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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】個体差別血液透析装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A61M1/16 117
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019106681
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2019213858
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2018110015
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126757
【氏名又は名称】株式会社アドバンス
(72)【発明者】
【氏名】浦壁 伸周
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-043003(JP,A)
【文献】実開平05-076445(JP,U)
【文献】国際公開第2013/161075(WO,A1)
【文献】特開2002-186666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内血流量及び血圧関連情報を測定する体内情報検出ユニット、前記体内情報検出ユニットが測定した体内血流量及び血圧関連情報を入力し、演算処理を行い、演算処理結果の通知、及び透析装置を操作するための制御信号の出力、の内、一方又は両方を行う調整ユニットを備えた個体差別血液透析装置において、
前記調整ユニットの演算処理は、前記体内情報検出ユニットから入力された体内血流量から基線情報を検出するステップ、前記基線情報と前記血圧関連情報について、単位時間当たりの変化量を算出し、血流基線変化量、血圧変化量を算出するステップ、 前記血流基線変化量と前記血圧変化量から、多次元変化量を検出するステップ、前記多次元変化量が所定数検出され多次元変化データを形成するステップ、前記多次元変化データの分布状態に対し所定数の分布範囲を形成する分布範囲形成ステップ、前記分布範囲形成ステップで得られた個々の範囲の特徴点を形成するステップ、前記特徴点及び前記分布範囲から血管状態を検出する血管状態検出ステップを有する個体差別血液透析装置。
【請求項2】
前記調整ユニットの演算処理は、個体差に応じた除水パターンの選択を行うステップと、前記除水パターンに応じた除水を行いながら、血液情報を収集するステップ、前記血液情報から血管内浸漬体液量を算出するステップと、前記血管内浸漬体液量が所定の割合を超えて減少した場合は、除水速度を低下させ、前記血管内浸漬体液量が所定の割合を超えて増加した場合は、除水速度を増加させる信号を出力する除水速度増加ステップを更に有する請求項1に記載の個体差別血液透析装置。
【請求項3】
前記調整ユニットの演算処理は、生体各所に配置した血流計用センサ及び血圧センサから入力した血流データ及び血圧データの単位時間当たりの差分データをそれぞれ形成するステップ、前記差分血流データ及び差分血圧データをそれぞれ縦軸、横軸として所定時間、時系列情報を付しながら、2次元座標データにするステップ、 前記所定時間分の2次元座標データに対し、集まりのある部分を特定し、重心とクラスタの集まりの範囲をクラスタリング処理に基づき繰り返し試行し特定するステップ、前記重心と範囲から、血圧変動を予測決定するステップを有する請求項1に記載の個体差別血液透析装置。
【請求項4】
個体差に応じた除水パターンが透析開始時、約30分から1時間、除水量及び除水速度を大きくし、その後経時的に減少させるパターンを備えている請求項2に記載の個体差別血液透析装置。
【請求項5】
前記血管内浸漬体液量がPRR(plasma Refilling Rate)値又は血液量である請求項2に記載の個体差別血液透析装置。
【請求項6】
前記調整ユニットにおける血圧の変動の予測及び調整が、人工知能(AI)アルゴリズムに基づいて行われる請求項1乃至3に記載の個体差別血液透析装置。
【請求項7】
前記人工知能(AI)アルゴリズムが、ブーステイング、クラスタリング、ランダムフォレスト、ディープラーニングアルゴリズムの一乃至複数の組み合わせよりなり、時系列処理には、クラスタリングを用いる請求項6に記載の個体差別血液透析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体差別血液透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今まで、慢性的な腎不全患者に対して行われている血液透析治療は、週3回、4時間、体外のダイアライザ(濾過器)に血液を循環させ、除水及びクレアチニン、尿毒素などの老廃物の除去を均等除水法による一律な治療が主であった。
一般的に用いられている均等除水法は、一定の速度で除水を行うため、48時間から72時間かかって全身に分布した余剰水分を短時間で体内(血管内)から除去することになり、しかも透析治療で直接操作できる水分は、血管内に存在するもののみに限られるため、血管内の脱水を引き起こし血圧の低下が生じる危険性が生じる。
又、一度血液透析治療が始まれば、残腎機能が生かされる可能性はなくなり無尿にいたるが、患者の個体差によりその残腎機能の維持の度合いは異なるものの、6年程度でほとんど無尿に至り、残腎機能の可能性もなくなる(非特許文献2:透析療法開始後の尿量, 透析会誌 23 (11): 1275~1279, 1990年)、との指摘がされている。
【0003】
特開2014-113423号公報には、発汗センサ本体を患者に取り付け、発汗量測定手段において測定を開始する。患者前額部の発汗量を常時モニタし、発汗量に異常が認められた時に非観血式血圧計を起動させて確認する等により、血圧低下を早期に発見し、回復処置を実施する、ことが記載されている。
【0004】
特開2014-530672号公報には、患者の姿勢が血漿の量に影響を与えることから、予め患者の姿勢が決定され、決定された患者の姿勢に応じ、水除去率(単位時間当たりの除水量)の設定、制御および規制の少なくとも1つが行なわれることが記載されている。
【0005】
特開2015-13189号公報には、患者の血液透析治療に関する治療情報と、血液透析治療時における所定条件下で報知すべき警報ないし注意事項を表す報知情報とを患者毎に関連付けて記憶させておく。患者の血液透析治療中における情報と、記憶されている治療情報とを比較し、警報や注意が必要と判断したときに、患者の報知情報を血液透析装置の情報表示部にテキストデータとして表示させる。患者毎に異常の報知内容や注意事項の報知内容が異なる場合に、患者に応じた報知内容が医療従事者に的確に報知される。
【0006】
特開2018-501873号公報には、患者の1又は2以上の個人的特性に関する患者評価情報を受信するステップと、受信した患者評価情報に基づいて患者評価スコアを決定するステップと、患者評価スコアに基づいて医療用流体処理機械の作動を修正するステップが記載されている。
【0007】
特開2014-518692号公報は、患者パラメータおよび血液除水システムのパラメータを監視し、改善された(より効果が高い)患者パラメータまたは悪化した(より効果が低い)患者パラメータを生じる上記システムパラメータを識別する装置、システムおよび使用が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-113423号公報
【文献】特開2014-530672号公報
【文献】特開2015-13189号公報
【文献】特開2018-501873号公報
【文献】特開2014-518692号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】血液透析中の循環血液量連続モニタリングと自動除水制御,人工臓器,28巻2号 339-334 1999年
【文献】透析療法開始後の尿量, 透析会誌 23 (11): 1275~1279, 1990年
【文献】http://yu-toseki.jp/swfu/d/study8-sp2.pdf
【文献】週1回血液透析導入法の検討, 〔日農医誌 51巻2号 68~73頁 2002.7〕
【文献】http://www.tokyo-hd.org/pdf/44th/44th_04_18.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特開2014-113423号公報で示すように患者の発汗量から、血圧の低下を予知しようとする試みや特開2014-530672号公報でしめすように、患者の姿勢で、除水量を設定する試みがされているが、患者自身の個体差により、必ずしも、血圧低下を防止する予測を十分に行うまでには至っていない。
「血液透析中の循環血液量連続モニタリングと自動除水制御,人工臓器,28巻2号 1999年 339-334」には、PRR値の増減に伴って除水速度を調整することで血圧を安定させることが記載されているが、血管の状態を検出する手段については開示がなく、PRR値がどれだけ下がった場合、除水速度を落とすかの目安(閾値)は、患者の個人差に依存する点については、未解明である。
PRR値に注目して、除水量を調整し、ゆっくりとした除水を行うことは、上述した文献にも述べられているように透析装置の操作により今般透析機関において、実施されつつあるが、そのPRR値と除水量の関係の判断は、医師、臨床技士、看護士の医術的見識に基づく手動設定によるものであり、又BV計は、体外血液量に関する情報しかえられず、体内における血管の状態等を考慮しながら患者の個体差を考慮して自動的に調整する構成については未解明の部分が多い。
他方で、透析治療は、腎不全の末期ですでに6年以上透析治療をおこなってきた患者ののように、全く腎臓が機能しないだけでなく、例えば、透析治療を始めたばかりであり、一部腎臓が機能していても、同じ様な透析治療が行われるために、血圧の突然の低下のリスクや、合併症へのリスクを常にもっており、PRR値に基づいて除水速度を調整するだけでは、 血圧の突然の低下のリスクは下がっても、透析治療期間中の血圧の安定には至っておらず、透析患者の心身の不快な状況や尿毒素の不十分な除去が腎機能の回復を阻んでいるものと考えられる。 残腎機能を考慮した透析治療は、文献(週1回血液透析導入法の検討, 〔日農医誌 51巻2号 68~73頁 2002.7〕)に記載されているように、心理的負担の軽減や経済的負担の軽減、社会的制約の軽減、Kt/Vが週3回透析と同様の値である等様々なメリットを備えており、残腎機能の保持までの記載に至っているが、現在は、普及していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記に鑑み本発明は、鋭意研究の結果、

