(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】送信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/236 20110101AFI20230511BHJP
H04N 21/434 20110101ALI20230511BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20230511BHJP
【FI】
H04N21/236
H04N21/434
H04N23/60 300
(21)【出願番号】P 2019551892
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2018031565
(87)【国際公開番号】W WO2019092952
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2017217833
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知宏
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 達也
(72)【発明者】
【氏名】吉持 直樹
(72)【発明者】
【氏名】稲田 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】小林 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】依田 光二
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 隆弘
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-306765(JP,A)
【文献】特開2012-150152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N5/222-5/257
7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
23/00
23/40-23/76
23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に対して設定される領域に対応する領域情報を前記画像における行ごとに設定し、設定された前記領域情報と前記領域に対応する領域データとを、行ごとに送信させる画像処理部を備え、
前記画像処理部は、
前記画像を解析することによって、または、外部から取得される領域指定情報に基づいて、前記領域を設定するとともに、
複数の前記領域が重なる重なり部分が存在する場合、前記重なり部分のデータを1回だけ送信させ、
前記領域情報には、行の位置を示す情報、行に含まれる前記領域の列の位置を示す情報、行に含まれる前記領域の識別情報、および行に含まれる前記領域の大きさを示す情報が、含まれる、送信装置。
【請求項2】
前記領域指定情報は、前記領域データの送信先の受信装置から取得される、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
画像に対して設定される領域に対応する領域情報を前記画像における行ごとに設定し、設定された前記領域情報と前記領域に対応する領域データとを、行ごとに送信させる画像処理部を備え、
前記画像処理部は、
前記画像を解析することによって、または、外部から取得される領域指定情報に基づいて、前記領域を設定するとともに、
複数の前記領域が重なる重なり部分が存在する場合、前記重なり部分のデータを、複数の前記領域それぞれに対応する前記領域データにより重複して送信させるかを判定し、
重複して送信させると判定した場合に、前記重なり部分のデータを重複して送信さ
せ、
重複して送信させないと判定した場合に、前記重なり部分のデータを1回だけ送信させ、
前記領域情報には、行の位置を示す情報、行に含まれる前記領域の列の位置を示す情報、行に含まれる前記領域の識別情報、および行に含まれる前記領域の大きさを示す情報が、含まれる、送信装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記重なり部分を含む行の列数に基づいて、重複して送信させるかを判定する、請求項3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、設定されている動作モードに基づいて、重複して送信させるかを判定する、請求項3に記載の送信装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記領域情報に含まれる情報を、前記領域ごとにまとめて前記領域情報に設定する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、1つの行に同一の前記領域が複数存在する場合、存在する数分、前記領域情報を設定する、請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、1つ前に送信させる行の前記領域情報に含まれる情報から変化しない情報は、前記領域情報に設定しない、請求項1に記載の送信装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、
前記領域の列の位置を示す情報を前記領域情報に設定するときには、前記領域情報に前記領域の識別情報を設定し、
前記領域の大きさを示す情報を前記領域情報に設定するときには、前記領域情報に前記領域の識別情報を設定する、請求項8に記載の送信装置。
【請求項10】
前記画像処理部は、
所定の順序に従って、行ごとの前記領域情報と前記領域データとを送信させ、
前記領域情報と前記領域データとを送信させる行が、前記所定の順序に従った行である場合には、前記領域情報に前記行の位置を示す情報を設定しない、請求項8に記載の送信装置。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記領域情報と前記領域データとを、パケットのペイロードに格納して送信させる、請求項1に記載の送信装置。
【請求項12】
前記領域情報は、前記ペイロードの先頭部分に格納される、請求項11に記載の送信装置。
【請求項13】
前記画像処理部は、さらに、前記領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる前記領域情報から変化しているか否かを示す変化情報を、行ごとに送信させる、請求項11に記載の送信装置。
【請求項14】
前記領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる前記領域情報から変化していない場合、前記画像処理部は、前記領域情報を送信させない、請求項13に記載の送信装置。
【請求項15】
前記画像処理部は、さらに、前記領域のデータ量を示す情報、前記領域の大きさを示す情報、および前記領域の優先度を示す情報のうちの1または2以上を、送信させる、請求項11に記載の送信装置。
【請求項16】
前記パケットは、MIPI(Mobile Industry Processor Interface Alliance)のロングパケットである、請求項11に記載の送信装置。
【請求項17】
前記画像処理部は、
前記領域データを第1のパケットのペイロードに格納し、
前記領域情報に含まれる情報それぞれを、前記第1のパケットと異なる第2のパケットにそれぞれ格納し、
前記第1のパケットおよび前記第2のパケットを、行ごとに送信させる、請求項1に記載の送信装置。
【請求項18】
前記第1のパケットは、MIPI(Mobile Industry Processor Interface Alliance)のロングパケットであり、
前記第2のパケットは、MIPIのショートパケットである、請求項17に記載の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像デバイスにより撮像された画像の一部の領域を切り出し、切り出された領域のデータを伝送する技術が開発されている。上記技術としては、例えば下記の特許文献1に記載の技術が挙げられる。また、画像の一部の領域を切り出す技術としては、例えば下記の特許文献2~4に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-201756号公報
【文献】特開2013-164834号公報
【文献】特開2012-209831号公報
【文献】特開2014-39219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載の技術が用いられる場合には、画像から一部の領域を切り出し、切り出された領域のデータを伝送することが可能である。よって、特許文献1に記載の技術を用いて切り出された領域の画像を伝送する場合には、画像全体を伝送するよりも伝送に係るデータ量が小さくなるので、伝送時間が短縮されるなどの利点がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において切り出す領域は矩形の領域であり、他の形状の領域のデータを伝送することについては、特に考慮がされていない。また、特許文献2~4に記載の画像の一部の領域を切り出す技術においても、切り出す領域は矩形の領域である。そのため、特許文献1~4の既存の技術を用いたとしても、画像に対して設定される任意の形状の領域のデータを伝送することは、困難である。
【0006】
本開示では、画像に対して設定される任意の形状の領域のデータを送信することが可能な、新規かつ改良された送信装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、画像に対して設定される領域に対応する領域情報を上記画像における行ごとに設定し、設定された上記領域情報と上記領域に対応する領域データとを、行ごとに送信させる画像処理部を備え、上記画像処理部は、上記画像を解析することによって、または、外部から取得される領域指定情報に基づいて、上記領域を設定し、上記領域情報には、行の位置を示す情報、および行に含まれる上記領域の列の位置を示す情報が、含まれる、送信装置が、提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、画像に対して設定される任意の形状の領域のデータを送信することができる。
【0009】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握されうる他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す説明図である。
【
図2】MIPI CSI-2規格において定められるパケットのフォーマットを示す説明図である。
【
図3】MIPI CSI-2規格において定められるパケットのフォーマットを示す説明図である。
【
図4】MIPI CSI-2規格におけるパケットの送信に係る信号波形の一例を示す説明図である。
【
図5】画像に対して設定される領域の一例を示す説明図である。
【
図6】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図である。
【
図7】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるEmbedded Dataの一例を説明するための説明図である。
【
図8】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるロングパケットの構成の一例を示す説明図である。
【
図9】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図である。
【
図10】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図である。
【
図11】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの他の例を示す説明図である。
【
図12】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式に対応する画像センサの構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
【
図13】本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式に対応するプロセッサの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図14】本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図である。
【
図15】本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式に対応する画像センサの構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
【
図16】本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式に対応するプロセッサの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る送信方法
[1]本実施形態に係る送信方法を適用することが可能な通信システムの構成
[2]本実施形態に係る通信システムの適用例
[3]本実施形態に係る送信方法
[4]本実施形態に係る送信方法が用いられることにより奏される効果の一例
2.本実施形態に係るプログラム
【0013】
(本実施形態に係る送信方法)
[1]本実施形態に係る送信方法を適用することが可能な通信システムの構成
まず、本実施形態に係る送信方法を適用することが可能な通信システムの構成の一例を説明する。
【0014】
