孔部を通して表示される表示光が、着磁シートの厚さによって視認できなくなる範囲を削減できる。これにより、ディスプレイ板部の表示に対する視野角を拡げ、斜め方向からの視認状態を向上することが可能となる。さらに、ディスプレイ板部の正面からの表示に対する視認状態を確実にすることができる。
【0018】
本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記遮光体の径寸法に対する前記透光性ホルダの前記筒部の長さ寸法の比が、2.5~3.0の範囲に設定される。
これにより、透光性ホルダの筒部における前面側となる一端側でディスプレイ板部に遮光体が嵌まり込んだ遮光状態と、透光性ホルダの筒部における後面がわとなる他端側に遮光体が位置する透光状態と、を切り替えて、光点描式ディスプレイ装置における表示を明瞭におこなうことが可能となる。
また、透光性ホルダの筒部における他端側に遮光体が位置する透光状態において、後面側から入射されたディスプレイ光を効率よくディスプレイ板部の前面側に導光することが可能となる。これにより、透光状態において影となる遮光体を、いわゆる、ホワイトアウト状態として、ディスプレイ板部の前面側から視認される程度を低くし、光点描式ディスプレイ装置における表示を明瞭におこなうことが可能となる。
【0019】
本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記着磁シートの厚さ寸法に対する前記遮光体の径寸法の比が、6~10の範囲に設定される。
これにより、着磁シートと遮光体との関係が、遮光体を孔部に嵌め込んで遮光状態とするとともに、遮光状態の遮光体を孔部から外して透光状態へと良好に切り替えるために、必要な磁気状態を満たすことができる。したがって、透光状態と遮光状態との切り替えをスムーズにおこなうことが可能となり、操作性を向上することができる。
また、着磁シートと遮光体との関係が、ディスプレイ板部における表示の視野角を拡げて、視認性を向上するために、必要な条件を満たすことができる。
【0020】
また、本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記透光性ホルダには、前記後面側に前記ディスプレイ板部と平行に対向して前記筒部を閉塞する導光板部が設けられてもよい。
これにより、後面側からの光を、透光性ホルダによって効率的に前面側に導光し、光点描式ディスプレイ装置の全面で、均一な表示状態を実現することができる。同時に、後面側に光源、つまり、バックライトを設けた場合に、そのディスプレイ光を減衰させることなく効果的に前面側に導光することで、バックライトの小型化、必要な駆動電力の低減化を図ることができる。
さらに、導光板部によって、透光性ホルダの強度を向上することもでき、ディスプレイ板部の変形防止を図ることで、遮光体が孔部へ嵌まり込まない状態を防止して、表示の確実性および操作の確実性を向上することが可能となる。さらに、透光性ホルダの強度増強により、光点描式ディスプレイ装置の重量軽減を図ることもできる。
【0021】
また、本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記遮光体の径寸法に対する前記透光性ホルダの前記導光板部の厚さ寸法の比が、1.7~1.8の範囲に設定されてもよい。
これにより、充分な導光効果を呈し、影となる遮光体を、いわゆるホワイトアウト状態として、ディスプレイ板部の前面側から視認される程度を低くし、光点描式ディスプレイ装置における表示を明瞭におこなうことが可能となる。
【0022】
本発明の光点描式ディスプレイ装置は、前記ディスプレイ板部において、前記着磁シートの前面側には、磁性体からなるカバー板部が設けられてもよい。
これにより、遮光体と着磁シートとの磁気的関係に影響を及ぼすことなく、ディスプレイ板部における強度を向上することができる。また、遮光体を表示状態に切り替える際に、ディスプレイ板部の前面側に描画手段が当接する場合でも、ディスプレイ板部の前面側において、着磁シートに傷が付くことや孔部が変形することなどを防止して、良好な表示状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、以下の効果を奏することが可能となる。
遮光体を確実に孔部の中心に位置することで遮光状態を改善できる。また、透光状態への切り替えをスムーズにして、操作性を向上できる。これらにより、表示の明瞭性を向上できる。そして、視野角を拡大するとともに表示の視認性を向上することができる。これらを可能な光点描式ディスプレイ装置を提供可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態におけるディスプレイ板部と遮光体と透光性ホルダとの関係を示す拡大斜視図である。
