(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】偏光膜を含む包装複合材料及び前記材料を含む包装
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20230511BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230511BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230511BHJP
B65D 81/30 20060101ALI20230511BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230511BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B7/023
B32B27/00 H
B65D81/30 A
C09J201/00
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2019556580
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 US2018028276
(87)【国際公開番号】W WO2018195258
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】201710257517.2
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マー,シュン
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,ジーヘン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ツィジュン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ション,フアン
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-024833(JP,A)
【文献】特開2014-166707(JP,A)
【文献】特開2004-141631(JP,A)
【文献】特開2017-197284(JP,A)
【文献】特開2002-255238(JP,A)
【文献】特開2017-217208(JP,A)
【文献】特表2016-527567(JP,A)
【文献】韓国特許第10-0700409(KR,B1)
【文献】米国特許第04878748(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 81/30
B32B 1/00-43/00
C09J 201/00
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光膜を含む包装複合材料であって、
1軸延伸した偏光膜を3層以上含む偏光層を有し、
前記偏光膜のそれぞれは、延伸方向に1軸延伸されたものであり、
前記
偏光膜の偏光方向は、前記偏光膜における前記延伸方向であり、
前記偏光膜は、第1の偏光膜、第2の偏光膜及び第3の偏光膜を有し、
前記第1の偏光膜の偏光方向と前記第2の偏光膜の偏光方向との間の挟角は45°であり、前記第1の偏光膜の偏光方向と前記第3の偏光膜の偏光方向との間の挟角は80°であり、
当該包装複合材料が
、遮光効果を有
し、感光性製品の保存可能期限を延ばすことができる包装複合材料。
【請求項2】
前記包装複合材料は、前記偏光層の片側上に置かれた第1の表層を更に含む、請求項1に記載の包装複合材料。
【請求項3】
前記包装複合材料は、前記偏光層の別の側面上に置かれた第2の表層を更に含む、請求項2に記載の包装複合材料。
【請求項4】
前記表層の材料は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(PCTG)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)及びポリアミド(PA)の1つから選出される、請求項2又は3に記載の包装複合材料。
【請求項5】
前記偏光層は、前記偏光膜の間に置かれた偏光膜の接着層を更に含む、請求項1に記載の包装複合材料。
【請求項6】
前記偏光膜の接着層の材料は、ポリビニルアルコール接着剤、アクリレート接着剤、エチレン酢酸ビニルコポリマー接着剤、エポキシ樹脂接着剤、不飽和ポリエステル接着剤及び酢酸ビニル樹脂接着剤の1つから選出される、請求項5に記載の包装複合材料。
【請求項7】