以下では、本実施形態に係る通信システムを構成する装置間の通信方式が、MIPI(Mobile Industry Processor Interface) CSI-2(Camera Serial Interface 2)規格に則った通信方式である場合を例に挙げる。なお、本実施形態に係る通信システムを構成する装置間の通信方式は、MIPI CSI-2規格に則った通信方式に限られない。例えば、本実施形態に係る通信システムを構成する装置間の通信は、MIPI CSI-3規格に則った通信方式や、MIPI DSI(Display Serial Interface)に則った通信方式など、MIPIアライアンスにおいて策定された他の規格であってもよい。また、本実施形態に係る送信方法が適用可能な通信方式が、MIPIアライアンスにおいて策定された規格に係る通信方式に限られないことは、言うまでもない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る通信システム1000の構成の一例を示す説明図である。通信システム1000としては、例えば、スマートフォンなどの通信装置や、ドローン(遠隔操作による動作、または、自律的な動作が可能な機器)、自動車などの移動体などが挙げられる。なお、通信システム1000の適用例は、上記に示す例に限られない。通信システム1000の他の適用例については、後述する。
【0016】
通信システム1000は、例えば、画像センサ100と、プロセッサ200と、メモリ300と、表示デバイス400とを有する。
【0017】
画像センサ100は、撮像機能と送信機能とを有し、撮像により生成した画像を示すデータを送信する。プロセッサ200は、画像センサ100から送信されたデータを受信し、受信されたデータを処理する。つまり、通信システム1000において、画像センサ100は送信装置の役目を果たし、プロセッサ200は受信装置の役目を果たす。
【0018】
なお、
図1では、1つの画像センサ100を有する通信システム1000を示しているが、本実施形態に係る通信システムが有する画像センサ100の数は、
図1に示す例に限られない。例えば、本実施形態に係る通信システムは、2つ以上の画像センサ100を有していてもよい。
【0019】
また、
図1では、1つのプロセッサ200を有する通信システム1000を示しているが、本実施形態に係る通信システムが有するプロセッサ200の数は、
図1に示す例に限られない。例えば、本実施形態に係る通信システムは、2つ以上のプロセッサ200を有していてもよい。
【0020】
画像センサ100およびプロセッサ200それぞれを複数有する通信システムでは、画像センサ100とプロセッサ200とが一対一に対応していてもよいし、1つのプロセッサ200に複数の画像センサ100が対応していてもよい。また、画像センサ100およびプロセッサ200それぞれを複数有する通信システムでは、1つの画像センサ100に複数のプロセッサ200が対応していてもよい。
【0021】
画像センサ100およびプロセッサ200それぞれを複数有する通信システムにおいても、
図1に示す通信システム1000と同様に、画像センサ100とプロセッサ200との間で通信が行われる。
【0022】
画像センサ100とプロセッサ200とは、データバスB1により電気的に接続される。データバスB1は、画像センサ100とプロセッサ200とを接続する、一の信号の伝送路である。例えば、画像センサ100から送信される画像を示すデータ(以下、「画像データ」と示す場合がある。)は、画像センサ100からプロセッサ200へとデータバスB1を介して伝送される。
【0023】
通信システム1000においてデータバスB1により伝送される信号は、例えば、MIPI CSI-2規格などの所定の規格に則った通信方式で伝送される。
【0024】
図2、
図3は、MIPI CSI-2規格において定められるパケットのフォーマットを示す説明図である。
図2は、MIPI CSI-2規格において定められているショートパケット(Short Packet)のフォーマットを示しており、
図3は、MIPI CSI-2規格において定められているロングパケット(Long Packet)のフォーマットを示している。
【0025】
ロングパケットは、パケットヘッダ(
図3に示す“PH”)、ペイロード(
図3に示す“Payload Data”)、およびパケットフッタ(
図3に示す“PF”)からなるデータである。ショートパケットは、
図2に示すようにパケットヘッダ(
図3に示す“PH”)と同様の構造を有するデータである。
【0026】
ショートパケットとロングパケットとには、いずれもヘッダ部分にVC(Virtual Channel)番号(
図2、
図3に示す“VC”。VC値)が記録され、パケットごとに任意のVC番号が付与されうる。同一のVC番号が付与されたパケットは、同じ画像データに属するパケットとして扱われる。
【0027】
また、ショートパケットとロングパケットとには、いずれもヘッダ部分にDT(Data Type)値(
図2、
図3に示す“Data Type”)が記録される。そのため、VC番号と同様に、同一のDT値が付与されたパケットを、同じ画像データに属するパケットとして取り扱うことも可能である。
【0028】
ロングパケットのヘッダ部分のWord Countには、パケットの終わりがワード数で記録される。ショートパケットとロングパケットとのヘッダ部分のECCには、誤り訂正符号(Error Correcting Code)が記録される。
【0029】
MIPI CSI-2規格では、データ信号を伝送する期間では高速差動信号が用いられ、また、データ信号のブランキング期間では低電力信号が用いられる。また、高速差動信号が用いられる期間は、HPS(High Speed State)の期間と呼ばれ、低電力信号が用いられる期間は、LPS(Low Power State)の期間と呼ばれる。
【0030】
図4は、MIPI CSI-2規格におけるパケットの送信に係る信号波形の一例を示す説明図である。
図4のAは、パケットの伝送の一例を示しており、
図4のBは、パケットの伝送の他の例を示している。
図4に示す“ST”、“ET”、“PH”、“PF”、“SP”、“PS”は、それぞれ下記を意味する。
・ST:Start of Transmission
・ET:End of Transmission
・PH:Packet Header
・PF:Packet Footer
・SP:Short Packet
・PS:Packet Spacing
【0031】
図4に示すように、LPSの期間における差動信号(
図4に示す“LPS”)と、HPSの期間における差動信号(
図4に示す“LPS”以外)とでは、差動信号の振幅が異なることが分かる。そのため、伝送効率を向上させる観点からは、できる限りLPSの期間が入らないことが望ましい。
【0032】
画像センサ100とプロセッサ200とは、例えば、データバスB1とは異なる制御バスB2により電気的に接続される。制御バスB2は、画像センサ100とプロセッサ200とを接続する、他の信号の伝送路である。例えば、プロセッサ200から出力される制御情報が、プロセッサ200から画像センサ100へと制御バスB2を介して伝送される。
【0033】
制御情報には、例えば、制御のための情報と処理命令とが含まれる。制御のための情報としては、例えば、画像サイズを示すデータ、フレームレートを示すデータ、画像の出力命令が受信されてから画像を出力するまでの出力遅延量を示すデータのうちの1または2以上など、画像センサ100における機能を制御するためのデータが、挙げられる。また、制御情報には、画像センサ100を示す識別情報が含まれていてもよい。識別情報としては、例えば、画像センサ100に設定されているIDなどの、画像センサ100を特定することが可能な任意のデータが挙げられる。
【0034】
なお、制御バスB2を介してプロセッサ200から画像センサ100へと伝送される情報は、上記に示す例に限られない。例えば、プロセッサ200は、画像における領域を指定する領域指定情報を、制御バスB2を介して伝送してもよい。領域指定情報としては、領域に含まれる画素の位置を示すデータ(例えば、領域に含まれる画素の位置が座標で表される座標データなど)など、領域を特定することが可能な任意の形式のデータが、挙げられる。
【0035】
図1では、画像センサ100とプロセッサ200とが制御バスB2により電気的に接続されている例を示しているが、画像センサ100とプロセッサ200とは、制御バスB2で接続されていなくてもよい。例えば、画像センサ100とプロセッサ200とは、任意の通信方式の無線通信によって、制御情報などを送受信してもよい。
【0036】
以下、
図1に示す通信システム1000を構成する各装置について、説明する。
【0037】
[1-1]メモリ300
メモリ300は、通信システム1000が有する記録媒体である。メモリ300としては、例えば、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリや、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。メモリ300は、バッテリなどの通信システム1000を構成する内部電源(図示せず)から供給される電力、または、通信システム1000の外部電源から供給される電力によって、動作する。
【0038】
メモリ300には、例えば、画像センサ100から出力された画像が記憶される。メモリ300への画像の記録は、例えばプロセッサ200により制御される。
【0039】
[1-2]表示デバイス400
表示デバイス400は、通信システム1000が有する表示デバイスである。表示デバイス400としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode Display)ともよばれる。)などが挙げられる。表示デバイス400は、バッテリなどの通信システム1000を構成する内部電源(図示せず)から供給される電力、または、通信システム1000の外部電源から供給される電力によって、動作する。
【0040】
表示デバイス400の表示画面には、例えば、画像センサ100から出力された画像や、プロセッサ200において実行されるアプリケーションに係る画面、UI(User Interface)に係る画面など、様々な画像や画面が表示される。表示デバイス400の表示画面への画像などの表示は、例えばプロセッサ200により制御される。
【0041】
[1-3]プロセッサ200(受信装置)
プロセッサ200は、画像センサ100から送信されたデータを受信し、受信されたデータを処理する。上述したように、プロセッサ200は、通信システム1000において受信装置の役目を果たす。画像センサ100から送信されたデータの処理に係る構成(受信装置の役目を果たすための構成)の一例については、後述する。
【0042】
プロセッサ200は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサや、各種処理回路などで構成される。プロセッサ200は、バッテリなどの通信システム1000を構成する内部電源(図示せず)から供給される電力、または、通信システム1000の外部電源から供給される電力によって、動作する。
【0043】
プロセッサ200は、例えば、メモリ300などの記録媒体への画像データの記録制御に係る処理、表示デバイス400の表示画面への画像の表示制御に係る処理、任意のアプリケーションソフトウェアを実行する処理など、様々な処理を行う。記録制御に係る処理としては、例えば“記録命令を含む制御データと記録媒体に記録させるデータとを、メモリ300などの記録媒体に伝達する処理”が、挙げられる。また、表示制御に係る処理としては、例えば“表示命令を含む制御データと表示画面に表示させるデータとを、表示デバイス400などの表示デバイスに伝達する処理”が、挙げられる。
【0044】
また、プロセッサ200は、例えば、画像センサ100に対して制御情報を送信することによって、画像センサ100における機能を制御してもよい。プロセッサ200は、例えば、画像センサ100に対して領域指定情報を送信することによって、画像センサ100から送信されるデータを制御することも可能である。
【0045】
[1-4]画像センサ100(送信装置)
画像センサ100は、撮像機能と送信機能とを有し、撮像により生成した画像を示すデータを送信する。上述したように、画像センサ100は、通信システム1000において送信装置の役目を果たす。
【0046】
画像センサ100は、例えば、“デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、ステレオカメラなどの撮像デバイス”や、“赤外線センサ”、“距離画像センサ”などの、画像を生成することが可能な任意の方式の画像センサデバイスを含み、生成された画像を送信する機能を有する。画像センサ100において生成される画像は、画像センサ100におけるセンシング結果を示すデータに該当する。画像センサ100の構成の一例については、後述する。
【0047】
画像センサ100は、後述する本実施形態に係る送信方法により、画像に対して設定される領域に対応するデータ(以下、「領域データ」と示す。)を送信する。領域データの送信に係る制御は、例えば、画像センサ100における画像処理部として機能する構成要素(後述する)により行われる。画像に対して設定される領域は、ROI(Region Of Interest)と呼ばれる場合がある。以下では、画像に対して設定される領域を「ROI」と示す場合がある。
【0048】
画像に対する領域の設定に係る処理としては、例えば、“画像から物体を検出し、検出された物体を含む領域を設定する処理”、“任意の操作デバイスに対する操作などにより指定された領域を設定する処理”など、画像における一部の領域を特定することが可能な任意の処理(または、画像から一部の領域を切り出すことが可能な任意の処理)が、挙げられる。
【0049】
画像に対する領域の設定に係る処理は、画像センサ100が行ってもよいし、プロセッサ200などの外部装置において行われてもよい。画像センサ100が画像に対する領域の設定に係る処理を行う場合、画像センサ100は、画像に対する領域の設定に係る処理の結果に従って領域を特定する。また、例えば、画像に対する領域の設定に係る処理が外部装置において行われる場合、画像センサ100は、外部装置から取得される領域指定情報に基づいて、領域を特定する。
【0050】
上述したように、画像センサ100は、領域指定情報を制御バスB2を介してプロセッサ200から取得することが可能である。また、プロセッサ200は、通信システム1000において、画像センサ100が送信する領域データの送信先の受信装置に該当する。つまり、画像センサ100は、領域データの送信先の受信装置から取得される領域指定情報に基づいて、領域を特定することが可能である。
【0051】
画像センサ100が、領域データを送信すること、すなわち、画像の一部のデータを送信することによって、画像全体を伝送するよりも伝送に係るデータ量が小さくなる。よって、画像センサ100が、領域データを送信することによって、例えば、伝送時間が短縮される、通信システム1000における伝送に係る負荷が低減されるなど、データ量が低減されることにより奏される様々な効果が、奏される。