図3】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における各寸法を示す拡大断面図である。
図4】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における透光性ホルダを示す斜視図である。
図5】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における着磁シートの形成する磁界と遮光体との関係を示す模式断面図である。
図6】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における着磁シートの形成する磁界と遮光体との関係を示す模式断面図である。
図7】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における着磁シートの形成する磁界と遮光体との関係を示す模式断面図である。
図8】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における遮光体の動作を示す拡大断面図である。
図9】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における遮光体の動作を示す拡大断面図である。
図10】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態におけるバックライトのない例を示す拡大断面図である。
図11】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における透光性ホルダの他の例を示す斜視図である。
図12】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態における透光性ホルダの他の例を示す斜視図である。
図13】本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態の他の例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る光点描式ディスプレイ装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における光点描式ディスプレイ装置を示す斜視図である。図2は、本実施形態における光点描式ディスプレイ装置のディスプレイ板部と遮光体と透光性ホルダとの関係を示す拡大斜視図である。図において、符号10は、光点描式ディスプレイ装置である。
【0026】
本実施形態に係る光点描式ディスプレイ装置10は、図1に示すように、前面に表示ボードとなる矩形輪郭のディスプレイ板部11と、ディスプレイ板部11の周囲を囲む枠部11Aと、を有する板状とされる。光点描式ディスプレイ装置10は、例えば、ディスプレイ板部11が上に向くように所定角度傾けて配置され、この状態で使用される。なお、枠部11Aは形成しないこともできる。
【0027】
本実施形態に係る光点描式ディスプレイ装置10は、図2に示すように、ディスプレイ板部11の後面側に配置された透光性ホルダ12と、透光性ホルダ12に形成された筒部13の内部に収納された遮光体14と、バックライト15と、を有する。
【0028】
図3は、本実施形態における光点描式ディスプレイ装置のディスプレイ板部と遮光体と透光性ホルダとを示す拡大断面図である。
ディスプレイ板部11には、多数の孔部16が形成される。透光性ホルダ12には、多数の筒部13が形成される。筒部13には、遮光体14が収納される。遮光体14は、球状の磁性体ボールとされる。
【0029】
ディスプレイ板部11は、筒部13側の着磁シート11aと、前面側のカバー板部11bとが積層されている。
カバー板部11bは、ディスプレイ板部11の前面側を保護する。カバー板部11bは、磁性体とされ、例えば、ステンレス鋼(SUS430)、SPCC(冷間圧延鋼板)からなるものとされる。
着磁シート11aは、遮光体14を吸引して孔部16に嵌め込むことが可能な磁力を有するものとされる。
【0030】
着磁シート11aは、両面着磁とされる。つまり、着磁シート11aの前面がN極である場合には、着磁シート11aの後面がS極とされる。あるいは、着磁シート11aの前面がS極である場合には、着磁シート11aの後面がN極とされる。
着磁シート11aは、樹脂ボンド磁石シ-ト、つまり、プラスチック着磁シートあるいは、ゴム着磁シートとすることができる。
【0031】
ディスプレイ板部11の製造においては、まず、着磁シート11aとカバー板部11bとを貼り合わせる。その後、多数の孔部16を打ち抜き等により形成する。さらに、着磁シート11aを所定の状態となるように着磁する。
【0032】