前記包装複合材料は、前記偏光層と前記第1の表層との間に置かれた表層の接着層を更に含む、請求項2に記載の包装複合材料。
【請求項8】
前記包装複合材料は、前記偏光層と前記第1及び第2の表層のそれぞれの間に置かれた表層の接着層を更に含む、請求項3に記載の包装複合材料。
【請求項9】
前記表層の接着層の材料は、ポリビニルアルコール接着剤、アクリレート接着剤、エチレン酢酸ビニルコポリマー接着剤、エポキシ樹脂接着剤、不飽和ポリエステル接着剤及び酢酸ビニル樹脂接着剤の1つから選出される、請求項7又は8に記載の包装複合材料。
【請求項10】
前記偏光層は3~10層の偏光膜を含む、請求項1に記載の包装複合材料。
【請求項11】
包装内に請求項1に記載の偏光膜を含む前記包装複合材料の使用。
【請求項12】
偏光膜を含む前記包装複合材料は内容物に直接接触する、請求項
11に記載の使用。
【請求項13】
ラベル内に請求項1に記載の偏光膜を含む前記包装複合材料の使用。
【請求項14】
偏光膜を含む前記包装複合材料内で前記偏光層の厚さは20nm~10mmであり、各偏光膜の厚さは10nm~1mmである、請求項
11又は
13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は包装複合材料に関する。より詳細には、本発明は光を遮断できる包装複合材料及び同材料を含む包装に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
「包装」は容器、材料及び所与の技術的解決策に従って使用する補助用品に対する総称であり、これは製品を保護し、保管及び運搬を容易にし、循環過程における販売を促進し、日常生活に広く使われる。例としては食品の包装、建築材料の包装、薬品の包装、その他がある。包装の安全要件及び消費者の消費水準が増す中で、包装材料は益々多様化してきている。更に遮光、酸素遮断、二酸化炭素遮断、水蒸気遮断、耐高温、機械特性及び化学的安定性などの包装材料の特質は、全てが実際の生産及び生活におけるそれらの使用を制限する。
【0003】
食品の包装材料の主な特徴は食品の風味及び安全性の追求であり、同時に包装した食品の保存可能期限も延ばさなければならない。このような需要に基づいて、様々なバリア型包装材料及び包装技術の開発に拍車が掛けられている。暗所に保存する必要がある、ある特定の材料又は食品及び飲料製品の場合、それらの効果的な保管は包装材料の遮光特性に高い需要がある。例えば感光性食品(飲料を含む)の場合、紫外線光及び可視光による放射はビタミン、脂質及びタンパク質などのその中にある物質の光酸化分解を誘発する可能性があり、製品を腐らせて臭気を発生させる。飲料の場合、特に牛乳及び果汁では、十分な遮光保護がそれらの保存可能期限を延ばすために必要である。
【0004】
先行技術では、包装材料は、概して無機添加剤(TiO2など)又は有機遮光添加剤、その他を包装材料に加えることにより、ある程度の遮光特性が与えられる。例えば中国特許出願公開第102604184A号(発明の名称「食品包装用の遮光PE膜」)では、PE膜により特定の周波帯(400~500nm)における光線の遮断は、包装された食品の光酸化を遅らせるために食品包装として使用する遮光薄膜を得るために、光増感リボフラビンをPEマスターバッチに追加することによって増加される。しかし前記発明に提供された遮光薄膜は周波帯域400~500nm内の波長でしか光を遮断できないので、遮光範囲は狭く、適用範囲及び効果は限定される。「Study on optional light-absorbing packaging material for supermarket micro-processed vegetables」(Tianjin University of Science and Technology, 2011)という名称の修士論文では、著者JIA Jinxiaは、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤をLDPE薄膜に加えることにより光透過率を低減する薄膜材料を獲得した。光透過率を低減することができるこのような薄膜が包装材料として使用されるとき、スーパーマーケットの野菜の保存可能期限はある程度伸びる。中国特許出願公開第105813836A号(発明の名称「食品及び化粧品、医療機器及び薬品を包装するための水分を遮断し、酸素を遮断し、光を遮断する熱成形可能なブリスタ材料」)には、プロバイオティクス細菌を含有する調製品を包装するための多層材料が開示されている。前記特許出願では、プロバイオティクス細菌を含有する調製品を包装するための多層材料は、ポリマーPP、PVC又はPETなどの材料の表面を金属化し、次いで接着剤で接合操作を行うことによって獲得できる。
【0005】