【0052】
なお、画像センサ100は、画像全体を示すデータを送信することも可能である。
【0053】
画像センサ100が、領域データを送信する機能、および画像全体を示すデータを送信する機能を有している場合、画像センサ100は、領域データを送信することと、画像全体を示すデータを送信することとを、選択的に切り替えて行うことが可能である。
【0054】
画像センサ100は、例えば、設定されている動作モードによって、領域データを送信し、または、画像全体を示すデータを送信する。動作モードの設定は、例えば、任意の操作デバイスに対する操作などにより行われる。
【0055】
また、画像センサ100は、外部装置から取得される領域指定情報に基づいて、領域データを送信することと、画像全体を示すデータを送信することとを、選択的に切り替えてもよい。画像センサ100は、例えば、外部装置から領域指定情報が取得されたときに、当該領域指定情報に対応する領域の領域データを送信し、外部装置から領域指定情報が取得されないときに、画像全体を示すデータを送信する。
【0056】
通信システム1000は、例えば
図1に示す構成を有する。なお、本実施形態に係る通信システムの構成は、
図1に示す例に限られない。
【0057】
例えば、
図1では、送信装置の役目を果たす装置として画像センサ100を例に挙げたが、送信装置の役目を果たす装置は、画像センサ100に限られない。例えば、本実施形態に係る通信システムが、撮像デバイスなどの画像センサデバイスと、画像センサデバイスと電気的に接続されている送信器とを有する構成である場合、当該送信器が送信装置の役目を果たしていてもよい。
【0058】
また、
図1では、受信装置の役目を果たす装置として、プロセッサ200を例に挙げたが、受信装置の役目を果たす装置は、プロセッサ200に限られない。例えば、本実施形態に係る通信システムでは、データを受信する機能を有する任意のデバイスが、受信装置の役目を果たすことが可能である。
【0059】
また、通信システムの外部の記録媒体に画像センサ100から送信される画像が記憶される場合、画像センサ100から送信される画像がプロセッサ200が備えるメモリに記憶される場合、あるいは、画像センサ100から送信される画像が記録されない場合などには、本実施形態に係る通信システムは、メモリ300を有していなくてもよい。
【0060】
また、本実施形態に係る通信システムは、
図1に示す表示デバイス400を有さない構成をとることが可能である。
【0061】
さらに、本実施形態に係る通信システムは、後述する本実施形態に係る通信システムが適用される電子機器が有する機能に応じた、任意の構成を有していてもよい。
【0062】
[2]本実施形態に係る通信システムの適用例
以上、本実施形態として、通信システムを挙げて説明したが、本実施形態は、かかる形態に限られない。本実施形態は、例えば、スマートフォンなどの通信装置や、ドローン(遠隔操作による動作、または、自律的な動作が可能な機器)、自動車などの移動体、PC(Personal Computer)などのコンピュータ、タブレット型の装置、ゲーム機など、様々な電子機器に適用することができる。
【0063】
[3]本実施形態に係る送信方法
次に、本実施形態に係る送信方法を説明する。以下では、本実施形態に係る送信方法が、
図1に示す画像センサ100(本実施形態に係る送信装置)に適用される場合を、例に挙げる。画像センサ100において本実施形態に係る送信方法に係る処理は、例えば、画像処理部として機能するICチップ(後述する)により、行われる。なお、画像センサ100では、画像処理部として機能する他の構成要素によって、本実施形態に係る送信方法に係る処理が行われてもよい。
【0064】
図5は、画像に対して設定される領域の一例を示す説明図である。
図5では、領域の例として、領域1、領域2、領域3、および領域4という4つの領域を示している。なお、画像に対して設定される領域が、
図5に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0065】
上述したように、既存の技術を用いる場合には、
図5の領域1のような矩形の領域のデータを伝送することは、可能である。
【0066】
しかしながら、上述したように、既存の技術を用いたとしても、
図5の領域2、領域3、および領域4のような、画像に対して設定される矩形以外の任意の形状の領域のデータを伝送することは、困難である。また、既存の技術を用いたとしても、
図5の領域1および領域2のような1つの行に複数の領域が設定されている場合、および
図5の領域3および領域4のような設定されている領域が重なっている場合に、領域のデータを伝送することは困難である。ここで、画像における行とは、画素の位置を二次元平面座標(x,y)で表すとき、y座標が同一であることをいう。
【0067】
[3-1]基本処理
そこで、画像センサ100は、画像に対して設定される領域に対応する領域情報を、画像における行ごとに設定する。
【0068】
そして、画像センサ100は、設定された領域情報と、領域に対応する領域データとを、行ごとに送信させる。画像センサ100は、例えばy座標の値の昇順または降順など、所定の順序に従って、行ごとの領域情報と領域データとを送信させる。また、画像センサ100は、ランダムな順序で、行ごとの領域情報と領域データとを送信させてもよい。
【0069】
本実施形態に係る領域情報とは、画像に対して設定される領域を、受信装置側で特定するためのデータ(データ群)である。領域情報には、例えば、行の位置を示す情報、行に含まれる領域の識別情報、行に含まれる領域の列の位置を示す情報、および行に含まれる領域の大きさを示す情報が、含まれる。
【0070】
なお、領域情報に含まれる情報は、後述する送信方式によって変わりうる。例えば、後述する第2の送信方式および第3の送信方式では、行に含まれる領域の識別情報と、行に含まれる領域の大きさを示す情報との一方または双方が、含まれていなくてもよい。例えば、VC番号で領域が分けられる場合、後述する第2の送信方式および第3の送信方式では、VC番号が、行に含まれる領域の識別情報の役目を果たしてもよい。また、VC番号で領域が分けられる場合、後述する第2の送信方式および第3の送信方式では、ペイロード長を、行に含まれる領域の大きさを示す情報として代用することが可能である。以下では、“領域情報に、行の位置を示す情報、行に含まれる領域の識別情報、行に含まれる領域の列の位置を示す情報、および行に含まれる領域の大きさを示す情報が、含まれる場合”を例に挙げる。
【0071】
行の位置を示す情報としては、例えば、y座標の番号を示すデータや、初期値(例えば“0”(ゼロ))がインクリメントされて算出されるy座標の値を示すデータなど、行を特定することが可能な任意のデータが、挙げられる。以下では、行の位置を示す情報を「Y」と示す場合がある。
【0072】
領域の識別情報としては、例えば、領域に付された番号などの領域のIDを示すデータなど、領域を一意に特定することが可能な任意のデータが、挙げられる。以下では、領域の識別情報を、「ROI ID」または「I」と示す場合がある。
【0073】
領域の列の位置を示す情報としては、例えば、x座標の番号を示すデータなど、列を特定することが可能な任意のデータが、挙げられる。以下では、領域の列の位置を示す情報を、「ROI X」または「X」と示す場合がある。
【0074】
領域の大きさを示す情報としては、行における領域の画素数を示すデータなど、行における領域の大きさを特定することが可能な任意のデータが、挙げられる。以下では、行における領域の大きさを、「ROI長」、「ROI LEN」、あるいは「L」と示す場合がある。
【0075】
例えば上記のように、行の位置を示す情報、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報が、領域情報に設定されることによって、領域情報を受信した受信装置は、領域の特定、領域の位置の特定、およびROI長の特定を行うことができる。また、領域の特定、領域の位置の特定、およびROI長の特定が行われることによって、行において、領域が、どの位置に、どのROI長で設定されているかを、一意に特定することが可能である。
【0076】
よって、行の位置を示す情報、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報が、領域情報に設定されることによって、通信システム1000は、“
図5の領域1のような、矩形の領域の領域データ”、および“
図5の領域2、領域3、および領域4のような、矩形以外の任意の形状の領域の領域データ”それぞれの伝送に対応することができる。
【0077】
また、画像センサ100は、領域情報に含まれる情報を、行に含まれる領域ごとにまとめて領域情報に設定してもよい。画像センサ100は、例えば、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報を、行に含まれる領域ごとにまとめて領域情報に設定する。領域ごとにまとめて領域情報に設定するとは、例えば、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報(領域情報に含まれる情報の一例)を、一群のデータとして領域情報に設定することをいう。
【0078】
ここで、画像センサ100は、行ごとに領域情報を設定するので、複数の領域が含まれていたとしても、行の位置は一定である。よって、画像センサ100は、行の位置を示す情報を領域情報に1つ設定する。なお、画像センサ100が、行の位置を示す情報、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報を、行に含まれる領域ごとにまとめて設定することが可能であることは、言うまでもない。
【0079】
例えば上記のように、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報が、行に含まれる領域ごとにまとめて設定されることによって、領域情報を受信した受信装置は、領域の特定、領域の位置の特定、およびROI長の特定を、領域ごとに、より容易に行うことができる。また、領域の特定、領域の位置の特定、およびROI長の特定が行われることによって、行において、どの領域が、どの位置に、どのROI長で設定されているかを、一意に特定することが可能である。
【0080】
よって、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報が、行に含まれる領域ごとにまとめて設定されることによって、通信システム1000は、“
図5の領域1および領域2のような1つの行に複数の領域が設定されている場合における、領域データの伝送”、および“
図5の領域3および領域4のような設定されている領域が重なっている場合における、領域データの伝送”に、対応することができる。
【0081】
また、
図5の領域3および領域4のように設定されている領域が重なっている場合、すなわち、複数の領域が重なる重なり部分が存在する場合、画像センサ100は、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定してもよい。画像センサ100は、例えば重なり部分が存在する領域の組ごとに、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定する。そして、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定するときには、画像センサ100は、重なり部分のデータを重複して送信させると判定した場合に、重なり部分のデータを重複して送信させる。
【0082】
ここで、重なり部分のデータを重複して送信させるとは、例えば、“重なり部分のデータを、重なり部分が存在する複数の領域それぞれに対応する領域データに含めて送信させること”をいう。重なり部分のデータを重複して送信させる具体例については、後述する。
【0083】
画像センサ100が、重なり部分のデータを重複して送信させる場合であっても、領域情報および領域データを受信した受信装置は、領域情報によって、領域に対応する領域データを一意に特定することが可能である。また、重なり部分のデータを重複して送信させる場合、画像センサ100は、受信装置側で複数の領域それぞれに対応する領域データの分離がより容易となるように、データの区切りを示すヘッダなどを追加してもよい。
【0084】
重なり部分のデータが重複して送信されることによって、“プロセッサ200などの領域データを受信した受信装置において、受信された領域データを用いた処理がより行い易くなるという利点”が、ある。
【0085】
画像センサ100は、例えば、重なり部分を含む行の列数(画素数)に基づいて、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定する。より具体的には、画像センサ100は、例えば、重なり部分を含む行において重なり部分のデータを重複して送信させる場合における列数を、求める。そして、画像センサ100は、求められた列数が設定されている閾値以下の場合(または、求められた列数が当該閾値より小さい場合)に、重なり部分のデータを重複して送信させると判定する。また、画像センサ100は、求められた列数が設定されている閾値よりも大きい場合(または、求められた列数が当該閾値以上の場合)に、重なり部分のデータを重複して送信させると判定しない。上記重なり部分のデータの送信判定に係る閾値は、予め設定されている固定値であってもよいし、制御バスB2を介したプロセッサ200による制御などによって変更可能な可変値であってもよい。
【0086】
例えば上記のように、“重なり部分のデータを重複して送信させる場合における列数”に基づき重なり部分のデータを重複して送信させるかが判定されることによって、画像センサ100は、重なり部分のデータを重複して送信することと、重なり部分のデータを重複して送信しないこととを、設定される領域に応じて自動的に切り替えることができる。また、重なり部分のデータを重複して送信することと、重なり部分のデータを重複して送信しないこととが、設定される領域に応じて自動的に切り替えられることによって、画像センサ100は、受信装置の処理能力を超えないデータを送信することができる。
【0087】
なお、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定する方法は、重なり部分を含む行の列数を用いる方法に限られない。
【0088】