孔部16は、ディスプレイ板部11を貫通する。孔部16の開口輪郭は円形とされ、球状とされる遮光体14よりも小さな径寸法を有するように設定される。
【0033】
図4は、本実施形態における光点描式ディスプレイ装置の透光性ホルダを示す拡大斜視図である。
透光性ホルダ12には、多数の筒部13が有底円筒状の凹部として形成される。
透光性ホルダ12は、筒部13を形成する側壁部12aと、後面側の導光板部12bと、を有する。側壁部12aと導光板部12bとは、一体として形成される。
【0034】
導光板部12bは、ディスプレイ板部11と平行に対向する板状とされる。導光板部12bは、筒部13の底面となって筒部13を閉塞する。
側壁部12aは、導光板部12bからディスプレイ板部11に向けて立設される。
側壁部12aは、筒部13となる空間の周囲を囲むように形成される。側壁部12aは、ディスプレイ板部11の表示面となる領域に対応して形成される。側壁部12aは、隣り合う筒部13を分離するように連続した状態で形成される。
【0035】
筒部13の開口は、ディスプレイ板部11の前面と平行な方向において、それぞれ孔部16と対応した位置に配置される。具体的には、円筒状の筒部13の軸線が、孔部16の開口中心と一致するように、透光性ホルダ12とディスプレイ板部11との位置が設定される。
【0036】
筒部13は、円筒状の筒部13の軸線が、ディスプレイ板部11の法線方向と一致するように設けられる。多数の筒部13は、いずれも、円筒状の筒部13の軸線が、互いに平行になるように配置される。
筒部13は、ディスプレイ板部11の前面と平行な断面輪郭が円形とされ、球状とされる遮光体14よりも大きな径寸法を有するように設定される。筒部13の断面形状は、筒部13の内部において、着磁シート11aに当接する開口側と導光板部12b側との間で遮光体14が転動して移動可能であれば、この形状に限定されない。
【0037】
筒部13は、着磁シート11aに当接する開口側から導光板部12b側まで、等しい断面形状とされる。筒部13の断面形状は、筒部13の内部において、移動する遮光体14が、導光板部12b側に留まることで、後述する透光状態となることが可能であれば、この形状に限定されない。
【0038】
透光性ホルダ12は、透明な樹脂製とされ、例えば、ABS樹脂製とされる。透光性ホルダ12は、射出成形により形成することができる。
遮光体14は、例えば鉄球、具体的には、カーボン鋼球などとすることができる。
【0039】
バックライト15は、LED、冷陰極管等などディスプレイ光を照射可能な光源とされ、ディスプレイ板部11の表示面となる領域に対応して形成される。
バックライト15は、ディスプレイ板部11に形成された全ての孔部16に対して、ディスプレイ光を透過可能に配置することができる。バックライト15は、図示しない電源に接続されて発光可能である。
【0040】
図5図7は、本実施形態における光点描式ディスプレイ装置の着磁シートの形成する磁界と遮光体との関係を示す模式断面図である。
本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10においては、始状態としては、全ての遮光体14が、図7に示すように、ディスプレイ板部11における着磁シート11aの磁力により吸引されて、孔部16に嵌込された遮光状態とされる。
【0041】
そして、特定の遮光体14が、ディスプレイ板部11の前面側から押圧されて、着磁シート11aの磁力から開放されることで、孔部16から離間し、筒部13内部を転動して導光板部12b側へと移動する。筒部13の導光板部12b側に位置した遮光体14は、導光板部12bに導かれたバックライト15(図3参照)からのディスプレイ光によって、いわゆるホワイトアウトした状態となる。これにより、遮光体14の影が、孔部16の前面側からほぼ視認できなくなる。これにより、透光状態へと切り替えられる。
【0042】
ディスプレイ板部11を前面側から見ると、遮光体14の外れた孔部16は、バックライト15からのディスプレイ光が透過することになる。これに対し、遮光体14が押圧されておらず、遮光体14が嵌め込まれたままの孔部16では、バックライト15からのディスプレイ光は遮蔽される。したがって、透光状態にある孔部16の配置により所定の表示をおこなうことができる。
【0043】
本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10においては、着磁シート11aが両面着磁されているため、図5図7に示すように、磁力線が着磁シート11aの前面と後面との間で、孔部16の内部を通るように形成される。着磁シート11aによって形成される磁力線は、孔部16の中心に対して点対称に形成される。また、着磁シート11aによって形成される磁力線は、孔部16の軸線に対して線対称に形成される。つまり、着磁シート11aによって形成される磁力線は、球状の遮光体14に対して、孔部16の中心指向性を呈することになる。