しかし上記の開示された技術的解決策は、広範囲の遮光効果を全て達成することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
本発明の1つの目的は、広範囲の遮光効果を有する構造的に単純な包装複合材料を提供することである。
【0007】
本発明の第2の目的は、感光性製品の保存可能期限を延ばすことを目的として、広範囲の遮光効果を有する包装複合材料の使用を包装に提供することである。
【0008】
本発明の第3の目的は、ラベル内に広範囲の遮光効果を有する包装複合材料の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上の第1の目的を達成するために、本発明は偏光膜を含む包装複合材料を提供し、包装複合材料は、
2層以上の偏光膜を含む偏光層を含み、
少なくとも2層の偏光膜の偏光方向は0°ではない狭角を有する。
【0010】
好ましくは、包装複合材料は、偏光層の片側上に置かれた第1の表層を更に含む。
【0011】
より好ましくは、包装複合材料は、偏光層の別の側面上に置かれた第2の表層を更に含む。
【0012】
好ましくは、表層の材料は、PE、PETG、PVC、PVA、PC、PP、PS、PET、PBT、EVA、EVOH、PLA、PEF、PEN、PCTG、PBAT、PBST、PVDC及びPAの1つから選出される。
【0013】
好ましくは、偏光層は、偏光膜の間に置かれた偏光膜の接着層を更に含む。
【0014】
より好ましくは、偏光膜の接着層の材料は、ポリビニルアルコール接着剤、アクリレート接着剤、エチレン酢酸ビニルコポリマー接着剤、エポキシ樹脂接着剤、不飽和ポリエステル接着剤及び酢酸ビニル樹脂接着剤の1つから選出される。
【0015】
好ましくは、包装複合材料は、偏光層と第1の表層との間に置かれた表層の接着層を更に含む。
【0016】
好ましくは、包装複合材料は、偏光層と第1及び第2の表層のそれぞれの間に置かれた表層の接着層を更に含む。
【0017】
より好ましくは、表層の接着層の材料は、ポリビニルアルコール接着剤、アクリレート接着剤、エチレン酢酸ビニルコポリマー接着剤、エポキシ樹脂接着剤、不飽和ポリエステル接着剤及び酢酸ビニル樹脂接着剤の1つから選出される。
【0018】
好ましくは、少なくとも2層の偏光膜の偏光方向は45°~135°の狭角を有する。
【0019】
より好ましくは、少なくとも2層の偏光膜の偏光方向は80°~100°の狭角を有する。
【0020】
最も好ましくは、少なくとも2層の偏光膜の偏光方向は90°の狭角を有する。
【0021】
好ましくは、偏光膜の中で少なくとも2層の偏光膜の偏光方向は0°ではない狭角を有する。
【0022】
好ましくは、偏光層は2~10層の偏光膜を含む。
【0023】
より好ましくは、偏光層は2~6層の偏光膜を含む。
【0024】
本発明の第2の目的は、包装内に上に説明されたような偏光膜を含む包装複合材料の使用を提供することである。
【0025】
本発明の包装複合材料は、実際の光回避要件に従って包装分野で包装として使用してもよい。例えば本発明の包装複合材料は、食品の包装、薬品の包装又は建築材料の包装、その他として使用されてもよい。
【0026】
好ましくは、偏光膜を含む包装複合材料は、内容物に直接接触する。
【0027】
好ましくは、偏光膜を含む包装複合材料において、偏光層の厚さは20nm~10mmであり、各偏光膜の厚さは10nm~1mmである。
【0028】
本発明の第3の目的は、ラベル内に上に説明したような偏光膜を含む包装複合材料の使用を提供することである。
【0029】
本発明による偏光膜を含む包装複合材料が光バリア効果を有するラベルとして使用されるとき、ラベルは遮光特性を有する。包装複合材料内の偏光層の厚さは、ラベルの厚さなどの実際の状況に応じて当業者によって選出されてもよい。
【0030】
好ましくは、包装複合材料内の偏光層の厚さは20nm~10mmである。各偏光膜の厚さは10nm~100ミクロンである。
【0031】
より好ましくは、包装複合材料内の偏光層の厚さは20nm~1mmである。
【0032】
最も好ましくは、包装複合材料内の偏光層の厚さは20nm~200ミクロンである。
【0033】
本発明の有益な効果は以下の通りである:
本発明の包装複合材料は単純な構造を有する。包装複合材料内に2層以上の偏光膜を含む偏光層を提供することにより、且つ偏光膜の偏光方向の狭角を制御することにより、獲得した包装複合材料は広範囲の遮光効果を与えられる。その上、包装として使用するとき、包装複合材料は暗所に保存する必要がある製品の保存可能期限を大きく伸ばすことができる。
【0034】
添付図面の説明