例えば、画像センサ100は、設定されている動作モードに基づいて、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定することも可能である。画像センサ100は、例えば、画像センサ100は、動作モードが重なり部分のデータを重複して送信する動作モードである場合に、重なり部分のデータを重複して送信させると判定する。また、画像センサ100は、例えば、画像センサ100は、動作モードが重なり部分のデータを重複して送信しない動作モードである場合には、重なり部分のデータを重複して送信させると判定しない。画像センサ100における動作モードは、例えば制御バスB2を介したプロセッサ200による制御などによって設定される。
【0089】
また、例えば
図5の領域2に示すように、設定される領域によっては、1つの行に同一の領域が複数存在しうる。そこで、画像センサ100は、1つの行に同一の領域が複数存在する場合、存在する数分、領域情報を設定してもよい。1つの行に同一の領域が複数存在する場合、画像センサ100は、例えば、存在する数分、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報を、領域情報に設定する。
【0090】
例えば、1つの行に同一の領域が複数存在する数分、領域の識別情報、領域の列の位置を示す情報、および領域の大きさを示す情報が領域情報に設定されることによって、領域情報を受信した受信装置は、領域の特定、領域の位置の特定、およびROI長の特定を、複数存在する同一の領域ごとに行うことができる。
【0091】
よって、1つの行に同一の領域が複数存在する数分、領域情報が設定されることによって、通信システム1000は、
図5の領域2の領域データの伝送に対応することができる。
【0092】
したがって、例えば上記のような各種情報が含まれる領域情報が行ごとに設定されることによって、領域情報を受信した受信装置は、行に設定されている領域を一意に特定することができる。
【0093】
なお、領域情報に含まれる情報は、上記に示す例に限られない。例えば、領域情報には、行に含まれる領域数を示すデータ(以下、「Num of ROI」と示す場合がある。)など、他のデータが含まれていてもよい。領域情報に含まれる情報の具体例については、後述する。
【0094】
[3-2]例外処理
なお、本実施形態に係る送信方法に係る処理は、上記基本処理に限られない。
【0095】
(a)例外処理の第1の例
例えば、画像センサ100は、領域情報に含まれる情報のうち、1つ前に送信させる行の領域情報に含まれる情報から変化しない情報は、領域情報に設定しなくてもよい。つまり、画像センサ100は、1つ前に領域情報を送信させる行から変化した情報を含む領域情報を、送信させる。
【0096】
上記のように、1つ前に送信させる行の領域情報に含まれる情報から変化しない情報が送信されないことによって、領域情報のデータ量をより低減させることができる。領域情報のデータ量が低減することは、伝送時間の短縮や、通信システム1000における伝送に係る負荷の低減に寄与する。
【0097】
なお、1つ前に送信させる行の領域情報に含まれる情報から変化しない情報であっても、他の情報の変化に伴い領域情報に設定される情報があってもよい。
【0098】
例えば、画像センサ100は、領域の列の位置を示す情報を領域情報に設定するときには、領域情報に領域の識別情報を設定する。また、例えば、画像センサ100は、領域の大きさを示す情報を領域情報に設定するときには、領域情報に領域の識別情報を領域情報に設定する。つまり、領域のx座標およびROI長の一方または双方が、1つ前に送信させる行の領域情報に含まれる内容から変更される場合、画像センサ100は、領域の識別情報を領域情報に設定する。
【0099】
領域のx座標およびROI長の一方または双方が変更される場合に、画像センサ100が、領域の識別情報を領域情報に設定することによって、領域情報を受信した受信装置は、変更内容に対応する領域を一意に特定することができる。
【0100】
(b)例外処理の第2の例
上述したように、画像センサ100は、所定の順序に従って行ごとの領域情報と領域データとを、送信させることが可能である。このとき、領域情報と領域データとを送信させる行が、所定の順序に従った行である場合には、画像センサ100は、領域情報に行の位置を示す情報を設定しなくてもよい。
【0101】
画像センサ100が、領域情報に行の位置を示す情報を設定しない場合であっても、受信装置は、所定の順序に従うことによって、受信された領域情報および領域データが、どの行に含まれる領域のデータであるのかを、特定することができる。
【0102】
[3-3]領域情報と領域データとの送信方式
画像センサ100は、例えば、“上記[3-1]に示す基本処理”、または、“上記[3-1]に示す基本処理、および上記[3-2]に示す例外処理”を行うことによって、領域情報と領域データとを行ごとに送信する。次に、領域情報と領域データとを送信する送信方式について、説明する。
【0103】
領域情報と領域データとの送信方式としては、例えば、下記の(1)に示す第1の送信方式、下記の(2)に示す第2の送信方式、および下記の(3)に示す第3の送信方式が挙げられる。
【0104】
(1)第1の送信方式
(1-1)第1の送信方式に係る処理
画像センサ100は、領域情報と領域データとを、パケットのペイロードに格納して、行ごとに送信させる。
【0105】
図6は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図である。
図6は、“
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4それぞれに対応する領域情報および領域データが、
図3に示すMIPIのロングパケットのペイロードに格納して、行ごとに送信される例”を示している。
【0106】
図6に示す“FS”は、MIPI CSI-2規格におけるFS(Frame Start)パケットであり、
図6に示す“FE”は、MIPI CSI-2規格におけるFE(Frame End)パケットである(他の図においても同様である)。
【0107】
図6に示す“Embedded Data”は、送信されるデータのヘッダ、または、フッタに埋め込むことの可能なデータである。“Embedded Data”としては、例えば、画像センサ100が付加的に送信する付加情報が挙げられる。以下では、Embedded Dataを「EBD」と示す場合がある。
【0108】
本実施形態に係る付加情報としては、例えば、領域のデータ量を示す情報、領域の大きさを示す情報、および領域の優先度を示す情報のうちの、1または2以上が、挙げられる。
【0109】
領域のデータ量を示す情報としては、例えば“領域に含まれる画素数(または領域のデータ量)と、ヘッダのデータ量とを示すデータ”など、領域のデータ量を特定することが可能な任意の形式のデータが、挙げられる。
図6に示す“Embedded Data”として領域のデータ量を示す情報が送信されることによって、受信装置は、各領域のデータ量を特定することができる。つまり、
図6に示す“Embedded Data”として領域のデータ量を示す情報が送信されることによって、受信装置が、領域情報に基づいて各領域のデータ量を算出する機能を有していない場合であっても、受信装置に領域のデータ量を特定させることができる。
【0110】
領域の大きさを示す情報としては、例えば“領域を含む矩形の領域を示すデータ(例えば、当該矩形の領域における、水平方向の画素数および垂直方向の画素数を示すデータ)”など、領域の大きさを特定することが可能な任意の形式のデータが、挙げられる。
【0111】
領域の優先度を示す情報は、例えば、領域のデータの処理において用いられるデータである。一例を挙げると、領域の優先度を示す情報が示す優先度は、領域を処理する順序や、
図5の領域3および領域4のような設定されている領域が重なっている場合における処理などに、利用される。
【0112】
なお、本実施形態に係る付加情報は、上記に示す例に限られない。例えば、本実施形態に係る付加情報としては、画像センサデバイスにおける露出値などを示す露光情報、画像センサデバイスにおけるゲインを示すゲイン情報などの、様々なデータが、挙げられる。露光情報が示す露光値、およびゲイン情報が示すゲインそれぞれは、制御バスB2を介したプロセッサ200による制御によって画像センサデバイスに設定される。
【0113】
図7は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるEmbedded Dataの一例を説明するための説明図である。
図7は、
図6に示す“Embedded Data”として領域の大きさを示す情報が送信され、送信される領域の大きさを示す情報が、領域を含む最小の矩形の領域を示すデータである例を、示している。また、
図7は、
図5と同様に、領域1、領域2、領域3、および領域4という4つの領域が設定されている例を示している。
【0114】
図6に示す“Embedded Data”として領域の大きさを示す情報が送信されることによって、受信装置は、
図7のR1に示す領域1を含む最小の矩形の領域、
図7のR2に示す領域2を含む最小の矩形の領域、
図7のR3に示す領域3を含む最小の矩形の領域、および
図7のR4に示す領域4を含む最小の矩形の領域を、特定することができる。つまり、
図6に示す“Embedded Data”として領域の大きさを示す情報が送信されることによって、受信装置が、領域情報に基づいて各領域を含む最小の矩形の領域を特定する機能を有していない場合であっても、受信装置に、領域情報に基づいて各領域を含む最小の矩形の領域を特定させることができる。なお、領域の大きさを示す情報が、各領域を含む最小の矩形の領域を示すデータに限られないことは、言うまでもない。
【0115】
領域の優先度を示す情報としては、例えば、優先度が高い順にROI IDが並べられているデータや、優先度が低い順にROI IDが並べられているデータなど、領域の優先度を特定することが可能な任意の形式のデータが、挙げられる。
図6に示す“Embedded Data”として領域の優先度を示す情報が送信されることによって、受信装置は、例えば、領域の処理順序や、どの領域を優先的に処理するかを、特定することができる。つまり、
図6に示す“Embedded Data”として領域の優先度を示す情報が送信されることによって、受信装置における領域に対する処理を制御することができる。
【0116】
なお、
図6に示す“Embedded Data”として送信される、領域のデータ量を示す情報、領域の大きさを示す情報、および領域の優先度を示す情報それぞれの例が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0117】
図6に示す“PH”は、ロングパケットのパケットヘッダである。ここで、第1の送信方式に係るロングパケットのパケットヘッダは、領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化しているか否かを示すデータ(変化情報)として、機能してもよい。つまり、
図6に示す“PH”は、ロングパケットのデータタイプを示す一のデータであるといえる。
【0118】
一例を挙げると、画像センサ100は、領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化している場合、“PH”に“0x38”を設定する。この場合、画像センサ100は、領域情報をロングパケットのペイロードに格納する。
【0119】
他の例を挙げると、画像センサ100は、領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化していない場合、“PH”に“0x39”を設定する。この場合、画像センサ100は、領域情報をロングパケットのペイロードに格納しない。つまり、領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化していない場合、画像センサ100は、領域情報を送信させない。
【0120】
なお、“PH”に設定されるデータが、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0121】
図6に示す“Info”は、ペイロードに格納される領域情報である(他の図においても同様である)。
図6に示すように、領域情報は、ペイロードの先頭部分に格納される。以下では、領域情報を「ROI Info」と示す場合がある。
【0122】
図6に示す“1”、“2”、“3”、および“4”それぞれは、ペイロードに格納される、領域1の領域データ、領域2の領域データ、領域3の領域データ、および領域4の領域データに該当する(他の図においても同様である)。なお、
図6では、各領域データが区切られて示されているが、これは便宜上区切りを表したものであり、ペイロードに格納されるデータに区切りはない(他の図においても同様である)。以下では、領域データを「ROI DATA」と示す場合がある。
【0123】
図8は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるロングパケットの構成の一例を示す説明図である。
【0124】
図8に示す“ROI Info Type”は、“ROI Info Parameter”の伝送形式を示すデータである。“ROI Info Type”が設定されることによって、領域情報を受信した受信装置は、“ROI Info Parameter”の内容を一意に特定することが可能となる。
【0125】
また、“ROI Info Type”は、ロングパケットのデータタイプを示す他のデータに該当する。つまり、第1の送信方式に係るロングパケットでは、“PH”および“ROI Info Type”という2つが、ロングパケットのデータタイプとして定義される。
【0126】
“ROI Info Type”は、例えば1[byte]のデータであり、Verilog-HDL表記で表すと下記のような意味をもつ。なお、“ROI Info Type”が1[byte]のデータに限られないことは、言うまでもない。
・ [7:4]・・・Reserved
・[3]・・・「1’b1」:Yを伝送する,「1’b0」:Yを伝送しない
・[2]・・・「1’b1」:ROI IDを伝送する,「1’b0」:ROI IDを伝送しない
・[1]・・・「1’b1」:Xを伝送する,「1’b0」:Xを伝送しない
・[0]・・・「1’b1」:ROI長を伝送する,「1’b0」:ROI長を伝送しない