血液透析治療において、体内血流量、血圧関連情報情報を測定する体内情報検出ユニット、前記体内情報検出ユニットで得られる体内血流量から基線情報を検出するステップ、前記基線情報と前記血圧関連情報について、単位時間当たりの変化量を検出し、血流基線変化量、血圧変化量を検出するステップ、
前記血流基線変化量と前記血圧変化量から、2次元変化量を検出するステップ、前記2次元変化量が所定数検出され2次元変化データを形成するステップ、前記2次元変化データの分布状態に対し所定数の分布範囲を形成する分布範囲形成ステップ、前記分布範囲形成ステップで得られた個々の範囲の特徴点を形成するステップ、前記特徴点及び前記分布範囲から血管状態を検出する血管状態検出ステップよりなる個体差に基づく血液透析の方法により、透析治療時の血管状態を把握することで、血圧を安定させ、より自分の腎臓に近い状態での透析治療を実現する。
又、透析治療時、外部血液関連量を求める外部血液関連量検出ステップを併せることで、
血管状態における血液量を得て、除水状態情報を測定する。
これらの十分な除水と尿毒素の排出を血管情報と除水状態情報を得ることで、残腎機能(RRF)が一部有効な患者に対して、残腎機能の効果的な維持を行うことを可能とする。
更に本発明は、透析開始時の除水速度を高く設定するステップを加え、透析開始からの血流基線情報と血圧関連情報及びこれらの情報から得られる2次元変化データから、除水速度の調整を行うステップを含むことで、透析開始時から除水による体内反応が生じる前までに、多量の除水を行うことで、決められた時間内で、安定した血圧と心身状態を維持しながら、十分な除水を行うことを実現する。
【0012】
本発明における除水速度パターンの設定とは、例えば図3(b)から(d)で示す時系列的変化を示し、図3(b)は、一定の速度で除水を行う均等除水を示し、現在一般的な治療方法を示す。本発明でも、パターンの一つとして示すことができるが、(c)(d)で示すパターンが好適に用いられ、その他のパターンも、個体差に応じて設定される場合もある。
たとえば 、予め血清クレアチニン値、及び推算糸球体濾過量(eGFR)及び尿量を測定し、腎臓の残存量を確認して除水パターン、透析治療時間を決定したり、患者の治療時のコンディション(体温、体調、血圧値等)を確認して除水パターンを決定する場合もある。
尚、除水パターン及びPRR値の変化の閾値の予測決定は、患者のデータ、前の透析治療後の評価データ等をランダムフォレスト等のマシンラーニング処理により予測的に設定される場合もある。

本発明における血圧関連情報とは、主にPRR値(plasma Refilling Rate)を算出して得られる血液量を測定するBV(ブラッドボリューム)計が体外測定項目として好ましいが、体内測定項目としてレーザー血流計、血圧計、PWTT血圧関連測定装置も併せて用いることを可能とする。
本発明における除水制御とは、血圧関連情報、例えば前記で得られたPRR値の変化に対し、例えば、一定の閾値より下回った場合は、除水が過剰気味と判断し、除水速度を下げ、逆に一定の閾値より上回った場合は、除水速度を上げて、除水量を増やす操作を行う。 その際、体内血流量と血圧値を測定しながら、この閾値は、患者によって異なる。
この場合、体外血液量から得られるPRR値だけでは、体内の血管情報が含まれていないことから、体内血流情報と血圧情報に基づいて得られる血管情報を組み合わせて、除水量、等を調整する事が好ましい。
【0013】
本発明における血液駆動手段とは、既存の透析装置で用いられているものであって、例えば毎分200mlの血液を体外に形成した血液回路に循環させるための血液ポンプを示し、シャント部付近のブラッドアクセスから、血液を採りだし、血液を血液回路に流すために必要な血流速度を確保する為の手段である。
血液濾過ユニットは、中空糸フィルタ(ダイアライザ)であり、血液透析膜(多孔質膜)PS膜、PES膜、PEPA膜、PMMA膜、EVAL膜、PAN膜等で形成された糸状の中空糸を複数本束ねたもので、周囲を流れる透析液と、内部を流れる血液の濃度の差を利用して、老廃物及び水分を排出する機能を有する。
本発明における除水調整手段は、透析液と共に透析器から浸透し搬送される水分を排出するものであって、少なくとも、電磁バルブ等の外部信号により、排出が調整される構成を含む。
【0014】
血液計測手段とは、体外で血流量(ブラッドボリューム)を測定するBV計、ヘマトクリット値モニター、体内血流を測定するレーザ血流計、血圧計、PWTT測定機器等で形成され、血圧値、体内血流量、体外血液量等の血液情報を収集する。
ヘマトクリット値モニターは、例えば近赤外線分光法を用いて構成されるものが示され、近赤外光を出力する発光ダイオードと、この発光ダイオードが血液組織へ照射した光を反射した反射戻り光を受光する受光用半導体素子の組み合わせをセンサとして使用し、血液回路の導管表面に装着して血液に対して非接触状態で測定使用され、既存の製品を利用するものであってもよい。
【0015】
ヘマトクリット値モニターと同様の機能を有するブラッドボリュームを計測するBV計は、ダイアライザと、脱血部の間の動脈側血液回路に装着され、血液量及び赤血球の総体積変化等を測定する装置であって、少なくとも、血管外から血管内へ浸透供給される体液の割合を示すPRR(プラズマリフィリングレート)値の算出可能な機器が用いられる。
レーザ血流計は、レーザ光を照射しその反射光に基づいて血流速度、血流量を測定する機器であって、レーザードップラー血流計等が好適に用いられる。
血圧計は、オシロメトリック法等の加圧式、非加圧式の何れかであってもよく、長時間連続して計測できる機器が用いられる。
血圧関連値計測機器は、例えば、PWTT式(心電図のR波と脈波の立ち上がり迄の距離の値によって、血圧の上昇、下降を計測する機器が示される。
本発明は、血圧変化量、血流基線変化量から血管状態の推移を示す多次元データをえることで、血管状態に基づく除水操作が可能となる。
【0016】
本発明は、初期除水パターンを予め記憶し、患者の個体差に基づいて、初期除水パターンを選択し、その除水パターンに従った変化に基づいて除水をおこない、血流基線情報及び血圧関連情報に基づいた血管状態情報を得ることで、除水量を調整することで、有効な除水量の確保を実現する。

初期除水パターンとは、例えば、図3(c)(d)で示す様に、最初の除水速度を、一般的な均等除水の速度(b)から比べて、高く設定して、その後、所定の傾きで包絡線的に低下調整させるもので、患者の個体差に応じた選択がされる。当該パターンの速度変更は体内血流量と血圧変化量から得られる多次元情報に基づいて設定される事が好ましい。
体内血流は除水により徐々に低下していくが、比較的大幅な低下を示すタイミングは、
除水開始後、約30分から1時間の間に存在すると考えられる。 透析開始時、所定期間、除水量を比較的大きくする治療が行われるが、除水前は、
血管内容積の変化は、心臓を守るための防御的手段と考えられるが、除水状態では、血管内容積の変化状態でも血液量は減少していくため、収縮にも限界がくると考えられ、限界を超えると、収縮が解除されてしまい、一時的に脱水状態となると共にΔBVも低下し、血圧の低下が生じると考えられる。
患者の個体差に応じた選択は、例えば、患者の透析履歴、体質、患者の状態等が例示される。
【0017】
図3(a)は、縦軸をBV(血液量)横軸を時間としたもので、均等除水の場合、一定の勾配で、血液量が減少していることが示されている。
本発明は、個体差に応じた除水パターンの選択ステップと、前記除水パターンに応じた除水を行いながら、血液情報を収集するステップ、前記生体外部での血液情報からPRR値等、血管内浸漬体液量を算出するステップと、前記血管内浸漬体液量が所定の割合を超えて減少した場合は、除水速度を低下させ、前記血管内浸漬体液量が所定の割合を超えて増加した場合は、除水速度を増加させる除水速度増加ステップを備えている。
【0018】
血管内浸漬体液量の測定は、例えば、BV計等の体外での血液量測定ユニットから得られる血液量に基づいて公知の手法にて算出される。又、レーザ血流計による血流データと、血液回路内の赤血球量が一定であることに基づいて算出する場合もある。
又本発明は、血圧の変化を予測しながら、除水パターンの選択、除水速度の調整、等を行う。
人工知能には、ブーステイング、クラスタリング、Q-learning、SARSA、モンテカルロメソッド等の強化学習等の機械学習(machine learning)、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、SVM等も含まれる。
又、ニューラルネットワーク(ディ―プラーニング)と強化学習の組み合わせであるDQNを用いてもい。

強化学習の場合は、報酬リストを含む行動評価データが形成されるが、このテーブル状のデータを予測的に行うDQNにより、例えば新しい透析患者への治療の際のデフォルト用テーブルとして用いる場合もある。
又、機械学習を複数組み合わせたり、ニューラルネットワークを組み合わせたりして、目的となる血圧変動予測と、安定を行っても良い。
【0019】
人工知能には、第一世代(探索と推論)、第二世代(知識の時代)、第三世代(機械学習の時代)、第四世代(ニューラルネットワーク:システムがデータの特徴を学習して、事象の認識や分類を行う機械学習の手法の一つ (松尾 豊 著 人工知能は人間を越えるか kansai.main.jp/swfu/d/bookcafe20160312.pdf))に分かれているが、そのいずれの世代の手法を用いてもよい。 ブーステイング、ニューラルネットワークは、いわゆる教師有り学習に分類され、重み評価ステップを備えているが、教師無し学習に分類されるクラスタリング手法も時系列処理が可能な人工知能処理として好適に使用される場合もある。
【0020】
クラスタリング手法は、例えば、データの分散、集中という点から、区別を行う手法であって、複数のクラスタ(データの集まり)を時系列的に所定時間間隔で形成し、クラスタの経時的変化から、血管状態を評価することで予測性のある血圧の変化状態を検出する。
このようなブーステイング法、クラスタリング法に基づくプログラムは、OpenCV等のコンピュータのソフトウェアライブラリ、モジュールを公開したサイト(opencv.jp)に記載されたモジュール、Scikit-learnモジュール等をこのサイトからダウンロードして、プログラムを形成し、本発明の実施例を形成してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、除水速度を、患者の個体差に応じたパターンで変化させ、且つ、血液情報に基づいて、除水速度を制御することで、突然の低血圧や、血圧の変動を抑えて頭痛、下肢のつり、気分不良がなく、生命予後の改善が可能となるなど安定した透析治療が行われることから、十分な除水、尿毒素の排出ができる透析治療となり、腎機能が残る透析患者に対し、腎機能の回復が可能な状態が形成され、週1回血液透析導入法の検討, 〔日農医誌 51巻2号 68~73頁 2002.7〕で示される週1回の透析治療で十分な治療が行うことができる。
