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特許7277384天然繊維ベース短繊維、ならびにそれを製造するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】天然繊維ベース短繊維、ならびにそれを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   D01F 2/00 20060101AFI20230511BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20230511BHJP
   D21C 9/18 20060101ALI20230511BHJP
   D21H 11/18 20060101ALI20230511BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20230511BHJP
   D06M 11/01 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
D01F2/00 Z
D04H1/425
D21C9/18
D21H11/18
C08L1/00
D06M11/01
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019565066
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 FI2018050115
(87)【国際公開番号】W WO2018150099
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】20175134
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519292028
【氏名又は名称】スピンノヴァ オイ
【氏名又は名称原語表記】SPINNOVA OY
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】リウッコネン,ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ハービスト,サンナ
(72)【発明者】
【氏名】セレニウス,パシ
(72)【発明者】
【氏名】サルメラ,ユハ
(72)【発明者】
【氏名】ポラネン,ヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】サルミネン,アルト
(72)【発明者】
【氏名】ミリス,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ベント,ピア
(72)【発明者】
【氏名】ビョークルンド,カッリ
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0121622(US,A1)
【文献】特開2006-110393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0331893(US,A1)
【文献】国際公開第2015/158955(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/102782(WO,A1)
【文献】特表2014-510845(JP,A)
【文献】特表平09-501471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F1/00-6/96、9/00-9/04、D01D1/00-13/02、
D04H1/00-18/04、D02G1/00-3/48、D02J1/00-13/00、D21B1/00-1/38、D21C1/00-11/14、D21D1/00-99/00、D21F1/00-13/12、D21G1/00-9/00、D21H11/00-27/42、D21J1/00-7/00、D01G1/00-99/00、C08K3/00-13/08、C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製セルロースフィブリルを含むセルロース懸濁液を準備し、
セルロース懸濁液をノズルを通過させてベルト、ワイヤまたはシリンダの移動する表面に向け、
セルロース懸濁液を、予め定められた間隔で、前記表面の移動方向に垂直に前記表面上で整列している中断箇所を含む前記表面上にさらし、
セルロース懸濁液を前記表面上で乾燥させて、少なくとも乾燥材料成分70重量%の短繊維を形成すること、
を含む天然繊維ベース短繊維を製造するための方法。
【請求項2】
精製セルロースフィブリルが、植物由来の精製セルロースフィブリルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ノズルを出るセルロース懸濁液が、円形または楕円形の断面形状であるノズル出口開口の形状を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥が、放射線、ブローまたは熱伝導を介して前記表面上のセルロース懸濁液を乾燥させることを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記表面に油またはワックスを塗布することを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
燥が、精製セルロースフィブリル間で化学結合を形成することを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
短繊維が、6~80mmの長さを有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
短繊維を含む天然繊維ベース原毛を形成するために、前記表面から短繊維を抽出することを含み、
繊維ベース原毛は、より糸または不織材料を形成するために加工可能であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
繊維を配向および交絡させるために、天然繊維ベース原毛をカーディングすることを含み、
繊維ベース原毛を予備糸に加工し、予備糸を糸に紡糸する、または、天然繊維ベース原毛を不織布材料の形に加工することをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
移動する表面を有するベルト、ワイヤまたはシリンダであって、予め定められた間隔で、前記表面の移動方向に垂直に前記表面上で整列している中断箇所を含むベルト、ワイヤまたはシリンダと、
精製セルロースフィブリルを含むセルロース懸濁液をベルト、ワイヤまたはシリンダの移動する表面に向けるように配設されたノズルと、
少なくとも乾燥材料成分70重量%の短繊維を形成するために前記表面上のセルロース懸濁液を乾燥するように配設された乾燥機を含む、天然繊維ベース短繊維を製造するための装置。
【請求項11】