【0044】
このため、筒部13にある遮光体14は、透光状態から遮光状態へと切り替える際に、図5に示すように、孔部16の軸線に沿って吸引される。したがって、遮光体14は、図6に示すように、孔部16の中心から径方向にずれた位置には移動せず、中心に向けて移動する。遮光体14は、図7に示すように、孔部16の中心位置に容易に嵌め込まれる。
【0045】
この結果、遮光体14が孔部16の中心位置からずれた状態で着磁シート11aに吸着された中途半端な状態とはならない。このため、全ての孔部16において、完全な遮光状態を実現することが可能となる。
【0046】
図8は、本実施形態における光点描式ディスプレイ装置の遮光体の動作を示す拡大断面図である。
本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10においては、遮光状態の遮光体14を透光状態へと切り替えて、表示をおこなうためには、図8に示すように、ブラシ(描画手段)21によって、該当箇所の孔部16に嵌まっている遮光体14を押圧する。これにより、着磁シート11aの磁力から開放されて孔部16から離間し、透光状態へと切り替えられる。
【0047】
なお、透光状態への切り替えは、ブラシ(描画手段)21に限られるものではなく、筆、手指、あるいは、頭部が柔らかい棒状部材など、他の手段を用いることができる。
【0048】
図9は、本実施形態における光点描式ディスプレイ装置の遮光体の動作を示す拡大断面図である。
本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10において、透光状態から遮光状態へと切り替えて表示を消去するためには、導光板部12b側に位置した遮光体14を着磁シート11a側に移動させる。この際、図9に示すように、透光状態の筒部13において、導光板部12b側に位置した遮光体14を、イレーサー(消去手段)22によって、着磁シート11a側に吸引して移動させる。
【0049】
ここで、イレーサー(消去手段)22は、カバー板部11bに対向させる側の面が、着磁シート11aにおける前側面と異なる磁極となるように形成された磁石とされる。
【0050】
これにより、遮光体14が、筒部13の内部を着磁シート11a側へと移動する。そして、着磁シート11aの磁力によって、遮光体14が、孔部16の中心に位置するように孔部16に嵌まり込む。これにより、遮光状態へと切り替えられて、表示が消去される。
なお、図9において、Nは磁石のN極、SはS極を示す。図9においては、着磁シート11aの前面側がS極とされ、イレーサー(消去手段)22の対向面がN極とした構成を例示したが、それぞれの磁極が反対となる構成も可能である。
【0051】
なお、ディスプレイ板部11の全面で表示を消去する場合には、光点描式ディスプレイ装置10そのものを、上端の枠部11Aが手前側になるように傾けて、透光状態にある遮光体14を一度に着磁シート11aに移動させることもできる。この場合でも、着磁シート11aの磁力によって、遮光体14が、孔部16の中心に位置するように孔部16に嵌まり込む。
さらに、イレーサー(消去手段)22として、ディスプレイ板部11の幅方向全長と等しいかやや大きな寸法を有するものを形成し、このイレーサー(消去手段)22をディスプレイ板部11の長手方向に沿って移動させることで、ディスプレイ板部11の全面で表示を一括して消去することもできる。
【0052】
次に、本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10における各部の寸法について説明する。
【0053】
図3に示す符号は、次のそれぞれの寸法を表す。
T11aは着磁シート11aの厚さ寸法
T11bはカバー板部11bの厚さ寸法
T12bは導光板部12bの厚さ寸法
T12aは側壁部12aの高さ寸法つまり筒部13の長さ寸法(深さ寸法)
T13は筒部13の径寸法
T14は遮光体14の直径
T1416は遮光状態において遮光体14が孔部16の開口から突出する寸法
T16は孔部16の開口径寸法
T16pは孔部16のピッチ寸法(隣接する孔部16の中心間距離)
【0054】
本実施形態においては、これらの寸法は、次のように設定される。
遮光体14の径寸法T14に対する、遮光状態において遮光体14が孔部16の開口から突出する寸法T1416の比T1416/T14が、0.2~0.3の範囲とされる。つまり、遮光体14が孔部16の開口から遮光体14の半径T14/2の半分から二分の三の範囲となる長さだけ突出する状態とすることが好ましい。
【0055】