尚、血管内容積の変化は、血液の流出時においては体を防衛する点で必要であるが、除水時においては、除水が十分でない状態であっても、除水速度が過多になれば血管内脱水を引き起こす可能性がある。
血管内容積の変化の検出は、例えば体内血流を計測する血流計と血圧計の組み合わせにおいて
血流と血圧の関係が例示されるが、両方の変化を個々にみても現象的に捉えるのは困難であることから、機械学習等が好適であり、そのなかでも、クラスタリングという教師無し学習が例示され、多次元化した入力により血管の収縮のタイミングなどが例示される。

しかしながら血流は、交感神経による血管の周りの筋肉の収縮の影響を大きく受け、皮膚への刺激等により、おおきく変化する為、そのままでの波形では捉えにくいことから、血流は、除水速度に対応した傾斜で低下していくという周波数成分の前提から血流の下方向の変化が上方向の変化に転じる最小点又は上方向の変化が下方向への変化に転じる最大点と最小点間の中間点を結ぶことで得られる基線データを血流データとして使用することが好ましい。
血流基線データは、上述の通り血流の傾きが下降から上昇に転じた部位を検出し、その変化する点を直線又は曲線にて保管して得られる保管曲線をサンプリングして値を得る。
尚、変化する点の座標を検出できれば、その点の間のサンプル座標は、自動的に求めることができるので、変化点の座標を求めていけば良い。
血圧関連情報は、心電図のR波の時相と上腕、下腕などで検出した脈波の立ち上がり時相間の時間幅、や 生体深部の脈波の立ち上がり時相と生体浅部の脈波の立ち上がり時相の時間幅、心臓部位の脈波と上腕部の脈波のそれぞれの立ち上がり時相間の時間幅を検出し、この時間幅(脈波伝搬速度)の変化により血圧の変化を捉えるものが例示される。
特に血管内容積の変化は、交感神経の影響を大きくうけることからして精神的な面も大きく影響を受け、透析恐怖症のような透析を忌避する患者は、緊張や恐怖により血管内容積の変化を常時生じさせる可能性があるために、体内血流を測定しても、血管内容積の変化により少量の血流しか測定できない場合も生ずる。
この場合、体内血流と血圧の変化は、低い血流量下では全く異なるパターンを形成する場合がある為、透析治療への利用も困難となる。このような場合は、安定した状態を形成してから治療を行うことが好ましい。尚、耳朶など血流が測定しやすい場所であっても、血流量が少ない場合は、別の部位(例えば指の爪など)を測定し、十分な血流量があるかどうか調べる事が好ましい。

【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例を示す図。
図2】本発明の他の実施例を示す図。
図3】本発明の実施例を説明するための図。
図4】本発明の他の実施例を示す図。
図5】本発明の実施例を説明するための図。
図6】本発明の実施例を構成する血圧測定ユニットを示す図。
図7】本発明の他の実施例を示す図。
図8】本発明の実施例を説明するための図。
図9】本発明の実施例を説明するための図。
図10】本発明の実施例を説明するための図。
図11】本発明の実施例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
血液に所定の流れ(毎分200ml)を生じさせる血液ポンプ、前記血液駆動手段で駆動された血液を濾過処理及び除水処理を行うダイアライザで構成される血液濾過ユニット、除水量及び除水速度を調整する除水調整手段、血液量を測定する血液計測手段で構成され、
除水調整手段は、患者の状態に対応する除水速度パターンを設定するステップと、透析治療時の、血液量等の血圧関連情報に基づき除水速度を調整する除水制御ステップを備えている。
除水速度パターンは、例えば、図3(b)~(d)で示し、予めデータとして記憶する。
このパターンは、あくまで例示であって、個体差毎に調整される場合もある。
図3(b)を除き、(c)(d)は、治療開始後、比較的高い除水速度で、徐々に速度を落とすパターンは、血圧値を安定化させる。その後、PRR値が下部閾値を下回ると除水速度を落として、浸透を促し、又、PRR値が上部閾値を上回ると除水速度を高める。
上部閾値、及び下部閾値は、何れも患者の個体差に基づいて設定されるが、その設定は、いわゆる人工知能(AI)的な設定が行われることが例示される。
例えば、患者の説明変数データの集合を作成し、説明変数が多ければ、そのサンプリング(バギング)を用いる。求めようとする目的変数を選択し、ランダムフォレスト処理を行う。このランダムフォレスト処理によって得られるアンサンブル学習後の決定木を、目的変数に対応する対応データとして予め記憶する。
【0024】
例えば、患者の透析治療時の時系列的(例えば数分~数十分起き)な血圧データと、血流データ、体温データ、PRR値データ、除水速度を説明変数としてデータベース化して記憶する。更に前回、血圧データと、血流データによりクラスタリング処理を行った際の重心データとクラスタ範囲データも時系列的に記憶する。
又、前回の治療時、医師、看護士、臨床技士等の従事者の治療の評価データ(血圧の低下が起こり、この時点で治療しておけばよいと考えられる時間、治療上、注意する点、透析治療評価)を数値、記号で記憶する。
このデータの中から、次の治療時において血圧値の予測をする際、治療評価のポイントが高いデータをまず選択した後、時系列的に例えば20分起きの血圧値を選択変数としてランダムフォレスト処理を行って、例えば除水速度とPRR値の関係から、血圧値(目的変数値)の範囲を境界とした対応データを形成しておく。
前の透析治療時に形成した対応データと、現時点での透析治療中に得られるデータを比べることで、数十分後の血圧の状況を予測して除水速度等を調整する。治療時、先に形成した対応データに、除水速度とPRR値を対応させて、血圧の予測を行っていくことから、処理時間が少なく、時系列的判断も可能となる。
【0025】
そしてこの構成を用いて、個体差に応じた除水パターンの選択を行うステップと、前記除水パターンに応じた除水を行いながら、血液情報を収集するステップ、前記血液情報からPRR値等、血管内浸漬体液量を算出するステップと、前記血管内浸漬体液量が所定の割合を超えて減少した場合は、除水速度を低下させ、前記血管内浸漬体液量が所定の割合を超えて増加した場合は、除水速度を増加させる除水速度増加ステップに基づいた透析治療をこなうことで、患者の腎臓の機能に基づいた、例えば週1回の透析治療を可能とする。
又、このステップにより行われる血液透析治療は、患者の残存する腎機能を最大限に生かした患者に対して穏やかな治療となり、尿毒素の除去も十分におこなうことができることから、腎機能の回復をおこなうことができ、更に、尿量などがある程度確保されれば、週1回の血液透析も可能となる。
週1回の血液透析は、患者さんが、一週間経過した時点での透析治療時の体重から求まる除水量が1日でまかなえる程度であれば、可能となるのである。
又透析治療時間も、血圧が安定し、穏やかな治療になる除水量である必要もある。
従って、週1回の場合、丸1日であってもよく、日曜又は土曜だけの透析治療が実現できることが、患者にとっても有意義であり、希望することもあり得ると考える。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の一実施例を示す図である。
11は、血液ポンプであり、例えば一般的に体外に形成した血液回路100内を十分な血流を確保するため、標準値として毎分200mlの血液の流れを形成するものであり、脱血部10aから血液を外部へ取り出す際に用いるもので、例えばローラー式のポンプが用いられているが、このローラー部を構成するインペラの回転数を調整する電気制御回路からなる調整手段を備えてもよく、調整手段は、個体差情報管理手段02からの最適化信号出力02aによって、調整電気出力を、血流駆動ポンプに供給し、回転数が最適な状態となるように調整される。
【0027】
12は、透析器であり、ダイアライザで形成され、内部に1万本程度の側面に孔があいた中空糸の束によって構成され、内部を血液が循環し、外部を血液の流れとは逆方向に透析液が循環する構成を備えている。
13は、血液量測定ユニットであり、ブラッドボリューム計、レーザー血流計等で構成され、例えば、血液回路を構成する導管の外面からレーザー光を照射して内部の赤血球等から反射した反射光を導管外部で受信するセンサとこのセンサから血液量を導出した後、PRR値等を算出して調整ユニット16へ電気信号として出力する。
【0028】
14は、記憶手段であり、ハードデイスク、USBメモリ、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体で形成され、除水速度パターン、患者の個体差情報、除水調整データ等を記憶する。
15は、除水手段(除水装置)であり、透析液循環駆動部、除水駆動部、老廃物貯留部等で構成され、透析器12へ透析液を供給し、透析器12の中空糸側面を通過した際、混合する余分な体液、及び尿毒素等の老廃物を搬送し、フィルタ等で老廃物を外部へ放出すると共に、除水目的の体液を外部駆動ユニット、手動操作により、外部へ所定の速度で排出するためのものである。
除水手段15は、一般的な血液透析装置に組み込まれたものでもよいが、外部へ体液を排出するための排出口の制御を自動的に行う駆動体は、別途設けられる場合もある。
【0029】
16は、調整ユニットであり、コンピュータ、サーバー、クラウドサーバー等で構成され、血液量測定ユニット13、と電気リード線13aで接続して血液量データを入力する。又、血圧測定ユニット17と電気リード線17bで接続して血圧データを調整ユニット16へ入力する。又、血流測定ユニット18と電気リード線18bで接続して血圧データを調整ユニット16へ入力する。16aは、手動操作用入力部であり、ボタンスイッチ、回転式ダイヤル等で構成され、医師、看護士等が手動で、除水手段15を駆動するために信号を入力したり、除水パターンを記憶手段14から読み込んで、除水パターンを設定する等の透析操作を行うための部分である。
調整ユニット16には、コンピュータ及び除水手段15の除水量調整駆動、除水速度調整駆動を行う為のロボット型マニュピレータ、ロボット型をしたものも含まれ、除水手段15を物理的に操作する駆動マニュピレータを備える場合もある。
【0030】