【0127】
また、
図8に示す“ROI Info Parameter”には、“ROI Info Type”に応じたデータが格納される。
【0128】
なお、第1の送信方式に係る領域情報には、例えば、領域のx座標およびROI長の双方が、1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化していないことを示すフラグ(以下、「NO CHANGEフラグ」と示す。)が、含まれていてもよい。NO CHANGEフラグが変化していないことを示す場合(例えば、NO CHANGEフラグが1’b1の場合)、“ROI Info Type”の上記[1]および上記[0]は、省略されてもよい。
【0129】
NO CHANGEフラグとしては、例えば、ROI IDのMSB(Most Significant Bit)が挙げられる。なお、NO CHANGEフラグは、ROI IDとは別体のデータであってもよい。
【0130】
図9は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図であり、
図8に示すロングパケットの構成に従って
図6に示すデータを具体的に示した図である。
【0131】
第1の送信方式では、
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4それぞれに対応する領域情報および領域データは、例えば
図9に示すように、MIPIのロングパケットのペイロードに格納されて、行ごとに送信される。
【0132】
上述したように、画像センサ100は、領域のデータ量を示す情報、領域の大きさを示す情報、および領域の優先度を示す情報のうちの1または2以上(付加情報の一例)を、
図6に示す“Embedded Data”として送信することが可能である。
【0133】
また、上述したように、
図5の領域3および領域4のような複数の領域が重なる重なり部分が存在する場合、画像センサ100は、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定して、判定結果に応じて重なり部分のデータを重複して送信させてもよい。
【0134】
図10は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図である。
図10のAは、画像センサ100が、
図5の領域3および領域4における重なり部分のデータを重複して送信させない場合の一例を示している。また、
図10のBは、画像センサ100が、
図5の領域3および領域4における重なり部分のデータを重複して送信させる場合の一例を示している。
図10のBにおいて符号Dで表される部分が、領域3および領域4における重なり部分のデータに該当する。
【0135】
なお、第1の送信方式により送信されるデータの例は、
図6に示す例に限られない。
図11は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式により送信されるデータの他の例を示す説明図である。
【0136】
フレームは、例えば、フレームヘッダ領域と、パケット領域と、フレームフッタ領域とに分けられる。
【0137】
フレームヘッダ領域には、フレームの識別子の役目を果たすフレーム番号が含まれる。また、フレームヘッダ領域には、画像に設定される領域数と、付加情報とが含まれていてもよい。つまり、第1の送信方式では、付加情報は、“Embedded Data”で送信されることに限られない。
図11では、付加情報として下記の情報が送信される例を示している。
・物理領域長さ:例えば、画像センサデバイスの画素数
・出力領域長さ:例えば、画像センサデバイスから出力される画像の画素数(画像上の長さ)
・総データ量:例えば、パケット領域のデータ量
・優先度:領域の優先度
・センシング情報:例えば、領域に含まれる物体についての演算内容など、領域に対応する画像を処理するためのデータ
・AD語長の情報:ADCにおける語長
・露光情報
・ゲイン情報
【0138】
パケット領域では、
図6と同様に、領域情報および領域データが行ごとに送信される。
【0139】
フレームフッタ領域には、付加情報など、フレームヘッダ領域と同様のデータが含まれうる。
【0140】
図11に示す例においても、
図6に示す例と同様に、領域情報と領域データとを行ごとに伝送することができる。
【0141】
(1-2)第1の送信方式の特徴、利点
本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式は、例えば下記に示す特徴を有する。なお、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式が有する特徴が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・EBDによって付加情報を送信し、ペイロードによって、設定された領域に対応する領域情報を送信する
・領域情報に含まれる情報のうち、変化点に対応する情報だけを送信する
・任意の形状の領域に対応することができる
【0142】
また、第1の送信方式では、ペイロードの先頭部分に格納されて送信される領域情報は、例えば下記のような特徴を有する。なお、第1の送信方式に係る領域情報が有する特徴が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・ロングパケットのデータタイプが、領域伝送用に2つ定義される
・一方は、領域情報の伝送時に用いられる(例えば、“0x38”を示すデータ)
・他方は、領域情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報と同一の場合に用いられる(例えば、“0x39”を示すデータ)
・後述する第2の送信方式に係るショートパケットと異なり、区切りがないので、パラメータ伝送形式を送信する
・1つの行に同一の領域が複数存在する場合、存在する数分、同一の領域の識別情報を送信することによって、1つの行に複数存在する同一の領域の情報を、伝送する
・行の位置を示す情報(Y)
・初期値0(ゼロ)でインクリメントされる
・所定の順序に従って送信されないとき(例えば間引かれるとき)に送信される
・NO CHANGEフラグ
・領域の識別情報(ROI ID)のMSBを利用して送信する
・領域の識別情報(I)
・領域が増減するときに送信される
・領域の列の位置、ROI長が変更される場合に送信する
・領域の列の位置を示す情報(X)
・初期値0(ゼロ)
・変更するときに送信される
・領域の識別情報とセットで送信される
・領域の大きさを示す情報(L)
・最初に送信される行では、必ず設定される
・変更されるときに送信される
・領域の識別情報とセットで送信される
【0143】
また、第1の送信方式は、例えば下記に示す利点を有する。
・伝送効率が高い
・既に規定されているCSI-2規格と後方互換性がある
・任意の領域(ROI)の形状を伝送可能である
【0144】
(1-3)第1の送信方式に係る構成例
次に、上述した第1の送信方式に対応する画像センサ100の構成の一例と、第1の送信方式に対応するプロセッサ200の構成の一例(画像センサ100から送信されたデータの処理に係る構成の一例)とを示す。
【0145】
(1-3-1)第1の送信方式に対応する画像センサ100(送信装置)の構成
図12は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式に対応する画像センサ100の構成の一例を示すハードウェアブロック図である。画像センサ100は、例えば、画像センサデバイス102と、ICチップ104とを備える。
図12に示す画像センサ100は、バッテリなどの通信システム1000を構成する内部電源(図示せず)から供給される電力、または、通信システム1000の外部電源から供給される電力によって、動作する。
【0146】
画像センサデバイス102は、例えば、“デジタルスチルカメラなどの撮像デバイス”や、“赤外線センサ”、“距離画像センサ”などの、画像を生成することが可能な任意の方式の画像センサデバイスである。
【0147】
一例を挙げると、画像センサデバイス102として機能する撮像デバイスは、レンズ/撮像素子と信号処理回路とを含んで構成される。
【0148】
レンズ/撮像素子は、例えば、光学系のレンズと、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を複数用いたイメージセンサとで構成される。
【0149】
信号処理回路は、例えば、AGC(Automatic Gain Control)回路やADC(Analog to Digital Converter)を備え、撮像素子により生成されたアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換する。また、信号処理回路は、例えばRAW現像に係る各種処理を行う。さらに、信号処理回路は、例えば、White Balance補正処理や、色調補正処理、ガンマ補正処理、YCbCr変換処理、エッジ強調処理など各種信号処理を行ってもよい。
【0150】
また、信号処理回路は、画像に対する領域の設定に係る処理を行い、領域指定情報をICチップ104へ伝達してもよい。さらに、信号処理回路は、露光情報やゲイン情報などの様々なデータを、ICチップ104へ伝達してもよい。
【0151】
画像センサデバイス102により生成された画像を示す信号は、ICチップ104へ伝達される。なお、画像センサデバイス102からICチップ104へ伝達される画像を示す信号がアナログ信号である場合、ICチップ104は、例えば、備えているADCにてアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換により得られた画像データを処理する。以下では、画像センサデバイス102からICチップ104へ画像データが伝達される場合を例に挙げる。
【0152】
ICチップ104は、第1の送信方式によるデータの送信機能に係る回路が集積されたIC(Integrated Circuit)がチップ状に形成されたものであり、画像センサデバイス102から伝達される画像データを処理し、生成された画像に対応するデータを送信する。画像に対応するデータとは、画像センサデバイス102から伝達される画像データ(すなわち、画像全体を示すデータ)、または、領域情報および領域データである。なお、第1の送信方式によるデータの送信機能に係る回路は、1つのICチップの形態で実現されることに限られず、複数のICチップで形成されていてもよい。
【0153】
ICチップ104は、例えば、画像処理回路106と、LINK制御回路108と、ECC生成回路110と、PH生成回路112と、EBD用バッファ114と、画像データバッファ116と、合成回路118と、送信回路120とを備える。
【0154】
画像処理回路106は、本実施形態に係る送信方法に係る処理を行う機能を有する一の回路である。本実施形態に係る送信方法に係る処理を行う場合、画像処理回路106は、領域情報を画像における行ごとに設定し、設定された領域情報と領域に対応する領域データとを、LINK制御回路108、ECC生成回路110、PH生成回路112、EBD用バッファ114、画像データバッファ116、合成回路118、送信回路120により、行ごとに第1の送信方式にて送信させる。また、画像処理回路106は、画像センサデバイス102から伝達される画像データ(すなわち、画像全体を示すデータ)を、行ごとに送信させることも可能である。
【0155】
画像処理回路106としては、例えばMPUなどのプロセッサが、挙げられる。
【0156】
画像処理回路106が有する機能を、機能ブロックに分けて説明する。
図12に示すように、画像処理回路106は、例えば、領域切り出し部122と、画像処理制御部124と、エンコード部126とを有する。
【0157】
領域切り出し部122は、画像に対する領域の設定に係る処理を行う役目を果たし、画像センサデバイス102から伝達される画像データが示す画像に対して、領域(ROI)を設定する。領域切り出し部122は、例えば、設定されている動作モードに応じて、画像に対する領域の設定に係る処理を行う。例えば、領域切り出し部122は、動作モードが領域データを送信する動作モードである場合に、画像に対する領域の設定に係る処理を行う。また、領域切り出し部122は、動作モードが画像全体を示すデータを送信する動作モードである場合には、画像に対する領域の設定に係る処理を行わない。
【0158】
領域切り出し部122は、例えば、画像に対して任意の物体検出処理を行って物体を検出し、検出された物体ごとに、検出された物体を含む領域を設定する。また、領域切り出し部122は、任意の操作デバイスに対する操作などにより指定された領域を、設定してもよい。領域切り出し部122が設定する領域としては、例えば、
図5に示す領域1に示すような矩形の領域と、
図5の領域2、領域3、および領域4のような、画像に対して設定される矩形以外の任意の形状の領域とが、含まれうる。
【0159】
領域が設定された場合、領域切り出し部122は、例えば、設定された領域を示す領域指定情報を、画像処理制御部124へ伝達する。また、領域が設定されない場合、領域切り出し部122は、領域指定情報を画像処理制御部124へ伝達しない。
【0160】
また、領域切り出し部122は、画像センサデバイス102から伝達される画像データを、エンコード部126へ伝達する。
【0161】
画像処理制御部124は、本実施形態に係る送信方法に係る処理を行う役目を果たし、領域情報を画像における行ごとに設定し、設定された領域情報を、エンコード部126とPH生成回路112とへ伝達する。
【0162】
画像処理制御部124は、例えば、領域切り出し部122から取得される領域指定情報、または、外部装置から取得される領域指定情報(図示せず)に基づいて、画像における各行に含まれる領域を特定する。そして、画像処理制御部124は、特定された領域に基づいて、行ごとに領域情報を設定する。このとき、画像処理制御部124は、上述した例外処理に示すように、1つ前に送信させる行の領域情報に含まれる情報から変化しない情報は、領域情報に設定しなくてよい。
【0163】
また、領域指定情報が取得されない場合、画像処理制御部124は、領域情報を設定しない。
【0164】
なお、画像処理制御部124における処理は、上記に示す例に限られない。
【0165】
例えば、画像処理制御部124は、例えば、フレーム情報を生成し、生成したフレーム情報をLINK制御回路108へ伝達してもよい。フレーム情報としては、例えば、フレームごとに付与されるVCの番号が挙げられる。また、フレーム情報には、YUVデータ、RGBデータまたはRAWデータなどのデータタイプを示すデータが含まれていてもよい。