比T1416/T14が、この範囲よりも大きいと、遮光体14を押圧したときに孔部16から外れにくくなり操作性が悪化するため好ましくない。また、比T1416/T14が、この範囲よりも小さいと、着磁シート11aの磁力によって遮光体14が確実に吸引できない可能性があり、完全な遮光状態とならない可能性があるため好ましくない。
【0056】
遮光体14の径寸法T14に対する孔部16の開口径寸法T16の比T16/T14が、0.86~0.95の範囲とされる。
【0057】
比T16/T14が、この範囲から外れると、比T1416/T14の値が上述した範囲から外れてしまうため好ましくない。
【0058】
着磁シート11aの厚さ寸法T11aが、0.02mm~0.3mmの範囲、より好ましくは0.05mm~0.1mmの範囲とされる。
【0059】
着磁シート11aの厚さ寸法T11aが、この範囲より大きくなると、透光状態において孔部16を透過してくる光量が減衰するとともに、表示の視野角が狭くなるため好ましくない。また、着磁シート11aの厚さ寸法T11aが、この範囲より小さくなると、遮光体14を吸引するために必要な磁力が不足する可能性があり好ましくない。
【0060】
カバー板部11bの厚さ寸法T11bが、0.01mm~0.1mmの範囲とされる。
【0061】
カバー板部11bの厚さ寸法T11bが、この範囲より大きくなると、透光状態において孔部16を透過してくる光量が減衰するとともに、表示の視野角が狭くなるため好ましくない。また、カバー板部11bの厚さ寸法T11bが、この範囲より小さくなると、着磁シート11aとカバー板部11bとを貼り着ける際のハンドリング製が悪化するため好ましくない。
【0062】
遮光体14の径寸法T14に対する透光性ホルダ12における筒部13の長さ寸法T12aの比T12a/T14が、2.5~3.0の範囲とされる。
【0063】
比T12a/T14が、この範囲より大きくなると、透光状態において筒部13の導光板部12b側に位置する遮光体14を孔部16側に移動することが難しくなるため好ましくない。また、比T12a/T14が、この範囲より小さくなると、透光状態において筒部13の導光板部12b側に位置する遮光体14の影が、孔部16の前面側から視認されてしまう。つまり、充分なホワイトアウトではなくなってしまう。このため、表示状態に影響を及ぼす可能性があり好ましくない。
【0064】
遮光体14の径寸法T14に対する導光板部12bの厚さ寸法T12bの比T12b/T14が、0.7~2.8の範囲、より好ましくは1.7~1.8の範囲とされる。
【0065】
比T12b/T14が、この範囲より大きくなると、透光性ホルダ12を形成する樹脂量が増えすぎるとともに、光点描式ディスプレイ装置10の厚み寸法が不必要に増大するため好ましくない。また、比T12b/T14が、この範囲より小さくなると、透光性ホルダ12の強度が不足するため好ましくない。
【0066】
着磁シート11aの厚さ寸法T11aに対する遮光体14の径寸法T14の比T14/T11aが、5~50の範囲、より好ましくは、6~10の範囲とされる。
【0067】
比T14/T11aが、この範囲より大きくなると、着磁シート11aの磁力によって遮光体14が確実に吸引できない可能性があり好ましくない。また、比T14/T11aが、この範囲よりも小さいと、遮光体14を押圧したときに孔部16から外れにくくなり操作性が悪化するため好ましくない。
【0068】
孔部16の開口径寸法T16に対する孔部16のピッチ寸法T16pの比T16p/T16が、1.7~1.8の範囲とされる。
【0069】
比T16p/T16が、この範囲より大きくなると、表示のドットが粗くなりすぎるため好ましくない。また、比T16p/T16が、この範囲より小さくなると、孔部16周囲の着磁シート11aの面積が小さくなりすぎ、着磁シート11aの磁力によって遮光体14が確実に吸引できない可能性があり好ましくない。
【0070】
さらに、着磁シート11aは、着磁の状態として次のように設定することもできる。着磁シート11aの磁力としては、孔部16に遮光体14を嵌め込む動作が確実におこなわれるために充分であり、かつ、接触された遮光体14が孔部16から容易に離脱動作が可能な大きさとされる。なお、これらは、主に遮光体14の質量等により変動するが、開孔部16周辺の磁力が15ガウスから25ガウスの範囲とされることもできる。
【0071】
着磁シート11aに着磁された磁力が、この範囲より大きくなると、遮光体14を透光状態とする際に、遮光体14を離間するために必要な押圧力が大きくなりすぎ、遮光体14が離間しない可能性があるため好ましくない。また、着磁シート11aの厚さ寸法T11aが、この範囲より小さくなると、遮光体14を吸引するために必要な磁力が不足する可能性があり好ましくない。
この際、着磁シート11aの厚さ寸法T11aは、上述した範囲として設定されることが好ましい。
【0072】
さらに、着磁シート11aの着磁の大きさと、遮光体14の径寸法T14としても、上記の動作条件を満たして設定することもできる。