17は、血圧測定ユニットであり、既存の血圧計や、PWTT値測定装置等の血圧関連値計測装置、上腕用カフ、指先用光学式センサ、心電計、脈波想定装置等で構成される。 患者に装着した血圧センサを血圧入力端17aから入力し、血圧データとして、所定間隔(10分ごと等)好ましくはリアルタイムで、形成し、電気リード線17bを介して、調整ユニット16へ出力する。
【0031】
血圧測定ユニット17の具体的な一例を図6に示し説明する。
図6(a)は、上腕部に巻き付けて装着した状態での連続血圧測定ユニットである。
図6(b)は、図6(a)のX-X’断面図である。
緑色に代表される波長(500~570μm )のLEDを生体浅部の動脈波を検出するための発光体とする脈波センサ、と赤外に代表される波長(830~945nm)のLEDを生体深部動脈波を検出するための発光体とする脈波センサを用いる。
図6(a)において、
601は、帯状体であり、ビニール、プラスチック、布で形成され、サポーター等の生体を囲繞して、その位置に固定するものであり、柔軟性樹脂、布、等で伸縮性を備えた状態で構成されている。
帯状体601の伸縮性により、例えば上腕部を周囲から押圧するが、その力は、帯状体601内のセンサーが、移動する事がない程度が好ましい。
帯状体601の幅は、約4cm~6cm、好ましくは、4.5cmから5.5cm態度が例示されるが、それぞれ脈波が好適に検出できる状態の幅であれば、この値に限らない。
【0032】
602は、筐体であり、プラスチック、金属等で形成され、内部に無線通信用アンテナ、電気回路基板、電池等が収容されている。
又、筐体602内には、緑色光及び赤外光を検出する受光部から得られた脈波電気信号を外部へ無線状で伝達するための赤外光、WiFi、Bluetooth(商標)用送受信電子回路モジュールが内蔵されている。
603は、赤外(IR)発光部であり、850nmの波長で赤外光を出力するLED、発光ダイオード等で構成される。
【0033】
604は、赤外(IR)光用受光部であり、フォトトランジスタ、フォトダイオード等で構成されている。
605は、黒色シートであり、黒色のゴム、樹脂、プラスチック柔軟性を備えたシート材よりなり、赤外(IR)発光部603と赤外(IR)光用受光部604間で、体内透過光以外の光を除去する。
606は、緑色光用センサユニットであり、緑色(G)光発光部606aと緑色(G)光受光部606bで構成され、体内4hへ出力された緑色光が細い動脈で反射された反射光を緑色(G)光受光部606bで受光する構成を有する。
【0034】
607は、緑色光用電気接続部であり、電気リード線、及び接続コネクタなどで構成され、緑色(G)光発光部606aへ電気信号を供給したり、緑色(G)光受光部606bから反射光の電気信号を筐体602内の回路へ伝達するための接続部である。
608は、赤外発光用電気接続部であり、赤外光出力用の電気リード線610、及び接続コネクタなどで構成され、赤外(IR)発光部603へ電気出力をするための導電接続部である。
【0035】
609は、赤外透過光用電気接続部であり、赤外受光信号伝達用の電気リード線411、及び接続コネクタなどで構成され、赤外(IR)光用受光部604で出力される、赤外透過電気信号を筐体602へ伝達するための接続部である。
610は、赤外発光部へ電気出力を伝達するための赤外光出力用電気リード線であり、赤外発光用電気接続部608と、赤外(IR)発光部603を電気的に接続するためのものである。
611は、赤外受光部からの電気出力を筐体602へ伝達するための赤外光受光用の電気リード線であり、赤外発光用電気接続部608と、赤外(IR)発光部603を電気的に接続するためのものである。
【0036】
図6(a)で示す実施例の動作を説明する。
帯状体601は、例えばサポーターのような伸縮性を備えた円筒状で形成され、図6(a)で示すようにヒト、左右何れかの上腕部に囲繞装着される。
赤外(IR)発光部603と赤外(IR)光用受光部604からなる赤外線脈波センサーは、脇の下方向に来るように装着されることが、深部の太い動脈4dに対し、透過型で脈波検出する点で好ましい。
しかしながら、被験者の動脈の状態に応じて、上腕外側に赤外(IR)発光部603と赤外(IR)光用受光部604が来るような配置とする場合もある。
【0037】
筐体602には、LED受光信号を外部へWiFi、赤外線等の無線、又は有線で送受信する為の電気回路が形成されており、更にボタン電池等のバッテリーユニットを含む。
使用開始は、前記電気回路に設けられたスイッチをオンにする他、装着と同時にスイッチがオンになるメンブランスイッチ等がオンになること行われる。
筐体602内の電気回路がオンになると、筐体402内の電気回路は、電気リード線410を介して403へ電気信号を供給し、更に電気リード線4111を介して404へバイアスとなる電気信号を供給する。
【0038】
赤外(IR)発光部603は、上述した波長の赤外光を出力する。太い深部動脈を通過して、404で受光する。この受光信号は電気信号に変換され、電気リード線411を介して、402へ供給される。
402内の電気回路が、図1で示す緑色脈波2次微分手段105以降の回路を備えている場合は、2次微分処理などが行われるが、外部にある場合は、この電気信号を送信用の信号に変換する。
この電気信号は、筐体602内の電気回路に接続するアンテナを介して図6で示す操作端末805等図1で示す緑色脈波2次微分手段105以降の回路を備えた操作端末805に送信される。
【0039】
緑色光用センサユニット606の緑色(G)光発光部606aは、末梢血管6s(図2(b)の22)に緑色光を照射し、緑色(G)光受光部606bで受光して、この受光信号を電気信号に変換して、筐体602に緑色脈波電気信号が出力される。
筐体602内に、図1で示す緑色脈波2次微分手段105以降の回路が無い場合、図2(a)で示す受光脈波信号01、02は、例えばADコンバータにより、例えば0.01秒から数秒でサンプリングされた後、デジタル数値データに変換され、外部へ送信される。操作端末805では、入力されたデジタルデータを復元して、アナログ信号を形成した後、これに2次微分処理を施す。
【0040】
又は筐体602内に、2次微分アナログ回路がある場合は、2次微分信号をサンプリングして、操作端末805へ送信しても良く、この場合は、迅速に血圧関連値、血圧値が算出できる。
図6(b)は、図6(a)と基本的な構成が同じで、赤外発光部が高電気エネルギーを用いることから、発熱するため、発熱対策を施した構成と、赤外光(IR)発光部603と赤外(IR)光用受光部604の透過距離を調整するための調整用収縮体を設けた構成を示す。
従って、図6(a)と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
612は、放熱部材であり、アルミ、チタンなどの金属材で形成され、赤外(IR)発光部603と接触電気的に非導通状態で接続する。
613Aは支持シートA、613Bは支持シートBであり、それぞれの外側方向の端部が赤外(IR)光用受光部604と放熱部材612(又は赤外(IR)発光部603)に接続され、伸縮可能とする状態で交差又は重ね合わせた状態で且つ外方向に摺動可能な状態を備えている。
【0042】
614は黒色シートA、615は黒色シートBであり、粘弾性、可塑性を備えた特殊性を備えたゴム、プラスチック材で形成され、黒色シートA614は、支持シートA613A、黒色シートB615は、支持シートB613Bにそれぞれ接続し、支持シートAと支持シートBが両方向へ移動すると共に、黒色シートA614、黒色シートB615も同様に移動して、赤外(IR)発光部603と赤外(IR)光用受光部604間の距離は調整され、赤外線の透過光による脈波測定を最適化する。
616は、調整操作部であり、支持シートA613A、支持シートB613Bの何れか一方又は両方に装着され、使用者により、手で摘んで移動させられる形状で突出配置されている。
このように赤外(IR)発光部603と赤外(IR)光用受光部604間の距離は、伸縮可能な状態で形成されることが好ましいが、赤外透過光が適当に受光できる場合は、支持シート及び黒色シートは、固定された状態であってもよい。
【0043】

18は、血流測定ユニットであり、深部血流測定可能なレーザー血流計又は、その他血流計測機器で構成され、患者の四肢、頭部、耳朶、の他、血流が検出できる部位にセンサプローブを固定配置し、センサプローブから得られる血流信号を血流入力端18aから入力し、血流測定ユニットで、血流速度、血流量等を算出した後、電気リード線18bを介して、調整ユニット16へ出力する。
【0044】
図1で示す電気リード線13a、17b及び18bは、例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)接続の無線操作ユニット(ZigBee等)による無線接続であってもよい。
【0045】
次に図1で示した実施例の動作を参照して説明する。
透析治療を行うために施設されたシャント部を形成した上腕部10の近傍に脱血部10aと返血部10bを血管を中空針を用いて穿刺固定形成して、ブラッドアクセス部を形成する。
このブラッドアクセス部の脱血部10aと返血部10b間に生体外の血液回路100が形成される。
次に調整ユニット16を操作して記憶手段14から読み出した患者の治療履歴データ、血圧測定ユニット17から入力された血圧データ、血流測定ユニット18から入力された血流データから、適当な治療開始時の図3(c)(d)、その他予め設定された除水パターから適当な除水パターンを選択する。この選択は、医師、看護士、臨床技士が行う場合や、データ量が多くなった場合は、患者の前の透析治療時のデータ(体温データ、体重データ、除水速度データ、等)に基づいてマシンラーニング処理、ニューラルネットワーク等のディープラーニング処理等を事前に行い、得られた対応データに当てはめる等して予測的に選択決定されてもよい。
この場合の対応データとは、体温データ、体重データ、除水速度データ、等を説明変数にし、透析治療時の血圧安定状態(血圧の最大変動幅)データを選択変数とした、決定木を作成し、アンサンブル学習後に得られる血圧安定境界線を含むデータで、体温データ等の患者データを入力すると、血圧安定状態が、一意的に示されるものが例示される。
【0046】
調整ユニット16は、患者への除水パターンが設定され、その他ドライウェイト等の入力がされ、具体的な、除水速度を設定すると、例えば図3(c)、又は(d)で示したパターンの除水速度で透析治療が開始する。
血液回路100中を流れる血液は、透析器12で、濃度の差により中空糸外部へ浸透侵出した老廃物及び体液は、緩衝液に搬送され、除水手段15へ搬送され、調整ユニット16の出力信号により設定された除水速度に応じた設定で除水バルブ(図示せず)が開き外部へ体液が放出される。
【0047】
血液量測定ユニット13は、血液回路100中の血液量(BV値)を検出し、血液量からPRR値を算出する。