乾燥機が、加熱抵抗器、ラジエータ、気化器または送風機のうちの少なくとも1つを備え、さらに、乾燥機が、セルロース懸濁液を乾燥させ、精製セルロースフィブリル間で化学結合を形成させるように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記表面が疎水性の外表面を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記表面が曲面を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、短繊維、短繊維ベース原毛、それらを製造するための方法、およびそれらを製造するための装置に関する。さらに、本出願は、繊維ベース原毛用の短繊維を形成するための表面に関する。さらに、本出願は、短繊維または繊維ベース原毛で製造された糸および不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
糸や布などの製品は、天然または合成の出発材料から作ることが可能である。合成出発材料は、リサイクル性や製品の廃棄段階に悪影響を与える可能性がある。天然の出発物質は、その成長または加工中に環境に悪影響を与える可能性がある。そのような天然の出発材料の例として綿がある。
【発明の概要】
【0003】
本出願の目的は、天然繊維ベース原毛を提供することである。目指すところは、糸または不織布を製造するために原毛として加工可能である生態学的な天然繊維ベース原毛を提供することである。さらなる目的は、天然繊維ベース短繊維を提供することである。短繊維は、原毛用であってもよい。
【0004】
本発明の一態様によれば、天然繊維ベース原毛は、2回短縮された短繊維を含む。
【0005】
セルロース懸濁液は、水とセルロースの水性懸濁液を含む。さらに、セルロース懸濁液は、少なくとも1つのレオロジー調整剤を含んでもよい。セルロースは天然繊維を含む。セルロース懸濁液は、ノズルを通過して乾燥のために表面に向けられる。セルロース懸濁液は、セルロース懸濁液から水を除去して乾燥される。それにより、天然繊維が表面、たとえばベルトまたはワイヤまたはシリンダ表面に形成される。
【0006】
天然繊維は表面から抽出される。天然繊維は、原毛を作るために、特定の長さの短繊維に短縮され得る。これは、表面上で行ってもよく、または表面から抽出した後に行ってもよい。天然繊維ベース原毛は、特定の長さの短繊維を含む。特定の長さの短繊維を含む原毛網状組織を形成するために、短繊維は順不同に配置される。天然繊維ベース原毛は、天然繊維ベース原毛間の短繊維の順序および密度が不均一になるように、ふわふわした、風通しのよい、ゆるい配置の短繊維を含む。天然繊維ベース原毛は、不均一な構造を含んでいる。短繊維ベース原毛は、糸または不織材料を提供するために処理されてもよい。
【0007】
本発明の一態様によれば、天然繊維ベース短繊維を製造する方法は、水および精製セルロースフィブリルを含むセルロース懸濁液を提供することを含む。この方法は、セルロース懸濁液をノズルを通過させて表面に向け、セルロース懸濁液を表面上で乾燥させ、短繊維を形成するために、表面上でセルロース懸濁液を切断することをさらに含む。
【0008】
本発明の態様に従った天然繊維ベース短繊維を製造するための装置は、水性精製セルロースフィブリルを含むセルロース懸濁液を表面上に向けるように配設されたノズルを含む。装置は、繊維を形成するために表面上のセルロース懸濁液を乾燥させるように配設された乾燥機をさらに含む。セルロース懸濁液は、短繊維を形成するために表面で切断されるように配置されている。
【0009】
本発明の一態様によれば、天然繊維ベース原毛を製造する方法は、水および精製セルロースフィブリルを含むセルロース懸濁液を提供することを含む。この方法は、セルロース懸濁液をノズルを通過させて表面に向け、繊維を形成するためにセルロース懸濁液を表面上で乾燥させ、短繊維を含む天然繊維ベース原毛を形成するために表面から繊維を抽出することをさらに含む。
【0010】
本発明の一態様に従った天然繊維ベース原毛を製造するための装置は、水性精製セルロースフィブリルを含むセルロース懸濁液を表面上に向けるように構成されたノズルを含む。装置は、繊維を形成するために表面上のセルロース懸濁液を乾燥するように配設された乾燥機、および短繊維を含む繊維ベース原毛を形成するために表面から繊維を抽出するように配設された抽出機をさらに含む。
【0011】
本発明の一態様は、精製セルロースフィブリルの水性懸濁液を含むセルロース懸濁液から短繊維を形成するための表面に関する。表面の曲率半径は0.25~4mである。溝は、表面の移動方向に垂直に表面上に整列している。溝は、予め定められた一定間隔で配設されてもよい。
【0012】
表面の溝は、他の種類の中断箇所に置き換えることができる。中断箇所は、隆起または溝を含んでもよい。中断箇所は、切り欠き、インレイ、スロット、チャンネル、山、くぼみ、隆起、突出部、突起部、または他の種類の中断箇所を含んでもよい。あるいは、セルロース懸濁液は、切断手段によって表面上で短繊維に切断または短縮されるように配置されてもよい。切断するための手段は、セルロース懸濁液を放射線、物質、または切断のための他の手段にさらすことを含んでもよい。
【0013】
本発明の一態様は、以前の製造方法および/または装置に従って製造された繊維ベース原毛に関する。繊維ベース原毛は、短繊維を含み、短繊維は、水素結合により連結された精製セルロースフィブリルから成り、繊維ベース原毛は、短繊維の、無配向の絡み合ったふわふわしたネットワークを含む。
【0014】
本発明の一態様は、短繊維ベース原毛で作られた糸に関する。本発明の別の態様は、短繊維ベース原毛で作られた不織材料に関する。
【0015】
以下の本発明の実施形態は、添付の図面とともに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に従った繊維ベース原毛を製造するための方法を示す。
図2】一実施形態に従った繊維ベース原毛を製造するための方法を示す。
図3】一実施形態に従った繊維ベース原毛を製造するための装置を示す。
図4】一実施形態に従ったシリンダを示す。
図5】一実施形態に従った繊維ベース原毛を製造するための装置を示す。
図6】一実施形態に従ったベルトを示す。
図7】一実施形態に従った短繊維を示す。
図8】一実施形態に従った短繊維を示す。
図9】一実施形態に従った繊維ベース原毛を示す。
図10】一実施形態に従ったMFC懸濁液のゲル特性を示す。
図11】一実施形態に従ったゲル特性を示す。
図12】一実施形態に従った例示的なレオグラムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、一実施形態に従った天然繊維ベース原毛を製造する方法を示す。セルロース懸濁液が提供される101。セルロース懸濁液は、精製セルロースフィブリルの水性懸濁液を含む。セルロース懸濁液は、水、精製セルロースフィブリル、および少なくとも1つのレオロジー調整剤を含んでもよい。セルロース懸濁液のフィブリルは、短縮または精製されたパルプまたは植物ベースの材料に由来する。セルロース懸濁液は、ノズルを通過して導かれる102。ノズルは、セルロース懸濁液を表面に供給する。表面は、ベルト、ワイヤ、またはシリンダの表面であり得る。セルロース懸濁液は、表面上で乾燥される103。乾燥によって、セルロース懸濁液から水が除去される。乾燥セルロース懸濁液は、表面上に繊維を形成するように配置される。繊維は、連続繊維の形で配置されてもよい。連続繊維は、表面から抽出される104。表面から抽出された繊維は、短繊維を形成するために切断または短縮される105。安定した繊維は、さまざまな密度および配向の繊維濃度を含む不均一なネットワークを形成するように配置される。短繊維の不均一なふわふわした素材は、天然繊維ベース原毛と呼ばれる106。