本発明の具体的な実施形態は、添付図面を参照して以下に更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】本発明の実施形態1における偏光膜を含む包装複合材料の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
具体的な実施形態
本発明をより明確に示すために、本発明は好ましい実施形態及び添付図面を参照して以下に更に説明される。図面内の同様の構成要素は、同一の参照ラベルで表されている。以下に具体的に記載された内容物は説明であるが限定ではなく、本発明の保護の範囲を限定するために使用するべきではないことを当業者は理解するべきである。
【0037】
図1は、示されたように偏光膜の偏光方向の狭角の概略図を示す。図において、2層の偏光膜aとbとのそれぞれの偏光方向の間の狭角θは、偏向膜の偏光方向の狭角である。
【0038】
図2は、本発明の実施形態1における偏光膜を含む包装複合材料の概略図を示す。包装複合材料100は順に第1の表層101、第1の偏光膜201及び第2の偏光膜202を含む偏光層、並びに第2の表層102を含み、第1の偏光膜201の偏光方向と第2の偏光膜202の偏光方向の狭角は、およそ90°である。自然光110が第1の表層101を透過後に第1の偏光膜201を通過するとき、自然光は偏光した光111を獲得するために第1の偏光膜201によって偏光される。偏光した光111が第2の偏光膜202を通過するとき、少量又は極少量の光のみが第2の偏光膜202を透過し、実際には包装材料100の第2の表層102を通過する光はなく、それによって光の遮断は実現する。第1の偏光膜201及び第2の偏光膜202の外側に取り付けられた第1の表層101並びに第2の表層102は、偏光膜を保護する効果を有し、使用中に摩耗に起因して偏光膜の偏光特質の喪失を回避するだけでなく、第1の表層101並びに第2の表層102は、包装複合材料が使用される環境に応じて使用要件を満たす安全性及び強度特性も提供することができる。偏光膜自体が必要な特性及び十分な強度を提供することができるとき、一方又は両方の表層を省き、第1の偏光膜201及び第2の偏光膜202を含む偏光層を直接包装複合材料として使用することができる。包装材料を使用する環境に依存して、表層は偏光層の片側上のみに形成してもよく、又は表層は上述したように偏光層の両側上に形成されてもよいことが理解されよう。光線が包装複合材料に入射する方向は、偏光層の方向に関連しなくてもよいが、表層材料の選択に関連してもよい。
【0039】
偏光膜の本体材料はPVA、EVA、PETG及びPE、その他を含むが、それらから選出するように限定されない。偏光膜は本体材料に偏光特質を与えることによって獲得される。本発明に適切な偏光膜を獲得する方法は、例えばヨウ素及び/又は二色性色素をポリビニルアルコール薄膜又はエチレン酢酸ビニルコポリマー鹸化膜若しくは類似物に吸収すること、並びに偏光膜を作製するために薄膜を広げさせることを含むが、これに限定されない。包装複合材料に使用する各偏光膜の厚さは好ましくは10ナノメートル~100ミクロンの範囲内に留まり、偏光層の厚さは実際の適用に使用する包装材料の厚さ、その他に応じて適切に選択されてもよい。
【0040】
偏光膜は偏光層を形成するために積層によって接合される。積層は多くの型があり、当業者は実際の偏光膜の構造及び特性に応じて具体的な積層方法を選出してもよい。例えば偏光膜は偏光膜の表面に直接力を付与することによって接合されてもよく、実装形態の具体的な方法は、圧接、例えば熱圧を含むが、これに限定されない。
【0041】
加えて、偏光膜は偏光膜の間に偏光膜の接着層を提供することによって接合してもよい。偏光膜の接着層は隣接した偏光膜を堅固に接合するために使用され、偏光膜の光偏光特質に影響を及ぼさず、偏光膜の接着層の材料は偏光膜材料の特質に応じて具体的に選出されてもよい。特定の実施形態では、接着剤が偏光膜の接着層の材料として選択されてもよい。例えば接着剤はポリビニルアルコール接着剤、アクリレート接着剤、エチレン酢酸ビニルコポリマー接着剤、エポキシ樹脂接着剤、不飽和ポリエステル接着剤及び酢酸ビニル樹脂接着剤、その他から選出された1つを含むが、それに限定されない。
【0042】
偏光層の外側に取り付けた第1の表層及び第2の表層の材料は、同じであっても異なってもよい。偏光膜材料の特質に基づいて、且つ偏光層の光偏光効果が確保され、偏光膜材料との材料の互換性が考慮された、その他の条件の下で、当業者は対応する表層材料を選出してもよい。例えば第1の表層及び/又は第2の表層の材料は、PE、PETG、PVC、PVA、PC、PP、PS、PET、PBT、EVA、EVOH、PLA、PEF、PEN、PCTG、PBAT、PBST、PVDC及びPAの1つからそれぞれが独立して選出されてもよい。更に特定の実施形態では、具体的に選択した表層材料により適した表層を形成するための方法は前記材料に応じて選出されてもよい。例えば表層を形成する方法は、鋳造、圧延及び溶媒方法を含むが、これに限定されない。