PRR(プラズマリフィリングレート)値は、血管外から、血管内へ侵入する体液の血中における割合(速度)で、BV計などから算出された推定値である。例えば、図5にPRR値の変化を実線で示す。PRR値の下降率が所定値以上になると、調整ユニット16は、除水手段15に対し、除水速度を落とし、除水駆動弁の開口面積を絞る様な駆動を行う。
逆に、PRR値の上昇率が所定値以上になった場合、調整ユニット16は、除水手段15に対し、除水速度を上げるため、除水駆動弁の開口面積を大きくする様な駆動を行う。 PRR値の所定値は、患者の透析履歴データ、患者の個体差に基づいて、予め設定されてもよく、手動の場合は、PRR値の変化をコンピュータモニター等で観察しながら目安として設定されても良い。この所定値は、患者の個体差によって決定されるが、例えば同時に測定する血圧値の変化の割合が、すくない状態で、除水速度の調整が行われる場合の値を示しても良い。所定値は、閾値として設定されるが、患者の個体差に基づくことから、
所定値を目的変数として患者データに含ませて、決定木、ランダムフォレスト等の処理を行い、血圧を安定させる境値を対応データとして予め作成してもよい。
尚、PRR値まで算出する必要はなく、血液濃度値を計測し、濃度が所定以上大きいと、除水が過多であるといった目安として使用してもよく、推定値よりは正確性が向上する。
【0048】
血圧測定ユニット17は、血圧入力端17aから患者の血圧を経時的に入力し、血圧が安定しているかを監視することができることから、血圧の変化が所定値以上になった場合、調整ユニット16にその旨の信号を出力する。
血流測定ユニット18は、血流入力端18aから患者の血流を経時的に入力し、血流が安定しているかを監視することができることから、血流の変化が所定値以上になった場合、調整ユニット16にその旨の信号を出力する。
血圧値が所定値以上になった場合、血液量測定ユニット13から出力されたPRR値の下降率が、所定値以下であっても、除水手段15の除水速度を低下させる操作を指示する場合もある。
【0049】
又、例えば脳内の血流値と首の血流値が所定値以上に差が生じた場合等も、血液量測定ユニット13から出力されたPRR値の下降率が、所定値以下であっても、除水手段15の除水速度を低下させる操作を指示する場合もある。
このように、血液量測定ユニット13から算出的に得られるPRR値の変化に対応して除水速度を調整すること、血圧測定ユニット17の血圧測定値が所定値より大きくなった場合又は血流測定ユニット18から出力される各部位の血流値の差が所定値以上になった場合、除水速度を増減させることで、患者は、安定した血圧下で、十分な透析治療を行うことが出来る。
【実施例2】
【0050】
本発明の他の実施例を図2及び図1を参照して詳細に説明する。

図2は、フローチャートを示し、図1で示したコンピュータで構成される調整ユニット16のプログラムとして、記憶手段14に記憶され、コンピュータにロードされて実行される。図2で示すフローチャートは、人工知能におけるクラスタリング手法を用いたマシンラーニングプログラム例であり、例えばScikit-Learnモジュールを用いたPythonプログラム等で構成される。又、本プログラム機能の主となる部分のみ示している。
21は開始ステップであり、22は、図1で示す血液量測定ユニット13で血液量、PRR値を得るステップであり、23は、ステップ22で得られたPRR値、又は血液量差分値を求めるステップであって、調整ユニット16のコンピュータで演算処理するステップである。
【0051】
24は、図1で示す血流測定ユニット18で患者の頭、首、手、足等から得られる血流データを得るステップである。
血流測定ユニット18の18aに接続する血流測定プローブ、又はセンサは、近赤外線を照射し、その反射波から血流を求める手段であれば、頭部に装着されて使用されたり、シャント近傍、心臓付近等に配置固定されて使用される。
25は、ステップ24で得られた血流データから血流差分値を求めるステップであって、調整ユニット16のコンピュータで演算処理するステップである。
26は、図1で示す血圧測定ユニット17で患者から得られる血圧データを得るステップであり、27は、ステップ26で得られた血圧データから血圧差分値を求めるステップであって、調整ユニット16のコンピュータで演算処理するステップである。
【0052】
28は、各差分値の2次元座標データとして形成するためのステップであり、所定期間(数十秒から数十分の間)、同じ時間の差分値血液量データ、差分値血流量データ、及び差分値血圧データを抽出し、例えば横軸に差分値血液量データ、縦軸に差分値血圧データとなるように座標データ化したり、横軸に差分値血流量データ、縦軸に差分値血圧データとなるように座標データ化するステップである。
【0053】
29は、所定期間が経過するか、予測可能な状態にデータ量が達したかを判定するステップであり、座標値の量、又は、別のクラスタが、発生した場合、それまでのデータを一つの所定期間として設定する。即ち、予め設定されたクラスタ数を超えたクラスタが発生した場合は、次の所定期間の評価に変更してもよくその場合は、透析開始からの所定期間の数に対応して予め設定されたクラスタ数を変更しても良い。
所定期間の2次元座標化されたデータをz軸を時間として組み合わせることにより、時系列的な、血圧、血流、血液量の変化が示され、血圧変動の長時間後の予測が可能となる。
【0054】
30は、特徴点及ぶ特徴範囲の導出を行うステップである。特徴点とは、クラスタの場合は、重心を示し、特徴範囲は、一つのクラスタの範囲を示すものであり、重心座標からのユークリッド距離が最短になるように、中心座標を変えながら繰り返し演算が行われ、決定される。
31は、評価、予測をするステップであり、例えば、横軸が血流差分値で、縦軸が血圧差分値であって、重心の座標が中央であって、クラスタの範囲が、座標中央に集まっている場合、この座標値は、おおよそ血管内容積の変化の程度の評価を行い、血圧の変動の可能性を設定する。
【0055】
32は、ステップ31の評価結果を受けて、血圧の変動の可能性を判断するステップである。
33は、血圧の変動の可能性がある場合は、図1で示す調整ユニット16は、除水手段15に除水速度を低下させるための信号を出力するステップである。
34は、除水量の調整を時間と共に記録したり、ステップ31での評価内容等を記憶し、除水操作の履歴データを形成して、患者データとして図1で示す記憶手段14に記憶する。この記憶手段で記憶されたデータは、図3で示す初期除水速度パターンの選択等に用いられ、更に外部クラウドコンピュータにより、ビックデータとして利用可能に記録登録されてもよい。
35は、透析終了を確認するステップであり、36は、終了ステップである。
【0056】
次に図2で示す実施例の動作を説明する。
図2は、図1で示した実施例における個体差に応じた除水パターンの選択を行うステップの次のステップを示すものであるが、個体差に応じた除水パターンの選択を行うステップを要せず、図2のステップのみでも本発明の実施例となる場合もある。
透析開始後(21)、図1で示す血液量測定ユニット13、血圧測定ユニット17、及び血流測定ユニット18は、図2のステップ22,24、26で示すように血液量、血流量及び血圧値を入力し、それぞれの差分データを形成する(23)(25)(27)。
差分値は、少なくとも得られた生体信号を2次元以上の座標化可能とするためのものであり、その他の変換であってあっても、回帰性、相関性を有する関係が形成されれば、特に限定されない。
【0057】
この差分値は、何れも同じ2次元座標上に座標化ができる値に変換されている。
次に、この差分値データであって同時刻の例えば、血液差分値を横軸を血圧差分値を縦軸とする2次元座標データ化が所定期間、行われる。(28)
更に、血流差分値を横軸を血圧差分値を縦軸、又は、血流差分値を横軸、血液差分値を縦軸とする2つの2次元座標データを形成する。
【0058】
この座標データを所定時間間隔で行うか、又は、座標値が突然離れた値となって、且つそれが連続した場合は、その前までの座標値に基づいた、血圧の変動の予測が可能と判断し、ステップ30で特徴点と特徴範囲が導出される。
ステップ30において、得られた特徴点(重心:セントロイド)及び一つのクラスタの範囲(特徴範囲)から、血圧の変動を予測評価する。
例えば横軸に血流差分値、縦軸に血圧差分値となる場合、その座標は、血管内容積の変化の程度に関連すると考えられることから、座標が原点に近く、原点に近い範囲でクラスタが形成された場合は、血管抵抗が大きく血圧を安定させようとしている可能性が示されることから、これ以上除水をすると血圧の急激な低下を招く確率が高くなったと判断し(32)(yes)、調整ユニット16は、除水手段15に、除水速度を落として、除水量を低下させる操作を行う(33)。
この除水量の調整がおこなわれた場合、調整データに、透析治療開始からの時間情報と共に、除水量を記憶手段14に記録する。
血圧の変動可能性が無い場合(32)(no)、再び血液量の入力ステップ(22)に戻り、データの入力動作を行う。
透析時間が終了する場合(35)(yes) 、透析治療が終了する(36)。
以上の説明の通り、各差分データを2次元座標化し、相関、又は回帰的な処理を行うことで、血圧の変動が事前調整可能な時点での予測ができる場合がある。
又、所定時間範囲でクラスタの発生数が増加したり、その範囲が、変動するような分散傾向にある場合、血圧の変動が著しくなっていることが示される為、調整ユニット16は、除水手段15の除水速度を落とし、更に、血液回路100へ補液の供給を行う場合がある。
【0059】
尚、上述した血圧と血流の関係に基づいて得られる
透析治療前データ、透析開始時間からの時間、除水量、クラスタの個数、それぞれの重心の座標、クラスタの範囲、評価項目を一覧表的にデータ化することで、患者の透析治療時の個体差パターンデータが得られる。
評価項目は、例えば5段階に設定し、患者が、穏やかな透析治療がおこなわれた際に形成された場合に5を付け、穏やかでない場合は、例えば1を付するものであり、その中間は、予め規則を作り、その規則に該当した値を付する。これを逐次記録して、患者の透析治療パターンデータベースを形成して、コンピュータ等のハードデイスク、USBメモリ、サーバー等に継続的な記録が行われる。
この患者の個体差パターンデータが蓄積されることで、ランダムフォレスト、デイープラーニング等の人工知能プログラムの変数データとして利用が可能となり、これら設定変数を用いて、最適な透析パターンを予測決定できる可能性が生じると共に、自動透析治療用のオートパイロットデータとして使用可能となる。例えば、透析治療開始前、患者の体重、体調を示すデータに該当し且つ評価が高評価4から5の個体差パターンデータを選び、パターンデータに基づく除水速度で透析治療を開始する。透析治療の際、時系列的に、クラスタを検出し、その重心、クラスタの範囲と、選んだ個体差パターンデータとを比較しながら、近似している場合は、個体差パターンデータの除水速度の許容範囲で、除水量を調整する。近似していない場合は、オートパイロットは中止して、その中止のデータを個体差パターンデータに追記し、治療時の個体差パターンデータの記録のみ行い時系列的な予測に基づく透析治療を行う。