【0018】
図2は、一実施形態に従った天然繊維ベース原毛を製造する方法を示す。セルロース懸濁液が提供される201。セルロース懸濁液は、精製セルロースフィブリルの水性懸濁液を含む。セルロース懸濁液は、水と、少なくとも1種のレオロジー調整剤と、精製セルロースフィブリルとを含んでもよい。精製セルロースフィブリルは、植物ベースのパルプに由来してもよい。セルロース懸濁液は、ノズルを通過して導かれる202。ノズルは、セルロース懸濁液を表面に、たとえばベルト、またはワイヤまたはシリンダの表面上に供給する。セルロースは、短縮され表面上で乾燥されるように配置される203。乾燥および短縮されたセルロース懸濁液は、短繊維を形成するように配置される。これは、曲面上に設けられた溝によって可能になる。短縮された繊維は、表面から抽出される204。安定した繊維が、様々な密度および配向の繊維濃度を有する不均一なネットワークを形成するように配置される。短繊維の不均一なふわふわした素材は、天然繊維ベース原毛と呼ばれる206。
【0019】
表面の溝は、切り欠き、インレイ、スロット、チャンネル、山、くぼみ、隆起、突出部、突起部、または他の種類の中断箇所で置き換えることが可能である。別の実施形態では、セルロース懸濁液は、切断手段によって表面上で短くなるように配置される。切断手段は、たとえば、レーザ、熱、化学薬品、超音波を含み得る。
【0020】
セルロース懸濁液は、セルロースフィブリルを含む。セルロースフィブリルは、植物ベースの原料に由来する天然フィブリルである。植物ベースのフィブリルは、未使用の植物材料またはリサイクルされた植物材料またはそれらの組み合わせを含んでもよい。植物ベースのフィブリルは、木材由来でもよく、または非木材材料由来でもよい。植物は、木材、たとえばカバノキ、ポプラ、ポプラ、ハンノキ、ユーカリ、アカシアのような広葉樹であってもよく、またはトウヒ、マツ、モミカラマツ、ダラマツ、アメリカツガのような針葉樹であってもよい。代替的または追加的に、セルロースフィブリルは、他の非木材植物、たとえば綿、麻、亜麻、サイザル、ジュート、ケナフ、竹、泥炭、ココナッツに由来してもよい。非木材セルロースフィブリルまたは繊維は、農業残渣、草、わら、葉、樹皮、種子、外皮、花、野菜または果物に由来してもよい。
【0021】
さらに、懸濁液は、ガラス繊維、ポリマ繊維、金属繊維などの合成材料、またはウール繊維、シルク繊維などの天然材料に由来するバージンまたはリサイクル繊維を含んでもよい。
【0022】
セルロースは、β-(1,4)グルコシド結合を介して結合したD-グルコース単位の直鎖を含む有機化合物である。セルロースフィブリルは有機フィブリルを含む。セルロースフィブリルは、植物ベースのフィブリルを含んでもよい。セルロースフィブリルは、木材ベースの繊維を含んでもよい。天然型のセルロースフィブリルは、天然セルロースフィブリルを指す。天然セルロースフィブリルは、セルロースポリマ構造の化学修飾を受けていない。紙パルプは、天然セルロースフィブリルの混合物の例である。セルロースは、いくつかのグルコース単糖単位を持つ線状多糖ポリマである。天然セルロースフィブリルは、化学パルプ化プロセスまたは機械パルプ化プロセスで、植物ベースまたは木材ベースの原料から分離できる。パルプは、セルロース繊維材料を圧縮する。天然木ベースの繊維は、ヘミセルロースとリグニンのマトリックス中のセルロースのフィブリルで構成されている。
【0023】
セルロースフィブリルは、ナノ構造セルロースを含むナノセルロース、すなわちナノサイズのセルロースフィブリルに由来し得る。ナノ構造セルロースには、広く使用されている同義語がいくつかある。例:ナノセルロース、ナノフィブリル化セルロース(NFC)、セルロースナノフィブリル(CNF)、ミクロフィブリルセルロース、ナノフィブリルセルロース、セルロースナノファイバー、ナノスケールフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)、またはセルロースミクロフィブリル(CMF)。ナノセルロースフィブリルは、縦対横の比であるアスペクト比が高い。ナノセルロースフィブリルは、幅または横方向の寸法が200ナノメートル未満であればよく、好ましくは2~20ナノメートル、より好ましくは5~12ナノメートルであればよい。ナノセルロースフィブリルは、たとえば、1~数マイクロメートルの長さまたは長手方向の寸法を有し得る。ナノセルロースフィブリルは、セルロース含有材料、たとえば木材パルプから分離することができる。フィブリルまたはフィブリル束の寸法は、原材料と分離方法とに依存する。ナノセルロースフィブリルは、高圧、高温、高速の衝撃均質化によって木材繊維から分離できる。均質化プロセスは、繊維の細胞壁を離層または崩壊させ、そのサブ構造フィブリルとミクロフィブリルを解放するために使用される。木質繊維の酵素的および/または機械的前処理も使用可能である。ナノセルロースフィブリルは、たとえばN-オキシル媒介酸化など、化学的に事前修飾されていてもよい。
【0024】
セルロースフィブリルは、化学的修飾を受けていない、天然の形態であってもよい。天然セルロース繊維および天然セルロースフィブリルは再生されない場合がある。したがって、天然セルロース繊維/フィブリルは、セルロースポリマ構造の化学的再生または物理的修飾を受けていない。天然セルロース繊維/フィブリルは再生されず、主に、セルロースIの結晶構造で構成されている。セルロースIは、構造IαおよびIβを有し得る。人工セルロース繊維は再生され、結晶構造は主にセルロースI以外である。セルロースIからセルロースII(またはセルロースIIIやセルロースIVなどの他の形態)への変換は不可逆的である。したがって、これらの形態は安定しており、セルロースIに戻すことはできない。
【0025】
ナノフィブリル化セルロースは、いくつかのヘミセルロースも含んでもよく、その量は植物源に依存している。セルロース原料、セルロースパルプ、精製パルプからのミクロフィブリルセルロースの機械的分解は、リファイナ、グラインダ、ホモジナイザ、コロイダ、フリクショングラインダ、超音波ソニケータ、マイクロフルイダイザなどのフルイダイザ、マクロフルイダイザ、または流動化タイプのホモジナイザなどの適切な装置で実行される。
【0026】
セルロース繊維は、化学的、機械的、生物的、熱機械的、または化学熱機械的パルプ化プロセスを使用して、原料を含むセルロースから分離できる。機械的に短縮、精製、または切断された繊維は、セルロースミクロフィブリルまたはフィブリル束の、化学的または物理的に修飾された誘導体を含んでもよい。
【0027】
ナノセルロースフィブリルは、任意のセルロース含有材料から分離できる。セルロース産生微生物は、アセトバクター属、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、シュードモナス属またはアルカリゲネス属のものであればよく、好ましくはアセトバクター属、より好ましくはアセトバクター・キシリナムまたはアセトバクター・パスツリアヌス属のものであればよい。