【0043】
表層を偏光層の外側に取り付ける方法は多くあり、偏光層の光偏光効果に影響を及ぼすことなく表層を偏光層に堅固に接合することができ、獲得された複合材料を包装材料として使用することができる全ての方法が許容可能である。より好ましい接合方法は、2つの接合を達成するために表層及び接合する偏光層表面に力を直接加えること、例えば熱圧からなり、別のより好ましい接合方法として、表層は、例えば表層材料を溶解するために溶媒法を使用し、次に偏光層面上に注ぎ、接合を達成するために乾燥して、形成中に偏光層に接合してもよく、別のより好ましい接合方法として、表層の接着層は、偏光層の光偏光特質に影響を及ぼすことなく、第1の表層及び/又は第2の表層を偏光層に堅固に接合するために、偏光層と第1の表層との間、又は偏光層と第2の表層との間、又は偏光層と第1及び第2の表層のそれぞれとの間に提供されてもよい。接着剤は表層の接着層の材料として、例えばポリビニルアルコール接着剤、アクリレート接着剤、エチレン酢酸ビニルコポリマー接着剤、エポキシ樹脂接着剤、不飽和ポリエステル接着剤及び酢酸ビニル樹脂接着剤、その他の1つを選択されてもよい。表層の厚さは、実際の適用に使用する包装材料の強度及び安全性、その他についての要件に応じて適切に選出されてもよい。
【0044】
当業者は、上記の包装複合材料内の偏光膜の数及び光学特質に応じて偏光膜の偏光方向の間の狭角、材料特質、使用要件並びに偏光膜の光透過効果を決定してもよい。本発明の別の好ましい実施形態によれば、偏光層は複数の偏光膜、好ましくは2~10層の偏光膜、より好ましくは2~6層の偏光膜を含んでもよい。偏光膜の中で、少なくとも2層の偏光膜の偏光方向は0度ではない狭角を有し、従って良好な遮光効果が達成することを確実にできる。好ましくは各対の偏光膜の間の偏光方向の狭角は0度ではない。更に偏光膜の中で、好ましくは少なくとも2層の偏光膜の偏光方向は45~135度、より好ましくは80~100度、最も好ましくは90度の狭角を有する。
【0045】
上の技術的解決策が適合されるとき、広範囲の遮光効果を備えた包装複合材料が獲得できる。
【0046】
本発明における偏光膜を含む包装複合材料は広範囲の遮光効果を有するので、包装分野などの遮光処理が必要な分野に応用されてもよい。本発明の別の好ましい実施形態では、包装複合材料は実際の光回避要件に応じて包装として包装分野に使用される。例えば前述の包装複合材料は食品の包装、薬品の包装又は建築材料の包装、その他として使用されてもよい。本発明の別の好ましい実施形態では、偏光膜を含む包装複合材料は内容物と直接接触し、内容物は暗所に保存する必要がある食品、薬品又は建築材料、その他であってもよい。本発明の別の好ましい実施形態では、包装に使用する包装複合材料内で偏光層の厚さは好ましくは20nm~10mmであり、各偏光膜の厚さは10nm~1mmである。
【0047】
本発明による遮光できる包装複合材料は、光バリア効果を有するラベルとして使用されてもよいので、ラベルには遮光特性が与えられる。本発明の別の好ましい実施形態では、包装複合層内の偏光層の厚さは20nm~10mmであり、各偏光膜の厚さは10nm~100ミクロンである。本発明の別の好ましい実施形態では、包装複合材料内の偏光層の厚さは20nm~1mmである。本発明の別の最も好ましい実施形態では、包装複合材料内の偏光層の厚さは20nm~200ミクロンである。
【0048】
具体的な説明がない場合、本発明に使用する全ての試薬及び出発物質は市場で購入することによって、又は当技術分野における従来の手段によって獲得されてもよい。
【0049】
更に具体的な説明がない場合、本発明に記録したあらゆる範囲は、終了値及び終了値の間のあらゆる値、並びに終了値又は終了値の間のあらゆる値によって形成されたあらゆる部分範囲を含むことを認識されたい。
【0050】
上の説明以外に、本発明の作製方法に具体的に述べていない全ての工程ステップ及び使用した全てのデバイスは、当技術分野における従来のデバイスを利用してもよく、又は当技術分野における既存の技術を参照して実行してもよい。
【0051】
説明はある特定の具体的な実施形態を参照して以下に与えられる。
【0052】
実施形態1
偏光膜を含む包装複合材料を作製するための方法は以下の通りである。