【0073】
着磁シート11aに着磁された磁力と寸法との関係が、この範囲より大きくなると、遮光体14を透光状態とする際に、遮光体14を離間するために必要な押圧力が大きくなりすぎ、遮光体14が離間しない可能性があるため好ましくない。また、着磁シート11aの厚さ寸法T11aが、この範囲より小さくなると、遮光体14を吸引するために必要な磁力が不足する可能性があり好ましくない。
【0074】
本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10においては、各部の寸法を上述したように設定したことにより、表示の確実性を向上し、操作性を向上して、製品性能をこうじょうすることが可能となる。
【0075】
本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10においては、発光ダイオードや液晶等の発光体による光点描式ディスプレイ装置が予め入力した内容しか表示できないという問題を解消し、自在に書き込みすることができると共に安価に提供することができる。
【0076】
球状の遮光体14によって孔部16を開閉する光点描式のため、室内の明るさに左右されることなく、どの角度からも見易く表示することができる。
見る角度によって生じる板面の反射による見難さを生じることがない。また、液晶等に比べて、広い視野角を有することができる。
【0077】
白墨や、ホワイトボード用のペンを使用することによる粉塵等の発生および指先の不快感をなくすことができる。
ホワイトボード用のペンなど速乾性インクを用いることによる溶剤の臭気がなく、衛生的であり、また、容易に書き込みおよび消去することができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、バックライト15を有する構成を例示したが、図10に示すように、バックライトがない構成も可能である。この場合、光点描式ディスプレイ装置10の後面側は、例えば、太陽光が照射された状態など、明るい状態として使用することが好ましい。
【0079】
本実施形態においては、透光性ホルダ12に円筒状の凹部としての筒部13を形成したが、他の断面形状の筒部13とすることも可能である。
例えば、図11に示すように、矩形断面の凹部としての筒部13を形成することができる。この例では、側壁部12aとして連続したものを例示したが、導光板部12bとは別体として形成した格子状に組み合わされた板からなる構成とすることも可能である。
【0080】
あるいは、図12に示すように、導光板部12bから、立設された多数の棒状部12cによって筒部13が形成され、この内部で遮光体14が移動可能な構成とすることもできる。この場合、棒状部12cは、互いに離間して、互いに平行状態として立設されることができる。また、多数の棒状部12cを導光板部12bとは別体として形成し、棒状部12cを導光板部12bに接続するように構成してもよい。
【0081】
さらに、本実施形態の光点描式ディスプレイ装置10においては、筒部13をディスプレイ板部11の法線と一致するように構成し、図1に示すように、ディスプレイ板部11が上に向くように所定角度傾けて使用する構成を説明したが、この状態に限られるものではない。
【0082】
たとえば、光点描式ディスプレイ装置10においては、図13に示すように、筒部13の軸線が、ディスプレイ板部11の法線方向に対してディスプレイ板部11から離間するに連れて下向きに傾斜する構成としてもよい。ここで、多数の筒部13において、いずれも、円筒状の筒部13の軸線が、互いに平行になるように配置される。
【0083】
この構成であると、ディスプレイ板部11を鉛直方向に位置した状態で、光点描式ディスプレイ装置10を使用することができる。
この場合、筒部13の軸線と、ディスプレイ板部11の法線とのなす角度は、ディスプレイの視認性、および、孔部16に対する遮光体14の閉塞開放動作が可能な範囲とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の活用例として、黒板やホワイトボードの代替使用品、タブレット端未の代替使用品、子供の玩具、屋外使用の表示板等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0085】
10…光点描式ディスプレイ装置
11…ディスプレイ板部
11A…枠部
11a…着磁シート
11b…カバー板部
12…透光性ホルダ
12a…側壁部
12b…導光板部
12c…棒状部
13…筒部
14…遮光体
15…バックライト
16…孔部
21…ブラシ(描画手段)
22…イレーサー(消去手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13