【0028】
ナノフィブリルセルロースは、化学的または物理的に修飾されたセルロースナノフィブリルまたはナノフィブリル束の誘導体であり得る。化学的修飾は、たとえば、セルロース分子の、カルボキシメチル化、酸化、エステル化、またはエーテル化反応に基づいてもよい。修飾は、セルロース表面への陰イオン、陽イオン、または非イオン物質またはこれらの任意の組み合わせの物理的吸着により実現され得る。ミクロフィブリルセルロースの生産の前、後、または生産中に任意の修飾を実施することが可能である。
【0029】
ナノフィブリル化セルロースは、より不安定にするために化学的に前修飾されたセルロースでできていてもよい。この種のナノフィブリル化セルロースの出発原料は、不安定なセルロースパルプまたはセルロース原料であり、これはセルロース原料またはセルロースパルプの特定の修飾に起因する。たとえば、N-オキシル媒介酸化(たとえば、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンN-オキシド)は、非常に不安定なセルロース材料をもたらし、これはミクロフィブリルセルロースに容易に崩壊する。たとえば、特許出願WO2009/084566はそのような修飾を開示している。このような事前修飾または流動化によって製造されたナノフィブリル化セルロースは、流動化されていないセルロースまたは通常のセルロースからできたナノフィブリル化セルロースがNFC-Nと呼ばれるのに対して、これは、略してNFC-Lと呼ばれる。
【0030】
ナノフィブリル化セルロースは、ナノフィブリルが二次細胞壁から得られる植物材料でできていてもよい。由来源の例としては、木質繊維がある。ナノフィブリル化セルロースは、化学パルプなどの木材由来の繊維原料を均質化することにより製造される。NFC-Lが木質繊維から製造される場合、セルロースは、ナノフィブリルへの分解の前に酸化により流動化される。上記の装置のいくつかにおける崩壊により、直径がわずか数ナノメートルであるナノフィブリルが生成され、このナノフィブリルは最大で50nmであり、水にきれいに分散する。ナノフィブリルは、ほとんどのフィブリルの直径が2~20nmのみの範囲にあるサイズに縮小できる。二次細胞壁に由来するフィブリルは、本質的に結晶性であり、結晶化度は少なくとも55%である。ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、ナノフィブリル化セルロース(NFC)と同様の方法で生産される。MFCの寸法は、天然パルプフィブリルとNFCフィブリルとの間である。
【0031】
セルロース懸濁液は、80~98重量%の水と、2~20重量%のセルロースとを含んでもよい。セルロース懸濁液は、85~98重量%の水と、2~15重量%のセルロースとを含んでもよい。さらに、セルロース懸濁液は、0~5重量%のレオロジー調整剤を含んでもよい。セルロースは、純粋なセルロースであっても、または、たとえばヘミセルロースおよび/またはリグニンを含んでもよい。セルロース懸濁液は、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)またはナノフィブリル化セルロース(NFC)を含む。セルロース懸濁液は、機械的に精製または短縮された繊維を含む。少なくとも大部分のフィブリルは、特定の長さを有するように精製されている。MFCフィブリルの直径は、約100μm、またはそれ以下であればよい。MFCの長さで測定した平均フィブリル長さは、10~200μmであればよい。
【0032】
レオロジー調整剤は、懸濁液の粘度、降伏応力、および/またはチキソトロピーを変更するように準備された化合物または薬剤を含む。レオロジー調整剤は、高分子量ポリマを含んでもよい。レオロジー調整剤は、セルロース懸濁液のゲル強度と降伏点を調整することにより、セルロース懸濁液のレオロジーを変更する。セルロース懸濁液の強度または貯蔵弾性率は、1000~20000Paである。セルロース懸濁液の降伏点は0.5~5%である。セルロース懸濁液の強度と降伏点は、セルロース懸濁液に影響を及ぼし、高いずり流動化を達成する。セルロース懸濁液は、1000 1/sで1~1000mPasの粘度を有する。
【0033】
レオロジー調整剤は、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラギーナン、ナノフィブリルセルロース、ポリエチレンオキシド(PEO)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ポリカルボン酸、次亜リン酸ナトリウム、カチオン性ポリアクリルアミド(CPAM)、アニオン性ポリアクリルアミド(APAM)、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、またはこれらの組み合わせの少なくとも1種であればよい。
【0034】
図3は、一実施形態に従った天然繊維ベース原毛を製造するための装置を示す。セルロース懸濁液310は、ノズル320に供給される。セルロース懸濁液の精製されたフィブリルは、ノズル内で整列する。水の水性懸濁液およびセルロース懸濁液のフィブリルは、ノズル320内で配向フィブリルネットワークを形成する。
【0035】
セルロース懸濁液310は、ノズル320を通過してシリンダ300上に向けられる。ノズル320を出るセルロース懸濁液は、ノズル出口開口に従って成形される。ノズル出口開口は、たとえば、円形または楕円形に形作られてもよい。セルロース懸濁液は、ノズル出口開口の断面形状に対応する断面形状を有する連続ストランドの形でノズル320を出る。ノズル320を出るセルロース懸濁液は、円形または楕円形の断面形状を有してもよい。
【0036】
ノズル320は、水平面に沿って、シリンダ300の長手方向C、すなわち回転軸Aの方向に沿って前後に移動するように配設されてもよい。セルロース懸濁液310は、長手方向シリンダ表面に沿って、特定の水平レベルに向けられる。シリンダ300の回転およびノズル320の移動により、供給されたセルロース懸濁液310は、シリンダ表面の周りを一周し、輪の隣に輪を形成するか、隣接する輪と部分的に重なり合う。連続的に注入されたセルロース懸濁液310は、回転シリンダ300と共にシリンダ300の表面上を移動する。シリンダ300がその回転軸Aを中心に回転する間、ノズル320は長手方向シリンダ表面Cに沿って隣接する場所に移動するように配設されている。
【0037】
あるいは、2以上のノズルを隣接させて、縦方向シリンダ表面Cに沿って平行に配設することができる。これら2以上のノズルは、一体化されて、統合されたユニットを形成し、縦方向シリンダ表面Cに沿って同時に移動するように配設されている。2つの隣接するノズル間の距離は、センチメートルのオーダであればよく、たとえば1cmであればよい。これらのノズルは、シリンダの縦方向に沿って振動している。互いに1cmの距離をあけて配設された2つ以上のノズルの場合、ノズルが1cm移動するのにかかる時間は、シリンダ表面に注入されたセルロース懸濁液の乾燥時間に対応する。ノズルの移動速度は、2つの隣接するノズル間の寸法の長さに対する時間が、セルロース懸濁液の乾燥時間に対応するように、調整される。