【0166】
また、例えば、画像処理制御部124は、付加情報を設定する処理を行い、設定された付加情報をEBD用バッファ114へ伝達してもよい。
【0167】
付加情報を設定する処理としては、例えば付加情報を生成する処理が挙げられる。付加情報を生成する処理としては、例えば、領域のデータ量を示す情報を生成する処理、領域の大きさを示す情報を生成する処理、および領域の優先度を示す情報を生成する処理のうちの1または2以上が、挙げられる。
【0168】
なお、付加情報を設定する処理は、付加情報を生成する処理に限られない。例えば、画像処理制御部124は、露光情報やゲイン情報などの画像センサデバイス102から取得された情報を、付加情報として設定してもよい。また、画像処理制御部124は、例えば、物理領域長さを示すデータ、出力領域長さを示すデータ、画像フォーマットを示すデータ、データ総量を示すデータなどの、様々な領域に関するデータを、付加情報として設定してもよい。
【0169】
エンコード部126は、例えば、画像センサデバイス102から伝達される画像データを、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)規格に対応する方式などの所定の方式でエンコードする。
【0170】
画像処理制御部124から領域情報が取得されない場合、エンコード部126は、エンコードされた画像データを、画像データバッファ116へ伝達する。以下では、エンコードされた画像データ、すなわち、エンコードされた画像全体を示すデータを「通常データ」と示す場合がある。
【0171】
また、画像処理制御部124から領域情報が取得される場合、エンコード部126は、取得された領域情報と、領域に対応するエンコードされた領域データとを、画像データバッファ116へ伝達する。
【0172】
画像処理回路106は、例えば、領域切り出し部122、画像処理制御部124、およびエンコード部126を有することによって、本実施形態に係る送信方法に係る処理を行う。なお、
図12に示す画像処理回路106の機能ブロックは、画像処理回路106が有する機能を便宜上切り分けたものであり、画像処理回路106における機能の切り分け方は、
図12に示す例に限られない。
【0173】
LINK制御回路108は、例えば、フレーム情報を、行ごとにECC生成回路110、PH生成回路112、および合成回路118に伝達する。
【0174】
ECC生成回路110は、行ごとに誤り訂正符号を設定する。ECC生成回路110は、例えば、フレーム情報における1行のデータ(例えば、VCの番号、データタイプなど)に基づいて、その行の誤り訂正符号を生成する。ECC生成回路110は、例えば、PH生成回路112、EBD用バッファ114、画像データバッファ116、および合成回路118それぞれと接続される。そして、ECC生成回路110は、生成した誤り訂正符号を、PH生成回路112、EBD用バッファ114、画像データバッファ116、および合成回路118それぞれに伝達する。また、ECC生成回路110は、PH生成回路112などと連携して誤り訂正符号を生成してもよい。
【0175】
PH生成回路112は、フレーム情報を用いて、行ごとにパケットヘッダを生成する。
【0176】
PH生成回路112は、画像処理回路106(
図12の例では、画像処理制御部124)から伝達される領域情報に基づいて、パケットヘッダを生成してもよい。具体的には、PH生成回路112は、領域情報に基づいて、上述したような“領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化しているか否かを示すデータ”(変化情報)を、パケットヘッダに設定する。
【0177】
EBD用バッファ114は、画像処理回路106(
図12の例では、画像処理制御部124)から伝達される付加情報を一時的に保持するバッファである。EBD用バッファ114は、所定のタイミングで付加情報を“EmbeddedData”として合成回路118に出力する。なお、EBD用バッファ114から出力される“EmbeddedData”は、後述する画像データバッファ116を経由して合成回路118に伝達されてもよい。
【0178】
画像データバッファ116は、画像処理回路106(
図12の例では、エンコード部126)から伝達されるデータ(通常データ、または、領域情報および領域データ)を一時的に保持するバッファである。画像データバッファ116は、保持していているデータを、所定のタイミングで行ごとに合成回路118に出力する。
【0179】
合成回路118は、例えば、ECC生成回路110、PH生成回路112、EBD用バッファ114、および画像データバッファ116それぞれから取得されるデータに基づいて、伝送するパケットを生成する。
【0180】
送信回路120は、合成回路118から伝達されるパケットを、行ごとにデータバスB1(信号の伝送路の一例。以下、同様とする。)を介して送信する。例えば送信回路120は、
図4に示すような高速差動信号によりパケットを送信する。
【0181】
例えば
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4が設定された場合、送信回路120は、
図9に示すように、設定された領域情報と領域に対応する領域データとを、行ごとにロングパケットで送信する。
【0182】
また、領域が設定されない場合、すなわち、画像データバッファ116から通常データが出力される場合には、送信回路120は、各行に対応するデータがペイロードに格納されたロングパケットを、行ごとに送信する。なお、この場合においても、送信回路120は、付加情報を“EmbeddedData”として送信することが可能である。
【0183】
第1の送信方式に対応する画像センサ100は、例えば
図12に示すハードウェア構成を有する。なお、第1の送信方式に対応する画像センサ100のハードウェア構成が、
図12に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0184】
(1-3-2)第1の送信方式に対応するプロセッサ200(受信装置)の構成
図13は、本実施形態に係る送信方法に係る第1の送信方式に対応するプロセッサ200の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図13では、便宜上、画像センサ100のみを併せて示している。プロセッサ200は、例えば、ヘッダ分離部202と、ヘッダ解釈部204と、ペイロード分離部206と、画像処理部208と、演算部210と、送信部212とを有する。
【0185】
ヘッダ分離部202は、受信されたデータから、ヘッダ部分に対応するヘッダデータと、ペイロード部分に対応するペイロードデータとを分離する。ヘッダ分離部202は、例えば、規格などで予め規定されたルールに従って、受信されたデータからヘッダデータを分離する。また、ヘッダ分離部202は、例えば、規格などで予め規定されたルールに従って、受信されたデータからペイロードデータを分離してもよいし、ヘッダ解釈部204の処理の結果に基づき受信されたデータからペイロードデータを分離してもよい。
【0186】
ヘッダ解釈部204は、ヘッダデータが示す内容を解釈する。
【0187】
一例を挙げると、ヘッダ解釈部204は、例えば、ヘッダデータが“0x38”を示す場合、領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化していると解釈する。また、この場合、ヘッダ解釈部204は、ペイロードデータに領域情報が含まれていると解釈してもよい。
【0188】
他の例を挙げると、ヘッダ解釈部204は、例えば、ヘッダデータが“0x39”を示す場合、領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる領域情報から変化していないと解釈する。また、この場合、ヘッダ解釈部204は、ペイロードデータに領域情報が含まれてないと解釈してもよい。
【0189】
なお、ヘッダ解釈部204における処理の例は、上記に示す例に限られない。例えば、ヘッダ解釈部204は、ペイロードデータの位置を特定し、特定した位置をヘッダ分離部202へ伝達してもよい。また、ヘッダ解釈部204は、ペイロードデータが“Embedded Data”であるかを解釈することも可能である。
【0190】
ペイロード分離部206は、ヘッダ解釈部204における解釈結果に基づいて、ペイロードデータから、付加情報、領域情報、および画像データ(通常データまたは領域データ。以下、
図13の説明においては同様とする。)を分離する。
【0191】
例えば、ヘッダ解釈部204においてペイロードデータが“Embedded Data”であると解釈された場合、ペイロード分離部206は、ペイロードデータを付加情報とする。
【0192】
また、ヘッダ解釈部204においてペイロードデータが“Embedded Data”であると解釈されない場合、ペイロード分離部206は、ペイロードデータから、領域情報と画像データとを分離する。例えば
図6、
図8、
図9を参照して説明したように、領域情報と領域データとはペイロードに格納され、かつ、領域情報は、ペイロードの先頭部分に格納される。また、画像センサ100から通常データが送信される場合、ペイロードには領域情報は格納されない。よって、ペイロード分離部206は、ペイロードを先頭部分から処理することによって、領域情報と画像データとを分離することができる。
【0193】
画像処理部208は、ペイロード分離部206から伝達される付加情報、領域情報、および画像データに基づいて、行ごとの画像データを処理し、領域に対応する画像を示すデータ、または、画像全体を示すデータを得る。
【0194】
画像処理部208は、例えば、ペイロード分離部206から伝達される情報に基づいて、データバスB1を介して取得されたデータが、領域に対応する画像を示すデータであるか、または、画像全体を示すデータであるかを判定し、判定結果に応じた処理モードで処理を行ってもよい。
【0195】
例えば、画像処理部208は、あるフレームの画像を対象とする処理を最初に行うとき(すなわち、最初の行に対応する処理を行うとき)に領域情報が伝達される場合に、データバスB1を介して取得されたデータが、領域に対応する画像を示すデータであると判定する。そして、画像処理部208は、領域データを処理する処理モードに移行して、行ごとの領域情報および領域データに基づいて、領域に対応する画像を示すデータを得る。
【0196】
例えば、画像処理部208は、あるフレームの画像を対象とする処理を最初に行うときに領域情報が伝達されない場合に、データバスB1を介して取得されたデータが、画像全体を示すデータであると判定する。そして、画像処理部208は、通常の処理モード(通常データを処理する処理モード)に移行して、行ごとの通常データに基づいて、画像全体を示すデータを得る。
【0197】
なお、データバスB1を介して取得されたデータの判定方法は、上記に示す例に限られない。例えば、画像処理部208は、領域に関する情報(例えば、領域のデータ量を示す情報、領域の大きさを示す情報、および領域の優先度を示す情報のうちの、1または2以上)が、付加情報として伝達された場合に、データバスB1を介して取得されたデータが、領域に対応する画像を示すデータであると判定してもよい。
【0198】
画像処理部208は、例えば、デコード部214と、画像生成部216とを有する。
【0199】
デコード部214は、例えば、画像センサ100におけるエンコードに対応する所定の方式で、画像データをデコードする。このとき、デコード部214は、付加情報に基づいて処理の内容を変えてもよい。
【0200】
画像生成部216は、領域情報に基づいて、デコード部214によりデコードされた行ごとの画像データから、領域に対応する画像を示すデータ、または、画像全体を示すデータを生成する。
【0201】
例えば、画像生成部216は、あるフレームの画像を対象とする処理を最初に行うときに領域情報が伝達される場合に、デコード部214から伝達される画像データが領域データであると判定する。そして、領域データであると判定された場合には、画像生成部216は、領域情報に基づいて行ごとの領域データを、領域ごとに分ける。ここで、画像生成部216が処理に用いる領域情報には、処理対象の行に対応する領域情報と、既に処理を行った行に対応する領域情報とが含まれうる。
【0202】
ここで、領域情報には、基本的に、行の位置を示す情報、行に含まれる領域の識別情報、行に含まれる領域の列の位置を示す情報、および行に含まれる領域の大きさを示す情報が含まれるので、画像生成部216は、各行に含まれる領域データを一意に特定することができる。よって、画像生成部216は、あるフレームの画像に設定された領域に対応する画像を示すデータを、領域ごとに生成することができる。
【0203】
また、画像生成部216は、あるフレームの画像を対象とする処理を最初に行うときに領域情報が伝達されない場合には、伝達される画像データが通常データであると判断する。通常データであると判定された場合、画像生成部216は、デコード部214から伝達される行ごとの画像データから、画像全体を示すデータを生成する。
【0204】
画像処理部208は、例えばデコード部214と画像生成部216とを有することによって、領域に対応する画像を示すデータ、または、画像全体を示すデータを得る。
【0205】
演算部210は、例えば、画像処理部208において得られた画像データに基づく処理を行う。画像処理部208において得られた画像データとしては、例えば、画像全体を示す画像データ、領域に対応する画像を示す画像データ、あるいは、画像全体が縮小された画像を示す画像データなどが、挙げられる。
【0206】
画像処理部208において得られた画像データに基づく処理としては、例えば、メモリ300などの記録媒体への画像データの記録制御に係る処理や、表示デバイス400の表示画面への画像の表示制御に係る処理などが、挙げられる。
【0207】
なお、演算部210における処理は、上記に示す例に限られない。例えば上述したように、演算部210は、画像に対する領域の設定に係る処理など、様々な処理を行うことが可能である。
【0208】
演算部210における画像に対する領域の設定に係る処理の一例を挙げると、演算部210は、画像処理部208において得られた画像データに対して、特徴点抽出に係る演算、動き抽出に係る演算、機械学習による演算などの、様々な演算を行うことによって、領域を設定する。また、演算部210は、設定した領域に対応する領域指定情報を生成する。なお、演算部210における画像に対する領域の設定に係る処理の例が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0209】