【0060】
次に他の実施例を図4を参照して詳細に説明する。
図4は、図1で示した実施例の動作をフローチャートで示したものである。
401は、開始のステップであり、図1で示す実施例の調整ユニット16の動作開始等を示す。
402は、除水速度パターンの設定ステップである。除水速度パターンは、図3で示すパターンを示し、これらの内の一つのパターンを選択するステップである。選択する場合、患者の体温、除水量(例えばドライウェイトに基づく)、その他、血圧値、前回の透析治療時に得られたステップ415で作成された評価データ等が参照されることが好ましい。この評価データには、前回の除水パターン、除水速度、血圧関連データ等が含まれ、
患者の状態(心拍数、体温、体重、除水量等)が同じ場合は、そのまま適用される場合もある。これは、単に対応関係で、より穏やかな透析治療、短時間化された治療ができる場合、透析治療が必要か否かのデータが含まれても良い。
【0061】
例えば、治療後、評価データに、eGFR値の改善データ、クレアチニン値の改善が含まれていれば、腎機能の回復傾向が示されていることから、透析治療を週1回にする評価データを形成し、次の透析治療日などを予測的に指定する表示を行う場合もある。
これらの患者データとこれに対応する除水速度パターンと除水透析治療結果評価を備え、マシンラーニングなどの入力データとして使用され、除水治療を受ける患者データを入力し、その結果一番有効性のある除水速度パターンが選択される。
尚、除水速度パターンの種類が少ない場合は、必ずしもマシンラーニング処理等の人工知能処理を必要とせず、医師、看護士等が選択ボタンを押して選択する場合もある。
【0062】
403は、パターン設定が終了したかどうか確認をするステップであり、人工知能による処理が、クラウドサーバーと使用した場合等、時間がかかる場合など、処理が終わるのを待つ場合もある。
404は、選択された図3で示す除水パターンに基づいた透析治療を行うステップである。除水速度は、最初、一般的な均等除水よりも早い速度で除水が行われ、徐々に、例えば指数関数的又は、逆比例的に除水速度を低下させる。例えば図3(b)の実線Aで示す除水パターンは一般的な均等除水であり、図3(a)の実線Aで示すように血液量(BV)が低下していく。図3(c)の長い点線Bでしめす除水速度の変化は、図3(a)で示す点線Bの血液量変化となり、図3(d)の短い点線Cでしめす除水速度の変化は、図3(a)で示す点線Cの血液量変化となる。図3(c)、(d)で示す除水速度パターンは、最初の除水量を大きくすることから、患者によっては、除水時間を短くすることも可能である。
【0063】
405は、除水終了かどうかを問い合わせるステップであり、終了の場合、又は中断の場合などは、終了ステップ416へ移行し、一時停止、終了処理が行われる。
406は、除水速度の測定であり、制御用操作パネルで設定した速度でなく、実際の測定値を得るためのステップである。
407は、血液量(BV)、生体内血流量及び血圧を測定するステップであり、BV計の値を測定してΔBV値等を算出する。ΔBV値は、単位時間当たりのBV値の差分の値であり、PRR値を算出する場合等に用いられるが、ΔBV値はそのまま、PRR値の代わりに用いられる場合もある。
生体内血流量は、血流計により、耳朶、指先、眼球、上腕、心臓周辺等の上部で測定された血流値であって、血流基線データに変換したものが示される。
血圧値は、血圧関連情報であり、脈波伝搬速度(PWV)に基づくPWTT値が好ましい。体内血流量及び血圧関連情報は、いずれも単位時間当たりの変化量が比較出来る点で好ましい。
【0064】
408は、PRR値等算出ステップであり、上述した式に基づいて算出され、更に所定時間当たりで差分値を得る。PRR値及びPRR差分値は、除水速度と比較可能な状態に変換されることが好ましい。
410は、比較ステップであり、PRR差分値、血流基底値の変化量、血圧関連値の変化量を閾値と比較照合する。比較ステップ410は、PRR差分データが、閾値よりも大きい場合だけを示しているが、逆に小さい場合であって、より小さい場合の比較により、除水速度を上昇させる場合もある。

409は、閾値推定ステップである。閾値は、PRR差分値の比較対象となり、除水が過多か、それとも不足かを判定する値である。 一定値である場合もあるが、体内の血管内容積の変化量の大小で、除水できる量が変わる場合もあることから、本実施例では、時系列的に得られるPRR値、血圧関連値の変化量、末梢の血流基線値の変化量等を例えば、決定木処理やランダムフォレスト処理で算出した決定木データに当てはめて該当する閾値データ(目的変数)を得てもよい。
例えば、予測結果が、除水量の調整に関する決定木の一例として、PRR値が高い(yes)→血圧関連値が高い傾向(YES)→血流基底値が下がる傾向(YES) の場合:除水量を増やすが、血管内容積の変化量が大きい可能性があり、増やす量は中程度といったエリアを最終形成して3次元グラフデータを作成する。即ち除水量の細分化した増減を区域毎に設定した3次元決定木グラフを作成、これに当てはめて除水量を推定し実行する。その結果、血圧値の安定度が低下した場合は、再度、決定木を構成し直し除水量の調整内容を修正する。
410aと410bは、フラグfaの値を設定するステップであり、例えば、PRR値等のエリアが異なる場合は、fa=1、同じ場合は fa=0のフラグを立てる。
【0065】
411は、除水パターン内の除水速度かどうか判定するステップであり、図3で示した除水パターンの除水速度以下又は以上を、判定時の時間に基づいて判定する。
本実施例は、最初比較的高い除水速度で、これを徐々に下げていく除水パターンを用いることから、PRR値が閾値を下回ることがある場合、除水パターン内の除水速度の変化量がPRR値の変化量に近似する場合は、除水速度調整を行わない場合があるからである。
但し、閾値に比べ、大幅に下回る場合は、除水速度を調整する場合もある。
411aと411bは、フラグfbの値を設定するステップであり、例えば、除水パターン内の除水速度の場合は、fb=1、それ以外はfb=0のフラグを立てる。
412は、その他の患者のパラメータ範囲内かを判断するステップであり、同時に測定した血圧値、血流値の値が、例えば異常な値かどうかを判定するステップである。
412aと412bは、フラグfcの値を設定するステップであり、例えば、その他の患者パラメータの範囲外の場合は、fc=1、それ以外はfc=0のフラグを立てる。
【0066】
413は、除水速度の調整の要不要を判定するステップであり、いままでのフラグの値から、除水速度の調整要不要ほ判定する。
例えば、フラグが、fa=0、fb=0、fc=0の場合、除水速度は、調整する必要がなく(413(no))で、ステップ404に戻って、除水速度などを変更することなく治療を続ける。
【0067】
例えば、フラグが、fa=1、fb=0、fc=0の場合、除水速度は、調整する必要がなく(413(yes))で、ステップ414に移行する。
414は、除水速度を調整するステップであり、入力するフラグに対応した除水速度値に対応する除水速度の調整をする。
除水速度調整は、例えば、回転つまみを回すことで調整される場合は、この回転ツマミを回す為のロボットマニュピレータ等を用いても良く、直接駆動部と接続し、駆動部を構成するドライバユニットを電気信号で操作する場合もある。
【0068】
415は、評価記憶ステップであり、一連の除水量の経時的フラグの変化と、除水調整のデータを時系列的にまとめ、患者の個体差データを形成すると共に、医師、看護士等の治療に直接携わる者のコメントを記入する。コメントは、例えば、血圧の変動が生じた場合、その変動を抑える為には、どのタイミングで、除水制御をおこなえば良いかという時系列ポイントを示す。
416は、終了ステップであり、治療時間の終了や、中断の場合を示す。
409は、閾値推定ステップであり、ランダムフォレスト処理による決定木データに今回の患者のデータが該当する箇所に対応する閾値データを選択する。
ランダムフォレスト処理による決定木データとは、例えば、患者の先の透析治療時の体調、体重、DW、浮腫の状態、目標透析量、血圧等を数値データ化して説明変数データを例えばCSV形式で、データベース化する。
【0069】
このデータベース化されたデータに対し、目的変数データを閾値データとして、ランダムフォレスト処理を行って患者データに対する閾値の対応関係を形成したものを示す。
即ち、閾値Aをつかうか閾値Bを使うかは、例えば血圧データ等の設定変数と決定木に従って決定された対応関係に基づくことが好ましい。
この対応関係を示すデータに今回の治療患者データを入力することで閾値データを一意的に得る。
【0070】
次に動作を説明する。
血液透析治療を開始する前、血圧、目標除水量、体温、等患者データ、残腎機能を読み込み、体調と除水治療の関係から、治療の時間、治療のタイミングを予測するデータを決定する。
治療のタイミングが、通常の定期的除水処理の場合は、更に除水パターンが決定される。
残腎機能が、回復している値の場合は、治療日時が調整される場合もある。
これは、例えば、患者の透析治療の履歴データに基づいて決定木、ランダムフォレスト等のマシンラーニング処理で形成された予測データに照合し、どの除水速度パターンが適当か、判定する。
【0071】
マシンラーニング処理やディープラーニング処理等は、正確な判断と言うよりは、むしろ確からしい判断処理を行うことで、高い確率値を得る場合もある。どの場合が、一番穏やかな透析治療となるかを決定し、除水速度パターンを選択したり、時間を調整したりする場合もある。その場合でも常に、体内血流量、血圧値、体外血流量を測定し、血管内容積の変化の状態と血液濃度値に変化を観察し、その場合、通常は、血圧の変動、患者の気分の変化などは無かったが、今回血圧の変動が生じたという時、Q-learningの様な強化学習の場合は、報酬値の変更(今回は、血圧の変動が生じたためマイナス)によりテーブルの更新が行われることが好ましい。
選択された除水速度パターンに基づく除水治療を開始する(405)。
【0072】
ステップ405で除水治療が治療時間完了、又は目標透析治療が完了した場合は、終了ステップ416に移行する。終了ステップ416は、患者のデータと、透析治療時の透析速度パターン値等を一連のデータとすると共に、その結果、穏やかな透析治療となったか、頭痛がしたか等の透析評価をデータとして関連づけて記憶する。