【0038】
乾燥中に水が除去され、フィブリルが水素結合を形成し始める。それにより、繊維が形成される。乾燥成分が、70重量%から100重量%に増加すると、水素結合が形成される。乾燥セルロース懸濁液、または繊維形成、または繊維とは、少なくとも70重量%の乾燥成分をいう。繊維糸番手は1~20dtexを有する。繊維の直径は15~70mである。繊維の引張強度は、15~25cN/tex、好ましくは15~20cN/texであり、5~15%、好ましくは5~10%の伸張または伸び破壊を含んでもよい。
【0039】
シリンダの縦方向に沿った複数のノズルの場合、それら複数のノズルは、シリンダの縦方向の寸法全体に沿って互いに隣接して配設されてもよい。したがって、ノズルを移動する必要はなく、それらをその場所に固定することができる。この場合、セルロース懸濁液の乾燥時間は、シリンダの回転時間に対応する。
【0040】
2つ以上のノズルの場合、シリンダはセルロース懸濁液で覆われ、1つのノズルの場合よりも速く繊維が形成される。したがって、繊維の抽出、油の提供、およびその他の関連機能は、対応する速さで達成される。
【0041】
ノズルから出るセルロース懸濁液および/または表面への注入は、液圧または空気圧で制御されてもよい。ノズルを出るセルロース懸濁液の速度は、ノズルでセルロース懸濁液に加えられる圧力によって制御され得る。
【0042】
油供給部330は、シリンダ300の表面に配設することが可能である。油供給部330は、ノズル320のように、シリンダ300の長手方向の寸法に沿って、シリンダ300の回転軸Aに平行に、垂直方向のある高さで、振動するように移動するように配設される。振動ノズル320の場合、油供給330は、ノズル320と同時に振動するように配設される。
【0043】
シリンダの回転は、たとえば、回転速度が調整可能な電動モーターによって外部から制御できる。シリンダまたは湾曲したベルトは、1~1000g、好ましくは100~500gの求心加速度を生成すればよい。円筒の直径は1~6mであればよい。シリンダの表面の回転速度は、5~25m/sであればよい。懸濁液(m)に作用する求心力(Fcp)は、シリンダの半径(r)とその回転表面速度(v)とに依存する。懸濁液(m)に作用する求心力(Fcp)は、ベルトの曲率半径(r)とその回転表面速度(v)とに依存する。数学的には:Fcp=ma=mv/r;式中a=v/rである。
【0044】
セルロース懸濁液は、シリンダ300の表面上で乾燥される。これは、内部的および/または外部的に行ってもよい。内部加熱は、電気加熱抵抗器、加熱蒸気または空気を介して行うことができる。外部からの加熱は、照射、加熱、および/またはエアブローによって行うことができる。乾燥セルロース懸濁液は、シリンダ300の表面上に繊維350を形成する。繊維350は、シリンダ300の表面から抽出される。抽出は、吹き込み、吸引、真空化、または重力に基づいて表面から繊維を掻き取るまたは落とすことなどに基づけばよい。繊維350は、機械的に抽出するか、真空または加圧空気を使用して抽出することが可能である。抽出は手動または自動で行うことができる。抽出器は、シリンダ300の、ノズル320に対抗する側に配設されればよい。抽出器は、固定位置を有してもよく、またはノズル320のように、シリンダ300の長手方向寸法にそって、垂直方向のある高さで、シリンダ300の回転軸Aに平行に、振動するように移動するように配設されてもよい。抽出装置は、ノズルと同時に振動するように配設されている。抽出器は、油供給部330と統合されてもよく、それとともに移動してもよい。シリンダ表面から繊維が抽出された後、シリンダ表面に油が供給される。油は、ワックスのような他の適切な物質に置き換えてもよい。
【0045】
抽出された繊維360は、未配向で絡み合った繊維ベース原毛の形態であり、ふわふわした繊維ベース原毛の間に不均一な塊を含み得る。繊維ベース原毛が連続繊維を含む場合、繊維の長さは、短繊維を形成するために切断または短縮されるように配置される。短繊維化後、短繊維を含む繊維ベース原毛が形成される。
【0046】
繊維は1~20dtexの線形質量密度を有し、これは単位長さあたりの質量に関係する(1tex=1g/1000m;および1デシテックス=1dtex=1g/10000m)。繊維の靭性は、10~30cN/tex、好ましくは15~25cN/texを含む。繊維の靭性は、15~25cN/tex、好ましくは15~20cN/texを含む。繊維を破壊するための伸びは、5~15%、好ましくは5~10%である。乾燥表面からの油の一部は、繊維表面に存在する。繊維表面の油は、たとえば原毛の繊維間の摩擦抵抗と接着に、繊維ベース原毛のさらなる処理に影響を与える。油は、ワックスなどの適切な物質に置き換えることができる。
【0047】
図4は、本発明の実施形態に従ったシリンダを示す。図4は、シリンダ400の回転軸Aを示している。シリンダは、図4に示すように、均一で平坦な外面、または溝付き表面を含み得る。溝401は、シリンダ400の回転軸に平行に、シリンダ400の外面上に配設される。注入されたセルロース懸濁液は、シリンダ表面の溝401間の隆起402と接触している。溝401は、セルロース懸濁液の脆弱部を形成し、連続的に注入されたセルロース懸濁液の不連続性を形成する効果を有する。連続的に注入されたセルロース懸濁液は、各溝で切れ目を有する。それにより、セルロース懸濁液は、溝401間に別個の隆起402を形成する。大量の水を乾燥させた後、短繊維がシリンダ上に、溝401間の隆起402上に形成される。形成された短繊維の長さは、シリンダ表面上の溝401間の長さによって決定される。
【0048】
溝付きシリンダの場合、シリンダから抽出された繊維ベース原毛は短繊維を含む。追加の精製、短絡、切断の手段や段階は必要ない。短繊維ベース原毛は加工可能である。繊維ベース原毛は、溝を利用して予め定められた長さに短縮された短繊維を含んでいる。シリンダ表面の溝の間隔により、短繊維の長さが決まる。
【0049】
表面の溝401は、切り欠き、インレイ、スロット、チャンネル、山、くぼみ、隆起、突出部、突起部、または他の種類の中断箇所に置き換えることが可能である。中断箇所は不規則な表面形状を含む。規則的で、均一で、または安定した表面には、一定の間隔で不規則性がある。表面の中断箇所または不規則性は、表面の移動方向に垂直に表面上に整列する。
【0050】
注入されたセルロース懸濁液は、中断箇所間の規則的な表面と接触しており、これらの中断箇所は、セルロース懸濁液の脆弱部を形成し、連続的に注入されたセルロース懸濁液の不連続性を形成するという効果を有する。これにより、連続的に注入されたセルロース懸濁液が各中断箇所で切断される。それにより、セルロース懸濁液は、中断箇所間に、それぞれ別個の規則的な表面部分を形成する。大量の水を乾燥させた後、表面上に、中断箇所間の規則的な表面上に、短繊維が形成される。形成された短繊維の長さは、表面上の中断箇所間の長さによって決まる。代替的または追加的に、連続的に注入されたセルロース懸濁液を、乾燥時/乾燥後に、切断手段または外部物質にさらすことにより短繊維に切断することが可能である。外部物質または切断手段は、表面上の繊維を切断することが可能である放射線、物質または他の物質に関連していてもよい。外部物質は、たとえば、レーザ、赤外線、熱、超音波、電子ビーム、水、または化学物質を含んでもよい。表面で懸濁液が乾燥している最中または後に、短繊維への切断を行ってもよい。