送信部212は、各種データ(例えば、画像データ、制御情報など)を、制御バスB2や各種信号線などを介して、外部装置へ送信する。送信部212としては、例えば、プロセッサ200が備えるI2C(Inter Integrated Circuits)やI3C(Improved Inter Integrated Circuits)など所定の規格に則った通信デバイスが、挙げられる。
【0210】
送信部212における通信は、例えば演算部210により制御される。演算部210が、送信部212に画像データを送信させることによって、例えば、メモリ300などの記録媒体への画像データの記録、表示デバイス400の表示画面への画像の表示が、実現される。また、演算部210が、送信部212に、領域指定情報を含む制御情報を、制御バスB1を介して画像センサ100に対して送信させることによって、画像センサ100への設定された領域を示す領域指定情報の送信が、実現される。
【0211】
プロセッサ200は、例えば、ヘッダ分離部202、ヘッダ解釈部204、ペイロード分離部206、画像処理部208、演算部210、および送信部212を有することによって、画像センサ100から受信したデータに基づいて、領域に対応する画像を示すデータ、または、画像全体を示すデータを得ることができる。なお、
図13に示すプロセッサ200の機能ブロックは、プロセッサ200が有する機能を便宜上切り分けたものであり、プロセッサ200における機能の切り分け方は、
図13に示す例に限られない。また、外部装置に各種データを送信する機能を有さない場合、プロセッサ200は、送信部212を有していなくてもよい。
【0212】
(2)第2の送信方式
(2-1)第2の送信方式に係る処理
画像センサ100は、領域データを第1のパケットのペイロードに格納し、領域情報に含まれる情報それぞれを、第1のパケットと異なる第2のパケットにそれぞれ格納する。そして、画像センサ100は、第1のパケットおよび第2のパケットを、行ごとに送信させる。
【0213】
第2の送信方式に係る第1のパケットとしては、MIPIのロングパケットが挙げられ、第2の送信方式に係る第2のパケットとしては、MIPIのショートパケットが挙げられる。なお、本実施形態に係る第1のパケットおよび第2のパケットの例は、上記に示す例に限られない。本実施形態に係る第1のパケットおよび第2のパケットの他の例については、後述する第3の送信方式にて示す。以下に示す第2の送信方式では、第1のパケットがMIPIのロングパケットであり、第2のパケットがMIPIのショートパケットである場合を例に挙げる。
【0214】
図14は、本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式により送信されるデータの一例を示す説明図である。
図14は、“
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4それぞれに対応する領域情報に含まれる情報それぞれが、
図2に示すMIPIのショートパケットによって、行ごとに送信される例”を示している。また、
図14は、“
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4それぞれに対応する領域データが、
図3に示すMIPIのロングパケットのペイロードに格納して、行ごとに送信される例”を示している。
【0215】
図14に示す“Y”は、行の位置を示す情報が格納されるショートパケットを示している。
図14に示す“I1”、“I2”、“I3”、“I4”は、
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4それぞれに対応する領域の識別情報が格納される、ショートパケットを示している。
図14に示す“X1”、“X2”、“X3”、“X4”は、
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4それぞれに対応する領域の列の位置を示す情報が格納される、ショートパケットを示している。
図14に示す“L1”、“L2”、“L3”、“L4”は、
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4それぞれに対応する領域の大きさを示す情報が格納される、ショートパケットを示している。
【0216】
図6に示すように上述した上記(1)に示す第1の送信方式が用いられる場合、領域情報と領域データとは、例えばMIPIのロングパケットなどの1つのパケットのペイロードに格納され、行ごとに送信される。
【0217】
これに対して、
図14に示すように第2の送信方式が用いられる場合、領域情報と領域データとは異なるパケットに分けて格納され、行ごとに送信される。
【0218】
また、
図14に示すように、第2の送信方式が用いられる場合においても、第1の送信方式が用いられる場合と同様に、“Embedded Data”を送信することが可能である。つまり、画像センサ100は、領域のデータ量を示す情報、領域の大きさを示す情報、および領域の優先度を示す情報のうちの1または2以上(付加情報の一例)を、
図14に示す“Embedded Data”として送信することができる。
【0219】
また、第2の送信方式が用いられる場合、画像センサ100は、第1の送信方式が用いられる場合と同様に、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定して、判定結果に応じて重なり部分のデータを重複して送信させてもよい。
【0220】
(2-2)第2の送信方式の特徴、利点
本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式は、例えば下記に示す特徴を有する。なお、本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式が有する特徴が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・EBDによって付加情報を送信し、ショートパケットによって、設定された領域に対応する領域情報を送信する
・領域情報に含まれる情報のうち、変化点に対応する情報だけを送信する
・任意の形状の領域に対応することができる
【0221】
また、第2の送信方式では、ショートパケットにより送信される領域情報は、例えば下記のような特徴を有する。なお、第2の送信方式に係る領域情報が有する特徴が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・1つの行に同一の領域が複数存在する場合、存在する数分、同一の領域の識別情報を送信することによって、1つの行に複数存在する同一の領域の情報を、伝送する
・行の位置を示す情報(Y)
・初期値0(ゼロ)でインクリメントされる
・所定の順序に従って送信されないとき(例えば間引かれるとき)に送信される
・領域の識別情報(I)
・領域が増減するときに送信される
・領域の列の位置、ROI長が変更される場合に送信する
・領域の列の位置を示す情報(X)
・初期値0(ゼロ)
・変更するときに送信される
・領域の識別情報とセットで送信される
・領域の大きさを示す情報(L)
・最初に送信される行では、必ず設定される
・変更されるときに送信される
・領域の識別情報とセットで送信される
・変更があっても1行に1つしか領域がない場合は、省略されてもよい(ロングパケットのペイロード長が、ROI長と同一となるため)
【0222】
また、第2の送信方式は、例えば下記に示す利点を有する。
・領域情報の誤り訂正が可能である
・既に規定されているCSI-2規格と後方互換性がある
・任意の領域(ROI)の形状を伝送可能である
【0223】
(2-3)第2の送信方式に係る構成例
次に、上述した第2の送信方式に対応する画像センサ100の構成の一例と、第2の送信方式に対応するプロセッサ200の構成の一例(画像センサ100から送信されたデータの処理に係る構成の一例)とを示す。
【0224】
(2-3-1)第2の送信方式に対応する画像センサ100(送信装置)の構成
図15は、本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式に対応する画像センサ100の構成の一例を示すハードウェアブロック図である。画像センサ100は、例えば、画像センサデバイス102と、ICチップ150とを備える。
図15に示す画像センサ100は、
図12に示す画像センサ100と同様に、通信システム1000を構成する内部電源(図示せず)から供給される電力などによって、動作する。
【0225】
図15に示す画像センサデバイス102は、
図12に示す画像センサデバイス102と同様の機能、構成を有する。
【0226】
ICチップ150は、第2の送信方式によるデータの送信機能に係る回路が集積されたICがチップ状に形成されたものであり、画像センサデバイス102から伝達される画像データを処理し、生成された画像に対応するデータを送信する。なお、第2の送信方式によるデータの送信機能に係る回路は、1つのICチップの形態で実現されることに限られず、複数のICチップで形成されていてもよい。
【0227】
ICチップ150は、例えば、画像処理回路152と、LINK制御回路108と、ECC生成回路110と、PH生成回路154と、EBD用バッファ114と、画像データバッファ116と、合成回路156と、送信回路120とを備える。
【0228】
図15に示すLINK制御回路108、ECC生成回路110、EBD用バッファ114、画像データバッファ116、および送信回路120それぞれは、
図12に示すLINK制御回路108、ECC生成回路110、EBD用バッファ114、画像データバッファ116、および送信回路120と同様の機能、構成を有する。
【0229】
画像処理回路152は、本実施形態に係る送信方法に係る処理を行う機能を有する一の回路である。本実施形態に係る送信方法に係る処理を行う場合、画像処理回路152は、領域情報を画像における行ごとに設定し、設定された領域情報と領域に対応する領域データとを、LINK制御回路108、ECC生成回路110、PH生成回路154、EBD用バッファ114、画像データバッファ116、合成回路156、送信回路120により、行ごとに第2の送信方式にて送信させる。また、画像処理回路152は、画像センサデバイス102から伝達される画像データ(すなわち、画像全体を示すデータ)を、行ごとに送信させることも可能である。
【0230】
画像処理回路152としては、例えばMPUなどのプロセッサが、挙げられる。
【0231】
画像処理回路152が有する機能を、機能ブロックに分けて説明する。
図15に示すように、画像処理回路152は、例えば、領域切り出し部122と、画像処理制御部124と、エンコード部158とを有する。
【0232】
図15に示す領域切り出し部122および画像処理制御部124の機能は、
図12に示す領域切り出し部122および画像処理制御部124と同様である。
【0233】
エンコード部158は、
図12に示すエンコード部126と同様に、画像センサデバイス102から伝達される画像データを、所定の方式でエンコードする。
【0234】
画像処理制御部124から領域情報が取得されない場合、エンコード部158は、
図12に示すエンコード部126と同様に、エンコードされた画像データを、画像データバッファ116へ伝達する。
【0235】
また、画像処理制御部124から領域情報が取得される場合、エンコード部158は、取得された領域情報に基づき領域を特定し、特定された領域に対応するエンコードされた領域データを、画像データバッファ116へ伝達する。
【0236】
画像処理回路152は、例えば、領域切り出し部122、画像処理制御部124、およびエンコード部158を有することによって、本実施形態に係る送信方法に係る処理を行う。なお、
図15に示す画像処理回路152の機能ブロックは、画像処理回路152が有する機能を便宜上切り分けたものであり、画像処理回路152における機能の切り分け方は、
図15に示す例に限られない。
【0237】
PH生成回路154は、画像処理回路152(
図15の例では、画像処理制御部124)から伝達される領域情報に基づいて、領域情報に含まれる情報それぞれが格納されるショートパケットを生成する。
【0238】
また、PH生成回路154は、
図12に示すPH生成回路112と同様に、フレーム情報を用いて、行ごとにロングパケットのパケットヘッダを生成する。
【0239】
合成回路156は、ECC生成回路110、PH生成回路154、EBD用バッファ114、および画像データバッファ116それぞれから取得されるデータに基づいて、“領域情報が格納されるショートパケット”、および“行ごとの画像データ(通常データまたは領域データ)がペイロードに格納されるロングパケット”を、伝送するパケットとして生成する。
【0240】
送信回路120は、合成回路156から伝達されるパケットを、行ごとにデータバスB1を介して送信する。
【0241】
例えば
図5に示す領域1、領域2、領域3、および領域4が設定された場合、送信回路120は、
図14に示すように、領域情報に含まれる情報それぞれをショートパケットに格納し、領域データをロングパケットのペイロードに格納して、行ごとに送信させる。
【0242】
また、領域が設定されない場合、すなわち、画像データバッファ116から通常データが出力される場合には、送信回路120は、
図12に示す送信回路120と同様に、各行に対応するデータがペイロードに格納されたロングパケットを、行ごとに送信する。なお、この場合においても、送信回路120は、
図12に示す送信回路120と同様に、付加情報を“EmbeddedData”として送信することが可能である。
【0243】
第2の送信方式に対応する画像センサ100は、例えば
図15に示すハードウェア構成を有する。なお、第2の送信方式に対応する画像センサ100のハードウェア構成が、
図15に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0244】
(2-3-2)第2の送信方式に対応するプロセッサ200(受信装置)の構成