厚さ60ミクロンの2層のポリビニルアルコール膜(重合度2400、鹸化度99.9モル%以上)が30℃の純水中に分離して置かれ、緊張した状態を保ち弛緩せず、膜が完全に膨張するように約130秒間浸され、膜は次いで、1軸延伸する間にヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/1.5/100である水溶液に浸すことによって染色される。次に膜は、1軸延伸する間に延伸倍率が元の状態の5.9倍になるまで、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が10/5/100である60℃の水溶液に浸すことにより、ホウ酸処理を受け、次いで2層の1軸延伸した膜は速やかに積層され、積層後の2層の膜の延伸方向の狭角は90°である(すなわち2層の偏光膜の延伸方向は直角であり、偏光方向の狭角は90°である)。膜層が緊密に接合するように、力が膜面に直角に付与される。最後に水洗が10℃の純水で約10秒間実行され、次いで乾燥が60℃で5分間実行されて、厚さ21.6ミクロンの偏光層が獲得される。
【0053】
次いで上記の処理を受けていない厚さ14ミクロンの2層のポリビニルアルコール薄膜が用意され、第1の表層及び第2の表層のそれぞれとして使用され、2表層は偏光層の2側面のそれぞれに接合され、表層が偏光層に緊密に接合するように熱圧が行われて偏光膜を含む包装複合材料が獲得される。包装複合材料は広範囲の遮光効果を有し、包装として使用するときに感光性製品の保存可能期限を延ばすことができる。
【0054】
実施形態2
偏光膜を含む包装複合材料を作製するための方法は以下の通りである。
厚さ75ミクロンのポリビニルアルコール膜(重合度2400、鹸化度99.9モル%以上)が30℃の純水中に置かれ、緊張した状態を保ち弛緩せず、膜が完全に膨張するように約130秒間浸され、膜は次いで、1軸延伸する間にヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/1.5/100である水溶液に浸すことによって染色される。次で膜は、1軸延伸する間に延伸倍率が元の状態の5.9倍になるまで、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が10/5/100である60℃の水溶液に浸すことにより、ホウ酸処理を受け、次に膜はヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が10/3/100である40℃の水溶液に約30秒間浸され、それによって第2のホウ酸処理作業を受ける一方で、膜の延伸が延伸方向に約3%だけ弛緩する(最終延伸倍率は5.72倍である)。最後に水洗が10℃の純水で約10秒間実行され、次いで乾燥が60℃で5分間実行されて、厚さ13.1ミクロンの偏光膜が獲得される。
【0055】
こうして作製した3層の偏光膜が用意され、偏光膜の接合はポリビニルアルコール接着剤を偏光膜上に広げることによって達成され、積層中に、偏光膜の第1の層と第2の層との間の偏光方向の狭角は45°であり、偏光膜の第1の層と第3の層との間の偏光方向の狭角は80°である(偏光方向は偏光膜の延伸方向である)ことが確保され、乾燥が60℃の温度で2分間実行されて、偏光層が獲得される。
【0056】
次いで上記の処理を受けていない厚さ18ミクロンの1層のポリ乳酸膜が用意され、第1の表層として使用され、次いでポリビニルアルコール接着剤がその1面上に広げられ、偏光層の外部表面への接着が実行され、乾燥が62℃の温度で5分間実行されて、偏光膜を含む包装複合材料が獲得される。包装複合材料は広範囲の遮光効果を有し、包装として使用するときに感光性製品の保存可能期限を延ばすことができる。
【0057】
実施形態3
偏光膜を含む包装複合材料を作製するための方法は以下の通りである。
偏光層は、出願番号第「200780031784.2」号で発明の名称が「多層偏光繊維及びそれを使用する偏光子」である発明特許に開示された「例示-単一繊維」及び「例示-ベアファイバアレイ」の章における作製方法により作製され、ポリマーXはLMPEN(コポリマーは90%のPEN/10%のPETから作成される)であり、ポリマーYはPETGである。
【0058】
こうして作製された偏光層は、包装複合材料として直接使用されてもよい。当業者は実際の要件に応じて包装複合材料として使用するために、獲得した偏光層の外部表面に表層を接合させることも可能である。包装複合材料は広範囲の遮光効果を有し、包装として使用するときに感光性製品の保存可能期限を延ばすことができる。
【0059】
明らかに本発明の上記の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために与えられた例に過ぎず、決して本発明の実施形態を限定するものではない。当業者は他の変更又は修正を上記の説明に基づいて様々な形で行うことが可能である。本発明の技術的解決策から拡大した全ての明らかな変更又は修正は、依然として本発明の保護の範囲内に収まる。