【0051】
図5は、一実施形態に従った天然繊維ベース原毛を製造するための装置を示す。セルロース懸濁液510は、1つ以上のノズル520に供給される。セルロース懸濁液の精製されたフィブリルは、ノズル内で整列する。セルロース懸濁液のフィブリルは、ノズル520内で配向されたフィブリルネットワークを形成する。
【0052】
セルロース懸濁液510は、ノズル520を通過してベルト500上に向けられる。ノズル520を出るセルロース懸濁液は、ノズル出口開口に従って成形される。ノズル出口開口は、たとえば、円形または楕円形に形作られてもよい。セルロース懸濁液は、ノズル出口開口の断面形状に対応する断面形状を有する連続ストランドの形態でノズル520から出る。ノズル520を出るセルロース懸濁液は、円形または楕円形の断面形状を有してもよい。
【0053】
2つ以上のノズルを、断面または横断ベルト表面に沿って平行に、隣接させて配設してもよい。横断/横方向寸法とは、ベルトの幅寸法をいい、ベルトの長手方向に垂直で、ベルトの長手方向は、ベルトの移動方向に対応する。2つ以上のノズルは、一体化され、統合されたユニットを形成してもよい。2つの隣接するノズル間の距離は、0.5~50mmのオーダ、または0.5~20mm、たとえば1mmであればよい。複数のノズルは、ベルトの全横断寸法に沿って互いに隣接して配設されてもよい。そのような場合、ベルトの横断寸法全体が、複数のノズルを介して同時に注入されたセルロース懸濁液で覆われる。
【0054】
乾燥中に水が除去され、フィブリルが水素結合を形成し始める。それにより、繊維が形成される。乾燥含有量が70重量%~100重量%の場合、水素結合が形成される。乾燥セルロース懸濁液または繊維形成または繊維とは、少なくとも70重量%の乾燥含有量をいう。
【0055】
ノズルから出るセルロース懸濁液および/または表面への注入は、液圧または空気圧で制御されてもよい。ノズルを出るセルロース懸濁液の速度は、ノズルにおけるセルロース懸濁液に加えられる圧力によって制御されてもよい。
【0056】
油供給部530は、ベルト500の移動方向に関して、ノズル520の前に配設すればよい。油供給部530は、ベルト500の横断寸法に沿って振動して、ベルト500の移動方向に垂直に移動するように配設すればよい。油供給部530は、繊維抽出段階の後に配設される。油がベルト500の表面に供給される。セルロース懸濁液は、油性のベルト表面に注入される。
【0057】
セルロース懸濁液は、ベルト500の表面上で乾燥される。これは、内部的および/または外部的に行われ得る。内部加熱は、ベルトを介して、たとえば、電気加熱抵抗、加熱蒸気または空気によって行うことができる。外部からの加熱は、照射、加熱、および/またはエアブローによって行うことができる。乾燥セルロース懸濁液は、ベルト500の表面上に繊維550を形成する。繊維550は、ベルト500の表面から抽出される。抽出は、吹き付け、吸引、真空化、重力に基づき、表面から繊維を掻き取るまたは落下させることに基づく。繊維550は、機械的に抽出するか、真空または加圧空気を使用して抽出することが可能である。抽出は手動または自動で行うことができる。抽出器は、繊維の乾燥度が所望のレベルであるベルト500の任意の部分に、たとえば70重量%以上であるところに配設すればよい。抽出器は、ベルトの端部、またはベルトのいずれかの外側に配設することができ、ベルトの上部外側は、ベルトの下部外側とは反対方向に移動するように配設される。さらに乾燥させるために、セルロース懸濁液または繊維を別のベルトで運んでもよい。
【0058】
セルロース懸濁液が表面に注入される前に、油がベルト表面に供給される。油は適切な物質に置き換えることができる。
【0059】
抽出された繊維560は、未配向で絡み合った繊維ベース原毛の形態であり、これは、ふわふわした繊維ベース原毛の間に不均一な塊りを含み得る。繊維ベース原毛が連続繊維を含む場合、繊維の長さは、短繊維を形成するために切断、短縮、または精製されるように配置される。短繊維化後、短繊維を含む繊維ベース原毛が形成される。
【0060】
この繊維は1~20dtexの線形質量密度を有し、これは単位長さあたりの質量に関係する(1tex=1g/1000m;および1デシテックス=1dtex=1g/10000m)。この繊維の靭性は、10~30cN/tex、好ましくは15~25cN/texを含む。この繊維の靭性は、15~25cN/tex、好ましくは15~20cN/texを含む。繊維の破断までの伸び、または伸び破断は、5~15%、好ましくは5~10%を含む。乾燥表面からの油の一部は、繊維表面に存在する。繊維表面の油は、たとえば原毛の繊維間の摩擦抵抗と接着と、繊維の原毛のさらなる処理とに影響を与える。
【0061】
図6は、本発明の一実施形態に従ったベルトを示す。図6は、湾曲した溝付き表面を含むベルト600を示す。図6は、短繊維を形成するためのベルトを示しているが、均一で平らな、湾曲していないベルトの場合、連続繊維がベルト上に形成される。ベルトの曲面の曲率半径は0.25~4mである。
【0062】
溝601は、ベルト600の外面に配設される。溝601は、ベルト600の長手方向または移動方向に垂直に、ベルト600の横方向に沿って配設される。注入されたセルロース懸濁液は、ベルト表面の溝601の間の隆起602と接触する。溝601は、セルロース懸濁液の脆弱部を形成し、連続的に注入されたセルロース懸濁液の不連続性を形成する効果を有する。連続的に注入されたセルロース懸濁液は、各溝に切れ目を有する。それにより、セルロース懸濁液は、溝601間に、それぞれ別個の隆起602を形成する。大量の水を乾燥させた後、溝601間の隆起602で、ベルト上に短繊維が形成される。形成される短繊維の長さは、ベルト表面上の溝601間の長さによって決まる。
【0063】
溝付きベルトの場合、ベルトから抽出された繊維ベース原毛は、短繊維を含む。追加の精製、短縮、または切断の手段や、そのような段階は必要ない。短繊維ベース原毛は加工可能である。繊維ベース原毛は、溝を利用して予め定められた長さに短縮された短繊維を含んでいる。ベルト表面の溝の間隔が短繊維の長さを決定する。
【0064】
表面上の溝601は、他の種類の中断箇所に置き換えることが可能である。中断箇所は、溝または隆起を含んでもよい。中断箇所には、切り欠き、インレイ、スロット、チャンネル、山、くぼみ、隆起、突出部、突起部、または他の種類の中断箇所が含まれる。中断箇所は不規則な表面形状を含む。規則的、均一、または安定した表面には、一定の間隔で不規則性がある。表面の中断箇所または不規則性は、表面の移動方向に垂直に表面上に整列する。
【0065】
代替的または追加的に、連続的に注入されたセルロース懸濁液は、乾燥された/乾燥する繊維を外部物質または切断手段にさらすことにより、短繊維に切断されてもよい。外部物質または切断手段は、表面の繊維を切断して繊維を短繊維にすることが可能である放射線、物質または他の物質に関連していてもよい。外部物質または切断手段は、たとえば、レーザ、赤外線、熱、超音波、電子ビーム、水または化学物質を含んでもよい。繊維は、表面上で乾燥した後または乾燥中に切断されてもよい。