この記憶データは、例えばクラウドサーバーに記憶され、ビックデータの一つとして使用されても良い。
【0073】
ステップ406で除水速度を経時的に測定し、体外血流量(BV値)を経時的に測定する(407)。このステップで得られる値に基づいてPRR値を算出する(408)。
PRR値を閾値と比較する(410)。ステップ410は、大小を判定する状態を示している。
【0074】
ステップ410は、例えば図5で示すPRR値と閾値の比較を示し、この場合は、PRR値が、所定の閾値を下回った場合、除水速度を調整するモジュールソフトウェアだけを用いる場合もある。
PRR値が閾値を下回っている場合(410(yes))、フラグfa=1が立ち(410b)、上回っている場合(410(no))、フラグfa=0がたつ(410a)、
次に除水パターンの除水速度の範囲内か判定し(411)、範囲内の場合は、フラグfb=0が立ち(ステップ411a)、範囲外の場合、フラグfb=1がたつ(ステップ10b)。
【0075】
次に患者パラメーター範囲内であるかどうかを判定し(412)、パラメータ範囲内(yes)の場合は、フラグfc=0が立ち(412a)、範囲外であればフラグfc=1が立つ(412b)。

患者パラメータの組み合わせは、関連するデータを含み、例えば、除水速度が上回っても、血圧が安定している場合や、逆に、過敏な反応で、患者の個体差範囲外である場合等は、様々な個体差に基づいたデータとなる。
【0076】
次のステップ413では、フラグの集合の値に応じて、除水速度の調整を要するか否かの(目的変数)判定が行われ、調整が必要な場合(yes)、除水速度が調整される(414)。
例えば(fa=1 fb=0 fc=0)のマトリックスは、除水速度がPRR値を上回り、その他の例外的な要件がないことから、除水速度の調整ステップ(414)に移行し、除水速度を低く調整して、ステップ404へ戻り、除水治療を継続する。
【0077】
治療時間が経過し、終了する場合(405(yes))は、ステップ415へ移行し、医師等の治療評価の付記が行われ、例えば、血圧の変動があった場合、その変動を防止するタイミングと除水調整内容を時系列的に記録して患者固有のデータとして記録する。
患者が穏やかな透析治療が出来た場合は、一連の治療データの時系列的内容にその旨のデータが付加され(目的変数となり得る数値、記号)、例えば、透析治療前の患者の状態から、予測的に治療データの選択をすることができるようにすることができる。
【0078】
尚、この閾値は、透析治療前に設定する方法であり、先の患者の透析治療において作成された患者データ、その他の患者データであるが、時系列的に閾値を変化させる場合もある。これは例えば、図2で示す実施例により血圧値と血流値のクラスタリング処理により、そのクラスタの重心と範囲が、所定の範囲にある場合とそうでない場合で、閾値を調整する場合もある。
尚、これらの閾値は、予測値であり、これを事前に医師などが目視確認できる状態として、その適否、調整を行うことができる様にし、その調整値を、患者データに記入することが好ましい。 この閾値評価データは、次の透析治療時、説明変数として用いられることが、更に個体差に応じた透析治療を実現することを可能とする。

評価記憶ステップ(415)は、これらのフラグデータ、評価データを1回の透析治療データとして記録する。
【0079】
次ぎに本発明の他の実施例を図7を参照して詳細に説明する。
701は、透析装置であり、既成の透析装置であって、HD、HDFタイプが例示される。
701aは、血液ポンプであって、体内から取りだした血液を透析装置701、ダイアライザ702を循環させるための回転駆動を行うポンプである。
701bは、血液チューブAであって、体内から脱血部を介して血液をダイアライザ702へ輸送するためのもので、内部を血液が通過し、透明半透明な樹脂で形成されている。701cは、血液チューブBであって、ダイアライザ702から脱血部712aへ血液を戻す作業を行う。
【0080】
702は、ダイアライザ(透析器)であって、側面が透明、半透明な材料によって形成される既成の製品をしめすものであり、703は、レーザー血流計であり、ドップラー方式が例示されるが、周波数帯が広い範囲(150KHzから500KHz前後)で、測定可能なレーザー血流計を示す。
703aは、ダイアライザ用血流計用プローブであって、レーザー光を照射する照射部と、受光する受光部で形成され、反射計測の場合は、照射部と受光部が所定の角度で対向するように配置されたり、透過計測の場合は、2つのプローブユニット(照射部と受光部)で形成されており、ダイアライザ702の側面に対向するように固定されている。703bは、伝送用部材Aであり光ファイバ又は電気リード線で形成され、血流計プローブで受光した光又は光電変換した電気信号を、レーザー血流計へ伝送する為のものである。
【0081】
703cは、患者用血流計プローブであり、レーザー光を照射する照射部と、皮膚内組織で反射した反射戻り部を所定の角度で配置した反射型の構成を備えている。患者用血流計プローブ703cは、例えば耳朶等を挟持して測定する場合は、一方に発光体、他方に受光体画も受けられている。
703dは、光ファイバ、電気リード線などによる伝送部材Bであり、患者706に装着した血流計用伝送ケーブルを例示する。
703eは、電気伝送路であり、LANケーブル、USBケーブル等の有線ケーブル、WiFi、赤外線、Bluetooth(登録商標)等の媒体を伝送する伝送路である。
【0082】
704は、連続血圧計であって、例えば、図6で示すような、上腕部に装着された帯状体下の深いところでの脈波と浅いところでの脈波を検出し、その差をとった値に基づいて、
血圧値を算出する。連続血圧計704は、例えば特願2019-35914号の手法に基づいて血圧値を推定計測する。
尚、血圧値を算出するまでもなく、その変化量であっても良い、変化量は相対値であることから、最初の基準血圧値を計測しても良い場合もある。
【0083】
レーザー血流計703及び連続血圧計704は、データ出力部に、WINDOWS(登録商標)、linux、MACOS等のOS(オペレーテイングシステム)を持つコンピュータユニットでが接続され、WiFiモジュール、Bluetooth(登録商標)モジュール、赤外線送受信モジュールを備え、OSは、データの共有、リモートデイスクトップ接続を行うデータ出力部、AD変換器によりアナログ信号をデジタル信号に変換して処理するデータ入力部を備えている。
704aは、上腕装着用無圧カフであり、内部に赤外線発光体、緑色発光体、巻き付け装着時、外部からの光の漏れを遮断する遮断用連続突起、心電図用電極、心音センサを内蔵する空気圧袋等で構成されている。
704bは、伝送路であり、電気有線ケーブル、無線媒体等で形成され、上腕装着用無圧カフで得られた血圧値データなどを連続血圧計704へ送信したり、連続血圧計704でデータを処理する場合は、血圧データを演算算出する為の脈波信号、心電図信号を伝達する伝送路である。
【0084】
704cは、データ伝送路であり、USBケーブル、LANケーブル、等で形成され、血圧値をコンピュータ端末705へ伝送する為のケーブル、無線媒体である。
705は、コンピュータ端末であって、ハードデイスク、usbメモリ等の記憶装置、を備え、内部に記憶したプログラムに基づき実行する処理実行部を備えたものであって、好ましくはデイスプレイモニタ、コンピュータマウス、キーボード、タッチパッド、タッチパッド型デイスプレイモニタを含む。
コンピュータ端末705は、上述した機械学習アルゴリズム、深層学習アルゴリズムをプログラムとして実行する。
【0085】
705aは、透析装置用データ伝送路であって、WiFi、無線LAN、有線LAN、赤外線通信、BlueTooth(登録商標)等で構成され、透析装置701へデータを送信したり、遠隔操作を行う為の伝送路である。
705bは、画面・音声出力部であり、コンピュータデイスプレイ上や、スピーカー、イヤホン等の発音具が接続され、たとえば、血圧血流が安定せず、心拍数が上昇した場合や、血圧の急激な変化が十数分以内に起きる可能性がある場合等、その旨を画面、及びお音声で、医師などに報知する。
【0086】
705cは、患者伝達手段であり、画面表示、音声表示を患者に行う為の伝達体であって、WiFi、赤外線、Bluetooth(登録商標)等の無線、又はLANケーブルで形成されている。
706は、患者であり、一方の腕には、透析装置に血液を供給する為の脱血部とダイアライザで、血液が浄化して得られる浄化血液を体内に戻す 返血部で構成されるブラッドアクセス部712が形成されている。
【0087】
707は、医師、看護士、臨床工学技士等の透析治療従事者である。
708は、透析液回路であり、透析液の流れを形成するポンプなどを内蔵し、透析液チューブ708a、708bを介して、ダイアライザの下から上方向へ透析液を流す為の構成、外部へ水、老廃物を廃棄する為の構成を備えている。
709は、補液供給部であり、生理食塩水や必要な成分が除去された場合の補給部である。
710は、制御操作部であり、デイスプレイモニタ、コンピュータマウス、タッチパッド、キーボード、CPU、GPU等を含むコンピュータシステムと同様の構成を備えておいる。
【0088】
711は、除水調整部であり、電磁バルブ等の電気制御可能な弁、バルブで形成され、外部電気信号により、開閉動作等を行う。
712は、ブラッドアクセス部であり、動脈と静脈部を接続した内シャント部を形成した近傍の静脈から穿刺中空針により外部へ血液を取り出す脱血部と、ダイアライザ702で浄化された血液を体内に戻すべく静脈へ穿刺した中空針よりなる。
【0089】
次ぎに動作を説明する。
透析患者は、上腕部に上腕装着用無圧カフ704aを圧力を感じない程度に、センサが皮膚に密着する程度で巻き付け固定する。固定は、面状ファスナのような当接固定ができるものが好ましいが上腕部に上腕装着用無圧カフ704aが滑り落ちないように固定され、且つ患者に負担を与えない程度の固定が好ましい。
【0090】
704aは、上腕装着用無圧カフであり、内接する赤外線脈波センサにより皮膚から深い部位の動脈の脈波を検出し、緑色センサにより皮膚から浅い動脈の脈波を検出する。
赤外線脈波センサによる皮膚から深い部位の動脈の脈波が困難な場合は、心電計の少なくとも一誘導を計測するための電極を例えば心臓を挟む形で両腕に貼り付けるか又は、カフにより挟み込み固定する形で保持して使用することが好ましい。
【0091】
上腕装着用無圧カフ704aで得られる赤外脈波信号と緑色脈波信号の両信号の立ち上がり時相パルス信号を連続血圧計704へ704bを介して送信する。連続血圧計704は、超小型化され、上腕装着用無圧カフ704aに収容され一体化される場合もある。