図16は、本実施形態に係る送信方法に係る第2の送信方式に対応するプロセッサ200の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図16では、便宜上、画像センサ100のみを併せて示している。プロセッサ200は、例えば、パケット分離部250と、ショートパケット解釈部252と、ロングパケット分離部254と、ヘッダ解釈部256と、ペイロード解釈部258と、画像処理部208と、演算部210と、送信部212とを有する。
【0245】
パケット分離部250は、受信されたデータから、ショートパケットとロングパケットとを分離する。パケット分離部250は、例えば、ショートパケットの区切りを検出することにより、ショートパケットとロングパケットとを分離する。
【0246】
ショートパケット解釈部252は、パケット分離部250から伝達されるショートパケットから、領域情報を構成する各種情報を取り出し、領域情報を画像処理部208へ伝達する。
【0247】
ロングパケット分離部254は、
図13に示すヘッダ分離部202と同様に、パケット分離部250から伝達されるロングパケットから、ヘッダ部分に対応するヘッダデータと、ペイロード部分に対応するペイロードデータとを分離する。
【0248】
ヘッダ解釈部256は、ヘッダデータが示す内容を解釈する。例えば、ヘッダ解釈部256は、ペイロードデータが“Embedded Data”であるかを解釈する。また、ヘッダ解釈部256は、ペイロードデータの位置を特定し、特定した位置をロングパケット分離部254へ伝達してもよい。
【0249】
ペイロード解釈部258は、ヘッダ解釈部256における解釈結果に基づいて、ペイロードデータから、付加情報、または、画像データ(通常データまたは領域データ。以下、
図16の説明においては同様とする。)を取り出す。
【0250】
例えば、ヘッダ解釈部256においてペイロードデータが“Embedded Data”であると解釈された場合、ペイロード解釈部258は、ペイロードデータを付加情報とする。
【0251】
また、ヘッダ解釈部256においてペイロードデータが“Embedded Data”であると解釈されない場合、ペイロード解釈部258は、ペイロードデータを画像データとする。
【0252】
図16に示す画像処理部208は、
図13に示す画像処理部208と同様に、付加情報、領域情報、および画像データに基づいて、行ごとの画像データを処理し、領域に対応する画像を示すデータ、または、画像全体を示すデータを得る。
【0253】
図16に示す演算部210は、
図13に示す演算部210と同様に、画像処理部208において得られた画像データに基づく処理や、画像に対する領域の設定に係る処理などの、様々な処理を行う。
【0254】
図16に示す送信部212は、
図13に示す送信部212と同様に、各種データ(例えば、画像データ、制御情報など)を、制御バスB2や各種信号線などを介して、外部装置へ送信する。
【0255】
プロセッサ200は、例えば、パケット分離部250、ショートパケット解釈部252、ロングパケット分離部254、ヘッダ解釈部256、ペイロード解釈部258、画像処理部208、演算部210、および送信部212を有することによって、画像センサ100から受信したデータに基づいて、領域に対応する画像を示すデータ、または、画像全体を示すデータを得ることができる。なお、
図16に示すプロセッサ200の機能ブロックは、プロセッサ200が有する機能を便宜上切り分けたものであり、プロセッサ200における機能の切り分け方は、
図16に示す例に限られない。また、
図13に示すプロセッサ200と同様に、外部装置に各種データを送信する機能を有さない場合、プロセッサ200は、送信部212を有していなくてもよい。
【0256】
(3)第3の送信方式
(3-1)第3の送信方式に係る処理
画像センサ100は、上記(2)に示す第2の送信方式と同様に、領域データを第1のパケットのペイロードに格納し、領域情報に含まれる情報を、第1のパケットと異なる第2のパケットに格納する。そして、画像センサ100は、第1のパケットおよび第2のパケットを、行ごとに送信させる。
【0257】
第3の送信方式に係る第1のパケットとしては、MIPIのロングパケットが挙げられ、第3の送信方式に係る第2のパケットとしては、パケットヘッダが挙げられる。つまり、第2の送信方式では、例えばMIPIのショートパケットで領域情報を送信したのに対して、第3の送信方式では、パケットヘッダで領域情報を送信する。
【0258】
ここで、
図2、
図3に示すように、ショートパケットとパケットヘッダとは、同様の構造を有する。よって、第3の送信方式を用いる画像センサ100は、上記(2)に示す第2の送信方式を用いる画像センサ100と同様に、領域情報と領域データとを行ごとに送信することができる。
【0259】
また、第3の送信方式を用いる画像センサ100は、上記(1)に示す第1の送信方式を用いる画像センサ100と同様に、重なり部分のデータを重複して送信させるかを判定して、判定結果に応じて重なり部分のデータを重複して送信させてもよい。
【0260】
なお、第3の送信方式に係る第2のパケットは、
図3に示すパケットヘッダと同様の構造を有するパケットヘッダに限られない。例えば、第3の送信方式に係る第2のパケットは、
図2に示す“Data Field”が拡張された構造を有するパケットヘッダ(例えば、“Data Field”を2[byte]から3[byte]以上に拡張したパケットヘッダ)であってもよい。第3の送信方式に係る第2のパケットが、上記拡張された構造を有するパケットヘッダである場合、領域情報に含まれる情報は、1つの第2のパケットに格納されうる。
【0261】
また、第3の送信方式において、領域情報に含まれる情報が格納される領域は、第1のパケットの一部であってもよい。つまり、第3の送信方式では、上記第1のパケットと上記第2のパケットとが1つのパケットであると捉えることも可能である。
【0262】
(3-2)第3の送信方式の特徴、利点
本実施形態に係る送信方法に係る第3の送信方式は、上記(2)に示す第2の送信方式と同様の特徴を有する。
【0263】
また、第3の送信方式は、例えば下記に示す利点を有する。
・伝送効率が高い
・領域情報の誤り訂正が可能である
・任意の領域(ROI)の形状を伝送可能である
【0264】
(3-3)第3の送信方式に係る構成例
第3の送信方式に対応する画像センサ100は、例えば
図14に示す上記(2)に示す第2の送信方式に対応する画像センサ100と同様の構成(変形例も含む。)をとる。また、第3の送信方式に対応するプロセッサ200は、例えば
図15に示す上記(2)に示す第2の送信方式に対応するプロセッサ200と同様の構成(変形例も含む。)をとる。
【0265】
[4]本実施形態に係る送信方法が用いられることにより奏される効果の一例
本実施形態に係る送信方法が用いられることによって、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る送信方法が用いられることにより奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・画像に対して設定される領域(ROI)のデータを伝送する際に、領域ごとにVCを分ける必要はない。
・画像に対して設定される領域(ROI)のデータを伝送する際に、同一の行に含まれる領域それぞれのデータを、まとめて送信することができる。
・領域情報に含まれる情報のうち、変化点に対応する情報だけを送信することが可能であり、領域情報のデータ量をより小さくすることができる(すなわち、最小限の領域情報の伝送が可能である)。
・矩形、楕円、ドーナツ形状などの任意の形状の領域に対応することができる
・
図5の領域3、領域4のように設定されている領域が重なっている場合であっても、領域のデータを伝送することができる。
・第1の送信方式が用いられる場合、領域情報はパケットのペイロードに格納して送信されるので、領域情報の送信によりLPSの期間が増えることはない。よって、第1の送信方式が用いられる場合、領域情報が伝送効率に影響を及ぼす可能性は低い。
【0266】
(本実施形態に係るプログラム)
コンピュータを、本実施形態に係る送信装置として機能させるためのプログラム(例えば、本実施形態に係る送信方法に係る処理を、コンピュータに実行させるプログラム)が、コンピュータにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、画像に対して設定される任意の形状の領域のデータを送信することができる。
【0267】
また、コンピュータを、本実施形態に係る送信装置として機能させるためのプログラムが、コンピュータにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、上述した本実施形態に係る送信方法が用いられることにより奏される効果を、奏することができる。
【0268】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0269】
例えば、上記では、コンピュータを、本実施形態に係る送信装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記録媒体も併せて提供することができる。
【0270】
上述した構成は、本実施形態の一例を示すものであり、当然に、本開示の技術的範囲に属するものである。
【0271】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0272】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
画像に対して設定される領域に対応する領域情報を前記画像における行ごとに設定し、設定された前記領域情報と前記領域に対応する領域データとを、行ごとに送信させる画像処理部を備え、
前記画像処理部は、前記画像を解析することによって、または、外部から取得される領域指定情報に基づいて、前記領域を設定し、
前記領域情報には、行の位置を示す情報、および行に含まれる前記領域の列の位置を示す情報が、含まれる、送信装置。
(2)
前記領域指定情報は、前記領域データの送信先の受信装置から取得される、(1)に記載の送信装置。
(3)
前記画像処理部は、
複数の前記領域が重なる重なり部分が存在する場合、前記重なり部分のデータを、複数の前記領域それぞれに対応する前記領域データにより重複して送信させるかを判定し、
重複して送信させると判定した場合に、前記重なり部分のデータを重複して送信させる、(1)または(2)に記載の送信装置。
(4)
前記画像処理部は、前記重なり部分を含む行の列数に基づいて、重複して送信させるかを判定する、(3)に記載の送信装置。
(5)
前記画像処理部は、設定されている動作モードに基づいて、重複して送信させるかを判定する、(3)に記載の送信装置。
(6)
前記領域情報には、さらに、行に含まれる前記領域の識別情報、および行に含まれる前記領域の大きさを示す情報が、含まれる、(1)~(5)のいずれか1つに記載の送信装置。
(7)
前記画像処理部は、前記領域情報に含まれる情報を、前記領域ごとにまとめて前記領域情報に設定する、(1)~(6)のいずれか1つに記載の送信装置。
(8)
前記画像処理部は、1つの行に同一の前記領域が複数存在する場合、存在する数分、前記領域情報を設定する、(7)に記載の送信装置。
(9)
前記画像処理部は、1つ前に送信させる行の前記領域情報に含まれる情報から変化しない情報は、前記領域情報に設定しない、(1)~(8)のいずれか1つに記載の送信装置。
(10)
前記画像処理部は、
前記領域の列の位置を示す情報を前記領域情報に設定するときには、前記領域情報に前記領域の識別情報を設定し、
前記領域の大きさを示す情報を前記領域情報に設定するときには、前記領域情報に前記領域の識別情報を設定する、(9)に記載の送信装置。
(11)
前記画像処理部は、
所定の順序に従って、行ごとの前記領域情報と前記領域データとを送信させ、
前記領域情報と前記領域データとを送信させる行が、前記所定の順序に従った行である場合には、前記領域情報に前記行の位置を示す情報を設定しない、(9)または(10)に記載の送信装置。
(12)
前記画像処理部は、前記領域情報と前記領域データとを、パケットのペイロードに格納して送信させる、(1)~(11)のいずれか1つに記載の送信装置。
(13)
前記領域情報は、前記ペイロードの先頭部分に格納される、(12)に記載の送信装置。
(14)
前記画像処理部は、さらに、前記領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる前記領域情報から変化しているか否かを示す変化情報を、行ごとに送信させる、(12)または(13)に記載の送信装置。
(15)
前記領域情報に含まれる情報が1つ前に送信させるパケットに含まれる前記領域情報から変化していない場合、前記画像処理部は、前記領域情報を送信させない、(14)に記載の送信装置。
(16)
前記画像処理部は、さらに、前記領域のデータ量を示す情報、前記領域の大きさを示す情報、および前記領域の優先度を示す情報のうちの1または2以上を、送信させる、(12)~(15)のいずれか1つに記載の送信装置。
(17)
前記パケットは、MIPIのロングパケットである、(12)~(16)のいずれか1つに記載の送信装置。
(18)
前記画像処理部は、
前記領域データを第1のパケットのペイロードに格納し、
前記領域情報に含まれる情報それぞれを、前記第1のパケットと異なる第2のパケットにそれぞれ格納し、
前記第1のパケットおよび前記第2のパケットを、行ごとに送信させる、(1)~(11)のいずれか1つに記載の送信装置。
(19)
前記第1のパケットは、MIPIのロングパケットであり、
前記第2のパケットは、MIPIのショートパケットである、(18)に記載の送信装置。
【符号の説明】
【0273】
100 画像センサ
102 画像センサデバイス
104、150 ICチップ
106、152 画像処理回路
108 LINK制御回路
110 ECC生成回路
112、154 PH生成回路
114 EBD用バッファ
116 画像データバッファ
118、156 合成回路
120 送信回路
122 領域切り出し部
124 画像処理制御部
126、158 エンコード部
200 プロセッサ
202 ヘッダ分離部
204 ヘッダ解釈部
206 ペイロード分離部
208 画像処理部
210 演算部
212 送信部
214 デコード部
216 画像生成部
250 パケット分離部
252 ショートパケット解釈部
254 ロングパケット分離部
256 ヘッダ解釈部
258 ペイロード解釈部
300 メモリ
400 表示デバイス
1000 通信システム
B1 データバス
B2 制御バス