【0066】
連続繊維が短繊維として短くされる場合、短繊維の切断端部は、鋭く、または少なくとも実質的に鋭い。鋭い切断端部を図7に示す。短繊維が、湾曲した溝付き表面上に、溝によって形成される場合、短繊維の鋭い切断端部と比較して、短繊維の端部は、不均一または不規則である。図8は、湾曲した溝付き表面によって形成された短繊維の端部を示している。溝は、付与される連続セルロース懸濁液を中断させ、それにより特定の長さの分離された部分を形成し、乾燥後、短繊維を形成する。短繊維のそのような中断された表面は、フィブリルまたはより小さな部分を示し得る。拡大図においては、中断による不均一な端面は不規則な形状を示している。
【0067】
表面の溝は、切り欠き、インレイ、スロット、チャンネル、山、くぼみ、隆起、突出部、突起部、または他の種類の中断箇所に置き換えることが可能である。代替的または追加的に、連続的に注入されたセルロース懸濁液は、表面のセルロース(懸濁液)/繊維を外部物質にさらすことにより、短繊維に切断されてもよい。外部物質は、放射線、物質、または表面の繊維を短繊維まで切断することが可能である他の物質に関連する場合がある。外部物質は、たとえば、レーザ、赤外線、熱、超音波、電子ビーム、水または化学物質を含んでもよい。セルロース懸濁液は、表面上で乾燥した後または乾燥中に切断されてもよい。
【0068】
図9は、コンベアベルト上に配置された繊維ベース原毛を示している。短繊維は、シリンダから移動するコンベヤーベルトに引き出され、ランダムでかさばるネットワークに配置される。
【0069】
たとえばベルトまたはシリンダの表面は、疎水性表面材料を含んでもよい。シリンダまたはベルトの外面は、非多孔質の疎水性ポリマコーティングで覆われてもよい。ポリマコーティングには、疎水性表面を形成する効果がある。疎水性ポリマコーティングは油で覆われていてもよい。表面のコーティングと油被覆により、疎水性、低摩擦抵抗、低接触角ヒステリシスの外面を実現できる。油は、油を介して外部表面と接触しているセルロース懸濁液に影響を与える。表面上のポリマコーティングと油、および/または回転シリンダの求心力により、表面に注入されたセルロース懸濁液の円形断面形状を制御および維持できる。シリンダまたはベルトの外面上の油と低接触角ヒステリシスとは、乾燥中のセルロース懸濁液の丸い断面形状を維持するのに効果がある。油は、セルロース溶液が表面に付着するリスクを減らす効果がある。油は、安定した断面形状の繊維を提供する効果があり、および/または表面上に、望ましくない幅の広い、薄い、および/または脆弱なリボンが形成されることを回避する。油の一部は繊維に残り、仕上げ剤として作用する。油は、たとえば、加工中に、繊維間の摩擦、および/または繊維と金属との間の摩擦を制御するために使用されてもよい。これらは、糸、不織布などの製品のさらなる加工および形成中に、繊維ベース原毛を加工するための望ましいパラメータである。表面の油被覆は、他の適切な物質に置き換えることができ、他の適切な物質は、油に類似した特性を、少なくともいくつか/すべて持っていてもよい。たとえば、油をワックスに置き換えることができる。
【0070】
ノズルを通過してさせて表面に向けられたセルロース懸濁液は、その表面上で乾燥する。乾燥は、熱、およびシリンダの場合は、シリンダの回転運動によって行われる。シリンダの回転および/または加熱により、提供されたセルロース懸濁液を表面上で乾燥させることができる。表面に連続繊維が形成されてもよい。あるいは、安定した繊維が表面に形成されてもよい。セルロース懸濁液は、シリンダまたはベルトの表面を介して外部および/または内部で乾燥させてもよい。シリンダまたはベルトは、加熱要素を備えてもよい。シリンダまたはベルトは、内部ヒータを備えていてもよい。内部ヒータは、抵抗器、または高温蒸気を介して、電子的に加熱を行うことができる。シリンダまたはベルトは外部ヒータを備えていてもよい。外部ヒータは、表面上のセルロース懸濁液を乾燥させるために、表面への照射またはエアブローまたはスチームブローを提供してもよい。ヒータにより、表面に塗布されたセルロース懸濁液を乾燥させることができる。ヒータまたは発熱要素が、水分を除去してセルロース懸濁液を乾燥させるように配設される。
【0071】
油が表面に塗布される。表面の油は、表面張力、摩擦、および/または表面接触角ヒステリシスを減らす効果がある。油は、繊維-繊維摩擦または繊維-金属摩擦を低減する繊維仕上げ油、または揮発性油または非混和性流体を含み得るが、これらに限定されない。油は、表面張力、摩擦、および/または表面接触角ヒステリシスを低減する効果がある他の適切な物質に置き換えることができる。
【0072】
表面は、注入されたセルロース懸濁液を移動および搬送するように配設されている。表面は溝を含んでもよい。短繊維は、湾曲した溝付きの表面に形成されてもよい。表面は、湾曲または丸いシリンダ表面、または湾曲したベルト表面を含んでもよい。溝は、表面の移動方向に対して横断方向に並んでいる。溝は、ベルトの移動方向に対して横断方向に配設される。溝は、ベルトの横断方向に沿って延びており、これは長手方向またはベルトの移動方向に垂直である。溝は、シリンダの回転方向を横切るように配設される。溝は、シリンダの長さ方向に沿って延び、シリンダの回転軸と平行である。表面は、溝間の幅の広い隆起と比較して、細い溝を備えている。表面の隆起は、注入されたセルロース懸濁液の支持表面を形成し、溝は中断箇所を形成する。溝とそれらの間の隆起により、隆起表面に短繊維を形成できる。注入されたセルロース懸濁液は、溝で壊れるように配置されている。溝間の間隔は、形成された短繊維の長さを定義するように構成されている。
【0073】
溝の幅は0.5~5mm、好ましくは2~3mmであってよい。溝の深さは0.5~10mm、好ましくは2~3mmであってよい。
【0074】
表面の溝は、表面の他の種類の中断箇所に置き換えることができる。中断箇所は、溝または隆起を含んでもよい。隆起は鋭い外縁を備えていてもよい。表面からの隆起の高さは、0.5~3mm、または好ましくは1~2mmであり得る。中断箇所は、切り欠き、インレイ、スロット、チャンネル、山、くぼみ、隆起、突出部、突起部、または他の種類の中断箇所を含んでもよい。中断箇所は、表面の移動方向に対して横方向に配設される。中断箇所は、表面の幅方向に沿って延び、シリンダの回転軸に平行、またはベルトやワイヤの移動方向に垂直である。表面は、不連続な場所間の広く規則的な表面と比較して、薄い不連続な場所を含む。規則的な表面は、中断箇所で壊れるように配設された注入されたセルロース懸濁液を支持する。中断箇所を含む表面は、表面上に短繊維を形成することを可能にする。中断箇所間の間隔は、形成された短繊維の長さを定義するように構成されている。
【0075】
代替的または追加的に、連続的に注入されたセルロース懸濁液は、繊維を外部物質または切断手段にさらすことにより短繊維に切断されてもよい。外部物質は、表面の繊維を切断して繊維を短繊維にすることができる放射線、物質、または他の物質に関するものであればよい。外部物質または切断手段は、たとえば、レーザ、赤外線、熱、超音波、電子ビーム、水または化学物質を含んでもよい。セルロース懸濁液は、表面上で乾燥した後または乾燥中に切断されてもよい。