連続血圧計704は、更にコンピュータ端末705へデータを送信するが、その際、予め、データ処理して、例えばサンプルポイント(0.1から10秒間隔)で、データを測定していき、CSVファイルに変換し、サンプルポイントが所定の数だけ蓄積した場合、コンピュータ端末705へ送信したり、フォルダを共有化して、コンピュータ端末705は、フォルダ内にファイルが蓄積されるとそれを検出し、処理するバッチ処理形式のような態様であってもよい。
【0092】
患者706の腹部、四肢に当接装着された患者用血流計プローブ703cから検出された血流データは、伝送部材B703dを介してレーザー血流計703に送信する。血流データは、伝送部材B703dが光ファイバの時は、反射戻り光としてレーザー血流計703に伝達され、患者用血流計プローブ703cがレーザ出力チップと、受光半導体素子の場合は、電気信号としてレーザ血流計703へ伝達される。
レーザー血流計703は、受信した信号から、血流速度、血流量を算出し、算出したデータをコンピュータ端末705へ出力する。
【0093】
レーザ血流計703は、ダイアライザ702に接続したダイアライザ用血流計用プローブ703aで検出される反射光又は透過光を受光し、伝送用部材A703bを介してレーザー血流計703に入力され、血流速度、血流量等の目的の値に変換され、コンピュータ端末705へ伝達される。
コンピュータ端末705は、血流データ及び血圧データを経時的にモニターする。両者の所定時間の変化量をとる。血流データは、交感神経、皮膚刺激により変動が頻繁におこることから、除水による血流量の変化を明確にするため、ベースラインを抽出する。ベースラインとは図9に示す903である。このベースラインは、除水量による血流低下傾向に基づくものであり、血流波形の時系列的に生じる最低値を検出しこれを繋いでいく、繋いだ時点で、所定間隔で値を取得し、サンプル間隔ごとの変化量を取得する。901は、血圧波形であり、 この波形は、文献(http://www.tokyo-hd.org/pdf/44th/44th_04_18.pdf レーザー血流計の有用性における検討)の結果Case1の透析治療時の血流、血圧の変化を示すチャートの一部に基づいている。
【0094】
図8で示す様にベースラインを検出しながら、血流の変化量を横軸に、血圧の変化量を縦軸にした2次元のチャートを100ポイント毎に作成し、これをクラスタリングによる機械学習処理を行って、3領域に分けると共にそれぞれの重心を求めてその重心の変化を観察しながら、血圧の変動を監視し予測へつなげる。図10に透析開始から60分後のチャートを示した。 図7で示す血圧値と血流のベースラインをそれぞれデジタイザーソフトウェアにより、座標化した後、これらの座標に基づいたデジタル信号をD/A変換器によりアナログ信号に変換してシミュレーション血流出力と血圧出力を形成した。
【0095】
この血流出力と血圧出力をそれぞれA/D変換器でデジタル信号に変換して、座標化した後、所定間隔で血圧値と血流値を検出し、クラスタリング処理をしながら、血圧血流の関係を100ポイントづつ分散図化し、更にクラスタリング処理が学習により決定した重心点を抽出、その変化を監視し血圧の変動の予測を行っていく。図10は、python3.6により作成したプログラムコードの一部を示す。
モジュールとして
【0096】
import numpy as np
from sklearn.cluster import KMeans
from sklearn.decomposition import PCA
import matplotlib.pyplot as plt
をインポートしている。Kmeansによるクラスタリング処理をおこなった。
【0097】

分散図の一例を図11に示した。図11は縦軸を血流の変化量、横軸を血圧の変化量としている。測定開始から30分後で、血圧データが測定開始となった時点である。
1101、1102、1103は重心であり、それぞれプロットした血流血圧値の重心値を示す。1102は、単独で、重心が形成されている。
重心を3つにしたのは、これらの重心の更に中心をとり、その時系列的変位を痛惜するためのものであるが、その他の数であっても良い。
1101は、重心のみが示された状態で、1つの血流と血圧の変化量が示されている。1104は、2つの領域を300回の学習結果に基づいてプログラムが分けている状態を示す。血流と血圧の状態が、4つの変化方向エリア(血流+方向 血圧+方向)(血流-方向 血圧+方向)(血流+方向 血圧-方向)(血流-方向 血圧ー方向)が設定でき、
2つの情報を1つの形で見やすくし、重心処理により、その傾向が見やすく処理される。
例えば、血管収縮時の際の血流低下の変化と血圧の上昇変化の場合が重心の集中範囲で確認できると共に、時間情報に基づくことにより血管状態の変化が確認できる。
【0098】
重心の変化をコンピュータ端末705の画面又は、音声で透析治療従事者707に報知する(画面・音声出力部705b)。
又は透析装置701に直接制御信号を出力する(透析装置用データ伝送路705a)更に患者706にも、その変動を通知し(患者伝達手段705c)、体調の不備などがあるかどうかを問いかけ、患者からの応答を記録することで、更に機械学習用の教師用データとして用いることができる。
【0099】
体内血流データのベースライン(基線)を検出する構成を図8に示し説明する。
図8は、ベースラインを検出しデータ化するステップの一部を示す。
図8は、体内血流データのベースラインデータを取得する為のフローチャートである。
801は血流波形のサンプルポイントBFG値を一定の時間幅でサンプリングして得るステップである。一定の時間間隔とは例えば、100msecから1分の時間幅であって、それ以外であっても選択される場合があるが、時間間隔が長くなれば、データは荒くなり、最小値の検出頻度が下がり、時間幅を短くするとデータは細分化され、最小値の正確な検出が可能になるが、処理時間がかかる場合がある。
ステップ801は、ベースライン設定動作を説明しやすくするため時間設定である。
【0100】
802は、次のサンプルポイントBFNを決定するステップである。
サンプル時間は、上記で説明した時間幅である。
803は、現在のサンプルポイントBFGと 次のサンプルポイントBFN間の大小、及び等しいを判断するステップである。
804は、1つ前のモードが上昇下降かどうかを判定するステップである。1つ前のモードとは、現サンプルポイントの1つ前のサンプルポイントと現サンプルポイントによって決定されたモードにおける傾きを示す。
【0101】
805は、1つ前のモードが上昇下降かどうかを判定するステップである。
806は、BFG(現サンプルポイント)を最大値として設定するステップである。
807は、次のサンプルポイントBFNが下降モードであることを一時的に記憶するステップである。
808は、BFGのサインプルポイントが最小値であることを決定するステップである。
809は、BPNが上昇モードであることを示すステップである。
810は、現サンプルポイントの直前に、最小値BFG(-1)があるか判定するステップである。
811は、いままで最小値が無かった場合、測定開始後、初めて得られる最小値BFG(-1)を設定するステップである。
812は直前の最小値BFG(-1)とBFGを線形補間するステップである。
線形補間とは、直線又はスプライン曲線等の曲線関数で最小値間を接続して補間することを示す。
【0102】
813は、線形補間関数からサンプル点からデータを取得するためのものであって、時間に対する振幅値として決定される。線形補間の時間間隔が長い場合は、補間間に複数のサンプルポイントが検出される。
814は、次のサンプルポイントを入力するため今まで次のサンプルポイントとしてきたサンプルポイントBFNを現サンプルポイントBFGに変更するステップである。
尚、サンプルポイントの終点についての処理は、ステップ801、802の後に設定されるが、補間作業を説明する為、記載は省略した。
【0103】
次ぎに図8の動作を説明する。
測定開始時点での体内血流波形の現在のサンプルポイントBFGを設定する(801)。次ぎのサンプルポイントを次のサンプルポイントBFNを設定する(802)。
現サンプルポイントBFGと次のサンプルポイントBFNの傾きを検出する。例えば
BFG-BFN<0の場合は、上方向の傾き であり BFGーBFN>0の場合は下向きの傾きである。
ステップ804で、現サンプルポイントBFGの1つ前のサンプルポイントの傾きが上方向か下方向かを検出する。
1つ前のサンプルポイントの傾きのデータは一時的に記憶されたデータを用いるものであり、ステップ804で、1つ前のモードの傾きと次のモードの傾きが下降モードの場合は、そのまま下降モードである記憶を一時的におこない(807)、
【0104】
傾きが上向きに変化している場合は、現サンプルデータでデータの傾きが変化したことであり、最小値BFGを登録する(806)。現サンプルデータの前に最小値BFG(-1)があるかないか検出する。測定開始最初の最小値の場合は、初めての最小値であるので、この最小値BFGを直前の最小値BFG(-1)と設定する。
直前の最小値BFG(-1)がある場合は、この直線の最小値と次の最小値BFG間を線形補間する(812)。
線形補間された範囲は、直線又は曲線の関数として予め設定された式を適用していくが、時間幅があることから、この間からデータをサンプリングして得る(813)。この時のサンプリングは、同じ時間間隔が例示される。
【0105】
BFGがBFNよりおおきい場合は、下降モードでありその一つ前のモードを確認し(805)、下降モードの場合は、そのまま下降モードとし(809)、上昇モードの場合は、BFGは最大値を示す(806)。
本実施例では、最小値のみを結び、所定時間でサンプリングして、各時間後とのサンプルポイントを求めたベースラインを形成するが、場合によっては、最小値と最大値の中間又は平均値を求めても良い。 このように、体内血流波形からベースラインデータを形成することで、PWTTなどの脈波伝搬速度を利用した血圧の変化量データとの機械学習処理がスムーズにおこなうことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、頭痛や気分不良が無く、むしろすぐにでも活動が可能で、治療中の補液などの処置を不要とし、患者にとって穏やかな透析治療を実現することで、腎機能の残存の程度により、週1回の透析治療等を実現したり、腎機能の回復を行う今までに無い血液透析治療が提案でき、新しい血液透析分野を実現可能とする。
【符号の説明】
【0107】
11 血液ポンプ
12 透析器
13 血液量測定ユニット
14 記憶手段
15 除水手段
16 調整ユニット
17 血圧測定ユニット
18 血流測定ユニット
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