【0076】
動いている表面の求心力、表面の疎水性、および油性は、表面に乾燥した形で注入されたセルロース懸濁液と繊維の円形断面を維持するのに影響を及ぼす。
【0077】
乾燥中にセルロース懸濁液から遊離水が除去されると、水素結合が現れ始める。これは、セルロース懸濁液の固形分が繊維含有量70重量%を超えた後に発生する。
【0078】
乾燥したセルロース溶液は、連続表面上に連続繊維(ストランド)を形成する。溝付きの曲面により、乾燥後に追加の精製や短縮を行わずに安定した繊維を形成できる。短繊維は、6~80mm、好ましくは30~70mmの長さを有する。表面の溝は、他の種類の表面の中断箇所に置き換えることができる。代替的または追加的に、セルロース(懸濁液)を外部物質または切断手段にさらすことにより、連続的に注入されたセルロース懸濁液を短繊維に切断することが可能である。外部物質または切断手段は、表面上のセルロース(懸濁液)を切断して繊維を短繊維にすることが可能である放射線、物質または他の物質に関連していてもよい。外部物質または切断手段は、たとえば、レーザ、赤外線、熱、超音波、電子ビーム、水または化学物質を含んでもよい。セルロース懸濁液は、表面上で乾燥する前、後、または乾燥中に切断されてもよい。長繊維または短繊維は、繊維の永久的なネットワークを形成するために、一緒に連結されてもよい。水素結合の分解は、短繊維を水または水溶液にさらすことにより行われる。引っ張り、ねじり、または流体力学的せん断のようなわずかな機械的または流体力学的力は、濡れた短繊維組成物または製品を分解する。水にさらされると、短繊維は別々の主要なセルロースフィブリルに戻る。これにより、水使い捨て製品の形成が可能になる。
【0079】
天然繊維ベース原毛は、大きな比表面積と低密度を備えています。熱伝導率が低い一方で、優れたフィルター特性と絶縁体を提供する。不均一な繊維表面のために、天然繊維ベース原毛は高い摩擦抵抗を有し、これは、たとえば不織布材料の製造などのさらなる処理に望ましい特性である。
【0080】
天然繊維ベース原毛は、優れた吸水性と保水性を備えている。天然繊維ベース原毛の保水性は、自重の10~100倍になる場合がある。
【0081】
繊維ベース原毛は、羊から刈り取られた原毛として処理されてもよい。繊維ベース原毛は、短繊維を含む。繊維ベース原毛は、綿毛状の配列で、組織化されていない、無秩序な順序で、異なる密度の塊または集塊を形成する短繊維を含む。
【0082】
繊維ベース原毛は、毛羽立て(カーディング)てもよい。一般に、カーディングは、生のウールを配向されたストランドに向けて、ほぐし、洗浄する。カーディングは、梳毛カード、カーディング機、ヘックリング機で実行できる。カーディング機の表面は、カーディング布または毛先の柔らかいブラシアタッチメントで覆われていてもよい。カーディング中、短繊維は一般的な繊維方向に向けられ、塊を減らしながら短繊維密度がより均一になる。カーディング繊維が同様に配向する傾向があるため、それにより、繊維の縦方向寸法間では実質的に同様の配向を有する。カーディングされた繊維ベース原毛は、少なくとも、主として配向された短繊維を含み、密度の変動または塊が減少する。構造は、カーディング中により均質になる傾向がある。
【0083】
天然繊維ベース原毛は、繊維間および/または繊維と(カードの)金属間の摩擦抵抗が低いなど、カーディング中に望ましい特性を備えている。
【0084】
カーディングされた繊維ベース原毛は、糸または不織布材料として処理されてもよい。糸は、連続した予備糸を形成し、そしていくつかの予備糸を糸として紡績することにより、カーディングされた繊維ベース原毛から作られてもよい。糸は、異なる種類の織物の製造に使用できる。織物は、既知の織物製造プロセスおよび機器を使用して、糸でできていてもよい。糸、ロープ、テキスタイル、布、およびそれらを含む製品を含む多くの種類の最終製品が、天然繊維ベース原毛で作られた糸でできていてもよい。
【0085】
不織材料は、不織プロセス、またはフェルト加工、たとえば、ニードルパンチ、水流交絡、または他の適切な方法によって、カーディングされた繊維ベース原毛から製造されてもよい。不織プロセスは、連続的な不織材料または布を製造するために、短繊維を機械的に結合する。結合を強化するために、接着剤を追加してもよい。
【0086】
不織布製品は、衛生製品の製造に使用できる。衛生製品は水で処理することができ、それにより製品はセルロースフィブリルに分解される。衛生製品は、水に分解する水洗可能な製品を含んでもよい。衛生製品には、ティッシュまたはおむつを含んでもよい。短繊維ベース原毛で作られた製品は、乾燥しているとき、しっかりとした素材感を有している。しかし、基礎となるフィブリルは小さくて、水素結合を介して互いに固定されており、水環境では非常に脆弱になる。一度水に入ると、低せん断でも短繊維が解体されて、ソーターセルロースフィブリルに戻る。短繊維ベース原毛で作られた不織布材料は、使い捨て性に加えて、水分を吸収して保持する能力がある。この機能は、おむつなどの製品に望ましい。
【0087】
天然繊維ベース原毛で作られた糸は、5~200texの糸番手を有し得る。糸は5~15cN/texの靭性および3~10%の破断点伸びを備えている。天然繊維ベース原毛で作られた不織布材料は、10~100kg/mの密度を有している。
【0088】
この製造プロセスにより、糸および/または不織布材料を経済的かつ環境に優しい方法で提供できる。提供される繊維ベース原毛は、単一のプロセスであったとしても、コンパクトな製造段階で提供される。繊維ベース原毛は、原毛の処理と取り扱いにおいて知られているプロセスと装置で処理できる。繊維ベース原毛は、糸紡績装置を使用して糸として、または不織布プロセスおよび方法を使用して不織布材料として処理されてもよい。
【0089】
短繊維ベース原毛または製品は、生分解性に影響を及ぼす。廃棄は生態学的であり、天然ベースのセルロース繊維を使用すると、リサイクルと再利用が可能になる。
【0090】
天然繊維ベース原毛は、絶縁体としてさえも使用することができる。それは、カーディングの前または後に使用可能な絶縁体を形成する。
【0091】
図10は、MFC(マイクロファイバコンポジット)懸濁液のゲル特性を示している。この懸濁液では、レオロジー調整剤を使用して、貯蔵弾性率であるゲル強度を1000Paを超える所望のレベルに調整する。
【0092】
図11は、レオロジー調整剤を使用して、貯蔵弾性率と損失弾性率との交点である降伏点を2%に調整したゲルの特性を示している。
【0093】
図12は、高せん断減粘挙動を示すレオグラムの例を示している。せん断粘度は、レオロジー調整剤を使用して、1000 1/sのずり速度で0.2Paに調整される。
【0094】
前述の説明は、本発明の態様の例示として提示されている。特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、部品または詳細を交換、変更、組み合わせ、または省略してもよい。
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